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Title:
MIMO DECODING METHOD AND MIMO DECODER AS WELL AS MIMO RECEIVER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016741
Kind Code:
A1
Abstract:
MIMO communication technology to improve estimation accuracy (MIMO decoding performance) of a transmission signal in MIMO communication. A MIMO decoding method generates a triangular matrix (R) which minimizes a scalar sum of a non-diagonal component of the triangular matrix (R) in a process of obtaining a unitary matrix (Q) and the triangular matrix (R) by QR-resolving a propagation path estimated value matrix (H), and uses the obtained triangular matrix (R), the unitary matrix (Q) and a reception signal received by a reception antenna to estimate the signal transmitted from a transmission antenna.

Inventors:
OGAWA DAISUKE (JP)
DATEKI TAKASHI (JP)
FURUKAWA HIDETO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/065001
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 31, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
OGAWA DAISUKE (JP)
DATEKI TAKASHI (JP)
FURUKAWA HIDETO (JP)
International Classes:
H04J15/00
Foreign References:
JP2005176020A2005-06-30
JP2003273837A2003-09-26
Other References:
HYUNSEOK LEE HYOUNGSUK ET AL.: "A Novel Detection Algorithm Using the Sorted QR Decomposition Based on Log-Likelihood Ratio in V-BLAST Systems", WIRELESS COMMUNICATIONS, NETWORKING AND MOBILE COMPUTING, 2006 . WICOM 2006.INTERNATIONAL CONFERENCE, 24 September 2006 (2006-09-24), pages 1 - 4, XP031074183
WENJIE JIANG ET AL.: "MMSE Criterion Fast Decision Feedback Equalization Algorithm for Spatial Multiplexing Systems", VEHICULAR TECHNOLOGY CONFERENCE, vol. 64th, September 2006 (2006-09-01), pages 1 - 5, XP031051118
KENICHI HIGUCHI ET AL.: "Adaptive Selection Algorithm of Surviving Symbol Replica Candidates in QRM-MLD for MIMO Multiplexing Using OFCDM Wireless Access", TECHNICAL REPORT OF IEICE, RCS2004-69, May 2004 (2004-05-01)
D. WUBBEN J ET AL.: "Efficient Algorithm for Detecting Layered Space-Time Codes", 4TH INTERNATIONAL ITG CONFERENCE ON SOURCE AND CHANNEL AND CODING
Attorney, Agent or Firm:
SANADA, Tamotsu (5th Floor 10-31,Kichijoji-honcho 1-chome,Musashino-sh, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間の伝搬路推定値に基づいて前記受信アンテナで受信された信号をMIMO復号するMIMO復号方法であって、
 伝搬路推定値行列HをQR分解することによってユニタリー行列Qと三角行列Rとを得る過程において、三角行列Rの非対角成分のスカラー和が最小となる三角行列Rを生成し、
 得られた三角行列Rと、前記ユニタリー行列Qと、前記受信アンテナで受信された受信信号とを用いて、前記送信アンテナから送信された信号を推定する、
ことを特徴とする、MIMO復号方法。
 前記三角行列Rを生成する過程において、前記非対角成分の電力和が最小となる三角行列Rを生成する、ことを特徴とする、請求項1記載のMIMO復号方法。
 前記三角行列Rを生成する過程において、前記非対角成分の振幅和が最小となる三角行列Rを生成する、
ことを特徴とする、請求項1記載のMIMO復号方法。
 前記三角行列Rを生成する過程において、前記非対角成分のスカラー和が小さくなるように、列入れ替え操作を行なう、
ことを特徴とする、請求項1記載のMIMO復号方法。
 前記三角行列Rを生成する過程において、前記非対角成分の電力和が小さくなるように、前記列入れ替え操作を行なう、
ことを特徴とする、請求項4記載のMIMO復号方法。
 前記三角行列Rを生成する過程において、前記非対角成分の振幅和が小さくなるように、前記列入れ替え操作を行なう、
ことを特徴とする、請求項4記載のMIMO復号方法。
 前記QR分解に、グラムシュミットの直交化法、あるいは、ハウスホルダー変換を用いることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のMIMO復号方法。
 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間の伝搬路推定値に基づいて前記受信アンテナで受信された信号をMIMO復号するMIMO復号装置であって、
 伝搬路推定値行列HをQR分解することによってユニタリー行列Qと三角行列Rとを得る過程において、三角行列Rの非対角成分のスカラー和が最小となる三角行列Rを生成するQR分解部と、
 前記QR分解手段によって得られた得られた三角行列Rと、前記ユニタリー行列Qと、前記受信アンテナで受信された受信信号とを用いて、前記送信アンテナから送信された信号を推定するMIMO復号部と、
をそなえたことを特徴とする、MIMO復号装置。
 請求項8記載のMIMO復号装置をそなえたことを特徴とする、MIMO受信機。
Description:
MIMO復号方法及びMIMO復号装置並 にMIMO受信機

 本発明は、MIMO(Multiple Input Multiple Output) 線通信におけるMIMO復号方法及びMIMO復号装 並びにMIMO受信機に関する。

 次世代通信技術としてMIMO伝送技術が盛ん に研究されている。MIMOは、複数の送信アン ナと複数の受信アンテナを用いることで、 送容量を向上させる技術である。MIMO通信で 、複数の送信アンテナから送信された信号 混信して受信装置の各受信アンテナで受信 れる。

 図5は、送信アンテナ数をM、受信アンテナ をNとした場合のMIMO通信を示しており、送信 側(Tx)において、M本の送信アンテナから送信 号x 1 ,x 2 ,…,x M を送信し、受信側(Rx)では、受信信号y 1 ,y 2 ,…,y N を受信する。

 ここで、受信アンテナ#i(i=1~N)における受信 号y i は、送信アンテナ#j(j=1~M)と受信アンテナ#iと 間の伝搬路値(チャネル値)をh ij として、下記の(1)式で表すことができる。

 したがって、受信アンテナ#1~#Nにおける受 信号は、以下の(2)式のように表現すること できる。

 この(2)式を受信信号ベクトルy,送信信号ベ トルx及び行列Hによって記述すると、下記の (3)式となる。

 ただし、送信信号ベクトルxは下記(4)式、受 信信号ベクトルyは下記(5)式、行列(チャネル 列)Hは下記(6)式でそれぞれ表される。また (4)式及び(5)式において、Tは転置を意味する

 受信側では、伝搬路を通じて混ざり合っ 受信される送信信号を分離(以後、MIMOデコ ドと呼ぶこととする)する必要があり、前記( 3)式による受信信号ベクトルyとチャネル行列 Hを用いて、送信信号ベクトルxを推定する。

 MIMOデコード方法には、様々な手法が提案 されており、例えば、MLD(Maximum Likelihood Detec tion),MMSE(Minimum Mean Square Error),V-BLAST(Vertical -  Bell Laboratories Layered Space Time)などがある.

 一方、MIMOデコード方法において、QR分解 用いることで送信信号を推定しやすくする 法が提案されている(例えば、後記の特許文 献1,非特許文献1,2参照)。

 即ち、チャネル行列Hは、以下の(7)式に示す ように、QR分解によってユニタリー行列(直交 行列)Qと上三角行列Rとに分解できるため、前 記(3)式に左からユニタリー行列Q H を乗算することで、下記の(8)式となる。なお 、「上三角行列」とは対角線の左下の成分が 零のものである。

 このように、受信信号zは、送信信号xに 三角行列Rを乗算した形となるため、送信信 を推定しやすくなる。

 このQR分解を用いたMIMOデコード法は既に くつか提案されており、例えば、非特許文 1では、MLDと組み合わせることによって低演 算量で送信信号を推定することを実現してい る。

 また、非特許文献2では、LST(Layered Space T ime) architectureに適用して、受信性能を高める 手法が提案されている。

 QR分解を用いる手法では、例えば送信アン ナ数及び受信アンテナ数がともに3の3×3MIMO ステムの場合、前記(2)式は下記(9)式となり QR分解を用いることによって、下記(10)式を る。

 QR分解は、例えば、グラムシュミット(Gram -Schmidt)の直交化法を用いることでチャネル行 列Hからユニタリー行列Qと上三角行列Rとを得 ることができる。

 3×3MIMOシステムの場合、グラムシュミット 直交化法を用いると、上三角行列Rは以下の( 11)式、ユニタリー行列Qは以下の(12)式で表す とができる。

 ただし、
であり、q j H のHは複素共役を表す。

 前記(10)式より、まず、x 3 を推定し、推定したx 3 を用いてx 2 を推定し、最後にx 3 とx 2 とを用いてx 1 を推定するといったように順番に送信信号を 推定する。

 ここで、x 3 を推定し、推定したx 3 を用いてx 2 を推定するという関係を考えると、x 3 の推定精度をできるだけ上げるのが好ましく 、そのためには、上三角行列のr 33 の成分ができるだけ大きいことが望ましい。

 上三角行列Rの成分を操作するためには、 チャネル行列Hについて、列ベクトルの入れ え操作を行なう必要がある。例えば、前記(9 )式のチャネル行列Hの2列目と3列目とを入れ えた場合、下記の(16)式となり、QR分解を用 ることで、下記の(17)式を得る。

 ここで、前記(10)式の上三角行列と前記(17) の上三角行列とは異なり、送信信号推定過 における誤り伝播を考慮すると、r 33 の成分が大きい方を選ぶ方が好ましい。

 実際、非特許文献2では、r 33 が大きくなるように、チャネル行列Hの列方 を入れ替えながらQR分解を行なうことで、受 信特性を改善する手法を提案している。

特開2003-273837号公報 樋口 健一ら、“QRM-MLDを用いるOFCDM MIMO 重における信頼度情報を用いる適応生き残 シンボルレプリカ候補選択法”、信学技報 RCS2004-69、2004年5月 D. Wubben J, at et al.、“Efficient Algorithm for Detecting Layered Space-Time Codes”、4th Intern ational ITG conference on source and channel and cod ing,Berlin,Janary 2002

 非特許文献2の手法は、QR分解の過程で、上 角行列の対角成分が大きくなるように制御( 列の並べ替え)を行なう。3×3の場合を例に図6 を用いて説明する。まず、図6の(1)に示す行 Hの各列ベクトルに対して、
を計算し、これら3つの中で最小値となる列 探す。

 この例では、1列目が最小であったとして、 図6の(2)に示すように、1列目に対して、[r 11 ,0,0] T に変換する演算を行なう。

 次に、2列目、3列目に対して、同様に列 クトルの2乗和を計算し、小さい列を探す。 の例では、3列目が小さかったと仮定してお り、図6の(3)に示すように、2列目と3列目とを 入れ替えて図6の(4)に示す上三角行列を得る

 この手法は、対角成分のみに着目して上三 行列を得ており、前記(10)式におけるr 33 の成分をできるだけ大きくし、x 3 の誤りを軽減することを目的としている。

 しかしながら、この手法は、前述したよう 対角成分のみに着目しており、それ以外の 分については考慮していない。そのため、x 3 の推定精度が十分でなく、x 3 に誤りが発生した場合、それ以降の送信信号 判定にこの誤りが伝播するため、十分な受信 性能(復調性能)が得られない。

 本発明は、このような課題に鑑み創案され もので、その目的の一つは、MIMOシステムに おける送信信号の推定精度を向上することに ある。
 また、MIMOシステムの受信側において十分な 受信性能(復調性能)を得ることも本発明の目 の一つである。

 なお、前記目的に限らず、後述する発明 実施するための最良の形態に示す各構成に り導かれる作用効果であって、従来の技術 よっては得られない作用効果を奏すること 本発明の他の目的の一つとして位置付ける とができる。

 上記の目的を達成するために、本発明では 以下に示すMIMO復号方法及びMIMO復号装置並 にMIMO受信機を用いる。
 (1)即ち、本発明のMIMO復号方法は、複数の送 信アンテナと複数の受信アンテナとの間の伝 搬路推定値に基づいて前記受信アンテナで受 信された信号をMIMO復号するMIMO復号方法であ て、伝搬路推定値行列HをQR分解することに ってユニタリー行列Qと三角行列Rとを得る 程において、三角行列Rの非対角成分のスカ ー和が最小となる三角行列Rを生成し、得ら れた三角行列Rと、前記ユニタリー行列Qと、 記受信アンテナで受信された受信信号とを いて、前記送信アンテナから送信された信 を推定する。

 (2)ここで、前記三角行列Rを生成する過程 において、前記非対角成分の電力和が最小と なる三角行列Rを生成してもよい。

 (3)また、前記三角行列Rを生成する過程に おいて、前記非対角成分の振幅和が最小とな る三角行列Rを生成してもよい。

 (4)さらに、前記三角行列Rを生成する過程 において、前記非対角成分のスカラー和が小 さくなるように、列入れ替え操作を行なって もよい。

 (5)また、前記三角行列Rを生成する過程に おいて、前記非対角成分の電力和が小さくな るように、前記列入れ替え操作を行なっても よい。

 (6)さらに、前記三角行列Rを生成する過程 において、前記非対角成分の振幅和が小さく なるように、前記列入れ替え操作を行なって もよい。

 (7)また、前記QR分解には、グラムシュミ トの直交化法、あるいは、ハウスホルダー 換を用いてもよい。

 (8)さらに、本発明のMIMO復号装置は、複数 の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間 の伝搬路推定値に基づいて前記受信アンテナ で受信された信号をMIMO復号するMIMO復号装置 あって、伝搬路推定値行列HをQR分解するこ によってユニタリー行列Qと三角行列Rとを る過程において、三角行列Rの非対角成分の カラー和が最小となる三角行列Rを生成する QR分解部と、前記QR分解手段によって得られ 得られた三角行列Rと、前記ユニタリー行列Q と、前記受信アンテナで受信された受信信号 とを用いて、前記送信アンテナから送信され た信号を推定するMIMO復号部と、をそなえる

 (9)また、本発明のMIMO受信機は、前記(8)記 載のMIMO復号装置をそなえる。

 前記本発明によれば、MIMO通信における送信 信号の推定精度(MIMO復号性能)を向上すること ができる。
 また、MIMO通信の受信側において十分な受信 性能(復調性能)を得ることができる。

本発明の第1実施形態に係るMIMO受信機 要部の構成を示すブロック図である。 図1に示すQR分解部による上三角行列Rの 生成動作を説明すべく複数の上三角行列のパ ターンを示す図である。 本発明の第2実施形態に係るQR分解部に る上三角行列Rの生成動作を説明する図であ る。 本発明による受信アンテナ1本あたりの SNRとブロックエラーレート(BLER)との関係を従 来技術と比較して示すグラフである。 M×NのMIMO通信システムを説明する模式 である。 非特許文献2のQR分解の過程で上三角行 Rが生成される手法を説明する図である。

符号の説明

 21-1~21-N 受信アンテナ
 22-1~22-N ADコンバータ(ADC)
 23 伝搬路(チャネル)推定値行列生成部
 24 QR分解部
 25 MIMO復号部

 以下、図面を参照して本発明の実施の形 を説明する。ただし、本発明は、以下に示 実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸 しない範囲で種々変形して実施できること いうまでもない。

 〔1〕第1実施形態
 図1は本発明の第1実施形態に係るMIMO受信機 要部の構成を示すブロック図で、この図1に 示すMIMO受信機は、例えば、複数(N本)の受信 ンテナ21-1~21-Nと、受信アンテナ21-i(i=1~N)毎に 設けられたADコンバータ(ADC)22-iと、伝搬路(チ ャネル)推定値行列生成部23と、QR分解部24と MIMO復号部25とをそなえる。なお、MIMO送信機 図示は省略するが、図5と同様に、複数(M本) の送信アンテナを具備し、これらのMIMO送信 とMIMO受信機とで、M×NのMIMOシステムが構成 れる。

 ここで、前記受信アンテナ21-iは、それぞ れ、MIMO送信機のM本の送信アンテナからそれ れ送信された送信信号を受信するものであ 、ADC22-iは、それぞれ、対応する受信アンテ ナで受信された信号をデジタル信号に変換す るものである。なお、図1において、当該AD変 換に先立って行なわれる、低雑音増幅、無線 周波数からベースバンド周波数への周波数変 換等の所定の受信処理についての図示は省略 している。

 伝搬路推定値行列生成部23は、M本の送信ア テナとN本の受信アンテナ21-iとを結ぶ伝搬 (チャネル)の推定値(h ij )を求め、当該チャネル推定値を要素とする ャネル行列(H)を生成する機能を具備する。 記チャネル推定値は、パイロット信号等のMI MO送信機とMIMO受信機との間で既知の信号に基 づいて求めることができる。

 QR分解部24は、前記チャネル行列をQR分解し ユニタリー行列Qと上三角行列Rとを生成す 機能を具備し、本例では、後述するように 送信信号ベクトルの成分x 3 に誤りが発生した場合の誤り伝播による影響 を軽減するために、上三角行列Rの対角成分 外の成分、即ち、前記の(10)式におけるr 12 ,r 13 ,r 23 の非対角成分に着目し、これらの成分が小さ くなるような上三角行列Rを生成することで 受信性能を改善できるようになっている。

 MIMO復号部25は、ADC22-iからの受信信号と、 QR分解部24でそれぞれ得られたユニタリー行 Q及び上三角行列Rとを用いて、前記(8)式によ り送信信号を推定してMIMOデコードを行なう 能を具備し、前記QR分解部24とともにMIMO復号 装置を構成する。

 以下、上述のごとく構成された本実施形 のMIMO受信機の動作、とりわけQR分解部24で QR分解処理に着目した動作について説明する 。以下においては、送信アンテナ数M=3、受信 アンテナ数N=3の3×3MIMOシステムの場合につい 説明するが、一般化したM×NのMIMOシステム おいても本発明は同様に適用することがで る。

 QR分解部24では、上三角行列Rに関し、0では い上三角成分について対角成分を除いた成 の個々について絶対値の2乗(|・| 2 )(これは電力を求めていることに相当する)を 計算し、これらの総和(電力和(スカラー和)) 小さくなるような上三角行列Rを生成し、こ とともにチャネル行列Hを上三角行列Rに変 するためのユニタリー行列Qも生成する。

 例えば図2に示すように、3×3の上三角行列R 求める際に、考えられる列ベクトル入れ替 操作のパターン#kは、k=1~6の6通りある。QR分 解部24は、この6通りすべてにおいて、上三角 行列Rとユニタリー行列Qとを求め、この6つの 上三角行列Rについて、対角成分以外の成分( 2中に点線三角枠で囲まれた成分)に関して 2乗和
を計算し(この場合k=1,2,…,6)、この値が最小 なる上三角行列RをMIMOデコードに用いる上三 角行列Rとして選択(決定)する。

 なお、QR分解には、グラムシュミットの 交化法を用いることができる。ただし、ハ スホルダー(Householder)変換を用いた場合にお ても、同様な6通りのQR分解結果(上三角行列 Rとユニタリー行列Q)を得ることができるため 、同様に適用することが可能である。

 MIMO復号部25は、このようにして得られた 三角行列Rと、前記ユニタリー行列Qと、ADC22 -iからの受信信号とを用いて、前記(8)式によ 送信信号を推定する。

 このように、本例のMIMO受信機によれば、上 三角行列Rの対角成分以外の成分、即ち、前 の(10)式における非対角成分(r 12 ,r 13 ,r 23 )に着目し、これらの成分が小さくなるよう 上三角行列Rを生成することができるので、 信信号ベクトルの成分x 3 に誤りが発生した場合の誤り伝播による影響 を軽減することができ、送信信号の推定精度 、つまりはMIMO復号性能が向上し、受信性能 向上する。

 なお、上述した例では、上三角行列Rを求め る過程において、対角成分を除く上三角成分 の電力(|・| 2 )を計算し、これらの総和に基づいて上三角 列Rを決める(生成する)こととしたが、各非 角成分の振幅(|・|)和(スカラー和)に基づい 上三角行列Rを決める(生成する)ことも可能 ある。

 〔2〕第2実施形態
 次に、以下では、前記QR分解部24で上三角行 列Rを求める際の演算量を軽減する手法につ て、図3を用いて説明する。

 まず、チャネル行列Hを構成する3つの列ベ トル([h 11  h 21  h 31 ] T ,[h 12  h 22  h 32 ] T ,[h 13  h 23  h 33 ] T )のうち、一列目に配置すべき列ベクトルを める。

 前述したグラムシュミットの直交化法を用 ると、最初の演算で1列目が三角化されると ともにr 12 とr 13 も得ることができる。r 11 を求めるために、前記(14)式よりu 1 (=h 1 )を求める必要があり、u 1 が求まると前記(15)式よりq 1 が求まる。これにより、r 12 =q 1 H h 2 と、r 13 =q 1 H h 3 とが求まる。

 本例では、このことを利用し、一列目に3つ の列ベクトルを配置した場合のそれぞれにつ いてQR分解を行なう。したがって、非対角成 のr 12 とr 13 は、3通り得ることができ、この3通りのr 12 とr 13 の組み合わせについてそれぞれ|r 12 | 2 +|r 13 | 2 を計算し、この値が最小となる場合を選ぶ。 つまり、図3において点線枠で囲まれた非対 成分r 12 ,r 13 の2乗和(電力和)が小さくなるような列ベクト ルの入れ替え操作を行ない、QR分解する。図3 の例では、1列目に[h 11  h 21  h 31 ] T が選ばれたとして、次のステップに移る。

 次に、2列目に配置できるベクトルは、[r 11  h 22 ' h 32 '] T と[r 13  h 23 ' h 33 '] T とが考えられ、これら2つに対し、QR分解を行 ない、それぞれに対してr 23 を得る。|r 13 | 2 +|r 23 | 2 を計算し、この値が小さい方を2列目に選ぶ つまり、図3において実線枠で囲まれた成分r 13 ,r 23 の2乗和(電力和)が小さくなるような列ベクト ルの入れ替え操作を行ない、QR分解する。

 そして、|r 13 | 2 +|r 23 | 2 の値が小さい方を2列目に選んだ結果の上三 行列Rを、MIMOデコードに用いる上三角行列R して決定(生成)する。

 このように、本例では、第1実施形態のよ うに、考えられる列ベクトル入れ替え操作の パターン#kのすべてについて非対角成分の2乗 和を求める必要がないから、QR分解部24での 算量を削減することができる。

 上記の処理は,グラムシュミットの直交化法 とした処理であるが,ハウスホルダー変換を いた場合においても,同様に最初の演算で1列 目が三角化されるとともにr 12 とr 13 も得ることが可能であるため,同様に適用す ことができる.

 なお、本例では、列ベクトルの入れ替え操 を非対角成分の電力(|・| 2 )に基づき決定したが、振幅(|・|)に基づき決 してもよい。

 図4に、第2実施形態の手法でのMIMO受信機 1アンテナあたりのSNR(Signal to Noise Ratio)対 ロックエラーレート(BLER)特性を計算機シミ レーションした結果を示す。ただし、送信 ンテナ数M=4、受信アンテナ数N=4の4×4MIMOシ テムを前提とし、マルチパス環境は6-ray typi cal urban modelとした。

 この図4に示すように、点線で示す従来技 術(非特許文献2の方法)による特性に比して、 実線で示す本例による場合の方が、BLER=0.01に おいて、約0.7dBの改善効果があり、ブロック り率が優れている。

 以上詳述したように、本発明によれば、M IMO通信における送信信号の推定精度(MIMO復号 能)を向上することができるから、無線通信 技術分野に極めて有用と考えられる。