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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING BETA-LACTAM COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108145
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention is directed to a method for producing a beta-lactam compound, wherein a cyclization reaction of a compound having a double bond and a sulfonyl isocyanate is continuously carried out using a tubular reactor. According to the invention, the reaction operation is easy, superheating due to reaction heat can be prevented, and a beta-lactam compound can be produced in high yield under a higher temperature condition and in a shorter reaction time compared with a conventional method.

Inventors:
KAWACHI HIDEO (JP)
MATSUMOTO SHINGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052338
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
February 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
KAWACHI HIDEO (JP)
MATSUMOTO SHINGO (JP)
International Classes:
C07F7/18; C07D205/08
Foreign References:
JPH11310571A1999-11-09
JPH11310572A1999-11-09
JPH01172393A1989-07-07
JPH04112867A1992-04-14
JPH0320287A1991-01-29
JPH02290888A1990-11-30
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (Kita-ku Osaka-sh, Osaka 88, JP)
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Claims:
 一般式(1):
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 はそれぞれ同一または相異なる、炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキルオキシ基、炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラルキルチオ基、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリールチオ基、炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、又は、水素原子を表す。)で表される化合物と、一般式(2)
  XSO 2 NCO     (2)
(式中、Xは塩素原子、炭素数6~12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数7~19の置換若しくは無置換のアラルキル基または炭素数1~6のアルキル基を示す)で表されるスルホニルイソシアネート類を管型の反応器にそれぞれ連続的に供給し、これらを連続的に反応させることを特徴とする一般式(3):
(式中、R 1 ,R 2 ,R 3 ,R 4 およびXは前記と同じ)で表されるN-スルホニル-β-ラクタム化合物の製造方法。
 請求項1の方法により得られた前記式(3)で表される化合物を還元することを特徴とする一般式(4):
(式中、R 1 ,R 2 ,R 3 およびR 4 は前記と同じ)で表されるβ-ラクタム化合物の製造方法。
 R 3 及びR 4 が水素である請求項1または2に記載の製造方法。
 R 1 が、一般式(5):
(式中、R 5 は水酸基の保護基を示す)で表される基である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 R 2 が、一般式(6):
(式中、R 6 ,R 7 およびR 8 はそれぞれ同一または相異なる炭素数1~6の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数7~19の置換若しくは無置換のアラルキル基を示す)で表される基である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
 管型の反応器内における、前記式(1)で表される化合物および前記式(2)で表される化合物の平均滞留時間が120分以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
 管型の反応器の流路の相当直径が50mm以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 前記式(1)で表される化合物と、前記式(2)で表される化合物の合流部に、可動型あるいは静止型の混合器を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
Description:
β-ラクタム化合物の製造方法

 本発明はβ-ラクタム化合物の製造方法に する。

 一般式(4):

で表されるβ-ラクタムはβ-ラクタム系抗生 物質の基本骨格として重要な化合物である。 β-ラクタム系抗生物質の中でも、チエナマイ シンをはじめとするカルバペネム骨格を有す る化合物は抗菌力ならびに抗菌スペクトルの 広さの点で優れた抗生物質であり、その製造 法に関しては数多くの研究がなされている。

 チエナマイシンおよびその誘導体の製造 有用なβ-ラクタム化合物の合成方法として 、β-アミノ酸構造を持つ化合物を閉環する 法、例えばβ-アミノ酸エステルをグリニヤ 薬を用いて環化する方法(非特許文献1)など 知られているほか、[2+2]環化反応を用いる 法が知られている。

 例えば、特許文献1には、1-アセトキシ-2- チルブタジエンのようなアシルオキシブタ エンとクロロスルホニルイソシアネートを 応させることで、4-(1-メチル-2-アセトキシ ニル)アゼチジノン-2-オンが合成できること 記載されている。

 特許文献2には、ブト-1-エニルアセテート とクロロスルホニルイソシアネートを反応さ せることで、4-アセトキシ-3-エチルアゼチジ -2-オンが得られることが記載されている。

 特許文献3には、アリルダイオダイドとク ロロスルホニルイソシアネートを反応させる ことで、4-ヨードメチル-2-アゼチジノンが得 れることが記載されている。

 特許文献4~6には、3-tert-ブチルメチルシリ ロキシ-ブテ-1-ニルトリメチルシリルエーテ とクロロスルホニルイソシアネートを反応 せることで、3-(1-tert-ブチルジメチルシリロ シエチル)-4-トリメチルシリロキシアゼチジ ン-2-オンが得られることが記載されている。

 特許文献7には、1-ブテニルスルフィド誘 体とクロロスルホニルイソシアネートを反 させることで、2-アゼチジノン誘導体が得 れることが記載されている。

 これらの反応はいずれも[2+2]環化反応に り一般式(3):

で表されるN-スルホニル-β-ラクタム化合物を 生成させ、その後還元することにより目的物 を得るものである。

特開昭55-69586号公報

特開昭55-153789号公報

特開昭56-135464号公報

特開昭61-18791号公報

特開平2-290888号公報

特開平4-112867号公報

特開昭61-207373号公報 T. Kametani et.al., Tetrahedron, 37, 715-719,(198 1)

 一般式(1):

で示される化合物をスルホニルイソシアネ ート類と反応させて、[2+2]環化反応によりN- ルホニル-β-ラクタムを合成する反応は、多 な反応熱を発生することが知られている。 -ラクタムは立体歪が大きく、不安定な4員環 であり、反応熱による反応温度の上昇は、そ れが瞬間的、局所的なものであっても反応に 多大な影響を与え、収率の低下を引き起こす 。そのため従来は、非常に低い反応温度と強 い撹拌条件のもと、前記式(1)で示される化合 物の溶液中にスルホニルイソシアネート類を 長時間かけて滴下するといった方法がとられ ていた。

 本発明は上記問題点に鑑み、反応操作が 易であり、反応熱による過熱を防止でき、 来の方法と比較して高い温度かつ短い反応 間で、β-ラクタム化合物を高収率で製造す 方法を提供することを課題とする。

 本願発明者らは、β-ラクタム化合物の製 方法について鋭意検討した結果、従来のバ チ方式(上述のように原料を滴下するセミバ ッチ方式も含む。以下同じ)で反応を完結さ て生成物を得る方法に対し、前記式(1)で表 れる化合物とスルホニルイソシアネート類 管型の反応器で連続的に反応させることに り、反応熱による過熱を防止できるだけで く、反応時間の短縮も可能とし、高い反応 率でβ-ラクタム化合物を製造できることを 出し、本願発明を完成させるに至った。

 即ち、本願発明は、一般式(1):

(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 はそれぞれ同一または相異なる、炭素数1~20 置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7~ 30の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭 数6~30の置換若しくは無置換のアリール基、 炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキル キシ基、炭素数7~30の置換若しくは無置換の ラルキルオキシ基、炭素数6~30の置換若しく は無置換のアリールオキシ基、炭素数1~20の 換若しくは無置換のアルキルチオ基、炭素 7~30の置換若しくは無置換のアラルキルチオ 、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリー ルチオ基、炭素数1~20の置換若しくは無置換 アルキルオキシカルボニル基、炭素数7~30の 換若しくは無置換のアラルキルオキシカル ニル基、炭素数6~30の置換若しくは無置換の アリールオキシカルボニル基、置換シリルオ キシ基、ハロゲン原子、又は、水素原子を表 す。)で表される化合物と、一般式(2)
  XSO 2 NCO     (2)
(式中、Xは塩素原子、炭素数6~12の置換もしく は無置換のアリール基、炭素数7~19の置換若 くは無置換のアラルキル基または炭素数1~6 アルキル基を示す)で表されるスルホニルイ シアネート類を管型の反応器にそれぞれ連 的に供給し、これらを連続的に反応させる とを特徴とする一般式(3):

(式中、R 1 ,R 2 ,R 3 ,R 4 およびXは前記と同じ)で表されるN-スルホニ -β-ラクタム化合物の製造方法に関する。

 また、本願発明は、上記のようにして得 れた前記式(3)で表される化合物を還元する とを特徴とする一般式(4):

(式中、R 1 ,R 2 ,R 3 およびR 4 は前記と同じ)で表されるβ-ラクタム化合物 製造方法に関する。

 本発明によれば、簡便な反応操作で、反 熱による過熱を防止でき、従来の方法と比 して工業的に有用な高い温度、短い反応時 、かつ高い反応収率でβ-ラクタム化合物を 造することができる。

本発明で用いる装置の一例を示す図で る。 予め原料を混合する混合器(またはマイ クロミキサー)を有する反応装置の例である

符号の説明

 1a…化合物(1)の原料タンク
 1b…化合物(2)の原料タンク
 2…定量ポンプ
 3…流路
 4…管型反応器
 5…還元反応器
 6…冷却装置
 7…混合器

 本発明の一般式(3):

で表されるN-スルホニル-β-ラクタム化合物 の製造方法は、一般式(1):

で示される化合物と一般式(2):
  XSO 2 NCO   (2)
で示されるスルホニルイソシアネート類を管 型の反応器中で連続的に反応させることを特 徴とする。

 前記式(1)、(3)中のR 1 、R 2 、R 3 及びR 4 で示される基はそれぞれ同一、または相異な っていてもよい炭素数1~20の置換若しくは無 換のアルキル基、炭素数7~30の置換若しくは 置換のアラルキル基、炭素数6~30の置換若し くは無置換のアリール基、炭素数1~20の置換 しくは無置換のアルキルオキシ基、炭素数7~ 30の置換若しくは無置換のアラルキルオキシ 、炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリー ルオキシ基、炭素数1~20の置換若しくは無置 のアルキルチオ基、炭素数7~30の置換若しく 無置換のアラルキルチオ基、炭素数6~30の置 換若しくは無置換のアリールチオ基、炭素数 1~20の置換若しくは無置換のアルキルオキシ ルボニル基、炭素数7~30の置換若しくは無置 のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6 ~30の置換若しくは無置換のアリールオキシカ ルボニル基、置換シリルオキシ基、ハロゲン 原子、又は、水素原子を表す。ここで、置換 基としては、アルキル基、アリール基、アラ ルキル基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基 、シリルオキシ基などがあげられる。

 炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキ ル基としては、具体的には、メチル基、エチ ル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、 オクチル基、ドデシル基、若しくは一般式(5) :

(R 5 は水酸基の保護基を表す。)で表される基な があげられる。ここで、R 5 は、水酸基の保護基を表し、水酸基の保護基 としてはプロテクティブ・グループス・イン ・オーガニックシンセシス第2版に記載の保 基があげられる。保護基として好ましくは リメチルシリル基、トリエチルシリル基、 -tert-ブチルメチルシリル基、トリイソプロ ルシリル基、フェニルジメチルシリル基、te rt-ブチルジフェニルシリル基、ジメチル-1,1,2 -トリメチルプロピルシリル基などがあげら る。

 炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラル キル基としてはベンジル基、フェニルエチル 基、トリフェニルメチル基、キシリル基など があげられる。

 炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリー ル基としてはフェニル基、メチルフェニル基 、ナフチル基などがあげられる。

 炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキ ルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ 基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘプチ ルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオ キシ基などがあげられる。

 炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラル キルオキシ基としてはベンジルオキシ基、フ ェニルエトキシ基、トリフェニルメトキシ基 、キシリルオキシ基などがあげられる。

 炭素数6~30の置換もしくは無置換のアリー ルオキシ基としてはフェニルオキシ基、メチ ルフェニル基、ナフチルオキシ基などがあげ られる。

 炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキ ルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ 基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチ ルチオ基、オクチルチオ基などがあげられる 。

 炭素数7~30の置換若しくは無置換のアラル キルチオ基としてはベンジルチオ基、フェニ ルエチルチオ基、トリフェニルメチルチオ基 、キシリルチオ基などがあげられる。

 炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリー ルチオ基としてはフェニルチオ基、メチルフ ェニルチオ基、ナフチルチオ基などがあげら れる。

 炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルキ ルオキシカルボニル基としては、メトキシカ ルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポ キシカルボニル基などがあげられる。

 炭素数7~30のアラルキルオキシカルボニル 基としては、ベンジルオキシキルボニル基、 フェニルエチルオキシカルボニル基、トリフ ェニルメチルカルボニル基などがあげられる 。

 炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリー ルオキシカルボニル基としては、フェニルオ キシカルボニル基、メチルフェニルオキシカ ルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基な どがあげられる。

 置換シリルオキシ基としては、一般式(6):

で表される化合物があげられる。

 ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、 素またはヨウ素があげられる。

 前記式(6)中のR 6 、R 7 およびR 8 はそれぞれ同一または相異なる炭素数1~6の置 換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6~12 置換若しくは無置換のアリール基、炭素数7~ 19の置換若しくは無置換のアラルキル基を示 。

 炭素数1~6の置換若しくは無置換のアルキ 基としては、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル などがあげられる。

 炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリー ル基としては、フェニル基、メチルフェニル 基、ナフチル基などがあげられる。

 炭素数7~19の置換若しくは無置換のアラル キル基としてはベンジル基、フェニルエチル 基、トリフェニルメチル基、キシリル基など があげられる。

 R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 の組み合わせとして好ましくはR 3 及びR 4 が水素である化合物である。

 さらに、R 3 及びR 4 が水素である化合物においてR 1 及びR 2 の好ましい組み合わせとしては、R 1 が前記式(5)で表される基であり、R 2 が前記式(6)で表される基である化合物であり 、この場合の化合物(1)としては一般式(7):

(式中、R 5 ,R 6 ,R 7 ,R 8 は前記と同じ)で表される化合物である。

 また、前記式(2)、(3)中のXは、塩素原子、炭 素数6~12の置換もしくは無置換のアリール基 炭素数7~19の置換若しくは無置換のアラルキ 基または炭素数1~6の置換もしくは無置換の ルキル基である。置換もしくは無置換のフ ニル基、アラルキル基、炭素数1~6のアルキ 基として、具体的には前述のR 6 ,R 7 ,R 8 と同じ基があげられる。Xとして好ましいの 塩素原子である。

 前記式(1)で表される化合物および前記式( 2)で表されるスルホニルイソシアネート類は 無溶媒または、塩化メチレン、テトラヒド フラン、n-ヘキサン、トルエン、クメン、 チルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサ 、シクロペンタン、メチルシクロペンタン エチルエーテル等、あるいはこれらの混合 といった、前記式(1)及び(2)で示される化合 に対して不活性である有機溶媒の溶液とす ことができる。2種以上の溶媒を用いる場合 その混合比に特に制限はない。

 また、前記式(1)及び(2)で表される化合物 それぞれ異なる溶媒に溶解して反応させて 良い。このうち特に、トルエン、クメンと った芳香族炭化水素溶媒、あるいはメチル クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シ ロペンタン、メチルシクロペンタンといっ シクロアルカン溶媒の存在する溶液とした 合に、良好な収率で、前記式(3)で表されるN -スルホニル-β-ラクタム化合物を得ることが き、その中でも特に芳香族炭化水素溶媒と クロアルカン溶媒の混合溶媒の溶液とした 合に、高い収率でβ-ラクタム化合物を得る とができる。

 この反応の反応温度は、従来のバッチ方 において良好な収率でN-スルホニル-β-ラク ム化合物を得るためには、できるだけ低く て行うことが必要であった。例えば前記式( 3)で表されるN-スルホニル-β-ラクタム化合物 うち、一般式(8):

(式中、R 5 ,R 6 ,R 7 ,R 8 は前記と同じ)で表される化合物の合成反応 おいて、連続方式ではなくバッチ方式を用 て良好な収率でN-スルホニル-β-ラクタム化 物を得るためには-70℃以下という極めて低 温度が必要であった。しかし、本発明によ ば、従来の方法に比べて瞬間的、局所的な 応温度の上昇が抑えられるため、-70℃より い温度に設定しても良好な収率を達成でき 。この、反応温度を高く設定できるという とは、冷却にかかる負荷を大幅に軽減する とにつながり、工業的に極めて有用である

 反応温度は-100℃から0℃の範囲で選択す ことができるが、後述するような好ましい 体配置のβ―ラクタム化合物が得られる反応 温度として、-65℃から-20℃の範囲が好ましく 、-65℃から-30℃の範囲がさらに好ましい。

 反応時間は設定した反応条件における反 速度に応じて適宜設定すればよい。なお、 応時間は反応器の容積を原料の流量(原料の 送液速度)で除した、平均滞留時間として設 することができる。好ましい平均滞留時間 120分以下であり、より好ましくは90分以下で あり、さらに好ましくは60分以下である。下 は10分以上であり、さらに好ましくは20分以 上である。平均滞留時間が長すぎると、副反 応が進行して収率が低下するので好ましくな い。また、平均滞留時間が短すぎると、反応 が十分に進行せず、やはり収率が低下するの で好ましくない。

 単位時間あたりに供給される、前記式(1) 示される化合物1モルに対する前記式(2)で示 される化合物のモル数(原料の供給モル比)は 好ましくは0.75~1.25倍であり、より好ましく 0.8~1.2倍であり、とりわけ好ましくは0.9~1.1 である。

 前記式(1)及び(2)で示される化合物を混合 て得られる前記式(3)で表されるN-スルホニ -β-ラクタム化合物は、還元反応により、よ 安定な一般式(4):

で表されるβ-ラクタム化合物とすることがで きる。式中、R 1 、R 2 ,R 3 、R 4 及びXは前記と同じである。

 還元反応は、特開平4-112867記載の方法な 従来公知の方法により実施できる。具体的 は、例えば、無機塩を用いる方法によりお なうことができるほか、水素化リチウムア ミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水 化金属化合物や、チオフェノールやアルキ メルカプタン等のチオール化合物、アルカ 金属と電子受容体とから生成させた金属-陰 オンラジカル、あるいは硫化水素と塩基に る方法によりおこなうことができる。この 元反応も多大な反応熱を発生する。反応熱 よる反応温度の上昇は収率低下を招くため 従来の回分あるいは半回分による反応では 反応温度の上昇を防止するため、N-スルホ ル-β-ラクタム化合物を含む反応液を前記の うな還元剤中に長時間かけて滴下する方法 とられていた。しかし、本発明によれば、 応液は管型の反応器から一定の流量で流出 てくるため、引き続き管型の反応器を用い 還元剤と連続的に接触させるか、あるいは 切な除熱能力を持つ還元反応槽を用いるこ によって特別な操作を要することなく、反 熱による過熱を回避しながら還元反応を実 することができる。

 前記式(4)で表されるβ-ラクタム化合物の ち、一般式(9):

(式中、R 5 ,R 6 ,R 7 およびR 8 は前記に同じ)で表される化合物は、4-位のシ リルエーテル基(前記式(6)で表される基)が反 性に富み、簡単な置換反応によって容易に エナマイシン製造に有用な3-(1-ヒドロキシ チル)-4-アセトキシアゼチジン-2-オンや3-(1- ドロキシエチル)-4-ハロアゼチジン-2-オンが 得できることから、特に有用な化合物であ 。この化合物は、それぞれ対応する置換基 有する前記式(1)及び(2)で表される化合物を 発明の方法により反応させることで、何ら 題なく合成できる。

 前記式(9)で表される化合物の立体構造につ ては、3種の不斉炭素が存在し、8種の立体 性体の生成が可能であるが、好適には3-(R)、 4-(R)の立体配置と、前記式(5)で表される基に ける不斉炭素の配置が(R)の化合物が望まし 。前記式(1)として前記式(7)で表される化合 を用いる場合、R 6 、R 7 、R 8 がすべてメチル基、R 6 、R 7 が各々メチル基でR 8 がtert-ブチル基、R 6 、R 7 が各々フェニル基でR 8 がtert-ブチル基で表される基である場合、N- ルホニル-β-ラクタム化合物(8)の3-位と4-位の 立体配置が望ましいトランス体になり、β-ラ クタム環の3-位における立体配置が望ましい( R)体になりやすい。この場合、N-スルホニル- -ラクタム化合物(8)を還元して得られるβ-ラ タム化合物(9)も同様な立体配置を有する。

 本発明にかかる方法においては、前記式( 1)で表される化合物と前記式(2)で表されるス ホニルイソシアネート類を連続的に反応さ る。これにより、反応熱による過熱を防止 きるだけでなく、反応時間の短縮も可能で り、さらには、高い反応収率でβ-ラクタム 合物を製造することが可能になる。ここで 「連続的に反応させる」とは「原料を連続 に供給し、生成物を含有する反応液を連続 て得ること」を指し、本反応においては、 記式(1)及び(2)で表される化合物をそれぞれ 続的に反応器に供給し、これらを混合して 前記式(3)で表される化合物を連続的に得る とを指し、原料を供給し、反応が全て終了 てから初めて生成物を取得する従来のバッ 方式とは異なる方式である。

 連続反応を実現するための管型反応器と ては、原料である前記式(1)及び(2)で表され 化合物を供給するための2つの供給流路、原 料を混合・反応する反応部、生成物の払い出 し流路を有している限り、その形状や構成は 特に制限されない。

 管型反応器の形状は円管状、角管状、多 形管状、楕円管状あるいは二重管の外周部 利用するなど、その断面形状については特 制限されないが、円管状あるいは楕円管状 好ましく、円管状がさらに好ましい。

 管型反応器のサイズは、反応器内の流動 混合状態を良好に維持し、偏流を防止可能 限りにおいては特に問うものではないが、 当直径として50mm以下が好ましく、30mm以下 より好ましく20mm以下がさらに好ましい。下 はスルホニルイソシアネート類と原料中の 分によって生成する微量の析出物による閉 を防止するため、0.01mm以上がより好ましく 0.1mm以上がさらに好ましい。ここで、相当 径とは、断面形状を円管に置き換えた場合 直径を指し、次式であらわされる。

      相当直径(m)=4×流れの断面積(m 2 )/浸辺長(m)。

 なお、反応器は必ずしも直線である必要 なく、U字やコイル状、またはそれらを組み 合わせたものなどでもよい。

 前記式(1)及び(2)で示される化合物の混合 良好に実施するため、前記式(1)及び(2)で示 れる化合物を供給するための2つの供給流路 と反応部の間に可動型あるいは静止型の混合 器などが単独あるいは組み合わせて設けられ ていてもよい。静止型の混合器には、微小空 間で短時間に混合をおこなう、いわゆるマイ クロミキサーも含まれる。マイクロミキサー としては、例えばInstitut fur Mikrotechnik Mainz( 称:IMM)社で開発されたマイクロミキサーな があげられるが、本発明においてはT字、Y字 状の単純なものもその中に含まれる。マイク ロミキサーを用いることで、短時間の混合と 除熱が達成され、反応をより好ましく行うこ とが可能になる。

 前記式(1)と前記式(2)で示される化合物の 応を低温で実施する場合は、反応器に適宜 却装置を設置してやればよい。冷却装置の 態としては特に制限されず、例えば反応器 ジャケットを設置し、冷却用の媒体を流す 、従来公知の冷却方法をとることができる

 前記式(1)と前記式(2)で示される化合物を 続的に供給する方法としては、定量ポンプ どを供給流路に設置する方法のほか、供給 路の上流側より不活性ガス等を用いて圧力 かけ、流速制御用のバルブで調整する等、 来公知の方法を用いることができる。

 管型反応器を含めた反応装置の例を図1、 図2に示すが、本発明にかかる方法に用いら る反応装置はこれらに限定されるものでは い。

 図1に示された反応装置は、原料タンク1a, 1b、定量ポンプ2a,2b、流路3a,3b,3c、管型反応器 4、還元反応器5を有する。原料タンク1aおよ 1bは、それぞれ供給流路3a,3bを介して管型反 器4に接続され、管型反応器4は、払い出し 路3cを介して還元反応器5に接続されている 供給流路3a,3bにはそれぞれ定量ポンプ2a,2bが 置され、これにより、原料が管型反応器4に 連続的に供給される。管型反応器4は冷却装 6を備えており、反応の際、必要に応じて冷 されて、反応液の温度が調節される。

 図1に示された反応器においては、原料タ ンク1a,1bから供給された前記式(1)及び(2)で表 れる化合物は、管型反応器4に導入されて混 合され、これらの反応が行われることとなる 。このようにして得られた前記式(3)で表され る化合物を含む反応液は、還元反応器5に導 され、前記式(3)で表される化合物の還元反 が行われることとなる。

 図1の反応器には、上述の流路形態や可動 型あるいは静止型の混合器を設置することが できる。図1の反応装置の2つの供給流路3a,3b 結合するように混合器7が設置された装置の 略構成図を図2に示す。図2のように混合器 設けることにより、前記式(1)で表される化 物と(2)で表される化合物の混合が速やかに われるようになり、反応をより好ましく行 ことが可能になる。

 以下、実施例により、本発明をさらに詳 に説明するが、本発明はこれらに限定され ものではない。なお、実施例及び比較例に ける反応収率は、ガスクロマトグラフィー 析にて反応生成物を定量し、そのモル数を 給した前記式(1)で示される化合物のモル数 の比率(百分率)として求めた。ガスクロマ グラフィー分析条件は下記の通りである。

   カラム   : 化学品検査協会 G-100カラ  1.2mm×40m
   カラム温度 : 160℃
   注入口温度 : 230℃
   検出器温度 : 230℃
   キャリアガス: 窒素、42cc/min
   水素圧   : 0.6kg/cm 2
   空気圧   : 0.6kg/cm 2
   検出器   : FID。

 (実施例1)
 3-(tert-ブチルジメチルシリロキシ)ブト-1-エ ルトリメチルシリルエーテルのトルエン溶 (濃度0.70mol/L)と、クロロスルホニルイソシ ネートのトルエン溶液(濃度0.72mol/L)をそれぞ れ3.0mL/min、3.0mL/min(供給モル比=1.03)の速度で 量ポンプ(株式会社フロム製パルスコントロ ルポンプ)を用いて連続的に送液し、-50℃に 冷却した、内径0.5mmのポリテトラフルオロエ レン(以下、「PTFE」)製T字形状のマイクロミ キサーを備える内径2mm、長さ40mのPTFE製管型 応器で反応をおこなった(平均滞留時間は約2 0分)。このようにして得られた反応液は、還 反応器に導入した。還元反応器には、硫化 素と塩基を含む溶液を予め仕込んでおくこ により、管型反応器から出てきた液をただ に還元反応に供した。その後、還元反応器 の液を水洗、分液して、3-(1-(tert-ブチルジ チルシリロキシ)エチル)-4-(トリメチルシリ キシ)アゼチジン-2-オンのトルエン溶液を得 。反応収率は67.3%であった。

 (実施例2)
 3-(tert-ブチルジメチルシリロキシ)ブト-1-エ ルトリメチルシリルエーテルのトルエン溶 (濃度0.67mol/L)と、クロロスルホニルイソシ ネートのトルエン溶液(濃度0.75mol/L)をそれぞ れ4.6mL/min、4.2mL/min(供給モル比=1.02)の速度で 液し、PTFE製管型反応器の長さを60m(平均滞留 時間約20分)としたほかは実施例1と同様の操 をすることにより、実施例1と同じβ-ラクタ 化合物を得た。反応収率は69.6%であった。

 (実施例3)
 3-(tert-ブチルジメチルシリロキシ)ブト-1-エ ルトリメチルシリルエーテルのトルエン溶 (濃度0.69mol/L)と、クロロスルホニルイソシ ネートのトルエン溶液(濃度0.73mol/L)をそれぞ れ1.5mL/min、1.5mL/min(供給モル比=1.06)の速度で 液し、-30℃に冷却した、内径0.5mmのPTFE製T字 状のマイクロミキサーを備える内径2mm、長 30mのPTFE製管型反応器で反応をおこなった( 均滞留時間は約30分)。このようにして得ら た反応液は、還元反応器に導入した。還元 応器には、硫化水素と塩基を含む溶液を予 仕込んでおくことにより、管型反応器から てきた液をただちに還元反応に供した。そ 後、還元反応器内の液を水洗、分液して3-(1- (tert-ブチルジメチルシリロキシ)エチル)-4-(ト リメチルシリロキシ)アゼチジン-2-オンのト エン溶液を得た。反応収率は64.0%であった。

 (実施例4)
 3-(tert-ブチルジメチルシリロキシ)ブト-1-エ ルトリメチルシリルエーテルをトルエン/メ チルシクロヘキサン=1/1(体積比)混合溶媒に溶 解した溶液(濃度0.66mol/L)とクロロスルホニル ソシアネートを同じ混合溶媒に溶解した溶 (濃度0.80mol/L)をそれぞれ4.6mL/min、4.2mL/min(送 モル比=1.10)の速度で送液し、-50℃に冷却し 、内径0.5mmのPTFE製T字形状のマイクロミキサ ーを備える内径2mm、長さ60mのPTFE製管型反応 で反応をおこなった(平均滞留時間は約20分) このようにして得られた反応液は、還元反 器に導入した。還元反応器には、硫化水素 塩基を含む溶液を予め仕込んでおくことに り、管型反応器から出てきた液をただちに 元反応に供した。その後、還元反応器内の を水洗、分液して3-(1-(tert-ブチルジメチル リロキシ)エチル)-4-(トリメチルシリロキシ) ゼチジン-2-オンのトルエン溶液を得た。反 収率は73.7%であった。

 (比較例1)
 内容積50mLの3ツ口フラスコ中に、クロロス ホニルイソシアネート1.0g(7.0mmol)とトルエン9 mLを仕込み、そこへ3-(tert-ブチルジメチルシ ロキシ)ブト-1-エニルトリメチルシリルエー ル1.8g(6.6mmol)を、反応温度を-70℃以下に保ち ながら約1時間で滴下し、その後6時間撹拌を こなって反応させた。反応後の液を、硫化 素と塩基を含む溶液中に移送して、還元反 をおこなった。その後、この液を水洗、分 して3-(1-(tert-ブチルジメチルシリロキシ)エ ル)-4-(トリメチルシリロキシ)アゼチジン-2- ンのトルエン溶液を得た。反応収率は65%で った。