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Patent Searching and Data


Title:
NEW CRYSTALLINE PYRITHIONE/ZINC OXIDE COMPLEX AND PHYSIOLOGIC/ANTIBIOTIC ACTIVE COMPOSITE CONTAINING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/144929
Kind Code:
A1
Abstract:
Although zinc pyrithione is known as a good anti-dandruff ingredient, the blending amount needs to be decreased without lowering the effects in consideration of environmental pollution.  For zinc pyrithione used as an antifouling coating ingredient for paint to be used at the bottom of a ship, there is a demand for developing a technology that achieves a combination of zinc pyrithione and cuprous oxide.  Moreover, a further improvement in antimicrobial activity is required as an antiseptic and anti-mold ingredient for polymer materials.  It has been found that a new complex of the present invention obtained by processing, at pH 8 to 12, an aqueous suspension or an aqueous paste containing zinc pyrithione or a zinc pyrithione/zinc oxide complex compound and ultrafine zinc oxide having an average particle size of 0.01 to 0.15 mm exhibits good physiologic/antibiotic activities such as anti-dandruff and hair restoration effects and underwater antiseptic and anti-mold effects.  Thus, the above-described problems have been solved.

Inventors:
HIDAKA YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002336
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
YHS LTD (JP)
HIDAKA YASUHIRO (JP)
International Classes:
A01N43/40; C07D213/70; A01N55/02; A61K8/58; A61P3/00; A61Q5/02; A61Q7/00; C09D5/16; C09D7/12
Domestic Patent References:
WO2001000151A12001-01-04
Foreign References:
JP4185526B22008-11-26
JP2006335757A2006-12-14
JPH06134227A1994-05-17
JPS5292881A1977-08-04
US6033653A2000-03-07
JP2006515330A2006-05-25
JP2003522734A2003-07-29
JP2002521339A2002-07-16
JP4185526B22008-11-26
JP2006335757A2006-12-14
JPH06134227A1994-05-17
JPH04185526A1992-07-02
Other References:
See also references of EP 2281816A4
Attorney, Agent or Firm:
TANI, YOSHITAKA (JP)
Yoshitaka Tani (JP)
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Claims:
一般式(I)
   xZnO・ZnPy 2      (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2-ピリジルチオ-N-オキサイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は非晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペーストをpH8~12で処理して得られる新規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体。
水懸濁液又は水性ペーストをpH8~9で処理して得られる請求項1記載の新規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体。
水懸濁液又は水性ペースト中の請求項1に記載の一般式(I)の亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物100重量部に対して、平均粒子径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛が1~50重量部である請求項1又は2記載の新規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体。
請求項1~3記載のいずれかに記載の新規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体を含んでなる生理・抗生物活性組成物。
ふけ防止・育毛剤である請求項4記載の生理・抗生物活性組成物。
更にアゾール系抗真菌剤を含有する請求項5記載の生理・抗生物活性組成物。
シャンプーである請求項5又は6記載の生理・抗生物活性組成物。
水中防汚剤である請求項4記載の生理・抗生物活性組成物。
更に亜酸化銅を含有する船底塗料である請求項4又は請求項8記載の抗生物活性組成物。
防腐・防黴剤である請求項4記載の生理・抗生物活性組成物。
更にイソチアゾロン系防腐・防黴剤を含有する防腐・防黴水懸濁液である請求項10記載の生理・抗生物活性組成物。
Description:
新規結晶性ピリチオン・酸化亜 複合体およびそれを含有してなる生理・抗 物活性組成物

 本発明は新規結晶性ピリチオン・酸化亜 複合体、更に詳しくは亜鉛ピリチオン又は 鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と超微 酸化亜鉛を含む水性懸濁液又は水性ペース をpH8以上で処理して得られる新規結晶性ピ チオン・酸化亜鉛複合体およびそれを含有 る生理・抗生物活性組成物、より具体的に ふけ防止・育毛、水中防汚、防腐・防黴組 物に関する。

 亜鉛ピリチオンと酸化亜鉛を配合したシ ンプー等の水性懸濁液は、特開昭52-92881号 報(特許文献1)に開示されており、光、鉄イ ンにより分解する亜鉛ピリチオンの安定化 ため、安定剤として酸化亜鉛を存在させる とを特徴としているが、平均粒子径が0.15μm 下と言った超微粒酸化亜鉛の使用について 記載は全くない。

 米国特許第6033653号公報(特許文献2)には、 酸化亜鉛、ホウ酸、澱粉を配合した育毛シャ ンプーも知られているが、平均粒子径が0.15μ m以下と言った超微粒酸化亜鉛についての記 はなく、しかもこのシャンプーは、頭皮に り込んだ後、25分間そのままの状態に保って 、その後シャンプーを洗い落とすという煩わ しい手順を必要とする。

 WO 01/00151号公報(特許文献3)には亜鉛ピリ オンと酸化亜鉛からの亜鉛イオンを含む金 イオンとの組成物を含有するシャンプーも 示されている。この組成物により、ふけの 因となるマラセツィア菌に対する抗菌力が 強され、その結果ふけ防止効果が増強され ことが示唆されているが、平均粒子径が0.15 μm以下といった超微粒酸化亜鉛についての記 載はない。

 特表2006-515330号公報(特許文献4)には、亜 ピリチオンと粒子状亜鉛物質との組み合わ により、局所用組成物の抗ふけ効力を劇的 高めることができたと記載されており、粒 状亜鉛物質の例として、粒子状酸化亜鉛が げられている。その粒子状酸化亜鉛の1種に 平均粒子径0.06μmの微粒酸化亜鉛と推定しう る酸化亜鉛が記載されており、これが亜鉛ピ リチオンと共に処方されているシャンプーの 例が示されてはいるが、シャンプー液のpHは 弱酸性に調整されているため、本発明のpH8 上でのみ生成する複合体は生成していない

 特表2003-522734号公報(特許文献5)には、亜 ピリチオンと酸化亜鉛との組み合わせによ 、亜鉛ピリチオンの抗菌抗黴効果が増強さ ることが開示されているが、ここにも平均 子径が0.15μm以下の超微粒酸化亜鉛について 記載はない。

 特表2002-521339号公報(特許文献6)には、酸 亜鉛を芯として、亜鉛ピリチオンを殻とす コア/シェル構造の粒子が記載されている。 かし酸化亜鉛に付着している亜鉛ピリチオ は、酸化亜鉛に対し約10重量%以下に過ぎず 亜鉛ピリチオンの抗菌力が十分に発揮され い。

 日本特許4185526号公報(特許文献7)には、ナ トリウムピリチオン、過剰の硫酸亜鉛及び水 酸化ナトリウムから亜鉛ピリチオン・酸化亜 鉛複合化合物を製造する技術が開示されてい るが、この製造法では、大きな粒子の酸化亜 鉛の副生を避けることはできない。すなわち 副生した酸化亜鉛は粒子が大きいため、亜鉛 ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物との間で複 合体を形成せず、遊離酸化亜鉛として存在す る。この結果、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複 合化合物を大量生産する場合、反応釜の中で 比重の大きな酸化亜鉛が下層に沈殿するので 、ロット内の均一な品質が得にくく、水懸濁 製剤にあっては、2層に分離するという難点 ある。

 特開2006-335757号(特許文献8)には、亜鉛ピ チオン・酸化亜鉛複合化合物(i)または亜鉛 リチオン・酸化亜鉛複合化合物(i)と亜鉛ピ チオン(ii)および酸化亜鉛(iii)の少なくとも1 からなる組成物において、分散安定性をよ するため、それらを微粒化する技術、また 微粒酸化亜鉛を組み合わせる技術が開示さ ている。しかし上記複合化合物や組成物の 製および微粒子化、さらには超微粒酸化亜 との組み合わせの際、pH8以上では処理され はいないので、本発明の複合体は生成して らず、明細書中に該複合体の形成を暗示す いかなるデータも存在しない。

 特開平6-134227号公報(特許文献9)には、平 粒子径0.02μmの超微粒酸化亜鉛に亜鉛ピリチ ン(平均粒子径0.07μm)を水性エマルジョン樹 に分散させ、この分散液にろ過材を浸漬し その後乾燥させることにより、ろ過材の表 に抗菌成分を固着させる抗菌性ろ過材の製 方法が開示されている。しかし亜鉛ピリチ ンと超微粒酸化亜鉛を分散させた液は中性 処理されているので、本発明の複合体は形 されず、当然その生成を示すいかなる記載 ない。

特開昭52-92881号公報

米国特許6033653号公報

WO 01/00151号公報

特表2006-515330号公報

特表2003-522734号公報

特表2002-521339号公報

日本特許4185526号公報

特開2006-335757号公報

特開平6-134227号公報

 前述したように、亜鉛ピリチオンはふけ防 剤としてシャンプーに配合されているが、 粘膜への刺激作用が強く、また環境衛生上 理由からふけ防止効果を低下させることな 、出来るだけ配合量を少なくするための努 が続けられている。
 また酸化亜鉛を含む育毛シャンプーは、育 効果・脱毛抑制効果を得るためにはシャン ーを頭皮に擦り込んだ後、25分間ほどその まの状態に保つ必要がある。したがって、 ャンプーによる洗髪をした後すぐに頭髪を 洗いするという通常の使用においても、そ 効果が得られる技術が求められていた。

 亜鉛ピリチオンは船底防汚剤として船底 料に配合されているが、亜酸化銅と亜鉛ピ チオンがともに処方されると、塗料が貯蔵 にゲル化するおそれがあり、それを抑止す 技術が求められていた。また防腐防黴剤と て用いられる亜鉛ピリチオンと酸化亜鉛と 組成物は、亜鉛ピリチオン単品と比べ、非 色性の点で改良されているものの、まだ十 な効力を有しているとは言えなかった。

 本発明者は、亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリ オン・酸化亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01 ~0.15μmの超微粒酸化亜鉛を含む水分散液又は 性ペーストをpH8~12、特に8~9で処理すること より、文献未載の均質な結晶性複合体が生 し、その複合体が強いふけ防止・育毛効果 抗生物活性を示すことを見出して、本発明 完成した。
即ち、本発明は、
(1)
一般式(I)
   xZnO・ZnPy 2      (I)
(式中xは0≦x≦1を満足する0又は正数、Pyは2- リジルチオ-N-オキサイド基を表す。)
で示される亜鉛ピリチオン又は非晶性亜鉛ピ リチオン・酸化亜鉛複合化合物と平均粒子径 0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛を含む水懸濁液又 は水性ペーストをpH8~12で処理して得られる新 規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合体、
(2)
水懸濁液又は水性ペーストをpH8~9で処理して られる(1)記載の新規結晶性亜鉛ピリチオン 酸化亜鉛複合体、
(3)
水懸濁液又は水性ペースト中の(1)に記載の一 般式(I)の亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン ・酸化亜鉛複合化合物100重量部に対して、平 均粒子径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛が1~50重 部である(1)又は(2)記載の新規結晶性亜鉛ピ チオン・酸化亜鉛複合体、
(4)
(1)~(3)記載のいずれかに記載の新規結晶性亜 ピリチオン・酸化亜鉛複合体を含んでなる 理・抗生物活性組成物、
(5)
ふけ防止・育毛剤である(4)記載の生理・抗生 物活性組成物、
(6)
更にアゾール系抗真菌剤を含有する(5)記載の 生理・抗生物活性組成物、
(7)
シャンプーである(5)又は(6)記載の生理・抗生 物活性組成物、
(8)
水中防汚剤である(4)記載の生理・抗生物活性 組成物、
(9)
更に亜酸化銅を含有する船底塗料である(4)又 は(8)記載の抗生物活性組成物、
(10)
防腐・防黴剤である(4)記載の生理・抗生物活 性組成物、および
(11)
更にイソチアゾロン系防腐・防黴剤を含有す る防腐・防黴水懸濁液である(10)記載の生理 抗生物活性組成物、
である。

 本発明者による日本特許第4185526号公報に記 載されている発明と本発明の違いは、該特許 公報に記載の生成物が、亜鉛ピリチオン・酸 化亜鉛複合化合物と副生する平均粒子径5μm 度の酸化亜鉛との混合物からなりたってい のに対し、本発明の生成物は亜鉛ピリチオ 又は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物 平均粒子径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛をpH8~1 2で処理し、必要によりろ過、乾燥すること よって得られる結晶性の複合体である点に る。
 ここで、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化 物とは、亜鉛ピリチオンと非晶質酸化亜鉛 複合化してできた複合化合物を意味し、反 混合物をクロロホルムで抽出することによ 、結晶性酸化亜鉛粒子を分離・除去するこ によって得られるものである。得られたク ロホルム抽出物は、亜鉛ピリチオンより多 亜鉛含量を有するが、非晶質であるがゆえ X線回折分析で酸化亜鉛の回折角ピークが認 められない。また亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピ リチオン・酸化亜鉛複合化合物と超微粒酸化 亜鉛との複合体は、亜鉛ピリチオン又は亜鉛 ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物に平均粒子 径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛が結合した複合 体を意味し、XPS(X線電子分光法)分析によって 、Zn2p3の結合エネルギーが下方にシフトし、 かもピークが1箇所であること、また図6に したSEM(走査型電子顕微鏡)写真によって亜鉛 ピリチオン粒子の表面上に目視可能な超微粒 酸化亜鉛粒子が密着した外観を呈することか らも確認できる。また複合体は、X線回折分 で酸化亜鉛の回折角ピークを示す点でも、 合化合物と相違している。

 日本特許第4185526号公報に記載されている 発明と本発明が同じアルカリ性の条件で製造 し、同じ亜鉛ピリチオンと酸化亜鉛を製造物 の構成要素としながら、何故製造法の違いに よって相違した物ができるかと言うと、その 原因の一つは酸化亜鉛の粒子の大きさにある と考えられる。即ち、該特許公報に記載の製 造法で副生する酸化亜鉛の平均粒子径は数μm 程度であり、副生酸化亜鉛の粒子径は亜鉛ピ リチオンの粒子径と余り変わらない。従って 副生した結晶性酸化亜鉛は、亜鉛ピリチオン の結晶上に密着することができず、そのため 同時に得られた非晶性亜鉛ピリチオン・酸化 亜鉛複合化合物とは複合体を形成しないと考 えられる。

 また特許文献4、5及び9に記載の発明と本発 において、同じ亜鉛ピリチオンと超微粒酸 亜鉛を原料としながら、生成物に何故組成 と複合体の違いが生ずるのかというと、酸 ~中性域では酸化亜鉛は活性化されないのに 対して、アルカリ性域では酸化亜鉛は活性化 され、亜鉛ピリチオンの亜鉛錯体部分との相 互作用を強め、物理化学的結合を形成するこ とによると推定される。
 亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛をアルカ 処理したとき、複合体が形成することは、 理物のDTA(示差熱分析)の発熱ピーク温度が 15℃上昇し(実施例1)、また前述したようにXPS 分析で酸化亜鉛、亜鉛ピリチオンZn2P3の結合 ネルギーを示すそれぞれのスペクトルピー がなくなり、下方にシフトしていることか 明らかである。一方亜鉛ピリチオンと超微 酸化亜鉛との混合物のXPS分析では、亜鉛ピ チオンと超微粒酸化亜鉛のそれぞれのスペ トルピークを示すピークが認められた。

 本発明の複合体は文献未載の新規複合体で ると考えられる。前述した亜鉛ピリチオン 超微粒酸化亜鉛との組成物が記載された特 文献4、5及び9には、いずれも複合体の形成 示唆する記述はない。またこれらの組成物 水性懸濁液又は水性製剤のpHを考えても、 合体の形成は考えられない。即ち、シャン ーの場合、眼粘膜への刺激性を避けるため pHは6.5~7.0に調整されるのが通例であり、pHが 8を超えることはない。
 さらに本発明の新規結晶性亜鉛ピリチオン 酸化亜鉛複合体と亜鉛ピリチオンと超微粒 化亜鉛との混合物、即ち組成物との違いは 抗菌力、育毛効果にも顕著に現れている。 発明の複合体は、亜鉛ピリチオンと超微粒 化亜鉛との組成物と比べ、Malassezia菌に対し て2倍の抗菌力、2倍以上の育毛効果を有して る。
 また本発明の複合体は、亜鉛ピリチオンと 微粒酸化亜鉛との混合物に比べ、エマルジ ン塗料の主要汚染菌である大腸菌、緑膿菌 対し、2~4倍の抗菌効果を示すとともに、亜 化銅配合船底塗料において、貯蔵中のゲル 抑止効果も優れている。

 本発明の新規結晶性亜鉛ピリチオン・酸化 鉛複合体は、前記の一般式(I)で示される亜 ピリチオン又は非晶性亜鉛ピリチオン・酸 亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01~0.15μmの超 粒酸化亜鉛を含む水懸濁液又は水性ペース をpH8~12、好ましくはpH8~10、特に好ましくはp H8~9で攪拌・乾燥することによって得られる
 水懸濁液又は水性ペーストの攪拌時、特に 熱を必要としないが、20~95℃に加温しても い。攪拌時間は、通常5分~4時間、好ましく 10分~3時間である。水懸濁液又は水性ペース のpHを調節するための好適なアルカリ化剤 しては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム 炭酸ナトリウム、アンモニアを挙げること できる。

 亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチオン・酸 亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01~0.15μm、好 しくは0.02~0.09μmの超微粒酸化亜鉛を含む水 濁液又は水性ペーストをpH8~12で処理して得 れる複合体は、ろ取・乾燥せず、そのまま 懸濁液又は水性ペーストで用いられてもよ 。

 亜鉛ピリチオンと平均粒子径0.01~0.15μmの超 粒酸化亜鉛をpH9以上で、特に9.5以上で処理 たときは、亜鉛ピリチオンがナトリウムな のアルカリ金属ピリチオンに変化し、さら pH9.5以上、特にpH11以上では酸化亜鉛が一旦 鉛酸塩となり、次いで非晶質酸化亜鉛に変 する結果、日本特許第4185526号公報に記載の 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物が生成 する。なお酸化亜鉛が平均粒子径0.01~0.15μmの 超微粒酸化亜鉛の代わりに平均粒子径0.6μmの 一般グレード酸化亜鉛を用いても同様のpH条 で、日本特許第4185526号公報に記載の亜鉛ピ リチオン・酸化亜鉛複合化合物が生成する。
 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物の生 は、得られた白色粉末をクロロホルムで抽 し、クロロホルム抽出物の亜鉛含量が亜鉛 リチオンの亜鉛含量を超えたときに認めら る。従ってこの場合、本発明の亜鉛ピリチ ン・酸化亜鉛複合体は、亜鉛ピリチオン・ 化亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01~0.15μmの 微粒酸化亜鉛からなる複合体を含有してい 。

 本発明の原料として用いられる亜鉛ピリ オンは、船底塗料用に製造されている市販 末品を使用することができる。またシャン ー用に市販されている48重量%水懸濁液を使 することもできる。これらの亜鉛ピリチオ 製品は、アーチ・ケミカルズ・インク、コ ロン生命科学株式会社、株式会社エーピー イ・コーポレーション等から供給されてい 。亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物は 本発明者の先行発明である日本特許第4185526 号公報記載の方法に従って製造することがで きる。

 本発明のもうひとつの原料として用いら る平均粒子径が0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛 、化粧品の紫外線遮蔽剤として開発された 販品を使用することができる。この平均粒 径が0.01~0.15μmである超微粒酸化亜鉛製品は 市場で入手可能であり、たとえばテイカ株 会社、堺化学工業株式会社、ハクスイテッ 株式会社、住友セメント株式会社等から供 されている。

 本発明の複合体は、上記亜鉛ピリチオン は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物100 量部に対し、平均粒子径が0.01~0.15μmの超微 酸化亜鉛は1~50重量部、好ましくは2~25重量 からなるものである。該超微粒酸化亜鉛が1 量%より低い場合は、亜鉛ピリチオン又は亜 鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物との組み 合わせ効果は十分に得られず、また50重量%以 上であれば、複合体中の超微粒酸化亜鉛含量 は増加しない。

 本発明の複合体は、ふけ防止の目的のた に、シャンプー中に0.2~2.0重量%、好ましく 0.5~1.0重量%配合される。また本発明の複合体 は、育毛効果付与の目的のために、シャンプ ー中に0.2~2.0重量%、好ましくは0.5~1.0重量%配 される。したがって、シャンプー中に本発 の複合体を0.2~2.0重量%、好ましくは0.5~1.0重 %配合することにより、ふけ防止、育毛の二 の目的を同時に達成することができる。

ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、クロ トリマゾール、イトラコナゾール、クリムバ ゾール、チオコナゾール、フルコナゾール等 のアゾール系抗真菌剤は、ふけ生成関与菌で あるマラセツィア菌に対し非常に強い抗菌力 を有し、ふけ防止剤として市販シャンプーに 配合されている。しかしアゾール系抗真菌剤 は、高価であり、頭皮上の発疹、かゆみ、乾 燥等の副作用の懸念がある。また亜鉛ピリチ オンには、眼粘膜刺激性の懸念がある。とこ ろがアゾール系抗真菌剤に本発明の生理・抗 生物活性複合体を組み合わせることにより、 マラセツィア菌に対する抗菌力の相乗効果が 発揮される。またこの両者の組み合わせをふ け防止シャンプーに配合することにより、経 済効果を生み、またそれぞれが抱える副作用 を軽減させることができる。本発明の複合体 と上記アゾール系抗真菌剤を組み合わせてシ ャンプーに配合するときは、本発明の複合体 はシャンプー中に0.1~1.0重量%、好ましくは0.2~ 0.7重量%、同様にアゾール系抗真菌剤は0.1~1.5 量%、好ましくは0.2~1.0重量%配合される。

 さらに本発明の複合体と、亜鉛ピリチオ 、ピロクトオラミン、サリチル酸、グリチ リチン酸ジカリウム、イソプロピルメチル ェノール、塩酸ピリドキシン、αートコフ ロール、パントテン酸カルシウム、ニコチ 酸アミド、ビオチン、ペンタデカン酸グリ リル、塩化カプロニウム、メントール、ヒ キチオール、イチョウエキス、ハッカ油、 ンタリス、ミノキシジル等のふけ防止、育 有効成分を組み合わせてもよい。

 本発明の複合体をシャンプーに配合する き、同時に用いられる洗浄剤としては、ア オン系、ノニオン系界面活性剤が好ましい アニオン系界面活性剤としては、例えばラ リル硫酸のナトリウム、アンモニウム、モ エタノールアミン、ジエタノールアミン等 各塩、ラウリルエーテル硫酸のナトリウム カリウム、アンモニウム、モノエタノール ミン、ジエタノールアミン塩、やし油脂肪 モノグリセリド硫酸ナトリウムなどが、ノ オン系界面活性剤としては、ノニルフェノ ルとエチレンオキシドとの縮合物、やし油 ルコールとエチレンオキシドとの縮合物、 デシルジメチルアミンオキシド、ドデシル メチルホスフィンオキシド等が挙げられる さらに精製水、香料、着色料、増粘剤、防 剤、分散安定剤、pH調整剤、泡形成剤、真 光沢剤等が適宜使用される。

 亜鉛ピリチオンは藻類に対する防汚成分 して知られているが、亜酸化銅とともに船 塗料に配合されたとき、塗料貯蔵中しばし ゲル化を引き起こす。その原因は、塗料中 存在する水分に銅イオンが溶け出し、2価の 銅イオンとなって亜鉛ピリチオンと金属置換 反応を起こし、反応性に富んだ亜鉛イオンが 生成するためと考えられる。本発明の複合体 は、防汚成分として効果を発揮する他、銅イ オンとの金属置換反応を抑止する効果を有し ている。船底塗料及び魚網防汚剤に0.5~10.0重 %、好ましくは1~5重量%配合される。また亜 化銅は、船底塗料及び魚網防汚剤に5~50重量% 、好ましくは10~40重量%配合される。

 本発明の複合体と同時に船底塗料及び魚 防汚剤に配合される好ましい樹脂成分とし は、アクリル樹脂があげられる。また亜酸 銅、ロダン銅、金属銅物、酸化亜鉛、ジチ カルバミン酸亜鉛等の防汚成分を配合して よい。さらに溶媒、着色顔料、体質顔料、 度調整剤、沈降防止剤、たれ防止剤等が適 選択して、使用される。

 本発明の複合体は、防腐防黴成分として マルジョン塗料、接着剤、高分子エマルジ ン、掘削液、コーティングカラー等の水性 マルジョン又は水性分散液に0.01~5重量%、好 ましくは0.1~2重量%配合して使用される。これ らの用途には、水性懸濁液又は水性ペースト の形で供給される。一方プラスチック、ゴム 、繊維等の高分子材料には、防黴成分として 粉末品の形で供給される。配合量は、0.2~5重 %、好ましくは0.4~2.5重量%である。

 本発明の抗生物活性複合体は、イソチアゾ ン系防腐防黴成分と組み合わせて使用され ことにより、Pseudomonas菌及びAspergillus菌等に 対してその抗菌力を改善することができる。 一方イソチアゾロン系防腐防黴成分は、その 強い皮膚刺激性を軽減することができる。そ のようなイソチアゾロン系防腐防黴成分とし て、具体的に2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オ 、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げ られる。
 本発明の抗生物活性複合体とイソチアゾロ 系防腐防黴成分は、10:1~1:10の重量比率で配 される。上記工業製品の防腐成分としては わせて0.005~1.0重量%、好ましくは0.01~0.5重量% 、防黴成分としては、合わせて0.1~5重量%、好 ましくは0.5~2.5重量%用いられる。

 本発明の亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチ ン・酸化亜鉛と平均粒子径0.01~0.15μmの超微 酸化亜鉛との生理・抗生物活性複合体は、 ャンプーに配合したとき、優れたふけ防止 果と育毛効果を示す。また本発明の亜鉛ピ チオン又は亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛と平 粒子径0.01~0.15μmの超微粒酸化亜鉛との抗生 活性複合体は、亜酸化銅とともに配合され 船底塗料又は魚網防汚剤にあって、亜鉛ピ チオンと亜酸化銅との併用で起こりがちな 蔵中でのゲル化を抑止する効果を有する。 たエマルジョン塗料等の工業用水性製品及 高分子材料の防腐防黴成分として、亜鉛ピ チオンより優れた抗菌効果を示す。

実施例1で得られた複合化合物(クロロ ルム抽出物)のXPS分析ナロースペクトルであ 。 実施例2で得られた複合体のXPS分析ナロ ースペクトルである。 実施例3で得られた複合体のXPS分析ナロ ースペクトルである。 超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製)のXP S分析ナロースペクトルである。 亜鉛ピリチオン(アーチ・ケミカルズ・ インク製)のXPS分析ナロースペクトルである 実施例3で得られた複合体のSEM写真であ る。 亜鉛ピリチオン(アーチ・ケミカルズ・ インク製)のSEM写真である。 超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製)のSE M写真である。 実施例1で得られた複合体の温度補正後 のDTA(示差熱分析)図である。図中1はTemp(温度) 、2はDTA、3はTGA(熱重量分析)である。 実施例2で得られた複合体の温度補正 のDTA図である。図中1はTemp、2はDTA、3はTGAで る。 亜鉛ピリチオン(アーチ・ケミカルズ インク製)の温度補正後のDTA図である。図中1 はTemp、2はDTA、3はTGAである。

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に 明する。

 亜鉛ピリチオン粉末(アーチ・ケミカルズ・ インク製)276.7gと平均粒子径が0.03μmの超微粒 化亜鉛(テイカ株式会社製)70.7gを5Lフラスコ 入れた水3500mLに加え、1%水酸化ナトリウム 溶液でpHを12に調整した後、90℃で10分攪拌し た。一旦冷却後、5%塩酸でpHを9.5に調整し、80 ℃に維持して2時間攪拌した。冷却後No.2ろ紙 ろ過し、ろ液が澄明になるまで、ろ紙上の 潤固体を容器に戻して、水洗とろ過の操作 繰り返した。ろ過により得られた湿潤固体 50℃で5時間乾燥し、白色粉末340.4gを得た。 のものの示差熱分析(加熱速度:10℃/min)を行 た結果を図9に示した。発熱ピーク温度は、 301.6℃(補正後)であった。原料亜鉛ピリチオ (図11)と比べ、約15℃上昇していた。
 この白色粉末の800mgを2回採り、それぞれ1リ ットルのフラスコに入れたクロロホルム600mL 加えた。この液を60℃で60分攪拌した後、メ ンブランフィルターでろ過し、乾燥した。得 られたフィルター上の白色粉末(i)は第1回目15 0mg、第2回目160mgであり、またろ液を蒸留して 得られた白色粉末(ii)は、第1回目640mg、第2回 630mgであった。
 さらに(i)と(ii)について、それぞれ蛍光X線 析を行った。その結果、(i)については実質 に亜鉛のみで、亜鉛ピリチオン由来の硫黄 検出できなかった。また(ii)については、亜 ピリチオン中に含まれる硫黄との対比から 原料亜鉛ピリチオンの亜鉛含量の1.09倍(2回 均値)の亜鉛が含まれていた。即ち亜鉛ピリ チオンに対しモル比で9%の酸化亜鉛が結合し 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物(x=0.09 )とx=0.91の超微粒酸化亜鉛からなる複合体が られた。なお上記クロロホルム抽出物(ii)は X線回折分析の結果、酸化亜鉛固有の回折角 ピークを示さないので、亜鉛ピリチオンに結 合している酸化亜鉛は非晶質と考えられる。 またこのクロロホルム抽出物をXPS分析した結 果を図1に示した。Zn2p3の結合エネルギーは、 亜鉛ピリチオンのそれ(図5)より0.3eV下方にシ トしていた。また超微粒酸化亜鉛の結合エ ルギーを示すスペクトルピーク(図4)はなく っていた。

 亜鉛ピリチオン粉末(コーロン生命科学株 式会社製)4.8g、平均粒子径が0.03μmの超微粒酸 化亜鉛(テイカ株式会社製)0.6g(亜鉛ピリチオ :超微粒酸化亜鉛のモル比2:1)を200mLビーカー 入れ、蒸留水100mLを加え、1%水酸化ナトリウ ム水溶液でpHを8.0に調整した。得られた水性 ラリーを20℃で30分間攪拌し、No.2ろ紙で固 をろ取し、得られた固体を50mLの蒸留水で2回 洗浄した後、50℃で5時間乾燥して、白色粉末 5.1gを得た。このものの示差熱分析(加熱速度: 10℃/min)を行った結果を図10に示した。発熱ピ ーク温度は、303.9℃(補正後)であった。亜鉛 リチオンに対しモル比で0.5(x=0.5)の亜鉛ピリ オンと超微粒酸化亜鉛との複合体が得られ 。またこのものをXPS分析した結果を図2に示 した。Zn2p3の結合エネルギーピークスペクト は単一であり、超微粒酸化亜鉛、亜鉛ピリ オンの結合エネルギー(図4、5)よりそれぞれ 1.5eV、0.5eV下方にシフトしていた。

比較例1

 亜鉛ピリチオン48%水懸濁液(コーロン生命 科学株式会社製)10g、平均粒子径が0.03μmの超 粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製)0.6g(亜鉛ピリ チオン;超微粒酸化亜鉛のモル比2:1)を200mLビ カーに入れ、蒸留水100mLを加えた。pHは7であ った。20℃で30分間攪拌し、50mLの蒸留水で2回 デカンテーションを行った後、得られたケー キを50℃で5時間乾燥し、白色粉末5.0gを得た 実施例2と同様にこのものの示差熱分析を行 た結果、発熱ピーク温度は、294.5℃(補正後) であった。

比較例2

 実施例2の超微粒酸化亜鉛に代えて、平均 粒子径が0.6μmの一般グレード酸化亜鉛(ハク イテック株式会社製)を用い、実施例2と同様 に調製して、白色粉末5.2gを得た。このもの 示差熱分析を行った結果、発熱ピーク温度 、299.4℃(補正後)であった。

比較例3

 比較例1の超微粒酸化亜鉛に代えて、平均 粒子径が0.6μmの一般グレード酸化亜鉛(ハク イテック株式会社製)を用い、比較例1と同様 に調製して、白色粉末5.1gを得た。このもの 示差熱分析を行った結果、発熱ピーク温度 、290.0℃(補正後)であった。

 亜鉛ピリチオン粉末(株式会社エーピーアイ ・コーポレーション製)20gと平均粒子径が0.03 mの超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製)1.3g(亜 鉛ピリチオン;超微粒酸化亜鉛のモル比は4:1) 500mLフラスコに入れた水250mLに加え、1%水酸 ナトリウム水溶液でpHを12に調整し、90℃で1 0分攪拌した。いったん冷却後5%塩酸でpHを9.5 調整し、80℃に維持して2時間攪拌した。冷 後No.2ろ紙でろ過し、ろ液が澄明になるまで 、実施例1と同様に水洗とろ過を繰り返した 得られた固体を50℃で5時間乾燥し、白色粉 20.8gを得た。このものの示差熱分析(加熱速 :10℃/分)を行った結果、発熱ピーク温度は、 294.7℃(補正後)であった。またこのもののSEM 真を図6に示した。亜鉛ピリチオン粒子(図7) 表面上に微粒酸化亜鉛が密着している様が 察された。これらは超微粒酸化亜鉛粒子(図 8)のうち一部の比較的大きな粒子と考えられ 残りの一部は非晶質に変化し、またさらに りは目視でははっきりと認められない超微 子のものと推測される。
 得られた白色粉末の800mgを取り、実施例1と 様にクロロホルム抽出を行って得た留去残 、蛍光X線分析により、亜鉛ピリチオンに対 し1.04倍の亜鉛を含んでいた。即ち亜鉛ピリ オンに対しモル比で4%の酸化亜鉛が結合した 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物(x=0.04) x=0.21の超微粒酸化亜鉛からなる複合体が得 れた。この複合体をXPS分析した結果を図3に 示す。Zn2p3の結合エネルギースペクトルピー は単一であり、超微粒酸化亜鉛、亜鉛ピリ オンの結合エネルギー(図4、5)よりそれぞれ 1.4eV、0.4eV下方にシフトしていた。

 日本特許第4185526号公報実施例3に記載され 方法にしたがって、ナトリウムピリチオン: 酸亜鉛7水和物:水酸化ナトリウム=1:5/8:1/4(モ ル比)の仕込比率で合成を行った(反応後のpH 9.5)。析出した白色粉末をろ過し、ろ紙上の 潤固体を容器に戻して水洗とろ過を行う操 を繰り返して得たケーキを乾燥・粉砕して 13.8gの白色粉末(A)を得た。この白色粉末の 率が99%であったことから、この白色粉末に 亜鉛ピリチオン成分が13.0g、酸化亜鉛成分が 0.8g含まれていたことになる。なお得られた 色粉末をクロホルム抽出し、抽出物(留去残) の亜鉛含量を蛍光X線分析によって定量した 果、亜鉛ピリチオンに対して1.20倍の亜鉛を んでいることが分った。即ち、20%の酸化亜 が結合した亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合 合物(x=0.20)が得られた。このことからモル 0.05に相当する酸化亜鉛が副生したことにな 。
 得られた白色粉末(A)3.4g、超微粒酸化亜鉛( イカ株式会社製、平均粒子径0.03μm)0.6gを200mL のビーカーに入れた蒸留水80mLに加えて(pH8)、 後は実施例2と同様の操作を行い、白色粉末(B )3.8gを得た。このものの示差熱分析を行った 果、発熱ピーク温度は、307.4℃(補正後)であ った。

 実施例2、比較例1、比較例2及び比較例3で得 られた白色粉末について、大腸菌及び黄色ぶ どう球菌に対する抗菌試験を行った。また実 施例4の白色粉末(B)と実施例4の白色粉末(A)の ロロホルム抽出物に酸化亜鉛成分が同量に るよう平均粒子径0.03μmの超微粒酸化亜鉛( イカ株式会社製)を加えた白色粉末(C)の結果 合わせて表1に示した。
 
抗菌試験
 試験方法:各試料80mgを滅菌精製水に分散し 試料懸濁液とし、これらを0.01重量%Tween80水 液を用いて2倍希釈系列の液を作り、各1mLず をシャーレに取り、加熱滅菌した試験培地 9mLずつ加えて平板とした。
 試験菌株:大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)
      黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NM RC 12732)
 培養条件:普通寒天(NBA)培地、32℃、5日間

 上表の結果から、亜鉛ピリチオンと超微粒 化亜鉛との複合体が、亜鉛ピリチオンと超 粒酸化亜鉛又は一般グレード酸化亜鉛との 合物よりも優れた抗菌力を示した。また複 化合物と超微粒酸化亜鉛から得られた複合 (B)が、複合化合物と超微粒酸化亜鉛との混 物(C)よりも優れた抗菌力を示した。

 亜鉛ピリチオン、超微粒酸化亜鉛、一般グ ード酸化亜鉛、2-メチル-4-イソチアゾリン-3 -オン50%水溶液のいずれか2又は3成分を含む水 懸濁液をpH8で処理し、それぞれの水懸濁液に ついて、シュードモナス菌、大腸菌に対する 抗菌試験を行った。結果を表2に示す。
 試料1:亜鉛ピリチオン(株式会社エーピーア ・コーポレーション製)+超微粒酸化亜鉛(堺 学工業株式会社製「FINEX-50」、平均粒子径:0 .02μm)(配合重量比=4:1)
 試料2:亜鉛ピリチオン(株式会社エーピーア ・コーポレーション製)+一般グレード酸化 鉛(堺化学工業株式会社製、平均粒子径:0.6μm )(配合重量比=4:1)
 試料3:亜鉛ピリチオン(株式会社エーピーア ・コーポレーション製)+超微粒酸化亜鉛(堺 学工業株式会社製「FINEX-50」、平均粒子径:0 .02μm)+2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン50%水 液(昌栄化学株式会社製)(配合重量比=4:1:4)
 試料4:亜鉛ピリチオン(株式会社エーピーア ・コーポレーション製)
 試料調製:亜鉛ピリチオンとして16mg/mLの濃 になるよう上記組成水懸濁液をpH8の条件下 15分間攪拌して調製し、0.1重量%Tween80弱アル リ性水溶液(pH8)による2倍希釈系列の液を滅 シャーレに取り、寒天培地を加えて平板と た。
試験菌株:シュードモナス菌(Pseudomonas aeruginos a JCM 6119)
     大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)
培養条件:普通寒天培地、32℃、5日間

 実施例5表1及び上表の結果から、試料1は亜 ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との複合体の 成を示唆している。即ち、亜鉛ピリチオン 超微粒酸化亜鉛との複合体粉末を得た後、 を加えて複合体水懸濁液を製造しなくても 亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛をpH8で処 することにより直接複合体水懸濁液を製造 る方法が可能であることを示している。ま 試料1にイソチアゾロン系防腐剤を組み合わ せることによって、亜鉛ピリチオン系防腐剤 の弱点とされるシュードモナス菌に対する抗 菌力が大幅に改善されることを示している。

 実施例4の白色粉末(B)(亜鉛ピリチオン・酸 亜鉛複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合 )と亜鉛ピリチオン粉末(コーロン生命科学株 式会社製「Clean-Bio ZP 」)+超微粒酸化亜鉛(テ イカ株式会社製「MZ-300」、平均粒子径:0.03μm) 混合物(1:0.25、重量比)について、マラセツイ 菌に対する抗菌試験を行った。結果を表3に 示す。
 
試験方法:
 それぞれの試料80mgを量り、滅菌した0.1重量 %Tween80水溶液に懸濁して、10mLの試料液とした 。これらを0.01重量%Tween80水溶液を用いて2倍 釈系列の液として、各1mLずつをシャーレに り、これに加熱滅菌した50℃の寒天培地溶液 を9mLずつ加えてよく混ぜ、試料が均一になる ようにして平板とした。
試験菌株:Malassezia furfur NBRC 0656 (10 6 cfu/mL)
試験培地:グルコース10g、ペプトン5g、酵母エ キス3g、麦芽エキス3g、寒天15gを1リットル中 含むpH6.0の寒天培地に10gのオリーブ油を添 したもの
培養温度:28℃
培養期間:4日間

 上表の結果から、亜鉛ピリチオン・酸化亜 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体が 量の亜鉛ピリチオン成分と同量の酸化亜鉛 すべて超微粒酸化亜鉛として含有する組成 よりも、マラセツィア菌に対し2倍の抗菌力 を示した。

 実施例4の白色粉末(B)、亜鉛ピリチオン、硝 酸ミコナゾール及びケトコナゾールについて 、マラセツィア菌に対する抗菌試験を行った 。また実施例4の白色粉末(B)と硝酸ミコナゾ ル、ケトコナゾールとの組み合わせ効果に いても試験した。
 結果を表4に示す。
試料1:実施例4の白色粉末(B)
試料2:亜鉛ピリチオン粉末(アーチ・ケミカル ズ・インク製)
試料3:硝酸ミコナゾール(Sigma-Aldrich社製試薬)
試料4:ケトコナゾール(ユーロファーム・ラボ ラトリィズ社製「ケトシン錠」(200mg/錠)を粉 した粉末
試料5:実施例4の白色粉末(B)と硝酸ミコナゾー ル(Sigma-Aldrich社製試薬)との1:1混合物(重量比)
試料6:実施例4の白色粉末(B)とケトコナゾール (ユーロファーム・ラボラトリィズ社製「ケ シン錠」(200mg/錠)を粉砕した粉末との1:1混合 物(重量比)
 
試験方法:
 試料1、試料2及び試料3は各40mg、試料4は51.6m g(純分40mg)、試料5は試料1と試料3を20mgずつ、 料6は試料1を20mg、試料4を25.8mg(純分20mg)取っ て混合した純分40mgをそれぞれ滅菌した0.1重 %Tween80水溶液に懸濁して、10mLの試料液とし 。これらを0.01重量%Tween80水溶液を用いて2倍 釈系列の液として、各0.1mLをサブローグル ース培地0.88mLに加えてよく混ぜ、2×10 6 cfu/mLとした試験菌液0.02mLを植え、さらに0.01~0 .02mLのオリーブ油を加え、30~32℃で2~4日間振 う培養して菌の生育を調べた。
試験菌株:Malassezia furfur NBRC 0656

 上表の結果から、亜鉛ピリチオン・酸化亜 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体は マラセツィア菌に対し、亜鉛ピリチオンの2 倍の抗菌力を示した。
 これから本発明の複合体を配合したふけ防 シャンプーは、従来の亜鉛ピリチオン配合 け防止シャンプーより優れたふけ防止効果 有することを示している。また硝酸ミコナ ール、ケトコナゾールと本発明の複合体の み合わせは、マラセツィア菌に対し相乗的 抗菌力を有することを示唆している。

 雄性7週齢のHartley系モルモット6匹を用いて 毛試験を行った。
モルモット1匹当り3ヶ所しか塗布部を確保で ないため、試験は2群
(I及びII)に分けて行った。群分けの前日に背 の毛をバリカンで毛刈りし、脱毛クリーム 除毛した。背部脊柱線を軸とする5cm 2 (2cm×2.5cm)の大きさで3ヶ所(A、B及びC)を投与部 位とした。この投与部位に下記検体の0.5mLを1 日1回塗布し、検体毎に代えたゴム手袋を着 して指で軽く擦り込んだ。塗布5分後に水道 を湿らせた脱脂綿で軽く拭き取った。これ 4日間連続して行い、3日間経過後育毛状態 観察した。さらに同様の処理を5日間継続し 3日間経過後育毛状態を観察し、投与部位の 毛をはさみで切り取り、毛重量を計量した。 表5に結果を示す。
試料1-1:実施例4の白色粉末(B)0.6重量%水懸濁液 (0.1重量%Tween80)
試料1-2:実施例4の白色粉末(B)0.6重量%+超微粒 化亜鉛(テイカ株式会社製「MZ-300」、平均粒 径0.03μm)3.0重量%水懸濁液(0.1重量%Tween80)
陰性対照1(ブランク):0.1重量%Tween80水溶液

比較例4

 雄性7週齢のHartley系モルモット6匹を用いて 毛試験を行った。モルモット1匹当り3ヶ所 か塗布部を確保できないため、試験は2群(I びII)に分けて行った。毛刈りをして脱毛ワ クスで脱毛した背部5cm 2 (2cm×2.5cm)に下記試料の0.5mLを1日1回塗布し、5 間よく擦った後精製水でゆすいだ。これを4 日間連続して行い、3日間経過後育毛状態を 察し、試料塗布部の毛重量を計量した。表6 結果を示した。
 
試料2-1:(I及びII)特許第4185526号明細書実施例3 従って合成した亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛 合化合物と副生酸化亜鉛との混合物1.0重量% 水懸濁液(0.1重量%Tween80)
試料2-2:(I及びII)亜鉛ピリチオン48%水分散液( ーロン生命科学株式会社「CleanBio-Zinc」)2.0重 量%水懸濁液(0.1重量%Tween80)
陰性対照2(ブランク):(I及びII)0.1重量%Tween80水 液

比較例5

 比較例4と同様に、雄性7週齢のHartley系モル ット6匹を用いて育毛試験を行った。結果を 表7に示す。
試料3-1:(I及びII)亜鉛ピリチオン48%水分散液( ーロン生命科学株式会社「CleanBio-Zinc」)2.0重 量%+超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製「MZ-300 」、平均粒子径0.03μm)1.5重量%水懸濁液(0.1重 %Tween80)
試料3-2:(I及びII)超微粒酸化亜鉛(テイカ株式 社製「MZ-300」、平均粒子径0.03μm)1.50重量%水 濁液(0.1重量%Tween80)
陰性対照3(ブランク):(I及びII)0.1重量%Tween80水 液

 実施例9(表5)と比較例4、5(表6及び7)の結果か ら、本発明の複合体(試料1-1及び1-2)は、複合 合物と副生酸化亜鉛との混合物(試料2-1)、 鉛ピリチオン(試料2-2)、亜鉛ピリチオンと超 微粒酸化亜鉛との組成物(試料3-1)、超微粒酸 亜鉛(試料3-2)のいずれに対しても、明らか 優れた育毛効果を示した。

 亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合化合物と超 粒酸化亜鉛との複合体及び亜鉛ピリチオン ついて、硫酸銅水溶液を作用させたときの 銅ピリチオンへの変化速度を目視により判 した。表8に結果を示す。
試料1:実施例3の白色粉末5重量%水懸濁液
試料2:亜鉛ピリチオン粉末(株式会社エーピー アイ・コーポレーション社製)5重量%水懸濁液
試料3:実施例3の白色粉末と亜鉛ピリチオン粉 末(株式会社エーピーアイ・コーポレーショ 社製)を等量含む5重量%水懸濁液
試験法:硫酸銅7水和物400mgを100mLの水に溶かし 、試料のほぼ1/10モル濃度になるよう硫酸銅 溶液を調製した。試料2mLを入れた試験管に 酸銅水溶液20mLを加えて振とうし、完全に銅 リチオン特有の若草色沈殿が生成するまで 時間経過を見た(水温:15℃)。

 上表から、亜鉛ピリチオン・酸化亜鉛複合 合物と超微粒酸化亜鉛との複合体は、亜鉛 リチオンに比べ、銅イオンによる金属置換 応を受け難い。

 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体を むシャンプー処方例
下記組成の各成分を均一に混合して液体シャ ンプーを調製した。
 ラウリル硫酸ナトリウム            1 6.0重量%
 実施例1の白色粉末               0.5 重量%
  ヒドロキシエチルセルロース           0.3重量%
 クエン酸                       量
 精製水                       残 部
   合計                   100.0重 %

 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体と 微粒酸化亜鉛を含むシャンプー処方例下記 成の各成分を均一に混合して液体シャンプ を調製した。
 ポリオキシエチレン(EO=2モル)ラウリルエー ル硫酸ナトリウム                             16.0重量%
 実施例3の白色粉末                1 .0重量%
 超微粒酸化亜鉛(テイカ株式会社製、平均粒 子径:0.03μm)1.5重量%
 プロピレングリコール                 0.3重量%
 クエン酸                         微量
 精製水                         残部
  合計                      100.0 量%

 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体と 酸ミコナゾールを含むシャンプー処方例下 組成の各成分を均一に混合して液体シャン ーを調製した。
 ポリオキシエチレン(EO=2モル)ラウリルエー ル硫酸モノエタノールアミン塩                       16.0重量%
 実施例4の白色粉末(B)            0.3重 量%
 硝酸ミコナゾール(Sigma-Aldrich社製試薬)    0.5重量%
  プロピレングリコール               0.3重量%
  クエン酸                       微量
 精製水                       残 部
  合計                      100.0 量%

 亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との複合 を含むシャンプー処方例
 下記組成の各成分を均一に混合して液体シ ンプーを調製した。
 ラウリル硫酸モノエタノールアミン塩       16.0重量%
 実施例2の白色粉末               0.8 重量%
  ヒドロキシエチルセルロース            0.3重量%
 クエン酸                       量
 精製水                       残 部
 合計                      100.0重 量%

 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体を む船底塗料処方例
 下記組成の各成分をプロペラ粉砕機を用い 均一に混合し、船底汚塗料を調製した。
 メチルメタクリレートとトリイソプロピル リルアクリレートとの2:3共重合体(50%キシレ ン溶液)          36重量%
 亜酸化銅                  35重量%
 実施例3の白色粉末              5重 %
 亜鉛華                    5重量%
 チタン白                   1重量%
 弁柄                     1重量%
 脂肪酸アマイドワックス(20%)       2重 %
 キシレン                   15重量 %
 合計                    100重量%

 複合化合物と超微粒酸化亜鉛との複合体を む魚網防汚剤処方例
 下記組成の各成分を均一に混合して、魚網 汚剤を調製した。
 ブチルアクリレートとメチルメタクリレー との共重合体(50%キシレン溶液)                        20重量%
 トリフェニルボランピリジン塩             5重量%
 実施例1の白色粉末                 6重量%
 ポリエーテルシリコンオイル             2重量%
 ディスパロン4200-20(楠本化成株式会社)       3重量%
 キシレン                      64 重量%
合計                        100重 量%

 亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との複合 を含む防腐防黴剤製剤
 下記組成の各成分を均一に混合して、pHを7 調整し、防腐防黴水懸濁液製剤を調製した
 実施例2の白色粉末                 6.0重量%
 微粒非晶質酸化珪素(アエロジル200)         1.0重量%
 カルボキシメチルセルロースナトリウム塩       0.1重量%
 水                          残 部
  合計                      100.0 量%

 亜鉛ピリチオンと超微粒酸化亜鉛との複合 +イソチアゾロン系防腐防黴剤製剤下記組成 の各成分を均一に混合して、pHを8に調整し、 防腐防黴水懸濁液製剤を調製した。
 亜鉛ピリチオン                   4.0重量%
 超微粒酸化亜鉛(平均粒子径:0.03μm)         1.0重量%
 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン50%水溶液  4.0重量%
 ベントナイト                     1.0重量%
 カブボキシメチルセルロースナトリウウ塩       0.1重量%
 水酸化ナトリウム                    微量
 水                          残 部
  合計                      100.0 量%

 本発明の亜鉛ピリチオン又は亜鉛ピリチ ン・酸化亜鉛複合化合物と平均粒子径0.01~0. 15μmの超微粒酸化亜鉛との生理・抗生物活性 合体は、市販されている亜鉛ピリチオンと べ、優れたふけ防止、育毛効果、抗菌力及 銅イオンに対する耐性を有しているので、 ャンプー用ふけ防止剤・育毛促進剤、船底 料用防汚剤、工業用製品の防腐防黴剤に用 られる有効成分として産業上の利用可能性 有している。




 
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