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Title:
METHOD FOR MANUFACTURING SUBSTRATE STRUCTURE FOR PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054055
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a substrate structure for PDP, which can reduce foam residue remaining in a dielectric layer after burning. There is also provided a method for manufacturing a substrate structure for PDP, characterized by comprising the steps of forming an electrode on a substrate, forming a glass material layer so as to cover the electrode, and burning the glass material layer to form a dielectric layer, the electrode comprising a Cu layer and a Cr layer on the Cu layer, the Cu layer and the Cr layer having been formed by sputtering under an atmosphere gas having a CO2 concentration of 1 to 110 ppm.

Inventors:
HANAI NARIYOSHI (JP)
IZASA KIMIYO (JP)
ICHIMANDA NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/070743
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 24, 2007
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI PLASMA DISPLAY LTD (JP)
HANAI NARIYOSHI (JP)
IZASA KIMIYO (JP)
ICHIMANDA NAOKI (JP)
International Classes:
C23C14/34; H01J9/02; H01J11/12; H01J11/24
Foreign References:
JP2006134745A2006-05-25
JP2007109480A2007-04-26
Attorney, Agent or Firm:
NOGAWA, Shintaro (Minamimorimachi Park Bldg.1-3, Nishitenma 5-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 47, JP)
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Claims:
基板上に電極を形成し、前記電極を覆うようにガラス材料層を形成し、前記ガラス材料層を焼成することによって誘電体層を形成する工程を備え、
前記電極は、Cu層と、前記Cu層上にCr層を有し、
前記Cu層及びCr層は、CO 2 濃度が1~110ppmである雰囲気ガス下でのスパッタリングにより形成されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法。
前記雰囲気ガスは、希ガスを主成分とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法。
基板上に電極を形成し、前記電極を覆うようにガラス材料層を形成し、前記ガラス材料層を焼成することによって誘電体層を形成する工程を備え、
前記電極は、Cu層と、前記Cu層上にCr層を有し、
前記ガラス材料層形成前の前記電極表面でのCrとCuの合計に対するCuの割合は、40~60原子%であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法。
前記誘電体層のガラス材料は、実質的に鉛を含まないガラスフリットである請求項1又は3に記載のプラズマディスプレイパネル用基板構体の製造方法。
Description:
プラズマディスプレイパネル用 板構体の製造方法

 本発明は、プラズマディスプレイパネル( 以下、「PDP」と称する。)用基板構体の製造 法に関する。

 図6は、従来のAC駆動型面放電PDPの構造の 例を示す分解斜視図である。このPDPは、前 側基板構体1と背面側基板構体2を有してい 。

 前面側基板構体1では、ガラス基板1a上に 数の表示電極3が配置されている。表示電極 3は、それぞれ、透明電極3a及びバス電極3bを えている。表示電極3は、AC駆動のための誘 体層4で覆われている。誘電体層4は、保護 5で覆われている。

 背面側基板構体2では、表示電極3に対し 交差する方向(列方向)に延びるアドレス電極 6がガラス基板2a上に配置されている。アドレ ス電極6は、誘電体層9で覆われている。アド ス電極6の両側には隔壁7が配置され、列方 のセルを区分けしている。さらに誘電体層9 と、隔壁7の側面には紫外線により励起され て赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光を発生する蛍光 体層8が形成されている。なお、アドレス電 6は、前面側基板構体1の誘電体層4内に表示 極3と交差するように配設されることもある

 保護膜5と隔壁7が接するように前面側基 構体1と背面側基板構体2を対向させた状態で 周縁部を封止用部材により封着させて内部に 隔壁で仕切られた複数の放電空間を形成し、 放電空間内を排気後、放電空間内にNe-Xe等の 電ガスを封入し、PDPが作製される。

 このPDPにおいては、表示は、隣接する2本 の表示電極3間での繰り返し放電によって行 われる。

 バス電極3b又はアドレス電極6を覆う誘電 層4、9は、一例では、バス電極3b又はアドレ ス電極6を覆うようにガラス材料層を形成し このガラス材料層を焼成することによって 成する。ガラス材料層は、ガラスフリット バインダと溶剤を含むガラスペーストを電 が形成された基板上に塗布し、その後溶剤 乾燥させるか(ペースト法)、ガラスフリット とバインダを含むガラスシートを基板上に貼 ること(シート法)によって形成することがで る。ガラスフリットは、例えば、鉛ガラス らなる。

 上記方法で誘電体層を形成する場合、焼 中に、電極(特にCuを含む金属電極)とガラス 材料層の界面での反応により泡が発生するこ とがある。この泡は、通常、ガラスが流動す ることによって除去される。

 ところで、誘電体層の材料として、実質 に鉛を含まないいわゆる無鉛ガラスからな ガラスフリットが用いられることがある。 鉛ガラスは一般に軟化点が高いのでガラス 流動によって泡を除去することが困難であ 、焼成後も誘電体層中に泡が残渣すること ある。誘電体中の泡残渣は、パネル化後そ を起点に絶縁不良の問題を引き起こし、良 率を大幅に減少させるし、それが前面側基 構体の場合は、泡残渣によって光透過率が 減し表示輝度を低下させる。

 本発明はこのような事情に鑑みてなされ ものであり、焼成後に誘電体層に残留する 残渣を減少させることができるPDP用基板構 の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段及び発明の 効果

 本発明のPDP用基板構体の製造方法は、基板 に電極を形成し、前記電極を覆うようにガ ス材料層を形成し、前記ガラス材料層を焼 することによって誘電体層を形成する工程 備え、前記電極は、Cu層と、前記Cu層上にCr を有し、前記Cu層及びCr層は、CO 2 濃度が1~110ppmである雰囲気ガス下でのスパッ リングにより形成されることを特徴とする

 本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、C u層及びCr層をスパッタリングにより形成する 際の雰囲気ガス中に含まれるCO 2 濃度を1~110ppmにすることによって、ガラス材 層を焼成して得られる誘電体層中に残留す 泡残渣を減少させることができることを見 し、本発明の完成に到った。なお、CO 2 濃度は、(雰囲気ガス中のCO 2 の分圧)/(雰囲気ガスの全圧)で定義される。

 また、本発明は、基板上に電極を形成し 前記電極を覆うようにガラス材料層を形成 、前記ガラス材料層を焼成することによっ 誘電体層を形成する工程を備え、前記電極 、Cu層と、前記Cu層上にCr層を有し、前記ガ ス材料層形成前の前記電極表面でのCrとCuの 合計に対するCuの割合(以下、「Cu/(Cr+Cu)比」 呼ぶ。)は、40~60原子%であることを特徴とす 。

 本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、 記誘電体層形成前の前記電極表面でのCu/(Cr+ Cu)比を40~60原子%とすることによって、ガラス 材料層を焼成して得られる誘電体層中に残留 する泡残渣を減少させることができることを 見出し、本発明の完成に到った。また、電極 表面でのCu/(Cr+Cu)比を40~60原子%にするには、 えば、Cu層及びCr層をスパッタリングにより 成する際の雰囲気ガス中に含まれるCO 2 濃度を1~110ppmにすればよいことが実験的に明 かになった。

本発明の一実施形態のPDPの製造工程を( a)~(e)工程順に示す断面図である。 本発明の効果実証実験での原子濃度分析の結 果を示し、(a)は、成膜中のCO 2 濃度が68ppm、(b)は151ppm、(c)は293ppmの場合の結 を示す。 CO 2 濃度とCu/(Cr+Cu+O+C)比との関係を示すグラフで る。 CO 2 濃度とCu/(Cr+Cu)比との関係を示すグラフであ 。 CO 2 濃度と泡残渣・断線発生率との関係を示すグ ラフである。 従来のPDPの構成を示す斜視図である。

符号の説明

1:前面側基板構体 1a:前面側基板 2:背面側 板構体 2a:背面側基板 3:表示電極 3a:透明 極 3b:バス電極 4:誘電体層 5:保護層 6:アド レス電極 7:隔壁 8:蛍光体層 9:誘電体層 11a: 密着層 11b:Cu層 11c:Cr層 12:密着層/Cu層/Cr層用 材料膜の積層膜 12a:密着層の材料膜 12b:Cu層 材料膜 12c:Cr層の材料膜

 以下,本発明の一実施形態を図面を用いて 説明する。図面や以下の記述中で示す内容は ,例示であって,本発明の範囲は,図面や以下の 記述中で示すものに限定されない。

1.PDP用基板構体の製造方法
 図1(a)~(e)を用いて、本発明の一実施形態のPD P用基板構体の製造方法について説明する。 1(a)~(e)は、本実施形態のPDP用基板構体の製造 工程を示す断面図である。ここでは、透明電 極3aとバス電極3bとからなる表示電極3とこれ 覆う誘電体層4を有する前面側基板構体を製 造する方法を例にとって説明を進める。以下 の説明は、表示電極以外の電極(例:Cr-Cu-Cr三 構造のアドレス電極)とこれを覆う誘電体層 有するPDP用基板構体(例:裏面側基板構体)を 造する場合にも基本的に当てはまる。

 本実施形態のPDP用前面側基板構体の製造方 は、基板1a上に透明電極3aとバス電極3bとか なる表示電極3を形成し、表示電極3を覆う うにガラス材料層15を形成し、ガラス材料層 15を焼成することによって誘電体層4を形成す る工程を備え、バス電極3bは、Cu層11bと、Cu層 11b上にCr層11cを有し、Cu層11b及びCr層11cは、CO 2 濃度が1~110ppmである雰囲気ガス下でのスパッ リングにより形成される。

1-1.透明電極及びバス電極形成工程
 まず、図1(a)及び(b)に示すように、基板1a上 透明電極3aを形成し、さらに透明電極3a上に バス電極3bを形成する。これによって、透明 極3aとバス電極3bとからなる表示電極3が形 される。

 基板1aの種類は、特に限定されず、基板1aは 、例えば、ガラス基板等の透明基板からなる 。透明電極1aは、ITO、SnO 2 、ZnO等などからなる透明導電膜を透明電極形 状にパターニングすることによって形成する ことができる。

 バス電極3bは、図1(a)に示すように密着層1 1aの材料膜12a、Cu層11bの材料膜12b及びCr層11cの 材料膜12cからなる積層膜12をスパッタリング よって形成し、この積層膜12をバス電極形 にパターニングすることによって形成する とができる。これによって、密着層11a、Cu層 11b及びCr層11cからなるバス電極3bが形成され 。また、バス電極3bは、バス電極形状の開口 部を有するマスクを用いてバス電極形状の密 着層11a、Cu層11b及びCr層11cをスパッタリング より形成することによって形成してもよい

 密着層11aの組成は、特に限定されないが 一例では、Crからなる。密着層11aは、不要 場合には省略することもできる。Cu層11bは、 Cuを主成分とする層であり、本発明の作用効 が達成可能な範囲でCu以外の成分を含んで てもよい。Cr層11cは、Crを主成分とする層で るが、Cu層11bから拡散されたCuを含んでいる 。

 上記スパッタリングは、CO 2 濃度が1~110ppmである雰囲気ガス下で行われる 後述するように、このような条件でCu層11b びCr層11cを形成することによって、ガラス材 料層15を焼成して得られる誘電体層4中に残留 する泡残渣を減少させることが実験的に明ら かとなった。雰囲気ガスは、希ガスを主成分 とする。希ガスの種類は、特に限定されない が、例えば、Arガスである。雰囲気ガスは、 えば、希ガスと濃度が1~500ppmの不純物ガス で構成される。不純物ガスの濃度は、具体 には、例えば、1,5,10,50,100,150,200,300,400,500ppm ある。不純物ガスの合計含有量は、ここで 示した数値の何れか2つの間の範囲内であっ もよい。雰囲気ガスの圧力は、特に限定さ ないが、例えば、0.1~10Paであり、具体的に 、例えば0.1,0.5,1,2,5,10Paである。雰囲気ガス 圧力は、ここで例示した数値の何れか2つの の範囲内であってもよい。
 雰囲気ガス中のCO 2 濃度は、具体的には、例えば、1,5,10,20,30,40,50 ,60,70,80,90,100又は110ppmである。CO 2 濃度は、ここで例示した数値の何れか2つの の範囲内であってもよい。なお、密着層11a 形成方法は、ここで示したものに限定され 、別の条件のスパッタリングで形成しても く、蒸着によって形成してもよい。

 また、後述するように、上記条件のスパッ リングによりCu層11b及びCr層11cを形成すると 、バス電極3b表面でのCu/(Cr+Cu)比が40~60原子%と なり、CO 2 濃度を下げるとCu/(Cr+Cu)比が大きくなること 実験的に明らかとなった。そして、バス電 3b表面でのCu/(Cr+Cu)比を40~60原子%とすること よって、ガラス材料層15を焼成して得られる 誘電体層4中に残留する泡残渣を減少させる とができることが実験的に見出された。Cu/(C r+Cu)比は、例えば、40~60原子%であり、具体的 は、例えば、40,45,50,55,60原子%である。Cu/(Cr+ Cu)比は、ここで例示した数値の何れか2つの の範囲内であってもよい。Cu/(Cr+Cu)比は、泡 渣発生を抑制する観点からは大きい方が好 しいが、大きすぎると積層膜12をバス電極 状にパターニングする際にCr層11c上に形成す るレジスト層と、Cr層11cと密着性が悪化する 合がある。

 透明電極3a及びバス電極3bの形状は、特に 限定されず、T字形や梯子形であってもよい 透明電極3aとバス電極3bの形状は、同じであ ても互いに異なっていてもよい。例えば、 明電極3aをT字形や梯子形にして、バス電極3 bをストレート形にしてもよい。なお、バス 極の材料だけで表示電極3を形成することも 能である。表示電極3は、2本ずつがペアに って表示ラインを構成するが、電極配列形 として電極ペア間に非放電領域(逆スリット もいう)を設けた配列、電極を等間隔に配列 して隣接する電極間が全て放電領域となるALI S形式の配列のいずれかによって配置されて る。このペアは、アドレス電極との間のア レス放電に用いられるスキャン電極と、ス ャン電極との間のサステイン放電等に用い れるサステイン電極とで構成される。

1-2.ガラス材料層形成工程
 次に、図1(c)に示すように、表示電極3を覆 ようにガラス材料を含むガラス材料層15を形 成する。
 ガラス材料層15は、ガラス材料を含むもの あって焼成によって誘電体層4となるもので ればよい。「ガラス材料」は、ガラスから る材料であり、例えば、ガラスフリットで る。ガラス材料層15は、例えば、ガラスフ ットとバインダと溶剤を含むガラスペース を表示電極が形成された基板上に塗布し、 の後溶剤を乾燥させるか(ペースト法)、ガラ スフリットとバインダを含むガラスシートを 基板上に貼ること(シート法)によって形成す ことができる。ガラス材料層15の厚さは、 に限定されないが、例えば、10~30μmである。

 ガラス材料の組成は、特に限定されず、 ガラスからなってもよく、無鉛ガラスから ってもよい。環境負荷の観点からは、無鉛 ラスが好ましい。ガラス材料の軟化点は、 に限定されないが、例えば、450~600℃である 。

1-3.焼成による誘電体層形成工程
 次に、図1(d)に示すように、ガラス材料層15 焼成することによって誘電体層4を形成する 。
 焼成の温度は、特に限定されないが、例え 、500~650℃である。従来は焼成時に発生した 泡が除去されずに誘電体層4に残留して誘電 層4の絶縁耐圧低下等の問題が生じることが ったが、本実施形態の方法によれば、誘電 層4中の泡残渣を減少させることができ、こ れによって誘電体層4の絶縁耐圧低下等の問 の発生を抑制することができる。

1-4.保護膜形成工程
 次に、図1(e)に示すように、誘電体層4上に 護膜5を形成し、本実施形態のPDP用基板構体 製造を完了する。
 保護膜5は、例えば、酸化マグネシウム、酸 化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化 バリウム等の金属(より具体的には2価の金属) 酸化物からなり、好ましくは、酸化マグネシ ウムからなる。保護膜5は、蒸着法、スパッ 法又は塗布法等で形成される。

2.PDPの製造方法
 ガラス基板1a上に表示電極3と、誘電体層4と 、保護膜5とを備える前面側基板構体1と、ガ ス基板2a上にアドレス電極6と、誘電体層9と 、隔壁7と、蛍光体層8とを備える背面側基板 体2を対向させた状態で周縁部を封着材で貼 り合わせることによって内部に気密な放電空 間を有するパネルが得られ、このパネルの放 電空間内を排気後、放電空間内に放電ガス( えば、ネオンに数%程度のキセノンを混合さ たもの)を封入することによってPDPを製造す ることができる。
 前面側基板構体1と背面側基板構体2の一方 は両方は、本発明のPDP用基板構体の製造方 を用いて製造することができる。

 以上の実施形態で示した種々の特徴は、 いに組み合わせることができる。1つの実施 形態中に複数の特徴が含まれている場合、そ のうちの1又は複数個の特徴を適宜抜き出し 、単独で又は組み合わせて、本発明に採用 ることができる。

3.効果実証実験
 以下に示す方法で、本発明の効果を実証す 実験を行った。

3-1.Cr膜、Cu膜及びCr膜の形成
 まず、ガラス基板上に透明電極を形成し、 られた基板上の全面にCr膜、Cu膜、Cr膜をこ 順番でスパッタリングにより形成した。具 的には、Crターゲットが設置された真空チ ンバー、Cuターゲットが設置された真空チャ ンバー、Crターゲットが設置された真空チャ バー内に基板を順次搬入し、各真空チャン ー内において、Cr膜、Cu膜、Cr膜をスパッタ ングにより形成した。

 スパッタリングによる成膜条件は、概ね、 下の通りである。
Cr膜の厚さ:50~150nm
Cu膜の厚さ:1~4μm
投入(成膜)電力:数十~数百kw
到達真空圧力:1.0×10 -4 Pa以下
放電ガス、圧力:Arガス、0.5~1.5Pa
成膜温度:150~350℃

 成膜中には、四重極質量分析装置を用いて ャンバー内のガス組成をモニターした。代 的ガスm/z=2(H 2 )、m/z=4(He)、m/z=18(H 2 O)、m/z=28(N 2 orCO)、m/z=32(O 2 )、m/z=40(Ar)、m/z=44(CO 2 )の合計を全圧として、割合から各ガスの分 を算出した。また、CO 2 の分圧í全圧によりCO 2 濃度を算出した。

3-2.原子濃度分析
 成膜後に得られたガラス基板を真空チャン ーから取り出し、オージェ電子分光分析法 より原子濃度分析を行った。原子濃度分析 は、成膜後のCr最表面からArイオンでスパッ タリングしながら深さ方向の濃度分布を分析 した。その結果を図2(a)~(c)、図3、及び図4に す。図2(a)~(c)は、それぞれ、成膜中のCO 2 濃度が68ppm、151ppm、293ppmの場合の結果を示す 図2(a)~(c)では、検出されるCr,Cu,O,Cの合計を10 0%として各原子濃度を算出した。図3は、CO 2 濃度と、Cr、Cu,O,Cの合計に対するCuの割合(以 、「Cu/(Cr+Cu+O+C)比」と呼ぶ。)との関係を示 グラフである。図4は、CO 2 濃度とCu/(Cr+Cu)比の関係を示すグラフである

 図2(a)~(c)を参照すると、Cu濃度は、Cr膜中 は低く、Cr膜最表面において高くなったこ が分かる。

 また、図3を参照すると、CO 2 濃度が低い場合ほどCu/(Cr+Cu+O+C)比が高くなっ ことが分かる。このような結果が得られた 用は、必ずしも明らかでないが、CO 2 の存在がCuの拡散を妨げているためであると 測される。また、図3によると、CO 2 濃度が1~110ppmの場合に、Cu/(Cr+Cu+O+C)比が8原子% 以上になったことが分かる。

 さらに、図4を参照すると、CO 2 濃度が低い場合ほどCu/(Cr+Cu)比が高くなった とが分かる。図4によると、CO 2 濃度が1~110ppmの場合に、Cu/(Cr+Cu)比が40~60原子% になったことが分かる。
 また、図3と図4とを比較すると、Cu/(Cr+Cu+O+C) 比とCu/(Cr+Cu)比がほぼ同じ傾向を示したこと 分かる。

3-3.誘電体層の形成
 次に、Cr膜、Cu膜及びCr膜をバス電極形状に ターニングし、その後、透明電極とバス電 とが形成されたガラス基板上に低融点ガラ ペーストをダイコーターやスクリーン印刷 よって塗布し、500~650℃で焼成することによ って厚さ10~30μmの誘電体層を形成した。

 使用した低融点ガラスペーストは、低融点 ラス粉末に樹脂と溶剤を混合したものであ 、低融点ガラス粉末は、SiO 2 (酸化ケイ素),B 2 O 3 (酸化ホウ素),ZnO(酸化亜鉛),NaO(酸化ナトリウ ),Al 2 O 3 (酸化アルミニウム),CuO(酸化銅),In 2 O 3 (酸化インジウム),SnO 2 (酸化錫)などからなるものである。PbO(酸化鉛 )の含有量は、RoHS規定値以下である。

3-4.泡残渣・断線発生率の測定
 次に、泡残渣の有無の検査と、断線発生の 無の検査を行った。その結果を図5に示す。 図5の縦軸の泡残渣・断線発生率は、(泡残渣 生基板数+断線発生基板数)/(1カセットに収 される基板面数)によって算出した。1カセッ トに収容される基板面数は、面取り条件によ って変動するが数十面程度である。泡残渣発 生基板数は、誘電体焼成後の検査において規 定数の泡検出により不良判定となった基板面 数であり、断線発生基板数は、パネル点灯試 験時に、誘電体絶縁破壊により電極断線が生 じ不良判定となった基板面数を意味する。ま た、横軸のCO 2 濃度は、1カセット内で処理した全基板の平 値である。

 図5を参照すると、CO 2 濃度が1~110ppmの場合は、泡残渣・断線発生率 ほぼ0になっているが、CO 2 濃度がこれよりも大きい場合は、泡残渣・断 線発生率が急激に大きくなったことが分かる 。この結果は、Cu膜及びCr膜をスパッタリン により形成する際にCO 2 濃度を1~110ppmにすることによって誘電体層中 残留する泡残渣を減少させることができた とを意味している。