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Patent Searching and Data


Title:
NON-VOLATILE MEMORY ELEMENT AND NON-VOLATILE SEMICONDUCTOR DEVICE USING THE NON-VOLATILE MEMORY ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050833
Kind Code:
A1
Abstract:
A non-volatile memory element consists of a non-volatile element comprising a first electrode (503), a second electrode (505), and a resistance variable layer (504) which is interposed between the first electrode (503) and the second electrode (505) and is so configured as to be in contact with the first electrode (503) and the second electrode (505) and reversibly changes its resistance value based on an electrical signal applied between the electrodes (503, 505). In the non-volatile element, the first electrode and the second electrode are formed of materials consisting of different elements.

Inventors:
KANZAWA YOSHIHIKO
MURAOKA SHUNSAKU
MITANI SATORU
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
Application Number:
PCT/JP2008/000827
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
March 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
KANZAWA YOSHIHIKO
MURAOKA SHUNSAKU
MITANI SATORU
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
International Classes:
H01L27/10; H01L45/00; H01L49/00
Domestic Patent References:
WO2007138646A12007-12-06
WO2008059701A12008-05-22
WO2007013174A12007-02-01
WO2006115208A12006-11-02
WO2006077747A12006-07-27
Foreign References:
JP2002537627A2002-11-05
Other References:
See also references of EP 2209139A4
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (Bo-eki Bldg. 123-1 Higashimachi, Chuo-ku, Kobe-sh, Hyogo 31, JP)
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Claims:

第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、前記第1電極と前記第2電極と接するように設けられており、前記第1電極と前記第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて可逆的に変化する抵抗変化層と、を備え、

 前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが互いに異なる元素から成る材料によって構成されている、不揮発性記憶素子。

前記第1電極の標準電極電位V 1 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 1 -V Ta と、前記第2電極の標準電極電位V 2 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 2 -V Ta とが、0<V 1 -V Ta <V 2 -V Ta なる関係を満足する、請求項1記載の不揮発性記憶素子。

前記第1電極の標準電極電位V 1 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 1 -V Ta と、前記第2電極の標準電極電位V 2 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 2 -V Ta とが、V 1 -V Ta ≦0<V 2 -V Ta なる関係を満足する、請求項1記載の不揮発性記憶素子。

前記第1電極は、W、Ni、Ta、Ti、Al、チッ化Taからなる群から選択される材料で構成されており、前記第2電極はPt、Ir、Pd、Ag、Cuからなる群から選択される材料で構成されている、請求項1記載の不揮発性記憶素子。

前記第1電極は、Ta、Ti、Alからなる群から選択される材料で構成されており、前記第2電極はPt、Ir、Pd、Ag、Cu、W、Ni、チッ化Taからなる群から選択される材料で構成されている、請求項1記載の不揮発性記憶素子。

前記第1電極を基準にして前記第2電極に正の電圧を印加した時の抵抗値をR1と表現し、前記第1電極を基準にして前記第2電極に負の電圧を印加した時の抵抗値をR2と表現した時に、R1とR2とがR1>R2を満足するように可逆的に抵抗値が変化する第1の状態と、前記第1電極を基準にして前記第2電極に負の電圧を印加した時の抵抗値をR3と表現し、前記第1電極を基準にして前記第2電極に正の電圧を印加した時の抵抗値をR4と表現した時に、R3とR4とがR3≧R4を満足するように可逆的に抵抗値が変化する第2の状態とが存在し、R1のR2に対する比率であるR1/R2と、R3のR4に対する比率であるR3/R4とが、R1/R2>R3/R4である、請求項1記載の不揮発性記憶素子。

前記酸素不足型のタンタル酸化物層をTaO x と表した時、0.8≦x≦1.9を満足する、請求項1から6のいずれかに記載に記載の不揮発性記憶素子。

前記酸素不足型のタンタル酸化物層は、その厚み方向において、第1の酸素不足型のタンタル酸化物を含む第1の領域と、前記第1の酸素不足型のタンタル酸化物よりも酸素含有率の高い第2の酸素不足型のタンタル酸化物含む第2の領域と、を有している、請求項1記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型のタンタル酸化物層は、少なくとも、前記第1の領域としての第1の酸素不足型のタンタル酸化物層と、前記第2の領域としての第2の酸素不足型のタンタル酸化物層とが積層されて構成されている、請求項8記載の不揮発性記憶素子。
 前記第2電極は、タンタルの標準電極電位及び前記第1電極を構成する材料の標準電極電位より高い標準電極電位を有する材料で構成されており、前記第2の領域は、前記第1の領域と前記第2電極との間に位置している、請求項8記載の不揮発性記憶素子。

前記第1の酸素不足型のタンタル酸化物をTaO x と表した時、0.8≦x≦1.9を満足する、請求項8乃至10のいずれかに記載の不揮発性記憶素子。

前記第2の酸素不足型のタンタル酸化物をTaO y と表とした時、2.1≦y<2.5を満足する、請求項8乃至10のいずれかに記載の不揮発性記憶素子。

前記第2の酸素不足型のタンタル酸化物層の膜厚が1nm以上8nm以下である、請求項9記載の不揮発性記憶素子。

半導体基板と、前記半導体基板の上に互いに平行に形成された複数の第1の電極配線と、前記複数の第1の電極配線の上方に前記半導体基板の主面に平行な面内において互いに平行に且つ前記複数の第1の電極配線に立体交差するように形成された複数の第2の電極配線と、前記複数の第1の電極配線と前記複数の第2の電極配線との立体交差点に対応して設けられた不揮発性記憶素子とを具備するメモリアレイを備え、
前記第1の電極配線を第1電極とし、前記第2の電極配線を第2電極とした場合、前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、両電極間の電圧に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、
前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが互いに異なる元素から成る材料によって構成されている、不揮発性半導体装置。

半導体基板と、前記半導体基板の上に互いに平行に形成された複数の第1の電極配線と、前記複数の第1の電極配線の上方に前記半導体基板の主面に平行な面内において互いに平行に且つ前記複数の第1の電極配線に立体交差するように形成された複数の第2の電極配線と、前記複数の第1の電極配線と前記複数の第2の電極配線との立体交差点に対応して設けられた不揮発性記憶素子とを具備するメモリアレイを備え、
前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1の電極配線と接続される第1電極と、前記第2の電極配線と接続される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、両電極間の電圧に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、
前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが互いに異なる元素から成る材料によって構成されている、不揮発性半導体装置。

前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極と前記第2電極との間に電流抑制素子を具備しており、
当該電流抑制素子は、前記抵抗変化層と電気的に接続されている、請求項14または15に記載の不揮発性半導体装置。

前記メモリアレイが複数積層されてなる多層化メモリアレイを備える、請求項14または15に記載の不揮発性半導体装置。

半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、互いに交差するように配列された複数のワード線および複数のビット線、前記複数のワード線および複数のビット線の交点に対応してそれぞれ設けられた複数のトランジスタ、並びに前記複数のトランジスタに対応して設けられた複数の不揮発性記憶素子とを備え、
前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、対応して設けられている前記トランジスタを介して前記第1電極および前記第2電極間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層を備え、
前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが互いに異なる元素から成る材料によって構成されている、不揮発性半導体装置。

半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、所定の演算を実行する論理回路およびプログラム機能を有する不揮発性記憶素子とを備え、
前記不揮発性記憶素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在され、両電極間の電圧に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、
前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが互いに異なる元素から成る材料によって構成されている、不揮発性半導体装置。

請求項14、15または18に記載の不揮発性半導体装置を更に備える、請求項19に記載の不揮発性半導体装置。
Description:
不揮発性記憶素子、並びにその 揮発性記憶素子を用いた不揮発性半導体装

 本発明は、不揮発性記憶素子に関し、特 、印加される電気的信号に応じて抵抗値が 化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子、並 にその不揮発性記憶素子を用いた不揮発性 導体装置に関する。

 近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯 情報機器および情報家電などの電子機器が より一層高機能化している。そのため、不 発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の 減、書き込み/読み出し時間の高速化、およ び長寿命化の要求が高まっている。

 こうした要求に対して、既存のフローティ グゲートを用いたフラッシュメモリの微細 には限界があると言われている。そこで、 近、抵抗変化層を記憶部の材料として用い 新たな抵抗変化型の不揮発性記憶素子に注 が集まっている。

この抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、抵抗 変化層を下部電極と上部電極とでサンドイッ チしたような非常に単純な構造で構成される 。そして、この上下の電極間にある閾値以上 の大きさの電圧を有する所定の電気的パルス を与えるだけで、抵抗が高抵抗状態もしくは 低抵抗状態に変化する。そして、これらの異 なる抵抗状態と数値とを対応させて情報の記 録を行うのである。抵抗変化型の不揮発性記 憶素子はこのような構造上及び動作上の単純 さから、さらなる微細化や低コスト化が可能 であると期待されている。さらに、高抵抗と 低抵抗との状態変化が100ns以下のオーダーで こる場合もある事から、高速動作という観 からも注目を集めており、種々の提案が成 れている。

例えば、特許文献1に開示されているのは、 部電極と下部電極との間に電圧を印加する で抵抗変化層3302内に金属イオンを出し入れ て高抵抗状態と低抵抗状態とを作り出し、 報を記録するタイプの抵抗変化型の不揮発 記憶素子である。また、特許文献2に開示さ れているような、抵抗変化層の結晶状態を電 気パルスで変化させて抵抗状態を変化させる ようなタイプの抵抗変化型メモリも知られて いる。


 さらに、上記に加えて、抵抗変化層3302に金 属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶 素子に関する提案も多くなされている。この ような金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮 発性記憶素子は、抵抗変化層に用いる材料に よって大きく2種類に分類される。一つは、 許文献3等に開示されているペロブスカイト 料(Pr (1-x) CaXMnO 3 (PCMO)、LaSrMnO 3 (LSMO)、GdBaCo x O y (GBCO)等)を抵抗変化層として用いた抵抗変化 の不揮発性記憶素子である。

  もう一つは、2元系の遷移金属酸化物を用 た抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。2 元系の遷移金属酸化物は、上述のペロブスカ イト材料と比較しても非常に単純な組成であ るため、製造時の組成制御および成膜が比較 的容易である。その上、半導体製造プロセス との整合性も比較的良好であるという利点も あり、最近、特に精力的に研究がなされてい る。

例えば、特許文献4では、抵抗変化材料とし NiO、V 2 O 5 、ZnO、Nb 2 O 5 、TiO 2 、WO 3 、CoOが開示されている。また、特許文献5や 特許文献1~3では、Ni、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe、 Cu、Cr等の遷移金属の酸化物で、特に、酸素 化学量論的組成から不足した酸化物(以下、 素不足型の酸化物と呼ぶ)を抵抗変化材料と して使った抵抗変化素子が開示されている。
ここで酸素不足型の酸化物をもう少し詳しく 説明する。例えば、Niの場合、化学量論的組 を有する酸化物として、NiOが知られている このNiOでは、O原子とNi原子が同数含まれて り、酸素含有率で表現すると50at%である。 の酸素含有率50at%よりも酸素含有率が低くな った状態の酸化物を酸素不足型の酸化物と呼 ぶ。なお、この例の場合、Niの酸化物である で、酸素不足型のNi酸化物と表現できる。
さらに、特許文献6や非特許文献2には、チッ チタンの表面を酸化してナノメートルオー ーのチタン酸化物(TiO 2 )結晶膜を形成したような構造を抵抗変化層 使う例も開示されている。

  また、抵抗変化の様式という点から見る 、上記の金属酸化物を使った不揮発性記憶 子は2種類に分類される。一つは、同一の極 の大きさの異なる電圧を有する電気パルス 抵抗変化をさせるユニポーラ型である(例え ば+1Vと+2Vの電圧をそれぞれ印加して抵抗値を 増減させる)。特許文献4や5に開示されている 不揮発性素子がこれにあたる。もう一つは、 極性の異なる電圧を有する電気パルスで抵抗 変化を制御するバイポーラ型である(例えば+1 Vと-1Vの電圧を印加して抵抗値を増減させる) このような様式の不揮発性記憶素子は、特 文献3や6に開示されている。

さらに、抵抗変化層を挟んでいる上下の電極 材料についても、例えば、特許文献5には、 リジウム(Ir)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、タ グステン(W)、Ir及びRuの酸化物、チタン(Ti)の 窒化物、ポリシリコン等が開示されている。 さらに、特許文献6には、Pt、Ir、オスミウム( Os)、Ru、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、Ti、コ バルト(Co)、W等を電極材料に使用した不揮発 記憶素子が開示されている。また、特許文 7には、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、Ptが開 され、特許文献8には、Pt、Ir、Ru、Ir酸化物 Ru酸化物が開示されている。

特開2006-40946号公報

特開2004-349689号公報

米国特許第6473332号公報

特開2004-363604号公報

特開2005-317976号公報

特開2007-180202号公報

特開2007-88349号公報

特開2006-324447号公報 I.G.Beak et al., Tech. Digest IEDM 2004, 587頁 M,Fujimoto et al., Japanese Journal of Applied  Physics Vol.45  2006, L310-L312頁 A.Chen et al., Tech. Digest IEDM 2005, 746頁

 本発明者等は、製造時の組成制御および成 が比較的容易なことから酸素不足型の酸化 を抵抗変化材料として使った抵抗変化素子 着目した。しかしながら、この種の抵抗変 素子は、その抵抗変化現象のメカニズムが 明されておらず、抵抗変化が不安定であっ 。

 本発明は、このような課題を解決するため なされたものであり、その目的は、可逆的 安定した書き換え特性を有する抵抗変化現 を利用した不揮発性記憶素子を提供する事 ある。


 本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研 した。この研究においては、抵抗変化現象 メカニズムが不明であるため、試行錯誤を り返したが、その結果、以下に述べる種々 知見を得、これらの知見に基づいて本発明 想到した。

  まず、本発明者等は、上下の電極に用い 好適な材料の組み合わせを考慮せずに、不 発性記憶素子を作製し、その電気的特性を べた。作製したのは図40のような基本構造を 有する素子であり、抵抗変化層3302に酸素不 型のTa酸化物を用い、これをPtからなる下部 極3301と、同じくPtからなる上部電極3303でサ ンドイッチしたような上下対称な構造とした 。ここで、抵抗変化層3302の酸素不足型のTa酸 化物は新規な抵抗変化材料であり、この酸素 不足型のTa酸化物の酸素含有率は58at%とした(T aO x と表現した時、xは1.38)。以下、この不揮発性 素子を素子Aと呼ぶ。

  図1は素子Aに電気的パルスを加えた時の抵 抗変化を示す。ここで、図1(a)及び(b)の横軸 下部電極3301と上部電極3303との間に加えた電 気的なパルスの数であり、縦軸は抵抗値であ る。

まず、図1(a)は、下部電極3301と上部電極3303の 間には、パルス幅が100nsecで、下部電極3301を 準として上部電極3303にそれぞれ+3.0Vと-1.5V 電圧を有する電気的パルスを交互に印加し 時の抵抗の測定結果である。この場合、+3.0V の電圧の電気パルスを印加する事で抵抗値は 800~1000ω程度となり、-1.5Vの電圧の電気パルス を印加した場合は、150ω程度と変化していた すなわち、上部電極3303に下部電極3301より 高い電圧の電気パルスを加えた時に高抵抗 する変化を示した。
次に、印加する電圧のバランスを変化させ、 負の電圧を大きくした場合の結果が図1(b)で る。この場合、下部電極3301に対して上部電 3303にそれぞれ-3.0Vと+1.5Vの電圧の電気的パ スを印加した。すると、-3.0Vの電気パルスを 印加した時に、高抵抗化し、抵抗値は600~800ω 程度となり、+1.5Vの電気パルスを印加した時 低抵抗化して、抵抗値は150ω程度となって る。すなわち、上部電極3303に下部電極3301よ りも高い電圧の電気パルスを加えた時に低抵 抗化しており、図1(a)のを測定した時と、正 対の動作を示した。
上記の結果は、素子Aのような素子は、バイ ーラ型の不揮発性記憶素子の動作としては 常に不適当である事を示している。バイポ ラ型の不揮発性記憶素子は、印加する電気 パルスの電圧の大きさで抵抗変化を制御し いるわけではなく、極性の異なる電圧を有 る電気パルスで抵抗を制御する点に特徴が る。つまり、素子に印加する電圧の大きさ 多少ばらついた場合や、製造時のばらつき の要因によって抵抗変化を起こす閾値の電 が多少ばらついても、抵抗変化の方向性(高 抗から低抵抗、もしくは低抵抗から高抵抗 の変化の方向性)は、ばらつかない点にバイ ポーラ型の素子の特徴がある。しかしながら 上記の素子Aの場合は、上部電極に正の電圧 加えた時に抵抗値が増加する場合と、減少 る場合とが存在しており、電極に印加する 圧の極性によって抵抗値が一意に決まらな という課題があった。これが第1の知見であ た。
上記のような、不揮発性記憶素子が印加電圧 の極性に対して、2つのモードで抵抗変化す 原因を調べるため、不揮発性記憶素子のど 部分が抵抗変化を起こしているかを調べた この目的のために作製した素子が素子Bであ 。図2は素子Bの断面の模式図である。この のように、100nmの酸素不足型のTa酸化物層2005 の上下にPtで2つずつ、合計4つの電極201~電極2 04を形成した。そして、電極2002を基準にして 電極2001に100nsecのパルス幅で+2.0Vと-1.5Vの電圧 を印加した。すると、+2.0Vの電圧の電気パル を印加した時に高抵抗化し、-1.5Vの電圧の 気パルスを印加した時に低抵抗化した。こ ように電極2001と電極2002の抵抗を変化させた 状態で4つの電極間の抵抗値を測定した。具 的には、電極2001と電極2002に+2.0Vを印加して 極2001と電極2002との間の抵抗を高抵抗化し 状態で、電極2001と電極2003、電極2001と電極20 04、電極2002と電極2003、電極2002と電極2004、電 極2003と電極2004との間の抵抗値をそれぞれ測 した。次に、電極2001と電極2002とに-1.5Vを印 加して電極2001と電極2002との間の抵抗を低抵 化した状態で、上述と同様に各電極間の抵 値を測定した。

 以上のような測定を10回ずつ繰り返し、各 極間の抵抗値をまとめると、表1に示すよう 結果が得られた。

 すなわち、電極2001に関連した部分だけに抵 抗値の変化が見られ、電極2001が関与してい い場所では、抵抗値がほとんど変化してい いという結果が得られた。この事から、電 2001と電極2002との間に電圧を印加した時に抵 抗の変化が起こっていたのは、電極2001の近 だけであった事が分かる。

 以上の事より、酸素不足型のTa酸化物を 抗変化層に用いた抵抗変化素子で抵抗変化 生じているのは酸素不足型のTa酸化物層の中 でも電極に近い部分だけであるといえる。ま た、高抵抗化を起こす時に、高い電位となっ ている側の電極の近傍が抵抗変化を起こして いると考えられる(この場合、高抵抗化する 、電極2002に対して電極2001には高電位の電圧 がかかっている)。これが第2の知見であった

 以上の結果を考慮すると、素子Aでは、上 部電極3303と酸素不足型のTa酸化物層3302の界 近傍で抵抗変化を起こすモード(上部電極モ ド)と、下部電極3301と酸素不足型のTa酸化物 層3302の界面近傍で抵抗変化を起こすモード( 部電極モード)との2つのモードで抵抗変化 起こっていたと考えられる。印加した電気 ルスの極性と抵抗変化の方向性を考慮する 、図1(a)は、上部電極モードで動作している 合であり、図1(b)は下部電極モードで動作し ている時の抵抗変化特性であった事も分かる 。

 以上の結果から、抵抗変化膜を金属電極で んだような構造を有し、電極に印加する電 の極性によって抵抗値が一意に決まる、理 的なバイポーラ型不揮発性記憶素子を形成 るためには、上下両方の電極近傍で抵抗変 が起こるような構造を取るべきではないと えられる。

上記のような課題の他に、素子に繰り返し抵 抗変化をさせた場合に、上部電極モードと下 部電極モードの混ざりあいのような現象が、 頻度は少ないが発生するという課題がある。 図3は、素子Aと同様の図40に示すような構造 有する別の素子の抵抗変化特性である。す わち、下部電極3301と上部電極3303をPtによっ 形成し、抵抗変化層3302として、酸素含有率 58at%の酸素不足型のTa酸化物(TaO x と表現した時、xは1.38)を用いた不揮発性記憶 素子である。また、測定時に加えた電気的パ ルスは、下部電極3301を基準として上部電極33 03をそれぞれ+2.0Vと-1.5Vの電圧とするパルスで あり、パルスの幅は100nsecとした。この図を ると、抵抗変化の幅が、パルス印加回数が20 回を越えた付近で変化しているのが分かる。 つまり、当初は、+2.0Vを印加した時に抵抗値 約4000ωになり、-1.5Vの電圧の電気パルスを 加した時に約1500ωになるような変化を示し いた。しかしながら、パルス印加回数が20回 を超えると、抵抗変化幅が広がって、2000~3000 ωと300~400ωとの間で抵抗変化が起った。


この現象は、上記のように、上部電極モード と下部電極モードとの混ざり合いによって発 生したと考えられる。つまり、印加した電気 パルス数が20程度までは、下電極側の抵抗が 抵抗の状態で、上電極側が高抵抗と低抵抗 変化を繰り返していたのが、電気パルスが2 0を超えた付近から、何らかの原因で下電極 が低抵抗へと変化して、上電極側が高抵抗 低抵抗に変化を繰り返していたと考えられ 。言い換えれば、下部電極と酸素不足型のTa 酸化物の界面の抵抗が意図せず変化を起こし たため、図3のような抵抗変化幅のふらつき 発生したと考えられる。これが第3の知見で った。
以上のような抵抗変化幅のふらつきは、抵抗 の大小によって情報を記憶する素子の特性と しては、ふさわしくない。


  上記のような課題の他に、NiOなどの遷移 属酸化物を用いた従来の抵抗変化型の不揮 性記憶素子では、非特許文献1に開示されて るように、抵抗変化材料を上下の電極で挟 だ構造を形成した直後は、抵抗状態の変化 起こりにくいという課題がある。すなわち 抵抗状態の変化を発現させるには、特殊な 気的刺激を上下電極間に加える、”慣らし の工程(以下ではフォーミング工程と呼ぶ) 必要であるとされている。抵抗変化型メモ の量産時を考えると、このようなフォーミ グ工程の存在は決して望ましいとは言えな 。なぜなら、フォーミング工程は、製造工 の1つととらえる事もでき、コストの増大や 造プロセスの複雑化につながるからである

なお、本明細書の範囲では、定常的な抵抗状 態の変化を得る事のできる電気的パルスの大 きさ(電圧値)や幅(時間)とは異なる電気的パ スを加えて、製造直後の抵抗変化型の不揮 性記憶素子の状態を変化させる工程の事を ォーミング工程と定義する。例えば、2Vの大 きさで100nsの幅を持つ電気的パルスで抵抗状 が変化する潜在的能力を有する不揮発性記 素子を動作させるために、製造直後に、例 ば、3Vで1μsの電気的パルスを10回加える必 がある場合、フォーミング工程(3Vで1μsの電 的パルスを10回加える工程)が必要であると 現する。


 本発明者等は、以上の知見から電極の材料 抵抗変化現象に関与しているものと推察し 以下の本発明を想到した。なお、念のため 言すると、上下の電極材料の組み合わせに 存した抵抗変化現象の制御性等に関するデ タについては、従来、開示されていない。 まり、抵抗変化型の不揮発性記憶素子にお て、実際に抵抗変化が発現した電極材料も くは抵抗変化が発現すると推察される電極 料の候補については、上述のように、特許 献5乃至8に開示されている。しかしながら 抵抗変化型の不揮発性記憶素子を組み込ん メモリ装置を製造した場合に、制御性良く 抗変化を発生させるための好適な上下電極 材料の組み合わせについては何ら開示され いない。

 本発明の不揮発性記憶素子は、第1電極と、 第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間 に介在し、前記第1電極と前記第2電極と接す ように設けられており、前記第1電極と前記 第2電極間に与えられる極性の異なる電気的 号に基づいて可逆的に変化する抵抗変化層 、を備え、前記抵抗変化層は酸素不足型の ンタル酸化物層から成り、前記第1電極と前 第2電極とが互いに異なる元素から成る材料 によって構成されている。本発明者等は後述 するように、電極材料には抵抗変化が発現し やすい材料と抵抗変化が発現しにくい材料と が存在することを見出した。そこで、このよ うな構成とすると、第1電極及び第2電極のう 、一方を抵抗変化が発現しやすい材料で構 し、他方を抵抗変化が発現しにくい材料で 成することにより、可逆的に安定した書き え特性を有する不揮発性記憶素子を実現す ことができる。

 前記第1電極の標準電極電位V 1 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 1 -V Ta と、前記第2電極の標準電極電位V 2 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 2 -V Ta とが、0<V 1 -V Ta <V 2 -V Ta なる関係を満足することが好ましい。

前記第1電極の標準電極電位V 1 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 1 -V Ta と、前記第2電極の標準電極電位V 2 とタンタルの標準電極電位V Ta との差であるV 2 -V Ta とが、V 1 -V Ta ≦0<V 2 -V Ta なる関係を満足することが好ましい。
前記第1電極は、W、Ni、Ta、Ti、Al、チッ化Taか らなる群から選択される材料で構成されてお り、前記第2電極はPt、Ir、Pd、Ag、Cuからなる から選択される材料で構成されていること 好ましい。
前記第1電極は、Ta、Ti、Alからなる群から選 される材料で構成されており、前記第2電極 Pt、Ir、Pd、Ag、Cu、W、Ni、チッ化Taからなる から選択される材料で構成されていること 好ましい。
前記第1電極を基準にして前記第2電極に正の 圧を印加した時の抵抗値をR1と表現し、前 第1電極を基準にして前記第2電極に負の電圧 を印加した時の抵抗値をR2と表現した時に、R 1とR2とがR1>R2を満足するように可逆的に抵 値が変化する第1の状態と、前記第1電極を 準にして前記第2電極に負の電圧を印加した の抵抗値をR3と表現し、前記第1電極を基準 して前記第2電極に正の電圧を印加した時の 抵抗値をR4と表現した時に、R3とR4とがR3≧R4 満足するように可逆的に抵抗値が変化する 2の状態とが存在し、R1のR2に対する比率であ るR1/R2と、R3のR4に対する比率であるR3/R4とが R1/R2>R3/R4であってもよい。
前記酸素不足型のタンタル酸化物層をTaO x と表した時、0.8≦x≦1.9を満足する好ましい
前記酸素不足型のタンタル酸化物層は、その 厚み方向において、第1の酸素不足型のタン ル酸化物を含む第1の領域と、前記第1の酸素 不足型のタンタル酸化物よりも酸素含有率の 高い第2の酸素不足型のタンタル酸化物含む 2の領域と、を有していてもよい。

 前記第2電極は、タンタルの標準電極電位及 び前記第1電極を構成する材料の標準電極電 より高い標準電極電位を有する材料で構成 れており、前記第2の領域は、前記第1の領域 と前記第2電極との間に位置していることが ましい。

 前記酸素不足型のタンタル酸化物層は、少 くとも、前記第1の領域としての第1の酸素 足型のタンタル酸化物層と、前記第2の領域 しての第2の酸素不足型のタンタル酸化物層 とが積層されて構成されていてもよい。

前記第1の酸素不足型のタンタル酸化物をTaO x と表した時、0.8≦x≦1.9を満足することが好 しい。
前記第2の酸素不足型のタンタル酸化物をTaO y と表とした時、2.1≦y<2.5を満足することが ましい。
前記第2の酸素不足型のタンタル酸化物層の 厚が1nm以上8nm以下であることが好ましい。
また、本発明の不揮発性半導体装置は、半導 体基板と、前記半導体基板の上に互いに平行 に形成された複数の第1の電極配線と、前記 数の第1の電極配線の上方に前記半導体基板 主面に平行な面内において互いに平行に且 前記複数の第1の電極配線に立体交差するよ うに形成された複数の第2の電極配線と、前 複数の第1の電極配線と前記複数の第2の電極 配線との立体交差点に対応して設けられた不 揮発性記憶素子とを具備するメモリアレイを 備え、前記第1の電極配線を第1電極とし、前 第2の電極配線を第2電極とした場合、前記 揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極 前記第2電極との間に介在し、両電極間の電 圧に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗 変化層とを備え、前記抵抗変化層は酸素不足 型のタンタル酸化物層から成り、前記第1電 と前記第2電極とが互いに異なる元素から成 材料によって構成されている。

 また、本発明の不揮発性半導体装置は、半 体基板と、前記半導体基板の上に互いに平 に形成された複数の第1の電極配線と、前記 複数の第1の電極配線の上方に前記半導体基 の主面に平行な面内において互いに平行に つ前記複数の第1の電極配線に立体交差する うに形成された複数の第2の電極配線と、前 記複数の第1の電極配線と前記複数の第2の電 配線との立体交差点に対応して設けられた 揮発性記憶素子とを具備するメモリアレイ 備え、前記不揮発性記憶素子のそれぞれは 前記第1の電極配線と接続される第1電極と 前記第2の電極配線と接続される第2電極と、 前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、 電極間の電圧に基づいて可逆的に抵抗値が 化する抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化 は酸素不足型のタンタル酸化物層から成り 前記第1電極と前記第2電極とが互いに異な 元素から成る材料によって構成されている

前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第 1電極と前記第2電極との間に電流抑制素子を 備しており、当該電流抑制素子は、前記抵 変化層と電気的に接続されていてもよい。
前記メモリアレイが複数積層されてなる多層 化メモリアレイを備えていてもよい。
また、本発明の不揮発性半導体装置は、半導 体基板と、前記半導体基板上に形成された、 互いに交差するように配列された複数のワー ド線および複数のビット線、前記複数のワー ド線および複数のビット線の交点に対応して それぞれ設けられた複数のトランジスタ、並 びに前記複数のトランジスタに対応して設け られた複数の不揮発性記憶素子とを備え、前 記不揮発性記憶素子のそれぞれは、第1電極 、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極と 間に介在され、対応して設けられている前 トランジスタを介して前記第1電極および前 第2電極間に与えられる電気的信号に基づい て可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層を備 え、前記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル 酸化物層から成り、前記第1電極と前記第2電 とが互いに異なる元素から成る材料によっ 構成されている。

 また、本発明の不揮発性半導体装置は、半 体基板と、前記半導体基板上に形成された 所定の演算を実行する論理回路およびプロ ラム機能を有する不揮発性記憶素子とを備 、前記不揮発性記憶素子は、第1電極と、第 2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に 介在され、両電極間の電圧に基づいて可逆的 に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、前 記抵抗変化層は酸素不足型のタンタル酸化物 層から成り、前記第1電極と前記第2電極とが いに異なる元素から成る材料によって構成 れている。

また、上記不揮発性半導体装置が、他の特定 の上記不揮発性半導体装置を更に備えてもよ い。

 本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び 点は、添付図面参照の下、以下の好適な実 態様の詳細な説明から明らかにされる。

 本発明によれば、可逆的に安定した書き換 特性を有する不揮発性記憶素子並びにその 揮発性記憶素子を用いた不揮発性半導体装 が得られる。さらに、フォーミング工程無 に安定動作する不揮発性記憶素子並びにそ 不揮発性記憶素子を用いた不揮発性半導体 置が得られる。

図1は図40に示す不揮発性記憶素子に電 的パルスを加えた時の抵抗変化を示す図で る。 図2は不揮発性記憶素子のどの部分が抵 抗変化を起こしているかを調べる目的のため に作製した不揮発性記憶素子の断面の模式図 である。 図3は上部電極モードと下部電極モード との混ざりあいのような抵抗変化特性を示す 図である。 図4はスパッタリング時の酸素流量比と Ta酸化物層の酸素含有率との関係を示す図で る。 図5は本発明の第1及び第2の実施の形態 係る不揮発性記憶素子の構成を示す断面図 ある。 図6は本発明の第1の実施の形態に係る 揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 数との関係を示す図である。 図7は本発明の第1の実施の形態に係る 揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 数との関係を示す図である。 図8は本発明の第1の実施の形態に係る 揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 数との関係を示す図である。 図9は本発明の第1の実施の形態に係る 揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 数との関係を示す図である。 図10は本発明の第1の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図11は本発明の第1の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図12は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図13は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図14は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図15は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図16は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図17は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図18は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図19は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加 回数との関係を示す図である。 図20は本発明の第1及び第2の実施の形 に係る不揮発性記憶素子の電極材料種と標 電極電位の関係を示す図である。 図21は本発明の第2の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の動作を説明するための断 面模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る不揮 性記憶素子の動作を説明するための断面模 図である。 図23は本発明の第3の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の構成を示す断面図である 。 図24は、本発明の実施の形態3に係る不 揮発性記憶素子が備える抵抗変化層の抵抗値 と印加した電気的パルスとの関係を示す図で ある。 図25は本発明の第3の実施の形態に係る タンタル酸化物からなる抵抗変化層のX線反 率のスペクトルを示す図である。 図26は本発明の第3の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子の構成を示す断面図である 。 図27は本発明の第4の実施の形態に係る 不揮発性記憶素子が備える抵抗変化層の抵抗 値と電気パルス印加回数との関係を示す図で ある。 図28は本発明の第5の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置の構成を示すブロック図 である。 図29は図28におけるA部の構成(4ビット の構成)を示す斜視図である。 図30は本発明の第5の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置が備える不揮発性記憶素 子の構成を示す断面図である。 図31本発明の第5の実施の形態に係る不 揮発性半導体装置が備える不揮発性記憶素子 の変形例の構成を示す断面図である。 図32は本発明の多層化構造の不揮発性 導体装置が備えるメモリアレイの構成を示 斜視図である。 図33は本発明の第5の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置の動作例を示すタイミン グチャートである。 図34は本発明の第6の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置の構成を示すブロック図 である。 図35は図33におけるC部の構成(2ビット の構成)を示す断面図である。 図36は本発明の第6の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置の動作例を示すタイミン グチャートである。 図37は本発明の第7の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置の構成を示すブロック図 である。 図38は本発明の第7の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置が備える救済アドレス格 納レジスタの構成を示すブロック図である。 図39は本発明の第7の実施の形態に係る 不揮発性半導体装置が備える救済アドレス格 納レジスタの構成を示す断面図である。 図40は抵抗変化の不安定性確認用に作 した記憶素子の構成を示す断面図である。

符号の説明

 200  不揮発性半導体装置
 201  メモリ本体部
 202  メモリアレイ
 203  行選択回路/ドライバ
 204  列選択回路/ドライバ
 205  書き込み回路
 206  センスアンプ
 207  データ入出力回路
 208  アドレス入力回路
 209  制御回路
 210  不揮発性記憶素子
 211  上部配線
 212  下部配線
 213  上部電極
 214  抵抗変化層
 215  内部電極
 216  電流抑制素子
 217  下部電極
 218  オーミック抵抗層
 219  第2の抵抗変化層
 300  不揮発性半導体装置
 301  メモリ本体部
 302  メモリアレイ
 303  行選択回路/ドライバ
 304  列選択回路
 305  書き込み回路
 306  センスアンプ
 307  データ入出力回路
 308  セルプレート電源
 309  アドレス入力回路
 310  制御回路
 313  不揮発性記憶素子
 314  上部電極
 315  抵抗変化層
 316  下部電極
 400  不揮発性半導体装置
 401  半導体基板
 402  CPU
 403  入出力回路
 404  論理回路
 405  アナログ回路
 406  BIST回路
 407  SRAM
 408  救済アドレス格納レジスタ
 409  不揮発性記憶素子
 410  書き込み回路
 411  読み出し回路
 412  ラッチ回路

 500  不揮発性記憶素子
 501  基板
 502  酸化物層
 503  第1(下部)電極層
 504  抵抗変化層(酸素不足型タンタル酸化 層)
 505  第2(上部)電極層
 1401  第1(下部)電極層
 1402  酸素不足型タンタル酸化物層
 1403  第2(上部)電極層
 1404  酸素原子
 1501  第1(下部)電極層
 1502  酸素不足型タンタル酸化物層
 1503  第2(上部)電極層
 1504  酸素原子
 1505  酸素

 1700  不揮発性記憶素子
 1701  基板
 1702  酸化物層
 1703  第1(下部)電極層
 1704  第1の酸素不足型タンタル酸化物層
 1705  第2の酸素不足型タンタル酸化物層
 1706  抵抗変化層(酸素不足型タンタル酸化 層)
 1707  第2(上部)電極層
 1708  素子領域
 2000  4端子を有する不揮発性記憶素子
 2001  第1電極
 2002  第2電極
 2003  第3電極
 2004  第4電極
 2005  酸素不足型タンタル酸化物層

 BL0,BL1,…  ビット線
 M11,M12,…  メモリセル
 T11,T12,…  トランジスタ
 WL0,WL1,…  ワード線

 以下、本発明の好ましい実施の形態を、 面を参照して詳しく説明する。なお、全て 図を通じて同一または相当部分には同一の 号を付しその説明は省略する場合がある。

 (第1の実施の形態)

上述のように、酸素不足型のTa酸化物を使っ バイポーラ動作する抵抗変化型の不揮発性 憶素子では、上下のどちらかの電極近傍で み抵抗変化が起こりやすいような動作が望 しい。もし、抵抗変化現象が電極材料によ て変化するならば、抵抗が変化しやすい電 材料と抵抗が変化しにくい電極材料とで酸 不足型のTa酸化物を挟んだような構造を作 ば良い。本実施の形態では、この点を検証 た結果について説明する。
なお、この検証結果を説明する前に、酸素不 足型のTa酸化物層の形成方法や、酸素含有率 好適な範囲を説明する。その後、抵抗変化 起こりやすさが電極材料に依存するかどう の確認を行うため、W、Ta、チッ化Ta(以下、T aN)からなる電極でTaOx層を挟んだ構造を形成 、電気パルスによる抵抗変化現象の様子を べた結果について述べる。そして最後に、 作しやすい電極材料と動作しにくい電極材 で酸素不足型のTa酸化物を挟み込んだ構造の 抵抗変化素子の抵抗変化の測定結果について 述べる。

 [スパッタリング時の酸素流量比とTa酸化物 の酸素含有率との関係]

 まず、本実施の形態における酸素不足型のT a酸化物層の作製条件及び酸素含有率の解析 果について述べる。酸素不足型のTa酸化物層 は、Taターゲットを(アルゴン)ArとO 2 ガス雰囲気中でスパッタリングする、いわゆ る、反応性スパッタリングで作製した。本実 施の形態での具体的な酸素不足型のTa酸化物 作製方法は次の通りである。

まずスパッタリング装置内に基板を設置し、 スパッタリング装置内を7×10 -4 Pa程度まで真空引きする。Taをターゲットと て、パワーを250W、アルゴンガスと酸素ガス をあわせた全ガス圧力を3.3Pa、基板の設定 度を30℃にし、スパッタリングを行った。こ こでは、Arガスに対するO 2 ガスの流量比を0.8%から6.7%まで変化させた。 ずは、組成を調べる事が目的であるため、 板としては、Si層上にSiO 2 を200nm堆積したものを用い、Ta酸化物層の膜 は約100nmになるようにスパッタリング時間を 調整した。このようにして作製したTa酸化物 の組成をラザフォード後方散乱法(RBS法)、 びオージェ電子分光法(AES法)によって解析し た結果を図4に示す。この図から、酸素分圧 を0.8%から6.7%に変化させた場合、Ta酸化物層 の酸素含有率は約35at%(TaO 0.66 )から約70at%(TaO 2.3 )へと変化していることが分かる。以上の結 より、Ta酸化物層中の酸素含有率を酸素流量 比によって制御可能である事と、Taの化学量 的な酸化物であるTa 2 O 5 (TaO 2.5 )の酸素含有率71.4at%よりも酸素が不足してい 、酸素不足型のTa酸化物が形成されている が明らかとなった。

 なお、本実施の形態では、Ta酸化物層の解 にラザフォード後方散乱法(RBS)及びオージェ 電子分光法(AES)を利用したが、蛍光X線分析法 (XPS)や電子線マイクロアナリシス法(EPMA)等の 器分析手法も利用可能である。

 [酸素不足型のTa酸化物層の組成と抵抗変化 性]
 以上のように作製した酸素不足型のTa酸化 のうち、どの程度の酸素含有率を有する酸 不足型のTa酸化物が抵抗変化を示すのかを調 べた。ここで酸素不足型のTa酸化物層を挟む 極の材料として用いたのは、上下の電極と にPtである。上下にPtを用いた場合は、上述 のように、バイポーラ型の抵抗変化型の不揮 発性素子としては不適当である。しかしなが ら、Ptは後述するように、抵抗変化を非常に しやすい電極材料であり、ある酸素含有率 有する酸素不足型のTa酸化物が抵抗変化を すか否かの判定を行うには最も好適な材料 ある。

以上のような理由から、図5のような不揮発 記憶素子を形成した。すなわち、単結晶シ コン基板501上に、厚さ200nmの酸化物層502を熱 酸化法により形成し、下部電極層503としての 厚さ100nmのPt薄膜を、スパッタリング法によ 酸化物層502上に形成した。その後、Taをター ゲットとして、反応性スパッタリングによっ て酸素不足型のTa酸化物層504を形成した。本 施の形態で検討した範囲では、上記の分析 料と同様に、酸素ガスの流量比を、0.8%から 6.7%まで変化させて不揮発性記憶素子を作製 た。酸素不足型のTa酸化物層504の膜厚は30nm した。
その後、酸素不足型のTa酸化物層504の上に、 部電極層505としての厚さ150nmのPt薄膜をスパ ッタ法により堆積した。
最後にフォトリソグラフィー工程とドライエ ッチング工程とによって、素子領域506を形成 した。なお、素子領域506は、直径が3μmの円 の島状である。

 以上のように作製した不揮発性記憶素子の 抗変化現象を測定した。その結果、図4のα (酸素流量比約1.7%、酸素含有率約45at%)からβ 点(酸素流量比約5%、酸素含有率約65at%)のTa酸 膜を使った不揮発性記憶素子では、高抵抗 が低抵抗値の5倍以上と良好であった。

図6(a)と図6(b)とは、それぞれ、α点およびβ点 の酸素含有率を有するTa酸化物層を使った不 発性記憶素子についてのパルス印加回数に する抵抗変化特性を測定した結果である。 6(a)および図6(b)によれば、α点及びβ点のα およびβ点の酸素含有率を有するTa酸化物層 使った素子では、共に、高抵抗値が低抵抗 の5倍以上と良好であることが判る。従って 、酸素含有率が45~65at%の組成範囲、即ち抵抗 化層をTaO x と表記した場合におけるxの範囲が0.8≦x≦1.9 範囲がより適切な抵抗変化層の範囲である 言える(酸素含有率=45at%がx=0.8に、酸素含有 =65at%がx=1.9にそれぞれ対応)。なお、RBS法に る組成分析では、酸素含有量の分析値は±5a t%程度の精度である。従って、前記xの組成範 囲もこの精度に起因する測定誤差を含んでお り、実際には、酸素含有率が40~70at%の組成範 までこの適切な組成範囲である可能性があ 。この組成範囲以外でも抵抗変化現象は確 され又は推認されるが、この組成範囲内に べると抵抗率が小さくなり又は大きくなる とから高抵抗値が低抵抗値の5倍未満になる と考えられ、記憶素子として動作の安定性に やや欠けると考えられる。

 [W、Ta、TaNを上下の電極材料に用いた抵抗変 化素子の抵抗変化]
 次に、抵抗変化の起こりやすさが、電極材 に依存するかどうかの確認を行うため、Pt 外の材料として、W、Ta、TaNから成る下部電 503と上部電極505で酸素不足型のTa酸化物層504 を挟んだ構造の素子を作製し、電気パルスに よる抵抗変化の様子を調べた結果について説 明する。なおここでも抵抗変化の起こりやす さだけを評価する目的で実験を行ったので、 上下の電極材料は同一とした。また、使用し た酸素不足型のTa酸化物の酸素含有率は、好 な酸素含有率の範囲のほぼ中間の58at%(TaO 1.38 )とした。素子の形成方法は上記とほぼ同じ あり、W、Ta、TaNのいずれもスパッタリング によって堆積した。

 ここで、素子の名称と電極材料の関係を、 の抵抗変化現象の検討に使用した素子と以 に述べる素子とを全てまとめて表2に示した 。


まず、下部電極503と上部電極505のいずれもW らなる薄膜により形成した不揮発性記憶素 (以下、素子Cと表す)の抵抗変化特性につい 述べる。

 図7は、このようにして作製した素子Cの電 パルスによる抵抗変化の測定結果である。 7(a)は、上部電極505の近傍での抵抗を起こさ る(上電極モード)事を目的に、下部電極503 基準にして上部電極505にそれぞれ+7Vと、-5V の電気パルスを交互に印加した時の抵抗値 変化を示す。この図から分かるように、パ ス数が30回程度まででは、弱いながらも、抵 抗変化が観測されており、+7Vの電気パルスを 印加した時に高抵抗化し、-5Vの電気パルスを 印加した時に低抵抗化している。しかしなが ら、パルス数が30回を超えると、抵抗変化が とんど観測されなくなっている。逆に下部 極503の近傍での抵抗を起こさせる(下電極モ ード)事を目的に、上部電極505にそれぞれ+5V 、-7Vとの電気パルスを交互に印加した時の 抗値の変化を図7(b)示す。この図から分かる うに、この場合はほとんど抵抗値の変化は 測されておらず、抵抗値は30ω程度で一定の 値になっている。

 ここで図1の上下の電極をPtで形成した素 Aの結果と図7の結果を比較すると、Wを電極 使用した時、明らかに抵抗変化が起こりに くなっているのが分かる。素子Aの測定結果 である図1(a)では、低抵抗状態の抵抗値は150ω 、高抵抗状態の抵抗値は約1000ωと、比率にし て7倍程度の変化をしているのに対し、Wを電 材料に使用した素子Cの測定結果である図7(a )では、大きく抵抗変化している範囲でも、 々、50ωと100ωとの間で抵抗変化が起こって るだけであり、比率としては、2倍程度の変 をしているだけである。印加している電圧 、図1(a)の測定時は、+2.0Vと-1.5Vであるのに し、図7(a)では、+7Vと-5Vと非常に高い電圧を 加しているのも関わらず、ほとんど抵抗変 が見られていない。

 以上のように、Wを電極に使用した場合、 電極にPtを使用した場合に比べて、明らかに 抗変化が起こりにくい事がわかる。

 以上の結果は、酸素不足型のTa酸化物を抵 変化層に用いた抵抗変化素子の動作は、使 する電極の材料に非常に強く依存する事を 味している。すなわち、少なくとも、Ptを電 極に用いた場合は抵抗変化が起こりやすく、 Wを電極に用いた場合、抵抗変化は起こりに いのは明らかである。

 また、詳しくは説明しないが、TaやTaNを上 の電極に用いた抵抗変化素子も作製し、抵 変化特性の測定を行った。図8は下部電極503 上部電極505のいずれにも、Taを用いた素子D 抵抗変化特性である。図8(a)は、上部電極505 にそれぞれ+7Vと-5Vとの電気パルスを加えた場 合で、図8(b)は上部電極505に+5Vと-7Vの電気パ スを加えた場合の測定結果である。いずれ 場合も、ほとんど抵抗変化は起こっていな 。また、図9は下部電極503と上部電極505のい れにも、TaNを用いた素子Eの抵抗変化特性で ある。図9(a)は、上部電極505に+7Vと-5Vの電気 ルスを加えた場合で、図9(b)は上部電極505に+ 5Vと-7Vの電気パルスを加えた場合の測定結果 ある。この場合も、ほとんど変化していな と言って良い程度の抵抗変化しか起こって ない。

 以上のように、W以外にも抵抗変化が起こり にくい材料は存在する。

 [WとPtを電極に用いた抵抗変化素子の抵抗変 化]
 次に抵抗変化を起こしやすい材料であるPt 、抵抗変化を起こしにくい材料でかつ、プ セス安定性の高い材料であるWで酸素不足型 Ta酸化物を挟み込んだ形の抵抗変化素子で る素子Fの抵抗変化特性について述べる。

 用意した素子は、下部電極503としてW薄膜 を用い、上部電極505としてPt薄膜を用いて作 した。W薄膜とPt薄膜は、それぞれ、Wターゲ ットとPtターゲットをArガス中でスパッタリ グする事で堆積した。

 以上のようにして作製した素子Fの電気パ ルスによる抵抗変化の様子を図10に示す。図1 0(a)は、上部電極505の近傍での抵抗を起こさ る(上部電極モード)事を目的に、下部電極503 を基準にして上部電極505にそれぞれ+2.5Vと、- 1.5Vとの電気パルスを交互に印加した時の抵 値の変化である。この場合、抵抗値は、+2.5V の電気パルスを印加した時には約600ωとなり -1.5Vの電気パルスを印加した時に60ωとなっ 安定して変化している。

 一方で、下部電極503の近傍での抵抗を起こ せる(下部電極モード)事を目的に、下部電 503を基準にして上部電極505にそれぞれ+1.5Vと 、-2.5Vとの電気パルスを交互に印加した時の 抗値の変化を図10(b)に示す。この場合は、 抗変化は、60ωと100ωの間で抵抗変化が起こ ているだけであり、上部電極モードに比較 て、無視できる程度の抵抗変化しか起こっ いない。

以上の図10(a)(b)の結果から、素子Fは、片側の 電極近傍だけで抵抗変化を起こすバイポーラ 動作する抵抗変化型の不揮発性記憶素子の理 想的な動作を示している。


また、図3で見られたような上部電極モード 下部電極モードの混ざりあいのような現象 みられなかった。例えば、図11は、図10を測 した素子Fとは別の素子(同一基板上の異な 素子)に1000回程度電気パルスを加えた結果を 示しているが、抵抗変化現象が非常に安定し て発生しているのが見て取れる。

 以上の事から、抵抗変化現象を起こしやす 電極と、抵抗変化現象を起こしにくい電極 抵抗変化膜を挟んだ構造を形成する事で、 図した片側の電極側で抵抗変化させること できるため安定動作し、望ましいバイポー 動作を示す抵抗変化型の不揮発性記憶素子 作製可能である事が分かった。また、印加 圧と抵抗値の関係は、抵抗変化を起こしや い電極に正の電圧の電気パルスを印加した に、抵抗値が高くなり、負の電圧の電気パ スを印加した時に抵抗値が低くなるような 作を示す。

 (第2の実施の形態)
 本実施の形態では、電極材料を様々に変化 せた時の抵抗変化の起こりやすさを評価し 。本実施の形態では、下部電極503をWに固定 し、上部電極505をPt以外の材料に変化させた 合の抵抗変化の様子について述べる。ここ 下部電極503をWに固定したのは、Wが比較的 化されにくく、安定した材料であり、加工 比較的容易である事による。

 なお、試料の作製方法は、第1の実施の形態 で説明した方法と同様であり、下部電極503、 上部電極505は全てスパッタリング法によって 形成した。また、抵抗変化材料である酸素不 足型のTa酸化物もTa金属をO 2 とAr中でスパッタリングして作製した。電極 変化させた時の抵抗変化の特性を調べるた 、酸素不足型のTa酸化物の組成は全て同じ 設定した。すなわち、酸素含有率を約58at%の 酸素不足型のTa酸化物(TaO x と表現した時、xは1.38)に固定した。

 また、本実施の形態では、下部電極503を 作しにくいWとしたので、下部電極モード( 部電極に対し、下部電極に高い電圧を加え 時に高抵抗化するようなモード)の結果は省 し、上部電極モード(下部電極に対し、上部 電極に高い電圧を加えた時に高抵抗化するよ うなモード)の結果のみを示す。上部電極モ ドで抵抗変化させた時の電気パルスの電圧 、試料によって若干の違いはあるが、下部 極を電圧の基準として、高抵抗化させる時 電圧は+1.8~+2.0Vとし、低抵抗化させる時の電 は-1.3~-1.6Vとした。

 図12乃至図19に測定結果をまとめる。まず、 図12の上部電極にIrを用いた素子G、図13の上 電極にAgを用いた素子H、図14の上部電極にCu 用いた素子Iの結果を見ると、比較的安定し て、大きな幅で抵抗変化が生じているのが分 かる。次に、図15の上部電極にNiを用いた素 Jでは、若干の抵抗変化が見られたがその変 幅が小さい。

次に、図16の上部電極にTaを用いた素子K、図1 7の上部電極にTiを用いた素子L、図18の上部電 極にAlを用いた素子Mでは、全く抵抗変化現象 は観測されなかった。、また、図19の上部電 にTaNを用いた素子Nでは、ごく微弱な抵抗変 化現象しか観測されなかった。これらの材料 は、本質的に抵抗変化が生じにくい性質を持 っていると考えられる。

 以上の結果から分かる事は、酸素不足型のT a酸化物を用いた不揮発性記憶素子では、抵 変化現象が生じやすい(動作しやすい)材料と 、生じにくい(動作しにくい)材料が存在する 言う事である。本実施の形態の範囲で言え 、動作しやすい電極はPt、Ir、Ag、Cuであり 動作しにくい電極材料はW、Ni、Ta、Ti、Al、Ta Nである。これらの材料の組み合わせで酸素 足型のTa酸化物を挟んだ構造の抵抗変化素子 を形成すれば、モードの混ざり合いのない安 定した抵抗変化が得られる。但し、図7(a)、 10(b)、図15、図19を参照すると、W、Ni、TaN電 では、微弱ながらも抵抗変化は観測されて る。それ故にこれらの材料を一つの電極に い、例えば、本実施の形態に係る実験で全 抵抗変化が観測されなかった電極材料であ Ta、Ti、Alをもう一つの電極に用いた場合、 弱ながらも安定した抵抗変化が期待できる

 次に、抵抗変化自体の起こるメカニズム 、抵抗変化の起こりやすさの材料依存性に いて若干の考察を行う。図20は、第1の実施 形態と第2の実施の形態との結果をまとめた ものである。横軸に電極材料、縦軸に標準電 極電位を取ってプロットしてある。図中の○ は抵抗変化が起こりやすかった事を意味し、 △は変化の割合が小さいものの抵抗変化が起 こった事を意味し、×は抵抗変化が起こらな った事を意味する。この図を見ると、抵抗 化膜の構成元素であるTaよりも標準電極電 が高い材料では抵抗変化が起こっており、 い材料では抵抗変化が起こらない事が分か 。そして、標準電極電位の差が大きいほど 抗変化が起こりやすく、差が小さくなるに れて、抵抗変化が起こりにくくなっている が分かる。一般に標準電極電位は、酸化の れ易さの一つの指標であり、この値が大き れば酸化されにくく、小さければ酸化され すい事を意味する。この事から酸化のされ すさが抵抗変化現象のメカニズムに大きな 割を果たしているのではないかと推測され 。

 以上の結果をもとに、抵抗変化のメカニ ムを考える。まず。抵抗変化が起こり易い 料(標準電極電位が大きく酸化されにくい材 料)によって上部電極が構成されている場合 ついて、図21を使って説明する。図21(a)のよ に、下部電極1401と、酸素不足型のTa酸化物 1402と、Taよりも酸化されにくい材料によっ 構成されている上部電極1403からなる抵抗変 化素子に、下部電極1401に対して高い電圧を 部電極1403に印加した場合、酸素不足型のTa 化物中の酸素原子がイオンとなって、電界 よって移動し、上部電極1403の界面近傍に集 る。しかし、上部電極1403を構成する金属は Taに比べて酸化されにくいので、酸素イオン1 404は酸素不足型のTa酸化物1402と上部電極1403 界面に滞留した状態になり、界面付近でTaと 結合し、酸素濃度の高い酸素不足型のTa酸化 を形成する。この事によって素子は高抵抗 する。次に、図21(b)のように、下部電極1401 高い電圧を印加した場合、酸素原子は再び 素イオン1401となって、酸素不足型のTa酸化 1402の内部に戻ってゆく。これにより、低抵 抗化が起っていると考えられる。

 次に、Taよりも酸化されやすい材料によ て上部電極が構成されている場合について 明したのが図22である。図22(a)のように下部 極1501と、酸素不足型のTa酸化物層1502と、Ta りも酸化され易い材料によって構成されて る上部電極1503からなる抵抗変化素子に、下 部電極1501に対して高い電圧を上部電極1503に 加した場合、酸素不足型のTa酸化物中の酸 原子がイオン1504となって電界によって移動 、上部電極1503の界面近傍に集まる。この場 合、上部電極1503はTaよりも酸化されやすいの で、酸素イオン1504は上部電極1503の内部に吸 とられて、上部電極1503を構成している材料 と結合を起こす。この場合、図21とは異なり 酸素不足型のTa酸化物1502と上部電極1503の界 面に高抵抗層が形成されず、さらに上部電極 1503を構成する元素の数に対して酸素イオン15 04の数は少ないために、抵抗値はほとんど上 しない。逆に、図22(b)のように、下部電極15 01に高い電圧を印加した場合、上部電極1503に 吸い取られた酸素1505は、上部電極1503を構成 る材料との結合がより安定であるため、酸 不足型のTa酸化物1502の中には戻りにくく、 抗値は大きくは変化しないと考えられる。

 もし、図21及び22において、上部電極を構成 する材料の酸化のされやすさがTaと同程度の 合、上記の2つの例の中間的な変化が生じ、 微弱な抵抗変化が生じると考えられる。

 以上の結果から分かるように、酸素不足型 Ta酸化物を抵抗変化膜に使用した不揮発性 憶素子では、上部電極と下部電極とを互い 異なる標準電極電位を有する材料で構成す ば良い。これにより、片側の電極近傍で優 に抵抗変化が起こって、理想的なバイポー 型の抵抗変化を実現できる。さらに、抵抗 化モードの混ざり合いも起こらず、安定し 抵抗変化動作が可能となる。より好適には 一方の電極材料には、Taの標準電極電位より も大きく、かつ差の大きな材料を用い、他方 の電極材料には、Taの標準電極電位よりも大 く差の小さな材料を用いれば良い。さらに り好適には、一方の電極材料には、Taの標 電極電位よりも大きな材料を用い、他方の 極材料には、Taの標準電極電位よりも小さな 材料を用いればよい。また、上記のメカニズ ムからも明らかなように、抵抗変化を起こし やすい電極に正の電圧の電気パルスを印加し た時に、抵抗値が高くなり、負の電圧の電気 パルスを印加した時に抵抗値が低くなるよう に動作する。

 さらに、上部電極及び下部電極の双方をま は下部電極のみを構成する材料の酸化のさ やすさがTaと同程度であって微弱な抵抗変 が生じる場合には、上部電極モードによる 抗変化の大きさが下部電極モードによる抵 変化の大きさより大きくなるよう不揮発性 憶素子を構成すればよい。すなわち、この うな場合には、第1電極を基準にして第2電極 に正の電圧を印加した時の抵抗値をR1と表現 、第1電極を基準にして第2電極に負の電圧 印加した時の抵抗値をR2と表現した時に、R1 R2とがR1>R2を満足するように可逆的に抵抗 値が変化する上部電極モード(第1の状態)と、 第1電極を基準にして第2電極に負の電圧を印 した時の抵抗値をR3と表現し、第1電極を基 にして第2電極に正の電圧を印加した時の抵 抗値をR4と表現した時に、R3とR4とがR3≧R4を 足するように可逆的に抵抗値が変化する下 電極モード(第2の状態)とが存在することに る。そこで、R1のR2に対する比率であるR1/R2 、R3のR4に対する比率であるR3/R4とが、R1/R2> ;R3/R4となるように、上部電極及び下部電極の 材料を選択すればよい。

(第3の実施の形態)

 本実施の形態では、フォーミング工程が不 でバイポーラ動作する、理想的な抵抗変化 の不揮発性記憶素子の実現という観点から 酸素不足型のTa酸化物層の最適な構造につ て述べる。

[不揮発性記憶素子の製造方法]

  ここでは、フォーミング工程が必要なく 作する不揮発性記憶素子の実現を図るため 図23のような構造の不揮発性記憶素子を制御 して作製した。以下、図23を参照しながら不 発性素子の製造工程について説明する。

 まず、図23に示したように、単結晶シリコ である基板1701上に、厚さ200nmの酸化物層1702 熱酸化法により形成する。そして、下部電 層1703として、厚さ100nmのTaN薄膜を、スパッ リング法により酸化物層1702上に形成する。 その後、下部電極層1703上に、第1の酸素不足 のTa酸化物層1704を、Taターゲットを用いた 応性スパッタリング法で形成する。

本実施の形態で作製した素子の酸素不足型の Ta酸化物層は第1及び第2の実施の形態で使用 たものとは異なるスパッタリング装置で作 したため、スパッタリングの条件が異なっ いる。すなわち、スパッタリング装置内に 板を設置した後、スパッタリング装置内を8 10 -6 Pa程度まで真空引きする。そして、Taをター ットとして、パワーを1.6kW、アルゴンガスを 34sccm、酸素ガスを21sccm流して、スパッタリン グ装置内の圧力を0.17Paに保ち、20秒間スパッ リングを行う。これにより、酸素含有率が 61at%(TaO 1.6 )の酸素不足型のTa酸化物層が30nm堆積される
次に、基板を酸素プラズマ発生装置へと導入 し、基板を250℃に昇温した状態で酸素プラズ マに曝して酸化処理を行った。この処理によ り、酸素不足型のTa酸化物層1704よりも酸素含 有率の高いTa酸化物層1705が形成される。ここ で、酸素不足型のTa酸化物層1704とTa酸化物層1 705を区別するために、酸素不足型のTa酸化物 1704を第1の酸素不足型の酸化物層と呼ぶ。 た、Ta酸化物層1705は、便宜上、しばらく、 2のTa酸化物層と表現する(第2のTa酸化物層の 析結果は後述)。また、下記では、第1の酸 不足型のTa酸化物層と第2のTa酸化物層とをま とめて、抵抗変化層1706と表す。
その後、第2のTa酸化物層1705上に、上部電極 1707としての厚さ150nmのPt薄膜をスパッタリン グ法により形成する。
最後に、フォトレジスト工程とドライエッチ ング工程とによって素子領域1708を形成する ここで素子領域の1708は、一辺が0.5μmの四角 形状とした。
以上の工程によって、第1の酸素不足型Ta酸化 物層1704と第2のTa酸化物層1705を、TaNから成る 部電極1703とPtから成る上部電極1707で挟んだ 構造の不揮発性記憶素子を形成した。以下、 この素子を素子Oと呼ぶ。
また、比較のために、第1の酸素不足型のTa酸 化物層の表面を酸素プラズマによって酸化し ていない図5のような構造の素子も作製した つまり、第1の酸素不足型Ta酸化物層504を、 ッ化Taから成る下部電極503とPtから成る上部 極505で挟んだ構造の不揮発性記憶素子を形 した。以下、この素子を素子Pと呼ぶ。
なお、表3に、素子O及びPの酸素プラズマ処理 時間と、下記に説明する素子の初期抵抗をま とめた。

[素子O及びPの抵抗変化特性]

 次に、本実施の形態において実際に作製し 素子O及びPに対して電気的パルスを印加し 、抵抗変化を起こさせた時の特性について 明する。

 図24は、本実施の形態に係る不揮発性記憶 子が備える抵抗変化層の抵抗値と印加した 気的パルスとの関係を示す図であり、(a)及 (b)はそれぞれ素子O及びPの測定結果を示して いる。

まず、素子O及びPの初期抵抗を測定した結果 ついて検討する。ここでは、各素子におけ 下部電極層と上部電極層との間に、閾値電 (抵抗変化が起こらない程度の小さな電圧で 、典型的には1V程度)よりも低い50mVの微弱な 圧を印加し、流れる電流を測定して各素子 初期抵抗を求めた。すると、素子Oは1060ωで 素子Pは192ωとなっており、第1の酸素不足型 のTa酸化物層を酸化処理した素子Oの方が高く なっていた(表3及び図18参照)。この抵抗が高 なった原因は、酸素濃度が高く、抵抗が高 第2のTa酸化物層が存在している事を示唆し いる。

  次に素子OとPの抵抗変化特性について述べ る。なお、本実施の形態では、第2のTa酸化物 層を形成した上部電極側で動作させる事を試 みた場合について述べる。つまり、上部電極 に正の電圧を有する電気パルスを印加した時 に抵抗が高くなるようなモードで動作させた 場合の結果について述べる。

まず、酸素プラズマによって酸化処理を行っ て第2のTa酸化物層を形成した素子Oの結果に いて述べる。図24(a)の結果を見れば分かるよ うに、製造直後の不揮発性記憶素子に負電圧 -1.5Vを加えると、初期が約1060ωであった抵抗 が、一旦、約500ωに低下し、正電圧1.8Vを加 ると抵抗値は10000ω程度に増加している。そ れ以後は、それぞれ負電圧-1.5Vと正電圧1.8Vと の電気的パルスを交互に加える事で抵抗値は 約100ωと約10000ωの間を往復し、良好に抵抗変 化が起こっている。すなわち、フォーミング 工程なしに 、上部電極側で抵抗変化が起こ ている。

しかしながら、図24(b)に示した、第1の酸素不 足型のTa酸化物層を酸化していない素子Pは上 記とはかなり異なる結果が得られている。す なわち、素子Pは、作製した直後の状態では 負電圧-1.5Vと正電圧1.8Vを印加しても全く抵 変化を示さなかった。そこで、印加電圧を 電圧2.7Vに固定して電気パルスを加えつづけ と、抵抗値は、徐々に増加し、図中でパル 数11回目の点では、抵抗値は100000ωまで増加 した。その後、-1.5Vの電圧のパルスを加える 抵抗値は、200ω程度に低下し、以後、+1.8Vと -1.5Vの電圧の電気パルスを加える事で抵抗変 が増加と現象を繰り返した。つまり、素子P では、作製した直後の状態では動作せず、抵 抗変化を起こさせるにはフォーミング工程( 加電圧を+2.7Vのパルスを加えつづけた最初の 工程)が必要であると言える。

以上の結果から、フォーミング工程なしに不 揮発性記憶素子を動作させるには、第2のTa酸 化物層が必要であるという事が示唆される。

第2のTa酸化物層の果している役割についてで あるが、抵抗変化現象のメカニズム自体が明 らかになっていない現状では、明確には分か らない。但し、本実施の形態の抵抗変化型の 不揮発性素子の抵抗変化が、第2の実施の形 で説明したように電極とTa酸化物層の界面の 酸素原子の移動によって起こっているとすれ ば、次のような可能性が考えられる。すなわ ち、第2のTa酸化物層は界面近傍に電圧を有効 に印加する役割を果しているという可能性で ある。つまり、抵抗変化現象は、上部電極170 7と抵抗変化層1706の界面付近に電界によって 素原子が集まったり、拡散したりして発現 ていると考える。具体的には、上部電極1707 に正の電圧を印加すれば負に帯電している酸 素原子が上部電極1707側に集まり、高抵抗層 形成して、高抵抗化する。逆に負の電圧を 加すれば、酸素原子がTa酸化物層内に拡散し て抵抗が下がる。ここでもし、界面に高抵抗 層である第2のTa酸化物層1705が存在すれば、 の部分に大きな電圧がかかって、酸素が高 抗層1705に注入され、ますます酸素含有率が くなって、絶縁物として知られている化学 論的組成を有するTa 2 O 5 に近づく。その結果、素子自体の抵抗が上昇 し、高抵抗化状態となる。つまり、第2のTa酸 化物層は、抵抗変化が起こる際のトリガーの 役割を果していると考えられる。

しかし、界面に高抵抗層である第2のTa酸化物 層1705が存在しなければ、電圧は、抵抗変化 1706に均等にかかり、界面近傍に絶縁物に近 高抵抗層は形成されにくい。その結果、抵 変化現象は起こりにくくなる。しかし、第2 のTa酸化物層1705が存在しない場合でも、定常 的に動作させる電圧よりも高い電圧を加えた り、数多くの電気的パルスを加える、いわゆ る、フォーミング工程によって、第2のTa酸化 物層1705に類似した層を一旦作ってやれば、 の後は安定した抵抗変化が起こると考えら る。

本実施の形態で得られた結果と、上記の実施 の形態1及び2を総合して考えると、第2のTa酸 物層と、最適な電極材料を組み合わせて、 揮発性記憶素子を構成すれば、フォーミン 工程無しにバイポーラ動作し、かつ、変化 ードの混ざり合いのない安定した動作をす 不揮発性記憶素子が実現できる。すなわち 図23で、下部電極1703に動作しにくい電極材 (例えば、Ta、Ti、Al等)を用い、上部電極1707 動作しやすい電極材料(例えば、Pt、Ir、Ag、 Cu等)を用いたような構造を作製すれば良い。 すると、フォーミング工程なしに、上部電極 に正の電圧を有する電気的パルスを印加した 場合に、抵抗値が高くなるような動作を安定 して示す不揮発性記憶素子が実現できる。

逆に、図17のような素子において、下部電極1 703に動作しやすい電極材料を用い、上部電極 1707に動作しにくい電極材料を用いたような 造を作っても、フォーミング工程になしに 抗変化させる事はできない。つまり、フォ ミング工程なしに不揮発性記憶素子を動作 せるには、第2のTa酸化物層を形成した側に 作しやすい電極材料を設置する必要がある

[Ta酸化物層の分析]

 本実施の形態で作製した抵抗変化層1706の分 析を行うため、下記のような、分析用の試料 を別途用意した。つまり、単結晶シリコン基 板上に厚さ200nmの酸化物層が形成された素子 ターンのない基板上に、素子Oの第1の酸素 足型のTa酸化物層と同様の酸素含有率が約61a t%(TaO 1.6 )のTa酸化物層を30nm堆積し、その後、基板温 を250℃にした状態で酸素プラズマ酸化した 料を用意した。この試料は、素子Oの抵抗変 層1706に相当するので、以下、試料O’と呼 。なお、試料O’は、素子Oとは異なり、分析 の障害となる上部電極層は形成していない。

 このようにして作成した試料O’を、極薄膜 の分析に適したX線反射率法(メーカ名:Rigaku、 ソフトウエア名:X線反射率データ処理ソフト エア)と呼ばれる方法で分析した。この方法 は、X線を試料の表面に対して浅い角度で入 させ、反射されたX線の強度を測定する方法 ある。そして、このスペクトルに対して適 な構造モデルを仮定してフィッティングを い、分析用試料における抵抗変化層の膜厚 よび屈折率を評価する。このとき、フィッ ィングのパラメータとしては、酸素不足型 Ta酸化物の積層構造、各層の膜厚及びδ(=1- 折率)である。

 図25にその測定結果を示す。この図にお る横軸はX線の入射角度を、縦軸はX線の反射 率をそれぞれ示している。図25は、実際に分 用試料のX線反射率を測定した際に得られた パターン(破線)と、基板上に2層の酸素不足型 のTa酸化物層が存在していることを仮定して ィッティングを行った結果(実線)とを示し いる。この図を見ると、実測の反射率パタ ンとフィッティングによって得られた反射 パターンとは、非常に良い一致を示してい 。なお、ここには図示していないが、基板 に単層の酸素不足型のTa酸化物層が存在して いることを仮定してフィッティングを行った 場合、測定データを良好に再現する事は出来 なかった。

 この2層の積層構造を仮定してフィッティ ングしたときの解析結果を表4に示す。

 
 この表から、基板側に存在する第1の酸素不 足型のTa酸化物層の膜厚は26.6nmで、δは28.5×10 -6 であり、表面側に存在する第2のTa酸化物層の 膜厚は8.1nmで、δは22.2×10-6であるという値が られた。これらのδの値から正確な組成を 出するのは難しいが、金属Taのδは39×10 -6 、Ta 2 O 5 のδは22×10 -6 である事等から、およその推測はできる。す なわち、第1の酸素不足型のTa酸化物層をTaO x と表した時、xは1.54と計算でき、当初の設定 り、非化学量論的な組成を有するTaの酸化 になっていると考えられる。また、第2のTa 化物層をTaO y と表した時、yは2.47と計算できた。この値は 化学量論的組成を有するTaの酸化物であるTa 2 O 5 (TaO 2.5 )に非常に近い値となっているが、若干の酸 が欠損した状態になっている。

 以上の結果は、最初に説明したように、分 用に用意した試料の測定結果であるが、実 に作製した素子Oでも、ほぼ同様の構造が出 来ていると考えられる。すなわち、第1の酸 不足型のTa酸化物層1704と第2のTa酸化物層1705 の2層構造が電極で挟まれた構造になってい ると考えられる。

  ここで、第2のTa酸化物層について若干の 察を行う。上述のように、第2の酸素不足型 Ta酸化物層は化学両論量論的組成を有するTa 2 O 5 に近い組成を有していた。しかしながら、以 下に述べる簡単な考察から、この第2のTa酸化 物層は絶縁体とはかなりかけ離れた電気的特 性を有している。

一般に、化学量論的組成を有するTa 2 O 5 は絶縁体と考えられている。絶縁体の一般的 な定義に従うと、抵抗率が10 8 ωcm以上の材料とされている(出展:「集積回路 のための半導体工学」 工業調査会(1992年)  佐美晶、兼房慎ニ、前川隆雄、友景肇、井 森男)。もし、本実施の形態の第2のTa酸化物 が絶縁体であって抵抗率が10 8 ωcmと仮定した場合、0.5μm×0.5μm(本実施の形 での素子領域1708の面積)の円形で8nmの膜厚( 2のTa酸化物層のおよその膜厚)を有している すれば、抵抗値は4×10 9 ω程度となるはずである(「抵抗値=抵抗率×膜 厚/面積」で計算)。さらに、もし、第2のTa酸 物層の膜厚が1nmとしても、抵抗値は5×10 8 ωとなる。一方で、素子Oの初期抵抗は、表3 参照して、1000ω程度であり、絶縁体を仮定 た場合に比べて、少なくとも6~7桁程度は低 なっている。この計算の結果からも本実施 形態で形成した第2のTa酸化物層は、絶縁体 はなく、導電性の酸化物層である事が分か 。組成が絶縁体のTa 2 O 5 に近いにも関わらず、抵抗が低いのは、おそ らく、酸素が欠損して欠陥が膜中に形成され 、この欠陥を介して電流が流れているためで あると考えられる。 
以上の事より、第2のTa酸化物層は、以下では 、導電性の第2の酸素不足型のTa酸化物層、も しくは、単に、第2の酸素不足型のTa酸化物層 と呼ぶ。

なお、本実施の形態では、下部電極にTaNを用 い、上部電極にPtを用いた結果について説明 たが、これに限定されるものではない。す わち、実施の形態2で述べた動作しやすい電 極と動作しにくい電極の組み合わせで不揮発 性記憶素子を構成すれば良い。具体的には、 図23で、下部電極1703に動作しにくい電極材料 (例えば、Ta、Ti、Al等)を用い、上部電極1707に 動作しやすい電極材料(例えば、Pt、Ir、Ag、Cu 、Au等)を用いたような構造を作製すれば良い 。すると、フォーミング工程なしに、上部電 極1707に正の電圧を有する電気的パルスを印 した場合に、抵抗値が高くなるような動作 安定して示す不揮発性記憶素子が実現でき のである。

また、不揮発性記憶素子の構造は、図23のよ な構造に限定されない。つまり、酸素濃度 高く抵抗の高い第2の酸素不足型のTa酸化物 と接するように動作しやすい電極材料が接 るように設置すれば良い。従って、図26(a) 示すように、第2の酸素不足型のTa酸化物層17 05Aは、下部電極1703Aの上に堆積されていても い。この場合、下部電極1703Aに動作し易い 極を用い、上部電極1707Aに動作しにくい電極 を用いれば、フォーミング工程なしで、下部 電極に正の電圧を印加した時に高抵抗化する ような抵抗変化を安定して示す不揮発性記憶 素子が実現できる。

 なお、図26(a)の場合、第2の酸素不足型のTa 化物層1705Aを酸化によって形成することは困 難であり、スパッタリングまたは化学気相堆 積法を使って堆積して形成する必要がある。 例えばスパッタリング法の場合、まず、堆積 時の酸素ガス流量比が高い条件でスパッタリ ングを行って高酸素含有率で高抵抗な第2のTa 酸化物層1705Aを形成するその後、酸素ガス流 比を低くして第一のTa酸化物層1704Aを堆積す れば良い。

  さらに、図26(b)に示すように第1の酸素不 型のTa酸化物層1704Bが単層ではなく、2層以上 の組成の異なるTa酸化物層によって形成され いても良い。また、組成が連続的に変化し いるようなTa酸化物層によって形成されて ても良い。但しこの場合、第2の酸素不足型 Ta酸化物層1705Bの酸素含有率が第1の酸素不 型のTa酸化物層1704Bを構成する各層の酸素含 率よりも高くなっている必要がある。図26(b )は便宜上、第2の酸素不足型のTa酸化物層1705B と上部電極を接しているように表現したが、 図26(a)のように下部電極側に設けても良い。

 (第4の実施の形態)
 第3の実施の形態では、第2の酸素不足型のTa 酸化物層を8nm程度形成した不揮発性記憶素子 の抵抗変化及び構造について説明した。本実 施の形態では、さらに薄い第2の酸素不足型 Ta酸化物層を形成した場合の結果について述 べる。

 なお、本実施の形態で説明する内容は、第2 の酸素不足型のTa酸化物層が不揮発性記憶素 の抵抗変化動作に与える影響のみを調べる めに行った実験の結果であり、作製した素 の電極は上下ともにPtで構成されている。 た、本実施の形態の不揮発性記憶素子は、 2の実施の形態の不揮発性記憶素子とは、素 を構成する材料は異なるものの素子を構成 る要素は同じであるので、図23を利用して 以下の製造方法を説明する。

[不揮発性記憶素子の製造方法]

 本実施の形態で作製した不揮発性記憶素子 第2の酸素不足型のTa酸化物層は、第1の酸素 不足型のTa酸化物層を堆積したスパッタリン 装置内で形成した。以下、具体的な手順に いて説明する。

素子の作製の手順は第1から第3の実施の形態 類似しており、まず、基板1701、酸化物層170 2及び、Ptからなる下部電極層1703の積層構造 形成した。その後、下部電極層1703上に、第1 の酸素不足型のTa酸化物層1704を、Taターゲッ をアルゴンガスと酸素ガス中でスパッタリ グするいわゆる反応性スパッタリングで形 した。このときの成膜条件は、第1及び第2 実施の形態と同じく、スパッタ時のパワー 250W、ArガスとO 2 ガスとをあわせた全ガス圧力は3.3Pa、酸素ガ の流量比は3.4%、基板の設定温度は30℃、成 時間は7分とした。これにより、酸素含有率 が約58at%、すなわち、TaO 1.4 と表すことができる第1の酸素不足型のTa酸化 物層1704が30nm堆積された。

 その後、ガス圧力の条件およびパワー等の パッタリングの条件はそのままにして、Ta ーゲットとそれに対向して設置されている 板1701との間にシャッターを挿入し、その状 を所定時間保持した。これにより、第1の酸 素不足型のTa酸化物層1704の最表面が酸素プラ ズマによって酸化された。その結果、第1の 素不足型のTa酸化物層1704の表面に、当該第1 酸素不足型のTa酸化物層1704よりも酸素含有 の高い第2の酸素不足型のTa酸化物層1705が形 成された(第2の酸素不足型のTa酸化物層1705の 析結果については後述する)。

 その後、第2のTa酸化物層1705上に、Ptから成 上部電極層1707を形成しフォトレジスト工程 とドライエッチング工程によって、素子領域 1708を形成した。なお、素子領域170は、本実 の形態では、直径が3μmの円形の島状である

 本実施の形態においては、上記の酸素プラ マによる酸化処理時間(酸素プラズマ暴露時 間)を変化させることにより、素子Q及びRを作 製した。また、比較例として、酸素プラズマ に曝していない素子Sも作製した。つまり、 子Rは、第1の酸素不足型のTa酸化物を堆積し 直後、上部電極を堆積して作製した。作製 た素子と酸素プラズマ暴露時間との関係を 5にまとめて示す。

  
 以下では、このようにして作製された素子Q 、R、Sの特性等について説明する。

[素子Q,R,Sの抵抗変化特性]

まず、素子Q乃至Sの初期抵抗を測定し、その 果を表5に示した。なお、ここでも、素子の 下部電極層と上部電極層との間に、閾値電圧 よりも低い50mVの微弱な電圧を印加し、流れ 電流を測定して初期の抵抗を求めた。

表5を参照すると、素子Q(酸素プラズマ暴露時 間0.5分)では650ω、素子R(同1分)では1890ωとな ていた。一方で、素子S(同0分)は11ωで非常に 低い値であった。この結果は、第1の酸素不 型のTa酸化物層を酸素プラズマに曝す事で第 2の酸素不足型のTa酸化物層が形成され、これ により初期抵抗が増加したと解釈できる。

 次に、素子Q及びRに対して電気的パルスを 加して、抵抗変化を起こさせたときの特性 ついて説明する。

 図27は、本実施の形態に係る不揮発性記 素子が備える抵抗変化層の抵抗値と印加し 電気的パルスとの関係を示す図であり、図27 (a)乃至(c)はそれぞれ素子Q乃至Sおける測定結 を示している。なお、ここで、抵抗変化を こさせるために、下部電極層1703と上部電極 層1707との間に、パルス幅が100nsecで、それぞ 負電圧-2.0V及び正電圧3.0Vの2種類の電気的パ ルスを交互に繰り返し印加した。

 まず、酸素プラズマを0.5分照射して得ら た素子Qの抵抗変化特性を示す図27(a)を見る 、測定直後の初期状態の試料に負電圧-2.0V 電気的パルスを加えると、抵抗値が650ωから 約50ωに低下しているのが分かる。その後、 電圧3.0Vの電気的パルスで抵抗値が5000ωに増 しており、その後、50ωと5000ωの間で、非常 に安定した可逆的抵抗変化が起こっているこ とを確認することができる。つまり、フォー ミング工程なしで、いきなり安定した抵抗変 化が観測されている。

 また、図27(b)から分かるように、酸素プラ マを1分間照射して得られた素子Rでも測定し た範囲内で安定的に可逆的抵抗変化が起こっ ており、初期抵抗が1890ωであった素子に、-2V の電気的パルスを加えると抵抗値が約200ωに 少し、次に+3Vの電気的パルスを加えると抵 値が2000ωに増加している。この場合も、フ ーミング工程が必要なく安定に抵抗変化が こっている。

しかしながら、素子Sの抵抗変化特性を示す 27(c)を見ると、-2.0V及び3.0Vの2種類の電気的 ルスを加えても、抵抗変化が起こっていな 事が分かる。素子Rは、酸素プラズマ暴露時 が0分、すなわち、第1の酸素不足型のTa酸化 物層1704を堆積直後に第2電極1707を堆積して作 製しており、第2の酸素不足型のTa酸化物層170 5が存在しないか、したとしても非常に薄い 態であると考えられる。これらの結果から フォーミング工程なしに、抵抗変化を生じ せるには、第2の酸素不足型のTa酸化物層1705 存在が必要であると考えられる。

 このように、第2の酸素不足型のTa酸化物層1 705が存在している素子Q及びRにおいては、可 的な抵抗変化を確認することができる。以 では、素子Q及びRに相当するTa酸化物層を分 析した結果について述べる。

 [Ta酸化物層の分析]
 素子Q及びRにおける抵抗変化層1706の構造を 析するため、上記の第3の実施の形態と同じ く、分析用の試料を作製し分析を行った。

すなわち、単結晶シリコン基板上に厚さ200nm 酸化物層が形成された基板上に、素子Q及び Rと全く同じ条件で、第1の酸素不足型の酸化 を堆積して、それに続く酸素プラズマの照 処理まで行った試料をそれぞれ用意した。 れらの試料を、それぞれ試料Q’及び試料R と表記する。それぞれ試料の酸素プラズマ 露時間と、後述の分析結果をまとめた結果 表6に示す。なお、試料Q’及びR’の上には 上部電極層1707に相当するPtは堆積されてい いため、抵抗変化層が露出された状態とな ている。

表6を参照すると、試料Q’の第1の酸素不足型 のTa酸化物の膜厚は、28.6nmであり、TaO x と表した時にxは1.43であった。第2の酸素不足 型のTa酸化物層の膜厚は非常に薄く1.1nm程度 、TaO y と表した時にyは2.45であった。また、試料R’ の第1の酸素不足型のTa酸化物の膜厚は、28.7nm でTaO x と表した時にxは1.43であり、第2の酸素不足型 のTa酸化物層の膜厚は試料Q’とほぼ同等の1.2 nm程度で、TaO y と表した時にyは2.07であった。

  上記のいずれの場合も、第1の酸素不足型 Ta酸化物層は、ほぼ当初の狙いどおりの組 (x=1.4)である。第2の酸素不足型のTa酸化物層 、化学量論的組成(Ta2O5)よりも酸素が不足し た値となっており、膜厚は、非常に薄く1nm程 度であった。

 素子Q及びRと試料Q’及びR’とでは、全く 同一の条件でスパッタリングし、酸素プラズ マ照射処理を行っているので、素子Q及びRに いても、試料Q’及びR’と同様に、第1の酸 不足型のTa酸化物層1704と上部電極1707との間 には第2の酸素不足型のTa酸化物層1705が存在 ていると考えられる。したがって、素子Qで 、試料Q’と同様の膜厚が1.1nmの第2の酸素不 足型の酸化物層1705が形成されており、素子Q は、試料Q’と同様の膜厚が1.2nmの第2の酸素 不足型の酸化物層1705が形成されていると考 られる。

 上述したように、素子Q及びRでは、フォー ング工程なしで安定した抵抗変化現象が認 られる。しかしながら、酸素含有率が高い 2の酸素不足型のTa酸化物層が存在しない素 Sでは、少なくともフォーミング工程なしで 抵抗変化現象が観測されない。すなわち、 ォーミング工程なしに抵抗変化を発現させ には、第2の酸素不足型のTa酸化物の存在が 可欠であると考えられる。そして、この第2 の酸素不足型のTa酸化物は、本実施の形態範 では、TaO y と表現した時に、yが2.1程度であれば良く、 厚も1nm程度であれば良い事になる。

  従って、上記の実施の形態3の結果と合わ て考えると、第2の酸素不足型のTa酸化物層 、少なくとも1nm以上8nm以下の膜厚であれば フォーミングレスで動作可能である。また 酸素含有率は、本実施の形態から、yが2.1以 上であれば良い。但し、yが2.5になれば、化 量論的組成Taの酸化物、すなわち、絶縁体の Ta 2 O 5 になってしまい、好ましくない。従って、y 、2.5を超えない値をとる必要がある。

  なお、上記の第3及び第4の実施の形態で は、第2の酸素不足型のTa酸化物層1705の形成 酸素プラズマによる酸化法を用いたが、こ に限定されない。すなわち、酸素不足型のTa 酸化物が形成できれば、これ以外の酸素ガス による酸化や、スパッタリングや化学気相堆 積法を用いて形成しても良い。

 また、上記の第3及び第4の実施の形態では Ta酸化物層の解析にX線反射率法を用いたが これに限定されるものではない。これ以外 方法として、ラザフォード後方散乱法(RBS)、 オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線分析法(XPS) 電子線マイクロアナリシス法(EPMA)等の機器 析手法も利用可能である。

  なお、上記の第1乃至第4の実施の形態では 、不揮発性記憶素子の下部電極層503もしくは 1703の膜厚を100nm、酸素不足型のTa酸化物層の 厚504もしくは抵抗変化層1706の膜厚を約30nm 上部電極層505もしくは1707を150nmとしたが、 れは、本実施の形態で用いた素子加工プロ スの容易さから決定した値であり、これら 各膜厚に限定されるものではない。

 また、上記の第1乃至第4の実施の形態では 下部電極層503もしくは1703、酸素不足型のTa 化物層の膜厚504もしくは抵抗変化層1706、上 電極層505もしくは1707のいずれもスパッタリ ング法により形成したが、これに限定される ものではなく、化学気相堆積等の方法を用い て形成しても良い。

 (第5の実施の形態)

 上述した第1から第4の実施の形態に係る不 発性記憶素子は、種々の形態の不揮発性半 体装置へ適用することが可能である。第5の 施の形態に係る半導体装置は、第1から第4 実施の形態に係る不揮発性記憶素子を備え 不揮発性半導体装置であって、ワード線と ット線との交点(立体交差点)にアクティブ層 を介在させた、いわゆるクロスポイント型の ものである。

 [第5の実施の形態に係る半導体装置の構成]
 図28は、本発明の第5の実施の形態に係る不 発性半導体装置の構成を示すブロック図で る。また、図29は、図28におけるA部の構成(4 ビット分の構成)を示す斜視図である。

 図28に示すように、本実施の形態に係る 揮発性半導体装置200は、半導体基板上に、 モリ本体部201を備えており、このメモリ本 部201は、メモリアレイ202と、行選択回路/ド イバ203と、列選択回路/ドライバ204と、情報 の書き込みを行うための書き込み回路205と、 選択ビット線に流れる電流量を検出し、デー タ「1」または「0」と判定するセンスアンプ2 06と、端子DQを介して入出力データの入出力 理を行うデータ入出力回路207とを具備して る。また、不揮発性半導体装置200は、外部 ら入力されるアドレス信号を受け取るアド ス入力回路208と、外部から入力されるコン ロール信号に基づいて、メモリ本体部201の 作を制御する制御回路209とをさらに備えて る。

 メモリアレイ202は、図28および図29に示す ように、半導体基板の上に互いに平行に形成 された複数のワード線WL0,WL1,WL2,…と、これら の複数のワード線WL0,WL1,WL2,…の上方にその半 導体基板の主面に平行な面内において互いに 平行に、しかも複数のワード線WL0,WL1,WL2,…に 立体交差するように形成された複数のビット 線BL0,BL1,BL2,…とを備えている。

 また、これらの複数のワード線WL0,WL1,WL2, と複数のビット線BL0,BL1,BL2,…との立体交差 に対応してマトリクス状に設けられた複数 メモリセルM111,M112,M113,M121,M122,M123,M131,M132,M13 3,…(以下、「メモリセルM111,M112,…」と表す) 設けられている。

 ここで、メモリセルM111,M112,…は、第1の 施の形態に係る不揮発性記憶素子に相当し 例えば、酸素不足型のTa酸化物を含む抵抗変 化層を有している。ただし、本実施の形態に おいて、これらのメモリセルM111,M112,…は、 述するように、電流抑制素子を備えている

 なお、図28におけるメモリセルM111,M112,… 、図29において符号210で示されている。

 アドレス入力回路208は、外部回路(図示せ ず)からアドレス信号を受け取り、このアド ス信号に基づいて行アドレス信号を行選択 路/ドライバ203へ出力するとともに、列アド ス信号を列選択回路/ドライバ204へ出力する 。ここで、アドレス信号は、複数のメモリセ ルM111,M112,…のうちの選択される特定のメモ セルのアドレスを示す信号である。また、 アドレス信号は、アドレス信号に示された ドレスのうちの行のアドレスを示す信号で り、列アドレス信号は、アドレス信号に示 れたアドレスのうちの列のアドレスを示す 号である。

 制御回路209は、情報の書き込みサイクル おいては、データ入出力回路207に入力され 入力データDinに応じて、書き込み用電圧の 加を指示する書き込み信号を書き込み回路2 05へ出力する。他方、情報の読み出しサイク において、制御回路209は、読み出し用電圧 印加を指示する読み出し信号を列選択回路/ ドライバ204へ出力する。

 行選択回路/ドライバ203は、アドレス入力 回路208から出力された行アドレス信号を受け 取り、この行アドレス信号に応じて、複数の ワード線WL0,WL1,WL2,…のうちの何れかを選択し 、その選択されたワード線に対して、所定の 電圧を印加する。

 また、列選択回路/ドライバ204は、アドレ ス入力回路208から出力された列アドレス信号 を受け取り、この列アドレス信号に応じて、 複数のビット線BL0,BL1,BL2,…のうちの何れかを 選択し、その選択されたビット線に対して、 書き込み用電圧または読み出し用電圧を印加 する。

 書き込み回路205は、制御回路209から出力 れた書き込み信号を受け取った場合、行選 回路/ドライバ203に対して選択されたワード 線に対する電圧の印加を指示する信号を出力 するとともに、列選択回路/ドライバ204に対 て選択されたビット線に対して書き込み用 圧の印加を指示する信号を出力する。

 また、センスアンプ206は、情報の読み出 サイクルにおいて、読み出し対象となる選 ビット線に流れる電流量を検出し、データ 1」または「0」と判定する。その結果得ら た出力データDOは、データ入出力回路207を介 して、外部回路へ出力される。

 [第5の実施の形態に係る不揮発性半導体装 が備える不揮発性記憶素子の構成]
 図30は、本発明の第5の実施の形態に係る不 発性半導体装置が備える不揮発性記憶素子 構成を示す断面図である。なお、図30では 図29のB部における構成が示されている。

 図30に示すように、本実施の形態に係る 揮発性半導体装置が備える不揮発性記憶素 210は、銅配線である下部配線212(図29におけ ワード線WL1に相当する)と同じく上部配線211( 図29におけるビット線BL1に相当する)との間に 介在しており、下部電極217と、電流抑制素子 216と、内部電極215と、抵抗変化層214と、上部 電極213とがこの順に積層されて構成されてい る。

 ここで、内部電極215、抵抗変化層214、お び上部電極213は、図5に示した実施の形態1 係る不揮発性記憶素子500における下部電極 503、抵抗変化層504、および上部電極層505、 しくは、図23に示した実施の形態2乃至4に係 不揮発性記憶素子1700における下部電極層170 3、抵抗変化層1706、および上部電極層1707にそ れぞれ相当する。したがって、抵抗変化層214 は、第1から第4の実施の形態と同様にして形 される。

 ここで、抵抗変化層214に接するように形 された上部電極213と内部電極215を異なる材 によって構成される事で、安定的に動作す 不揮発性記憶素子を構成できる。例えば、 部電極213をPtで、内部電極215をWで形成すれ 、上部電極213の近傍でのみ動作する不揮発 記憶素子となる。

 電流抑制素子216は、内部電極215を介して 抵抗変化層214と直列接続されている。この 流抑制素子216は、MIM(Metal-Insulator-Metal;金属- 縁体-金属の意味)ダイオード又はMSM(Metal-Semi conductor-Metal;金属-半導体-金属の意味)ダイオ ドに代表される素子であり、電圧に対して 線形な電流特性を示すものである。また、 の電流抑制素子216は、電圧に対して双方向 の電流特性を有しており、所定の閾値電圧Vf (一方の電極を基準にして例えば+1V以上また -1V以下)で導通するように構成されている。

 [第5の実施の形態に係る不揮発性半導体装 が備える不揮発性記憶素子の変形例の構成]
 本実施の形態に係る不揮発性半導体装置が える不揮発性記憶素子の構成は、図30に示 たものに限られるわけではなく、以下に示 ような構成であってもよい。

 図31(a)から(g)は、本発明の第5の実施の形 に係る不揮発性半導体装置が備える不揮発 記憶素子の変形例の構成を示す断面図であ 。

 図31(a)には、図30に示す構成と異なり、内 部電極を備えず、抵抗変化層214が電流抑制素 子216の上に形成されている構成が示されてい る。ここで、電流抑制素子216の抵抗変化層214 と接する部分が、上部電極213と異なる材料に よって形成されていれば良い。

 図31(b)は、図30に示す構成と異なり、下部 電極、内部電極、および上部電極を備えず、 抵抗変化層214が電流抑制素子216の上に形成さ れている構成が示されている。ここでも、電 流抑制素子216の抵抗変化層214と接する部分が 、上部配線213と異なる材料によって形成され ていれば良い。

 また、図31(c)には、図30に示す構成と異な り、下部電極を備えていない構成が示されて いる。他方、図示はしないが、上部電極を備 えていない構成も考えられる。

 図31(d)には、図30に示す構成と異なり、内 部電極および電流抑制素子を備えていない構 成が示されている。ここでも、下部電極217と 上部電極213が異なる材料によって形成されて いれば良い。

 図31(e)には、さらに上部電極および下部 極を備えていない構成が示されている。こ 場合は、下部配線212と上部配線211が異なる 料により形成されていれば良い。

 また、図31(f)には、図30に示す構成と異な り、内部電極を備えず、その代わりにオーミ ック抵抗層218を備える構成が示されており、 図31(g)には、内部電極の代わりに第2の抵抗変 化層219を備える構成が示されている。こらの 場合も、抵抗層218や抵抗変化層219を下部電極 ととらえれば、これらと上部電極213が異なる 材料により構成されていれば良い。

 なお、以上に示した変形例において、上 電極を備えていない場合は上部配線211が不 発性記憶素子の上部電極として機能し、ま 、下部電極を備えていない場合は下部配線2 12が不揮発性記憶素子の下部電極として機能 ることになる。

 また、メモリセルの数が比較的少ない場 、選択されないメモリセルへの回り込み電 が少なくなる。このような場合、上述した うな電流抑制素子を備えない構成とするこ が考えられる。

 以上のように、本実施の形態に係る不揮 性半導体装置が備える不揮発性記憶素子に いては、種々の構成が考えられる。

 [多層化構造の不揮発性半導体装置の構成例 ]
 図28および図30に示した本実施の形態に係る 不揮発性半導体装置におけるメモリアレイを 、3次元に積み重ねることによって、多層化 造の不揮発性半導体装置を実現することが きる。

 図32は、本発明の多層化構造の不揮発性 導体装置が備えるメモリアレイの構成を示 斜視図である。図32に示すように、この不揮 発性半導体装置は、図示しない半導体基板の 上に互いに平行に形成された複数の下部配線 212と、これらの複数の下部配線212の上方にそ の半導体基板の主面に平行な面内において互 いに平行に、しかも複数の下部配線212に立体 交差するように形成された複数の上部配線211 と、これらの複数の下部配線212と複数の上部 配線211との立体交差点に対応してマトリクス 状に設けられた複数のメモリセル210とを備え るメモリアレイが、複数積層されてなる多層 化メモリアレイを備えている。

 なお、図32に示す例では、配線層が5層で り、その立体交差点に配される不揮発性記 素子が4層の構成となっているが、必要に応 じてこれらの層数を増減してもよいことは勿 論である。

 このように構成された多層化メモリアレ を設けることによって、超大容量不揮発性 モリを実現することが可能となる。

 [不揮発性半導体装置の動作例]
 次に、情報を書き込む場合の書き込みサイ ルおよび情報を読み出す場合の読み出しサ クルにおける第5の実施の形態に係る不揮発 性半導体装置の動作例について、図33に示す イミングチャートを参照しながら説明する

 図33は、本発明の第5の実施の形態に係る 揮発性半導体装置の動作例を示すタイミン チャートである。なお、ここでは、抵抗変 層が高抵抗状態の場合を情報「1」に、低抵 抗状態の場合を情報「0」にそれぞれ割り当 たときの動作例を示す。また、説明の便宜 、メモリセルM111およびM122について情報の書 き込みおよび読み出しをする場合のみについ て示す。

 図33におけるVPは、抵抗変化素子と電流抑 制素子とで構成されたメモリセルの抵抗変化 に必要なパルス電圧を示している。ここでは 、VP/2<閾値電圧Vfの関係が成り立つことが ましい。なぜなら、非選択のメモリセルに り込んで流れる漏れ電流を抑えることがで るからである。その結果、情報を書き込む 要のないメモリセルへ供給される余分な電 を抑制することができ、低消費電流化をよ 一層図ることができる。また、非選択のメ リセルへの意図しない浅い書き込み(一般に ィスターブと称される)が抑制されるなどの 利点もある。

 また、図33において、1回の書き込みサイ ルに要する時間である書き込みサイクル時 をtWで、1回の読み出しサイクルに要する時 である読み出しサイクル時間をtRでそれぞ 示している。

 メモリセルM111に対する書き込みサイクル において、ワード線WL0にはパルス幅tPのパル 電圧VPが印加され、そのタイミングに応じ 、ビット線BL0には同じく0Vの電圧が印加され る。これにより、メモリセルM111に情報「1」 書き込む場合の書き込み用電圧が印加され その結果、メモリセルM111の抵抗変化層が高 抵抗化する。すなわち、メモリセルM111に情 「1」が書き込まれたことになる。

 次に、メモリセルM122に対する書き込みサ イクルにおいて、ワード線WL1にはパルス幅tP 0Vの電圧が印加され、そのタイミングに応 て、ビット線BL1には同じくパルス電圧VPが印 加される。これにより、M122に情報「0」を書 込む場合の書き込み用電圧が印加され、そ 結果、メモリセルM122の抵抗変化層が低抵抗 化する。すなわち、メモリセルM122に情報「0 が書き込まれたことになる。

 メモリセルM111に対する読み出しサイクル においては、書き込み時のパルスよりも振幅 が小さいパルス電圧であって、0Vよりも大き VP/2よりも小さい値の電圧が、ワード線WL0に 印加される。また、このタイミングに応じて 、書き込み時のパルスよりも振幅が小さいパ ルス電圧であって、VP/2よりも大きくVPよりも 小さい値の電圧が、ビット線BL0に印加される 。これにより、高抵抗化されたメモリセルM11 1の抵抗変化層214の抵抗値に対応した電流が 力され、その出力電流値を検出することに り、情報「1」が読み出される。

 次に、メモリセルM122に対する読み出しサ イクルにおいて、先のメモリセルM111に対す 読み出しサイクルと同様の電圧がワード線WL 1およびビット線BL1に印加される。これによ 、低抵抗化されたメモリセルM122の抵抗変化 214の抵抗値に対応した電流が出力され、そ 出力電流値を検出することにより、情報「0 」が読み出される。

 (第6の実施の形態)
 第6の実施の形態に係る不揮発性半導体装置 は、第1から第4の実施の形態に係る不揮発性 憶素子を備える不揮発性半導体装置であっ 、1トランジスタ/1不揮発性記憶部のもので る。

 [第6の実施の形態に係る不揮発性半導体装 の構成]
 図34は、本発明の第6の実施の形態に係る不 発性半導体装置の構成を示すブロック図で る。また、図35は、図34におけるC部の構成(2 ビット分の構成)を示す断面図である。

 図34に示すように、本実施の形態に係る 揮発性半導体装置300は、半導体基板上に、 モリ本体部301を備えており、このメモリ本 部301は、メモリアレイ302と、行選択回路/ド イバ303と、列選択回路304と、情報の書き込 を行うための書き込み回路305と、選択ビッ 線に流れる電流量を検出し、データ「1」ま たは「0」と判定するセンスアンプ306と、端 DQを介して入出力データの入出力処理を行う データ入出力回路307とを具備している。また 、不揮発性半導体装置300は、セルプレート電 源(VCP電源)308と、外部から入力されるアドレ 信号を受け取るアドレス入力回路309と、外 から入力されるコントロール信号に基づい 、メモリ本体部301の動作を制御する制御回 310とをさらに備えている。

 メモリアレイ302は、半導体基板の上に形 された、互いに交差するように配列された 数のワード線WL0,WL1,WL2,…およびビット線BL0, BL1,BL2,…と、これらのワード線WL0,WL1,WL2,…お びビット線BL0,BL1,BL2,…の交点に対応してそ ぞれ設けられた複数のトランジスタT11,T12,T1 3,T21,T22,T23,T31,T32,T33,…(以下、「トランジスタ T11,T12,…」と表す)と、トランジスタT11,T12,… 1対1に設けられた複数のメモリセルM211,M212,M 213,M221,M222,M223,M231,M232,M233(以下、「メモリセ M211,M212,…」と表す)とを備えている。

 また、メモリアレイ302は、ワード線WL0,WL1 ,WL2,…に平行して配列されている複数のプレ ト線PL0,PL1,PL2,…を備えている。

 図34に示すように、ワード線WL0,WL1の上方 ビット線BL0が配され、そのワード線WL0,WL1と ビット線BL0との間に、プレート線PL0,PL1が配 れている。

 ここで、メモリセルM211,M212,…は、第1か 第4の実施の形態に係る不揮発性記憶素子に 当し、抵抗変化層を有している。より具体 には、図35における不揮発性記憶素子313が 図34におけるメモリセルM211,M212,…に相当し この不揮発性記憶素子313は、上部電極314、 抗変化層315、および下部電極316から構成さ ている。ここで、上部電極314を構成する材 と下部電極316を構成する材料が異なってい ば、上記の第1から第4の実施の形態で説明し たように安定した抵抗変化が得られる。

 なお、図35における317はプラグ層を、318 金属配線層を、319はソース/ドレイン領域を れぞれ示している。

 図34に示すように、トランジスタT11,T12,T13 ,…のドレインはビット線BL0に、トランジス T21,T22,T23,…のドレインはビット線BL1に、ト ンジスタT31,T32,T33,…のドレインはビット線BL 2に、それぞれ接続されている。

 また、トランジスタT11,T21,T31,…のゲート ワード線WL0に、トランジスタT12,T22,T32,…の ートはワード線WL1に、トランジスタT13,T23,T3 3,…のゲートはワード線WL2に、それぞれ接続 れている。

 さらに、トランジスタT11,T12,…のソース それぞれ、メモリセルM211,M212,…と接続され いる。

 また、メモリセルM211,M221,M231,…はプレー 線PL0に、メモリセルM212,M222,M232,…はプレー 線PL1に、メモリセルM213,M223,M233,…はプレー 線PL2に、それぞれ接続されている。

 アドレス入力回路309は、外部回路(図示せ ず)からアドレス信号を受け取り、このアド ス信号に基づいて行アドレス信号を行選択 路/ドライバ303へ出力するとともに、列アド ス信号を列選択回路304へ出力する。ここで アドレス信号は、複数のメモリセルM211,M212, …のうちの選択される特定のメモリセルのア ドレスを示す信号である。また、行アドレス 信号は、アドレス信号に示されたアドレスの うちの行のアドレスを示す信号であり、列ア ドレス信号は、アドレス信号に示されたアド レスのうちの列のアドレスを示す信号である 。

 制御回路310は、情報の書き込みサイクル おいては、データ入出力回路307に入力され 入力データDinに応じて、書き込み用電圧の 加を指示する書き込み信号を書き込み回路3 05へ出力する。他方、情報の読み出しサイク において、制御回路310は、読み出し用電圧 印加を指示する読み出し信号を列選択回路3 04へ出力する。

 行選択回路/ドライバ303は、アドレス入力 回路309から出力された行アドレス信号を受け 取り、この行アドレス信号に応じて、複数の ワード線WL0,WL1,WL2,…のうちの何れかを選択し 、その選択されたワード線に対して、所定の 電圧を印加する。

 また、列選択回路304は、アドレス入力回 309から出力された列アドレス信号を受け取 、この列アドレス信号に応じて、複数のビ ト線BL0,BL1,BL2,…のうちの何れかを選択し、 の選択されたビット線に対して、書き込み 電圧または読み出し用電圧を印加する。

 書き込み回路305は、制御回路310から出力 れた書き込み信号を受け取った場合、列選 回路304に対して選択されたビット線に対し 書き込み用電圧の印加を指示する信号を出 する。

 また、センスアンプ306は、情報の読み出 サイクルにおいて、読み出し対象となる選 ビット線に流れる電流量を検出し、データ 1」または「0」と判定する。その結果得ら た出力データDOは、データ入出力回路307を介 して、外部回路へ出力される。

 なお、1トランジスタ/1不揮発性記憶部の 成である第6の実施の形態の場合、第5の実 の形態のクロスポイント型の構成と比べて 憶容量は小さくなる。しかしながら、MIMダ オード等のような電流抑制素子が不要であ ため、CMOSプロセスに容易に組み合わせるこ ができ、また、動作の制御も容易であると う利点がある。

 [不揮発性半導体装置の動作例]
 次に、情報を書き込む場合の書き込みサイ ルおよび情報を読み出す場合の読み出しサ クルにおける第6の実施の形態に係る不揮発 性半導体装置の動作例について、図36に示す イミングチャートを参照しながら説明する

 図36は、本発明の第6の実施の形態に係る 揮発性半導体装置の動作例を示すタイミン チャートである。なお、ここでは、抵抗変 層が高抵抗状態の場合を情報「1」に、低抵 抗状態の場合を情報「0」にそれぞれ割り当 たときの動作例を示す。また、説明の便宜 、メモリセルM211およびM222について情報の書 き込みおよび読み出しをする場合のみについ て示す。

 図36において、VPは、抵抗変化素子の抵抗 変化に必要なパルス電圧を示しており、VTは ランジスタの閾値電圧を示している。また プレート線には、常時電圧VPが印加され、 ット線も、非選択の場合は電圧VPにプリチャ ージされている。

 メモリセルM211に対する書き込みサイクル において、ワード線WL0にはパルス幅tPのパル 電圧2VP+トランジスタの閾値電圧VTよりも大 い電圧が印加され、トランジスタT11がON状 となる。そして、そのタイミングに応じて ビット線BL0にはパルス電圧2VPが印加される これにより、メモリセルM211に情報「1」を書 き込む場合の書き込み用電圧が印加され、そ の結果、メモリセルM211の抵抗変化層が高抵 化する。すなわち、メモリセルM211に情報「1 」が書き込まれたことになる。

 次に、メモリセルM222に対する書き込みサ イクルにおいて、ワード線WL1にはパルス幅tP パルス電圧2VP+トランジスタの閾値電圧VTよ も大きい電圧が印加され、トランジスタT22 ON状態となる。そのタイミングに応じて、 ット線BL1には0Vの電圧が印加される。これに より、メモリセルM222に情報「0」を書き込む 合の書き込み用電圧が印加され、その結果 メモリセルM222の抵抗変化層が低抵抗化する 。すなわち、メモリセルM222に情報「0」が書 込まれたことになる。

 メモリセルM211に対する読み出しサイクル においては、トランジスタT11をON状態にする めに所定の電圧がワード線WL0に印加され、 のタイミングに応じて、書き込みの際のパ ス幅よりも振幅が小さいパルス電圧が、ビ ト線BL0に印加される。これにより、高抵抗 されたメモリセルM211の抵抗変化層の抵抗値 に対応した電流が出力され、その出力電流値 を検出することにより、情報「1」が読み出 れる。

 次に、メモリセルM222に対する読み出しサ イクルにおいて、先のメモリセルM211に対す 読み出しサイクルと同様の電圧がワード線WL 1およびビット線BL1に印加される。これによ 、低抵抗化されたメモリセルM222の抵抗変化 の抵抗値に対応した電流が出力され、その 力電流値を検出することにより、情報「0」 が読み出される。

 (第7の実施の形態)
 第7の実施の形態に係る不揮発性半導体装置 は、プログラム機能を有する第1から第4の実 の形態に係る不揮発性記憶素子を備える不 発性半導体装置であって、所定の演算を実 する論理回路を備えるものである。

 [不揮発性半導体装置の構成]
 図37は、本発明の第7の実施の形態に係る不 発性半導体装置の構成を示すブロック図で る。

 図37に示すように、本実施の形態に係る 揮発性半導体装置400は、半導体基板401上に CPU402と、外部回路との間でデータの入出力 理を行う入出力回路403と、所定の演算を実 する論理回路404と、アナログ信号を処理す アナログ回路405と、自己診断を行うためのBI ST(Built In Self Test)回路406と、SRAM407と、これ BIST回路406およびSRAM407と接続され、特定の ドレス情報を格納するための救済アドレス 納レジスタ408とを備えている。

 図38は、本発明の第7の実施の形態に係る 揮発性半導体装置が備える救済アドレス格 レジスタの構成を示すブロック図である。 た、図39は、同じく救済アドレス格納レジ タの構成を示す断面図である。

 図38および図39に示すように、救済アドレ ス格納レジスタ408は、第1から第4の実施の形 に係る不揮発性記憶素子に相当する不揮発 記憶素子409と、その不揮発性記憶素子409に して特定のアドレス情報を書き込むための き込み回路410と、不揮発性記憶素子409に書 込まれているアドレス情報を読み出すため 読み出し回路411と、ラッチ回路412とを備え いる。

 不揮発性記憶素子409は、書込み回路側410 の切替え部と読出し回路411側への切替え部 接続されており、抵抗変化層421を、上部電 422と下部電極423とで挟むようにして構成さ ている。ここで、この不揮発性記憶素子409 、第1から第4の実施の形態に係る不揮発性 憶素子に相当する。

 なお、図39において、424はプラグ層を、42 5は金属配線層を、426はソース/ドレイン層を れぞれ示している。

 本実施の形態では、2層配線で、第1配線 第2配線との間に不揮発性記憶素子を設ける 成を示しているが、例えば、3層以上の多層 配線とした上で、任意の配線間へ不揮発性記 憶素子を配置したり、または、必要に応じて 複数の配線間に配置したりするようにしても よい。

 [不揮発性半導体装置の動作例]
 次に、上述したように構成される本実施の 態に係る不揮発性半導体装置の動作例につ て説明する。

 以下、救済アドレス格納レジスタ408に対 てアドレス情報の書き込みを行う場合につ て説明する。BIST回路406は、診断指示信号TST を受け取った場合、SRAM407のメモリブロック 検査を実行する。

 なお、このメモリブロックの検査は、LSI 製造過程における検査の際、およびLSIが実 のシステムに搭載された場合における各種 診断実行の際などに行われる。

 メモリブロックの検査の結果、不良ビッ が検出された場合、BIST回路406は、書き込み データ指示信号WDを救済アドレス格納レジス 408へ出力する。この書き込みデータ指示信 WDを受け取った救済アドレス格納レジスタ40 8は、対応する不良ビットのアドレス情報を 済アドレス格納レジスタに格納する。

 このアドレス情報の格納は、そのアドレ 情報に応じて、該当するレジスタが備える 抗変化層の抵抗状態を高抵抗化または低抵 化することによって行われる。抵抗変化層 高抵抗化または低抵抗化は、第1の実施の形 態の場合と同様にして実現される。

 このようにして、救済アドレス格納レジ タ408に対するアドレス情報の書き込みが行 れる。そして、SRAM407がアクセスされる場合 、それと同時に救済アドレス格納レジスタ408 に書き込まれているアドレス情報が読み出さ れる。このアドレス情報の読み出しは、第1 実施の形態の場合と同様、抵抗変化層の抵 状態に応じた出力電流値を検出することに り行われる。

 このようにして救済アドレス格納レジス 408から読み出されたアドレス情報と、アク ス先のアドレス情報とが一致する場合、SRAM 407内に設けられている予備の冗長メモリセル にアクセスし、情報の読み取りまたは書き込 みが行われる。

 以上のようにして自己診断を行うことに って、製造工程の検査において外部の高価 LSIテスタを用いる必要がなくなる。また、a t Speedテストが可能になるという利点もある さらには、検査をする際のみではなく、経 変化した場合にも不良ビットの救済が可能 なるため、長期間に亘って高品質を保つこ できるという利点もある。

 本実施の形態に係る不揮発性半導体装置は 製造工程における1回のみの情報の書き込む 場合と、製品出荷後に繰り返し情報を書き換 える場合との何れにも対応することができる 。

 上記説明から、当業者にとっては、本発明 多くの改良や他の実施形態が明らかである 従って、上記説明は、例示としてのみ解釈 れるべきであり、本発明を実行する最良の 様を当業者に教示する目的で提供されたも である。本発明の精神を逸脱することなく その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変 更できる。

 本発明の不揮発性記憶素子および不揮発 半導体装置は、高速動作が可能で、しかも 定した書き換え特性を有しており、デジタ 家電、メモリカード、携帯型電話機、およ パーソナルコンピュータなどの種々の電子 器に用いられる不揮発性記憶素子等として 用である。




 
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