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Patent Searching and Data


Title:
MULTILAYER INSULATED WIRE AND TRANSFORMER USING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047261
Kind Code:
A1
Abstract:
A multilayer insulated wire having a conductor and three or more extruded insulating layers covering the conductor.  The outermost layer (A) is composed of an extruded coating layer containing a thermoplastic polyester resin composition which contains 75-95 parts by mass of a polyester resin other than liquid crystal polyesters and 5-25 parts by mass of a liquid crystal polyester; the innermost layer (B) is composed of an extruded coating layer containing a thermoplastic polyester resin which is partially or entirely formed by polycondensing an acid component and an aliphatic alcohol component having 2-5 carbon atoms; and at least one insulating layer (C) lying between the outermost layer and the inner most layer is composed of an extruded coating layer containing a thermoplastic polyester resin which is partially or entirely formed by polycondensing an acid component and an aliphatic alcohol component having 2-5 carbon atoms.

Inventors:
FUKUDA HIDEO (JP)
ISHII YOHEI (JP)
EGAWA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/067811
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 14, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
FUKUDA HIDEO (JP)
ISHII YOHEI (JP)
EGAWA HIROYUKI (JP)
International Classes:
H01B7/02; H01B3/42; H01F5/06; H01F27/32; H01F30/00
Domestic Patent References:
WO2001056041A12001-08-02
Foreign References:
JP2008198445A2008-08-28
JP2004193117A2004-07-08
JPS62193625U1987-12-09
JP2007005137A2007-01-11
JP2002324440A2002-11-08
JP2004281057A2004-10-07
JP2004335125A2004-11-25
JPH09320356A1997-12-12
JP2008071721A2008-03-27
JPH10223052A1998-08-21
US5606152A1997-02-25
JPH06223634A1994-08-12
JPH0251523A1990-02-21
JPS633888B21988-01-26
JPS633891B21988-01-26
JP2008270375A2008-11-06
JP2009021938A2009-01-29
Other References:
See also references of EP 2348513A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo et al. (JP)
Toshizo Iida (JP)
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Claims:
 導体と前記導体を被覆する3層以上の押出絶縁層を有してなる多層絶縁電線であって、
 最外層(A)が、液晶ポリエステル以外のポリエステル樹脂75~95質量部および液晶ポリエステル5~25質量部を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を含む押出被覆層からなり、
 最内層(B)が、全部または一部が脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族アルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を含む押出被覆層からなり、
 最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁層(C)が、全部または一部が脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族アルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を含む押出被覆層からなることを特徴とする多層絶縁電線。
 前記絶縁層の最外層(A)を形成する樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物100質量部に対して、エポキシ基を有する反応性改質樹脂1~20質量部を配合して成る樹脂混和物であることを特徴とする請求項1記載の多層絶縁電線。
 導体と前記導体を被覆する3層以上の押出絶縁層を有してなる多層絶縁電線であって、
 最外層(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂をハードセグメントに用いたポリエステルエラストマーを含む押出被覆層からなり、
 最内層(B)が、全部または一部が脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族アルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を含む押出被覆層からなり、
 最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁層(C)が、全部または一部が脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族アルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を含む押出被覆層からなることを特徴とする多層絶縁電線。
 前記絶縁層の最内層(B)を形成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 前記絶縁層の最内層(B)を形成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 前記最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁層(C)を形成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 前記最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁層(C)を形成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 前記絶縁層の最内層(B)を形成する樹脂が、脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、エポキシ基を有する反応性改質樹脂1~20質量部を配合して成る樹脂混和物であることを特徴とする請求項1~3、6および7のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 前記最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁層(C)を形成する樹脂が、脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、エポキシ基を有する反応性改質樹脂1~20質量部を配合して成る樹脂混和物であることを特徴とする請求項1~5および8のいずれか1項記載の多層絶縁電線。
 請求項1~9のいずれか1項に記載の多層絶縁電線を用いてなることを特徴とする変圧器。
Description:
多層絶縁電線及びそれを用いた 圧器

 本発明は、絶縁層が3層以上の押出被覆層 からなる多層絶縁電線とそれを用いた変圧器 に関する。

 変圧器の構造は、IEC規格(International Electrote chnical Communication Standard)Pub.60950などによって 規定されている。即ち、これらの規格では、 巻線において一次巻線と二次巻線の間には少 なくとも3層の絶縁層(導体を被覆するエナメ 皮膜は絶縁層と認定しない)が形成されてい ること又は絶縁層の厚みは0.4mm以上であるこ 、一次巻線と二次巻線の沿面距離は、印加 圧によっても異なるが、5mm以上であること また一次側と二次側に3000Vを印加した時に1 以上耐えること、などが規定されている。
 このような規格のもとで、従来、主流の座 占めている変圧器としては、図2に断面図で 例示するような構造が採用されてきた。この 変圧器は、フェライトコア1上のボビン2の周 両側端に沿面距離を確保するための絶縁バ ヤ3が配置された状態でエナメル被覆された 一次巻線4が巻回されたのち、この一次巻線4 上に、絶縁テープ5を少なくとも3層巻回し 更にこの絶縁テープの上に沿面距離を確保 るための絶縁バリヤ3を配置したのち、同じ エナメル被覆された二次巻線6が巻回された 構造である。

 しかし、近年、図2に示した断面構造の変圧 器(トランス)に代わり、図1で示したように、 絶縁バリヤ3や絶縁テープ層5を含まない構造 変圧器が用いられるようになった。この変 器は図2の構造の変圧器に比べて、全体を小 型化することができ、また、絶縁テープの巻 回し作業を省略できるなどの利点を備えてい る。
 図1で示した変圧器を製造する場合、用いる 1次巻線4及び2次巻線6では、いずれか一方も くは両方の導体4a(6a)の外周に少なくとも3層 絶縁層4b(6b),4c(6c),4d(6d)が形成されているこ が前記したIEC規格との関係で必要になる。

 このような巻線として導体の外周に絶縁 ープを巻回して1層目の絶縁層を形成し、更 にその上に、絶縁テープを巻回して2層目の 縁層、3層目の絶縁層を順次形成して互いに 間剥離する3層構造の絶縁層を形成するもの が知られている。また、絶縁テープの代わり にフッ素樹脂を、導体の外周上に順次押出被 覆して、全体として3層の絶縁層を形成した のも公知である(例えば、特許文献1参照)。

 しかしながら、前記の絶縁テープ巻の場合 、巻回する作業が不可避である為、生産性 著しく低く、その為電線コストは非常に高 ものになっている。
 また、前記のフッ素樹脂押出の場合では、 縁層はフッ素系樹脂で形成されているので 耐熱性は良好であるという利点を備えてい が、樹脂のコストが高く、さらに高剪断速 で引っ張ると外観状態が悪化するという性 がある。そのために製造スピードを上げる とも困難で、絶縁テープ巻と同様に電線コ トが高いものになってしまうという問題点 ある。

 こうした問題点を解決するため、導体の外 上に、1層目、2層目の絶縁層として結晶化 制御し分子量低下を抑制した変性ポリエス ル樹脂を押出し、3層目の絶縁層としてポリ ミド樹脂を押出被覆した多層絶縁電線が実 化されている(例えば、特許文献2及び3参照) 。
 しかしながら、3層目の絶縁層としてポリア ミド樹脂を押出被覆した場合、ポリアミド樹 脂では電線表面が軟らかいため引っ掻き傷に 弱いことが懸念点として挙げられる。電気・ 電子機器に使用されるため、部品先端が引っ 掻かれ、故障の原因になる恐れもある。そこ で電線としては十分な伸び特性を持ち合わせ ながら電線表面は引っ掻き傷に強い多層絶縁 電線が求められている。

実開平3-56112号公報

米国特許第5,606,152号明細書

特開平6-223634号公報

 上記のような問題を解決するために、本 明は、耐熱性の要求を満たし、電線として 分な伸び特性を持ち合わせるとともに、コ ル用途として要求される部品先端などによ 引っ掻きに対して強く、はんだ付け時に表 皮膜の外観異常がなく、良好な加工性も兼 備えた多層絶縁電線を提供することを課題 する。さらに本発明は、このような耐熱性 良好な伸び特性と引っ掻き傷の生じにくい 縁電線を巻回してなる、電気特性に優れ、 頼性の高い変圧器を提供することを課題と る。

 本発明の上記課題は、以下に示した多層絶 電線及びこれを用いた変圧器によって達成 れた。
 本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)導体と前記導体を被覆する3層以上の押出 縁層を有してなる多層絶縁電線であって、
 最外層(A)が、液晶ポリエステル以外のポリ ステル樹脂75~95質量部および液晶ポリエス ル5~25質量部を含有する熱可塑性ポリエステ 系樹脂組成物を含む押出被覆層からなり、
 最内層(B)が、全部または一部が脂肪族アル ール成分と酸成分とを重縮合して形成され 熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂 族アルコール成分の炭素原子数が2~5である 脂を含む押出被覆層からなり、
 最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁 層(C)が、全部または一部が脂肪族アルコール 成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可 塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族ア ルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を 含む押出被覆層からなることを特徴とする多 層絶縁電線、
(2)前記絶縁層の最外層(A)を形成する樹脂が、 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物100質量部 に対して、エポキシ基を有する反応性改質樹 脂1~20質量部を配合して成る樹脂混和物であ ことを特徴とする(1)記載の多層絶縁電線、
(3)導体と前記導体を被覆する3層以上の押出 縁層を有してなる多層絶縁電線であって、
 最外層(A)が、ポリブチレンテレフタレート 脂(PBT)をハードセグメントに用いたポリエ テルエラストマーを含む押出被覆層からな 、
 最内層(B)が、全部または一部が脂肪族アル ール成分と酸成分とを重縮合して形成され 熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その脂 族アルコール成分の炭素原子数が2~5である 脂を含む押出被覆層からなり、
 最外層と最内層の間の少なくとも1層の絶縁 層(C)が、全部または一部が脂肪族アルコール 成分と酸成分とを重縮合して形成された熱可 塑性ポリエステル樹脂であり、その脂肪族ア ルコール成分の炭素原子数が2~5である樹脂を 含む押出被覆層からなることを特徴とする多 層絶縁電線、
(4)前記絶縁層の最内層(B)を形成する熱可塑性 ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタ レート樹脂(PBT)であることを特徴とする(1)~(3) のいずれか1項記載の多層絶縁電線、
(5)前記絶縁層の最内層(B)を形成する熱可塑性 ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタ レート樹脂(PET)であることを特徴とする(1)~(3) のいずれか1項記載の多層絶縁電線、
(6)前記最外層と最内層の間の少なくとも1層 絶縁層(C)を形成する熱可塑性ポリエステル 脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT) であることを特徴とする(1)~(5)のいずれか1項 載の多層絶縁電線、
(7)前記最外層と最内層の間の少なくとも1層 絶縁層(C)を形成する熱可塑性ポリエステル 脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET) であることを特徴とする(1)~(5)のいずれか1項 載の多層絶縁電線、
(8)前記絶縁層の最内層(B)を形成する樹脂が、 脂肪族アルコール成分と酸成分とを重縮合し て形成された熱可塑性ポリエステル樹脂100質 量部に対して、エポキシ基を有する反応性改 質樹脂1~20質量部を配合して成る樹脂混和物 あることを特徴とする(1)~(3)、(6)および(7)の ずれか1項記載の多層絶縁電線、
(9)前記最外層と最内層の間の少なくとも1層 絶縁層(C)を形成する樹脂が、脂肪族アルコ ル成分と酸成分とを重縮合して形成された 可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して エポキシ基を有する反応性改質樹脂1~20質量 を配合して成る樹脂混和物であることを特 とする(1)~(5)および(8)のいずれか1項記載の 層絶縁電線、および、
(10)前記(1)~(9)のいずれか1項に記載の多層絶縁 電線を用いてなることを特徴とする変圧器。

 本発明の多層絶縁電線は、耐熱性レベルも 分満足し、伸び特性にも優れるほか、コイ 用途として要求される部品先端などによる っ掻き傷に強いことから、巻線加工時の作 性を向上させるものである。これまで耐熱E 種の耐熱性を保持した電線は、ポリアミド樹 脂を使用しており引っ掻き傷に弱いことが難 点であった。本発明の多層絶縁電線は、絶縁 層として、最外層には、耐薬品性に優れるほ か、伸び特性に優れ、かつ引っ掻き傷に強い 特定のポリエステル樹脂を、最外層及び最内 層以外の絶縁層、最内層にはポリエステル樹 脂を組み合わせて使用することで上記要求項 目を満たすことができる。
 前記多層絶縁電線は、端末加工時には直接 んだ付けを行うことができ、巻線加工の作 性を十分高めるものである。また、最外層 ポリアミド樹脂の場合、はんだ付けの際に はんだ槽界面付近の滑らかな電線表面は皮 変形し外観異常をきたす現象が起こる。ポ アミド樹脂に代えて特定のポリエステル樹 を使用したので、ポリアミド樹脂よりも皮 内への吸水が少なく、はんだ槽界面付近の 線表面の外観異常を抑制できる。
 さらに、前記多層絶縁電線を用いる本発明 変圧器は、電気特性に優れ、信頼性が高い

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

図1は、3層絶縁電線を巻線とする構造 変圧器の例を示す断面図である。 図2は、従来構造の変圧器の1例を示す 面図である。

 まず、本発明の多層絶縁電線の好ましい一 施形態(以下、第1の実施の形態ともいう。) ついて、各層を構成する樹脂について説明 る。
 絶縁電線の最外層(A)には、耐溶剤性に優れ ほか、伸び特性にも優れ、皮膜強度が強い 脂を必要とするので、熱可塑性ポリエステ 樹脂を採用する。さらに耐熱性を有する樹 、好ましくは液晶ポリエステルを含むポリ ステル樹脂が用いられる。液晶ポリエステ 樹脂を使用した場合、耐熱性が飛躍的に向 する。本発明においては、絶縁層(A)は、液 ポリエステル以外のポリエステル樹脂と液 ポリエステルを配合されたポリエステル系 脂(例えば、「帝人PET」(商品名:帝人社製)又 は「ユニチカロッドラン」(商品名:ユニチカ 製))からなる押出被覆層である。

 最外層(A)に用いる液晶ポリエステルにつ て、その分子構造、密度、分子量等は特に 定されるものではなく、溶融したときに液 を形成する融点250℃以上、好ましくは融点2 80℃以上で、高くても350℃程度の溶融液晶性 リエステル(サーモトロピック液晶ポリエス テル)が好ましく、液晶性を示す上限温度は38 0℃である。その溶融液晶性ポリエステルと ては、溶融液晶性ポリエステル共重合体が ましい。上記の液晶性ポリエステルの融点 低すぎると電線として所望の耐熱効果が得 れないので好ましくない。

 このような溶融液晶性ポリエステルとし は、(I)長さの異なる剛直な直線性のポリエ テル2種がブロック共重合した剛直鎖成分同 士の共重合型のポリエステル、(II)剛直な直 性のポリエステルと剛直な非直線性のポリ ステルがブロック共重合した非直線性構造 入型のポリエステル、(III)剛直な直線性のポ リエステルと屈曲性のあるポリエステルが共 重合した屈曲鎖導入型のポリエステル、(IV) 直鎖で直線性のポリエステルの芳香族環上 置換基を導入した核置換芳香族導入型ポリ ステルがある。

 このようなポリエステルの繰り返し単位 しては、次のa.芳香族ジカルボン酸に由来 るものおよびb.芳香族ジオールに由来するも のを有するものであるが、さらに、c.芳香族 ドロキシカルボン酸に由来するものを挙げ ことができるが、これらに限定されるもの はない。

a.芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し 位:

b.芳香族ジオールに由来する繰り返し単位:

c.芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する り返し単位:

 被覆層の皮膜成形工程での操業性、耐熱 、絶縁皮膜の力学的特性等のバランスから 本発明で採用する液晶ポリエステルは下記 繰り返し単位を含むものが好ましく、さら 好ましくはこの繰り返し単位を全繰り返し 位の少なくとも30モル%以上含むものである

 好ましい繰り返し単位の組み合わせは下 (I)~(VI)に記載する繰り返し単位の組み合わ が挙げられる。

 このような液晶ポリエステルの製造方法に いては、例えば、特開平2-51523号公報、特公 昭63-3888号公報、特公昭63-3891号公報等に記載 れている。
 これらの中で、前記(I)、(II)、(V)に示す組み 合わせのものが好ましく、さらに好ましくは 前記(V)に示す組み合わせのものが挙げられる 。

 本発明に用いられる液晶ポリエステルは 動化温度が300℃以上であり、また溶融時の 度も従来使用されているポリエチレンテレ タレートや6,6ナイロンの粘度以下である。 のため、高速での押出し被覆処理が可能と り、低コストで皮膜状の絶縁層の形成がで る。

 一方、液晶ポリエステル皮膜は、逆に伸 が数%と極めて低い特徴があり、屈曲性に問 題がある。そこで、本発明では、ポリブチレ ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレ ート、ポリエチレンナフタレートなどのポリ エステル樹脂を液晶ポリエステルに配合する ことで皮膜の伸びを改善し、可とう性を良好 にすることが可能になる。

 本発明においては、絶縁層(A)を形成する液 ポリエステル含有樹脂は、液晶ポリエステ 以外のポリエステル樹脂75~95質量部(好まし は80~90質量部)および液晶ポリエステルを5~25 質量部(好ましくは10~20質量部)を含有するも が用いられる。液晶ポリエステルの含有量 少なすぎると所望の耐熱効果が得られず、 すぎると伸び特性が低下し、電線として可 う性(屈曲性)が維持できない。
 また、液晶ポリエステル以外のポリエステ 樹脂と液晶ポリエステルの混合方法は任意 方法を用いることができる。

 本発明において、上記液晶ポリエステル及 液晶ポリエステル以外のポリエステル樹脂 有の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物に 、電線の可とう性向上のため、反応性改質 脂を含んでもよい。例えば、ポリエステル 樹脂を連続層とし、反応性改質樹脂を分散 とする樹脂分散体であってもよい。本発明 おける反応性改質樹脂の含有量は、ポリエ テル系樹脂100質量部に対し、1~20質量部であ ることが好ましく、4~13質量部であることが らに好ましい。
 反応性改質樹脂が多すぎると耐熱性がやや くなり、少なすぎると可とう性向上の効果 不十分となることがある。これは液晶ポリ ステルや液晶ポリエステル以外のポリエス ル樹脂に比べてこの反応性改質樹脂の耐熱 が低いためと推定される。

 この反応性改質樹脂については後で述べ 好ましい実施の形態において最内層(B)およ 絶縁層(C)用いられるものと同様であるので 詳しくは後述する。

 次に、本発明の第2の好ましい実施の形態は 、多層絶縁電線の最外層(A)に耐溶剤性に優れ 、伸び特性にも優れ、耐熱性を有する樹脂で ある、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT) ハードセグメントに用いたポリエステルエ ストマーを含むものである。
 このポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT) ハードセグメントに用いたポリエステルエ ストマーにおけるソフトセグメントとして 特に限定されるものではなく、任意のソフ セグメントを用いることができる。例えば ソフトセグメントとしては、脂肪族ポリエ テル樹脂や脂肪族ポリエステル樹脂を用い ことができる。このようなハードセグメン にポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)を、 ソフトセグメントに脂肪族ポリエーテル樹脂 を用いたポリエステルエラストマーとしては 、例えば「ペルプレンP-90B」(商品名、東洋紡 製)が挙げられる。また、ハードセグメント ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)を、ソ フトセグメントに脂肪族ポリエステル樹脂を 用いたポリエステルエラストマーとしては、 例えば、「ペルプレンS-9001」(商品名、東洋 製)が挙げられる。

 本発明の多層絶縁電線の被覆層の最内層(B) 、被覆材料として伸び特性に優れるほか、 体との密着性に優れる樹脂が必要であり、 の全部または一部は好ましくは熱可塑性ポ エステル樹脂が用いられる。
 本発明に用いられる熱可塑性ポリエステル 脂としては、芳香族ジカルボン酸またはそ 一部が脂肪族ジカルボン酸で置換されてい ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステ 反応(重縮合反応)で得られたものが好まし 用いられ、その脂肪族アルコール成分の炭 原子数が2~5である。例えば、ポリエチレン レフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフ タレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフレート 脂(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテ フタレート(PCT)樹脂などを代表例としてあげ ることができる。

 この熱可塑性ポリエステル樹脂の合成時 用いる酸成分としては芳香族ジカルボン酸 好ましく、例えば、テレフタル酸、イソフ ル酸、テレフタルジカルボン酸、ジフェニ スルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタ ジカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボ 酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタ 酸などをあげることができる。これらのう 、特にテレフタル酸が好ましい。

 前記のように芳香族ジカルボン酸の一部は 肪族ジカルボン酸で置換されていてもよく その例としては、コハク酸、アジピン酸、 バシン酸などをあげることができる。これ の脂肪族ジカルボン酸の置換割合は、芳香 ジカルボン酸に対し30モル%未満であること 好ましく、特に20モル%未満であることが好 しい。
 一方、エステル反応に用いる脂肪族アルコ- ル成分としては、その脂肪族アルコール成分 の炭素原子数が2~5である脂肪族ジオールが好 ましく、例えば、エチレングリコール、トリ メチレングリコール、テトラメチレングリコ ール、ペンタンジオールなどをあげることが できる。これらのうち、エチレングリコール ,テトラメチルグリコールが好適である。

 本発明において、上記いずれかの実施形 において、最内層(B)として好ましく用いる とができる樹脂としては、市販のものを採 できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ ト(PET)としては、「バイロペット」(商品名: 東洋紡社製)、「ベルペット」(商品名:鐘紡社 製)、「帝人PET」(商品名:帝人社製)、ポリブ レンテレテレフタレート(PBT)樹脂としては、 「ノバデュラン」(商品名:三菱エンジニアリ グ社製)、「ウルトラデュラー」(商品名:BASF ジャパン社製)等がある。ポリエチレンナフ レート(PEN)樹脂としては、「帝人PEN」(商品 :帝人社製)等が挙げられ、ポリシクロヘキサ ンジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂は「エ ター」(商品名:東レ社製)等が挙げられる。

 絶縁電線の最外層と最内層の間の少なくと 1層の絶縁層(C)(以下、単に絶縁層(C)ともい 。)は、最外層(A)及び最内層(B)と密着性に優 ることが好ましく、その全部または一部は 可塑性ポリエステル樹脂を採用するのが好 しい。
 本発明に用いられる熱可塑性ポリエステル 脂としては、芳香族ジカルボン酸またはそ 一部が脂肪族ジカルボン酸で置換されてい ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステ 反応で得られたものが好ましく用いられ、 の脂肪族アルコール成分の炭素原子数が2~5 ある。例えば、ポリエチレンテレフタレー 樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹 (PBT)、ポリエチレンナフレート樹脂(PEN)、ポ シクロヘキサンジメチレンテレフタレート( PCT)樹脂などを代表例としてあげることがで る。

 この熱可塑性ポリエステル樹脂の合成時 用いる酸成分としては芳香族ジカルボン酸 好ましく、例えば、テレフタル酸、イソフ ル酸、テレフタルジカルボン酸、ジフェニ スルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタ ジカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボ 酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタ 酸などをあげることができる。これらのう 、特にテレフタル酸が好ましい。

 芳香族ジカルボン酸の一部は脂肪族ジカル ン酸で置換されていてもよく、その例とし は、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸な をあげることができる。これらの脂肪族ジ ルボン酸の置換量は、芳香族ジカルボン酸 30モル%未満であることが好ましく、特に20 ル%未満であることが好ましい。
 一方、エステル反応に用いる脂肪族アルコ- ル成分としてはその脂肪族アルコール成分の 炭素原子数が2~5である脂肪族ジオールが好ま しく、例えば、エチレングリコール、トリメ チレングリコール、テトラメチレングリコー ル、ペンタンジオールなどをあげることがで きる。これらのうち、エチレングリコール、 テトラメチルグリコールが好適である。

 本発明において、絶縁層(C)として好まし 用いることができる樹脂としては、市販の のを採用できる。例えば、ポリエチレンテ フタレート(PET)樹脂としては、「バイロペ ト」(商品名:東洋紡社製)、「ベルペット」( 品名:鐘紡社製)、「帝人PET」(商品名:帝人社 製)、ポリブチレンテレテレフタレート(PBT)樹 脂としては、「ノバデュラン」(商品名:三菱 ンジニアリング社製)、「ウルトラデュラー 」(商品名:BASFジャパン社製)等がある。ポリ チレンナフタレート(PEN)樹脂としては、「帝 人PEN」(商品名:帝人社製)等が挙げられ、ポリ シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PC T)樹脂は「エクター」(商品名:東レ社製)等が げられる。

 本発明においては、最内層(B)及び絶縁層(C) 用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂はそ 単独でもよいが、第2の実施の態様として、 熱可塑性ポリエステル樹脂の他に、エポキシ 基を有する反応性改質樹脂を含有させること も電線の可とう性向上のために好ましい。こ こで、反応性改質樹脂とは、前記エポキシ基 を有する樹脂をいう。つまり、反応性改質樹 脂とは、エポキシ基を有するように樹脂が改 質されてなり、ポリエステル樹脂との反応性 が高められた樹脂である。
 上記エポキシ基は、ポリエステル樹脂と反 性を有する官能基であり、ポリエステル樹 に配合し混和することにより両者は反応し 脂混和物となる。エポキシ基が開環するこ でポリエステル樹脂と化学結合し反応が進 する。上記のエポキシ基を有する樹脂は、 エポキシ基含有単量体成分を20質量%以下有 ることが好ましく、15質量%以下有すること より好ましい。このような樹脂としては、 ポキシ基含有化合物成分を含む共重合体で ることが好ましい。反応性を有する重合体 与えるエポキシ基含有化合物としては、例 ば、下記一般式(1)に示される不飽和カルボ 酸のグリシジルエステル化合物が挙げられ 。

[式中、Rは炭素数2~18のアルケニル基を、X カルボニルオキシ基を表す。]

 不飽和カルボン酸グリシジルエステルの 体的な例としては、グリシジルアクリレー 、グリシジルメタクリレート、イタコン酸 リシジルエステル等が挙げられ、中でもグ シジルメタクリレートが好ましい。

 上記のポリエステル樹脂と反応性を有する 脂(反応性改質樹脂)の代表的な例としては エチレン/グリシジルメタクリレート、エチ ン/グリシジルメタクリレート/酢酸ビニル エチレン/グリシジルメタクリレート/メチル アクリレートなどが挙げられる。反応性改質 樹脂の市販の樹脂では、例えば、「ボンドフ ァースト」(商品名:住友化学工業社製)、「ロ タダー」(商品名:アトフィナ社製)が挙げられ る。例えば、前記一般式(1)の化合物の場合、 エポキシ基が開環して、ポリエステル樹脂の 末端に存在する-OH基や-COOH基と化学結合して =C(OH)-CH 2 -O-結合や=C(OH)-CH 2 -OCO-結合を生ずる。この反応が進行すること ポリエステル樹脂単独の場合に比べて可と 性が向上する。本発明においては、絶縁電 作成前に、前もって、ポリエステル樹脂と 応性改質樹脂とを練り込んでおくことによ 、反応性改質樹脂がポリエステル樹脂中に く分散されて、特に開始剤を用いなくても 押し出し被覆時の温度下で上述の反応が行 われる。

 好ましい実施態様においては、最内層(B) たは絶縁層(C)を構成する脂肪族アルコール 分と酸成分とを重縮合して形成される熱可 性ポリエステル樹脂100質量部に対して、エ キシ基を含有する樹脂1~20質量部を配合する 。上記エポキシ基を有する樹脂の配合量が多 すぎると、絶縁層の耐熱性が著しく低下して しまい、少なすぎると可とう性向上の効果が 発現しない。両者のより好ましい配合割合は 、前者100質量部に対し、後者は1~15質量部で る。

 本発明における各絶縁層を構成する樹脂に 、求められる特性を損なわない範囲で、他 耐熱性樹脂、通常使用される添加剤、無機 填剤、加工助剤、着色剤なども添加するこ ができる。
 本発明の多層絶縁層は、上記した3層に限ら ず、前記絶縁層(C)の他に、中間層としてさら なる耐熱性向上のために液晶ポリエステル、 ポリフェニレンスルフィドやポリエーテルサ ルホン等からなる絶縁層を設けることができ る。

 本発明に用いられる導体としては、金属 線(単線)、または金属裸線にエナメル被覆 や薄肉絶縁層を設けた絶縁電線、あるいは 属裸線の複数本またはエナメル絶縁電線も くは薄肉絶縁電線の複数本を撚り合わせた 心撚り線を用いることができる。これらの り線の撚り線数は、高周波用途により随意 択できる。また、心線(素線)の数が多い場合 (例えば、19-素線、37-素線)は、撚り線ではな てもよい。撚り線ではない場合、例えば複 の素線を略平行に単に束ねるだけでもよい 、または束ねたものを非常に大きなピッチ 撚っていてもよい。いずれの場合も断面が 円形となるようにすることが好ましい。

 本発明の多層絶縁電線は、常法により、 体の外周に所望の厚みの1層目の絶縁層を押 出し被覆し、次いで、この1層目の絶縁層の 周に所望の厚みの2層目の絶縁層を押出し被 するという方法で、順次絶縁層を押出し被 することで製造される。このようにして形 される押出し絶縁層の全体の厚みは3層では 50~180μmの範囲内にあるようにすることが好ま しい。このことは、絶縁層の全体の厚みが薄 すぎると得られた耐熱多層絶縁電線の電気特 性の低下が大きく、実用に不向きな場合があ り、逆に厚すぎると小型化に不向きであり、 コイル加工が困難になるなどの場合があるこ とによる。さらに好ましい範囲は60~150μmであ る。また、上記の3層の各層の厚みは10~60μmに することが好ましい。

 上記の多層絶縁電線を用いた変圧器の実 態様としては、図1に示すようなフェライト コア1上のボビン2内に、絶縁バリヤや絶縁テ プ層を組込まないで、1次巻線4及び2次巻線6 が形成されている構造ものが好ましい。また 、上記本発明の多層絶縁電線は他のタイプの 任意の変圧器にも適用できるものである。

 次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。
[実施例1~13及び比較例1~4]
 導体として線径1.0mmの軟銅線を用意した。 1に示した各樹脂を表示の割合(組成の数値は 質量部を示す)で各層の押出し被覆用樹脂と 、導体上に順に最内層(B)、最外層と最内層 間の絶縁層(C)、最外層(A)を順次押出し被覆 て、表示の厚さ(100μm又は60μm)で多層絶縁電 を製造した。

 表1中の各樹脂は以下の通りである。
LCP樹脂:「ロッドラン」
       (商品名:ユニチカ社製)、
       液晶ポリエステル樹脂
PBT樹脂:「ノバデュラン」
       (商品名:三菱エンジニアリング社 )、
       ポリブチレンテレフタレート樹脂
PET樹脂:「帝人PET」
       (商品名:帝人社製)、
       ポリエチレンテレフタレート樹脂
反応性改質樹脂:「ボンドファースト7M」
       (商品名:住友化学工業社製)、
       エポキシ基含有樹脂
PBTエラストマー:「ペルプレンS-9001」
       (商品名:東洋紡社製)、
       ポリエステルエラストマー樹脂
ポリアミド樹脂:「FDK-1」
       (商品名:ユニチカ社製、商品名)、
       ポリアミド66樹脂

 得られた多層絶縁電線につき、下記の仕様 各種の特性を試験した。また、肉眼により 観を観察した。得られた結果を表1に示した 。
A.電線表面の引っ掻き傷程度確認:
 JIS C 3003-1984 14耐溶剤(1)記載のつめ法を模 して、爪先で電線表面を1回こすった時、導 体が現れるほど、皮膜が剥がれないかを目視 で調べる。
 剥がれが少しでも認められたものは「皮膜 がれ」と表示し、剥がれが無いものは「良 」とした。
B.電気的耐熱性:
 IEC規格60950の2.9.4.4項の付属書U(電線)と1.5.3 の付属書C(トランス)に準拠した下記の試験 法で評価した。
 直径10mmのマンドレルに多層絶縁電線を、荷 重118MPa(12kg/mm 2 )をかけながら10ターン巻付け、215℃で1時間 熱、更に140℃で21時間及び190℃で3時間を3サ クル加熱し、更に30℃、湿度95%の雰囲気に48 時間保持し、その後3000Vにて1分間電圧を印加 し短絡しなければ、E種合格と判定した。(判 はn=5にて評価、1つでもNGになれば不合格と る)。
 また、同様にマンドレルに巻き付け、225℃ 1時間加熱、更に150℃で21時間及び200℃で3時 間を3サイクル加熱し、更に30℃、湿度95%の雰 囲気に48時間保持し、その後3000Vにて1分間電 を印加し短絡しなければ、B種合格と判定し た。(判定はn=5にて評価、1つでもNGになれば 合格となる)。
C.耐溶剤性
 巻線加工として導体径の20倍径の巻き付け 行った電線をキシレン、スチレン、及びイ プロピルアルコール溶媒に30秒間浸漬し、乾 燥後試料表面の観察を行い、クレージング発 生の有無判定を行った。すべての試料でクレ ージング発生が認められなかったので「○( )」と表示した。
 そして、これら上記A、B、Cの試験結果を総 して、絶縁電線としての合否を判定し、好 しいものは「○(合)」、不適切なものは「× (否)」とした。

 表1で示した結果から以下のことが明らかに なった。
 ポリアミド樹脂を最外層(A)に被覆した比較 1及び2では、引掻き試験の結果、導体が現 るほど皮膜が剥離した。比較例3及び4では耐 熱性がE種を満足しなかった。一方、実施例1~ 11では、引掻き試験、電気的耐熱性(B種)、耐 剤性のいずれも合格基準を満たした。実施 12、13では、引掻き試験と耐溶剤性の試験に 加えて、電気的耐熱性(E種)を満たした。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2008年10月20日に日本国で特許出 された特願2008-270375、及び2009年2月2日に日本 国で特許出願された特願2009-021938に基づく優 権を主張するものであり、これらはいずれ ここに参照してその内容を本明細書の記載 一部として取り込む。

1 フェライトコア
2 ボビン
3 絶縁バリヤ
4 一次巻線
4a 導体
4b、4c、4d 絶縁層
5 絶縁テープ
6 二次巻線
6a 導体
6b、6c、6d 絶縁層