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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRECIPITATING α-CRYSTALS OF GLUTAMIC ACID
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140023
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide crystallization in which between two crystal polymorphisms of glutamic acid, α-crystals which are metastable crystals are preferentially precipitated without precipitating β-crystals which are stable crystals. By combining (a) a process in which supersaturation is generated by mixing an acidic liquid in an aqueous solution containing glutamic acid and adjusting the pH of the resulting mixture to a pH not higher than the isoelectric point of glutamic acid and (b) a process in which second-stage supersaturation is generated by adding an aqueous glutamic acid solution again after a given time has elapsed after the generation of supersaturation in (a), α-crystals which are metastable crystals are preferentially precipitated.

Inventors:
NAGAI HIDETADA (JP)
TAKAHASHI YOSHIFUMI (JP)
YAMANE TAKAO (JP)
KONISHI NOBUHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058567
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
NAGAI HIDETADA (JP)
TAKAHASHI YOSHIFUMI (JP)
YAMANE TAKAO (JP)
KONISHI NOBUHARU (JP)
International Classes:
C07C227/42; C07B63/00; C07C229/24
Foreign References:
CN1312245A2001-09-12
JPS454730B11970-02-17
JPS3617712B1
JPS454730B11970-02-17
JPS4511286B1
Other References:
See also references of EP 2163539A4
N. DOKI ET AL., CRYSTAL GROWTH & DESIGN, vol. 4, no. 5, 2004, pages 949 - 953
JOCHEN SCHOLL ET AL., CHEM. ENG. TECHNOL., vol. 29, no. 2, 2006, pages 257 - 264
"Shokuhin Kogyo Handbook", 2004, pages: 651 - 656
KAGAKU BINRAN, 1993, pages 432
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Masahiro (21-3 Hatchobori 3-chom, Chuo-ku Tokyo 32, JP)
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Claims:
(A)グルタミン酸塩溶液に酸を加えて、pHをグルタミン酸の等電点を越えてさらに低下させて第一の過飽和状態をつくり出す工程、および
(B)これにグルタミン酸塩溶液を加えて、pHを等電点側に移行させて第2の過飽和状態をつくり出す工程よりなるグルタミン酸α型結晶の折出方法
第一の過飽和状態における
過飽和比が2.6~8.0の場合は、
 t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×3.46×10 8 -9.69}以内に、
 過飽和比が1.7~2.6の場合は、
t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×1.95×10 7 +4.35}以内に、
過飽和比が1.0~1.7の場合は、
t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×6.16×10 4 +7.34}以内に
  但し、t:結晶化待ち時間(秒)
     T:温度(°K)但し、293°K≦T≦303°K
     S:過飽和比
(B)工程のグルタミン酸塩溶液を加える、請求の範囲第1項記載のグルタミン酸α型結晶の折出方法
(A)工程における第一の過飽和状態は過飽和比が1.0~1.7の範囲内であり、この第一の過飽和状態を形成してから25分以内に(B)工程のグルタミン酸塩溶液を加える、請求の範囲第1項記載のグルタミン酸α型結晶の折出方法
請求の範囲第1項の方法で折出させたグルタミン酸α型結晶をβ型結晶に転移させてグルタミン酸β型結晶を取得した後、水酸化ナトリウム水溶液でグルタミン酸ナトリウム1水塩(MSG)を形成するpHに溶解・調製した後に、濃縮によって結晶を析出させ、分離した結晶を乾燥して製品とするグルタミン酸ナトリウム1水塩製造方法
 
Description:
[規則26に基づく差替え 06.06.2008] グルタミン酸α型結晶の析出方法

 本発明はグルタミン酸の2種類ある結晶多 形のうち、準安定形結晶であるα型結晶を優 的に析出させる晶析方法に関する。

 グルタミン酸結晶には、準安定形であるα 結晶と安定形であるβ型結晶の2種類の結晶 形が存在する。
 このα型結晶の存在は古くから知られてお (特許文献1)一旦α型結晶を折出させて、これ をβ型結晶に転移させることによるグルタミ 酸の精製方法も知られている(特許文献2)。 れは、結晶転移の際に、α型結晶に内包さ ている不純物が放出されるためであると考 られている。
 α型結晶の取得方法としては、グリシンのα 型結晶添加の方法(非特許文献1)と同様にして 、グルタミン酸塩の溶液に酸を加えてグルタ ミン酸の溶解度を下げることにより過飽和状 態にして、α型結晶を種晶として加える方法 考えられる。さらに、他の方法としては、 ミノ酸類や糖類を添加することによりα型 晶を折出させる方法も知られている(特許文 1、3)。しかし、過飽和を生成し、種晶を加 ずに放置しておくとα型結晶が先に析出し くることが学術的にわかっている(非特許文 2)が、このことを利用したα型結晶のみを取 得する晶析方法は、まだ知られていない。

特公昭36-017712 号公報

特公昭45-004730 号公報

特公昭45-011286 号公報 N.Doki et.al.,Crystal Growth&Design,4(5),949-953 ,2004 Jochen Scholl et.al.,Chem.Eng.Technol.29(2),257-264, 2006

 ところが、α型結晶を取得するために、 晶を添加する事に際しては、以下の問題点 ある。すなわち、(1)種結晶調製後に、分離 た結晶に付着する水分などを低く管理してβ 型結晶に転移しないように保存しておくこと が難しい。さらに、(2)pH4から6の領域は、グ タミン酸の溶解度のpH依存性が高い領域であ るため、所定の過飽和比に制御することが難 しい。すなわち、pH調整の際に酸の調整が早 ぎて、設定のpHより低くなりすぎると、過 和比が高くなりすぎ安定形結晶であるβ型結 晶が析出してしまう。pHが高すぎると添加し 種結晶が溶解してしまい、種結晶の効果が ったく期待できず、β型結晶が析出してし う。

 一方、α型結晶を優先的に取得するため アミノ酸類や糖類を添加して晶析させる場 は、そもそも晶析の本来機能である不純物 淘汰の観点からすると、系に不純物を添加 ていることになるため、精製の目的にそぐ ない。

 本発明は、α型種結晶やα型結晶を優先晶 出させるための添加剤も系に加えることなく 、安定形であるβ型結晶を析出させずに、準 定形結晶であるα型結晶を、再現性よく優 的に析出させることができる中和晶析方法 提供することを目的としている。

 α型結晶析出のための、中和晶析におい は、β型結晶の析出機構は何種類かのケース が考えられる。一つ目は、α型結晶の析出が こっていても、単独で溶液相からβ型結晶 析出する一次核発生で析出する場合である 二つ目は、一旦、α型結晶で析出してからそ れが、転移してβ型結晶が析出する場合であ 。三つ目は、析出したα型結晶が種晶とし 、β型結晶の二次核発生を引き起こす場合で ある。本発明では、この析出機構を種々検討 し、ある一定の低い過飽和比(1.0から1.7)の状 の液を作り出し、結晶析出を観察した。そ 結果、α型結晶の析出を観察すると同時に α型結晶の近傍ではなく、バルク溶液相から β型結晶を観察することができた。このため β型結晶は、単独で溶液相から一次核発生 よって析出すると考えるに至った。β型結晶 の析出前に、α型結晶を析出させて過飽和を 消させてしまうことで、β型結晶の析出を ぐことが可能であると想到した。

 本発明の方法は、(A)グルタミン酸塩溶液 酸を加えて、pHをグルタミン酸の等電点を えてさらに低下させて第一の過飽和状態を くり出す工程、および(B)これにグルタミン 塩溶液を加えて、pHを等電点側に移行させて 第2の過飽和状態をつくり出す工程よりなる のである。

 本発明の晶析方法は、グルタミン酸を含 水溶液を調製し、含まれるグルタミン酸を べて中和しうる酸の量を計り取る。グルタ ン酸の一部に対して、この用意した酸全量 加えると、pHは等電点であるpH3.2より低くな る。この領域では、図1に示したとおり、pHが 低ければ低いほど、溶解度が増加する領域で あり、初期グルタミン酸濃度が溶解度を超え ていれば、過飽和を生成することができる。 このような1段目の過飽和を一定に保ってい と、ある時間経過後にβ型もしくは、α型と 型の結晶の混合物が析出してくる。そこで β型の結晶が析出する前にさらに、2段目の 飽和をかけてα型結晶を優先的に析出させる 必要がある。このため、先に一部使用したグ ルタミン酸水溶液の残りを1段目に生成した 飽和水溶液に添加して2段目の過飽和をかけ 。溶液自体は、もともと酸をグルタミン酸 等電点に調整するのに必要な量を添加して るはずであるので、この時点で、溶液のpH 3.2となり、最大晶析率を示すこととなる。

 本発明により、短時間に容易に安定して ルタミン酸のα型結晶を生成させることが きる。

本発明の2段中和晶折法を説明する概略 図である。 本発明で得られた、オーバーオールの 飽和比が8.0の場合の、1段目の中和での過飽 和比と2段目の中和までの時間と折出結晶の の関係を示すグラフである。 本発明で得られた、オーバーオールの 飽和比が4.0の場合の、1段目の中和での過飽 和比と2段目の中和までの時間と折出結晶の の関係を示すグラフである。 図2、3の結果から、温度と過飽和比か β型結晶の出現時間を求めた結果を示すグラ フである。 実施例で得られたグルタミン酸結晶の 微鏡写真を示すものである。 実施例で得られたグルタミン酸結晶の マン分光測定結果を示すものである。 本発明の実施例1と参考例1で得られた 晶の粒度分布を示すものである。

 本晶折法における初期グルタミン酸濃度 、50g/lから200g/l、好ましくは80~120g/lが望ま い。このグルタミン酸塩溶液で塩を形成し いる陽イオンの種類は問われないが、通例 ンモニウムイオンあるいはナトリウムイオ である。液のpHは、通例5.5~8.0程度、多くは6. 0~7.5程度である。グルタミン酸塩溶液の例と ては、グルタミン酸発酵液、それから菌体 分離した液などがある。

 このグルタミン酸塩溶液に加える酸は、 酸、硫酸、燐酸などの水素イオン供与体と りうるもの全てが使用可能である。酸の量 、グルタミン酸の最終晶折率を高めるため 、グルタミン酸塩溶液に溶存しているグル ミン酸をその等電点であるpH3.2まで中和す 量とすることが好ましく、実用的にはpH3.2ま で中和する量±3%好ましくは±1%の範囲とする がよい。

 上記のグルタミン酸塩溶液を2つに分けて 、その一つを第一の過飽和状態を作り出す工 程で使用する。この第一の工程で使用するグ ルタミン酸塩溶液の量は、第一の過飽和状態 における過飽和比が1.0~1.7になるように設定 るのがよい。上記範囲を外れると、25分以内 に結晶としてβ晶が析出してくる可能性があ からである。

 一般に、晶析操作においては、析出させ うとする溶質の溶解度の高い領域において 溶解できる濃度の溶液を調製し、その溶液 温度、pHなどを変化させて初期濃度よりも い溶解度の条件に置き、過飽和を生成して 結晶析出のドライビングフォースとする。 の過飽和とは、溶質が溶解度以上の濃度で るのにもかかわらず、その晶析の操作によ て、一時的に溶解している状態を指す。過 和の量を表現するのには、2通りの方法があ 、ひとつは過飽和比、他方は過飽和度と呼 れる。過飽和比とは、その溶液状態の溶質 実濃度をその溶解度で除した値である。過 和度とは、その溶液状態の溶質の実濃度と の溶解度の差を示す。本明細書では、過飽 比を過飽和の表現方法として採用した。

 第一の過飽和状態にかかる過飽和比を算出 きるようにするために、グルタミン酸の飽 溶解度は以下のような近似式を用いて計算 た。グルタミン酸の飽和溶解度の温度依存 は既に知られており(非特許文献3)、その結 をClausius-Clapeyron式、
で近似した。また、飽和溶解度のpH依存性に いても、既に知られており(非特許文献3)、 の結果を次式で近似した。
ここで、Glu ± は、電荷がゼロのグルタミン酸イオンを表す 。また、水素イオン解離定数は、pK1=2.19、pK2= 4.25、pK3=9.67とした(非特許文献4)。さらに、水 100gあたりの飽和溶解度からg/Lへの単位の換 は、固体分はグルタミン酸のみと仮定し、 た、比重は、d=1.06g/mLと仮定し、次式で記述 た。
以上のように求めた飽和溶解度の値を用い、 過飽和比を計算した。なお、図1において、 一の過飽和状態の過飽和比は、c/bで表され 第二の過飽和状態すなわち、オーバーオー の過飽和比は、c/aで表される。
“食品工学ハンドブック”、p.651~p.656、 本食品工学会編(2004年) “化学便覧”、p.432、日本化学会編(1993 )

 第一の過飽和状態を作り出すために使用 るグルタミン酸塩溶液の量は、あらかじめ 々の量のグルタミン酸塩溶液を添加して、p Hの検量線を作成して所望のpHにするのに必要 な液量を決定する。すなわち、調整したい過 飽和比になるようなpHを決定して、それに必 な液量は検量線からもとめて決定する。し がって、pH範囲は晶析前の水溶液のグルタ ン酸濃度に依存することとなる。オーバー ールの過飽和比8.0の晶析における1段目の過 和状態における過飽和比1.0から1.7の範囲に 当するpH範囲は、1.3~1.6となる。また、オー ーオールの過飽和比4.0の晶析の場合には、1 段目の過飽和状態における過飽和比1.0から1.7 に相当するpH範囲は、1.7~2.0である。

 第一の過飽和状態は、上記の量のグルタ ン酸塩溶液に上記の酸を加えることによっ 形成させることができる。その際の液温は2 0~30℃の範囲内であることが望ましい。この 囲外であると温度が高すぎてもβ型結晶の析 出リスクが高まり、逆に低すぎてもβ型結晶 析出リスクが高まる。酸は、徐々に添加す 必要はなく、一度に添加すればよい。その 、液を均一にするために攪拌を行うことが 要である。

 本発明においては、この第一の過飽和状 を作り出してから、α型結晶を優先的に折 させるために一定時間内に残余のグルタミ 酸塩溶液を投入する必要がある。この時間 、次のようにして求めた。

 グルタミン酸ソーダ1水和物(MSG)127g/Lの水 液を100mL調製し、硫酸3.4gをビーカーに計り った。このとき、グルタミン酸は、0.068モ 、硫酸は、0.034モルである。このMSG水溶液の 内、1段目に中和する量を種々変えてマグネ ックスターラーで撹拌しながら、ウォータ バスで25℃に保持し、硫酸と瞬時に混合した 。時間を種々変えてその時間後に残りのMSG水 溶液を添加して、二段目の過飽和をかけた。 このときのオーバーオールでの過飽和比は、 8.0となる。

 析出したグルタミン酸の結晶がα型結晶 、β型結晶かの判定は顕微鏡観察によって行 った。また、顕微鏡での判定が困難な場合は 、そのスラリーを種晶として用いて、再度晶 析を行うことによりβ型結晶かどうかの判定 行った。具体的には、127g/LのMSG溶液を調製 、その溶液を1ml計りとる。この液に対して 200μlの判定用サンプルを添加する。その後 直ちに20μlの濃硫酸を添加し手で振とうし 。得られた結晶をさらに顕微鏡観察を行っ β型結晶が混入しているかどうかを判定した 。

 グルタミン酸の準安定型結晶(α型結晶)と は、図5の(a)の顕微鏡写真のような形状をし おり、さらに、ラマン分光装置による分析 より、図6の(a)のようなチャートを示す結晶 ことを言う。なお、安定形結晶の場合は、 5(b)のように扁平な結晶であって、図6(b)の うな特徴的なピークを示す。

 こうして得られた、第一の過飽和状態で 過飽和比と、硫酸投入後残余のMSG水溶液を 入するまでの時間と、折出結晶がα型であ かβ型であるかとの関係を調べた結果を図2 示した。

 また、グルタミン酸ソーダ1水和物(MSG)63.5 g/Lの水溶液を100mL調製し、硫酸1.7gをビーカー に計りとった。このとき、グルタミン酸は、 0.034モル、硫酸は、0.017モルである。このMSG 溶液の内、1段目に中和する量を種々変えて りとってマグネチックスターラーで撹拌し がら、ウォーターバスで25℃に保持し、硫 と瞬時に混合した。時間を種々変えてその 間後に残りのMSG水溶液を添加して、二段目 過飽和をかけた。このときのオーバーオー での過飽和比は、4.0となる。このときの結 形を判定した結果を図3に示した。

 β型結晶析出のタイミングが、一般に言わ ている一次核発生による結晶化待ち時間(過 和生成してから結晶の析出が観測されるま の時間)であることを確認するために、図2 図3の領域をln(t)(t:結晶化待ち時間[sec.])及び1 /(T 3 ×(lnS) 2 )(T:温度[K]、S:過飽和比[-])の関係で整理した 果を図4に示した。図中(1)の境界、(3)の境界 ついては、系に依存しないことが判明した すなわち、それぞれ、均一一次核化および 均一一次核化を現しており、やはり、β型 晶は、一次核発生で析出していることがわ った。(2)の境界は、遷移域と考えられ、実 条件によって異なるが、概略直線で表現で ることがわかった。これは、下に示す範囲 示すことができる。
なお、(1)の境界線は図4より、傾き3.46×10 8 、y切片が-9.69と読み取れることから、以下の 式で記述できる。
(2)の境界線(実線)は、傾き1.95×10 7 、y切片が4.35と読み取れることから、
と表され、(2)の境界線(点線)は、傾き1.95×10 7 、y切片が4.80と読み取れることから
で表されることがわかった。(3)の境界線は、 傾きが6.16×10 4 、y切片が7.34と読み取れることから、
で、表されることがわかった。

 これらを図2、3を参照することにより、α型 結晶を安定して得るためには、
第一の過飽和状態における
過飽和比が2.6~8.0の場合は、
 t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×3.46×10 8 -9.69}以内に、
過飽和比が1.8~2.6の場合は、
t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×1.95×10 7 +4.35}以内に、
過飽和比が1.0~1.8の場合は、
t≦exp{1/(T 3 (InS) 2 )×6.16×10 4 +7.34}以内に
残余のグルタミン酸塩溶液を添加すればよい ことがわかる。一方、第一の過飽和状態を作 り出すためにグルタミン酸塩溶液に酸を加え た後残余のグルタミン酸塩溶液を加える前に 少なくとも1分間は時間をおく必要がある。
 残余のグルタミン酸塩溶液も一度に加えれ よく、その際、攪拌することが好ましい。

 また、本晶析法で得られた結晶の粒度分布 、図7に示されたように、従来の種晶を添加 する方法にくらべて、非常に細かいことがわ かった。通常、得られた結晶を種晶として使 用する場合には、結晶の表面積が高いほどそ の効果が高いと考えられており、大スケール の晶析における種晶を本法で調達する場合な どに有利に働く。
 こうして得られたα型結晶スラリーは、大 ケールの晶析の種晶として用いることがで 、さらには、以下のような転移晶析をする とも可能である。すなわち、α晶の溶解度は 0℃から約100℃の範囲で必ず、β型結晶の溶解 度よりも高い。ここへ、β型結晶の種結晶や ある確率でβ型結晶が突然出現した場合、 全体の溶解度は、β型を液底体とする溶解度 となる。すると、α型結晶が溶解しだして、 型結晶とβ型結晶の溶解度差を駆動力として β型の結晶に全て変化する。このグルタミン β型結晶を取得した後、水酸化ナトリウム 溶液でグルタミン酸ナトリウム1水塩(MSG)を 成するpHに溶解・調製した後に、濃縮によっ て結晶を析出させ、分離した結晶を乾燥して 製品とするグルタミン酸ナトリウム1水塩を 造することができる(非特許文献3)。

 〔実施例1〕
 グルタミン酸ソーダ1水和物(MSG)127g/Lの水溶 を100mL調製し、硫酸3.4gをビーカーに計りと 。このとき、グルタミン酸は、0.068モル、 酸は、0.034モルである。このMSG水溶液の内、 46mlを計りとってマグネチックスターラーで 拌しながら、ウォーターバスで25℃に保持し 、硫酸と瞬時に混合して1段目の過飽和比1.2 作り出した。1.0分後に残りのMSG水溶液54mlを 加して、二段目の過飽和をかけ、晶析を完 させた。このときのオーバーオールでの過 和比は、8.0となる。このときの結晶形はα であった。

 〔比較例1〕
 グルタミン酸ソーダ1水和物(MSG)127g/Lの水溶 を100mL調製し、硫酸3.4gをビーカーに計りと 。このとき、グルタミン酸は、0.068モル、 酸は、0.034モルである。このMSG水溶液の内、 54mlを計りとってマグネチックスターラーで 拌しながら、ウォーターバスで25℃に保持し 、硫酸と瞬時に混合して1段目の過飽和比2.3 作り出した。2.5分後に残りのMSG水溶液46mlを 加して、二段目の過飽和をかける。このと のオーバーオールでの過飽和比は、8.0とな 。このとき、α型とβ型の両方の結晶が析出 した。

 〔参考例1〕
 グルタミン酸ソーダ1水和物(MSG)127g/Lの水溶 を100mL調製し、硫酸3.4gをビーカーに計りと 。このとき、グルタミン酸は、0.068モル、 酸は、0.034モルである。このMSG水溶液に、硫 酸を徐々に添加しpH5.0に調整した。ここで、 晶を種晶として1g添加した。30分ほど撹拌を た後、残りの硫酸を3時間かけて添加し、グ ルタミン酸を晶析させた。このときの結晶形 は、α型であった。

 本発明は、グルタミン酸のα型結晶を容 に安定して取得できるので、グルタミン酸 製造工程に組み込むことができる。