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Title:
METHOD FOR JOINING SILICON BASE MATERIALS, LIQUID DROPLET DELIVERY HEAD, LIQUID DROPLET DELIVERY APPARATUS, AND ELECTRONIC DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156056
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a method for joining silicon base materials. The method comprises a first step of applying energy to a first silicon base material containing an Si-H bond to selectively cut the Si-H bond present along a face to be cleaved, and cleaving the first silicon base material by expansion pressure of the produced hydrogen gas to allow an unbonded hand of silicon to expose on the cleaved face, and a second step of bringing the cleaved face of the cleaved first silicon base material into contact with the surface of a second silicon base material with an unbonded hand of silicon exposed on its surface to join the first silicon base material to the second silicon base material.

Inventors:
SATO MITSURU (JP)
MORI YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060985
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SEIKO EPSON CORP (JP)
SATO MITSURU (JP)
MORI YOSHIAKI (JP)
International Classes:
B23K20/00; B81C3/00; C04B37/00; C30B29/06; C30B33/06; H01L21/02
Domestic Patent References:
WO2006093817A22006-09-08
Foreign References:
JP2004087606A2004-03-18
JP2004179649A2004-06-24
JP2007511069A2007-04-26
JPH06302486A1994-10-28
Attorney, Agent or Firm:
ASAHI, Kazuo et al. (18-9 Nishi-Shinbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 Si-H結合を含む第1のシリコン基材に対し、エネルギーを付与して、前記Si-H結合を選択的に切断することにより、前記第1のシリコン基材をへき開し、分割する第1の工程と、
 シリコンの未結合手が露出した表面を有する第2のシリコン基材を用意し、前記分割された第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシリコン基材の前記へき開面と、前記第2のシリコン基材の前記表面とを密着させることにより、これらを接合する第2の工程とを有することを特徴とするシリコン基材の接合方法。
 前記第1のシリコン基材は、水素化アモルファスシリコンまたは水素を含む結晶シリコンで構成されている請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記水素化アモルファスシリコンで構成された第1のシリコン基材は、原料ガスとしてシラン系ガスを用い、CVD法またはプラズマ重合法によって形成されたものである請求項2に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第1の工程において、前記第1のシリコン基材に対してレーザ光を照射することにより、前記エネルギーを付与する請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記レーザ光は、パルスレーザである請求項4に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記レーザ光を照射した部分の温度が、300~600℃になるように、前記第1のシリコン基材に対して照射するレーザ光の条件を調整する請求項4に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第1の工程において、前記第1のシリコン基材の前記へき開すべき面に、前記レーザ光の焦点を合わせた状態で、前記レーザ光を前記へき開すべき面に沿って走査する請求項4に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第1のシリコン基材が含む前記Si-H結合は、前記第1のシリコン基材の前記へき開すべき面に沿って分布している請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記Si-H結合が前記へき開すべき面に沿って分布してなる前記第1のシリコン基材は、水素原子または水素イオンを、前記へき開すべき面に注入してなるシリコン材料で構成されている請求項8に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記シリコン材料は、結晶シリコンであり、
 前記第1のシリコン基材の前記へき開すべき面は、前記結晶シリコンの結晶面とほぼ平行である請求項9に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第1のシリコン基材を加熱することにより、前記第1のシリコン基材を前記へき開すべき面でへき開する請求項8に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記加熱の際の温度は、300~600℃である請求項11に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第2の工程において、前記分割された第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシリコン基材の前記へき開面と、前記第2のシリコン基材の前記表面とを密着させた状態で、これらを加熱する請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記加熱温度は、40~200℃である請求項13に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第2の工程において、前記分割された第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシリコン基材の前記へき開面と、前記第2のシリコン基材の前記表面とを密着させた状態で、これらが互いに近づく方向に加圧する請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記加圧の際の圧力は、1~1000MPaである請求項15に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第1の工程および前記第2の工程は、不活性ガス雰囲気中または減圧雰囲気中で行う請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第2のシリコン基材は、Si-H結合を含むシリコン基材に対し、エネルギーを付与して、前記Si-H結合を選択的に切断することにより、前記シリコン基材をへき開し、前記未結合手を露出させたものである請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 前記第2のシリコン基材は、シリコン基材に対し、フッ酸含有液によるエッチングを施すことにより、前記シリコン基材の表面にSi-H結合を形成した後、前記シリコン基材の表面にエネルギーを付与して、前記Si-H結合を選択的に切断することにより、前記未結合手を露出させたものである請求項1に記載のシリコン基材の接合方法。
 2つのシリコン基材を接合してなる接合体を備え、
 該接合体が、請求項1に記載のシリコン基材の接合方法を用いて製造されたものであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
 請求項20に記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
 2つのシリコン基材を接合してなる接合体を備え、
 該接合体が、請求項1に記載のシリコン基材の接合方法を用いて接合されたものであることを特徴とする電子デバイス。
Description:
シリコン基材の接合方法、液滴 出ヘッド、液滴吐出装置および電子デバイ

 本発明は、シリコン基材の接合方法、液 吐出ヘッド、液滴吐出装置および電子デバ スに関する。

 従来、2枚のシリコン基板(シリコン基材)を 合する方法として、接着剤を用いずに、ウ ハ同士を直接接合するウェハ直接接合(Wafer Direct Bonding)が知られている。
 ウェハ直接接合は、例えば、2枚のシリコン 基板を洗浄した後、それぞれに表面処理を行 うことによって表面に多数の水酸基を付着さ せる。そして、シリコン基板同士を重ね合わ せるとともに、1000℃程度の熱処理を行うこ によって接合する。

 水酸基が付着したシリコン基板の表面同 を重ね合わせて熱処理すると、この表面に 在するSi-OH同士が反応して、Si-O-Si結合が形 される。これにより、シリコン基板同士が 固に接合される。このウェハ直接接合では 接着剤を使用しないので、接着剤のはみだ 等の問題がなく、シリコン基板同士を簡易 工程で精度よく接合することができる。こ ため、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Syst ems)の組み立て、半導体素子、および各種パ ケージ等への応用が期待される。

 しかし、従来のウェハ直接接合では、1000℃ 程度の熱処理が必要であることから、シリコ ン基板に電子回路や可動構造等が作り込まれ ている場合、これらの熱によるダメージが問 題となる。
 そこで、2枚のシリコン基板の少なくとも一 方の表面に対して、プラズマ発生装置を用い た酸素プラズマによる親水化処理を施し、こ の親水化した面同士を重ね合わせるとともに 、200~450℃の温度での熱処理によって、2枚の リコン基板を接合する接合方法が提案され いる(例えば、特許文献1参照。)。

 しかしながら、上記のような接合方法では 2枚のシリコン基板を主にSi-O-Si結合に基づ て接合している。このため、十分な接合強 が得られない。また、接合界面において化 結合が不連続なものとなり、それに伴って 機械的特性、電気的特性および化学的特性 、接合界面において不連続になってしまう
 このため、例えば、p型シリコン基板とn型 リコン基板とを接合して半導体素子を作製 る場合、2枚のシリコン基板間の接合界面に いて、主にSi-O-Si結合に基づく接触抵抗が顕 在化し、半導体素子の特性が低下するおそれ がある。
 また、シリコン基板は、一般にその表面を 械的研磨または化学的研磨により平滑化さ る。しかしながら、このような研磨処理に って得られる表面の平滑性は、不十分であ 。このため、研磨処理を施したシリコン基 同士を隙間なく、高強度かつ高精度に接合 ることは困難である。

特開平5-82404号公報

 本発明は、高温での熱処理を行わなくと 、シリコン基材同士を精度よく強固に接合 ることができるシリコン基材の接合方法、 の接合方法を用いて製造された信頼性の高 液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置、およ 、前記シリコン基材の接合方法を用いて製 された電子デバイスを提供することを目的 する。

 上記目的を達成するために、本発明は、
 Si-H結合を含む第1のシリコン基材に対し、 ネルギーを付与して、前記Si-H結合を選択的 切断することにより、前記第1のシリコン基 材をへき開し、分割する第1の工程と、
 シリコンの未結合手が露出した表面を有す 第2のシリコン基材を用意し、前記分割され た第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシ コン基材の前記へき開面と、前記第2のシリ コン基材の前記表面とを密着させることによ り、これらを接合する第2の工程とを有する とを特徴とするシリコン基材の接合方法で る。
 このような本発明によれば、高温での熱処 を行わなくとも、シリコン基材同士を精度 く強固に接合することができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1のシリコン基材は、水素化アモル ファスシリコンまたは水素を含む結晶シリコ ンで構成されていることが好ましい。
 これにより、第1のシリコン基材を確実にへ き開することができる。
 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記水素化アモルファスシリコンで構成 れた第1のシリコン基材は、原料ガスとして シラン系ガスを用い、CVD法またはプラズマ重 合法によって形成されたものであることが好 ましい。
 これにより、水素化アモルファスシリコン 効率よく作製することができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1の工程において、前記第1のシリ ン基材に対してレーザ光を照射することに り、前記エネルギーを付与することが好ま い。
 これにより、第1のシリコン基材の変質・劣 化を確実に防止しつつ、Si-H結合を選択的に 率よく切断することができる。また、第1の リコン基材のへき開すべき面に対して局所 にエネルギーを付与することができる。こ により、へき開すべき面付近に存在するSi-H 結合のみを選択的に切断することができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記レーザ光は、パルスレーザであるこ が好ましい。
 これにより、第1のシリコン基材のレーザ光 が照射された部分に経時的に熱が蓄積され難 いので、蓄積された熱による第1のシリコン 材の変質・劣化を確実に防止することがで る。その結果、切断するSi-H結合の位置精度 高めることができ、へき開位置の位置精度 高めることができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記レーザ光を照射した部分の温度が、3 00~600℃になるように、前記第1のシリコン基 に対して照射するレーザ光の条件を調整す ことが好ましい。
 これにより、レーザ光を照射された部分に いて、Si-Si結合をほとんど切断することな 、Si-H結合のみを選択的に切断することがで る。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1の工程において、前記第1のシリ ン基材の前記へき開すべき面に、前記レー 光の焦点を合わせた状態で、前記レーザ光 前記へき開すべき面に沿って走査すること 好ましい。
 これにより、レーザ光の照射によって発生 た熱が、へき開すべき面付近に局所的に蓄 されることとなる。その結果、第1のシリコ ン基材をへき開すべき面に沿って存在するSi- H結合が選択的に切断される。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1のシリコン基材が含む前記Si-H結 は、前記第1のシリコン基材の前記へき開す き面に沿って分布していることが好ましい
 これにより、例えば、レーザ光のような指 性の高い光ではなく、放射状に広がる指向 の低い光でも、へき開すべき面に位置するS i-H結合のみを選択的に切断することができる 。その結果、第1のシリコン基材をへき開す き面において確実にへき開し、分割するこ ができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記Si-H結合が前記へき開すべき面に沿っ て分布してなる前記第1のシリコン基材は、 素原子または水素イオンを、前記へき開す き面に注入してなるシリコン材料で構成さ ていることが好ましい。
 これにより、あらかじめ水素を含まないよ なシリコン材料で構成された第1のシリコン 基材であっても、本発明を適用して、接合を 行うことができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記シリコン材料は、結晶シリコンであ 、
 前記第1のシリコン基材の前記へき開すべき 面は、前記結晶シリコンの結晶面とほぼ平行 であることが好ましい。
 これにより、へき開が結晶面に沿って進行 ることになるため、得られたへき開面は、 り平滑性の高いものとなる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1のシリコン基材を加熱することに より、前記第1のシリコン基材を前記へき開 べき面でへき開することが好ましい。
 これにより、高価な設備等を必要とせず、 工程を簡単に行うことができる。
 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記加熱の際の温度は、300~600℃であるこ とが好ましい。
 これにより、Si-Si結合をほとんど切断する となく、Si-H結合のみを選択的に切断するこ ができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第2の工程において、前記分割された 第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシリ ン基材の前記へき開面と、前記第2のシリコ ン基材の前記表面とを密着させた状態で、こ れらを加熱することが好ましい。
 これにより、接合に要する時間を短縮する ともに、接合体の接合強度をより高めるこ ができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記加熱温度は、40~200℃であることが好 しい。
 これにより、へき開された第1のシリコン基 材および第2のシリコン基材に、熱による変 ・劣化が発生するのを防止しつつ、接合に する時間を短縮するとともに、接合体の接 強度をより高めることができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第2の工程において、前記分割された 第1のシリコン基材のうち、一方の第1のシリ ン基材の前記へき開面と、前記第2のシリコ ン基材の前記表面とを密着させた状態で、こ れらが互いに近づく方向に加圧することが好 ましい。
 これにより、接合体の接合強度をより高め ことができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記加圧の際の圧力は、1~1000MPaであるこ が好ましい。
 これにより、各シリコン基材に損傷等が発 するのを防止しつつ、接合体の接合強度を 実に高めることができる。
 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第1の工程および前記第2の工程は、 活性ガス雰囲気中または減圧雰囲気中で行 ことが好ましい。
 これにより、前記へき開された第1のシリコ ン基材の前記へき開面や、前記第2のシリコ 基材の前記表面が、汚染されたり、大気中 酸素や水分等が付着して、前記へき開面や 記表面が酸化されたりするのを確実に防止 ることができる。その結果、前記へき開面 露出した未結合手や、前記表面に露出した 結合手が、酸素や水酸基等で不本意に終端 されるのを防止することができる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第2のシリコン基材は、Si-H結合を含 シリコン基材に対し、エネルギーを付与し 、前記Si-H結合を選択的に切断することによ 、前記シリコン基材をへき開し、前記未結 手を露出させたものであることが好ましい
 これにより、第2のシリコン基材に形成され たへき開面は、例えば、シリコン基材を研磨 した面よりも高い平滑性を有している。した がって、へき開により作製された第1のシリ ン基材と、へき開により作製された第2のシ コン基材とに対して、本発明の接合方法を 用することにより、接合界面の密着性が高 なる。その結果、接合強度の高い接合体が られる。

 また、本発明のシリコン基材の接合方法で 、前記第2のシリコン基材は、シリコン基材 に対し、フッ酸含有液によるエッチングを施 すことにより、前記シリコン基材の表面にSi- H結合を形成した後、前記シリコン基材の表 にエネルギーを付与して、前記Si-H結合を選 的に切断することにより、前記未結合手を 出させたものであることが好ましい。
 これにより、水素を含まない第2のシリコン 基材に対しても、本発明のシリコン基材の接 合方法を適用することができる。

 上記目的を達成するために、本発明は、
 2つのシリコン基材を接合してなる接合体を 備え、
 該接合体が、本発明のシリコン基材の接合 法を用いて製造されたものであることを特 とする液滴吐出ヘッドである。
 このような本発明によれば、信頼性の高い 滴吐出ヘッドが得られる。
 上記目的を達成するために、本発明は、
 本発明の液滴吐出ヘッドを備えることを特 とする液滴吐出装置である。
 このような本発明によれば、信頼性の高い 滴吐出装置が得られる。
 上記目的を達成するために、本発明は、
 2つのシリコン基材を接合してなる接合体を 備え、
 該接合体が、本発明のシリコン基材の接合 法を用いて接合されたものであることを特 とする電子デバイスである。
 このような本発明によれば、信頼性の高い 子デバイスが得られる。

図1は、本発明のシリコン基材の接合方 法の第1実施形態を説明するための模式図(縦 面図)である。 図2は、本発明のシリコン基材の接合方 法の第1実施形態を説明するための模式図(縦 面図)である。 図3は、本発明のシリコン基材の接合方 法の第1実施形態を説明するための模式図(縦 面図)である。 図4は、本発明のシリコン基材の接合方 法の第2実施形態を説明するための模式図(縦 面図)である。 図5は、本発明のシリコン基材の接合方 法の第2実施形態を説明するための模式図(縦 面図)である。 図6は、本発明のシリコン基材の接合方 法を適用して得られたダイオードを示す模式 図(縦断面図)である。 図7は、本発明のシリコン基材の接合方 法を適用して得られたインクジェット式記録 ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図で る。 図8は、図7に示すインクジェット式記 ヘッドの主要部の構成を示す断面図である 図9は、図7に示すインクジェット式記 ヘッドを備えるインクジェットプリンタの 施形態を示す概略図である。 図10は、本発明のシリコン基材の接合 法を適用して得られた電子デバイスを示す 断面図である。

 以下、本発明のシリコン基材の接合方法、 滴吐出ヘッド、液滴吐出装置および電子デ イスを添付図面に示す好適実施形態に基づ て詳細に説明する。
 <シリコン基材の接合方法>
 ≪第1実施形態≫
 まず、本発明のシリコン基材の接合方法の 1実施形態について説明する。
 図1ないし図3は、それぞれ本発明のシリコ 基材の接合方法の第1実施形態を説明するた の模式図(縦断面図)である。なお、以下の 明では、図1ないし図3中の上側を「上」、下 側を「下」と言う。

 本発明のシリコン基材の接合方法は、2枚の シリコン基材(第1のシリコン基材と第2のシリ コン基材)の表面同士を直接接触させて接合 る方法である。
 かかる方法は、[1]第1のシリコン基材をへき 開するへき開工程(第1の工程)と、[2]第2のシ コン基材を用意し、へき開された第1のシリ ン基材のへき開面と第2のシリコン基材とを 密着させることにより、これらを接合する接 合工程(第2の工程)とを有する。以下、これら の各工程について、詳述する。

 [1]シリコン基材のへき開工程(第1の工程)
 本実施形態では、[1-1]まず、Si-H結合を含む 1のシリコン基材1を用意する。[1-2]そして、 第1のシリコン基材1に対し、エネルギーを付 する。これにより、Si-H結合が選択的に切断 されるとともに、脱離した水素原子同士が結 合して水素ガスが発生する。この水素ガスは 、大きな体積を占めることから、水素ガスが 発生した部分で、第1のシリコン基材1が押し げられる。その結果、ついには、第1のシリ コン基材1がへき開されることとなる。以下 本工程を順次説明する。
 なお、本実施形態では、一例として、図1に 示すA-A線に沿って第1のシリコン基材1をへき するものとする。また、以下、A-A線で示さ る面を、「へき開すべき面11」と言う。以 、本工程を順次説明する。

 [1-1]
 本工程で用意するSi-H結合を含む第1のシリ ン基材1は、化学結合として、Si-Si結合の他 、Si-H結合を含むシリコン材料で構成されて る。
 具体的に、第1のシリコン基材1を構成する 料としては、例えば、(A)水素化アモルファ シリコンのような水素が添加されたアモル ァスシリコンや、(B)水素が添加された単結 シリコン、多結晶シリコンのような結晶シ コン等が挙げられる。かかるアモルファス リコンや結晶シリコンによれば、第1のシリ ン基材1を確実にへき開することができる。 以下、(A)、(B)について順次説明する。

 (A)水素化アモルファスシリコンは、例えば 蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD のような各種CVD法、プラズマ重合法等によ て作製したものを用いることができる。
 また、特に、原料ガスとしてシラン(SiH 4 )、ジシラン(Si 2 H 6 )等のシラン系ガスを用い、CVD法によって作 された水素化アモルファスシリコンが、第1 シリコン基材1を構成する材料として好まし く用いられる。このような方法で作製された 水素化アモルファスシリコンは、シリコン原 子が、結晶構造のような長距離規則性を持た ずに無秩序に配列してなる材料である。また 、水素化アモルファスシリコンでは、原料ガ スに含まれる水素が膜中に全体的に取り込ま れ、シリコンの未結合手(ダングリングボン )が水素で終端されることによってSi-H結合が 形成されている。このように、シランを用い たCVD法によれば、水素化アモルファスシリコ ンを効率よく作製することができる。

 また、特に、原料ガスとしてオルガノシロ サン系ガスを用い、プラズマ重合法によっ 作製された水素化アモルファスシリコンも 第1のシリコン基材1を構成する材料として ましく用いられる。このような方法で作製 れた水素化アモルファスシリコンは、シリ ン原子、酸素原子および有機基が、結晶構 のような長距離規則性を持たずに無秩序に 列してなる材料である。また、このような 素化アモルファスシリコンでは、原料ガス 含まれる水素が膜中に全体的に取り込まれ シリコンの未結合手(ダングリングボンド)が 水素で終端されることによってSi-H結合が形 されている。このように、オルガノシロキ ンを用いたプラズマ重合法によっても、水 化アモルファスシリコンを効率よく作製す ことができる。
 なお、原料ガスとしては、例えば、メチル ロキサン、オクタメチルトリシロキサン、 カメチルテトラシロキサン、デカメチルシ ロペンタシロキサン、オクタメチルシクロ トラシロキサン、メチルフェニルシロキサ のようなオルガノシロキサン等が挙げられ 。

 また、マスク等を介してCVD法およびプラズ 重合法を行うことにより、所望の領域にの 選択的に水素化アモルファスシリコンを成 することができる。これにより、所望の形 をなす第1のシリコン基材1を容易に作製す ことができるという利点もある。
 なお、マスク等を用いることなく、広い面 に対して水素化アモルファスシリコンを成 した後、この膜を、フォトリソグラフィー 術およびエッチング技術を組み合わせてパ ーニングするようにしてもよい。かかる方 によっても、所望の形状をなす第1のシリコ ン基材1を容易に作製することができる。

 また、水素化アモルファスシリコンにおけ 水素含有率は、0.5~20atm%程度であるのが好ま しく、1~15atm%程度であるのがより好ましい。 素化アモルファスシリコンの水素含有率が 記範囲内であることにより、第1のシリコン 基材1を確実にへき開することができる。
 なお、水素含有率が前記下限値未満である 合、Si-H結合を切断することによって発生す る水素ガスの発生量が著しく少なくなる。こ のため、水素ガスによって第1のシリコン基 1を十分に押し広げることができず、第1のシ リコン基材1をへき開させるのが困難になる それがある。一方、水素含有率が前記上限 を上回る場合、水素化アモルファスシリコ の各種特性が低下する。例えば、水素含有 が前記上限値を上回ると、水素化アモルフ スシリコンが脆化し、機械的特性が低下す おそれがある。また、水素含有率が高すぎ ため、そのような水素化アモルファスは、 状の成膜技術では作製条件の設定が難しく 量産性に欠ける可能性がある。

 ところで、水素化アモルファスシリコンに ける水素含有率は、水素化アモルファスシ コンがプラズマCVDによって成膜されたもの ある場合、原料ガスの組成、流量、プラズ の出力、プラズマCVD装置のチャンバ内の圧 、成膜温度等の各種パラメータを適宜設定 ることにより制御することができる。
 同様に、水素化アモルファスシリコンがプ ズマ重合法によって成膜されたものである 合、原料ガスの組成、プラズマ出力(高周波 出力密度)等の各種パラメータを適宜設定す ことにより、水素化アモルファスシリコン おける水素含有率を制御することができる
 具体的には、例えば、高周波出力密度を高 ることにより、水素化アモルファスシリコ 中の水素含有率を高めることができる。

 なお、高周波の出力密度は、特に限定され いが、0.01~100W/cm 2 程度であるのが好ましく、0.1~50W/cm 2 程度であるのがより好ましく、1~40W/cm 2 程度であるのがさらに好ましい。
 また、高周波の周波数は、特に限定されな が、1kHz~100MHz程度であるのが好ましく、10~60 MHz程度であるのがより好ましい。

 (B)結晶シリコンは、ダイヤモンド型構造を する結晶質の材料である。
 結晶シリコンのうち、単結晶シリコンでは 材料全体においてシリコン原子が規則正し 配列している。これに対し、多結晶シリコ は、異なる面方位を有する単結晶シリコン 粒が集合してなる材料である。
 これらの結晶シリコンは、通常、作製直後 は水素を含有していないので、結晶シリコ を作製した後、水素原子または水素イオン 添加されたものを第1のシリコン基材1とし 使用することができる。水素が添加された 晶シリコンでは、この添加された水素と、 晶構造を構成するシリコンとによってSi-H結 が形成されている。

 結晶シリコンに水素原子または水素イオン 添加する方法としては、いかなる方法を用 てもよく、例えば、イオン注入装置を用い イオン注入法等が挙げられる。
 イオン注入法では、電界によって加速され 水素イオンを、結晶シリコンの表面から打 込むことにより、結晶シリコンに水素を添 する。このとき、水素イオンの打ち込みは 後述する工程[2]において、第2のシリコン基 材との接合に供される面とは反対の面から行 われるのが好ましい。これにより、へき開後 に接合に供される第1のシリコン基材1が、イ ン注入によってダメージを受けるのを防止 ることができる。その結果、最終的に作製 れる接合体3において、良好な特性を得るこ とができる。

 なお、本実施形態では、水素が添加された 晶シリコンでは、水素が、少なくともへき すべき面11に存在していればよい。すなわ 、水素は、第1のシリコン基材1の全体的に添 加されていても、へき開すべき面11の近傍に 所的に添加されていてもよい。
 また、結晶シリコンで構成された第1のシリ コン基材1では、結晶面がへき開すべき面11と 平行であるのが好ましい。これにより、へき 開が結晶面に沿って進行することになるため 、得られたへき開面は、より平滑性の高いも のとなる。
 また、第1のシリコン基材1には、必要に応 て、p型ドーパントやn型ドーパント等が添加 されていてもよい。これにより、第1のシリ ン基材1の電気的特性を制御することができ 。
 以上、(A)、(B)の方法により、第1のシリコン 基材1を作製することができる。

 [1-2]
 次に、第1のシリコン基材1に対し、エネル ーを付与する。
 第1のシリコン基材1にエネルギーを付与す 方法には、第1のシリコン基材1を変質・劣化 させることなく、Si-H結合を選択的に切断し る方法であれば、いかなる方法をも用いる とができる。

 ここで、Si-H結合の結合エネルギーは3.1~3.5eV 程度であり、Si-Si結合の結合エネルギーは7.6e V程度である。このように、Si-H結合とSi-Si結 との間で結合エネルギーにある程度の差が ることから、第1のシリコン基材1に付与する エネルギーの大きさを制御することにより、 Si-Si結合をほとんど切断することなく、Si-H結 合のみを選択的に切断することができる。
 また、同様に、Si-H結合の結合エネルギーは 、Si-O結合やSi-C結合の結合エネルギーよりも さい。したがって、第1のシリコン基材1に 与するエネルギーの大きさを制御すること より、Si-H結合のみを選択的に切断すること できる。

 また、本実施形態では、特に、エネルギ を付与する方法として、図1(b)に示すように 、第1のシリコン基材1にレーザ光を照射する 法を用いる。レーザ光によれば、第1のシリ コン基材1の変質・劣化を確実に防止しつつ Si-H結合を選択的に効率よく切断することが きる。また、レーザ光によれば、第1のシリ コン基材1のへき開すべき面11に対して局所的 にエネルギーを付与することができる。これ により、へき開すべき面11付近に存在するSi-H 結合のみを選択的に切断することができる。

 ここで、レーザ光としては、例えば、エキ マレーザのようなパルス発振レーザ(パルス レーザ)、炭酸ガスレーザ、半導体レーザの うな連続発振レーザ等が挙げられる。
 このうち、本実施形態では、パルスレーザ 好ましく用いられる。パルスレーザでは、 1のシリコン基材1のレーザ光が照射された 分に経時的に熱が蓄積され難いので、蓄積 れた熱による第1のシリコン基材1の変質・劣 化を確実に防止することができる。また、第 1のシリコン基材1において、照射された部分 熱が蓄積され難いと、その熱が周囲に広が ても温度上昇を極力抑えることができる。 のため、照射した部分から離れた部分にエ ルギーが付与されるのを防止し、照射すべ 部分に対して選択的にエネルギーを付与す ことができる。これにより、切断するSi-H結 合の位置精度を高めることができ、へき開位 置の位置精度を高めることができる。
 これに対し、連続発振レーザでは、レーザ が照射された部分に経時的に蓄積された熱 、放熱して温度が低下する間もなく、レー 光が連続的に照射されることになるため、 射された部分の温度が高温になるおそれが る。このため、第1のシリコン基材1の変質 劣化を招くとともに、へき開位置の位置精 が低下するおそれがある。

 また、パルスレーザのパルス幅は、熱の 響を考慮した場合、できるだけ短い方が好 しい。具体的には、パルス幅が1ps(ピコ秒) 下であるのが好ましく、500fs(フェムト秒)以 であるのがより好ましい。パルス幅を前記 囲内にすれば、レーザ光照射に伴って第1の シリコン基材1に生じる熱の影響を、ほぼ抑 ることができる。また、パルス幅が前記範 内であれば、レーザ光の照射に伴って熱が 積し、高温の領域が第1のシリコン基材1の厚 さ方向(レーザ光の照射方向)へ広がるのを特 確実に防止することができる。これにより へき開位置の位置精度をより高めることが きる。なお、パルス幅が前記範囲内程度に さいパルスレーザは、「フェムト秒レーザ と呼ばれる。

 また、レーザ光の波長は、特に限定されな が、例えば、200~1200nm程度であるのが好まし く、300~1000nm程度であるのがより好ましい。
 また、レーザ光のピーク出力は、パルスレ ザの場合、パルス幅によって異なるが、0.1~ 10W程度であるのが好ましく、1~5W程度である がより好ましい。
 さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は 0.1~100kHz程度であるのが好ましく、1~10kHz程 であるのがより好ましい。パルスレーザの 波数を前記範囲内に設定することにより、 ーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇 て、Si-Si結合が切断されてしまうのを防止し つつ、Si-H結合を確実に切断することができ 。

 なお、このようなレーザ光の各種条件は レーザ光を照射された部分の温度が、好ま くは300~600℃程度、より好ましくは400~500℃ 度になるように適宜調整されるのが好まし 。これにより、レーザ光を照射された部分 おいて、Si-Si結合をほとんど切断することな く、Si-H結合のみを選択的に切断することが きる。また、特に、第1のシリコン基材1がア モルファスシリコンで構成されている場合に は、温度が高くなり過ぎて、アモルファスシ リコンが結晶化してしまうのを確実に防止す ることができる。

 また、第1のシリコン基材1に照射するレ ザ光は、その焦点を、第1のシリコン基材1の へき開すべき面11に合わせた状態で、このへ 開すべき面11に沿って走査されるようにす のが好ましい。これにより、レーザ光の照 によって発生した熱が、へき開すべき面11付 近に局所的に蓄積されることとなる。その結 果、第1のシリコン基材1をへき開すべき面11 沿って存在するSi-H結合が選択的に切断され 。

 Si-H結合が切断されると、水素原子が結合し ていた結合手は、未結合手(ダングリングボ ド)14となる。一方、脱離した水素原子は、2 結合して、図1(c)に示すように、へき開すべ き面11付近に水素ガス12が発生する。この水 ガス12は、大きな体積を占めることから、へ き開すべき面11において第1のシリコン基材1 押し広げられる。これにより発生する応力 第1のシリコン基材1の破壊応力に達すると、 図1(d)に示すように、へき開すべき面11におい て第1のシリコン基材1が上下にへき開され、 割される。これにより、2つのへき開された 第1のシリコン基材1’が得られる。
 2つにへき開された第1のシリコン基材1’の へき開面13、13には、それぞれシリコンの未 結合手14が露出しており、活性の高い状態と っている。なお、このへき開面13は、例え 、シリコン基材を研磨した面よりも高い平 性を有している。

 なお、このようなエネルギーの付与は、窒 ガス、アルゴンガスのような不活性ガス雰 気中または減圧雰囲気中で行うのが好まし 。これにより、へき開面13が汚染されたり 大気中の酸素や水分等が付着して、へき開 13が酸化されたりするのを確実に防止するこ とができる。その結果、へき開面13に露出し 未結合手14が、酸素や水酸基等で不本意に 端化される(不活性化される)のを防止するこ とができる。
 また、第1のシリコン基材1の全体にわたっ 水素が添加されている場合、上記のように き開すべき面11にレーザ光の焦点を合わせる 方法を用いることが推奨される。これにより 、第1のシリコン基材1の全体に水素が分布し いても、へき開すべき面11において第1のシ コン基材1を確実にへき開することができる 。

 [2]シリコン基材の接合工程(第2の工程)
 本工程では、[2-1]まず、表面21にシリコンの 未結合手22が露出した第2のシリコン基材2を 意する。[2-2]そして、前記工程[1]で2つにへ 開された第1のシリコン基材のうち、一方の 1のシリコン基材1’のへき開面13と、用意し た第2のシリコン基材2の表面21とが接触する うに、へき開された第1のシリコン基材1’と 第2のシリコン基材2とを重ね合わせる。これ より、へき開された第1のシリコン基材1’ へき開面13に露出するシリコンの未結合手14 、第2のシリコン基材2の表面21に露出するシ リコンの未結合手22とが結合して、Si-Si結合 形成される。その結果、へき開された第1の リコン基材1’と第2のシリコン基材2とが接 され、接合体3が得られる。以下、本工程を 順次説明する。

 [2-1]
 本工程で用意する第2のシリコン基材2は、 の表面21にシリコンの未結合手22が露出した のである。
 このような第2のシリコン基材2は、いかな 方法で形成されたものでもよいが、例えば 以下の2つの方法(I)、(II)で形成することがで きる。

 (I)
 この方法では、Si-H結合を含むシリコン基材 を用意し、このシリコン基材に対し、前記工 程[1]と同様にして、このシリコン基材をへき 開する。このようにして得られた、へき開さ れたシリコン基材を、第2のシリコン基材2と て用いることができる。
 具体的には、まず、Si-H結合を含むシリコン 基材を用意する。そして、このシリコン基材 に対し、エネルギーを付与する。これにより 、Si-H結合が選択的に切断されるとともに、 離した水素原子同士が結合して水素ガスが 生する。この水素ガスにより、シリコン基 が押し広げられ、シリコン基材がへき開さ る。このようにしてへき開されたシリコン 材のへき開面には、シリコンの未結合手が 出している。

 なお、このようにして形成されたへき開 は、例えば、シリコン基材を研磨した面よ も高い平滑性を有している。したがって、 き開により作製された第1のシリコン基材1 と、へき開により作製された第2のシリコン 材2とに対して、本発明の接合方法を適用す ることにより、接合界面の密着性が高くなる 。その結果、接合強度の高い接合体3が得ら る。

 (II)
 この方法では、Si-H結合を含むシリコン基材 5を用意する。
 かかるシリコン基材5は、第1のシリコン基 1の構成材料と同様である。
 次に、用意したシリコン基材5に対し、フッ 酸含有液によるエッチングを施す。フッ酸含 有液は、フッ酸系エッチング液であり、例え ば、フッ酸(HF)溶液、バッファードフッ酸(フ 酸とフッ化アンモニウム(NH 4 F)との混合液)等が挙げられる。このようなフ ッ酸含有液は、シリコンに対して酸化シリコ ンのエッチング選択比が極めて高い。このた め、エッチング液としてフッ酸含有液を用い ることにより、シリコン基材5の母材が劣化 るのを防止しつつ、シリコン基材5に形成さ た酸化シリコンを選択的に除去することが きる。すなわち、シリコン基材5には、一般 に大気中の酸素や水分の影響で表面に酸化シ リコンで構成された酸化膜が形成されている が、フッ酸含有液を用いたエッチングにより 、この酸化膜のみを選択的に除去することが できる。
 表面の酸化膜が除去されると、シリコン基 5の表面51にシリコンの未結合手が露出する しかしながら、この未結合手には、図2(e)に 示すように、フッ酸含有液中の水素イオンが 瞬時に結合し、終端化される。

 次に、エネルギーを付与して、シリコン基 5に含まれたSi-H結合を選択的に切断する。 れにより、シリコン基材5の表面51には、図2 示すように、シリコンの未結合手が露出す 。
 エネルギーを付与する方法としては、例え 、エネルギー線を照射する方法、シリコン 材5を加熱する方法等が挙げられる。

 このうち、照射するエネルギー線としては 例えば、紫外光、レーザ光のような光、電 線、粒子線等が挙げられる。これらの中で 、照射するエネルギー線は、レーザ光また 紫外光であるのが好ましい(図2(f)参照)。レ ザ光によれば、シリコン基材5の変質・劣化 を確実に防止しつつ、図2(g)に示すように、Si -H結合を選択的に効率よく切断することがで る。また、紫外光によれば、紫外ランプの うな比較的簡単な設備で、広範囲にわたっ Si-H結合を選択的に効率よく切断することが できる。
 ここで、レーザ光としては、前記工程[1-2] 場合と同様、パルスレーザを用いるのが好 しい。
 また、レーザ光の各種条件も、前記工程[1-2 ]の場合と同様である。

 一方、照射するエネルギー線として紫外光 用いる場合、紫外光の波長は、150~300nm程度 あるのが好ましく、160~200nm程度であるのが り好ましい。
 また、紫外光を照射する時間は、特に限定 れないが、0.5~30分程度であるのが好ましく 1~10分程度であるのがより好ましい。
 なお、表面51に露出した未結合手が終端化 れると、シリコン基材5の表面51は、化学的 安定化する。このため、大気中に放置して シリコン基材5の表面51に酸化膜が形成され のを防止することができる。すなわち、表 51にSi-H結合が高密度に形成された状態を保 することができる。したがって、この状態 あれば、大気中であっても保存することが 能となる。

 一方、シリコン基材5を加熱する場合、加熱 温度は200~600℃程度であるのが好ましく、300~4 00℃程度であるのがより好ましい。Si-H結合の 結合エネルギーは、Si-Si結合の結合エネルギ より小さいので、シリコン基材5の加熱温度 を前記範囲内に設定することにより、Si-H結 を選択的に切断することができる。
 このような(II)の方法によれば、(I)の方法の ように、シリコン基材が必ずしも水素を含ん でいる必要がない。すなわち、水素を含まな い第2のシリコン基材2に対しても、本発明の リコン基材の接合方法を適用することがで る。

 以上のような2つの方法(I)、(II)によれば、 面21にシリコンの未結合手22が露出した第2の シリコン基材2を効率よく確実に形成するこ ができる。
 なお、用意する第2のシリコン基材2の結晶 造は、第1のシリコン基材1と異なっていても よいが、同じであるのが好ましい。これによ り、最終的に得られる接合体3は、接合界面 介して各種特性が連続したものとなる。
 また、第2のシリコン基材2には、必要に応 て、p型ドーパントやn型ドーパント等が添加 されていてもよい。これにより、第2のシリ ン基材2の電気的特性を制御することができ 。

 [2-2]
 次に、図3(h)に示すように、前記工程[1]で得 られた、へき開された第1のシリコン基材1’ へき開面13と、前記工程[2-1]で用意した第2 シリコン基材2の表面21とが接触するように へき開された第1のシリコン基材1’と第2の リコン基材2とを重ね合わせる。これにより へき開された第1のシリコン基材1’のへき 面13に露出した未結合手14と、第2のシリコン 基材2の表面21に露出した未結合手22とが結合 、図3(i)に示すような、へき開された第1の リコン基材1’と第2のシリコン基材2とが接 された接合体3が得られる。

 ここで、前述のようにしてへき開された第1 のシリコン基材1’と第2のシリコン基材2とを 重ね合わせた状態で、必要に応じて、へき開 された第1のシリコン基材1’および第2のシリ コン基材2を加熱する。これにより、接合に する時間を短縮するとともに、接合体3の接 強度をより高めることができる。
 また、加熱温度は、40~200℃程度であるのが ましく、50~150℃程度であるのがより好まし 。これにより、へき開された第1のシリコン 基材1’および第2のシリコン基材2に、熱によ る変質・劣化が発生するのを防止しつつ、接 合に要する時間を短縮するとともに、接合体 3の接合強度をより高めることができる。

 また、前述のようにしてへき開された第1の シリコン基材1’と第2のシリコン基材2とを重 ね合わせた状態で、必要に応じて、へき開さ れた第1のシリコン基材1’および第2のシリコ ン基材2を、互いに近づく方向に加圧する。 れにより、接合体3の接合強度をより高める とができる。
 このとき、接合体3を加圧する際の圧力は、 各シリコン基材1’、2の構成材料や厚さ等に じて若干異なるものの、1~1000MPa程度である が好ましく、1~10MPa程度であるのがより好ま しい。加圧する際の圧力を前記範囲内とする ことにより、各シリコン基材1’、2に損傷等 発生するのを防止しつつ、接合体3の接合強 度を確実に高めることができる。
 なお、前述の加熱と加圧は、同時に行うの 好ましい。これにより、加熱による効果と 加圧による効果とが相乗的に発揮され、接 体3の接合強度を特に高めることができる。

 また、以上のような工程[1]、[2]は、窒素 ス、アルゴンガスのような不活性ガス雰囲 中または減圧雰囲気中で行うのが好ましい これにより、へき開面13や表面21が汚染され たり、大気中の酸素や水分等が付着して、へ き開面13や表面21が酸化されたりするのを確 に防止することができる。その結果、へき 面13に露出した未結合手14や表面21に露出し 未結合手22が、酸素や水酸基等で不本意に終 端化される(不活性化される)のを防止するこ ができる。

 なお、第1のシリコン基材1’のへき開面13 に未結合手14が露出した状態や、第2のシリコ ン基材2の表面21に未結合手22が露出した状態 、経時的に未結合手が消失してしまう。こ ため、前記工程[1-2]においてへき開面13にシ リコンの未結合手14を露出させた後、できる け早く本工程[2-2]を行うようにする。また 同様に、前記工程[2-1]において表面21にシリ ンの未結合手22を露出させた後、できるだ 早く本工程[2-2]を行うようにする。

 具体的には、前記工程[1-2]や前記工程[2-1] の終了後、5分以内に本工程[2-2]を行うように するのが好ましく、3分以内に行うのがより ましい。かかる時間内であれば、へき開面13 や表面21が十分な活性状態を維持しているの 、本工程[2-2]において第1のシリコン基材1’ と第2のシリコン基材とを貼り合せたときに 分な接合強度を得ることができる。

 以上のようなシリコン基材の接合方法では 接合に供されるシリコン基材として、へき された第1のシリコン基材1’を用いること より、接合面が、平滑性に優れたへき開面13 である。このため、へき開された第1のシリ ン基材1’と第2のシリコン基材2とを密着性 く接触することができ、高強度かつ高精度 接合を行うことができる。
 また、本発明の接合方法は、高温での熱処 を行わなくとも、へき開された第1のシリコ ン基材1’と第2のシリコン基材2とを十分な接 合強度で接合することができる。このため、 へき開された第1のシリコン基材1’および第2 のシリコン基材2が、熱によって変質・劣化 てしまうのを防止することができる。

 また、本発明によれば、へき開された第1 のシリコン基材1’と第2のシリコン基材2とを 接合したとき、その接合界面はSi-Si結合に基 いて接合されている。このため、従来のよ に、接合界面がSi-O-Si結合に基づいて接合さ れている場合に比べ、へき開された第1のシ コン基材1’から第2のシリコン基材2にかけ 、より連続的な特性(機械的特性、電気的特 および化学的特性)を有する接合体3が得ら る。

 ≪第2実施形態≫
 次に、本発明のシリコン基材の接合方法の 2実施形態について説明する。
 図4および図5は、本発明のシリコン基材の 合方法の第2実施形態を説明するための模式 (縦断面図)である。なお、以下の説明では 図4および図5中の上側を「上」、下側を「下 」と言う。

 以下、シリコン基材の接合方法の第2実施形 態について説明するが、前記第1実施形態に かるシリコン基材の接合方法との相違点を 心に説明し、同様の事項については、その 明を省略する。
 本実施形態にかかるシリコン基材の接合方 では、第1の工程が異なる以外は、前記第1 施形態と同様である。
 以下、本実施形態の各工程について、順次 明する。なお、本実施形態では、一例とし 、図4に示すB-B線に沿って第1のシリコン基 1をへき開するものとする。また、以下、B-B で示される面を、「へき開すべき面41」と う。

 [1]シリコン基材のへき開工程(第1の工程)
 本実施形態では、[1-1]まず、Si-H結合を含む 1のシリコン基材4を用意する。この第1のシ コン基材4は、図4(a)に示すように、へき開 べき面41に沿ってSi-H結合が位置しているよ なシリコン材料を用いる。[1-2]次いで、第1 シリコン基材4にエネルギーを付与すると、S i-H結合が選択的に切断されるとともに、脱離 した水素原子同士が結合して水素ガスが発生 する。この水素ガスは、大きな体積を占める ことから、水素ガスが発生した部分で、第1 シリコン基材4が押し広げられる。その結果 第1のシリコン基材4がへき開すべき面41に沿 ってへき開される。以下、本工程を順次説明 する。

 [1-1]
 本実施形態では、本工程で用意するSi-H結合 を含む第1のシリコン基材4として、図4(a)に示 すように、へき開すべき面41に沿ってSi-H結合 が位置しているシリコン材料を用いる。この ような第1のシリコン基材4は、後述する工程 おいて、エネルギーを付与されることによ 、へき開すべき面41で確実にへき開される

 ここで、第1のシリコン基材4を構成する 料としては、前記第1実施形態と同様に、ア ルファスシリコンや結晶シリコン等が挙げ れる。そして、このような材料で構成され シリコン材料に対し、図4(b)に示すように、 水素原子または水素イオンを、へき開すべき 面41に留まらせるように注入する。これによ 、へき開すべき面41に沿ってSi-H結合が位置 た第1のシリコン基材4が得られる。また、 のように水素原子または水素イオンを注入 るようにすれば、あらかじめ水素を含まな ようなシリコン材料で構成された第1のシリ ン基材であっても、本発明を適用して、接 を行うことができる。

 水素原子または水素イオンの注入は、例え 、イオン注入装置を用いたイオン注入法等 方法により行うことができる。
 この際、イオン注入の際のイオン加速電圧 適宜変更することにより、注入する水素原 または水素イオンの注入深さを制御し、水 原子または水素イオンが確実にへき開すべ 面41に留まらせることができる。

 具体的には、イオン加速電圧を0.2~150kV程度 するのが好ましく、1~90kV程度にするのがよ 好ましい。イオン加速電圧を前記範囲内に 定すれば、注入されたイオンのエネルギー 大き過ぎてシリコン材料に損傷等が生じる を防止しつつ、水素原子または水素イオン 確実にシリコン材料中に注入することがで る。
 なお、第1のシリコン基材4が結晶シリコン 構成されている場合、結晶面がへき開すべ 面41と平行であるのが好ましい。これにより 、へき開が結晶面に沿って進行することにな るため、得られたへき開面は、より平滑性の 高いものとなる。

 [1-2]
 次に、第1のシリコン基材4に対し、エネル ーを付与する。これにより、第1のシリコン 材4がへき開すべき面41でへき開される。
 第1のシリコン基材4にエネルギーを付与す 方法には、第1のシリコン基材4を変質・劣化 させることなく、Si-H結合を選択的に切断し る方法であれば、いかなる方法をも用いる とができるが、本実施形態では、特に、第1 シリコン基材4にレーザ光のような光を照射 する方法、または、第1のシリコン基材4を加 する方法が好ましい。

 このうち、図4(c1)に示すように、第1のシリ ン基材4にレーザ光を照射する方法によれば 、第1のシリコン基材4の変質・劣化を確実に 止しつつ、Si-H結合を選択的に効率よく切断 することができる。また、レーザ光によれば 、第1のシリコン基材4に対して局所的にエネ ギーを付与することができる。これにより へき開すべき面41付近に存在するSi-H結合の を選択的に切断することができる。また、 き開すべき面41以外の部分の温度上昇を抑 することができる。このため、例えば、第1 シリコン基材4に機構部品や回路が形成され ている場合、これらに熱による影響が及ぶの を避けることができる。
 このようなレーザ光の各種条件は、前記第1 実施形態と同様である。

 なお、本実施形態では、第1のシリコン基 材4のへき開すべき面41に沿ってSi-H結合が位 しているので、レーザ光のような指向性の い光ではなく、放射状に広がる指向性の低 光でも、へき開すべき面41に位置するSi-H結 のみを選択的に切断することができる。そ 結果、第1のシリコン基材4をへき開すべき面 41において確実にへき開し、分割することが きる。

 一方、図4(c2)に示すように、第1のシリコン 材4を加熱する場合、例えば、ヒータや赤外 線等を用いて加熱することができる。
 この際の加熱温度は、300~600℃程度であるの が好ましく、400~500℃程度であるのがより好 しい。これにより、Si-Si結合をほとんど切断 することなく、Si-H結合のみを選択的に切断 ることができる。
 また、加熱する時間は、特に限定されない 、加熱温度が前記範囲内である場合、好ま くは0.1~10分程度、より好ましくは0.5~5分程 とされる。
 このように、本実施形態では、加熱によっ Si-H結合を選択的に切断することができるの で、高価な設備等を必要とせず、本工程を簡 単に行うことができる。

 以上のようにしてSi-H結合が切断されると 、水素原子が結合していた結合手は、未結合 手(ダングリングボンド)44となる。一方、脱 した水素原子は、2個結合して、図5(d)に示す ように、へき開すべき面41付近に水素ガス42 発生する。この水素ガス42は、大きな体積を 占めることから、へき開すべき面41において 1のシリコン基材4が押し広げられる。これ より発生する応力が第1のシリコン基材4の破 壊応力に達すると、図5(e)に示すように、へ 開すべき面41において第1のシリコン基材4が 下にへき開され、分割される。

 2つにへき開された第1のシリコン基材4’の へき開面43、43には、それぞれシリコンの未 結合手44が露出しており、活性の高い状態と っている。なお、このへき開面43は、例え 、シリコン基材を研磨した面よりも高い平 性を有している。
 なお、上記のようなエネルギーの付与は、 素ガス、アルゴンガスのような不活性ガス 囲気中または減圧雰囲気中で行うのが好ま い。これにより、へき開面43が汚染された 、大気中の酸素や水分等が付着して、へき 面43が酸化されたりするのを確実に防止する ことができる。その結果、へき開面43に露出 た未結合手44が、酸素や水酸基等で不本意 終端化される(不活性化される)のを防止する ことができる。

 [2]シリコン基材の接合工程(第2の工程)
 次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様にし て、へき開され、分割された第1のシリコン 材4のうち、一方の第1のシリコン基材4’の き開面43と、別途用意した第2のシリコン基 2の表面21とが接触するように、へき開され 第1のシリコン基材4’と第2のシリコン基材2 を重ね合わせる。これにより、へき開され 第1のシリコン基材4’のへき開面43に露出す るシリコンの未結合手44と、第2のシリコン基 材2の表面21に露出するシリコンの未結合手22 が結合して、Si-Si結合が形成される。その 果、へき開された第1のシリコン基材4’と第 2のシリコン基材2とが接合され、接合体3が得 られる。

 以上のようなシリコン基材の接合方法では 前記第1実施形態にかかるシリコン基材の接 合方法と同様の作用・効果が得られる。
 また、本実施形態によれば、第1のシリコン 基材4のへき開すべき面41付近に選択的に水素 イオンを注入するので、その他の部分(へき すべき面41付近以外の部分)には水素イオン 存在しない。水素イオンが多すぎると第1の リコン基材4の機械的特性や電気的特性が低 下する場合があるが、本実施形態によれば、 このような問題を避けることができる。
 なお、以上のようなシリコン基材の接合方 により得られたシリコン基材の接合体は、 えば、MEMS、半導体素子、各種パッケージ等 に適用することができる。
 ここでは、本発明の接合方法により得られ 接合体をダイオード(半導体素子)に適用し 場合を例にして説明する。

 図6は、本発明のシリコン基材の接合方法を 適用して得られたダイオードを示す模式図( 断面図)である。
 図6に示すダイオード200は、p型シリコン基 210とn型シリコン基材220とを有し、これらは 合界面230で直接接合されている。
 また、p型シリコン基材210の接合界面230と反 対側の面には、アノード240が設けられ、n型 リコン基材220の接合界面230と反対側の面に 、カソード250が設けられている。
 さらに、アノード240には、リード260が、カ ード250には、リード270がそれぞれ設けられ いる。

 ここで、p型シリコン基材210は、水素が添加 されたアモルファスシリコンや、水素が添加 された結晶シリコン等のシリコン材料に、ホ ウ素(B)、インジウム(In)等の3価元素のp型ドー パントを少量添加したものである。
 一方、n型シリコン基材220は、p型シリコン 材210と同様のシリコン材料に、リン(P)、ヒ (As)、アンチモン(Sb)等の5価元素のn型ドーパ トを少量添加したものである。

 このようなp型シリコン基材210とn型シリコ 基材220とは、本発明の接合方法を用いて接 されている。これにより、p型シリコン基材2 10とn型シリコン基材220とが、接触抵抗が極め て低い状態で接合される。その結果、接合界 面230はpn接合となり、ダイオード200は、整流 用を示す。
 そして、本発明の接合方法を適用して得ら たダイオード200は、信頼性の高いものとな 。

 <インクジェット式記録ヘッド>
 次に、本発明のシリコン基材の接合方法を いて得られたシリコン基材の接合体を、イ クジェット式記録ヘッドに適用した場合の 施形態について説明する。
 図7は、本発明のシリコン基材の接合方法を 適用して得られたインクジェット式記録ヘッ ド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図8は 、図7に示すインクジェット式記録ヘッドの 要部の構成を示す断面図、図9は、図7に示す インクジェット式記録ヘッドを備えるインク ジェットプリンタの実施形態を示す概略図で ある。なお、図7は、通常使用される状態と 、上下逆に示されている。

 図7に示すインクジェット式記録ヘッド(本 明の液滴吐出ヘッド)10は、図9に示すような ンクジェットプリンタ(本発明の液滴吐出装 置)9に搭載されている。
 図9に示すインクジェットプリンタ9は、装 本体92を備えており、上部後方に記録用紙P 設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙P 排出する排紙口922と、上部面に操作パネル9 7とが設けられている。

 操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレ 、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成さ れ、エラーメッセージ等を表示する表示部( 示せず)と、各種スイッチ等で構成される操 部(図示せず)とを備えている。
 また、装置本体92の内部には、主に、往復 するヘッドユニット93を備える印刷装置(印 手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94 よび給紙装置95を制御する制御部(制御手段) 96とを有している。

 制御部96の制御により、給紙装置95は、記 録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録 紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過 る。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙 Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動 て、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すな ち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙P 間欠送りとが、印刷における主走査および 走査となって、インクジェット方式の印刷 行なわれる。

 印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッド ユニット93の駆動源となるキャリッジモータ9 41と、キャリッジモータ941の回転を受けて、 ッドユニット93を往復動させる往復動機構94 2とを備えている。
 ヘッドユニット93は、その下部に、多数の ズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘ ド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、 ッド10にインクを供給するインクカートリッ ジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ9 31を搭載したキャリッジ932とを有している。

 なお、インクカートリッジ931として、イエ ー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色 インクを充填したものを用いることにより フルカラー印刷が可能となる。
 往復動機構942は、その両端をフレーム(図示 せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と キャリッジガイド軸943と平行に延在するタ ミングベルト944とを有している。

 キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に 復動自在に支持されるとともに、タイミン ベルト944の一部に固定されている。
 キャリッジモータ941の作動により、プーリ 介してタイミングベルト944を正逆走行させ と、キャリッジガイド軸943に案内されて、 ッドユニット93が往復動する。そして、こ 往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐 出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。

 給紙装置95は、その駆動源となる給紙モー 951と、給紙モータ951の作動により回転する 紙ローラ952とを有している。
 給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記 用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952 aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ9 52bは給紙モータ951に連結されている。これに より、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した 多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって 1枚ずつ送り込めるようになっている。なお トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給 カセットを着脱自在に装着し得るような構 であってもよい。

 制御部96は、例えばパーソナルコンピュー やディジタルカメラ等のホストコンピュー から入力された印刷データに基づいて、印 装置94や給紙装置95等を制御することにより 刷を行うものである。
 制御部96は、いずれも図示しないが、主に 各部を制御する制御プログラム等を記憶す メモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、イ クの吐出タイミングを制御する圧電素子駆 回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆 動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951) 駆動する駆動回路、および、ホストコンピ ータからの印刷データを入手する通信回路 、これらに電気的に接続され、各部での各 制御を行うCPUとを備えている。

 また、CPUには、例えば、インクカートリッ 931のインク残量、ヘッドユニット93の位置 を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電 的に接続されている。
 制御部96は、通信回路を介して、印刷デー を入手してメモリに格納する。CPUは、この 刷データを処理して、この処理データおよ 各種センサからの入力データに基づいて、 駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動 号により圧電素子140、印刷装置94および給紙 装置95は、それぞれ作動する。これにより、 録用紙Pに印刷が行われる。

 以下、ヘッド10(本発明の液滴吐出ヘッド)に ついて、図7および図8を参照しつつ詳述する
 ヘッド10は、複数のノズル孔(孔)111が形成さ れたノズル板(第1の基板)110と、各ノズル孔111 に対応して配置され、インク(液体)を一時的 貯留するインク室(液体貯留空間)121を備え インク室基板(第2の基板)120と、インク室121 容積変化を生じさせる振動板130と、振動板13 0に接合された圧電素子(振動源)140とを備える ヘッド本体170と、このヘッド本体170を収納す る基体(ケーシング)160とを有している。なお このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾ ェット式ヘッドを構成する。

 本実施形態では、このノズル板110が、シリ ン基板によって構成されている。
 このノズル板110には、インク滴を吐出する めの多数のノズル孔111が形成されている。 れらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度 応じて適宜設定される。
 ノズル板110には、インク室基板120が固着(固 定)されている。
 このインク室基板120は、ノズル板110、側壁( 隔壁)122および後述する振動板130により、複 のインク室(キャビティ、圧力室)121と、イン クカートリッジ931から供給されるインクを貯 留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各 インク室121に、それぞれインクを供給する供 給口124とが区画形成されている。
 各インク室121は、それぞれ短冊状(直方体状 )に形成され、各ノズル孔111に対応して配設 れている。各インク室121は、後述する振動 130の振動により容積可変であり、この容積 化により、インクを吐出するよう構成され いる。

 本実施形態では、このインク室基板120が シリコン基板によって構成されている。そ て、ノズル板110とインク室基板120とが、本 明のシリコン基材の接合方法によって接合 れている。これにより、ノズル板110とイン 室基板120とが高強度かつ高精度に接合され 。その結果、各インク室121、各リザーバ室1 23および各供給口124において、それぞれの容 のバラツキが抑制され、各ノズル孔111から 出されるインクの吐出量の均一化を図るこ ができる。

 一方、インク室基板120のノズル板110と反対 には、振動板130が接合され、さらに振動板1 30のインク室基板120と反対側には、複数の圧 素子140が設けられている。
 また、振動板130の所定位置には、振動板130 厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されて る。この連通孔131を介して、前述したイン カートリッジ931からリザーバ室123に、イン が供給可能となっている。

 各圧電素子140は、それぞれ、下部電極142と 部電極141との間に圧電体層143を介挿してな 、各インク室121のほぼ中央部に対応して配 されている。各圧電素子140は、圧電素子駆 回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回 の信号に基づいて作動(振動、変形)するよ 構成されている。
 各圧電素子140は、それぞれ、振動源として 能し、振動板130は、圧電素子140の振動によ 振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に めるよう機能する。

 本実施形態では、振動板130と圧電素子140と より、インク室121内に貯留されたインクを ズル孔111から液滴として吐出させるための 滴吐出手段を構成する。
 基体160は、ヘッド本体170を収納し得る凹部1 61を備えている。そして、この凹部161にヘッ 本体170を収納した状態で、凹部161の外周部 形成された段差162によりノズル板110の縁部 支持されている。

 このようなヘッド10は、圧電素子駆動回 を介して所定の吐出信号が入力されていな 状態、すなわち、圧電素子140の下部電極142 上部電極141との間に電圧が印加されていな 状態では、圧電体層143に変形が生じない。 のため、振動板130も変形が生じず、インク 121には容積変化が生じない。したがって、 ズル孔111からインク滴は吐出されない。

 一方、圧電素子駆動回路を介して所定の 出信号が入力された状態、すなわち、圧電 子140の下部電極142と上部電極141との間に一 電圧が印加された状態では、圧電体層143に 形が生じる。これにより、振動板130が大き たわみ、インク室121の容積変化が生じる。 のとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高 り、ノズル孔111からインク滴が吐出される

 1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子 駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間 への電圧の印加を停止する。これにより、圧 電素子140は、ほぼ元の形状に戻り、インク室 121の容積が増大する。なお、このとき、イン クには、インクカートリッジ931からノズル孔 111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用して る。このため、空気がノズル孔111からイン 室121へ入り込むことが防止され、インクの 出量に見合った量のインクがインクカート ッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供 される。
 このようにして、ヘッド10において、印刷 せたい位置の圧電素子140に、圧電素子駆動 路を介して吐出信号を順次入力することに り、任意の(所望の)文字や図形等を印刷する ことができる。

 なお、ヘッド10は、圧電素子140の代わりに 気熱変換素子を有していてもよい。つまり ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱 膨張を利用してインクを吐出する構成(いわ る、「バブルジェット方式」(「バブルジェ ト」は登録商標))のものであってもよい。
 かかる構成のヘッド10において、ノズル板11 0には、撥液性を付与することを目的に形成 れた被膜114が設けられている。これにより ノズル孔111からインク滴が吐出される際に このノズル孔111の周辺にインク滴が残存す のを確実に防止することができる。その結 、ノズル孔111から吐出されたインク滴を目 とする領域に確実に着弾させることができ 。

 <電子デバイス>
 次に、本発明のシリコン基材の接合方法を いて得られたシリコン基材の接合体を、電 デバイスに適用した場合の実施形態につい 説明する。
 図10は、本発明のシリコン基材の接合方法 適用して得られた電子デバイスを示す縦断 図である。なお、以下の説明では、図10中の 上側を「上」、下側を「下」と言う。

 図10に示す電子デバイス(本発明の電子デバ ス)300は、絶縁基板310と、この絶縁基板310上 に積層された2枚のシリコンチップ320、330と 有している。
 また、絶縁基板310とシリコンチップ320との には、絶縁層340と、パターニングされた導 層350とが設けられている。この導電層350は 絶縁基板310を貫通する貫通孔311に挿通され ハンダボール360に接合されている。これに り、導電層350とハンダボール360との間の導 が図られている。
 ここで、2枚のシリコンチップ320、330には、 それぞれ、回路(図示せず)が形成されている この回路は、一般的な半導体製造プロセス 用いて形成されたものである。

 また、各シリコンチップ320、330に形成され 回路には、それぞれ、ワイヤ370の一端が接 されており、各ワイヤ370の他端は、絶縁基 310上に設けられた導電層350に接続されてい 。これにより、各シリコンチップ320、330に 成された回路と、ハンダボール360との間が 電気的に接続されている。
 さらに、絶縁基板310上には、封止部380が設 られている。この封止部380は、2枚のシリコ ンチップ320、330、およびワイヤ370を覆うこと により、これらを絶縁・封止している。

 このような電子デバイス300において、2枚の シリコンチップ320、330間が、本発明のシリコ ン基材の接合方法を用いて接合されている。 すなわち、2枚のシリコンチップ320、330のう の一方が、前述の第1のシリコン基材に相当 、他方が第2のシリコン基材に相当している 。これにより、2枚のシリコンチップ320、330 強固に接合されるとともに、これらの位置 度が高くなる。このため、電子デバイス300 、信頼性の高いものとなる。
 また、2枚のシリコンチップ320、330を積層す ることにより、三次元的な実装を容易に行う ことができる。これにより、電子デバイス300 の平面サイズを縮小することができる。また 、同一の平面サイズであれば、電子デバイス 300の集積度を容易に高めることができる。

 以上、本発明のシリコン基材の接合方法、 滴吐出ヘッド、液滴吐出装置および電子デ イスを、図示の実施形態に基づいて説明し が、本発明はこれらに限定されるものでは い。
 例えば、前記実施形態では、第1のシリコン 基材において、1つの面でへき開を生じさせ いるが、2つ以上の面でへき開するようにし もよい。
 また、3つ以上のシリコン基材を接合するよ うにしてもよい。
 また、例えば、本発明のシリコン基材の接 方法では、必要に応じて、1以上の任意の目 的の工程を追加してもよい。

 本発明のシリコン基材の接合方法は、Si-H 結合を含む第1のシリコン基材に対し、エネ ギーを付与して、前記Si-H結合を選択的に切 することにより、前記第1のシリコン基材を へき開し、分割する第1の工程と、シリコン 未結合手が露出した表面を有する第2のシリ ン基材を用意し、前記分割された第1のシリ コン基材のうち、一方の第1のシリコン基材 前記へき開面と、前記第2のシリコン基材の 記表面とを密着させることにより、これら 接合する第2の工程とを有する。そのため、 高温での熱処理を行わなくとも、シリコン基 材同士を精度よく強固に接合することができ る。また、第1のシリコン基材の接合に供す 面として、平滑性に優れたへき開面を用い ことにより、第1のシリコン基材と第2のシリ コン基材とを確実に密着させることができる ので、これらを高強度かつ高精度に接合する ことができる。さらに、シリコン基材同士を 接合したときの接合界面は、Si-Si結合により 合されているため、従来のようなSi-O-Si結合 による接合に比べて、より強固な接合を行う ことができる。このため、第1のシリコン基 と第2のシリコン基材との間は、機械的特性 電気的特性および化学的特性の連続性が高 なる。従って、本発明のシリコン基材の接 方法は、産業上の利用可能性を有する。