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Title:
METHOD FOR STABLE STORAGE OF REDUCED COENZYME Q10
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111440
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for storing reduced coenzyme Q10 stably. Reduced coenzyme Q10 is useful in a food, a food with a nutrient function, a food for specified health uses, a dietary supplement, a nutrient, a veterinary medicine, a beverage, a feed, a cosmetic product, a pharmaceutical agent, a therapeutic agent, a prophylactic agent, a quasi drug or the like. It is found that reduced coenzyme Q10 can be protected from oxidation more effectively by preparing a composition comprising reduced coenzyme Q10 and packing the composition in a hermetically sealed tube, compared to other packaging forms. The method enables to store reduced coenzyme Q10 stably without requiring much expense in cost and effort or any special facility, and also enables to use reduced coenzyme Q10 repeatedly.

Inventors:
KISHIDA HIDEYUKI (JP)
HOSOE KAZUNORI (JP)
FUJII KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053906
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
KISHIDA HIDEYUKI (JP)
HOSOE KAZUNORI (JP)
FUJII KENJI (JP)
International Classes:
C07C41/34; A23K1/16; A23L1/30; A61K8/34; A61K31/09; A61P9/04; C07C41/46; C07C43/23
Domestic Patent References:
WO2005041945A12005-05-12
Foreign References:
JP2006342098A2006-12-21
JP2006503000A2006-01-26
JP2003119127A2003-04-23
JP2006206583A2006-08-10
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (Kita-ku Osaka-shi, Osaka 88, JP)
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Claims:
 還元型補酵素Q 10 を含有する組成物をチューブ中で保存することを特徴とする、還元型補酵素Q 10 を安定的に保存する方法。
 還元型補酵素Q 10 の残存率が、20%以上である請求項1記載の方法。
 チューブが、プラスチックチューブ、金属チューブまたは複合チューブである請求項1または2に記載の方法。
 チューブの材質の少なくとも一部に、アルミニウムが用いられている請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
 チューブの口の直径が10mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
 還元型補酵素Q 10 を含有する組成物中に、抗酸化剤および/または抗酸化酵素を共存させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
 抗酸化物質が、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、リコペン、ビタミンA、カロテノイド類、ビタミンB、ビタミンB誘導体、クエン酸、クエン酸誘導体、フラボノイド類、ポリフェノール類、グルタチオン、α-リポ酸およびセレンからなる群より選択される1種以上である、請求項6記載の方法。
 抗酸化酵素が、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、グルタチオン還元酵素、カタラーゼおよびアスコルビン酸ペルオキシダーゼからなる群より選択される1種以上である、請求項6記載の方法。
 還元型補酵素Q 10 を含有する組成物中に、キレート剤を共存させる請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
 キレート剤が、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロキシイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸、N,N-ビスヒドロキシエチルグリシン、1,3-プロパンジアミンテトラ酢酸、グルコン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸およびそれらの塩からなる群より選択される1種以上である請求項9記載の方法。
 チューブ中に、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物が封入された還元型補酵素Q 10 含有製品。
 チューブが、プラスチックチューブ、金属チューブまたは複合チューブである請求項11に記載の製品。
 チューブの材質の少なくとも一部に、アルミニウムが用いられている請求項11または12記載の製品。
 チューブの口の直径が10mm以下である、請求項11~13のいずれか1項に記載の製品。
 一般食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤または栄養剤である請求項11~14のいずれか1項に記載の製品。
 化粧品である請求項11~14のいずれか1項に記載の製品。
 医薬品または医薬部外品である請求項11~14のいずれか1項に記載の製品。
 動物薬または飼料である請求項11~14のいずれか1項に記載の製品。
Description:
還元型補酵素Q 10 の安定的な保存方法

 本発明は、還元型補酵素Q 10 の保存方法に関する。還元型補酵素Q 10 は、酸化型補酵素Q 10 と比較して高い経口吸収性を示し、優れた、 食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養 補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧 品、医薬品、治療薬、予防薬、医薬部外品等 として有用な化合物である。

 補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体 に分布する必須成分であり、生体内の細胞中 におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成 分として知られている。補酵素Qは、ミトコ ドリア内において酸化と還元を繰り返すこ で、電子伝達系における伝達成分としての 能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸 作用を持つことが知られている。ヒトでは 酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ補酵 Q 10 が主成分であり、生体内においては、通常、 40~90%程度が還元型として存在している。補酵 素Qの生理的作用としては、ミトコンドリア 活作用によるエネルギー生産の活性化、心 能の活性化、細胞膜の安定化効果、抗酸化 用による細胞の保護効果等が挙げられてい 。

 補酵素Q 10 は、酸化型補酵素Q 10 が、欧米では健康食品として、日本では鬱血 性心不全薬として用いられており、近年では 、日本でも栄養機能食品としても用いられて きている。特に、健康食品、栄養機能食品の 分野においては、酸化型補酵素Q 10 をソフトカプセル化した商品が主流となって いる。

 一方、還元型補酵素Q 10 は、それ自身でも強い抗酸化作用を持つため 、血中に十分量の還元型補酵素Q 10 を送り込むことにより、血中の抗酸化活性を 効果的に増加させることが可能となる。血中 の抗酸化活性を増加させることは、虚血再還 流時の血管障害、動脈硬化の再狭窄防止、脳 梗塞後の再血管障害の防止、動脈硬化の予防 、糖尿病の合併症の予防等、活性酸素種によ って増悪が示唆されている多くの疾患に対し て幅広い有用性が考えられる。

 還元型補酵素Q 10 は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出 等の従来公知の方法により補酵素Q 10 を得た後、クロマトグラフィーにより流出液 中の還元型補酵素Q 10 区分を濃縮する方法等により得られることが 知られている(特許文献1)。この場合には、上 記補酵素Q 10 中に含まれる酸化型補酵素Q 10 を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸 ナトリウム等の一般的な還元剤を用いて還元 した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行 っても良いことや、さらに、還元型補酵素Q 10 は、既存の高純度補酵素Q 10 に上記還元剤を作用させる方法によっても得 られることも、該特許文献1に記載されてい 。

 さらに、本出願人により、高品質の還元型 酵素Q 10 を得るための製法が特許出願されている(特 文献2~8)。しかしながら、還元型補酵素Q 10 は、分子酸素によって酸化型補酵素Q 10 に酸化されやすく、上記特許出願のような方 法により高品質の還元型補酵素Q 10 を製造した場合でも、還元型補酵素Q 10 を食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄 養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化 粧品、医薬品、治療薬、予防薬、医薬部外品 等、或いはそれらの素材や組成物に加工する 際、及び/又は、加工後保存する際の安定化 重要な課題として残されている。上記の加 や保存に際して、完全な酸素の除去或いは 断は極めて難しく、特に加工時の加温や長 にわたる保存において、残存する或いは混 する酸素が大きな悪影響を及ぼす。上記酸 は、酸化型補酵素Q 10 の副生といった品質面の問題に直結する。

 このように還元型補酵素Q 10 を安定化する(酸化から防護する)ことは非常 重要な課題であるが、還元型補酵素Q 10 を安定に保持するための方法及び組成物に関 する研究はほとんどなされていない。わずか に、還元剤を共存させた組成物並びにその製 造法について記述した例(特許文献9)、油脂中 で還元型補酵素Q 10 を安定化させた例(特許文献10)、カプセル剤 低湿度下で包装する方法についての例(特許 献11)及び1回使用量を密閉して個別包装する 例(特許文献12)を認めるのみである。

 この特許文献9には、
1)還元型補酵素Q 10 、還元型補酵素Q 10 が酸化型補酵素Q 10 に酸化されるのを抑制するために有効な量の 還元剤、及び、上記還元型補酵素Q 10 と上記還元剤を溶解するために有効な量の界 面活性剤又は植物油又はこれらの混合物、そ して必要に応じて溶媒からなる組成物、
2)上記組成物をゼラチンカプセル又はタブレ トに製剤化した経口投与のための組成物、 らに、3)酸化型補酵素Q 10 並びに還元剤を用いてin situで還元型補酵素Q 10 を含有する上記組成物を調製する方法、
が開示されている。

 しかしながら、上記特許文献9には、組成物 中に含まれる還元型補酵素Q 10 の品質や安定化効果等に関する詳細な記述は ない。また、上記の組成物やその調製方法は 、組成物に複数の役割(すなわち、第一に酸 型補酵素Q 10 を還元型補酵素Q 10 に還元する反応の場としての役割、第二に還 元型補酵素Q 10 を安定に保持する役割)を持たせるため、非 に複雑・煩雑なものとなっている。また、 記組成物やその調製方法においては、反応 合物がそのまま用いられているために必ず も安全であるとは言い難い点に注目すべき ある。

 具体的には、酸化型補酵素Q 10 を還元型補酵素Q 10 に還元する際に還元剤としてアスコルビン酸 類を用いているが、このアスコルビン酸類が 酸化されて相当量のデヒドロアスコルビン酸 類を生じ、それが上記組成物中に混入する点 である。デヒドロアスコルビン酸類やその分 解により生成したシュウ酸は、アスコルビン 酸類とは異なり、有害性が高い。例えば、肝 臓や腎臓中の過酸化脂質量の増加と抗酸化物 質の減少や、腎臓中のシュウ酸量の増加が報 告されており、酸化ストレスに対する抵抗力 の低下や尿管結石を発症し易い等の副作用が 懸念される(非特許文献1)。

 特許文献10には、還元型補酵素Q 10 を酸化から防護するための方法として、還元 型補酵素Q 10 を、主成分が油脂(但し、オリーブ油を除く) び/又はポリオールからなり、且つ、還元型 補酵素Q 10 の安定化を実質的に阻害しない組成物とする ことを特徴とする還元型補酵素Q 10 の安定化方法が開示されている。しかし、上 述の安定化方法においては、使用できる資材 が限定されており、例えば、還元型補酵素Q 10 とソルビタン脂肪酸エステル類及び/又はポ オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル との共存においては、還元型補酵素Q 10 は安定に保存できないことが確認されている 。

 特許文献11は、還元型補酵素Q 10 を含有するカプセル剤を低湿度下でさらに包 装するという方法であり、カプセル剤でのみ にしか利用できない方法である。

 特許文献12は、1回使い切り分量のみを密閉 別包装する方法であり、包装のコストや使 目的が限定される方法である。

特開平10-109933号公報

WO03/006408

WO03/006409

WO03/006410

WO03/006411

WO03/006412

WO03/008363

WO03/032967

WO01/052822

WO03/062182

特開2006-206583号公報

US2006/0198830 ニュートリション リサーチ(Nutrition Rese arch)13巻、667-676頁、1993年

 上記のような状況下、併用する成分や形態 特に限定されずに、還元型補酵素Q 10 を安定に保存できる方法が求められていた。

 上記に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結 、驚くべきことに、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物を、密閉されたチューブに 入れることによって、他の包装形態と比較し てより還元型補酵素Q 10 を酸化から防護できることを見出し、本発明 を完成するに至った。

 すなわち本発明は以下の通りである。
[1]還元型補酵素Q 10 を含有する組成物をチューブ中で保存するこ とを特徴とする、還元型補酵素Q 10 を安定的に保存する方法。
[2]還元型補酵素Q 10 の残存率が、20%以上である[1]の方法。
[3]チューブが、プラスチックチューブ、金属 チューブまたは複合チューブである[1]または [2]の方法。
[4]チューブの材質の少なくとも一部に、アル ミニウムが用いられている[1]~[3]のいずれか 方法。
[5]チューブの口の直径が10mm以下である、[1]~[ 4]のいずれかの方法。
[6]還元型補酵素Q 10 を含有する組成物中に、抗酸化剤および/ま は抗酸化酵素を併用する、[1]~[5]のいずれか 方法。
[7]抗酸化物質が、ビタミンE、ビタミンE誘導 、ビタミンC、ビタミンC誘導体、リコペン ビタミンA、カロテノイド類、ビタミンB、ビ タミンB誘導体、クエン酸、クエン酸誘導体 フラボノイド類、ポリフェノール類、グル チオン、α-リポ酸およびセレンからなる群 り選択される1種以上である[6]の方法。
[8]抗酸化酵素が、スーパーオキサイドディス ムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダー 、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、グ タチオン還元酵素、カタラーゼおよびアス ルビン酸ペルオキシダーゼからなる群より 択される1種以上である[6]の方法。
[9]還元型補酵素Q 10 を含有する組成物中に、キレート剤を併用す る[1]~[8]のいずれかの方法。
[10]キレート剤が、エチレンジアミンテトラ 酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロ シイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルエチレ ジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミン ンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレ テトラミンヘキサ酢酸、N,N-ジカルボキシメ ルグルタミン酸、N,N-ビスヒドロキシエチル グリシン、1,3-プロパンジアミンテトラ酢酸 グルコン酸、ヒドロキシエタンジホスホン 、ニトリロトリスメチレンホスホン酸およ それらの塩からなる群より選択される1種以 である[9]の方法。
[11]チューブ中に、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物が封入された還元型補酵素 Q 10 含有製品。
[12]チューブが、プラスチックチューブ、金 チューブまたは複合チューブである[11]の製 。
[13]チューブの材質の少なくとも一部に、ア ミニウムが用いられている[11]または[12]の製 品。
[14]チューブの口の直径が10mm以下である、[11] ~[13]のいずれかの製品。
[15]一般食品、栄養機能食品、特定保健用食 、栄養補助剤又は栄養剤である[11]~[14]のい れかの製品。
[16]化粧品である[11]~[14]のいずれかの製品。
[17]医薬品または医薬部外品である[11]~[14]の ずれかの製品。
[18]動物薬または飼料である[11]~[14]のいずれ の製品。

 本発明の方法によれば、多大なコストや手 、或いは、特殊な設備を要することなく、 々な形態の還元型補酵素Q 10 含有組成物を安定に保存することができるだ けでなく、目的に応じて、還元型補酵素Q 10 含有組成物を適宜必要な量だけ使用し、残り はそのまま保存するといった、安定的に保存 しながらの繰り返し使用が可能となる。

 以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物をチューブ中で保存するこ とによって、還元型補酵素Q 10 を安定的に保存することができる。

 還元型補酵素Q 10 は、下式(1):

で示される化合物である。

 本発明で使用する還元型補酵素Q 10 は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出 等の従来公知の方法により得ることができる 。具体的には、還元型補酵素Q 10 は、特開平10-109933号公報に記載されているよ うに、例えば、合成、発酵、天然物からの抽 出等の従来公知の方法により酸化型補酵素Q 10 と還元型補酵素Q 10 の混合物である補酵素Q 10 を得た後、クロマトグラフィーを用いて、流 出液中の還元型補酵素Q 10 区分を濃縮する方法等により製造できる。こ の場合には、上記補酵素Q 10 中に残存する酸化型補酵素Q 10 を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸 ナトリウム等の一般的な還元剤を用いて還元 した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行 っても良い。また、還元型補酵素Q 10 は、既存の高純度補酵素Q 10 に上記還元剤を作用させることにより、得る こともできる。

 好ましくは、既存の高純度補酵素Q 10 等の酸化型補酵素Q 10 、或いは酸化型補酵素Q 10 と還元型補酵素Q 10 の混合物である補酵素Q 10 を、一般的な還元剤、例えば、亜ジチオン酸 ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、アス コルビン酸類等を用いて還元することにより 得られたものである。より好ましくは、既存 の高純度補酵素Q 10 等の酸化型補酵素Q 10 、或いは酸化型補酵素Q 10 と還元型補酵素Q 10 の混合物である補酵素Q 10 を、アスコルビン酸類を用いて還元すること により得られたものである。またそのように して製造された市販の還元型補酵素Q 10 (例えば株式会社カネカ製「カネカ・コエン イムQH」)を使用することもできる。あるい 、既存の酸化型補酵素Q 10 と、上記のような還元剤とを含有する組成物 を、チューブに充填させた後に、チューブ中 で還元反応を行い、還元型補酵素Q 10 としてもよい。

 本発明で使用する還元型補酵素Q 10 は、還元型補酵素Q 10 単独であっても良いし、還元型補酵素Q 10 と酸化型補酵素Q 10 の混合物である補酵素Q 10 であってもよい。還元型補酵素Q 10 と酸化型補酵素Q 10 の混合物である補酵素Q 10 を使用する場合の補酵素Q 10 の総量(すなわち、還元型補酵素Q 10 及び酸化型補酵素Q 10 の合計)に占める還元型補酵素Q 10 の割合は、特に制限されないが、還元型補酵 素Q 10 の持つ機能を効果的に発揮させる等の観点か ら、例えば20重量%以上、普通40重量%以上、好 ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量% 以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好 ましくは96重量%以上である。上限は100重量% あり、特に限定されないが、普通99.9重量%以 下である。なお、本明細書にいう還元型補酵 素Q 10 及び酸化型補酵素Q 10 の重量やその割合等は、後述の実施例に記載 の方法で測定したものである。

 本発明で使用されるチューブとしては、 質的に気体や内包物の流通のない包装材料 形成された、押し出しチューブやそれに類 るチューブ型の容器(チューブ容器)であれ 特に限定されない。例えば、ポリエチレン ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルア コール、塩化ビニルデンなどのプラスチッ を主原料とするプラスチックチューブ、ア ミ、スズ、鉛などの金属を主原料とする金 チューブ、これらプラスチックや金属、そ 他の材質(例えば紙)などを2種類以上組み合 せて作られる複合チューブ等が挙げられる そのなかでも気密性が高く、内容物に影響 与えないようなタイプのチューブが好まし 用いられる。具体的には、酸素遮断性に優 、かつ内包物への影響が少ない、アルミニ ムをチューブの材質の少なくとも一部に使 しているもの、例えば、アルミニウムを主 料として作られるアルミチューブや、ポリ チレンなどの樹脂とアルミ箔と紙とを組み わせて作られるラミネートチューブなどが ましく使用される。さらに、アルミチュー としては、単層のものより複層のもの(例え 内層にポリエチレンの被膜が形成されてい アルミ二重チューブなど)がより好ましい。

 本発明で使用されるチューブの形状は特 限定されないが、チューブの開口部は使用 差し支えない範囲で小さい方が好ましく、 えばチューブの口の直径(口径)は15mm以下の のが好ましく、10mm以下のものがより好まし い。また、チューブの太さ(長径の最大部分) 長さ等については特に限定されず、使用目 等に応じて適宜選択しうる。例えば、太さ 10~50mm、長さが50~200mmであるチューブが一般 に使用できるが、この範囲外の形状を取る とも可能である。

 本発明においては、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物を上記チューブ中に充填し て保存し、使用時に、使用分だけ内容物を押 し出して適宜目的の用途に用いることで、還 元型補酵素Q 10 を酸化から防護し安定に保存することが出来 る。

 本発明において、チューブ中に充填・保存 れる還元型補酵素Q 10 を含有する組成物としては特に限定されず、 還元型補酵素Q 10 を、薬剤学的および食品衛生学的に許容され る他の素材と常法により適宜添加混合して得 られる混合物であってもよいし、還元型補酵 素Q 10 単独であってもよい。このような還元型補酵 素Q 10 と混合しうる素材としては特に限定されず、 例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、 コーティング剤、着色剤、凝集防止剤、吸収 促進剤、溶解補助剤、安定化剤、健康食品素 材、栄養補助食品素材、ビタミン、香料、甘 味料、防腐剤などが挙げられる。

 上記還元型補酵素Q 10 を含有する組成物の形態・形状は特に限定さ れないが、チューブへの充填性や使用時の押 し出し性等を考慮して、クリーム状、ジェル 状、半固形状、スラリー状、または粘度のあ る液状等に調製するのが好ましい。但し、常 温では固体であっても加温時に半固体あるい は液状となる組成物であれば、加温してチュ ーブより押し出し可能であり、そのような形 態も許容できる。

 本発明において、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物中に、抗酸化物質、抗酸化 酵素、キレート剤などをさらに含有させて共 存させることにより、保存中もしくは繰り返 し使用時の還元型補酵素Q 10 の酸化に対する安定性をより向上させること が出来る。このような抗酸化物質としては、 特に限定されないが、ビタミンE、ビタミンE 導体、ビタミンC、ビタミンC誘導体、リコ ン、ビタミンA、カロテノイド類、ビタミンB 、ビタミンB誘導体、クエン酸、クエン酸誘 体、フラボノイド類、ポリフェノール類、 ルタチオン、α-リポ酸、セレンなどが挙げ れる。抗酸化酵素としては、特に限定され いが、スーパーオキサイドディスムターゼ(S OD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタ チオン-S-トランスフェラーゼ、グルタチオン 還元酵素、カタラーゼ、アスコルビン酸ペル オキシダーゼなどが挙げられる。キレート剤 としては、特に限定されないが、エチレンジ アミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハ ク酸、ヒドロキシイミノジ酢酸、ヒドロキシ エチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレ ントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸 、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、N,N- カルボキシメチルグルタミン酸、N,N-ビスヒ ロキシエチルグリシン、1,3-プロパンジアミ ンテトラ酢酸、グルコン酸、ヒドロキシエタ ンジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホ スホン酸や、それらの塩などが挙げられる。 もちろんこれらを単独で使用しても良いし、 二種以上組み合わせて使用しても良い。

 還元型補酵素Q 10 を含有する組成物をチューブに充填する方法 としては特に限定されず、公知の充填方法を 使用することが出来る。

 本発明においては、必要に応じて、上記還 型補酵素Q 10 を含有する組成物が充填されたチューブを、 さらに、鋼製のドラム、ファイバードラム、 ダンボール、PTP包装、三方シール包装、四方 シール包装、ピロー包装等の外装中に入れる こともできる。さらに、外装中に防湿剤等を 同封できる。防湿剤としては、例えば、シリ カゲル、塩化カルシウム、酸化カルシウム、 モレキュラシーブ等が挙げられる。

 また、本発明においては、還元型補酵素Q 10 を含有する組成物を調製する際や、チューブ に充填する際に、脱酸素雰囲気下で実施する ことにより、酸化防止効果をさらに高めるこ とができ、好ましい。脱酸素雰囲気は、不活 性ガスによる置換、減圧やこれらを組み合わ せることにより達成できる。少なくとも、不 活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲 気を用いるのが好適である。上記不活性ガス としては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス 、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙 げることができ、好ましくは窒素ガスである 。

 上記本発明の保存方法を利用することによ 、還元型補酵素Q 10 は安定に保持される。所定期間、所定条件で 保存した後の、還元型補酵素Q 10 の残存率は、保存条件やチューブ中に内包さ れた還元型補酵素Q 10 を含有する組成物の組成にもよるため特に限 定されないが、普通約20%以上、好ましくは約 40%以上、より好ましくは約60%以上、さらに好 ましくは約80%以上となる。なお、ここでいう 残存率とは、保存後の組成物中の還元型補酵 素Q 10 の重量/チューブに充填した時の組成物中の 元型補酵素Q 10 の重量(あるいは、保存後の補酵素Q 10 の総重量に占める還元型補酵素Q 10 の重量割合/チューブに充填した時の補酵素Q 10 の総重量に占める還元型補酵素Q 10 の重量割合)として求められるものである。 た、所定期間とは、目的や用途に応じて必 な保存・使用期間のことであり特に限定さ ないが、例えば2週間以上、好ましくは1ヶ月 以上、さらに好ましくは3ヶ月以上である。 定条件とは、保存時または使用時に想定さ る条件であり、目的や用途によって異なる 、例えば、室温・空気中保存、あるいは冷 所保存等が一例として挙げられる。目安と て、空気中、室温下、1ヶ月保存後の還元型 酵素Q 10 の残存率が20%以上であることが好ましい。

 上記本発明の方法によって、チューブ中に 元型補酵素Q 10 を含有する組成物を充填して得られる、チュ ーブ形態の加工品は、還元型補酵素Q 10 含有製品として、一般食品、栄養機能食品、 特定保健用食品、栄養補助剤又は栄養剤など の食品用途や、化粧品、医薬品、医薬部外品 、動物薬または飼料などの用途に利用するこ とが出来る。

 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳 く説明するが、本発明はこれら実施例に限 されるものではない。

 また、実施例中の還元型補酵素Q 10 の純度、還元型補酵素Q 10 及び酸化型補酵素Q 10 の重量、ならびにそれらの比や割合は下記HPL C分析により求めた。なお、得られた還元型 酵素Q 10 の純度は本発明における純度の限界値を規定 するものではなく、また同様に、総補酵素Q 10 に対する還元型補酵素Q 10 の割合も、その上限値を規定するものではな い。

 (HPLC分析条件)
カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径) 、移動相;C 2 H 5 OH:CH 3 OH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元 補酵素Q 10 の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q 10 の保持時間;13.3min。

 (製造例1)
 1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q 10 、60gのL-アスコルビン酸を加え、78℃にて攪 し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで 却し、同温を保持しながらエタノールを400g 添加した。このエタノール溶液(還元型補酵 Q 10 を100g含む)を攪拌しながら、約10℃/時間の冷 速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得 た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶 を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に 洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、 さらに、湿結晶を減圧乾燥(20~40℃、1~30mmHg)す ることにより、白色の乾燥結晶95gを得た。な お、減圧乾燥を除く全ての操作は窒素雰囲気 下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素 Q 10 /酸化型補酵素Q 10 の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q 10 の純度は99.4%であった。

 (調製例1)還元型補酵素Q 10 含有クリーム
 以下の成分組成の還元型補酵素Q 10 を0.1重量%含有するクリームを調製した。
植物性スクワラン
トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル
セタノール
メチルポリシロキサン
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
精製水
1,3-ブチレングルコール
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイル メチルタウリンNa)コポリマー
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビ タン
パラオキシ安息香酸エステル
製造例1で得られた還元型補酵素Q 10

 (実施例1、比較例1)
 調製例1で得られた還元型補酵素Q 10 含有クリームを、密閉ポリプロピレン製のプ ラスチックチューブ(口径12mm、チューブの太 25mm)に充填した(実施例1)。また同様に、調 例1で得られた還元型補酵素Q 10 含有クリームを、ナンコー容器(エビスヤ製 ナンコー容器L:ポリプロピレン製、口径40mm 高さ25mm)に入れた(比較例1)。

 <安定性評価>
 実施例1のチューブ入り還元型補酵素Q 10 含有クリームと比較例1のナンコー容器入り 元型補酵素Q 10 含有クリームを、それぞれ室内(室温、空気 )に保存した。保存直後、2週間後、4週間後 クリーム中の総補酵素Q 10 に対する還元型補酵素Q 10 の重量割合(還元型補酵素Q 10 比)を測定した。その結果を表1に示す。なお 各サンプルはチューブ、ナンコー容器とも れぞれ3つ作成し、クリーム充填・封入後、 すぐに蓋をし、還元型補酵素Q 10 比測定時まで密閉した状態で保存した。測定 のため蓋を開けたものについては、その後の 測定には使用せず破棄した。なお、表中の還 元型補酵素Q 10 比とは、
還元型補酵素Q 10 /(還元型補酵素Q 10 +酸化型補酵素Q 10 ) (重量比)
を表す。

 以上の結果、比較例1のナンコー容器中に保 存されたクリームでは、室温保存で4週間後 は還元型補酵素Q 10 比が10%重量以下まで低下し、安定に保存する ことが出来なかった。それに対して、実施例 1のチューブ中に充填されたクリームでは、4 間後も60重量%以上の高い還元型補酵素Q 10 比で還元型補酵素Q 10 を含有するクリームを保存することが出来た 。すなわち、同じ密閉容器であっても、ナン コー容器に比べてチューブ容器が、還元型補 酵素Q 10 の保存安定性に非常にすぐれていることが確 認された。

 (実施例2)
 調製例1にて得られた還元型補酵素Q 10 含有クリームを、表2記載の各チューブに充 し、室内(室温、空気中)に保存した。本実施 例においては繰り返し使用時における安定性 を評価するため、充填後に1日1回、クリーム 0.2mg取り出す操作を繰り返しながら、保存 、2週間後および4週間後の、クリーム中の総 補酵素Q 10 に対する還元型補酵素Q 10 の重量割合(還元型補酵素Q 10 比)を測定した。その結果を表3に示す。なお サンプルは各チューブともそれぞれ3つ作成 して試験を行い、平均値を算出した。表中の 還元型補酵素Q 10 比は、前述の通りである。

 以上の結果、繰り返し使用を想定した保 においては、チューブの材質にアルミを使 した、アルミラミネートチューブやアルミ ューブが好ましいこと、チューブの口径は さいほど保存安定性に優れること、チュー の太さも保存安定性に影響を与えることな がわかった。