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Patent Searching and Data


Title:
NONFLAMMABLE TRANSPARENT FIBER-REINFORCED RESIN SHEET AND PROCESS FOR PRODUCTION OF THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063809
Kind Code:
A1
Abstract:
A fiber-reinforced resin sheet obtained by impregnating glass fiber fabric with a resin composition containing a vinyl chloride resin, in which the glass fiber fabric content is 10 to 50% by mass based on the whole mass of the fiber-reinforced resin sheet and the glass constituting the glass fiber fabric has a basic composition comprising both at least either of CaO and MgO and SiO2 and satisfying the relationship: X-(Y+Z) = 40 to 60% by mass (wherein X, Y and Z are contents (% by mass) of SiO2, CaO and MgO respectively based on the whole mass of the glass) and which exhibits a haze of 40% or below.

Inventors:
YOSHIDA MASAYOSHI (JP)
NAGANUMA NOBUAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070332
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NITTO BOSEKI CO LTD (JP)
YOSHIDA MASAYOSHI (JP)
NAGANUMA NOBUAKI (JP)
International Classes:
C08J5/04; B32B5/00; C03C13/00; D03D1/00; D03D15/12
Foreign References:
JP2003276113A2003-09-30
JP2003073973A2003-03-12
JP2007224270A2007-09-06
JP2003276113A2003-09-30
JP2005319746A2005-11-17
Other References:
See also references of EP 2221335A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6,Ginza 1-chome,Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 ガラス繊維織物に、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物を含浸させた繊維強化樹脂シートであって、
 前記ガラス繊維織物の含有量が、前記繊維強化樹脂シート全質量に対し10~50質量%であり、
 前記ガラス繊維織物を構成するガラスが、CaO及びMgOの少なくとも1種とSiO 2 とを基本組成としており、当該ガラスの全質量に対するSiO 2 、CaO及びMgOの含有量をそれぞれ、X、Y及びZ(質量%)としたときに、X-(Y+Z)の値が40~60質量%であり、
 ヘーズが40%以下である繊維強化樹脂シート。
 全光線透過率が85%以上である請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。
 前記樹脂組成物の単位面積あたりの質量が10~650g/m 2 である請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。
 前記ガラス繊維織物の単位面積あたりの質量が10~200g/m 2 である請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。
 前記樹脂組成物が可塑剤を含む請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。
 前記ガラス繊維織物に前記樹脂組成物を含浸させた強化繊維層が、前記樹脂組成物又はこれと異なる樹脂からなる樹脂層により挟持された構成を備え、該樹脂層の厚さが40~200μmである、請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。
 請求項1に記載の繊維強化樹脂シートを製造する製造方法であって、
 ガラス繊維織物に、樹脂組成物及び有機溶剤を含む溶液を含浸させる含浸工程と、
 前記有機溶剤を揮発させる揮発工程と、
 を有する繊維強化樹脂シートの製造方法。
 請求項6に記載の繊維強化樹脂シートを製造する製造方法であって、
 ガラス繊維織物に、樹脂組成物及び有機溶剤を含む溶液を含浸させる含浸工程と、
 前記有機溶剤を揮発させる揮発工程と、
 前記揮発工程で得られる、前記樹脂組成物を含浸させたガラス繊維織物の両面に厚さ40~200μmの樹脂層を形成させる形成工程と、
 を有する繊維強化樹脂シートの製造方法。
Description:
不燃性及び透明性を有する繊維 化樹脂シート及びその製造方法

 本発明は、繊維強化樹脂シート及びその 造方法に関する。

 樹脂をガラス繊維で強化した繊維強化樹脂 ートは、火災などの高温環境下でも発熱し くいため建築素材として用いられている。 築基準法で定められた発熱性試験の基準を たすシートとして、ガラス繊維織物に塩化 ニル樹脂を含浸させたシートが特許文献1に 記載されている。また、特許文献2には、上 建築基準法で定められた発熱性試験の基準 満たし、かつ透明性を有するシートが記載 れている。

特開2003-276113号公報

特開2005-319746号公報

 現在、工場等で区画を仕切るのに使用さ る間仕切りシートには、透明性を有する塩 ビニルシートが用いられているが、工場等 使用される間仕切りシートは直接火花を受 る可能性があり、発熱しにくい性質(不燃性 )を有するだけでなく、燃えにくい性質(耐燃 性)を有することが切望されている。また、 同時に透明性も望まれている。しかし、特許 文献1に記載のシートは透明性に劣り、特許 献2に記載のシートは燃えにくい性質が十分 はないことがある。

 そこで、本発明は、発熱しにくい性質に え、燃えにくい性質及び透明性を有する繊 強化樹脂シート及びその製造方法を提供す ことを目的とする。

 本発明者らは、ガラス繊維織物に、塩化 ニル系樹脂を含む樹脂組成物を含浸させた 維強化樹脂シートにおいて、ガラス繊維織 のガラス組成を特定の範囲にすることで、 維強化樹脂シートの透明性が向上すること 見出し、本発明を達成するに至った。

 すなわち本発明は、ガラス繊維織物に、塩 ビニル系樹脂を含む樹脂組成物を含浸させ 繊維強化樹脂シートであって、ガラス繊維 物の含有量が、繊維強化樹脂シート全質量 対し10~50質量%であり、ガラス繊維織物を構 するガラスが、CaO及びMgOの少なくとも1種と SiO 2 とを基本組成としており、当該ガラスの全質 量に対するSiO 2 、CaO及びMgOの含有量をそれぞれ、X、Y及びZ( 量%)としたときに、X-(Y+Z)の値が40~60質量%で り、ヘーズが40%以下である透明性に優れた 維強化樹脂シートを提供する。

 繊維強化樹脂シートに含まれるガラス繊 織物及び塩化ビニル系樹脂が燃えにくい性 を有するために、繊維強化樹脂シートは発 しにくい性質に加えて、さらに燃えにくい 質を得ることができる。また、X-(Y+Z)の値が 40~60質量%であり、かつ樹脂組成物が塩化ビニ ル系樹脂を含むことから、繊維強化樹脂シー トのヘーズを40%以下と小さくすることができ 、光が拡散しにくくなり透明性に優れるよう になる。なお、ヘーズとは、全光線透過率に 対する拡散透過率の比である。X-(Y+Z)の値が40 質量%未満ではヘーズが大きくなり、繊維強 樹脂シートの透明性が低下する。上記式の が60質量%より大きいとガラス繊維の製造が 難になる。

 本発明の繊維強化樹脂シートは全光線透 率が85%以上であることが好ましい。全光線 過率を85%以上にすることで、シートの反対 を十分に視認することができるようになる なお、全光線透過率とは、繊維強化樹脂シ トに入射した光のうち、繊維強化樹脂シー を透過した光の割合である。

 樹脂組成物の単位面積あたりの質量は10~650g /m 2 であることが好ましい。樹脂組成物の単位面 積あたりの質量を上記範囲にすることで、繊 維強化樹脂シートの発熱しにくい性質や燃え にくい性質がより一層優れるようになる。ま た、ガラス繊維織物の模様が浮き出る現象や 、樹脂組成物のガラス繊維織物への含浸不良 を防ぐことができ、繊維強化樹脂シートの透 明性が得られやすくなる。

 ガラス繊維織物の単位面積あたりの質量は1 0~200g/m 2 であることが好ましい。単位面積あたりの質 量を10g/m 2 以上にすることで、ガラス繊維織物の強度を 十分に高くできる。また、単位面積あたりの 質量を200g/m 2 以下にすることで、ガラス繊維織物の厚さを 薄くし、繊維強化樹脂シートの透明性をより 容易に得ることができる。

 上記樹脂組成物は可塑剤を含むことが好 しい。可塑剤を含むことによって繊維強化 脂シートに柔軟性が付与され、シワの発生 抑制できる。

 このような繊維強化樹脂シートは、ガラ 繊維織物に、樹脂組成物及び有機溶剤を含 溶液を含浸させる含浸工程と、有機溶剤を 発させる揮発工程と、を有する繊維強化樹 シートの製造方法により製造できる。

 繊維強化樹脂シートは、ガラス繊維織物 樹脂組成物を含浸させた強化繊維層が、上 樹脂組成物又はこれと異なる樹脂からなる 脂層により挟持された構成を備え、該樹脂 の厚さが40~200μmであることが好ましい。強 繊維層が両面に樹脂層を有することで、繊 強化樹脂シートの表面平滑性が向上する。 記樹脂層の厚さを40μm未満にすると、ガラ 繊維織物の経糸と緯糸が交差する目の部分 繊維強化樹脂シートの表面に浮き出て表面 滑性に劣る場合があり、200μmより厚くする 、繊維強化樹脂シートの燃えにくい性質が 下する傾向にある。

 このような繊維強化樹脂シートは、ガラ 繊維織物に、樹脂組成物及び有機溶剤を含 溶液を含浸させる含浸工程と、有機溶剤を 発させる揮発工程と、揮発工程で得られる 樹脂組成物を含浸させたガラス繊維織物の 面に厚さ40~200μmの樹脂層を形成させる形成 程と、を有する繊維強化樹脂シートの製造 法により製造できる。

 樹脂組成物及び有機溶剤を含む溶液は粘 が低いためにガラス繊維束間の糸間隙に侵 しやすい。そのため、樹脂組成物のガラス 維織物への含浸性を高くすることができる また、ガラス繊維織物の両面に樹脂層を積 形成させることで繊維強化樹脂シートの表 平滑性が向上する。

 本発明によれば、発熱しにくい性質に加 、燃えにくい性質及び透明性を有する繊維 化樹脂シートを提供することができる。ま 、本発明の繊維強化樹脂シートは柔軟性に 優れる。

実施形態に係る繊維強化樹脂シートの 視図である。

符号の説明

1・・・繊維強化樹脂シート、10・・・ガラ ス繊維織物、12・・・経糸、14・・・緯糸、15 ・・・樹脂組成物。

 以下、図面を参照して、本発明に係る繊 強化樹脂シート及びその製造方法の好適な 施形態について詳細に説明する。なお、図 においては、同一要素には同一符号を付し 重複する説明を省略する。

 図1は本発明の繊維強化樹脂シートの一実 施形態を示す断面図である。繊維強化樹脂シ ート1は、経糸12及び緯糸14から構成されるガ ス繊維織物10に樹脂組成物15を含浸させたも のである。すなわち、繊維強化樹脂シート1 、ガラス繊維織物10及び樹脂組成物15からな ており、ガラス繊維織物10の糸間隙に侵入 るように、ガラス繊維織物10の周囲に樹脂組 成物15が配されている。以下、繊維強化樹脂 ート1の各構成要素について詳しく説明する 。

 (a)ガラス繊維織物
 ガラス繊維織物10は、経糸12及び緯糸14(これ らはいずれもガラス繊維束からなっており、 ガラス繊維束は複数のガラス繊維モノフィラ メントから構成される)が製織されてなるも であり、繊維強化樹脂シート1の基布となる 料である。ガラス繊維織物10の含有量は繊 強化樹脂シート1の全質量に対し、10~50質量% ある。含有量が10質量%より少ないと、繊維 化樹脂シート1の燃えにくい性質が低下する ことがあり、含有量が50質量%を超えると、樹 脂が十分にガラス繊維織物に含浸せず、カス レや白化が生じ、表面平滑性や透明性が低下 することがある。ガラス繊維織物10の含有量 、より好ましくは25~35質量%である。上記の 囲にすることにより、繊維強化樹脂シート1 の燃えにくい性質と透明性がさらに向上する 。

 繊維強化樹脂シート1におけるガラス繊維織 物10の単位面積あたりの質量は10~200g/m 2 であることが好ましい。単位面積あたりの質 量を10g/m 2 以上にすることで、ガラス繊維織物10の強度 十分に高められる。単位面積あたりの質量 200g/m 2 以下にすることで、ガラス繊維織物10の厚さ 薄くでき、透明性を容易に得ることができ 。ガラス繊維織物10の単位面積あたりの質 は好ましくは50~150g/m 2 である。なお、単位面積あたりの質量を10~200 g/m 2 にするために、厚めのガラス繊維織物を一枚 用いてもよいし、薄めのガラス繊維織物を複 数枚用いてもよい。単位面積あたりの質量を 150g/m 2 以上にする場合は、含浸性を向上させる観点 から、薄めのガラス繊維織物を複数枚用いる ことが好ましい。

 ガラス繊維織物10の素材であるガラスはCaO びMgOの少なくとも1種とSiO 2 とを基本組成とするガラスで構成されている 。また、当該ガラスの全質量に対するSiO 2 、CaO及びMgOの含有量をそれぞれ、X、Y及びZ( 量%)としたときに、X-(Y+Z)の値が40~60質量%で る。上記式の値が40質量%未満では不透明に り、上記式の値が60質量%を超えるとガラス 維の製造が困難になる。上記式の値は43~57質 量%がより好ましく、45~52質量%がさらに好ま い。このような値にすることで繊維強化樹 シート1の透明性がさらに向上する。

 上記ガラスはCaO、MgO及びSiO 2 以外の成分を含んでいてもよい。CaO、MgO及び SiO 2 以外の成分としては、Al 2 O 3 、Fe 2 O 3 、Na 2 O、TiO 2 、Li 2 O、K 2 O、ZrO 2 、B 2 O 3 、MoO 2 、GeO 2 、P 2 O 5 、P 2 O 3 、V 2 O 5 、BeO、ZnO、BaO及びCr 2 O 3 等が挙げられる。但し、ガラス中のアルカリ 金属酸化物の含有量が1質量%以下であること 好ましい。アルカリ金属酸化物の含有量を1 質量%以下にすることで、繊維強化樹脂シー 1の透明性を高くすることができる。

 上記のガラス組成を有するものであれば のようなガラスを用いてもよいが、ガラス 製造を考慮すると、好ましいガラスとして 、例えば、下表1に示す組成を有するCガラ 、Tガラス、NEガラス等を例示できる。

 繊維強化樹脂シート1の透明性が優れるこ とから、上記ガラスの中でもTガラス及びNEガ ラスを用いることが好ましく、透明性が特に 優れることから、NEガラスを用いることがよ 好ましい。

 ガラス繊維織物10は経糸12及び緯糸14を平 りすることにより作製される。ガラス繊維 物10の織布方法としては、平織りに限らず 綾織り、朱子織り、斜子織り、畦織りなど 々な織布方法を採用することができる。

 ガラス繊維織物10は、一種類のガラス繊 束で製織されていてもよいし、2種類以上の ラス繊維束で製織されていてもよい。例え 、経糸12と緯糸14は、X-(Y+Z)の値が40~60質量% 範囲内であれば、異なる組成のガラスで構 されていてもよい。2種類以上のガラス繊維 で製織されている場合には、ガラス繊維束 番手、ガラス繊維束を構成するガラス繊維 ノフィラメントの直径はそれぞれ同じであ てもよいし、異なっていてもよい。例えば ガラス繊維束のガラス組成が同じであり、 ラス繊維束の番手及びガラス繊維モノフィ メントの直径が異なっていてもよい。

 ガラス繊維織物10において隣接する経糸 間及び隣接する緯糸の間に生ずる糸間隙は0. 5mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であ ことがより好ましい。糸間隙を狭くするこ で、ガラス繊維織物10の通気性が低くなり 繊維強化樹脂シート1の燃えにくい性質が向 する。

 ガラス繊維織物10に対して開繊処理を施 ことが好ましい。開繊処理によって、糸間 を狭くすることができる。また、開繊処理 より、ガラス繊維織物10を構成している経糸 12と緯糸14をばらけさせて、ガラス繊維織物10 全体をより扁平にすることができる。このよ うに、開繊処理により、ガラス繊維束の占め る容積及び面積範囲を変化させることが可能 となる。また、ガラス繊維織物10の厚さを薄 することにより、繊維強化樹脂シート1の全 光線透過率を高くすることができる。

 繊維強化樹脂シート1の耐久性を向上させ る目的で、ガラス繊維織物10に予め表面処理 行って接着性物質を付着させてもよい。接 性物質としては、シランカップリング剤を いることができる。これにより、ガラス繊 織物10と樹脂組成物15との界面密着性が向上 する。なお、接着性物質は経糸12及び緯糸14 表面に少量付着させれば効果が得られるた 、ガラス繊維織物10の光透過性にはほとんど 影響しない。

 (b)樹脂組成物
 樹脂組成物15は、塩化ビニル系樹脂を含ん いる。ここで、塩化ビニル系樹脂とは、ポ 塩化ビニルのほか、塩化ビニルをモノマー 位として含む共重合体からなる分子鎖を有 る樹脂をいう。塩化ビニルと共重合しうる ノマーとしては、塩化ビニリデン、酢酸ビ ル、エチレン、プロピレン、アクリロニト ル、マレイン酸又はそのエステル、アクリ 酸又はそのエステル、及びメタクリル酸又 そのエステル等が挙げられる。

 樹脂組成物15は可塑剤を含むことが好ま い。可塑剤を含むことによって繊維強化樹 シート1の柔軟性を向上させることができる 共に、シワの発生を抑制できる。可塑剤は 上述の塩化ビニル系樹脂と相溶性のあるも であればよい。そのような可塑剤としては 例えば、フタル酸エステル類、脂肪族二塩 酸エステル類、リン酸エステル類、トリメ ット酸エステル類、グリコールエステル類 エポキシ化エステル類、クエン酸エステル 、テトラ-n-オクチルシトレート、ポリプロ レンアジペート、スルホンアミド類、その のポリエステル系可塑剤が挙げられる。フ ル酸エステル類としては、例えば、フタル ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ チル、フタル酸ジ-n-オクチル、フタル酸ジ ソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル ブチルベンジル又は炭素数11~13程度の高級 ルコールのフタル酸エステルが挙げられる 脂肪族二塩基酸エステル類としては、例え 、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ-n-ヘ シル、セバシン酸ジブチルが挙げられる。 ン酸エステル類としては、例えば、リン酸 リブチル、リン酸トリ-2-n-エチルヘキシル、 リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニルが 挙げられる。トリメリット酸エステル類とし ては、例えば、トリメリット酸-トリ-2-エチ ヘキシル、トリメリット酸トリブチルが挙 られる。グリコールエステル類としては、 えば、ペンタエリスリトールエステル、ジ チレングリコールベンゾエートが挙げられ 。エポキシ化エステル類としては、例えば エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油が げられる。クエン酸エステル類としては、 えば、アセチルトリブチルシトレート、ア チルトリオクチルシトレート、トリ-n-ブチ シトレートが挙げられる。これらの可塑剤 1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用い られる。

 可塑剤の配合割合は、塩化ビニル系樹脂1 00重量部に対して5~30重量部であることが好ま しい。この配合割合を5重量部以上にするこ で、5重量部未満の場合と比較して、繊維強 樹脂シート1の柔軟性が増大する傾向にある 。可塑剤の配合割合を30重量部以下にするこ で、30重量部を超える場合と比較して、樹 組成物15中の塩化ビニル系樹脂の含有量が高 くなるので、繊維強化樹脂シート1の燃えに い性質が向上する傾向にある。可塑剤の配 割合は10~20重量部であることがより好ましい 。配合割合を上記範囲にすることで、繊維強 化樹脂シート1の柔軟性がさらに増大し、燃 にくい性質がさらに向上する。また、繊維 化樹脂シート1の用途に応じて、樹脂組成物1 5に可塑剤を添加しなくてもよい。

 樹脂組成物15には、可塑剤のほかにも難 剤、紫外線吸収剤、充填材、帯電防止剤な の添加物が含まれていてもよい。

 繊維強化樹脂シート1における樹脂組成物15 単位面積あたりの質量は10~650g/m 2 であることが好ましい。樹脂組成物15の質量 10g/m 2 以上にすることで、ガラス繊維織物10の模様 浮き出る現象や、含浸不良により樹脂が白 して見える現象を防止できる。また、樹脂 成物15の質量を650g/m 2 以下にすることで、繊維強化樹脂シート1に けるガラス繊維織物10の割合が高くなり、繊 維強化樹脂シート1の燃えにくい性質を高め れる。樹脂組成物15の質量は50~200g/m 2 であることがより好ましい。上記範囲にする ことで、繊維強化樹脂シート1の表面平滑性 さらに向上する。

 繊維強化樹脂シート1の全光線透過率は85% 以上であることが好ましく、90%以上であるこ とがより好ましい。このような透過率にする ことで光が十分に通過し、繊維強化樹脂シー ト1の透明性が向上する。

 繊維強化樹脂シート1のヘーズは40%以下で ある。ヘーズを40%以下にすることで、繊維強 化樹脂シートに入射した光が拡散せず、優れ た透明性が得られる。ヘーズは20%以下である ことが好ましい。曇りがなくなり繊維強化樹 脂シート1の透明性がさらに向上する。

 繊維強化樹脂シートは、ガラス繊維織物 樹脂組成物を含浸させた強化繊維層が、上 した樹脂組成物又はこれとは異なる樹脂か なる樹脂層により挟持された構成を備えて ることが好ましい。すなわち、樹脂組成物 含浸させたガラス繊維織物の両面に樹脂層 形成されていることが好ましい。樹脂組成 を含浸させたガラス繊維織物の両面に樹脂 が形成されていることで、繊維強化樹脂シ トの表面が樹脂層となり、表面平滑性が向 する。上記樹脂層はガラス繊維織物を含ま 、上記樹脂層の厚さが40~200μmであることが ましい。繊維強化樹脂シートの表面平滑性 さらに向上する。上記樹脂層の厚さを40μm 満にすると、ガラス繊維織物の模様が浮き て繊維強化樹脂シートの表面平滑性が低下 る傾向にある。上記樹脂層の厚さを200μmよ 厚くすると、繊維強化樹脂シート表面から ラス繊維織物までの距離が増大するので、 維強化樹脂シートの燃えにくい性質が低下 る傾向にある。上記樹脂層の厚さは50~100μm あることがより好ましい。上記範囲にする とにより、燃えにくい性質を保ったまま、 らに繊維強化樹脂シートの表面平滑性が向 する。

 上記樹脂層を構成する樹脂の材質は、上 強化繊維層を構成する樹脂組成物と同一で っても、異なっていてもよいが、繊維強化 脂シートの透明性を向上させる観点から、 脂層を構成する樹脂の屈折率と強化繊維層 構成する樹脂組成物の屈折率との差が0.01以 下であることが好ましい。また、樹脂層を構 成する樹脂の材質を、耐ブロッキング性、柔 軟性及び耐候性向上の点から、軟質塩化ビニ ルにすることが好ましい。また、樹脂層を構 成する樹脂には、難燃剤、可塑剤、帯電防止 剤、紫外線吸収剤、安定剤等を添加してもよ い。

 [繊維強化樹脂シートの製造方法]
 次に、繊維強化樹脂シート1を製造するため の製造方法について説明する。繊維強化樹脂 シート1を製造する製造方法は、樹脂組成物15 と有機溶剤とを含む溶液をガラス繊維織物10 含浸させる含浸工程と、有機溶剤を揮発さ る揮発工程とを有する。

 まず、樹脂組成物15を、有機溶剤に溶解 せて溶液を作製する。ここで用いられる有 溶剤としては、樹脂組成物15に含まれる塩化 ビニル系樹脂を溶解できるものであればよく 、特に制限はない。例えば、メチルエチルケ トン、メチルセルソルブ、アセトン等が挙げ られ、これらは1種を単独で又は2種以上を混 して用いることができる。有機溶剤に樹脂 成物15を溶解するにあたって、その操作及 条件については、用いる有機溶剤の種類及 樹脂組成物15の種類等に応じて適宜決定すれ ばよい。なお、必要に応じて濾過等により不 溶成分の除去を行ってもよい。

 次に、樹脂組成物15及び有機溶剤を含む 液を、そのまま或いは適宜濃縮又は希釈し ガラス繊維織物10に含浸させる。このような 製造方法によれば、樹脂組成物15が有機溶剤 溶解されて粘度が低くなるために、含浸性 向上する。上記溶液をガラス繊維織物10に 浸させる方法としては、例えば、ガラス繊 織物10を上記溶液中に浸漬する方法、ガラス 繊維織物10に対して上記溶液を塗布する方法 が挙げられる。樹脂組成物15及び有機溶剤 含む溶液が、ガラス繊維織物10を被覆し、さ らに経糸12の間及び緯糸14の間に生ずる糸間 に侵入する。次いで、上記溶液を含浸させ ガラス繊維織物10を乾燥させることにより、 有機溶剤が揮発し、樹脂組成物15がガラス繊 束間の糸間隙に侵入しているガラス繊維織 が得られ、これが繊維強化樹脂シート1とな る。

 ガラス繊維織物に樹脂組成物を含浸させ 強化繊維層が樹脂層により挟持された構成 備える繊維強化樹脂シートの製造方法は、 記工程に加えて、樹脂組成物を含浸させた ラス繊維織物の両面に厚さ40~200μmの樹脂層 形成させる形成工程を有する。樹脂層は、 脂層を構成する樹脂(好ましくは軟質塩化ビ ニル)を含むシートを、樹脂組成物を含浸さ たガラス繊維織物に貼着することで形成さ る。樹脂層を構成する樹脂を含む、厚さ40~20 0μmのシートを、上記工程で得られた樹脂組 物を含浸させたガラス繊維織物の両側にそ ぞれ付着させ、加熱加圧して貼着すること 、強化繊維層が樹脂層により挟持された構 を備える繊維強化樹脂シートを得ることが きる。但し、樹脂層の形成方法は上記の方 に限定されることなく、例えば未硬化の樹 を、樹脂組成物が含浸されたガラス繊維織 に塗布し、硬化させる等の方法を用いても い。

 以下、本発明の好適な実施例を更に詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。

 (実施例1)
 [ガラス繊維織物の作製]
 表2に示すガラス組成のNEガラスを用いた22.4 texのガラス繊維束を経糸及び緯糸として、経 糸の織り密度を60本/25mm、緯糸の織り密度を58 本/25mmとなるように平織りで製織した後、熱 油及びメタクリロキシプロピルトリメトキ シランによる表面処理、並びに開繊処理を し、ガラス繊維織物を作製した。この結果 られたガラス繊維織物の質量は100g/m 2 であり、厚さは85μmであり、通気度は6cm 3 /cm 2 /sで、隣接する経糸の間及び隣接する緯糸の の糸間隙は0.05mmであった。

 [繊維強化樹脂シートの作製]
 塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体を主成 とする塩化ビニル樹脂(カネカ(株)社製、商 名:カネビラック)100重量部に可塑剤として ブチルフタレートを15重量部添加し、メチル エチルケトン75重量部で希釈した液を作製し 。この液を上記のガラス繊維織物に含浸さ 、120℃で乾燥させ、メチルエチルケトンを 発させ、樹脂組成物を含浸させたガラス繊 織物を得た。この樹脂組成物を含浸させた ラス繊維織物の両面に、厚さ80μmの透明軟 塩化ビニルシート(三菱化学MKV(株)社製、商 名:アルトロンGX446V6)を貼り付け、110℃の熱 レスで表面を加熱加圧し積層して、繊維強 樹脂シートを得た。得られた繊維強化樹脂 ートは質量が350g/m 2 であった。このときガラス繊維織物に含浸さ せた樹脂組成物(軟質塩化ビニルシートを含 )は250g/m 2 であり、ガラス繊維織物の含有量は繊維強化 樹脂シート全質量に対し、29質量%であった。

 (実施例2)
 ガラス繊維織物を構成するガラスとして、 2に示すガラス組成のTガラスを用いたこと 外は実施例1と同様にして繊維強化樹脂シー を得た。

 (実施例3)
 樹脂組成物に添加する可塑剤としてジブチ フタレートに代えて、ブチルベンジルフタ ートを用いたこと以外は実施例1と同様にし て繊維強化樹脂シートを得た。

 (実施例4)
 実施例1と同様のガラス繊維織物を用いて、 塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体を主成分 とする塩化ビニル樹脂(カネカ(株)社製、商品 名:カネビラック)100重量部に可塑剤としてジ チルフタレートを15重量部添加し、メチル チルケトン75重量部で希釈した液を作製し、 この液を上記のガラス繊維織物に含浸させ、 120℃で乾燥させ、メチルエチルケトンを揮発 させ、樹脂組成物が含浸されたガラス繊維織 物を繊維強化樹脂シートとした。繊維強化樹 脂シートの質量は250g/m 2 であり、ガラス繊維織物の含有量は繊維強化 樹脂シート全質量に対し、40質量%であった。

 (比較例1)
 ガラス繊維織物を構成するガラスとして、 2に示すガラス組成のEガラスを用いたこと 外は実施例1と同様にして繊維強化樹脂シー を得た。

 (比較例2)
 ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)社製、 品名:SSP-06P)100重量部をメチルエチルケトン7 5重量部で希釈した液を、比較例1と同様のガ ス繊維織物に含浸させ、120℃で乾燥させ、 チルエチルケトンを揮発させ、繊維強化樹 シートを得た。繊維強化樹脂シートの質量 250g/m 2 であり、ガラス繊維織物の含有量は繊維強化 樹脂シート全質量に対し、40質量%であった。

 各々のガラス繊維織物のガラス組成につ て質量%を単位として、また樹脂組成物の組 成について重量部を単位として表2に示す。

 [繊維強化樹脂シートの評価]
 (a)燃えにくさ(耐燃焼性)の評価
 実施例1~4並びに比較例1及び比較例2の繊維 化樹脂シートについて、JIS L1091 A-1法(45°ミ クロバーナ法)に準拠した燃焼性試験を行っ 、繊維強化樹脂シートの燃えにくさを評価 た。具体的には、繊維強化樹脂シートの試 片をバーナで1分間加熱し、残炎時間(秒)及 残じん時間(秒)を測定した。各実施例、比較 例ともほぼ同じ測定値であった。また、別の 試験片で着炎後3秒で炎を除く試験を行い、 炎時間(秒)、残じん時間(秒)及び燃焼面積(cm 2 )を測定した。比較例2以外は耐熱性を有しほ 同じ測定値であった。ここで、残炎時間と 加熱終了時から試験片が炎を発生し続ける 間の長さ、残じん時間とは加熱終了後又は 験片の炎が消えた後の赤熱が持続する時間 長さ、燃焼面積とは燃焼又は熱分解によっ 破壊された部分の総面積をいう。

 なお、消防法施行規則第4条の3で定める防 性能の判定基準では着炎後3秒で炎を除いた の残炎時間が3秒以内であること、残じん時 間が5秒以内であること、燃焼面積が30cm 2 以内であることを定めている。即ち、実施例 1~4及び比較例1の繊維強化樹脂シートは防炎 能の判定基準を満たしており、燃えにくい 質がある。

 (b)発熱しにくさ(不燃性)の評価
 実施例1~4並びに比較例1及び比較例2の繊維 化樹脂シートについて、発熱性試験を行っ 、繊維強化樹脂シートの発熱しにくさを評 した。具体的には、輻射電気ヒーターを用 て繊維強化樹脂シートの表面に照射を行っ 、繊維強化樹脂シートに50kW/m 2 の輻射熱を与えた。そして、加熱開始後20分 における繊維強化樹脂の総発熱量を測定し 。また、加熱開始後20分間において、繊維 化樹脂シートの発熱量が200kW/m 2 を超えた時間を測定した。繊維強化樹脂シー トに対する樹脂の含有量が同一である実施例 1~3及び比較例1は共にほぼ同じ測定値であり それらよりも繊維強化樹脂シートに対する 脂の含有量が少ない実施例4及び比較例2は良 好な測定値であった。さらに、発熱試験後に 、繊維強化樹脂シートの外観を目視で観察し た。発熱性試験後の試料に貫通する亀裂、穴 がないときに「良好」とした。各試験片とも 良好であった。

 なお、建築基準法における不燃材料として 判定基準として、発熱性試験において総発 量が8MJ/m 2 以下であること、発熱量が10秒以上継続して2 00kW/m 2 を超えないこと、さらに、発熱性試験後の試 料に貫通する亀裂及び穴がないこと、が要求 されている。即ち、実施例1~4並びに比較例1 び比較例2の繊維強化樹脂シートは不燃材料 判定基準を満たしている。

 (c)透明性の評価
 実施例1~4並びに比較例1及び比較例2の繊維 化樹脂シートの透明性を評価した。具体的 はJIS K 7105に準拠して、積分球式測定装置 用いて繊維強化樹脂シートの全光線透過率 び拡散透過率を測定し、その値からヘーズ 求めた。実施例1~4並びに比較例1及び2の繊維 強化樹脂シートは90%以上の全光線透過率を有 し、光をよく通した。また、実施例1~4及び比 較例2の繊維強化樹脂シートはヘーズが小さ 、透明であることが確認された。特に透明 は、実施例1及び4並びに比較例2が優れてい 。

 (d)耐汚染性及び防しわ性の評価
 繊維強化シートを手で触れてみて耐汚染性 び防しわ性の評価を行った。汚れ及びしわ 目視で観察し、汚れ及びしわの発生がない のを「A」、汚れ及びしわの発生があっても 目立たないものを「B」、汚れ及びしわの発 が目立つものを「C」とした。

 以上の各項目の評価結果を表3に示す。