YU ROBERT K (US)
MORIKAWA KEIKO (JP)
KISE MITSUO (JP)
USUKI SEIGO (US)
YU ROBERT K (US)
MORIKAWA KEIKO (JP)
KISE MITSUO (JP)
WO2007069758A1 | 2007-06-21 |
JP2008266326A | 2008-11-06 |
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Patent business corporation It burns and is ぎ特許事務所. (JP)
2-ヒドロキシ-オクタデカン酸を含むステロール配糖体を有効成分とする神経障害予防及び改善組成物。 |
請求項1記載のステロール配糖体のステロール骨格が5α-cholest-8(14)-en-3β-olであることを特徴とする神経障害予防及び改善組成物。 |
脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデカン酸を含むステロール配糖体を有効成分とする神経障害の予防又は改善剤。 |
ステロール骨格として5α-cholest-8(14)-en-3β-olを含むステロール配糖体を有効成分とする神経障害の予防又は改善剤。 |
脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデカン酸を含み、かつ、ステロール骨格として5α-cholest-8(14)-en-3β-olを含む、ステロール配糖体を有効成分とする神経障害の予防又は改善剤。 |
脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデカン酸を含むステロール配糖体を有効成分とするホモシステインチオラクトナーゼ活性化組成物。 |
請求項6記載のステロール配糖体のステロール骨格が5α-cholest-8(14)-en-3β-olであることを特徴とするホモシステインチオラクトナーゼ活性化組成物。 |
以下の(i)又は(ii)のいずれかの条件を満たす、一般式(A)で表されるステロール配糖体。 ・・・・・・・・・・・(A) (i) 一般式(A)中のXは以下の群から選択され、かつ、Yは5α-cholest-8(14)-en-3β-olである パルミチン酸(16:0)、 ステアリン酸(18:0)、 2-ヒドロキシ-オクタデカン酸(18:0(2h))、 オレイン酸(18:1)、 リノール酸(18:2)、又は、 リグノセリン酸(24:0) (ii) 一般式(A)中のXは2-ヒドロキシ-オクタデカン酸(18:0(2h))であり、かつ、Yは以下の群から選択される Campesterol、 Stigmasterol、 5α-cholest-8(14)-en-3β-ol、又は、 β-Sitosterol |
本発明は発芽玄米に含まれる新規化合物 関し、当該新規化合物の利用に関する。さ に詳しくは、当該新規化合物の糖尿病性神 障害を予防又は改善する用途に関するもの ある。
糖尿病患者数は、2000年の統計ではアジア では8,450万人、世界では1億5,100万人である。2 002年の厚生労働省糖尿病実態調査によると日 本では、糖尿病患者とその予備軍が1,620万人 のぼり、実に成人の6.3人に1人にあたる。ま た、患者数は2015年にはアジアでは1億3,230万 、世界では2億2,100万人に達すると予測され いる(非特許文献1参照)。
糖尿病(とうにょうびょう、DiabetesMellitus: DM)は、糖代謝の異常によって起こるとされ 血液中のグルコース濃度が病的に高まるこ によって、様々な特徴的な合併症をきたす 、きたす危険性のある病気である。ここで 合併症とはその病気がもとになって起こる 気や症状のことをいう。糖尿病自体には重 な自覚症状がなく、合併症を引き起こすま 治療を受けず病態を悪化させる場合が多い
糖尿病の合併症としては、脳梗塞、脳卒 、心筋梗塞、糖尿病腎症、下肢閉塞性動脈 化症、糖尿病網膜症、皮膚疾患、感染症、 尿病性神経障害、高脂血症、脳血管性痴呆 などがあり、中でも糖尿病腎症、糖尿病網 症、糖尿病性神経障害は三大合併症と呼ば る。
糖尿病の原因としては、遺伝的な要因に るものもあるが、食事などの生活習慣に起 するものが大半を占め、健康食品・機能性 品に対する期待は高まっている。近年、発 玄米の糖尿病の合併症に対する有用性が注 され、高脂血症の改善効果、心臓血管系疾 の予防(血栓形成抑制)、糖尿病腎症の予防 果などが報告されている。
ここで、発芽玄米は玄米を発芽させたも で、出芽の状態がおよそ1mm未満のものをい 。発芽の過程で、降圧作用や抗ストレス作 が知られているγ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric a cid(GABA))が産生されることが特徴的である。 らに、発芽玄米は豊富な食物繊維、ビタミ 、ミネラル、未知の脂質をぬかの層や芽に んでおり、日本では新しい全粒穀物として さらには、主食とするための研究対象とし 一般的である。発芽玄米では様々な健康に する有用性が研究されており、動物実験に いては、ストレプトゾトシン(Streptozotocin(STZ) )により誘導された糖尿病ラットの血中グル ース濃度を低下させる作用があることが報 されている(非特許文献2参照)。また、白米 比較して発芽玄米の食事は健常者(非特許文 3参照)及び高血糖の患者(非特許文献4参照) おいて食後の血中グルコース濃度及びイン リンを低下させることが知られており、糖 病の予防のための主食としての意義が高い 評価されている。
発芽玄米は、従来から健康食品として利 されてきているため、安全性も高く長期運 が可能な製剤や食品を提供できる可能性を つ。近年、発芽玄米の高脂血症に対する改 効果、心臓血管系疾患の予防(血栓形成抑制 )、糖尿病腎症の予防効果などが注目されて る。
さらに、発芽玄米の糖尿病性神経障害に する改善効果が調べられているが(非特許文 献5)、その有効成分については全く知られて なかった。そこで、本発明者らは、発芽玄 に含まれる糖尿病性神経障害に対する改善 果を有する有効成分を同定し、それによっ 新規な化合物を見出し、本発明を完成させ 。
発芽玄米は従来から健康食品として利用 れてきているため、安全性も高く長期運用 可能な製剤や食品を提供できる可能性を持 。すなわち、本発明の糖尿病神経障害の改 効果を得るためには、単離した有効成分を 取するまでもなく発芽玄米のまま全体とし 摂取することにより一定の効果が得られる また、当該改善効果は複数の因子が協同的 働くことによりもたらされている可能性が る。
一方で、もし当該効果を有する有効成分 同定に成功すれば、発芽玄米そのままでは 可能な大量又は高濃度の投与が可能になる けでなく、糖尿病性神経障害の発症メカニ ムの解明につながることさえ期待される。
そこで、本発明は発芽玄米に含まれ糖尿 性神経障害を改善する機能を有する有効成 の同定を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭 検討を行った結果、発芽玄米又は発芽玄米 糠(ぬか)の層に含まれるステロール配糖体(A cylated steryl-β-glucoside(ASG)。本出願においては 、ステロール配糖体、Acylatedsteryl-β-glucoside、 ASGの用語を同義に用いる。)に糖尿病性神経 害を改善することを見出し本発明に至った
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)2-ヒドロキシ-オクタデカン酸を含むステ
ール配糖体を有効成分とする神経障害予防
び改善組成物。
(2)(1)記載のステロール配糖体のステロール
格が5α-cholest-8(14)-en-3β-olであることを特徴
する神経障害予防及び改善組成物。
(3)脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデ
ン酸を含むステロール配糖体を有効成分と
る神経障害の予防又は改善剤。
(4)ステロール骨格として5α-cholest-8(14)-en-3β-
olを含むステロール配糖体を有効成分とする
経障害の予防又は改善剤。
(5)脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデ
ン酸を含み、かつ、ステロール骨格として5
α-cholest-8(14)-en-3β-olを含む、ステロール配糖
を有効成分とする神経障害の予防又は改善
。
(6)脂肪酸部分として2-ヒドロキシ-オクタデ
ン酸を含むステロール配糖体を有効成分と
るホモシステインチオラクトナーゼ活性化
成物。
(7)(6)記載のステロール配糖体のステロール
格が5α-cholest-8(14)-en-3β-olであることを特徴
するホモシステインチオラクトナーゼ活性
組成物。
(8)以下の(i)又は(ii)のいずれかの条件を満た
す、一般式(A)で表されるステロール配糖体。
・・・・・・・・・・・(A)
(i) 一般式(A)中のXは以下の群から選択さ
、かつ、Yは5α-cholest-8(14)-en-3β-olである
パルミチン酸(16:0)、
ステアリン酸(18:0)、
2-ヒドロキシ-オクタデカン酸(18:0(2h))、
オレイン酸(18:1)、
リノール酸(18:2)、又は、
リグノセリン酸(24:0)
(ii) 一般式(A)中のXは2-ヒドロキシ-オクタ
カン酸(18:0(2h))であり、かつ、Yは以下の群
ら選択される
Campesterol、
Stigmasterol、
5α-cholest-8(14)-en-3β-ol、又は、
β-Sitosterol
本発明の発芽玄米又は発芽玄米の糠(ぬか)
層を原料とした(Acylated steryl-β-glucoside, ASG)
、糖尿病性神経障害改善効果を有する。
したがって、本発明によれば糖尿病性神経
害の予防剤又は改善剤として利用すること
できる。
そして、安全性が高く、継続的な摂取も可
であり、かつ精製あるいは合成して大量に
造することもでき、食品等への添加が可能
あることからも、人又は動物の健康増進や
病予防などとして貢献できる可能性が大き
。
A2 発芽玄米の糠の抽出分離画分Fr.2に
まれ、TLC-オルシノール発色で検出される糖
質成分。
A3 糠の抽出分離画分Fr.2に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
A4 発芽玄米の糠の抽出分離画分Fr.2に
まれ、TLC-オルシノール発色で検出される糖
質成分。
A5 糠の抽出分離画分Fr.2に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
B1 糠の抽出分離画分Fr.3に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
B2 糠の抽出分離画分Fr.3に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
B3 糠の抽出分離画分Fr.3に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
B4 糠の抽出分離画分Fr.3に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
B5 糠の抽出分離画分Fr.3に含まれ、TLC-
ルシノール発色で検出される糖脂質成分。
A2(alkaline) 精製したA2をアルカリ処理
たもの
Fr 発芽玄米あるいは玄米の糠の粗脂質
抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーでさらに分画したもの。
GSL St Standardglycosphingolipid
Cer Ceramide
GlcCer Glucosylceramide
GalCer Galactosylceramide
LacCer Lactosylceramide
Gb3 Globotriaosylceramide
Gb4 Golbotetraosylceramide
C/M/W クロロホルム/メタノール/水
C:M:W クロロホルム:メタノール:水
Glc Glucose
Lac Lactose
Suc Sucrose
BBG Bovine brain ganglioside mixture
ASG Acylated steryl-β-glucoside、ステロール
配糖体
H4(helicobacter) Acylated steryl-β-glucosideder
ived from Helicobacter pylori
H6(helicobacter) Steryl-β-glucoside derived fr
omHelicobacter pylori
ASG-matreya Commercial standard of ASG derived
from soybean
16:0 パルミチン酸(palmitic acid)
18:0 ステアリン酸(stearic acid)
18:0(2h) 2-ヒドロキシ-オクタデカン
(2-hydroxy-octadecanoicacid)
18:1 オレイン酸(oleic acid)
18:2 リノール酸(linoleic acid)
22:0 ベヘン酸(behenic acid)
24:0 リグノセリン酸(lignoceric acid)
HTase ホモシステイン・チオラクトン(ho
mocysteine thiolactone)の加水分解酵素
HT ホモシステイン・チオラクトン(homoc
ysteine thiolactone)
LDL 低密度リポタンパク質
HT-modifiedLDL ホモシステイン・チオラ
トン修飾LDL
HT-LDL ホモシステイン・チオラクトン
飾LDL
Na/KATPase ナトリウム/カリウムATPase
SG 発芽玄米由来ASGから脂肪酸を除去し
たもの
S-ASG 大豆より精製したASG
[定義]
糖尿病性神経障害とは、糖尿病がもとにな
て起こる合併症の一つであり、末梢神経障
と自律神経障害のことである。臨床的には
期には手足などのしびれや痛み、慢性期に
感覚麻痺、運動神経失調を引き起こす障害
ある。病理学的には、神経組織のミエリン
と軸索の変性と損傷が挙げられる。これら
神経障害は、末梢神経伝導速度の低下、神
軸索膜由来ナトリウム/カリウムATPase(Na, K-A
TPase)活性の低下として観察、定量することが
できる。
糖尿病性神経障害の改善効果とは、発芽 米由来ASG又は発芽玄米由来ASGの有効成分が する効果であって、人又は動物の個体、組 又は細胞において、糖尿病性神経障害を原 として低下したナトリウム/カリウムATPase活 性又はHTase活性を正常値に近づけるべく上昇 せる効果あるいは運動神経伝導速度の低下 防止する効果をいう。
本発明でいう神経障害とは、糖尿病性神 障害と同一又は類似の生理学的、細胞組織 的、又は生化学的所見を示す病態をいうが 糖尿病を原因とするものに限られない。す わち、中枢および末梢神経において、病理 織学的には、特に、神経軸索の損傷、ミエ ン鞘脱髄、神経生理学的には、運動神経伝 速度の低下、生化学的には、神経膜由来ナ リウム/カリウムATPase活性の低下、又は血清 中の高密度リポ蛋白(HDL)分画に含まれているH Tase活性の低下として観察、定量することが きる全ての神経障害をいう。
HTaseとは、動脈硬化の危険因子であるホ システイン・チオラクトン(homocysteinethiolacton e)の加水分解酵素のことであり、パラオキソ ーゼ(paraoxonase)ファミリーに分類される。神 経障害を伴った患者ではパラオキソナーゼ活 性が低下することが報告されていることから (非特許文献6参照)、HTase活性の低下は動脈硬 の危険因子となるだけではなく、神経障害 進行程度にも関連すると考えられている。
[実験材料及び方法]
<発芽玄米>
公知の方法(特許文献1-3参照)により調整し
。
<分画-脂質画分の抽出>
脂質画分は5gの発芽玄米あるいは玄米の糠
ら、30ml及び20mlのクロロホルム・メタノール
(1:1及び2:1、容積比)を用いて2回抽出して脂質
画分とした。
<分画-シリカゲルクロマトグラフィー>
糖脂質の組成分析と各成分の精製
発芽玄米および玄米の脂質画分をさらにシ
カゲルカラムクロマトグラフィー(1x15 cm)に
かけ、溶媒クロロホルム:ヘキサン(1:1) 40 ml
クロロホルム:ヘキサン(9:1) 70 ml を通液し
て得た分画をFr.1とする。引き続き、溶媒ク
ロホルム:メタノール(9:1)80 mlを通液して得
分画をFr.2とする。さらに溶媒クロロホルム:
メタノール:水(7:3:0.1) 80 ml、溶媒クロロホル
ム:メタノール:水(3:6:0.8)120 mlを通液して得た
それぞれの分画をFr.3とFr.4とする。各分画を
ータリーエバポレーターで濃縮乾固した。
分画1 μgをシリカゲルはく層(TLC)プレート
スポットして、溶媒クロロホルム:メタノー
:水(70:30:0.1)にて展開する。展開後、TLCプレ
トにオルシノール試薬をスプレーする。TLC
レートをホットプレートに載せ110℃で5分間
加熱する。オルシノール発色で検出された各
糖脂質成分をデンシトメータで定量して組成
を求めた。
A2画分の精製
発芽玄米および玄米の糠の抽出分離画分Fr.2
およびFr.3に含まれる各糖脂質成分(A2, A4, B1,
B2, B3, B4, B5)をさらにシリカゲルカラムク
マトグラフィー(1x15cm)にかけ、溶媒(クロロ
ルム:メタノール:水(70:30:0.1)、流速0.2ml/min)
用いてフラクションコレクターで単離精製
した。
<アルカリ分解>
A2 (0.1mg)に0.5 mlの0.5 M NaOH /メタノール:水
(4:1)を加えて溶解して室温で20時間撹拌する
撹拌後に、2.5 mlのクロロホルム:メタノール
(2:1)を加えてフォルチ分配をおこなう。
下層を集めて、濃縮する。分配した下層を少
量のクロロホルムTLCプレートにスポットして
、溶媒 クロロホルム:メタノール:水(70:30:0.1)
にて展開する。展開後、TLCプレートにオルシ
ノール試薬をスプレーする。TLCプレートをホ
ットプレートに載せ110℃で5分間加熱する。
ルシノール発色させ、アルカリ処理前後のA2
およびA4のTLC展開移動度を比較した。
<分画-薄層クロマトグラフィー>
シリカゲルをコートした市販の縦10 cm のTL
Cプレート(Silica gel 60, Merck)の下より1.5cmの
置にマイクロシリンジでサンプルを塗布す
。展開溶媒クロロホルム:メタノール:水(70:30
:0.1)にて展開した。展開後風乾した。
<オルシノール(orcinol)染色>
0.2%オルシノール/2N硫酸をスプレーによりTLC
プレートに均一にスプレーする。スプレーを
受けたTLCプレートを110℃に熱されたホットプ
レート上で加熱する。TLCプレート上で分離し
た糖を含む各成分は特異的な小豆色の発色を
呈することで同定された。
<ガスクロマト質量分析法(GCMS)>
A2(50μg)を1.0mlの1 N 塩酸/メタノールに溶か
、86℃で16から24時間、加水分解した。反応
、室温まで冷却した後に、1.0 mlのヘキサン
を加えて撹拌、遠心して2層に分離した。下
に再び1.0 mlのヘキサンを加えて2層分離を行
た。さらに下層に対してもう一回2層分離を
おこなった。ヘキサンを多く含む上層のみを
集めて窒素ガスで乾燥させて脂肪酸分画とし
た。ヘキサン層は脂肪酸のGCMS分析に用いら
た。一方、残った塩酸メタノール層に等量
エチルエーテルを加えて2層分配をおこなっ
。エーテル層は窒素ガスで乾燥させてステ
ール分画としてステロールのGCMS分析に用い
られた。GCMS分析はHewlett-PackardGC-MS (5972 MS &a
mp; 5890 GC)に装着したキャピラリーカラム DB
-1 (50 m X0.25 mm)によって実施された。脂肪
の分析は初期温度70℃(5分), 10℃/分(18分),
温度250℃(15分)の10℃/分のグラデイエント昇
プログラムで実施された。ステロールの分
は初期温度70℃ (1分),10℃/分(18分), 終温度2
50℃(21分)のグラデイエント昇温プログラムで
実施された。
<核磁気共鳴分析法(NMR)>
A2(1.0 mg)を0.5 mlのCD 2
Cl 2
に溶解して予備的なNMRデータを取った後に、
CD 2
Cl 2
を窒素ガスで乾燥除去した。再び0.5mlのCDCl 3
に溶解して本格的な測定をおこなった。デー
タは25℃で800 MHzと900MHzでおこなった。デー
の収集は 1
HNMRのスペクトラムに加えて、2次元スペクト
[COSY、HSQC(carbon-proton one-bond correlated data)、
HMBC(carbon-proton multiple bond correlated data)]でも
収集された。
<リポタンパク質の分離>
リポタンパク質は以前に報告された手順(非
特許文献8参照)で準備した。簡単に述べると
正常ラットから採取した新鮮な血清を集め
固体KBrを用いて密度を1.3g/mlに合わせた。上
記の調製した血清(1.5ml、1.3g/ml)の上に通常の
理食塩水(3.5ml、1.006g/ml)を重層し、超遠心に
より遠心管の中に不連続の密度勾配を作製し
た。リポタンパク質はTV865ローターで369548g、
4℃、45分間の超遠心により分離した。3種の
なリポタンパク質画分(VLDL、LDL、HDL)を回収
、PBSに対して4℃で一晩透析した。本明細書
おいてはLDLは当該方法で得られた画分を意
する。
<HTase活性測定>
ラット血清HDL中のHTase活性は市販の測定キ
トを用いて測定した(AlfresaAuto HTLase; Alfresa
Pharma Corp., Osaka, Japan)。このキットはγ-チオ
ブチロラクトン(thiobutyrolactone)を基質として
用する。HTaseはラクトン環を加水分解し、遊
離チオール(thiol)基を生成する。チオール基
5,5'-ジチオビス(5,5'-dithiobis(2-netrobenzoic acid))
反応することにより、450nmの吸収で測定さ
る5-チオ-2-ニトロベンゾイック酸(5-thio-2-netro
benzoicacid)を生成した。450 nmの吸収を測定し
酵素活性を算出した。
<ナトリウム/カリウムATPase活性のための粗
製坐骨神経膜の調製>
粗精製膜は以前に報告された手順(非特許文
献7参照)により調製した。簡単に述べると、
ットの坐骨神経を、冷却等浸透圧溶液(250mM
スクロース、10mMHEPES-Tris緩衝液(pH7.6)、2mM EDT
A、1mM PMSF)中で破砕均質化した。当該均質化
た液を10分間4℃で3000rpmで遠心分離し、上澄
み液を回収し、さらに45分間45000rpmで遠心分
した。上澄み液を捨てた後に、沈殿を100μl
250mMスクロース溶液(10mMHEPES-Tris緩衝液(pH7.6)
溶解)に懸濁した。
<ホモシステイン・チオラクトン修飾LDLの
整>
試験管内でのLDLのホモシシテイン・チオラ
トン化は以前に報告された実験条件で行っ
(非特許文献5)。簡単に述べると、適量のLDL
液(LDLタンパク質、100μg)を10 mM PBS (pH8.2)に
懸濁し、全体を37℃で優しく掻き混ぜながら
モシシテイン・チオラクトン(100μmol/L)及び
示した量の全脂質画分(TLp)あるいはASG(0.01か
ら10.0μg)と2時間インキュベートした。インキ
ュベート後に、未反応のホモシシテイン・チ
オラクトンを除去するために、10mM PBS (pH8.2)
で平衡させたBio-gelP-2カラムに当該混合液を
過した。
<Na/K ATPase活性測定>
ナトリウム/カリウムATPase活性は以前の報告
(非特許文献7参照)のように測定した。簡単に
述べると、ナトリウム/カリウム依存的活性
測定するためのナトリウム/カリウムATPase活
測定溶液(0.2ml)の組成は10mMMgCl 2
、20mM HEPES-Tris(pH7.0)、120mM NaCl、30mM KCl、0.5mg
/mlの粗精製膜タンパク質、及び25mM[γ- 32
P]ATP(10,000cpm)であった。測定溶液を37度で15分
ンキュベートした後、0.1mg/mlの活性炭を加
、15,000rpmで15分間遠心分離した。上澄み液を
回収し、無機の 32
P放射活性をシンチレーションカウンターで
定した。
[結果及び考察]
<発芽玄米由来の有効成分の分画>
発芽玄米の糠の層に含まれる脂質画分をフ
クション1、2、3及び4に分画し、さらに薄層
クロマトグラフィーを用いて分画することに
より、非特許文献5で示された糖尿病性神経
害の改善機能を有する有効成分はAcylatedsteryl
-β-glucoside(ASG)であることが判明した。
有効成分が単一の画分A2(以下、A-2と表記 る場合もあるが、特に区別しない)にのみ含 まれていたことは特筆すべきことである。す なわち、発芽玄米のような天然の食品に特定 の薬学的効果が認められた場合に、複数の因 子が協同的に働いて効果を発揮していたとし ても不思議は無いからである。なお、単一の 画分A2は複数種類のASGを含んでいたが、薄層 ロマトグラフィーを用いた分画ではそれぞ を分離することは出来なかった。これは、 れぞれのASGの構造及び化学的性質が互いに 似しているからと考えられる。
本明細書で「ASG」というときは、一般名称
してのASGを表す。「発芽玄米由来(の)ASG」
いうときは、A2画分に相当する複数種類のASG
の集合を表す。ただし、文脈上明らかな場合
には「ASG」がA2画分に相当する複数種類のASG
集合を表すこともある。
本発明は当該発芽玄米由来のASGに関するも
であり、また、当該発芽玄米由来のASGを用
た糖尿病性神経障害の改善又は予防剤に関
るものである。
<発芽玄米由来の有効成分の同定>
A2画分についてNMRを用いて解析を行った結
、予想通り、A2画分はASGで構成されることが
確認され、A2を構成するASGのステロールはCamp
esterol、Stigmasterol、5α-cholest-8(14)-en-3β-ol及びβ
-Sitosterolであることが判明した。また、A2を
成するASGの脂肪酸はパルミチン酸(16:0、以下
略号で示すことがある。他の脂肪酸について
も同じ。)、ステアリン酸(18:0)、2-ヒドロキシ
-オクタデカン酸(18:0(2h))、オレイン酸(18:1)、
ノール酸(18:2)及びリグノセリン酸(24:0)であ
ことが判明した。ASGの一般構造及びA2を構
するASGのステロールの構造を図1に示す。
図1から分かるように、A2画分のASGは、糖( Sugar)の骨格に上記4種類のステロールの何れ が結合し、かつ、上記6種類の脂肪酸の何れ が結合している。理論的には24種類の組み わせがあり、したがって、24種類のASGが含ま れうるが、現実のA2画分のASGはより少ない種 に限定されている可能性がある。なお、糖 ステロールの結合様式にはα結合とβ結合が あるが、発芽玄米由来ASGの場合にはβ結合の であることが判明した(下記を参照)。
<発芽玄米由来ASGのHTase活性に対する効果>
;
HTaseとは、動脈硬化の危険因子であるホモ
ステイン・チオラクトン(homocysteinethiolactone)
加水分解酵素のことであり、パラオキソナ
ゼ(paraoxonase)ファミリーに分類される。神経
障害を伴った患者ではパラオキソナーゼ活性
が低下することが報告されていることから(
特許文献5参照)、HTase活性の低下は動脈硬化
危険因子となるだけではなく、神経障害の
行程度にも関連すると考えられている。本
発明のASGはラット血清LDL中のHTase活性を上
させることから、神経障害の改善又は予防
としての機能を有することを示唆する。
<発芽玄米由来ASGに特異的なHTase活性に対す
る効果>
発芽玄米由来ASG(ASG)を加えた場合には量依
的なHTaseの活性上昇が見られるのに対して、
SG(発芽玄米由来ASGから脂肪酸を除去したもの
)及び大豆由来ASG(S-ASG)を加えた場合にはHTase
活性上昇は見られなかった(表6)。このこと
、量依存的にHTaseの活性を上昇させる効果は
、発芽玄米由来ASGに特異的なものであること
を示している。
<発芽玄米由来ASGの神経障害の改善効果>
神経障害は、末梢神経伝導速度の低下又は
経軸索膜由来ナトリウム/カリウムATPase(Na,
K-ATPase)活性の低下として観察、定量できるこ
とが知られているが(非特許文献5及び9)、本
究においては、多数のサンプルを処理する
めの利便性等の観点から、ナトリウム/カリ
ムATPase活性を神経障害の指標として用いた
即ち、ナトリウム/カリウムATPase活性がより
低い方が、神経障害の程度が重篤であること
を示す。
神経軸索膜由来ナトリウム/カリウムATPase活
性の低下は、ホモシステイン・チオラクトン
によってLDLが修飾されLDLの機能が阻害される
ことが原因であると考えられている。本研究
においては、神経障害を再現するために、健
常ラットから調整した粗精製坐骨神経膜のナ
トリウム/カリウムATPase活性をホモシステイ
・チオラクトン修飾LDL(HT-modifiedLDL)存在下で
定した。
ホモシステイン・チオラクトン修飾LDL(HT-mod
ified LDL)存在下において、発芽玄米由来ASGは
経軸索膜由来ナトリウム/カリウムATPase(Na/KA
TPase)活性を量依存的に上昇させた(図2)。この
ことから、発芽玄米由来ASGが神経障害を改善
させる機能を有することが示された。
<発芽玄米由来ASGに特異的な神経障害の改
効果>
発芽玄米由来ASG(ASG)を加えた場合には量依
的なナトリウム/カリウムATPaseの活性上昇が
られるのに対して、SG及び大豆由来ASG(S-ASG)
加えた場合にはナトリウム/カリウムATPaseの
活性上昇は見られなかった(表7)。このことは
、量依存的にナトリウム/カリウムATPaseの活
を上昇させる効果は、発芽玄米由来ASGに特
的なものであることを示している。
<発芽玄米由来ASGの有効成分(S-ASGとの比較)&
gt;
前述のように、発芽玄米由来ASGは単一のASG
はなく、複数種類のASGの混合物である(表4
び表5)。発芽玄米由来ASGには、ステロール部
分としてCampesterol、Stigmasterol、β-Sitosterol又は
5α-cholest-8(14)-en-3β-olを有するものが含まれて
いる。一方、大豆由来ASGにはステロール部分
としてCampesterol、Stigmasterol又はβ-Sitosterolを有
するものしか含まれていない。これは、発芽
玄米由来ASGの真の有効成分が、ステロール部
分として5α-cholest-8(14)-en-3β-olを有するASGであ
る可能性を強く示唆する。理論的には、弱い
作用を有する複数の因子が協働的に作用して
強い効果を生み出すこともあり得るが、現実
的には考えにくい。
また、発芽玄米由来ASGには、脂肪酸部分 して16:0、18:0、18:0 (2h)、18:1、18:2又は24:0を するものが含まれている。一方、大豆由来A SGには脂肪酸部分として16:0、18:0、18:1、18:2、 22:0(ベヘン酸)又は24:0を有するものしか含ま ていない。これは、発芽玄米由来ASGの真の 効成分が、脂肪酸部分として18:0(2h) を有す ASGである可能性を強く示唆する。やはり、 論的には、弱い作用を有する複数の因子が 働的に作用して強い効果を生み出すことも り得るが、現実的には考えにくい。
したがって、発芽玄米由来ASGに含まれる の有効成分は、ステロール部分として5α-cho lest-8(14)-en-3β-olを有するか又は脂肪酸部分と て18:0(2h) を有するASGである可能性が極めて 高い。理論的には、発芽玄米由来ASGには4×6=2 4種類のASGが含まれうるが、本研究によれば 発芽玄米由来ASGに含まれる真の有効成分の 補は、6+4-1=9種類のASGに限定される。即ち、 テロール部分として5α-cholest-8(14)-en-3β-olを しかつ脂肪酸部分として16:0、18:0、18:0(2h)、 18:1、18:2又は24:0を有する6種類のASG、又は、 テロール部分としてCampesterol、Stigmasterol、β- Sitosterol又は5α-cholest-8(14)-en-3β-olを有しかつ 肪酸部分として18:0(2h)を有する4種類のASGで る(1種類は重複してカウントされている)。
本願発明は、この発芽玄米由来ASGの真の 効成分に関するものであり、真の有効成分 含む発芽玄米由来ASGに関するものである。
<発芽玄米由来ASGの有効成分(SGとの比較)>
本研究では、発芽玄米由来ASGを加水分解し
脂肪酸部分を除去することにより調整したS
Gとの比較も行った。脂肪酸部分を失ったSGは
神経障害の改善作用を有さず(表6及び表7)、
肪酸部分の存在は必須であることが分かっ
。
<産業上の応用>
本発明の発芽玄米由来ASG(単一又は複数種類
)は、上記の方法により得られた画分をその
ま直接使用してもよいが、一般的には適当
液体に溶解するかもしくは分散させ、また
、適当な粉末担体と混合するかもしくはこ
に吸着させ、場合によっては、さらにこれ
に乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透
、湿潤剤、安定剤等を添加し、乳剤、油剤
水和剤、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤等
製剤として使用する。
製剤として使用する場合における、画分の
用量は製剤の形態によっても異なるが、有
な投与量であれば良く、安全性に問題がな
ので特に上限は規定しない。
また、本発明でいう機能性食品とは、発芽
米由来ASGを有効成分とし、神経障害を予防
る機能又は改善する機能を有する食品、あ
いは食品の摂取によりこれらの機能の発揮
期待される食品をいい、健康食品、特定保
用食品、栄養機能食品のいずれをも含む。
食品としては、チューインガム、キャン ィ、錠菓、グミゼリー、チョコレート、ビ ケットまたはスナック等の菓子、アイスク ーム、シャーベットまたは氷菓等の冷菓、 料、プリン、ジャム、乳製品、調味料等が げられ、これらの食品を目常的に摂取する とが可能である。これらの食品に対する本 明の脂質画分の添加量としては、食品の形 によっても異なるが、安全性に問題がない でその濃度に上限を設ける必要はない。
[参考例1]
[発芽玄米由来の有効成分の分画]
実験材料及び方法に記載の方法で発芽玄米
質画分をフラクション1、2、3及び4(Fr1, Fr2,
Fr3 Fr4)に分画した。各フラクションについ
HTase活性測定を行ったところ、Fr2が活性を有
し(表1)、糖尿病性神経障害を改善する機能を
有する有効成分は当該Fr2に含まれることが分
かった。即ち、添加物(Additive)として1.0μgのFr
.2を添加した場合にのみ、何も添加しない場
(None)と比較してHTaseの活性の上昇が観察さ
た。
各フラクションを更に薄層クロマトグラ ィー(thin layer chromatography, TLC)を用いて分 し、オルシノール(Orcinol)染色した結果を図3A に示す。Fr1、Fr2、Fr3の順に、TLC展開の上から 下へ向かって極性の異なる成分が移動度の順 に溶出されていることが観察される。GSLStを ーカーとして用いた。Fr2及びFr3の主要なバ ドを上から順に、それぞれ、A1-A5及びB1-B5と 名づけた。各バンドについてHTase活性測定を ったところ、A2が活性を有し(表2)、糖尿病 神経障害を改善する機能を有する有効成分 当該A2に含まれることが分かった。即ち、添 加物(Additive)として0.1μgのA2(発芽玄米の脂質(T Lp)由来)を添加した場合にのみ、何も添加し い場合(None)と比較して顕著なHTaseの活性の上 昇が観察された。なお、通常の玄米の脂質(TL b)を分画した場合にはA2に相当するバンドは られなかった(ND、notdeterminedの略)。
精製したA2、A4及びアルカリ処理したA2に いて、TLC展開した結果を図3Bに示す。A2をア ルカリ処理するとA4と同じ移動度を示す。A4 アルカリ処理によって移動度が変化しなか た。Matreya社から市販されている大豆由来のA SGがA2と同じ移動度を示し、アルカリ処理す ことでA4と同一の移動度を示すようになった 。さらに、図4に示すようにヘリコバクター (Helicobacterpylori)由来の脂質H4(Acylated steryl-β-g lucoside)と同じ移動度を示すことが分かった。 H4もアルカリ処理によってヘリコバクター菌 来のH6と同じ移動度を示すようになった。A4 とH6とを比較した場合には、僅かに移動度が なっていたが、ほぼ同じ移動度を示した。 のことからA2もH4もA4とH6がアシル化した構 であるということが判明した。移動度のわ かな相違はSteryl-β-glucosideとSteryl-β-glucosideの 相違点、β結合かα結合であるかという立体 性体の特性によって起こったと考えられる 即ち、A2はAcylatedsteryl-β-glucosideであることが 分かった。ASGは図1の一般式で示され、中心 なる糖にステロールと脂肪酸(図中Rで表す) 結合した構造を有する。
[発芽玄米由来の有効成分の同定]
<NMRによる構造解析>
発芽玄米由来ASGを構成するステロール及び
肪酸の構造並びに上記結合様式(α結合又は
結合)を明らかにするために、本発明者らは
磁気共鳴分析法(NMR)を行った。その結果を
5及び表3に示す。
A2のアルカリ分解前後のTLCプレート上の移
度の変化、その他のサンプル(A4,H6, A4, S2な
)とのTLCプレート上での移動度(挙動)の比較
ら、A2がASGであることが予想されたが、A2が
どのようなASGであるかをNMR解析で明らかにし
た。NMRデータの解析方法は非特許文献10を参
のこと。NMRで明らかになったのは以下の4点
である:(1)A2にはグルコースと脂肪酸とステロ
ールが1分子含まれている(2)グルコースの6位
脂肪酸がエステルとして結合している(3)グ
コースはステロールにβ結合している(4)主
なステロールはSitosterolである。
1
H- 13
C NMRの2次元スペクトラムのシグナルをグル
ース、Sitosterol、脂肪酸に含まれる個々のプ
トンのシグナルに割り当てることができた(
表3)。
グルコースのプロトン(Glucose 1 ~Glucose 6) 、Sitosterol(Sitosterol C, Sitosterol CH,Sitosterol CH2 , Sitosterol CH3)、脂肪酸(Acylgroup CH2, Acylgroup H1)として表3にシグナル値が記されている。 号は図6に示すとおりである。
Glucose1のH1は4.359 ppmであり、H2へのスカラ ーカップリング(7.7 Hz)していることからグル コースはβ結合であることが判明した。グル ースに関してはGlucose6のH6とH6'が低磁場へシ フトしていることから6位にアシル化がされ いることが判明した。6位のアシル化は2.32お よび1.59 ppmのシグナルが同じカルボニル基に 結合したCH2プロトンであることから6位には 鎖の脂肪酸が結合していることが判明した ステロール骨格に特徴的なシグナルも表3に るように見出され、主要成分としてSitosterol をほぼ検証できる結果を示した。
<GCMSによる構造解析>
NMR構造解析ではステロールおよび脂肪酸に
まれる成分すべてを同定できないためにA2
構成するステロール成分および脂肪酸成分
しての組成比をGCMS構造解析で求めた。
A2を構成するASGのステロールの組成及び大
由来ASGのステロールの組成を表4に示す。
Campesterol、Stigmasterol及びβ-Sitosterolは大豆 来ASGにも含まれ、既によく知られている。 目すべき点は、A2には新規のステロールで る「5α-cholest-8(14)-en-3β-ol」が比較的高い割 で含まれていることである。5α-cholest-8(14)-en -3β-olの構造を同定したGCMSのデータを図7Aに し、その構造を図1に示した。
次に、NMRを用いた解析により明らかとな た、A2を構成するASGの脂肪酸の組成及び大 由来ASGの脂肪酸の組成を表5に示す。
16:0、18:0、18:1、18:2、22:0及び24:0は大豆由 ASGにも含まれ、既によく知られている。注 すべき点は、A2には新規の脂肪酸である「18 :0(2h)」が含まれていることである。18:0 (2h) 同定したGCMSスペクトラムを図7Bに示す。
[発芽玄米由来ASGの血清HDL由来HTase活性に対す
る効果]
発芽玄米由来ASGがHTase活性に与える効果を
べた。実験方法を簡単に述べる。正常ラッ
のプール血清よりHDLを調製し、それをHTaseの
酵素源としてASGを添加してHTaseの活性化を調
た。
この結果を図8に示す。添加するASGの量が0
ら0.1μgの間で、量依存的なHTase活性の上昇が
見られた。このHTaseの活性上昇は、添加するA
SGの量が0.5μgで飽和し、それ以上加えた場合
大きな変化は無かった。
[発芽玄米由来ASGに特異的なHTase活性に対する
効果]
上記発芽玄米由来ASGのHTase活性に対する効
が、発芽玄米由来ASGに特異的なものか否か
明らかにするために、本発明者らは図8と同
試験を繰り返した。発芽玄米由来ASG(ASG)、
芽玄米由来ASGから脂肪酸を除去したもの(SG)
び大豆由来ASG(S-ASG)について、HTase活性の変
を調べた結果を表6に示す。ASG、SG又はS-ASG
何れも加えない場合のHTase活性を100として相
対値で表す。
発芽玄米由来ASG(ASG)を加えた場合には、 8と同様の結果が得られたのに対し、SG及び 豆由来ASG(S-ASG)を加えた場合には、量依存的 HTaseの活性上昇は見られなかった。
[発芽玄米由来ASGの神経障害の改善効果]
発芽玄米由来ASGが発芽玄米と同様の糖尿病
神経障害の改善効果(非特許文献5)を有する
否かを確認するために、ホモシステイン・
オラクトン修飾LDL(HT-modifiedLDL)存在下におい
て、発芽玄米由来ASGがナトリウム/カリウムAT
Pase(Na/K ATPase)活性に与える影響を調べた。実
験方法を簡単に述べる。正常ラットの坐骨神
経よりNa/KATPase粗分画を調製した。正常ラッ
血清より調製したLDLをホモシステイン化し
、ASGと一緒に加えてNa/K ATPaseの活性に及ぼ
影響を調べた。
この結果を図2に示す。添加するASGの量が 0から1.0μgの間で、量依存的なNa/KATPase活性の 昇が見られた。このNa/K ATPaseの活性上昇は 添加するASGの量が1.0μgで飽和し、それ以上 えた場合も大きな変化は無かった。
[発芽玄米由来ASGに特異的な神経障害の改善
果]
上記発芽玄米由来ASGのナトリウム/カリウム
ATPase活性に対する効果が、発芽玄米由来ASGに
特異的なものか否かを明らかにするために、
本発明者らは図2と同じ試験を繰り返した。
芽玄米由来ASG(ASG)、発芽玄米由来ASGから脂肪
酸を除去したもの(SG)及び大豆由来ASG(S-ASG)に
いて、ナトリウム/カリウムATPase活性の変化
を調べた結果を表7に示す。ASG、SG又はS-ASGの
れも加えない場合のナトリウム/カリウムATP
ase活性を100として相対値で表す。
発芽玄米由来ASG(ASG)を加えた場合には、 2と同様の結果が得られたのに対し、SG及び 豆由来ASG(S-ASG)を加えた場合には、量依存的 ナトリウム/カリウムATPaseの活性上昇は見ら れなかった。
[溶媒抽出法によるASGの抽出方法]
発芽玄米の糠5gを秤量し、30mLのヘキサンで1
5分間攪拌、洗浄した後、ブフナーロート(Buec
hnerfunnel)で濾過し、残留物を得た。濾液は廃
した。残留物を上記の条件でさらに2回洗浄
した後、残留物にエタノール又は、エタノー
ルと蒸留水の混合液(エタノール:水=2:1又は1:1
。以下それぞれ、エタ水(2:1)又はエタ水(1:1)
略す場合がある。)又はクロロホルムとメタ
ールの混合液(クロロホルム:メタノール=2:1
以下、クロメタ(2:1)と略す場合がある。)30mL
を加え、30分間攪拌、抽出しブフナーロート
濾過し、濾液を得た。残留物は廃棄した。
タノール、エタ水(2:1)、エタ水(1:1)又はクロ
メタ(2:1)の濾液は全量をナス形フラスコに移
、エバポレーターを用いて濃縮乾固し、発
玄米由来のASG濃縮物E(エタノール抽出)、F(
タ水(2:1)抽出)、G(エタ水(1:1)抽出)、H(クロメ
(2:1)抽出)を得た。
上記ASG濃縮物E、F、Gは、クロメタ(2:1)30mL 加え、15分間再度溶解させた後、クロメタ(2 :1)を用いて500mLにメスアップした。上記ASG濃 物Hは、クロメタ(2:1)30mLを加え、15分間再度 解させた後、クロメタ(2:1)を用いて1500mLに スアップした。メスアップした各濃縮物E、F 、G、H2mLを1500g×10分の条件で遠心し、上澄み 測定サンプルとした。なお、各回収物中のA SGは高速液体クロマト(HPLC)を用いて、ASGの含 率を求めた。ASGの分析方法の詳細は以下の りである。
[ASGの分析方法]
ASGのHPLC分析は、表8の分析条件を用いて行
た。
移動相及びグラジエント条件は、表9に示 。
[分析結果]
各抽出画分中のASG含有率の分析結果は、表1
0に示す。
[イアトロビーズ(粒状多孔性微粒子シリカゲ
)クロマトグラフィーによるASGの精製]
高純度のASGを得る目的で上記実施例6の分析
結果に基づいてイアトロビーズクロマトグラ
フィー法により抽出精製を行った。
発芽玄米の糠25gを秤量し、イアトロビーズ
ロマトグラフィー(Iatrobeadschromatography)によ
分画を回収し、Fraction 2を得た。さらにFracti
on 2を濃縮乾固させ、イアトロビーズクロマ
グラフィーによりFraction8~12を分取、これら
乾固させ濃縮乾固I(アルファベットのI)を得
た。
<カラム>
φ2cm×30cm(シリカゲル(イアトロビーズ6RS-8060
株式会社三菱化学ヤトロン製)に充填)
<方法>
1. 発芽玄米の糠25gをヘキサンで洗浄した後
クロロホルム:ヘキサン=1:1で総脂質画分(TL)
抽出する。
2. TLをロータリーエバポレーターで完全に乾
固する。
3. 乾固したTLを30mlのクロロホルム:ヘキサン(
C:H)=1:1に溶解する。
4. C:H=9:1を200mlずつ通液し通過液を回収する(F
raction1)。
5. クロロホルム:メタノール=9:1を200ml通液し
過液を回収する(Fraction2)。
6. クロロホルム:メタノール:水(C:M:W)=7:3:0.1を
通液し通過液を回収する(Fraction3)。
7. C:M:W=30:60:0.8を200ml通液し通過液を回収する
(Fraction4)。
8. 各フラクションをHPTLC(シリカゲル60、メル
ク社製)に供し、ASG溶出フラクションを確認
た。
各フラクション5μLをシリカゲルコートした
市販の縦10cmのHPTLCプレート(Silicagel 60,Merck)の
下より1.5cmの位置にマイクロシリンジでサン
ル塗布し、展開溶媒クロロホルムにて展開
た後風乾燥し、再度クロロホルム:メタノー
ル(95:5)で2次展開を行い風乾した。
<結果>
各フラクションを上記条件で薄層クロマト
ラフィーに供し、ASGの存在を確認したとこ
、TLに含まれているASGは、すべてFraction 2に
溶出されていた。この結果を図9に示す。
[イアトロビーズクロマトグラフィーによるAS
Gの精製つづき]
<カラム>
φ1cm×40cm(イアトロビーズ20cm充填)
<方法>
1. 上記のFraction2をエバポレーターで乾固さ
た後、10mlのクロロホルム:ヘキサン=1:1に溶
する。
2. 溶解液をカラムにアプライする。
3. クロロホルム:ヘキサン(C:H)=1:1を75ml通液す
る。
4. クロロホルム(C)を75ml通液する。
5. C:M=95:5を通液し、2ml/fractionずつ分取する。
6. FractionNo.30まで分取を行い、上記と同様の
件でHPTLCにてASGの溶出を確認する。
<結果>
FractionNo.10~12周辺にASGのバンドが確認できた
。また、1 fraction当たりの溶出時間は5分であ
った。この結果を図10に示す。
[ASGの分析方法]
ASG含有率の分析は、実施例6と同様に行った
。即ち、表8の分析条件及び表9の移動相及び
ラジエント条件を用いて行った。
[分析結果]
ASGの分析結果は、表11に示す。
本発明の発芽玄米由来ASGは糖尿病性神経障
を予防又は改善する効果を有する。
したがって、本発明によれば糖尿病性神経
害の予防又は改善剤として利用することが
きる。
そして、発芽玄米は、従来から健康食品と
て利用されてきているため、発芽玄米由来A
SGは安全性が高く、継続的な摂取も可能であ
、かつ大量に製造することもでき、食品等
の添加が容易であることからも、人又は動
の健康増進や疾病予防などとして貢献でき
可能性が大きい。
Next Patent: MISSING PART CHECKING STRUCTURE