Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
NFAT SIGNAL INHIBITOR AND HAIR-GROWING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047103
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an NFAT signal inhibitor and others. Specifically disclosed are: an NFAT signal inhibitor comprising, as an active ingredient, at least one compound selected from the group consisting of a coumarin derivative represented by general formula (I) [wherein R1 and R2 independently represent a hydrogen atom or a group represented by general formula (II) (wherein R3 represents a linear or branched alkyl or alkenyl group having 1 to 20 carbon atoms)] and a pharmacologically acceptable salt thereof; and others.

Inventors:
SAKASAI MITSUYOSHI (JP)
SHIBUYA YUSUKE (JP)
NAGASAWA AZUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/005523
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 21, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KAO CORP (JP)
SAKASAI MITSUYOSHI (JP)
SHIBUYA YUSUKE (JP)
NAGASAWA AZUMI (JP)
International Classes:
A61K8/49; C07D493/04; A61K31/352; A61Q7/00
Domestic Patent References:
WO2001035914A12001-05-25
WO2004041221A12004-05-21
Foreign References:
JPH0892041A1996-04-09
JPS59104387A1984-06-16
JPH09194334A1997-07-29
JP2005089392A2005-04-07
JPS6438013U1989-03-07
JPS63145216A1988-06-17
JP2003514000A2003-04-15
JP2006508103A2006-03-09
JP3527584B22004-05-17
JP2005089392A2005-04-07
JPS6438013A1989-02-08
JPS63145216A1988-06-17
Other References:
MARQUEZ, N. ET AL.: "Imperatorin inhibits T-cell proliferation by targeting the transcription factor NFAT", PLANTA MEDICA, vol. 70, no. 11, 2004, pages 1016 - 1021, XP008146854
ROOS, G. ET AL.: "Isolation, identification, and screening for COX-1- and 5-LO-inhibition of coumarins from Angelica archangelica", PHARMACEUTICAL AND PHARMACOLOGICAL LETTERS, vol. 7, no. 4, 1997, pages 157 - 160, XP008146855
KAWASAKI, C. ET AL.: "Studies on coumarins of a Chinese drug "Qian Hu"", VI. COUMARINS OF ANGELICA EDULIS, PLANTA MEDICA, vol. 50, no. 6, 1984, pages 492 - 426, XP008146856
GAFTER-GVILI A, SREDNI B, GAL R, GAFTER U, KALECHMAN Y: "Cyclosporin A-induced hair growth in mice is associated with inhibition of calcineurin-dependent activation of NFAT in follicular keratinocytes", AM J PHYSIOL CELL PHYSIOL, vol. 284, 2003, pages C1593 - C603
LEE M, PARK J: "Regulation of NFAT activation: a potential therapeutic target for immunosuppression", MOL CELLS, vol. 22, no. 1-7, 2006
FELDMAN S: "Advances in psoriasis treatment", DERMATOL ONLINE J, vol. 6, 2000, pages 4
HULTSCH T: "Immunomodulation and safety of topical calcineurin inhibitors for the treatment of atopic dermatitis", DERMATOLOGY, vol. 211, 2005, pages 2
MOLKENTIN JD, LU JR, ANTOS CL, MARKHAM B, RICHARDSON J, ROBBINS J, GRANT SR, OLSON EN: "A calcineurin-dependent transcriptional pathway for cardiac hypertrophy", CELL, vol. 93, 1998, pages 215 - 228, XP002922813, DOI: doi:10.1016/S0092-8674(00)81573-1
URUSHIBARA M, TAKAYANAGI H, KOGA T, KIM S, ISOBE M, MORISHITA Y, NAKAGAWA T, LOEFFLER M, KODAMA T, KUROSAWA H: "Antirheumatic drug, leflunomide, inhibits osteoclastgenesis by interfering with RANKL-stimulated induction of NFATcl", ARTHRITIS AND RHEUMATISM, vol. 50, 2004, pages 794 - 804
TAKAYANAGI H, KIM S, KOGA T, NISHINA H, ISSHIKI M, YOSHIDA H, SAIURA A, ISOBE M, YOKOCHI T, INOUE J: "Induction and activation of the transcription factor NFATcl (NFAT2) integrate RANKL signaling in termial differentiation of osteoclasts", DEVELOPMENTAL CELL, vol. 3, 2002, pages 889 - 901
S.D. SARKER, L. NAHAR: "Natural Medicine: The Genus Angelica", CURRENT MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 11, 2004, pages 1479 - 1500
BERENBAUM, M.: "Patterns of furanocoumarin distribution and insect herbivory in the Umbelliferaae: plant chemistry and comunity structure", ECOLOGY, vol. 62, no. 5, 1981, pages 1254 - 1266
MARQUEZ, NIEVES ET AL.: "Imperatorin inhibits T-cell proliferation by targeting the transcription factor NFAT", PLANTA MEDICA, vol. 70, no. 11, 2004, pages 1016 - 1021
JIN PARKETAL., IMMUNOLOGY LETTERS, vol. 103, 2006, pages 108 - 114
MI-AE KANG ET AL., BLOOD, vol. 101, 2003, pages 3534 - 3542
JIN PARK ET AL., TOXICOLOGY AND APPLIED PHARMACOLOGY, vol. 212, 2006, pages 188 - 199
See also references of EP 2348025A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation Alga patent firm (JP)
Download PDF:
Claims:
 次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とするNFATシグナル阻害剤。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項1記載のNFATシグナル阻害剤。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselol及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1記載のNFATシグナル阻害剤。
 次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする育毛剤。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項4記載の育毛剤。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項4記載の育毛剤。
 次の一般式(III)で示される化合物。
 NFATシグナル阻害剤を製造するための、次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項8記載の使用。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselol及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項8記載の使用。
 育毛剤を製造するための、次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項11記載の使用。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項11記載の使用。
 次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を投与するNFATシグナル阻害方法。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項14記載のNFATシグナル阻害方法。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselol及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項14記載のNFATシグナル阻害方法。
 次の一般式(I):
(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は一般式(II):
で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又はアルケニル基を示す〕である)で示されるクマリン誘導体及び薬理学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を投与する育毛方法。
 上記式(I)中、R 1 がアンゲロイル基、イソバレロイル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メチルブチル基及びセネシオイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である請求項17記載の育毛方法。
 上記一般式(1)で表されるクマリン誘導体が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、及び3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項17記載の育毛方法。
Description:
NFATシグナル阻害剤及び育毛剤

 本発明は、NFAT(nuclear factor of activated T  cells)シグナル阻害剤及び育毛剤に関する。

 Nuclear factor of activated T cells(以下、NFAT 略称する)は、T細胞活性化に重要なInterleukin -2(IL-2)の転写を活性化する因子として発見さ 、免疫抑制剤であるサイクロスポリンA(以 、CsAと略称する)やタクロリムス(以下、FK506 略称する)の標的であるセリン/スレオニン リン酸化酵素カルシニューリンによりその 写活性調節が行われていることが報告され いる(図5参照)。すなわちCsAやFK506はNFATシグ ルを阻害することによりT細胞活性化を抑制 る。CsAやFK506は移植免疫抑制剤としてのみ らず、免疫系の関与することが知られてい 関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎の 療薬としても認可されている。このようなNF ATがNFAT結合配列(図2においては“NFAT site”) 結合することによって、当該NFAT結合配列よ 下流の遺伝子の転写が促進される系を『NFAT シグナル』と称する。

 一方、NFATシグナルを阻害することによって 育毛(発毛を含む)効果を期待できると報告さ ている(非特許文献1)。また、NFATシグナルを 阻害するCsAの誘導体が育毛剤として使用可能 であることも報告されている(特許文献1及び2 )。
 ここで、従来、育毛剤として、男性型脱毛 、円形脱毛症などの脱毛症の治療には、経 的に、血行促進剤、免疫抑制剤、代謝促進 、ビタミン剤、抗男性ホルモン剤等の薬剤 用いられている。しかしながら、これらの 剤では、症状や体質によっては効果が異な 場合が多く、その効果も未だ満足出来るも ではない。また、多量に使用すると適応部 に不快な刺激臭感覚を与えたり、継続使用 より皮膚炎が発生するといった場合がある 男性型脱毛症、円形脱毛症などの脱毛症の くは、未だその発症機序の詳細が不明であ 、適した育毛剤を探索しているのが現状で る。

 また、NFATは、育毛作用や免疫系への作用 に留まらず、心筋・骨格筋の分化調節による 筋組織形成、脳における神経ネットワークの 形成、骨芽細胞分化調節による骨代謝など、 多くの臓器で発現し、重要な役割を果たす" 機能転写因子"として捉えられるようになっ きた。

 NFATシグナルが生体において及ぼす役割とし ては上述したとおりであるが、NFATシグナル 阻害することで、免疫抑制作用(非特許文献2 )、乾癬治療(非特許文献3)、アトピー性皮膚 治療(非特許文献4)、(心)筋肥大抑制(非特許 献5)、抗リウマチ薬としての可能性(非特許 献6)及び破骨細胞分化抑制作用(非特許文献7) などが期待できると報告されている。
 また、前述のようにNFATは免疫性サイトカイ ンIL-2を産生する経路を介していることから NFATシグナル阻害剤は自己免疫疾患を含む免 性サイトカインが関与していると考えられ 疾患の治療または予防に有用である。
 かかる対象疾患としては、例えば各種のガ 、各種白血病、各種肝炎、各種感染症、全 性エリテマトーデス、炎症性腸疾患(潰瘍性 大腸炎、クローン病)、多発性硬化症、イン リン依存性糖尿病、消化性潰瘍、敗血症シ ック、結核、不妊症、動脈硬化、ベーチェ ト病、喘息、腎炎、急性バクテリア髄膜炎 急性心筋梗塞、急性膵炎、急性ウイルス脳 、成人呼吸促迫症候群、バクテリア肺炎、 性膵炎、末梢血管疾患、敗血症、間質性肝 患、時局性回腸炎、多発性硬化症などが挙 られる。

 したがって、新規にNFATシグナル阻害剤が 同定されれば、免疫抑制剤、乾癬治療剤、ア トピー性皮膚炎治療剤、(心)筋肥大抑制剤、 リウマチ薬、骨代謝疾患治療剤及び、上記 列記したような新規な医薬用途が期待され 。また、新規にNFATシグナル阻害剤が同定さ れれば、育毛剤、発毛促進剤としての医薬部 外品や化粧品用途が期待される。

 ところで、アンジェリカ属に属する植物 ついては、その抽出物に育毛、発毛或いは 毛効果が認められるという報告もある(特許 文献3~6)。具体的に特許文献3には、カラトウ (Angelica sinensis)抽出物を含む養毛・育毛剤 開示されている。特許文献4には、Angelica gla ucaの精油を含有する養毛剤が開示されている 。特許文献5には、ビャクシ(Angelica dahurica Be nth. Et Hook.)の抽出物を含有する発毛・育毛 進料が開示されている。特許文献6にはアシ バ(Angelica Keiskei Koidz)の抽出物を含む育毛 毛等美髪料が開示されている。

 また、アンジェリカ植物に含まれる成分に いては、非特許文献8、9を参照することが き、アメリカンアンジェリカの抽出物にイ ペラトリン、キサントトキシン等のリニア フラノクマリンや、アンジェリシンなどの ンギュラー型フラノクマリンが含まれてい ことが示されている。また非特許文献10には インペラトリン等のリニア型フラノクマリン がNFATシグナルの阻害作用を有するとの記載 あるが、一方、本発明に係るアンギュラー フラノクマリンについては、これまでにNFAT グナルとの関連や育毛、発毛或いは養毛効 との関連については知られていない。
 なお、現在のところ、上記以外にNFATシグナ ル阻害活性を有する化合物としては、種々の 食用植物に含まれるアピゲニン(非特許文献11 )及びロスマリン酸(非特許文献12)が知られて り、またNFATシグナル亢進活性を有する化合 物としてゲニステイン(非特許文献13)が知ら ている。

国際公開第01/035914号パンフレット(特表20 03-514000号公報)

国際公開第2004/041221号パンフレット(特表 2006-508103号公報)

特許3527584号公報

特開2005-89392号公報

特開平1-38013号公報

特開昭63-145216号公報

Gafter-Gvili A, Sredni B, Gal R, Gafter U, and  Kalechman Y、"Cyclosporin A-induced hair growth in  mice is associated with inhibition of calcineurin-depe ndent activation of NFAT in follicular keratinocytes" Am J Physiol Cell Physiol, 284:C1593-C603, 2003 Lee M and Park J、"Regulation of NFAT activati on: a potential therapeutic target for immunosuppressi on" Mol Cells, 22:1-7, 2006 Feldman S、"Advances in psoriasis treatment" Der matol Online J, 6:4, 2000 Hultsch T、"Immunomodulation and safety of topic al calcineurin inhibitors for the treatment of atopic  dermatitis" Dermatology, 211:2, 2005 Molkentin JD, Lu JR, Antos CL, Markham B, Rich ardson J, Robbins J, Grant SR, and Olson EN、"A ca lcineurin-dependent transcriptional pathway for cardiac hypertrophy" Cell, 93:215-228, 1998 Urushibara M, Takayanagi H, Koga T, Kim S, Iso be M, Morishita Y, Nakagawa T, Loeffler M, Kodama T , Kurosawa H, and Taniguchi T、" Antirheumatic drug,  leflunomide, inhibits osteoclastgenesis by interfering  with RANKL-stimulated induction of NFATc1" Arthritis and Rheumatism, 50:794-804, 2004 Takayanagi H, Kim S, Koga T, Nishina H, Isshik i M, Yoshida H, Saiura A, Isobe M, Yokochi T, Inou e J, Wagner EF, Mak TW, Kodama T, and Taniguchi T " Induction and activation of the transcription fac tor NFATc1 (NFAT2) integrate RANKL signaling in termi al differentiation of osteoclasts" Developmental Cell, 3:889-901, 2002 S.D. Sarker and L. Nahar, "Natural Medicine: Th e Genus Angelica" Current Medicinal Chemistry, 11, 14 79-1500, 2004 Berenbaum, M., “Patterns of furanocoumarin dist ribution and insect herbivory in the Umbelliferaae: p lant chemistry and comunity structure”, Ecology, 62( 5), 1254-1266, 1981 Marquez, Nieves et al.,”Imperatorin inhibits T- cell proliferation by targeting the transcription fact or NFAT”, Planta Medica, 70(11), 1016-1021, 2004 Jin Park et al., Immunology Letters, 103, 108-1 14, 2006 Mi-Ae Kang et al., Blood, 101, 3534-3542, 2003 Jin Park et al., Toxicology and Applied Pharmac ology, 212, 188-199, 2006

 本発明は、以下の1)~9)に係るものである。
 1)次の一般式(I):

(上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく 、水素原子又は一般式(II):

で示される基〔上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又 アルケニル基を示す〕である)で示されるク リン誘導体及び薬理学的に許容されるそれ の塩からなる群より選択される少なくとも1 種の化合物を有効成分とするNFATシグナル阻 剤。

 2)上記式(I)中R 1 が、アンゲロイル基、イソバレロイル基及び セネシオイル基からなる群から選ばれる少な くとも1種の官能基であり、R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メ ルブチル基及びセネシオイル基からなる群 ら選ばれる少なくとも1種の官能基である上 記載のNFATシグナル阻害剤。

 3)上記一般式(1)で表されるクマリン誘導 が、アルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’-i sovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol、3’-angeloyloxy-4 -senecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselol及び3’-hydroxy- 4’-angeloyloxy-2’,3’-dihydrooroselolからなる群よ り選択される少なくとも1種の化合物である 記記載のNFATシグナル阻害剤。

 4)上記一般式(1)で表されるクマリン誘導 及び薬理学的に許容されるそれらの塩から る群より選択される少なくとも1種の化合物 有効成分とする育毛剤。

 5)次の一般式(III)で示される化合物。

 6)NFATシグナル阻害剤を製造するための、 記一般式(1)で表されるクマリン誘導体及び 理学的に許容されるそれらの塩からなる群 り選択される少なくとも1種の化合物の使用 。

 7)育毛剤を製造するための、上記一般式(1 )で表されるクマリン誘導体及び薬理学的に 容されるそれらの塩からなる群より選択さ る少なくとも1種の化合物の使用。

 8)上記一般式(1)で表されるクマリン誘導 及び薬理学的に許容されるそれらの塩から る群より選択される少なくとも1種の化合物 投与するNFATシグナル阻害方法。

 9)上記一般式(1)で表されるクマリン誘導 及び薬理学的に許容されるそれらの塩から る群より選択される少なくとも1種の化合物 投与する育毛方法。

アメリカンアンジェリカからの活性成 類の単離する際の溶出画分を示す模式図で る。 アメリカンアンジェリカ抽出液および 分画物のうち、Fr. E~Fr. Jについて、HPLC分 を行った結果である。 アメリカンアンジェリカ抽出液および 分画物について、NFATシグナル阻害率を算出 した結果を示す特性図である。 実施例1で得られた成分A、成分B及び成 C並びに実施例3で調製した成分Aの脱アシル についてNFATシグナル阻害率を算出した結果 を示す特性図である。 NFATとNFAT結合部位との結合及びその下 の遺伝子転写促進を示す、NFATシグナルの概 構成図である。 実施例1で得られた成分A及び成分Bにつ て毛伸長率を算出した結果を示す特性図で る。

 本発明は、NFATシグナル阻害作用、又は育 毛作用を有する、医薬品、外用剤、化粧品等 を提供することに関する。

 本願発明者は、NFATシグナル阻害作用又は 育毛作用を有する物質について鋭意研究を重 ねた結果、上記式(I)で表される化合物、特に アメリカンアンジェリカに含まれていた既知 化合物及び上記式(III)の新規化合物に優れたN FATシグナル阻害作用及び育毛作用があること から、上記式(I)で表される化合物がNFATによ 転写促進活性の亢進に起因する疾患の予防 改善或いは治療、又は育毛・養毛、発毛促 等の効果を発揮する、医薬品、外用剤、化 品等として有用であることを見出した。

 本発明のNFATシグナル阻害剤及び育毛剤( 下、「NFATシグナル阻害剤等」とも云う)によ れば、NFATによる転写促進活性の亢進に起因 る症状や疾患の予防、改善或いは治療又は 毛・養毛が可能となる。

 本発明に係わるNFATシグナル阻害剤等に使用 する活性成分は、アメリカンアンジェリカ植 物又は当該植物の抽出物などから得ることが できる。ここで、アメリカンアンジェリカと は、学名をAngelica atropurpureaと称し、セリ科 分類される植物である。
 ここで、「活性成分」とは、次の一般式(I) 示されるクマリン誘導体若しくは薬理学的 許容されるその塩である。
 一般式(I)に示すように、上記活性成分は、 マリン誘導体の中でもアンギュラー型クマ ン誘導体である。後記実施例に示すように アメリカンアンジェリカを分画し、活性成 を単離する工程において、インペラトリン キサントトキシン等のリニア型フラノクマ ン誘導体を含む画分にはNFATシグナル阻害活 性が全く或いは殆ど認められなかったのに対 し、本発明に係るアンギュラー型フラノクマ リン誘導体を含む画分、更に単離した成分A 成分B及び成分Cには強いNFATシグナル阻害活 が認められたことから、本発明に係るアン ュラー型フラノクマリン誘導体は、既知のNF ATシグナル阻害剤であるインペラトリン等の ニア型フラノクマリン誘導体に比し、優れ NFATシグナル阻害活性作用を有するものとし て見出されたものである。

 上記一般式(I)中、R 1 及びR 2 は、各々同じであっても異なっていてもよく 、水素原子又は一般式(II):

で示される基(上記一般式(II)中、R 3 は炭素数1~20の直鎖又は分枝のアルキル基又 アルケニル基を示す)である。

 すなわち、上記活性成分として使用できる マリン誘導体は、上述のように規定したR 1 、R 2 及びR 3 の範囲で種々の化合物を含むことになる。
 特に、上記R 1 としては、アンゲロイル基、イソバレロイル 基及びセネシオイル基からなる群から選ばれ る官能基であることが好ましい。また、上記 R 2 はアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メ ルブチル基及びセネシオイル基からなる群 ら選ばれる官能基であることが好ましい。
 さらに、上記R 2 がアンゲロイル基、イソバレロイル基、2メ ルブチル基又はセネシオイル基であるクマ ン誘導体を、脱アシル化することによって マリン骨格の3’位をヒドロキシル基(上記R 2 が水素原子の場合に相当)とすることができ 。

 なかでも、上記活性成分としては、R 1 がアンゲロイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体;R 1 がイソバレロイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体、及 びR 1 がセネシオイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体が好 ましい。また、上記活性成分としては、これ らクマリン誘導体を脱アシル化して得られる アンギュラー型フロクマリン誘導体も好まし い。

 特に、R 1 がアンゲロイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体は、 アルカンジェリシンとして抗腫瘍、抗炎症作 用が知られた化合物であり、また、R 1 がイソバレロイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体、例 えば3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydroo roselolは、公知化合物であるが、これらは、 記実施例に示すように、本発明において、 毛活性及びNFATシグナル阻害活性を有するこ が明らかになったものである。
 さらに、R 1 がセネシオイル基であり、R 2 がアンゲロイル基であるクマリン誘導体、例 えば3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydroor oselolは、後記実施例に示すように、本発明に おいて、NFATシグナル阻害活性を有する新規 合物として見出されたものである。

 また、上記化学式(I)で示される公知化合物 しては、例えば、アサマンチン(Athamantin)、 ニフォリンB(Cniforin B)、エデュリシンII(Eduli sin II)及びエデュリシンV(Edulisin V)等が挙げ れる。
 なお、上記活性成分として、これら公知化 物及び新規化合物から選ばれる1種又は2種 上のものを使用してもよい。

 ここで、本発明のクマリン誘導体には、 述のように、公知の化学合成法により得ら るものや、これを活性の主体成分として含 する植物抽出物若しくはその精製物や単離 も包含される。

 なお、必要に応じて、上記植物等抽出物 、活性炭処理、液体クロマトグラフィー、 々分配、ゲルろ過、精密蒸留等の分離精製 術に供し、当該抽出物から、不活性な夾雑 等を除去し、目的の化合物を精製及び単離 てもよい。

 一例として、活性成分であるクマリン誘 体、特に上述したアルカンジェリシン、3’ -angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol及 び3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydroorose lolについては、セリ科植物(好ましくは、ア リカンアンジェリカ植物)又はその抽出物か 、上記クマリン誘導体、特にこれら化合物 ら選ばれる1種又は2種以上のものを活性の 体成分として含有する画分(以下、「活性画 」とも云う)を得ること又はこれらから目的 の化合物を単離することができる。また、こ れらの中間体を植物から抽出し、次いで化学 合成により目的物を得ても良い。

 ここで、上記植物の全草、葉、茎、花、 実、種子、根茎又は根等を、そのまま、破 、粉砕、搾取して用いるか、又はこれら処 されたものを乾燥若しくは粉末化して用い ことができる。用いる部位としては、根を 使用するのが好ましい。

 上記植物の抽出物とは、当該植物を一定 度(低温、常温又は加温)下にて抽出するこ ;又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用 て抽出すること等の抽出手段により得られ 各種溶剤抽出液、その希釈液、その濃縮液 はその粉末を意味するものである。抽出手 は、具体的には、固液抽出、液液抽出、浸 、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マ クロ波抽出、攪拌等の手段を用いることが きる。

 上記植物抽出物を得るために用いられる抽 溶剤としては、極性溶剤又は非極性溶剤の ずれをも使用することができる。抽出溶剤 しては、例えば水;メタノール、エタノール 、プロパノール、ブタノール等のアルコール 類;プロピレングリコール、ブチレングリコ ル等の多価アルコール類;アセトン、メチル チルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸 エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテ 類;ポリエチレングリコール等のポリエーテ 類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン 、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等 芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロ ルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化 素類;及び二酸化炭素等が挙げられる。或い は、上記溶剤の2種以上を組み合わせた混合 を、抽出溶剤として用いることができる。
 好ましくは、アルコール類(好ましくは、炭 素数1~4のアルコール類)、アルコール類・水 合液であり、このときのアルコール類の濃 は70~100容量%(好ましくは80~100容量%)であるの 好ましい。

 抽出溶剤の使用量は、植物1質量部(乾燥 換算)に対して、1~50質量部であるのが好まし く、5~40質量部であるのが好ましい。抽出温 は、0~100℃であるのが好ましく、より4~80℃ 更に10~40℃であるのが好ましい。抽出時間は 、1分~50日間であるのが好ましく、より1時間~ 50日間、更に1~10日間であるのが好ましい。

 更に、上記植物又はその抽出物から、液体 ロマトグラフィーや液々分配等の分離技術 供し、活性成分である上述したアルカンジ リシン、3’-angeloyloxy-4’-isovaleryloxy-2’,3’- dihydrooroselol及び3’-angeloyloxy-4’-senecioyloxy-2’ ,3’-dihydrooroselolを含有する活性画分を得ても よいし、これらを単離してもよい。
 具体的には、当該抽出物を、オクタデシル シリカゲル、オクチル化シリカゲル、トリ チルシリル化シリカゲル等の逆相樹脂カラ クロマトに付し、アセトニトリル-0.05~0.2%TFA 系溶媒で溶出し、活性成分を含有する活性画 分を得てもよい。
 また、アルカンジェリシンを脱アシル化す ことによって3’-hydroxy-4’-angeloyloxy-2’,3’- dihydrooroselolが得られる。

 ただし、本発明においては、上記化学式( I)で示される化合物であれば、従来公知の化 物を活性成分として使用することができる 上記化学式(I)で示される公知化合物として 、例えば、アサマンチン(Athamantin)、シニフ リンB(Cniforin B)、エデュリシンII(Edulisin II) びエデュリシンV(Edulisin V)を挙げることが き、活性成分として使用することができる

 また、本発明のクマリン誘導体は、塩に ることにより水溶性を向上させ、生理学的 効性を増大させることができる。これらの としては、薬学的に許容される塩であれば い。このような塩形成用の塩基物質として 、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリ ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水 化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ ム等のアルカリ土類金属の水酸化物;水酸化 ンモニウム等の無機塩基、アルギニン、リ ン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性ア ノ酸;モノエタノールアミン、ジエタノール ミン、トリエタノールアミン等の有機塩基 用いられるが、特にアルカリ金属又はアル リ土類金属の水酸化物が好ましい。本発明 おいては、これらの塩を調製してから、そ 他の成分からなる組成物中に添加したもの もよいし、クロロゲン酸類等と塩形成成分 を別々に該組成物中に添加して、この中で を形成せしめたものでもよい。

 本発明のクマリン誘導体又はその塩は、 記実施例に示すとおり、NFATシグナル阻害作 用、及び育毛作用を有する。

 ここで、NFATシグナル阻害作用とは、NFATに して直接的又は間接的に作用してNFATによる 写促進活性を低減させることを意味する。
 また、上述したNFATシグナル阻害作用(活性) 、NFATシグナル阻害率を指標として評価する ことができる。

 このNFATシグナル阻害作用(活性)を測定する 法としては、特に限定されないが、例えば 知のNFAT結合配列と当該NFAT結合配列の下流 レポーター遺伝子と有するプラスミドを導 した宿主を用いるレポーターアッセイを挙 ることができる。
 因みに、NFATの活性はカルシウムイオンに依 存するため、レポーターアッセイはカルシウ ムイオンを宿主に流入させる条件下で行う。 レポーター遺伝子としては、特に限定されず 、従来、生化学実験の分野で使用されている 如何なるレポーター遺伝子も使用することが できる。例えばレポーター遺伝子としては、 ルシフェラーゼ遺伝子、βグルクロニダーゼ 伝子(GUS遺伝子)及びグリーンフルオレセン プロテイン遺伝子(GFP遺伝子)等を挙げること ができる。

 NFAT結合配列とは、NFATが結合する配列か なるオリゴヌクレオチド、例えば、配列番 1に示すGGAGGAAAAACTGTTTCATACAGAAGGCGT(pNFAT-Luc、Strata gene)といった塩基配列を例示することができ 。なお、上述したプラスミドにおいては、 のようなNFAT結合配列を1セットとして複数 ットを連結して導入してもよい。複数のNFAT 合配列を連結して使用することによって、N FATによる転写促進活性をより高感度に測定す ることができる。なお、NFATシグナル阻害活 は、上述したレポーターアッセイから算出 たNFATシグナル阻害率として評価することが きる。

 また、育毛作用(活性)とは、毛包に作用し 毛の伸長の促進、太さの増大、毛周期の休 期から成長期への移行促進、成長期から退 期への移行阻害などを行なうことにより毛 量を増加させることを意味する。従って、 毛には、発毛、養毛及び脱毛予防の概念が 含されるものとする。
 育毛作用(活性)は、毛伸長促進率を指標と て評価することができる。ここで、毛伸長 進率とは、要するに、クマリン誘導体を作 させないときの毛伸長率に対して、クマリ 誘導体を作用させたときの当該毛伸長率の 進率を意味している。
 この育毛作用(活性)を測定する方法として 、特に限定されないが、例えば単離毛包を 官培養し、培養期間中の毛の伸長量を測定 る方法が挙げられる。

 上述した活性成分は、NFATによる転写促進( に制御される転写)活性を低減させることか 、細胞や組織におけるNFATシグナルを阻害す ることができる。具体的には、本発明のクマ リン誘導体又はその塩を、対象とする細胞や 組織に接触させることによって、当該細胞や 組織におけるNFATシグナルを阻害することが きる。これにより、当該細胞や組織におい は、NFATシグナルによって生ずる種々の遺伝 発現を転写レベルで抑制することができる
 また、上述した活性成分は、育毛・発毛を 進し、種々の脱毛症に有効である。

 従って、本発明のクマリン誘導体又はそ 塩は、NFATによる転写促進活性を低減させる こと;育毛・発毛を促進させることから、NFAT グナル阻害剤や育毛・発毛促進剤等として 用することができ、これらの製剤を製造す ために使用することができる。

 本発明に係るNFATシグナル阻害剤等は、NFAT よる転写促進活性の亢進に起因する症状や 患に対する治療剤、改善剤又は予防剤とし 使用することができる。
 NFATによる転写促進活性の亢進に起因する症 状や疾患としては、免疫系疾患、乾癬、アト ピー性皮膚炎、心筋を含む筋肥大症、リウマ チ、骨代謝疾患、各種のガン、各種白血病、 各種肝炎、各種感染症、全身性エリテマトー デス、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クロー 病)、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿 、消化性潰瘍、敗血症ショック、結核、不 症、動脈硬化、ベーチェット病、喘息、腎 、急性バクテリア髄膜炎、急性心筋梗塞、 性膵炎、急性ウイルス脳炎、成人呼吸促迫 候群、バクテリア肺炎、慢性膵炎、末梢血 疾患、敗血症、間質性肝疾患、時局性回腸 、多発性硬化症等を挙げることができる。 たがって、本発明に係るNFATシグナル阻害剤 等は、免疫抑制剤、乾癬治療剤、(心)筋肥大 制剤、抗リウマチ薬及び骨代謝疾患治療剤 として使用することができる。

 斯様に、上述した活性成分は、NFATシグナル 阻害作用や育毛作用等を発揮する医薬品、外 用剤、化粧品、食品、飼料等として使用でき る。
 医薬品として使用する場合、その剤形は、 に限定されないが、例えば散剤、顆粒剤、 プセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤 懸濁剤、乳剤等の液剤、軟膏剤等が挙げら る。
 経口投与の医薬品として使用する場合、上 した活性成分を単独で又は、この他、経口 与剤の形態に応じて一般に用いられる、賦 剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤 アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料 矯味剤、酸味料等を添加し、常法に従って 造することができる。経口投与用医薬品と ては、免疫抑制剤、乾癬治療剤、(心)筋肥 抑制剤及び抗リウマチ薬等が挙げられる。
 経皮投与の医薬品として使用する場合、上 した活性成分を単独で又は、この他、経皮 与剤の形態に応じて一般に用いられる、植 油、動物油、合成油、脂肪酸、及び天然、 成のグリセライド等の油性基剤、滑沢剤、 面活性剤、アルコール類、増粘剤等を添加 、常法に従って製造することができる。経 投与用医薬品としては、免疫抑制剤、乾癬 療剤、アトピー性皮膚炎治療剤、発毛促進 等が挙げられる。

 また、外用剤及び育毛剤は、例えば皮膚用 医薬部外品として使用するものであり、使 形態に適した剤形として提供される。具体 に剤形としては、特に限定されるものでは いが、例えば、軟膏、水剤、エキス剤、ロ ション剤、トニック剤、スプレー剤及び乳 等が挙げられる。
 当該医薬部外品には、上述した活性成分を 独で又は、この他に、助剤、安定化剤、湿 剤、乳化剤、吸収促進剤及び界面活性剤等 薬学的に許容される担体を任意に組合せて 合することができる。また、育毛剤におい は、上述した有効成分の他に、通常用いら る養毛薬効剤、例えば、毛包賦活剤、血行 進剤、抗菌剤、抗炎症剤、保湿剤、抗脂漏 、局所刺激剤、抗男性ホルモン剤、カリウ チャンネルオープナー、抗酸化剤等を必要 応じて適宜配合し、育毛効果の向上を図る とができる。毛包賦活剤としては、フラバ ノール類、N-アセチル-L-メチオニン、パン テン酸及びその誘導体、アデノシン及びそ 誘導体、アスパラギン酸カリウム、ペンタ カン酸グリセリド、6-ベンジアルアミノプリ ン、モノニトログアヤコールナトリウム等が 挙げられる。血行促進剤としては、二酸化炭 素、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル 、センブリエキス、ニンジンエキス、塩化カ ルプロニウム、ビタミンE及びその誘導体等 挙げられる。抗菌剤としては、イソプロピ メチルフェノール、塩化ベンザルコニウム オクトピロックス、ジンクピリチオン、ヒ キチオール等が挙げられる。抗炎症剤とし は、甘草エキス、グリチルリチン酸及びそ 誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体 アズレン、グアイアズレン、オウゴンエキ 、カミツレエキス、クマザサエキス、シラ バエキス、ゼニアオイエキス、桃葉エキス セイヨウノコギリソウエキス等が挙げられ 。保湿剤としては、オトギリソウエキス、 ーツ麦エキス、グリセリン、チューベロー ポリサッカライド、冬虫夏草エキス、延命 エキス、オオムギエキス、ブドウエキス、 ロピレングリコール、桔梗エキス、ヨクイ ンエキス等が挙げられる。抗脂漏剤として 、イオウ、レシチン、カシュウエキス、チ キソロン等が挙げられる局所刺激剤として 、カンファー、トウガラシチンキ等が挙げ れる。抗男性ホルモン剤としては、サイプ テロンアセテート、1 1α-ハイドロキシプロ ステロン、フルタマイド、3-デオキシアデ シン、酢酸クロルマジノン、エチニルエス ラジオール、スピロノラクトン、エピテス ロン、フィナステライド、アロエ、サンシ ウ、チョウジエキス、クアチャララーテエ ス、オタネニンジン等が挙げられる。カリ ムチャンネルオープナーとしては、ミノキ ジル、クロマカリム、ジアゾキシド及びそ 誘導体、ピナシジル等が挙げられる。抗酸 剤としては、紅茶エキス、茶エキス、エイ ツエキス、黄杞エキス、ビタミンC及びその 導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられ 。

 化粧料として使用する場合には、剤形とし は、特に限定されるものではないが、例え 、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、ク ーム、ローション、ジェル、フォーム、エ センス、ファンデーション、パック、ステ ック及びパウダー等が挙げられる。
 当該化粧料には、上述した活性成分を単独 又は、この他に、化粧料成分として一般に 用されている油分、界面活性剤、紫外線吸 剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤 防腐剤、増粘剤、色素類、香料及び各種皮 栄養剤等を任意に組合せて配合することが きる。
 具体的には、皮膚化粧料に配合される薬効 分、例えば微粒子酸化亜鉛、酸化チタン、 ーソールMCX、パーソール1789等の紫外線吸収 剤、アスコルビン酸等のビタミン類、ヒアル ロン酸ナトリウム、ワセリン、グリセリン、 尿素等の保湿剤、ホルモン剤、及びコウジ酸 、アルブチン、プラセンタエキス、ルシノー ル等の他の美白成分、ステロイド剤、アラキ ドン酸代謝物やヒスタミン等に代表される化 学伝達物質産生・放出抑制剤(インドメタシ 、イブプロフェン)、レセプター拮抗剤等の 炎症剤、抗男性ホルモン剤、ビタミンA酸、 ローヤルゼリーエキス、ローヤルゼリー酸等 の皮脂分泌抑制剤、ニコチン酸トコフェロー ル、アルプロスタジル、塩酸イソクスプリン 、塩酸トラゾリン等の抹消血管拡張剤及び末 梢血管拡張作用のある炭酸ガス等、ミノキシ ジル、塩化カルプロニウム、トウガラシチン キ、ビタミンE誘導体、イチョウエキス、セ ブリエキス等の血行促進剤、ペンタデカン グリセリド、ニコチン酸アミド等の細胞賦 化剤、ヒノキチオール、L-メントール、イソ プロピルメチルフェノール等の殺菌剤、グリ チルリチン酸およびその誘導体またはその塩 等の薬剤、セラミド及びセラミド類似化合物 等を添加配合することができる。

 また、上述した医薬品、医薬部外品、化 品においては、例えばチョーク、タルク、 ラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロ ドシリカナトリウムポリアクリレート等の 体;例えば鉱油、植物油、シリコーン油等の 油又は油状物質;例えばソルビタントリオレ ート、ソルビタントリステアレート、グリ ロールモノオレエート、高分子シリコーン 面活性剤等の乳化剤;パラ-ヒドロキシベンゾ エートエステル等の防腐剤;ブチルヒドロキ トルエン等の酸化防止剤;グリセロール、ソ ビトール、2-ピロリドン-5-カルボキシレー 、ジブチルフタレート、ゼラチン、ポリエ レングリコール等の湿潤剤;トリエタノール ミン又は水酸化ナトリウムのような塩基を う乳酸等の緩衝剤;グリセリン脂肪酸エステ ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪 酸エステル、アルキルグルコシド等の界面活 性剤;密ろう、オゾケライトワックス、パラ ィンワックス等のワックス類;増粘剤;活性増 強剤;着色料;香料等、を必要に応じ適宜組合 て用いることができる。

 上述した活性成分を医薬、医薬部外品又 化粧料等として使用する場合、上述した活 成分の配合量は、クマリン誘導体換算で、 常、医薬、医薬部外品又は化粧料等の全組 の0.00001~5質量%、特に0.0001~0.1質量%とするこ が好ましい。また、本発明に係るNFATシグナ ル阻害剤を医薬として用いる場合、上述した 活性成分の投与量は、通常の成人(60kg)で0.01mg ~1g/1日とすることが望ましい。

 以下、実施例により本発明をさらに具体 に説明する。但し、本発明はこれら実施例 その技術的範囲が限定されるものではない

〔実施例1〕アメリカンアンジェリカからの 性成分類の単離
(1)図1に示す工程に従って、アメリカンアン ェリカ(Angelica atropurpurea(セリ科)の根茎から 発明の化合物「成分A」、「成分B」及び「 分C」を単離した。
(2)アンジェリカ(Angelica atropurpurea)の根茎(160g) を95 w/v%エタノール-水(1.6L)に、常温(10~40℃) 5日間浸漬して抽出し、95 w/v%エタノール-水 出液を得た。この抽出液をろ過後、ロータ ーエバポレーターで濃縮し、固形分14.3gを た。この濃縮乾固物1gを中圧ODSカラムクロマ トグラフィ(オクタデシルシリル化シリカゲ :内径2.6×30cm)に付し、アセトニトリル-0.1% TF A系で溶出し以下の画分(fr. A~K)を得た。

 HPLC分析
カラム:Inertsil ODS-3 (3μm, 2.1x150mm)
溶出溶媒A:0.1%TFA, B:MeCN
 0%B→100%B(30min)→100%B(40min) →0%B(40.1min)→0%B(6 0min)
カラム温度37℃, 測定波長UV254nm, 流速0.25mL/mi n, 5μL inj.,

 なお、各画分固形分を50mLの95w/v%エタノー ルに溶解し、それぞれODS-HPLC(内径2.1×150mm、 セトニトリル-0.1% TFA系溶離液)にて分析した ところ、リニア型フラノクマリンのキサント トキシンはfr. Fおよびfr. Gに、インペラトリ ンはfr. Hに存在していることを確認した(図2) 。各画分固形分を50mLの95w/v%エタノール溶液 ついて、後述の方法にてNFATシグナル阻害活 を調べたところ、最も強い活性はfr. Iに認 られ、一方でインペラトリンやキサントト シンを含むfr. F、fr. G、fr. Hには活性が全 又は殆ど認められなかったことから(図3)、 メリカンアンジェリカの主たるNFATシグナル 阻害活性成分は、インペラトリンやキサント トキシン以外の成分であることが分かり、こ の結果は前述の非特許文献10の記載からする 全く意外であった。

fr. A: 0.23g
fr. B: 0.01g
fr. C: 0.03g
fr. D: 0.07g
fr. E: 0.05g
fr. F: 0.02g
fr. G: 0.02g
fr. H: 0.15g
fr. I: 0.24g
fr. J: 0.10g
fr. K: 0.03g

(3)上記(2)で得られたNFATシグナル阻害画分 あるfr. I(0.24g)を分取高速液体クロマトグラ ィ(オクタデシルシリル化シリカゲル:内径10 ×250mm)に付し、アセトニトリル-0.1% TFA系(58%) で溶出し、以下の画分(fr. I-1~I-8)を得た。

fr. I - 1: 46.5mg
fr. I - 2: 27.6mg
fr. I - 3: 3.4mg
fr. I - 4: 6.3mg
fr. I - 5: 18.8mg
fr. I - 6: 84.6mg
fr. I - 7: 5.4mg
fr. I - 8: 46.9mg

 本発明の化合物は、分析の結果、fr. I-6( 分A)、fr. I-8(成分B)、fr. I-5(成分C)にほぼ単 化合物として得られた。

 〔実施例2〕成分A、成分B及び成分Cの同定
(1)実施例1で得られた化合物について、 1 H NMR解析及び 13 C NMR解析を行った。
1 H NMR(500 MHz, CDCl 3 )及び 13 C NMR(125 MHz, CDCl 3 )解析の結果として得られたデータを表1に示 。

(2)表1に示した解析結果より、成分A、成分B 及び成分Cの化合物は下記構造を有するアン ュラー型フロクマリン誘導体であることが された。

 すなわち、成分A、成分B及び成分Cは、そ ぞれアルカンジェリシン、3’-angeloyloxy-4’- isovaleryloxy-2’,3’-dihydrooroselol及び3’-angeloylox y-4’-senecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselolであること が判った。ここで、成分Cの3’-angeloyloxy-4’-s enecioyloxy-2’,3’-dihydrooroselolは過去に報告例 なく、新規化合物であった。

〔実施例3〕成分A(アルカンジェリシン)の脱 シル体の調製
 本例では、実施例1及び2で成分Aとして単離 たアルカンジェリシンの脱アシル化を行っ 。まず、成分A(70mg)を7mLのアセトンに溶解後 、濃アンモニア水7mLを添加し、室温で一昼夜 攪拌した。反応液を濃縮後(75mg)、分取高速液 体クロマトグラフィ(内径10×250mm)に付し、0.1% ギ酸-アセトニトリル系で溶出し、主生成物 分取した(17mg)。

〔実施例4〕成分A(アルカンジェリシン)の脱 シル体の同定
 (1)実施例3で得られた化合物について、 1 H NMR解析及び 13 C NMR解析を行った。 1 H NMR(500MHz, CDCl 3 )及び 13 C NMR(125MHz, CDCl 3 )解析の結果として得られたデータを表2に示 。

 (2)表2に示した解析分析より、実施例3に ける生成物はアルカンジェリシンの3’位の ンゲロイル基が脱離した、下記構造を有す アンギュラー型フロクマリン誘導体である とが示された。

〔実施例5〕NFATシグナル阻害効果
 本例では、実施例1で得られた成分A、成分B び成分C並びに実施例3で調製した成分Aの脱 シル体についてのNFATシグナル阻害効果を検 証した。

(1)評価システムのための材料及び方法
細胞培養
 上記評価システムには、ヒト腎(HEK293)細胞 ATCC(American Type Culture Collection)より購入し、 使用した。HEK293細胞は、DMEM(High glucose、10% h eat-inactivated FBS)中37℃、5% CO 2 条件下で培養した。

プラスミド、トランスフェクショ ン
 上記評価システムには、NFAT結合配列の下流 にホタルルシフェラーゼが導入されたプラス ミドpNFAT-Luc(Stratagene)をHEK293細胞にトランスフ ェクションしたものを使用した。詳細には、 NFAT転写活性の評価用に4連のNFAT結合配列の下 流にホタルルシフェラーゼ遺伝子が導入され たpNFAT-luc(STRATAGENE)をHEK293細胞にトランスフェ クションした。また、トランスフェクション 効率によるばらつきをなくすことを目的とし て、ホタルルシフェラーゼに由来するシグナ ルを補正するためにCMV promoterの下流にウミ イタケルシフェラーゼが導入されたpRL-CMV(Pro mega)を同時にトランスフェクションした。

 トランスフェクションは、LipofectAMINE 2000  reagent(Invitrogen)を用いて使用説明書に従って 行った。トランスフェクションの8時間後に 地を交換し、一晩インキュベートした。そ 後、実施例1で得られた成分A、成分B及び成 C並びに実施例3で調製した成分Aの脱アシル を添加し、その1時間後に1μM Ionomycinを添加 た。8時間後、ルシフェラーゼレポーターア ッセイを行った。

ルシフェラーゼレポーターアッセ イ
 ルシフェラーゼレポーターアッセイは、Dual -Glo Luciferase Assay System(Promega)を用い、使用 明書に従って行った。すなわち、培地を除 後、PBSにより2倍希釈したDual-Glo luciferase rea gentを加え、攪拌した後、20分後にホタルルシ フェラーゼ活性を測定した。その後、等量の Dual-Glo Stop&Glo reagentを加え、攪拌した後 ウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定し 。ルシフェラーゼ活性測定はMiniLumat LB 9506( EG&G BERTHOLD)を用いて行い、ルシフェラー による発光量を定量的に検出した。双方と ルシフェラーゼ活性の測定時間は2秒とした

NFATシグナル阻害率の算出
 全てのNFAT転写活性(ホタルルシフェラーゼ 性)はトランスフェクション効率補正のため 導入されたウミシイタケルシフェラーゼ活 にて除することで補正した。その後、NFATシ グナル阻害率を以下の式にて算出した。
 下記計算により、Ionomycin刺激によるNFATシグ ナル活性化をテストサンプルが何%阻害した について算出することができる。
  NFATシグナル阻害率(%)=100-(試験サンプル及 Ionomycin添加群-無刺激群)/(Ionomycinのみ添加群 -無刺激群)×100

結果
 NFATシグナル阻害率を算出した結果を図4に す。図4から判るように、実施例1で得られた 成分A、成分B及び成分C並びに実施例3で調製 た成分Aの脱アシル体は、いずれもNFATシグナ ルを阻害した。すなわち、成分A、成分B及び 分Aの脱アシル体は、NFATにより正に制御さ る転写を抑制することができる。したがっ 、成分A、成分B及び成分Aの脱アシル体は、 れたNFATシグナル阻害剤であり、例えば免疫 制剤、乾癬治療剤、アトピー性皮膚炎治療 、(心)筋肥大抑制剤及び抗リウマチ薬等の 補物質として同定されたこととなる。

〔実施例6〕育毛効果
 本例では、対象物質の育毛効果を検証でき in vitroの実験系を用いて実施例1で得られた 成分A及び成分Bの育毛効果を検証した。
ブタ毛包器官培養による毛伸長評 価
 食肉用豚種の臀部皮膚を適当な大きさに切 分け、余分な脂肪組織を除いた。豚皮は無 下でヒビテン液(5%ヒビテン液(住友製薬)を で5~20倍に希釈)に5分~10分浸することにより 毒を行った後にD-PBSで数回洗浄した。その後 、実体顕微鏡下にて洗浄した豚皮から毛包を 単離してWilliam's Medium E培地(Invitrogen)培地中 集めた。
 単離した毛包は、1ウェルあたり400μlのWillia m's Medium E培地(1% Penicillin-Streptomycin 溶液(Inv itrogen)添加)が入った24ウェル培養プレートに1 本ずつ入れた。毛包は37℃、5% CO 2 条件下にて8日間培養し、その間、1日または2 日おきに培地の交換を行った。
 上記の培地に実施例1で得られた成分A、成 Bを添加し、溶媒コントロールであるエタノ ル添加群とともに8日間培養した。培養を開 始日(0日目)および8日目の実体顕微鏡画像をCC Dカメラ(pixera model.No.PVC 100C)で撮影し、その 像から毛球部基底部から毛幹先端までの長 を測定した。その後、溶媒コントロール群 培養前後における毛伸長量を100%として実施 例1で得られた成分A及び成分Bの毛伸長率を算 出した。

結果
 毛伸長率を算出した結果を図6に示す。図6 ら判るように、実施例1で得られた成分A及び 成分Bの添加群においては、溶媒コントロー 群と比較して有意な毛伸長が認められた。 の結果から、実施例1で得られた成分A及び成 分BCは育毛効果を有することが明らかとなっ 。すなわち、実施例1で得られた成分A及び 分Bは、育毛効果を示す活性成分であり、育 剤として、或いは外用剤として使用できる とが明らかとなった。