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Title:
METHOD FOR PRODUCING OZONE ICE AND APPARATUS FOR PRODUCING OZONE ICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047385
Kind Code:
A1
Abstract:
A method for producing ozone ice, wherein storage stability of ozone ice is improved. Specifically disclosed is a method wherein ice (11) containing an oxygen gas (g2) in the form of air bubbles (b) is produced and the thus-produced ice (11) is irradiated with ultraviolet light, so that the oxygen gas (g2) in the ice (11) is ozonized, thereby producing ozone ice (1).

Inventors:
OKUYAMA JUNICHI (JP)
HAMANO YASUNORI (JP)
MATSUO TAKAHIRO (JP)
YOSHIDA YUKA (JP)
KUWABARA HAJIME (JP)
KUBOTA NOBUHIKO (JP)
UEMATSU KAZUO (JP)
WAZUMI KOUICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/068261
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
IHI CORP (JP)
OKUYAMA JUNICHI (JP)
HAMANO YASUNORI (JP)
MATSUO TAKAHIRO (JP)
YOSHIDA YUKA (JP)
KUWABARA HAJIME (JP)
KUBOTA NOBUHIKO (JP)
UEMATSU KAZUO (JP)
WAZUMI KOUICHIRO (JP)
International Classes:
F25C1/00
Foreign References:
JP2007225127A2007-09-06
JPH11179349A1999-07-06
JPH10128342A1998-05-19
Attorney, Agent or Firm:
KINUTANI Nobuo (JP)
Nobuo Kinutani (JP)
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Claims:
 酸素ガスを気泡として含む氷を作製し、作製した氷に紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷を製造するオゾン氷製造方法。
 作製した氷に、波長が130~242nmの紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化する請求項1記載のオゾン氷製造方法。
 水の電気分解により陽極で発生した酸素ガスを気泡として含む水を冷却凍結して酸素ガスを気泡として含む氷を作製し、作製した氷に紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷を製造する請求項1または2記載のオゾン氷製造方法。
 マイクロバブルにした酸素ガスと水を混合して酸素ガスを気泡として含む水にし、その酸素ガスを含有する水を冷却凍結して酸素ガスを気泡として含む氷を作製し、作製した氷に紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷を製造する請求項1または2記載のオゾン氷製造方法。
 氷粉体に酸素ガスを供給し、これを加圧焼結して酸素ガスを気泡として含む氷を作製し、作製した氷に紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷を製造する請求項1または2記載のオゾン氷製造方法。
 前記加圧焼結は、圧力20MPaで、3時間かけて行う請求項5記載のオゾン氷製造方法。
 海氷、氷河などの天然氷を採取し、酸素ガスを気泡中のガス成分として含む氷を作製する請求項1または2記載のオゾン氷製造方法。
 水を電気分解し、酸素ガスを気泡として含む水を生成するための電解セルと、酸素ガスを気泡として含む水を収容し、これを冷却凍結して酸素ガスを気泡として含む氷を作製する冷却容器と、その冷却容器に収容した酸素ガスを気泡として含む氷に紫外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷にするための紫外線照射器とを備えたオゾン氷製造装置。
Description:
オゾン氷製造方法及びオゾン氷 造装置

 本発明は、氷中にオゾンガスを気泡とし 含むオゾン氷の製造方法及びオゾン氷製造 置に関する。

 近年、鮮魚、野菜などの生鮮食料品を始 とする生ものを冷蔵すると共に、殺菌、消 、消臭するために、氷中にオゾンガスを気 として含むオゾン氷が使用されている。こ でオゾンガスは、自己分解して酸素となり2 次汚染の心配がないことから、塩素系殺菌剤 など他の殺菌剤の代替として注目を集めてい る。

 これまでに考案されたオゾン氷の製造方 は、大きく2つに分類される。1つはオゾン スを気泡として含む水を冷却凍結する方法 あり(例えば、特許文献1参照)、もう1つは氷 体にオゾンガスを供給しながら圧縮する方 である(例えば、特許文献2参照)。

 特許文献1には、オゾンを溶解させたオゾ ン水を、加圧状態で冷却凍結してオゾン氷を 作製する方法が記載されている。特許文献2 は、降雪を収容体に入れて内部の空気を排 した後に、オゾンガスを送入しながら圧縮 てオゾン氷を作製する方法が記載されてい 。

 一方、特許文献3には、電解法で生成した オゾン水を冷却凍結することにより、オゾン 氷を作製する方法が記載されている。なお、 特許文献4や非特許文献1には、電解法で用い 電解セルの電極や原料水の成分を工夫する とにより、陽極において高濃度のオゾン水 生成する方法が記載されている。

特開平2005-77040号公報(特許第4052465号公報 )

特開平3-186174号公報

特開2006-145141号公報

特許第3375904号公報

“貴金属被覆チタン電極を用いた次亜塩 素酸およびオゾンの生成とその殺菌効果”、 近藤康人、小泉ゆりか、井関正博、山田淳、 高岡大造、滝沢貴久男、安田昌司、今井八郎 、表面技術 Vol.56, No.2, 34-40, 2005

 しかしながら、従来のオゾンガスを気泡 して含む水を冷却凍結する方法や、氷粉体 オゾンガスを供給しながら圧縮する方法は オゾンガスがより安定な酸素ガスへと短時 で分解することから、オゾン氷をその融点 りも十分低い温度で保管する必要があり、 製したオゾン氷の貯蔵安定性に問題があっ 。従って、従来の方法では、オゾン氷の殺 作用を長期間にわたり保持することが困難 あった。

 そこで、本発明の目的は、オゾン氷の貯 安定性を向上させたオゾン氷の製造方法及 オゾン氷製造装置を提供することにある。

 上記目的を達成するために創案された本 明は、酸素ガスを気泡として含む氷を作製 、作製した氷に紫外線を照射し、氷中の酸 ガスをオゾン化してオゾン氷を製造するオ ン氷製造方法である。

 これには作製した氷に、波長が130~242nmの 外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化 るとよい。

 水の電気分解により陽極で発生した酸素 スを気泡として含む水を冷却凍結して酸素 スを気泡として含む氷を作製し、作製した に紫外線を照射することにより、氷中の酸 ガスをオゾン化してオゾン氷を製造しても い。

 マイクロバブルにした酸素ガスと水を混 して酸素ガスを気泡として含む水にし、そ 酸素ガスを含有する水を冷却凍結して酸素 スを気泡として含む氷を作製し、作製した に紫外線を照射することにより、氷中の酸 ガスをオゾン化してオゾン氷を製造しても い。

 氷粉体に酸素ガスを供給し、これを加圧 結して酸素ガスを気泡として含む氷を作製 、作製した氷に紫外線を照射することによ 、氷中の酸素ガスをオゾン化してオゾン氷 製造してもよい。

 前記加圧焼結は、圧力20MPaで、3時間かけ 行うようにしてもよい。

 海氷、氷河などの天然氷を採取し、酸素 スを気泡中のガス成分として含む氷を作製 、作製した氷に紫外線を照射してオゾン氷 製造してもよい。

 また本発明は、水を電気分解し、酸素ガ を気泡として含む水を生成するための電解 ルと、酸素ガスを気泡として含む水を収容 、これを冷却凍結して酸素ガスを気泡とし 含む氷を作製する冷却容器と、その冷却容 に収容した酸素ガスを気泡として含む氷に 外線を照射し、氷中の酸素ガスをオゾン化 てオゾン氷にするための紫外線照射器とを えたオゾン氷製造装置である。

 本発明によれば、オゾン氷の貯蔵安定性 向上できる。

本発明の好適な実施形態を示すオゾン 製造方法を説明する概略図である。 酸素ガスを気泡として含む氷中の気泡 一例を示す写真である。 オゾンと酸素の吸収スペクトルを示す である。 氷の吸収スペクトルを示す図である。 氷の吸収による入射光強度の減衰を示 図である。 本実施形態に係るオゾン氷製造方法の 々な例を示すフローチャートである。 電解セルの概念図である。 本実施形態に係るオゾン氷製造方法の 理実証試験を示す概略図である。 本実施形態に係るオゾン氷製造方法に いるオゾン氷製造装置の一例を示す概略図 ある。 図9に示したオゾン氷製造装置を用い 場合のオゾン氷製造方法を説明するフロー ャートである。

 以下、本発明の好適な実施形態を添付図 にしたがって説明する。図1は、本発明の好 適な第1の実施形態を示すオゾン氷製造方法 説明する概略図である。

 図1に示すように、第1の実施形態に係る ゾン氷製造方法は、酸素ガスg2を気泡bとし 含む氷(酸素気泡含有氷)11を作製し、作製し 氷11に紫外線を照射し、氷11中の酸素ガスg2 オゾン化してオゾン氷(オゾン気泡含有氷)1 製造する方法である。

 酸素ガスg2を気泡bとして含む氷11の密度ρは 、気泡bが氷11中に含まれるように(氷11中に酸 素ガスが気泡bとして閉じこめられるように) 550~910kg/m 3 、好ましくは830~870kg/m 3 にすると良い。550kg/m 3 以上となる氷粒子が最密充填に近い状態にな るため気泡bが存在するようになるが、空隙 部とつながった状態である開空孔(open pore) 未だ多く存在する。しかし830kg/m 3 以上となるとほぼ気泡のみとなる。一方、870 kg/m 3 を超えると気泡が少なすぎ、氷中の酸素ガス が少なくなる。ここでρ=830kg/m 3 の氷11は、氷11の全体積に対し、水が凍結し 純粋な氷部分の体積が90%、気泡bの体積が10% ある。

 酸素ガスg2を気泡bとして含む氷11の密度ρ は、例えば、冷却凍結する前の水に混合する 酸素ガスのマイクロバブルの量や凍結速度、 また加圧焼結により氷を作製する場合には氷 粉体の結晶粒径、加圧時の温度、加圧圧力を 調整することで制御する。

 図2には、加圧焼結法により作製した、酸素 ガスg2を気泡bとして含む氷11の気泡の一例を した。図2中の氷11の密度ρは870kg/m 3 であり、気泡bの大きさは約0.1~0.2mmである。 こで、気泡を含まない氷の密度は917kg/m 3 であることから、氷11の全体積に対し、気泡b は5%を占める。

 作製した氷11には、波長が130~242nm、好ま くは180~220nmの紫外線を照射するとよい。

 オゾン氷1中のオゾンガスg3の濃度は、紫 線の照射時間にもよるが、基本的には、酸 ガスg2を気泡bとして含む氷11の密度ρと、照 射する紫外線の波長、そして温度で決まる。 本実施形態では、オゾン氷1中のオゾンガスg3 の濃度を1~30ppmにした。

 作製した氷11に照射する紫外線の波長は より詳細には、1)酸素分子が酸素原子に解離 すること、2)生成したオゾンガスが酸素ガス 分解しにくいこと、そして3)氷による吸収 影響が小さいことの主に3点を考慮して決定 る。

 1)については、242nmよりも短い波長の紫外 線が酸素分子に照射されると、酸素原子へと 解離する。

 2)については、図3(出典:杉光英俊、“オゾ の基礎と応用”株式会社光琳出版、平成8年) に示すように、オゾンガス(O 3 )は波長220~300nmにハートレー吸収帯という強 吸収帯を有するため、この波長範囲の光が ゾンガスに照射されると、オゾンガスの分 が卓越して生じる。つまり、紫外線照射に るオゾンガスの生成は、オゾンガスの分解 の競合反応である。なお、波長200nm以下では 酸素分子の吸収係数が急激に増大し、特に140 ~170nmの波長領域では酸素分子による紫外線吸 収がオゾンガスによる紫外線吸収を上回る。

 3)については、図4(出典:V. F. Petrenko and R. W. Whitworth, “Physics of Ice”, Oxford Uni.Press, 1999)に示すように、氷は波長200nm付近に吸収 があり、180nmで吸収係数は100m -1 程度となる。これよりも長い波長で吸収係数 が小さいので氷による光の吸収の影響が小さ い。

 1)~3)を考慮すると、酸素分子を酸素原子 解離し、生成したオゾンガスの分解を抑制 る波長領域、そして氷による紫外線の吸収 小さい波長である180~220nmの紫外線を作製し 氷11に照射することが実用上は好ましい。後 述する原理実証実験では、水銀ランプが放射 する紫外線のうち、波長が193nmの紫外線を用 た。

 図4に示すように、波長193nmの紫外線の吸収 数は1~2m -1 である。ここで氷の吸収による入射光強度の 減衰率I(x)/I 0 は、入射光が氷試料表面に対して鉛直に入射 した際の反射率を下式(1)で示されるRとし、 の吸収係数をα(m -1 )とすると、下式(2)

で求められ、指数関数的に小さくなる。図5 、α=1、10、100の場合の計算結果を示す。作 した氷11の厚さを0.5mとし、またα=1とすると 減衰率I(x)/I 0 は0.6となり、40%の光エネルギーが氷に吸収さ れることとなる。

 ここで、図6を用いて、第1の実施形態に係 オゾン氷製造方法をより詳細に説明する。 6に示すように、図1で説明した酸素ガスg2を 泡bとして含む氷11を製造する方法としては 3つの方法、すなわち
 方法1)マイクロバブル発生器(マイクロバブ 発生装置)を利用して製造する方法
 方法2)電解セルを利用して製造する方法
 方法3)加圧焼結容器を利用して製造する方
がある。

 方法1)
 まず、マイクロバブル発生器62を用意する 用意したマイクロバブル発生器62に、酸素ガ スボンベから原料の1つである酸素ガスg2を供 給し、酸素ガスg2を気泡の径が100μm以下のマ クロバブルにする。マイクロバブルにした 素ガスg2ともう1つの原料である水wとを混合 し、酸素ガスを気泡として含む水(酸素気泡 有水)bw1にする。酸素気泡含有水bw1を冷却容 63に収容し、その冷却容器63で酸素気泡含有 水bw1を冷却凍結し、図1の酸素ガスg2を気泡b して含む氷11を作製する。そして、作製した 氷11に、紫外線照射器(紫外線照射装置)64から 紫外線を照射し、氷11中の酸素ガスg2をオゾ 化すると、オゾン氷1が得られる。

 方法2)(図6中の点線枠M2で囲まれたフローチ ート)
 まず、水を電気分解するための電解セル71 用意する。電解セル71は、図7に示すように 固体電解質膜(陽イオン交換膜)72を陽極73と 極74とで両側から挟み、これら陽極73と陰極7 4に直流電源75を接続し、陽極側に水供給口76 水排出口77を設けて構成される。電解セル71 では、水供給口76に水wを供給して両極73,74に 流電圧を印加した場合、陽極73において酸 ガスが発生し、発生した酸素ガスが水排出 77から電気分解されなかった水wと共に排出 れる。一方、陰極74においては、水素ガスが 発生する。

 図6に戻り、用意した電解セル71に原料と る水wを供給し、その水wを電解セル71で電気 分解し、酸素ガスを気泡として含む水(水+酸 ガス(気泡の径が数10μmのマイクロバブル)( 素気泡含有水))bw2と水素ガスghとを生成する 本実施形態では、水素ガスghは廃棄する。 素気泡含有水bw2を冷却容器63に収容し、その 冷却容器63で酸素気泡含有水bw2を冷却凍結し 図1の酸素ガスg2を気泡bとして含む氷11を作 する。そして、作製した氷11に、紫外線照 器64から紫外線を照射し、氷11中の酸素ガスg 2をオゾン化すると、オゾン氷1が得られる。

 方法3)
 まず、密閉容器内に収容した氷粉体を0℃以 下で加圧して焼結するための容器(加圧焼結 器)65を用意する。用意した容器65に、原料の 1つである氷粉体ipを収容して密閉する。氷粉 体ipは、ブロック状の氷を破砕して氷粉体に きる氷粉体製造器(かき氷製造器などでもよ い)で作製する。次に、密閉した容器65を減圧 し、容器内部の空気を除去する。そして、酸 素ガスボンベからもう1つの原料である酸素 スg2を供給し、この状態で氷粉体ipに、例え 油圧ジャッキを用いて20MPaの圧力を3時間加 ることにより加圧焼結し、図1の酸素ガスg2 気泡bとして含む氷11を作製する。作製した 11に、紫外線照射器64から紫外線を照射する ことにより、オゾン氷1が得られる。

 方法1や方法2で用いる冷却容器63や、方法 3で用いる容器65には、酸素気泡含有水bw1,bw2 または氷粉体ipを冷却するために、冷媒を用 いる。この冷媒を冷却するための冷熱には、 例えば、LNG(液化天然ガス)プラントから排出 れる低温廃熱を利用する。これにより、LNG ンク、およびその付帯設備の付加価値も向 できる。

 本発明者らは、これまでに、後述する原 実証実験を最も簡便な方法1で実施した。方 法2の利点は、他の方法で必要となる酸素ガ ボンベを準備する必要がないこと、また、 解セル71の陽極表面において発生する酸素ガ スの気泡径が数10μm(10~50μm)と小さいことにあ る。気泡の径が小さいと、酸素気泡含有水bw2 を冷却凍結するとき、酸素気泡含有水bw2中で 気泡の滞留時間が長くなるため、気泡の径が 大きい場合に比べてより多数の気泡bを含む 11を作製できる。方法3の利点は、他の方法 りも氷中に含まれる気泡の内圧(酸素ガスの 度)を高めることができること、すなわち方 法1や方法2と比較して高濃度のオゾン氷1を製 造できることにある。一方、方法1や方法2の 点は、酸素気泡含有水bw1,bw2を冷却凍結する ため、方法3のように加圧焼結する場合に比 ると、オゾン氷1を短時間で製造できること あり、大量生産に向いている。

 本実施形態の作用を説明する。

 本実施形態に係るオゾン氷製造方法は、 来のようにオゾン水を冷却凍結してオゾン を製造する方法や、氷粉体にオゾンガスを 給しながら圧縮してオゾン氷を製造する方 とは異なり、あらかじめオゾンガスを含む ゾン氷を製造する方法ではない。

 本実施形態に係るオゾン氷製造方法では まず、酸素ガスg2を気泡bとして閉じこめた 11を作製している。本実施形態に係るオゾ 氷製造方法では、例えば、オゾン氷1の使用 際して、作製した氷11に紫外線を照射する とで、氷11中の酸素ガスg2をオゾン化して簡 にオゾン氷1が得られる。

 これにより、本実施形態に係るオゾン氷 造方法によれば、従来のオゾン氷製造方法 問題であったオゾン氷の貯蔵安定性を改善 ることができ、オゾン氷1の適用範囲を拡大 することができる。すなわち、従来はオゾン 水からオゾン氷を製造しており、オゾンガス の分解を抑制するために、オゾン氷を製造し た後はその融点よりも十分に低い温度で保管 する必要があった。が、本発明は、気泡含有 氷に紫外線を照射してオゾン氷とするため、 具体的な効果としては、以下の3点を挙げる とができる。

 (1)オゾン氷1だけでなく、オゾン氷1の前 階である氷(酸素気泡含有氷)11も商品として 用でき、氷の融点近傍で氷11を商品として 管することが可能となり、従来のようにオ ンガスの分解を抑制するために、十分に低 温度で保管する必要がない。

 (2)使用に際して氷11に紫外線を照射する とにより、オゾン氷1が得られるため、氷11 商品として長距離輸送することが可能とな 。

 (3)オゾン氷1を商品として長距離輸送した 場合には、気泡b中のオゾンガスg3が分解する が、オゾン氷1の使用に際して、長距離輸送 のオゾン氷1に再び紫外線を照射すれば、酸 ガスへと分解したオゾンガスを再生するこ が可能となる。

 また、第1の実施形態に係るオゾン氷製造方 法では、酸素ガスg2を気泡bとして含む氷11の 度ρを、気泡bが氷11中に含まれるように830~8 70kg/m 3 とすれば、生鮮食料品保存の際に必要とされ る3ppm以上のオゾンガスg3を閉じこめたオゾン 氷1を製造できる。

 上記実施形態では、酸素ガスg2を気泡bと て含む氷11を人工的に作製する方法で説明 たが、氷11は、南極やグリーンランドを始め とする氷河・氷床など、自然界にも天然氷( 然氷)として存在する。したがって、海氷、 氷、氷河、氷床などの天然氷を採取し、採 した天然氷の構造(氷の密度、気泡の成分な ど)を調べた上で、採取した天然氷(酸素ガス 気泡中のガス成分として含む氷)を所望の大 きさに加工して作製したものを、氷11として いてもよい。

 本発明者らは、本実施形態に係るオゾン氷 造方法の原理実証実験も行った。
図1で説明した酸素ガスg2を気泡bとして含む 11を、マイクロバブルを含むイオン交換水を 液体窒素雰囲気において急速冷却することで 作製した。

 図8に示すように、作製した氷11を紫外線 過するケース81内に収容して小トレー82上に 置き、その小トレー82を、冷媒として液体窒 nを満たした大トレー83内に浸した。大トレ 83の片側に、紫外線照射器として水銀ラン 84を設け、さらにケース81の上方に、水銀ラ プ84の紫外線のうち波長が193nmのみの紫外線 を反射して氷11に照射する反射ミラー85を設 た。なお、大トレー83の片側の内面には、水 銀ランプ84からの光が氷11に直接照射される を防止するため、アルミホイル86を立てた。 氷11に193nmの紫外線を15分間照射した後、常温 において氷11を融解し、ヨウ化カリウムを添 した。その結果、ヨウ素による着色が認め れ、図1で説明したオゾン氷1を作製できる とを確認した。

 次に、図9を用いて、本実施形態に係るオ ゾン氷製造方法に用いるオゾン氷製造装置の 一例を説明する。

 図9に示すように、本実施形態に係るオゾ ン氷製造装置90は、上述した方法2に用いるオ ゾン氷製造装置である。このオゾン氷製造装 置90は、酸素ガスを気泡として含む水(酸素気 泡含有水)bw2を生成するための電解セル71と、 酸素気泡含有水bw2を収容し、これを冷却凍結 して酸素ガスg2を気泡として含む氷(酸素気泡 含有氷)11を作製する冷却容器63と、その冷却 器63に収容した酸素気泡含有氷11に紫外線を 照射し、酸素気泡含有氷11中の酸素ガスをオ ン化してオゾン氷(オゾン気泡含有氷)1にす ための紫外線照射器64とを備えて主に構成 れる。

 電解セル71の水供給口76には、原料となる 水wを電解セル71に供給するための水供給管97 接続される。電解セル71の水排出口77には、 後述する冷媒室92の一側面の上部を貫通し、 述する冷却室91に酸素気泡含有水bw2を供給 るための酸素気泡含有水供給管98が接続され る。

 冷却容器63は、その中心部に、上方と下 が貫通された角筒あるいは円筒状の冷却室91 が形成されると共に、その冷却室91の周囲に 不凍液などの冷媒cを循環させて冷却室91内 0℃未満に保つための冷媒室92が形成されて る。

 冷却室91の内周壁には、冷却室91からオゾ ン氷1を氷の圧力融解を利用して取り出す方 、すなわち上方から押して下方に取り出す めの凹凸加工を施した凹凸部93が形成されて いる。また、冷却室91の下部には、紫外線を 過する石英ガラスなどの透過部材からなる 蓋94が設けられている。

 冷媒室92の一側面の下部には、冷媒室92内 に冷媒cを供給する冷媒供給管95が接続され、 冷媒室92の他側面の上部には、冷媒室92内の 媒cを冷媒室92外に排出する冷媒排出管96が接 続される。冷媒供給管95と冷媒排出管96とは 冷熱源の近傍で接続されて冷媒循環ライン 構成しており、冷媒cを冷熱源からの冷熱で 交換しながら循環させる。冷熱源としては 上述したように、例えば、LNGプラントから 出される低温廃熱を利用する。

 また、冷媒室92の側面には、冷媒cの温度 測定するために熱電対などの温度センサTが 設けられ、この温度センサTからのセンサ信 に基づき、図示しないコントローラなどの 御手段により、冷却容器63内に供給された酸 素気泡含有水bw2の冷却凍結時間と冷媒cの循 量が制御される。

 冷却室91の下方には、製氷時に冷却室91の 下蓋94に対向するように進出し、氷取り出し に後退する水銀ランプなどの紫外線照射器6 4が進退自在に設けられる。

 冷却室91の上方には、氷取り出し用の与 ピストンp1が油圧式の駆動機構d1により昇降 在に設けられる。この与圧ピストンp1は、 却室91の上部蓋としての役目と、酸素気泡含 有氷11に上方から圧力を加える役目とを果た 。

 冷却室91の紫外線照射器64よりも下方には 、氷受け用のピストンp2が油圧式あるいは空 圧式の駆動機構d2により昇降自在に設けら る。氷受け用のピストンp2には、下蓋94に張 付いたオゾン氷1の底面を溶かすためのヒー ターが備えられる。氷受け用のピストンp2の 側方には、氷押出し用のピストンp3が油圧 あるいは空気圧式の駆動機構d3により進退自 在に設けられる。氷受け用のピストンp2の他 方には、オゾン氷1を外部に搬出するための ベルトコンベアなどの搬出手段99が設けられ 。

 水wの供給量、電解セル71のON/OFF、紫外線 射器64、各ピストンp1~p3、p2に備えられたヒ ター、搬送手段99の動作は、上述した制御 段で一括して制御される。

 オゾン氷製造装置1では、オゾン氷1の製 に先立ち、冷却室91の下部に下蓋94を取り付 、冷却室91の上部付近まで与圧ピストンp1を 降下させ、紫外線照射器64、ピストンp2,p3を 退した状態にしておく。

 この状態で図9および図10に示すように、 媒室92に冷媒cを循環させ、電解セル71に原 となる水wを供給し(F1)、その水wを電解セル71 で電気分解して酸素気泡含有水bw2を生成する (F2,F3)。

 生成した酸素気泡含有水bw2を冷却容器63 に供給して収容し、その冷却容器63内で酸素 気泡含有水bw2を冷却凍結し、酸素気泡含有氷 11を作製する(F4)。そして、冷却室91の下蓋94 対向するように紫外線照射器64を進出させ、 酸素気泡含有氷11に、その下方から下蓋94を して紫外線を照射し(F5)、酸素気泡含有氷11 の酸素ガスをオゾン化すると、オゾン氷1が られる(F6)。

 その後、紫外線照射器64を後退させ、ピ トンp2を上昇させる。ピストンp2上に備えら たヒーターを用いて下蓋94を加熱し、下蓋94 に張り付いたオゾン氷1の底面を溶かした上 下蓋94を外し、与圧ピストンp1をさらに降下 せてオゾン氷1の上面に圧力を加え、オゾン 氷1を下方に押し出して冷却容器63から取り出 す(F7)。

 取り出したオゾン氷1をピストンp2で受け らピストンp2を降下させ、ピストンp2上のオ ゾン氷1をピストンp3で側方から押し出して搬 出手段99に送り、搬出手段99でオゾン氷1を外 に搬出する。

 このように、オゾン氷製造装置1によれば 、冷却容器63内で酸素気泡含有水bw2を冷却凍 する点がバッチ式であることを除けば、原 である水wからオゾン氷1をほぼ連続して製 できる。また、オゾン氷製造装置1では、上 した方法2を簡単に実施して実現できる。

1 オゾン氷
g2 酸素ガス
b 気泡
11 酸素ガスを気泡として含む氷