Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR MANUFACTURING OPTICAL DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041204
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for manufacturing an optical device, which enables to suppress deformation during annealing or deformation due to environmental changes over time after annealing. This method for manufacturing an optical device enables to suppress deterioration of a film when the film is formed on the surface of the device. Specifically disclosed is a method for manufacturing an optical device, which is characterized by comprising a step for molding an organic-inorganic composite material containing a thermosetting resin and inorganic particles, a step for annealing the molded article of the organic-inorganic composite material, and a step for forming a film over the molded article of the organic-inorganic composite material.

Inventors:
HARA AKIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065161
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
August 26, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
HARA AKIKO (JP)
International Classes:
G02B3/00; G02B1/11
Foreign References:
JP2001228310A2001-08-24
JP2004195775A2004-07-15
JP2006181997A2006-07-13
JP2002055207A2002-02-20
JPH069937A1994-01-18
JP2002193883A2002-07-10
JP2001253835A2001-09-18
US3342880A1967-09-19
JP2006169177A2006-06-29
JP2001322950A2001-11-20
JPH1135522A1999-02-09
JPH10130371A1998-05-19
JP2003066201A2003-03-05
JPH05286896A1993-11-02
JP2003128725A2003-05-08
JP2003147072A2003-05-21
JP2005002064A2005-01-06
Download PDF:
Claims:
 熱硬化性樹脂と無機粒子とを含む有機無機複合材料を成形する工程と、
 前記有機無機複合材料の成形物をアニールする工程と、
 前記有機無機複合材料の成形物に対し膜を形成する工程と、
 を備えることを特徴とする光学素子の製造方法。
 請求の範囲第1項に記載の光学素子の製造方法において、
 前記成形物をアニールする工程の後に、前記膜を形成する工程の処理を実行することを特徴とする光学素子の製造方法。
 請求の範囲第1項に記載の光学素子の製造方法において、
 前記膜を形成する工程の後に、前記成形物をアニールする工程の処理を実行することを特徴とする光学素子の製造方法。
 請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法において、
 前記膜が反射防止膜であることを特徴とする光学素子の製造方法。
 請求の範囲第4項に記載の光学素子の製造方法において、
 前記反射防止膜が、互いに屈折率の異なる複数層の膜から構成されることを特徴とする光学素子の製造方法。
Description:
光学素子の製造方法

 本発明は光学素子の製造方法に関し、特 、熱硬化性樹脂を含む成形物で構成される 学素子の製造方法に関する。

 従来から、光学素子は、眼鏡用やカメラ 、撮像素子用、光ピックアップ装置用等の 々な光学用途に用いられており、安価に製 可能であるという理由で、ガラス製である とより樹脂製であることが多い。樹脂を成 して光学素子を構成する場合、構成材料の 種として熱硬化性樹脂を使用することが公 となっており、特に、熱硬化性樹脂で構成 ると、熱による変形に強いという利点を有 ているため、光学精度が要求される撮像素 用や光ピックアップ装置用等の光学素子に いて有用となっている。

 近年では、光学素子そのものの材料開発の ならず、光学素子の表面に様々な機能を有 る膜を形成することも多くなっている。例 ば、特許文献1では、光ピックアップ装置用 の光学素子において、光源から出射されるレ ーザ光を効率よく利用するため(透過率を高 るため)、光学面に「反射防止膜」といった 能的な膜を形成する技術が開示されており 光の干渉を利用して光学面から反射する光 量を抑制するようにしている。

特開2002-55207号公報

 しかしながら、光学素子を熱硬化性樹脂 構成すると、成形直後においては光学素子 内部まで十分に硬化していない場合もある その成形物を内部まで十分に硬化させるた には、成形後にその成形物をアニール(加熱 )する工程が必要となる。この場合、成形物 アニールするとしても、そのアニール時や ニール後の経時的な環境変動に伴って樹脂 収縮等による変形が生ずることがある。

 一方、光学素子の表面に膜を形成する場 、その膜の光学素子に対する密着性を強固 する観点から、同様に加熱する工程が必要 なる。この様な場合、膜の形成は、成形物 アニールの前であってもよいし後であって よいが、上記のように成形物が収縮等で変 すると、密着性が悪くなり当該膜が劣化す 。すなわち、成形物の表面と膜との間で微 な隙間が生じたり、成形物の表面から膜が 離したり、膜自体にクラック(亀裂等)が生 たりして、機能膜の品質が低下する。

 したがって、本発明の主な目的は、表面 膜が形成される光学素子の製造方法であっ 、アニール時の変形やアニール後の経時的 環境変動に伴う変形が生じるのを抑制する とができ、かつ、膜の劣化をも抑制するこ ができる光学素子の製造方法を提供するこ にある。

 上記課題を解決するため、本発明によれば
 熱硬化性樹脂と無機粒子とを含む有機無機 合材料を成形する工程と、
 前記有機無機複合材料の成形物をアニール る工程と、
 前記有機無機複合材料の成形物に対し膜を 成する工程と、
 を備えることを特徴とする光学素子の製造 法が提供される。

 当該光学素子の製造方法においては、前 成形物をアニールする工程の後に、前記膜 形成する工程の処理を実行してもよいし、 記膜を形成する工程の後に、前記成形物を ニールする工程の処理を実行してもよい。

 好ましくは、前記膜が反射防止膜であり 更に好ましくは前記反射防止膜が互いに屈 率の異なる複数層の膜から構成される。

 本発明によれば、成形工程においては、 硬化性樹脂に加えて無機粒子を含む有機無 複合材料を成形するから、無機粒子の存在 より、その成形材料の熱伝導率が向上し、 ニール工程における熱が成形物の内部まで 導しやすく、成形物の内部まで十分に硬化 せることができる。その結果、アニール工 やアニール工程後の経時的な環境変動に伴 熱硬化性樹脂の収縮等の変形を抑制するこ ができる。更に、有機無機複合材料中に無 粒子を含むことで、成形物の熱膨張率と膜 熱膨張率との差が、その材料中に無機粒子 含まない場合の差より小さくなるから、膜 劣化を抑制することができる。

 また、本発明では、成形物のアニール工 と膜の形成工程との順序はどちらが先でも いが、成形物のアニール工程の処理を実行 て、その後に膜の形成工程の処理を実行す 場合には、アニール条件によらずに膜の形 条件のみに着目してその条件に最適な設定 行うことができるから、膜の形成工程の後 成形物のアニール工程の処理を実行する場 に比べて、膜の劣化をより確実に抑制する とができる。逆に、膜の形成工程の処理を に実行し、その後に成形物のアニール工程 処理を実行する場合には、膜の加熱を成形 のアニールと併用することができるから、 の加熱処理が不要となり、その分だけ製造 程を短縮することができる。この場合、ア ールによる影響を受けて膜が劣化すること なく、仮に影響があってもその影響は少な 。

 以下、本発明の好ましい実施形態につい 説明する。

 本発明の好ましい実施形態に係る光学素 の製造方法は、(1)熱硬化性樹脂と無機粒子 を含む有機無機複合材料を成形する工程と (2)前記有機無機複合材料の成形物をアニー する工程と、(3)前記有機無機複合材料の成 物に対し膜を形成する工程と、を備えてい 。(2)のアニール工程と(3)の膜形成工程とは (1)の工程の後であればどちらが先であって よく、(2)のアニール工程の処理を先に実行 て、その後に(3)の膜形成工程の処理を実行 てもよいし、逆に(3)の膜形成工程の処理を に実行し、その後に(2)のアニール工程の処 を実行してもよい。

 下記では、(1)~(3)の工程を順に詳細に説明 する。

 《1:有機無機複合材料の成形工程》
 成形工程では、熱硬化性樹脂と無機粒子と 含む有機無機複合材料を調製し、その材料 成形する。はじめに、(1.1)熱硬化性樹脂と(1 .2)無機粒子とについて説明し、その後に(1.3) 機無機複合材料の調製・成形方法について 明する。

 〔1.1:熱硬化性樹脂〕
 本発明に適用可能な熱硬化性樹脂としては 熱により硬化するものであればその種類に に制限はないが、好ましくはシリコーン系 脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹 又はエポキシ系樹脂が挙げられる。

 〈1.1.1:シリコーン系樹脂〉
 シリコーン系樹脂は、ケイ素(Si)と酸素(O)と が交互に結合したシロキサン結合(-Si-O-)を主 としているポリマーである。具体的には、 リコーン系樹脂として、所定量のポリオル ノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹 が使用可能である(例えば、特開平6-9937号公 報に記載の化合物等参照)。

 熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂 、加熱による連続的加水分解-脱水縮合反応 によって、シロキサン結合骨格による三次元 網状構造となるものであれば、特に制限はな く、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示 し、一度硬化すると加熱により再軟化し難い 性質を有する。

 このようなポリオルガノシロキサン樹脂 、下記一般式(A)で表される構造を構成単位 して有し、その形状は鎖状、環状、網状形 のいずれであってもよい。

 一般式(A)
   ((R 1 )(R 2 )SiO) n
 上記一般式(A)において、R 1 及びR 2 は、各々同種又は異種の置換もしくは非置換 の一価炭化水素基を示す。具体的には、R 1 及びR 2 としては、メチル基、エチル基、プロピル基 、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリ ル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル 基等のアリール基、シクロヘキシル基、シク ロオクチル基等のシクロアルキル基、または これらの基の炭素原子に結合した水素原子を ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置 換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3-トリ フルオロプロピル基、シアノメチル基、γ-ア ミノプロピル基、N-(β-アミノエチル)-γ-アミ プロピル基などが挙げられる。R 1 及びR 2 は、各々水酸基およびアルコキシ基から選択 される基であってもよい。また、上記一般式 (A)において、nは50以上の整数を示す。

 ポリオルガノシロキサン樹脂は、通常、 ルエン、キシレン、石油系溶剤のような炭 水素系溶剤、またはこれらと極性溶剤との 合物に溶解して用いられる。また、相互に 解しあう範囲で、組成の異なるものを配合 て用いても良い。

 ポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法 、特に限定されるものではなく、公知のい れの方法も用いることができる。例えば、 ルガノハロゲノシランの一種または二種以 の混合物を加水分解ないしアルコリシスす ことによって得ることができ、ポリオルガ シロキサン樹脂は、一般にシラノール基ま はアルコキシ基等の加水分解性基を含有し これらの基をシラノール基に換算して1~10質 量%含有する。

 これらの反応は、オルガノハロゲノシラ を溶融しうる溶媒の存在下で行うのが一般 である。また、分子鎖末端に水酸基、アル キシ基またはハロゲン原子を有する直鎖状 ポリオルガノシロキサンを、オルガノトリ ロロシランと共加水分解して、ブロック共 合体を合成する方法によっても得ることが きる。このようにして得られるポリオルガ シロキサン樹脂は、一般に残存するHClを含 が、本実施形態の組成物においては、高い 存安定性を得ることを目的とする観点から HCl含有量として10ppm以下、好ましくは1ppm以 のものを使用するのが良い。

 〈1.1.2:アクリル系樹脂〉
 アクリル系樹脂としては、特に、アダマン ン骨格を有する熱硬化性樹脂が好ましく使 される。アダマンタン骨格を有する熱硬化 樹脂としては、例えば、2-アルキル-2-アダ ンチル(メタ)アクリレート(特開2002-193883号公 報参照)、3,3″-ジアルコキシカルボニル-1-1″ -ビアダマンタン(特開2001-253835号公報参照)、1 ,1″-ビアダマンタン化合物(米国特許第3342880 明細書参照)、テトラアダマンタン(特開2006- 169177号公報参照)、2-アルキル-2-ヒドロキシア ダマンタン、2-アルキレンアダマンタン、1,3- アダマンタンジカルボン酸ジ-tert-ブチル等の 芳香環を有しないアダマンタン骨格を有する 硬化性樹脂(特開2001-322950号公報参照)、ビス( ドロキシフェニル)アダマンタン類やビス( リシジルオキシフェニル)アダマンタン(特開 平11-35522号公報、特開平10-130371号公報参照)等 を使用することができる。

 〈1.1.3:アリルエステル系樹脂〉
 アリルエステル系樹脂とは、アリルエステ 化合物を含有する熱硬化性樹脂である。ア ルエステル化合物を含有する熱硬化性樹脂 しては、例えば、芳香環を含まない臭素含 (メタ)アリルエステル(特開2003-66201号公報参 照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5-286896 号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5-28 6896号公報、特開2003-66201号公報参照)、アクリ ル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物 の共重合化合物(特開2003-128725号公報参照)、 クリレート化合物(特開2003-147072号公報参照) アクリルエステル化合物(特開2005-2064号公報 参照)等を好ましく用いることができる。

 〈1.1.4:エポキシ系樹脂〉
 エポキシ系樹脂は、1分子中にエポキシ基を 少なくとも2個以上有するものであれば何れ も使用することができ、具体的には、ビス ェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボ ック型エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラ ク型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型 ポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂など ハロゲン化エポキシ樹脂、ナフタレン環を するエポキシ樹脂等を例示することができ 。芳香族エポキシ樹脂については、芳香環 核水素化してシクロヘキサン環化した水素 加型エポキシ樹脂としてもよい。これらエ キシ樹脂は1種を単独で用いたりあるいは2種 以上を併用したりすることもできる。

 また、エポキシ樹脂の硬化剤としては、 に限定されるものではないが、酸無水物硬 剤やフェノール硬化剤等を例示することが きる。

 酸無水物硬化剤の具体例としては、無水 タル酸、無水マレイン酸、無水トリメリッ 酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無 フタル酸、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタ 酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、 るいは3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸 4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸との混 物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジ ク酸、無水メチルナジック酸等を挙げるこ ができる。

 また、必要に応じて硬化促進剤が含有さ る。硬化促進剤としては、硬化性が良好で 着色がなく、熱硬化性樹脂の透明性を損な ないものであれば、特に限定されるもので ないが、例えば、2-エチル-4-メチルイミダ ール(例えば、商品名:四国化成工業社製 2E4M Z)等のイミダゾール類、3級アミン、4級アン ニウム塩、ジアザビシクロウンデセン等の 環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン ホスホニウム塩等を用いることができ、こ らを1種、あるいは2種以上を混合して用いて もよい。

 〔1.2:無機粒子〕
 無機粒子としては、光学的に透明(光透過性 を有する)な微粒子、例えば、酸化物微粒子 硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル 物微粒子等が挙げられる。より具体的には 例えば、酸化ケイ素微粒子、酸化アルミ微 子、リン酸アルミ微粒子、酸化チタン微粒 、酸化亜鉛微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙 ることができるが、これらに限定されるも ではない。好ましくは、酸化ケイ素微粒子( リカ微粒子)、炭酸カルシウム微粒子である 。

 これらの微粒子は、1種類の無機粒子を用 いてもよく、また複数種の無機粒子を併用し てもよい。

 熱硬化性樹脂に対する無機粒子の混合比( 有機無機複合材料に占める無機粒子の体積比 )は1~50体積%であり、好ましくは10~40体積%であ り、更に好ましくは20~30体積%である。

 無機粒子の形状は、球状、楕円状、扁平 、ロッド状などいずれの形状であっても良 が、特に球状のときに光学素子の機能を有 に発揮できる。また、粒子径の分布に関し も特に制限されるものではないが、光学素 の機能をより効率よく発揮させるためには 広範な分布を有するものよりも、比較的狭 分布を持つものが好適に用いられる。

 無機粒子の製造方法は、特に限定される のではなく、公知のいずれの方法も用いる とができる。例えば、金属塩の熱分解、金 塩や金属アルコキシドの加水分解などの方 がよく知られている。金属塩の熱分解とし は、金属塩もしくはそれらの溶液を噴霧し 加熱分解することにより得られる。金属塩 金属アルコキシドの加水分解としては、予 金属塩や金属アルコキシド溶液を作製し、 の溶液に水を添加することで、加水分解重 を進行させることにより得られる。

 無機粒子としては、平均粒子径が1~30nmで るものが使用される。無機粒子の平均粒子 は1~20nmであるのがより好ましく、1~10nmであ のが更に好ましい。平均粒子径が1nm未満で ると、無機粒子の分散が困難であるため、 望の性能が得られない可能性があり、平均 子径が30nmを超えると、得られる有機無機複 合材料が濁るなどして透明性が低下し、光線 透過率が70%未満となる可能性がある。平均粒 子径は、無機粒子体積を球換算した場合の直 径を表す。測定粒子個数は、無機粒子の電子 顕微鏡写真の粒子を無差別に100個以上選択し 、個々の無機粒子の粒径の算術平均を平均粒 子径とする。

 無機粒子は、その表面に表面処理が施さ ていることが好ましい。表面処理する方法 、特に限定されるものではなく、公知のい れの方法も用いることができる。

 無機粒子の表面処理に用いる表面処理剤 しては、例えば、テトラメトキシシラン、 トラエトキシシラン、テトライソプロポキ シラン、テトラフェノキシシラン、メチル リメトキシシラン、エチルトリメトキシシ ン、プロピルトリメトキシシラン、メチル リエトキシシラン、メチルトリフェノキシ ラン、エチルトリエトキシシラン、フェニ トリメトキシシラン、3-メチルフェニルト メトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ 、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニル メトキシシラン、ジフェニルジフェノキシ ラン、トリメチルメトキシシラン、トリエ ルエトキシシラン、トリフェニルメトキシ ラン、トリフェニルフェノキシシラン、シ ロペンチルトリメトキシラン、シクロヘキ ルトリエトキシシラン、ベンジルジメチル トキシシラン、オクチルトリエトキシシラ 、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルト クロロシラン、ビニルトリエトキシシラン γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ- ロロプロピルメチルジクロロシラン、γ-ク ロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ク ロプロピルメチルジエトキシシラン、γ-ア ノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミ エチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラ ン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメ ルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピ トリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピ メチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシ ロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキ プロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタ リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ- タクリロキシプロピルメチルジメトキシシ ン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリ メトキシシラン、γ-イソシアネートプロピル トリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)ア ノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ア リノプロピルトリメトキシシラン、ビニル リメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルア ミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシ ラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物等が げられ、更に、シランに代わってアルミニ ム、チタン、ジルコニア等を用いることも き、その場合は例えば、アルミニウムトリ トキシド、アルミニウムトリイソプロキシ 等である。

 また、イソステアリン酸、ステアリン酸 シクロプロパンカルボン酸、シクロヘキサ カルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、 クロヘキサンプロピオン酸、オクチル酸、 ルミチン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、 レイン酸、ヘキサヒドロフタル酸などの脂 酸やそれらの金属塩、さらに有機リン酸系 面処理剤のいずれの表面処理剤が使用可能 あり、これらを単独、または二種以上を混 して用いることができる。

 これらの化合物は、反応速度などの特性 異なり、表面処理の条件などに適した化合 を用いることができる。また、1種類のみを 用いても、複数種類を併用してもよい。さら に、用いる化合物によって得られる表面処理 微粒子の性状は異なることがあり、有機無機 複合材料を得るにあたって用いる熱硬化性樹 脂との親和性を、表面処理する際に用いる化 合物を選ぶことによって図ることも可能であ る。表面処理の割合は特に限定されるもので はないが、表面処理後の無機粒子に対して、 表面処理剤の割合が10~99質量%であることが好 ましく、30~98質量%であることがより好ましい 。

 〔1.3:調製、成形方法〕
 本実施形態に係る光学素子の製造にあたっ は、はじめに光学素子の原料となる有機無 複合材料を調製する。

 有機無機複合材料は、溶融した熱硬化性 脂に対して、無機粒子を添加、混練するこ で調製されてもよいし、溶媒に溶解した熱 化性樹脂と無機粒子とを混合し、その後、 機溶媒を除去することで調製されてもよい

 特に本実施形態では、有機無機複合材料 溶融混練法で調製することが望ましい。熱 化性樹脂を無機粒子存在下で重合する方法 あるいは熱硬化性樹脂の存在下で無機粒子 調製する方法も適用可能であるが、熱硬化 樹脂の重合や無機粒子の調製において、特 な条件が必要になる。溶融混練法では、既 の方法で調製した熱硬化性樹脂や無機粒子 混合することで有機無機複合材料を調製す ことができるため、安価に有機無機複合材 を調製することが可能になる。

 溶融混練において、有機溶剤の使用も可 である。有機溶剤の使用で、溶融混練の温 を下げることができ、熱硬化性樹脂の劣化 抑制することができる。その場合、溶融混 後に減圧脱気を行い、有機無機複合材料中 ら有機溶剤を除去することが好ましい。

 溶融混練に用いることのできる混練装置 しては、例えば、ラボプラストミル、ブラ ンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、 ール等の密閉式混練装置またはバッチ式混 装置を挙げることができる。また、単軸押 機、二軸押出機等のような連続式の溶融混 装置を用いることもできる。

 処理後の無機粒子と熱硬化性樹脂の混合 用いることのできる混練機としては、例え 、KRCニーダー(栗本鉄工所社製)、ポリラボ ステム(HAAKE社製)、ナノコンミキサー(東洋精 機製作所社製)、ナウターミキサーブス・コ ニーダー(Buss社製)、TEM型押し出し機(東芝機 社製)、TEX二軸混練機(日本製鋼所社製)、PCM 練機(池貝鉄工所社製)、三本ロールミル、 キシングロールミル、ニーダー(以上、井上 作所社製)、ニーデックス(三井鉱山社製)、M S式加圧ニーダー、ニダールーダー(以上、森 製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼 社製)等が挙げられる。

 有機無機複合材料の調製において、溶融 練法を用いる場合、熱硬化性樹脂と無機粒 とを一括で添加し混練してもよいし、段階 に分割添加して混練してもよい。この場合 押出機などの溶融混練装置では、段階的に 加する成分をシリンダーの途中から添加す ことも可能である。

 溶融混練による複合化を行う場合、無機 子は粉体ないし凝集状態のまま添加するこ が可能である。あるいは、分散媒中に分散 た状態で添加することも可能である。分散 中に分散した状態で添加する場合は、混練 に減圧脱気を行うことが好ましい。

 分散媒中に分散した状態で添加する場合 あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して 加することが好ましい。分散には各種分散 が使用可能であるが、特に、ビーズミルが ましい。使用しうるビーズ材質としては各 の素材があるが、粒径としては小さいもの 好ましく、特に直径0.001~0.1mmのものが好ま い。

 無機粒子は表面処理された状態で添加す ことが好ましいが、表面処理剤と無機粒子 を同時に添加し、熱硬化性樹脂との複合化 行うインテグラルブレンドのような手法が り、いずれの方法を用いることも可能であ 。

 上記のようにして有機無機複合材料を調 した後、有機無機複合材料中の熱硬化性樹 を熱で硬化させることで、有機無機複合材 を光学素子としての所定形状に成形し、光 素子を製造することができる。具体的には 有機無機複合材料を、圧縮成形やトランス ァー成形、射出成型等により硬化成形する とができる。特に、成形物の原材料の1つと して熱硬化性樹脂を用いるのは、光学面が球 面や非球面の形状を呈し、光学面に微細な構 造を有する光学素子(例えば、対物レンズ)を 造する場合に好適である。

 成形物は、球状、棒状、板状、円柱状、 状、チューブ状、繊維状、フィルムまたは ート形状など種々の形態で使用することが き、また、低複屈折性、透明性、機械強度 耐熱性、低吸水性に優れ、後述する種々の 学部品として好適に使用される。

 《2:アニール工程》
 アニール工程では、(1)の成形工程の処理に り得られた成形物をその内部まで十分に硬 させるために、アニール(加熱)する。アニ ルの条件は、成形物の種類(例えば、熱硬化 樹脂や無機粒子等の種類)や成形物の大きさ 、用途等により適宜設定することが可能であ り、例えば、加熱温度が80~200℃で、加熱時間 が12~50時間程度であれば、所期の目的は達成 ることができる。

 《3:膜形成工程》
 膜形成工程では、(1)の成形工程の処理によ 得られた成形物の表面に対し、膜を形成す 。上記の通り、膜形成工程の処理は、アニ ル工程前の成形物に対し行ってもよいし、 ニール工程後の成形物に対し行ってもよい

 膜形成工程で形成可能な膜(膜種)として 、特に限定はないが、反射防止膜、増反射 、ハーフミラー膜、ダイクロイックコート 偏光膜、赤外カット膜、熱線遮断膜、導電 膜、ハードコート(表面保護膜)等の各種機能 膜が挙げられ、これらの中でも特に反射防止 膜が好適である。

 反射防止膜は、光の干渉により、光学素子 表面の反射を小さくすることができる。反 防止膜の役割を以下に挙げると、
 (i)透過光量の増加
 光学素子の表面の反射率は屈折率に依存す が、BK-7(光学ガラス、屈折率(d線):1.5168)のよ うな低屈折率の硝材では反射率が4%、高屈折 の硝材では反射率が8%にもなる。膜の種類 もよるが、膜を付与した光学面では反射率 0.1~1%くらいになる。ズームレンズのように レンズ枚数が多いと、膜の有無でレンズの 過率が大幅に影響を受ける。反射防止膜を 学素子に形成することにより反射率が低下 、その結果、当該光学素子を透過する光量 増加する。

 (ii)フレア、ゴーストの減少
 本発明でいうフレアあるいはゴーストとは 光学系を通過する結像光(被写体の像を形成 する光)以外の結像面に達する光のことであ 、被写体以外に不正なぼやけた像を形成し 被写体像のコントラストを低下させる原因 なる。反射防止膜を光学素子に形成するこ により、これらフレア、ゴーストを減少さ ることができる。

 (iii)カラーバランスの調整
 カラー写真では、色の再現性(カラーバラン ス)が重要な評価要素になる。特に、カラー ィルムを用いた銀塩写真では、光学素子の 光透過率が写真の色再現に大きな影響を与 る。光学素子の分光透過率は、利用するコ トの選び方により幾分か変えることができ 光学素子に反射防止膜を形成することによ 、カラーバランスの調整が可能である。

 (iv)レンズの表面保護
 特に、ガラスレンズの場合、研磨し終えた まのレンズを長時間湿気の多い場所に放置 ておくと、レンズの表面に白っぽい曇りを じる。これを「ヤケ」と呼び、レンズの光 低下の原因となる。反射防止膜は、このヤ を防ぐための有効な手段である。研磨後、 れいに洗浄したレンズに膜コートを行うと ヤケは発生しない。コーティングによる膜 硬度はガラスよりかなり大きいので、光学 子を傷から保護するのに有効である。この 、帯電性の緩和、外部環境変化の光学素子 の影響を減少させる、など反射防止膜は光 素子の機械的、物理的及び化学的な安定性 高めるのに有効である。

 反射防止膜を形成するには、低屈折率材 、中屈折率材料及び高屈折率材料を適宜選 して用いることができる。

 低屈折率材料としては、酸化シリコーン フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム 酸化シリコーンと酸化アルミニウムの混合 若しくはこれらの混合物が好ましく用いら る。

 中屈折率材料としては、フッ化ランタン フッ化ネオジウム、フッ化セリウム、フッ アルミニウム、ランタンアルミネート、フ 化鉛、酸化アルミニウム若しくはこれらの 合物が用いられ、これらの中でも、酸化ア ミニウム、ランタンアルミネート若しくは れらの混合物を用いるのが好ましい。

 高屈折率材料としては、酸化スカンジウ 、酸化ランタン、チタン酸プラセオジウム チタン酸ランタン、酸化チタン、ランタン ルミネート、酸化イットリウム、酸化ハフ ウム、酸化ジルコニウム若しくはこれらの 合物が用いられ、これらの中でも、酸化ス ンジウム、酸化ランタン、ランタンアルミ ート、酸化イットリウム、酸化ハフニウム 酸化ジルコニウム若しくはこれらの混合物 用いるのが好ましい。特に高屈折率材料は タン金属元素を含まないことが好ましい。

 反射防止層の好ましい構成例を列記する 下記において、「n1、n2、・・・」はそれぞ れ第1層目(成形物の表面に直に接する層),第2 目,・・・の波長405nmの光に対する屈折率を し、「d1、d2、・・・」はそれぞれ第1層目 第2層目、・・・の膜厚を表している。

 〈1層構成:成形物/低屈折率材料〉
  第1層目:1.2≦n1≦1.55、60nm≦d1≦80nm
 〈2層構成:成形物/中又は高屈折率材料/低屈 折率材料〉
  第1層目:1.55≦n1、15nm≦d1≦91nm
  第2層目:1.2≦n2<1.55、30nm≦n2≦118
 〈3層構成Type1:成形物/低屈折率材料/高屈折 材料/低屈折率材料〉
  第1層目:1.2≦n1<1.55、10nm≦d1≦15000nm
  第2層目:1.7≦n2、20nm≦d2≦110nm
  第3層目:1.2≦n3<1.55、35nm≦d3≦90nm
 〈3層構成Type2:成形物/中屈折率材料/高屈折 材料/低屈折率材料〉
  第1層目:1.55≦n1<1.7、40nm≦d1≦15000nm
  第2層目:1.7≦n2、35nm≦d2≦90nm
  第3層目:1.2≦n3<1.55、45nm≦d3≦85nm
 〈5層構成:低又は中屈折率材料/高屈折率材 /低屈折率材料/高屈折率材料/低屈折率材料
  第1層目:1.2≦n1<1.7、5nm≦d1≦15000nm
  第2層目:1.7≦n2、15nm≦d2≦35nm
  第3層目:1.2≦n3<1.55、25nm≦d3≦45nm
  第4層目:1.7≦n4、50nm≦d4≦130nm
  第5層目:1.2≦n5<1.55、80nm≦d5≦110
 〈7層構成:成形物/低又は中屈折率材料/高屈 折率材料/低屈折率材料/高屈折率材料/低屈折 率材料/高屈折率材料/低屈折率材料〉
  第1層目:1.2≦n1<1.7、80nm≦d1≦15000nm
  第2層目:1.7≦n2、10nm≦d2≦25nm
  第3層目:1.2≦n3<1.55、30nm≦d3≦45nm
  第4層目:1.7≦n4、40nm≦d4≦60nm
  第5層目:1.2≦n5<1.55、10nm≦d5≦20nm
  第6層目:1.7≦n6、6nm≦d6≦70nm
  第7層目:1.2≦n7<1.55、60nm≦d7≦100
 反射防止膜は上記の層構成に限定されず、4 層構成、6層構成、8層構成又はそれ以上の層 成を有していてもよい。

 反射防止膜を含む各種の膜の形成方法と ては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD (化学蒸着法)、ゾルゲル法、大気圧プラズ 法、塗布法、ミスト法等の公知の手法を使 することができる。例えば、真空蒸着法に り反射防止膜を形成する場合には、チャン 内に酸素ガスを導入してチャンバ内を酸素 囲気とした状態や、チャンバ内を真空とし 状態で、成形物に対し高屈折率材料,中屈折 材料,低屈折率材料を加熱・蒸着させて当該 成形物に膜を形成(積層)する方法を適用する とができる。この方法は通常のスパッタリ グ法でも使用可能である。

 上記の通り、有機無機複合材料の成形物 表面に膜を形成した後、その膜を強固にす ため、この膜を形成した成形物を加熱する 加熱の条件は、成形物の種類(熱硬化性樹脂 や無機粒子等の種類)や成形物の大きさ、用 、膜種や膜厚等により適宜設定が可能であ 、例えば、加熱温度が60~150℃で、加熱時間 12~50時間程度であれば所期の目的は達成する ことができる。

 以上の本実施形態によれば、成形工程に いては、熱硬化性樹脂に無機粒子を加えて 機無機複合材料を成形することで、無機粒 の存在により、その成形材料の熱伝導率が 上し、アニール工程による熱が成形物の内 まで伝導しやすく、成形物の内部まで十分 硬化させることができる。そのため、アニ ル工程やアニール工程後の経時的な環境変 に伴う熱硬化性樹脂の収縮等の変形を抑制 ることができる。

 更に、有機無機複合材料中に無機粒子を むことで、成形物の熱膨張率と膜の熱膨張 との差が、成形材料中に無機粒子を含まな 場合の熱膨張率差より小さくなるから、膜 劣化を抑制することができる。すなわち、 形物の表面と膜との間で微小な隙間が生じ り、成形物の表面から膜が剥離したり、膜 体にクラック(亀裂等)が生じたりして、膜 品質が低下するのを抑制することができる

 また、アニール工程と膜形成工程との順 はいずれが先であってもよいが、アニール 程の処理を実行し、その後に膜形成工程の 理を実行する方法が、アニール条件によら に膜の形成条件のみに着目し、その条件に 適な設定を行うことができ、膜形成工程の にアニール工程の処理を実行する方法に比 て、膜の劣化をより確実に抑制することが きる点で好ましい。

 逆に、膜形成工程の処理を先に実行し、 の後にアニール工程の処理を実行すれば、 の加熱(膜を強固にするための加熱)を成形 のアニールで併用することができるから、 の加熱処理が不要となり、その分だけ光学 子の全体に係る製造過程を短縮することが きる。この場合、アニールによる影響を受 て膜が劣化することはなく、仮に影響があ てもその影響は少ない(下記実施例参照)。

 なお、本実施形態に係る光学素子は、(1)~ (3)の各工程の処理を実行することで製造され るが、例えば、下記のような光学部品に応用 される。

 例えば、光学レンズや光学プリズムとし は、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡 、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズな の全光線透過型レンズ;CD、CD-ROM、WORM(追記型 光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク; 磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジ ルビデオディスク)などの光ディスクのピッ クアップレンズ;レーザビームプリンターのf レンズ、センサー用レンズなどのレーザ走 系レンズ;カメラのファインダー系のプリズ レンズなどが挙げられる。

 光ディスク用途としては、CD、CD-ROM、WORM( 追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光デ スク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DV D(デジタルビデオディスク)などが挙げられる 。その他の光学用途としては、液晶ディスプ レイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フ ルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム; 拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが げられる。

 これらの中でも、本実施形態に係る光学 子の製造方法は、光学精度が要求される撮 素子用や光ピックアップ用の光学素子等の 学素子を製造するのに好適であり、特に光 ックアップ用の光学素子を製造するのに適 ている。

 《有機無機複合材料の調製》
 下記の熱硬化性樹脂に対して、下記の無機 子を表3の組合せに従って溶融混練し、有機 無機複合材料である実施例1~8、比較例1~8を調 製した。熱硬化性樹脂に対する無機粒子の混 合比(有機無機複合材料に占める無機粒子の 積比)は25体積%とし、溶融混練では、ポリラ システム(HAAKE社製)を用いた。なお、上記有 機無機複合材料のうち、比較例1~8に相当する 材料は熱硬化性樹脂のみで構成し、無機粒子 は含んでいない。

 (熱硬化性樹脂)
  シリコーン:信越化学社製シリコーン LPS-L 402
  メタクリレート:ダイセル化学社製 特開20 02-193883号公報に記載の方法に従って調製した  2-アルキル-2-アダマンチル(メタ)アクリレー ト
 (無機粒子)
  シリカ:日本アエロジル社製RX300 平均粒子 径7nm
  アルミナ:大明化学工業株式会社製TM300(γ ルミナ) 平均粒子径7nm
 《サンプル(テストピース)の作製》
 調製済みの各有機無機複合材料を、160℃、1 3.3Paの減圧下でプレスし、φ11mm、厚さ3mmの成 体とした後、表面を研磨してテストピース 作製した。テストピースは、熱硬化性樹脂 無機粒子との組合せに応じて複数(表3中、 施例1~8,比較例1~8参照)作製した。

 《反射防止膜の形成》
 実施例2、4、6、8及び比較例2、4、6、8に相 する各サンプルについては、各テストピー の片面に対し、表1、2に示す条件で、それぞ れ反射防止膜を蒸着法で形成した。実施例2 4、6、比較例2、4、6のテストピースについて は、表1に示す条件で単層構成の反射防止膜 、実施例8、比較例8のテストピースについて は、表2に示す条件で5層構成の反射防止膜を 成した(第1層目がテストピースに直接形成 た膜である。)。反射防止膜の膜厚は、成膜 の断面を電子顕微鏡で観察することで測定 た。その後、これら実施例2、4、6、8及び比 較例2、4、6、8に相当する各サンプルを、上 と同様にアニール処理し、そのアニール時 収縮率の測定や耐拭き性を評価した。

 《アニール時の特性評価》
 実施例1、3、5、7及び比較例1、3、5、7に相 する各サンプルを、アニール処理(100℃で24 間加熱する処理)し、そのアニール時の収縮 の測定や耐拭き性を評価した。

 (収縮率の測定)
 各サンプルについて、アニール処理の前後 の厚さと幅とをマイクロメータで測定して 積を算出し、その収縮率を算出し、下記の 準に従って評価し、得られた各サンプルの 縮率の結果を表3に示す。

 ◎:±0.5%未満
 ○:±0.5%以上、±2%未満
 △:±2%以上、±7%未満
 ×:±7%以上
 (耐拭き性の評価)
 イソプロピルアルコールを染み込ませた綿 で、各サンプルの反射防止膜を形成した面 荷重5~10gで多数回拭いた。10回拭くごとに各 サンプルの反射防止膜の成膜面を顕微鏡で観 察し、反射防止膜の剥離の有無を観察した。 そして、反射防止膜が剥離したときの拭き回 数の合計を求め、下記の基準に従って、各サ ンプルの耐拭き性を評価し、得られた評価結 果を、表3に示す。

 ◎:100回拭いても剥離は認められない
 △:30回拭いた時点では剥離は認められない 、100回拭いた時点では剥離が認められる
 ×:30回拭いた時点で剥離が認められる
 なお、上記収縮率の測定及び耐拭き性の評 では、実施例1、3、5、7及び比較例1、3、5、 7の各サンプルについては、反射防止膜を成 しない状態で、収縮率の測定及び耐拭き性 評価を行っている。

 (耐環境性の評価)
 アニール後の実施例1、3、5、7及び比較例1 3、5、7に相当する各サンプルに対し、上記 同様に反射防止膜を成膜した。実施例1、3、 5及び比較例1、3、5のテストピースについて 、表1に示す条件で単層構成の反射防止膜を 実施例7及び比較例7のテストピースについ は、表2に示す条件で5層構成の反射防止膜を 形成した。その後、実施例1、3、5、7及び比 例1、3、5、7のテストピースに形成した反射 止膜を、70℃で24時間加熱した。

 この時点において、実施例1~8及び比較例1 ~8の各サンプルはすべてアニール処理が実行 れており、反射防止膜も形成されている。 して実施例1~8及び比較例1~8に相当する各サ プルを、下記の環境試験を施し、体積変動 測定や外観を評価した。

 〈体積変動の測定〉
 各サンプルを環境試験(温度が90℃の高温環 下で168時間放置し、その後温度が60℃で湿 が90%の高温・高湿環境下で168時間放置した) 供して、各サンプルの環境試験前後の厚さ 幅とをマイクロメータで測定して体積を算 し、その体積変動を算出し、下記の基準に って評価し、得られた結果を表3に示す。

 ◎:±0.5%未満
 ○:±0.5%以上、±2%未満
 △:±2%以上、±7%未満
 ×:±7%以上
 〈外観の評価〉
 各サンプルを耐熱試験(温度が85℃及び90℃ 高温環境下で、168時間放置した)に供し、室 で反射防止膜の外観を顕微鏡で観察した。 た、耐熱試験とは別に、各サンプルを、高 ・高湿試験(温度が60℃で湿度が90%の高温・ 湿環境下に、168時間放置した)に供し、上記 と同様に、室温で反射防止膜を顕微鏡で観察 した。そして各サンプルの耐熱試験後と高温 ・高湿試験後の反射防止膜を観察し、下記の 基準に従って外観の評価を行い、得られた評 価結果を表3に示す。

 ◎:耐熱試験後(85℃)、耐熱試験後(90℃)、高 ・高湿試験後のいずれにおいてもクラック は剥離は認められない
 ○:耐熱試験後(85℃)、高温・高湿試験後の ずれにおいてもクラック又は剥離は認めら ないが、耐熱試験後(90℃)においてはクラッ 又は剥離が認められる
 △:耐熱試験後(85℃)、高温・高湿試験後の ずれかでクラック又は剥離が認められる
 ×:耐熱試験後(85℃),高温・高湿試験後の両 でクラック又は剥離が認められる

 表3に記載のように、実施例1~8のサンプル と比較例1~8のサンプルとで、番号が同じサン プル同士(例えば、実施例1と比較例1)を比較 ると、無機粒子を含む実施例1~8のサンプル 、アニール時の劣化評価、耐環境性評価に いて、共に比較例1~8のサンプルより優れて り、アニール工程と成膜工程との順序にか わらず、成形物の内部まで十分に硬化し、 射防止膜の劣化も抑制されていることがわ る。これにより、成形物に無機粒子を含む とは、アニール工程やアニール工程後の経 的な環境変動に伴う成形物の変形を抑制し 成形物に膜を形成した場合にもその膜の劣 を抑制する上で有用であることが分かる。

 また、実施例2、4、6、8のサンプルと比較 例2、4、6、8のサンプルとで、番号が同じサ プル同士(例えば、実施例2と比較例2)を比較 た場合に、無機粒子を含む実施例2、4、6、8 のサンプルはアニール時の劣化評価における 耐拭き性の評価において、比較例2、4、6、8 サンプルより優れており、反射防止膜はア ール工程の処理に供されても劣化しないこ が分かる。更に、実施例2のサンプルと実施 8のサンプルとを比較すると、反射防止膜の 層数が多い実施例8のサンプルは耐環境性評 における外観の評価において実施例2のサン ルより優れており、成形物に膜を形成する 合においては、複数層構造の膜を形成する うが単層構造の膜を形成するより有利であ ことが分かる。