Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF PELLET OF POLYAMIDE COMPOSITION HAVING REDUCED METAL-CORRODING PROPERTY, AND METHOD FOR PRODUCTION OF MOLDED ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107514
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a pellet, which can produce a pellet of a polyamide composition that can withstand a high reflow process temperature and that can be molded into an article causing less change in appearance such as blistering, and which hardly corrodes or abrades a metallic part in spite of a fact that the pellet contains a phosphinic acid salt, and which can produce the pellet at low cost and with high efficiency. Specifically disclosed is a method for producing a pellet of a polyamide composition comprising 15 to 95% by mass of a polyamide (I) having a melting point of 270 to 300°C and 5 to 25% by mass of a phosphinic acid salt (II). The method comprises the steps of: melt-kneading at least the polyamide (I) and the phosphinic acid salt (II) under the conditions in which the cylinder temperature of an extruder does not exceed 310°C; and pelletizing the resulting product.

Inventors:
MATSUOKA HIDEHARU (JP)
SHIGEMATSU TAKAHARU (JP)
TAMURA KOZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052669
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KURARAY CO (JP)
MATSUOKA HIDEHARU (JP)
SHIGEMATSU TAKAHARU (JP)
TAMURA KOZO (JP)
International Classes:
C08L77/06; C08K3/22; C08K3/26; C08K3/38; C08K5/5313
Foreign References:
JP2008038149A2008-02-21
JP2005170963A2005-06-30
JP2006510780A2006-03-30
JP2007023206A2007-02-01
JP2007023207A2007-02-01
JP2007507596A2007-03-29
Download PDF:
Claims:
 融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含むポリアミド組成物のペレットの製造方法であって、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペレット化する、ポリアミド組成物のペレットの製造方法。
 ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジアミン単位を有する請求項1に記載の製造方法。
 上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を60~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が、1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位=60:40~80:20である請求項2に記載の製造方法。
 ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6~0.95dl/gである請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 上記ホスフィン酸塩が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)を含む請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含むポリアミド組成物を押出成形、射出成形またはブロー成形する成形品の製造方法であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で上記ポリアミド組成物を成形する成形品の製造方法。
 ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジアミン単位を有する請求項8に記載の製造方法。
 上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を60~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が、1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位=60:40~80:20である請求項9に記載の製造方法。
 ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6~0.95dl/gである請求項8~10のいずれかに記載の製造方法。
 上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む請求項8~13のいずれかに記載の製造方法。
 融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95質量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含むポリアミド組成物であって、成形機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で押出成形、射出成形またはブロー成形するために使用されるポリアミド組成物。
 ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100モル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジアミン単位を有する請求項15に記載のポリアミド組成物。
 上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を60~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が、1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位=60:40~80:20である請求項16に記載のポリアミド組成物。
 ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した極限粘度が0.6~0.95dl/gである請求項15~17のいずれかに記載のポリアミド組成物。
 上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩および/または下記式(2)で示されるジホスフィン酸塩である請求項15~18のいずれかに記載のポリアミド組成物。

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のアルキル基、または、アリール基を表し、複数存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10のアルキレン基、アリーレン基、または、アリールアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは互いに同一であっても異なっていてもよい。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。]
 上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフィン酸アルミニウムである請求項15~18のいずれかに記載のポリアミド組成物。
 上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およびハイドロタルサイトまたはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物(III)をさらに含む請求項15~20のいずれかに記載のポリアミド組成物。
 上記ポリアミド組成物が滴下防止剤(IV)をさらに含む請求項15~21のいずれかに記載のポリアミド組成物。
Description:
金属腐食性を低減したポリアミ 組成物のペレットの製造方法および成形品 製造方法

 本発明は難燃性のポリアミド組成物のペ ットの製造方法、成形品の製造方法および リアミド組成物に関する。

 ポリアミド樹脂は力学特性や耐熱性に優 るため自動車部品分野や電気・電子部品分 で多く使用されており、ポリアミド樹脂の でもより耐熱性が高い半芳香族ポリアミド 商業化され、これらの部品の性能向上に貢 している。特に電気・電子部品分野では部 の実装効率が高い表面実装プロセスが普及 ており、寸法変化が小さく、外観に優れる 芳香族ポリアミドはこれらの部品を形成す 好適な素材として普及している。また近年 環境負荷低減の観点から表面実装プロセス おいて使用されるハンダとして鉛フリーハ ダが採用されているが、鉛フリーハンダは 解温度が比較的高いことから、表面実装プ セスのリフロー工程における温度を高く(260 ℃程度に)設定する必要があり、そのため、 芳香族ポリアミドの中でも、融点が比較的 いものが採用されている。

 ところで電気・電子部品分野では、部品 対して難燃性が要求され、アンダーライタ ズ・ラボラトリーのUL94規格における評価V-0 を達成することが多くの場合必要であり、こ れまでは部品を形成する材料として臭素系難 燃剤を配合した素材が一般的に使用されてき た。しかしながら、近年の環境に対する意識 の高まりから、有害な鉛、カドミウムなどい くつかの従来材料は使用が規制される状況に あり、臭素系難燃剤等のハロゲンを含む難燃 剤に関しても、その安全性や実質的な環境負 荷等の評価結果に関係なくその使用が忌避さ れる傾向があり、ハロゲンを含まない難燃性 の半芳香族ポリアミド組成物の需要は高まり つつある。

 一般的なポリアミドに配合されるハロゲ を含まない難燃剤はいくつか知られている しかしながら、上記したような融点が比較 高い半芳香族ポリアミドに対して配合され 難燃剤には、高度の難燃性能の他に、さら ポリアミド組成物を製造する際の溶融混練 や成形品を製造する際の成形加工時の高温 件に耐え得る高度の耐熱性が要求される。 のため、このような半芳香族ポリアミドに して配合することができる難燃剤には限り あった。

 高度の難燃性および耐熱性を有しハロゲ を含まない難燃剤として、ホスフィン酸塩 知られている。たとえば、脂環式ジアミン 位から主としてなるジアミン単位を有する 定のポリアミドおよびホスフィン酸塩を含 する難燃性ポリアミド成形材料が知られて る(特許文献1参照)。また、ナイロン66等の 肪族ポリアミドおよび特定のホスフィン酸 を含む成形材料が知られている(特許文献2参 照)。さらに、特定の半芳香族ポリアミド、 リフェニレンエーテルおよびホスフィン酸 を含む特定の樹脂組成物が知られている(特 文献3および4参照)。

 ポリアミド組成物は通常ペレットの形態で 造・流通され、これを射出成形機等を用い 成形することにより成形品が製造されるが ポリアミド組成物を製造する際における押 機のシリンダー温度や、ペレットを成形品 する際における射出成形機等の成形機のシ ンダー温度は、ポリアミドを十分溶融させ ために、通常ポリアミドの融点以上の温度 設定される。そのため融点が比較的高い半 香族ポリアミドを使用する場合には上記温 は高めに設定され、得られる成形品の品質 観点から半芳香族ポリアミドを多量に配合 る場合には、特にこの傾向が強くなる。
 しかしながら、難燃剤として上記ホスフィ 酸塩を使用した場合に、従来の方法により リアミド組成物のペレットを製造したり、 られたペレットから成形品を製造すると、 出機や射出成形機等の成形機のシリンダー 、シリンダー内に配設されるスクリュー、 らには射出成形時に使用される金型等の金 製部品が著しく腐食したりあるいは摩耗し りする問題があった。耐熱性が高いとされ ホスフィン酸塩を使用した場合にこのよう 問題が起こることは予想外であった。

特開昭51-63859号公報

特開平9-235465号公報

特開2007-182550号公報

特開2007-182551号公報

特開平8-73720号公報

 本発明は、鉛フリーハンダが使用される うな高いリフロー工程温度にも耐え、しか ブリスターなどの外観上の変化が生じにく 成形品となるポリアミド組成物のペレット 与えることが可能であり、難燃剤としてホ フィン酸塩を含むにも拘らず、押出機のシ ンダーやシリンダー内に配設されるスクリ ー等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し、 コストでかつ効率的にペレットを生産する とができるペレットの製造方法を提供する とを課題とする。また本発明は、難燃剤と てホスフィン酸塩を含むにも拘らず、射出 形機等の成形機のシリンダーや、シリンダ 内に配設されるスクリュー、さらには射出 形時に使用される金型等の金属製部品の腐 や摩耗を低減し、低コストかつ効率的に成 品を製造することができる成形品の製造方 を提供することを課題とする。さらに本発 は上記成形品の製造方法に使用されるポリ ミド組成物を提供することを課題とする。

 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、 定の融点を有する半芳香族ポリアミドおよ ホスフィン酸塩を特定の押出条件で押出し ペレットとすることにより、押出機のシリ ダーや、シリンダー内に配設されるスクリ ー等の金属製部品の腐食や摩耗を著しく低 させることができることを見出した。また 定の融点を有する半芳香族ポリアミドおよ ホスフィン酸塩を含むポリアミド組成物を 定の射出成形条件で成形することにより、 出成形機のシリンダーや、シリンダー内に 設されるスクリュー、さらには射出成形時 使用される金型等の金属製部品の腐食や摩 を著しく低減させることができることを見 した。本発明者らはこれらの知見を基にさ に検討を重ねて本発明を完成させた。

 すなわち、本発明は、
[1]融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95質 量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含む リアミド組成物のペレットの製造方法であ て、押出機のシリンダー温度が310℃を超え い条件で少なくとも上記ポリアミド(I)およ ホスフィン酸塩(II)を溶融混練し、次いでペ ット化する、ポリアミド組成物のペレット 製造方法、
[2]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100モ ル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の 肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジア ミン単位を有する上記[1]の製造方法、
[3]上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単 および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を6 0~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2- メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が 1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタ ジアミン単位=60:40~80:20である上記[2]の製造 法、
[4]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した 限粘度が0.6~0.95dl/gである上記[1]~[3]のいずれ かの製造方法、
[5]上記ホスフィン酸塩が下記式(1)で示される モノホスフィン酸塩および/または下記式(2) 示されるジホスフィン酸塩である上記[1]~[4] いずれかの製造方法、

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のア ルキル基、または、アリール基を表し、複数 存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10の ルキレン基、アリーレン基、または、アリ ルアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシ ム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは いに同一であっても異なっていてもよい。m は2または3であり、nは1または3であり、xは1 たは2である。]
[6]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフ ン酸アルミニウムである上記[1]~[4]のいずれ の製造方法、
[7]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金属 水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩および ハイドロタルサイトまたはその誘導体からな る群から選択される少なくとも1種の金属化 物(III)を含む上記[1]~[6]のいずれかの製造方 、

[8]融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95質 量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含む リアミド組成物を押出成形、射出成形また ブロー成形する成形品の製造方法であって 成形機のシリンダー温度が310℃を超えない 件で上記ポリアミド組成物を成形する成形 の製造方法、
[9]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100モ ル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の 肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジア ミン単位を有する上記[8]の製造方法、
[10]上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単 および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を 60~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2 -メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が 、1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタ ンジアミン単位=60:40~80:20である上記[9]の製造 方法、
[11]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した 極限粘度が0.6~0.95dl/gである上記[8]~[10]のいず かの製造方法、
[12]上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示さ るモノホスフィン酸塩および/または下記式 (2)で示されるジホスフィン酸塩である上記[8] ~[11]のいずれかの製造方法、

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のア ルキル基、または、アリール基を表し、複数 存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10の ルキレン基、アリーレン基、または、アリ ルアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシ ム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは いに同一であっても異なっていてもよい。m は2または3であり、nは1または3であり、xは1 たは2である。]
[13]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフ ン酸アルミニウムである上記[8]~[11]のいず かの製造方法、
[14]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金 水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およ ハイドロタルサイトまたはその誘導体から る群から選択される少なくとも1種の金属化 物(III)をさらに含む上記[8]~[13]のいずれかの 製造方法、

[15]融点が270~300℃であるポリアミド(I)を15~95 量%およびホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含む リアミド組成物であって、成形機のシリン ー温度が310℃を超えない条件で押出成形、 出成形またはブロー成形するために使用さ るポリアミド組成物、
[16]ポリアミド(I)がテレフタル酸単位を40~100 ル%含有するジカルボン酸単位と炭素数4~18の 脂肪族ジアミン単位を60~100モル%含有するジ ミン単位を有する上記[15]のポリアミド組成 、
[17]上記ジアミン単位が1,9-ノナンジアミン単 および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を 60~100モル%含有し、1,9-ノナンジアミン単位と2 -メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比が 、1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタ ンジアミン単位=60:40~80:20である上記[16]のポ アミド組成物、
[18]ポリアミド(I)の濃硫酸中、30℃で測定した 極限粘度が0.6~0.95dl/gである上記[15]~[17]のいず れかのポリアミド組成物、
[19]上記ホスフィン酸塩(II)が下記式(1)で示さ るモノホスフィン酸塩および/または下記式 (2)で示されるジホスフィン酸塩である上記[15 ]~[18]のいずれかのポリアミド組成物、

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のア ルキル基、または、アリール基を表し、複数 存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10の ルキレン基、アリーレン基、または、アリ ルアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシ ム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは いに同一であっても異なっていてもよい。m は2または3であり、nは1または3であり、xは1 たは2である。]
[20]上記ホスフィン酸塩(II)がジエチルホスフ ン酸アルミニウムである上記[15]~[18]のいず かのポリアミド組成物、
[21]上記ポリアミド組成物が金属酸化物、金 水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属塩およ ハイドロタルサイトまたはその誘導体から る群から選択される少なくとも1種の金属化 物(III)をさらに含む上記[15]~[20]のいずれか ポリアミド組成物、
[22]上記ポリアミド組成物が滴下防止剤(IV)を らに含む上記[15]~[21]のいずれかのポリアミ 組成物、
に関する。

 本発明によれば、鉛フリーハンダが使用 れるような高いリフロー工程温度(たとえば 260℃程度の温度)にも耐え、しかもブリスタ などの外観上の変化が生じにくい成形品と るポリアミド組成物のペレットを与えるこ が可能であり、難燃剤としてホスフィン酸 を含むにも拘らず、押出機のシリンダーや シリンダー内に配設されるスクリュー等の 属製部品の腐食や摩耗を低減し、低コスト かつ効率的にペレットを生産することがで るペレットの製造方法が提供される。また 発明によれば、難燃剤としてホスフィン酸 を含むにも拘らず、射出成形機等の成形機 シリンダーや、シリンダー内に配設される クリュー、さらには射出成形時に使用され 金型等の金属製部品の腐食や摩耗を低減し 低コストでかつ効率的に成形品を製造する とができる成形品の製造方法が提供される さらに本発明によれば、上記成形品の製造 法に使用されるポリアミド組成物が提供さ る。

 以下に本発明の詳細な説明を行う。
 本発明に使用されるポリアミド(I)は融点が2 70~300℃である。本発明において使用されるポ リアミド(I)としては、PA46等の脂肪族ポリア ドや、テレフタル酸単位を40~100モル%含有す ジカルボン酸単位と炭素数4~18の脂肪族ジア ミン単位を60~100モル%含有するジアミン単位 有する半芳香族ポリアミド等が挙げられる これらのうち、耐熱性、低吸水性の点で半 香族ポリアミドが好ましい。

 半芳香族ポリアミドを構成するジカルボ 酸単位がテレフタル酸を40~100モル%含有する ことにより、耐熱性の高い成形品を与えるペ レットや耐熱性の高い成形品を得ることがで きる。ジカルボン酸単位におけるテレフタル 酸単位の含有率は60~100モル%の範囲内がより ましく、75~100モル%の範囲内がさらに好まし 、90~100モル%の範囲内が特に好ましい。

 上記のジカルボン酸単位は、テレフタル酸 位以外の他のジカルボン酸単位を含んでい もよい。該他のジカルボン酸単位としては 例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コ ク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチル ジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリ 酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコ ハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリ ン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペン ンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカル ボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル 、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレ ンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン 、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、1,3-フェニ レンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’-オ シジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカ ルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカル ン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等の芳 香族ジカルボン酸などから誘導される単位を 挙げることができ、これらのうち1種または2 以上を含むことができる。これらのなかで 芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が ましい。ジカルボン酸単位におけるこれら 他のジカルボン酸単位の含有率は、60モル% 下であることが好ましく、40モル%以下であ ことがより好ましく、25モル%以下であるこ がさらに好ましく、10モル%以下であること 特に好ましい。
 上記の半芳香族ポリアミドは、トリメリッ 酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多 カルボン酸から誘導される単位を溶融成形 可能な範囲内で含んでいてもよい。

 半芳香族ポリアミドを構成するジアミン 位は、炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位を60~ 100モル%含有することが好ましい。ジアミン 位における炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位 含有率は、75~100モル%の範囲にあることがよ り好ましく、90~100モル%の範囲がさらに好ま い。炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位を上記 割合で含有する半芳香族ポリアミドを使用 ると、耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの 物性に優れる成形品を与えるペレットや、 熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性に れる成形品を得ることができる。

 上記の炭素数4~18の脂肪族ジアミン単位と しては、例えば、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペ タンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7- プタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9- ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11- ンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン等 の直鎖状脂肪族ジアミン;1-ブチル-1,2-エタン アミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1 -エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4- ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジア ミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3- メチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペ タンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミ 、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジ メチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1, 6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサ ジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジ ミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン 、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジ チル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7- ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタン ジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン 、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1, 8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジ アミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、 1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメ ル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オ クタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジ アミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、 3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメ ル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナ ジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンなど ら誘導される単位を挙げることができ、こ らのうち1種または2種以上を含むことができ る。

 上記のジアミン単位は、耐熱性、低吸水 、耐薬品性などの諸物性に優れる成形品を えるペレットや、耐熱性、低吸水性、耐薬 性などの諸物性に優れる成形品を得ること できることから、1,6-ヘキサンジアミン、1,8 -オクタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジ ミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジア ン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカン ジアミンから誘導される単位を60~100モル%含 することが好ましく、1,9-ノナンジアミン単 および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミ 単位を60~100モル%含有することがより好まし 。

 1,9-ノナンジアミン単位および2-メチル-1,8 -オクタンジアミン単位を併用する場合には 1,9-ノナンジアミン単位:2-メチル-1,8-オクタ ジアミン単位のモル比は、1,9-ノナンジアミ 単位:2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位=60:4 0~80:20であることが好ましく、65:35~75:25である ことがより好ましい。1,9-ノナンジアミン単 および2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を 記の割合で含有する半芳香族ポリアミドを いると、ポリアミド(I)の融点を容易に後述 る範囲とすることができ、また十分な結晶 およびハンダ耐熱性を有し、表面実装工程 の変形が小さな成形品を得ることができる

 上記のジアミン単位は、炭素数4~18の脂肪 族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含 んでもよい。該他のジアミン単位としては、 例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジ ミン、1,3-プロパンジアミン等の脂肪族ジア ン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロ ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノ ルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカ ンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p-フェ ニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p- シリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、 4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジア ノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフ ェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから 誘導される単位を挙げることができ、これら のうち1種または2種以上を含むことができる ジアミン単位におけるこれらの他のジアミ 単位の含有率は40モル%以下であることが好 しく、25モル%以下であることがより好まし 、10モル%以下であることがさらに好ましい

 また、上記の半芳香族ポリアミドはアミ カルボン酸単位を含んでもよい。該アミノ ルボン酸単位としては、例えば、カプロラ タム、ラウリルラクタム等のラクタム;11-ア ミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の アミノカルボン酸などから誘導される単位を 挙げることができる。半芳香族ポリアミドに おけるアミノカルボン酸単位の含有率は、半 芳香族ポリアミドの全ジカルボン酸単位100モ ル%に対して、40モル%以下の割合であること 好ましく、20モル%以下の割合がより好まし 。

 半芳香族ポリアミドは、その分子鎖の末 基の10%以上が末端封止剤により封止されて ることが好ましい。分子鎖の末端基が末端 止剤により封止されている割合(末端封止率 )は、40%以上であることがより好ましく、70% 上であることがさらに好ましい。末端封止 が10%以上の半芳香族ポリアミドを用いると 溶融成形性や表面美麗性などの物性がより れた成形品を与えるペレットや溶融成形性 表面美麗性などの物性がより優れた成形品 得ることができる。

 なお、末端封止率は、半芳香族ポリアミド 存在しているカルボキシル基末端およびア ノ基末端の数と、末端封止剤によって封止 れた末端基の数をそれぞれ測定し、下記計 式に従って求めることができる。各末端基 数は 1 H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナ の積分値に基づいて求めることができる。

 末端封止率(%)=[(Y-Z)/Y]×100
[式中、Yは半芳香族ポリアミドの分子鎖の末 基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数 の2倍に等しい)を表し、Zは封止されずに残っ たカルボキシル基末端およびアミノ基末端の 合計数を表す。]

 末端封止剤としては、末端アミノ基もし は末端カルボキシル基との反応性を有する 官能性の化合物を用いることができる。具 的には、酸無水物、モノイソシアネート、 ノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノ ルコール類などが挙げられるが、反応性お び封止末端の安定性などの点から、末端ア ノ基に対する末端封止剤としては、モノカ ボン酸が好ましく、末端カルボキシル基に する末端封止剤としては、モノアミンが好 しい。また、取り扱いの容易さなどの観点 ら末端封止剤としてはモノカルボン酸がよ 好ましい。

 末端封止剤として使用されるモノカルボ 酸としては、アミノ基との反応性を有する のであれば特に制限はなく、例えば、酢酸 プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸 カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、 リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸 ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカル ン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式 モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α- フタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボ 酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニ 酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任 の混合物などを挙げることができる。これ のなかでも、反応性、封止末端の安定性、 格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪 、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウ ン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パル チン酸、ステアリン酸、安息香酸が好まし 。

 末端封止剤として使用されるモノアミン しては、カルボキシル基との反応性を有す ものであれば特に制限はなく、例えば、メ ルアミン、エチルアミン、プロピルアミン ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチル ミン、デシルアミン、ステアリルアミン、 メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピ アミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノア ン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシ ルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、 ルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルア ン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混 物などを挙げることができる。これらのな でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性 よび価格などの点から、ブチルアミン、ヘ シルアミン、オクチルアミン、デシルアミ 、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミ 、アニリンが好ましい。

 本発明に用いられるポリアミド(I)は、結 性ポリアミドを製造する方法として知られ いる任意の方法を用いて製造することがで る。例えば、酸クロライドとジアミンを原 とする溶液重合法または界面重合法、ジカ ボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法 固相重合法、溶融押出重合法などの方法に り製造することができる。

 ポリアミド(I)は、例えば、最初にジアミ 、ジカルボン酸、および必要に応じて触媒 末端封止剤を一括して添加してナイロン塩 製造した後、200~250℃の温度において加熱重 合して濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1 ~0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合 るか、あるいは溶融押出機を用いて重合す ことにより製造することができる。プレポ マーの極限粘度[η]が0.1~0.6dl/gの範囲内であ と、後重合の段階においてカルボキシル基 アミノ基のモルバランスのずれや重合速度 低下が少なく、さらに分子量分布の小さな 各種物性や成形性に優れたポリアミド組成 を与えるポリアミド(I)が得られる。重合の 終段階を固相重合により行う場合、減圧下 たは不活性ガス流動下に行うのが好ましく 重合温度が200~280℃の範囲内であれば、重合 速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化 を有効に抑制することができる。重合の最終 段階を溶融押出機により行う場合の重合温度 としては、370℃以下であるのが好ましく、か かる条件で重合すると、ポリアミド樹脂の分 解がほとんどなく、劣化の少ないポリアミド (I)が得られる。

 ポリアミド(I)を製造するに際して使用す ことができる触媒としては、例えば、リン 、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩また エステルが挙げられる。上記の塩またはエ テルとしては、リン酸、亜リン酸または次 リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシ ム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバ ト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマ ウム、チタン、アンチモン等の金属との塩; リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモ ニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン のエチルエステル、イソプロピルエステル ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソ シルエステル、オクタデシルエステル、デ ルエステル、ステアリルエステル、フェニ エステルなどを挙げることができる。

 本発明に用いられるポリアミド(I)の融点 270~300℃であることが必要であり、275~295℃ あることが好ましく、285~293℃であることが り好ましい。ポリアミド(I)が上記範囲の融 を有することにより、ポリアミド組成物に いてポリアミド(I)を多量に配合した場合で っても、後述する押出機あるいは成形機の リンダー温度で溶融混練を十分に行うこと でき、しかも十分なハンダ耐熱性を有する 形品を与えるペレットあるいは十分なハン 耐熱性を有する成形品を製造することが可 となる。なお、本明細書における融点とは 実施例において後述するように、示差走査 量分析装置(DSC)により測定された値である

 本発明に用いられるポリアミド(I)は、濃 酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.6~0.95dl/g あることが好ましく、0.65~0.93dl/gがより好ま しい。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを 用すると、成形性に優れたポリアミド組成 が得られ、力学的特性、耐熱性などにより れた成形品が得られる。なお、極限粘度が0. 95dl/gを超えると押出機あるいは成形機の剪断 発熱により溶融樹脂温度が大幅に上昇し、金 属製部品の腐食や摩耗が起こり易くなる傾向 がある。

 本発明において使用されるホスフィン酸 (II)としては下記式(1)で示されるモノホスフ ィン酸塩および/または下記式(2)で示される ホスフィン酸塩を好ましく使用することが きる。

[式(1)および(2)中、R 1 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~6のア ルキル基、または、アリール基を表し、複数 存在するR 1 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。R 2 は、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10の ルキレン基、アリーレン基、または、アリ ルアルキレン基を表し、複数存在するR 2 は互いに同一であっても異なっていてもよい 。Mはマグネシウム、アルミニウム、カルシ ム、または、亜鉛を表し、複数存在するMは いに同一であっても異なっていてもよい。m は2または3であり、nは1または3であり、xは1 たは2である。]

 上記式(1)および(2)において、R 1 が表す炭素数1~6のアルキル基としては、例え ば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i- ロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチ ル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘ シル基等が挙げられる。またR 1 が表すアリール基としては、例えば、フェニ ル基、トリル基、ジメチルフェニル基、t-ブ ルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基 等の炭素数6~10のアリール基などが挙げられ 。

 上記式(2)において、R 2 が表す直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~10 アルキレン基としては、例えば、メチレン 、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、2-メチ -1,3-プロピレン基、2,2-ジメチル-1,3-プロピ ン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基、1,6 -へキシレン基、1,7-ヘプチレン基、1,8-オクチ レン基、1,9-ノニレン基、1,10-デシレン基等が 挙げられる。R 2 が表すアリーレン基としては、例えば、1,2- ェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレ ン基、トリレン基、キシリレン基、t-ブチル ェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチ ン基、1,8-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、 2,7-ナフチレン基等の炭素数6~10のアリーレン などが挙げられる。R 2 が表すアリールアルキレン基としては、例え ば、フェニルエチレン基、2-フェニル-1,3-プ ピレン基等の炭素数6~10のアリールアルキレ 基などが挙げられる。

 上記式(1)において、Mがマグネシウム、カ ルシウムまたは亜鉛を表す場合にはmは2であ ことが好ましく、Mがアルミニウムを表す場 合にはmは3であることが好ましい。また、上 式(2)において、Mがマグネシウム、カルシウ ムまたは亜鉛を表す場合にはnおよびxはとも 1であることが好ましく、Mがアルミニウム 表す場合にはnが3でありxが2であることが好 しい。

 上記式(1)または(2)で示されるホスフィン酸 は、例えば、特許文献5に記載されているよ うに、ホスフィン酸化合物と、金属炭酸塩、 金属水酸化物、金属酸化物等の金属成分とを 水溶液中で反応させて製造することができる 。
 上記のホスフィン酸化合物としては、例え 、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホ フィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル- n-プロピルホスフィン酸、メチレンビス(メチ ルホスフィン酸)、1,4-フェニレンビス(メチル ホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン 、ジフェニルホスフィン酸等が挙げられる
 また上記の金属成分としては、例えば、カ シウムイオン、マグネシウムイオン、アル ニウムイオン、亜鉛イオンを含む金属炭酸 、金属水酸化物、金属酸化物等が挙げられ 。

 上記式(1)で示されるモノホスフィン酸塩 具体例としては、例えば、ジメチルホスフ ン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マ ネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニ ム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメ ルホスフィン酸カルシウム、エチルメチル スフィン酸マグネシウム、エチルメチルホ フィン酸アルミニウム、エチルメチルホス ィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシ ム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、 エチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチ ホスフィン酸亜鉛、メチル-n-プロピルホス ィン酸カルシウム、メチル-n-プロピルホス ィン酸マグネシウム、メチル-n-プロピルホ フィン酸アルミニウム、メチル-n-プロピル スフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィ 酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン マグネシウム、メチルフェニルホスフィン アルミニウム、メチルフェニルホスフィン 亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジ ェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェ ルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。

 また上記式(2)で示されるジホスフィン酸 の具体例としては、例えば、メチレンビス( メチルホスフィン酸)カルシウム、メチレン ス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メチ レンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム メチレンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、1, 4-フェニレンビス(メチルホスフィン酸)カル ウム、1,4-フェニレンビス(メチルホスフィン 酸)マグネシウム、1,4-フェニレンビス(メチル ホスフィン酸)アルミニウム、1,4-フェニレン ス(メチルホスフィン酸)亜鉛が挙げられる

 上記のホスフィン酸塩の中でも、難燃性 電気特性、入手性の観点から、ホスフィン 塩(II)としては、ジメチルホスフィン酸カル シウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム 、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチル ホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホス フィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフ ィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウ ム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジ エチルホスフィン酸亜鉛が好ましく、特に工 業的に市販されているジエチルホスフィン酸 アルミニウムが耐熱性、量産性の観点からよ り好ましく使用することができる。

 ホスフィン酸塩(II)は、その平均粒径が好ま しくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、 らに好ましくは0.5~40μmである粉末状のもの 用いることが好ましい。このような平均粒 を有するホスフィン酸塩(II)を使用すると、 高い難燃性を発現するばかりでなく成形品の 強度が著しく高くなる。なお、本明細書にお けるホスフィン酸塩(II)の平均粒径とは、水 の媒体に分散させたホスフィン酸塩(II)の分 液を測定サンプルとして用いて、レーザー 折式粒度分布計を使用して測定される粒子 と粒子数の頻度分布からもとめた数平均粒 径を意味する。
 ホスフィン酸塩(II)は必ずしも完全に純粋で ある必要はなく、未反応物あるいは副生成物 が少量残存していてもよい。

 本発明のペレットの製造方法において製 されるペレットを構成するポリアミド組成 、および本発明の成形品の製造方法におい 使用されるポリアミド組成物は、上記のポ アミド(I)を15~95質量%および上記のホスフィ 酸塩(II)を5~25質量%含有する。当該ポリアミ 組成物がポリアミド(I)を15~95質量%含有する とにより、力学的特性等に優れた成形品を ることができる。また、当該ポリアミド組 物がホスフィン酸塩(II)を5~25質量%含有する とにより、優れた難燃性を有する成形品を ることができる。上記のポリアミド組成物 おけるポリアミド(I)の含有率としては35~70 量%であることが好ましく、40~60質量%である とがより好ましい。一方、上記のポリアミ 組成物におけるホスフィン酸塩(II)の含有率 としては10~20質量%であることが好ましく、10~ 17質量%であることがより好ましい。

 上記のポリアミド組成物には、金属酸化 、金属水酸化物、炭酸金属塩、ホウ酸金属 およびハイドロタルサイトまたはその誘導 からなる群から選択される少なくとも1種の 金属化合物(III)を配合することができる。金 化合物(III)を配合すると、ポリアミド組成 のペレットを製造する際や、ポリアミド組 物を成形する際に使用される金属製部品の 食や摩耗をより一層低減することができる 上記金属酸化物としては、例えば、酸化亜 、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化アルミニ ム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ケイ 素(シリカ)等が挙げられる。上記金属水酸化 としては、例えば、水酸化マグネシウム、 酸化アルミニウム、アルミナ水和物等が挙 られる。上記金属炭酸塩としては、例えば 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙 られる。上記ホウ酸金属塩としては、例え 、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、ホウ カルシウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げ れる。上記ハイドロタルサイトまたはその 導体としては、塩基性アルミニウムマグネ ウムカーボネートハイドレート(ハイドロタ ルサイト)、ハイドロタルサイトを焼成し結 水を脱水したもの等が挙げられる。これら 金属化合物(III)の中でも、酸性物質を捕捉す る効果が大きいことから、酸化カルシウム、 ホウ酸亜鉛、アルミナ水和物、ハイドロタル サイトが好ましい。ポリアミド組成物におけ るこれらの金属化合物(III)の配合量としては 少なすぎると十分な効果が望めず、多すぎ と配合後のポリアミド組成物の流動性が低 する場合があることから、ポリアミド(I)100 量部に対して0.1~10質量部であることが好ま い。

 また、上記のポリアミド組成物には難燃 効率を高めるため滴下防止剤(IV)を配合して もよい。滴下防止剤(IV)としては、繊維化ポ テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂; 水マレイン酸変性ポリスチレン等の変性芳 族ビニル系重合体;無水マレイン酸変性エチ レンプロピレン共重合体等の変性ポリオレフ ィン;アイオノマーなどを挙げることができ 。これらの中でも、滴下防止効果が高いこ から、繊維化ポリテトラフルオロエチレン 無水マレイン酸変性ポリスチレンが好まし 、ハロゲンを含まないことから無水マレイ 酸変性ポリスチレンがより好ましい。ポリ ミド組成物における滴下防止剤(IV)の配合量 しては、少なすぎると十分な効果が望めず 多すぎると得られる成形品に外観不良等が じる場合があることから、0.05~2質量%が好ま しく、0.05~1質量%がより好ましい。

 上記のポリアミド組成物には、さらなる 燃性付与のため、メラミン、メラム、メレ 、メロン等のメラミン系化合物と、リン酸 ポリリン酸等のリン酸化合物とから形成さ る難燃助剤(V)を配合してもよい。このよう 難燃助剤(V)を配合すると難燃性評価時に炭 が促進されるため、ホスフィン酸塩(II)の配 合量を低減することができる。このような難 燃助剤(V)の具体例としては、例えば、チバ・ スペシャルティ・ケミカルズ社製ポリリン酸 メラミン「Melapur200」または「Melapur200 70」、 日産化学工業株式会社製ポリリン酸メラミン 「Phosmel-200」などが挙げられる。ポリアミド 成物における難燃助剤(V)の配合量としては あまりに多すぎると射出成形により成形品 製造する際などに金型が汚染されることが ることから、0~5質量%であることが好ましく 、0~1質量%であることがより好ましい。

 上記のポリアミド組成物には充填材(VI)を 含有させてもよい。充填材(VI)としては、繊 状、平板状、針状、粉末状、クロス状など 各種形態を有するものを使用することがで る。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、 ラミド繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維、金属繊 維等の繊維状充填材;マイカ、タルク等の平 状充填材;チタン酸カリウムウィスカー、ホ 酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウ ウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー ワラストナイト、セピオライト、ゾノトラ ト、酸化亜鉛ウィスカー等の針状充填材;シ リカアルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、チ タン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、硫酸マ グネシウム、アスベスト、ガラスビーズ、カ ーボンブラック、グラファイト、二硫化モリ ブデン、フェノール樹脂粒子、架橋スチレン 系樹脂粒子、架橋アクリル系樹脂粒子等の粉 末状充填材などが挙げられる。これらの充填 材(VI)は1種を単独で使用しても2種以上を併用 してもよい。これらの充填材(VI)の表面は、 リアミド(I)中への分散性を高める目的で、 ランカップリング剤、チタンカップリング 、その他の高分子または低分子の化合物に って表面処理されていることが好ましい。

 上記の充填材(VI)の中でも、低コストであり 、生産性に優れ、力学強度が高い成形品が得 られることから、繊維状充填材または針状充 填材が好ましく、ガラス繊維が特に好ましい 。ガラス繊維を配合すると、得られる成形品 の機械的強度が向上するだけでなく、寸法安 定性、低吸水性などがより向上する。ガラス 繊維には、チョップドストランド、ミルドフ ァイバー、カットファイバー等があり、成形 品の形状や所望とされる特性に応じて、これ らのうちの1種を単独であるいは2種以上を併 して配合することができる。ガラス繊維の 面形状としては、丸型、繭型、扁平型等が げられるが、得られるポリアミド組成物の 動性を向上させる観点からは断面形状が扁 型のガラス繊維を使用することが好ましく コスト低減、汎用的であり入手性に優れる および得られる成形品の強度等の観点から 断面形状が丸型のガラス繊維を使用するこ が好ましい。
 ポリアミド組成物における充填材(VI)の含有 率としては0~60質量%であることが好ましく、0 ~45質量%であることがさらに好ましい。

 上記のポリアミド組成物にはアミド化合 (VII)を配合してもよい。アミド化合物(VII)と しては、アミドオリゴマー、脂肪族アミド、 脂肪族ジカルボン酸のビスアミド、芳香族カ ルボン酸アミド、芳香族ジカルボン酸のビス アミド、脂肪族ジアミンのビスアミドなどを 包含する。これらの中でも、モノカルボン酸 とジカルボン酸の混合物とジアミンとの反応 により得られるアミド化合物が好ましい。ア ミド化合物(VII)はポリアミド組成物の流動性 成形性の観点から、その融点が80~260℃のも が好ましい。アミド化合物(VII)の分子量は30 0~3000であることが好ましい。ポリアミド組成 物におけるアミド化合物(VII)の配合量は0.1~5 量%であることが好ましい。

 上記のポリアミド組成物には、靭性を改良 るための変性エラストマー(無水マレイン酸 変性エチレンプロピレン共重合体、無水マレ イン酸変性エチレンブテン共重合体、無水マ レイン酸変性スチレン-エチレン/ブテン-スチ レンブロック共重合体等)、ポリアミド(I)以 の脂肪族ポリアミド(PA612、PA11、PA12、PA66、PA 6等)、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリ ー、ポリフェニレンオキシド等の他種ポリ ーを配合してもよい。ポリアミド組成物に けるこれらの他種ポリマーの配合量は0~40質 量%であることが好ましい。
 また上記のポリアミド組成物には、二酸化 タン、酸化亜鉛等の反射材(顔料)を配合し もよい。ポリアミド組成物における反射材( 料)の配合量は0~20質量%であることが好まし 。
 さらに上記のポリアミド組成物には、着色 ;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系 、トリアジン系等の紫外線吸収剤;ヒンダー アミン系等の光安定剤;亜リン酸、リン酸、 ホスホン酸やこれらのエステル等の熱安定 ;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系 、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤;帯電 止剤;結晶核剤;可塑剤;ポリオレフィンワッ ス、高級脂肪酸エステル等のワックス類;シ コーンオイル等の離型剤;滑剤などの他の成 分をさらに配合することもできる。ポリアミ ド組成物における他の成分の配合量は0~1質量 %であることが好ましい。

 本発明のペレットの製造方法は、押出機の リンダー温度が310℃を超えない条件で少な とも上記ポリアミド(I)およびホスフィン酸 (II)を溶融混練し、次いでペレット化する。 本明細書において上記の押出機のシリンダー 温度とはシリンダーにおける設定温度を意味 する。押出機のシリンダー温度が高すぎると 金属製部品の腐食や摩耗が生じ易くなること から、押出機のシリンダー温度が305℃を超え ない条件であることが好ましく、300℃を超え ない条件であることがより好ましい。
 なお、本発明のペレットの製造方法におい は、ポリアミド(I)およびホスフィン酸塩(II) が溶融混練される部分のシリンダー温度が全 体に渡り上記温度を超えない条件であればよ く、例えば、後述するようにポリアミド(I)を 押出機の最上流部の供給口より供給し、ホス フィン酸塩(II)をサイドフィーダーより供給 る場合にはホスフィン酸塩(II)がサイドフィ ドされた箇所より下流部分のシリンダー温 が全体に渡り上記温度を超えない条件であ ばよい。
 押出機のシリンダー温度の下限値としては ポリアミド(I)、ホスフィン酸塩(II)等の成分 を溶融混練することができる温度であれば特 に制限されないが、例えば、270℃を例示する ことができる。
 押出機における溶融樹脂の温度としては、 出機内での剪断発熱を考慮すると、上記の リンダー温度+10℃以下であることが好まし 、シリンダー温度+5℃以下であることがよ 好ましい。

 本発明のペレットの製造方法において使 される押出機としては、特に制限されず、 軸押出機、二軸押出機等を挙げることがで るが、セルフクリーニング性があり生産性 優れることから二軸押出機が好ましく、中 もベント式二軸押出機がより好ましい。押 機のシリンダー長さ(L)とシリンダー径(D)と 比率(L/D)としては40以下が好ましく、シリン ダー径(単径)としては20~100mmが好ましい。

 押出機を形成するシリンダーおよびスク ューや、押出機に取り付けられるダイス等 溶融樹脂に接触する金属製部品の鋼材は特 制限はなく、窒化処理した鋼材、あるいはC r、Mo、Ni、W等の合金成分を含む複硼化物系の 硬質焼結合金を使用することができ、高温に 晒された際の耐食性や耐酸化性に優れること から複硼化物系の硬質焼結合金を使用するこ とが好ましいが、本発明によれば、金属製部 品の腐食や摩耗を低減することができること から、複硼化物系の硬質焼結合金を使用して いない金属製部品を使用した押出機であって も十分に用いることができる。

 本発明のペレットの製造方法において、得 れるペレットに配合すべき上記した各成分 、タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェル ミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー 、メカノケミカル装置、押出混合機等の混合 機を使用して混合したり、所望により一部の 成分からなるマスターバッチを形成したりし て予備混合した後、得られた混合物を上記の 押出機の最上流部の供給口より供給し溶融混 練してポリアミド組成物のペレットを製造す ることができる。また、所望により一部の成 分を押出機の中流~下流域よりサイドフィー することも可能である。サイドフィードさ るのが好ましい成分としては、例えば、ホ フィン酸塩(II)や繊維状充填材等が挙げられ 。ホスフィン酸塩(II)をサイドフィードする ことにより、押出機においてポリアミド(I)と ホスフィン酸塩(II)が共に溶融混練される時 を短くすることができ、金属製部品の腐食 摩耗を効果的に防ぐことができる。
 押出機の最上流部の供給口あるいはサイド ィーダーより上記成分を供給するに際して 、窒素ラインより窒素を導入するなどして 素パージすることが好ましい。窒素パージ ることにより押出機のシリンダー内におい 酸素による樹脂等の劣化を防ぐことができ 。

 上記のようにして溶融混練されたポリアミ 組成物をストランド状に押出し、ペレタイ ーによりカットすることによりペレットを 造することができる。ペレタイザーによる ットの前には、ストランド状のポリアミド 成物を水中に通すなどして冷却しておくこ が好ましい。
 得られるペレットのサイズに特に制限はな が、スクリュー径18mmφ以下の小型の射出成 機により射出成形されて成形品となる場合 想定されるので、ペレット径が1mm~3mmである ことが好ましく、ペレット長さが1mm~3.5mmであ ることが好ましい。

 本発明の成形品の製造方法は、成形機のシ ンダー温度が310℃を超えない条件で少なく も上記ポリアミド組成物を押出成形、射出 形またはブロー成形する。本明細書におい 上記の成形機のシリンダー温度とはシリン ーにおける設定温度を意味する。成形機の リンダー温度が高すぎると金属製部品の腐 や摩耗が生じ易くなることから、成形機の リンダー温度が305℃を超えない条件である とが好ましく、300℃を超えない条件である とがより好ましい。
 なお、本発明の成形品の製造方法において 、押出機、射出成形機またはブロー成形機 おいてポリアミド組成物が溶融混練される 分のシリンダー温度が全体に渡り上記温度 超えない条件であればよい。
 成形機のシリンダー温度の下限値としては ポリアミド組成物を溶融混練することがで る温度であれば特に制限されないが、例え 、270℃を例示することができる。
 成形機における溶融樹脂の温度としては、 形機内での剪断発熱を考慮すると、上記の リンダー温度+10℃以下であることが好まし 、シリンダー温度+5℃以下であることがよ 好ましい。

 本発明の成形品の製造方法において、射 成形を行う際に使用される射出成形機とし は、特に制限されず、プランジャー式射出 形機、プリプラ式射出成形機、スクリュー イン・ライン式射出成形機等を挙げること できるが、プリプラ式射出成形機、スクリ ー・イン・ライン式射出成形機が好ましい 射出成形機のシリンダー径としては10~40mmが 好ましい。

 成形機には付帯設備として、ポリアミド組 物(ペレット)の自由落下による供給を解消 、さらには有効に水分、ガスを取り除くこ ができる定量供給装置(例えば、株式会社日 油機製の「ハングリーフィーダ」や株式会 ハルナ製の「エコマック」等)を併用するこ とが好ましい。このような定量供給装置を使 用すると、ペレットの成形機への供給が任意 の程度に制御され、成形機内におけるスクリ ュー回転による過度の剪断発熱を抑制し、溶 融樹脂の過度の温度上昇を抑制することがで きる。
 成形機にポリアミド組成物を供給するに際 ては、窒素ラインより窒素を導入するなど て窒素パージすることが好ましい。窒素パ ジすることにより成形機のシリンダー内に いて酸素による樹脂等の劣化を防ぐことが きる。

 成形機を形成するシリンダーおよびスクリ ーの鋼材は特に制限はなく、一般的に使用 れるSCM440あるいはSACM645等の鋼材が挙げられ るが、Cr、Mo、Ni、W等の合金成分を含む複硼 物系の硬質焼結合金(例えば、東洋鋼板株式 社製「KH V50」など)が高温に晒された際の 食性や耐酸化性に優れることから好ましい なお本発明によれば、金属製部品の腐食や 耗を低減することができることから、複硼 物系の硬質焼結合金を使用していない金属 部品を使用した成形機であっても十分に用 ることができる。
 一方、射出成形する際に使用される金型を 成する鋼材についても特に制限はないが、S KD11、「ELMAX」(SUS420C)等の耐食・耐摩耗性に優 れるものが好ましい。中でも「ELMAX」がより ましく、連続生産性を改善することができ 。また、金型表面はコーティングがされて てもよい。コーティング材についても特に 限はないがTiN(窒化物)、DLC(炭素結合を有す 非晶質炭素膜)が高温耐久性や微細な金型へ の適用が可能であり、好ましい。

 成形機に供給されるポリアミド組成物と ては、ペレットの形態であることが好まし 。本発明の成形品の製造方法において使用 れるポリアミド組成物は、本発明のペレッ の製造方法において製造されたペレットで ってもよく、またポリアミド組成物の構成 本発明の規定を満たす限り、本発明のペレ トの製造方法において製造されたペレット ないペレットであってもよい。ポリアミド 成物としては、さらに射出成形において生 たスプルー、ランナーや成形不良品等を粉 した再生材であってもよい。

 本発明によって製造される成形品として 、使用されるポリアミド組成物が耐トラッ ング性などの電気特性に優れ、V-0クラスの 燃性を有し、実用的に使用される温度下で 発生ガスが少ないことから、難燃性が必要 される様々な電子部品、自動車部品、家電 品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ 品、雑貨等を好ましく例示することができ 。より具体的には、コネクター、スイッチ センサー、ソケット、コンデンサー、ハー ディスク部品、ジャック、ヒューズホルダ 、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLED ハウジング、ギア、ベアリングリテーナー スプリングホルダー、チェインテンショナ 、ワッシャー、各種ハウジング、ウェイト ーラー、ブレーカーパーツ、クラッチパー 等が挙げられる。中でも、本発明によって 形される成形品としては、SMT方式に対応し 、コネクター、ソケット、カードコネクタ 、ジャック、電源部品、スイッチ、センサ 、コンデンサー座板、ハードディスク部品 リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイ ボビン、ICやLEDのハウジング等を特に好まし く例示することができる。

 以下、本発明を実施例により具体的に説 するが、本発明はこれらの実施例により何 限定されるものではない。なお、実施例お び比較例における、ポリアミドの融点、ポ アミドの極限粘度、二軸押出機における溶 樹脂温度、射出成形機における溶融樹脂温 、試験片の難燃性、試験片のハンダ耐熱性 ペレットを使用した銅板腐食試験は、以下 方法により測定または評価した。

ポリアミドの融点
 示差走査熱量分析装置(DSC)を使用して、ポ アミド(試料質量10mg)をDSCの炉の中で、窒素 囲気下、330℃で2分間加熱して完全に融解さ た後、-50℃/分の速度で50℃まで冷却し、再 10℃/分の速度で昇温した時に現れる結晶の 解ピークの位置を測定し、これを融点とし 。ピークが複数ある場合は高温側の融点を 用した。

ポリアミドの極限粘度
 濃度が0.05g/dl、0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.4g/dlで るポリアミドの濃硫酸溶液を調製し、それ れの濃硫酸溶液について、ウベローデ粘度 を使用して30℃における溶液粘度を測定した 。得られた濃度と溶液粘度の関係から濃度0g/ dlに外挿した際の溶液粘度を求めて、これを 限粘度[η]とした。

溶融樹脂温度(二軸押出機)
 以下の実施例1および比較例1において、押 出された溶融樹脂の温度を、ニードル状の 電対(BS-21E-010、2.1mmφ)を取り付けた温度計(安 立計器株式会社製「HA-100E」)を使用して測定 た。温度が上昇し5秒以上一定温度を保持し たところを計測値とした。

溶融樹脂温度(射出成形機)
 ファナック株式会社製射出成形機「α-15」( クリュー径18mmφ、延長ノズル径2mmφ)を使用 て回転数50rpm、計量値20mm、背圧2kg/cm 2 、射出速度50mm/sの条件でパージし、連続的に 排出された溶融樹脂の温度を、ニードル状の 熱電対(BS-21E-010、2.1mmφ)を取り付けた温度計( 立計器株式会社製「HA-100E」)を使用して測 した。温度が上昇し5秒以上一定温度を保持 たところを計測値とした。

難燃性
 以下の実施例および比較例において射出成 された板状の試験片(厚さ0.4mm、幅12.5mm、長 125mm)を使用して、以下に示すUL-94規格の規 に準じて難燃性を評価した。
 厚さ0.4mmの試験片の上端をクランプで止め 試験片を垂直に固定し、下端に所定の炎を10 秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)を 測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を 10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目) 測定する。5片について同じ測定を繰り返し 、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃 焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得る 。10個のデータの合計をT、10個のデータのう 最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10秒以下 でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶 融物が落ちて12インチ下にセットした乾燥し コットンに着火することがなければ「V-0」 Tが250秒以下、Mが30秒以下でその他はV-0と同 様の条件を満たせば「V-1」、Tが250秒以下、M 30秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎 ついた溶融物が落ちて12インチ下のコットン に着火した場合には「V-2」となる。

ハンダ耐熱性
 以下の実施例および比較例において射出成 された板状の試験片(厚さ0.5mm、幅10mm、長さ 30mm)を、40℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に100 間放置した。この試験片を赤外線加熱炉中 150℃で1分間加熱し、次いで100℃/分の速度 昇温し、変形や膨れが260℃以下で発生した 合を「×」、変形や膨れが生じないか、生じ ても260℃を超える温度であった場合を「○」 とした。

銅板腐食試験
 銅箔(株式会社ニラコ製、純度99.9%、厚み0.05 mm)を2cm×2cmの試験片として準備し、試料(ポリ アミド組成物のペレット)2gおよび銅箔試験片 をるつぼ(30ml、径45mm、高さ36mm)に入れ、ふた 閉じた。加熱炉を300℃または320℃に設定し 60分間加熱処理し、その後自然冷却で室温 で冷却した。内部の銅箔を取り出し、表面 態を観察した。表面状態が変化していない 、あるいは色調の変化のみである場合を「 」、茶褐色の錆び状のものが生じた場合を ×」とした。

 実施例、比較例および参考例では、下記の のを使用した。
〔ポリアミド〕
PA9T-1:
 テレフタル酸4931.5g(29.7モル)、1,9-ノナンジ ミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンの混合 〔前者/後者=70/30(モル比)〕4844.1g(30.6モル)、 安息香酸224.2g(1.8モル)、次亜リン酸ナトリウ 一水和物10gおよび蒸留水2.5リットルを内容 20リットルのオートクレーブに入れ窒素置 した。この混合物を100℃で30分間攪拌し、2 間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃ 昇温した。このとき、オートクレーブ内部 圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま2時間反応 を続けた後、230℃に昇温し、次いで2時間、23 0℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧 を2MPaに保ちながら反応させた。次に、30分 かけて圧力を1MPaまで下げ、さらに1時間反応 させて、極限粘度[η]が0.14dl/gのプレポリマー を得た。これを100℃、減圧下で12時間乾燥し 2mm以下の粒径になるまで粉砕した。これを 230℃、13Pa(0.1mmHg)にて10時間固相重合し、融 が292℃、極限粘度[η]が0.80dl/g、末端封止率 76%である白色のポリアミド(PA9T-1)を得た。

PA9T-2:
 1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタン アミンの混合物〔前者/後者=70/30(モル比)〕48 44.1g(30.6モル)に代えて1,9-ノナンジアミンと2- チル-1,8-オクタンジアミンの混合物〔前者/ 者=85/15(モル比)〕4844.1g(30.6モル)を使用した と以外は、上記PA9T-1の製造と同様にして、 点が306℃、極限粘度[η]が0.81dl/g、末端封止 が78%である白色のポリアミド(PA9T-2)を得た

〔ホスフィン酸塩(II)〕
クラリアント社製、ジエチルホスフィン酸ア ルミニウム、「OP1230」(平均粒径25μm)

〔金属化合物(III)〕
a:ボラックス社製、ホウ酸亜鉛「FIREBRAKE415」
b:酸化カルシウム
c:河合石灰工業株式会社製、アルミナ水和物 セラシールBMM」

〔滴下防止剤(IV)〕
ノバケミカルズ社製、スチレン/無水マレイ 酸共重合体「Dylark D332」

〔難燃助剤(V)〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ポ リリン酸メラミン「Melapur200」

〔充填材(VI)〕
日東紡績株式会社製、ガラス繊維「CS-3G-225」 (断面形状:丸型、3mmチョップストランド、繊 径9.5μm)

[実施例1および比較例1]
 表1に示す割合で、プラスチック工学研究所 製二軸押出機(スクリュー径30mmφ、L/D=32、回 数150rpm、吐出量10kg/h)にPA9T-1またはPA9T-2を最 流部のホッパーより供給し、ホスフィン酸 (II)および充填材(VI)をサイドフィーダーよ 供給して、溶融混練した。二軸押出機のシ ンダー温度としては表1の値を採用した。溶 混練されたポリアミド組成物をストランド に押出し、冷却後切断して、ポリアミド組 物のペレットを得た。25kgのペレットを製造 した後のスクリューの厚みを初期の厚みから 差し引くことによりスクリュー摩耗量を定量 した。結果を表1に示した。

 表1から、融点が292℃であるPA9T-1を使用し てシリンダー設定温度295℃(溶融樹脂の温度 299℃)の条件でポリアミド組成物のペレット 製造した実施例1では、スクリューの摩耗は 見られなかった。一方、融点が306℃のPA9T-2を 使用した比較例1では樹脂を十分に溶融混練 るために320℃のシリンダー設定温度が必要 なり(溶融樹脂の温度は325℃)、ポリアミド組 成物のペレットの製造において押出機のスク リューの摩耗が発生し、金属腐食性が認めら れた。

[実施例2~7および比較例2]
 表2に示す割合で、ホスフィン酸塩(II)およ 充填材(VI)以外の成分を予備混合(ドライブレ ンド)して押出機の最上流部のホッパーより 給し、ホスフィン酸塩(II)および充填材(VI)を サイドフィーダーより供給する以外は実施例 1と同様にして(ただし、比較例2ではシリンダ ー温度を320℃とした)、表2に示す割合で各成 を含有するポリアミド組成物のペレットを 造した。得られたペレットを用いて、射出 形機としてファナック株式会社製「α-15」( クリュー径18mmφ、延長ノズル径2mmφ)を使用 て、表2に記載したシリンダー設定温度で、 上記した方法にしたがって、溶融樹脂温度を 測定するとともに、難燃性およびハンダ耐熱 性試験用の試験片を射出成形し、上記した方 法にしたがって、難燃性およびハンダ耐熱性 を評価した。また、上記ペレットを用いて銅 板腐食試験を行った。結果を表2に示した。

 実施例2~7において、溶融樹脂温度に近い300 での銅板腐食試験ではいずれも茶褐色の錆 状のものの生成は見られず、得られた射出 形品は高度な難燃性と260℃を超えるハンダ 熱性を保持していることが分かる。実施例3 ~5では金属化合物(III)が配合されており、金 製部品の腐食防止効果が強化されている。 施例6および7は滴下防止剤(IV)または難燃助 (V)の配合によりホスフィン酸塩(II)の添加量 削減が可能であった。
 これに対して比較例2ではポリアミドの融点 が300℃を超えるため、射出成形機のシリンダ ー温度を高く設定する必要が生じ、比較例2 溶融樹脂温度に近い320℃の銅板腐食試験で 、茶褐色でクレーター状の錆びが発生し、 融樹脂による著しい腐食が生じることが示 された。なお、融点が300℃以下のポリアミ を使用した実施例2においても、320℃の銅板 食試験では茶褐色でクレーター状の錆びが 生したことから、成形機のシリンダー温度 本発明で規定する範囲とする必要があるこ が分かる。

[参考例]
 上記のPA9T-1(サンプル1)、上記のホスフィン 塩(II)(サンプル2)および実施例2において得 れたペレット(サンプル3)のそれぞれについ (サンプル量約10mg;ペレットの場合はカット たものを用いた)、メトラー・トレド社製熱 量測定装置(TGA)を用いて、空気流量150ml/分 よび昇温速度10℃/分の条件で30℃から500℃ま で加熱して熱重量測定を行った。250℃でのサ ンプルの質量に対する各温度でのサンプルの 相対質量を以下の表3に示した。

 上記の結果より、ポリアミド(I)(サンプル 1)およびホスフィン酸塩(II)(サンプル2)につい ては、それぞれ単独では、加熱に対する質量 減少が比較的小さいものの、両者を配合した ポリアミド組成物(サンプル3)では、加熱によ る大きな質量減少が確認された。加熱時に減 少した質量に対応する分解物が金属製部品の 腐食や摩耗に関与すると思われることから、 耐熱性が高いホスフィン酸塩(II)であっても これがポリアミド(I)とともにポリアミド組 物に含有された場合に、金属製部品の腐食 摩耗が生じることが推測される。

 本発明によれば、特定の融点を有するポ アミドによりハンダ耐熱性を犠牲にするこ なく、金属製部品の腐食や摩耗が低減され ハロゲンフリーが達成可能なポリアミド組 物のペレットの製造方法および成形品の製 方法が提供される。本発明の成形品の製造 法はSMT方式に対応した、コネクター、ソケ ト、カードコネクター、ジャック、電源部 、スイッチ、センサー、コンデンサー座板 ハードディスク部品、リレー、抵抗器、ヒ ーズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハ ジング等の製造に特に有用である。