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Title:
METHOD FOR PRODUCING METHYL CELLULOSE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084452
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for efficiently producing a methyl cellulose by a commercially simple process. Specifically disclosed is a method for producing a methyl cellulose, wherein a cellulose is reacted with methanol in a subcritical state.

Inventors:
OKUTSU MUNEHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073085
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
OKUTSU MUNEHISA (JP)
International Classes:
C08B11/02
Foreign References:
JP2006233144A2006-09-07
JP2005255537A2005-09-22
JPS62236801A1987-10-16
JP2002512271A2002-04-23
JPH08245701A1996-09-24
JPH06199902A1994-07-19
JPS61186336A1986-08-20
JPS55104221A1980-08-09
JP2004196783A2004-07-15
JPS62236801A1987-10-16
JP2003064184A2003-03-05
JP2004331918A2004-11-25
JP2002088000A2002-03-27
JP2002114801A2002-04-16
Other References:
See also references of EP 2226335A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (Bridgestone Toranomon Bldg.6F. 25-2, Toranomon 3-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 セルロースを、亜臨界状態のメタノールと反応させる、メチルセルロースの製造方法。
 セルロースが低結晶性の粉末セルロースである、請求項1に記載のメチルセルロースの製造方法。
 低結晶性の粉末セルロースの結晶化度が50%以下である、請求項2に記載のメチルセルロースの製造方法。
 メタノールが含水メタノールである、請求項1~3のいずれかに記載のメチルセルロースの製造方法。
 メタノール中の含水量が20重量%以下である、請求項4に記載のメチルセルロースの製造方法。
 触媒量の触媒存在下で反応を行う、請求項1~5のいずれかに記載のメチルセルロースの製造方法。
 触媒が、硫酸、リン酸、ホウ酸の中から選ばれる無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアルミニウム塩である、請求項6に記載のメチルセルロースの製造方法。
 触媒が水溶性金属塩である、請求項6又は7に記載のメチルセルロースの製造方法。
Description:
メチルセルロースの製造方法

 本発明は、メチルセルロースの製造方法 関する。

 一般的なメチルセルロースの製造方法は、 ルボキシメチルセルロースといった他のセ ロースエーテルの製造法と同様に、まずパ プ等のセルロース原料を大量の水および大 剰の水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水 化物からなるアルカリ水溶液に含浸・混合 てアルカリセルロースとする、いわゆるア セル化またはマーセル化と呼ばれるセルロ スの活性化処理を行った後、これにエーテ 化剤である塩化メチルをスラリー状態で反 させ、副生する中和塩等の洗浄除去、乾燥 更に粉砕といった工程を経て製造されてい 。
 このアルセル化工程では、アルセル化処理 調製したアルカリセルロースから過剰のア カリや水を除くため、ろ過洗浄や圧搾等の 雑な操作が行われている。このアルカリセ ロースは、セルロース分子中の大部分の水 基がアルコラートとなっていると考えられ おり、実際にセルロース分子中のグルコー 単位当たり、通常1~3モル量程度、少なくと 1モル量以上に相当するアルカリが含有され ており、更にはセルロースと同重量以上の水 も残存している。したがってエーテル化剤と 反応を行う際には、この水もまたエーテル化 剤と反応する可能性があるため、反応にとも なって大量の中和塩が副生するだけでなく、 これらの水和物に由来する副生物も生じるこ とになる。

 また、反応は固体であるセルロースとエー ル化剤とを効率良く接触させる必要がある とから、通常はアルカリセルロースを、種 の極性溶媒を用いて分散性の良いスラリー 態にして行われる。この極性溶媒としては イソプロパノール等の比較的反応性の低い 級2級または3級アルコール性溶媒やエーテ 類やケトン類といった各種極性溶媒が添加 れる。例えば、特許文献1及び2には、アルセ ル化およびエーテル化剤との反応の際に、ter t-ブタノールやメチルイソブチルケトン等の 量の水としか容易に相溶しない極性溶媒を 加し、反応後に溶媒を水相と分離・回収す 方法が開示されている。
 しかしながら、アルカリおよび水量を大幅 減らすことができない限り、中和塩等の副 物を大幅に低減することは、実質的には困 である。

 一方、硫酸等の強酸触媒の存在下、アルコ ルとメタノールを反応させてメチルエーテ を得る方法は、古くから知られている極め 古典的な方法であり、エチレングリコール の1,2-ジオール類のメチルエーテル化も、例 えば特許文献3等で開示されている。
 しかしながら、これらの方法は、アルデヒ のような酸に敏感な官能基を有する場合に 容易に副反応を引き起こし、例えばセルロ ス等の多糖類では主鎖の1,4-グリコシル結合 が容易に切断され、著しく分子量が低下して しまう問題がある。
 また特許文献4には、触媒としてカオリン系 粘土鉱物を用い、反応管にこの触媒を充填し 、反応温度200~300℃で、エチレングリコール よびメタノールを液相で流通させて反応さ る方法が開示されている。

 また、特許文献5にはアルカリ金属-リン-ケ 素系複合酸化物等の固体酸塩基触媒を用い 、メタノールの臨界温度;Tc=239℃(512K)の0.9~1. 5倍の反応温度かつ臨界圧力;Pc=8.1MPaの0.5~4.5倍 の圧力条件下で、エチレングリコールのメタ ノール溶液を管型の触媒槽に流通させて反応 させる方法が開示されている。
 しかしながら、セルロースの場合、この方 に応用しようとしても、通常セルロースは タノールにほとんど溶解しないために、前 した液相で流通させる方法は難しい。また ッチ式で反応させる場合にも、固体である 媒と、同様に固体であるセルロースまたは チルセルロースとを分離することは極めて 難となる。
 したがって、簡便かつ効率的で廃棄物が少 く、また触媒的なメチルセルロース製造法 開発することは、工業的な観点から極めて 用な課題である。

特開平8-245701号

特開平6-1999021号

特開昭61-186336号

特開昭55-104221号

特開2004-196783号

 本発明は、セルロースを、亜臨界状態の タノールと反応させる、メチルセルロース 製造方法に関する。

 本発明は、工業的にも簡便な方法で、効率 にメチルセルロースを製造する方法に関す 。
 本発明者らは、セルロース、好ましくは結 化度を低下させた粉末状のセルロースを、 臨界状態のメタノールと反応させることに り、セルロースのメチルエーテル化が極め 良好かつ選択的に進行することを見出した
 すなわち、本発明は、セルロースを、亜臨 状態のメタノールと反応させる、メチルセ ロースの製造方法に関する。
 以下、本発明方法に用いられる各成分、反 条件等について説明する。

〔セルロース〕
 本発明で用いるセルロースは、特に制限さ るものではないが、低結晶性の粉末セルロ スを用いることが好ましい。中でも、セル ースI型の結晶化度が50%以下の低結晶性の粉 末セルロースがより好ましい。
 セルロースは幾つかの結晶構造が知られて り、また一部に存在するアモルファス部と 晶部の全量に対する結晶部の割合から、一 に結晶化度が算出される。本発明における 結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構 に由来するI型の結晶化度を示し、粉末X線 晶回折スペクトル法による回折強度値からSe gal法により算出したもので、下記式(1)により 定義される。
 セルロースI型結晶化度(%)=〔(I 22.6 -I 18.5 )/I 22.6 〕×100 (1)
〔式中、I 22.6 は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=2 2.6°)の回折強度、及びI 18.5 は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強 度を示す。〕

 また、本発明における低結晶性の粉末セル ースの「低結晶性」とは、上記のセルロー の結晶構造においてアモルファス部の割合 多い状態を示し、好ましくは上記計算式(1) ら得られる結晶化度が50%以下となることを 味し、該結晶化度が0%の完全非晶化の場合 含む。
 通常の粉末セルロースは、少量のアモルフ ス部を有し、それらの結晶化度は、上記式( 1)によれば概ね60~80%の範囲に含まれるいわゆ 結晶性セルロースである。この結晶性セル ースは、一般的なセルロースエーテル合成 おける反応性が極めて低いのに対し、本発 で用いられる低結晶性の粉末セルロースは 化学反応性が優れている。

 本発明に用いられる低結晶性の粉末セルロ スは、汎用原料として得られるシート状や ール状のセルロース純度の高いパルプから 便に調製することができる。例えば、特開 62-236801号公報、特開2003-64184号公報、特開200 4-331918号公報等に記載の方法により、低結晶 の粉末セルロースを調製することができる
 また、例えば、シート状パルプを粗粉砕し 得られるチップ状パルプを、押出機で処理 て、更にボールミルで処理することにより 製する方法も挙げることができる。

 この方法に用いられる押出機としては、 軸又は二軸の押出機を用いることができる 、強い圧縮せん断力を加える観点から、ス リューのいずれかの部分に、いわゆるニー ィングディスク部を備えるものであっても い。押出機を用いる処理方法としては、特 制限はないが、チップ状パルプを押出機に 入し、連続的に処理する方法が好ましい。

 また、ボールミルとしては、公知の振動ボ ルミル、媒体攪拌ミル、転動ボールミル、 星ボールミル等を用いることができる。
 媒体として用いるボールの材質に特に制限 なく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ ジルコニア等が挙げられる。ボールの外径 、効率的にセルロースを非晶化させる観点 ら、好ましくは0.1~100mmである。また媒体と ては、ボール以外にもロッド状のものやチ ーブ状のものを用いることが可能である。
 ボールミルの処理時間としては、結晶化度 低下させる観点から、好ましくは5分~72時間 である。またボールミルの処理の際には、発 生する熱による変性や劣化を最小限に抑える ためにも、250℃以下、好ましくは5~200℃の範 で処理を行うことが好ましく、更には必要 応じて、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行 ことができる。

 前述のような方法を用いれば、分子量の制 も可能であり、一般には入手困難な、重合 が高く、かつ低結晶性の粉末セルロースを 易に調製することが可能である。
 本発明に用いられる低結晶性の粉末セルロ スの結晶化度は、好ましくは前記式(1)から められる結晶化度が50%以下である。この結 化度が50%以下であれば、各種エーテル化剤 の反応が極めて良好に進行する。この観点 ら、40%以下がより好ましく、30%以下が更に ましい。特に、本発明において、完全に非 質化した、すなわち前記計算式から求めら る結晶化度がほぼ0%となる非晶化セルロー を用いることが最も好ましい。
 本発明に用いられるセルロース、好ましく 低結晶性の粉末セルロースの重合度として 、好ましくは100~2000であり、より好ましく 100~1000である。
 本発明に用いられるセルロース、好ましく 低結晶性の粉末セルロースの平均粒径とし は、メタノール中で良好に分散できる状態 あれば特に限定されないが、好ましくは300 m以下であり、より好ましくは20~150μmであり 更に好ましくは25~50μmである。

〔メチルセルロースの製造〕
 本発明のメチルセルロースの製造方法は、 ルロース、好ましくは低結晶性の粉末セル ースを、亜臨界状態のメタノールと反応さ ることを特徴とする。

 本発明におけるメタノールの亜臨界状態と 、反応温度及び/又は反応圧力が、前述の特 許文献5の段落〔0041〕で定義されているメタ ールの亜臨界および超臨界条件領域〔すな ち臨界温度;Tc=512K(239℃)の0.9~1.5倍の反応温 かつ臨界圧力;Pc=8.1MPaの0.5~4.5倍の反応圧力領 域〕よりも低い領域を示し、具体的には、反 応温度として臨界温度;Tc=512K(239℃)の0.88~1.0倍 の範囲の反応温度領域(450~512K(180~239℃))、お び反応圧力として臨界圧力;Pc=8.1MPaの0.1倍以 0.5倍未満の反応圧力領域(0.8MPa以上4.0MPa未満 )を示す。このうち、本発明における反応温 領域としては、原料セルロースや生成メチ セルロースの分解や着色を抑える観点から 180~230℃の範囲が更に好ましい温度領域であ 。
 この反応温度領域および反応圧力領域であ ば、本発明に用いるセルロース、好ましく 低結晶性の粉末セルロースのメチルエーテ 化が、極めて良好に進行する。

(メタノール/含水メタノール)
 本発明方法には、好ましくはメタノール又 含水メタノールを用いる。
 メタノールを用いる態様では、後述する触 量の触媒存在下で反応を行うことが好まし 。

 含水メタノールを用いる態様では、本明 書で定義されるメタノールの亜臨界状態の 応温度・圧力領域において、含水メタノー によるセルロースのメチルエーテル化が、 媒を用いることなく、良好に進行する。こ ように触媒を必要としない方法により、廃 物が少なくすることができる。

 上記で定義されるメタノールの亜臨界状態 温度領域は、例えば特開2002-88000号公報で定 義されている水の亜臨界温度領域(250~350℃)よ りも低い温度領域に相当する。上記の文献に は、亜臨界状態の水を用いたエポキシドの水 和反応において無触媒で反応が進行すること が開示されている。これは、上記の水の亜臨 界温度領域では、水の反応性そのものが著し く向上しているためと考えられる。
 一方、含水メタノールを用いる態様におい 、上記のメタノールの亜臨界状態の温度領 では、例えば水和反応における水の反応性 著しい向上は見られない。しかしながら、 記のメタノールの亜臨界状態の温度領域を む180~250℃、特に200~230℃では水のイオン積 最も大きな値を示し、これがメタノールの 応性を著しく向上させている可能性がある
 すなわち、メタノールの亜臨界状態の反応 度・圧力領域であれば、含水メタノールに るセルロースのメチルエーテル化が、触媒 用いることなく、極めて良好に進行する結 となる。なお、本発明の含水メタノールを いる態様では、必要により、後述する触媒 の触媒を用いることもできる。

 本発明においては、セルロースは、メタノ ル又は含水メタノール中で十分に分散して る状態で反応させるために、攪拌翼等を用 て反応系内を効果的に攪拌させることが好 しい。この観点から、メタノール又は含水 タノールの使用量としては、セルロースに して5重量倍以上用いるのが好ましく、更に は10~50重量倍量を用いるのがより好ましい。
 本発明における含水メタノール中の含水量 、反応を効率良く進行させ、かつ加水分解 起こる可能性を避けるため、メタノールに して20重量%以下とするのが好ましく、0.5~15 量%とするのがより好ましく、1~10重量%とす のが更に好ましい。

(触媒)
 本発明に用いられる触媒としては、特に限 されるものではないが、金属塩が好ましく 水溶性金属塩がより好ましい。金属塩とし は、例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸の中か 選ばれる無機酸のアルカリ金属塩、アルカ 土類金属塩またはアルミニウム塩等が挙げ れ、更に、水溶性の中和塩が好ましい。こ 水溶性という特長を利用すれば、反応終了 に未反応メタノールを留去・回収し、生成 を水洗または一般のセルロースエーテル製 で使われるような含水イソプロパノール等 洗浄することにより容易に触媒を除去する とが可能である。一般的にメチルセルロー 合成に使用される固体触媒では、固体生成 と固体触媒との分離が難しいが、触媒が水 性塩であれば、固体生成物と触媒との分離 極めて容易となる。これらの触媒としては 例えば、リン酸ナトリウム、リン酸セシウ 、硫酸セシウム、リン酸マグネシウム、リ 酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム等が 適に挙げられる。
 触媒の使用量としては、セルロースに対し 触媒量で十分であり、具体的にはセルロー に対して1~30重量%用いるのが好ましく、10~25 重量%用いるのが更に好ましい。これらの触 は、1種又は2種以上を組み合わせて用いるこ とも可能である。

 本発明におけるセルロースと亜臨界状態の タノールとの反応は、通常は反応容器とし オートクレーブ等の耐圧容器を用いて行わ るが、加温されている耐圧の管型反応容器 に、セルロースおよび必要により使用され 触媒のメタノール又は含水メタノール分散 をスラリー状態で流通させて反応させるこ も可能である。
 また更には、特開2002-114801号公報に開示さ ているような、樹脂等の混錬に用いられる いわゆるニーダー等の混合機を反応容器と て用い、メタノール使用量を反応時に耐圧 力以下になるように調整し、熱油等の高温 体により加温して反応させることも可能で る。

 また、本発明の製造方法は、反応容器中に ルロース、メタノールまたは含水メタノー 、および必要により触媒を加えた後、攪拌 ながら使用する温度領域まで加温すること 行うことが好ましいが、反応時の着色を避 るためにも必要に応じてあらかじめ窒素等 不活性ガスで十分に置換した後、加温して 応させることがより好ましい。
 本発明の製造方法により得られるメチルセ ロースにおいて、メチル基はセルロース分 中のグルコース単位におけるいかなる位置 水酸基に結合していてもよいが、反応時間 温度、メタノール量または含水メタノール およびその含水量、ならびに必要により使 される触媒量といった反応条件を調整する とで、グルコース単位当たり任意の置換度 調整することが可能であり、各種組成物用 の配合成分として極めて広範に利用するこ が可能である。

(1)セルロースの結晶化度、重合度、平均粒径 の算出
 セルロースI型結晶化度の算出は、株式会社 リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer を用いて以下の条件で測定した回折スペク ルのピーク強度から前記計算式に従って行 た。
 測定条件は、X線源:Cu/Kα-radiation,管電圧:40kv, 管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5~45°、X線の スキャンスピード:10°/minで測定した。測定用 サンプルは面積320mm 2 ×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。
 セルロースの重合度はISO-4312法に記載の銅 ンモニア法により測定した。
 セルロースの平均粒径は、レーザー回折/散 乱式粒度分布測定装置「LA-920」(株式会社堀 製作所製)を用いて測定した。測定条件は、 径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の 分散媒体として水を用い、体積基準のメジア ン径を、温度25℃にて測定した。なお、用い 屈折率は、1.2である。

(2)メチル化の置換度の算出
 置換度はセルロース中のグルコース単位当 りの、メチル基の平均付加モル数を示す。 の算出法としては、まずピリジン溶媒中で トキシアセチルクロリドを用いて生成物中 メチルエーテル化されていない水酸基のメ キシアセチル化を行い、そのメトキシアセ ル化物の 1 H NMRスペクトルを測定し、3.3~4.3ppm(重クロロ ルム溶媒中、トリメトキシシラン基準)に観 察されるメトキシアセチル基中のメチルプロ トンおよびメチレンプロトンシグナルと、メ チルエーテル化されたメチル基中のメチルプ ロトンシグナルとの積分比から算出した。

製造例1(非晶化粉末セルロースの製造)
 まず木材パルプシート(ボレガード社製パル プシート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式 社明光商会製、「MSX2000-IVP440F」)を用いて裁 断しチップ状にした。
 次に、得られたチップ状パルプを二軸押出 (株式会社スエヒロEPM製、「EA-20」)に2kg/hrで 投入し、せん断速度660sec -1 、スクリュー回転数300rpmで外部を冷却水によ り冷却しながら、1パスの処理で粉末状にし 。
 次に、得られた粉末セルロースを、バッチ 媒体攪拌ミル(五十嵐機械社製「サンドグラ インダー」:容器容積800mL、5mmφジルコニアビ ズを720g充填、充填率25%、攪拌翼径70mm)に投 した。容器外部を冷却水で冷却しながら、 拌回転数2000rpm、温度30~70℃の範囲で、2.5時 処理を行い、非晶化粉末セルロース(セルロ ースI型結晶化度0%、重合度600、平均粒径40μm) を得た。この粉末セルロースの反応には更に 32μm目開きの篩をかけた篩下品(投入量の90%) 使用した。

実施例1-1
 小型のオートクレーブ(30ml)中に、非晶化セ ロース(セルロースI型結晶化度0%、重合度600 、平均粒径40μm)0.50gおよび含水メタノール9.0g [含水量0.5g(5.6重量%)]を加え、窒素置換後、脱 気を行った。そのまま攪拌しながら、高温オ イルバスで220℃まで昇温した。容器内の圧力 は初期に2MPaを示した。そのまま8時間攪拌後 室温まで冷却した。未反応メタノールを留 後、含水イソプロパノール(含水量15重量%) よびアセトンで洗浄後、減圧下乾燥して、 チルセルロースを淡茶色固体として得た。 トキシアセチル化後の 1 H NMR分析から、メチルセルロースとしてのメ チル基の置換度はグルコース単位当たり2.4と なり、反応は良好に進行していた。

実施例1-2
 反応時間として16時間攪拌を行う以外は実 例1-1と同様に反応を行った結果、メチルセ ロースとしてのメチル基の置換度はグルコ ス単位当たり2.6となり、反応は極めて良好 進行していた。

実施例2-1
 小型のオートクレーブ(容器容量30ml)中に、 記製造例1で得られた非晶化粉末セルロース (セルロースI型結晶化度0%、重合度600、平均 径40μm)0.50gを加え、触媒としてリン酸ナトリ ウム0.1g、およびメタノール10mlを加え、窒素 換後、脱気した。攪拌しながら、高温オイ バスで220℃まで昇温した。容器内の圧力は 期に2MPaを示した。そのまま16時間攪拌後、 温まで冷却した。未反応メタノールを留去 、含水イソプロパノール(含水量15重量%)お びアセトンで洗浄後、減圧下乾燥して、メ ルセルロースを淡茶色固体として得た。メ キシアセチル化後の 1 HNMR分析から、メチルセルロースのメチル基 しての置換度はグルコース単位当たり2.8と り、反応は極めて良好に進行していた。ま セルロース中の全ての水酸基に対して同じ 応性を示した。

実施例2-2
 触媒としてリン酸セシウム0.1gを用いる以外 は実施例2-1と同様にして反応を行った結果、 メチルセルロースを淡茶色固体として得た。 生成メチルセルロース中のメチル基としての 置換度はセルロース分子中のグルコース単位 当たり2.0となり反応は極めて良好に進行して いた。

実施例2-3
 触媒として硫酸セシウム0.1gを用いる以外は 実施例2-1と同様にして反応を行った結果、メ チルセルロースを淡茶色固体として得た。生 成メチルセルロース中のメチル基としての置 換度はセルロース分子中のグルコース単位当 たり2.0となり反応は極めて良好に進行してい た。

実施例2-4
 触媒としてリン酸マグネシウム0.1gを用いる 以外は実施例2-1と同様にして反応を行った結 果、メチルセルロースを淡茶色固体として得 た。生成メチルセルロース中のメチル基とし ての置換度はセルロース分子中のグルコース 単位当たり2.5となり反応は極めて良好に進行 していた。

 本発明は、工業的にも簡便でかつ効率的 製造方法によって、メチルセルロースを製 することができ、得られたメチルセルロー は、化粧品用や食品用の乳化安定化剤、建 用の分散剤や懸濁安定化剤、増粘剤、接着 、医薬品等における分散剤や安定化剤、バ ンダー、保護コロイド剤等の多様な用途に 適に用いることができる。