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Patent Searching and Data


Title:
MULTISTAGE TRITIUM CONCENTRATION DEVICE, AND TRITIUM CONCENTRATION METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157435
Kind Code:
A1
Abstract:
The concentration of tritium in sample water is efficiently increased to a desired concentration rate by a simple structure. A multistage tritium concentration device (1) for electrolytically increasing the concentration of tritium in sample water is configured to include electrolysis cells (3a-3d) each comprising an anode chamber (14), a cathode chamber (15), an ion-exchange membrane (7) provided near the anode chamber (14) and the cathode chamber (15), and an anode (8) and a cathode (9) which are provided in the anode chamber (14) and the cathode chamber (15), respectively.  The multiple electrolysis cells (3a-3d) are coupled in series, and the cathode chamber (15) of a preceding-stage electrolysis cell and the anode chamber (14) of a subsequent-stage electrolysis cell are connected by a tube (5b, 5c, 5d).

Inventors:
SAITO MASAAKI (JP)
IMAIZUMI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061393
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOKYO METRO IND TECH RES INST (JP)
UNIV NIIGATA (JP)
SAITO MASAAKI (JP)
IMAIZUMI HIROSHI (JP)
International Classes:
C01B5/02; B01D59/40; G01N1/10
Foreign References:
JPS5433997A1979-03-13
Other References:
"Annual meeting on radioisotope and radioation research, 20 June, 2008", vol. 45TH, 20 June 2008, article MASAAKI SAITO ET AL.: "Kotai Kobunshi Tritium Denkai Noshuku no Hanno Process no Kento", pages: 38
MASAAKI SAITO ET AL.: "Kotai Kobunshi Denkaishitsu Hoshiki Tritium Jido Noshuku Sochi no Kaihatsu", RADIOISOTOPES, vol. 45, no. 8, 1996, pages 483 - 490
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA Yoshiki et al. (JP)
Yoshiki Hasegawa (JP)
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Claims:
 陽極室及び陰極室と、前記陽極室及び前記陰極室に近接して設けられたイオン交換膜と、前記陽極室及び前記陰極室内のそれぞれに設けられた陽極及び陰極とを有する電解セルを含んで構成され、電解によって試料水中のトリチウム濃度を高めるためのトリチウム濃縮装置であって、
 複数の前記電解セルが直列的に連結されており、前段側の前記電解セルの陰極室と後段側の前記電解セルの陽極室とが連結管によって接続されている、
ことを特徴とする多段式トリチウム濃縮装置。
 前記イオン交換膜は固体高分子電解質膜である、
ことを特徴とする請求項1に記載の多段式トリチウム濃縮装置。
 請求項1又は2に記載の多段式トリチウム濃縮装置を用いて、電解によって試料水中のトリチウム濃度を濃縮するトリチウム濃縮方法であって、
 第1段目の前記電解セルの前記陽極室に試料水を入れた後に前記第1段目の電解セルを給電することによって電解させ、
 前記電解の進行によって前記第1段目の電解セルの前記陰極室に浸出してくるトリチウムが濃縮された貯留水を、前記連結管を通じて第2段目の前記電解セルの前記陽極室に導入し、
 前記2段目の電解セルからN段目(Nは2以上の整数)の前記電解セルまで前記給電及び前記貯留水の導入を繰り返すことによって、前記貯留水中のトリチウムを濃縮する、
ことを特徴とするトリチウム濃縮方法。
  陽極室及び陰極室と、前記陽極室及び前記陰極室に近接して設けられたイオン交換膜と、前記陽極室及び前記陰極室内のそれぞれに設けられた陽極及び陰極とを有する電解セルを含んで構成されたトリチウム濃縮装置を用いて、電解によって試料水中のトリチウム濃度を濃縮するトリチウム濃縮方法であって、
 前記電解セルの前記陽極室に試料水を入れた後に前記電解セルを給電することによって電解させ、
 前記電解の進行によって前記電解セルの前記陰極室に浸出してくるトリチウムが濃縮された貯留水を貯留し、
 前記陽極室に残留する前記試料水の量又は前記陰極室に浸出した前記貯留水の量に応じて前記給電を停止させた後に、前記貯留水を前記陽極室に還流させ、
 前記電解セルを再度給電することにより、前記陰極室にさらにトリチウムが濃縮された貯留水を貯留し、
 前記給電、及び前記貯留水の貯留と還流を繰り返すことによって、前記貯留水中のトリチウムを濃縮する、
ことを特徴とするトリチウム濃縮方法。
 前記イオン交換膜として固体高分子電解質膜を用いる、
ことを特徴とする請求項3又は4記載のトリチウム濃縮方法。
Description:
多段式トリチウム濃縮装置、及 トリチウム濃縮方法

 本発明は、トリチウムを含む試料水を濃 する多段式トリチウム濃縮装置、及びトリ ウム濃縮方法に関する。

 従来から、水資源利用、環境調査、土木 設や、原子力発電設備の安全性調査等の分 において、試料水中の重水素、特にトリチ ムの分析が盛んに実施されている。このよ な分析に際しては、重水素を含む試料水を 縮してから重水素の濃度を測定することに り、測定精度を向上させている。重水素を 縮するための装置としては下記特許文献1~3 開示されている。

 下記特許文献1,2に記載の装置では、陰極 と陽極室との間で試料水が循環できる構造 なっており、試料水を水素と酸素とに電気 解させて重水素の濃度を上昇させている。 た、下記特許文献3に記載の装置では、試料 水を電気分解した結果生じた水素同位体を拡 散分離し、酸素と再結合することにより水素 同位体の濃縮を行う。

特許第3406390号公報

特許第3748304号公報

特開2001-286737号公報

 所望のトリチウム濃度範囲に入るように 縮した溶液(濃縮水)を作成してその濃度を 測する場合に必要な量は、一般的に大きく なく、国際標準では10mlとされている。しか 、上述した特許文献1,2に記載された装置で 、種々の空間的制約から最終的な濃縮水と て約50mlを製造しないと運転を停止できなか った。計測にはそこから必要な10mlを分取す ことになり、残りの4/5の濃縮水は無駄にし ければならず、効率的ではなかった。また 特許文献3に記載された装置は、電解槽や多 交換塔による気体水素の同位体分離作用及 再結合用の電池等が必要であり構造が複雑 する傾向にあった。

 そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて されたものであり、簡易な構造で試料水中 トリチウム濃度を効率的に所望の濃縮率に で高めることが可能な多段式トリチウム濃 装置及びトリチウム濃縮方法を提供するこ を目的とする。

 上記課題を解決するため、本発明の多段 トリチウム濃縮装置は、陽極室及び陰極室 、陽極室及び陰極室に近接して設けられた オン交換膜と、陽極室及び陰極室内のそれ れに設けられた陽極及び陰極とを有する電 セルを含んで構成され、電解によって試料 中のトリチウム濃度を高めるためのトリチ ム濃縮装置であって、複数の電解セルが直 的に連結されており、前段側の電解セルの 極室と後段側の電解セルの陽極室とが連結 によって接続されている。

 或いは、本発明のトリチウム濃縮方法は 上記多段式トリチウム濃縮装置を用いて、 解によって試料水中のトリチウム濃度を濃 するトリチウム濃縮方法であって、第1段目 の電解セルの陽極室に試料水を入れた後に第 1段目の電解セルを給電することによって電 させ、電解の進行によって第1段目の電解セ の陰極室に浸出してくるトリチウムが濃縮 れた貯留水を、連結管を通じて第2段目の電 解セルの陽極室に導入し、2段目の電解セル らN段目(Nは2以上の整数)の電解セルまで給電 及び貯留水の導入を繰り返すことによって、 貯留水中のトリチウムを濃縮する。

 或いは、本発明のトリチウム濃縮方法は 陽極室及び陰極室と、陽極室及び陰極室に 接して設けられたイオン交換膜と、陽極室 び陰極室内のそれぞれに設けられた陽極及 陰極とを有する電解セルを含んで構成され トリチウム濃縮装置を用いて、電解によっ 試料水中のトリチウム濃度を濃縮するトリ ウム濃縮方法であって、電解セルの陽極室 試料水を入れた後に電解セルを給電するこ によって電解させ、電解の進行によって電 セルの陰極室に浸出してくるトリチウムが 縮された貯留水を貯留し、陽極室に残留す 試料水の量又は陰極室に浸出した貯留水の に応じて給電を停止させた後に、貯留水を 極室に還流させ、電解セルを再度給電する とにより、陰極室にさらにトリチウムが濃 された貯留水を貯留し、給電、及び貯留水 貯留と還流を繰り返すことによって、貯留 中のトリチウムを濃縮する。

 このような多段式トリチウム濃縮装置及び リチウム濃縮方法によれば、陽極室に供給 れた試料水は電解セルが給電されることに り電解され、その電解により陽極で発生し 水素イオンが、随伴水を伴ってイオン交換 を通過して陽極室から陰極室に向けて浸出 る。その際、試料水中に含まれるH 2 Oの分解がHODやHOT(D:ジュウテリウム、T:トリチ ウム)の分解に対して優先的に発生するので 陰極室に溜まる貯留水中のトリチウムの濃 が上昇する。そして、この貯留水をさらに 一又は別の電解セルの陽極室に導入し、貯 水の電解、陰極室における貯留水の貯留、 び陽極室への貯留水の導入を繰り返すこと より、所望の濃縮率で効率的に試料水中の リチウムを濃縮させることができる。また このような試料水の濃縮を、電解セルの多 構成又は電解セルと貯留水の循環機構との み合わせという簡易な構成によって実現す ことができる。

 本発明の多段式トリチウム濃縮装置及び リチウム濃縮方法によれば、簡易な構造で 料水中のトリチウム濃度を効率的に所望の 縮率にまで高めることができる。

本発明の好適な一実施形態にかかる多 式トリチウム濃縮装置を示す正面図である 図1の電解セル分解斜視図である。 本発明の変形例にかかるトリチウム濃 装置を示す正面図である。

 以下、図面を参照しつつ本発明の多段式 リチウム濃縮装置及びトリチウム濃縮方法 好適な実施形態について詳細に説明する。 お、図面の説明においては同一又は相当部 には同一符号を付し、重複する説明を省略 る。

 [第1実施形態]
 図1は、本発明の第1実施形態にかかる多段 トリチウム濃縮装置1を示す正面図、図2は、 図1の電解セル3aの分解斜視図である。多段式 トリチウム濃縮装置1は、トリチウムを含む 査対象の試料水のトリチウム濃度を濃縮す ための装置であり、試料水容器2aと貯留水容 器2bとの間に複数の電解セル3a~3dが直列に接 された構成を有している。

 電解セル3aは、図2を参照して、中心部に 形膜状のイオン交換膜7を有し、このイオン 交換膜7の両面にイオン交換膜7よりも小径の 板状の陽極8及び陰極9が対向配置されてい 。このイオン交換膜7は、高いプロトン伝導 を有する固体高分子電解質(SPE:Solid Polymer E lectrolyte)膜によって構成されている。陽極8は DSA(Dimensionary Stable Anode)から成り、陰極9はス テンレス等の各種金属から成り、それぞれは 繊維状に加工された後に円板状に圧縮された ものである。これらの陽極8及び陰極9が、陽 8及び陰極9とほぼ同一の内径を有するリン 状のゴムパッキン10,11に嵌め込まれた状態で 、2つの円板状の導電性の金属ブロック12,13に よって挟まれることにより、イオン交換膜7 対して圧着されて固定されている。

 上記のような構造により、電解セル3aに 、コムパッキン10の内周面、金属ブロック12 及びイオン交換膜7によって仕切られた陽極 室14と、コムパッキン11の内周面、金属ブロ ク13、及びイオン交換膜7によって仕切られ 陰極室15とが形成される(図1)。従って、イオ ン交換膜7が陽極室14及び陰極室15に近接して けられることで、陽極室14及び陰極室15は、 イオン交換膜7によって相互に隔離された構 になっている。さらに、陽極8及び陰極9は、 それぞれ、陽極室14及び陰極室15内において オン交換膜7に密着した状態にされている。

 金属ブロック12には、陽極8側の内面12aと 面12bとの間を貫くように2つの貫通孔16a,17a 形成され、金属ブロック13には、陰極9側の 面13aと外面13bとの間を貫くように2つの貫通 16b,17bが形成されている。この貫通孔16a,17a それぞれが外面12bにおいてチューブ6a,5aの端 部に接続されることにより、試料水容器2aと 極室14との間での試料水の流通、及び陽極8 発生した気体の排出が可能にされる。また 貫通孔16b,17bのそれぞれが外面13bにおいてチ ューブ6b,5bの端部に接続されることにより、 段の電解セル3bと陰極室15との間での試料水 の流通、及び陰極9で発生した気体の排出が 能にされる。

 さらに、これらの金属ブロック12,13には 陽極8及び陰極9に対して給電するためのリー ド線18,19が、それぞれ接続されている。この ード線18及び金属ブロック12を介して電源か ら陽極8に電荷が供給され、リード線19及び金 属ブロック13を介して電源から陰極9に電荷が 供給される。ここでは、金属ブロック12と陽 8との間、又は金属ブロック13と陰極9との間 においては、電解セル3aを組立てた際に接触 て電気的接続が達成されるが、電気的なコ タクトを確実にするには金属ブロック12と 極8、又は金属ブロック13と陰極9の間をリー 線で接続しておくことが好ましい。また、 属ブロック12,13は、必ずしも金属である必 はなく、十分な機械的強度を有する絶縁体 構成されてもよい。その場合には、電源か 延びるリード線18,19は、陽極8及び陰極9に直 接続されていればよい。さらにまた、電解 ル3aは、円形状のイオン交換膜7、陽極8、陰 極9、ゴムパッキン10,11、金属ブロック12,13に って構成されていたが、これらの部材の形 は円形には限定されず、正方形を含む矩形 どの任意の形状を選択することができる。

 図1に戻って、電解セル3b~3dは、電解セル3 aと同一の構造を有している。そして、電解 ル3a~3dは、前段の電解セルの陰極室15の貫通 17bが後段の電解セルの陽極室14の貫通孔17a 接続されるように、チューブ(連結管)5b,5c,5d よって順に連結されている。なお、このチ ーブ5b,5c,5dは、電解セル3a~3d間の絶縁を取る ために樹脂等の絶縁性材料によって構成され ている。そして、最終段の電解セル3dの陰極 15は、チューブ5eを介して貯留水容器2bに接 されている。

 各電解セル3a~3dの陽極8及び陰極9には、そ れぞれ個別に直流電源20a~20dが接続されてい 。この直流電源20a~20dは、それぞれ、電解セ 3a~3dのチューブ6a内の水位を検出する水位セ ンサ21が電気的に接続されており、各電解セ 3a~3dの陽極室14における試料水の水位の変化 に応じて電解セル3a~3dへの給電をオン/オフす るように動作する。

 以下、上述した多段式トリチウム濃縮装 1を用いたトリチウム濃縮方法について説明 する。

 まず、試料水容器2aにトリチウムを含む 料水を入れることにより、電解セル3aの陽極 室14に試料水を入れる。その後、試料水容器2 aの試料水の水位が水位センサ21の位置を超え ている間は、直流電源20aから電解セル3aの陽 8及び陰極9に電荷が供給され、電解セル3a内 の試料水において電解が行われる。具体的に は、陽極8近傍で酸素ガスが発生すると同時 水素イオンが生成され、随伴水を伴った水 イオンが、イオン交換膜7を通過して陽極室1 4から陰極室15に向けて浸出するとともに、陰 極9近傍で水素ガスが発生する。このような 解の進行によって、トリチウムが濃縮され 随伴水が貯留水として陰極室15に徐々に貯留 される。

 このようにして電解セル3aの陰極室15に貯 留された貯留水は、チューブ5bを通って電解 ル3bの陽極室14に導入される。さらに、随伴 水の移動に伴って試料水容器2a内の水位が下 して水位センサ21の位置より下にくると、 流電源20aからの給電は自動的にオフされ、 解セル3aにおける試料水の電解が停止する。 その一方、電解セル3bの陽極室14に導入され 貯留水の水位が水位センサ21の位置まで上昇 すると、直流電源20bから電解セル3bの陽極8及 び陰極9に電荷が供給され、電解セル3b内の貯 留水において電解が行われる。これにより、 電解セル3bの陰極室15に随伴水が徐々に浸出 る。

 その後、第2段目の電解セル3bから第4段目 の電解セル3dまで、直流電源20b~20dによる給電 、及び前段の陰極室15から後段の陽極室14へ 貯留水の導入を順に繰り返すことによって 最終段の電解セル3dの陰極室15に接続された 留水容器2bに、所望の濃縮倍率までトリチ ム濃度が濃縮された貯留水が生成される。

 次に、多段式トリチウム濃縮装置1による 濃縮倍率を評価するために、一段の電解セル 3aを用いた場合の試料水の濃縮倍率を測定し 結果を示す。

 まず、試料水容器2aにトリチウムを含む 料水を380g入れて約80分間攪拌のための電解 行い、陽極室14で発生する酸素ガス気泡の攪 拌作用により陽極室14のトリチウム濃度を均 化した。そして、陽極室14から60gの試料水 採取し、これを電解前陽極試料水Aとした。 の際、陰極室15側に生じた随伴水は取り除 た。この段階で、装置全体を秤量したとこ 、装置内の試料水は300gであった。

 その後、直流電源20aの電流値を27Aに設定 て電解を開始すると、随伴水が徐々に陰極 15側に貯留される。電解処理開始後180分経 したタイミングで、陰極室15側に貯留した随 伴水73gを採取し、これを陰極試料水Bとした さらに電解を再開し、電解処理開始後300分 に陰極室15側に貯留した随伴水49gを採取し、 これを陰極試料水Cとし、電解処理開始後450 後に陰極室15側に貯留した随伴水61gを採取し 、これを陰極試料水Dとして電解を停止させ 。電解停止後に陽極室14側に残留した試料水 を43g採取し、電解後陽極試料水Eとした。

 この電解の際に分解ガスによって失われ 水蒸気は、0~1°Cに冷却された冷却管によっ 凝縮還流させた。この場合の水蒸気圧を5mmH gとみなしたとき、水1gの分解量に対して水蒸 気損失量は0.01gと推定された。

 最後に、各試料水を蒸留精製して40.00gを 取し、それらのトリチウム濃度[Bq/kg±2σ]を 部科学省が基準化したトリチウム分析法に って測定したところ、次のとおりとなった すなわち、試料水Aは73±1、試料水Eは74±1、 料水B,C,Dはそれぞれ、95±2,96±2,96±2と得られ た。

 この電解セル3aによる試料水の濃縮倍率 測定結果から、電解処理前後の陽極室14内の 試料水A,Eにおいてはトリチウムの濃縮が起こ らなかったことがわかる。また、電解処理時 間の異なる試料水B,C,Dの結果から、電解時間 関わらず濃縮倍率はほぼ一定(1.30倍)に保た ることがわかった。つまり、トリチウムの 縮は電解セル3aの陰極室15のみで起こること 、陰極室15のトリチウム濃度は電解時間に依 しないことが判明した。

 この際、装置を含めた秤量値から、450分 解処理後の総分解水量は68.4gであり、陰極 15側に貯留した総水量が188.4gであった。従っ て、分解水量を時間で除して得られる電解電 流値は26.95Aであり、水1gの分解に伴って188.4/6 8.4=2.75gの随伴水が水素イオンとともに陰極9 に輸送されたことがわかった。

 以上をまとめると、1段の電解セル3aを用 た電解処理によって、試料水の水量は2.75/3. 75=1/1.36倍に減少し、トリチウムの濃度は1.30 に濃縮され、得られる濃縮処理後の試料水 電解時間の経過に従って増加するだけで濃 倍率は変化しないことが明らかになった。 って、4段の電解セル3a~3dを有する多段式ト チウム濃縮装置1によれば、最終的な貯留水 水量は1/1.36の4乗倍になり、トリチウム濃度 は1.30の4乗倍になることが容易に予想できる

 以上説明した多段式トリチウム濃縮装置1及 びそれを用いたトリチウム濃縮方法によれば 、電解セル3aの陽極室14に供給された試料水 電解セル3aが給電されることにより電解され 、その電解により陽極8で発生した水素イオ が、随伴水を伴ってイオン交換膜7を通過し 陽極室14から陰極室15に向けて浸出する。そ の際、試料水中に含まれるH 2 Oの分解がHODやHOT(D:ジュウテリウム、T:トリチ ウム)の分解に対して優先的に発生するので 陰極室15に溜まる貯留水中のトリチウムの濃 度が上昇する。そして、この貯留水をさらに 後段の電解セル3b~3dの陽極室14に順に導入し 貯留水の電解、陰極室15における貯留水の貯 留、及び後段の陽極室14への貯留水の導入を り返すことにより、所望の濃縮率で効率的 試料水中のトリチウムを濃縮させることが きる。また、このような試料水の濃縮を、 解セルの多段構成という簡易な構成によっ 実現することができる。

 また、イオン交換膜7として固体高分子電 解質膜を用いているので、陽極8で発生した 素イオンを安定して移動させることができ 。これによって、陰極室15側において濃縮さ れた試料水をより効率的に生成することがで きる。また、このイオン交換膜7に陽極8及び 極9が密着しているので、電解により生じた 水素イオンの大部分を随伴水とともに陰極室 15に浸出させることができるので、陰極室15 のトリチウム濃度のみを効果的に濃縮する とができる。

 また、電解セル3a~3d内における随伴水の 極室14から陰極室15への1回の浸出によって一 定の濃縮倍率の試料水が生成されるので、電 解セル3a~3dの段数を変更することで最終的な 縮倍率を自由に設定することができる。例 ば、1段の濃縮処理の濃縮倍率がZである場 は、この濃縮処理を繰り返せば最終的な濃 倍率はZのN乗となり、Z=1.3で10段の場合の濃 倍率は14倍、15段では51倍、20段では190倍とな る。

 また、電解セル3a~3dの陽極室14内に残留す る試料水の水位が水位センサ21の位置を下回 た場合に電解を停止させることにより、イ ン交換膜7の保水状態を維持することができ る。

 [第2実施形態]
 次に、本発明の第2実施形態について説明す る。図3は、本発明の第2実施形態にかかるト チウム濃縮装置101を示す正面図である。

 トリチウム濃縮装置101は、試料水容器102a と、貯留水容器102bと、電解セル3と、ポンプ( 循環機構)104とによって構成されている。電 セル3の構成は第1実施形態における電解セル 3aと同一である。試料水容器102aは、2つのチ ーブ5a,6aによって電解セル3の陽極室14に繋が っており、貯留水容器102bは、2つのチューブ5 b,6bによって電解セル3の陰極室15に繋がって る。

 さらに、電解セル3のリード線18,19には直 電源20が接続されており、直流電源20から陽 極8及び陰極9に電荷が供給される。また、直 電源20にはチューブ5aの途中に設けられた水 位センサ121が電気的に接続され、陽極室14及 試料水容器102aにおける試料水の水位の変化 に応じて直流電源20からの給電がオン/オフさ れるように設定されている。

 ポンプ104には吸水管104a及び排水管104bが り付けられ、吸水管104aはチューブ5bに分岐 て接続されており、排水管104bはチューブ5a 分岐して接続されている。このポンプ104は 陰極室15に繋がる貯留水容器102bに溜まった 伴水を陽極室14に繋がるチューブ5aに送るこ により、電解セル3の陰極室15に生成された 縮処理後の随伴水を、電解セル3の陽極室14 還流させる働きを有する。さらに、ポンプ1 04にはチューブ5bの途中に設けられた水位セ サ122が電気的に接続され、陰極室15及び貯留 水容器102bに溜まった随伴水の水位の変化に じてポンプ104が起動又は停止するように設 されている。

 以下、上述したトリチウム濃縮装置101を いたトリチウム濃縮方法について説明する

 まず、試料水容器102aにトリチウムを含む 試料水を入れることにより、電解セル3の陽 室14に試料水を導入する。この際、試料水容 器102aの試料水の水位が水位センサ121の位置 超えている間は、直流電源20から陽極8及び 極9に電荷が供給され、試料水において電解 発生する。電解の進行に伴って、トリチウ が濃縮された随伴水が陰極室15に浸出して 貯留水容器102bに貯留される。

 随伴水の移動に伴って試料水容器102a内に 残留する試料水の水位が下降して水位センサ 121の位置より下にくると、直流電源20からの 電が自動的にオフされ、電解セル3における 試料水の電解が停止する。その後、直流電源 20の給電のオフが検出されることによりポン 104が自動的に起動され、貯留水容器102b内に 貯留された随伴水が陽極室14内に導入される その後、貯留水容器102bに貯留された随伴水 の水位が水位センサ122の位置まで下降すると 、ポンプ104が自動的に停止され、随伴水の循 環が止められる。

 ポンプ104が起動から停止に切り替わるタ ミングで直流電源20からの給電が再度オン れ、電解セル3における試料水の電解が再度 始される。これにより、随伴水が陰極室15 浸出して貯留水容器102b内に貯留する。以降 水位センサ121,122によって検知される水位が 、いずれも両センサの位置より低いレベルに なるまで電解セル3に対する給電、随伴水の 留及び循環が繰り返される。

 以上説明したトリチウム濃縮装置101を用 たトリチウム濃縮方法によっても、試料水 と濃縮水量とを一定値に設定することで所 の濃縮率で効率的に試料水中のトリチウム 濃縮させることができる。また、このよう 試料水の濃縮を、単一の電解セルと循環機 との組み合わせという簡易な構成によって 現することができる。

 ここで、トリチウム濃縮装置101を用いた リチウム濃縮方法によって試料水を濃縮さ た場合の測定結果を、従来型の装置と比較 て示す。この場合、試料水容器102aにトリチ ウムを含む試料水を600g入れて、直流電源20及 びポンプ104の自動運転によって繰り返し濃縮 処理を行った。その際に、トリチウム濃縮装 置101によって陰極室15側に生成される試料水 水量は27±1gであり、濃縮倍率は10.3±0.2倍と う結果が得られた。これに対して、特許第3 748304号公報に記載された装置を用いた場合、 装置全体で生成される試料水の水量は54±1gで あり、濃縮倍率は7.0±0.2倍という結果であっ 。この結果により、陽極室と陰極室とを隔 した多段階の電解方式によってトリチウム 濃縮が効率的に起きることが実証された。 た、同一の試料水を供給したときの濃縮水 も従来に比較して約1/2まで減らせることが かった。

 なお、本発明は、前述した実施形態に限 されるものではない。例えば、多段式トリ ウム濃縮装置1においては、直流電源を電解 セルの個数より少なくし、少なくとも1つの 流電源を複数の電極セルに並列接続するよ にしてもよい。こうすれば、各電解セルに する給電のための電源の個数を削減するこ ができる。

 また、トリチウム濃縮装置101においては ポンプ104が陰極室15及び貯留水容器102bに溜 った試料水の水位が一定レベルを超えてい 場合に起動するように設定されているが、 極室14及び試料水容器102aに溜まった試料水 水位が一定レベルを下回った場合に起動す ように設定されていてもよい。同様に、直 電源20は陽極室14及び試料水容器102aにおけ 試料水の水位に応じてオン/オフされるよう 設定されているが、陰極室15及び貯留水容 102bに溜まった試料水の水位に応じてオン/オ フするように制御されてもよい。

 ここで、イオン交換膜として固体高分子 解質膜を用いることも好ましい。このよう 固体高分子電解質膜は安定性に優れた材料 あるため、陽極で発生した水素イオンを安 して移動させることができる。

 本発明は、トリチウムを含む試料水を濃 する多段式トリチウム濃縮装置、及びトリ ウム濃縮方法を使用用途とし、簡易な構造 試料水中のトリチウム濃度を効率的に所望 濃縮率にまで高めるものである。

 1…多段式トリチウム濃縮装置、3,3a~3d… 解セル、5b,5c,5d…チューブ(連結管)、7…イオ ン交換膜、8…陽極、9…陰極、14…陽極室、15 …陰極室、20,20a~20d…直流電源。