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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PROCESSING END OF ELONGATED TUBE MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123415
Kind Code:
A1
Abstract:
A screw thread is highly precisely formed on an end of an elongated tube material (1), which is held by a chuck device (3), without leaving mill scale on a full thread portion. The length L of projection of the tube material (1) from the chuck device (3) to an end of the tube material (1) is controlled in such a way that the ratio L/D between the projection length L and the outer diameter D of the tube material (1) is within a predetermined range in order that the ratio L/D corresponds to the ratio t/D that is the ratio between the thickness t and the outer diameter D of the tube material (1). When the chuck device is a floating chuck device having a floating chuck and a positioning chuck, the length L of projection of the tube material from the floating chuck and the length L' of projection of the tube material from the positioning chuck are controlled.

Inventors:
ISHII KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056074
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
ISHII KAZUHIRO (JP)
International Classes:
B23B1/00; B23B5/00; B23B5/16; B23B31/02
Foreign References:
JP2006167852A2006-06-29
JPS59201720A1984-11-15
Other References:
INOBE ET AL.: "Hensoku Setsujo ni yoru Senban Nejikiri Kako no Bibiri Yokusei", NIPPON KIKAI GAKKAI RONBUNSHU (C-HEN), vol. 70, no. 693, May 2004 (2004-05-01), pages 1529 - 1534, XP008118140
ISHIZU ET AL.: "Yuseiyo Kokan Tsugite no Jido Kensa Sochi", HAIKAN GIJUTSU, vol. 29, no. 12, October 1987 (1987-10-01), pages 100 - 109, XP008118141
See also references of EP 2135696A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Shoichi (4-2 Nihonbashi Honcho 4-chome, Chuo-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 チャック装置に保持された外径D、肉厚tの長尺管材の端部を加工する方法であって、該チャック装置からの長尺管材の加工端部の突き出し長さLが、該チャック装置が非フローティング方式の装置である場合には下記(A)、フローティングチャック装置である場合には下記(B)を満たすように長尺管材を該チャック装置で保持して加工を行うことを特徴とする長尺管材の端部加工方法:
 (A)チャック装置が少なくとも一つのチャックを備えた非フローティング方式の装置であり、加工端部に最も近いチャックから長尺管材の加工端部の端面までの長さである長尺管材の突き出し長さLと管材外径Dとの比L/Dが下記範囲内となる位置に長尺管材を保持する:
(1)管材の外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の肉厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0以上、4.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが2.5以上、3.5以下;
(2)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合:t/Dが0.07以下の時はL/Dが2.0以上、3.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.5以上、3.5以下;
(3)管材外径Dが139.7mmを超える場合:t/Dが0.07以下の時はL/Dが1.5以上、2.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.0以上、2.5以下。
 (B)チャック装置がフローティングチャックとそれより前方の芯合わせ用のポジショニングチャックとを備えたフローティングチャック装置であり、該フローティングチャックから長尺管材の加工端部の端面までの長さである長尺管材の突き出し長さLおよびポジショニングチャックから前記端面までの突き出し長さL’のそれぞれ長尺管材の外径Dに対する比L/DおよびL’/Dが下記範囲内となる位置に長尺管材を保持する:
(1’)管材外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の肉厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0以上で、L’/Dが3.0以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが2.5以上で、L’/Dが3.0以下;
(2’)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合:t/Dが0.07以下の時L/Dが2.0以上で、L’/Dが2.0以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが2.0以下;
(3’)前記外径Dが139.7mmを超える場合:前記t/Dが0.07以下の時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが1.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.0以上で、L’/Dが1.5以下。
 少なくとも一つのチャックを備えた非フローティング方式のチャック装置に保持された外径D、肉厚tの長尺管材の端部を加工する方法であって、加工端部に最も近いチャックから長尺管材の加工端部の端面までの長尺管材の突き出し長さLと、管材外径Dとの比L/Dが下記範囲内となる位置に長尺管材を前記チャック装置で保持して加工を行うことを特徴とする長尺管材の端部加工方法:
(1)管材の外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の肉厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0以上、4.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが2.5以上、3.5以下;
(2)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合:t/Dが0.07以下の時はL/Dが2.0以上、3.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.5以上、3.5以下;
(3)管材外径Dが139.7mmを超える場合:t/Dが0.07以下の時はL/Dが1.5以上、2.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.0以上、2.5以下。
 外径Dが88.9mm未満で、t/Dが0.07以下の長尺管材を、L/Dが3.0以上、4.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 外径Dが88.9mm未満で、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが2.5以上、3.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下で、t/Dが0.07以下の長尺管材を、L/Dが2.0以上、3.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下で、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが1.5以上、3.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 外径Dが139.7mmを超え、t/Dが0.07以下である長尺管材を、L/Dが1.5以上、2.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 外径Dが139.7mmを超え、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが1.0以上、2.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項2に記載の方法。
 フローティングチャックとそれより前方の芯合わせ用のポジショニングチャックとを備えたフローティングチャック装置により保持された長尺管材の端部を加工する方法であって、フローティングチャックから長尺管材の加工端部の端面までの突き出し長さLおよびポジショニングチャックから前記端面までの突き出し長さL’のそれぞれ長尺管材の外径Dに対する比L/DおよびL’/Dが下記範囲内となる位置に長尺管材を前記フローティングチャック装置で保持して加工を行うことを特徴とする長尺管材の端部加工方法:
(1’)管材外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の肉厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0以上で、L’/Dが3.0以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが2.5以上で、L’/Dが3.0以下;
(2’)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合:t/Dが0.07以下の時L/Dが2.0以上で、L’/Dが2.0以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが2.0以下;
(3’)前記外径Dが139.7mmを超える場合:前記t/Dが0.07以下の時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが1.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.0以上で、L’/Dが1.5以下。
 外径Dが88.9mm未満で、t/Dが0.07以下の長尺管材を、L/Dが3.0以上で、L’/Dが3.0以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 外径Dが88.9mm未満で、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが2.5以上で、L’/Dが3.0以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下で、t/Dが0.07以下の長尺管材を、L/Dが2.0以上、L’/Dが2.0以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下で、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが1.5以上で、L’/Dが2.0以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 外径Dが139.7mmを超え、t/Dが0.07以下の長尺管材を、L/Dが1.5以上で、L’/Dが1.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 外径Dが139.7mmを超え、t/Dが0.07を超える長尺管材を、L/Dが1.0以上で、L’/Dが1.5以下となる位置に前記チャック装置で保持して加工を行う、請求項9に記載の方法。
 前記ポジショニングチャックによる芯合せ位置が、前記フローティングチャックから200mm以下の位置に存在する、請求項9~15のいずれかに記載の長尺管材の端部加工方法。
Description:
長尺管材の端部加工方法

 本発明は、例えばメタル-メタル(Metal to  Metal)シール部を有し、または有していない油 井管の端部に継手用のねじを高精度に切削加 工するのに適した、チャック装置で保持され た長尺管材の端部加工方法に関する。使用す るチャック装置は非フローティング方式の通 常のチャック装置でも、あるいはフローティ ングチャックを備えたフローティングチャッ ク装置でもよい。

 油井やガス井の掘削及び原油や天然ガス 生産に使用される油井管は、使用時にカッ リングで接続されるので、管端部に継手用 ねじ(一般にはテーパねじ)が形成される。 のねじには高度の気密性が要求される。そ ため、図3に示すように、油井管1の管端部に ねじを切削加工するに際しては、完全ねじ部 1aに切削加工が施されていない黒皮1bが残る とは許されないという、高い加工精度が要 される。図3中の1cは不完全ねじ部、1dは完全 ねじ部1aと不完全ねじ部1cとの境界位置を示 。

 油井管のような長尺管材の管端部のねじ 工は、回転可能な工作物保持具であるチャ クによって管材の加工端部の近傍を保持し チャックを回転させることにより管材を回 させ、回転させた管材の端部に、管材との 対位置の制御が可能な切削工具を当接させ ことによって行われる。

 油井管は、その長さが約10mまたはそれ以 と長い管材が多く使用され、チュービング 称される外径が114mm以下の小径の管も存在 る。このような長尺の管材では、長手方向 若干の曲がりが存在する。また、外径、肉 に比例して重くなるので、油井管の継手で 、ねじ部の長さを長くする必要がある。従 て、油井管の芯出しを精度良く行わないと 加工精度が悪くなる。

 そこで、油井管のような長尺管材の管端 のねじ加工では、例えば図4に示すような、 軸方向と上下左右方向に移動可能なポジショ ニングチャックと、上下左右方向に移動可能 なフローティングチャックとを備えたフロー ティングチャック装置を用いることが多くな ってきている。図示のフローティングチャッ ク装置2では、まず、管材に形成すべき完全 じ部1aと不完全ねじ部1cとの境界位置1dにお てポジショニングチャック2aによる管材の芯 合せを行う。その後、前記境界位置1dより管 央部側をフローティングチャック2bで保持 て芯出しを行った後、ポジショニングチャ ク2aを開放することにより、長尺管材の保持 が行われる(特公昭64-6886号公報参照)。

 このフローティングチャック装置を用い 場合、一般的なチャックを用いる場合より 管端部に近い地点(即ち、ポジショニングチ ャックの位置)で長尺管材の芯合せが行われ ので、その芯出し精度が良くなる。

 しかし、いくら芯出し精度を良くしても 管端部側の曲がりのために、加工された完 ねじ部に黒皮が残る場合があった。また、 工中の管材の回転によりチャックには開く 向に遠心力が作用するので、この遠心力に するようにチャックの保持圧力をある程度 きくする必要がある。この大きな圧力で保 された油井管は、保持部近傍では楕円形状 なり、この楕円形状部が完全ねじ部に及ん 場合にも、完全ねじ部に黒皮が残る。

 本発明は、フローティングチャック装置 従来型の非フローティング方式のチャック 置のいずれを用いた場合であっても、管端 の曲がりや、保持圧力による管材の楕円形 化が起こっても、切削加工された完全ねじ に黒皮が残ることのない、油井管などの長 管材の管端部を高精度に加工することがで る方法を提供する。

 本発明に係る長尺管材の端部加工方法で 、チャック装置に保持された外径D、肉厚t 長尺管材の端部を加工するに際して、チャ ク装置による保持位置を下記のように制御 ることにより、管端部にねじを切削加工す 場合に完全ねじ部に黒皮が残ることがない うな高精度の加工が可能となる。

 (A)非フローティング方式の通常のチャック 置を使用する場合:
 加工端部に最も近いチャックから長尺管材 加工端部の端面までの長尺管材の突き出し さLと、管材外径Dとの比L/Dが下記範囲内と る位置に尺管材を前記チャック装置で保持 て加工を行う:
(1)管材の外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の 厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0 上、4.5以下;t/Dが0.07を超える時はL/Dが2.5以 、3.5以下;
(2)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合:t/D が0.07以下の時はL/Dが2.0以上、3.5以下;t/Dが0.07 を超える時はL/Dが1.5以上、3.5以下;
(3)管材外径Dが139.7mmを超える場合:t/Dが0.07以 の時はL/Dが1.5以上、2.5以下;t/Dが0.07を超える 時はL/Dが1.0以上、2.5以下。

 (B)フローティングチャックとそれより前方 芯合わせ用のポジショニングチャックとを えたフローティングチャック装置を使用す 場合:
 フローティングチャックから長尺管材の加 端部の端面までの突き出し長さLおよびポジ ショニングチャックから前記端面までの突き 出し長さL’のそれぞれ長尺管材の外径Dに対 る比L/DおよびL’/Dが下記範囲内となる位置 長尺管材を前記フローティングチャック装 で保持して加工を行う:
(1’)管材外径Dが88.9mm未満の場合:長尺管材の 厚tと外径Dとの比t/Dが0.07以下の時はL/Dが3.0 上で、L’/Dが3.0以下;t/Dが0.07を超える時はL/ Dが2.5以上で、L’/Dが3.0以下;
(2’)管材外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の場合: t/Dが0.07以下の時L/Dが2.0以上で、L’/Dが2.0以 ;t/Dが0.07を超える時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが 2.0以下;
(3’)前記外径Dが139.7mmを超える場合:前記t/Dが 0.07以下の時はL/Dが1.5以上で、L’/Dが1.5以下;t /Dが0.07を超える時はL/Dが1.0以上で、L’/Dが1.5 以下。

 フローティングチャック装置を使用する 記(B)の場合、ポジショニングチャックの芯 せ位置がフローティングチャックから200mm 下の位置に存在するフローティングチャッ 装置を使用することが望ましい。

 本発明において「長尺管材」とは、長さが8 m以上の管材を意味する。本発明の効果がよ 顕著となる長尺管材の好ましい長さは10m以 である。
 単に「チャック」と表記した場合は、上下 右への移動ができない非フローティング方 (リジッド型)の保持チャックを意味する。 フローティングチャック」は、上下左右に 動可能な保持チャックを意味する。「ポジ ョニングチャック」は、芯合わせに使用さ る、軸線が上下左右に移動可能で、芯合わ 後に開放されるチャックを意味する。

 本発明は、長尺管材の端部を加工するに し、長尺管材のチャックからの突き出し長 を最適な範囲に規定することにより、管端 の曲がりや、管端部が大きな圧力で保持さ て楕円形状となった場合でも、端部の加工 度が良くなり、ねじ加工を施した場合に完 ねじ部に黒皮が残ることがない。

 本発明に係る加工方法は、油井管の端部 のねじの切削加工に適用するのに最適であ が、それに限られるものではない。本発明 、長尺管材の端部のいかなる加工にも適用 きる。即ち、長尺管材は油井管に限られず 例えば、ラインパイプなどであってもよい また、管端部の加工も、ねじの切削加工に られるものではなく、端面ベベル加工とい た加工にも適用できる。

リジッド型チャックを備えた通常のチ ック装置を用いて端部近傍を保持した長尺 材の端部加工の1例の説明図である。 フローティングチャック装置を用いて 部近傍を保持した長尺管材の端部加工の1例 の説明図である。 長尺管材の端部にねじ切削を施した場 の黒皮不良を説明する図である。 フローティングチャック装置を用いた 出しを説明する図である。

符号の説明

 1:管材、1a:完全ねじ部、1b:黒皮、1c:不完 ねじ部、1d:境界、2:フローティングチャック 装置、2a:ポジショニングチャック、2b:フロー ティングチャック、3:リジッド型チャック装 、3a:フロントチャック

 以下、本発明に至るまでの過程と、本発 の最良の形態例を、非フローティング方式 通常のチャックについて説明する図1と、フ ローティングチャックについて説明する図2 基づいて説明する。

 発明者は、長尺管材、具体的には油井管 端部にねじを切削加工する場合に、フロー ィングチャック装置を使用して芯出し精度 良くしても、完全ねじ部に黒皮が残る場合 あることの原因について考察を行った。

 完全ねじ部に黒皮が残る原因は、長尺管 の端部側の曲がりに起因する振れ回りと、 じを切削する際に、チャック装置による保 部分の管材が保持圧力によって楕円形状に 形することである。端部側の曲がりによっ 発生する黒皮部分は完全ねじ部の管端面側 発生する。一方、チャックの保持圧力によ 変形によって発生する黒皮部分は、図3に示 すように完全ねじ部の保持部側(管中央部側) 発生する。

 このうち、長尺管材の管端部の振れ回り 、管材の端面から管材を保持するチャック 置の端面までの距離(突き出し長さ)Lを小さ することによって抑制することができる。 方、チャック装置による保持圧力は、低す ると保持力が低下して、加工時にビビリが 生するので、保持圧力による保持部近傍の 材の変形はある程度避けられない。この管 の変形は、管径が大きくなるほど、また肉 が薄くなるほど大きくなり、その変形が加 部に及ぼす影響が大きくなる。

 発明者は、このような観点から、加工条 を種々変更して実験を行なった結果、非フ ーティング方式の通常のチャック装置を使 する場合には、長尺管材の加工端部の端面 らチャック装置の加工端部に最も近いチャ クの端面までの距離L(加工時の管材のチャ ク保持部からの突き出し長さ)と長尺管材の 径Dとの比L/Dに最適の範囲があることを見出 した。

 また、発明者は、フローティングチャッ 装置を使用する場合においても、長尺管材 端面からフローティングチャックの端面ま の距離L及び長尺管材の端面からポジショニ ングチャックまでの距離L’と長尺管材の外 Dとの比L/D及びL’/Dに最適の範囲があること 見出した。

 図1は、非フローティング方式の通常のチ ャック装置を使用する場合における本発明の 長尺管材の端部加工方法の一例について説明 する図であり、ねじ切り機によって、長尺管 材1の一方の側端部に所定のねじを切削する 合を示している。

 3はねじ切り機に設けられた通常のチャッ ク装置である。このチャック装置3は、長尺 材1の端部に所定のねじを切削加工する際に その加工される端部の手前側の位置におい 、所定の間隔、例えば2000~2500mmの間隔で、 ロントチャック3aとリアチャック(図示せず) により長尺管材1を保持するものである。ど ちらのチャックもリジッド型、即ち、その軸 方向位置を上下左右に調整することができな い種類のチャックである。ただし、チャック 装置または各チャックを軸方向に移動させる ことにより、各チャックの軸方向位置は調整 可能にしてもよい。フロントチャック3aが加 される管材端部に最も近いチャックである なお、「軸方向」とは長尺管材の軸方向の 味である。

 チャック装置3よって保持された長尺管材 1の一方の端部(即ち、フロントチャック3aか 突き出た端部)の側面には、所定のねじ加工 施すべく、長尺管材1に対する相対位置の制 御が可能なバイト(図示せず)が配置されてい ことは言うまでもない。

 このような通常のチャック装置3で端部近傍 を保持して長尺管材1の端部にねじを切削す に際し、本発明では、長尺管材1の外径Dおよ び肉厚tと外径Dとの比t/Dに応じて、前記突き し長さLと外径Dの比L/Dを下記の範囲となる 置に長尺管材1をチャック装置3で保持してね じ切削を行う。
(1)外径Dが88.9mm未満の長尺管材1では、
 (1-1)t/D(肉厚/外径比)が0.07以下の場合:L/Dは3.0 以上、4.5以下;
 (1-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dは2.5以上、3.5以 下;
(2)外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の長尺管材1で は、
 (2-1)t/Dが0.07以下の場合:L/Dは2.0以上、3.5以下 ;
 (2-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dは1.5以上、3.5以 下;
(3)外径Dが139.7mmを超える長尺管材1では:
 (3-1)t/Dが0.07以下の場合:L/Dは1.5以上、2.5以下 ;
 (3-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dは1.0以上、2.5以 下。

 長尺管材1の突き出し長さLは、長尺管材 チャック装置3に装着してフロントチャク3a 図示しないリアチャックとで保持する時に 管材のフロントチャック3aからの突き出し長 さを調節することにより、L/Dが上記範囲内と なるように調整できる。それに加えて、また は代えて、チャック装置3またはフロントチ ック3aが軸方向に移動可能である場合には、 その移動により管材1の突き出し長さLをL/Dが 記範囲内となるように調整してもよい。

 図2はフローティングチャック装置2を使 する場合の例を示す。フローティングチャ ク装置2は、加工前の芯合わせに使用される ジショニングチャック2aと、加工中に長尺 材を保持する保持位置(チャックの軸方向位 )を上下左右に調整可能なフローティングチ ャック2bとを備える。フローティングチャッ 2bは、チャック装置2の移動またはフローテ ングチャック2bそれ自体を軸方向に移動可 にすることにより、軸方向に移動可能にし もよい。図示しないが、通常はフローティ グチャック2bの後方(管材の中央側)にリジッ 型のリアチャックが配置される。図示のフ ーティングチャック装置では、図4に示すフ ローティングチャック装置2とは異なり、ポ ショニングチャック2aの芯合わせ位置を管材 軸方向に調節可能である。これは、ポジショ ニングチャック2aの軸方向アーム2a’を例え 油圧によりチャック装置2の本体から伸縮さ ることにより行われる。

 フローティングチャック装置2を使用する場 合には、長尺管材1の加工側の端面からフロ ティングチャック2bの端面までの距離L(加工 の管材の突き出し長さ)と、長尺管材1の端 からポジショニングチャック2aの芯合わせ位 置(ポジショニングチャックの中央地点)まで 距離L’(芯合わせ時の管材の突き出し長さ) それぞれと長尺管材1の外径Dとの比L/D及びL /Dが以下の範囲となる位置で保持する。
(1')外径Dが88.9mm未満の長尺管材1では、
 (1'-1)t/D(肉厚/外径比)が0.07以下の場合:L/Dが3. 0以上で、L’/Dが3.0以下;
 (1'-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dが2.5以上で、L /Dが3.0以下;
(2')外径Dが88.9mm以上、139.7mm以下の長尺管材1 は、
 (2'-1)t/Dが0.07以下の場合:L/Dが2.0以上で、L’/ Dが2.0以下
 (2'-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dは1.5以上で、L /Dが2.0以下;
(3')外径Dが139.7mmを超える長尺管材1では:
 (3'-1)t/Dが0.07以下の場合:L/Dは1.5以上で、L’/ Dが1.5以下;
 (3'-2)t/Dが0.07を超える場合:L/Dは1.0以上で、L /Dが1.5以下。

 フローティングチャックの場合、管材1の突 き出し長さの上限はL’/Dにより規定されるの で、L/Dの上限は特に制限されない。
 フローティングチャック2bからの管材1の突 出し長さLは、通常のチャック装置に関して 上述したのと同様にして調整することができ る。ポジショニングチャック2aからの突き出 長さ(即ち、該チャックによる芯合わせ位置 )L’は、ポジショニングチャック2aの軸方向 置を変化させることにより調整できる。

 本発明において、長尺管材1の外径Dや肉 tに応じて、管材の突き出し長さL,L’とその 径Dとの比L/D,L’/Dの最適範囲を変えている は、外径Dが大きくなるほど、また肉厚tが薄 くなるほど、チャック装置2,3の保持圧力によ る変形量が大きくなり、変形部が加工範囲に 及ぶようになるからである。

 また、本発明において管材の突き出し長さL ,L’と外径Dの比L/D,L’/Dを前記範囲内として るのは、以下の理由によるものである。
 すなわち、L/Dが下限値より小さいと、長尺 材1の突き出し長さが不十分で、フロントチ ャック3aやフローティングチャック2bで保持 た際に、保持圧力による変形がねじ切削す 完全ねじ部まで及んでしまい、完全ねじ部 一部、特に管中央部側に黒皮が残る。一方 L/Dが上限値を超えると、長尺管材1の突き出 長さが長すぎ、その端部曲がりの影響によ 、切削した完全ねじ部の一部、特に管端側 黒皮が残る。

 フローティングチャック装置2を使用する 場合、ポジショニングチャック2aの芯合せ位 が、フローティングチャック2bから200mm以下 の位置に存在するフローティングチャック装 置2を使用することが望ましい。即ち、図2に いて、ポジショニングチャック2bの芯合わ 位置(該チャックの中央位置)とフローティン グチャック2a端面との距離Aが200mm以下となる うにすることが望ましい。

 本発明により、ポジショニングチャック2 aによる芯合せ位置が、フローティングチャ ク2bから200mm以下の位置となるフローティン チャック装置2もまた提供される。フローテ ィングチャック2aによる芯合わせ位置がフロ ティングチャック2bから200mmを超えると、長 尺管材1の先端曲がりが大きい場合に、フロ ティングチャック2bの振れ回りが大きくなっ て、フローティングチャック装置2の振動が きくなり、最大回転数を低下させなければ らなくなる。

 フローティングチャック装置2は、図4に すような、ポジショニングチャッック2aの位 置を軸方向に移動できない(従って、芯合わ 位置が固定されている)種類の装置であって よい。その場合でも、望ましくは、ポジシ ニングチャック2aによる芯合わせ位置がフ ーティングチャック2bから200mm以下となるよ に装置を設計し、長尺管材1の突き出し長さ Lを調整することにより、L/DおよびL’/Dが本 明の範囲内となる条件で長尺管材1をチャッ 装置2に保持することが可能となりうる。た だし、芯合わせ位置が固定されていると、長 尺管材の外径Dと肉厚tによっては、本発明の 法を実施できない場合がある。従って、図2 に示すようなポジショニングチャック2aの軸 向位置が移動可能で、長尺管材1の芯合わせ 位置を変更できる種類のフローティングチャ ック装置を使用することが好ましい。

 フローティングチャック装置2による長尺 管材1の保持方法(チャック装置の操作方法)は 従来技術に関して説明したように実施できる 。長尺管材1の加工側の管端をチャック装置 挿入する。この時にポジショニングチャッ 2aの位置は、管材端部に加工すべきねじの完 全ねじ部と不完全ねじ部との境界位置(図3の1 d)になり、かつフローティングチャック2bか の管材1の突き出し長さLとポジショニングチ ャック2aからの管材1の突き出し長さL’が、 発明で規定するL/DおよびL’/Dを満たすよう 行う。必要であれば、ポジショニングチャ ク2a、チャック装置2及び/又はフローティン チャック2bの軸方向位置を移動させる。

 管材1を、図示しないリジッド型のリアチ ャックとポジショニングチャック2aとにより 持し、ポジショニングチャック2aを上下左 方向に移動させて、完全ねじ部と不完全ね 部との境界位置で管材1の芯合わせを行う。 の後、フローティングチャック2bを必要に じて上下左右に動かして管材1を保持し、ポ ショニングチャック2aを開放すると管材1の 出しが達成される。こうして、所定の突き し長さLおよびL’を与えるようにリアチャ クとフローティングチャック2bにより保持さ れた管材1の端部の側面にねじの切削加工を す。

 本発明の効果を確認するために、外径D( 準外径)が73.0mm、114.3mm、または177.8mmの長尺 材(長さはいずれも10m、原管の管端曲がりは3 00mm当たり3.0mm以下)を、図1または図2に示した チャック装置2または3を用いて保持し、その 端部にAPIねじを切削した。各外径の管材に して、肉厚tが異なる2種類の管材を用意し 、t/Dが異なる条件で、管材の突き出し長さL L’を変化させて切削加工を行った。

 その結果の一例を下記表1及び表2に示す 表1は、フローティングチャックを有してい い、図1に示す通常のチャック装置3を使用 た場合、表2は、図2に示すフローティングチ ャック装置2を用いた場合の結果である。L/D よびL’/Dの下線を引いた数値は、本発明の 囲外であることを意味する。

 この切削試験におけるフロントチャック3a( 1)またはフローティングチャック2b(図2)によ る保持圧力は、小さすぎると保持力が低下し て加工時にビビリが発生するので、ビビリが 発生せず、かつ変形量が大きくならないよう に、20~40kgf/cm 2 の範囲内で調整した。

 加工試験の結果は、切削後の黒皮不良と楕 不良により評価した。
 黒皮不良は、完全ねじ部に発生した黒皮部 の面積率を目視で求め、黒皮部分が5%以上 ×、5%未満を○とした。

 楕円不良は、管材1のチャック保持部の全 周測定により、最大径と最小径を測定し、( 大径-最小径)×100/基準外径、により算出した 。こうして求めた楕円不良が5%以上を×、5%未 満を○とした。

 総合評価は、黒皮不良と楕円不良の両方 ○である場合を○、少なくとも一方が×で る場合を×とした。

 上記表1および表2から、本発明に従って ャック装置により長尺管材を保持して管端 を切削加工することにより、曲がりや楕円 形が抑制され、黒皮部分や楕円不良の発生 5%未満に抑制できることが分かる。

 本発明の実施の形態について以上に説明 たが、本発明はこれらの例示に限定される のではなく、特許請求の範囲に示された技 的思想の範疇であれば、各種の変更が可能 あることは言うまでもない。