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Title:
METHOD FOR PRODUCING FLUORINATED 1,3-DIOXOLAN-2-ONE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107449
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing fluorinated 1,3-dioxolan-2-one by a liquid-liquid reaction in a short time with high yield, wherein a 1,3-dioxolan-2-one derivative having a halogen atom other than fluorine is used as a starting material and fluorinated by a fluorinating agent. Specifically disclosed is a method for producing fluorinated 1,3-dioxolan-2-one, wherein a 1,3-dioxolan-2-one derivative having a halogen atom other than fluorine is reacted with a hydrofluoric acid addition salt of an amine in an organic solvent.

Inventors:
KOH MEITEN (JP)
YAMAUCHI AKIYOSHI (JP)
TOMITA MASAHIRO (JP)
TANI AKINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051590
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
KOH MEITEN (JP)
YAMAUCHI AKIYOSHI (JP)
TOMITA MASAHIRO (JP)
TANI AKINORI (JP)
International Classes:
C07D317/38; C07D317/42; H01M10/0569
Domestic Patent References:
WO2005037818A12005-04-28
Foreign References:
JP2007008825A2007-01-18
JP2007008826A2007-01-18
JP2001501355A2001-01-30
JPH08268918A1996-10-15
JP2002338518A2002-11-27
JPS62290072A1987-12-16
JP2008195691A2008-08-28
JP2009019019A2009-01-29
Other References:
"Dai 24 Kai Japanese Symposium on Fluorine Chemistry Yoshishu, Aichi Kogyo Daigaku Kogakubu Oyo Kagakuka Tsuyoshi NAKAJIMA, 20 September, 2000 (20.09.00)", article MASAKI SAWAGUCHI ET AL.: "Difluoro Iodotoluene -Et3N-HF Sakutai o Mochiiru Iodoalkane no Sankateki Fluorine Chikan Hanno", pages: 58 - 59
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta (JP)
Asahi 奈 Muneta (JP)
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Claims:
 有機溶媒中にて、式(1):
(式中、X 1 、X 2 、X 3 およびX 4 は同じかまたは異なり、いずれもH、CH 3 、Cl、Br、IまたはCR 3 (Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残りはHである)である。ただし、X 1 ~X 4 の少なくとも1つはCl、Br、IまたはCR 3 である)
で示される1,3-ジオキソラン-2-オン誘導体にアミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化工程(A)を含むフッ素化1,3-ジオキソラン-2-オンの製造方法。
 前記アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに対するフッ酸のモル比nが1~10である請求項1記載の製造方法。
 前記式(1)の1,3-ジオキソラン-2-オン誘導体におけるCl、Brおよび/またはI原子1モルに対するアミンのフッ酸付加塩のモル比mが0.5~4である請求項1または2記載の製造方法。
 アミンフッ酸付加塩が、
式(2):
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1~4のアルキル基;nは1~10)、または
式(3):
(式中、R 4 は-N=または-NH-を含む炭素数4~5の含窒素芳香環;nは1~10)
で示される化合物である請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 式(2)および(3)において、nが1~3の範囲の値である請求項4記載の製造方法。
 有機溶媒が、非プロトン性溶媒である請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
 有機溶媒が、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒である請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 フッ素化1,3-ジオキソラン-2-オンを精留する精留工程(B)を含む請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
 制酸剤で処理する工程(C)を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
Description:
フッ素化1,3-ジオキソラン-2-オン の製造方法

 本発明は、フッ素化1,3-ジオキソラン-2-オ ンの製造方法に関する。

 4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(以下 「F-EC」ということもある)に代表されるフッ 素化1,3-ジオキソラン-2-オン(以下、「フッ素 EC」ということもある)は、二次電池やキャ シタなどの電気化学デバイスに用いる電解 の溶媒として、充放電サイクル特性や電流 率などに優れる点から注目されている。た えば、特許文献1には、この化合物を溶媒と して用いたリチウムイオン二次電池が、フッ 素置換されていない溶媒を用いた二次電池に 比較して、充放電の効率が優れ、良好な充放 電サイクル特性を示すことが開示されている 。

 このフッ素化ECの製造法としては、
(1)1,3-ジオキソラン-2-オンを出発物質とし、 ッ素ガスで直接フッ素化する方法、
(2)フッ素化剤として、ほぼ等量の金属フッ化 物を用いてハロゲン(Cl、BrまたはI)化1,3-ジオ ソラン-2-オン(以下、「ハロゲン化EC」とい こともあるが、これには目的物である「フ 素化EC」は含まれない。以下同様)のハロゲ 原子(Cl、BrまたはI)をフッ素原子で置換する 方法
が知られている(特許文献2~4)。

 特許文献2では、4-クロロ-1,3-ジオキソラ -2-オン(以下、「Cl-EC」ということもある)と ッ化カリウムとを混ぜて反応させてF-ECを収 率70%で得たと記載されているが、反応溶媒や 反応温度、反応時間といった基本的な条件の 開示もない。

 特許文献3、4では、1.2当量のフッ化カリ ムを用いてCl-ECとフッ化カリウムとをアセト ニトリル中で80~85℃にて11時間かけて反応さ 、出発物質のCl-ECを含むF-ECの粗生成物を収 87.5%で得ている(再結晶すると、粗生成物の85 %でF-ECが採取できる)。

 しかしこれらの特許文献2~4に記載されて るフッ素化ECの製造方法では、フッ化カリ ムに代表される固形の金属フッ化物をフッ 化剤として用いる固液反応であり、反応速 を上げるためには表面積の大きな金属フッ 物が必要になり、また固形分を除去する工 が必要になる。

特開昭62-290072号公報

国際公開第98/15024号パンフレット

特開2007-8826号公報

特開2007-8825号公報

 本発明は、ハロゲン化ECを出発物質とし これをフッ素化剤でフッ素化する製造方法 おいて、液-液反応で高収率を維持しながら 時間でフッ素化ECを製造できる製造方法を 供することを目的とする。

 本発明は、
有機溶媒中にて、式(1):
(式中、X 1 、X 2 、X 3 およびX 4 は同じかまたは異なり、いずれもH、CH 3 、Cl、Br、IまたはCR 3 (Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残 はHである)である。ただし、X 1 ~X 4 の少なくとも1つはCl、Br、IまたはCR 3 である)
で示される1,3-ジオキソラン-2-オン誘導体に ミンのフッ酸付加塩を反応させるフッ素化 程(A)を含むフッ素化1,3-ジオキソラン-2-オン 製造方法に関する。

 アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに するフッ酸のモル比nが1~10であることが、 応性が高い点から好ましい。

 また、前記式(1)の1,3-ジオキソラン-2-オン 誘導体におけるCl、Brおよび/またはI原子1モ に対するアミンのフッ酸付加塩のモル比mは 0.5~4であることが、反応性が高い点から好 しい。

 また、アミンのフッ酸付加塩としては、
式(2):
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭 数1~4のアルキル基;nは1~10)、または
式(3):
(式中、R 4 は-N=または-NH-を含む炭素数4~5の含窒素芳香 ;nは1~10)
で示される化合物が、非プロトン性溶媒への 溶解性が良好な点から好ましく、特に、置換 反応の反応性が良好な点から式(2)および(3)に おいて、nが1~3、さらには1~2の範囲の値であ 化合物が好ましい。

 前記有機溶媒は、非プロトン性溶媒であ ことが、求核性が向上する点から好ましい

 前記有機溶媒は、ニトリル系溶媒、環状 ーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、エス ル系溶媒、鎖状カーボネート系溶媒、ケト 系溶媒またはアミド系溶媒であることが好 しい。

 本発明の製造方法では、さらにフッ素化1 ,3-ジオキソラン-2-オンを精留する精留工程(B) を含むことが、高純度のフッ素化ECを得るこ から好ましい。

 またさらに、制酸剤で処理する工程(C)を むことが、塩素根に代表されるハロゲン根 低減化できることから好ましい。

 本発明によれば、ハロゲン化ECを出発物 とし、これをフッ素化剤でフッ素化する製 方法において、アミンのフッ酸付加塩をフ 素化剤として用いることにより、液-液反応 高収率を維持しながら短時間でフッ素化EC 製造することができる。

 本発明のフッ素化ECの製造方法は、有機 媒中にて、式(1)で示されるハロゲン化ECをフ ッ素化する工程(A)でハロゲン化ECをアミンの ッ酸付加塩と反応させる点に特徴がある。

 出発物質であるハロゲン化ECは、式(1):
(式中、X 1 、X 2 、X 3 およびX 4 は同じかまたは異なり、いずれもH、CH 3 、Cl、Br、IまたはCR 3 (Rの少なくとも1つはCl、BrまたはIであり、残 はHである)である。ただし、X 1 ~X 4 の少なくとも1つはCl、Br、IまたはCR 3 である)
で示される化合物である。

 具体的には、つぎのものが例示できる。 中、Xは同じかまたは異なり、いずれもCl、B rまたはIである。

 Xとしては、Clであることが大量に合成する 合Cl 2 を用いての塩素化ができ、安価に製造できる 点から好ましい。

 なかでも、つぎのものが化合物の安定性 良好な点から好ましい。

 本発明においては、ハロゲン化ECをアミ のフッ酸付加塩でフッ素化する。したがっ 、固形物を使用しない点で固形物の除去処 などの工程が不要になる。

 使用するアミンフッ酸付加塩は有機溶媒 可溶であることが、反応の均一性やスムー さの点から好ましい。

 フッ素化剤としてのアミンフッ酸付加塩 しては、つぎの式(2)および(3)で示される化 物が、非プロトン性溶媒への溶解性が良好 点から好ましい。

式(2):
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭 数1~4のアルキル基;nは1~10、好ましくは1~5)

 このアミンフッ酸付加塩(2)は、安価に製 できる点、nの値を選択して製造できる点か ら好ましい。

 具体例としては、トリメチルアミンnフッ 酸付加塩、トリエチルアミンnフッ酸付加塩 トリプロピルアミンnフッ酸付加塩、トリイ プロピルアミンnフッ酸付加塩、トリブチル アミンnフッ酸付加塩、トリイソブチルアミ nフッ酸付加塩、トリt-ブチルアミンnフッ酸 加塩、ジメチルアミンnフッ酸付加塩、ジエ チルアミンnフッ酸付加塩、ジプロピルアミ nフッ酸付加塩、ジイソプロピルアミンnフッ 酸付加塩、ジブチルアミンnフッ酸付加塩、 イソブチルアミンnフッ酸付加塩、ジt-ブチ アミンnフッ酸付加塩、メチルアミンnフッ酸 付加塩、エチルアミンnフッ酸付加塩、プロ ルアミンnフッ酸付加塩、イソプロピルアミ nフッ酸付加塩、ブチルアミンnフッ酸付加 、イソブチルアミンnフッ酸付加塩、t-ブチ アミンnフッ酸付加塩など(nは1~10)があげられ る。特に、還元反応性に優れる点からこれら の例示化合物でnが1~3の範囲の化合物が好ま い。

式(3):
(式中、R 4 は-N=または-NH-を含む炭素数4~5の含窒素芳香 ;nは1~10、好ましくは1~5)

 このアミンフッ酸付加塩(3)は、式(2)の化 物よりも求核性が高い点から好ましい。

 具体例としては、つぎのものがあげられ 。

 これらのうち、特に好適なものとしては 反応性が高い点からnが1~3の化合物である。

 アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに するフッ酸のモル比nは特に制限されないが 、1~10であることが好ましい。nが1を下回ると 目的とするフッ素化ECではなくビニレンカー ネートが生成することがあり、10を超える フッ素化の反応性が低下することがある。 らには、フッ素化反応性が高く、ハロゲン 子(Cl、Br、I)のフッ素置換の選択性が高い点 ら、nは1~3の範囲、さらには1~2.5の範囲の値 好ましい。

 アミンのフッ酸付加塩におけるアミンに するフッ酸のモル比n(以下、「フッ酸モル n」ということもある)は、たとえばつぎの方 法で調整することができる。

(i)nの異なる2種以上のアミンのフッ酸付加塩 混合する。
 たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モル とn=1のアミンのフッ酸付加塩1モルを混合し n=2[=(3×1+1×1)/2]のアミンのフッ酸付加塩とす 。

(ii)アミンのフッ酸付加塩にアミンを加える
 たとえば、n=3のアミンのフッ酸付加塩1モル とアミン1モルを混合してn=1.5[=(3×1)/2]のアミ のフッ酸付加塩とする。

 アミンフッ酸付加塩と併用するアミンと ては、アミンフッ酸付加塩を構成するアミ と同じでも異なっていてもよいが、フッ素 の反応性が高い点から同じものの方が好ま い。

 併用するアミンの具体例としては、前記 アミンフッ酸付加塩で例示したアミン部分 化合物が同じく例示できる。

 また、アミンフッ酸付加塩とアミンとの 合は、アミンフッ酸付加塩とアミンとを予 混合した後に反応系に加えてもよいし、い れか一方を反応系に加えた後他方を加えて よい。特に、アミンフッ酸付加塩とアミン 有機溶媒に溶解してからハロゲン化ECを加 て反応を開始するのが、副生成物ができる 合が低くなる点から好ましい。

(iii)アミンにフッ酸を混合する量を調整する
 たとえば有機溶剤にアミン1モルを溶解させ た溶液にフッ酸2モルを混合してn=2のアミン フッ酸付加塩をその場で調製する。

 本発明の反応工程におけるハロゲン化EC アミンフッ酸付加塩との反応は、有機溶媒 で行う。水が存在すると反応性が低下する で、実質的に無水の状態で行うことが望ま い。

 出発物質のハロゲン化EC中のハロゲン原 のフッ酸によるアミン共存下でのフッ素化 応は等モル比で進む。ただ、ハロゲン化ECと アミンフッ酸付加塩のアミンとのモル比m(以 、「アミンモル比m」ということもある)も フッ素化反応に影響を与える。これは、ア ンとハロゲン化ECとのモル比がある範囲にあ るときに、ハロゲン化ECのハロゲン原子(Cl、B r、I)がフッ酸によるフッ素化反応を受けやす いように活性化されるからである。

 アミンモル比mとしては、0.5~4であること 、ハロゲン化ECの反応活性が良好な点から ましい。さらには1.0以上、好ましくは1.5以 、より好ましくは2.0以上、さらに好ましく 2.1以上使用する。アミンモル比mの上限はと に制限はないが、経済的理由から4程度であ る。

 有機溶媒としては、たとえばニトロメタ 、ニトロベンゼン、クロロホルム、ジクロ メタン、トルエンなどのほか、任意の有機 媒が使用できる。なかでも非プロトン性有 溶媒が求核性が向上する点から好ましい。 プロトン性有機溶媒としては、ニトリル系 媒、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系 媒、エステル系溶媒、鎖状カーボネート系 媒、ケトン系溶媒またはアミド系溶媒があ られる。これらは単独で、または2種以上併 用してもよい。

 ニトリル系溶媒としては、アセトニトリ 、ベンゾニトリル;環状エーテル系溶媒とし ては、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン ど;鎖状エーテル系溶媒としては、ジグライ 、トリグライムなど;エステル系溶媒として は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、 γ-ブチロラクトンなど;鎖状カーボネート系 媒としては、ジメチルカーボネート、ジエ ルカーボネートなど;ケトン系溶媒としては メチルエチルケトン、アセトン、メチルイ ブチルケトン;アミド系溶媒としては、ジメ チルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど あげられる。

 特に、反応後、水洗処理を行う場合、非 溶性の溶媒が好ましく、この点から、たと ば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、 メチルカーボネート、ジエチルカーボネー 、メチルエチルケトン、アセトン、メチル ソブチルケトンが好ましい。

 有機溶媒中の出発物質のハロゲン化ECの 度としては、広い範囲が採用できるが、5重 %以上、さらには20重量%以上であることが反 応を制御しやすい点から好ましい。上限は60 量%、さらには50重量%が好ましい。

 反応温度は、扱いやすさの点から30℃以 、さらには50℃以上が好ましい。また上限は 使用する有機溶媒の沸点である。

 反応は、従来の製造法における反応より く進み、同等の収率では、従来の反応時間 1/2以下の時間で反応が完結する。収率も80~8 5%と従来と同等かそれ以上である。

 反応工程で得られた反応生成混合物は、 要に応じて中間処理工程を施した後、精留 程(B)により精製フッ素化ECが得られる。

 ここで、精留工程(B)は、オルダーショー カラム(多孔板型)、プレート型カラム(泡鐘 )などを用いて、蒸留温度は50~200℃が好まし い。

 中間処理工程としては、本発明の製造方 を通して反応系に存在するハロゲン根を制 剤と接触させて除去するための制酸剤処理 程(C)、精留工程(B)の前に有機溶媒を留去す ための有機溶媒除去工程(D)、制酸剤をろ過 て除去するための固形分除去工程(E)、生成 ッ素化ECを精留する前に洗浄するための洗 工程(F)などがあげられる。これらの工程は 意であるが、適宜、フッ素化工程(A)と精留 程(B)の前後または最中に実施することがで る。

 これらのうち制酸剤処理工程(C)は、制酸 により反応系に存在するハロゲン根を除去 る工程であり、たとえば非水電解液用の溶 としてフッ素化ECを用いる場合の障害にな ハロゲン根を高効率で除去できることから 工程(A)の前、工程(A)中、工程(A)の後、工程(B )の前、工程(B)中および工程(B)の後において 制酸剤で処理する工程(C)を少なくとも1回行 ことが好ましい。

 制酸剤処理により、ハロゲン根を高効率 除去でき、最終製品(精製F-EC)に残存するハ ゲン根を10ppm以下、さらに1ppm以下、特に0.1p pm以下に減ずることができる。

 本発明において、「ハロゲン根」とは、フ 素化反応において副生する塩化水素(HCl)や 素(Cl 2 )、さらには出発原料のハロゲン化EC中に不純 物として存在するハロゲンイオン(Cl - 、Br - 、I - )など;アミンフッ酸付加塩に由来するフッ素 オン(F - )やフッ素(F 2 )、フッ化水素(HF)などのフッ素根;フッ素化反 応の副生物である不純物由来のフッ素イオン (F - )などをいう。なお、ハロゲン根には未反応 ハロゲン化ECおよび目的物であるフッ素化EC 含まれない。

 制酸剤としては、ハロゲン根を吸着反応 る機能を有する化合物などが有効である。

 ハロゲン根を吸着する機能を有する化合 としては、金属化合物、無機多孔質物質な を例示できる。金属化合物としては、好ま くは、アルカリ金属またはアルカリ土類金 の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸 、炭酸水素塩、珪酸塩、リン酸塩、亜リン 塩、ホウ酸塩等;周期律表IVa族金属の酸化物 、塩基性カルボン酸塩、塩基性炭酸塩、塩基 性硫酸塩、三塩基性硫酸塩、塩基性亜リン酸 塩などを用いることができる。このような金 属化合物の具体例としては、酸化マグネシウ ム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、 水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リ チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭 酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸 水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カル シウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、酢 酸カリウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸 カルシウム、ステアリン酸亜鉛、亜リン酸カ ルシウム、酸化鉄、酸化スズ、鉛丹、鉛白、 二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、水酸 化アルミニウムなどが例示できる。また、無 機多孔質物質としては、たとえば、シリカ、 天然ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ 、モレキュラーシーブ(3A、4A、5A、13Xなど)、 種ハイドロタルサイト、市販の各種多孔質 酸剤などを用いることができる。市販の多 質制酸剤としては、非晶質性シリカ・アル ナゲルよりなる無機多孔質体(品川化成(株) のセカード。商品名)、アルミニウムおよび 鉄を含む水和物多孔質体(水澤化学(株)製のア ルフェマイト。商品名)などを例示できる。

 これらの制酸剤は単独で用いても、2種以 上を組み合わせて用いてもよい。

 本発明においては、特にフッ素化ECの分 を抑制できる点で、アルカリ土類金属の酸 物、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アル リ土類金属のリン酸塩、アルカリ土類金属 カルボン酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩 アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属の ルボン酸塩、ケイ素酸化物、アルミニウム 化物、ケイ素アルミニウム複合酸化物、ま はこれらの2種以上などの求核性が低い制酸 が好ましい。

 特に好ましい制酸剤は、リン酸三ナトリ ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸 素カリウムのほか、制酸性の多孔質物質、 らにはケイ素酸化物、アルミニウム酸化物 ケイ素アルミニウム複合酸化物、またはこ らの2種以上の多孔質物質であることが好ま しい。

 制酸剤処理工程(C)は、つぎの(1)~(6)の段階 、具体的には工程(A)の前、工程(A)中、工程(A) の後、工程(B)の前、工程(B)中および工程(B)の 後の少なくとも1つの段階で行う。

(1)フッ素化工程(A)の前:
 すなわち出発原料であるハロゲン化ECを制 剤で処理する。出発原料であるハロゲン化EC には、合成の過程で生ずる塩素根(Cl - 、HCl、Cl 2 など)が存在するので、これらのハロゲン根 除去する。

(2)フッ素化工程(A)中:
 フッ素化工程(A)中では、出発原料中の塩素 に加えて、フッ素化剤(フッ素ガス、フッ酸 、MFなど)に由来するフッ素(F 2 )、フッ化水素(HF)、フッ素イオン(F - )などのほか、フッ素化反応の副生物である 純物由来のフッ素イオンなどが存在するの 、これらのハロゲン根を除去する。

(3)フッ素化工程(A)の後:
 フッ素化工程(A)で得られる反応生成物中に 、上記(2)と同様なハロゲン根が存在するの 、これらのハロゲン根を除去する。

(4)精留工程(B)の前:
 フッ素化工程(A)で得られた反応生成物に対 て精留工程(B)の前に、有機溶媒の除去(蒸留 )や、既に制酸剤処理が少なくとも1回行われ いた場合は制酸剤の除去(ろ過)処理が行わ ることがある。

 精留工程(B)の前では、後述する有機溶媒除 工程(D)や固形分の除去工程(E)を行うか否か よって濃度は若干異なるものの、上記(3)と 様のハロゲン根が存在するので、これらの ロゲン根を除去する。なお、上記のとおり 蒸留(精留)では、塩素根(Cl - 、HCl、Cl 2 など)やフッ素根(F - 、HF、F 2 など)は除去しにくい。

(5)精留工程(B)中:
 精留工程(B)中では、不純物が分解して生ず ハロゲン根が存在するので、これらのハロ ン根を除去する。

(6)精留工程(B)の後:
 精留工程(B)の後には、精留による加熱や減 により蒸発または留去されるもの以外のハ ゲン根が存在するので、これらのハロゲン を除去する。

 本発明においては、これらの(1)~(6)の段階 の少なくとも1つの段階で、制酸剤処理を施 ことを特徴とする。ただ、精留工程(B)の後 制酸剤処理を施すと、不純物が混入する恐 があるので、できるだけ(1)~(5)の段階で制酸 処理することが望ましい。

 制酸剤処理は、(I)出発原料、反応生成液 有機溶媒除去後の残渣、精留後の留分に制 剤を添加して充分に混合する方法;(II)出発 料、反応生成液、有機溶媒除去後の残渣、 留後の留分を制酸剤が充填されたカラムを す方法;さらには(III)工程(B)の前または精留 に行う場合は、蒸留および/または精留カラ に制酸剤を充填する方法などが例示できる これらの場合における処理温度は、通常、 温~130℃程度、好ましくは室温~100℃程度と ればよい。また、たとえば制酸剤として非 質性シリカ・アルミナゲルを用いる場合に 、40~100℃程度とすることが好ましい。処理 度が高すぎると、出発物質のハロゲン化ECや 目的物であるフッ素化ECの分解を引き起こす とがある。処理時間は、通常、3~5時間程度 すればよい。特に望ましい方法としては、 ケールアップをしやすい点から(III)の方法 ある。

 制酸剤の使用量は、処理対象となるハロ ン化ECまたはフッ素化ECの種類、使用する制 酸剤の種類、ハロゲン根の残存量、ポリフル オロ化合物の含有量などの諸条件によって異 なるので、一概に規定できないが、通常、ハ ロゲン化ECまたはフッ素化ECの100質量部に対 て1~50質量部程度とすることが好ましく、1~10 質量部程度とすることが、コスト面で有利な 点から、より好ましい。

 制酸剤処理工程(C)は、フッ素化工程の際 反応速度を向上させる点で有利なことから フッ素化工程(A)の前、すなわち出発原料(ハ ロゲン化EC)を事前に処理することが好ましい 。

 また、フッ素化工程(A)の後でかつ精留工 (B)の前に制酸剤処理工程(C)を行うことが、 ロゲン根を最少に抑えることができること ら好ましい。

 またさらに、精留工程(B)中に(すなわち同 時に)制酸剤処理工程(C)を行うことが、スケ ルアップをしやすいことから好ましい。

 かくして得られるF-ECは高純度(99%以上、 らには99.5%以上)であり、ハロゲン根などの 純物の含有量は1ppm未満に低減化されている その結果、経時的な着色も生じず、電解液 溶媒としても阻害要因が除かれたものにな ている。

 なお、ハロゲン根などの不純物の除去の 度が目標に達していない(着色しているなど )場合、制酸剤処理工程(C)および精留工程(B) 繰り返して施してもよい。

 有機溶媒除去工程(D)では、たとえば、ロ タリーエバポレーターなどを用いて、70~90 でろ液から有機溶媒を留去し、粗F-ECを得る

 本発明においては、固形分除去工程(E)は 酸剤処理工程(C)を行った場合に必要な工程 あり、従来のフッ素化剤として金属フッ化 を使用する方法における反応工程で生成す 固形物をろ去するろ過工程とは異なる。本 明ではアミンのフッ酸付加塩が有機溶媒に 解するので、フッ素化反応後のろ過処理は 要である。

 また、洗浄工程(F)では、たとえば、純水 超純水などを用いて、0~50℃で洗浄する。

 つぎに実施例をあげて本発明の製造法を 明するが、本発明はこれらの実施例に限定 れるものではない。

 以下の実施例で使用した分析方法はつぎの のである。
(1)NMR
装置:BRUKER製のAC-300
測定条件:
  19 F-NMR:282MHz(トリフルオロメチルベンゼン=-62.3pp m)
(2)ガスクロマトグラフィ(GC)
装置:島津製作所製のGC-17A
カラム:DB624(J&Wサイエンティフィック社製)
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→2 30℃
(3)ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)
装置:PERKIN ELMER社製のClaus500
測定条件:100℃→5分間保持→10℃/分で昇温→2 30℃

実施例1(式(2)のアミンフッ酸付加塩を用いた ッ素化反応)
 リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3 フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩( 3.2g:19.6mmol)、トリエチルアミン(1.3g:12.8mmol)、 酸エチル(5ml)およびアセトニトリル(1ml)を加 えた(フッ酸モル比n=1.8)。これに4-クロロ-1,3- オキソラン-2-オン(Cl-EC。2.0g:16.3mmol。アミン モル比m=2)を仕込み、反応温度80℃で1時間か てフッ素化反応を行なった。

 得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC) 、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)およ 19 F-NMRで分析したところ、Cl-ECの転化率は99%で り、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(F-EC) 選択率75%で生成していた。

実施例2~14
 実施例1において、トリエチルアミン3フッ 付加塩とトリエチルアミンの量、有機溶媒 種類と量、反応温度、反応時間を表1に示す うに変更した以外は実施例1と同様にしてF-E Cの製造を行い、得られた有機層をガスクロ トグラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量 分析(GC/MS)および 19 F-NMRで分析して、Cl-ECの転化率とF-ECの選択率 調べた。結果を表1に示す。

実施例15
 実施例1において、トリエチルアミンを使用 しなかったほかは実施例1と同様にしてF-ECの 造を行い、得られた有機層をガスクロマト ラフィ(GC)、ガスクロマトグラフィ/質量分 (GC/MS)および 19 F-NMRで分析して、Cl-ECの転化率とF-ECの選択率 調べた。結果を表1に示す。

 表1から、フッ素化の反応性が特に高い条 件は、フッ酸のモル比nが1.0~2.5、さらには1.0~ 2.0であることが分かる。

実施例16~21
 実施例1において、使用する反応物質の量を 10倍にスケールアップし、またトリエチルア ン3フッ酸付加塩とトリエチルアミンの量比 を表2に示すとおりに変更したほかは実施例1 同様にしてF-ECの製造を行い、得られた有機 層をガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマ グラフィ/質量分析(GC/MS)および 19 F-NMRで分析して、Cl-ECの転化率とF-ECの選択率 調べた。結果を表2に示す。

 表2から、フッ酸モル比nが1.0~1.5程度が転 率および選択率のいずれにおいても良好で り、また、トリエチルアミン3フッ酸付加塩 の使用量を低減できることが分かる。

実施例22
 トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、 イソプロピルアミン1フッ酸付加塩を1.5g(20.1mm ol)用い、トリエチルアミンを使用しなかった ほかは実施例1と同様にフッ素化反応を実施 た(フッ酸モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。

 得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC) 、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)およ 19 F-NMRで分析したところ、Cl-ECの転化率は90%で り、F-ECが選択率80%で生成していた。

実施例23
 トリエチルアミン3フッ酸付加塩に代えて、 ピリジン1フッ酸付加塩を1.99g(20.1mmol)用い、 リエチルアミンを使用しなかったほかは実 例1と同様にフッ素化反応を実施した(フッ酸 モル比n=1.0。アミンモル比m=1.2)。

 得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC) 、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)およ 19 F-NMRで分析したところ、Cl-ECの転化率は85%で り、F-ECが選択率80%で生成していた。

実施例24
 リフラックスコンデンサーを備えた30mlの3 フラスコにトリエチルアミン3フッ酸付加塩( 2.3g:14.3mmol)、酢酸エチル(10ml)、トリエチルア ン(2.51g:24.78mmol)を加えた(フッ酸モル比n=1.1) これに4,5-ジメチル-4,5-ジクロロ-1,3-ジオキ ラン-2-オン(3.00g:16.3mmol。アミンモル比m=2.4) 仕込み、反応温度80℃で1時間かけてフッ素 反応を行なった後、重炭酸水素ナトリウム 用いて中和した。

 酢酸エチルにより抽出し、得られた有機層 ガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグ ラフィ/質量分析(GC/MS)および 19 F-NMRで分析したところ、4,5-ジメチル-4,5-ジク ロ-1,3-ジオキソラン-2-オンの転化率は90%で り、4,5-ジメチル-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソ ラン-2-オンが選択率82%で生成していた。

比較例1(フッ化カリウム使用)
 撹拌装置を備えた3Lのガラス製3口フラスコ 上部に還流管を取り付け、スプレードライ フッ化カリウム355g(6.12mol)を加え真空下で攪 拌しながらフレームドライにより水分を除去 した。その後シリンジを用いてアセトニトリ ル1.3L、制酸剤処理されたCl-EC500g(4.08mol)を加 て攪拌した。反応温度85℃で6時間かけてフ 素化反応を行なった後、重炭酸水素ナトリ ムを用いて中和した。

 酢酸エチルにより抽出し、得られた有機層 ガスクロマトグラフィ(GC)、ガスクロマトグ ラフィ/質量分析(GC/MS)および 19 F-NMRで分析したところ、Cl-ECの転化率は80%で り、F-ECが選択率70%で生成していた。

実施例25
 実施例20において、使用する反応物質を25倍 にスケールアップし、出発原料であるCl-ECに いて、つぎの制酸剤処理工程(C)および固形 除去工程(E)を事前に施した。

制酸剤処理工程(C)
 出発原料であるCl-ECに非晶質性シリカ・ア ミナゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性 シリカゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時 間撹拌した。

固形物除去工程(E)
 その後、制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナ ゲル)などをろ過した。

 制酸剤処理されたCl-ECを用いたほかは実 例20と同様にしてF-EC含有有機層を得た。

 得られた有機層をガスクロマトグラフィ(GC) 、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)およ 19 F-NMRで分析したところ、Cl-ECの転化率は99%で り、F-ECが選択率90%で生成していた。

 ついで得られた有機層をつぎの工程に供 た。

有機溶媒除去工程(D)
 得られたろ液からエバポレーターを用いて 機溶媒(酢酸エチル)を留去した。

精留工程(B)
 残留物をリグリュー管を用いて精留に供し 74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF-ECを収率 65%、GC純度99.8%で得た。

 ついで、得られた精製F-ECに関して以下の 試験を行った。結果を表3に示す。

(着色の有無)
 室温下で一日保管して着色の有無を目視で 定する。
○:着色が認められなかった。
×:着色が認められた。

(陰イオン分析)
 装置として、(株)島津製作所製のイオンク マトグラフィーHIC-20A SUPER(検出限界:1ppm)を いて陰イオン(Cl - 、F - 、I - 、NO 2 、NO 3 、PO 4 、SO 4 )の濃度を測定する。

(金属イオン分析)
 装置として、セイコーインスツルメント(株 )製の発光分光分析装置SPS3000 ICP(検出限界:10p pb)を用いて金属イオン(Al、Fe、Ca、K、Mg、Na、 Ni、Zn)の濃度を測定する。

(pH測定)
 装置として、リトマス試験紙を用いて精留 のF-ECのpHを調べる。

実施例26
 実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得 れた有機層をつぎの工程に供した。

制酸剤処理工程(C)
 得られた有機層に非晶質性シリカ・アルミ ゲル(品川化成(株)製のセカードKW。中性シ カゲル。商品名)100gを加えて室温下で2時間 拌した。

固形物除去工程(E)
 ついで制酸剤(非晶質性シリカ・アルミナゲ ル)などをろ過した。

有機溶媒除去工程(D)
 得られたろ液からエバポレーターを用いて 機溶媒(酢酸エチル)を留去した。

精留工程(B)
 残留物をリグリュー管を用いて精留に供し 74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF-ECを収率 64%、GC純度99.7%で得た。

 この精製F-ECについて、実施例25と同様に て、着色の有無、陰イオン分析、金属イオ 分析およびpH測定を行った。結果を表3に示 。

実施例27
 実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得 れた有機層をつぎの工程に供した。

有機溶媒除去工程(D)
 得られた反応生成液からエバポレーターを いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。

精留工程(B)+制酸剤処理工程(C)
 非晶質性シリカ・アルミナゲル(品川化成( )製のセカードKW。中性シリカゲル。商品名) 充填された蒸留塔を用いて残留物を精留に し、74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF-ECを 収率65%、GC純度99.8%で得た。

 この精製F-ECについて、実施例25と同様に て、着色の有無、陰イオン分析、金属イオ 分析およびpH測定を行った。結果を表3に示 。

実施例28
 実施例25のフッ素化工程(A)と同様にして得 れた有機層をつぎの工程に供した。

有機溶媒除去工程(D)
 得られた反応生成液からエバポレーターを いて有機溶媒(酢酸エチル)を留去した。

精留工程(B)
 残留物をリグリュー管を用いて精留に供し 74℃(1mmHg)の留分として無色透明なF-ECを得た 。

制酸剤処理工程(C)
 得られたF-EC留分に非晶質性シリカ・アルミ ナゲル100gを添加し、室温下に2時間攪拌した

固形物除去工程(E)
 得られた制酸剤処理F-ECから、ろ過により非 晶質性シリカ・アルミナゲルを除去し、精製 F-ECを収率70%、GC純度99.8%で得た。

 この精製F-ECについて、実施例25と同様に て、着色の有無、陰イオン分析、金属イオ 分析およびpH測定を行った。結果を表3に示 。

参考例1
 実施例25で得られた有機層について、制酸 処理工程および固形分除去工程を実施しな ったほかは実施例28と同様にして有機溶媒除 去工程および精留工程を行って精製F-ECを収 50%、GC純度99.5%で得た。

 この精製F-ECについて、実施例25と同様に て、着色の有無、陰イオン分析、金属イオ 分析およびpH測定を行った。結果を表3に示 。

 表3から分かるように、制酸剤処理を行う ことにより、着色が生じず、ハロゲン根が低 減化され、金属イオンの含有量も少なくなる 。