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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING CARBONATE COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072502
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method by which various fluorine-containing carbonate compounds can be freely produced with high yield without using phosgene and without by-producing hydrogen chloride. Specifically disclosed is a method wherein a fluorine-containing compound having a carbonate bond is obtained by reacting a compound (1) shown below with a fluorine-containing compound having at least one OH group. In the formula (1) below, X1-X6 respectively represent a hydrogen atom or a halogen atom; at least one of X1-X3 represents a halogen atom; and at least one of X4-X6 represents a halogen atom.

Inventors:
OKAMOTO HIDEKAZU (JP)
TAJIMA KOUHEI (JP)
OKAZOE TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071904
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
December 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
OKAMOTO HIDEKAZU (JP)
TAJIMA KOUHEI (JP)
OKAZOE TAKASHI (JP)
International Classes:
C07C68/00; C07C69/96; C07D317/36; C07D317/38; C07D319/06; C07B61/00
Foreign References:
RU2309935C12007-11-10
US4353831A1982-10-12
JPH11195429A1999-07-21
JP2005060261A2005-03-10
JP2000319230A2000-11-21
JPH07206847A1995-08-08
JPS60197639A1985-10-07
US4353831A1982-10-12
RU2309935C12007-11-10
JPS6052741B21985-11-21
JPS6116255B21986-04-28
US6235950B12001-05-22
Other References:
See also references of EP 2218708A4
JOURNAL OF CATALYSIS, vol. 241, no. 1, 2006, pages 34 - 44
ANALYTICAL CHEMISTRY, vol. 55, no. 8, 1983, pages 1222 - 1225
JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 44, no. 3, 1979, pages 359 - 363
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 下式(1)で表される化合物と、OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化合物とを反応させて、カーボネート結合を有する含フッ素化合物を得ることを特徴とする、カーボネート化合物の製造方法。
 式中、X 1 ~X 3 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を表し、X 1 ~X 3 のうち少なくとも1つはハロゲン原子であり、X 4 ~X 6 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を表し、X 4 ~X 6 のうち少なくとも1つはハロゲン原子である。
 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化合物が、α位にフッ素原子を有しない、エーテル性の酸素原子を有してもよい、炭素数2~10のポリフルオロアルカンモノオール、またはα位にフッ素原子を有しない、エーテル性の酸素原子を有してもよい、炭素数3~10のポリフルオロアルカンジオールである、請求項1に記載のカーボネートの製造方法。
 前記反応を触媒の存在下に行う、請求項1または2に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記触媒が、ハロゲン塩である、請求項3に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記ハロゲン塩が、アルカリ金属のハロゲン塩、アルカリ土類金属のハロゲン塩、アンモニウムのハロゲン塩、第4級アンモニウムのハロゲン塩、およびハロゲン塩構造を有するイオン交換樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、請求項4に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記ハロゲン塩が、アルカリ金属のフッ化物である、請求項4または5に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記反応を前記触媒および助触媒の存在下に行い、前記助触媒が固体酸触媒である、請求項3~6のいずれかに記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記固体酸触媒が、酸点を有する金属酸化物、ヘテロポリ酸、および陽イオン交換樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記酸点を有する金属酸化物が、酸化セリウム(CeO 2 /Ce 2 O 3 )、シリカアルミナ(SiO 2 ・Al 2 O 3 )、γ-アルミナ(Al 2 O 3 )、シリカマグネシア(SiO 2 ・MgO)、ジルコニア(ZrO 2 )、シリカジルコニア(SiO 2 ・ZrO 2 )、ZnO・ZrO 2 、およびAl 2 O 3 ・B 2 O 3 からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記カーボネート結合を有する含フッ素化合物が、下式(31)で表わされる化合物または下式(32)で表わされる化合物である、請求項1~9のいずれかに記載のカーボネート化合物の製造方法。
 式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ1価の含フッ素脂肪族炭化水素基または1価の含フッ素芳香族炭化水素基を表す、但しR 1 およびR 2 は同一の基ではない。
 前記カーボネート結合を有する含フッ素化合物が、下式(3a)で表わされる環状カーボネート化合物である、請求項1~9のいずれかに記載のカーボネート化合物の製造方法。
 式中、R 3 は、2価の含フッ素脂肪族炭化水素基または2価の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。
 前記カーボネート結合を有する含フッ素化合物が、下式(3b)で表わされる線状カーボネート化合物である、請求項1~9のいずれかに記載のカーボネート化合物の製造方法。
 式中、R 3 は、2価の含フッ素脂肪族炭化水素基または2価の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。
 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化合物が、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノール(ヘキサフルオロイソプロパノール)、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール、2,2-ジフルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(ペンタフルオロエトキシ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,2-ジフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-(ペンタフルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)、2,2,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)および含フッ素フェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~10に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化合物が、3,3,3-トリフルオロ-1,2-プロパンジオール、4,4,4,3,3-ペンタフルオロ-1,2-ブタンジオール、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ブタンジオール、3,3,4,4-テトラフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-1,8-オクタンジオール、テトラフルオロヒドロキノン、テトラフルオロレゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパンおよび下式(X)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~9、11、12に記載のカーボネート化合物の製造方法。
 HO-CH 2 CF 2 -(CF 2 CF 2 O) m -CF 2 CH 2 -OH ・・・(X)
 式中、mは2~30の整数である。
 前記反応を、生成するCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施する、請求項1~14のいずれかに記載のカーボネート化合物の製造方法。
Description:
カーボネート化合物の製造方法

 本発明は、含フッ素カーボネート化合物 新規製造方法に関する。

 カーボネート化合物の製造方法としては、 記方法が知られている。
 (1)触媒の存在下に、炭酸ガスとアルケンオ サイドとを反応させて環状カーボネートを 造する方法(たとえば、特許文献1参照)。
 (2)ホスゲン(COCl 2 )とアルコールとを反応させてジアルキルカ ボネートまたは環状カーボネートを製造す 方法(たとえば、特許文献2参照)。
 (3)エステル交換反応触媒の存在下、環状カ ボネートまたはジメチルカーボネートとア コールとのエステル交換反応によって製造 る方法(たとえば、非特許文献1参照)。
 (4)クロロ蟻酸メチルとアルコールとの反応 よって製造する方法(たとえば、特許文献2 照)。

 しかし、(1)の方法では、環状カーボネート みの製造しかできず、種々のカーボネート 合物をつくり分けることができない問題が る。
 (2)の方法では、副生する塩化水素により製 設備が腐食する;ホスゲンは毒性を有する等 の問題がある。
 (3)の方法は、平衡反応であるため、目的物 収率を向上するためには大過剰のアルコー を用いなければならない;副生する非対称の カーボネート化合物の分離除去が困難である 等の問題がある。
 (4)の方法では、副生する塩化水素により製 設備が腐食する等の問題がある。

 なお、ヘキサクロロアセトンとアルコール を反応させた例としては、下記の例が報告 れている。
 (5)ヘキサクロロアセトンとメタノールとの 応でトリクロロアセテートを合成した例(非 特許文献2)。
 (6)ヘキサクロロアセトンと2-メチル-2-プロ ン-1-オールとの室温以下の反応でジ(2-メチ -2-プロペン-1-イル)カーボネートの生成が確 された例(非特許文献3)。
 (7)塩基触媒(強塩基と弱酸との塩)存在下に シナルジオール化合物(プロピレングリコー 等。)とヘキサクロロアセトンとの反応で環 状のアルキレンカーボネートおよびクロロホ ルムが生成した例(特許文献3)。
 (8)2族または3族の金属ハイドロシリケート 媒を用いてビシナルジオール化合物(プロピ ングリコール等。)とヘキサクロロアセトン との反応で環状のアルキレンカーボネートお よびクロロホルムが生成した例(特許文献4)。

 しかし、ヘキサクロロアセトンと、含フ 素アルコールとの反応で、含フッ素カーボ ート化合物を合成した例は知られていない 含フッ素アルコールは、フッ素原子の電子 引性のため、OH基の酸解離度が高い化合物 多い。特に、OH基のβ位にフッ素原子を有す 化合物はこの効果が大きい。そのため、含 ッ素アルコールは、フッ素原子を有さない ルコールに比べ、ヘキサクロロアセトンと 反応性が極めて低くなることが予想される

特開平07-206847号公報

特開昭60-197639号公報

米国特許第4353831号明細書

露国特許第2309935号明細書 Journal of Catalysis、2006年、第241巻、第1号 、p.34-44 Analytical Chemistry、1983年、第55巻、第8号 p.1222-1225 Journal of Organic Chemistry、1979年、第44巻 第3号、p.359-363

 本発明は、ホスゲン等の毒性の化合物を いることなく、かつ塩化水素等の腐食性ガ を副生することなく、種々の含フッ素カー ネート化合物を高い収率で自由に作り分け ことができる新規な製造方法を提供する。

 本発明のカーボネート化合物の製造方法 、下式(1)で表される化合物と、OH基を少な とも1つ有する含フッ素化合物とを反応させ 、カーボネート結合を有する含フッ素化合 を得ることを特徴とする。

 式中、X 1 ~X 3 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を 表し、X 1 ~X 3 のうち少なくとも1つはハロゲン原子であり X 4 ~X 6 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を 表し、X 4 ~X 6 のうち少なくとも1つはハロゲン原子である

 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素 合物は、α位にフッ素原子を有しない、エ テル性の酸素原子を有してもよい、炭素数2~ 10のポリフルオロアルカンモノオール、また α位にフッ素原子を有しない、エーテル性 酸素原子を有してもよい、炭素数3~10のポリ ルオロアルカンジオールであることが好ま い。

 本発明のカーボネート化合物の製造方法に いては、前記反応を触媒の存在下に行うこ が好ましい。
 前記触媒は、ハロゲン塩が好ましい。本明 書において、ハロゲン塩とは金属または有 のカチオンとハロゲンイオンとの塩を言う
 前記ハロゲン塩は、アルカリ金属のハロゲ 塩、アルカリ土類金属のハロゲン塩、アン ニウムのハロゲン塩、第4級アンモニウムの ハロゲン塩、およびハロゲン塩構造を有する イオン交換樹脂からなる群から選ばれる1種 上であることが好ましい。
 前記ハロゲン塩は、アルカリ金属のフッ化 であることが好ましい。

 本発明のカーボネート化合物の製造方法に いては、前記反応を前記触媒および助触媒 存在下に行い、前記助触媒が固体酸触媒で ることが好ましい。
 前記固体酸触媒は、酸点を有する金属酸化 、ヘテロポリ酸、および陽イオン交換樹脂 らなる群から選ばれる少なくとも1種である ことが好ましい。
 前記酸点を有する金属酸化物は、酸化セリ ム(CeO 2 /Ce 2 O 3 )、シリカアルミナ(SiO 2 ・Al 2 O 3 )、γ-アルミナ(Al 2 O 3 )、シリカマグネシア(SiO 2 ・MgO)、ジルコニア(ZrO 2 )、シリカジルコニア(SiO 2 ・ZrO 2 )、ZnO・ZrO 2 、およびAl 2 O 3 ・B 2 O 3 からなる群から選ばれる少なくとも1種であ ことが好ましい。

 前記カーボネート結合を有する含フッ素 合物は、下式(31)で表わされる化合物または 下式(32)で表わされる化合物であることが好 しい。

 式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ1価の含フッ素脂肪族炭化水素 または1価の含フッ素芳香族炭化水素基を表 、但しR 1 およびR 2 は同一の基ではない。
 前記カーボネート結合を有する含フッ素化 物が、下式(3a)で表わされる環状カーボネー ト化合物または下式(3b)で表わされる線状カ ボネート化合物であることが好ましい。

 式中、R 3 は、2価の含フッ素脂肪族炭化水素基または2 の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。

 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化 物は、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3 ,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テト フルオロプロパノール、1-トリフルオロメ ル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノール(ヘキサフ ルオロイソプロパノール)、2,2,3,4,4,4-ヘキサ ルオロブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフル ロペンタノール、2,2-ジフルオロ-2-(1,1,2,2-テ トラフルオロ-2-(ペンタフルオロエトキシ)エ キシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,2-ジフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-(テト ラフルオロ-2-(ペンタフルオロエトキシ)エト シ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサ フルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポ キシ)プロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)、2,2,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプ フルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)および含フッ素フェノールからなる群から 選ばれる少なくとも1種であることが好まし 。

 前記OH基を少なくとも1つ有する含フッ素化 物は、3,3,3-トリフルオロ-1,2-プロパンジオ ル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロ-1,2-ブタンジオ ル、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ブタンジオ ール、3,3,4,4-テトラフルオロ-1,6-ヘキサンジ ール、3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-1,8-オク ンジオール、テトラフルオロヒドロキノン テトラフルオロレゾルシノール、2,2-ビス(4- ドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパ および下式(X)で表される化合物からなる群 ら選ばれる少なくとも1種であることが好ま い。
 HO-CH 2 CF 2 -(CF 2 CF 2 O) m -CF 2 CH 2 -OH ・・・(X)
 式中、mは2~30の整数である。mは、4~10が好ま しい。

 本発明のカーボネート化合物の製造方法に いては、前記反応を、生成するCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施することが 好ましい。

 本発明のカーボネート化合物の製造方法 よれば、ホスゲン等の毒性の化合物を用い ことなく、かつ塩化水素等の腐食性ガスを 生することなく、種々の含フッ素カーボネ ト化合物を高い収率で自由に作り分けるこ ができる。また、環状含フッ素カーボネー に加えて、末端に反応性官能基を有する含 ッ素カーボネートのオリゴマーまたはポリ ーを容易に製造できる。

 本明細書においては、式(1)で表される化合 を化合物(1)と記す。他の式で表される化合 も同様に記す。
 また、本明細書においては、含フッ素化合 とは、フッ素原子を有する化合物を意味す 。

<カーボネート化合物>
 本発明の製造方法で得られるカーボネート 合物は、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)を有す る含フッ素化合物である。
 該カーボネート化合物としては、化合物(31) 、化合物(32)、化合物(3a)、化合物(3b)、及び末 端OH基を2個超有する分岐状カーボネート化合 物(以下、分岐状カーボネート化合物と記す )が挙げられる。

(化合物(31))
 R 1 は、1価の含フッ素脂肪族炭化水素基または1 の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。左右 R 1 は、同一の基である。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、エーテ ル性の酸素原子を含んでいてもよい。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、直鎖状 であってもよく、分岐状であってもよく、環 状であってもよい。
 R 1 は、置換基を有していてもよい。該置換基と しては、化合物(31)の有用性の点から、ハロ ン原子(ただし、フッ素原子を除く。)が好ま しい。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基としては、 化合物(31)の有用性の点から、α位にフッ素原 子を有しない、エーテル性の酸素原子を有し てもよい、炭素数2~10のポリフルオロアルキ 基が好ましい。炭素数2~10のポリフルオロア キル基におけるアルキル基としては、エチ 基、n-プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル 、またはn-ペンチル基が好ましく、エーテ 性の酸素原子を有するポリフルオロアルキ 基におけるアルキル基としては、(エトキシ( エトキシ))エチル基、(エトキシ(エトキシ(エ キシ)))エチル基、(プロポキシ)プロピル基 (プロポキシ(プロポキシ))プロピル基が好ま い。
 1価の含フッ素芳香族炭化水素基は、芳香核 に脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基の置 換基を有してもよい。
 1価の含フッ素芳香族炭化水素基としては、 含フッ素フェニル基、含フッ素メチルフェニ ル基、含フッ素エチルフェニル基、含フッ素 ナフチル基等が挙げられ、化合物(31)の有用 の点から、含フッ素フェニル基が好ましい

(化合物(32))
 R 1 およびR 2 は、それぞれ1価の含フッ素脂肪族炭化水素 または1価の含フッ素芳香族炭化水素基を表 。但しR 1 およびR 2 は同一の基ではない。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、エーテ ル性の酸素原子を含んでいてもよい。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、直鎖状 であってもよく、分岐状であってもよく、環 状であってもよい。
 R 1 およびR 2 は、置換基を有していてもよい。該置換基と しては、化合物(32)の有用性の点から、ハロ ン原子(ただし、フッ素原子を除く。)が好ま しい。
 1価の含フッ素脂肪族炭化水素基としては、 化合物(32)の有用性の点から、α位にフッ素原 子を有しない、エーテル性の酸素原子を有し てもよい、炭素数2~10のポリフルオロアルキ 基が好ましい。炭素数2~10のポリフルオロア キル基におけるアルキル基としては、エチ 基、n-プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル 、またはn-ペンチル基が好ましく、エーテ 性の酸素原子を有するポリフルオロアルキ 基におけるアルキル基としては、(エトキシ( エトキシ))エチル基、(エトキシ(エトキシ(エ キシ)))エチル基、(プロポキシ)プロピル基 (プロポキシ(プロポキシ))プロピル基が好ま い。
 1価の含フッ素芳香族炭化水素基は、芳香核 に脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基の置 換基を有してもよい。
 1価の含フッ素芳香族炭化水素基としては、 炭素数6~16の芳香族炭化水素基が好ましい。
 1価の含フッ素芳香族炭化水素基としては、 含フッ素フェニル基、含フッ素メチルフェニ ル基、含フッ素エチルフェニル基、含フッ素 ナフチル基等が挙げられ、化合物(32)の有用 の点から、含フッ素フェニル基が好ましい
 非対称型の化合物(32)は、対称型の化合物(31 )に比べ、融点が低くなることが知られてお 、溶媒等に用いる場合に優位になることが 測される。

(化合物(3a))
 化合物(3a)は、環状カーボネート化合物であ る。
 R 3 は、2価の含フッ素脂肪族炭化水素基または2 の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。
 2価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、エーテ ル性の酸素原子を含んでいてもよい。
 2価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、直鎖状 であってもよく、分岐状であってもよく、環 状であってもよい。
 R 3 は、置換基を有していてもよい。該置換基と しては、化合物(3a)の有用性の点から、ハロ ン原子(ただし、フッ素原子を除く。)が好ま しい。
 R 3 としては、化合物(3a)の有用性の点から、α位 にフッ素原子を有しない、エーテル性の酸素 原子を有してもよい、炭素数3~10のポリフル ロアルキレン基が好ましい。炭素数3~10のポ フルオロアルキレン基におけるアルキレン としては、-CH 2 CH(CH 3 )-、-CH 2 CH(C 2 H 5 )-または-CH 2 CH 2 CH 2 -が好ましい。

 化合物(3a)としては、下記化合物の水素原子 の一部または全部をフッ素原子に置換した化 合物が好ましい。
 1,2-プロピレンカーボネート、1,3-プロピレ カーボネート、または1,2-ブチレンカーボネ ト。

(化合物(3b))
 化合物(3b)は、末端に反応性基であるOH基を するオリゴマーまたはポリマーである。
 R 3 は、2価の含フッ素脂肪族炭化水素基または2 の含フッ素芳香族炭化水素基を表す。化合 (3b)中に複数のR 3 が存在する場合、R 3 は、1種のみであってもよく、2種以上であっ もよい。
 2価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、エーテ ル性の酸素原子を含んでいてもよい。
 2価の含フッ素脂肪族炭化水素基は、直鎖状 であってもよく、分岐状であってもよく、環 状であってもよい。
 R 3 は、置換基を有していてもよい。該置換基と しては、化合物(3b)の有用性の点から、ハロ ン原子(ただし、フッ素原子を除く。)が好ま しい。
 R 3 としては、化合物(3b)の有用性の点から、α位 にフッ素原子を有しない、エーテル性の酸素 原子を有してもよい、炭素数3~64のポリフル ロアルキレン基が好ましく、炭素数3~14のポ フルオロアルキレン基がより好ましく、炭 数3~10のポリフルオロアルキレン基が最も好 ましい。炭素数3~10のポリフルオロアルキレ 基におけるアルキレン基としては、-CH 2 CH 2 CH(CH 3 )CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CH 2 -が好ましい。エーテル性の酸素原子を有す ポリフルオロアルキレン基におけるアルキ ン基としては、下式(XI)で表される基が好ま い。
 -CH 2 CH 2 O-(CH 2 CH 2 O) m -CH 2 CH 2 - ・・・(XI)。
 式中、mは2~30の整数である。mは、4~10が好ま しい。
 また、R 3 としては、下式(4)で表される基の水素原子の 一部または全部をフッ素原子に置換した基が 好ましい。

 式(3b)におけるnは、1~1000の整数を表し、5~100 の整数が好ましく、10~50の整数がより好まし 。なお、化合物(3b)は、反応生成物としては 、通常、n数の異なる化合物の混合物として られる。
 化合物(3b)としては、下記化合物の水素原子 の一部または全部をフッ素原子に置換した化 合物が好ましい。
 ポリ(1,3-プロピレンカーボネート)、ポリ(1,4 -ブチレンカーボネート)、ポリ(3-メチル-1,5- ンチレンカーボネート)、ポリ(1,6-ヘキシレ カーボネート)、ポリ(ポリエチレンオキシド -α,ω-カーボネート)、これらの繰り返し単位 有する共重合体。

(分岐状カーボネート化合物)
 分岐状カーボネート化合物としては、2個超 の末端OH基を有する、分岐状オリゴマー、分 状ポリマー等が挙げられる。ここで、2個超 の末端OH基を有する分岐状カーボネート化合 としては、末端OH基を3個以上有するもの、 よび、上記の末端OH基を2個有するものと3個 以上の有するものとの混合物が挙げられる。 混合物の場合には、OH基の数は平均値で判断 、「2個超」とは、たとえば、2.05個、2.1個 を示す。

<カーボネート化合物の製造方法>
 本発明のカーボネート化合物の製造方法は 必要に応じて触媒の存在下に、化合物(1)とO H基を1個有する含フッ素化合物またはOH基を2 以上有する含フッ素化合物とを反応させて カーボネート化合物を得る方法である。

(化合物(1))
 X 1 ~X 3 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を 表し、X 1 ~X 3 のうち少なくとも1つはハロゲン原子である
 X 4 ~X 6 は、それぞれ水素原子またはハロゲン原子を 表し、X 4 ~X 6 のうち少なくとも1つはハロゲン原子である
 X 1 ~X 6 は、すべてハロゲン原子であることが好まし く、フッ素原子または塩素原子がより好まし く、副生物としてクロロホルムが得られる点 から、すべて塩素原子であることが最も好ま しい。

 化合物(1)としては、ヘキサクロロアセト 、ペンタクロロアセトン、テトラクロロア トン、1,1,2-トリクロロアセトン、ヘキサフ オロアセトン、ペンタフルオロアセトン、1 ,1,3,3-テトラフルオロアセトン、1,1,2-トリフ オロアセトン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジフ オロアセトン、1,1,1-トリクロロ-3,3,3-トリフ ルオロアセトン、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジ ルオロアセトン、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラ ルオロアセトン、テトラブロモアセトン、 ンタブロモアセトン、ヘキサブロモアセト 等が挙げられ、工業的に有用なクロロホル を高収率で併産できる点から、ヘキサクロ アセトンが好ましい。

 化合物(1)のうち、クロロアセトン類は、 公昭60-52741号公報、特公昭61-16255号公報に記 載された、アセトンを塩素化する方法により 容易に製造できる。また、米国特許第6235950 明細書に記載された、クロロアセトン類を ッ化水素によってフッ素化する方法によっ 、容易に部分フッ素化化合物を製造できる

(触媒)
 本発明のカーボネート化合物の製造方法に いては、触媒の存在下に、前記カーボネー 結合を有する含フッ素化合物を得ることが ましい。触媒を用いることにより、反応を り効率的に行うことができ、収率を向上で る。

 触媒としては、アルカリ金属、アルカリ 類金属;アルカリ金属水素化物、アルカリ土 類金属水素化物;アルカリ金属水酸化物、ア カリ土類金属水酸化物;相関移動触媒;アルカ リ金属のハロゲン塩;アルカリ土類金属のハ ゲン塩:アンモニウムのハロゲン塩;イオン交 換樹脂;スズ、チタン、アルミニウム、タン ステン、モリブデン、ジルコニウムおよび 鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属の 合物;およびエステル交換反応触媒からなる 群から選ばれる1種以上が挙げられる。

 アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等 挙げられる。
 アルカリ土類金属としては、Be、Ca、Sr等が げられる。

 アルカリ金属水素化物としては、LiH、NaH、K H、RbH、CsH等が挙げられる。
 アルカリ土類金属水素化物としては、BeH 2 、CaH 2 、SrH 2 等が挙げられる。

 アルカリ金属水酸化物としては、LiOH、NaOH KOH、RbOH、CsOH等が挙げられる。
 アルカリ土類金属水酸化物としては、Be(OH) 2 、Ca(OH) 2 、Sr(OH) 2 等が挙げられる。

 相関移動触媒としては、第4級アンモニウ ム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニ ム塩、スルホニウム塩が挙げられる。

 第4級アンモニウム塩としては、化合物(5) が挙げられる。

 式中、R 11 ~R 14 は、それぞれ炭化水素基を表し、Y - は、陰イオンを表す。

 R 11 ~R 14 としては、アルキル基、シクロアルキル基、 アルケニル基、シクロアルケニル基、アリー ル基、アルキルアリール基、アラルキル基等 が挙げられ、アルキル基、アリール基または アラルキル基が好ましい。
 R 11 ~R 14 の合計の炭素数は、R 11 R 12 R 13 R 14 N + の1分子あたり、4~100が好ましい。
 R 11 ~R 14 は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる 基であってもよい。
 R 11 ~R 14 は、反応条件下に不活性な官能基で置換され ていてもよい。該不活性な官能基としては、 反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、 エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボ キシル基、アルコキシル基等が挙げられる。
 R 11 ~R 14 は、互いに連結して、複素環(含窒素複素環 。)を形成してもよい。
 R 11 ~R 14 は、高分子化合物の一部であってもよい。

 R 11 R 12 R 13 R 14 N + としては、テトラメチルアンモニウムイオン 、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ -n-プロピルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブ チルアンモニウムイオン、トリ-n-オクチルメ チルアンモニウムイオン、セチルトリメチル アンモニウムイオン、ベンジルトリメチルア ンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアン モニウムイオン、セチルベンジルジメチルア ンモニウムイオン、セチルピリジニウムイオ ン、n-ドデシルピリジニウムイオン、フェニ トリメチルアンモニウムイオン、フェニル リエチルアンモニウムイオン、N-ベンジル コリニウムイオン、ペンタメトニウムイオ 、ヘキサメトニウムイオン等が挙げられる

 Y - としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素 イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イ オン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸 水素イオン、水酸イオン、酢酸イオン、安息 香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p- ルエンスルホン酸イオン等が挙げられ、塩 イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸 素イオンまたは水酸イオンが好ましい。

 化合物(5)としては、化合物(5)の汎用性およ 反応性の点から、下記R 11 R 12 R 13 R 14 N + と、下記Y - との組み合わせが好ましい。
 R 11 R 12 R 13 R 14 N + :テトラメチルアンモニウムイオン、テトラ チルアンモニウムイオン、テトラ-n-プロピ アンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアン ニウムイオンまたはトリ-n-オクチルメチル ンモニウムイオン。
 Y - :フッ素イオン、塩素イオンまたは臭素イオ 。

 第4級ホスホニウム塩としては、化合物(6) が挙げられる。

 式中、R 21 ~R 24 は、それぞれ炭化水素基を表し、Y - は、陰イオンを表す。

 R 21 ~R 24 としては、アルキル基、シクロアルキル基、 アルケニル基、シクロアルケニル基、アリー ル基、アルキルアリール基、アラルキル基等 が挙げられ、アルキル基、アリール基または アラルキル基が好ましい。
 R 21 ~R 24 の合計の炭素数は、R 21 R 22 R 23 R 24 P + の1分子あたり、4~100が好ましい。
 R 21 ~R 24 は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる 基であってもよい。
 R 21 ~R 24 は、反応条件下に不活性な官能基で置換され ていてもよい。該不活性な官能基としては、 反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、 エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボ キシル基、アルコキシル基等が挙げられる。

 R 21 R 22 R 23 R 24 P + としては、テトラエチルホスホニウムイオン 、テトラ-n-ブチルホスホニウムイオン、トリ -n-オクチルエチルホスホニウムイオン、セチ ルトリエチルホスホニウムイオン、セチルト リ-n-ブチルホスホニウムイオン、n-ブチルト フェニルホスホニウムイオン、n-アミルト フェニルホスホニウムイオン、メチルトリ ェニルホスホニウムイオン、ベンジルトリ ェニルホスホニウムイオン、テトラフェニ ホスホニウムイオン等が挙げられる。

 Y - としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素 イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イ オン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸 水素イオン、水酸イオン、酢酸イオン、安息 香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p- ルエンスルホン酸イオン等が挙げられ、フ 素イオン、塩素イオンまたは臭素イオンが ましい。

 第4級アルソニウム塩としては、化合物(7) が挙げられる。

 式中、R 31 ~R 34 は、それぞれ炭化水素基を表し、Y - は、陰イオンを表す。

 R 31 ~R 34 としては、アルキル基、シクロアルキル基、 アルケニル基、シクロアルケニル基、アリー ル基、アルキルアリール基、アラルキル基等 が挙げられ、アルキル基、アリール基または アラルキル基が好ましい。
 R 31 ~R 34 の合計の炭素数は、R 31 R 32 R 33 R 34 As + の1分子あたり、4~100が好ましい。
 R 31 ~R 34 は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる 基であってもよい。
 R 31 ~R 34 は、反応条件下に不活性な官能基で置換され ていてもよい。該不活性な官能基としては、 反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、 エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボ キシル基、アルコキシル基等が挙げられる。

 化合物(7)としては、トリフェニルメチル ルソニウムフロライド、テトラフェニルア ソニウムフロライド、トリフェニルメチル ルソニウムクロライド、テトラフェニルア ソニウムクロライド、テトラフェニルアル ニウムブロマイド、これらの高分子誘導体 が挙げられる。

 スルホニウム塩としては、化合物(8)が挙 られる。

 式中、R 41 ~R 43 は、それぞれ炭化水素基を表し、Y - は、陰イオンを表す。

 R 41 ~R 43 としては、アルキル基、シクロアルキル基、 アルケニル基、シクロアルケニル基、アリー ル基、アルキルアリール基、アラルキル基等 が挙げられ、アルキル基、アリール基または アラルキル基が好ましい。
 R 41 ~R 43 の合計の炭素数は、R 41 R 42 R 43 S + の1分子あたり、4~100が好ましい。
 R 41 ~R 43 は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる 基であってもよい。
 R 41 ~R 43 は、反応条件下に不活性な官能基で置換され ていてもよい。該不活性な官能基としては、 反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、 エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボ キシル基、アルコキシル基等が挙げられる。
 R 41 ~R 43 は、互いに連結して、複素環(含窒素複素環 。)を形成してもよい。
 R 41 ~R 43 は、高分子化合物の一部であってもよい。

 Y - としては、各種陰イオンが挙げられ、ハロゲ ンイオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イ オンまたは臭素イオンがより好ましい。

 化合物(8)としては、ジ-n-ブチルメチルス ホニウムアイオダイド、トリ-n-ブチルスル ニウムテトラフルオロボレート、ジヘキシ メチルスルホニウムアイオダイド、ジシク ヘキシルメチルスルホニウムアイオダイド ドデシルメチルエチルスルホニウムクロラ ド、トリス(ジエチルアミノ)スルホニウム フルオロトリメチルシリケート等が挙げら る。

 アルカリ金属のハロゲン塩としては、LiF、L iCl、LiBr、NaF、NaCl、NaBr、KF、KCl、KBr、RbF、RbCl 、RbBr、CsF、CsCl、CsBr等が挙げられる。
 アルカリ土類金属のハロゲン塩としては、B eF 2 、BeCl 2 、BeBr 2 、CaF 2 、CaCl 2 、CaBr 2 、SrF 2 、SrCl 2 、SrBr 2 等が挙げられる。
 アンモニウムのハロゲン塩としては、NH 4 F、NH 4 Cl、NH 4 Br等が挙げられる。

 イオン交換樹脂としては、陽イオン型イオ 交換樹脂、陰イオン型イオン交換樹脂が挙 られる。市販品としては、ダイヤイオン(登 録商標)シリーズ(三菱化学社製)、アンバーラ イト(登録商標)シリーズ(ローム・アンド・ハ ース社製)、アンバーリスト(登録商標)シリー ズ(ローム・アンド・ハース社製)等が挙げら る。
 イオン交換樹脂としては、反応速度の点か 、ハロゲンイオンを陰イオンとする陰イオ 型イオン交換樹脂(ハロゲン塩構造を有する イオン交換樹脂)が好ましい。

 スズ、チタン、アルミニウム、タングス ン、モリブデン、ジルコニウムおよび亜鉛 らなる群から選ばれる1種以上の金属の化合 物としては、チタン化合物(テトラブチルチ ネート、テトラプロピルチタネート、テト エチルチタネート、テトラメチルチタネー 等。)、有機スズ化合物(オクチル酸スズ、モ ノブチルスズオキシド、モノブチルスズトリ ス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズ キシド、ジブチルスズラウレート、ジブチ スズジアセテート、モノブチルスズヒドロ シオキサイド等。)、酸化第1スズ、ハロゲン 化スズ(塩化第1スズ、臭化第1スズ、ヨウ化第 1スズ等。)、塩化アルミニウム等が挙げられ 。

 エステル交換反応触媒としては、アルカリ たは酸触媒(アルカリ金属のアルコラート、 ブチルリチウム、パラトルエンスルホン酸、 硫酸、過塩素酸、BF 3 等。)等が挙げられる。

 触媒としては、工業的に用いる際の取り扱 やすさ、反応活性、目的物の選択性の点か 、ハロゲン塩が好ましい。
 ハロゲン塩としては、アルカリ金属のハロ ン塩、アルカリ土類金属のハロゲン塩、ア モニウムのハロゲン塩、第4級アンモニウム のハロゲン塩、およびハロゲン塩構造を有す るイオン交換樹脂からなる群から選ばれる1 以上が好ましい。

 該ハロゲン塩としては、反応性、工業的な ケールでの利用の点で、アルカリ金属のフ 化物(NaF、KF等。)または第4級アンモニウム ロミドが好ましい。
 該ハロゲン塩は、金属酸化物または複合酸 物に担持させてもよい。該化合物としては ソーダライム等が挙げられる。

(助触媒)
 本発明のカーボネート化合物の製造方法に いては、触媒および助触媒の存在下に、前 カーボネート結合を有する含フッ素化合物 得ることが好ましい。助触媒を用いること より、触媒活性を向上できる。
 助触媒としては、固体酸触媒を用いる。
 固体酸触媒としては、酸点を有する金属酸 物、ヘテロポリ酸、および陽イオン交換樹 からなる群から選ばれる少なくとも1種が好 ましい。
 酸点を有する金属酸化物としては、SiO 2 ・Al 2 O 3 、SiO 2 ・MgO、SiO 2 ・ZrO 2 、Al 2 O 3 ・B 2 O 3 、Al 2 O 3 、ZrO 2 、ZnO・ZrO 2 、CeO 2 、Ce 2 O 3 、各種ゼオライト等が挙げられ、酸強度およ び反応選択性の点から、酸化セリウム(CeO 2 /Ce 2 O 3 )、シリカアルミナ(SiO 2 ・Al 2 O 3 )、γ-アルミナ(Al 2 O 3 )、シリカマグネシア(SiO 2 ・MgO)、ジルコニア(ZrO 2 )、シリカジルコニア(SiO 2 ・ZrO 2 )、ZnO・ZrO 2 、およびAl 2 O 3 ・B 2 O 3 からなる群から選ばれる少なくとも1種が好 しい。

(化合物(31)の製造方法)
 化合物(31)は、必要に応じて触媒の存在下に 、化合物(1)と化合物(21)とを反応させること よって製造される。

 化合物(21)としては、1価の含フッ素脂肪 アルコール、1価の含フッ素フェノール類が げられる。

 1価の含フッ素脂肪族アルコールとしては、 工業的に用いる上での汎用性の点から、含フ ッ素飽和脂肪族アルコールが好ましく、α位 フッ素原子を有しない、エーテル性の酸素 子を有してもよい、炭素数2~10のポリフルオ ロアルカンモノオールがより好ましい。
 炭素数2~10のポリフルオロアルカンモノオー ルとしては、2,2,2-トリフルオロエタノール、 2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3- テトラフルオロプロパノール、1-トリフルオ メチル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノール(ヘ サフルオロイソプロパノール)、3,3,3-トリフ オロプロパノール、3-フルオロプロパノー 、2-フルオロプロパノール、2-メチル-2-フル ロエタノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブ ノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタ ノール、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタノール 4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタノール、3,3,4,4 ,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサノール、2,2-ジフ ルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(ペンタフ オロエトキシ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,2-ジフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-(テト ラフルオロ-2-(ペンタフルオロエトキシ)エト シ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサ フルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポ キシ)プロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)、2,2,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプ フルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)等が挙げられる。

 1価の含フッ素脂肪族アルコールとしては、 化合物(31)の有用性の点から、α位にフッ素原 子を有しない、エーテル性の酸素原子を有し てもよい、炭素数2~6のポリフルオロアルカン モノオールがより好ましい。具体的には、2,2 ,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタ ルオロプロパノール、2,2,3,3-テトラフルオロ プロパノール、1-トリフルオロメチル-2,2,2-ト リフルオロ-1-エタノール(ヘキサフルオロイ プロパノール)、3,3,3-トリフルオロプロパノ ル、3-フルオロプロパノール、2-フルオロプ ロパノール、2-メチル-2-フルオロエタノール 2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3 ,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノール、2,2-ジ ルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(ペンタフ オロエトキシ)エトキシ)エタノール(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,2,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプ フルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)がより好ましく、2,2,2-トリフルオロエタノ ール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール 2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、1-トリ ルオロメチル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノー ル(ヘキサフルオロイソプロパノール)、2,2,3,4 ,4,4-ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5- オクタフルオロペンタノール、が最も好まし い。

 1価の含フッ素フェノール類としては、化 合物(31)の有用性の点から、含フッ素フェノ ルが好ましい。

 化合物(21)の最初の仕込みのモル数と、化 合物(1)の最初の仕込みのモル数との比(化合 (21)/化合物(1))は、化合物(31)の収率を向上さ る点から、1超が好ましく、1.5以上がより好 ましく、2以上が特に好ましい。該比を1超と ることにより、反応の平衡を化合物(31)側に ずらして反応収率を向上させる。

 反応に触媒を用いる場合の触媒の量は、触 によって種々選択されるが、基質に対して0 .01~30質量%が好ましく、反応活性および反応 の触媒除去工程を考慮すると、0.1~10質量%が り好ましい。
 反応に助触媒を用いる場合の助触媒の量は 助触媒によって種々選択されるが、基質に して0.01~30質量%が好ましく、反応活性およ 反応後の助触媒除去工程を考慮すると、0.1~1 0質量%がより好ましい。

 化合物(21)は、化合物(1)との相溶性が低い ものが多いため、反応初期は不均一系の反応 となることがある。よって、反応の際には、 反応を促進させる目的で、溶媒を用いてもよ い。ただし、反応器の容積効率、溶媒分離工 程時の目的物のロスを考えると、可能であれ ば無溶剤で反応を実施することが好ましい。

 溶剤としては、反応温度で安定に存在し 原料の溶解性が高いものであればよく、反 後に蒸留によって化合物(1)、化合物(21)、化 合物(31)および副生物と分離できる点から、 れら化合物と沸点が異なる溶媒を用いるこ 、または、化合物(31)を溶媒として用いるこ が好ましい。

 溶媒としては、沸点の異なるカーボネー 化合物、化合物(31)、比較的沸点の高いエー テル類等が好ましく、具体的には、エチレン カーボネート、プロピレンカーボネート、ジ メチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボ ネート、ジオクチルカーボネート、グライム 、ジグライム、トリグライム、テトラグライ ム等が挙げられる。

 溶媒の量は、溶媒を用いる効果を考える 、基質の濃度が10~80質量%となるような量が ましい。ただし、溶媒を用いる効果があま 認められない基質の場合は、分離の点から 無溶媒(基質濃度100質量%)が好ましい。

 本発明おいては、化合物(1)と化合物(21)との 反応の少なくとも一部を、40~200℃の反応温度 で実施することが好ましい。
 該反応温度が40℃未満では、カーボネート 合物の収率が極めて低くなる。該反応温度 200℃を超えると、原料として用いる化合物(1 )の分解による収率低下が著しくなる。反応 度が前記範囲にあると、工業的に実施可能 反応速度でカーボネート化合物を高い収率 製造できる。
 該反応温度は、40~160℃がより好ましく、50~1 50℃がさらに好ましく、60~140℃が特に好まし 。

 反応を、反応初期と反応後期とで異なる 応温度で実施することにより、反応の効率 改善できる。これは、化合物(1)の2つの官能 基の置換反応が段階的に進行し、1段目の置 反応の反応速度が速く、これに比べ2段目の 換反応の反応速度が遅いためである。1段目 の置換反応は、0~100℃程度の比較的低い温度 容易に進行し、しばし激しい発熱を伴う反 となるため、反応初期は比較的低温で反応 進行させることが好ましい。2段目の置換反 応は、50~200℃程度の比較的高い温度で実施す ることが反応速度の点からは好ましい。

 反応圧力は、通常は大気圧である。反応 度での化合物(21)の蒸気圧によっては、加圧 することが好ましい。

 本反応においては、反応の進行に伴い、低 点のハロゲン化メタンであるCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 (クロロホルム等。)が生成する。よって、反 の平衡を化合物(31)側にずらして反応収率を 向上させ、反応を化学量論的に完結させるた めには、反応系中から生成するCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施することが 好ましい。
 ハロゲン化メタンを留去する方法としては 容易に実施できる点から、ハロゲン化メタ が化合物(21)、化合物(31)に比べ沸点が低い とを利用した反応蒸留形式が好ましい。

(化合物(32)の製造方法)
 化合物(32)は、必要に応じて触媒の存在下に 、化合物(1)と化合物(21)とを反応させて化合 (11a)および/または化合物(11b)(以下、化合物(1 1a)および化合物(11b)をまとめて化合物(11)と記 す。)を得た後、化合物(11)と化合物(22)とを反 応させることによって製造することが好まし い。

 また、化合物(1)と化合物(21)と化合物(22)と 同時に反応させてもよい。
該場合には、化合物(32)と化合物(31)と化合物( 33)とが混合物として得られる。

 化合物(22)としては、上述の1価の含フッ 脂肪族アルコール、1価の含フッ素フェノー 類が挙げられる。ただし、化合物(22)として は、化合物(21)とは異なるアルコールを用い 。

 1価の含フッ素脂肪族アルコールとしては、 化合物(32)の有用性の点から、α位にフッ素原 子を有しない、エーテル性の酸素原子を有し てもよい、炭素数2~6のフルオロアルカンモノ オールが好ましく、α位にフッ素原子を有し い、エーテル性の酸素原子を有してもよい 炭素数2~4のフルオロアルカンモノオールが り好ましい。
 炭素数2~6のフルオロアルカンモノオールと ては、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3 ,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テト フルオロプロパノール、1-トリフルオロメ ル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノール(ヘキサフ ルオロイソプロパノール)、3,3,3-トリフルオ プロパノール、3-フルオロプロパノール、2- ルオロプロパノール、2-メチル-2-フルオロ タノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノ ル、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノー 、2,2-ジフルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2- (ペンタフルオロエトキシ)エトキシ)エタノー ル(CF 3 CF 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CH 2 OH)、2,2,3,3-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプ フルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OH)が好ましい。
 炭素数2~4のフルオロアルカンモノオールと ては、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3 ,3-ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3-テト フルオロプロパノール、1-トリフルオロメ ル-2,2,2-トリフルオロ-1-エタノール(ヘキサフ ルオロイソプロパノール)、2,2,3,4,4,4-ヘキサ ルオロブタノールが好ましい。

 1価の含フッ素フェノール類としては、化 合物(32)の有用性の点から、含フッ素フェノ ルが好ましい。

 化合物(21)および化合物(22)の最初の仕込み モル数と、化合物(1)の最初の仕込みのモル との比((化合物(21)+化合物(22))/化合物(1))は、 1超が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以 が特に好ましい。
 また、化合物(32)の収率を向上させる点から 、まず、化合物(1)に対して化合物(21)を1倍モ 以下で反応させることによって化合物(11)を 選択的に生成させた後に、化合物(11)に対し 化合物(22)を1~2倍モルで反応させることが好 しい。化合物(22)が1倍モル未満では、目的 である化合物(32)の収率が低下してしまい、2 倍モル超では生成した化合物(32)と化合物(22) のエステル交換反応により、化合物(33)が生 成してしまうために目的物である化合物(32) 収率が低下してしまう。

 反応に触媒を用いる場合の触媒の量は、触 によって種々選択されるが、基質に対して0 .01~30質量%が好ましく、反応活性および反応 の触媒除去工程を考慮すると、0.1~10質量%が り好ましい。
 反応に助触媒を用いる場合の助触媒の量は 助触媒によって種々選択されるが、基質に して0.01~30質量%が好ましく、反応活性およ 反応後の助触媒除去工程を考慮すると、0.1~1 0質量%がより好ましい。

 化合物(21)および化合物(22)は、化合物(1) よび化合物(11)との相溶性が低いものが多い め、反応初期は不均一系の反応となること ある。よって、反応の際には、反応を促進 せる目的で、溶媒を用いてもよい。ただし 反応器の容積効率、溶媒分離工程時の目的 のロスを考えると、可能であれば無溶剤で 応を実施することが好ましい。

 溶剤としては、反応温度で安定に存在し 原料の溶解性が高いものであればよく、反 後に蒸留によって化合物(1)、化合物(11)、化 合物(21)、化合物(22)、化合物(32)および副生物 と分離できる点から、これら化合物と沸点が 異なる溶媒を用いること、または、化合物(32 )を溶媒として用いることが好ましい。

 溶媒としては、沸点の異なるカーボネー 化合物、化合物(32)、比較的沸点の高いエー テル類等が好ましく、具体的には、エチレン カーボネート、プロピレンカーボネート、ジ メチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボ ネート、ジオクチルカーボネート、グライム 、ジグライム、トリグライム、テトラグライ ム等が挙げられる。

 溶媒の量は、溶媒を用いる効果を考える 、基質の濃度が10~80質量%となるような量が ましい。ただし、溶媒を用いる効果があま 認められない基質の場合は、分離の点から 無溶媒(基質濃度100質量%)が好ましい。

 本発明おいては、化合物(1)と化合物(21)およ び/または化合物(22)との反応の少なくとも一 を、40~200℃の反応温度で実施することが好 しい。
 該反応温度が40℃未満では、カーボネート 合物の収率が極めて低くなる。該反応温度 200℃を超えると、原料として用いる化合物(1 )の分解による収率低下が著しくなる。反応 度が前記範囲にあると、工業的に実施可能 反応速度でカーボネート化合物を高い収率 製造できる。
 該反応温度は、40~160℃がより好ましく、50~1 50℃がさらに好ましく、60~140℃が特に好まし 。

 反応を、反応初期と反応後期とで異なる反 温度で実施することにより、反応の効率を 善できる。すなわち、化合物(1)に対して化 物(21)を反応させて化合物(11)を生成する反 は、化合物(11)の収率を向上させる点から、4 0℃以下の反応温度で実施することが好まし 。40℃超でも反応を実施できるが、反応が激 しすぎるために副生物が増加したり、2置換 である化合物(31)が生成してしまうことによ て目的物の収率が低下したりすることがあ 。40℃以下の反応温度で化合物(1)と化合物(2 1)とを反応させる場合、化合物(21)を化合物(1) に対して1倍モル以上で反応させても化合物(1 1)を選択的に合成できる。ただし、つぎの化 物(22)を反応させる前に、未反応の化合物(21 )を反応系中から除去した後に反応を実施し いと、化合物(31)が副生することによって目 物である化合物(32)の収率低下の原因となる 。
 化合物(11)と化合物(22)との反応は、40~200℃ 反応温度で実施することが好ましく、50~200 の反応温度で実施することがより好ましい
 このように、1段目の反応速度と2段目の反 速度との差が大きいため、中間物として化 物(11)を容易に合成、単離でき、該反応速度 差を利用して、従来選択的な合成が困難で った非対称型の化合物(22)を選択的に合成で きるという利点を有している。

 反応圧力は、通常は大気圧である。反応 度での化合物(21)および化合物(22)の蒸気圧 よっては、加圧することが好ましい。

 本反応においては、反応の進行に伴い、低 点のハロゲン化メタンであるCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 (クロロホルム等。)が生成する。よって、反 の平衡を化合物(11)および化合物(32)側にず して反応収率を向上させ、反応を化学量論 に完結させるためには、反応系中から、生 するCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施することが 好ましい。
 ハロゲン化メタンを留去する方法としては 容易に実施できる点から、ハロゲン化メタ が化合物(21)、化合物(11)、化合物(22)、化合 (32)に比べ沸点が低いことを利用した反応蒸 留形式が好ましい。

(化合物(3a)、化合物(3b)の製造方法)
 化合物(3a)、化合物(3b)は、必要に応じて触 の存在下に、化合物(1)と化合物(23)とを反応 せることによって製造される。

 化合物(23)としては、2価の含フッ素脂肪 アルコール、2価の含フッ素フェノール類が げられる。

 2価の含フッ素脂肪族アルコールとしては 、工業的に用いる上での汎用性の点から、α にフッ素原子を有しない、エーテル性の酸 原子を有してもよい、炭素数3~64のポリフル オロアルカンジオールが好ましく、3~14のポ フルオロアルカンジオールがより好ましく 3~10のポリフルオロアルカンジオールが最も ましい。

 2価の含フッ素脂肪族アルコールとしては、 化合物(3a)、化合物(3b)の有用性の点から、3,3, 3-トリフルオロ-1,2-プロパンジオール、4,4,4,3, 3-ペンタフルオロ-1,2-ブタンジオール、1,1,1,4, 4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ブタンジオール、3,3,4, 4-テトラフルオロ-1,6-ヘキサンジオール、2,2,3 ,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオー 、3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-1,8-オクタン オール、下式(X)で表される化合物がより好 しい。
 HO-CH 2 CF 2 -(CF 2 CF 2 O) m -CF 2 CH 2 -OH ・・・(X)
 式中、mは2~30の整数である。

 2価の含フッ素フェノール類としては、テ トラフルオロヒドロキノン、テトラフルオロ レゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェ ル)ヘキサフルオロプロパン〔ビスフェノー AF〕等が挙げられ、2,2-ビス(4-ヒドロキシフ ニル)ヘキサフルオロプロパン、テトラフル オロヒドロキノンまたはテトラフルオロレゾ ルシノールが好ましい。

 目的物が化合物(3a)の場合、基質(原料物質) 割合は、化合物(1)に対して化合物(23)は0.1~10 倍モルが好ましく、反応効率や収率の点から 、0.5~2倍モルがより好ましい。
 目的物が化合物(3b)の場合、基質の割合は、 化合物(3b)の分子量によって異なるが、化合 (1)に対して化合物(23)は0.5~2倍モルが好まし 、0.75~1.5倍モルがより好ましい。

 反応に触媒を用いる場合の触媒量は、触媒 よって種々選択されるが、基質に対して0.01 ~30質量%が好ましく、反応活性および反応後 触媒除去工程を考慮すると、0.1~10質量%がよ 好ましい。
 反応に助触媒を用いる場合の助触媒の量は 助触媒によって種々選択されるが、基質に して0.01~30質量%が好ましく、反応活性およ 反応後の助触媒除去工程を考慮すると、0.1~1 0質量%がより好ましい。

 化合物(23)は、化合物(1)との相溶性が低い ものが多いため、反応初期は不均一系の反応 となることがある。よって、反応の際には、 反応を促進させる目的で、溶媒を用いてもよ い。ただし、反応器の容積効率、溶媒分離工 程時の目的物のロスを考えると、可能であれ ば無溶剤で反応を実施することが好ましい。

 溶剤としては、反応温度で安定に存在し 原料の溶解性が高いものであればよく、反 後に蒸留によって化合物(1)、化合物(23)、化 合物(3a)、化合物(3b)および副生物と分離でき 点から、これら化合物と沸点が異なる溶媒 用いること、または、化合物(3a)を溶媒とし て用いることが好ましい。

 溶媒としては、沸点の異なるカーボネー 化合物、化合物(3a)、比較的沸点の高いエー テル類等が好ましく、具体的には、エチレン カーボネート、プロピレンカーボネート、ジ メチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボ ネート、ジオクチルカーボネート、グライム 、ジグライム、トリグライム、テトラグライ ム等が挙げられる。

 溶媒の量は、溶媒を用いる効果を考える 、基質の濃度が10~80質量%となるような量が ましい。ただし、溶媒を用いる効果があま 認められない基質の場合は、分離の点から 無溶媒(基質濃度100質量%)が好ましい。

 反応温度は、基質、触媒等によって異なる 、通常、0~200℃である。
 反応を、反応初期と反応後期とで異なる反 温度で実施することにより、反応の効率を 善できる。これは、化合物(1)の2つの官能基 の置換反応が段階的に進行し、1段目の置換 応の反応速度が速く、これに比べ2段目の置 反応の反応速度が遅いためである。1段目の 置換反応は、0~100℃程度の比較的低い温度で 易に進行し、しばし激しい発熱を伴う反応 なるため、反応初期は比較的低温で反応を 行させることが好ましい。2段目の置換反応 は、50~200℃程度の比較的高い温度で実施する ことが反応速度の点からは好ましい。
 なお、目的物がアルキル置換エチレンカー ネートのような安定な5員環構造を有する場 合、環化による安定化効果が大きいため、化 合物(1)と化合物(23)との2段目の反応も非常に 応速度が速く、0~80℃の比較的低い温度でも 短時間で反応が完結する。

 反応圧力は、通常は大気圧である。反応 度での化合物(23)の蒸気圧によっては、加圧 することが好ましい。

 本反応においては、反応の進行に伴い、低 点のハロゲン化メタンであるCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 (クロロホルム等。)が生成する。よって、反 の平衡を化合物(3a)、化合物(3b)側にずらし 反応収率を向上させ、反応を化学量論的に 結させるためには、反応系中から生成するCH X 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施することが 好ましい。
 ハロゲン化メタンを留去する方法としては 容易に実施できる点から、ハロゲン化メタ が化合物(23)、化合物(3a)、化合物(3b)に比べ 点が低いことを利用した反応蒸留形式が好 しい。

(分岐状カーボネート化合物の製造方法)
 分岐状カーボネート化合物は、化合物(1)とO H基を2個超有する含フッ素化合物とを反応さ ることによって製造される。

 OH基を2個超有する含フッ素化合物として 、3価以上の含フッ素脂肪族アルコール、3 以上の含フッ素フェノール類、およびこれ と上記OH基を2個有する含フッ素化合物との 合物が挙げられる。混合物の場合には、末 OH基の数の平均値をOH基の数とみなす。

 3価以上の含フッ素脂肪族アルコールとして は、下記化合物の水素原子の一部または全部 をフッ素原子に置換した化合物等が挙げられ る。
 グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリ 、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサン リオール、ペンタエリスリトール、テトラ チロールシクロヘキサン、メチルグルコシ 、ソルビトール、マンニトール、ズルシト ル、シュークロース等。

 3価以上の含フッ素フェノール類としては、 フロログリシノールの水素原子の一部または 全部をフッ素原子に置換した化合物、フェノ ール類の縮合物の水素原子の一部または全部 をフッ素原子に置換した化合物等が挙げられ る。
 フェノール類の縮合物としては、フェノー 類をアルカリ触媒の存在下で過剰のホルム ルデヒド類と縮合結合させたレゾール型初 縮合物;該レゾール型初期縮合物を合成する 際に非水系で反応させたベンジリック型初期 縮合物;過剰のフェノール類を酸触媒の存在 でホルムアルデヒド類と反応させたノボラ ク型初期縮合物等が挙げられる。該初期縮 物の分子量は、200~10000程度が好ましい。

 基質の割合は、分岐状カーボネート化合 の分子量によって異なるが、化合物(1)に対 てOH基を2個超有する化合物は0.5~2倍モルが ましく、0.75~1.5倍モルがより好ましい。

 反応に触媒を用いる場合の触媒量は、触媒 よって種々選択されるが、基質に対して0.01 ~30質量%が好ましく、反応活性および反応後 触媒除去工程を考慮すると、0.1~10質量%がよ 好ましい。
 反応に助触媒を用いる場合の助触媒の量は 助触媒によって種々選択されるが、基質に して0.01~30質量%が好ましく、反応活性およ 反応後の助触媒除去工程を考慮すると、0.1~1 0質量%がより好ましい。

 OH基を2個超有する含フッ素化合物は、化 物(1)との相溶性が低いものが多いため、反 初期は不均一系の反応となることがある。 って、反応の際には、反応を促進させる目 で、溶媒を用いてもよい。ただし、反応器 容積効率、溶媒分離工程時の目的物のロス 考えると、可能であれば無溶剤で反応を実 することが好ましい。

 溶剤としては、反応温度で安定に存在し 原料の溶解性が高いものであればよく、反 後に蒸留によって化合物(1)、OH基を2個超有 る含フッ素化合物、分岐状カーボネート化 物および副生物と分離できる点から、これ 化合物と沸点が異なる溶媒を用いること、 たは、化合物(3a)を溶媒として用いることが 好ましい。

 溶媒としては、沸点の異なるカーボネー 化合物、化合物(3a)、比較的沸点の高いエー テル類等が好ましく、具体的には、エチレン カーボネート、プロピレンカーボネート、ジ メチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボ ネート、ジオクチルカーボネート、グライム 、ジグライム、トリグライム、テトラグライ ム等が挙げられる。

 溶媒の量は、溶媒を用いる効果を考える 、基質の濃度が10~80質量%となるような量が ましい。ただし、溶媒を用いる効果があま 認められない基質の場合は、分離の点から 無溶媒(基質濃度100質量%)が好ましい。

 反応温度は、基質、触媒等によって異なる 、通常、0~200℃である。
 反応を、反応初期と反応後期とで異なる反 温度で実施することにより、反応の効率を 善できる。これは、化合物(1)の2つの官能基 の置換反応が段階的に進行し、1段目の置換 応の反応速度が速く、これに比べ2段目の置 反応の反応速度が遅いためである。1段目の 置換反応は、0~100℃程度の比較的低い温度で 易に進行し、しばし激しい発熱を伴う反応 なるため、反応初期は比較的低温で反応を 行させることが好ましい。2段目の置換反応 は、50~200℃程度の比較的高い温度で実施する ことが反応速度の点からは好ましい。

 反応圧力は、通常は大気圧である。反応 度でのOH基を2個超有する含フッ素化合物の 気圧によっては、加圧することが好ましい

 本反応においては、反応の進行に伴い、低 点のハロゲン化メタンであるCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 (クロロホルム等。)が生成する。よって、反 の平衡を分岐状カーボネート化合物側にず して反応収率を向上させ、反応を化学量論 に完結させるためには、反応系中から生成 るCHX 1 X 2 X 3 および/またはCHX 4 X 5 X 6 を反応系中より留去しながら実施することが 好ましい。
 ハロゲン化メタンを留去する方法としては 容易に実施できる点から、ハロゲン化メタ がOH基を2個超有する含フッ素化合物、分岐 カーボネート化合物に比べ沸点が低いこと 利用した反応蒸留形式が好ましい。

 以上説明した本発明のカーボネート化合 の製造方法にあっては、化合物(1)とOH基を1 有する含フッ素化合物とを反応させて、カ ボネート化合物を得る方法であるため、OH を1個有する含フッ素化合物を適宜変更する とにより、一つの反応プロセスで、対称型 ジ(フルオロアルキル)カーボネートまたは (フルオロアリール)カーボネート、非対称型 のジ(フルオロアルキル)カーボネートまたは (フルオロアリール)カーボネートを高い収 で自由に作り分けることができる。

 また、本発明のカーボネート化合物の製 方法にあっては、化合物(1)とOH基を2個以上 する含フッ素化合物とを反応させて、カー ネート化合物を得る方法であるため、OH基 2個以上有する含フッ素化合物を適宜変更す ことにより、一つの反応プロセスで、含フ 素環状カーボネート、含フッ素ポリカーボ ートを高い収率で自由に作り分けることが きる。

 また、副生物がクロロホルム等の低沸点の 機化合物であるため、ホスゲン用いた方法 の他の方法と異なり、副生物を反応系から 易に除去できる等、製造プロセスを簡素化 きる。
 また、化合物(1)をヘキサクロロアセトンと ることにより、工業的に有用なクロロホル を併産できる。
 さらに、化合物(1)として、部分的にフッ素 された化合物を用いることにより、工業的 有用なジクロロフルオロメタン(R21)、クロ ジフルオロメタン(R22)等併産できる。

 以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具 的に説明するが、本発明は、これら実施例 限定されるものではない。
 例1~13は実施例である。

(ガスクロマトグラフ)
 ガスクロマトグラフ(以下、GCと記す。)によ る分析は、Agilent社製の6890シリーズを用いて った。

例1
 撹拌機、20℃の還流冷却器および留出ライ を備えた500mLのガラス製の反応器に、ヘキサ クロロアセトンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフ ルオロ-1-プロパノールの392g(2.97mol)、KF(フッ カリウム)の4gを仕込んだ後、撹拌を行いな ら、徐々に温度を上昇し、内温100℃で反応 行った。
反応により生成するクロロホルムを留出ライ ンから留去させながら、10時間反応を行った 反応終了後に、留出ラインから留去した留 および反応器内に存在する反応粗液を回収 、645gの回収粗液を得た(回収率:98%)。回収粗 液を真空下に単蒸留することで回収した有機 成分をGCにより分析した結果、表1に示す化合 物が、表1に示す収量で生成していることを 認した。
 表1の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は93%、クロロホルム収率は96%であ た。

例2
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの392g(2.97mol)、テトラブチルアンモ ウムブロマイド(以下、TBABと記す。)の4gを仕 込んだ後、撹拌を行いながら、徐々に温度を 上昇し、内温100℃で反応を行った。反応によ り生成するクロロホルムを留出ラインから留 去させながら、20時間反応を行った。反応終 後に、留出ラインから留去した留分および 応器内に存在する反応粗液を回収し、625gの 回収粗液を得た(回収率:95%)。回収粗液を真空 下に単蒸留することで回収した有機成分をGC より分析した結果、表2に示す化合物が、表 2に示す収量で生成していることを確認した
 表2の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は89%、クロロホルム収率は90%であ た。

例3
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、エタノールの45.5g(0.99mol)、KF 4gを仕込んだ後、撹拌を行いながら内温30℃ で1時間撹拌を行った。ついで、2,2,3,3-テトラ フルオロ-1-プロパノールの130.7g(0.99mol)を加え 、徐々に温度を上昇し、内温100℃で反応を行 った。反応により生成するクロロホルムを留 出ラインから留去させながら、10時間反応を った。反応終了後に、留出ラインから留去 た留分および反応器内に存在する反応粗液 回収し、431.1gの回収粗液を得た(回収率:97.5% )。回収粗液を真空下に単蒸留することで回 した有機成分をGCにより分析した結果、表3 示す化合物が、表3に示す収量で生成してい ことを確認した。
 表3の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースのCH F 2 CF 2 CH 2 OC(=O)CH 2 CH 3 の収率は74%、クロロホルム収率は93%であった 。

例4
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの392g(2.97mol)、CsFの4gを仕込んだ後、 撹拌を行いながら、徐々に温度を上昇し、内 温100℃で反応を行った。反応により生成する クロロホルムを留出ラインから留去させなが ら、20時間反応を行った。反応終了後に、留 ラインから留去した留分および反応器内に 在する反応粗液を回収し、634gの回収粗液を 得た(回収率:96%)。回収粗液を真空下に単蒸留 することで回収した有機成分をGCにより分析 た結果、表4に示す化合物が、表4に示す収 で生成していることを確認した。
 表4の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は93%、クロロホルム収率は92%であ た。

例5
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの262g(1.98mol)、KFの2g、酸化セリウム( 第一稀元素化学工業社製、CeO/Ce 2 O 3 )の2gを仕込んだ後、撹拌を行いながら、徐々 に温度を上昇し、内温100℃で反応を行った。 反応により生成するクロロホルムを留出ライ ンから留去させながら、20時間反応を行った 反応終了後に、留出ラインから留去した留 および反応器内に存在する反応粗液を回収 、517gの回収粗液を得た(回収率:98%)。回収粗 液を真空下に単蒸留することで回収した有機 成分をGCにより分析した結果、表5に示す化合 物が、表5に示す収量で生成していることを 認した。
 表5の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は93%、クロロホルム収率は94%であ た。

例6
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの262g(1.98mol)、KFの2g、シリカアルミ (日揮化学社製、SiO 2 ・Al 2 O 3 )の2gを仕込んだ後、撹拌を行いながら、徐々 に温度を上昇し、内温100℃で反応を行った。 反応により生成するクロロホルムを留出ライ ンから留去させながら、20時間反応を行った 反応終了後に、留出ラインから留去した留 および反応器内に存在する反応粗液を回収 、518gの回収粗液を得た(回収率:98%)。回収粗 液を真空下に単蒸留することで回収した有機 成分をGCにより分析した結果、表6に示す化合 物が、表6に示す収量で生成していることを 認した。
 表6の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は94%、クロロホルム収率は96%であ た。

例7
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの262g(1.98mol)、KFの2g、ZnO・ZrO 2 (第一稀元素化学工業社製)の2gを仕込んだ後 撹拌を行いながら、徐々に温度を上昇し、 温100℃で反応を行った。反応により生成す クロロホルムを留出ラインから留去させな ら、20時間反応を行った。反応終了後に、留 出ラインから留去した留分および反応器内に 存在する反応粗液を回収し、518gの回収粗液 得た(回収率:98%)。回収粗液を真空下に単蒸 することで回収した有機成分をGCにより分析 した結果、表7に示す化合物が、表7に示す収 で生成していることを確認した。
 表7の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は95%、クロロホルム収率は96%であ た。

例8
 500mLのハステロイ製耐圧反応器に、ヘキサ ロロアセトンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフ オロ-1-プロパノールの262g(1.98mol)、KFの2g、ジ ルコニア(第一稀元素化学工業社製、ZrO 2 )の2gを仕込んだ後、撹拌を行いながら、徐々 に温度を上昇し、内温140℃で10時間反応を行 た。
反応終了後に、反応器内に存在する反応粗液 の527gを回収した(回収率:99.8%)。回収粗液を真 空下に単蒸留することで回収した有機成分を GCにより分析した結果、表8に示す化合物が、 表8に示す収量で生成していることを確認し 。
 表8の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C HF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は99%、クロロホルム収率は99%であ た。

例9
 500mLのハステロイ製耐圧反応器に、ヘキサ ロロアセトンの262g(0.99mol)、2,2,2-トリフルオ エタノールの198g(1.98mol)、KFの2g、ジルコニ (第一稀元素化学工業社製:ZrO 2 )の2gを仕込んだ後、撹拌を行いながら、徐々 に温度を上昇し、内温140℃で10時間反応を行 た。反応終了後に、反応器内に存在する反 粗液の462gを回収した(回収率:99.6%)。回収粗 を真空下に単蒸留することで回収した有機 分をGCにより分析した結果、表9に示す化合 が、表9に示す収量で生成していることを確 認した。
 表9の結果から、ヘキサクロロアセトンの転 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの(C F 3 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は99%、クロロホルム収率は99%であ た。

例10
 500mLのハステロイ製耐圧反応器に、ヘキサ ロロアセトンの262g(0.99mol)、1,1,1,3,3,3-ヘキサ ルオロイソプロパノールの333g(1.98mol)、KFの4 g、シリカアルミナ(日揮化学社製、SiO 2 ・Al 2 O 3 )の4gを仕込んだ後、撹拌を行いながら、徐々 に温度を上昇し、内温140℃で20時間反応を行 た。反応終了後に、反応器内に存在する反 粗液の599gを回収した(回収率:99.4%)。回収粗 を真空下に単蒸留することで回収した有機 分をGCにより分析した結果、表10に示す化合 物が、表10に示す収量で生成していることを 認した。
 表10の結果から、ヘキサクロロアセトンの 化率は50%、ヘキサクロロアセトンベースの(( CF 3 ) 2 CHO) 2 C(=O)の収率は15%、クロロホルム収率は32%であ た。

例11
 撹拌機、20℃の還流冷却器および留出ライ を備えた500mLのガラス製の反応器に、NaHの4g 仕込み、室温で2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プ パノールの262g(1.98mol)を30分間かけてゆっく 滴下した。滴下終了後、ヘキサクロロアセ ンの262g(0.99mol)を内温が50℃以上にならない うに水浴で冷却しながら滴下した。滴下終 後に撹拌を行いながら、徐々に温度を上昇 、内温100℃で10時間反応を行った。反応終了 後に、反応器内に存在する反応粗液の517gを 収した(回収率:98.0%)。回収粗液を真空下に単 蒸留することで回収した有機成分をGCにより 析した結果、表11に示す化合物が、表11に示 す収量で生成していることを確認した。
 表11の結果から、ヘキサクロロアセトンの 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの( CHF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は2%、クロロホルム収率は49%であ た。

例12
 撹拌機、20℃の還流冷却器および留出ライ を備えた500mLのガラス製の反応器に、Naの4g 仕込み、室温で2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの262g(1.98mol)を30分間かけてゆっくり 滴下した。滴下終了後、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)を内温が50℃以上にならないよ うに水浴で冷却しながら滴下した。滴下終了 後に撹拌を行いながら、徐々に温度を上昇し 、内温100℃で10時間反応を行った。反応終了 に、反応器内に存在する反応粗液の516gを回 収した(回収率:98.0%)。回収粗液を真空下に単 留することで回収した有機成分をGCにより 析した結果、表12に示す化合物が、表12に示 収量で生成していることを確認した。
 表12の結果から、ヘキサクロロアセトンの 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの( CHF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は2%、クロロホルム収率は50%であ た。

例13
 例1と同様の反応器に、ヘキサクロロアセト ンの262g(0.99mol)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロ パノールの262g(1.98mol)、KFの2g、陰イオン型イ ン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製、 アンバーライトIRA-900、Cl-form)の2gを仕込んだ 、撹拌を行いながら、徐々に温度を上昇し 内温100℃で反応を行った。反応により生成 るクロロホルムを留出ラインから留去させ がら、20時間反応を行った。反応終了後に 留出ラインから留去した留分および反応器 に存在する反応粗液を回収し、523gの回収粗 を得た(回収率:99%)。
回収粗液を真空下に単蒸留することで回収し た有機成分をGCにより分析した結果、表13に す化合物が、表13に示す収量で生成している ことを確認した。
 表13の結果から、ヘキサクロロアセトンの 化率は100%、ヘキサクロロアセトンベースの( CHF 2 CF 2 CH 2 O) 2 C(=O)の収率は97%、クロロホルム収率は98%であ た。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年12月3日出願の日本特許出願 2007-312655、2007年12月13日出願の日本特許出願20 07-321773、および2008年8月13日出願の日本特許 願2008-208727に基づくものであり、その内容は ここに参照として取り込まれる。

 本発明の製造方法で得られた含フッ素カー ネート化合物は、種々の用途に適用でき、 機溶媒、樹脂原料、医農薬原料等として有 である。また、含フッ素芳香族カーボネー 化合物は、耐熱性媒体としても有用である
 特に、本発明の製造方法で得られた含フッ 環状カーボネートは、種々の用途に適用可 な溶剤、電解液、レジスト剥離剤、アクリ 繊維加工剤、ヒドロオキシエチル化剤、医 品原料、土壌硬化剤等として、工業的に極 て有用である。
 また、本発明の製造方法で得られた含フッ ポリカーボネートは、末端に反応性のOH基 有するオリゴマーとして、高機能ポリウレ ン、ポリエステル、ポリカーボネート、エ キシ樹脂等の種々の高分子材料の原料、反 性希釈剤、反応性可塑剤等として有用であ 。