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Title:
MODIFIED CROSS-SECTION COIL SPRING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136514
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a modified cross-section coil spring, in which a coil wire having a modified cross-section is coiled into a spring shape and then subjected to a fatigue strength improving treatment including a shot-peening treatment. The modified cross-section coil spring is characterized in that a coil inner circumference portion of a longitudinal section contour line is expressed in a polar coordinate system and an orthogonal coordinate system by the following formulas (1) and (2): x = (LR - Δb)cosnxrθ + Δb - - - (1) and y = SRsinnyrθ - - - (2), (in formulas (1) and (2), θ designates an angle of deviation of the polar coordinate system, and 0 degrees ≤ θ < 90 degrees, 270 degrees ≤ θ < 360 degrees, 0.7 ≤ nxr ≤ 0.9, 0.8 ≤ nyr ≤ 1.0, and 0.1SR ≤ Δb ≤ 0.3SR). The modified cross-section coil spring can have a more homogeneous and higher fatigue strength along the sectional circumference direction of the coil wire.

Inventors:
ISOBE HISAO (JP)
MATSUMOTO JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053154
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
February 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOGO SEISAKUSHO KK (JP)
ISOBE HISAO (JP)
MATSUMOTO JUN (JP)
International Classes:
F16D13/64; F16F1/06; F16F15/123; F16F15/134; F16H45/02
Domestic Patent References:
WO2006129710A12006-12-07
Foreign References:
JPH02186137A1990-07-20
JPS59190528A1984-10-29
JPS61167728A1986-07-29
JPS60241535A1985-11-30
Attorney, Agent or Firm:
OHKAWA, HIROSHI (JP)
Okawa 宏 (JP)
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Claims:
異形断面を有するコイル素線をばね形状にコイリングしてから、ショットピーニング処理を含む疲労強度改善処理を施してなる異形断面コイルばねであって、
 極と、該極からコイル中心軸に向かってコイル半径方向に延びる始線とを有する極座標系において、前記コイル素線のコイル軸方向に沿う縦断面輪郭線は、前記極を中心とするとともに前記コイル半径方向を長径方向とする略楕円形をなし、かつ、前記縦断面輪郭線の長径側最大径を2LR、前記縦断面輪郭線の短径側最大径を2SR、前記長径方向における中心オフセット係数をδbとするとともに、前記極を原点、前記始線をx軸の正の部分とする直交座標系において、内側x軸係数をnxr、内側y軸係数をnyrとしたとき、
 前記縦断面輪郭線のコイル内周側部分が下記(1)式及び(2)式で表されることを特徴とする異形断面コイルばね。
  x=(LR-δb)cos nxr θ+δb       …(1)
  y=SRsin nyr θ               …(2)
 (ただし、前記(1)式及び(2)式において、θは前記極座標系の偏角であり、かつ、0°≦θ<90°、270°≦θ<360°、0.7≦nxr≦0.9、0.8≦nyr≦1.0、0.1SR≦δb≦0.3SRである。)
前記直交座標系において、外側x軸係数をnxl、外側y軸 係数をnylとしたとき、
 前記縦断面輪郭線のコイル外周側部分が下記(3)式及び(4)式で表される請求の範囲第1項に記載の異形断面コイルばね。
  x=-{(LR-δb)|cos nxl θ|-δb}    …(3)
  y=SRsin nyl θ                 …(4)
 (ただし、前記(3)式及び(4)式において、90°≦θ<270°、0.8≦nxl≦1.6、0.3≦nyl≦0.6であり、δbは前記(1)式及び(2)式におけるδbの値に等しい。)
前記縦断面輪郭線が、少なくとも10°≦θ≦70°及び290°≦θ≦350°の前記偏角の範囲において、等疲労強度  断面線又は等疲労強度近似断面線となっている請求の範囲第1項又は第2項に記載の異形断面コイルばね。
コイルの重心径をD、コイルの丸線換算径をdとしたとき、
 ばね指数(D/d)が3.0~6.0である請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の異形断面コイルばね。
自動車用マニュアルトランスミッションの クラッチダンパー又はオートマチックトランスミッションロックアップダンパーに使用される請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の異形断面コイルばね。
Description:
異形断面コイルばね

 本発明は異形断面コイルばねに関し、詳 くは異形断面のコイル素線をコイリングし から疲労強度改善処理を施してなる異形断 コイルばねに関する。

 一般に、コイルばねは断面が円形のコイ 素線によって作られる。この種のコイルば にコイル軸方向の荷重が作用すると、コイ 素線の断面周上に発生する表面応力はコイ の外周側よりも内周側で大きくなる。この イル素線の断面周上に発生する表面応力は コイル素線が湾曲している影響(ねじり力) 加えて剪断力の影響を受けて発生するから ある。このため、この種のコイルばねでは 表面応力の高くなるコイル内周側で、折損 原因となるクラックが発生しやすい。

そこで、コイル軸方向の荷重が作用したと きに発生する、コイル素線の断面周上におけ る表面応力の偏りをできるだけ少なくするた めに、コイル素線の断面を卵形に近い異形断 面とした異形断面コイルばねが知られている (例えば、特開昭59-190528号公報を参照)。

 この異形断面コイルばねは、図8に示される ように、コイル素線80のコイル軸方向に沿う   断面において、コイル内周側に卵形部81 有し、コイル外周側に扁平部82を有してい 。すなわち、コイル素線80の縦断面輪郭線が 曲線部分(C-B-A-E-D)と直線部分(C-D)とにより構 されている。なお、コイル素線80の縦断面輪 郭線のうち最もコイル中心軸に近い部位が、 異形断面コイルばねの最内側端Aとされる。 た、
本明細書において、「コイル内周側」とは、 特に断らない限り、コイル素線のコイル軸方 向に沿う縦断面におけるコイル内周側(コイ ばねの中心側)のことであり、「コイル内周 」とは、特に断らない限り、コイル素線の イル軸方向に沿う縦断面におけるコイル内 側(コイルばねの中心側)のことであり、
 この異形断面コイルばねでは、コイルばね 最外側部に扁平部82を設けることで、軸方 荷重が作用したときの応力分担をコイル外 側で大きくすることができ、その結果軸方 荷重が作用したときの表面応力をコイル素 80の断面周上において均等化できると、記載 されている。

 ところで、コイルばね(異形断面ばねを含 む)は、一般に、疲労強度を向上させる為に ョットピーニング処理等の疲労強度改善処 が施される。しかし、コイルばねには、そ 立体的構造(コイル素線の重なり具合など)に より、  ショットピーニング処理しやすい 位(例えば、図8に示す最内側端A付近)と処理 難い部位(例えば、図8に示す最内側端AからB 端又はE端に向かう途中の部位からB端又はE端 付近)が存在する。このため、ショットピー ング処理等によるコイルばねの疲労強度改 度合は、コイル素線の断面周方向に同等と なり得ない。

 一般のコイルばねに対して、ショットピ ニング等の疲労強度 改善処理を施した場 の、コイル内周側(A端からB端付近まで)にお る疲労強度割合の分布を図9に示す。なお、 図9では、極座標系において、偏角θが0°とな る位置(A端)がコイルの中心軸に一番近い位置 である。また、B端は偏角θが90°となる位置 あり、E端は偏角θが270°となる位置にある。 なお、疲労強度割合とは、偏角θが0°である 置(A端)の疲労強度を1.0(100%)とした場合の、 角が各角度である位置の疲労強度の割合で る。

 また、図9から理解できるように、一般の コイルばねに疲労強度改善 処理を施した場 、疲労強度割合は、コイルばねのA側(最内 端)からB端(或はE端)側に向かって低下する。 つまり、コイル素線の断面周方向において、 コイル中心軸に一番近い部位(A端側、0°付近) から断面周方向に沿って、B端或いはE端に向 うほど、ショットピーニング処理の難易度 増すことに連れて疲労強度の改善度合が低 する。このことは、従来の異形断面コイル ねでも同様である。

 ところが、従来の異形断面コイルばねに いては、コイル素線80の縦断面輪郭線(断面 状)を所定の異形状にすることで、軸方向荷 重が作用したときの表面応力分布の偏りを改 善しようとしているが、ショットピーニング 処理等の疲労  強度改善処理後の疲労強度 では考慮していない。このため、従来の異 断面コイルばねにおける等応力設計断面輪 線は、等疲労強度断面線とはなり得ない。 まり、コイル素線80の断面周方向において、 コイル内周側に疲労強度の低い部位が存在す る。

 また、従来の異形断面コイルは、少ない 画パラメータ数でコイル素線80の縦断面輪 線を設計している。作画パラメータ数が少 いと、縦断面輪郭線を細かく調整しつつ設 することができない。このため、従来の異 断面コイルでは、疲労強度改善処理による 労強度改善度合の周方向分布を考慮した上 、縦断面輪郭線を細かく調整しようとして 、それに十分に対応することができない。

 本発明は上記した実情に鑑みてなされた のであり、コイル素線の断面周方向に沿っ より均等且つ高い疲労強度を有する異形断 コイルばねを提供することを課題とする。

 本発明者は、縦断面輪郭線を細かく調整 つつ 設計することを可能とするために、 たに断面パラメータを細分化した縦断面輪 線の式を創作した。また、疲労強度改善処 が表面応力分布に及ぼす影響を調べ、コイ 素線の断面周方向における疲労強度改善度 の分布を実験等により求めた。そして、コ ル素線の断面周方向における疲労強度改善 合の分布を加味しつつ、前記縦断面輪郭線 新たな式におけるパラメータ値を有限要素 (FEM)で検討、算出して、等疲労強度断面線に 近づくようにコイル素線の縦断面輪郭線を設 計し、本発明を完成した。さらに、縦断面輪 郭線のうちコイル外周側の形状は、コイル内 周側の表面応力分布にさほど影響を与えない ことを確認した。

 (1)こうして完成した本発明の異形断面コイ ばねは、異形断面を有するコイル素線をば 形状にコイリングしてから、ショットピー ング処理を含む疲労強度改善処理を施して る異形断面コイルばねであって、極と、該 からコイル中心軸に向かってコイル半径方 に延びる始線とを有する極座標系において 前記コイル素線のコイル軸方向に沿う縦断 輪郭線は、前記極を中心とするとともに前 コイル半径方向を長径方向とする略楕円形 なし、かつ、前記縦断面輪郭線の長径側最 径を2LR、前記縦断面輪郭線の短径側最大径 2SR、前記長径方向における中心オフセット 数をδbとするとともに、前記極を原点、前 始線をx軸の正の部分とする直交座標系にお いて、内側x軸係数をnxr、内側y軸係数をnyrと たとき、前記縦断面輪郭線のコイル内周側 分が下記(1)式及び(2)式で表されることを特 とする。
  x=(LR-δb)cos nxr θ+δb       …(1)
  y=SRsin nyr θ               …(2)
 (ただし、前記(1)式及び(2)式において、θは 記極座標系の偏角であり、かつ、0°≦θ<9 0°、270°≦θ<360°、0.7≦nxr≦0.9、0.8≦nyr≦1. 0、0.1SR≦δb≦0.3SRである。)

ここで、前記コイル軸方向とは異形断面コ イルばねの 中心軸方向のことである。また 前記コイル半径方向とは異形断面コイルば の中心軸方向と垂直な方向のことである。

 前記略楕円形とは、幾何学的に定義され 楕円形ではなく、楕円形に近似した形状を う。この略楕円形の輪郭線は、所定の式に づいて決定され、曲線部のみからなるもの び曲線部と直線部とからなるものの双方を む。

 本発明の異形断面コイルばねでは、コイ 素線の縦断面輪郭線のコイル内周側部分が 記(1)式及び(2)式で表される。すなわち、本 明の異形断面コイルばねでは、縦断面輪郭 のコイル内周側部分を設計するために、中 オフセット係数δb、内側x軸係数nxr及び内側 y軸係数nyrという3つのパラメータを含む新た 式が用いられる。これにより、縦断面輪郭 のコイル内周側部分を細かく調整しつつ設 することが可能となる。

 また、前記(1)式及び(2)式における中心オ セット係数δb、内側x軸係数nxr及び内側y軸 数nyrの3つのパラメータの範囲は、ショット ーニング処理を含む疲労強度改善処理が表 応力分布に及ぼす影響を考慮して、コイル 周側部分の断面周方向において疲労強度が り均等且つ高くなるように設定されている

 したがって、本発明の異形断面コイルばね 、コイル素線の断面周方向のうちでコイル 周側部分において、より均等且つ高い疲労 度を有する。
 (2)前記直交座標系において、外側x軸係数を nxl、外側y軸係数をnylとしたとき、前記縦断 輪郭線のコイル外周側部分が下記(3)式及び(4 )式で表されることが好ましい。
  x=-{(LR-δb)|cos nxl θ|-δb}    …(3)
  y=SRsin nyl θ                 …(4)
 (ただし、前記(3)式及び(4)式において、90° θ<270°、0.8≦nxl≦1.6、0.3≦nyl≦0.6であり、 δbは前記(1)式及び(2)式におけるδbの値に等し い。)

 この構成によると、コイル素線の断面輪 線のコイル外周側 部分が前記(3)式及び(4) で表される。すなわち、縦断面輪郭線のコ ル外周側部分を設計するために、中心オフ ット係数δb、外側x軸係数nxl及び外側y軸 係 nylという3つのパラメータを含む新たな式が 用いられる。これにより、縦断面輪郭線のコ イル外周側部分を細かく調整しつつ設計する ことが可能となる。

 また、前述のとおり、コイル素線の縦断 輪郭線のうちコイル 外周側の形状は、コ ル内周側の表面応力分布にさほど影響を与 ないことが、本発明者の実験等により判明 ている。そこで、前記(3)式及び(4)式におけ 中心オフセット係数δb、外側x軸係数nxl及び 側y軸係数nylの3つのパラメータの範囲は、 断面輪郭線のうちコイル外周側の部分が直 又は直線に近い線を一部に含むように設定 れている。すなわち、縦断面輪郭線のコイ 外周側部分が前記(3)式及び(4)式で表される イル素線は、コイル外周側に平坦面又はほ 平らな面を有する。これにより、縦断面輪 線の形状がコイル内周側とコイル外周側と 異なるコイル素線となる。このため、この イル素線をコイルばね形状にコイリングす 際に、コイル素線の「コイル内周側になる 側と「コイル外周側になる」側とを簡単に 別することができ、その作業効率が向上す とともに、高い疲労強度を持つ異形断面コ ルばねを確実に製造することができる。

 さらに、前記(3)式及び(4)式における中心 フセット係数δb、外側x軸係数nxl及び外側y 係数nylの3つのパラメータの範囲は、コイル 周側部分の断面周方向において疲労強度が り均等且つ高くなるようにも設定されてい 。このため、この 異形断面コイルばねは コイル素線の断面周方向の全体において、 り均等且つ高い疲労強度を有する。

 (3)前記縦断面輪郭線が、少なくとも10°≦ θ≦70°及び290°≦θ≦350°の前記偏角の範囲に おいて、等疲労強度断面線又は等疲労強度近 似断面線となっていることが好ましい。

 ここで、前記等疲労強度近似断面線とは 疲労強度がある一定の許容範囲(平均値から ±10%)内に維持された断面線である。

 (4)本発明の異形断面コイルばねにおいて コイルの重心径をD、コイルの丸線換算径を dとしたとき、ばね指数(D/d)が3.0~6.0であるこ が好ましい。

 (5)本発明の異形断面コイルばねは、自動 用 マニュアルトランスミッションのクラ チダンパー又はオートマチックトランスミ ションロックアップダンパーに使用される とが好ましい。

図1は、実施例に係る異形断面コイルば ねの縦断面輪郭線を極座標系で示したもので ある。 図2は、従来の疲労強度改善処理実施後 の異形断面コイルばねの表面応力を加味した 疲労強度割合の分布及び本実施形態の疲労強 度改善処理実施後の異形断面コイルばねの表 面応力を加味した疲労強度割合の分布を比較 したものである。 図3は、実施例に係る異形断面コイルば ねの縦断面輪郭線の調整可能な領域を示すも のである。 図4は、実施例に係る異形断面コイルば ねのコイル素線の縦断面輪郭線のコイル内周 側部分の表面応力分布を示すものである。 図5は、比較例に係る異形断面コイルば ねの縦断面輪郭線のコイル内周側部分の表面 応力分布を示すものである。 図6は、実施例及び比較例に係る異形断 面コイルばねの中心オフセット係数δbが異形 断面コイルばねの内周側の表面応力分布に及 ぼす影響を示すものである。 図7は、実施例に係る異形断面コイルば ねの外側x軸係数nxl、外側y軸係数nylが異形断 コイルばねの内周側の表面応力分布に及ぼ 影響を示すものである。 図8は、従来の「異形断面」コイルばね の縦断面を示すものである。 図9は、一般のコイルばねに疲労強度改 善 処理を実施した後のコイルばねの疲労強 割合の分布を示すものである。

 本実施形態の異形断面コイルばねは、コ ル素線をばね形状にコイリングしてなるも である。更に、コイリング形成された異形 面コイルばねに対して疲労強度改善処理が われる。なお、疲労強度改善処理は少なく もショットピーニング処理を含み、その他 処理工程を有するものである。

 また、本実施形態の異形断面コイルばね コイル素線は異形断面である。具体的には 図1に示すように、本実施形態の異形断面コ イルばねのコイル素線1の縦断面輪郭線10は、 極Oと、極Oからコイル中心軸に向かってコイ 半径方向に延びる始線OXとを有する極座標 において、極Oを中心とするとともにコイル 径方向を長径方向とする略楕円形をなす。 お、図1は、本実施形態の異形断面コイルば ねのコイル素線1のコイル軸方向に沿う縦断 輪郭線10を示すものである。

 また、コイル素線1の縦断面輪郭線10は内 側部分101と外周側部分102とを備え、外周側 分102は、さらに、二つの曲線部分1021と、そ の間に形成されたほぼ直線の直線部分1022と 備える。

 前記極座標系において、縦断面輪郭線10 長径側最大径を2LR、縦断面輪郭線10の短径側 最大径を2SR、長径方向における中心オフセッ ト係数をδbとするとともに、極Oを原点、始 OXをx軸の正の部分とする直交座標系におい 、 内側x軸係数をnxr、内側y軸係数をnyrとし とき、本実施形態の異形断面コイルばねの イル素線1の縦断面輪郭線10のコイル内周側 分101が前記(1)式及び(2)式で表される。

 ここで、本実施形態の異形断面コイルば は、前記(1)式及び(2)式において、0°≦θ<9 0°、270°≦θ<360°、0.7≦nxr≦0.9、0.8≦nyr≦1. 0、0.1SR≦δb≦0.3SRとされている。

 内側x軸係数nxr、内側y軸係数nyr及び中心 フセット係数δbを上記範囲とすることによ 、ショットピーニング処理を含む疲労強度 善処理が表面応力分布に及ぼす影響が考慮 れ、コイル内周側部分101の断面周方向にお て  疲労強度がより均等且つ高くなるよう 設定できる。また、0.7≦nxr≦0.85、0.9≦nyr≦ 1.0、0.15SR≦δb≦0.25SRであることは、より好ま しい。

 また、外側x軸係数をnxl、外側y軸係数をny lとしたとき、本実施形態の異形断面コイル ねのコイル素線1の縦断面輪郭線10のコイル 周側部分102は前記(3)式及び(4)式で表される

 ここで、本実施形態の異形断面コイルば は、前記(3)式及び(4)式において、90°≦θ< 270°、0.8≦nxl≦1.6、0.3≦nyl≦0.6とされ、δbは 記(1)式及び(2)式におけるδbの値に同等とさ ている。

 外側x軸係数nxl、外側y軸係数nylを上記範 とすることにより、コイル外周側部分102の 面周方向において疲労強度がより均等かつ くなるように設定できる。

 このように、nxr、nyr、nxl、nyl、δbの5つの パラメータを上記所定範囲に設定することに より、本実施形態の異形断面コイルばねは、 コイル素線1の縦断面輪郭線10の周方向の全体 において、より均等且つ高い疲労強度を有す ることができる。つまり、コイル素線1の縦 面輪郭線(断面形状)10を細かく調整すること 、表面応力に対する疲労強度改善処理の悪 響を軽減することができ、結果的に、図2に 示すように、本 実施形態の異形断面コイル ね(実線で示す)のコイル素線1の断面周方向 沿って、より均等かつ高い疲労強度を持つ 形断面コイルばねが実現できる。図2は、本 実施形態の異形断面コイルばね(実線で示す) び従来の異形断面コイルばね(点線で示す) ついて、表面応力を加味した疲労強度割合 比較したものである。なお、「表面応力を 味した疲労強度割合」における「表面応力 加味した」とは、断面周方向の応力の変化 加味したことを意味し、ここでの「表面応 」は表面に生じる剪断応力を意味する。

 図2に示すように、従来品(点線で示す)では コイル素線の 縦断面輪郭線の周上におい 、表面応力を加味した疲労強度割合は、偏 θが10°~70°の間で、40°付近を底とする谷状 なっている。
 一方、図9にも示したように、一般のコイル ばねでは、ショット  ピーニング等の疲労 度改善処理を実施した場合、コイル素線の イル内周側における疲労強度割合は、偏角θ が約10°以上になると減少し、特に偏角θが10 から45°付近の間では、疲労強度割合が急激 減少している。この結果、図2に示すように 、従来の異形断面コイルばねでは、表面応力 を加味した疲労強度割合の低下は、偏角θが1 0°付近から60°付近までの部分に集中しやす 、特に偏角θが10°付近から45°までの範囲に 急激な低下傾向が見られる(図2に点線で示 )。

 これに対して、本実施形態の異形断面コ ルばね( 実線で示す)は、コイル素線1の断 周方向全体、特に内周側部分101(0°≦θ<90° 、270°≦θ<360°も同様)において、周方向に り均等な、表面応力を加味した疲労強度割 が得られている。よって、本実施形態の異 断面コイルばねは、より均等かつ高い疲労 度を有している。

 また、上記5つのパラメータを用いること により、本実施形態の異形断面コイルばねで は、コイル素線1の縦断面輪郭線10を表面応力 分布がより均等にかつ高くなるように自由に 設定することができる(図3に示す)。図3は、 記5つのパラメータを所定範囲に設定するこ により、本実施形態の異形断面コイルばね コイル素線1の縦断面輪郭線10(断面形状)の 整可能な領域の一例を示す。

 具体的には、図3に示すように、本実施形 態の異形断面コイルばねでは、内側x軸係数nx r、内側y軸係数xyr及び中心オフセット係数δb 所定範囲に設定することにより、コイル素 1の縦断面輪郭線10の内周側部分101において り均等かつ高い疲労強度を維持することが き、また、外側x軸係数nxl、外側y軸係数nyl 所定範囲に設定することにより、縦断面輪 線10の外周側部分102の直線部分1022の長さ等 自由に調整することができる。

 また、本実施形態の異形断面コイルばね コイル素線1は、外側x軸係数nxl、外側y軸係 nylを上記範囲に調整することで、コイル外 側に平坦面又はほぼ平らな面を有する。こ により、縦断面輪郭線10の形状がコイル内 側とコイル外周側とで異なるコイル素線1と るため、このコイル素線1を異形断面コイル ばね形状にコイリングする際に、コイル素線 1の「コイル内周側になる」側と「コイル外 側になる」側とを簡単に識別することがで 、その作業効率が向上するとともに、高い 労強度を持つ異形断面コイルばねを確実に 造することができる。

 また、本実施形態の異形断面コイルばね コイルの重心径をDとし、コイルの丸線換算 径をdとしたとき、ばね指数(D/d)を3.0~6.0とす ことができる。なお、重心径とは、異形断 の重心位置におけるコイル径のことである また、丸線換算径とは、異形断面の断面積 断面積が同一の真円線の直径のことである

 ここで、ばね指数(D/d)が3.0以下である場 には、加工上の問題で成形が難しく、また ばね指数(D/d)が6.0以上である場合には、異形 線による表面応力分散効果が薄れ、また、疲 労強度の低下割合が図9に示す程ではなくな 。

 本実施形態の異形断面コイルばねは、例 ば、 以下の4つのステップにより製造する とができる。まず、異形断面コイルばねの 本形状を予め設定する。そして、疲労強度 善処理が表面応力分布に及ぼす影響を調べ 為に、コイル素線の断面周方向における疲 強度改善度合の分布を実験などにより求め 。次に、疲労強度改善度合の分布の実験デ タから上記各パラメータ値が所定範囲内と るように検討、算出し、等疲労強度断面線 近づくようにコイル素線の縦断面輪郭線を 計する。最終的に設計された縦断面輪郭線( 断面形状)のコイル素線を用いてコイリング 工し、更に疲労強度改善処理を行うことに り異形断面コイルばねを製造する。

 以下、本実施形態の異形断面コイルばね 製造 方法における上記の4つのステップを り具体的に説明する。

 まず、異形断面コイルばねを製造するに 、異形断面コイルばねの基本形状が必要な め、予めその基本形状を決定する。

 そして、コイル素線1(断面形状を問わな )を前記基本形状にコイリング加工して、実 用コイルばねとする。実際に異形断面コイ ばねを製造する際に行う疲労強度改善処理 実験用コイルばねに施す。コイル素線1の重 なり具合によって発生する疲労強度改善度合 の分布を調べる。具体的には、疲労強度改善 処理を施す前後のコイル素線の断面周方向に おける表面応力分布をそれぞれ求め、その差 異により疲労強度割合の分布を求める。なお 、ここでは、実験により疲労強度改善度合の 分布を調べる方法を採用したが、この他には 、例えば、パソコンにおけるシミュレーショ ンにより疲労強度割合を調べる方法も採用で きる。

 次に、疲労強度改善処理による疲労強度 善度合の分布の実験データに応じて、有限 素法(FEM)により、(1)式~(4)式に用いるパラメ タ値を最適化し、等疲労強度断面線に近づ ようにコイル素線の縦断面輪郭線10を設計 る。

 最後に、最終的に設計された縦断面輪郭 10(断面形状)を持つコイル素線1を実際にコ リング加工し、疲労強度改善処理を行って 形断面コイルばねを製造する。

 このように製造された本実施形態の異形 面コイルばねは、好ましくは自動車用マニ アルトランスミッションのクラッチダンパ 又はオートマチックトランスミッションロ クアップダンパーに使用される。

(実施例)
 本実施例の異形断面コイルばねのコイル素 1の 縦断面輪郭線(断面形状)10は、図1に示 極座標系において、前記(1)式~(4)式で表され 。

 図1に示すように、本実施例の異形断面コ イルばねのコイル素線1の縦断面輪郭線10は、 内周側部分101と外周側部分102とを備えている 。また、外周側部分102は、二つの曲線部分102 1と、その間に形成されたほぼ直線の直線部 1022とを備えている。

 また、本実施例では、前記(1)式~(4)式を満 たす縦断面輪郭線10を有するコイル 素線1を イリング加工し、一定条件のショットピー ング処理を行い、コイルばねを製造した。

 なお、コイリング加工の条件は、オイル ンパー線を用い、冷間にてコイリング成形 行い、さらにコイリング時の残留応力除去 ため、450℃で均熱30分以上の低温焼きなま を行うものであった。また、ショットピー ング処理の条件は、粒径φ0.6mm(HV550)にて30分 1段ショットピーニング処理を行った後、ね じり降伏点を回復させるために、225℃で均熱 15分以上の低温焼きなましを行うものであっ 。

 各実施例に基づき、上記(1)式~(4)式に係る パラメータである内側x軸係数nxr、内側y軸係 nyr、外側x軸係数nxl、外側y軸係数nyl及び中 オフセット係数δbが、コイル素線1の断面周 向の表面応力分布に及ぼす影響について検 した。

(実施例1~6) 
 実施例1~6では、前記(1)式~(4)式において、外 側x軸係数nxl、外側y軸係数nyl及び中心オフセ ト係数δbを固定し、内側x軸係数nxr、内側y 係数nyrを表1に示すように変化させて、異形 面コイルばねのコイル素線1の(内周側部分10 1)の 表面応力分布をパソコンでシミュレー ョンした(図4に示す)。なお、図4は、実施例1 ~6のコイル素線1の縦断面輪郭線10(内周側部分 101)における、シミュレーションされた表面 力分布を示す。この表面応力分布は、コイ ング加工した時点(ショットピーニング処理 )でのコイル素線1についてのものである。

 図4に示す実施例1~6から理解できるように 、内側x軸係数nxrを0.7~0.9の範囲に、内側y軸係 数nyrを0.8~1.0の範囲にすることにより、偏角θ が10°付近から45°付近までの間に、断面周上 おける表面応力の所定の減少傾向が得られ 。また、偏角θが45°を過ぎてもほぼ平坦な 線(表面応力分布)が得られた。特に、内側x 係数nxrを0.7~0.8の範囲とし、かつ、内側y軸 数nyrを0.9~1.0の範囲とした実施例1~4では、偏 θが10°付近から45°付近までの間において、 偏角θが増加するにつれて表面応力が徐々に 少した。コイリング加工した時点でこのよ な表面応力分布を持つコイル素線1に対して 、ショットピーニングなどの疲労強度改善処 理を実施することにより、コイル素線1のコ ル内周側部分において表面応力が周方向に 均等になることを有効に抑制することがで 、したがって、周方向により均等な表面応 を加味した疲労強度割合を得ることができ (図2に 実線で示す)。

即ち、ショットピーニング等の疲労強度改 善処理による、コイル素線1の縦断面輪郭線10 の周方向における疲労強度の改善度合の差異 (特に10°<θ<45°の範囲内)を予め考慮し、 側x軸係数nxr、内側y軸係数nyrを用いて異形 面コイルばねの縦断面輪郭線10(断面形状)を かく操作することによって、周方向により 等な、表面応力を加味した疲労強度割合を する異形断面コイルばねを設計することが きた。よって、より均等かつ高い疲労強度 持つ異形断面コイルばねを製造することが きた。また、本実施例の異形断面コイルば の表面応力を加味した疲労強度割合の値は 図2に示すように、偏角θが10°~70°の範囲内 いて、周方向にほぼ均等になっていた。

(比較例1~11) 
 以下、比較例として、内側x軸係数nxr、内側 y軸係数nyrを所定範囲外に設定した場合に、 れらがコイル素線の断面周方向に沿った表 応力の分布に及ぼす影響について検討した

比較例1~11は、実施例1と基本的に同様である 、内側x軸係数nxr、内側y軸係数nyrの設定を 定 範囲外に変更した例である。なお、比較 例1~11では、nxr、nyrを表2に示すように変化さ て、異形断面コイルばねのコイル素線1の( 周側部分101)の 表面応力分布をパソコンで ミュレーションした(図5に示す)。図5は、比 例1~11のコイル素線1の縦断面輪郭線10(内周 部分101)における、シミュレーションされた 面応力分布を示す。

 図5から理解できるように、比較例2~9に示 す異形断面コイルばねでは、コイル素線1の 断面輪郭線10の周方向(内側部分101)に沿って 角θが0°~20°の範囲内において、表面応力の 分布が増加傾向にある。このため、これらの 異形断面コイルばねに対してショットピーニ ング処理を実施しても、表面応力を加味した 疲労強度割合を周方向に有効に均等化するこ とができず、等疲労強度(近似)断面線になり ない。

 また、図5から理解できるように、比較例 1、10、11に示す異形 断面コイルばねでは、 イル素線1の縦断面輪郭線10の周方向(内側部 101)に沿って偏角θが10°~45°の範囲内におい 、表面応力の分布が減少傾向にあるが、偏 θが45°を過ぎると急激に上昇する傾向にあ 、その度合いが大きい。このため、これら 異形断面コイルばねに対してショットピー ング処理を実施しても、表面応力を加味し 疲労強度割合を周方向に有効に均等化する とができず、等疲労強度(近似)断面線にな 得ない。

 図5に示す比較例1~11から理解できるよう 、比較例2~9では、偏角θが10°付近からの表 応力の分布に低下傾向が見られないため、 労強度改善処理後の表面応力を加味した疲 強度割合の均等化に不利である。また、比 例1、10、11では、偏角θが10°付近から表面応 力の分布は低下する傾向にあるが、45°を過 ると、急激に上昇する傾向になり、同様に 労強度改善処理後の表面応力の均等化に不 である。

さらに、内側x軸係数nxrが0.7よりも小さい き、偏角θが45°を過ぎると表面応力が急激 上昇する傾向になりやすく、一方、内側x軸 数nxrは0.9よりも大きいとき、偏角θが0°付 での表面応力を加味した疲労強度割合が下 り過ぎる傾向になりやすい。

 図5に示す比較例1~11と図4に示す実施例1~6 比較してみると、  実施例1~6の異形断面コ イルばねの(内周側)表面応力分布は、偏角θ 10°付近から45°付近までは所定の低下傾向に なっており、そして45°を過ぎても、急激に 昇する傾向にならないため、疲労強度改善 理後の表面応力を加味した疲労強度割合の 等化に有利であることが分かった。

(実施例7~9)
 実施例7~9は、基本的に実施例1と同様であり 、更に内側x軸係数nxr、内側y軸係数nyrを0.75、 1.0にそれぞれ固定し、中心オフセット係数δb の設定を変更した例である。

 実施例7~9では、δbを表3に示すように変更さ せた上で、異形断面コイルばねのコイル素線 1の(内周側部分101)の表面応力分布をパソコン でシミュレーションした(図6に示す)。なお、 図6は、実施例7~9のコイル素線1の縦断面輪郭 10(内側周部分101)における、シミュレーショ ンされた表面応力分布を示す。

 図6から理解できるように、実施例7~9の異 形断面コイルばねでは、コイル素線1の縦断 輪郭線10の周方向(内側)に沿って偏角θが10°~ 45°の範囲内において、表面応力の分布は所 の減少傾向にある。また、偏角θが45°付近 表面応力は0°付近の表面応力よりも低いこ が分かる。このため、中心オフセット係数δ bを所定の範囲に設定することにより、ショ トピーニング処理により有効な表面応力を 味した疲労強度割合の向上を促進すること でき、コイル素線1の縦断面輪郭線10に対し 、表面応力を加味した疲労強度割合を等疲 強度(近似)断面線になるように微調整するこ とができる。

(比較例12、13)
 以下、δbを所定範囲外に設定してシミュレ ションを行った比較例について説明する。

 比較例12、13は、実施例7~9と基本的に同様 であり、中心オフセット係数δbの設定を所定 範囲外に変更した例である。

 比較例12、13では、δbを表4に示すように変 させた上で、異形断面コイルばねのコイル 線1の(内周側部分101)の表面応力分布をパソ ンでシミュレーションした(図6に示す)。

 図6から理解できるように、比較例12、13 異形断面コイルばねでは、コイル素線1の縦 面輪郭線10の周方向(内側)に沿って偏角θが1 0°~45°の範囲内において、表面応力の分布は 定の減少傾向が見られない。また、偏角θ 45°付近の表面応力は0°付近の表面応力より 高いことが分かる。このため、この異形断 コイルばねでは、ショットピーニング処理 よる表面応力を加味した疲労強度割合の有 な向上にならず、等疲労強度(近似)断面線 なり得ない。

 また、図6に示す実施例7~9と比較例12、13 比較して理解できるように、中心オフセッ 係数δbを所定範囲内に調整することで、コ ル素線1の縦断面輪郭線10(断面形状)が調整さ れ、表面応力曲線の傾き具合を細かく補正す ることができる。

 一方、中心オフセット係数δbは、0.3SRを えると、偏角θが45°付近の表面応力が0°付 の表面応力よりも大きくなり、疲労強度改 処理後の表面応力を加味した疲労強度割合 均等化に不利である。

(実施例10~18)
 実施例10~18では、前記(1)式~(4)式において、 側x軸係数nxr、内側y軸係数nyr及び中心オフ ット係数δbを固定し、外側x軸係数nxl、外側y 軸係数nylを表5に示すように変化させて、異 断面コイルばねの表面応力分布をパソコン シミュレーションした(図7に示す)。なお、 7は、実施例10~18の異形断面コイルばねの縦 面輪郭線10の外周側部分102における、シミュ レーションされた表面応力  分布を示す。

 図7から理解できるように、実施例10~18の 形断面コイルばねでは、コイル素線1の縦断 面輪郭線10の周方向において、外側x軸係数nxl 、外側y軸係数nylは、縦断面輪郭線10の外周側 部分102の表面応力分布にさほど影響を与えな いことが分かる。なお、nxl、nylを設定するこ とにより、コイル素線の縦断面輪郭線10の外 側部分102の形状を決定することができる。

 図7に示す実施例10~18から理解できるよう 、外側x軸係数nxl、外側y軸係数nylを変化さ ることにより外周側の表面応力分布を微調 することができる。また、図3にも示したよ に、外側x軸係数nxl及び外側y軸係数nylを調 することにより、異形断面コイルばねのコ ル素線1の縦断面輪郭線10の外周側部分102の 形を曲線から直線或いは直線に近い線形に 定することができる。これにより、縦断面 郭線10の形状がコイル内周側101とコイル外周 側102とで異なるコイル素線1となる。このた 、このコイル素線1をコイルばね形状にコイ ングする際に、コイル素線1の「コイル内周 側になる」側と「コイル外周側になる」側と を簡単に識別することができ、異形断面コイ ルばねの生産効率が向上する。

 このように、内側x軸係数nxr、内側y軸係数ny r及び(原点の)中心オフセット係数δbを所定の 範囲で適宜に設定することにより、コイル素 線1の縦断面輪郭線(断面形状)の内周側部分101 を細かく調整することができる。また、外側 x軸係数nxl、外側y軸係数nyl及び中心オフセッ 係数δbを所定の範囲で適宜に設定すること より、コイル素線1の縦断面輪郭線1の外側 分102を細かく調整することができる。これ より、本実施例の異形断面コイルばねのコ ル素線1の断面周方向に、より均等かつ高い 労強度を有することができ、コイル内周側 おける表面応力が高くなることによる折損 発生が有効に抑制され、コイルばねの疲労 命が長くなる。
 

本発明の異形断面コイルばねは、自動車用 マニュアルトランスミッションのクラッチダ ンパー又はオートマチックトランスミッショ ンロックアップダンパーなどに好適に用いら れる。