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Title:
METHOD FOR PRODUCING FLUOROAMIDE AND METHOD FOR PRODUCING FLUORONITRILE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001819
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a fluoroamide represented by the following formula (2): CF2=CF-Rf-CONH2 (wherein Rf is as defined below), wherein a fluoroester represented by the following formula (1): CF2=CF-Rf-COOR (wherein Rf represents a perfluoroalkylene group or perfluorooxyalkylene group having 2-20 carbon atoms, and R represents an alkyl group having 1-6 carbon atoms) is reacted with ammonia or ammonium hydroxide. Also disclosed is a method for producing a fluoronitrile represented by the following formula (3): CF2=CF-Rf-CN (wherein Rf is as defined above), wherein a fluoroamide obtained by the above-described method is reacted with a dehydrating agent (c). This method for producing a fluoronitrile is characterized in that the reaction is carried out in a solvent (b) having an ether bond, an ester bond, a ketone group or a cyano group. The methods enable to produce a fluoroamide or a fluoronitrile with high yield by a simple process.

Inventors:
YAMAUCHI AKIYOSHI (JP)
MOHARA KENSUKE (JP)
TAKAO KEIKO (JP)
KOH MEITEN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061457
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
YAMAUCHI AKIYOSHI (JP)
MOHARA KENSUKE (JP)
TAKAO KEIKO (JP)
KOH MEITEN (JP)
International Classes:
C07C255/13; C07C231/02; C07C235/06; C07C253/20
Foreign References:
JPH08134036A1996-05-28
JPH093027A1997-01-07
Other References:
OLIVER J.A. ET AL.: "Polyfluoro-compounds based on the cycloheptane ring system. Part 1. Compounds derived from tridecafluorocycloheptane", JOURNAL OF FLUORINE CHEMISTRY, vol. 22, no. 1, 1983, pages 21 - 29
CHEGUILLAUME A. ET AL.: "Perfluorinated markers for hypoxia detection: synthesis of sulfur-containing precursors and [18F]-labelling", BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 13, no. 4, 2005, pages 1357 - 1367, XP004724955
CAMPAGNA F. ET AL.: "A convenient synthesis of nitriles from primary amides under mild conditions", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 18, no. 21, 1977, pages 1813 - 1816, XP002001902
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta (2-22 Tanimachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
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Claims:
 式(1):
CF 2 =CF-R f -COOR     (1)
(式中、R f は炭素数2~20のパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロオキシアルキレン基;Rは炭素数1~6のアルキル基)
で表されるフルオロエステルをアンモニアまたは水酸化アンモニウムと反応させる式(2):
 CF 2 =CF-R f -CONH 2      (2)
(式中、R f は前記と同じ)
で表されるフルオロアミドの製造方法であって、該反応を水酸基を有する溶媒(a)中で行うことを特徴とするフルオロアミドの製造方法。
 溶媒(a)がアルコールである請求の範囲第1項記載のフルオロアミドの製造方法。
 前記反応において、フルオロエステルにアンモニアを溶解させた水酸基を有する溶媒を添加することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の製造方法。
 Rが、メチル基またはエチル基である請求の範囲第1項~第3項のいずれかに記載のフルオロアミドの製造方法。
 R f が、
または-O(CF 2 ) m -(mは1~10の整数);nは1~5の整数)
である請求の範囲第1項~第4項のいずれかに記載のフルオロアミドの製造方法。
 -OR f 1 -が-OCF 2 CF(CF 3 )-であり、かつnが1である請求の範囲第5項記載のフルオロアミドの製造方法。
 -OR f 1 -が-O(CF 2 ) m -であり、かつnが1で、mが2~5である請求の範囲第5項記載のフルオロアミドの製造方法。
 請求の範囲第1項~第7項のいずれかの製造方法により得られるフルオロアミドを脱水剤(c)と反応させる式(3):
CF 2 =CF-R f -CN     (3)
(式中、R f は前記と同じ)
で表されるフルオロニトリルの製造方法であって、該反応をエーテル結合、エステル結合、ケトン基またはシアノ基を有する溶媒(b)中で行うことを特徴とするフルオロニトリルの製造方法。
 脱水剤(c)が、アミンおよび酸無水物である請求の範囲第8項記載のフルオロニトリルの製造方法。
 溶媒(b)の存在下で、フルオロアミドと酸無水物の混合物中にアミンを滴下することを特徴とする請求の範囲第9項記載のフルオロニトリルの製造方法。
 アミンと酸無水物の配合モル比率が、酸無水物1.0に対して、アミンが0.8~3.0である請求の範囲第9項または第10項記載のフルオロニトリルの製造方法。
 アミンがピリジンまたはトリエチルアミンである請求の範囲第9項~第11項のいずれかに記載のフルオロニトリルの製造方法。
 酸無水物がトリフルオロ酢酸無水物である請求の範囲第9項~第12項のいずれかに記載のフルオロニトリルの製造方法。
 フルオロアミドが、精製されていない粗フルオロアミドである請求の範囲第8項~第13項のいずれかに記載のフルオロニトリルの製造方法。
Description:
フルオロアミドおよびフルオロ トリルの製造方法

 本発明は、オレフィンを有するフルオロ ミドおよびフルオロニトリルの簡便な製造 法であって、得られるフルオロアミドおよ フルオロニトリルの収率がよい製造方法に する。

 従来、式(3):
CF 2 =CF-R f -CN
(式中、R f は、炭素数2~20のパーフルオロアルキレン基 たはパーフルオロオキシアルキレン基)
で表わされる化合物が、フルオロエラストマ ーにおける硬化部位モノマーとして有用であ ることが記載されている(例えば、米国特許 3467638号明細書や米国特許第4281092号明細書)

 従来の前記化合物を製造する方法は、(1) ず、対応するエステル原料、またはその誘 体とアンモニアガスとを低い冷却温度で反 させてアミドを合成し、(2)次いで、このア ドを脱水法により所望のニトリルへ転換す ことによるものである。

 この従来の製造方法では、アミド合成の に低温であることが要求されるため、大量 ケールでの反応が困難であり、また、フル ロニトリルの収率が低いという欠点があっ 。この欠点は、反応媒体が不均一であるこ 、および生成物を分離することが困難であ ことに起因するものである。フッ素化化合 の溶解度は、通常の有機溶媒中では一般に めて低いので、これらの反応では生成物抽 溶媒として、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフル オロエタン(CFC-113)等のフッ素化溶媒が頻繁に 用いられる。CFCは、環境上の理由から、現在 では望ましくないとされており、その製造は 徐々に廃止されつつある。さらに、反応試薬 に対するオレフィンの感受性によって、相当 量の副生成物の形成も起こる(米国特許第41384 26号明細書参照)。この米国特許第4138426号明 書の実施例8のエーテル(エチルエーテル)中 行われる第1の工程での反応生成物の収率は ずかに9%であり、この反応生成物を反応物 ら分離するのにCFC-113が用いられる。また、 国特許第4138426号明細書の第2の工程におい 、前記第1の工程で得られたアミドは、テト ヒドロフラン溶媒中でピリジンおよびトリ ルオロ酢酸無水物を脱水剤として用いて脱 して、ニトリルを合成し、再度、CFC-113を用 いて、反応物から生成物の分離を促進してい る。

 また、特開平9-3027号公報には、フルオロ ステルとアンモニアまたは水酸化アンモニ ムとの反応を溶媒の不存在下、または不酸 溶媒中、またはパーフルオロアルキル基に 合するエーテル酸素を含有する溶媒中で行 ことにより、従来の合成方法よりも高い収 でフルオロアミドおよびフルオロニトリル 得られる方法が記載されている。しかし、 ルオロエステルとアンモニアまたは水酸化 ンモニウムとの反応を溶媒の不存在下、ま は不酸素溶媒中、またはパーフルオロアル ル基に結合するエーテル酸素を含有する溶 中で行うため、アンモニアガスを用いる場 には、アンモニアの液化と副生成物の生成 抑えるために、-15℃以下に保たなければな ず、また、水酸化アンモニウムを用いる場 でも、相分離を起こすため、反応スピード 遅く、また強い撹拌が必要という欠点があ 。また、これらの手法では、副生成物が多 生成されるため、収率も80%程度である。

 このため、より簡便で収率のよいフルオ アミドおよびフルオロニトリルの製造方法 開発が望まれている。

 本発明は、従来の方法に比べて収率がよ 、より簡易なフルオロアミドの製造方法、 よびフルオロニトリルの製造方法を提供す ことを目的とする。

 本発明は、式(1):
CF 2 =CF-R f -COOR     (1)
(式中、R f は炭素数2~20のパーフルオロアルキレン基ま はパーフルオロオキシアルキレン基;Rは炭素 数1~6のアルキル基)
で表されるフルオロエステルをアンモニアま たは水酸化アンモニウムと反応させる式(2):
CF 2 =CF-R f -CONH 2      (2)
(式中、R f は前記と同じ)
で表されるフルオロアミドの製造方法であっ て、該反応を水酸基を有する溶媒(a)中で行う ことを特徴とするフルオロアミドの製造方法 に関する。

 前記溶媒(a)は、アルコール類であること 好ましい。

 前記反応は、アンモニアを溶解させた水 基を有する溶媒をフルオロエステルに添加 ることが好ましい。

 前記Rは、メチル基またはエチル基である ことが好ましい。

 前記R f は、

または-O(CF 2 ) m -(mは1~10の整数);nは1~5の整数)
であることが好ましい。

 前記-OR f 1 -は、-OCF 2 CF(CF 3 )-であり、かつnが1であることが好ましい。

 前記-OR f 1 -は、-O(CF 2 ) m -であり、かつnが1で、mが2~5であることが好 しい。

 また、本発明は、前記の製造方法により得 れるフルオロアミドを脱水剤(c)と反応させ 式(3):
CF 2 =CF-R f -CN     (3)
(式中、R f は前記と同じ)
で表されるフルオロニトリルの製造方法であ って、該反応をエーテル結合、エステル結合 、ケトン基またはシアノ基を有する溶媒(b)中 で行うことを特徴とするフルオロニトリルの 製造方法に関する。

 前記脱水剤(c)は、アミンおよび酸無水物 あることが好ましい。

 また、フルオロアミドと酸無水物の混合 中に、アミンと酸無水物の配合モル比率が 酸無水物1.0に対して、アミンが0.8~3.0になる ように滴下することが好ましい。

 前記アミンはピリジンまたはトリエチル ミンであることが好ましい。

 また、前記酸無水物はトリフルオロ酢酸 水物であることが好ましい。

 前記アミンがピリジンまたはトリエチル ミンであり、前記酸無水物がトリフルオロ 酸無水物であることが好ましい。

 前記フルオロアミドは、精製されていな 粗フルオロアミドであることが好ましい。

 本発明は、フルオロエステルをアンモニ または水酸化アンモニウムと反応させるフ オロアミドの製造方法に関する。

 本発明におけるフルオロエステルは、式(1):
CF 2 =CF-R f -COOR     (1)
(式中、R f は炭素数2~20のパーフルオロアルキレン基ま はパーフルオロオキシアルキレン基;Rは炭素 数1~6のアルキル基)
で表すことができる。

 式(1)において、R f は、炭素数が2~20のパーフルオロアルキレン またはパーフルオロオキシアルキレン基で る。R f が炭素数1のパーフルオロアルキレン基また パーフルオロオキシアルキレン基では、フ オロエステルそのものが不安定であり、反 条件下で容易に分解し、収率を著しく下げ しまう傾向があり、R f の炭素数が20を超えるパーフルオロアルキレ 基またはパーフルオロオキシアルキレン基 は、可溶な反応溶媒が少ないため、相分離 、反応効率が低くなる傾向がある。R f としては、例えば、

または-O(CF 2 ) m -(mは1~10の整数);nは1~5の整数)
などがあげられる。nが5を超える整数である 、可溶な反応溶媒が少ないため、相分離し すく反応効率が低くなる傾向がある。

 -OR f 1 -が-O(CF 2 ) m -である場合、mは1~10の整数であることが好ま しく、mは2~5の整数であることがより好まし 。mが10を超える整数であると、可溶な反応 媒が少ないため、相分離しやすく反応効率 低くなる傾向がある。

 式(1)において、Rは、炭素数が1~6のアルキ ル基であり、メチル基またはエチル基である ことが好ましい。Rが炭素数6を超えるアルキ 基では、アミド化の際の反応効率が低く、 た、生成したアルコールが除去しにくく、 製しづらい傾向がある。

 このようなフルオロエステル、あるいは 易にエステル化される前駆体酸としては公 のものを用いることができる(例えば、米国 特許第3546186号明細書、米国特許第4138486号明 書、米国特許第4275226号明細書および米国特 許第4281092号明細書、およびZh.Org.Kim.16, 540(198 0)参照)。

 本発明のフルオロアミドの製造方法では フルオロエステルとアンモニアまたは水酸 アンモニウムの反応を水酸基を有する溶媒( a)中で行う。アンモニアは、本発明で用いる ルオロエステルのビニル基に付加しやすい め、反応温度を低くする必要があり、生産 の低下につながる。アンモニアが式(1)で表 されるフルオロエステルのビニル基に付加 るというアンモニア由来の副反応を抑える 果が高く、反応温度を高くできる点から、 媒(a)としてアルコールを用いることが好ま い。

 アルコール類としては、モノオールのよ に水酸基を単独で有する化合物であっても ジオールやトリオールなどのように水酸基 複数有する化合物であってもよい。

 本発明に好適なアルコール類として、具体 には、メタノール、エタノール、エチレン リコール、ブタノール、ブタントリオール プロパノールなどがあげられる。
なかでも、炭素数1~6個のアルコールがより好 ましく、沸点が低く、後処理で除去するのが 容易であり、精製が容易である点で、メタノ ール、エタノール、プロパノール、ブタノー ルがさらに好ましい。

 また、溶媒(a)として、ハロゲン置換され アルキル基やエーテル基を有するアルコー 類を用いてもよい。これらのアルコール類 なかでも、フッ素置換されたアルキル基や ーテル基を有するアルコールが好ましい。

 フッ素置換されたアルキル基やエーテル基 有するアルコール類として、具体的には、C F 3 CH 2 OH、CF 3 CF 2 CH 2 OH、HCF 2 CF 2 CH 2 OH、CF 3 CFHCF 2 CH 2 OH、(CF 3 ) 2 CHOH、CF 3 CF 2 CF 2 OCF(CF 3 )CH 2 OHなどが好適に用いられる。これらのアルコ ル類は、単独で用いてもよく、また2種以上 を適宜混合して用いてもよい。

 また、本発明のフルオロアミドの製造方 に用いられるアンモニアは、(A-1)気体の状 で直接溶媒中に添加してフルオロエステル 反応させてもよく、(A-2)あらかじめ水に溶解 させて水酸化アンモニウムとして添加し、フ ルオロエステルと反応させてもよい。また、 (A-3)アンモニアをあらかじめ溶媒(a)に溶解さ て添加し、フルオロエステルと反応させて よい。

 水が入ると次工程に悪影響があり、また 精製を容易にするために、(A-1)、(A-3)の手法 を用いることがより好ましい。

 本発明の製造方法では、アンモニアまた 水酸化アンモニウムの配合比は、モル比で ルオロエステル1.0に対して、1.0~2.5であるこ とが好ましく、1.1~2.0であることがより好ま い。アンモニアまたは水酸化アンモニウム 配合比が、モル比でフルオロエステル1.0に して、1.0未満では、フルオロエステルが残 し、次工程ののち精製する際に分離が困難 ため、収率が低下する傾向があり、2.5を超 ると、未反応のアンモニアが式(1)で表わさ るフルオロエステルのビニル基に付加した 生成物が増加し、収率が低下する傾向があ 。

 フルオロエステルとアンモニアの反応は -25℃~50℃で行われることが好ましく、-5℃~4 0℃で行われることがより好ましい。フルオ エステルとアンモニアを-25℃未満で反応さ ると、反応の進行が遅い傾向があり、50℃を 超える温度で反応させると、アンモニアが式 (1)で表わされるフルオロエステルのビニル基 に付加した副生成物が増加する傾向がある。 フルオロエステルと水酸化アンモニウムとの 反応は、-25℃~30℃で行われることが好ましく 、-10℃~20℃で行われることがより好ましい。 フルオロエステルと水酸化アンモニウムを-25 ℃未満で反応させると、反応の進行が遅い傾 向があり、30℃を超える温度で反応させると 水酸化アンモニウムが式(1)で表わされるフ オロエステルのビニル基に付加した副生成 が増加する傾向がある。

 本発明の製造方法では、フルオロエステ とアンモニアまたは水酸化アンモニウムの 応を溶媒(a)中で行うことにより、フルオロ ミドを反応塊から容易に分離することがで 、蒸留により非常に純粋な形態で得ること できる。本発明の製造方法によれば、式(2) 表わされるフルオロアミドの収率は高く、 ル換算で80%を超えるものであり、通常は85% りも高い。

 本発明の式(3):
CF 2 =CF-R f -CN     (3)
(式中、R f は前記と同じ)
で表わされるフルオロニトリルは、式(2)で表 わされるフルオロアミドを溶媒(b)中で脱水剤 (c)と反応させることにより製造される。

 溶媒(b)としては、エーテル結合、エステ 結合、ケトン基またはシアノ基を有する溶 があげられる。

 エーテル結合を有する溶媒としては、テ ラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジグ イム、トリグライム、テトラグライムなど あげられる。ここで、グライムとは、対称 リコールジエーテル類の総称である。

 エステル結合を有する溶媒としては、酢 メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピ ン酸メチル、プロピオン酸エチルなどがあ られる。

 ケトン基を有する溶媒としては、アセト 、メチルエチルケトン、メチルイソブチル トンなどがあげられる。

 シアノ基を有する溶媒としては、アセト トリル、プロピオンニトリル、ベンゾニト ルなどがあげられる。

 溶媒(b)のなかでも、フルオロアミドおよ 脱水剤(c)との相溶性がよく、かつ反応後の 製工程が容易であるという点で、沸点が低 、水溶性の溶媒、具体的には、テトラヒド フラン、アセトン、アセトニトリルを用い ことが好ましい。

 脱水剤(c)としては、ピリジン、トリエチ アミンなどのアミンおよびトリフルオロ酢 無水物、無水酢酸、無水マレイン酸などの 無水物または、リン酸、五酸化二リン、五 化二リン、トリフェニルリン、ホスゲン、 ルオロホスゲンなどがあげられる。脱水剤( c)のなかでも、式(2)で表わされるフルオロア ドのビニル基は酸および熱に対する安定性 低い点、加熱が不要であり、かつ液を酸性 しにくいという点から、前記アミンおよび 無水物が好ましい。

 本発明のフルオロニトリルの製造方法に いて、脱水剤(c)の配合比は、モル比でフル ロアミド1.0に対して、0.9~2.5であることが好 ましく、1.1~2.0であることがより好ましい。 水剤(c)のフルオロアミドに対する配合比が モル比でフルオロアミド1.0に対して、0.9未 であると、未反応のフルオロアミドが多く 収率が低下する傾向があり、2.5を超えると 反応の脱水剤が多く存在するためコストが く、また精製の際に分離が困難になり収率 低下する傾向がある。

 脱水剤(c)として、アミンおよび酸無水物 用いる場合には、いずれか一方のみでは、 水反応はおこらず、酸無水物をアミンが活 化することによってはじめて脱水反応がお るものである。

 脱水剤(c)が酸無水物およびアミンである 合、酸無水物の配合比は、モル比でフルオ アミド1.0に対して、1.0~2.5であることが好ま しく、1.1~1.6であることがより好ましい。フ オロアミド1.0に対して、酸無水物が1.0未満 は、反応でフルオロアミドを完全に転化す ことができない傾向があり、2.5を超えると 反応は完全に進行させることができるが、 洗して除去しにくい傾向がある。

 脱水剤(c)として、酸無水物とアミンを用 る場合、(B-1)溶媒(b)の存在下で、フルオロ ミドとアミンの混合物中に酸無水物を滴下 る、または(B-2)溶媒(b)の存在下で、フルオロ アミドと酸無水物の混合物中にアミンを滴下 するという手法があり、(B-1)、(B-2)のどちら 手法を用いてもよいが、フルオロアミドは 基性の溶媒中では分解し易くなる傾向があ ため、(B-2)の手法を用いることが好ましい。

 (B-1)の手法を用いる場合には、酸無水物 アミンの配合比は、モル比で酸無水物1.0に して、アミンが1.5~3.0であることが好ましく 1.5~2.0であることがより好ましい。アミンの 配合比が、モル比で酸無水物1.0に対して、1.5 未満では、反応でフルオロアミドを完全に転 化することができない傾向があり、3.0を超え ると、副生成物が多く生成する傾向がある。

 (B-1)の手法は、-30℃~5℃で反応させること が好ましく、-25℃~0℃で反応させることがよ 好ましい。(B-1)の手法で、反応温度が-30℃ 満では反応速度が遅く、生産性が悪い傾向 あり、反応温度が5℃を超える場合には、フ オロアミドのビニル基が反応した副生成物 量が多くなり、収率が低下する傾向がある

 (B-2)の手法を用いる場合には、酸無水物 アミンの配合比は、モル比で酸無水物1.0に して、アミンが0.8~2.5であることが好ましく 1.0~2.0であることがより好ましい。アミンの 配合比が、モル比で酸無水物1.0に対して、0.8 未満では、反応でフルオロアミドを完全に転 化することができない傾向があり、2.5を超え ると、副生成物が多く生成する傾向がある。

 (B-2)の手法は、-30℃~50℃で反応させるこ が好ましく、-5℃~40℃で反応させることがよ り好ましい。(B-2)の手法で、反応温度が-30℃ 満では、反応速度が遅く、生産性が悪い傾 があり、50℃を超える場合には、フルオロ ミドのビニル基が反応した副生成物の量が くなり、収率が低下する傾向がある。

 (B-2)の手法では、(B-1)の手法とは異なり、 溶媒の塩基性が抑えることができるので、塩 基に弱いフルオロアミドを分解させにくくす ることにより、反応温度を上げることができ る。そのため、(B-2)の手法は、除熱効率が低 なる大量スケールで反応させる場合でも反 速度を向上させることができるので好まし 。

 前記(B-1)および(B-2)で用いるアミンとして は、ピリジン、トリエチルアミンなどの非プ ロトン性のアミンが好ましく、酸無水物とし ては、無水酢酸、無水マレイン酸、トリフル オロ酢酸無水物などのカルボン酸無水物が好 ましい。

 本発明の製造方法において、フルオロア ドと脱水剤(c)を溶媒(b)中で反応させること より、フルオロニトリルの大部分は、明瞭 液相として反応物から分離し、その他の相 脱水剤反応残留物を含有する溶媒相である フルオロニトリルを含む液相を分離し、水 洗浄し、続いて蒸留することにより、フル ロニトリルを高い収率で得ることができる 本発明の製造方法によれば、式(3)で表わさ るフルオロニトリルの収率は高く、通常は ル換算で80%を超え、しばしば85%よりも高い 率となる。

 また、本発明の製造方法における、式(1) 表わされるフルオロエステルとアンモニア たは水酸化アンモニウムを溶媒(a)中で反応 せるフルオロアミドの製造方法、および溶 (b)中で、式(2)で表わされるフルオロアミド 脱水剤(c)とを反応させるフルオロニトリル 製造方法は、共に、フルオロエステルから ルオロニトリルを製造するために用いられ 方法である。この一連のフルオロエステル らのフルオロニトリルを製造する方法は、 間体であるフルオロアミドを分離および精 してもよい。

 また、本発明の製造方法では、フルオロ ステルからフルオロニトリルを製造する際 、中間体であるフルオロアミドの精製を行 ずに、連続的に行うことができる。例えば これらの工程を連続して行う場合、フルオ エステルとアンモニアまたは水酸化アンモ ウムを溶媒(a)中で反応させ、減圧下で過剰 アンモニアおよび副生成物であるメタノー を除去することが可能であるが、費用も時 もかかる粗フルオロアミドの蒸留は不要で る。次いで、フルオロアミドと脱水剤(c)を 媒(b)中で反応させることで、式(3)で表わさ るフルオロニトリルを製造することが可能 あり、得られたフルオロニトリルは前記し ように分離し、洗浄し、蒸留することによ 精製できる。

 この連続で行う反応工程では、フルオロ ミドの精製工程が省略できる、という著し 利点を有する。さらに、本発明の製造方法 は、アンモニアまたは水酸化アンモニウム 液体にするために冷却する必要がなく、フ オロアミドおよびフルオロニトリルを簡易 生成することができ、さらにスケールアッ も容易である。

 つぎに本発明を実施例に基づいて具体的 説明するが、本発明はかかる実施例のみに 定されるものではない。

 なお、本発明で採用した測定法は以下の おりである。

(フルオロアミドの測定法)
 NMR:BRUKER製のAC-300を使用した。
  19 F-NMR:(アセトン):-81.10ppm(3F)、-83.33~-84.64ppm(2F)、 -85.79ppm(2F)、-114.31~-114.97ppm(1F)、-122.44~-123.26ppm( 3F)、-137.11~137.85ppm(1F)、-146.20ppm(1F)
 測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
 GC:(株)島津製作所製のGC-17Aを使用した。カ ムは、DB624(長さ:60m、内径:0.32mm、膜厚:1.8μm) 使用した。

 測定は、70℃で保持時間0分から、昇温速 10℃/分で230℃まで昇温し、14分間保持した フルオロアミドは、13.33分に検出される。

(フルオロニトリルの測定法)
NMR:BRUKER製のAC-300を使用した。
  19 F-NMR:(アセトン):-81.13ppm(3F)、-84.86~-86.32ppm、(4F) 、-109.69ppm(2F)、-114.03~-114.62ppm(1F)、-122.24~123.01p pm(1F)、-137.30~-138.03ppm(1F)、-145.62ppm(1F)
 測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0 ppm)
 GC:(株)島津製作所製のGC-17Aを使用した。カ ムはDB624(長さ:60m、内径:0.32mm、膜厚:1.8μm)を 用した。

 測定は、70℃で保持時間0分から、昇温速 10℃/分で230℃まで昇温し、14分間保持した フルオロニトリルは4.26分に検出される。

合成例1
 100L反応器に、下記式で表わされるフルオロ エステル:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 COOCH 3
を61.89kg、メタノールを20kg入れ、チッ素置換 に撹拌しながら20℃で7モル/Lのアンモニア タノール溶液を22L滴下した。滴下終了後、1 間撹拌した。反応終了時のメタノール留去 のGC純度は99.2%であった。反応終了後、メタ ノール、アンモニアを減圧下留去し、GC純度9 9.2%のフルオロアミド:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CONH 2
を58.55kg得た(収率:98.1%)。

 前記フルオロアミドにTHFを20L、ピリジンを2 9.5kg入れ、チッ素置換後に撹拌しながら-5℃ トリフルオロ酢酸無水物を39.3kg滴下した。 下終了後、0.5時間撹拌した。反応終了後、 で分液し下層の有機層を抜き出し、GCで分析 したところ、GC純度98.1%の下記式で表わされ フルオロニトリル:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CN
を53.7kg得た(収率:96%)。

 得られた粗フルオロニトリルを4段精留塔 で精留し、GC純度99.8%の精製物51.8kgを得た(収 :96%)。

合成例2
 2L反応器に、合成例1と同様の方法で得られ 下記式で表わされるフルオロアミド:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CONH 2
を555.00g、THFを450mL、トリフルオロ酢酸無水物 を352.44g入れ、チッ素置換後に撹拌しながら20 ℃でピリジンを271.65g滴下した。滴下終了後 0.5時間撹拌した。反応終了後、水で分液し 下層の有機層を抜き出し、GCで分析したとこ ろ、GC純度88.3%の下記式で表わされるフルオ ニトリル:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CN
を525.1g得た(収率:92%)。

 得られた粗フルオロニトリルを5段精留塔 で精留し、GC純度99.3%の精製物495.2gを得た(収 :86.8%)。

比較例1
 100mL四つ口フラスコに、下記式で表わされ フルオロエステル:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 COOCH 3
を50g入れ、チッ素置換後に撹拌しながら20℃ アンモニアガスを1.89gバブリングで導入し 。導入終了後1時間撹拌し、GCで分析したと ろ、フルオロエステルは消失したが、目的 成物である下記式で表わされるフルオロア ド:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CONH 2
は生成せず、副生成物のみが生成していた。

合成例3
 100mLの4つ口フラスコに、合成例1と同様の方 法で得られた下記式で表わされるフルオロア ミド:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CONH 2
を11.71g、THFを30mL、ピリジンを5.9g入れ、チッ 置換後に撹拌しながら、20℃でトリフルオ 酢酸無水物を7.86gを滴下した。滴下終了後、 0.5時間撹拌した。反応終了後、水で分液し、 下層の有機層を抜き出し、GCで分析したとこ 、下記式で表わされるフルオロニトリル:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CN
はGC純度20%しか生成せず、多数の副生成物の ークが確認された。

合成例4
 100L反応器に、下記式で表わされるフルオロ エステル:
CF 2 =CFO-(CF 2 ) 5 COOCH 2 CH 3
を61.74kg、エタノールを20kg入れ、チッ素置換 に撹拌しながら、20℃で7モル/Lのアンモニ エタノール溶液を22L滴下した。滴下終了後 1時間撹拌した。反応終了時のエタノール留 後のGCの純度は99.3%であった。反応終了後、 エタノール、アンモニアを減圧下留去し、GC 度99.3%のフルオロアミド:
CF 2 =CFO-(CF 2 ) 5 -CONH 2
を56.50kg得た(収率:98.3%)。

 前記フルオロアミドにTHFを20L、ピリジンを3 0.0kg入れ、チッ素置換後に撹拌しながら-5℃ トリフルオロ酢酸無水物を39.58kg滴下した。 下終了後、0.5時間撹拌した。反応終了後、 で分液し、下層の有機層を抜き出し、GCで 析したところ、GC純度98.3%の下記式で表わさ るフルオロニトリル:
CF 2 =CFO-(CF 2 ) 5 -CN
を51.92kg得た(収率:96%)。

 得られた粗フルオロニトリルを4段精留塔 で精留し、GC純度99.8%の精製物51.3kを得た(収 :95%)。

合成例5~9
 フルオロアミド:
CF 2 =CFO-CF 2 CF(CF 3 )-O-CF 2 CF 2 CONH 2
5.85kgに溶媒、アミンを入れ、チッ素置換後に 撹拌しながら室温下で酸無水物を滴下した。 滴下終了後、所定の反応温度で0.5時間撹拌し た。反応終了後、GCで分析し反応の有無を確 した。溶媒、アミン、酸無水物の種類およ その添加量、反応温度ならびに反応の結果 表1に示す。

 本発明は、フルオロエステルを、水酸基 有する溶媒(a)中で、アンモニアまたは水酸 アンモニウムと反応させることにより、高 収率でフルオロアミドを得ることができる さらに、アンモニアを液体にしたり、副生 物の生成を抑制するために冷却する必要が いので、より簡易に反応させることができ 容易にスケールアップすることができる。 た、本発明の製造方法を用いれば、過ハロ ン化溶媒を用いてフルオロアミドを反応媒 から抽出する必要がなく、環境問題となる ともない。さらに、本発明の製造方法では フルオロアミドと脱水剤(c)との反応を、エ テル結合、エステル結合、ケトン基および アノ基を有する溶媒(b)中で行うことにより 反応生成物が、溶媒相およびフルオロニト ル相の状態で得られ、それらの相からハロ ン化溶媒を使用しなくともフルオロニトリ を容易に分離することができる。また、反 温度を低くしなくても、副反応を抑制し、 収率が得られる。

 さらに、本発明の製造方法によれば、フ オロエステルからフルオロアミドを経てフ オロニトリルを製造する場合に、フルオロ ミドを精製することなく連続した工程で行 ことができるので、費用と時間の点におい 経済的である。