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Title:
METHOD FOR PRODUCING HYDROGENOLYSIS PRODUCT OF POLYHYDRIC ALCOHOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093486
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for efficiently producing a hydrogenolysis product from a polyhydric alcohol. Specifically disclosed is a batchwise method for producing a hydrogenolysis product of a polyhydric alcohol, wherein a hydrogenolysis reaction is carried out while removing water from the reaction liquid phase.

Inventors:
SUZUKI NOBUYOSHI (JP)
TAMURA MASAZUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050144
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
SUZUKI NOBUYOSHI (JP)
TAMURA MASAZUMI (JP)
International Classes:
C07C29/132; C07C31/20; B01J23/745; B01J25/00; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007129560A12007-11-15
WO2003035582A12003-05-01
Foreign References:
JP2008044874A2008-02-28
JPH08208541A1996-08-13
EP0523014A21993-01-13
EP0523015A21993-01-13
DE4302464A11994-08-04
JP2007283175A2007-11-01
Other References:
APPLIED CATALYSIS A: GENERAL, vol. 281, 2005, pages 225
See also references of EP 2236486A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (BridgestoneToranomon Bldg. 6F., 25-2,Toranomon 3-chome, Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 水素化触媒の存在下に多価アルコールと水素とを接触させて、反応液相中の水を除去しながら反応を行う、回分方式の多価アルコールの水素化分解物の製造方法。
 反応液相中の多価アルコールの60モル%が反応した時点から反応終了までのいずれかの時点において、反応液相中の水分量が多価アルコールから生じる全水分量を1として0.5以下の割合になるように、反応液相中の水を除去する、請求項1に記載の多価アルコールの水素化分解物の製造方法。
 水素化触媒が銅含有触媒である、請求項1又は2に記載の多価アルコールの水素化分解物の製造方法。
 多価アルコールがグリセリンである、請求項1~3のいずれかに記載の多価アルコールの水素化分解物の製造方法。
 水素化分解物が1,2-プロパンジオールである、請求項4に記載の多価アルコールの水素化分解物の製造方法。
Description:
多価アルコールの水素化分解物 製造方法

 本発明は、多価アルコールを効率的に転 させ、その水素化分解物を選択性良く製造 る方法に関する。

 自然界から得られる多価アルコールを、触 を利用して水素化分解を行い、他の化合物 変換することは、物質の有効利用の観点か 重要である。
 一方、多価アルコールとして、食品や医療 どに使用されているグリセリンは、年々生 量を増やしてきている。その理由として、 石化燃料の供給不安や、地球温暖化問題を 景にして延びてきた、バイオディーゼル燃 の普及が挙げられる。植物原料から製造さ るバイオディーゼル燃料はその製造過程で リセリンを生成する。しかしながら、現状 はグリセリンの用途は限られていることか 、供給過剰になりつつあり、その有効利用 求められている。その一つとして触媒反応 用いたC3アルコール類への変換が世界的に 目されている。

 C3アルコール類は、様々な工業原料等とし 有用である。C3アルコール類の中でもジオー ル類としては、1,3-プロパンジオール及び1,2- ロパンジオールがあり、1,3-プロパンジオー ルは、ポリエステル及びポリウレタン原料等 として注目されている。
 また、1,2-プロパンジオール(以下、「1,2-PD ということがある)は、例えばポリエステル 脂、塗料、アルキッド樹脂、各種可塑剤、 凍液、ブレーキオイル等に用いられ、さら は食品保潤剤、果汁粘度増強剤、食品用セ ハン柔軟剤、化粧品、医薬品等に有用であ 。

 グリセリンの有効利用として、グリセリン 水素化分解して1,2-PDを製造する種々の方法 提案されている。
 例えば、触媒として、(1)ニッケル-レニウム /炭素を用いる方法(例えば、特許文献1参照) (2)ルテニウム/炭素を用いる方法(例えば、特 許文献2参照)、(3)銅-亜鉛/アルミナを用いる 法(例えば、特許文献3参照)、(4)銅-酸化亜鉛 用いる方法(例えば、特許文献4参照)、(5)銅- クロムを用いる方法(例えば、非特許文献1参 )、(6)ルテニウムを用いる方法(例えば、特 文献5参照)等が知られている。
 しかしながら、これらの方法においては、 リセリンの転化率が低かったり、1,2-PDの選 率が低かったりなどして、充分に満足し得 ものではなかった。特に工業的に実施が有 な低圧下では、高反応性と高選択性の両立 難しく、満足し得るものではなかった。ま 、非特許文献1、および特許文献5には、水 効果について記載されており、水をあらか め添加しておかないと選択性が大幅に低下 ることが記載されている。

国際公開第03/035582号パンフレット

欧州特許出願公開第523014号明細書

欧州特許出願公開第523015号明細書

独国特許出願公開第4302464号明細書

日本国特許出願公開第2007/283175号明細書 Applied Catalysis A: General, 281, 225, (2005)

 本発明は、回分方式の触媒による多価アル ールの水素化分解物の製造方法において、 の反応性を向上させることを課題とし、特 多価アルコールとしてグリセリンを用いた 合において、グリセリンの反応性を向上さ 、1,2-プロパンジオールへ効率的に変換する ことを課題とする。
 本発明者らは、多価アルコールの水素化分 物の製造方法として、反応の進行に伴い反 液相中に滞留した水を除去しながら反応さ ることにより、前記課題を解決し得ること 見出した。
 すなわち、本発明は、
(1)水素化触媒の存在下に多価アルコールと水 素とを接触させて、反応液相中の水を除去し ながら反応を行う、回分方式の多価アルコー ルの水素化分解物の製造方法を提供するもの である。

 本発明の多価アルコールの水素化分解物の 造方法においては、水素化分解触媒の存在 に、多価アルコールと水素とを加熱して、 多価アルコールを水素化分解する。
 多価アルコールとしては、水酸基数2~6の化 物が好ましい。具体的には、水酸基数2~6で って、かつ炭素数2~60の脂肪族又は脂環式多 価アルコールを挙げることができる。具体的 にはエチレングリコール、ジエチレングリコ ール、トリエチレングリコール、ポリエチレ ングリコール、各種プロパンジオール、各種 ジプロパンジオール、各種トリプロパンジオ ール、各種ブタンジオール、各種ジブタンジ オール、各種ペンタンジオール各種ペンタン トリオール、各種ヘキサンジオール、各種ヘ キサントリオール、グリセリン、ジグリセリ ン、トリグリセリン、各種シクロヘキサンジ オール、各種シクロヘキサントリオール、ペ ンタエリスリトール、トリメチロールプロパ ン、さらにはソルビトールやマンニトール等 の糖アルコール等を例示することができる。 これらの中では、工業的観点から、グリセリ ン並びにソルビトール及びマンニトールなど の糖アルコールが好ましく、グリセリンが特 に好ましい。
 また、本発明における多価アルコールの水 化分解物とは、多価アルコールに水素を作 させて、水酸基を分解させて得られたもの あり、少なくとも1つ以上の水酸基を残す程 度に分解させて得られる化合物を示す。例え ばグリセリン (分子内の水酸基数:3つ)の水素 化分解物は、C3ジオール(分子内の水酸基:2つ) 、C3モノオール(分子内の水酸基数:1つ)である 。

 前記水素化分解触媒としては、例えば、銅 ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジ ム、白金、ロジウム等から選ばれる少なく も1種の金属種やこれらの金属原子を含む錯 体触媒を用いることができ、またこれら金属 種をアルミナ、シリカ、酸化チタン等の担体 に担持した固体触媒も用いることができる。 その中で、銅含有触媒(「銅触媒」という場 がある)が好ましく、特に銅-鉄-アルミ、銅/ リカ、銅-亜鉛/酸化チタン、及び銅ラネー(R aney)触媒が好ましい。その中でも銅-鉄-アル 、銅/シリカが好ましく、特に銅/シリカが好 ましい。
 触媒としては、市販のものを用いてもよく また、例えば沈殿法、イオン交換法、蒸発 固法、噴霧乾燥法、混練法等通常採用され いる従来公知の方法にて、担体上に金属成 を担持することで調製することができる。
 これら触媒の使用量は、原料である多価ア コール100質量部に対して0.01~20質量部、好ま しくは0.1~10質量部、さらに好ましくは0.3~6質 部である。

 本発明の多価アルコールの水素化分解物の 造方法においては、反応液相中の水を除去 る方法として、水を水蒸気として気相へ誘 する方法や、脱水剤を反応容器内にあらか め存在させておき、液相の水分を吸収させ 方法が使用できる。水を水蒸気として気相 誘導する方法では、ガスを流通させ、反応 器外へ誘導することで促進することもでき この場合には水素、又は窒素、アルゴン等 不活性ガスの1種以上を使用できる。本発明 では、ガスを流通させることで促進すること が好ましく、水素ガスを反応試剤とすること からガスとしては、水素ガスが好ましい。
 水の除去は連続的でなくともよく、水分を 応系内から一部除去するだけで、反応効率 向上する。ここでいう反応効率とは主に反 速度を指し、グリセリンに限っては1,2-プロ パンジオールへの変換率もまた意味する。水 素化分解では、多価アルコールから水が生成 される。回分方式での反応系では水は系内に 蓄積されるために、水分量は反応が進むとと もに増加する。一方で多価アルコールは減少 していく。最終的に生成される全水分量は多 価アルコールによって異なるが、反応に用い た多価アルコールの量から求めることができ る。

 本発明では水を除去する条件として、反応 相中の多価アルコールが60モル%反応した時 から、換言すると残存多価アルコール量が4 0モル%になった時点から、反応終了までの何 かの時点で、多価アルコールから生じる全 分量を1とするときの割合(以下、「水分率 という場合がある。)が0.5以下、好ましくは0 .4以下、特に好ましくは0.3以下になるように 反応液相中の水を除去することがよい。反 系内の水は少ない方がよく、連続的に水分 反応系外に追い出すことが好ましい。反応 初から水分を除去するためには、上記した スを流通させる方法で水分を反応液相中か 除去することが好ましい。数値上では、反 液相中の多価アルコールが60モル%反応した 点以後は、反応液相中の水分の割合は、多 アルコールから生じる全水分量を1として0.5 以下、更には0.4以下、特には0.3以下に保つこ とが好ましい。
 特に、グリセリンからの1,2-プロパンジオー ルへの変換において、液相中の水分量が少な いほどグリセリンの反応性が向上する。水分 量は、経時的にサンプルを抜き出し、カール フィッシャー分析を行い、算出することがで きる。

 反応条件については特に制限はなく、使用 る多価アルコールや触媒の種類等に応じて 宣選定される。水素圧は、通常、常温で30MP a以下が好ましく、工業化の観点からより低 である0.1~10MPaが好ましく、0.5~5MPaがより好ま しく、0.5~3MPaがさらに好ましい。反応温度は 通常80℃以上で水素化分解を実施すること できるが、多価アルコールの水素化分解に る転化率及び分解生成物の選択性等の観点 ら、130~350℃の範囲が好ましく、160~300℃の範 囲がより好ましく、180~250℃の範囲が特に好 しい。
 水素化分解反応の反応装置としては、オー クレーブ等の加圧可能な装置を用いた回分 (バッチ式)が好ましい。

 本発明の多価アルコールからの水素化分 物の製造方法においては、多価アルコール してグリセリンを用いることが好ましい。 のグリセリンを用いることにより、水素化 解物として、1,2-PDを効率的に製造すること できる。

実施例1
(銅-鉄-アルミニウム系触媒の調製)
 下記の操作を行い、銅/鉄/アルミニウムの 子比が1/0.8/1.8である銅-鉄-アルミニウム系触 媒を製造した。
 還流冷却器を有する反応器に、水(300g)、CuSO 4 ・5H 2 O(48g)、FeSO 4 ・7H 2 O(46.8g)及び水酸化アルミニウム(12.8g)を入れ、 撹拌しながら温度を96℃に上昇させた。温度 95±2℃に保ちながら1時間保持した。次いで の温度を保ちながら、Na 2 CO 3 (44.8g)を水(150g)に溶解させた溶液を約80分かけ て滴下した。温度を95±2℃に保ちながら、CuSO 4 ・5H 2 O(4.8g)、Al 2 (SO 4 ) 3 ・16H 2 O(46.8g)を水(109.2g)に溶解させた溶液と、Na 2 CO 3 (27.6g)を水(98.2g)に溶解させた溶液を同時に滴 した。金属塩の水溶液は60分、アルカリ物 の水溶液は30分かけて滴下した。これにAl 2 (SO 4 ) 3 ・16H 2 O(23.4g)を水(53.5g)に溶解させた溶液を30分かけ 滴下した。次いでNa 2 CO 3 (14.3g)を水(54.9g)に溶解させた溶液を30分かけ 滴下した。更に10%NaOH水溶液を滴下しpHを10.5 調整した。pHを10.5に保ちながら1時間熟成を 行った。熟成終了後、反応物を吸引濾過した 。沈澱を毎回450mlの水で3回洗った後、100℃に て乾燥した。乾燥終了物を軽く粉砕し750℃で 1時間、空気中で焼成し、アルミナを担体と る銅-鉄-アルミニウム系触媒を得た。

(水素化分解)
 攪拌機付きの500mLの鉄製オートクレーブに 上記の方法で得られた銅-鉄-アルミニウム系 触媒10g、及びグリセリン200gを加え、水素置 した。その後、水素を液中に導入し、オー クレーブ内の圧力を2MPaに維持したまま、5L/m in.(25℃、H 2 )で流通させつつ、加熱し、230℃にて反応さ た。液相中の水分は、液中に導入される水 により、鉄製オートクレーブの上部に設け れた排出口から水蒸気として反応容器外に 出した。
 反応経時サンプルおよび反応終了溶液は濾 後、カールフィッシャー分析により水分量 測定し、また下記条件のガスクロマトグラ ィーにて分析し、生成物を定量し、これら 値から残存グリセリン(モル%)及び液相中の リセリンから生じる全水分量を1としたとき の水分の割合を求めた。また、経時的に測定 した残存グリセリン量より一次反応速度定数 kを算出し、これを反応速度の目安とした。
 反応終了品の選択性は、1,2-PDが93mol%、エチ ングリコール(「EG」と略記する)が3mol%、そ 他、不明が4mol%であった。これらの結果を 1に示す。

〔ガスクロマトグラフィー〕
 カラム:Ultra-alloy キャピラリーカラム 15.0m 250μm×0.15μm(Frontier Laboratories 社製)、検出器 :FID、インジェクション温度:300℃、ディテク ー温度:350℃、He流量:4.6mL/min.

実施例2、3
 実施例1で得られた触媒を用い、表1、表6に 載の条件にて水素化分解反応を実施した。 なわち、実施例2では水素流通条件の流量を 実施例1における5L/min.から1L/min.に減じ、実施 例3では、水素の流通方法を液中ではなく、 応溶液上部の気相部に導入し、気相中の水 気を反応容器外へ誘導することで、液相か 水蒸気を気相へ供給させ、間接的に液相中 水分を除去した。結果を表1に示す。

実施例4
(銅ラネー触媒)
 日興リカ社製 銅ラネー触媒(品番RC-300)を用 いた以外は、実施例1と同様に反応を実施し 。

実施例5
(銅-亜鉛/酸化チタン触媒の調製)
 反応器に硝酸銅(100g)と硝酸亜鉛(30g)を仕込 、水(2000g)に溶解した後、攪拌しながら昇温 た。50℃で酸化チタン(33g)を仕込み、90℃で1 0質量%Na 2 CO 3 水溶液(546g)(金属塩と等モルのNa 2 CO 3 )を1時間で滴下し、1時間熟成した後、沈殿物 を濾過・水洗し、110℃で10時間乾燥後、600℃ 1時間焼成した。得られた金属酸化物は銅/ 鉛原子比が4/1で、担体としての酸化チタン 対する担持量が50質量%であった。この酸化 タン担持酸化銅-酸化亜鉛を触媒に用い、実 例1と同様に水素化分解反応を実施した。
 実施例4及び実施例5の結果を表2に示す。

実施例6~11
(銅/シリカ触媒)
 触媒に、Cu/Siの原子比が1/0.55の日揮化学社  銅/シリカ触媒(品番F01B)の粉砕品を用い、 3及び表4の条件にて水素化分解反応を実施し た。実施例6~9は、グリセリン100質量部に対し て銅/シリカ触媒の使用量を5,2,1,0.5質量部と 化させ、実施例6、10、及び11は、反応温度を 230,220,200℃と変化させて反応を実施し、それ の要因の影響を確認した。結果を表3及び表 4に示す。

比較例1~6
 攪拌機付きの500mLの鉄製オートクレーブに 原料グリセリン200g、日揮化学社製 銅/シリ 触媒(品番F01B)の粉砕品をグリセリン100質量 に対して5質量部加え、水素置換した。表5 び表6に示すように、室温にて水素を1MPaまで 導入し、表に記載の反応温度まで加熱したの ち、水素圧を比較例1~3においては6MPa、比較 4においては2MPa、比較例5及び6においては15MP aの圧力まで上げ、その後は水素を流通する となく密閉状態で、減少した圧力分は水素 補充することでその圧力を維持し、水素化 解反応を行った。なお、比較例2では原料の リセリンに対する水分のモル比を1/1.3、比 例3及び6では100/20.5とした溶液を用いて反応 行った。

 同条件下にて使用した触媒の種類が異な 実施例1、4、5、6を比較してもっとも活性の 高い銅/シリカ触媒を使用した実施例6を基準 して、水素を流通させることなく反応液相 の水分を除去せずに反応させた比較例1に比 べ、同様に反応温度230℃、触媒使用量がグリ セリン100質量部に対して5質量部で、液相中 滞留水分を除去しながら反応させた実施例1~ 6は、反応完結までに要した時間又は反応8時 目の残存グリセリン量から、グリセリンの 応性が向上しており、特に反応後期には、 応速度が向上する。加えて、実施例1~6は1,2- PDの選択性も良好であった。また、実施例6と 比較例1を比較すると、実施例6の方が選択性 向上している。表3、表4及び表5の結果より 銅/シリカ触媒の使用量が少ない実施例7~8、 反応温度の低い実施例10、11においても、比 例1に比べ、グリセリンの反応性が向上して り、特に反応後期は反応速度が速い。加え 、1,2-PDの選択性も良好であった。比較例1に 比べて、触媒使用量が1/10である実施例9にお ては、反応後期は反応速度が速く、1,2-PDの 択性も良好であった。表3及び表5の結果よ 、反応温度、触媒使用量とも同じである実 例10と比較例4を比較すると、水分を除去し 実施例10の方が反応完結までに要した時間は 明らかに短く、かつ選択性は向上した。

実施例12、13
 実施例1と同じ、銅-鉄-アルミニウム系触媒 用い系内の水素圧力を15MPaとした実施例12、 同様に水素圧を15MPaとし、日揮化学社製 銅/ リカ触媒(品番F01B)の粉砕品を用いた実施例1 3において、前記同様にグリセリンの水素化 解反応を行った。
 表6に示すように、比較例5と比較して、反 液相中の滞留水分を除去しながら反応させ 実施例12、13はグリセリンの反応性が向上し おり、特に反応後期は反応速度が速い。加 て、実施例12、13は1,2-PDの選択性も良好であ った。

実施例14
 攪拌機付きの500mLの鉄製オートクレーブに 日揮化学社製 銅/シリカ触媒(品番F01B)の粉 品10g、及びグリセリン200gを加え、水素置換 た。さらに室温にて水素を1MPaまで導入し、 230℃まで加熱したのち、水素圧を15MPaの圧力 で上げ、密閉状態で、減少した圧力分は水 を補充することでその圧力を維持し、水素 分解反応を2時間行った。この時点では、加 えたグリセリンの85.5モル%が反応し、反応液 の水分の割合は、グリセリンから生じる全 分量を1とするときの割合が0.93であった。
 その後、鉄製オートクレーブを150℃まで冷 し、オートクレーブ内の圧力を1.5MPaに維持 たまま、水素を液中に導入し、10L/min.(25℃ 0.1MPa)で2時間流通させ、水分を除去した。そ の後、水素の流通を止め、230℃まで加熱し、 水素圧を15MPaの圧力まで上げ、その後は水素 流通することなく密閉状態で、減少した圧 分は水素を補充することでその圧力を維持 つつ、再度水素化分解反応を行った。結果 表7に示す。
 比較例5と比較して、反応途中で水分を除去 した実施例14は水除去後にグリセリンの反応 が向上しており、1,2-PDの選択性も良好であ た。

 本発明によれば、水素化触媒の存在下に 多価アルコールと水素を接触させ、反応液 中の水を除去しながら行うことで、多価ア コールからのその水素化分解物、特にグリ リンからの1,2-PDの効率的な製造方法を提供 ることができる。特に本製造方法を用いる とにより、工業的に実施が有利な低圧下で グリセリンを効率的に転化させ、1,2-PDを選 性良く製造できる。