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Title:
MULTI-THREAD ROLLING DIE MANUFACTURING METHOD, MULTI-THREAD ROLLING DIE, AND MULTI-THREAD BOLT MANUFACTURING METHOD USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126344
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a multi-thread rolling die manufacturing method for improving the durability of a fine thread working portion, a multi-thread rolling die, and a multi-thread bolt manufacturing method. The multi-thread rolling die comprises a parallel thread ridge (5) having an extended parallel thread, and a projection (6) corresponding to the fine thread ridge formed periodically in the bottom (5a) of the parallel thread ridge (5) in accordance with the phase shift between the fine thread ridge and the parallel thread ridge extended from the fine thread. The bottom portion (6c) of the portion having the projection (6) corresponding to the fine thread is so raised as to become flat at a position shallower than the bottom (5b) of the reference parallel thread.

Inventors:
TAKEMASU TERUIE (JP)
MIYAHARA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000550
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYUSHU TLO CO LTD (JP)
TAKEMASU TERUIE (JP)
MIYAHARA HIROSHI (JP)
International Classes:
B21H3/04; B23G5/04; B23P15/24
Foreign References:
JP2004345076A2004-12-09
JP2006144896A2006-06-08
JP2005288456A2005-10-20
JPS61209808A1986-09-18
JP2004114269A2004-04-15
Attorney, Agent or Firm:
KATO, Hisashi (Asaco-Hakata Bldg. 11-5, Hakataekihigashi 1-chome, Hakata-ku, Fukuoka-sh, Fukuoka 13, JP)
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Claims:
 並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と、細目ねじを展開した細目ねじ山と前記並目ねじ山との位相ずれに応じて前記並目ねじ山の谷部に周期的に形成された前記細目ねじ山に対応する突起とを備えた多重ねじ転造ダイスの製造方法であって、
 ねじ転造ダイス材料に、並目ねじ山の山頂部を平坦にした形状を有する第1の切削工具を、前記細目ねじ山に対応する突起の最大高さ以下の位置まで送り込み、前記ねじ転造ダイス材料の一部分を切削することにより、前記ねじ転造ダイス上の並目ねじ山の山部分を形成する工程と、
 前記切削後のねじ転造ダイス材料に、細目ねじ山の形状を有する第2の切削工具を、前記ねじ転造ダイス上の並目ねじ山の谷部から前記細目ねじ山に対応する突起の形状に合わせて送り込み、前記ねじ転造ダイス材料を基準となる並目ねじ山の谷底よりも浅い位置まで切削することにより、前記ねじ転造ダイスの並目ねじ山の谷部分および前記細目ねじ山に対応する突起を形成する工程と
を含む多重ねじ転造ダイスの製造方法。
 前記第2の切削工具は、細目ねじ山の形状のチップを周縁部に備えた回転工具であることを特徴とする請求項1記載の多重ねじ転造ダイスの製造方法。
 並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と、細目ねじを展開した細目ねじ山と前記並目ねじ山との位相ずれに応じて前記並目ねじ山の谷部に周期的に形成された前記細目ねじ山に対応する突起とを備えた多重ねじ転造ダイスにおいて、
 前記細目ねじ山に対応する突起が形成された部分の底部は、基準となる並目ねじ山の谷底よりも浅い位置で平坦となるように底上げされたものであることを特徴とする多重ねじ転造ダイス。
 並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と、細目ねじを展開した細目ねじ山と前記並目ねじ山との位相ずれに応じて前記並目ねじ山の谷部に周期的に形成された前記細目ねじ山に対応する突起とを備え、前記細目ねじ山に対応する突起が形成された部分の底部が、基準となる並目ねじ山の谷底よりも浅い位置で平坦となるように底上げされた多重ねじ転造ダイスにボルト材料を押し付けて転造する多重ねじボルトの製造方法。
 並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と、細目ねじを展開した細目ねじ山と前記並目ねじ山との位相ずれに応じて前記並目ねじ山の谷部に周期的に形成された前記細目ねじ山に対応する突起とを備え、前記細目ねじ山に対応する突起が形成された部分の底部が、基準となる並目ねじ山の谷底よりも浅い位置で平坦となるように底上げされた多重ねじ転造ダイスにボルト材料が押し付けられて転造された多重ねじボルト。
Description:
多重ねじ転造ダイスの製造方法 よび多重ねじ転造ダイスならびにこれを用 た多重ねじボルトの製造方法

 本発明は、緩み防止機能を有する多重ね ボルトの製造に用いられる多重ねじ転造ダ スの製造方法および多重ねじ転造ダイスな びにこれを用いた多重ねじボルトの製造方 に関する。

 近年、緩み防止機能を有する種々のボル およびその製造方法が研究開発されている 例えば、本発明者らは、特許文献1において 、並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と、 並目ねじ山の谷部に並目ねじと同一方向のつ る巻き線を持ち並目ねじよりもピッチが小さ くかつピッチが異なる複数の細目ねじをそれ ぞれ展開したときに並目ねじ山の位相ずれに 応じて並目ねじ山のn巻きごとに周期的に現 るそれぞれの細目ねじ山に対応する突起と 有する多重ねじ転造ダイスを用いて、多重 じボルトを転造により製造する技術を開示 ている。

 このような多重ねじ転造ダイスにより製 される多重ねじボルトでは、ボルトの並目 じ部に並目ナットを螺合させた後、細目ね 部に細目ナットをこの並目ナットに重ねて 合させて、ボルトおよび両ナット間を締結 せることができる。このような多重ねじボ ト、並目ナットおよび細目ナットにより構 される多重ねじボルト締結体によれば、細 ナットと並目ナットのピッチが異なるので 両者が一体になって同一方向に回転すると 両ナット間の接触面(座面)に反発力が働き 並目ナットが緩み方向に回転するのを防止 ることができる。

特許第3546211号公報

 しかしながら、上記多重ねじ転造ダイス は、並目ねじ山に重ねて細目ねじ山が形成 れるというねじ山(溝)形状の特殊性から、 イス本体端面近傍においてダイスが受ける 力が非常に高い。そのため、多重ねじ転造 イスは、通常の単一ねじ転造用ダイスに比 て、細目ねじ加工部の耐久性、特に耐チッ ング性が劣ってしまうという欠点がある。

 そこで、本発明においては、細目ねじ加 部の耐久性を向上した多重ねじ転造ダイス 製造方法および多重ねじ転造ダイスならび これを用いた多重ねじボルトの製造方法を 供することを目的とする。

 本発明の多重ねじ転造ダイスの製造方法 、並目ねじを展開した並目ねじ山の山部と 細目ねじを展開した細目ねじ山と並目ねじ との位相ずれに応じて並目ねじ山の谷部に 期的に形成された細目ねじ山に対応する突 とを備えた多重ねじ転造ダイスの製造方法 あって、ねじ転造ダイス材料に、並目ねじ の山頂部を平坦にした形状を有する第1の切 削工具を、細目ねじ山に対応する突起の最大 高さ以下の位置まで送り込み、ねじ転造ダイ ス材料の一部分を切削することにより、ねじ 転造ダイス上の並目ねじ山の山部分を形成す る工程と、この第1の切削工具による切削後 ねじ転造ダイス材料に、細目ねじ山の形状 有する第2の切削工具を、ねじ転造ダイス上 並目ねじ山の谷部から細目ねじ山に対応す 突起の形状に合わせて送り込み、ねじ転造 イス材料を基準となる並目ねじ山の谷底よ も浅い位置まで切削することにより、ねじ 造ダイスの並目ねじ山の谷部分および細目 じ山に対応する突起を形成する工程とを含 。

 本発明によれば、並目ねじを展開した並 ねじ山の山部と、細目ねじを展開した細目 じ山と並目ねじ山との位相ずれに応じて並 ねじ山の谷部に周期的に形成された細目ね 山に対応する突起とを備えた多重ねじ転造 イスにおいて、細目ねじ山に対応する突起 形成された部分の底部が、基準となる並目 じ山の谷底よりも浅い位置で平坦となるよ に底上げされた本発明の多重ねじ転造ダイ が得られる。本発明の多重ねじ転造ダイス よれば、並目ねじ山と細目ねじ山の位相が 致する点およびその近傍で細目ねじ山の谷 の深さが規定よりも浅くなり、周期的に変 する谷部の断面積の割合が減少する。これ より、この多重ねじ転造ダイスにボルト材 を押し付けて転造を行うと、ボルト材料は 多重ねじ転造ダイスによって押圧されるこ により、並目ねじ山の表面に沿って塑性変 しながら並目ねじ山の山部の間を埋めてい 、並目ねじ山の谷部に周期的に形成された 目ねじ山に対応する突起の表面に沿って塑 変形しながら突起の間を埋めていくが、本 明の多重ねじ転造ダイスによる転造時には ルト材料が細目ねじ山の谷部に流れ込む際 転造荷重の変動が抑制されるので、耐チッ ング性能が向上する。

 ここで、第2の切削工具は、細目ねじ山の 形状のチップを周縁部に備えた回転工具であ ることが望ましい。多重ねじ転造ダイスを第 2の切削工具により切削する際、通常のバイ によって切削する場合には、ボルト材料の1 転分の細目ねじ山に対応する突起を形成す 際にその前後約0.25回転の位置からバイトを 送り込む必要がある。そのため、ボルト材料 の1回転分の細目ねじ山に対応する突起を形 する際に、前後それぞれ約0.25回転分が切削 れてしまい、チッピングを発生しやすい微 な切欠が多重ねじ転造ダイスに形成されて まう。そこで、本発明では、細目ねじ山の 状のチップを周縁部に備えた回転工具によ 切削することで、ボルト材料の1回転分の細 目ねじ山に対応する突起を形成する際に、そ の突起の形成位置から回転工具を送り込むこ とを可能にする。これにより、チッピングを 発生しやすい微小な切欠がほぼ消失するので 、耐チッピング性能が大幅に向上する。

 なお、本発明において、山部とは、並目 じの有効径に対応する並目ねじ山の位置よ も高い部分をいい、谷部とは同位置よりも い部分をいう。また、並目ねじとは、直径 ピッチとの組み合わせが一般的で最も普通 使用されているねじをいう。また、細目ね とは、並目ねじに比べて直径に対するピッ の割合が細かく、谷が浅いねじをいう。本 明の多重ねじ転造ダイスに係る細目ねじ山 ピッチは、並目ねじ山のピッチ以下であれ よい。また、それぞれのねじ山の形状は、 角ねじ、台形ねじ、角ねじ、鋸歯ねじ、丸 じ、ポールねじやその他の特殊ねじなどの ずれでもよく、任意に組み合わせることも 能である。

 また、本明細書中においては、つる巻き の方向は一致するが、ピッチの異なる二つ 上のねじ山を同軸上に持つ、円柱体または 錐体のことを多重ねじという。多重ねじは ピッチの異なるねじ山の数が2の場合、二重 ねじ、3の場合、三重ねじ、4の場合、四重ね 、・・・、nの場合、n重ねじと呼ぶ。多重 じは、その最も大きなピッチのねじ山と最 小さなピッチのねじ山の比をa対nとするとき (aとnは最小の整数比)、大きなピッチのねじ のピッチaごとにその多重ねじのねじ山の形 は周期的に変化する。

 二重ねじボルトを製造する場合、多重ね 転造ダイスとしての二重ねじ転造ダイスは 並目ねじを展開した並目ねじ山の一部と、 の並目ねじ山の谷部に並目ねじと同一方向 つる巻き線を持ち並目ねじよりもピッチの さい細目ねじ(但し、並目ねじと細目ねじの ピッチの比はa対bであり、aとbは最小の整数 である。)を展開したときに並目ねじ山との 相ずれに応じて並目ねじ山のb巻きごとに周 期的に現れる細目ねじ山の一部とを有するも のとする。

 また、多重ねじ転造ダイスが、さらに、 目ねじ山の一部および細目ねじ山の一部に り形成される谷部に並目ねじと同一方向の る巻き線を持ち細目ねじよりもさらにピッ の小さい最細目ねじ(但し、並目ねじと細目 ねじと最細目ねじのピッチの比はa対b対cであ り、aとbとcは最小の整数比である。)を展開 たときに並目ねじ山の一部および細目ねじ の一部との位相ずれに応じて並目ねじ山のc きごとに周期的に現れる最細目ねじ山の一 を有する三重ねじ転造ダイスとすることで 並目ねじ山の一部と細目ねじ山の一部と最 目ねじ山の一部とが形成された三重ねじボ トを製造することが可能である。

 さらに、n重ねじボルトを製造する場合、 多重ねじ転造ダイスとしてのn重ねじ転造ダ スは、並目ねじを展開した並目ねじ山の一 と、この並目ねじ山の谷部に並目ねじと同 方向のつる巻き線を持ち並目ねじよりもピ チが小さくかつピッチが異なる一つまたは 数の細目ねじ(但し、並目ねじと一つまたは 数の細目ねじのピッチの比はa対・・・対n あり、a,・・・,nは最小の整数比である。)を それぞれ展開したときに並目ねじ山との位相 ずれに応じて並目ねじ山のn巻きごとに周期 に現れるそれぞれの細目ねじ山の一部とを するものとする。これにより、並目ねじ山 一部と複数の細目ねじ山それぞれの一部と 形成された多重ねじボルトを製造すること 可能である。

 また、本発明の多重ねじ転造ダイスが、 ダイス上に並目ねじ山の一部および細目ね 山の一部を形成したものであれば、この多 ねじ転造ダイスを所定間隔で配置してそれ れ同一方向に回転させ、この多重ねじ転造 イス間にボルト材料を押圧させることによ 、多重ねじボルトを製造することができる

 また、本発明の多重ねじ転造ダイスが、 ダイス上に並目ねじ山の一部および細目ね 山の一部を形成したものであれば、この多 ねじ転造ダイスを所定間隔で配置し、一方 固定して他方を平行移動させるか、または いに逆方向に平行移動させ、この多重ねじ 造ダイス間にボルト材料を押圧させること より、多重ねじボルトを製造することがで る。

 なお、本発明の多重ねじ転造ダイスは、 定間隔で配置する複数の多重ねじ転造ダイ のうち少なくとも一つ配置すればよいが、 べての多重ねじ転造ダイスを本発明の多重 じ転造ダイスとすることも可能である。多 ねじ転造ダイスのうち一つを本発明の多重 じ転造ダイスとする場合、他の多重ねじ転 ダイスは並目ねじのみを展開した通常の並 ねじダイスとする。また、ロータリプラネ リ方式のボルトの製造方法または製造装置 適用する場合、本発明の多重ねじ転造ダイ は丸ダイスまたはセグメントダイスのいず か一方に適用すればよく、両方に適用して よい。

(1)ねじ転造ダイス材料に、並目ねじ山の山 頂部を平坦にした形状を有する第1の切削工 を、細目ねじ山に対応する突起の最大高さ 下の位置まで送り込み、ねじ転造ダイス材 の一部分を切削することにより、ねじ転造 イス上の並目ねじ山の山部分を形成する工 と、この第1の切削工具による切削後のねじ 造ダイス材料に、細目ねじ山の形状を有す 第2の切削工具を、ねじ転造ダイス上の並目 ねじ山の谷部から細目ねじ山に対応する突起 の形状に合わせて送り込み、ねじ転造ダイス 材料を基準となる並目ねじ山の谷底よりも浅 い位置まで切削することにより、ねじ転造ダ イスの並目ねじ山の谷部分および細目ねじ山 に対応する突起を形成する工程とを含む多重 ねじ転造ダイスの製造方法により、並目ねじ を展開した並目ねじ山の山部と、細目ねじを 展開した細目ねじ山と並目ねじ山との位相ず れに応じて並目ねじ山の谷部に周期的に形成 された細目ねじ山に対応する突起とを備えた 多重ねじ転造ダイスにおいて、細目ねじ山に 対応する突起が形成された部分の底部が、基 準となる並目ねじ山の谷底よりも浅い位置で 平坦となるように底上げされた本発明の多重 ねじ転造ダイスが得られる。この多重ねじ転 造ダイスによれば、並目ねじ山と細目ねじ山 の位相が一致する点およびその近傍で細目ね じ山の谷部の深さが通常よりも浅くなり、周 期的に変化する谷部の溝面積の割合が減少す る。これにより、転造時にはボルト材料が細 目ねじ山の谷部に流れ込む際の転造荷重の変 動が抑制され、耐チッピング性能が向上する 。

(2)第2の切削工具が、細目ねじ山の形状の ップを周縁部に備えた回転工具であること より、ボルト材料の1回転分の細目ねじ山に 応する突起を形成する際に、その突起の形 位置から回転工具を送り込むことが可能と る。これにより、チッピングを発生しやす 微小な切欠がほぼ消失するので、耐チッピ グ性能が大幅に向上する。

本発明の実施の形態における多重ねじ ルトの製造装置を示す概略図である。 図1の平面図である。 図1の多重ねじ転造ダイスを示す斜視図 である。 図3の多重ねじ転造ダイスの外周の転写 パターンの一部を平面に展開した図である。 (A),(B),(C),(D),(E),(F)はそれぞれ図4のA-A線 面図、B-B線断面図、C-C線断面図、D-D線断面 、E-E線断面図、F-F線断面図である。 多重ねじ転造ダイスの製造手順を示す ロー図である。 (a)は多重ねじ転造ダイスの製造に用い 第1の切削工具を示す平面図、(b)は第2の切 工具を示す平面図である。 本実施形態における多重ねじ転造ダイ の製造の並目ねじ山加工工程を示す説明図 ある。 突起加工工程を示す説明図である。 大ピッチ二重ねじボルト製造用のねじ 転造ダイスの加工例を示す図である。 単一の切削工具を用いた多重ねじ転造 ダイスの製造工程を示す図である。 細目ねじ山に対応する突起を加工する 際の第2の切削工具の移動経路を示す図であ て、(a)は第2の切削工具として回転工具を用 た場合を示す図、(b)は切削工具のようなバ トを用いた場合を示す図である。 回転工具を用いて製造した多重ねじ転 造ダイスの各位相における断面を示す図であ る。 バイトを用いて製造した多重ねじ転造 ダイスの各位相における断面を示す図である 。 図13および図14に示す多重ねじ転造ダ スにより製造される多重ねじボルトの図13お よび図14の(a)~(h)の各位相に対応する位相の位 置を示す図である。 図13に示す多重ねじ転造ダイスにより 造される多重ねじボルトの部分側面図であ 。 図14に示す多重ねじ転造ダイスにより 造される多重ねじボルトの部分側面図であ 。

符号の説明

 1 多重ねじ転造ダイス
 2 ボルト支持部
 3 ボルト材料
 4 転写パターン
 5 並目ねじ山部
 5a 谷部
 5b 谷底
 6 突起
 6a 細目ねじ山の想像線
 6b 谷底
 6c 底部
 10 回転工具
 11 チップ
 20 第1の切削工具
 21 並目ねじ山
 22 先端部
 25 第2の切削工具
 26 細目ねじ山
 27 先端部
 28 バイト
 30 ダイス材料
 40 回転砥石
 50,51 多重ねじ転造ダイス
 52 切欠
 60,61 細目ねじ山

 図1は本発明の実施の形態における多重ねじ ボルトの製造装置を示す概略図、図2は図1の 面図、図3は図1の多重ねじ転造ダイスを示 斜視図である。
 図1および図2に示すように、本実施形態に ける多重ねじボルトの製造装置は、多重ね ボルトとしての二重ねじボルトを製造する のであって、所定間隔で対向配置した一対 多重ねじ転造ダイス1と、円柱状のボルト材 3を所定位置で支持するボルト支持部2とを える。また、図3に示すように、多重ねじ転 ダイス1は、円筒形のダイス(丸ダイス)の外 に二重ねじボルト形成用の転写パターン4を 形成したものである。

 図4は図3の多重ねじ転造ダイスの外周の 写パターンの一部を平面に展開した図、図5 (A),(B),(C),(D),(E),(F)はそれぞれ図4のA-A線断面 、B-B線断面図、C-C線断面図、D-D線断面図、E -E線断面図、F-F線断面図である。

 図4に示すように、多重ねじ転造ダイス1 外周には、製造する二重ねじボルトに対応 る転写パターン4が1周につき10個分繰り返し 形成されている。多重ねじ転造ダイス1の外 径は181.444mmであり、二重ねじボルトは呼び径 M20で並目ねじピッチ2.5mm、細目ねじピッチ1.25 mmである。したがって、二重ねじボルト1個分 の転写パターン4は、多重ねじ転造ダイス1の 周1周360°のうち36°の範囲に形成されている ことになる。図4のA-A線、B-B線、C-C線、D-D線 E-E線、F-F線は、それぞれ6°間隔で設けたも である。

 図5の(A)~(F)に示すように、多重ねじ転造 イス1の転写パターン4(図5に実線で示す。)は 、並目ねじを丸ダイスの表面に展開した基準 のねじ山となる並目ねじ山の一部(以下、「 目ねじ山部」と称す。)5と、この並目ねじ山 の谷部5aに周期的に形成された付加的な突起6 とにより構成されている。突起6は、展開し 並目ねじ山の元の並目ねじと同一方向のつ 巻き線を持ち、並目ねじよりもピッチの小 い細目ねじを展開した細目ねじ山(図5に点線 (想像線)6aで示す。)と並目ねじ山との位相ず 7に応じて周期的な形状に形成されたもので ある。

 ここで、並目ねじと細目ねじのピッチの をa対b(但し、aとbは最小の整数比。図示例 は2対1としている。)とすると、突起6は、細 ねじを展開したときに並目ねじ山との位相 れに応じて並目ねじ山のb巻き(図示例では1 き)ごとに周期的に現れる細目ねじ山の一部 となる。図5の(A)~(F)に示すように、想像線6a 示す細目ねじ山は、並目ねじ山との位相ず 7によって、この並目ねじ山から突出した部 のみが、付加的な突起6として現れている。 すなわち、突起6は、細目ねじ山そのもので なく、位相ずれ7に応じてずれた分だけ細目 じ山の想像線6aに対応するように、並目ね 山に対して付加的に突出させた突起である 並目ねじ山部5は、多重ねじ転造ダイス1の表 面に現れている細目ねじ山の一部(突起6の表 )を除く部分である。

 但し、本実施形態における多重ねじ転造 イス1では、突起6が形成された部分の底部6c が、基準となる並目ねじ山の谷底5bよりも浅 位置で平坦となるように底上げしている。 のような多重ねじ転造ダイス1では、並目ね じ山と細目ねじ山の位相が一致する点(図5の( A)参照。)およびその近傍(図5の(B),(F)参照。) 細目ねじ山の谷部の深さが規定よりも浅く り、周期的に変化する谷部の断面積の割合 減少している。この多重ねじ転造ダイス1に り転造を行った場合、ボルト材料3が細目ね じ山の谷部に流れ込む際の転造荷重の変動が 抑制されるので、耐チッピング性能が向上し ている。なお、この底部6cの底上げ高さdhは 基準となる細目ねじ山の想像線6aのねじ山高 さHに対して5~50%となるようにする。また、こ の底部6cとねじ部斜面との接合部は工具Rの曲 面とする。

 ところで、図5の(A)~(F)に示す例では、基 となる並目ねじ山の谷部5aの谷底5bと、突起6 に対応させた細目ねじ山の想像線6aの谷底6b の位置を一致させているが、これに限るも ではない。例えば、本実施形態における多 ねじ転造ダイス1により製造された二重ねじ ルト(図示せず。)の並目ねじ山に並目ナッ を螺合させると、多重ねじ転造ダイス1の突 6の分だけ接触面積が減ることになるが、突 起6に対応させた細目ねじ山の想像線6aの谷底 6bの位置を図5の下方へ移動させることにより 、二重ねじボルトの並目ねじ山と並目ナット との接触面積を増やすことができる。なお、 この場合においても、突起6が形成された部 の底部6cが、基準となる並目ねじ山の谷底5b りも浅い位置で平坦となるように底上げす 。

 なお、通常のねじ転造ダイスであれば、 の表面に並目ねじ山または細目ねじ山のい れか一方のみが形成されているため、並目 じナットまたは細目ねじナットを嵌めるこ ができる。しかし、本実施形態における多 ねじ転造ダイス1の場合、並目ねじナットお よび細目ねじナットを嵌めようとしても嵌ら ない。多重ねじ転造ダイス1の表面に、特許 献1に記載のように従来の並目ねじ山と細目 じ山とが一体に形成されたもの(具体的な構 造は明らかでないが)ではなく、並目ねじ山 5とこの並目ねじ山部5の元の並目ねじ山の谷 部5aに周期的な形状の突起6とが形成されたも のだからである。

 次に、この多重ねじ転造ダイス1の製造方 法について説明する。図6は多重ねじ転造ダ ス1の製造手順を示すフロー図、図7(a)は多重 ねじ転造ダイス1の製造に用いる第1の切削工 を示す平面図、(b)は第2の切削工具を示す平 面図、図8は本実施形態における多重ねじ転 ダイス1の製造の並目ねじ山加工工程を示す 明図、図9は突起加工工程を示す説明図であ る。

 まず、切削工具について説明する。
 図7(a)に示すように、第1の切削工具20は、そ の先端部(並目ねじ山21の山頂部)22を平坦にし た形状を有するバイトである。なお、同図に おいて破線23は、通常の多重ねじ転造ダイス 並目ねじ山を形成する際に用いられるバイ の形状を示す想像線である。破線23によっ 、本実施形態における第1の切削工具20は、 常の並目ねじ山の形状を有するバイトの先 部を、所要形状(平坦)に切り欠いたものであ ることが分かる。

 図7(b)に示すように、第2の切削工具25は、 細目ねじ山26の形状を有するバイトである。 の第2の切削工具25の先端部(細目ねじ山26の 頂部)27には、必要に応じて曲面加工が施し ある。

 図6に示すように、多重ねじ転造ダイス1 製造に際して、まず、ワークとしてのダイ 材料30(図8参照。)の旋削を行い(ステップS11) 続いて並目ねじ山加工工程(ステップS12)お び突起加工工程(ステップS13)を行う。

 ステップS12の並目ねじ山加工工程では、 1の切削工具20を用いる。図8に示すように、 並目ねじ山加工工程では、ダイス材料30に、 1の切削工具20を、図5に示す突起6の最大高 以下の位置まで送り込み、並目ねじ山のピ チで図8の矢印で示す工具進行方向に進行さ て、ダイス材料30の一部分を切削する。こ により、並目ねじ山部5の一部分が形成され 。

 ステップS13の突起加工工程では、第2の切 削工具25を用いる。突起加工工程では、まず 第1切削工程において切削した後のダイス材 料30に、図9の(a)、(b)、(c)、(d)、(le)、(lf)、(lg) 、(lh)、(li)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)に示すよう 、第2の切削工具25を、並目ねじ山部5の一部 分の谷部5aから図5に示す突起6の形状に合わ て送り込み、細目ねじ山のピッチで図9の矢 で示す工具進行方向に進行させて、ダイス 料30を切削する。このとき、第2の切削工具2 5は、突起6が形成された部分の底部6cが、基 となる並目ねじ山の谷部5aの谷底5bよりも浅 位置で平坦となるように底上げするため、 部6cの深さ以上には送り込まないようにす 。

 これにより、並目ねじ山部5の残りの部分 および突起6が形成されるが、図9の(a)、(b)、( c)、(d)、(le)、(lf)、(lg)、(lh)、(li)、(j)、(k)、(l )、(m)、(n)に示す工程では、底部6cの左側面し か加工されておらず、平坦となっていないた め、再び第2の切削工具25を、図9の(re)、(rf)、 (rg)、(rh)、(ri)に示すように送り込み、底部6c 右側面加工を行う。これにより、突起6が形 成された部分の底部6cが、基準となる並目ね 山の谷部5aの谷底5bよりも浅い位置で平坦と なる。

 その後、(1)焼き入れ、(2)焼き戻しの熱処 工程(ステップS14)および(1)内径研削、(2)外 、端面研削の形状研削工程(ステップS15)を行 った後、(1)並目ねじ山研削、(2)突起研削の研 削工程(ステップS16)を行う。なお、並目ねじ 研削工程では、第1の切削工具20と同様の形 の研削工具を用い、突起研削工程では、第2 の切削工具25と同様の形状の研削工具を用い 。これにより、図5に示す断面形状を有した 多重ねじ転造ダイス1が得られる。

 なお、ピッチの大きな二重ねじボルト(以 下、「大ピッチ二重ねじボルト」と称す。) 製造に用いる多重ねじ転造ダイスを製造す 際、ピッチの大きさによっては図10の(a)、(b) に示すように2回位相を変えて第1の切削工具2 0により切削を行うと加工性が良くなる。な 、図10の(a)の工程と(b)の工程の順序はどちら でもよい。

 上記構成の多重ねじ転造ダイスを用いて 重ねじボルトを製造するには、円柱状のボ ト材料3をボルト支持部2上に配置し、この ルト材料3を一対の多重ねじ転造ダイス1間に 押圧させ、一対の多重ねじ転造ダイス1をそ ぞれ同一方向(例えば、図1に矢印で示すよう に右回り)に回転させる。

 ここで、ボルト材料3は、多重ねじ転造ダ イス1によって押圧されることにより、並目 じ山部5の表面に沿って塑性変形しながら並 ねじ山部5の谷部5aを埋めていき、並目ねじ 部5の谷部5aに周期的に形成された細目ねじ に対応する突起6の表面に沿って塑性変形し ながら谷部5aを埋めていく。

 これにより、外周表面に、図5の多重ねじ 転造ダイス1の転写パターン4の逆パターンの (並目ねじ山部5および突起6に相当する溝)が 形成された二重ねじボルトが得られる。

 このように、本実施形態における多重ね 転造ダイス1によれば、ボルト材料3の外周 面上に並目ねじ山の一部および細目ねじ山 一部が一工程で一度に転写され、並目ねじ の一部と細目ねじ部の一部とが形成された 重ねじボルトが得られる。この得られた二 ねじボルトは、従来の切削により形成した 重ねじボルトと同様、並目ねじ山が形成さ たうえで、細目ねじ山がえぐり取られた状 のものとなる。したがって、得られた二重 じボルトには並目ねじナットと細目ねじナ トとを嵌めることができる。

 また、本実施形態における多重ねじ転造 イスは単一の切削工具を用いて製造するこ も可能である。図11は単一の切削工具を用 て多重ねじ転造ダイスを製造する場合の製 工程を示す図である。

 図11の例では、前述のように二つのバイ による切削加工を行わずに単一の切削工具 しての回転砥石40を用いている。多重ねじ転 造ダイス1の製造に際し、まず、ダイス材料30 を熱処理し、並目ねじ山部5および突起6以外 加工を終了した後、単一の回転砥石40によ て研削加工を行う。

 研削加工は、回転砥石40を図11の(a)~(h)の れぞれに示すように規則的に半径方向に送 込みながら、指定された細目ねじ山のピッ の進行速度でダイス材料30の表面に沿って進 行させることにより行う。このとき、突起6 形成された部分の底部6cが、基準となる並目 ねじ山の谷部5aの谷底5bよりも浅い位置で平 となるように底上げするため、回転砥石40を 底部6cの深さ以上には送り込まないようにす のは前述の通りである。こうして、ダイス 料30に突起6を残して並目ねじ山部5を切削す ることにより、前述の多重ねじ転造ダイス1 得られる。

 このように単一の回転砥石40を用いて加 を行う場合、二つのバイトによる切削加工 不要であり、この切削加工がないことによ て位相合わせも不要となる。

 また、本実施形態における多重ねじ転造 イスは、第2の切削工具25に代えて、細目ね 山の形状のチップを周縁部に備え、切削す ダイス材料の回転中心と平行な軸を中心と て回転する回転工具を用いることが望まし 。図12は細目ねじ山に対応する突起6を加工 る際の第2の切削工具の移動経路を示す図で あって、(a)は第2の切削工具として回転工具 用いた場合を示す図、(b)は切削工具25のよう なバイトを用いた場合を示す図である。なお 、図12ではダイス材料30の表面を平面に展開 て示している。

 図12の(a)に示すように、細目ねじ山の形 のチップ11を周縁部に備えた回転工具10によ てダイス材料30を切削する場合には、ボル 材料の1回転分の細目ねじ山に対応する突起6 を形成する際に、突起6の形成開始位置から 転工具10をダイス材料30の周面に対して直角 送り込むことができる(図のA方向)。そして 回転するダイス材料30の周面をこの位置を 点として切削するので、ダイス材料30は突起 6の形成位置の前後で回転工具10のチップ11の 転半径R分のみ切削される。

 一方、図12の(b)に示すように、ダイス材 30を通常のバイト28によって切削する場合に 、ボルト材料の1回転分の細目ねじ山に対応 する突起6を形成する際に、突起6の形成開始 置よりも約0.25回転前の位置からバイト28を り込む必要がある。形成終了位置も同様で る。そのため、ボルト材料の1回転分の細目 ねじ山に対応する突起6を形成する際に、前 それぞれ約0.25回転分が切削されてしまい、 ッピングを発生しやすい微小な切欠が多重 じ転造ダイスに形成されることになる。

 図13は回転工具10を用いて製造した多重ね じ転造ダイスの各位相における断面を示す図 、図14はバイト28を用いて製造した多重ねじ 造ダイスの各位相における断面を示す図、 15は図13および図14に示す多重ねじ転造ダイ により製造される多重ねじボルトの図13およ び図14の(a)~(h)の各位相に対応する位相の位置 を示す図、図16は図13に示す多重ねじ転造ダ スにより製造される多重ねじボルトの部分 面図、図17は図14に示す多重ねじ転造ダイス より製造される多重ねじボルトの部分側面 である。

 図13の(d),(f)と図14の(d),(f)とを比較すると かるように、バイト28を用いて製造した多 ねじ転造ダイス51の場合には、図に現れるよ うな微小な切欠52が形成されるが、回転工具1 0を用いて製造した多重ねじ転造ダイス50の場 合には極わずかな切欠(図には現れていない) か形成されない。回転工具10を用いた場合 前述のように突起6の形成開始位置から回転 具10をダイス材料30の周面に対して直角に送 り込むため、この位置で回転工具10により削 れる分しか切欠として現れないからである

 一方、バイト28を用いた場合には、突起6 形成開始位置の前後約0.25回転の位置からバ イト28を送り込むため、この前後約0.25回転分 の切欠52が現れる。この切欠52は製造された 重ねじ転造ダイス51を用いて多重ねじボルト を製造した場合、図17に示すように細長い余 な細目ねじ山61として現れる。そのため、 イト28を用いて製造した多重ねじ転造ダイス 51の場合には、この微小な切欠52の部分でチ ピングを発生しやすい。

 しかしながら、回転工具10を用いて製造 た多重ねじ転造ダイス50の場合には、このチ ッピングを発生しやすい微小な切欠52がほぼ 失するので、図16に示すようにごく一部に か余分な細目ねじ山60は現れず、耐チッピン グ性能が大幅に向上する。なお、回転工具10 用いて製造する場合には、突起6の形成開始 位置(図12の(a)に示す回転工具10の接触位置)よ りも前の位置(図の右側)から送り込んだ場合 も、この図12の(a)に示す回転工具10の接触位 置から前に送り込んだ位置までの長さの分だ け切欠52が増えるだけである。したがって、 の突起6の形成開始位置は調整可能である。

 なお、本発明の多重ねじ転造ダイスは、 述の製造方法以外の方法により製造するこ も可能であり、要するに、本実施形態にお る多重ねじ転造ダイス1のように、突起6が 成された部分の底部6cが、基準となる並目ね じ山の谷部5aの谷底5bよりも浅い位置で平坦 なるように底上げされた形状の多重ねじ転 ダイスであれば耐チッピング性能を向上さ ることが可能である。

 実施例として、M20の基準細目ねじ山高さH =0.767mmに対して底上げ高さをdh=0.065mmとして、 底部6cの底上げ率が0.065/0.767×100≒8.5%の多重 じ転造ダイスを製造した。なお、このとき 回転工具10に備えた細目ねじ山形状のチップ 11の先端Rは0.2mmであった。同様に、底上げ高 をdh=0.25mmとして底上げ率32.6%、dh=0.35mmとし 底上げ率45.6%の多重ねじ転造ダイス1を製造 た。このように底上げ率を大きくしていく 、底部6cが底上げ率に比例して長くなるので 、工具先端Rをより大きくとることができる

 すなわち、これらの多重ねじ転造ダイス1 では、底部6cの底上げ高さdhが、基準となる 目ねじ山の想像線6aのねじ山高さHに対して5~ 50%の範囲にある。このような多重ねじ転造ダ イス1では、多重ねじ転造ダイス1の谷部の周 的に変化する断面積の割合が減少している とから、ボルト材料3が細目ねじ山の谷部に 流れ込む際の材料の流動が滑らかであった。 すなわち、先に材料が充填された部分と遅れ て充填される部分との不均衡が減少し、応力 集中部が減少するのでダイスにかかる転造荷 重が減少して、多重ねじ転造ダイス1の耐チ ピング性能が向上した。このように材料の 動を滑らかにすることは谷部に限らず山部 対しても同様な効果がある。

 この多重ねじ転造ダイス1を用いて製造さ れた多重ねじボルトは、並目ねじ部に並目ナ ットを螺合させた後、細目ねじ部に細目ナッ トをこの並目ナットに重ねて螺合させて、ボ ルトおよび両ナット間を締結させることに何 ら問題はなく使用できた。

 本発明の多重ねじ転造ダイスの製造方法 よび多重ねじ転造ダイスならびにこれを用 た多重ねじボルトの製造方法は、緩み防止 能を有する多重ねじボルトの製造に有用で る。特に、本発明は、細目ねじ加工部の耐 性を向上した多重ねじ転造ダイスとして好 である。