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Title:
METHOD FOR SELECTIVE REMOVAL OF DIBENZOFULVENE DERIVATIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/014177
Kind Code:
A1
Abstract:
A reaction mixture containing dibenzofulvene and/or a dibenzofulvene amine adduct, which is produced by the deprotection of an amino acid compound protected with a Fmoc group by reacting the protected amino acid compound with an amine, is agitated in a hydrocarbon solvent having 5 or more carbon atoms and a polar organic solvent immiscible with the hydrocarbon solvent (excluding an amide-type organic solvent) to cause phase separation, and a hydrocarbon solvent layer is then removed. In this manner, dibenzofulvene and/or the dibenzofulvene amine adduct, which are by-products produced after the deprotection, can be removed selectively with a high degree of efficiency.

Inventors:
TAKAHASHI DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063281
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
TAKAHASHI DAISUKE (JP)
International Classes:
C07C227/40; C07C229/28; C07C319/28; C07C323/58; C07K1/08
Domestic Patent References:
WO2003018188A12003-03-06
Foreign References:
JPH09506336A1997-06-24
JP2005534739A2005-11-17
JP2002507576A2002-03-12
Other References:
See also references of EP 2181983A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物をアミンと反応させることにより脱保護して得られる反応混合物からジベンゾフルベン及び/又はジベンゾフルベンアミン付加体を淘汰する方法であって、該反応混合物を、炭素数5以上の炭化水素溶媒および該炭化水素溶媒に混和しない極性有機溶媒(但し、アミド系有機溶媒を除く。)中で攪拌、分層させ、ジベンゾフルベン及び/又はジベンゾフルベンアミン付加体が溶解した炭化水素溶媒層を除去する工程を含むことを特徴とする方法。
 アミンが、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン、モリホリンおよび1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-エン(DBU)から選ばれる、請求項1記載の方法。
 アミンが、ジエチルアミンおよびジメチルアミンから選ばれる、請求項2記載の方法。
 炭素数5以上の炭化水素溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンおよびデカリンから選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
 炭化水素溶媒に混和しない極性有機溶媒が、アセトニトリルおよびメタノールから選ばれる少なくとも一種を含む溶媒である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
 炭化水素溶媒に混和しない極性有機溶媒がさらに水を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
 Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物が、Fmoc基で保護されたアミノ酸エステルまたはFmoc基で保護されたペプチドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
 請求項7記載の方法を含む、液相合成法によるペプチドの製造方法。
(1)C-保護ペプチドまたはC-保護アミノ酸を、N-Fmocアミノ酸と、縮合剤の存在下縮合させる工程、および/または
(2)C-保護ペプチドまたはC-保護アミノ酸を、N-Fmocアミノ酸活性エステルと縮合させる工程
を含む請求項8記載の方法。
 請求項9の(1)記載の工程において、さらに活性化剤を存在させる、請求項9記載の方法。
 請求項1記載の工程で得られた中間体ペプチドを固体として単離せずに請求項9記載の工程に供することを含む、請求項9または10記載の方法。
 ワンポット合成で行う、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
Description:
ジベンゾフルベン誘導体の淘汰 法

 本発明は、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカ ルボニル)基で保護されたアミノ酸化合物の 保護の際に副成するジベンゾフルベン誘導 を効率的に淘汰する方法等に関する。

 Fmoc基はアミノ基の保護基であり、保護さ れた化合物に適度な脂溶性を付与し取り扱い が容易になる、UV吸収が付与されるため反応 追跡が容易になる、中性~酸性域で安定であ る、アミンとの緩和な反応条件で容易に脱保 護できるなど利点が多いため、広く使用され ている。特に、ペプチド合成におけるアミノ 酸やペプチドのアミノ基の重要な保護基であ る。

 Fmoc基を脱保護する際には、ジベンゾフル ベン及び/又はジベンゾフルベンと脱保護試 であるアミンとの付加体(以下、本明細書に いて「ジベンゾフルベン誘導体」と総称す 場合がある。)が副成するが、特にペプチド 合成においては、該ジベンゾフルベン誘導体 が残留したまま次工程に進めると、9-フルオ ニルメチル化などの副反応を引き起こす恐 があるため効率的に淘汰する必要がある。 かしながら、ジベンゾフルベン誘導体は脂 性が高いため、反応混合物の水洗などでは 汰することができない。

 ペプチド合成においてFmoc基は、固体支持 体の洗浄によりジベンゾフルベン誘導体を容 易に淘汰することができる固相合成法の保護 基として主に利用されている。しかし、固相 法は反応が固体支持体表面に限定されるため スケールアップや反応性に課題がある。

 一方、ペプチドの液相合成法では、ジベン フルベン誘導体の淘汰が容易ではないため 脱保護の副成物を気体(イソブテン、二酸化 炭素)として淘汰できるBoc基(tert-ブトキシカ ボニル)が主に利用されている。しかし、シ テインやメチオニンなどの含硫アミノ酸を むペプチドを合成する際には、N末端にBoc基 を使用し、アミノ酸側鎖の官能基の保護やC 端の保護にBzl基を組み合わせて使用する、 わゆるBoc法は、含硫アミノ酸により触媒が 毒されて接触還元によりBzl基を脱保護する とができないので採用することはできず、N 端保護基としてFmoc基の使用が望まれる場合 がある。
 このような背景から、スケールアップが容 であり、ペプチド医薬品などの工業的生産 適した液相法において、保護基としてFmoc基 使用した場合に、ジベンゾフルベン誘導体を 効率的に淘汰できる方法の開発が望まれてい る。

 非特許文献1には、ペプチドの液相合成にお いてジベンゾフルベン誘導体を淘汰するため に、反応抽出物を濃縮乾固した残渣にヘキサ ンなどの炭化水素溶媒を加えてトリチュレー トすることによりジベンゾフルベン誘導体を 溶媒に溶解させ、脱保護されたペプチドを結 晶として単離する方法が記載されている。
 しかし、この方法は操作性が悪く、大スケ ルでは再現性が得られない場合もあり、工 的生産には不向きである。また、目的の脱 護されたペプチドが油状物の場合にはこの 法は用いることができず、該ペプチドが結 化することが必要である。さらに、ペプチ 鎖が短い段階ではペプチド自体が炭化水素 媒に溶解してしまい回収率が低下するなど 問題もある。

WO03/018188 実験化学講座第5版、(日本国)、丸善出版 社、平成17年3月31日発行、第16巻、272頁

 本発明の目的は、Fmoc基を保護基として使 用した場合において、脱保護後に副成するジ ベンゾフルベン誘導体の効率的な淘汰方法を 提供し、特にペプチドの液相合成において工 業的製造に適用可能な方法、さらにはワンポ ット合成を可能とする方法に繋げる操作法を 提供することである。

 本発明者は上記課題を解決するため、ジベ ゾフルベン誘導体の淘汰方法を鋭意検討し 結果、炭素数5以上の炭化水素溶媒と該炭化 水素溶媒に混和しない極性有機溶媒の分層に おいて、ジベンゾフルベン誘導体が炭化水素 溶媒層に効率的に抽出され、かつ極性溶媒層 に脱保護されたアミノ酸化合物が効率的に移 行して、炭化水素溶媒にはほとんど抽出され ないこと、すなわち、かかる有機溶媒-有機 媒分層から炭化水素溶媒層を除去すること より、簡便にジベンゾフルベン誘導体が淘 できることを見出し、本発明を完成するに った。
 すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物をアミ と反応させることにより脱保護して得られ 反応混合物からジベンゾフルベン及び/又は ベンゾフルベンアミン付加体を淘汰する方 であって、該反応混合物を、炭素数5以上の 炭化水素溶媒および該炭化水素溶媒に混和し ない極性有機溶媒(但し、アミド系有機溶媒 除く。)中で攪拌、分層させ、ジベンゾフル ン及び/又はジベンゾフルベンアミン付加体 が溶解した炭化水素溶媒層を除去する工程を 含むことを特徴とする方法。
[2]アミンが、ジエチルアミン、ジメチルアミ ン、ピペリジン、モリホリンおよび1,8-ジア ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-エン(DBU)から選 れる、上記[1]記載の方法。
[3]アミンが、ジエチルアミンおよびジメチル アミンから選ばれる、上記[2]記載の方法。
[4]炭素数5以上の炭化水素溶媒が、n-ペンタン 、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンおよび デカリンから選ばれる少なくとも一種である 、上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]炭化水素溶媒に混和しない極性有機溶媒が 、アセトニトリルおよびメタノールから選ば れる少なくとも一種を含む溶媒である上記[1] ~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]炭化水素溶媒に混和しない極性有機溶媒が さらに水を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記 の方法。
[7]Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物が、Fmoc で保護されたアミノ酸エステルまたはFmoc基 で保護されたペプチドである、上記[1]~[6]の ずれかに記載の方法。
[8]上記[7]記載の方法を含む、液相合成法によ るペプチドの製造方法。
[9](1)C-保護ペプチドまたはC-保護アミノ酸を N-Fmocアミノ酸と、縮合剤の存在下縮合させ 工程、および/または
(2)C-保護ペプチドまたはC-保護アミノ酸を、N- Fmocアミノ酸活性エステルと縮合させる工程
を含む上記[8]記載の方法。
[10]上記[9]の(1)記載の工程において、さらに 性化剤を存在させる、上記[9]記載の方法。
[11]上記[1]記載の工程で得られた中間体ペプ ドを固体として単離せずに上記[9]記載の工 に供することを含む、上記[9]または[10]記載 方法。
[12]ワンポット合成で行う、上記[8]~[11]のいず れかに記載の方法。

 本発明により、Fmoc基を脱保護した際に副成 するジベンゾフルベン誘導体を簡便に淘汰す る方法が提供される。該方法は、結晶のトリ チュレート、濾過、洗浄などの煩雑な操作を 要せず、大スケール反応にも容易に適用可能 である。したがって、Fmoc基の工業的生産へ 利用が容易になり、アミノ基の保護が必要 ある化合物の製造法の選択肢を格段に広げ ことができる。
 特に、本発明の方法をペプチドの液相合成 に適用した場合、ジベンゾフルベン誘導体 洗浄のみで簡便に淘汰し、さらに必要に応 て水洗、塩基性水溶液洗浄、酸性水溶液洗 などの洗浄操作を組み合わせることで、脱 護により得られるN末端無保護のペプチドを 簡便に精製することができる。したがって、 次工程のペプチド伸長反応へそのまま繋ぐこ とができるので、ペプチドのワンポット合成 が可能となり、工業的生産に特に好適である 。

 本明細書において使用される記号、略号の 味を以下に示す。
(1)Boc:tert-ブトキシカルボニル
(2)Z:ベンジルオキシカルボニル
(3)Fmoc:9-フルオレニルメトキシカルボニル
(4)Bsmoc:1,1-ジオキソベンゾ[b]チオフェン-2-イ メトキシカルボニル
(5)Alloc:アリルオキシカルボニル
(6)Ac:アセチル
(7)Me:メチル
(8)Et:エチル
(9)iPr:イソプロピル
(10)tBu:tert-ブチル
(11)Bzl:ベンジル
(12)Fm:9-フルオレニルメチル
(13)Trt:トリチル
(14)HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(15)HOCt:6-クロロ-1-ヒドロキシベンゾトリアゾ ル
(16)HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾー
(17)HOOBt:3-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1.2 .3-ベンゾトリアジン
(18)HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミド
(19)HOPht:N-ヒドロキシフタルイミド
(20)HONb:N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカ ボキシイミド
(21)Bt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール-1-イル
(22)Ct:1-ヒドロキシ-6-クロロベンゾトリアゾー ル-1-イル
(23)At:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール -1-イル
(24)OBt:3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1.2.3-ベンゾトリ ジン-3-イル
(25)Su:スクシンイミドイル
(26)Pht:フタルイミドイル
(27)Nb:5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド ル
(28)DCC:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
(29)EDC:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチ カルボジイミド
(30)EDC.HCl:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エ チルカルボジイミド塩酸塩
(31)DIC:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド
(32)BOP:(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)ト ス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフ オロホスフェート
(33)PyBOP:(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)ト リピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロ スフェート
(34)PyBroP:ブロモトリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
(35)HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N ’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロ ホスフェート
(36)TBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N ’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロ ボレート
(37)HCTU:O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル) -N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサ ルオロホスフェート
(38)HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N, N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフ オロホスフェート
(39)CDI:カルボニルジイミダゾール
(40)DMT-MM:4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2- ル)-4-メチルモルホニウム クロリド
(41)AA n :アミノ酸残基(下付のnは1以上の任意の整数 あり、ペプチドC末端からの順番を示す。)
(42)PG 0 :ペプチドのC末端カルボキシル基の保護基
(43)PG n :アミノ基の保護基(下付のnは1以上の任意の 数であり、AA n のアミノ基の保護基であることを示す。)
(44)HOE:活性化剤
(45)E:活性エステル基
(46)Gly:グリシン
(47)Ala:アラニン
(48)Val:バリン
(49)Leu:ロイシン
(50)Ile:イソロイシン
(51)Met:メチオニン
(52)Phe:フェニルアラニン
(53)Tyr:チロシン
(54)Trp:トリプトファン
(55)His:ヒスチジン
(56)Lys:リジン
(57)Arg:アルギニン
(58)Ser:セリン
(59)Thr:トレオニン
(60)Asp:アスパラギン酸
(61)Glu:グルタミン酸
(62)Asn:アスパラギン
(63)Gln:グルタミン
(64)Cys:システイン
(65)Pro:プロリン
(66)Orn:オルニチン
(67)Sar:サルコシン
(68)β-Ala:β-アラニン
(69)GABA:γ-アミノ酪酸
(70)Dap:2,3-ジアミノプロピオン酸

 PG 0 で示されるC末端カルボキシル基の保護基と ては、Me、Et、iPr、tBuなどのアルキル基、Bzl Fm、Trt、ジフェニルメチル、1-1-ジメチルベ ジル、ジメチルフェニル等が挙げられる。
 PG n で示されるアミノ基の保護基としては、Boc、 Z、Fmoc、Bsmoc、Alloc、Ac等が挙げられる。
 Eで示される活性エステル基とは、アミノ基 による求核攻撃を受けて「EO - 」として容易に脱離し、アミド結合を生成さ せうる基を意味し、Bt、Ct,At、OBt、Su、Pht、Nb ペンタフルオロフェニル等が挙げられる。

1.ジベンゾフルベン誘導体の淘汰方法
 本発明のジベンゾフルベン誘導体の淘汰方 は、Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物をア ミンと反応させることにより脱保護して得ら れる反応混合物を、炭素数5以上の炭化水素 媒および該炭化水素溶媒に混和しない極性 機溶媒(但し、アミド系有機溶媒を除く。)中 で攪拌、分層させ、ジベンゾフルベン及び/ はジベンゾフルベンアミン付加体が溶解し 炭化水素溶媒層を除去する工程を含むこと 特徴とする。
 かかる操作により、意外なことに脱保護さ たアミノ酸化合物が極性有機溶媒層に優先 に移行し、炭化水素溶媒層にはほとんど抽 されず、かつ、ジベンゾフルベン誘導体は 化水素溶媒層に効率的に抽出されるので、 出操作という大規模反応に適した簡便な操 のみでジベンゾフルベン誘導体を淘汰する とができる。したがって、結晶化やクロマ グラフィーなどの操作によることなく、所 のアミノ酸化合物を簡便に精製または単離 ることができる。

 なお、WO 03/018188(特許文献1)の実施例9に 、ペプチドの液相合成に際し、シクロヘキ ンとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を分層さ て、シクロヘキサン層からアミノ酸エステ またはペプチドを回収する方法が記載され いるが、アミノ酸エステルまたはペプチド 極性溶媒中から回収する本発明の方法とは 成が異なる。またこの方法は、アミノ酸エ テルまたはペプチドを炭化水素溶媒である クロヘキサン層に移行させるため、脂溶性 極めて高い可溶性担体である(3,4,5-トリオク デシルオキシフェニル)メタン-1-オールをペ プチドのC末端にエステル結合させている。 化水素溶媒層にジベンゾフルベン誘導体を 汰し、アミノ酸エステル又はペプチドを極 有機溶媒に移行させる本発明とは発想も全 異なっている。

 「Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物」の「 アミノ酸化合物」とは、分子内に、1級アミ 基および/または2級アミノ基、並びにカルボ キシル基および/またはエステル化、チオエ テル化またはアミド化されたカルボキシル を有する化合物であって、本発明の炭化水 溶媒-極性有機溶媒の分層において極性有機 媒層に効率的に移行するものであれば、特 限定されない。かかるアミノ酸化合物の好 な例としては、ペプチド、アミノ酸エステ が挙げられる。
 ここで、ペプチド、アミノ酸エステルは、N 末端としての1級アミノ基または2級アミノ基 他に、アミン性の側鎖官能基(アミノ基、イ ンドール、グアニジン等)を有していてもよ 、これらアミン性の側鎖官能基は保護基で 護されていても良い。またペプチドのC末端 カルボキシル基も保護されていても、保護 れていなくてもよい。またペプチド、アミ 酸エステルがカルボキシル基及びアミノ基 外の側鎖官能基を有する場合、該側鎖官能 保護されていても、保護されていなくても い。なお、カルボキシル基が保護されてい 場合、(3,4,5-トリオクタデシルオキシフェニ ル)メチルのようなペプチドの保護基として 通常使用しない極めて脂溶性が高い基でカ ボキシル基等を保護すると、アミノ酸エス ル又はペプチドが炭化水素溶媒層にも移行 やすくなるので適切ではない。好ましいカ ボキシル基の保護基としてはメチル、エチ 、tert-ブチル等の炭素数1~6のアルキル、ベン ジル、p-ニトロベンジル、p-メトキシベンジ 、ジフェニルメチル、アリルが挙げられる

 「Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物」は、 アミノ酸化合物が有する第1級アミノ基およ /または第2級アミノ基並びにアミン性側鎖官 能基の少なくとも一つがFmoc基で保護されて ればよい。Fmoc基で保護されていない第1級ア ミノ基および/または第2級アミノ基並びにア ン性側鎖官能基は、無保護であっても、Fmoc 基以外のアミノ基の保護基(アミン保護基)(例 えば、Boc、Z、Bsmoc、Alloc、Ac等)で保護されて てもよい。
 「Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物」は、 N末端アミノ基がFmoc基で保護されており、ア ン性の側鎖官能基がある場合、該アミン性 側鎖官能基はFmoc基以外のアミン保護基で保 護されている態様が好ましい。

 「アミン」としては、Fmoc基を脱保護させる 程度の求核性を有するものであれば特に限定 されず、例えば、ジエチルアミン、ジメチル アミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリ ン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-エ (DBU)等が挙げられる。
 該アミンは、減圧濃縮で淘汰できる低沸点( 沸点:0~120℃程度)のものが好ましく、例えば ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリ ン、ピペリジン、モルホリンが好ましい。

 ジベンゾフルベンとは、Fmoc基が脱保護す る際に生成する副生成物である。ジベンゾフ ルベンアミン付加体とは、脱保護に用いたア ミンが第2級アミンの場合に、ジベンゾフル ンに付加した化合物を意味する。これらを とめて「ジベンゾフルベン誘導体」と総称 るのは、前記で述べたとおりである。

 「ジベンゾフルベン誘導体の淘汰」とは 脱保護によって得られるアミノ酸化合物と ベンゾフルベン誘導体を含む反応混合物か 、洗浄、結晶化その他精製操作によってジ ンゾフルベン誘導体を除くことを意味する

 「炭素数5以上の炭化水素溶媒」としては 、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オ タン、デカリン、ナフタレンまたはこれら 混合溶媒が挙げられ、n-ヘプタン、n-オクタ ンが好ましい。混合溶媒とする場合は、任意 の割合で混合することができる。炭素数が4 下の炭化水素溶媒は極性溶媒と混和しやす 。炭素数の上限は特に限定はないが、溶媒 留去等の取り扱いやすさ、溶媒としての存 性を考慮すると、炭素数20以下のものが好ま しい。

 「炭素数5以上の炭化水素溶媒に混和しない 極性有機溶媒」は、当該性質を有するものか ら制限なく選択することができるが、但し、 当該極性有機溶媒にアミド系有機溶媒(例え 、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチ アセトアミド(DMA))などは含まれない。アミ 系有機溶媒を用いた場合でも、炭化水素溶 と分層させることができるが、ジベンゾフ ベン誘導体が炭化水素溶媒層に効率的に分 されにくいので、アミド系有機溶媒層を炭 水素溶媒で数多く洗浄する必要があり効率 悪い(後掲比較例5、6参照)。また、アミド系 有機溶媒は比較的高沸点であるために高温で 留去しなければならず、効率が悪く、脱保護 されたアミノ酸化合物が分解する恐れもある 。さらには、水洗でアミド系有機溶媒を除く 場合でも、酢酸エチル、ジエチルエーテルな どを用いた抽出操作を行わなければならず、 煩雑である。
 かかる極性有機溶媒としては、アセトニト ル、メタノール、アセトン等またはそれら 混合溶媒が挙げられ、アセトニトリルまた メタノールが好ましい。混合溶媒とする場 は、任意の割合で混合することができる。

 本発明のジベンゾフルベン誘導体の淘汰方 は、具体的には、まず、
(1)Fmoc基で保護されたアミノ酸化合物とアミ を、有機溶媒中で混合し、アミノ酸化合物 ジベンゾフルベン誘導体を含む反応混合物 得、次いで
(2)該反応混合物を炭化水素溶媒および極性有 機溶媒中で攪拌後、静置して分層させ、炭化 水素溶媒を除去することにより行うことがで きる。

 アミンの使用量は、Fmoc基で保護されたア ミノ酸化合物に対して、通常2~100当量、好ま くは5~20当量である。この範囲より少ないと 、未反応のFmoc基で保護されたアミノ酸化合 が残りやすく、多いとアミンが淘汰困難に りやすい。

 脱保護反応の溶媒としては、脱保護反応 阻害しない溶媒であればいずれでもよく、 保護の対象となるFmoc基で保護されたアミノ 酸化合物にもよるが、例えば、DMF、N-メチル ロリドン(NMP)、酢酸エチル、アセトニトリ 、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムな どまたはそれらの混合溶媒が挙げられる。混 合溶媒とする場合は、任意の割合で混合する ことができる。溶媒の使用量は、Fmoc基で保 されたアミノ酸化合物に対して、通常3~100倍 重量であり、好ましくは5~20倍重量である。

 反応温度は、脱保護の対象となるFmoc基で 保護されたアミノ酸化合物にもよるが、通常 0~40℃、好ましくは5~30℃の範囲内である。反 時間は、上記温度範囲内で、通常1~20時間で ある。

 反応終了後、反応液を濃縮することにより アミノ酸化合物とジベンゾフルベン誘導体 含む混合物を得ることができる。低沸点の ミンを用いた場合には、当該濃縮操作によ てアミンを淘汰することができる。
 このようにして得られた該混合物に極性有 溶媒と炭化水素溶媒を加え、攪拌後、静置 て、極性有機溶媒と炭化水素溶媒を分層さ ることができる。
 あるいは、脱保護反応に本発明の極性有機 媒および/または炭化水素溶媒を使用した場 合は、濃縮することなく、必要に応じて極性 有機溶媒および/または炭化水素溶媒を追加 て、攪拌後、静置して、極性有機溶媒と炭 水素溶媒を分層させることができる。
 この際に、加熱により極性有機溶媒と炭化 素溶媒を均一系にした後に冷却して分層さ てもよいが、操作が煩雑であり、攪拌、静 のみで本発明の効果を十分奏することがで るので、加熱と冷却を伴う操作は不要であ 。

 極性有機溶媒は、炭化水素溶媒との分層性 向上させたり、ジベンゾフルベン誘導体除 率、目的物の極性有機溶媒層への抽出率を 上させるためにさらに水を添加しても良い 水の含有量は、極性有機溶媒に対して1~50%(v /v)が好ましい。水の含有量がこの範囲より多 い場合はFmoc基で保護されたアミノ酸化合物 抽出効率が低下する場合がある。
 極性有機溶媒の使用量は、本発明の効果を なわないかぎり特に限定はないが、Fmoc基で 保護されたアミノ酸化合物の濃度が極性有機 溶媒に対して0.5~30%(w/v)となる範囲から適宜選 択すればよい。

 炭化水素溶媒の使用量は、本発明の効果 損なわないかぎり特に限定はないが、ジベ ゾフルベン誘導体の濃度が炭水化物溶媒に して0.2~3%(w/v)となる範囲から適宜選択すれ よい。

 (極性有機溶媒)/(炭化水素溶媒)比(v/v)は、 本発明の効果を損なわないかぎり特に限定は ないが、好ましくは1/10~1/0.2であり、より好 しくは1/3~1/0.5である。

 攪拌、静置後、炭化水素溶媒層を除去する とにより、ジベンゾフルベン誘導体を淘汰 ることができる。極性有機溶媒層にさらに 化水素溶媒を加え、攪拌、静置後および炭 水素溶媒層除去の操作を複数回繰り返すこ によって、極性有機溶媒層に残留したジベ ゾフルベン誘導体をさらに淘汰することが きる。
 極性有機溶媒層を濃縮することにより、ジ ンゾフルベン誘導体が淘汰されたアミノ酸 合物を含有する粗製物を得ることができる この段階でアミノ酸化合物が単離できる場 もあるが、ジベンゾフルベン誘導体以外の 純物(例えば、脱保護に使用したアミンなど )が含まれる場合には、自体公知の単離精製 作(水洗、塩基性または酸性水溶液洗浄など) を組み合わせることにより、所望のアミノ酸 化合物を単離することができる。

2.ペプチド液相合成法
 アミノ酸化合物がペプチドまたはアミノ酸 ステルである場合、本発明のジベンゾフル ン誘導体の淘汰方法は、ペプチドの液相合 法に好適に適用できる。以下、本発明のジ ンゾフルベン誘導体の淘汰方法をペプチド 液相合成法に適用した一態様(以下、本明細 書において、「本発明のペプチド液相合成法 」という。)について説明するが、本発明が れに限定されないことはいうまでもない。

2-1.用語の説明
 本発明のペプチド液相合成法に使用される 語の意義について説明する。
 本発明のペプチド液相合成法において「Fmoc 基で保護されたペプチドまたはアミノ酸エス テル」の脱保護は、ペプチドの液相合成法に 含まれるFmoc基の脱保護であれば、特に限定 れない。例えば、後掲のN末端脱保護工程で ってもよいし、最終脱保護における側鎖ア ノ基の脱保護であってもよい。好ましくは 後掲のペプチド伸長反応において、次工程 カップリングの対象となるアミノ基を生成 せる脱保護である。
 本発明のペプチド液相合成法においてアミ 酸を「H-AA-OH」と表示した場合は、左側がア ミノ基、右側がカルボキシル基であることを 意味し、アミノ基およびカルボキシル基がそ れぞれ保護されていないことを意味する。
 この場合において、例えば、カルボキシル が保護されている場合は、「H-AA-OPG 0 」と表示され、アミノ基が保護されている場 合は、「PG n -AA-OH」と表示される。
 アミノ基が保護されたアミノ酸のカルボキ ル基が活性エステル化されている場合は、 PG n -AA-OE」と表示される。
 PG n -AA-OHの対称酸無水物は、「(PG n -AA) 2 -O」と表示される。
 アミノ酸が側鎖官能基を有する場合に、該 能基が保護されている場合は、「H-AA(PG)-OH (PGは側鎖官能基の保護基を示す)と表示され 。

 本発明のペプチド液相合成法においてペプ ドを「H-AA n’ -AA n’-1 -・・・-AA 1 -OH」(下付けのn’は2以上の任意の整数を示す 。)と表示した場合は、左側がN末端、右側がC 末端であり、N末端およびC末端がそれぞれ保 されていないアミノ酸残基をn’個有するペ プチドであることを意味する。ここで、N末 とはアミノ酸残基のα位アミノ基に限定され ず、ペプチド伸長が側鎖アミノ基(例えば、Ly sのεアミノ基)を介して行われる場合は、当 側鎖アミノ基もN末端に含まれる。以下、同 。
 この場合において、例えば、C末端が保護さ れている場合は、「H-AA n’ -AA n’-1 -・・・-AA 1 -OPG 0 」と表示し、さらにN末端が保護されている 合は、「PG n’ -AA n’ -AA n’-1 -・・・-AA 1 -OPG 0 」と表示するものとする。

 本発明のペプチド液相合成法により合成さ るペプチドの構成単位となるアミノ酸残基 しては、天然アミノ酸または非天然アミノ が特に限定されることなく含まれ、また、 れらのL体あるいはラセミ体も包含される。
 天然アミノ酸としては、Gly、Ala、Val、Leu、I le、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、Cys、M et、Phe、Tyr、Trp、His、Pro、Orn、Sar、β-Ala、GABA 等が挙げられる。
 非天然アミノ酸としては、Dap等が挙げられ 。
 また、当該アミノ酸が側鎖に官能基を有す 場合に、該官能基を保護基により保護した ミノ酸とすることもできる。かかる側鎖保 アミノ酸としては、例えば、Gluのγ位又はAs pのβ位のカルボキシル基をベンジル基で保護 したγ-Bzl-Glu又はβ-Bzl-Asp;、Gluのγ位又はAspの 位のカルボキシル基をtert-ブチル基で保護し たγ-tBu-Glu又はβ-tBu-Asp;Lysのεアミノ基を保護 たε-Z-Lys、ε-Boc-Lys、ε-iPr-ε-Boc-Lys;CysのSH基 フェニルカルバモイル基で保護したS-フェニ ルカルバモイル-Cys;CysのSH基をトリチル基で 護したS-Trt-Cys;Tyr及びSerの水酸基の酸素をBzl 保護した誘導体等が挙げられる。

 本発明のペプチド液相合成法において「N- 護アミノ酸」とは、アミノ基が保護されて り、カルボキシル基が無保護のアミノ酸を 味し、上記表記法によれば、「PG n -AA-OH」と表示される。
 本発明のペプチド液相合成法において「N- 護アミノ酸活性エステル」とは、アミノ基 保護され、カルボキシル基がEにより活性エ テル化されたアミノ酸を意味し、上記表記 によれば、「PG n -AA-OE」と表示される。
 なお、N-保護アミノ酸活性エステルとして 離可能なものは、Eがペンタフルオロフェニ 、SuまたはNbであるものであり、その他のN- 護アミノ酸活性エステルは、N-保護アミノ を縮合剤(例えば、EDC)および活性化剤(例え 、HOBt)と反応させることにより、反応系中で 生成される。

 本発明のペプチド液相合成法において「N-Fm ocアミノ酸」とは、アミノ基がFmocで保護され ており、カルボキシル基が無保護のアミノ酸 残基を意味し、上記表記法によれば、「Fmoc-A A-OH」と表示される。
 本発明のペプチド液相合成法において「N-Fm ocアミノ酸活性エステル」とは、アミノ基がF mocで保護され、カルボキシル基がEにより活 エステル化された任意のアミノ酸残基を意 し、上記表記法によれば、「Fmoc-AA-OE」と表 される。
 N-Fmocアミノ酸活性エステルとして単離可能 ものは、Eがペンタフルオロフェニル、Suま はNbであるものであり、その他のN-Fmocアミ 酸活性エステルは、N-Fmocアミノ酸を縮合剤( えば、EDC)および活性化剤(例えば、HOBt)と反 応させることにより、反応系中で生成される 。

 本発明のペプチド液相合成法において「C- 護ペプチド」とは、C末端が保護されており N末端が保護されていない任意の個数のアミ ノ酸残基を有するペプチドを意味し、上記表 記法によれば、「H-AA n’ -AA n’-1 -・・・-AA 1 -OPG 0 」(n’は2以上の整数を示す)と表示される。
 本発明のペプチド液相合成法において「C- 護アミノ酸」とは、カルボキシル基が保護 れており、アミノ基が保護されていないア ノ酸を意味し、上記表記法によれば、「H-AA- OPG 0 」と表示される。
 本発明のペプチド液相合成法において「N,C- ジ保護ペプチド」とは、N末端とC末端の両方 保護されている任意の個数のアミノ酸残基 有するペプチド意味し、上記表記法によれ 、「PG n’ -AA n’ -AA n’-1 -・・・-AA 1 -OPG 0 」(n’は2以上の整数を示す)と表示される。 た、例えば、N末端がFmocで保護されていて、 C末端が保護されているN,C-ジ保護ペプチドは N-Fmoc-C-保護ペプチド」と表示するものとす 。
 本発明のペプチド液相合成法において「中 体ペプチド」とは、ペプチド液相合成にお る各工程で得られる合成中間体であるペプ ドであって、最終的に目的とするペプチド りアミノ酸残基数が少ないものを意味する 好ましい中間体ペプチドは、後掲のN末端脱 保護後に得られるC-保護ペプチドである。

 本発明のペプチド液相合成法において「縮 剤」としては、DCC、EDC(塩酸塩およびフリー 体を含む。)、DIC、BOP、PyBOP、PyBroP、HBTU、HCTU TBTU、HATU、CDI、DMT-MM等が挙げられる。
 本発明のペプチド液相合成法において「活 化剤」とは、縮合剤との共存化でカルボキ ル基を活性エステル、対称酸無水物などに いてアミド結合を形成させやすくする試薬 あり、「HOE」で示される。具体的には、HOBt 、HOCt、HOAt、HOOBt、HOSu、HOPht、HONB、ペンタフ オロフェノール等が挙げられる。

 本発明のペプチド液相合成法において「 ンポット合成」とは、ペプチドの液相合成 において、各工程で得られる中間体ペプチ を反応容器から取り出さずに目的とするペ チドまで合成することを意味する。

2-2.ペプチド液相合成法
 本発明のペプチド液相合成法により最終的 合成されるペプチドは特に限定されるもの ないが、合成医薬ペプチド、化粧品、電子 料(有機ELなど)、食品などの合成に好適に利 用可能である。
 該ペプチドの構成アミノ酸残基数は特に限 されないが、一般的な合成ペプチドにみら る2~20残基程度が好適である。
 また、本発明のペプチド液相合成法は、ア ノ酸側鎖官能基および/またはC末端保護基 酸で脱保護される保護基で保護されたC-保護 ペプチド(例えば、ε-Boc-Lysなどを含むペプチ )を使用したペプチド液相合成法などに適し ている。

 「ペプチドの液相合成法」とは、固相法 はないことを意味し、全ての試薬が溶媒に 解している場合の他、試薬の全部または一 が溶媒に溶解せず、懸濁などしているいわ る不均一反応も本発明の方法に含まれる。

 ペプチドの液相合成法は、ペプチド合成化 で常用される一般的な方法を特に制限なく 用することができる。
 具体的には、下記スキームに示す方法、す わち、
(1)C-保護ペプチド(P n’ )(n’は、2以上の任意の整数を示し、アミノ 残基がn’個のペプチドであることを意味す 。以下、同様。)または一回目のペプチド伸 長においてはC-保護アミノ酸(A 1 )(以下、本明細書において「C-保護ペプチド(P n )等」(nは、1以上の任意の整数を示し、nが1の 場合は、C-保護アミノ酸(A 1 )を意味する。以下、同様。)と総称する。)を 、N-保護アミノ酸(PA n+1 )と、縮合剤(および好ましくは活性化剤)の存 在下、縮合させるか、あるいは
(2)C-保護ペプチド(P n )等を、N-保護アミノ酸活性エステル(PAE n+1 )と縮合させて、
アミノ酸残基が一つ伸長したN,C-ジ保護ペプ ド(PP n+1 )を得る工程(以下、本明細書においてそれぞ 「カップリング工程(1)」および「カップリ グ工程(2)」という。)、
得られたN,C-ジ保護ペプチド(PP n+1 )のアミノ保護基を脱保護してC-保護ペプチド (P n+1 )を得る工程(以下、本明細書において「N末端 脱保護工程」という。)を1サイクルとする反 (以下、本明細書において「ペプチド伸長反 応」という。)の繰り返しからなる方法であ 、
最終段階で、C-保護ペプチド(P m )のカルボキシ保護基および側鎖官能基が保 されている場合は当該保護基を脱保護する とにより(以下、本明細書において「最終脱 護工程」という。)、目的のペプチド(P)が得 られる。
 本発明のペプチド合成法において、n番目の ペプチド伸長反応を「ペプチド伸長反応(n)」 、ペプチド伸長反応(n)を構成する各工程をそ れぞれ「カップリング工程(1-n)」、「カップ ング工程(2-n)」および「N末端脱保護工程(n) と表示するものとする。

(式中、mは目的とするペプチドのアミノ酸残 数を示し、他の記号は上記で定義した通り ある。)
 本発明は、一連のペプチド伸長反応の少な とも一回で、N-Fmocアミノ酸を使用してカッ リング工程(1)を行うか、またはN-Fmocアミノ 活性エステルを使用してカップリング工程( 2)を行いN-Fmoc-C-保護ペプチドを得、
続くN末端脱保護工程でN-Fmoc-C-保護ペプチド アミンと反応させることにより脱保護して C-保護ペプチド(P n+1 )とジベンゾフルベン誘導体を含む混合物を 、その後のワークアップにおいて、該混合 を極性有機溶媒と炭化水素溶媒中で分層さ て、ジベンゾフルベン誘導体が溶解した炭 水素溶媒層を除去することを特徴とする(以 、「本発明のペプチド伸長反応」といい、n 回目のペプチド伸長反応を「本発明のペプチ ド伸長反応(n)」と表示する。)。
 本発明のペプチド液相合成法において、少 くとも1回、本発明のペプチド伸長反応が含 まれていればよいが、全ての工程を本発明の ペプチド伸長反応で行うことが好ましく、そ れにより目的のペプチドまでワンポットで合 成することができる。
 以下に、本発明のペプチド伸長反応(n)のス ームを示す。

(式中、DBFはジベンゾフルベンを、DBFAはジベ ゾフルベンアミン付加体を示し、NR 2 は、脱保護に使用したアミン(第2級アミンの 合)に相当し、その他の記号は前記と同義で ある。)

 C-保護ペプチド(P n+1 )とジベンゾフルベン誘導体を含む混合物を 性有機溶媒と炭化水素溶媒中で分層させる とにより、意外なことにC-保護ペプチド(P n+1 )は極性有機溶媒層に優先的に移行し、炭化 素溶媒層にはほとんど抽出されず、かつ、 ベンゾフルベン誘導体は炭化水素溶媒層に 率的に抽出されるので、抽出操作という大 模反応に適した簡便な操作のみでジベンゾ ルベン誘導体を淘汰することができる。し がって、結晶化やクロマトグラフィーなど 単離精製操作をすることなく、得られたC-保 護ペプチド(P n+1 )を次のペプチド伸長反応(n+1)に供することが でき、ワンポット合成に繋げることができる 。

 以下に、本発明のペプチド液相合成法につ て詳述する。
2-2-1.カップリング工程(1)
 本発明のペプチド伸長反応のカップリング 程(1)においては、例えば、溶媒中において N-Fmocアミノ酸(FA n+1 )、C-保護ペプチド(P n )等および縮合剤を(好ましくは、活性化剤と に)混合することによって一つアミノ酸残基 が伸長したN-Fmoc-C-保護ペプチド(FP n+1 )が得られる。添加順序は特に限定はないが C-保護ペプチド(P n )等が一つ前のペプチド伸長反応(n-1)によって 得られたものである場合は、反応容器中のC- 護ペプチド(P n )等の溶液にN-Fmocアミノ酸(FA n+1 )および縮合剤を添加すればよい。

 N-Fmocアミノ酸(FA n+1 )の使用量は、C-保護ペプチド(P n )等に対して、通常0.9~4.0当量、好ましくは1.0~ 1.5当量である。この範囲より少ないと、未反 応のC-保護ペプチド(P n )等が残りやすく、多いと過剰のN-Fmocアミノ (FA n+1 )を除去しにくくなる。

 C-保護ペプチド(P n )等を酸付加塩として使用した場合には中和 るため、塩基が添加される。該塩基として 、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチ アミン、ピリジン、N-メチルモルホリンなど が挙げられる。該塩基の使用量は、C-保護ペ チド(P n )等に対して、通常0.5~2.0当量、好ましくは1.0~ 1.5当量である。塩基の使用量がこの範囲より 少ないと中和が不十分となり反応が進行しに くくなる。

 縮合剤は上記で例示したものを特に制限な 使用することができ、EDC(フリー体または塩 酸塩)、DIC、DCC、PyBOP、HBTU、HCTU、DMT-MMが挙げ れ、EDCが、残留した縮合剤や縮合剤の分解 を洗浄により淘汰することが容易であるた 好ましい。縮合剤の使用量は、N-Fmocアミノ (FA n+1 )に対して通常0.8~4.0当量、好ましくは1.0~1.5当 量である。

 カップリング工程(1)において、反応を促進 、ラセミ化などの副反応を抑制するために 好ましくは、活性化剤が添加される。活性 剤を存在させた場合は、反応系中で一時的 N-保護アミノ酸の活性エステルなどが生成 る。
 活性化剤は上記で例示したものを制限無く 用することができ、HOBt、HOOBt、HOCt、HOAt、HO Nb、HOSu等が好ましい。活性化剤の使用量は、 N-Fmocアミノ酸(FA n+1 )に対して通常、0~4.0当量、好ましくは0.1~1.5 量である。

 溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒で ればいずれでもよく、例えば、N,N-ジメチル ホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、 酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、アセ ニトリル、クロロホルム、塩化メチレンな またはそれらの混合溶媒が挙げられ、酢酸 チルまたはDMFが好ましい。溶媒の使用量は C-保護ペプチド(P n )等に対して、通常3~100倍重量であり、好まし くは5~20倍重量である。

 反応温度は、通常-20~40℃、好ましくは0~30 ℃の範囲内である。反応時間は、上記温度範 囲内で、通常0.5~30時間である。

 カップリング工程(1)反応終了後のワーク ップは、カップリング工程(2)と同様である で、後掲の2-2-3においてまとめて説明する

2-2-2.カップリング工程(2)
 本発明のペプチド伸長反応のカップリング 程(2)においては、例えば、溶媒中において N-Fmocアミノ酸活性エステル(FAE n+1 )およびC-保護ペプチド(P n )等を混合することによってN-Fmoc-C-保護ペプ ド(FP n+1 )が得られる。添加順序は特に限定はないが C-保護ペプチド(P n )等が一つ前のペプチド伸長反応(n-1)によって 得られたものである場合は、反応容器中のC- 護ペプチド(P n )等の溶液にN-Fmocアミノ酸活性エステル(FAE n+1 )を添加すればよい。

 N-Fmocアミノ酸活性エステル(FAE n+1 )の使用量はカップリング工程(1)におけるN-Fmo cアミノ酸(FA n+1 )と同様である。
 また、塩基、溶媒およびその使用量、反応 度、反応時間等のその他の反応条件は、カ プリング工程(1)と同様である。

2-2-3.カップリング工程(1)および(2)のワークア ップ
 カップリング工程(1)および(2)の反応終了後 N-Fmocアミノ酸活性エステル(FAE n+1 )、N-Fmocアミノ酸のイソウレアエステル、N-Fmo cアミノ酸の対称酸無水物などのアミン成分 縮合しうる反応混合物中の残留物や副生成 を淘汰するため、チオール基担持シリカゲ 等の固相求核剤除去試薬(例えば、SHシリカ NHシリカ(富士シリシア化学(株)製)など)を加 、攪拌後、濾去してもよい。また、洗浄工 にて、炭酸ナトリウムなど弱アルカリ性の 溶液で洗浄して、積極的に活性エステルを 活させてもよい。

 カップリング工程(1)および(2)のワークア プでは、好ましくは、酸性水溶液洗浄およ /または塩基性水溶液洗浄が行われる。酸性 水溶液洗浄により、C-保護ペプチド、残留し 縮合剤またはその分解物、塩基などを水層 淘汰することができる。塩基性水溶液洗浄 より、活性化剤、残留したN-Fmocアミノ酸な を水層に淘汰することができる。

 酸性水溶液洗浄は、例えば、反応混合物 希塩酸水溶液(例えば、1N塩酸水溶液)、硫酸 、ギ酸、クエン酸、リン酸などの水溶液と攪 拌後、分液して水層を除去することにより行 われる。

 塩基性水溶液洗浄は、例えば、反応混合 を炭酸水素ナトリウム水溶液(例えば、5%炭 水素ナトリウム水溶液)、炭酸ナトリウム水 溶液、炭酸カリウム水溶液などの水溶液と攪 拌後、分液して水層を除去することにより行 われる。

 必要に応じてさらに水洗し、有機層を濃縮 ることにより、N-Fmoc-C-保護ペプチド(FP n+1 )を得ることができ、そのまま容器から取り すことなく、N末端脱保護工程に供すること できる。また、濃縮することなく、N-Fmoc-C- 護ペプチド(FP n+1 )の溶液としてN末端脱保護工程に用いてもよ 。

 本発明のペプチド液相合成法において、F moc以外のアミン保護基を使用するカップリン グ工程が含まれる場合も、上記と同様に行え ばよい。

2-2-4.N末端脱保護工程
 本発明のペプチド伸長反応におけるN末端脱 保護工程においては、N-Fmoc-C-保護ペプチド(FP n+1 )を、溶媒中、アミンと反応させることによ C-保護ペプチド(P n+1 )が得られる。具体的には、カップリング工 で得られたN-Fmoc-C-保護ペプチド(FP n+1 )の溶液中にアミンを添加すればよい。
 該脱保護反応によって得られる、C-保護ペ チド(P n+1 )とジベンゾフルベン誘導体の混合物を炭素 5以上の炭化水素溶媒および該炭化水素溶媒 混和しない極性有機溶媒(但し、アミド系有 機溶媒を除く。)中で攪拌、分層させ、炭化 素溶媒層を除去することにより、ジベンゾ ルベン誘導体を淘汰することができる。
 伸長反応開始時はC-保護ペプチド(P n )等がC-保護アミノ酸となる。該C-保護アミノ の調製は以下のようにして行うことができ 。すなわちN-Fmocアミノ酸のカルボキシル基 常法によりエステル化し、N-Fmoc-C-保護アミ 酸を得る。上記と同様、得られたN-Fmoc-C-保 アミノ酸を、溶媒中、アミンと反応させる とによりC-保護アミノ酸(アミノ酸エステル) が得られる。上記と同様に、該脱保護反応に よって得られる、C-保護アミノ酸とジベンゾ ルベン誘導体の混合物を炭素数5以上の炭化 水素溶媒および該炭化水素溶媒に混和しない 極性有機溶媒(但し、アミド系有機溶媒を除 。)中で攪拌、分層させ、炭化水素溶媒層を 去することにより、ジベンゾフルベン誘導 を淘汰することができる。かかるN-Fmoc-C-保 アミノ酸のFmoc基の脱保護も、ここでいうN 端脱保護工程に含まれる。

 本発明のペプチド液相合成法におけるN末端 脱保護工程は、上記1の「ジベンゾフルベン 導体の淘汰方法」において、「Fmoc基で保護 れたアミノ酸化合物」を「N-Fmoc-C-保護ペプ ド(FP n+1 )」又は「N-Fmoc-C-保護アミノ酸」に、「アミ 酸化合物」を「C-保護ペプチド(P n+1 )」又は「C-保護アミノ酸」にそれぞれ読み代 えて、同様に行うことができる。
 N末端脱保護工程により単離されたC-保護ペ チド(P n+1 )の溶液を濃縮するか、または濃縮すること く、次のペプチド伸長反応にそのまま用い ことができる。

 本発明のペプチド合成において、Fmoc以外の N末端保護基を使用したN末端脱保護工程が含 れる場合は、ペプチド合成化学で常用され アミノ基保護基の種類に応じた一般的なN- 端脱保護方法により行えばよい。
 以上のように、本発明の方法により、N末端 脱保護工程において、Fmoc基で保護されたア ノ酸化合物をアミンと反応させることによ 脱保護して得られる反応混合物からジベン フルベン及び/又はジベンゾフルベンアミン 加体を簡便に淘汰できるため、ペプチドの 相合成法において、次の縮合工程、すなわ 次のペプチド伸長反応を、中間体ペプチド 反応容器から取り出すことなく行うことが きる。すなわち、得られた中間体ペプチド 晶析等により固体として単離せずに次の縮 工程を行うことができる。このように、本 明の方法によれば、ペプチドの液相合成法 より、目的とする最終ペプチドをワンポッ 合成することが可能である。

2-2-5.最終脱保護工程
 本発明のペプチド合成で、目的のペプチド で構築されたC-保護ペプチド(P m )のPG 0 や側鎖保護基を脱保護することにより、目的 のペプチド(P)を得ることができる。
 最終脱保護工程は、PG 0 または側鎖保護基の種類に応じた自体公知の 脱保護法を特に制限なく採用することができ る。
 例えば、Me、Etなどの低級アルキル基の場合 は、水又は水性有機溶媒などの溶媒中、水酸 化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基と 、-20~40℃で、0.5~10時間反応させることができ る。
 tBuの場合は、クロロホルム、塩化メチレン 酢酸エチル、ジオキサンなどの溶媒中、ト フルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸、 シル酸、ギ酸などの酸と、-20~40℃で、0.5~10 間反応させることにより脱保護することが きる。
 Bzlの場合は、メタノール、DMF、酢酸などの 媒中、パラジウム炭素などの触媒を用いて 0~40℃で、0.5~100時間、水素化反応させるか あるいはフッ化水素、トリフルオロメタン ルホン酸などの強酸と、-20~40℃で、0.5~10時 反応させることにより脱保護することがで る。
 Alloc基の場合は、テトラキストリフェニル スフィンパラジウム等の0価パラジウム均一 触媒と反応させる。0価パラジウム均一系触 媒は、0.01~1.0当量、好ましくは、0.05~0.5当量 用される。
 最終脱保護工程において、Fmoc基で保護され た側鎖アミノ基を脱保護する場合も、N末端 保護工程と同様にワークアップにおいて本 明のジベンゾフルベン誘導体の淘汰方法が 用できる。

 本発明の方法により、合成されたペプチ (P)は、ペプチド化学で常用される方法に従 て単離精製することができる。例えば、C末 端脱保護工程のワークアップにおいて、反応 混合物を抽出洗浄、晶析、クロマトグラフィ ーなどによって、ペプチド(P)を単離精製する ことができる。

 以下、本発明について、実施例を挙げてさ に具体的に説明する。本発明はこれらによ 何ら限定されるものではない。
 HPLC分析は以下の条件で行った。
カラム:YMC-Pack 150mm x4.6mm 12nm 5μm
移動相:0.1% TFAaq./ 0.1%TFA-MeCN

参考例1
 H-Ala-OtBu.HCl (1.00 g, 5.50 mmol)をDMF (10 ml)に 解し、トリエチルアミン(0.80 ml, 5.78 mmol) 加え、Fmoc-Phe-OH (2.24 g, 5.78 mmol)及びHOBt(0.15 g, 1.1 mmol)を加え、氷冷下でEDC.HCl(1.21 g, 6.06  mmol)を添加して室温で3時間攪拌した。反応 を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水、 及び、飽和食塩水にて順次洗浄し有機層を濃 縮し、残渣にヘキサンを加えて析出物を濾取 して減圧乾燥して、Fmoc-Phe-Ala-OtBu (2.80 g,5.44 mmol)を得た。

参考例2
 H-Cys(Trt)-OtBu.HCl (6.11 g, 13.40 mmol)をAcOEt (65 ml)と10%炭酸ナトリウム水溶液(65 ml)を加えて 分層させ、飽和食塩水で洗浄した。得られた 有機層に、Fmoc-Dap(Alloc)-OH(5.50 g, 13.40 mmol)及 HOBt(1.81g, 13.40 mmol)を加え、氷冷下でEDC.HCl(2 .83 g, 14.74 mmol)を添加して室温で3時間攪拌 た。反応液にAcOEt (65 ml)を加え、5%炭酸水素 ナトリウム水溶液、1N塩酸水、及び、飽和食 水にて順次洗浄し、有機層を濃縮した。残 にヘキサンを加えて析出物を濾取して減圧 燥して、Fmoc-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu (10.35 g, 12. 75 mmol)を得た。

実施例1
 Fmoc-Phe-Ala-OtBu (0.50 g, 0.97 mmol)をアセトニ リル(10 ml)に溶解し、ジエチルアミン(1.02 ml , 9.72 mmol)を加え2時間攪拌した。反応液を濃 縮乾固し、90%アセトニトリル水(8 ml)に溶解 、ヘプタン(8 ml)で3回洗浄した。HPLC分析し ところ、ヘプタン層には目的物のH-Phe-Ala-OtBu は検出されず、フルベン誘導体の反応液から ヘプタン層への除去率は93%であった。

実施例2
 Fmoc-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu (0.70 g, 0.86 mmol)を セトニトリル(12 ml)に溶解して、ジエチルア ミン(0.64 ml)を加え室温下にて2時間攪拌した 反応液を減圧濃縮して残査をアセトニトリ (12 ml)を加えて溶解し、ヘプタン(7 ml)にて3 回洗浄した。アセトニトリル層を濃縮し、残 渣をHPLC分析した。H-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu (0.50  g, 0.85 mmol)を得た。HPLC分析したところ、フ ベン誘導体の反応液からヘプタン層への除 率は81%であった。目的物はヘプタン層に検 されなかった。

実施例3
 Fmoc-Phe-Ala-OtBu (0.25 g, 0.49 mmol)をアセトニ リル(4 ml)に溶解して、ジエチルアミン(1.02  ml)を加え室温下にて2時間攪拌した。反応液 減圧濃縮して残査を90%アセトニトリル水(3 m l)で溶解して、ヘキサン(4 ml)にて3回洗浄し 。HPLC分析したところ、ヘキサン層にはH-Phe-A la-OtBuは検出されず、フルベン誘導体の反応 からのヘキサン層への除去率は85%であった

実施例4
 上記実施例3と同様の操作を行い、洗浄溶媒 をヘキサンの代わりにオクタン(4 ml)のみ変 て実施した。HPLC分析したところ、オクタン にはH-Phe-Ala-OtBuは検出されず、フルベン誘 体の反応液からのオクタン層への除去率は95 %であった。

実施例5
 上記実施例3と同様の操作を行い、洗浄溶媒 をヘキサンの代わりにデカリン(4 ml)のみ変 て実施した。HPLC分析したところ、デカリン にはH-Phe-Ala-OtBuは検出されず、フルベン誘 体の反応液からのオクタン層への除去率は93 %であった。

実施例6
 上記実施例3と同様の操作を行い、ヘキサン -90%アセトニトリル水の代わりに、ヘプタン- タノール(4 ml)のみ変えて実施した。HPLC分 したところ、ヘプタン層にはH-Phe-Ala-OtBuは検 出されず、フルベン誘導体の反応液からのオ クタン層への除去率は86%であった。

実施例7
 H-Ala-OtBu.HCl (0.50 g, 2.25 mmol)をDMF(5 ml)に溶 し、トリエチルアミン(0.40 ml, 2.89 mmol)を え、Fmoc-Phe-OH (1.12 g, 2.89 mmol)及びHOBt(0.75 g , 0.55 mmol)を加え、氷冷下でEDC.HCl(0.60 g, 3.03  mmol)を添加して室温で3時間攪拌した。反応 にSHシリカ(0.70 g)加えて、30分攪拌した後、 濾過した。濾液に酢酸エチル(10 ml)を加え、5 %炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水、及び 、飽和食塩水にて順次洗浄し有機層を濃縮し た。残渣にアセトニトリル(10 ml)を加えて、 エチルアミン(2ml)を加え室温下にて攪拌し 。反応液をヘプタン(15 ml)にて3回洗浄した HPLC分析したところ、ヘプタン層にはH-Phe-Ala- OtBuは検出されず、フルベン誘導体の反応液 らの除去率は93%であった。
 得られたアセトニトリル層にHOBt (0.04 g, 0. 27 mmol)とFmoc-Ser(tBu)-OH (1.11 g, 2.89mmol)を加え 氷冷下でHCl.EDC (0.61 g, 3.03 mmol)を添加して 3時間攪拌した。反応液にSHシリカ(0.70 g)加え て、30分攪拌した後、濾過して濾液に酢酸エ ル(30ml)を加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶 、1N塩酸水、及び、飽和食塩水にて順次洗浄 し、有機層を濃縮して、Fmoc-Ser(tBu)-Phe-Ala-OtBu( 1.32 g, 2.00 mmol)を得た。

実施例8
 Fmoc-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu (11.78 g,1.45 mmol)をア セトニトリル(120 ml)に溶解して、ジエチルア ミン(15.1 ml)を加え室温下にて2時間攪拌した 反応液を減圧濃縮して、酢酸エチル(30 ml) 加えて再度濃縮した。残査を90%アセトニト ル(180 ml)を加えて溶解し、ヘプタン(180 ml) て3回洗浄した。HPLC分析したところ、フルベ ン誘導体の反応液からヘプタン層への除去率 は86%であり、目的物のペプチドはヘプタン層 に検出されなかった。得られたアセトニトリ ル層を濃縮して酢酸エチル(180 ml)を加え、10% 炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗 浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。
 有機層にHOBt(0.20 g, 1.41mmol)及びFmoc-Asp(OtBu)-O H(5.97 g, 1.45 mmol)を溶解し、EDC.HCl(3.06 g, 1.60  mmol)を氷冷下で添加して3時間攪拌した。反 液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸水 、及び、飽和食塩水にて順次洗浄し、有機層 を濃縮してFmoc-Asp(OtBu)-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu (13. 3 g, 1.35 mmol)を得た。

比較例1
 Fmoc-Phe-Ala-OtBu(300 mg, 0.58 mmol)をアセトニト ル(7 ml)に溶解し、ジエチルアミン(0.61 ml,  5.80 mmol)を加え2時間攪拌した。反応液を濃縮 乾固し、残渣にヘキサンを加えたが、沈殿化 することはなく、油状物となった。

比較例2
 Fmoc-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBu(1.56 g, 1.92 mmol)をア トニトリ(16 ml)に溶解して、ジエチルアミ (1.95 ml, 19.2 mmol)を加え、室温下にて2時間 拌した。反応液を減圧濃縮して、残査油状 をヘキサン(15 ml)で2回デカントして、更に キサンを加えて攪拌し、析出物を濾過し、 圧乾燥させて、H-Dap(Alloc)-Cys(Trt)-OtBuを1.02 g(1 .73 mmol)得た。 HPLC分析したところ、ジベン フルベン(DBF)の反応液からヘキサン母液への 除去率は83%であった。

比較例3
 実施例3と同様の操作を行い、抽出、洗浄溶 媒を90%アセトニトリル水-ヘキサンの代わり 、水(4 ml)とヘプタン(4 ml)にのみ変えて実施 したところ、不溶性物質が浮遊して分層操作 を著しく低下させた。HPLC分析したところ、 層へはフルベン誘導体、H-Phe-Ala-OtBuは検出さ れず、抽出、及び、フルベン誘導体の除去は できなかった。

比較例4
 実施例3と同様の操作を行い、抽出、洗浄溶 媒を90%アセトニトリル水-ヘキサンの代わり 、水(4 ml)と酢酸エチル(4 ml)のみ変えて実施 した。HPLC分析したところ、水層へはフルベ 誘導体は検出されず、フルベン誘導体の水 への除去率は1%以下であった。

比較例5
 実施例3と同様の操作を行い、抽出、洗浄溶 媒を90%アセトニトリル水-ヘキサンの代わり 、ジメチルホルムアミド(4 ml)とヘプタン(4  ml)のみ変えて実施した。HPLC分析したところ ヘプタン層にはH-Phe-Ala-OtBuは検出されず、フ ルベン誘導体の反応液からのヘプタン層への 除去率は44%であった。

比較例6
 実施例3と同様の操作を行い、抽出、洗浄溶 媒を90%アセトニトリル水-ヘキサンの代わり 、90%ジメチルホルムアミド水(4 ml)とヘプタ (4 ml)のみ変えて実施した。HPLC分析したと ろ、ヘプタン層にはH-Phe-Ala-OtBuは検出されず 、フルベン誘導体の反応液からのヘプタン層 への除去率は51%であった。

 本発明の方法は、ペプチド医薬品などの 業的製造に好適に利用できる。

 本出願は、日本で出願された特願2007-193153 基礎としており、その内容は本明細書にす て包含されるものである。
 本発明がその好ましい態様を参照して提示 は記載される一方、本明細書中において、 付の請求の範囲で包含される発明の範囲を 脱することなく、形態や詳細の様々な変更 なし得ることは当業者に理解されるであろ 。本明細書中に示され又は参照されたすべ の特許、特許公報及びその他の刊行物は、 照によりその全体が取り込まれる。