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Patent Searching and Data


Title:
NONWOVEN FABRIC, PROCESS FOR PRODUCING NONWOVEN FABRIC, AND ABSORBENT ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133067
Kind Code:
A1
Abstract:
A nonwoven fabric which has satisfactory liquid permeability and in which the liquid is less apt to remain; a process for producing a nonwoven fabric; and an absorbent article. The nonwoven fabric has a thickness direction and plane directions perpendicular to the thickness direction and is characterized by having high-density regions having a fiber density higher than an average fiber density, the high-density regions extending from one side to the other side in the thickness direction.

Inventors:
UEMATSU KATSUHIRO (JP)
ISHIKAWA HIDEYUKI (JP)
TANI KOUICHIROU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057238
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNI CHARM CORP (JP)
UEMATSU KATSUHIRO (JP)
ISHIKAWA HIDEYUKI (JP)
TANI KOUICHIROU (JP)
International Classes:
D04H1/50; A61F13/15; A61F13/49; A61F13/511; D04H1/72
Foreign References:
JPH04221556A1992-08-12
JP2000262558A2000-09-26
JP2004033236A2004-02-05
JPH04272261A1992-09-29
JPH10137167A1998-05-26
JP2004033236A2004-02-05
Other References:
See also references of EP 2138614A4
Attorney, Agent or Firm:
ISSHIKI & CO. (12-7 Shinbashi 2-chom, Minato-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 厚さ方向とそれに直交する面方向を有する不織布において、
 平均繊維密度よりも高い繊維密度である高密度領域を有し、
 前記高密度領域は、前記厚さ方向における一方側から他方側へ連通していることを特徴とする不織布。
 請求項1に記載の不織布であって、
 前記高密度領域では、前記一方側の前記繊維密度よりも前記他方側の前記繊維密度の方が高いことを特徴とする不織布。
 請求項1または請求項2に記載の不織布であって、
 前記不織布の前記厚さ方向における前記一方側から前記他方側へ連通し、前記平均繊維密度よりも低い繊維密度である低密度領域を有し、
 複数の前記高密度領域と複数の前記低密度領域が、前記面方向に分散していることを特徴とする不織布。
 請求項3に記載の不織布であって、
 前記不織布における前記高密度領域と前記低密度領域の分散度合いを示す分散指数が250以上であり、450以下であることを特徴とする不織布。
 不織布を製造する方法において、
 熱融着性を備える熱収縮性繊維を有し、厚さ方向を有する繊維ウェブを、加熱処理するステップであって、前記繊維ウェブの加熱処理後の表面が凹凸形状となり、凸部である領域の方が凹部である領域よりも繊維が密集するように、前記繊維ウェブを、前記熱収縮性繊維が溶融可能、且つ、熱収縮可能な温度で加熱処理するステップと、
 前記加熱処理するステップにより形成された前記凹凸形状の凸部が押しつぶされるように、前記繊維ウェブを前記厚さ方向に押圧するステップと、
を有することを特徴とする不織布製造方法。
 請求項5に記載の不織布製造方法であって、
 前記加熱処理するステップにおいて、前記繊維ウェブを前記厚さ方向の片側から支持部材により支持した状態で加熱処理することを特徴とする不織布製造方法。
 請求項5または請求項6に記載の不織布製造方法であって、
 前記押圧するステップにおいて、前記繊維ウェブを前記温度で加熱された状態で押圧することを特徴とする不織布製造方法。
 請求項5から請求項7のいずれかに記載の不織布製造方法であって、
 前記押圧するステップにおいて、前記繊維ウェブの厚さが前記凹部の厚さ以下となるように前記繊維ウェブを押圧することを特徴とする不織布製造方法。
 請求項5に記載の不織布製造方法であって、
 前記加熱処理するステップにおいて、前記厚さ方向の両側から前記繊維ウェブに前記温度の熱風を噴きあてて加熱処理することを特徴とする不織布製造方法。
 少なくとも一部が液透過性の表面シートと、
 液不透過性の裏面シートと、
 前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される液保持性の吸収体と、
 前記表面シートと前記吸収体との間に配置されるセカンドシートと、
を有すると共に、厚さ方向とそれに直交する面方向を有し、人体に装着される吸収性物品において、
 前記セカンドシートは不織布であり、前記不織布は、前記不織布における平均繊維密度よりも高い繊維密度である高密度領域を有し、
 前記高密度領域は、前記不織布の前記厚さ方向における前記表面シート側から前記吸収体側へ連通していることを特徴とする吸収性物品。
Description:
不織布、不織布製造方法、及び 吸収性物品

 本発明は、不織布、不織布製造方法、及 、吸収性物品に関する。

 従来、不織布の液引き込み性の向上や液 の残留を抑止することを目的として、不織 に配合する繊維の種類や、不織布の構造に いて様々な工夫がなされている。

 例えば、不織布をセカンドシートとして 液透過性の表面シートと液保持性の吸収体 の間に配した吸収性物品であれば、表面シ ト上の液体をセカンドシート内部に引き込 易く(液引き込み性が良い)、引き込んだ液 がセカンドシート内部に残留することなく 吸収体へ移行する(液体残留の抑止)ことが課 題となる。

 そこで、セカンドシート(液透過性のシー ト)が多層構造からなり、吸収体側に位置す 第1の層に高熱収縮性の繊維(コイル状繊維) 含ませ、表面シート側に位置する第2の層の 均繊維密度よりも第1の層の平均繊維密度の 方が高くなっている吸収性物品が提案されて いる(例えば、特開2004-33236号公報参照)。

 しかし、特許文献1に記載のセカンドシー トでは、コイル状繊維が偏って配された場合 、例えば、第1の層と第2の層の境界付近にお て、第1の層内にコイル状繊維が存在しなけ れば、第2の層と第1の層とで繊維密度に差が じず、第2の層の液体を第1の層に引き込む とができないおそれがある。そうすると、 2の層内(セカンドシート内)に液体が残留し しまう。

 そこで、本発明は、液引き込み性が良く 液体が残留し難い不織布の製造方法を提供 ることを目的とする。

 上記のような課題を解決するために、主 る本発明は、厚さ方向とそれに直交する面 向を有する不織布において、平均繊維密度 りも高い繊維密度である高密度領域を有し 前記高密度領域は、前記厚さ方向における 方側から他方側へ連通していることを特徴 する不織布である。

 本発明の他の特徴については、本明細書 び添付図面の記載により明らかにする。

 本発明によれば、液引き込み性が良く、 体が残留し難い不織布、不織布製造方法、 び、吸収性物品を提供することが可能であ 。

比較例の不織布の断面図を示す図であ 。 図2Aは本実施形態の不織布の上面図を す図であり、図2Bは本実施形態の不織布の斜 視図を示す図である。 図3Aは本実施形態の不織布の断面図で り、図3Bは断面の拡大図である。 本実施形態の不織布の液体透過の様子 示す図である。 図5Aから図5Dは本実施形態の不織布の製 造方法の概要を説明する図である。 本実施形態の不織布製造装置の一例を す図である。 図6と異なる押圧方法を示す図である。 図6と異なる押圧方法を示す図である。 図6と異なる押圧方法を示す図である。 図6と異なる押圧方法を示す図である 図6と異なる押圧方法を示す図である 図12Aは本実施形態の生理用ナプキンの 斜視図であり、図12Bは本実施形態の吸収性物 品の断面図である。 図13Aから図13Dは表面シートに向けて排 泄される液体の吸収挙動を示す図である。 実施例における不織布の構成及び平均 吸光度の測定結果を説明する表である。 実施例Dにおける不織布を重ね合わせ 場合における平均吸光度の測定結果を説明 る表である。 実施例における不織布の人工尿による 吸収性の評価結果を説明する表である。 実施例における不織布の人工経血によ る吸収性の評価結果を説明する表である。 実施例Dにおける繊維間の平均空間面 の測定結果を説明する表である。

符号の説明

1 比較例の不織布、2 上層、3 下層、A コイ ル状繊維、
10 不織布(セカンドシート)、11 高密度領域 12 低密度領域、
20 支持部材、21 繊維ウェブ、22 熱収縮性繊 維、
23 熱融着性繊維、24 繊維布(繊維ウェブ)、
30 生理用ナプキン(吸収性物品)、31 表面シ ト、
32 吸収体、33 裏面シート、40 液体、50 カ ド装置、
51A 第1熱収縮性繊維、51B 第2熱収縮性繊維、
52 コンベア、53 コンベア、54 加熱装置、55 コンベア、
56 ロール、57A 第1搬送ロール、57B 第2搬送 ール、
58 巻取り部、59 ロール、60 加熱装置、61  ール、
62 上側支持部材、63 下側支持部材

 本明細書及び図面には、少なくとも次の 項が開示されている。

 即ち、厚さ方向とそれに直交する面方向を する不織布において、平均繊維密度よりも い繊維密度である高密度領域を有し、前記 密度領域は、前記厚さ方向における一方側 ら他方側へ連通していることを特徴とする 織布である。 
 このような不織布によれば、不織布上の少 の液体を毛管力により高密度領域に引き込 、不織布上に液体が残留してしまうことを 止できる。また、高密度領域以外の不織布 に残留する少量の液体を毛管力により高密 領域に引き込むことができる。更にいえば 液体を、例えば、不織布から不織布よりも 密度である吸収体に移行させる場合、高密 領域に引き込まれた液体は毛管力により吸 体へ移行するので、不織布内部に液体が残 してしまうことがなくなる。

 かかる不織布であって、前記高密度領域で 、前記一方側の前記繊維密度よりも前記他 側の前記繊維密度の方が高いこと。 
 このような不織布によれば、不織布の厚さ 向における一方側よりも他方側の方が、毛 力が高まるため、液体が不織布の一方側か 他方側へ移行しやすい。

 かかる不織布であって、前記不織布の前記 さ方向における前記一方側から前記他方側 連通し、前記平均繊維密度よりも低い繊維 度である低密度領域を有し、複数の前記高 度領域と複数の前記低密度領域が、前記面 向に分散していること。 
 このような不織布によれば、低密度領域に り、多量の液体や粘度の高い液体が繊維に 害されることなく、不織布内部を透過する とができ、液体が面方向に拡散してしまう とを抑止できる。また、高密度領域による 液体の引き込み性の良さ」及び「低残留性 と、低密度領域による「低拡散性(スポット 性の良さ)」の性質を両立させることができ 。

 かかる不織布であって、前記不織布におけ 前記高密度領域と前記低密度領域の分散度 いを示す分散指数が250以上であり、450以下 あること。 
 このような不織布によれば、前述の高密度 域と低密度領域の性質を両立させることが きる。

 不織布を製造する方法において、熱融着性 備える熱収縮性繊維を有し、厚さ方向を有 る繊維ウェブを、加熱処理するステップで って、前記繊維ウェブの加熱処理後の表面 凹凸形状となり、凸部である領域の方が凹 である領域よりも繊維が密集するように、 記繊維ウェブを、前記熱収縮性繊維が溶融 能、且つ、熱収縮可能な温度で加熱処理す ステップと、前記加熱処理するステップに り形成された前記凹凸形状の凸部が押しつ されるように、前記繊維ウェブを前記厚さ 向に押圧するステップと、を有することを 徴とする不織布製造方法である。 
 このような不織布製造方法によれば、例え 、不織布における平均繊維密度よりも高い 維密度である高密度領域と平均繊維密度よ も低い繊維密度である低密度領域とを有し 且つ、前記高密度領域と前記低密度領域と 不織布の厚さ方向の一方側から他方側に連 した不織布を製造することができる。

 かかる不織布製造方法であって、前記加熱 理するステップにおいて、前記繊維ウェブ 前記厚さ方向の片側から支持部材により支 した状態で加熱処理すること。 
 このような不織布製造方法によれば、支持 れた側の反対側の面に凹凸が形成され、逆 、支持された側は熱収縮性繊維の移動が規 されるため凹凸が形成されない。即ち、繊 ウェブの片面だけに形成された凸部を押圧 るため、不織布に形成される高密度領域に いて、支持された側の反対側の繊維密度を 持された側の繊維密度よりも高くすること できる。

 かかる不織布製造方法であって、前記押圧 るステップにおいて、前記繊維ウェブを前 温度で加熱された状態で押圧すること。 
 このような不織布製造方法によれば、凸部 押しつぶすことが容易となる。

 かかる不織布製造方法であって、前記押圧 るステップにおいて、前記繊維ウェブの厚 が前記凹部の厚さ以下となるように前記繊 ウェブを押圧すること。 
 このような不織布製造方法によれば、略均 な厚さの不織布を製造することができる。

 かかる不織布製造方法であって、前記加熱 理するステップにおいて、前記厚さ方向の 側から前記繊維ウェブに前記温度の熱風を きあてて加熱処理すること。 
 このような不織布製造方法によれば、繊維 ェブの両面に凹凸が形成されるため、不織 の高密度領域において、どちらか一方の面 繊維密度の方が高くなることがなく、不織 の両面における各繊維密度を同程度にする とができる。

 少なくとも一部が液透過性の表面シートと 液不透過性の裏面シートと、前記表面シー と前記裏面シートとの間に配置される液保 性の吸収体と、前記表面シートと前記吸収 との間に配置されるセカンドシートと、を すると共に、厚さ方向とそれに直交する面 向を有し、人体に装着される吸収性物品に いて、前記セカンドシートは不織布であり 前記不織布は、前記不織布における平均繊 密度よりも高い繊維密度である高密度領域 有し、前記高密度領域は、前記不織布の前 厚さ方向における前記表面シート側から前 吸収体側へ連通していることを特徴とする 収性物品である。 
 このような吸収性物品によれば、表面シー 上の少量の液体をセカンドシート内に引き むことができるため、使用者に不快感(べた べた感)を与えず、肌を汚してしまうことを ぐことができる。また、液体がセカンドシ ト内に残留することなく吸収体へ移行する め、繰り返し液体が排泄されても、表面シ ト上に液体が溢れてしまうことを防止する とができる。

===不織布について===
〈比較例の不織布〉
 まず、本実施形態の不織布製造方法により 造される不織布とは異なる比較例の不織布1 について説明する。図1は、比較例の不織布1 断面図を示す図である。比較例の不織布1は 、上層2(第2の層に相当)と下層3(第1の層に相 )から構成され、上層2から下層3へ液体が移 し易くなることを目的として、下層3の平均 維密度が上層2の平均繊維密度よりも高くな っている。

 ここで、比較例の不織布1の下層3は、熱 着性を有する高熱収縮性繊維を含む繊維ウ ブ(繊維間が融着する前のもので、繊維同士 自由度がある)により形成される。また、下 層3は、繊維ウェブが厚さ方向及び面方向に ンションがあまり加わらない状態で加熱処 され、繊維間が熱融着することにより形成 れる。高熱収縮性繊維のように加熱処理に る収縮率が高い場合(例えば、加熱処理時の 度に対する収縮率が70%以上)、高熱収縮性繊 維は加熱処理により周囲の繊維を取り込みな がらコイル状に捲縮する。一方、比較例の不 織布1の上層2は、熱融着性を有する高熱収縮 繊維を含まない(又は、下層3よりも少量し 含まない)繊維ウェブを加熱処理することに り形成される。そのため、高熱収縮性繊維 周囲の繊維を取り込みながらコイル状に捲 した繊維(コイル状繊維A)を有する下層3の平 均繊維密度は、上層2の平均繊維密度よりも くなる。

 しかし、比較例の不織布1の下層3内にお て、コイル状繊維Aが均等に存在するとは限 ず、コイル状繊維Aが偏って存在してしまう おそれがある。特に、下層3は、テンション あまり加わらない状態で製造されるため、 さ方向に厚みがある(嵩高である)。ゆえに、 例えば図1に示すように、上層2と接触する下 3の上面側の領域Xに、コイル状繊維Aが存在 ない可能性がある。そうすると、上層2の繊 維密度と領域X(下層3)の繊維密度に差が生じ 、上層2中の液体を毛管力により下層3の領域 Xに引き込むことができない。

 逆に、図1の領域Yのように、多数のコイ 状繊維Aが集まってしまった場合には、領域Y の繊維密度が高くなりすぎてしまう。そうす ると、多量の液体や粘度の高い液体では、繊 維間を透過することができず、不織布1中に 体が残留してしまったり、面方向に液体が 散してしまったりする。

 そのため、例えば、比較例の不織布1が吸 収性物品のセカンドシートとして、液透過性 の表面シートと液保持性の吸収体との間に、 上層2が表面シート側となるように配置され としても、表面シートやセカンドシート内 液体が残留してしまうおそれがある。そう ると、使用者に不快感(ベタベタ感)を与え、 着用者の肌も汚してしまう。

 そこで、液引き込み性が良く、液体が残 し難い不織布の製造方法を提供することが 実施形態の目的となる。以下、本実施形態 不織布製造方法により製造される不織布10 ついて説明する。

〈本実施形態の不織布製造方法により製造さ れる不織布10の概要〉
 図2Aは、本実施形態の不織布10の上面図であ り、図2Bは、本実施形態の不織布10の斜視図 ある。図3Aは、本実施形態の不織布10の断面 であり、図3Bは、断面の拡大図である。

 本実施形態の不織布10は、不織布10全体の 平均繊維密度よりも高い繊維密度である高密 度領域11と、平均繊維密度よりも低い繊維密 である低密度領域12とを有する。そして、 密度領域11と低密度領域12は、図2Aに示すよ に、不織布10の面方向に分散して形成されて いる。

 また、図3Aに示すように、本実施形態の 織布10は略均一な厚さであり、高密度領域11 不織布10の厚さ方向における一方側(上面)か ら他方側(下面)へ連通している。同様に、低 度領域12も一方側から他方側へ連通してい 。更に、高密度領域11では、図3Bに示すよう 、一方側の繊維密度よりも他方側の繊維密 の方が高くなっている。

 図4は、本実施形態の不織布10の液体透過 様子を示す図である。なお、不織布10の下 に高密度領域11よりも高密度な吸収体(不図 )が配置され、不織布10の上面に滴下された 体が、不織布10を透過して吸収体へ移行する 様子を以下に説明する。

 不織布10上に多量の液体が滴下された場 、液体は、まず、繊維が余り存在せず、透 に対して抵抗が少ない低密度領域12内を通っ て吸収体へ移行する。多量の液体が滴下され たとしても、低密度領域12が厚さ方向に連通 ているため、大部分の液体が素早く吸収体 移行することができる。その結果、不織布1 0の上面上(面方向)に液体が拡散してしまうこ とを防止することができる。

 そして、大部分の液体が移行した後に、 織布10の上面に残留している少量の液体を 密度領域11の毛管力により不織布10内部(高密 度領域11内部)に引き込むことができる。そし て、高密度領域11では、上面よりも下面の方 、繊維密度が高いため、毛管力により、高 度領域に引き込んだ液体を確実に吸収体へ 行することができる。

 それだけでなく、大部分の液体が透過し 後に、低密度領域12中に残留してしまって る液体を、毛管力により高密度領域11内に引 き込み、最終的には、その液体を吸収体へ移 行することができる。また、不織布10上に少 の液体しか滴下されなかった場合において 、高密度領域11の毛管力により、液体を高 度領域11内に引き込み、吸収体へ移行するこ とができる。

 その他、粘性の高い液体の場合、多数の 維が抵抗となって高密度領域11内を透過す ことができないが、低密度領域12内であれば 、粘性の高い液体であっても、繊維により阻 害されることなく吸収体へ移行することが出 来る。

 即ち、本実施形態の不織布10では、不織 10の上面から下面にかけて連通した高密度領 域11と低密度領域12が、不織布10の面方向に分 散しているため、液体の量や液体の粘性に関 わらず、液体を拡散させることなく透過させ ることができ、且つ、不織布10の上面や不織 10内部に液体を残留させてしまうことを防 することができる。つまり、本実施形態の 織布10は、低拡散性、低残留性であり、液引 き込み性の良い不織布である。

 なお、不織布10における平均繊維密度より 繊維密度が高い高密度領域と、平均繊維密 よりも繊維密度が低い低密度領域の全てが 不織布の一方側から他方側へ連通していな ともよく、少なくとも1つの高密度領域11及 1つの低密度領域12が一方側から他方側へ連 していれば上記の効果が得られる。 
 また、高密度領域11だけでなく、低密度領 12においても、一方側よりも他方側の方が、 繊維密度が高くなっていても構わない。この 場合、液体は、低密度領域の毛管力を利用し て透過することができる。

 ここで、具体的な繊維密度について説明す 。但し、繊維密度は測定しにくいため、繊 密度の代替数値として、「繊維の平均空間 積」を用いる(詳細は後述)。 
 高密度領域11の平均空間面積を、300μm 2 以上であり1000μm 2 以下とし、好ましくは、400μm 2 以上であり800μm 2 以下であるとする。高密度領域の上面と下面 において繊維密度に差がある場合、上面側の 平均空間面積と下面側の平均空間面積との差 は、50μm 2 以上であり200μm 2 以下とし、好ましくは、60μm 2 以上~100μm 2 以下であるとする。 
 低密度領域の繊維間面積は、600μm 2 以上であり8000μm 2 以下とし、好ましくは、800μm 2 以上であり1000μm 2 以下であるとする。低密度領域の上面と下面 において繊維密度に差がある場合、上面側の 平均空間面積と下面側の平均空間面積との差 は、50μm 2 以上であり200μm 2 以下とし、好ましくは、60μm 2 以上100μm 2 以下であるとする。 
 そして、低密度領域12と高密度領域11との平 均空間面積の差は、150μm 2 以上であり7000μm 2 以下であるとし、好ましくは、200μm 2 以上1000μm 2 以下であるとする。

 その他、繊維密度の代替数値として、「 維間距離」を用いることができ、高密度領 11における繊維間距離は、例えば、15μm以上 であり95μm以下であるとし、低密度領域12に ける繊維間距離は、例えば、85μm以上であり 390μmであるとする。

〈製造方法及び構成繊維について〉
 加熱処理後の表面が凹凸形状となり、凸部 ある領域の方が凹部である領域よりも繊維 密集するように、熱融着性を有する熱収縮 繊維が配された繊維ウェブを、熱収縮性繊 が溶融可能、且つ、熱収縮可能な温度で加 処理し、加熱処理により形成された凹凸形 の凸部が押しつぶされるように、繊維ウェ を厚さ方向に押圧することで、前述のよう 不織布10を得ることができる。

 なお、繊維ウェブには、1種類に限らず、 複数種類の熱融着性を有する熱収縮性繊維を 配合してもよい。ここで、熱収縮性繊維とは 、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性 リマー材料を成分とする偏芯芯鞘型複合繊 、又はサイド・バイ・サイド型複合繊維が げられる。収縮率の異なる熱可塑性ポリマ 材料の例としては、エチレン-プロピレンラ ダム共重合体とポリプロピレンの組合せ、 リエチレンとエチレン-プロピレンランダム 共重合体の組合せ、ポリエチレンとポリエチ レンテレフタレートとの組合せ等が挙げられ る。これらの中でも、加熱処理時の温度(例 ば145℃)に対する収縮率が過度に高まり過ぎ 、且つ、制御しやすい偏芯芯鞘複合繊維で ることが好ましい。なお、偏芯芯鞘複合繊 の芯の位置を中心からずらす距離(偏芯)を 整することで、収縮率の制御が可能となる

 以下、繊維ウェブを厚さ方向の下側から 持部材により支持した状態で加熱処理する 織布製造方法について説明する。図5Aから 5Dは、本実施形態の不織布製造方法を示す図 である。まず、カード装置(不図示)により、 融着性を有する熱収縮性繊維22と、熱融着 繊維23とを混綿した原料を開繊することで、 所定厚さの繊維ウェブ21を連続的に形成する また、成形された繊維ウェブ内において、 収縮性繊維22と熱融着性繊維23は必ずしも均 等に存在する訳ではなく、熱収縮性繊維22が まっている領域とそうでない領域が形成さ る。なお、複数種類の熱収縮性繊維から繊 ウェブを形成してもよい。また、カード法 けでなく、エアレイド法によって繊維ウェ を形成してもよい。

 そして、図5Aに示すように、繊維ウェブ21を 通気性ネット20(表面が平面である板状の支持 部材、また、網の目構造となっている)上に せた状態で、所定温度により加熱処理する 即ち、繊維ウェブ21は下方側から支持された 状態で加熱処理される。 
 なお、具体例として、繊維ウェブ21をコン アにより搬送しながら、上面側から所定温 の熱風を噴きあてて加熱処理する方法が挙 られる(後述)。また、所定温度とは、熱収縮 性繊維22が溶融し、かつ、熱収縮する温度で る。例えば、繊維ウェブ21に噴きあてられ 熱風の温度は、138℃以上152℃以下の範囲と 、好ましくは142℃以上150℃以下とする。上 側方向からの熱風の風速は、0.7m/s程度が好 しい。

 その結果、図5Bに示すように、繊維ウェ 21内の各繊維は溶融しながら他の繊維と融着 し、繊維間が熱融着した繊維布24(ここでは加 熱処理前の繊維ウェブと区別するため、加熱 処理後の繊維ウェブを繊維布24とする)が形成 される。また、通気性ネット20で支持された と反対側の繊維布24の面(自由面)には、凹凸 構造(海島構造)が形成される。一方、繊維布2 4の支持された側の面(支持面)は、通気性ネッ ト20の表面に沿って、ほぼ平面な状態となっ いる。

 加熱処理の際に、繊維ウェブ21の自由面 の熱収縮性繊維22は、収縮動作が抑制されな いため、周囲の繊維(熱融着性繊維23など)を き込みながら、面方向に自由に収縮する。 ち、凹凸構造における凸部25は、熱収縮性繊 維が集まっている領域であり、また、熱収縮 性繊維22の熱収縮に乗じて、熱収縮性繊維22 取り込まれた繊維を多数有する。そのため 凸部25である領域の目付け(繊維量に相当)は 繊維布24における平均目付けよりも高い目 けとなっている。一方、凹部26は、もともと 熱収縮性繊維22があまり存在せず、熱融着性 維23が周囲の熱収縮性繊維22に取り込まれて 移動してしまった領域であり、凹部26である 域の目付けは、前記平均目付けよりも低い 付けとなっている。即ち、凸部である領域 方が凹部である領域よりも繊維が密集する また、加熱処理により、凹部26に存在して た繊維が凸部25に移動するため、凸部25と凹 26は隣り合って形成される。

 その後、図5Cに示すように、繊維布24の凹 凸構造が形成されている自由面側を厚さ方向 に凸部25が押しつぶされるように押圧する。 のとき一定の強さで凹部26の厚さ以下まで 圧すると、図5Dに示すように、略均一な厚さ の不織布10が得られる。また、押圧する際に 繊維布24が所定温度で加熱された状態であ と、凸部が押しつぶされやすく、凹凸形状 あった自由面側をより平面形状にすること できる。そして、凸部25が押しつぶされた領 域が高密度領域11となり、凹部26であった領 が低密度領域12となる。また、凸部25と凹部2 6が隣り合って形成されるため、高密度領域11 と低密度領域12も面方向に隣り合って存在す といえる。

 また、繊維布24の自由面側の凸部25を押圧 することで、高密度領域11が形成されるため 自由面側の繊維密度の方が支持面側の繊維 度よりも高くなっている。即ち、図5Dの自 面が前述の図3Bに示した不織布10の下面に相 し、図5Dの支持面が前述の図3Bに示した不織 布10の上面に相当する。

 以上のように不織布を製造することで、 織布10における平均繊維密度よりも高い繊 密度である高密度領域と、平均繊維密度よ も低い繊維密度である低密度領域とを有し 高密度領域と低密度領域が不織布10の厚さ方 向における一方側から他方側へ連通した不織 布を得ることができる。即ち、上記の製造方 法により、液引き込み性が良く、液体が残留 し難い不織布が得られる。

 また、繊維ウェブを下側から支持した状 で加熱処理することで、繊維ウェブの片面( 自由面側)のみに凹凸形状が形成されるため 高密度領域11において、自由面側の繊維密度 の方が支持面側の繊維密度よりも高くなるよ うに不織布10を製造することができる。

 また、高密度領域11と低密度領域12とが面方 向に分散し、高密度領域11が不織布の厚さ方 に連通した不織布が好適に製造されるため 、繊維ウェブ21が加熱処理された時点(図5B) 凸部25の目付け(2Xg/m 2 )が凹部26の目付け(Xg/m 2 )の2倍以上となるようにするとよい。そのた に、「繊維物性」と「製造条件」をコント ールすれば、所望の繊維の凹凸構造を形成 ることができる。

 具体的な繊維物性として、加熱処理によ 所定温度を145℃とする場合、用いる熱収縮 繊維の145℃における熱収縮率を10%以上60%以 とし、好ましくは15%以上40%以下とする。

 なお、熱収縮率の測定方法として、例えば (1)測定する繊維100%で200g/m 2 の繊維ウェブをカード機にて作成、(2)250×250m mの大きさにカット、(3)ウェブをクラフト紙 挟む(熱風が直接当たらないため、且つ、繊 が滑り易く熱収縮しやすいように)、(4)145℃ のオーブン内に5分間放置、(5)熱収縮後の長 寸法を測定、(6)熱収縮前後の長さ寸法差か 算出することで、熱収縮率を算出すること できる。

 熱収縮性繊維22の繊維長は短いほど移動 易いが、移動し過ぎると、高密度領域11と低 密度領域12の密度差が大きくなりすぎてしま ため、繊維長は25mm以上であり70mm以下とし 好ましくは25mm以上40mm以下とする。ゆえに、 繊維ウェブは、比較的に長繊維を使用するカ ード法で成形することが好ましい。なお、熱 収縮性繊維22の繊維太さは、1Dtex以上11Dtex以 程度が望ましい。

 また不織布10における熱収縮性繊維量は30 重量%以上100重量%以下とし、好ましくは70重 %以上100重量%以下とする。熱収縮性繊維22が 記の割合で配合されている場合には、不織 10の面方向に高密度領域11と低密度領域12を 散させて形成することができる。

 そして、製造条件をコントロールすると 、例えば、加熱処理時の熱風圧(風速)を高 れば、繊維ウェブ21が通気性ネット20に押さ つけられるため、繊維は移動しにくくなり 熱風圧(風速)を低めれば、繊維は移動しや くなる。また、温度によっても熱収縮率を えることができ、繊維の移動状態によって 速や温度を調整することが可能である。

 以下、2種類の熱収縮性繊維が混合された繊 維ウェブ21から不織布10を製造する方法につ て、詳しく説明する。図6は、不織布製造装 の一例を示す図である。まず、不織布製造 置は、開繊工程においてカード装置50によ 第1熱収縮性繊維51Aと第2熱収縮性繊維51Bとを 混綿した原料を開繊することで所定厚さの繊 維ウェブ21を連続的に形成する。なお、第1熱 収縮性繊維51A、又は、第2熱収縮性繊維51Bの ちらか1種類の熱収縮性繊維だけで繊維ウェ 21を形成することもできる。 
 そして、繊維ウェブ21は、第1搬送工程にお てコンベア52、53により加熱装置54の入り口 で搬送される。この第1搬送工程上の繊維ウ ェブ21は、繊維同士の自由度を維持した状態 ある。

 次に、繊維ウェブ21は、加熱装置54の内部で コンベア55により速度S1で搬送されながら加 処理される。具体的には、コンベア55により 搬送されている繊維ウェブ21の上面側から所 温度の熱風を噴きあてて加熱処理する。所 温度とは、第1熱収縮性繊維51Aと第2熱収縮 繊維51Bが溶融し、かつ、熱収縮する温度で り、この熱風により、繊維ウェブ21は支持部 材20に押さえつけられた状態で加熱される。 のため、支持部材20が当接する側の繊維ウ ブ21の熱収縮性繊維は、摩擦等により熱収縮 が抑制される。 
 こうして、繊維ウェブ21の支持部材20側は平 面形状となり、支持部材20側と反対側の自由 側は凹凸形状となる。なお、加熱処理によ 、繊維ウェブ21(繊維布24)は、繊維同士が融 した状態となる。

 その後、ロール56により凸部が押しつぶ れるように繊維ウェブ21を押圧する。ロール 56は、第1搬送ロール57A、第2搬送ロール57Bと 間に位置する繊維ウェブ21の自由面と当接す るように配置される。そして、繊維ウェブ21 ロール56により一定の強さで押圧され、略 一な厚さの不織布10が形成される。ここで、 ロール56は、所定温度に加熱されていること 好ましく、所定温度に加熱されたロール56 繊維ウェブ21の自由面に当接することで、凸 部が厚さ方向に好適に押しつぶされる。こう して形成された不織布10は、最終的には巻取 部58に巻取られる。

 次に、図6とは異なる押圧方法について説 明する。図7は、図6と比べて、搬送ロール57A 57Bの配置が異なる。図6では、第1搬送ロー 57Aと第2搬送ロール57Bとの間の繊維ウェブ21 ロール56と当接する。これに対して、図7の 1搬送ロール57Aは、第1搬送ロール57Aとロール 56とにより繊維ウェブ21を挟むようには配置 れておらず、図7の繊維ウェブ21は図6の繊維 ェブ21に比べて、ロール56と当接する距離が 短く、図7の不織布10は、図6の不織布10よりも 弱い力で押圧されることになる。つまり、搬 送ロール57A、57Bの配置を調整することで、繊 維ウェブ21を押圧する力を調節することがで る。

 図8では、加熱装置54の出口近傍にロール5 9を配置して、加熱処理されたばかりで、所 温度を維持した状態である繊維ウェブ21の自 由面にロール59を当接させる。これにより、 部を好適に押しつぶすことができる。また 図9に示すように、ロール61により繊維ウェ 21を押圧する前に、加熱装置60により、再度 、繊維ウェブ21を加熱処理してもよい。

 他に、図10に示すように、ロール等によ 押圧処理することなく、巻取り部58により不 織布10(繊維ウェブ21)を径方向に積層するよう に巻き取ることで、繊維ウェブ21の自由面に 成された凸部を厚さ方向に押しつぶすこと できる。特に、平面形状である繊維ウェブ2 1の支持面側と、凹凸形状である繊維ウェブ21 の自由面側とが対向するように巻き取られる ため、均一に繊維ウェブ21の自由面側を押圧 ることができる。

 更に、図11では、加熱装置54の前半部分に おいて、通気性のある上側支持部材62を水平 向に対して所定の角度をなすように配置し 繊維ウェブ21と上側支持部材62が当接しない ようにする。一方、加熱装置54の後半部分で 、上側支持部材62を水平方向に対して平行 配置し、繊維ウェブ21の上面と上側支持部材 62が当接するようにする。また、下側支持部 63は水平方向に対して平行に配置し、加熱 置54における入口から出口まで繊維ウェブ21 下面側から支持する。

 このような加熱装置54に搬入された繊維 ェブ21は、加熱装置54の前半部分において、 面側を支持された状態で、上側支持部材62 通気した熱風が噴きあてられ、その結果、 維ウェブ21の上面側に凹凸形状が形成される 。その後、加熱装置54の後半部分において、 維ウェブ21は、下側支持部材63と上側支持部 材62とに挟み込まれるようにして搬送され、 維ウェブ21の上面側に形成された凸部が押 つぶされるように押圧される。

〈不織布製造方法の変形例〉
 前述の不織布製造方法とは異なり、この変 例では、繊維ウェブ21に対して、厚さ方向 両側から所定温度の熱風が噴きあてられる うに加熱処理する。例えば、加熱装置内(不 示)に、繊維ウェブ21の上側と下側に、通気 のある支持部材がそれぞれ配置され、繊維 ェブ21に対して、下側から所定温度の熱風 噴きあてると共に、上側からも所定温度の 風を噴きあてることで、繊維ウェブ21を加熱 処理する。即ち、加熱装置内の繊維ウェブ21 、下側の支持部材から離間された状態で、 つ、上側の支持部材からも離間した状態で 熱処理される。なお、繊維ウェブ21に対し 、上側と下側から交互に熱風を噴きあてて よい。

 即ち、前述の不織布製造方法では、加熱 理によって、自由面側にのみ凹凸形状が形 されるのに対して、この変形例では、繊維 ェブ21の下側が支持部材に支持されること く加熱処理されるため、繊維ウェブ21の両面 に凹凸形状が形成される。そして、両面に凹 凸形状が形成された繊維ウェブ21を押圧する とで、前述の不織布の高密度領域11のよう 、自由面側の繊維密度の方が支持面側の繊 密度よりも高くなり、高密度領域のうちの 維密度が高い領域が片面側(自由面側)に偏っ て形成されることがなくなる。つまり、変形 例により製造された不織布では、厚さ方向の 一方側の繊維密度の方が他方側の繊維密度よ りも高くなった高密度領域もあれば、逆に、 他方側の繊維密度の方が一方側の繊維密度よ りも高くなった高密度領域もあり、高密度領 域のうちの繊維密度が高い領域が不織布の両 面に均等に形成される。

〈分散指数(平均吸光度の標準偏差)について
 本実施形態の不織布製造方法により製造さ る不織布10では、面方向に高密度領域11及び 低密度領域12が分散して形成される。この分 度合いを、例えば、分散指数(平均吸光度の 標準偏差)で示すことができる。

 「分散指数」である「平均吸光度の標準 差」とは、不織布10の下から照射した際の 織布の明暗ムラ(ばらつき)を示す値である。 所定の測定器(例えば、フォーメーションテ ター(品番:FMT-MIII、野村商事株式会社製))を いることで測定及び算出することができる 測定条件は、例えば、カメラ補正感度が100% 2値化閾値±%:0.0、移動画素が1、有効サイズ 25×18cmで、製造工程において支持部材によ 支持された面を表側にして測定することが きる。また、その他の公知の測定方法でも 散指数を測定することができる。

 そして、本実施形態の不織布10における 散指数は250以上であり450以下であるとし、 ましくは280以上であり410以下であるとする

 仮に、分散指数が250よりも小さい場合に 、高密度領域11と低密度領域12とが均一状態 に近づきすぎる、即ち、高密度領域11と低密 領域12の密度差が少なくなるため、それぞ の領域による効果(低密度領域12の低拡散性 、高密度領域11の液引き込み性及び低残存性 )を得られないおそれがある。逆に、分散指 が450よりも大きい場合には、繊維の密度む が大きくなり過ぎてしまい、例えば、高密 領域11の密度が極端に高くなってしまうおそ れがある。そうすると、不織布10内部に引き んだ液体を高密度領域11にて、留まってし うおそれがある。一方、低密度領域では、 端に繊維が少なくなり、少量の液体は、低 度領域内に残留してしまうおそれがある。 うすると、例えば、表面シートと吸収体の に分散指数が450よりも大きい不織布を配置 た吸収性物品では、表面シートから引き込 だ液体は高密度領域内に残留し、液体が吸 体へ移行しない。そして、高密度領域内の 体がオーバーフローしてしまうと、密度差 よる毛管力は働かなくなり、多量に排泄さ たり、繰り返し液体が排泄されたりすると セカンドシートや表面シートで液体が広く んで残留してしまう。

 そのため、本実施形態の不織布10におけ 分散指数を250以上であり450以下として、繊 ウェブの加熱処理の際に繊維が移動せずに 密度領域11と低密度領域12が形成されていな 不織布や、極端に高密度な領域が形成され しまった不織布を除外することができる。 まり、繊維ウェブの加熱処理の際に繊維が 度に面方向に移動したために、高密度領域1 1と低密度領域12が面方向に分散して形成され 、且つ、高密度領域11と低密度領域12の密度 が適当である不織布10を、本実施形態の不織 布10として得られることができる。

===吸収性物品について===
〈吸収性物品の概要〉
 以下、本実施形態の不織布製造方法により 造された不織布を用いた吸収性物品につい 説明する。図12Aは、吸収性物品の一例であ 生理用ナプキン30の斜視図であり、図12Bは 生理用ナプキン30の断面図である。

 本実施形態の吸収性物品(生理用ナプキン )30は、少なくとも一部が液透過性の表面シー ト31と、液不透過性の裏面シート33と、表面 ート31と裏面シート33との間に配置される液 持性の吸収体32と、表面シート31と吸収体32 の間に配置されるセカンドシート10を有す 。

 また、本実施形態の吸収性物品30のセカ ドシート10として、前述の不織布10を用いる 即ち、吸収性物品30のセカンドシート10には 、セカンドシート10における平均繊維密度よ も高い繊維密度である高密度領域11と、平 繊維密度よりも低い繊維密度である低密度 域12が形成され、高密度領域11と低密度領域1 2は共に表面シート31側から吸収体32側へ連通 ている。そして、高密度領域11と低密度領 12は、セカンドシート10の面方向に分散する うに形成されている。

 更には、前述の不織布10の高密度領域11で は、一方側よりも他方側の方が、繊維密度が 高くなっており(図3)、高密度領域11のうちの 維密度が高くなっている側(他方側、反ネッ ト面)が吸収体32側に向くように、表面シート 31と吸収体32の間に不織布10(セカンドシート) 配置されている。即ち、吸収性物品のセカ ドシート10の高密度領域11では表面シート31 よりも吸収体32側の方が、毛管力が高まる

〈生理用ナプキン〉
 本実施形態の吸収性物品30は、生理用ナプ ン、パンティーライナー、オムツ、失禁パ ド、陰唇間パッド等として利用することが きる。以下、生理用ナプキン30を例に挙げて 説明する。表面シート31が人体の肌側、裏面 ート33が下着側となるように、生理用ナプ ン30は装着される。図12Bに示すように、セカ ンドシート10(不織布)には、表面シート31側か ら吸収体32側へ連通している高密度領域11と 密度領域12が、セカンドシート10の面方向に 散するように形成されている。また、表面 ート31、セカンドシート10、吸収体32の順に 維密度が高まるとする。そのため、表面シ ト31上の液体は、毛管力によりセカンドシ ト10へと移行し、更にセカンドシート10から 収体32へ移行する。そして、液体は最終的 は吸収体32に保持される。

 図13Aから図13Dは、表面シート31に向けて 泄される液体40の吸収挙動を示す図である。 また、本実施形態の生理用ナプキン30では、 面シート31の上面側に凹凸が形成されてい とする。

 図13Aに示すように、生理用ナプキン30の 面シート31に経血等の液体40が排泄されると る。このとき、表面シート31の液体40は凹部 (溝部)に溜まるため、液体40の面方向への拡 が抑制される。そして、液体40は、表面シー ト31よりも繊維密度が高いセカンドシート10 移行する。このとき、流速の速い多量の液 が表面シート31に排泄された場合には、まず 、液体40の大部分が、繊維による抵抗が少な 低密度領域12内を通過して、吸収体32へ移行 する。このため、図13Bに示すように、多量の 液体が排泄された場合においても、低密度領 域12が厚さ方向に連通するため、液体40を素 く吸収体32へ移行することができ、液体40が 面シート31、及び、セカンドシート10におい て、面方向に拡散してしまうことを防止する ことができる。即ち、本実施形態の生理用ナ プキン30は、液体40の拡散が抑制される(スポ ト性がよい)。また、表面シート31の凹部に 孔部を形成してもよい。こうすると、表面 ート31からセカンドシート10へ液体をより好 適に移行することができる。

 図13Cに示すように、大部分の液体が吸収 32へ移行した後、表面シート31内に残留して いる液体40をセカンドシート10の高密度領域11 の毛管力により、セカンドシート10(高密度領 域11)内部へ引き込むことができる。そして、 高密度領域11内においても、表面シート31側 りも吸収体32側の方が、繊維密度が高くなっ ているため、毛管力により、引き込んだ液体 を吸収体32へ移行させることができる。なお セカンドシート10の高密度領域11の最も繊維 密度が高い領域(吸収体32側の領域)よりも吸 体32の繊維密度の方が高いとする。そうすれ ば、セカンドシート10の最下面(吸収体32との 界部)に到達した液体もセカンドシート10内 残留することなく吸収体32へ移行すること できる。

 また、液体40の大部分は、液体40が排泄さ れてから直ぐに、セカンドシート10の低密度 域12を通過して吸収体32へ移行するが、表面 シート31から移行してくる液体の量が少なく ると、表面シート31からの液体の勢いがな なり(流速が遅くなる)、液体40が低密度領域1 2中の繊維と繊維の間に残留してしまうおそ がある。しかし、本実施形態の生理用ナプ ン30のセカンドシート10(不織布)では、高密 領域11と低密度領域12が隣り合って形成され お互いの一部の繊維が絡まりあっているた 、低密度領域12内に残留している少量の液 40を高密度領域11の毛管力により引き込むこ ができる。そして、引き込んだ液体40は高 度領域11の毛管力により吸収体32へ移行され 。

 以上をまとめると、本実施形態の吸収性 品(生理用ナプキン30)は、表面シート31の凸 により、表面シート31上に排泄された液体 面方向に拡散してしまうことが抑制され、 た、表面シート31からの液体の大部分は、表 面シート31から吸収体32まで連通している低 度領域により、素早く吸収体32へ移行するこ とができるため、面方向に液体が拡散してし まうことを抑制することができる。

 そして、大部分の液体が吸収体32へ移行 た後に、表面シート31や低密度領域12に残留 ている少量の液体は高密度領域11に引き込 れる。そして、引き込まれた液体は、高密 領域11内における密度差と、高密度領域11と 収体32とにおける密度差による毛管力で、 収体32へ移行することができる。即ち、表面 シート31やセカンドシート10内に液体40が残留 することなく、吸収体32に吸収される。

 つまり、本実施形態の吸収性物品(生理用 ナプキン30)は、液体が拡散することなく透過 され、且つ、液引き込み性が良く、液体が残 留し難い吸収性物品である。そして、液体が 確実に吸収体32へ移行するため、液体排泄後 、表面シート31とセカンドシート10は所定の 状態まで乾燥することができる。その結果、 液体により使用者の肌を汚してしまったり、 使用者に不快感(ベタベタ感)を与えてしまっ りすることを防止でき、且つ、繰り返し液 が排泄されたとしても、表面シート31上に 体が溢れてしまう(面方向に拡散してしまう) ことなく、再び、液体が吸収体32に吸収され 。

 また、少量の液体しか排泄されなかった 合にも、高密度領域11により液体を確実に 収体32へ移行することができる。また、粘性 の高い液体であっても、繊維による抵抗が少 ない低密度領域12を透過することで、液体を 収体32へ移行することができる。即ち、本 施形態の吸収性物品(生理用ナプキン30)では 表面シート31に排泄される液体の粘性や液 量に関わらず、液体を吸収体32に吸収させる ことができる。

 不織布に用いる繊維を先に示したが、そ 繊維自体が不透明性、特には白化性の高い 維であることが好ましい。不透明性にする とによって、経血など色の濃い体液を吸収 た場合でも、体液自体の色を隠蔽できるた 視覚上清潔感を保たれやすい。さらには、 面シート31に開孔が設けられている場合、 孔部から吸収体に広がった経血が見えやす なるが、セカンドシート自体が、白化性が いと、開孔部からでも隠蔽性を得ることが 来る。

 具体的に示すと、光の透過を抑制する微 子状の光線透過抑制剤を含有する繊維にて 織布を作成する。不透明化させる光線透過 制剤として、例えば、無機フィラーを例示 きる。この無機フィラーとして、例えば、 化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレ 、カオリン、シリカ、珪藻土、炭酸マグネ ウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、 酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アル ニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、 化カルシウム、アルミナ、マイカ、ガラス 、シラスバルーン、ゼオライト、及び珪酸 土等を例示することができる。これらは2種 類以上を組み合わせて含有させても良い。特 に、一般に繊維製造段階の工程性等の面から 、二酸化チタンが好ましい。そして、この光 線透過抑制剤の平均粒径として、例えば、0.1 μm以上2μm以下、更には0.2μm以上1μm以下の範 である場合が好ましい。十分な隠蔽性(白さ )を得るためには、繊維重量における光線透 抑制剤としての二酸化チタンの含有率は1重 %以上、更には2重量%以上であることが好ま い。

 また、不織布を構成する繊維が芯鞘型複 繊維である場合、例えば、芯部における光 透過抑制剤の含有率は2重量%以上10重量%以 であることが好ましい。2重量%より小さいと 隠蔽性を得られにくく、10重量%より大きいと 繊維自体が柔らかくなりすぎて嵩を得られに くい。

 なお、生理用ナプキン30では、前述の1枚 不織布10をセカンドシートとして用いてい が、これに限らず、複数のセカンドシート( 織布10)を、表面シートと吸収体の間に配し も構わない。このとき、高密度領域11と低 度領域12のうちの少なくとも1つずつは表面 ート31側から吸収体32側へ連通するように、 数のセカンドシート(不織布10)が重ねられて いるとする。また、例えば、低密度領域12及 高密度領域11の繊維密度がそれぞれ異なる 織布10を積層して利用する場合には、厚さ方 向に密度差が生じるため、毛管力により液体 を下方(吸収体側)へ引き込むことができる。

 また、高密度領域11のうちの繊維密度が くなっている側(自由面、反ネット面)が吸収 体32側に向くように、表面シート31と吸収体32 の間に不織布10(セカンドシート)を配置する しているがこれに限らない。ここで、不織 10の自由面側(図5D)には、厚さ方向に連通し いない高密度領域も形成されているため、 由面側は、支持面側(ネット面)に比べて、高 密度領域が偏って形成されているといえる。 逆に、支持面側は、自由面側に比べて、低密 度領域が偏って形成されているといえる。

 前述の通り、セカンドシート(不織布10)の 低密度領域が偏って形成されている面(支持 側)を表面シート31側に配置した場合、表面 ート31における液体を吸収体32側に速やかに 行させることが可能である。逆に、低密度 域が偏って形成されている面を吸収体32側 配置した場合、表面シート31に含まれる液体 を好適に引き込んで吸収体32側に移行させる とができる。また、繊維(熱収縮性繊維)が 集した多くの領域が表面シート31に接すると 、表面シート31とセカンドシートとの摩擦が くなり、接合のための接着剤の使用量を低 できる場合がある。また、表面シート31と カンドシートの繊維が絡み合いやすくなり 吸収性物品においてヨレが生じる場合でも 表面シート31とセカンドシートがずれにくく なる場合がある。このように、不織布10の配 向きを調整することで、同じ不織布10であ ながら、異なる機能を発揮させることがで る。

 また、不織布10を折り畳んだ状態で、セ ンドシートとして使用することができる。 のとき、高密度領域11と低密度領域12のうち 少なくとも1つずつは、表面シート31側から 収体32側へ連通するように、不織布10が折り 畳まれているとする。この場合、例えば、高 密度領域11が偏って形成される面を内側にし 折り畳むことで、高密度領域が偏って形成 れる面が向き合うようになり、表面シート ら移行した液体を一時的に保持可能な領域 形成することができる。

 以下、本実施形態の吸収性物品の不織布( セカンドシート)以外の構成物について詳し 説明する。

〈表面シート〉
 表面シート31の液透過性領域は、例えば、 数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、 数の網目を有するネット状シート、液透過 の不織布、又は織布等で形成される。前記 脂フィルムやネット状シートは、ポリプロ レン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテ レフタレート(PET)等が挙げられる。

 開孔径(液透過孔径)は0.05mm以上3mm以下の 囲内、ピッチは、0.2mm以上10mm以下の範囲内 開孔面積率は、3%以上30%以下の範囲内である ことが好ましい。セカンドシート10の低密度 域12と一体的に複数の開孔を形成すること でき、開孔の配列は千鳥状、格子状、波状 ど、特に限定されない。開孔の形状として 、丸型、楕円型、四角型等が挙げられ、開 の周縁に弁が備えられていても良い。また 多数の液透過孔を形成すると共に、シリコ ン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、 の外面に体液が付着しにくいものとしても い。

 表面シート31の液透過性領域が不織布であ 場合、レーヨン等のセルロース繊維、合成 脂繊維等から形成されたスパンレース不織 、前記合成樹脂繊維で形成されたエアース ー不織布等を用いることができる。 
 他に、素材として、ポリ乳酸、キトサン、 リアルギン酸等の生分解性が可能な天然物 用いることもできる。

 表面シート目付は15g/m 2 以上100g/m 2 以下が好ましく、20g/m 2 以上50g/m 2 以下がより好ましく、30g/m 2 以上40g/m 2 以下が特に好ましい。目付が15g/m 2 よりも小さいと表面強度が十分に得られず、 使用中に破ける恐れがある。また100g/m 2 よりも大きい場合、過度のごわつきが発現し 、使用中に違和感を生じる。更には、長時間 使用の場合には、40g/m 2 を超えてしまうと、液体を表面シート31で保 してしまいベタベタした状態で維持され続 、不快に感じるようになってしまう。また 密度は0.12g/cm 3 以下で液透過性であれば特には限定されない 。密度がこれ以上の場合、表面シートの繊維 間をスムーズに透過することが難しい。経血 の場合、尿等にくらべ粘性が高いので密度が 低いものが好ましい。

〈裏面シート〉
 裏面シート33は、液不透過性のシートであ 、吸収体32に吸収された排泄物が外へ漏れ出 すのを防止できる材料が使用される。また、 透湿性素材とすることにより、装着時のムレ を低減させることができ、装着時における不 快感を低減させることが可能となる。 
 このような材料としては、例えば、ポリエ レン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とし 液不透過性フィルム、通気性フィルム、ス ンボンド等の不織布の片面に液不透過性フ ルムをラミネートした複合シート等が挙げ れる。好ましくは、疎水性の不織布、不透 性のプラスティックフィルム、不織布と不 水性プラスティックフィルムとのラミネー シート等を用いることができる。また、耐 性の高いメルトブローン不織布を強度の強 スパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でも い。

〈吸収体〉
 吸収体32は、経血等の液体を吸収して保持 る機能を有するもので、嵩高であり、型崩 し難く、化学的刺激が少ないものであるこ が好ましい。例えば、フラッフ状パルプも くはエアレイド不織布と高吸収ポリマーと らなる吸収体材料を例示できる。 
 フラッフ状パルプの代わりに、例えば、化 パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセ ート等の人工セルロース繊維を例示できる パルプは目付500g/m2、ポリマーは目付20g/m2( リマーは全体に分散している)で、パルプと リマーが全体に均一に分布した混合体を、 付け15g/m2のティッシュで包んだものが挙げ れる。 
 エアレイド不織布としては、例えば、パル と合成繊維とを熱融着させ又はバインダー 固着させた不織布を例示できる。高吸収ポ マー(SAP)としては、例えば、デンプン系、 クリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維 のポリマーを例示できる。吸収体32の形状及 び構造は必要に応じて変えることができるが 、吸収体32の全吸収量は、吸収性物品として 設計挿入量及び所望の用途に対応させる必 がある。また、吸収体32のサイズや吸収能 等は用途に対応して変動される。

===不織布の評価===
〈人工経血による吸収性の評価方法〉
 サンプルの吸収性を評価するために、人工 血にて液残存性、拡散性及びリウェット性 評価することができる。 
 ここで、人工経血の組成は以下の通りであ 。 
 イオン交換水1リットルに対して以下を配合 する。(1)グリセリン80g(2)カルボキシメチルセ ルロースナトリウム(NaCMC)8g(3)塩化ナトリウム (NaCl)10g(4)炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)4g(5)色素  赤色 102号8g(6)色素 赤色 2号2g(7)色素 黄色  5号2g
 測定器具として、例えば、1)オートビュレ ト(メトローム社(株)725型)、2)SKICON、3)色彩計 、4)穴あきアクリル板(中央に40mm×10mmの穴、 さ×幅=200mm×100mm、重量130g)、5)はかり、6)定 、7)人工経血、8)ストップウォッチ、9)ろ紙 用いる。

 評価サンプルは以下のように調製する。 面シートを、長さ×幅=100mm×60mm(任意)にカッ トし、目付と厚みを測定する。次いで、測定 サンプルである不織布を、長さ×幅=100mm×60mm( 任意)にカットし、目付と厚みを測定する。 収体として、NBパルプ吸収体を15gsmのティッ ュで包み、100mm×60mmにカットする。そして エンボス加工にて表面シート、不織布、吸 体を接合する。ヒンジエンボス(内々38mm)と る。

 評価手順は以下の通りに行う。1)穴の中 がサンプルの中央に合うようにアクリル板 重ねる。2)オートビュレットのノズルをアク リル板から10mm上の位置に合わせる。3)下記条 件にて1回目の人工経血を滴下する(速度:95ml/m in、滴下量:3ml)。4)滴下開始からストップウォ ッチをスタートし、表面から人工経血の大半 が無くなったら(動きが止まったら)ストップ 吸収速度を測定(A)。5)ストップと同時に、 のストップウォッチをスタートし、表面シ ト内の人工経血がなくなったら(動きが止ま たら)ストップし全乾速度を測定(B)。6)アク ル板を外す。7)滴下開始後1分経過して、拡 範囲とSKICON値(表面乾燥性)と色彩計(白度)を 測定(C、D、E)。8)2回目の人工経血を滴下する( 速度:95ml/min、滴下量:4ml)。9)滴下開始からス ップウォッチをスタートし、表面から人工 血の大半が無くなったら(動きが止まったら) ストップし吸収速度を測定(F)。10)ストップと 同時に、別のストップウォッチをスタートし 、表面シート内に人工経血がなくなったら( きが止まったら)ストップし全乾速度を測定( G)。11)アクリル板を外す。12)滴下開始後1分経 過して、拡散範囲とSKICON値(表面乾燥性)と色 計(白度)を測定(H、I、J)。13)ろ紙とアクリル 板をサンプルの上に載せ、50g/cm2おもりを更 載せ、1.5分放置。14)1.5分後、ろ紙の重量を 定し、1回目のリウェット率測定(K)。15)ろ紙 アクリル板をサンプルの上に載せ、100g/cm2 もりを更に載せ、1.5分放置。16)1.5分後、ろ の重量を測定し、2回目のリウェット率測定( L)。

 上記AからLにおける測定結果から、下記評 結果を得ることができる。 
1)1回目(3ml滴下):吸収速度[sec](A)、全乾速度[sec ](B)、拡散範囲(MD×CD)[mm](C)、SKICON値[μS](D)、白 度(E)[-](E)
2)2回目(4ml滴下(計7ml)):吸収速度[sec](F)、全乾 度[sec](G)、拡散範囲(MD×CD)[mm](H)、SKICON値[μS]( I)、白度(E)[-](J)
3)(1)リウェット率1回目(50g/cm2下)(K)、(2)リウェ ット率2回目(100g/cm2下)(L)

〈人工尿による吸収性の評価方法〉
 サンプルの吸収性を評価するために、人工 にて吸収速度、表面乾燥速度、拡散状態及 リウェットを評価することができる。 
 測定機器等として、例えば、(1)人工尿、(2) ュレットとロート(滴下速度が80ml/10secにな ようにビュレットを調整する)、(3)ビュレッ スタンド、(4)円筒(直径60mm 550g)、(5)ろ紙(例 えば、アドバンテックNo.2・100mm×100mm)、(6)3.5k g/100cm2の重り、(7)ストップウォッチ、(8)電子 秤、(9)定規、(10)はさみ等を用いる。

 上記人工尿の配合は、イオン交換水10リ トルに対し(I)、尿素を200g(II)、塩化ナトリウ ム(塩)(III)、硫酸マグネシウムを8g(IV)、塩化 ルシウムを3g(V)、色素:青色1号を約1g配合し 調製する。評価用のサンプルは、市販の使 捨てオムツ(商品名;ムーニーLサイズ、ユニ チャーム株式会社製)の不織布を取り除き、 定のトップシートと、セカンドシートとし の不織布(例えば、高密度領域が偏って形成 される自由面側がトップシートに対面するよ う配置)を用いて調製する。

 評価手順は以下のようにして行う。例え 、以下の手順における評価を10分間1サイク )として3回繰り返して評価することができ 。(1)リウェット滴下位置に、マジックで印 つける。(2)サンプルの重量とリウェット滴 位置の厚みを測定する(サンプル重量が合っ いるか確認)。(3)滴下位置の上方10mmの位置 ビュレットを固定する。(4)ビュレットを滴 位置(円筒の中央)に置き、人工尿を滴下する 。と同時に、ストップウォッチで吸収速度の 測定を開始する。(5)円筒内の人工尿が完全に 吸収され、表面から無くなったら、ストップ ウォッチを一時停止する。(6)トップシートに 残っている液体が完全にセカンドシート側に 移行したら再度ストップウォッチを一時停止 する。(7)50g前後のろ紙の重量(A)を量り、記入 する。(8)滴下開始5分後に、(7)の重量測定済 ろ紙を、ろ紙の中央位置と滴下位置を合わ てサンプル上に置き、その上に重りを重ね 。(9)滴下開始8分後(重りを置いてから3分後) 重りを外して、ろ紙の重量(B)を測定し、記 する。(10)2回目以降がある場合、滴下開始10 分後、次回の測定を開始する。(11)測定を3回 り返す。(12)測定回数を全て終了したら、各 回の拡散長を測定する。

 拡散長は、肌面側における吸収体表面で 散している縦方向の一番長い箇所を吸収体 平行に定規をあてて測定する。リウェット は、「リウェット後ろ紙重量(B)―ろ紙重量( A)」により測定する。

〈本実施形態の不織布の評価〉
 実際に不織布を製造し、分散指数や吸収性 評価を行った。不織布の製造条件や評価結 等を以下に説明する。図14は、実施例にお る不織布の構成及び平均吸光度の測定結果 説明する表であり、図15は、実施例Dにおけ 不織布を重ね合わせた場合における平均吸 度の測定結果を説明する表であり、図16は、 実施例における不織布の人工尿による吸収性 の評価結果を説明する表であり、図17は、実 例における不織布の人工経血による吸収性 評価結果を説明する表であり、図18は、実 例Dにおける繊維間の平均空間面積の測定結 を説明する表である。

 本発明における不織布を以下の条件で製造 た。 
(1)繊維構成
 図14の表に記載した繊維構成により、実施 AからE、比較例A、Bの不織布を製造した。

(2)製造方法
(a)図14の表に示した繊維構成を速度20m/分のカ ード機によって開繊し繊維ウェブを作成する 。そして、繊維ウェブを幅が450mmとなるよう カットする。 
(b)繊維ウェブをMD300mm×CD300mmにカットした状 で20メッシュの通気性ネット上に載せ、速度 3m/分で搬送し、温度145℃(418.15K)、風速0.7m/s、 長さ1.5mの加熱装置(オーブン)内を約30秒で加 しながら搬送する。 
(c)反ネット面の凹凸を押圧する。

(3)高密度領域と低密度領域の混在比率(分散 )の測定
 図14に示す表に記載の通り、各種不織布に ける分散指数を測定した。分散指数の測定 果も図14の表に示す通りである。 
 実施例AからEにおける分散指数は、287から39 6の範囲内であった。上述した分散指数の範 である250以上であり450以下であった。ここ 、比較例Aは熱融着性繊維のみで構成され平 方向において粗密が略均一な超低密度シー である。この比較例Aにおける分散指数は204 であった。比較例Bも熱融着性繊維のみで構 され平面方向において粗密が均一な超高密 シートである。この比較例Bにおける分散指 は206であった。 
 また、図15の表に示すように、実施例Dの不 布を重ね合わせた不織布についての分散指 を測定した。図15の表の測定結果より、実 例D、実施例Dを2枚重ねた不織布である実施 D2及び、実施例Dの不織布を3枚重ねた不織布 ある実施例D3における分散指数は、それぞ 大きな差異がなく近似した範囲の値であっ 。これにより、本発明における不織布を複 枚重ねた不織布も、1枚の不織布と同様の吸 性を有することが期待される。

(4)吸収性の評価
A人工尿による吸収性の評価
 上述の評価方法に沿って、実施例A、E、比 例A、Bについて、人工尿による吸収性の評価 を行った。図16の表に示される評価結果より 実施例A、Eをセカンドシートとして使用し 吸収性物品は、吸収速度が速く、かつ、表 シートから吸収体への液体の移行(液ハケ速 )が速い。これに比べて、比較例Aは、吸収 度は速いものの、表面シートから吸収体へ 液体の移行は遅い。また、比較例Bは、表面 ートから吸収体への液体の移行は速いもの 、吸収速度は遅い。 
 上記より、実施例A、Eの不織布をセカンド ートとして用いた吸収性物品は、吸収速度 速く、かつ、表面シートから吸収体への液 の移行が速い。つまり、実施例A、Eの不織布 は液体が透過する際の拡散性が低く、表面シ ートから吸収体への液体の移行を妨げない。

B.人工経血により吸収性の評価
 上述の評価方法に沿って、実施例D1、D2、比 較例A、Bについて、人工経血による吸収性の 価を行った。つまり、実施例D1、D2、比較例 A、Bを、吸収性物品におけるセカンドシート して用いた吸収性物品の吸収性の評価を行 た。ここで、実施例D1は、実施例Dにおける 由面(反ネット面、高密度領域が偏って形成 されている面)を内側にして折り重ねた不織 であり、実施例D2は、実施例Dにおける自由 (反ネット面、高密度領域が偏って形成され いる面)を外側にして折り重ねた不織布であ る。吸収評価用サンプルにおける表面シート として、以下の表面シートを使用した。

<表面シートの繊維構成>
 上層に高密度ポリエチレンとポリエチレン レフタレートの芯鞘構造で、平均繊度3.3dtex 、平均繊維長51mm、親水油剤がコーティング れた繊維Aを、下層側に高密度ポリエチレン ポリプロピレンの芯鞘構造で平均繊度3.3dtex 、平均繊維長51mm、親水油剤がコーティング れた繊維Bと高密度ポリエチレンとポリエチ ンテレフタレートの芯鞘構造で、平均繊度2 .2dtex、平均繊維長51mm、親水油剤がコーティ グされた繊維Cとを50/50の割合で混合した繊 を使用した。上下層の比は16:9でトータルの 付は30gsmである。

<表面シートの製造方法>
 速度20m/分のカード機によって開繊し繊維ウ ェブを作成し、幅が450mmとなるように繊維ウ ブをカットする。繊維ウェブをスリーブの に載せ、速度3m/分の20メッシュの通気性ネ ト上に搬送する(上層側がメッシュに対面す )。その後、前記通気性ネットで搬送した状 態で温度125℃、熱風風量10Hzで設定したオー ン内を約30秒で搬送させる。

<評価用サンプル調製>
 吸収評価用サンプルの試作内容は、上記表 シート、実施例D1、D2、比較例A、Bそれぞれ 、長さ100mm×幅70mmにカットする。そして、 みが5mmになるように調整した500g/m2のフラッ パルプを16g/m2のティッシュで挟んだ吸収コ に重ね、最も幅が狭い部分が38mmになるよう に設定したヒンジエンボスにて吸収コアと表 面シートとセカンドシートである上記各不織 布を接合して、評価用サンプルを調製した。

<測定方法及び測定結果>
 上記調製した各サンプルについて、上述の 価方法の説明に記載の手順に沿って吸収性 評価を行った。測定結果は、図17の表に記 の通りである。図17の表に示すように、実施 例D1、D2における不織布をセカンドシートし 使用した吸収性評価用サンプルは、比較例A Bにおける不織布をセカンドシートとして使 用した吸収性評価用サンプルに比べて、全般 的に浸透時間は短く、全乾燥時間は短く、表 面拡散面積も少ない。

 特に、実施例D1、D2における不織布をセカ ンドシートとして使用した吸収性物品サンプ ルは、比較例A、Bにおける不織布をセカンド ートして使用した吸収性評価用サンプルに べて、特に全乾燥時間が短く、表面拡散面 が狭い。これらのことから、実施例の不織 をセカンドシートとして用いた吸収性評価 サンプルは、液体が透過する際の拡散性が く、表面シートから吸収体への液体の移行 妨げない。

 また、表面の乾燥性に優れているといえ 更には繰りかえし乾燥性を有しているとい る。更に、表に示すように、実施例D1、D2に おける不織布をセカンドシートして使用した 吸収性評価用サンプルは、比較例A、Bにおけ 不織布をセカンドシートとして使用した吸 性評価用サンプルに比べて、リウェット率 低い。本発明における不織布をセカンドシ トとして使用した吸収性物品は、リウェッ 率が低い吸収性物品とすることができる。 面シートからの液体を好適に吸収体側へ移 させているといえる。

 ここで、比較例Aのような均一な低密度不 織布は、吸収速度は速いが、表面シート中に 液が入ってからの乾燥速度が遅い。また、低 密度であるため毛管現象も起こりにくく、表 面シート上に液が取り残されやすくなる。そ のため、表面シートの乾燥性が悪い。また、 比較例Bのような均一な高密度不織布は、吸 速度が遅くなり、表面シートの中に液が入 にくくなる。実施例における不織布を用い ことで、低密度領域での吸収速度、高密度 域での液引き込み性により表面シートから 収体への液体の移行を妨げないようにする とが可能である。

(5)繊維密度(繊維の平均空間面積)の評価
 実施例Dの高密度領域と低密度領域における 繊維の平均空間面積を測定した。1)サンプル (実施例D)の観察面を上にして観察台に載せ 。2)所定の測定器(例えば、デジタルマイク スコープ、品番:VHX-100、キーエンス株式会 製)を用いて、繊維面を撮影し、繊維の二値 画像を得る。3)二値化画像中の空間面積(繊 が存在しない領域の面積:μm 2 )を、二値化画像中に存在する空間の数で割 た値が、繊維の平均空間面積(=空間面積/空 個数)である。

 図18の表に示すように、実施例Dの高密度 域の平均空間面積は低密度領域の平均空間 積よりも小さく、それぞれの平均空間面積 、前述の好ましい値の範囲内に含まれてい 。また、高密度領域と低密度領域の平均空 面積の差も、前述の好ましい範囲内に含ま ている。そして、支持面側(一方側)の平均 間面積は自由面側(他方側)の平均空間面積よ りも大きく、支持面側(一方側)よりも自由面 (他方側)の方が、繊維密度が高くなること 分かる。

 即ち、前述の製造方法や繊維構成に基づ て製造した実施例Dは、高密度領域と低密度 領域を有し、高密度領域と低密度領域は一方 側から他方側に連通し、且つ、高密度領域に おいて、一方側よりも他方側の方が、繊維密 度が高くなっている不織布である。そのため 、実施例Dは、上記の評価結果からも分かる うに、高密度領域と低密度領域のそれぞれ 性質を兼ね合わせた不織布となる。

 以上、前述の実施形態は、本発明の理解 容易にするためのものであり、本発明を限 して解釈するためのものではない。本発明 、その趣旨に逸脱することなく、変更、改 され得ると共に、本発明にはその等価物が まれることはいうまでもない。