Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR RECOVERING MATERIAL THAT CONSTITUTES FUEL CELL STACK
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/016671
Kind Code:
A1
Abstract:
The purpose of the present invention is to recover a material that constitutes a fuel cell stack, in a simple way. This method for recovering a material that constitutes a fuel cell stack is for recovering a material that constitutes a fuel cell stack, from the fuel cell stack having a stack structure in which a plurality of fuel cells are stacked, wherein the fuel cells are each provided with a membrane electrode assembly, and two separators for holding the membrane electrode assembly, a gas flow path for supplying a raw material gas to the membrane electrode assembly being provided to the separators. This method includes: a first step for supplying a solvent or supplying the solvent and a reaction agent to the fuel cell stack from the gas flow path, recovering the solvent containing a material, and recovering the material from the recovered solvent; and a second step for heat-treating the fuel cell stack after the first step and recovering the material from the obtained melt or gas, wherein the material to be recovered includes a material constituting the membrane electrode assembly and the separator.

Inventors:
BALDIZZONE CLAUDIO (DE)
OSHIKAWA KATSUHIKO (JP)
TAKAMUKU SHOGO (JP)
Application Number:
PCT/IB2019/054606
Publication Date:
January 23, 2020
Filing Date:
June 04, 2019
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
BOSCH GMBH ROBERT (DE)
International Classes:
C22B7/00; C22B11/00; H01M8/008
Foreign References:
US20060147791A12006-07-06
JP2004171921A2004-06-17
US20060275652A12006-12-07
Download PDF:
Claims:
\¥02020/016671 卩(:17132019/054606

12

【書類名】 請求の範囲

【請求項 1 】

燃料電池セル ( 1 0) を複数積層したスタック構造を有する燃料電池スタック ( 1 0 0 ) から、 前記燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法であって、

前記燃料電池セル ( 1 0) は、 膜電極接合体 ( 1 4) と、 前記膜電極接合体 ( 1 4) を 挟持する 2つのセパレータ ( 1 5) とを備え、 前記膜電極接合体 ( 1 4) に原料ガスを供 給するガス流路 ( 2 5) が前記セパレータ ( 1 5) に設けられており、

前記回収方法は、

前記ガス流路 ( 2 5) から前記燃料電池スタック ( 1 0 0) に溶剤、 又は前記溶剤と反 応剤を供給して、 前記材料を含有する前記溶剤を回収し、 回収した前記溶剤から前記材料 を回収する、 第 1 のステップと、

前記第 1 のステップ後の前記燃料電池スタック ( 1 0 0) を加熱処理し、 得られた溶融 液から前記材料を回収する、 第 2のステップと、 を含み、

回収する前記材料は、 前記膜電極接合体 ( 1 4) 及び前記セパレータ ( 1 5) を構成す る材料を含む、

燃料電池スタ ック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 2】

回収する前記材料は、 前記膜電極接合体 ( 1 4) 又は前記セパレータ ( 1 5) を構成す る貴金属、 前記膜電極接合体 ( 1 4) を構成するプロ トン伝導性ポリマー、 有機化合物、 フッ素樹脂、 又は前記セパレータ ( 1 5) を構成する前記貴金属以外の金属、 を含む、 請求項 1 に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 3】

前記第 1 のステップ ( £ 1 1) は、

前記ガス流路 ( 2 5) に、 前記反応剤と しての酸化剤及び還元剤と、 前記溶剤と しての 電解液とを供給して、 前記貴金属を含有する前記電解液を回収し、 回収した前記電解液か ら前記貴金属を回収するステップと、

前記ガス流路 ( 2 5) に、 前記溶剤と してのアルコール溶液を供給して、 前記プロ トン 伝導性ポリマーを含有する前記アルコール溶液を回収し、 回収した前記アルコール溶液か ら前記プロ トン伝導性ポリマーを回収するステップと、 を含む、

請求項 2に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 4】

前記酸化剤がオゾンであり、

前記還元剤が水素、 一酸化炭素、 二酸化硫黄又はこれらの混合物を含み、

前記貴金属が金、 銀、 白金、 パラジウム、 ロジウム、 イ リ ジウム、 ルテニウム又はオス ミ ウムを含む、

請求項 3に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 5】

前記第 1 のステップ ( 3 1 1) は、

前記ガス流路 ( 2 5) に、 前記溶剤と しての非プロ トン性溶媒を供給して、 前記有機化 合物を含有する前記非プロ トン性溶媒を回収し、 回収した前記非プロ トン性溶媒から前記 有機化合物を回収するステップと、 をさらに含む、

請求項 3又は 4に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 6】

前記第 2のステップ ( 3 1 2) は、

前記燃料電池スタックを 3 0 0 °(3以上の温度で加熱処理し、 得られた溶融液から前記フ ッ素樹脂又は前記貴金属以外の金属を回収する、

請求項 5に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収方法。

【請求項 7】

前記プロ トン伝導性ポリマーがパーフルオロスルホン酸ポリマーを含み、

前記有機化合物がポリ フッ化ビニリデンを含み、 \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

13

前記フッ素樹脂がポリテ トラフルオロエチレンを含み、

前記貴金属以外の金属が鉄、 クロム、 ニッケル又はチタンを含む、

請求項 2〜 6のいずれか 1項に記載の燃料電池スタック ( 1 0 0) を構成する材料の回収 方法。

Description:
\¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

1

【書類名】 明細書

【発明の名称】 燃料電池スタ ックを構成する材料の回収方法。

【技術分野】

【 0 0 0 1】

本発明は、 燃料電池スタックを構成する材料の回収方法 に関する。 特に、 固体高分子電 解質型燃料電池スタックを構成する材料の回 収方法に関する。

【背景技術】

【 0 0 0 2】

従来から、 燃料電池の更なる普及のためには、 触媒等の燃料電池を構成する材料を回収 して再利用を図ることが重要である と考えられている。 燃料電池から触媒を回収する方法 と しては、 膜電極接合体を炉で燃焼処理し焼却残渣から 貴金属を回収する方法や、 触媒層 を王水等の酸溶液を用いて溶解させた酸溶液 から貴金属を回収する方法等が知られている (例えば、 特許文献 1及び 2参照)。

【 0 0 0 3】

また、 燃料電池からプロ トン伝導性ポリマーを回収する方法と しては、 膜電極接合体に 含まれるプロ トン伝導性ポリマーをアルコール溶液等の溶 媒に溶解させ、 この溶解液から プロ トン伝導性ポリマーを回収する方法等が知ら れている (例えば、 特許文献 3参照)。 【先行技術文献】

【特許文献】

【 0 0 0 4】

【特許文献 1】 特許第 2 6 8 4 1 7 1号公報

【特許文献 2】 特許第 5 1 7 2 2 4 6号公報

【特許文献 3】 特開 2 0 0 4— 1 7 1 9 2 1

【発明の概要】

【発明が解決しよ う とする課題】

【 0 0 0 5】

しかしながら、 特許文献 1〜 3に示す方法は、 燃料電池を解体する工程を必要とするた め、 解体のための工程及び設備を別途必要とする 。 このため、 燃料電池から材料を効率良 く 回収することが困難であった。

【 0 0 0 6】

さらに、 特許文献 1〜 3に示す方法は、 高価な有用材料である貴金属やプロ トン伝導性 ポリマーのみを回収の対象と している。 すなわち、 燃料電池を構成する他の材料は回収の 対象となっておらず、 そのまま焼却処分や埋め立て処分されること となる。 このため、 燃 料電池の廃棄は、 焼却処分の際における二酸化炭素の発生等、 環境へ負荷を与えるもので あった。 特に、 燃料電池の重量の大部分を占めるセパレータ は、 回収して再利用されるこ とが求められている。

【 0 0 0 7】

従来技術において貴金属やプロ トン伝導性ポリマー以外の材料の回収が着目 されていな かった理由の一つと しては、 燃料電池が多種多様な材料から構成されてい るため、 分離し て回収するための煩雑な工程と当該工程を実 施するための特殊な排気設備等を備えた大規 模な回収施設を要することが挙げられる。 すなわち、 燃料電池の更なる普及のためには、 燃料電池を構成する闻価な有用材料の回収の みならず他の材料の回収も含めた、 簡易なエ 程及び簡素な設備で回収可能な方法が必要で ある。

【 0 0 0 8】

本発明は、 簡易な方法により燃料電池スタックを構成す る材料を回収することを目的と する。

【課題を解決するための手段】

【 0 0 0 9】

本発明に係る方法は、 燃料電池セルを複数積層したスタ ック構造を有する燃料電池スタ ックから、 前記燃料電池スタックを構成する材料の回収 方法であって、

前記燃料電池セルは、 膜電極接合体と、 前記膜電極接合体を挟持する 2つのセパレータ とを備え、 前記膜電極接合体に原料ガスを供給するガス 流路が前記セパレータに設けられ ており、 \¥02020/016671 卩(:17132019/054606

2

前記方法は、

前記ガス流路から前記燃料電池スタックに溶 剤、 又は前記溶剤と反応剤を供給して、 前 記材料を含有する前記溶剤を回収し、 回収した前記溶剤から前記材料を回収する、 第 1 の ステップと、

前記第 1 のステップ後の前記燃料電池スタックを加熱 処理し、 得られた溶融液又はガス から前記材料を回収する、 第 2のステップと、 を含み、

回収する前記材料は、 前記膜電極接合体及び前記セパレータを構成 する材料を含むこと を特徴とする。

【発明の効果】

【 0 0 1 0】

本発明によれば、 簡易な方法によ り燃料電池スタックを構成する材料を回収す ることが できる。

【図面の簡単な説明】

【 0 0 1 1】

【図 1 】 燃料電池スタックの構成の一例を示す斜視図 である。

【図 2】 燃料電池セルの構成の一例を示す断面図であ る。

【図 3】 本発明の実施の形態 1 に係る、 燃料電池スタックを構成する材料の回収方法 を示すフローチヤートである。

【図 4】 本発明の実施の形態 1 に係る、 溶剤の供給部と燃料電池スタックのガス流路 との接続を説明するための図である。

【図 5】 本発明の実施の形態 1 に係る、 回収施設における燃料電池スタックを構成す る材料の回収方法の一例を説明するための図 である。

【発明を実施するための形態】

【 0 0 1 2】

以下、 本発明の回収方法の実施の形態について、 図面を参照して説明する。 以下に説明 する構成は、 本発明の一実施態様と しての一例 (代表例) であり、 本発明は以下に説明す る構成に限定されない。

【 0 0 1 3】

また、 以下では、 同一の又は類似する説明を、 適宜簡略化又は省略している。 図面は模 式的なものであり、 各部の寸法の比率等は現実のものとは異なる ことに留意すべきである 。 また、 図面相互間においても互いの寸法の関係や比 率が異なる部分が含まれていること はもちろんである

【 0 0 1 4】

<実施の形態 1 >

以下、 実施の形態 1 に係る燃料電池スタックを構成する材料の回 収方法について説明す る。

本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 燃料電池セルを複数積層したスタック構造を 有す る燃料電池スタックから、 燃料電池スタ ックを解体することなしに、 燃料電池を構成する 複数の材料を回収する方法である。

【 0 0 1 5】

まず、 本発明の実施の形態 1 に係る方法に用いられる燃料電池スタックに ついて説明す る。 燃料電池スタックは、 複数の燃料電池セルを積層したものである。

【 0 0 1 6】

図 1 は、 燃料電池スタックの構成の一例を示す斜視図 である。

図 1 に示すように、 燃料電池スタック 1 0 0は、 複数の燃料電池セル 1 0 と、 2つの集 電板 2 と、 2つの絶縁板 3 と、 2つのエンドプレー ト 4 とを備える。 燃料電池セル 1 0は 、 固体高分子型の燃料電池である。 燃料電池セル 1 0の構造については図 2を参照して後 述する。

【 0 0 1 7】

集電板 2は、 積層された複数の燃料電池セル 1 0の外側にそれぞれ設けられている。 集 電板 2は、 ガス不透過性の導電性部材によって形成され る。 ガス不透過性の導電部材と し ては、 例えば緻密質カーボン等が挙げられる。 \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

3

【 0 0 1 8】

絶縁板 3は、 集電板 2の外側にそれぞれ設けられている。 絶縁板 3は、 絶縁性の部材に よって形成される。 絶縁性の部材と しては、 例えばゴム等が挙げられる。

【 0 0 1 9】

エンドプレート 4は、 絶縁板 3の外側にそれぞれ配置される。 エン ドプレー ト 4は、 剛 性を備える金属材料によって形成される。 剛性を備える金属材料と しては、 例えばステン レス鋼等が挙げられる。

【 0 0 2 0】

燃料電池スタック 1 0 ◦の一方の端部側に配設される集電板 2、 絶縁板 3及びエン ドプ レー ト 4には、 それぞれ、 6つの孔部が設けられている。 6つの孔部は、 冷却水入口孔、 冷却水出口孔、 アノー ドガス入口孔、 アノー ドガス出口孔、 カソー ドガス入口孔及びカソ ードガス出口孔である。 そして、 エンドプレー ト 4には、 後述するガス流路又は冷却水流 路を接続するための構造である流路接続部 5が、 6つの孔部のそれぞれに連続して設けら れている。 燃料電池スタック 1 0 0は、 アノー ドガス入口孔に水素等の燃焼ガスが供給さ れ、 カソードガス入口孔に酸素等の酸化剤ガスが 供給されることで、 電気化学反応により 発電が行われる。

【 0 0 2 1】

なお、 燃料電池スタック 1 ◦ 0は、 その積層方向に所定の押圧力がかかった状態 で保持 される。 図 1では、 燃料電池スタック 1 0 0 に対して押圧力を加える構成については図示 を省略している。

【 0 0 2 2】

図 2は、 燃料電池セルの構成の一例を示す断面図であ る。

図 2に示すように、 燃料電池セル 1 0は、 2つのセパレータ 1 5 と、 2つのセパレータ 1 5間に設けられた膜電極接合体 1 4 とを備える。

【 0 0 2 3】

膜電極接合体 1 4は、 電解質膜 1 1 の両側にアノー ド 1 2及びカソー ド 1 3を接合して 一体化されて形成されている。 アノード 1 2及びカソー ド 1 3は、 それぞれ触媒層 2 1、 ガス拡散層 2 2及びシール部 2 3を有する。 アノー ド 1 2及びカソー ド 1 3の両側には、 それぞれセパレータ 1 5が設けられている。 セパレータ 1 5は、 電解質膜 1 1 、 アノー ド 1 2及びカソード 1 3を挟む。 セパレータ 1 5には、 ガス流路 2 5が形成されている。

【 0 0 2 4】

電解質膜 1 1 は、 固体高分子材料、 例えばフッ素系の樹脂により形成されたプロ トン伝 導性ポリマーであり、 湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。 電解質膜 1 1 の材料と しては 、 例えばパーフルオロスルホン酸ポリマー、 スルホン酸基、 リ ン酸基、 カルボン酸基等の 酸性の官能基を有する芳香族ポリマー、 脂肪族ポリマー等が挙げられる。 本発明の実施の 形態 1 に係る方法では、 沉用的に使用されている観点から、 パーフルオロスルホン酸ポリ マーを回収の対象とするのが好ましい。

【 0 0 2 5】

触媒層 2 1 は、 原料ガスである水素ガス又は酸素ガスの反応 の触媒、 触媒を担持する担 体及び固体高分子電解質 (触媒層用電解質を本稿ではアイオノマーと 呼ぶ) を含む。 触媒 層 2 1では、 粒子状の触媒が担体に担持され、 アイオノマーによって担体及び触媒が被覆 されている。

【 0 0 2 6】

触媒は、 原料ガスである水素ガス又は酸素ガスの反応 の触媒作用を有する。 触媒と して は、 水素ガス又は酸素ガスの触媒作用を有するの であれば特に限定されないが、 例えば白 金 (卩 1:)、 金 (八 11)、 ルテニウム イ リ ジウム ( I 1·)、 ロジウム パ ラジウム ( (1)、 オスミ ウム (〇 3)、 タングステン ( )、 鉛 (卩 )、 鉄 6)、 ク ロム (〇 !·)、 コバルト (<3 〇)、 ニッケル (1^ 1)、 マンガン (1^ 11)、 バナジウム (V)

、 モリブデン (14〇)、 ガリ ウム (0 &) 及びアルミニウム (八 1 ) 等の金属、 これら金 属の混合物、 合金等が挙げられる。

【 0 0 2 7】

触媒層 2 1 に使用できるアイオノマーと しては、 電解質膜 1 1 と同様の材料を使用でき 、 例えばパーフルオロスルホン酸ポリマー、 スルホン酸基、 リ ン酸基、 カルボン酸基等の \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

4

酸性の官能基を有する芳香族ポリマー等の イオン交換性ポリマーが挙げられる。 触媒層 2 1 に使用するアイオノマーは、 電解質膜 1 1 と同じ種類のアイオノマーであってもよいし 、 異なる種類のアイオノマーであってもよい。

【 0 0 2 8】

ガス拡散層 2 2は、 アノード 1 2及びカソー ド 1 3に供給された原料ガスである水素ガ ス又は酸素ガスを電極に拡散させる。 ガス拡散層 2 2は、 ガス拡散基材層 2 2 と、 ガス 拡散基材層 2 2 3 上に積層形成され触媒層 2 1 に接合されたマイクロポーラス層 2 2 1 3 と を有する。

【 0 0 2 9】

ガス ¾散基材層 2 2 8 を形成する材料は、 電気抵抗が低く、 集電を行えるものであれば 特に限定されないが、 導電性無機物質を主とするものが用いられて いる。 導電性無機物質 と しては、 例えば、 ポリアク リ ロニ ト リルからの焼成体、 ピッチからの焼成体、 黒鉛及び 膨張黒鉛等の炭素材、 ステンレススチール、 モリブデン、 チタン等を挙げることができる 。 ガス透過性の観点からは、 無機導電性繊維であって、 特に炭素繊維が好ましい。 炭素繊 維と しては、 例えば、 カーボンペーパーやカーボンクロス等が挙げ られる。

【 0 0 3 0】

マイ ク ロポーラス層 2 2 13を形成する材料は、 アノー ド 1 2側、 カソー ド 1 3側の触媒 層 2 1 に燃料ガスや酸化剤ガスを提供すると ともに、 生成水を排水する撥水作用を奏し、 かつ導電性を有するものであれば特に限定さ れないが、 通常、 カーボン粒子とフッ素樹脂 である繊維状のポリテ トラフルオロエチレン ( P T F E) から形成される。 なお、 フッ素 樹脂は 丁? £のほかにも、 例えば、 ポリ フッ化ビニリデン (卩 V〇 F)、 ポリ フッ化ビ ニル ( ?)、 ポリ ク ロ ロ ト リ フルオロエチレン (卩 (3 丁 ? £) 等であってもよい。 本 発明の実施の形態 1 に係る方法では、 汎用的に使用されている観点から、 フッ素樹脂とし て を回収の対象とするのが好ましい。

【 0 0 3 1 】

シール部 2 3は、 触媒層 2 1上に設けられている。 シール部 2 3は、 予め所定の厚みや 形状に加工 (シー ト状や〇リ ング状等) されたものを配置することや、 流動性を有するシ ーリ ング材等を所定の厚みや形状に塗布し、 硬化させる等して形成される。 シール部 2 3 は、 燃料ガス等の漏洩を抑制するために用いられ るガス漏洩用のガスシールと、 電解質膜 1 1の機械的補強や他の部材同士をシールする めに用いられる補強用のシールとを含む

【 0 0 3 2】

ガスシールと しては、 通常、 柔軟なゴム製等のシールが用いられる。 よ り具体的には、 例えば、 フッ素ゴム、 シリ コンゴム、 オレフイン系ゴム (ェチレンープロピレンゴム、 ア ク リルゴム、 ブチルゴム、 ハロゲン化ブチルゴム等)、 ジェン系ゴム (イ ソプレンゴム、 ブタジェンゴム、 ニ ト リルゴム、 クロロプレンゴム等) 等から形成される。

【 0 0 3 3】

補強用のシールと しては、 例えば、 ポリェチレンナフタ レー ト、 ポリェチレンテレフタ レー ト、 ポリ フェニレンサルフ ァイ ド、 ポリェーテルスルフオン、 ポリェーテルェーテル ケ トン、 ポリイ ミ ド、 ポリプロピレン、 ポリイ ミ ド、 ポリ フ ッ化ビニリデン等から形成さ れる。

【 0 0 3 4】

セパレータ 1 5は、 原料ガスが流れるガス流路 2 5の壁面を成す部材であって、 その表 面には、 ガス流路 2 5を形成するための溝が形成されている。 表面に溝が形成されたセパ レータ 1 5 と、 ァノー ド 1 2及びカソー ド 1 3 との間には、 ガスの流路であるガス流路 2 5が形成される。 そして、 燃料電池スタ ック 1 ◦ 0においては、 ァノー ド 1 2及びカソー ド 1 3 と直接接する面の反対面に、 燃料電池スタック 1 0 0を冷却する冷却水が流れる冷 却水流路 (図示しない) を有する。

【 0 0 3 5】

さらにセパレータ 1 5は、 その外周近く の互いに対応する位置に、 複数の孔部を備えて いる。 すなわち、 上述した燃料電池スタ ック 1 ◦ 0における冷却水入口孔、 冷却水出口孔 、 ァノー ドガス入口孔、 ァノー ドガス出口孔、 カソー ドガス入口孔及びカソー ドガス出口 孔に対応する位置に孔部が設けられている。 セパレータ 1 5を、 膜電極接合体 1 4 と共に \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

5

積層して燃料電池スタック 1 0 0を組み立てると、 各セパレータ 1 5の対応する位置に設 けられた孔部は互いに重なり合って、 セパレータ 1 5の積層方向に燃料電池スタ ック 1 0 0内部を貫通するガス流路 2 5及び冷却水流路を形成する。

【 0 0 3 6】

セパレータ 1 5は、 強度が高く軽量で、 また耐食性が良好な材料であることから、 ステ ンレス鋼やチタン、 チタン合金等、 導電性の金属材料から構成されている。 また、 金属材 料の表面には、 通常、 導電性被膜が形成されている。 導電性皮膜は、 例えば、 金、 白金、 パラジウム等からなる合金で形成される。

【 0 0 3 7】

(燃料電池スタックを構成する複数の材料を 回収する方法)

本発明の実施の形態 1 に係る方法と して、 燃料電池スタック 1 0 0を構成する複数の材 料の回収方法を説明する。

本発明の実施の形態 1 においては、 燃料電池スタック 1 0 0に形成されたガス流路 2 5 に、 必要に応じて材料と化学反応させるための反 応剤及び材料を溶解して回収するための 溶剤を供給し、 供給後の材料を含有する溶剤から材料を回収 するステップと、 このステッ プ後の燃料電池スタック 1 0 0を加熱処理し材料を溶融又はガス状にし、 溶融液又はガス から回収するステップと、 を組み合わせることを特徴とする。

【 0 0 3 8】

本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 燃料電池スタック 1 0 0に既に形成されているガ ス流路 2 5を利用して材料を回収しているため、 燃料電池スタ ック 1 0 0を解体する工程 が不要である。 このため、 簡易な工程及び簡素な設備で材料を回収する ことができる。 回 収施設においては、 本発明の実施の形態 1 に係る方法を用いることによ り、 従来の回収方 法では困難であった、 例えばインラインプロセス処理等の効率的な 回収様式を採用するこ とができる。

【 0 0 3 9】

また、 ガス流路を用いるステップによ りプロ トン伝導性ポリマーは回収される。 このた め、 燃料電池スタック 1 ◦ 0を加熱処理するステップは、 プロ トン伝導性ポリマーが既に 回収された燃料電池スタック 1 0 0に対して加熱処理する。 すなわち、 上記 2つのステッ プの組み合わせによ り、 本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 加熱処理によってプロ トン 伝導性ポリマーからフッ化水素が発生するこ とを避けるこ とができる。 このため、 特別な 排気設備等を必要とせず回収のための設備を 簡素化することができる。

【 0 0 4 0】

さらに、 上記 2つのステップの組み合わせにより、 貴金属及びプロ トン伝導性ポリマー のみならず、 燃料電池スタック 1 0 0を構成する他の複数の材料をも回収するこ とが可能 となる。 例えば、 有機化合物、 フッ素樹脂、 カーボン、 貴金属以外の金属等の材料も回収 することができる。 これによ り、 本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 他の複数の材料が 焼却処分されることによ り発生していた二酸化炭素等の排出が抑制さ れ、 環境への負荷を 低減することができる。 さらに、 埋め立て処分量の減少等による環境への負荷 及び廃棄処 分のための費用を低減することができる。

【 0 0 4 1 】

図 3は、 本発明の実施の形態 1 に係る、 燃料電池スタックを構成する材料の回収方法 を 示すフローチャー トである。

図 3に示されるよ うに、 本発明の実施の形態 1 に係る回収方法は、 ステップ 1 0、 ス テップ £ 1 1及びステップ 1 2を含む。 以下、 各ステップについて説明する。

【 0 0 4 2】

(燃料電池スタックを準備するステップ)

ステップ £ 1 0は、 回収の対象となる燃料電池スタック 1 0 0を準備するステップであ る。

このステップ £ 1 ◦で準備する燃料電池スタック 1 0 0は、 発電するために要する、 ガ ス供給装置、 ガス排出装置、 冷却水供給装置及び冷媒排出装置等が取り外 されたものであ る。 なお、 積層方向には所定の押圧力がかかっており、 燃料電池スタック 1 0 0のガス流 路 2 5におけるシール性は保持されている。

【 0 0 4 3】 \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

6

(ガス流路を用い、 貴金属、 プロ トン伝導性ポリマー及び有機化合物を回収す るステップ

ステップ £ 1 1 は、 燃料電池スタック 1 0 0を解体することなしに、 ガス流路 2 5を用 い、 燃料電池スタック 1 ◦ 0から貴金属、 プロ トン伝導性ポリマー及び有機化合物を回収 するステップである。

ステップ 3 1 1では、 燃料電池スタック 1 0 ◦のガス流路 2 5に溶剤、 又は溶剤と反応 剤を供給することによ り、 対象となる材料を回収する。

【 0 0 4 4】

溶剤とは、 対象となる材料、 及び材料と反応剤との生成物等を溶解して回 収するための 溶媒をいう。 反応剤とは、 化学反応を誘発する化合物全般をいう。 例えば、 公知の酸化剤 、 中和剤、 還元剤及び開始剤等が挙げられる。

【 0 0 4 5】

具体的には、 ステップ 3 1 0後、 溶剤又は反応剤の供給部と燃料電池スタック 1 0 0の ガス流路 2 5 とを接続する。 そして、 ガス流路 2 5に材料を回収するための溶剤又は反応 剤を供給する。 供給後、 対象となる材料を含む溶剤から材料を回収す る。 なお、 燃料電池 スタック 1 0 0のガス流路 2 5内で、 溶剤又は反応剤を循環させた後、 材料を回収しても よい。 以下、 図 4を参照して説明する。

【 0 0 4 6】

図 4は、 本発明の実施の形態 1 に係る、 溶剤の供給部と燃料電池のガス流路との接続 を 説明するための図である。

溶剤の供給部 3 0は、 公知の溶液供給ポンプ又はガス供給ポンプで ある。 溶剤の供給部 3 0は、 溶剤の貯蔵タンク 3 6 と、 溶剤の吐出用配管 3 2 と、 溶剤の回収用配管 3 4 とを 備えている。 溶剤の供給部 3 0 と燃料電池のガス供給路とを接続する際には 、 燃料電池ス タック 1 0 0のエンドプレー ト 4に設けられた流路接続部 5 と吐出用配管 3 2 とを接続す ると共に、 エンドプレート 4に設けられた流路接続部 5 と回収用配管 3 4 とを接続する。

【 0 0 4 7】

そして、 溶剤の貯蔵タンク 3 6から吐出用配管 3 2を介して燃料電池スタック 1 0 0へ と所定量の溶剤を供給する。 溶剤の供給部 3 0は、 溶剤の供給部 3 0の流路と燃料電池ス タック 1 0 0のガス流路 2 5 との間で、 溶剤を循環させることができる。

なお、 溶剤を用いた例を説明したが、 反応剤及び後述するバッファガスにおいても 溶剤 の供給部 3 0 と同様の構成によ り、 反応剤及びパッファガスを燃料電池スタック 1 0 0の ガス流路 2 5に供給することができる。

【 0 0 4 8】

燃料電池スタック 1 0 ◦のガス流路 2 5に溶剤、 又は溶剤と反応剤を供給することによ り、 触媒層 2 1、 ガス拡散層 2 2、 電解質膜 1 1、 セパレータ 1 5等の燃料電池スタック 1 0 0を構成する部材に、 溶剤、 又は溶剤と反応剤を接触させることができる 。 対象とな る材料を含む溶剤は溶剤の貯蔵タンク 3 6に回収される。 回収された溶剤には対象となる 材料が溶解されており、 公知の方法を用いて精製し材料を回収するこ とができる。 回収す る材料と しては、 例えば、 貴金属、 プロ トン伝導性ポリマー及び有機化合物等が挙げ られ る。 以下、 貴金属、 プロ トン伝導性ポリマー及び有機化合物の回収例 を説明する。

【 0 0 4 9】

(貴金属の回収例)

まず、 貴金属を回収するステップの一例を説明する 。

貴金属は、 膜電極接合体 1 4における触媒層 2 1及びセパレータ 1 5の導電被膜等から 回収される。

【 0 0 5 0】

回収の対象となる貴金属と しては、 白金、 金、 銀、 パラジウム、 イ リ ジウム、 ロジウム 、 ルテニウム、 オスミ ウムが挙げられる。

【 0 0 5 1 】

貴金属を回収するには、 燃料電池スタ ック 1 0 0のガス流路 2 5に、 反応剤と して酸化 剤及び還元剤と、 溶剤と して電解液を供給する。

【 0 0 5 2】

酸化剤は、 貴金属を酸化させるものであればよく 、 公知の酸化剤を用いることができる \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

7

。 例えば、 酸素、 オゾン、 過酸化水素、 塩素酸、 過塩素酸、 アルカ リ過マンガン酸塩、 ア ルカ リ金属過炭酸塩、 アルカ リ金属硫酸塩及びこれらの混合物等が挙げら れる。 なかでも 、 貴金属との反応性が高いこ と及び環境への負荷が小さいこと等から、 オゾンを用いるの が好ましい。 なお、 酸化剤と してオゾンを用いる場合は、 公知のオゾン発生装置を用いて オゾンを燃料電池スタック 1 0 0のガス流路 2 5に供給するこ とができる。

【 0 0 5 3】

還元剤は、 酸化剤と貴金属を接触させて反応させた反応 物に対して用いられ、 公知の還 元剤を用いることができる。 例えば、 硫化水素、 二酸化硫黄、 三酸化硫黄、 一酸化炭素、 水素、 メタノール、 エタノール及びこれらの混合物等を用いるこ とができる。 なかでも、 反応性の観点から、 水素、 一酸化炭化及びこれらの混合ガスが好ましい 。

【 0 0 5 4】

電解液は、 極性溶媒に電解質が溶解した、 電気伝導性を有する溶液である。 調整可 能な希釈された酸性、 中性又は塩基性の溶液であり、 反応剤により生成された金属イオン を溶解するために用いられる。 電解液は、 公知の電解液を用いることができる。 電解液の 組成は、 回収の対象となる貴金属の種類によって適宜 選択すればよい。 酸性の溶液と して は、 例えば、 塩酸、 過塩素酸、 硫酸及び硝酸等が挙げられる。 塩基性の溶液と しては、 例 えば、 水酸化ナト リ ウム、 水酸化カ リ ウム等が挙げられる。 なかでも、 取り扱いの容易性 及び反応性の観点から、 〇 . 塩酸又は〇 . 1 IV!水酸化ナ ト リ ウムが好ましい。

【 0 0 5 5】

電解液は、 貴金属イオンと安定な錯体を形成する観点か ら、 錯化剤を含むことが好まし い。 錯化剤と しては、 例えば、 アルカリ金属塩化物、 アルカリ金属臭化物、 アルカリ金属 塩化物等が挙げられる。 よ り具体的には、 塩化ナ ト リ ウム、 塩化カ リ ウム、 臭化ナ ト リ ウ ム、 臭化カ リ ウム、 ヨ ウ化ナト リ ウム、 ヨ ウ化カ リ ウム等が挙げられる。 錯化剤は飽和濃 度まで電解液に加えることができる。

【 0 0 5 6】

具体的な貴金属を回収するステップについて 説明する。

まず、 燃料電池スタック 1 0 0のガス流路 2 5に、 酸化剤及び電解液を供給する。 これ によ り、 貴金属が酸化され、 貴金属の溶解が誘発される。 この溶解は一時的なものであり 、 貴金属の表面に酸化物表面層が形成された後 、 貴金属の溶解は停止する。 溶解した貴金 属は電解液によ り回収される。

【 0 0 5 7】

次に、 燃料電池スタック 1 0 0のガス流路 2 5に、 バッファガス (例えば窒素) を供給 して、 燃料電池スタック 1 0 0内の酸化剤を排出させる。 これによ り、 燃料電池スタック 1 0 0内において酸化剤と還元剤との接触を抑制 ることができる。

【 0 0 5 8】

次に、 燃料電池スタック 1 ◦ 0のガス流路 2 5に、 還元剤及び電解液を供給する。 これ によ り貴金属の酸化物表面層が除去される。

【 0 0 5 9】

次に、 燃料電池スタック 1 0 0のガス流路 2 5に、 バッファガス (例えば窒素) を供給 して、 燃料電池スタック 1 0 0内の還元剤を排出させる。

【 0 0 6 0】

上記ステップを繰り返すこ とによ り、 貴金属を溶解して回収することができる。

【 0 0 6 1】

貴金属と して白金を回収する際には、 例えば、 酸化剤と してオゾン、 還元剤と して水素 及び一酸化炭素の混合ガス、 電解液と して塩化ナ ト リ ウムを含む希塩酸等を用いるこ とに よ り 白金を回収することができる。 貴金属と して金を回収する際には、 例えば、 酸化剤と してオゾン、 還元剤と して二酸化硫黄、 電解液と して希塩酸等を用いることによ り金を回 収することができる。

【 0 0 6 2】

なお、 本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 酸化剤、 還元剤及び電解液を組み合わせる ことによ り、 回収対象である貴金属を選択的に回収するこ とができる。 例えば、 触媒と し て白金とルテニウムとから構成されている触 媒層 2 1 において、 酸化剤と してオゾン、 還 元剤と して水素、 電解液と して塩化ナト リ ウムを含む〇 . 1 IV!水酸化ナ ト リ ウム等を組み \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

8

合わせることによ り、 ルテニウムのみを選択的に電解液に溶解させ て回収するこ とができ る。

【 0 0 6 3】

回収された電解液には、 触媒層 2 1やセパレータ 1 5の導電被膜等に含まれていた貴金 属が溶解されているため、 一般的な貴金属の精製工程に供給される。 そして、 電解液中の 貴金属は、 その精製工程において回収され、 工業的な貴金属原料と して、 例えば、 再度触 媒層 2 1の触媒等と して再利用することができる。

【 0 0 6 4】

上記ステップによ り排出されるガスと しては、 例えば、 少量の二酸化炭素、 塩素、 酸素 及び水素等であり、 処理のための特殊な設備を必要と しない。 また、 燃料電池を構成する 部材を浸漬させる等の設備を必要と しない。 さらに、 膜電極接合体 1 4等を裁断する等の 解体工程によ り、 回収の対象となる貴金属が失われる可能性も ない。 このため、 燃料電池 スタック 1 0 0を解体するこ となしに、 簡易な工程及び簡素な設備で貴金属を回収す るこ とが可能となる。 以降の例についても同様である。

【 0 0 6 5】

(プロ トン伝導性ポリマーの回収例)

次に、 プロ トン伝導性ポリマーを回収するステップの一 例を説明する。

プロ トン伝導性ポリマーは、 膜電極接合体 1 4における電解質膜 1 1及び触媒層 2 1等 から回収される。

【 0 0 6 6】

回収の対象となるプロ トン伝導性ポリマーは、 沉用的に用いられている観点から、 パー フルオロスルホン酸ポリマーを回収の対象と するのが好ましい。

【 0 0 6 7】

プロ トン伝導性ポリマーを回収するには、 ガス流路 2 5に、 溶剤と してのアルコール溶 液を供給させる。

【 0 0 6 8】

アルコール溶液におけるアルコールは、 例えば、 メタノール、 エタノール、 1 —プロパ ノール、 2—プロパノール、 1 —ブタノール、 2—ブタノール、 イ ソブチルアルコール、

I 6 I 1;—ブチルアルコール、 ペンタノール及びこれらの混合物等が挙げら れる。 なかで も、 溶解性の観点からは、 イ ソプロパノールが好ましい。 なお、 アルコール溶液は水を含 有してもよい。 アルコール溶液は、 例えば、 水を 5〜 9 5重量%含むことができる。

【 0 0 6 9】

具体的には、 図 4で示したように、 供給部 3 ◦を用いてガス流路 2 5にアルコール溶液 を供給させる。

【 0 0 7 0】

ガス流路 2 5に供給するアルコール溶液の量は、 プロ トン伝導性ポリマーを溶解するだ けの量があればよい。 供給時のアルコール溶液の温度は、 プロ トン伝導性ポリマーが溶解 する温度であればよい。 溶解する温度が溶媒の常圧での沸点を超えて いれば、 加圧下で溶 解させてもよい。 供給時のアルコール溶液の温度は、 特に限定されるものではないが、 通 常、 室温である 2 5。(:〜 1 0 0。(:の範囲内である。 アルコール溶液はガス流路 2 5内で循 環されるのが好ましい。 アルコールをガス流路 2 5内で循環させる循環時間は、 プロ トン 伝導性ポリマーが完全に溶解するのに必要な 時間であればよく 、 循環させるアルコール溶 液にも依るが、 通常、 5分〜 1 日程度である。 なお、 溶解を速めるために、 アルコール溶 液供給時、 燃料電池スタック 1 0 0に超音波照射等を行ってもよい。

【 0 0 7 1 】

供給後のアルコール溶液には、 電解質膜 1 1及び触媒層 2 1 に含まれていたプロ トン伝 導性ポリマーが溶解されているため、 公知のプロ トン伝導性ポリマーの精製工程に供給さ れ、 回収することができる。

【 0 0 7 2】

(有機化合物の回収例)

次に、 有機化合物を回収するステップの一例を説明 する。

有機化合物は、 膜電極接合体 1 4における電解質膜 1 1、 マイクロポーラス層 2 2 13及 びシール部 2 3等から回収される。 \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

9

【 0 0 7 3】

本発明の実施の形態 1 における有機化合物とは、 膜電極接合体 1 4を構成する、 プロ ト ン伝導性ポリマー以外の有機化合物をいう。 本発明の実施の形態 1 における有機化合物に は樹脂も含まれる。 有機化合物と しては、 例えば、 フッ素ゴム、 シリ コンゴム、 オレフイ ン系ゴム、 ジェン系ゴム等に含まれる樹脂 ; ポリェチレンナフタレー ト ; ポリェチレンテ レフタレート ; ポリ フェニレンサルファイ ド ; ポリエーテルスルフオン ; ポリエーテルエ ーテルケ トン ; ポリイ ミ ド ; ポリプロピレン ; ポリイ ミ ド ; ポリ フッ化ビニリデン等が挙 げられる。 なかでも、 沉用的に用いられている観点から、 ポリ フッ化ビニリデンを回収の 対象とするのが好ましい。

【 0 0 7 4】

有機化合物を回収するには、 ガス流路 2 5に、 溶剤と しての非プロ トン性溶媒を供給さ せる。

【 0 0 7 5】

非プロ トン性溶媒と しては、 例えば、 ァセ トン、 シクロへキサノ ン、 1 —メチルー 2— ピロ リ ドン、 1 —ェチルー 2—ピロ リ ドン、 ジメチルアセ トアミ ド、 ジメチルホルムアミ ド等が挙げられる。 なかでも、 溶解性の観点から、 1 ーメチルー 2—ピロ リ ドン及びジメ チルホルムァミ ドが好ましい。

【 0 0 7 6】

具体的には、 図 4で示したように、 ガス流路 2 5に溶剤と しての非プロ トン性溶媒を供 給させる。 ガス流路 2 5に供給する非プロ トン性溶媒の量、 温度及び循環時間等は特に限 定されるものではなく、 回収の対象となる有機化合物の種類や量等に あわせて適宜選択す ることができる。

【 0 0 7 7】

供給後の非プロ トン性溶媒には、 有機化合物が溶解されているため、 公知の有機化合物 の精製工程に供給され、 回収することができる。

【 0 0 7 8】

(加熱処理により、 フッ素樹脂、 カーボン及び貴金属以外の金属を回収するス テップ) 図 3に示すステップ 1 2は、 ステップ 1 1後の燃料電池スタック 1 0 0から、 加熱 処理によ り、 フッ素樹脂、 カーボン及び貴金属以外の金属を回収するス テップである。 こ のステップでは、 燃料電池スタック 1 0 0を加熱処理させることにより、 対象とする材料 を選択的に回収する。

【 0 0 7 9】

(フッ素樹脂の回収例)

まず、 フッ素樹脂を回収する方法の一例を説明する 。

フッ素樹脂は、 膜電極接合体 1 4における電解質膜 1 1及びマイクロポーラス層 2 2 等から回収する。

【 0 0 8 0】

回収の対象となるフッ素樹脂と しては、 膜電極接合体を構成するものであれば特に限 定 されない。 汎用的に使用されている観点からは、 ポリテ トラフルオロェチレンを回収の対 象とするのが好ましい。 ポリテ トラフルオロェチレンは、 テ トラフルオロェチレンホモポ リマー及び変性ポリテ トラフルオロェチレンを含む。 変性ポリテ トラフルオロェチレンは 、 単量体成分と してテ トラフルオロェチレン及び少量の変性モノマ ーを含有し、 共重合す ることによ り得られる共重合体をいう。 変性モノマーとしては、 テ トラフルオロェチレン との共重合が可能なものであれば特に限定さ れず、 例えば、 パーフルオロオレフイン、 ク ロロ ト リ フルオロエチレン、 ハイ ドロフルオロオレフイン、 パーフルオロビニルエーテル 等が挙げられる。

【 0 0 8 1】

具体的には、 ステップ 1 1後の燃料電池スタック 1 0 0を、 3 0 0 °(:以上の温度で加 熱処理するこ とによ り、 フッ素樹脂を溶融して溶融液を得る。 溶融液は公知のフッ素樹脂 の精製工程に供給され、 フッ素樹脂を回収することができる。 加熱温度の上限は、 膜電極 接合体 1 4形成時等の焼成に通常用いられる温度であ ば、 特に限定されない。 加熱温度 の上限は、 例えば 5 ◦ 0 °(:である。

【 0 0 8 2】 \¥0 2020/016671 卩(:17132019/054606

10

(カーボンの回収例)

次に、 カーボンを回収する方法の一例を説明する。

カーボンは、 膜電極接合体 1 4における触媒層 2 1及びガス拡散層 2 2等から回収する 。 なお、 カーボンは二酸化炭素や一酸化炭素等のガス 状生成物と して回収する。

【 0 0 8 3】

具体的には、 ステップ 3 1 1後の燃料電池スタック 1 ◦ 0を、 酸素条件下 6 0 0。(:以上 の温度で加熱処理することによ り、 カーボンが酸化され、 二酸化炭素及び一酸化炭素ガス を含むガス状生成物を得る。 このガス状生成物は、 気体であることを利用して公知の方法 によ り回収することができる。 加熱温度の上限は、 特に限定されないが、 例えば、 9 0 0 である。

【 0 0 8 4】

ガス状生成物から二酸化炭素及び一酸化炭素 を回収する方法は、 特に限定されず、 公知 の方法を用いるこ とができる。 ガス状生成物から二酸化炭素を回収する方法 と しては、 例 えば、 吸着剤を利用して分離する方法、 アミ ンのよ うな二酸化炭素と化学反応を起こす物 質を用いて二酸化炭素を吸収し回収する化学 吸収法、 物理的な溶解現象を利用して分離す る物理吸収法等が挙げられる。 ガス状生成物から一酸化炭素を回収する方法 と しては、 例 えば、 深冷分離法等が挙げられる。

【 0 0 8 5】

(貴金属以外の金属の回収例)

次に、 貴金属以外の金属を回収する方法の一例を説 明する。

貴金属以外の金属は、 セパレータ 1 5等から回収する。

【 0 0 8 6】

貴金属以外の金属と しては、 例えば、 銅 、 鉄 ( 6) 、 アルミニウム (八 1 )

、 クロム ( <3 I·) 、 鉛 ( 13) 、 スズ ( 11) 、 コバルト ((3 〇) 、 亜鉛 ( 11) 、 マグ ネシウム (1^ 8) 、 マンガン (1^ 11) 、 ニッケル (1^ 1 ) 、 チタン (:丁 等が挙げられ る。 なかでも、 汎用的に用いられている観点から、 鉄、 クロム、 ニッケル及びチタン等を 回収の対象とするのが好ましい。

【 0 0 8 7】

ステップ £ 1 1後の燃料電池スタック 1 0 0を、 1 0 0 0 °(:以上の温度で加熱処理する ことによ り、 貴金属以外の金属を溶融する。 溶融した貴金属以外の金属は、 公知の精製エ 程に供給され、 回収することができる。 加熱温度の上限は、 特に限定されない。 加熱処理 は真空又は不活性ガス雰囲気下で行ってもよ い。

【 0 0 8 8】

以上説明した本発明の実施の形態 1 に係る方法は、 燃料電池スタ ック 1 0 0を解体する 工程が不要な非破壊の方法であるため、 回収施設においてはインラインプロセス処理 等の 効率的な処理を行う ことが可能となる。

図 5は、 本発明の実施の形態 1 に係る、 回収施設における燃料電池スタックを構成す る 材料の回収方法の一例を説明するための図で ある。

【 0 0 8 9】

図 5に示すように、 例えば、 チヤンパー 5 0に格納された燃料電池スタック 1 0 0は、 回収処理ライン 6 0によって一定の方向に移動される。 移動中の燃料電池スタック 1 0 0 は、 ステップ 1 1等の方法を用いて、 貴金属、 プロ トン伝導性ポリマー及び有機化合物 等の材料が回収される。 材料の回収がどの程度完了したかは公知の方 法を用いてインライ ンでモニターすることができる。 このよ うに、 回収施設において、 本発明の実施の形態 1 に係る方法を用いることで効率的に燃料電池 スタックを構成する材料を回収することがで きる。

【 0 0 9 0】

以上、 本発明の好ましい実施の形態について説明し たが、 本発明は、 これらの実施の形 態に限定されず、 その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可 能である。

【符号の説明】

【 0 0 9 1 】

1 0 0 . . . 燃料電池スタック、 2 . . . 集電板、 3 . . · 絶縁板、 4 . . . エン ドプレ ート、 5 · · · 流路接続部、 1 0 · · · 燃料電池セル、 1 4 · · · 膜電極接合体、 1 5 · \¥02020/016671 卩(:17162019 /054606

11

· · セパレータ、 1 1 · · · 電解質膜、 1 2 . · . アノー ド、 1 3 · · · カソー ド、 2 1 · · · 触媒層、 2 2 · · · ガス拡散層、 2 3 · · · シール部、 2 5 · · · ガス流路