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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF LAUROLACTAM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096873
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing laurolactam from cyclododecanone and hydroxylamine in a simple process and with high efficiency. The method comprises the following steps (a) to (e): (a) reacting cyclododecanone with hydroxylamine in the form of an aqueous solution in the presence of an excess amount of cyclododecanone or a solvent to produce cyclododecanone oxime; (b) separating the reaction solution produced by the aforementioned oxime production step into an oily phase and an aqueous phase and collecting the oily phase as a solution of cyclododecanone oxime; (c) removing water from the solution of cyclododecanone oxime which is collected as an oily phase in the aforementioned oil/water separation step; (d) producing laurolactam from cyclododecanone oxime by rearrangement reaction using a compound having an aromatic ring as a rearrangement catalyst; and (e) separating and purifying laurolactam produced by the aforementioned rearrangement step.

Inventors:
ISHIHARA KAZUAKI (JP)
KUGIMOTO JUNICHI (JP)
KAWAI JOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052192
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NAGOYA NAT UNIV CORP (JP)
UBE INDUSTRIES (JP)
ISHIHARA KAZUAKI (JP)
KUGIMOTO JUNICHI (JP)
KAWAI JOJI (JP)
International Classes:
C07D201/04; C07D225/02; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007125002A12007-11-08
WO2007105482A12007-09-20
Foreign References:
JP2006219470A2006-08-24
JP2004099585A2004-04-02
JPS4312153B1
JP2002114746A2002-04-16
JP2003321453A2003-11-11
JPS5233118B11977-08-26
JPH054964A1993-01-14
JP2001302602A2001-10-31
JP2001302603A2001-10-31
JP2001072658A2001-03-21
JPH09301951A1997-11-25
JPH09301952A1997-11-25
JP2001019670A2001-01-23
JPS4623740B11971-07-07
JPS4718114B1
JP2006219470A2006-08-24
Other References:
See also references of EP 2123635A4
K. NARASAKA, CHEMISTRY LETTER, 1993, pages 489 - 492
J. S. SANDHU, INDIAN JOURNAL OF CHEMISTRY, 2002, pages 154 - 156
J. S. YADAV, JOURNAL OF CHEMICAL RESEARCH(S), 2002, pages 236 - 238
K. ISHIHARA, JOURNAL OF AMERICAN CHEMICAL SOCIATY, 2005, pages 11240 - 11241
M. ZHU, TETRAHEDRON LETTERS, 2006, pages 4861 - 4863
Attorney, Agent or Firm:
ITO, Katsuhiro et al. (3-10-9 Nihombashi-Kayabacho, Chuo-k, Tokyo 25, JP)
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Claims:
 (a)シクロドデカノンと水溶液中のヒドロキシルアミンとを、過剰のシクロドデカノンの存在下または溶媒の存在下で反応させ、シクロドデカノンオキシムを生成する工程(以下、オキシム化工程という)と、
 (b)前記オキシム化工程後の反応液を油相と水相に分離し、シクロドデカノンオキシムの溶液を油相として取得する工程(以下、油/水分離工程という)と、
 (c)前記油/水分離工程により油相として取得した前記シクロドデカノンオキシムの溶液から溶解水分を除去する工程(以下、脱水工程という)と、
 (d)芳香環含有化合物を転位触媒として用いて、転位反応により、シクロドデカノンオキシムからラウロラクタムを生成する工程(以下、転位工程という)と、
 (e)前記転位工程後の反応液から、生成したラウロラクタムを分離し、精製する工程(以下、分離・精製工程という)と
を有することを特徴とするラウロラクタムの製造方法。
 前記芳香環含有化合物の芳香環が、(1)芳香環を構成する原子として脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含み、(2)芳香環を構成する原子として、電子吸引基を有する炭素原子を少なくとも2つ含み、(3)芳香環を構成する窒素原子または電子吸引基を有する炭素原子のうち3つが(1)記載の脱離基を有する炭素原子のオルトおよびパラ位に位置する構造を有することを特徴とする請求項1記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記芳香環が、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはトリアジン環であって、前記脱離基としてハロゲン原子を含むことを特徴とする請求項2記載のラウロタクタムの製造方法。
 前記芳香環含有化合物が、4-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、2-クロロ-3,5―ジニトロピリジンおよびトリクロロトリアジンからなる群より選ばれることを特徴とする請求項記2記載のラウロラウタムの製造方法。
 前記脱水工程において、シクロドデカノンオキシムの溶液中に残存する水分量を、1000ppm以下まで低減することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記脱水工程において、シクロドデカノンオキシムの溶液中に残存する水分量を、100ppm以下まで低減することを特徴とする請求項5記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記オキシム化工程において、反応がカルボン酸エステルおよび第3級アルコールから選ばれる溶媒の存在下で行われることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記オキシム化工程において、反応を過剰のシクロドデカノンの存在下で行い、前記分離・精製工程において、シクロドデカノンを回収し、その少なくとも一部を、前記オキシム化工程にリサイクルすることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記分離・精製工程において、転位工程後の反応液に水を混合し、転位触媒の前記芳香環含有化合物を水溶性化合物に転換し、ラウロラクタムの溶液と分離することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記分離・精製工程において、転位工程後の反応液から前記転位触媒を回収し、前記転位工程にリサイクルすることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記分離・精製工程において、転位工程後の反応液からラウロラクタムを晶析させて取得し、晶析母液中に前記転位触媒を回収して前記転位工程にリサイクルすることを特徴とする請求項10記載のラウロラクタムの製造方法。
 前記転位工程において、シクロドデカノンオキシムの転化率を95%以下とすることを特徴とする請求項10または11記載のラウロラクタムの製造方法。
Description:
ラウロラクタムの製造方法

 本発明は、シクロドデカノンとヒドロキ ルアミンから、工業的に有利で簡便なプロ スによりラウロラクタムを製造する方法に する。

 工業的にアミド化合物を製造する方法と ては、対応するオキシム化合物をベックマ 転位する方法が一般的である。例えば、工 的に有用であるε-カプロラクタムはシクロ キサノンオキシムのベックマン転位によっ 製造される。転位触媒には濃硫酸および発 硫酸が用いられるが、これら強酸は化学量 量以上に必要であり、中和の際に大量の硫 アンモニウムが副生する。ナイロン12の原 であるラウロラクタムも同様の方法で製造 れるが、中間生成物であるシクロドデカノ オキシムが高融点であるため、製造プロセ はさらに複雑である。ε-カプロラクタムの 造では、シクロヘキサノンオキシム、ε-カ ロラクタムとも比較的低融点であるため、 溶媒でオキシム化、転位を行うことができ が、ラウロラクタムの製造では反応溶媒が 要となる。この反応溶媒はシクロドデカノ オキシムの溶解度が高いこと、濃硫酸、発 硫酸と反応しないことが必須であり、その 択は非常に制約される。

 シクロドデカノンとヒドロキシルアミン 溶液から、ラウロラクタムを工業的に製造 る方法としては2例のみ知られている。一つ はデグッサ社により実用化されたものである 。この方法は以下の通りである。イソプロピ ルシクロヘキサンを溶媒に用いてシクロドデ カノンをオキシム化した後、分液して得られ たシクロドデカノンオキシムのイソプロピル シクロヘキサン溶液を低温下で濃硫酸中に徐 々に加えてシクロドデカノンオキシム硫酸付 加体の硫酸溶液をつくり、イソプロピルシク ロヘキサンを分離回収後、残存するシクロド デカノンオキシム硫酸付加体の硫酸溶液を昇 温して、オキシムのベックマン転位を行う。 転位反応後、水を加えて硫酸を希釈した後、 生成したラウロラクタムを有機溶媒で抽出す る。ここで、抽出溶媒としては、イソプロピ ルシクロヘキサンまたはシクロドデカノンが 用いられる。得られた抽出溶液から抽出溶媒 を蒸留・回収し、残渣中のラウロラクタムを 蒸留精製する(特許文献1参照)。

 この方法では、転位反応工程での硫酸ア モニウムの副生はないが、大量の廃希硫酸 処理に膨大な設備とエネルギーが必要であ 。また、シクロドデカノンは濃硫酸と反応 、副生物が生成するため、シクロドデカノ が残存しないようにオキシム化反応を完結 せる必要があるが、イソプロピルシクロヘ サンが疎水性のため、油/水界面での物質移 動速度が遅く、オキシム化に長時間を要する 。なお、プロセス全体をみても、溶媒の分離 、回収、リサイクル工程が多く、多大な設備 費とエネルギーが必要なプロセスである。

 もう一つの工業化プロセスは、宇部興産- EMS社で実用化されたものである。この方法は 、シクロヘキサノンオキシム、カプロラクタ ムがそれぞれシクロドデカノンオキシム、ラ ウロラクタムの良溶媒であることを利用した プロセスである(例えば、特許文献2参照)。す なわち、シクロドデカノンとシクロヘキサノ ンの混合液とヒドキシルアミン水溶液を混合 し、オキシム化を行う。生成するシクロヘキ サノンオキシムは融点が低く、シクロドデカ ノンオキシムの良溶媒であるため、反応は100 ℃以下、常圧で行うことができる。また、シ クロヘキサノンオキシムは適度な親水性を有 するため、オキシム化反応は速やかに進行し 、シクロヘキサノン、シクロドデカノンは残 存することなく、転位工程に送られる。転位 触媒としては濃硫酸および発煙硫酸が用いら れる。生成するラウロラクタムは高融点であ るが、低融点のカプロラクタムへの溶解性が 高いため、100℃以下の温度でも反応を行うこ とができる。得られた転位反応液はアンモニ ア水で中和し、有機溶媒で抽出する。カプロ ラクタムはある程度の水溶性を示すが硫酸ア ンモニウムの塩析効果によって、有機溶媒側 に抽出される。次に、抽出されたラウロラク タムおよびカプロラクタムを含む溶液に大量 の水を加え、カプロラクタムを水相側に抽出 する。分離された有機相からは有機溶媒を回 収し、ラウロラクタムを蒸留・精製する。水 相を濃縮後、不純物を除去し、カプロラクタ ムを精製する。

 この方法はラウロラクタムとカプロラク ムを併産できる優れた方法であるが、ラウ ラクタム製造プロセスとしては、次のよう 問題がある。(1)カプロラクタムの分離、精 に多大な設備費が必要であり、投資効率が い。また、カプロラクタム水溶液の濃縮等 ネルギー効率も悪い。(2)ラウロラクタム/カ プロラクタムの生産比率に制約がある。(3)カ プロラクタムはラウロラクタムより低付加価 値であり、ヒドロキシルアミンの利用効率が 低い。

 一方、近年、大量の硫酸、発煙硫酸を用い い転位触媒の研究も盛んに行われている。 酸を含むものとしては、過酸化レニウムの ンモニウム塩とトリフルオロメタンスルホ 酸の混合系(非特許文献1)、インジウムトリ ラート(非特許文献2)、イッテルビウムトリ ラート(非特許文献3)が報告されている。酸 脱水剤を含むものとしては、N,N-二置換アミ ド化合物溶媒中で五酸化リンまたは縮合リン 酸化合物と、非含フッ素スルホン酸無水物ま たはスルホカルボン酸無水物を用いて転位反 応を行う方法(特許文献3、特許文献4)、予め を含む水溶液で処理したゼオライト触媒(特 文献5)を用いる方法が知られている。酸を いない方法としては、レニウム化合物と含 素複素環化合物の共存下で転位反応を行う 法(特許文献6,特許文献7)、酸化亜鉛を含有さ せる方法(特許文献8)が提案されている。特許 文献9には、カルボン酸溶媒中で塩化シアヌ 酸(トリクロロトリアジン)を脱水剤に用い、 オキシムとカルボン酸のエステルを生成させ 、転位させる方法が開示されている。特許文 献10には、オキシムの塩酸塩を塩化シアヌル (トリクロロトリアジン)等を開始剤にし転 させる方法が開示されている。
これらの触媒、製造方法の中には高い転位収 率を示すものもあるが、触媒、溶媒が特殊で あり、その回収・リサイクル方法等も明確で はなく、工業的プロセスとして完成されては いない。

 また、特許文献11には、(1)芳香環を構成 る原子として、脱離基を有する炭素原子を なくとも1つ含み、(2)芳香環を構成する原子 して、ヘテロ原子または電子吸引基を有す 炭素原子のいずれかの一方または両方を少 くとも3つ含み、(3)前記のヘテロ原子または 電子吸引基を有する炭素原子のうち2つが、 記脱離基を有する炭素原子のオルトあるい パラ位に位置する芳香環含有化合物を転位 媒として、極性溶媒中でオキシム化合物の ックマン転位を行う方法が開示されている 同様の内容は非特許文献4にも開示されてい 。また、非特許文献5には、特許文献11に類 した複素環構造を持つ燐酸塩がベックマン 位活性を持つことも示されている。

 特許文献11で開示された触媒は、シクロ デカノンオキシムの転位反応の活性が高く ラウロラクタムが高収率で得られることか 、ラウロラクタム製造時の転位反応触媒と て好適である。しかし、溶媒として推奨さ るニトリルは、ヒドロキシルアミンと反応 アミドキシムを生成するため、オキシム化 応工程には使用できない。また、加水分解 受けやすく、触媒除去等の工程での損失が けられない。水との親和性が高く、転位原 の脱水プロセスが複雑になる等の問題があ 。従って、実用可能な工業的プロセスを構 するには、オキシム化工程を含め、原料か 最終製品に至るまでの各工程を考慮した溶 及びプロセスの選定が必要である。

特公昭52-033118

特開平5-4964

特開2001-302602号公報

特開2001-302603号公報

特開2001-072658号公報

特開平09-301951号公報

特開平09-301952号公報

特開2001-019670号公報

特公昭46-23740号公報

特公昭47-18114号公報

特開2006-219470号公報 K.Narasaka,et.al.,Chemistry Letter,pp.489-492(1993) J.S.Sandhu,et.al.,Indian Journal of Chemistry,pp154 -156(2002) J.S. Yadav,et.al.,Journal of Chemical Research(S), pp.236-238(2002) K.Ishihara,et.al.,Journal of American Chemical Soc iaty,pp.11240-11241(2005) M.Zhu,et.al.,Tetrahedron Letters,pp4861-4863(2006)

 本発明は、シクロドデカノンおよびヒド キシルアミンから、簡単な工程により効率 くラウロラクタムを製造する方法を提供す ことを目的とする。また、安価な設備の組 合わせでラウロラクタムを製造するプロセ を提供することを目的とする。

 本発明は以下の事項に関する。

 1. (a)シクロドデカノンと水溶液中のヒドロ キシルアミンとを、過剰のシクロドデカノン の存在下または溶媒の存在下で反応させ、シ クロドデカノンオキシムを生成する工程(以 、オキシム化工程という)と、
 (b)前記オキシム化工程後の反応液を油相と 相に分離し、シクロドデカノンオキシムの 液を油相として取得する工程(以下、油/水 離工程という)と、
 (c)前記油/水分離工程により油相として取得 した前記シクロドデカノンオキシムの溶液か ら溶解水分を除去する工程(以下、脱水工程 いう)と、
 (d)芳香環含有化合物を転位触媒として用い 、転位反応により、シクロドデカノンオキ ムからラウロラクタムを生成する工程(以下 、転位工程という)と、
 (e)前記転位工程後の反応液から、生成した ウロラクタムを分離し、精製する工程(以下 、分離・精製工程という)と
を有することを特徴とするラウロラクタムの 製造方法。

 2. 前記芳香環含有化合物の芳香環が、(1) 芳香環を構成する原子として脱離基を有する 炭素原子を少なくとも1つ含み、(2)芳香環を 成する原子として、電子吸引基を有する炭 原子を少なくとも2つ含み、(3)芳香環を構成 る窒素原子または電子吸引基を有する炭素 子のうち3つが(1)記載の脱離基を有する炭素 原子のオルトおよびパラ位に位置する構造を 有することを特徴とする上記1記載のラウロ クタムの製造方法。

 3. 前記芳香環が、ベンゼン環、ピリジン 環、ピリミジン環またはトリアジン環であっ て、前記脱離基としてハロゲン原子を含むこ とを特徴とする上記2記載のラウロタクタム 製造方法。

 4. 前記芳香環含有化合物が、4-クロロ-3,5 -ジニトロベンゾニトリル、ピクリルクロラ ド、2-クロロ-3,5―ジニトロピリジンおよび リクロロトリアジンからなる群より選ばれ ことを特徴とする上記2記載のラウロラウタ の製造方法。

 5. 前記脱水工程において、シクロドデカ ノンオキシムの溶液中に残存する水分量を、 1000ppm以下まで低減することを特徴とする上 1~4のいずれかに記載のラウロラクタムの製 方法。

 6. 前記脱水工程において、シクロドデカ ノンオキシムの溶液中に残存する水分量を、 100ppm以下まで低減することを特徴とする上記 5記載のラウロラクタムの製造方法。

 7. 前記オキシム化工程において、反応が カルボン酸エステルおよび第3級アルコール ら選ばれる溶媒の存在下で行われることを 徴とする上記1~6のいずれかに記載のラウロ クタムの製造方法。

 8. 前記オキシム化工程において、反応を 過剰のシクロドデカノンの存在下で行い、前 記分離・精製工程において、シクロドデカノ ンを回収し、その少なくとも一部を、前記オ キシム化工程にリサイクルすることを特徴と する上記1~6のいずれかに記載のラウロラクタ ムの製造方法。

 9. 前記分離・精製工程において、転位工 程後の反応液に水を混合し、転位触媒の前記 芳香環含有化合物を水溶性化合物に転換し、 ラウロラクタムの溶液と分離することを特徴 とする上記1~8のいずれかに記載のラウロラク タムの製造方法。

 10. 前記分離・精製工程において、転位 程後の反応液から前記転位触媒を回収し、 記転位工程にリサイクルすることを特徴と る上記1~8のいずれかに記載のラウロラクタ の製造方法。

 11. 前記分離・精製工程において、転位 程後の反応液からラウロラクタムを晶析さ て取得し、晶析母液中に前記転位触媒を回 して前記転位工程にリサイクルすることを 徴とする上記10記載のラウロラクタムの製造 方法。

 12. 前記転位工程において、シクロドデ ノンオキシムの転化率を95%以下とすること 特徴とする上記10または11記載のラウロラク ムの製造方法。

 本発明では、濃硫酸や発煙硫酸を用いな ため、硫安等の副生物が生成せず、従来に べ、中和、抽出分離、蒸留回収工程等の工 が大幅に削減され、簡単なプロセスでラウ ラクタムを製造することができる。

 また、オキシム化反応、転位反応を同一 溶媒で行うため、製造プロセスが簡素化さ 、容易に溶媒をリサイクルすることができ 。

図1は、「(1)触媒を失活させる方法」を 採用したときの態様の1例を示すフローチャ トである。図中、*1)「回収溶媒」、「溶媒 加分」は、溶媒を使用した場合であり、*2) 回収シクロドデカノン」は、シクロドデカ ン過剰の条件でオキシム化反応を行った場 である。 図2は、「(2-1)蒸留により触媒を回収す 方法」を採用したときの1例を示すフローチ ャートである。この図は、シクロドデカノン 過剰の条件でオキシム化反応を行った場合を 示す。 図3は、「(2-2)ラウロラクタムを晶析分 する方法」によりラウロラクタムと触媒と 離する方法を採用したときの1例を示すフロ ーチャートである。

 以下、本発明について詳細に説明する。

 ラウロラクタムの製造方法においては、 位触媒の選定が重要である。本発明に使用 れる転位触媒は芳香環含有化合物が好適に いられる。転位触媒として使用される芳香 含有化合物は、(1)芳香環を構成する原子と て脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ 含み、(2)芳香環を構成する原子として、電子 吸引基を有する炭素原子を少なくとも2つ含 、(3)芳香環を構成する窒素原子または電子 引基を有する炭素原子のうち3つが(1)記載の 離基を有する炭素原子のオルトおよびパラ に位置する有機化合物が好ましい。

 芳香環としては、ベンゼン環、ビフェニ 環、テルフェニル環、トリフェニル環等の 環または多環式芳香環ナフタレン環、アン ラセン環、フルオレン環、フェナントレン 、アズレン環、ピレン環等の縮合多環式芳 環や;ピロール環、フラン環、チオフェン環 、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾ ール環、テトラゾール環、オキサゾール環、 イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチ アゾール環、フラザンピリジン環、ピラジン 環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジ ン環等の芳香族複素環が好ましく、特にベン ゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリア ジン環が好ましい。

 脱離基としては、ハロゲン原子(フッ素、 塩素、臭素、ヨウ素原子)、スルホニルオキ 基(ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエ スルホニルオキシ基(トシル基)OTs等のアリー ルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオ キシ基OMs、トリフルオロメタンスルホニルオ キシ基(トリフラート基)OTf、トリクロロメタ スルホニルオキシ基、エタンスルホニルオ シ基等のアルカンスルホニルオキシ基など) 、スルホニルハライド基(スルホニルクロリ 、スルホニルブロミド基等)、ジアゾニウム 、カルボニルハライド基(カルボニルクロリ ド基など)などを例示することができる。特 、ハロゲン原子が好ましく、中でも塩素原 が好ましい。

 電子吸引基としては、公知の電子吸引基 あれば特に制限されないが、シアノ基、ト フルオロメチル基、トリクロロメチル基、 トロ基、ハライド基、カルボニル基、スル ニル基等などを例示することができ、中で シアノ基、ニトロ基が好ましい。

 転位触媒として具体的には、4-クロロ-3,5- ジニトロベンゾニトリル、4-フルオロ-3,5-ジ トロベンゾニトリル、4-ブロモ-3,5-ジニトロ ンゾニトリル、4-クロロ-1,3,5-トリニトロベ ゼン、4-トリフルオロメチル-3,5-ジニトロベ ンゾニトリル、4-p-トルエンスルホニルオキ -3,5-ジニトロベンゾニトリル、ピクリルクロ リド、ピクリルブロミド、ピクリルフルオリ ド等のベンゼン環式化合物、および2-クロロ- 3,5-ジニトロピリジン、2-ブロモ-3,5-ジニトロ リジン、2-フルオロ-3,5-ジニトロピリジン、 トリクロロトリアジン、トリブロモトリアジ ン、トリフルオロトリアジン等の複素環式化 合物を挙げることができる。

 特に好ましくは、4-クロロ-3,5-ジニトロベ ンゾニトリル、ピクリルクロライド、2-クロ -3,5―ジニトロピリジン、トリクロロトリア ジン等が挙げられるが、トリクロロトリアジ ンは高活性で安価であり、特に好適である。

 本発明の製造方法において、シクロドデ ノンとヒドロキシルアミンが、原料として 用される。シクロドデカノンは、工業薬品 して容易に入手することができる。例えば インビスタ社はシクロドデカノン、シクロ デカノール混合物を販売しているので、混 物中のシクロドデカノールを脱水素しシク ドデカノンに転換して使用することができ 。

 もう一つの出発原料であるヒドロキシル ミンは不安定なため、ヒドロキシルアミン 酸塩又はヒドロキシルアミン炭酸塩等のヒ ロキシルアミンの酸塩の水溶液として製造 販売されている。反応時に、アンモニア水 の塩基を加えて、ヒドロキシルアミンを遊 させて使用する。オキシム化工程中には、 めヒドロキシルアミンを遊離させたヒドロ シルアミン水溶液を供給してもよいが、通 は、オキシム化反応装置中に、ヒドロキシ アミンの酸塩(好ましくは硫酸塩)の水溶液 、塩基(好ましくはアンモニア水)を供給して 、反応装置中でヒドロキシルアミンを遊離さ せる。

 生成するシクロドデカノンオキシムが高 点であるため、オキシム化反応および転位 応には、シクロドデカノンオキシムを溶解 る溶媒が必要である。そのため本発明では 原料のシクロドデカノンをヒドロキシルア ンに対して過剰の割合で供給して、反応に ずからない過剰のシクロドデカノンを溶媒 して使用するか、原料以外の化合物を溶媒 して使用して反応を行う。

 以下の説明で、用語「溶媒」には、明示 ないかぎり、シクロドデカノンを含まない のとする。

 本発明で、好適に使用される溶媒は、オ シム化反応の溶媒(オキシム化溶媒という) して好ましく、且つ転位反応の溶媒(転位溶 という)として好ましいものである。

 オキシム化溶媒に求められる要件は、ま シクロドデカノンオキシムの溶解性が高い とである。下式で定義される溶解度パラメ ターを指標にすると7.5から13.0、特に8.0から 12.5の溶媒がシクロドデカノンオキシムの溶 性が優れている。

 ここで、溶解度パラメーターは、水素結合 、分子間の結合力の強さを示し、大きいほ 極性が高い。溶解度パラメーターが近いも は相溶性が高くなる。同パラメーターは、 H V 、標準沸点、密度のデータから計算でき、δH V については分子構造から推算できる。本発明 においては、いくつかの溶媒について、シク ロドデカンオキシムの溶解度を実測し、計算 で求めた溶解度パラメーターとの対応を比較 し、指標を定めた。

 δ=((δH V -RT)/V) 1/2
 ここで、δ:溶解度パラメータ、δH V :蒸発のエンタルピー変化、R:気体定数、T:絶 温度、V:モル容積)

 シクロドデカノンオキシムの溶解性に優 る溶媒であってもシクロドデカノン及び/又 はヒドロキシルアミンと反応する溶媒は除外 される。例えば、ケトン、アルデヒドはヒド ロキシルアミンと反応し、ケトキシム、アル ドキシムを生成するため、使用できない。ニ トリルはヒドロキシルアミンと反応しアミド キシムを生成する。アミドもヒドロキシルア ミンと付加体を生成する。一方、アミンはシ クロドデカノンと反応し、シッフベースを形 成する。これらの溶媒はシクロドデカノンオ キシムの溶解性が良好であっても、除外され る。

 シクロドデカノンオキシムの溶解性に優 、シクロドデカノン及び/又はヒドロキシル アミンと反応しなければ、オキシム化溶媒と して使用でき、例えば脂環式炭化水素、縮合 芳香環水添物、芳香族炭化水素、中高級アル コール、エーテル類、グライム類、エステル 類等が挙げられる。

 上記溶媒のうち疎水性の高いものはオキ ム化速度が遅く、反応に長時間を要する。 方、親水性の高いものは水相に溶解するた 、油、水両相から溶媒を回収しなければな ず、設備面、エネルギー面で不利である。 えば、n-ヘキサン、n-オクタン、イソオクタ ン、n-デカン、n-ドデカン等の鎖式炭化水素 、メタノール、エタノール、エチレングリ ール等の水溶性の炭素数1~2のアルコール、 ーテル類は上記理由で不利である。逆に、 ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化 物、テトラリン、デカリン等縮合芳香環水 物、イソプロピルシクロヘキサン等の側鎖 持った脂環式炭化水素等にはヒドロキシル ミンが溶け難く、オキシム化反応速度が遅 。

 従って、特に好ましいものは、適度の親 性を有する中高級アルコール、エーテル類 グライム類(エチレングリコールを縮合して 得られるポリエーテル)、エステル類等がオ シム化溶媒として好適と考えられる。

 一方、転位溶媒としては、(1)シクロドデ ノンオキシム及びラウロラクタムの溶解性 優れていること、(2)前記転位触媒を溶解し 転位触媒と反応しないこと、(3)回収、リサ クルが容易で熱的、化学的安定性が高いこ 、が必要である。

 オキシム化溶媒として挙げた脂環式炭化 素、縮合芳香環水添物、芳香族炭化水素、 高級アルコール、エーテル類、グライム類 よびエステル類等は、転位触媒との反応性 小さいものであれば、一般に転位溶媒とし も使用できる。オキシム化溶媒として好ま い中高級アルコール、エーテル類、グライ 類、エステル類の中では、次のとおり特に ステル類、3級アルコールが好ましい。

 エステル類は適度の親水性を持ち、転位 媒とも反応しないため、オキシム化工程、 位工程の両工程を通して好適な溶媒である エステルとしては、カルボン酸エステルが 適であり、融点が100℃以下のエステルであ ば、使用上の制約を受けない。アクリル酸 チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチ 、アジピン酸ジブチル、アセト酢酸エチル アセト酢酸メチル、イソ吉草酸エチル、イ 吉草酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸 チル、イタコン酸ジエチル、ギ酸イソブチ 、ギ酸イソペンチル、ギ酸ブチル、ギ酸プ ピル、ギ酸ペインチル、吉草酸エチル、グ タル酸ジエチル、クロトン酸エチル、コハ 酸ジエチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプ ピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸s-ブ ル、酢酸t-ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル 、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジ ル、ノナン酸エチル、フタル酸ジエチル、フ タル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、ヘキサ ン酸エチル、ヘプタン酸エチル、メタクリル 酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸メ チル等が溶媒として用いられるが酢酸エチル 、酢酸nブチルは低粘度であると共に安価で 易に入手でき、溶媒として特に適している

 一方 、オキシム化溶媒として好適な中 級アルコールは、一般的には転位溶媒とし は適当ではないと考えられた。なぜならば アルコールは前記転位触媒と反応してアル ルアリールエーテルを生成するからである 例えば、1-プロパノールはトリクロロトリア ジンと反応してプロポキシジクロロトリアジ ンが生成し、最終的にはトリプロポキシトリ アジンとなる。これらアルキルアリールエー テルは転位触媒として作用しない。

 しかし、発明者らは、アルコール共存下 のシクロドデカノンオキシムの転位反応に いて鋭意検討した結果、アルコールと触媒 の反応はシクロドデカノンオキシムと触媒 のアリールエーテル生成反応に比べ遥かに く、特に第3級アルコールを用いた場合、シ クロドデカノンオキシム存在下では触媒とア ルコールによるエーテル形成反応は無視でき ることを発見した。すなわち、第3級アルコ ルを溶媒に用いることによって、オキシム 反応及び転位反応を同一溶媒で行うことが 能になり、ラウロラクタムを製造する簡単 プロセスを完成した。第3級アルコールの種 には、特に制約はなく、炭素数4~18、好まし くは炭素数4~12、特に好ましくは炭素数4~8程 を有する脂肪族(脂環式を含む)アルコールが 挙げられる。例えば、t-ブタノール、t-アミ アルコール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メ ル-3-ペンタノール、1-メチルシクロペンタ ール、1-メチルシクロヘキサノール等が挙げ られるが、安価で容易に入手可能なt-ブタノ ルが好適である。

 エーテル類およびグライム類については 末端にヒドロキシ基を有するものは、上記 ルコールと同様に転位触媒と反応して、転 活性を持たないアルキルアリールエーテル 生成するので、通常はヒドロキシ基を有さ いものが好ましい。一方、末端をアルキル で封じたエーテルは、疎水性が高くなるの 、一般にオキシム化速度は遅くなる。

 <<製造工程>>
 以下、製造工程に沿って、ラウロラクタム 製造方法を説明する。特に明示しない場合 は、過剰のシクロドデカノンを使用する場 と、溶媒を使用する場との両方の製造方法 当てはまる。

 <オキシム化工程>
 オキシム化工程は、シクロドデカノンとヒ ロキシルアミン水溶液を反応させ、シクロ デカノンオキシムを生成する工程である。 キシム化工程中では、反応液は均一ではな 、ヒドロキシルアミン水溶液は水相として シクロドデカノンまたはシクロドデカノン 液は油相として存在している。反応により 成するシクロドデカノンオキシムは、油相 溶解する。

 オキシム化反応は高温で行っても何ら差 支えないが、ヒドロキシルアミンが水溶液 あるため、100℃以上で反応を行うには加圧 器が必要になる。従って、100℃以下、常圧 反応を行うのが好ましい。一方、低温での 応は反応速度が遅くなるだけである。従っ 、好ましくは60℃以上、より好ましくは75℃ 以上である。また、シクロドデカノンを過剰 に使用する場合には、80℃以上、特には90℃ 上とすることが好ましい。

 本反応は、大気開放で行うこともできる 、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス又は 素ガス雰囲気下で行うのが好ましい。

 オキシム化反応時間は温度によって異な が、75℃~95℃で反応を行った場合、0.5時間 ら10時間、好ましくは1時間から6時間である 反応時間が短い場合、未反応の原料(溶媒使 用の場合:ヒドロキシルアミン及びシクロド カノン; シクロドデカノン過剰の場合:ヒド キシルアミン)が残る。未反応原料は原料製 造工程等に循環することも可能であるが、循 環設備が必要になり好ましくない。反応時間 が長い場合、オキシム化装置が長大になり好 ましくない。

 オキシム化反応装置は回分式反応装置、 回分式反応装置、管型連続反応装置、攪拌 型連続反応装置等の一般に用いられる反応 置を使用することができるが、攪拌槽型連 多段反応装置が適している。攪拌槽型連続 段反応装置を用いる場合、第1槽にヒドロキ シルアミン水溶液をフィードし、最終槽にシ クロドデカノン溶液(またはシクロドデカノ のみ)をフィードし、水相は後段の槽に向け 油相は前段の槽に向けて逐次送液して、未 応原料を残すことなく反応させることが望 しい。

 シクロドデカノン過剰で反応させるとき 、オキシム化工程にフィードされるシクロ デカノンとヒドロキシルアミンの比は、シ ロドデカノンオキシムのシクロドデカノン の溶解度によって下限が規定される。シク ドデカノン量が過小の場合、オキシム化工 から転位工程でシクロドデカノンオキシム 析出する場合があり、ハンドリング性が悪 する。溶解度は温度によって異なるため、 キシム化工程から転位工程で、シクロドデ ノンオキシムが析出しない範囲で、比と工 の温度が決められることが好ましい。オキ ム化工程から転位工程までの間の最低温度 95℃の場合、ヒドロキシルアミン純分100重 部に対し、シクロドデカノン400から1400重量 、好ましくは600から900重量部である。シク ドデカノン量が過大の場合、生成するシク ドデカノンオキシム、ラウロラクタムの濃 が低く、過大な反応装置やシクロドデカノ 回収塔が必要となり、生産性が悪い。

 なお、上記シクロドデカノンフィード量 過剰率(フィードするシクロドデカノン量/ 応するシクロドデカノン量(%))で表すと172か 353%、好ましくは208から263%に相当する。

 また、溶媒を使用する場合、ヒドロキシ ミンとシクロドデカノンのフィード割合は 一般にほぼ等モルとなるように供給するこ が好ましい。供給されるシクロドデカノン 溶媒の比は、溶媒量が過小の場合、オキシ 化工程から転位工程でシクロドデカノンオ シムが析出する場合があり、ハンドリング が悪化する。溶解度は、使用する溶媒およ 温度によって異なるため、オキシム化工程 ら転位工程で、シクロドデカノンオキシム 析出しない範囲で、比と工程の温度が決め れることが好ましい。オキシム化工程から 位工程までの間の最低温度が75℃の場合、 クロドデカノン100重量部に対し、溶媒5~30重 部、好ましくは15~27重量部である。溶媒量 過大の場合、生成するシクロドデカノンオ シム、ラウロラクタムの濃度が低く、過大 反応装置や溶媒回収塔が必要となり、生産 が悪い。

 尚、シクロドデカノンを過剰で使用する 合に、油相-水相間の物質移動を促進し、オ キシム化速度を向上させる目的で、必要によ り界面活性剤や親水性のある溶剤を添加して もよい。親水性溶剤はヒドロキシルアミンと 反応しないものであれば、特に制約はないが 、水より低沸点のアルコール類が適している 。親水性のある溶剤の添加量はシクロドデカ ノンに対し、20%以下、好ましくは10%以下であ る。

 <油/水分離工程>
 次の油/水分離工程では、オキシム化工程後 の反応液を、油相と水相に分離し、シクロド デカノンオキシムが溶解している油相を取得 する。油相と水相の分離方法としては、静置 分離、遠心分離、サイクロンを用いた分離等 の一般的な分離方法が利用できるが、工業的 な連続工程では、オキシム化反応装置から反 応液が分液装置に送られ、そこで油相と水相 が分離されて抜き出される。オキシム化反応 装置の形式によっては、反応装置から油相と 水相を抜き出してもよい。

 ヒドロキシルアミン硫酸塩{Rashig法(亜硫 法:硝酸アンモニウム水溶液を硫酸水素イオ の存在下、二酸化イオウで還元してヒドロ シアミド-N,N-ジスルフェートとし、これを 水分解してヒドロキシルアミン硫酸塩を得 方法)で製造されたヒドロキシルアミン}水溶 液とアンモニア水を用いてオキシム化を行っ た場合、分離された水相からは、硫安が副生 成物として得られる。この硫安はオキシム硫 安と呼ばれ、背景技術述べた転位工程で副生 する硫安(転位硫安と呼ばれる)に比べ容易に 製され、商品として出荷できる。なお、HPO (リン酸ヒドロキシルアミンを製造する方法 )で製造されたヒドロキシルアミンを用いる 合はオキシム化工程においても硫安は生成 ない。

 また、水相に溶解したシクロドデカノン キシムを回収する目的で、例えば次工程で と共に留去した溶媒またはシクロドデカノ を水相と交流接触させ、シクロドデカノン キシムを抽出してもよい。また、水蒸気蒸 等の方法で、水相に溶解したシクロドデカ ンオキシム、溶媒および/またはシクロドデ カノンを回収してもよい。

 <脱水工程>
 次の脱水工程は、油/水分離工程で取得した 油相中に溶解した水を除去する。油相中に存 在する水分(溶解水)は微量であるが、水は転 触媒を失活させ、転位反応自体にも悪影響 及ぼすため、脱水を行うことが好ましい。 水は吸着剤、脱水剤と接触するなどの方法 用いることもできるが、溶解水を溶媒また シクロドデカノンと共に(共沸)留去する方 が好ましい。また、窒素等の不活性ガスを き込む方法も好ましい。

 留出した含水溶媒(エステル、第3級アル ール等)および/またはシクロドデカノンはオ キシム化工程にリサイクルされる。残渣(シ ロドデカノンオキシム溶液)は転位工程に送 れる。油相中の水分濃度が1000ppm以下、好ま しくは100ppm以下となるように水分を除去する 。

 <転位工程>
 脱水したシクロドデカノンオキシムの溶液 、転位工程に送られる。転位工程では、前 した芳香環含有化合物を転位触媒として用 て、転位反応により、シクロドデカノンオ シムからラウロラクタムを生成させる。

 なお、助触媒として塩化亜鉛等のルイス 性を有する金属塩または塩化水素等のブレ ステッド酸を加え、転位反応速度を向上さ ることもできる。特にルイス酸は、シクロ デカノンオキシムの加水分解を加速するこ なく、転位反応速度を向上させることがで るので好ましい。ルイス酸としては、特に 約はなく塩化亜鉛、塩化アルミニウム、五 化アンチモン、四塩化スズ等が一般的であ が、塩化亜鉛、四塩化スズが好適であり、 化亜鉛は反応速度向上効果が顕著であり、 に好ましい。

 転位触媒の添加量はシクロドデカノンオ シム中の水分量の影響によって異なるが、 クロドデカノンオキシムに対し、0.01モル% ら20モル%、好ましくは0.1モル%から5モル%で る。触媒の添加量が過少である場合には、 位速度が遅く、反応器が長大になり好まし ない。一方、触媒の添加量が過多の場合に 、触媒コストが上がり、触媒の後処理また リサイクルのためのコストが増大し好まし ない。助触媒の添加量は触媒に対し0.1倍モ 量から10倍モル量、好ましくは0.5倍モル量か ら5倍モル量である。助触媒添加量が過少な 合、転位速度向上効果が乏しく、必要以上 添加してもさらに転位速度が向上すること ない。

 転位工程の反応温度は50℃から160℃、好 しくは70℃(または80℃)から110℃である。反 温度が低すぎる場合、反応速度が遅く、反 時間が長くなるため好ましくない。また、 温ではシクロドデカノンオキシムの転位溶 またはシクロドデカノン(シクロドデカノン 剰使用の場合)への溶解度が低くなり、溶媒 またはシクロドデカノンの回収・リサイクル 量が増大し好ましくない。一方、反応温度が 高すぎる場合、転位発熱によって温度が急上 昇し、反応が制御できなくなるため好ましく ない。更に、反応温度が高すぎる場合、縮合 反応等のため転位収率が低下すると共に、着 色等製品品質が低下するため好ましくない。

 転位工程の反応時間は5分から10時間、好 しくは20分から4時間である。反応時間は触 の種類、触媒濃度、反応温度によって異な が、反応の制御が容易で、反応器容積が過 にならないように前記反応条件を調整する

 転位工程のシクロドデカノンオキシム転 率は反応時間によって調節される。シクロ デカノンオキシム転化率を100%にすれば、シ クロドデカノンオキシムとラウロラクタムの 分離が不要であり、ラウロラクタムの精製が 容易で精製コストが軽減されるメリットがあ る。しかし、本発明に用いる触媒はシクロド デカノンオキシム濃度が低くなると溶存する 微量の水と反応して、失活するため、意図的 にシクロドデカノンオキシム転化率が100%に しないうちに転位反応を終了し、次の分離 精製工程において、ラウロラクタムの一部 分離後、残存するシクロドデカノンオキシ 、溶媒またはシクロドデカノン(シクロドデ ノン過剰使用の場合)、触媒、残存するラウ ロラクタムを転位工程前段にリサイクルする こともできる。このプロセスを採用した場合 、触媒のターンオーバーが改善され、触媒コ ストが軽減される。

 転化率に関してはプロセス全体の経済性 考慮し、いずれを選択しても差支えない。 お、触媒をリサイクルする場合はシクロド カノンオキシムの転化率80%~95%が好適である 。シクロドデカノンオキシムの転化率80%未満 の場合、リサイクルされるシクロドデカノン オキシムが多く、反応器あたりの生産効率が 低くなり好ましくない。一方、転化率が95%を 越えた場合、水によって失活する触媒の割合 が増し、触媒のターンオーバーが望めなくな る。

 反応は減圧、常圧、加圧のいずれで行っ も差支えない。積極的に加圧下で反応を行 必要はないが、密閉して反応を行うことに って、触媒から一旦脱離した成分(例えば脱 離基がハロゲン原子である場合、ハロゲン化 水素)の反応系外への飛散を防ぐことができ 。クローズドプロセスの採用は脱離基の吸 ・除害設備を軽減すると共に脱離基自身が であり、助触媒として転位反応を促進する め、好ましいプロセスである。また、常圧 の反応も反応装置が安価で、反応の制御も 易である点で好ましい。さらに、シクロド カノンを過剰に使用する場合には、ラウロ クタムのシクロドデカノンへの溶解度がシ ロドデカノンオキシムより高いことを利用 て、減圧下でシクロドデカノンを留去しな ら転位反応を行い、反応器の単位容積当た の生産効率を上げることも可能である。こ は、シクロドデカノンオキシムよりラウロ クタムの溶解度が高い溶媒を使用する場合 同じである。

 転位反応装置は回分式反応装置、管型連 反応装置、攪拌槽型連続反応装置等の一般 用いられる反応装置を使用することができ が、反応温度の制御が容易で運転操作も簡 である槽型連続多段反応装置が適している

 <分離・精製工程>
 転位反応後の反応液に含まれるラウロラク ムを、分離して精製する工程を総称して分 ・精製工程というものとする。分離・精製 程は、その一工程として、ラウロラクタム 転位触媒を分離(除去を含む)する工程を含 。尚、以下の説明中、触媒分離(または除去) 工程、ラウロラクタムの晶析工程等は、ラウ ロラクタムと転位触媒を分離を行う工程であ る。

 触媒の分離・除去は、大別すると、(1)触 を失活させる方法と、(2)触媒を回収する方 がある。

 (1)触媒を失活させる方法(触媒を水溶性化合 物に変化させる方法):
 本発明で使用される転位触媒は、水を添加 てクエンチすることができる。触媒の脱離 はヒドロキシル基に変換され、水溶性化合 となって水相側に移行する。例えば、トリ ロロトリアジンはシアヌル酸となって水相 溶解する。触媒の除去を容易にするため、 ンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液など アルカリ水溶液を用いても差し支えない。 お、触媒を回収・リサイクルする場合でも 媒残渣を完全に除去するため、ラウロラク ムを水洗またはアルカリ洗浄してもよい。

 (2)触媒を回収する方法:
 (2-1)触媒が溶媒等より低沸点の場合には、 留により触媒を回収することができる。例 ば、トリクロロトリアジンはシクロドデカ ン(シクロドデカノン過剰使用の場合)より沸 点が低いため、減圧蒸留によって回収できる 。回収した触媒は好ましくは、転位工程にリ サイクルされる。

 (2-2)ラウロラクタムを晶析分離し、触媒 母液に残す方法も好適である。転位反応後 反応液を、必要により濃縮する。このとき 溶媒が触媒より低沸点であることが有利で る。留去して回収した溶媒は、好ましくは キシム化工程にリサイクルされる。晶析温 は溶媒の融点以上であれば、低温の方が、 液中のラウロラクタムの濃度が低くなり、 産効率が向上する。例えば、溶媒に酢酸ブ ルを用いれば、氷点下でも晶析は可能であ 。溶媒にターシャリーブタノールを用いた 合の晶析温度は26℃以上である。ラウロラク タムを分離した晶析母液は、触媒および溶媒 を含有し、好ましくは転位工程にリサイクル される。

 以上のように、触媒と分離されたラウロ クタムは、次のように精製される。まず、 媒分離として、「(1)触媒を失活させる方法 または「(2-1)蒸留により触媒を回収する方 」を採用した場合は、好ましくは、触媒を 収または分離した反応液から、シクロドデ ノン(過剰に使用した場合)または溶媒を蒸留 により回収し、ラウロラクタムをさらに蒸留 精製する方法が一般的である。回収されたシ クロドデカノンまたは溶媒は、好ましくはオ キシム化工程にリサイクルされる。ラウロラ クタムをさらに精製するには、典型的には、 蒸留操作(留出液として抜き出すこと、缶出 として抜き出すこと、および精留等を含む) 、好ましくは多段で組み合わせて行う。例 ば、上記のシクロドデカノンまたは溶媒の 留によって回収した釜残(缶出液)を抜き出 、蒸留操作を一回以上行うことで精製する とができる。減圧蒸留により行うことが好 しい。

 また、「(2-2)ラウロラクタムを晶析分離 る方法」により触媒と分離した場合、晶析 たラウロラクタムを、所望によりさらに精 することもできる。ラウロラクタムをさら 精製するには、蒸留が適している。ラウロ クタムは晶析により精製されているので、 留操作を一回行うことで高品質製品を得る とができるが、蒸留収率を上げる目的で、 出分や釜残をリサイクルさせながら多段蒸 を行ってもよい。

 ラウロラクタムの蒸留条件および蒸留装 は特に制約を受けないが、ラウロラクタム 開環および重合を防止するため、ボトム温 が250℃以下、好ましくは220℃以下となるよ に10torr以下の真空度で減圧蒸留することが ましい。

 図1のフローチャートに、「(1)触媒を失活 させる方法」を採用したときの態様の1例を す。図中、*1)「回収溶媒」、「溶媒追加分 は、溶媒を使用した場合であり、*2)「回収 クロドデカノン」は、シクロドデカノン過 の条件でオキシム化反応を行った場合であ 。

 また、図2のフローチャートに、「(2-1)蒸 により触媒を回収する方法」を採用したと の1例を示す。この図は、シクロドデカノン 過剰の条件でオキシム化反応を行った場合で ある。

 さらに、図3のフローチャートに、「(2-2) ウロラクタムを晶析分離する方法」により ウロラクタムと触媒と分離する方法を採用 たときの1例を示す。

 以上の説明から明らかなように、本発明 製造方法の各工程は、2つ以上のサブ工程の 組み合わせであってもよく、また可能である ならば、2つ以上の工程を同一の装置で行っ り、同時に進行させてもよい。また、本発 は、例えば工業的に利用されるような連続 た製造プロセスの中で利用されることが好 しいが、一部またはすべての工程を独立し 実施することも可能である。

 次に実施例を挙げて本発明を具体的に説 する。なお、本実施例は本発明の実施態様 一例を示すものであり、本発明は本実施例 限定されるものではない。

 {実施形態A}
  実施形態Aでは、ヒドロキシルアミンに対 て過剰のシクロドデカノンを使用した例を 明する。

 [実施例A-1]
 (オキシム化工程、油/水分離工程、脱水工 )
 内部が4室に分割され、各室毎に攪拌翼が設 けられた液相部容積10Lの枕型反応容器に、80 に加温、溶融したシクロドデカノン(東京化 成社製)と後述する回収シクロドデカノンと 合わせ1kg/h、ヒドロキシルアミン硫酸塩(和 純薬工業社製)の15.2%水溶液を1.2kg/h、でフィ ドし、25%アンモニア水を加えながら、水相p Hを6に調整しながら、97℃で反応を行った(平 滞留時間4時間)。反応器からの流出液を冷 することなく油相と水相に分液した。

 得られた油相に窒素ガスを吹き込み、油 中の水分を脱水した。脱水後の油相中の水 濃度をカールフィシャー法で測定した結果 60ppmであった。また、油相の一部を採取し スクロマトグラフィーで分析した結果、シ ロドデカノンオキシムの生成量は0.428kg/hで り、フィードしたヒドロキシルアミンを基 にした収率は97.5%であった。なお、反応およ び窒素吹込みの際に昇華したシクロドデカノ ンはサブリメーターで採取し、溶融してオキ シム化反応槽にリサイクルした。

 (転位工程)
 内部が3室に分割され、各室毎に攪拌翼が設 けられた液相部容積1.5Lの枕型反応容器に、 工程で取得したシクロドデカノンオキシム シクロドデカノン溶液および後述する回収 クロドデカノンに溶解した10重量%トリクロ トリアジン溶液をそれぞれ1.03kg/h、0.13kg/hで ィードし、92℃で転位反応を行った(平均滞 時間1.5時間)。流出液の一部を採取しガスク ロマトグラフィーで分析した結果、ラウロラ クタムの生成量は0.411kg/hであり、転位収率は 96.0%であった。

 (触媒分離除去)
 転位工程で得られた反応液を攪拌槽型中和 に導き、20重量%の水酸化ナトリウム水溶液 0.1kg/hの速度で加えて中和後、分離槽(滞留 間10分)で油/水分離を行った。

 (シクロドデカノン回収・ラウロラクタム精 製工程)
 分離された油相を連続式減圧蒸留装置に導 、まず水、軽質副生物、シクロドデカノン 除去した。この微量の水分を含むシクロド カノンはオキシム化工程にリサイクルした 釜残は第2の蒸留装置に導き、シクロドデカ ノンおよびラウロラクタムを留出させた。ラ ウロラクタムを含む釜残は触媒除去工程にリ サイクルした。第2の蒸留装置の留出分を第3 蒸留塔に送り、シクロドデカノンとラウロ クタムを分離した。塔頂から留出したシク ドデカノンは転位工程にリサイクルしてト クロロトリアジンの溶解に用いた。8時間の 連続運転を行い、消費したシクロドデカノン に対し、92モル%のラウロラクタムを取得した 。

 {実施形態B}
  実施形態Bでは、溶媒としてエステル類を 用した例を説明する。

 [実施例B-1]
 (オキシム化工程、油/水分離工程)
 内部が4室に分割され、各室毎に攪拌翼が設 けられた液相部容積30Lの枕型オキシム化第1 応器に、ヒドロキシルアミン硫酸塩(和光純 工業社製)の15重量%水溶液を3kg/h及びオキシ 化第2反応器から送液される油相をフィード した。反応温度を80℃に設定し、各室に25重 %アンモニア水を63g/hでフィードしオキシム 反応を行った。反応液は分液し、シクロド カノンオキシム、酢酸ブチルからなる油相 脱水・溶媒交換工程へ送り、水相はオキシ 化第2反応器へフィードした。オキシム化第2 反応器は15Lで内部が4室に分割された枕型反 器で、前記オキシム化反応液水相と20重量% シクロドデカノンの酢酸ブチル溶液5kg/h(ヒ ロキシルアミン硫酸塩と等モル量フィード) 同反応器にフィードし(第1反応器へのヒド キシルアミン硫酸塩と等モル量)、反応温度 90℃に設定し、各室に25重量%アンモニア水 31g/hでフィードしオキシム化反応を行った。

 得られた反応液を分液し、油相をオキシ 化第1反応器にフィードした。水相は105℃に 加熱し、水相に溶解している酢酸ブチル及び シクロドデカノンオキシムを回収し、オキシ ム化第2槽に送った。酢酸ブチル、シクロド カノンオキシムを回収した水相は濃縮し、 出する硫酸アンモニウムを取得後、廃水と て処理した。

 (脱水工程)
 前記油/水分離工程で得られたシクロドデカ ノンオキシムを蒸留装置に送り、溶解してい る水を酢酸ブチルと共に共沸留去した。留出 液はシクロドデカノンの溶媒としてオキシム 化工程にリサイクルした。残液をカールフィ シャー法で水分濃度測定した結果85ppmであっ 。残液は転位工程にフィードした。

 (転位工程)
 内部が3室に分割され、各室毎に攪拌翼が設 けられた液相部容積5Lの枕型反応容器に、前 程で取得したシクロドデカノンオキシムの 酸ブチル溶液および3重量%のトリクロロト アジンの酢酸ブチル溶液をそれぞれ3200g/h、1 000g/hでフィードし、80℃で転位反応を行った( 平均滞留時間1.0時間)。流出液の一部を採取 ガスクロマトグラフィーで分析した結果、 ウロラクタムの生成量は925g/hであり、シク ドデカノンオキシムが119g/h残存していた。 クロドデカノンを基準にしたラウロラクタ の収率は85.4%、シクロドデカノンオキシム収 率は11.0%(オキシム化工程の収率を100%とした 合の転位工程でのシクロドデカノンオキシ の転化率は89%)であった。転位工程は5時間定 常的に運転した。

 (ラウロラクタムの晶析分離)
 上記転位反応液を単蒸留装置に導き、約12kg の酢酸ブチルを留去後、20℃まで冷却してラ ロラクタムを析出させた。ラウロラクタム 濾別後少量の酢酸ブチルでリンスし、乾燥 重量を計測した結果3672gであり、ガスクロ トグラフィーで純度を測定した結果99.5%であ り、シクロドデカノンオキシムは検出されな かった。一方、濾液、リンス液を合わせてガ スクロマトグラフィー分析を行った結果、ラ ウロラクタム960g、シクロドデカノン18g、シ ロドデカノンオキシム595gを含有していた。 クロドデカノンを基準にしたそれぞれの収 は晶析ラウロラクタム67.5%、溶解ラウロラ タム17.7%、シクロドデカノンオキシム11.0%で った。

 (触媒のリサイクル実験)
 前記ラウロラクタム晶析分離工程で得られ 濾液を全量5kgになるまで濃縮し、500g/hの速 で転位工程にフィードした。一方脱水工程 らのフィード液量は3200g/hのままとし、トリ クロロトリアジン溶液のフィード液量を500g/h に下げた。流出液の一部を採取しガスクロマ トグラフィーで分析した結果、ラウロラクタ ム、シクロドデカノンオキシムの工程出口流 量はそれぞれ1069g/h(晶析母液中のラウロラク ム含有量を1桁間違えたために生じた計算ミ スです)、128g/hであった。転位工程で生成し ラウロラクタムの収率は85.2%、シクロドデカ ノンオキシムの転化率は88.8%であった。

 [実施例B-2]
 オキシム化工程、油/水分離工程、脱水工程 の運転条件を実施例B-1と同様とし、転位工程 にシクロドデカノンオキシムの酢酸ブチル溶 液を3200g/hでフィードした。一方、3重量%トリ クロロトリアジンの酢酸ブチル溶液フィード 量は330g/hに変え、新たに10重量%塩化亜鉛の酢 酸ブチル溶液を75g/hフィードし、反応温度を1 00℃に設定して反応を行った。転位反応槽流 液の一部を採取し、GC分析を行った結果、 クロドデカノンオキシムは検出されず、ラ ロラクタムの流量は1035g/hであり、シクロド カノンを基準にしたラウロラクタムの収率 95.6%であった。定常運転を5時間行い、得ら た転位液に1kgの水を加えて90℃で30分水洗し 、分液して油相を取得し、エバポレータで酢 酸ブチルを留去後、0.2kPaの減圧下170℃でラウ ロラクタムを蒸留精製した4100gのラウロラク ムを得た。ラウロラクタムの純度99.9%であ た。なお、前留、釜残中に含有するラウロ クタムも含めたラウロラクタム収量は5070gで 、シクロドデカノンを基準にしたラウロラク タムの収率は93.7%であった。

 {実施形態C}
  実施形態Cでは、溶媒として第3級アルコー ルを使用した例を説明する。

 [実施例C-1]
 (オキシム化工程、油/水分離工程)
 実施例B-1において、溶媒を酢酸ブチルからt -ブタノールに変更し、同じ装置を使用し、 キシム化第2反応器での反応温度を90℃から80 ℃に変更した。それ以外は、実施例B-1のオキ シム化工程、油/水分離工程と同じ条件を採 してオキシム化工程、油/水分離工程を実施 た。

 (脱水工程)
 前記油/水分離工程で得られたシクロドデカ ノンオキシムを蒸留装置に送り、溶解してい る水をt-ブタノールと共に共沸留去した。留 液はシクロドデカノンの溶媒としてオキシ 化工程にリサイクルした。残液をカールフ シャー法で水分濃度測定した結果90ppmであ た。残液は転位工程にフィードした。

 (転位工程)
 実施例B-1の転位工程を繰り返した。但し、 媒はt-ブタノールである。流出液の分析し 結果では、ラウロラクタムの生成量は876g/h あり、シクロドデカノンオキシムが162g/h残 していた。シクロドデカノンを基準にした ウロラクタムの収率は80.9%、シクロドデカノ ンオキシム収率は15.0%(オキシム化工程の収率 を100%とした場合の転位工程でのシクロドデ ノンオキシムの転化率は85%)であった。転位 程は5時間定常的に運転した。

 (ラウロラクタムの晶析分離)
 上記転位反応液を単蒸留装置に導き、約10kg のt-ブタノールを留去後、室温まで放冷して ウロラクタムを析出させた。ラウロラクタ を濾別後少量のt-ブタノールでリンスし、 燥後重量を計測した結果2890gであり、ガスク ロマトグラフィーで純度を測定した結果99.5% あり、シクロドデカノンオキシムは検出さ なかった。一方、濾液、リンス液を合して スクロマトグラフィー分析を行った結果、 ウラクタム1480g、シクロドデカノン22g、シ ロドデカノンオキシム800gを含有していた。 クロドデカノンを基準にしたそれぞれの収 は晶析ラウロラクタム53.4%、溶解ラウロラ タム27.3%、シクロドデカノンオキシム14.8%で った。

 (触媒のリサイクル実験)
 実施例B-1と同様にして触媒のリサイクル実 を行った。流出液の一部を分析した結果、 ウロラクタム、シクロドデカノンオキシム 工程出口流量はそれぞれ1079g/h、179g/hであっ た。転位工程で生成したラウロラクタムの収 率は80.2%、シクロドデカノンオキシムの転化 は84.6%であった。

 [実施例C-2]
 転位工程における3重量%トリクロロトリア ンのt-ブタノール溶液フィード量を500g/hに変 え、新たに10重量%塩化亜鉛のt-ブタノール溶 を75g/hフィードした以外は実施例C-1と同様 反応を行った。転位工程までのラウロラク ム収率は86.2%、シクロドデカノンオキシム収 率は9.5%(オキシム化工程の収率を100%とした場 合の転位工程でのシクロドデカノンオキシム の転化率は90.5%)だった。実施例1と同様にし リサイクル実験を行った結果、転位工程の クロドデカノンオキシムの転化率は90.0%、ラ ウロラクタム収率は85.5%であった。

 [実施例C-3]
 反応溶媒をt-アミルアルコールに変えた以 は実施例C-1と同様に反応を行った。転位工 までのラウロラクタム収率は82.0%、シクロド デカノンオキシム収率は14.0%(オキシム化工程 の収率を100%とした場合の転位工程でのシク ドデカノンオキシムの転化率は86.0%)だった 実施例1と同様にしてリサイクル実験を行っ 結果、転位工程のシクロドデカノンオキシ の転化率は85.8%、ラウロラクタム収率は81.5% であった。

 [比較例C-1]
 反応溶媒を1-プロパノールに変えた以外は 施例C-1と同様に反応を行った。転位工程ま のラウロラクタム収率は9.8%、シクロドデカ ンオキシム収率は67.4%(オキシム化工程の収 を100%とした場合の転位工程でのシクロドデ カノンオキシムの転化率は32.6%)であり、多量 のシクロドデカノンオキシムが残存し、ラウ ロラクタムへの転位選択率も低かった。

 [比較例C-2]
 反応溶媒をシクロヘキサノールに変えた以 は実施例-1と同様に反応を行った。転位工 までのラウロラクタム収率は26.7%、シクロド デカノンオキシム収率は61.4%(オキシム化工程 の収率を100%とした場合の転位工程でのシク ドデカノンオキシムの転化率は38.6%)であっ 。

 工業的に有利で簡便なラウロラクタムの ロセスが提供される。