Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
NORBORNENE POLYMERS BEARING BIOLOGICALLY ACTIVE SUBSTANCES BONDED THERETO, PROCES FOR PRODUCTION OF THE SAME AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022477
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a polymer wherein a biologically active substance is distributed uniformly at a high density. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The problems can be solved by selecting and using polynorbornene as the polymer.

Inventors:
WAKATSUKI YASUO (JP)
IIDA TAKASHI (JP)
OGAWA SHOJIRO (JP)
TAKANO SHIGENAGA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053758
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
March 03, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV NIHON (JP)
WAKATSUKI YASUO (JP)
IIDA TAKASHI (JP)
OGAWA SHOJIRO (JP)
TAKANO SHIGENAGA (JP)
International Classes:
C08G61/08; A61K9/70; A61K31/566; A61K31/573; A61K31/575; C07J1/00; C07J5/00; C07J9/00; G01N33/68
Domestic Patent References:
WO2006024184A12006-03-09
Foreign References:
JP2003502488A2003-01-21
JP2001048964A2001-02-20
Other References:
J. AM. CHEM. SOC., vol. 116, 1994, pages 12053 - 12054, XP002000244
SANDERS WILLIAM J ET AL: "Inhibition of L-selectin-mediated Leukocyte by Synthetic Glycoprotein Mimics", JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 274, no. 9, pages 5271 - 5278, XP000882907
Attorney, Agent or Firm:
MOEGI PATENT OFFICE (Minato-ku, Tokyo 01, JP)
Download PDF:
Claims:
 生理活性物質を化学結合したノルボルネン系高分子重合体。
 重合体鎖のくり返し単位が下記の式(1)の構造である請求項1記載のノルボルネン系高分子重合体。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質であり、くり返し単位数(重合度)は10~4000である。m、p、q、rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基;または極性基を表す。)
 重合体鎖のくり返し単位が下記の式(2)の構造である請求項1記載のノルボルネン系高分子重合体。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質、くり返し単位数(重合度)は10~4000である。m、p、q、rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基;または極性基を表す。)
 生理活性物質Sが、ステロイドである請求項1~3のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体。 
 生理活性物質Sが、ホルモンである請求項1~3のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体。
 リンカーLが、-(X)n-CO-O-(Y)n’-、-(X)n-CO-NH-(Y)n’-、-(X)n-O-(Y)n’-、-(X)n-Si-O-(Y)n’-のいずれかである請求項1~5のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体。
(但し、X, Yは、それぞれ独立にCH 2 、フェニレン基もしくはそれらの混成体であり、n、n’は0~20の整数を表す。)
 下記の式(3)で表される生理活性物質が結合したノルボルネン誘導体モノマー。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質を表す。m、p、q、rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基;または極性基を表す。)
 生理活性物質Sが、ステロイドである請求項7に記載のノルボルネン誘導体モノマー。
 生理活性物質Sが、ホルモンである請求項7に記載のノルボルネン誘導体モノマー。
 リンカーLが、-(X)n-CO-O-(Y)n’-、-(X)n-CO-NH-(Y)n’-、-(X)n-O-(Y)n’-、-(X)n-Si-O-(Y)n’-のいずれかである請求項7~9のいずれかに記載のノルボルネン誘導体モノマー。
(但し、X, Yは、それぞれ独立にCH 2 、フェニレン基もしくはそれらの混成体、n、n’は0~20の整数を表す。)
 請求項1~6のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体からなるフィルム。
 次の工程からなる請求項1~6のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体の製造方法。
(1)リンカーとなりうる官能基を有するノルボルネン誘導体と生理活性物質とを反応させて生理活性物質が結合したノルボルネン誘導体モノマーを製造する工程
(2)該モノマーをメタセシス重合触媒の存在下で開環メタセシス重合(ROMP)させる工程
 触媒が周期表第4族から第10族までの遷移金属元素より選択された一種類の遷移金属のカルベン錯体またはその誘導体、もしくは遷移金属カルベン種を反応系中で発生しうるメタセシス重合触媒である請求項12に記載のノルボルネン系高分子重合体の製造方法。
 請求項1~6のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体を含む徐放性医薬。
 請求項11に記載のフィルムからなる貼付薬。
 請求項1~6のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体から生理活性物質を除去したノルボルネン系高分子重合体を含む生理活性物質識別用センサ。
 請求項11に記載のフィルムから生理活性物質を除去したフィルムからなる生理活性物質識別用センサ。
 請求項1~6のいずれかに記載のノルボルネン系高分子重合体から生理活性物質を除去したノルボルネン系高分子重合体を含む生理活性物質分析剤。
 請求項11に記載のフィルムから生理活性物質を除去したフィルムからなる生理活性物質分析剤。
Description:
生理活性物質を結合したノルボ ネン系高分子重合体、その製法及び用途

 本発明は、生理活性物質を結合したノルボ ネン系高分子重合体、その製法及び用途に する。
 より具体的には、本発明は、徐放性医薬な に用いることができ、また当該生理活性物 用のセンサや分析剤などに誘導することが きる、ステロイドやホルモンなどの生理活 物質を化学結合したノルボルネン系高分子 合体に関する。
 また、本発明は、生理活性物質を結合した ルボルネン誘導体モノマーにも関する。

 ステロイド、ホルモンなどの生理活性物質 高分子重合体に保持させることによって、 理活性物質の放出速度など、その機能を調 することは従来から行なわれている。
 例えば、生理活性物質と重合体とを溶解し 混合した後溶媒を留去して混合物固体を形 させる方法である。しかし、このような方 では、生理活性物質を重合体中に高密度均 に分散保持させることは困難である。濃度 ムラがあると徐放のコントロールが難しく 高密度均一分散できなければ分析剤に誘導 た場合、高感度分析に用いることができな 。
 また、生理活性物質を固定化できる官能基 有するモノマーに生理活性物質を固定化し 後共重合し、共重合体から該分子を除去し バイオセンサを製造する方法も知られてい が(特許文献1,2)、いずれもビニル系の共重 体であり、嵩高な生理活性物質の固定化密 には限界があった。例えばステロイド類を 象とした例として、アクリル酸とステロイ 類とを結合して得たモノマーをラジカル重 させる方法もあるが、ステロイドのような 高い置換基を有するビニルモノマーの重合 ため、単独重合は困難であり、大量の架橋 モノマーとの共重合が行われている。架橋 合体のため不溶であり、共重合体の分子量 生理活性分子含有率の測定が不能となり、 理活性物質の取り込み量や均一性を確認で ない。また、不溶のためフィルム化も不可 である。さらに、共重合しか進行しないた にステロイド類の固定化密度にも限界があ (非特許文献1)。
 そこで、生理活性物質が高密度で均一に分 しており、かつ溶解性をもってフィルム化 も対応できるような高分子重合体が要望さ る。

特開2006-231262号公報

特開2006-337220号公報 Karube、Macromolecules 30(1997)1317

 本発明は、上記のような従来技術の問題 を解決すること、すなわち、生理活性物質 高密度で均一に分布保持しており、かつフ ルム化にも対応可能な高分子重合体を提供 ることを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意 究した結果、高分子重合体としてノルボル ン系重合体を選択して用いることで、上記 題が解決できることを見出した。
 すなわち、本発明者らは、生理活性物質を ルボルネンに対して1:1結合させたモノマー 生成して開環メタセシス(ROM)重合させるこ によって、生理活性物質が結合したノルボ ネン系高分子重合体を製造することができ ことを見出した。ステロイドやホルモンな 、分子量の大きい嵩高な生理活性物質であ ても、ノルボルネンに化学結合させたモノ ーであれば重合させることができる。通常 あれば、嵩高な生理活性物質が重合を阻害 るが、ノルボルネンはその構造上当該分子 二重結合から離れた位置に導入でき、かつ 重結合の持つ高歪みのためROM重合しやすい で、重合が妨げられない。嵩高な生理活性 質をノルボルネンに化学結合させるに際し は、ノルボルネンにエステル基などのリン ーを介して結合させるのが有利である。
 また、1:1結合させたモノマーを単独重合さ ることができるので、重合体中の生理活性 質の密度を高密度、かつ均等に保持するこ ができる。
 さらに、このようにして得た生理活性物質 化学結合したノルボルネン系高分子重合体 、リンカー部分が加水分解するなどにより 生理活性物質を徐々に放出することができ ので、徐放性医薬として応用することがで る。また、本発明の重合体は容易にフィル 化することができるので、貼付薬などに応 することもできる。
 さらにまた、生理活性物質が化学結合した ルボルネン系高分子重合体から生理活性物 を加水分解などにより強制的に脱離あるい 除去することによって、重合体に生理活性 質の脱離孔が形成される。そこには、当該 理活性物質を再度特異的に嵌合して収容す ことができるので、生理活性物質を特異的 認識するセンサや分析剤としての用途を生 だすことができた。本発明では、生理活性 質を高密度均一に保持させることができる で、高感度なセンサや分析剤が得られる。

 すなわち、本発明は、次に関するものであ 。
 (1)生理活性物質を化学結合したノルボルネ 系高分子重合体。
 (2)重合体鎖のくり返し単位が下記の式(1)の 造である上記(1)記載のノルボルネン系高分 重合体。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質であり 、くり返し単位数(重合度)は10~4000である。m p、q、rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子 塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸 原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ 原子を含む連結基を有してもよい、置換も くは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基; たは極性基を表す。)
 (3)重合体鎖のくり返し単位が下記の式(2)の 造である上記(1)記載のノルボルネン系高分 重合体。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質、くり 返し単位数(重合度)は10~4000である。m、p、q、 rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子 塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸 原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ 原子を含む連結基を有してもよい、置換も くは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基; たは極性基を表す。)
 (4)生理活性物質Sが、ステロイドである上記 (1)~(3)のいずれかに記載のノルボルネン系高 子重合体。 
 (5)生理活性物質Sが、ホルモンである上記(1) ~(3)のいずれかに記載のノルボルネン系高分 重合体。
 (6)リンカーLが、-(X)n-CO-O-(Y)n’-、-(X)n-CO-NH-(Y )n’-、-(X)n-O-(Y)n’-、-(X)n-Si-O-(Y)n’-のいずれ である上記(1)~(5)のいずれかに記載のノルボ ルネン系高分子重合体。
(但し、X, Yは、それぞれ独立にCH 2 、フェニレン基もしくはそれらの混成体であ り、n、n’は0~20の整数を表す。)
 (7)下記の式(3)で表される生理活性物質が結 したノルボルネン誘導体モノマー。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質を表す 。m、p、q、rはそれぞれ独立に0~4の整数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子 塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸 原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ 原子を含む連結基を有してもよい、置換も くは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基; たは極性基を表す。)
 (8)生理活性物質Sが、ステロイドである上記 (7)に記載のノルボルネン誘導体モノマー。 
 (9)生理活性物質Sが、ホルモンである上記(7) に記載のノルボルネン誘導体モノマー。
 (10)リンカーLが、-(X)n-CO-O-(Y)n’-、-(X)n-CO-NH-( Y)n’-、-(X)n-O-(Y)n’-、-(X)n-Si-O-(Y)n’-のいずれ かである上記(7)~(9)のいずれかに記載のノル ルネン誘導体モノマー。
(但し、X, Yは、それぞれ独立にCH 2 あるいは、フェニレン基もしくはそれらの混 成体、であるがそれらの組み合わせでもよい 。n、n’は0~20の整数を表す。)
 (11)上記(1)~(6)のいずれかに記載のノルボル ン系高分子重合体からなるフィルム。
 (12)次の工程からなる上記(1)~(6)のいずれか 記載のノルボルネン系高分子重合体の製造 法。
(1)リンカーとなりうる官能基を有するノルボ ルネン誘導体と生理活性物質とを反応させて 生理活性物質が結合したノルボルネン誘導体 モノマーを製造する工程
(2)該モノマーをメタセシス重合触媒の存在下 で開環メタセシス重合(ROMP)させる工程
 (13)触媒が周期表第4族から第10族までの遷移 金属元素より選択された一種類の遷移金属の カルベン錯体またはその誘導体、もしくは遷 移金属カルベン種を反応系中で発生しうるメ タセシス重合触媒である上記(12)に記載のノ ボルネン系高分子重合体の製造方法。
 (14)上記(1)~(6)のいずれかに記載のノルボル ン系高分子重合体を含む徐放性医薬。
 (15)上記(11)に記載のフィルムからなる貼付 。
 (16)上記(1)~(6)のいずれかに記載のノルボル ン系高分子重合体から生理活性物質を除去 たノルボルネン系高分子重合体を含む生理 性物質識別用センサ。
 (17)上記(11)に記載のフィルムから生理活性 質を除去したフィルムからなる生理活性物 識別用センサ。
 (18)上記(1)~(6)のいずれかに記載のノルボル ン系高分子重合体から生理活性物質を除去 たノルボルネン系高分子重合体を含む生理 性物質分析剤。
 (19)上記(11)に記載のフィルムから生理活性 質を除去したフィルムからなる生理活性物 分析剤。

 本発明によると、生理活性物質が高密度 均一に分布している高分子重合体を提供す ことができた。本発明の生理活性物質を化 的に結合した高分子重合体は徐放性医薬、 付薬、として用いることができ、センサ、 析剤に誘導できる。

モノマーAのNMR モノマーBのNMR モノマーCのNMR モノマーDのNMR モノマーEのNMR モノマーFのNMR モノマーGのNMR モノマーHのNMR 重合体AのIR 重合体BのIR 重合体CのIR 重合体DのIR 重合体EのIR 重合体FのIR 重合体HのIR 共重合体のIR 重合体Dの酸による加水分解反応を示 た。 重合体Dの塩基による加水分解反応を した。

 以下に、本発明を具体的に説明するが、本 明はそれに限定されるものではない。
 本発明の生理活性物質としては、ステロイ や動植物ホルモン、ビタミン、テルペン、 リゴペプチド、低分子糖鎖、ヌクレオチド どがある。また環境ホルモンなどの微量の 康阻害有機化合物を対象とする分析剤に誘 することが目的の場合には、生理活性物質 して当該環境ホルモンなどの有機化合物を いることが出来る。
 中でも、本発明には、ステロイドやホルモ が特に適する。ステロイドやホルモンは副 用も強いので急激に投与されるより、徐々 人体に投与されるのが好ましく、徐放性医 に適するからである。ホルモンとしては、 物性ホルモン;性ホルモン、副腎皮質ホルモ ンなどの動物性ホルモンが好ましい。

 本発明のノルボルネン系高分子重合体は、 理活性物質を化学結合したノルボルネン誘 体モノマーを重合させて得られるが、用い れるノルボルネンとしては、次の式(ii)や(ii i)の化合物が挙げられる。
 上記式(ii)中、m、p、q、rはそれぞれ独立に0 上の整数であり、好ましくは0、1または2で る。
 Sは生理活性化合物を表す。Lはリンカーで り、エステル、アミド、エーテル、シロキ などの加水分解可能な基を主鎖中に1個ない 複数個含む炭素原子数1~30の炭化水素基を表 す。
 R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子 塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸 原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ 原子を含む連結基を有してもよい、置換も くは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基; たは極性基を表す。

 上記炭素原子数1~30の炭化水素基としては 、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル 基等のアルキル基;シクロペンチル基、シク ヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基 アリル基、プロペニル基等のアルケニル基 フェニル基などが挙げられる。また、上記 化水素基は直接環構造に結合していてもよ 、また連結基を介して結合していてもよい

 このような連結基としては、炭素原子数1~10 の2価の炭化水素基(たとえば、-(CH 2 )k-(kは1~10の整数)で表されるアルキレン基);フ ェニレン基;酸素、窒素、イオウまたはケイ を含む連結基(例えば、カルボニル基(-CO-)、 キシカルボニル基(-O(CO)-)、スルホン基(-SO 2 -)、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-) 、イミノ基(-NH-)、アミド結合(-NHCO-,-CONH-)、シ ロキサン結合(-OSiR 2 -(Rはメチル、エチル等のアルキル基))などが げられ、これらの複数を含む連結基であっ もよい。

 また、R 1 とR 2 および/またはR 3 は一体化して2価の炭化水素基を形成しても く、R 1 またはR 2 と、R 3 とは相互に結合して炭素環または複素環を形 成してもよく、該炭素環または複素環は、単 環構造でも多環構造でもよい。

 上記極性基としては、水酸基、炭素原子 1~10のアルコキシ基(たとえば、メトキシ基 エトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(た とえば、メトキシカルボニル基、エトキシカ ルボニル基等)、アリーロキシカルボニル基( とえば、フェノキシカルボニル基、ナフチ オキシカルボニル基等)、シアノ基、アミド 基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ 基(たとえば、トリメチルシロキシ基、トリ チルシロキシ基等)、トリオルガノシリル基( たとえば、トリメチルシリル基、トリエチル シリル基等)、アミノ基(たとえば、第1級アミ ノ基等)、アシル基、アルコキシシリル基(た えば、トリメトキシシリル基、トリエトキ シリル基等)、スルホニル含有基およびカル ボキシ基(COOH)などが挙げられる。

 このような単量体(以下、「単量体(ii)」 もいう。)の具体例として、[0014]に示した化 物の例のうち、任意の環炭素に結合した水 を上記 -L-S 基で置換したものを挙げるこ ができる。本発明はこれらの具体例に限定 れるものではない。また、単量体(ii)は単独 用いても、2種以上を組み合わせて用いても よい。

トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]-3-デセン、
テトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.1 3,6 .0 2,7 .0 9,13 ]-4-ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.1 2,5 .1 9,12 .0 8,13 ]-3-ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.1 2,5 ]-3-ウンデセン、
8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-n-プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4 .0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-n-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-エトキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-n-プロポキシカルボニルテトラシ ロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-イソプロポキシカルボニルテトラ クロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-n-ブトキシカルボニルテトラシク [4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-フェノキシカルボニルテトラシク [4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.1 2,5 .1 9,12 .0 8,13 ]-3-ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.1 3,6 .1 10,17 .1 12,15 .0 2,7 .0 11,16 ]-4-エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.1 4,7 .1 11,18 .1 13,16 .0 3,8 .0 12,17 ]-5-ヘンエイコセン、
8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-フェニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-フェニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-フルオロテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-ベンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8,8-ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4. 4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-トリフルオロメチルテトラシクロ[ 4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-(2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル)テ ラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン、
8-メチル-8-(2,2,2-トリフルオロエトキシカルボ ニル)テトラシクロ[44.0.1 2,5 .1 7,10 ]-3-ドデセン
などを挙げることができる。

上記式(iii)は式(ii)のうちm, pが共に0である場 合である。

このような単量体(以下、「単量体(iii)」と もいう。)の具体例として、[0018]に示した化 物の例のうち、任意の環炭素に結合した水 を上記 -L-S 基で置換したものを挙げること ができる。本発明はこれら具体例に限定され るものではない。また、単量体(iii)は単独で いても、2種以上を組み合わせて用いてもよ い。 

ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2- エン、
5-メチル-5-メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2-エン、
5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト -2-エン、
5-メチル-5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2 .1]ヘプト-2-エン、
5-シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-(2-ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(α, の両タイプとも可)、
5-フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン 、
5-トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2- エン、
5-ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト -2-エン、
5,5-ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
5-フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン
などを挙げることができる。

これらのうち、一般式(iii)のR 1 ~R 3 が全て水素原子、または何れか1つが炭素原 数1~30の炭化水素基であり他が水素原子であ か、または何れか2つが炭素数3~5のアルキレ ン基で連結されている単量体(iii)はその合成 容易である点で好ましい。

 本発明でノルボルネン系高分子重合体とい とき、重合体鎖がノルボルネンのみからな 場合だけでなく、ノルボルネンと他の重合 モノマーとの共重合鎖である場合も包含す 。
 共重合鎖を形成する他の重合性モノマーと て、例えば、シクロブテン、シクロペンテ 、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリ クロ[5.2.1.0 2,6 ]-3-デセン、ジシクロペンタジエン等のシク オレフィンなどが用いられる。

 本発明で、ノルボルネンに生理活性物質を 学結合させるとき、エステル基などのリン ーを介して結合させるのが好ましい。
 リンカーとして用いられるのは例えば、-(X) n-CO-O-(Y)n’-、-(X)n-CO-NH-(Y)n’-、-(X)n-O-(Y)n’-、 -(X)n-Si-O-(Y)n’-のいずれかである。これらの 示において、X側、あるいはY側のいずれがノ ルボルネンに結合しても構わない。
(但し、X, Yは、それぞれ独立にCH 2 、フェレン基もしくはそれらの混成体である 。n、n’は0~20の整数を表す。)
 ここで、混成体とは、例えば、(X)nあるいは (Y)n’と表される置換基においても、メチレ 基とフェニレン基とが混在していることを す。より詳しく例示して説明すると、-(X) 2 -のとき、-CH2-フェニレン-であっても良いこ を示す。
 生理活性物質が嵩高な物質であるときには nおよびn’のいずれかが1以上の値をもつ長 リンカーを用いる方がより好ましい。また n、n’は12以下であるのが好ましい。

<モノマーの製造>
 本発明のノルボルネン系重合体を得るには 生理活性物質がノルボルネンに化学結合し ノルボルネン誘導体モノマーを製造する必 がある。
 このようなモノマーは、リンカーとなりう 官能基を有するノルボルネン誘導体を出発 料として生理活性物質と反応させて得られ 。
 出発原料として用いるリンカーとなりうる 能基を有するノルボルネン誘導体としては 例えば、ヒドロキシアルキル基、カルボキ 基、ハロゲンで置換されたカルボキシ基、 ルミル基、アルコキシカルボニル基、アミ 基、アルコキシカルボニルアミノ基、アル キシ基、シロキシ基などで置換されたノル ルネンが挙げられ、5-ノルボルネン2-メタノ ール、5-ノルボルネン2-カルボン酸、5-ノルボ ルネン2-カルボン酸塩化物、5-ノルボルネン2- カルボン酸臭化物、5-ノルボルネン2-カルボ 酸アルキルエステル、5-ノルボルネン2-カル ン酸無水物が好ましく用いられる。

 ノルボルネンの二重結合が酸化されるの 防ぐため、リンカーとなりうる官能基を有 るノルボルネン誘導体と生理活性物質との 応は、アルゴンまたはチッソなどの不活性 囲気で行なうのが好ましい。

<重合方法>
 本発明では、重合体は、モノマーをメタセ ス重合触媒の存在下で開環メタセシス重合( ROMP)させて得るのが好ましい。当反応で用い メタセシス重合触媒としては、主として遷 金属のカルベン錯体が用いられるが、WCl 6 /SnMe 4 系(文献例 Tetrahedron Lett., 21 (1980) 1715) の うに反応系中で遷移金属カルベン種を発生 来る混合系を用いてもよい。好ましくは各 のルテニウムカルベン錯体(文献例 Aldrichimic a Acta, 38 (2005) 3-16)、モリブデンやタングス テンのカルベン錯体(文献例Angew. Chem. Int. Ed .,45 (2006) 3748)が用いられる。

 本発明では、上記触媒を用いたノルボル ン系単量体の重合は塊状で行っても良いし 溶液中で行っても良い。溶液中で重合を行 場合には、触媒活性に悪影響を与えない溶 を使用する必要がある。使用可能な溶媒と ては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど 脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環 族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン どの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、ジク ロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン どのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニ トロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素 系炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジ チルホルムアミドのようなアミド化合物な が挙げられる。これらの溶媒は混合して使 してもよい。

 重合を行う際には、重合させるノルボルネ 系単量体と触媒を混合するが、その混合順 は特に限定されない。
 重合反応は、アルゴンまたはチッソなどの 活性雰囲気で行なうのが好ましい。
重合温度も特に制限されないが、一般には、 -100℃~150℃、好ましくは-50℃~120℃である。温 度が低すぎると重合速度が遅くなり、温度が 高すぎると触媒の活性が低下する。上記範囲 内で重合温度を選択することにより、重合速 度や分子量などを調整することができる。
 重合時間も特に制限はなく、例えば1分間~10 0時間である。

 生理活性物質を結合したモノマー(ii) や( iii)は単独重合することによって、生理活性 質をノルボルネンユニットと1:1(モル比)の比 率で重合体中に保持してもよいし、共重合体 にすることによって、生理活性物質の密度を 薄めることもできる。そのとき、共重合モノ マーとしては特にシクロオレフィンが好まし く、前記段落[0014]に記されたオレフィン、お よび段落[0017]に記載された化合物が用いられ る。 

 前述の製造方法で製造した本発明の生理活 物質を結合したノルボルネン系高分子重合 は、その重合体鎖くりかえし単位に次の構 を有することが好ましい。
(但し、Lはリンカー、Sは生理活性物質、重合 度は40~4000、m、p、q、rはそれぞれ独立に0~4の 数、R 1 ~R 3 は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子 塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;酸 原子、イオウ原子、窒素原子もしくはケイ 原子を含む連結基を有してもよい、置換も くは非置換の炭素原子数1~30の炭化水素基; たは極性基を表す。)

 例えばm=p=0の場合で生理活性物質がステロ ドの一種のエストロンであり、リンカーと て-CO-O-を選ぶとき、式(1)の繰り返し構造単 は、次の式(4)になる。
 重合体中には、上記式(4)の構造単位を40~4000 含むのが好ましい。

<重合体の物性>
 このようにして得られたノルボルネン系重 体のクロロホルム中(30℃)で測定した固有粘 度(η inh )は、0.2~5dl/g、好ましくは0.3~4dl/g、特に好ま くは0.5~3dl/gである。上記範囲を超えると、 液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化する とがあり、上記範囲よりも低いと、フィル 強度が低下することがある。

 ノルボルネン系重合体の分子量としては ゲルパーミエーションクロマトグラフィー( GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均 子量(Mn)が、通常、8,000~1,000,000、好ましくは1 0,000~500,000、特に好ましくは20,000~100,000であり 、また、重量平均分子量(Mw)が、通常、20,000~3 ,000,000、好ましくは30,000~1,000000、特に好まし は40,000~500,000の範囲である。また、分子量 布は、上記のMw/Mnが、通常、1~10、好ましく 1~8、特に好ましくは1~5である。

 ノルボルネン系重合体のSP値(溶解度パラメ ター)は、好ましくは10~30(MPa 1/2 )、さらに好ましくは12~25(MPa 1/2 )、特に好ましくは15~20(MPa 1/2 )である。SP値が上記範囲にあることにより、 ノルボルネン系重合体を汎用の溶剤に良好に 溶解でき、安定したフィルムの製造ができる とともに、得られるフィルムの特性が均一と なり、接着性・基板との密着性を良好なもの とすることができ、さらに吸水率を適度にコ ントロールすることが可能となる。

 ノルボルネン系重合体のガラス転移温度( Tg)は、ノルボルネン系重合体の構成単位の種 類、組成比、添加剤等の有無により異なるが 、通常、80~350℃、好ましくは100~250℃、さら 好ましくは120~200℃である。Tgが上記範囲よ も低いと、熱変形温度が低くなり、耐熱性 問題が生じるおそれがある。また、Tgが上記 範囲よりも高いと、延伸加工等にTg近辺まで 熱して加工する場合に樹脂が熱劣化する可 性が高くなる。

 さらに、式(1)の構造単位を有する重合体を 素化することによって、式(2)の構造単位を する重合体に変換することもできる。
 本発明には、この式(2)の構造を重合体鎖中 有する重合体も含まれる。
 式(1)を有する重合体は、空気中熱を加える 酸化され易いので、使用条件で高温に暴露 れる用途には、水素化還元して式(2)の構造 有する重合体にするのが好ましい。
 水素化は、ノルボルネン系重合体の水素化 応として公知の方法で行なう。
 例えば、撹拌機を備えた槽型反応器中で水 化触媒の存在下水素化した後、次いでピス ンフロー型反応器中で水素化する方法を用 ることができる。

<フィルムの製造>
 本発明の生理活性物質を化学結合させたノ ボルネン系高分子重合体は、容易にフィル 化することができる。フィルム以外の形態 して、粉末、ペレットでもよい。
 本発明に係るノルボルネン系重合体フィル は、上記のようにして得られたノルボルネ 系重合体を溶液流延法(溶液キャスト法)に り成膜することにより得ることができる。

 溶液キャスト法としては、たとえば、ノ ボルネン系重合体を適当な溶媒に溶解また 分散させて適度の濃度の液体にし、これを 当な基材上に注ぐかまたは塗布して乾燥し 後、得られる樹脂膜を基材から剥離させる 法が挙げられる。

 ノルボルネン系重合体溶液または分散液( 以下これらを総称して「樹脂溶液」という。 )中におけるノルボルネン系重合体成分の濃 は、通常、0.1~90重量%、好ましくは1~50重量% さらに好ましくは5~35重量%である。ノルボル ネン系重合体成分の濃度が上記範囲よりも低 い場合には、十分な厚みを有するフィルムが 得られないことがあり、また、溶媒の蒸発に 伴って生ずる発泡等によって、良好な表面平 滑性を有するフィルムが得られないことがあ る。一方、ノルボルネン系重合体成分の濃度 が上記範囲を超える場合には、樹脂溶液の粘 度が高くなりすぎ、厚みや表面状態が均一な フィルムが得られないことがある。

 また、樹脂溶液は、室温における粘度が 通常、1~1,000,000mPa・s、好ましくは10~100,000mPa ・s、さらに好ましくは100~50,000mPa・s、特に好 ましくは1,000~40,000mPa・sである。

 樹脂溶液の調製に用いられる溶媒として 、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレ などの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エ チルセロソルブ、1-メトキシ-2-プロパノール のセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール 、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチ ルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘ サノン、エチルシクロヘキサノン、1,2-ジメ チルシクロヘキサン等のケトン系溶媒;乳酸 チル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;2,2,3,3 -テトラフルオロ-1-プロパノール、塩化メチ ン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒;テ ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル 溶媒;1-ペンタノール、1-ブタノール等のア コール系溶媒を挙げることができる。

 本発明の生理活性物質を化学結合させたノ ボルネン系高分子重合体は徐放性医薬とし 有用性を有する。
 ノルボルネン系高分子重合体におけるリン ー部分が空気中の水分や生体中の水分によ て徐々に加水分解することによって、生理 性物質を徐々に放出する。
 放出速度は、リンカーの種類によって調整 ることが可能である。
 特に、ステロイドやホルモン製剤において 、そのまま投与するより、徐放性にするほ が、長時間作用を持続させることができる 、副作用の点でも好ましい。
 医薬形態は、粉末、マイクロカプセル、ペ ットなどがある。
 また、フィルム化したノルボルネン系高分 重合体は、貼付薬として用いることもでき 。

 さらに、本発明の生理活性物質が化学結合 たノルボルネン系高分子重合体は、生理活 物質のセンサや分析剤としても応用できる
 生理活性物質が化学結合したノルボルネン 高分子重合体から生理活性物質を加水分解 離あるいは除去することによって、重合体 生理活性物質の脱離孔が形成され、そこに 料中に混在する当該生理活性物質が近接す と、特異的に嵌合して結合することができ 。この原理により、生理活性物質を特異的 認識するセンサや分析剤としても利用でき 。本発明では、生理活性物質を高密度均一 保持させることができるので、高感度なセ サや分析剤が得られる。
 生理活性物質が化学結合したノルボルネン 高分子重合体から生理活性物質を脱離ある は除去するためには、酸もしくはアルカリ の水溶液もしくはアルコール溶液 あるい これらの混合溶液を用いて行うことができ 。

 以下には、実施例を用いて本発明を具体 に説明するが、本発明はそれに限定される のではない。

<モノマーの合成>
1.モノマー合成
[モノマー A, B合成]
 1) 胆汁酸パーホルメート (1g)を10mlのピリ ンに溶解させた。
 2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン-2-メタノール(39 0mg)、2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(1.3g)(東 化成)を加え、フラスコをN 2 置換した。
 3) 室温で5時間攪拌した。
 4) ジエチルエーテル/飽和食塩水にて溶媒 出し、有機層を回収し、シリカゲルオープ カラムクロマトグラフィーにて生成物を単 した。(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=8:2~7 :3)
 5) 次いで、ホルミル基の脱保護を行うため 、単離した生成物をアルミナオープンカラム クロマトグラフィーに吸着させて一晩放置し た。ヘキサン:酢酸エチル=3:7にて目的物を溶 させた。
Aは収量0.44g (収率40%)、Bは収量0.33g(収率30%)で 得られた。

[モノマー Cの合成]
  1) コルチゾン (1g)を10mlのピリジンに溶解 させた。
  2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン-2-カルボン酸( 400mg)、2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(1.3g)を 加え、フラスコをN 2 置換した。
  3) 室温で5時間攪拌した。
  4) ジエチルエーテル/飽和食塩水にて溶媒 抽出し、有機層を回収し、シリカゲルオープ ンカラムクロマトグラフィーにて生成物を単 離した。(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチ=3:7)
  5)単離した生成物をアルミナオープンカラ ムクロマトグラフィーに吸着させて一時間放 置し、塩化メチレン:アセトン=1:1にて目的物 溶出させた。
   さらに、もう一度、同一条件でアルミナ オープンカラムクロマトグラフィーに通導し た。
収量0.86g(収率65%)であった。
 上記2)において、5-ノルボルネン-2-カルボン 酸の代わりにその塩化物を同量用い、2,4,6-ト リニトロクロロベンゼンを加えることなく30 間反応させることによっても、モノマーCが 得られる。収量0.67g(収率50%)であった。

[モノマー Dの合成]
 1) エストロン (1g)を10mlのピリジンに溶解 せた。
 2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン-2-カルボン酸(50 0mg)、2,4,6-トリニトロクロロベンゼン(1.3g)を え、フラスコをN 2 置換した。
 3) 室温で5時間攪拌した。
 4) ジエチルエーテル/飽和食塩水にて溶媒 出し、有機層を回収し、シリカゲルオープ カラムクロマトグラフィーにて生成物を単 した。(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=3:2)
 5)単離した生成物をアルミナオープンカラ クロマトグラフィーに吸着させて一時間放 し、ヘキサン:酢酸エチル=1:1にて目的物を溶 出させた。
  さらに、もう一度、同一条件でアルミナ ープンカラムクロマトグラフィーに通導し 。
収量1.18g(収率82%)であった。
 上記2)において、5-ノルボルネン-2-カルボン 酸の代わりにその塩化物を同量用い、2,4,6-ト リニトロクロロベンゼンを加えることなく30 間反応させることによっても、モノマーDが 得られる。収量0.86g(収率60%)であった。

[モノマー Eの合成]
 1) ビスフェノール A  (1.46g)を10mlのピリジ ンに溶解させた。
 2) 4Aモレキュラーシーブ (1.5g) を加えた後 、マグネチックスターラーで攪拌しながら5- ルボルネン-2-カルボン酸塩化物(400mg)を反応 容器に滴下した。
 3) ジエチルエーテル/飽和食塩水にて溶媒 出し、有機層を回収し、シリカゲルオープ カラムクロマトグラフィーにて生成物を単 した。(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=4:1)
 4) 単離した生成物をアルミナオープンカラ ムクロマトグラフィーに吸着させて一時間放 置し、展開溶媒としてヘキサン:酢酸エチル=9 :1を200 ml流した後、酢酸エチルにて目的物を 溶出させた。
 さらに、もう一度、同一条件でアルミナオ プンカラムクロマトグラフィーに通導した
収量0.27g(収率12%)であった。

[モノマー Fの合成]
  1) β-エストラジオール (1g)を5mlのピリジ と5mlのベンゼンの混合溶媒に溶解させた。
  2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン2-カルボン酸  クロライド(500mg)を加え、フラスコをN 2 置換した。
  3) 室温で5分間攪拌した。
  4) 酢酸エチル/飽和食塩水にて溶媒抽出し 、有機層を回収し、シリカゲルオープンカラ ムクロマトグラフィーにて生成物を単離した 。(展開溶媒はヘキサン:酢酸エチル=7:3)
   5) 単離した生成物をアルミナオープン ラムクロマトグラフィーに吸着させて一時 放置し、ヘキサン:酢酸エチル=4:1にて目的物 を溶出させた。さらに、もう一度、同一条件 でアルミナオープンカラムクロマトグラフィ ーに通導した。
   収量0.28g (収率20 %)であった。

[モノマー Gの合成]
  1) プレドニゾン (1g)を10mlのピリジンに溶 解させた。
  2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン2-カルボン酸  クロライド(400mg)を加え、フラスコをN 2 置換した。
   3) 室温で30分攪拌した。
   4) 酢酸エチル/飽和食塩水にて溶媒抽出 、有機層を回収し、シリカゲルオープンカ ムクロマトグラフィーにて生成物を単離し 。(展開溶媒はヘキサン:酢エチル=2:3)
    5) 単離した生成物をアルミナオープン カラムクロマトグラフィーに吸着させて一時 間放置し、ヘキサン:酢酸エチル=1:1にて目的 を溶出させた。さらに、もう一度、同一条 でアルミナオープンカラムクロマトグラフ ーに通導した。
  収量 0.79g (収率60 %)であった。

[モノマー Hの合成]
  1) デキサメタゾン (1g)を5mlのピリジンと5 mlのベンゼンに溶解させた。
  2) 4AMS (5g)、5-ノルボルネン2-カルボン酸  クロライド(420mg)を加え、フラスコをN 2 置換した。
  3) 室温で30分攪拌した。
  4) 酢酸エチル/飽和食塩水にて溶媒抽出し 、有機層を回収し、シリカゲルオープンカラ ムクロマトグラフィーにて生成物を単離した 。(展開溶媒はヘキサン:酢エチル=2:3)
  5) 単離した生成物をアルミナオープンカ ムクロマトグラフィーに吸着させて一時間 置し、ヘキサン:酢酸エチル=1:1にて目的物 溶出させた。さらに、もう一度、同一条件 アルミナオープンカラムクロマトグラフィ に通導した。
  収量 0.72g (収率55 %)であった。

3.製造確認(データ)
 得られたモノマーA~HのNMRスペクトルを図1~8 示す。
 マススペクトルによる親ピークとハイマス ペクトルによる分子量測定の結果は以下の おりである。(測定装置:JEOL GC mate )
 
A: 組成式C 32 H 50 O 4  498.3709
  LR-EI-MS, 498 (M + , 10%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 32 H 50 O 4  [M] + : 498.3709. Found: m/z, 498.3715.
   
B: 組成式C 32 H 50 O 4  498.3709
  LR-EI-MS, 498 (M + , 2%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 32 H 50 O 4  [M] + : 498.3709. Found: m/z, 498.3704.
   
C: 組成式C 29 H 36 O 6  480.2512
  LR-EI-MS, 480 (M + , 44%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 29 H 36 O 6  [M] + : 480.2512. Found: m/z, 480.2510.
   
D: 組成式C 26 H 30 O 3  390.2195
  LR-EI-MS, 390 (M + , 34%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 26 H 30 O 3  [M] + : 390.2195. Found: m/z, 390.2200.
   
E: 組成式C 23 H 24 O  348.1725
  LR-EI-MS, 348 (M + , 41%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 23 H 24 O 3  [M] + : 348.1725. Found: m/z, 348.1723.
   
F: 組成式C 26 H 32 O 3   392.2351
  LR-EI-MS, 392 (M + , 10%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 26 H 32 O 3 [M] + : 392.2351. Found: m/z, 392.2351.
   
G: 組成式C 29 H 34 O 6   478.2355
  LR-EI-MS, 478 (M + , 22%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 29 H 34 O 6 [M] + : 478.2355. Found: m/z, 478.2355.
   
H: 組成式C 30 H 37 O 6 F  512.2574
  LR-EI-MS, 512 (M + , 6%)
  HR-EI-MS, Calculated for C 30 H 37 O 6 F [M] + : 512.2574. Found: m/z, 512.2569.

<重合>
1.重合反応
 エストロン-ノルボルネン結合体モノマー(D) の粉末0.5g(1.28 mmol)および触媒としてルテニ ム-ビニリデン錯体 [RuCl 2 (P(Cyclohexyl) 3 ) 2 (CCH-t-Bu)] の結晶1mg(1.28 μmol)を容器にいれア ゴン置換した後、脱気した1,2-ジクロロエタ ン10 mlを加え70°Cで65時間撹拌した。反応混 物を多量のメタノールに注ぐと重合体が白 固体として沈殿した。収量0.49g (収率97 %)で あった。
 モノマー(A)~(C)(E)についても、上記のモノマ ー(D)と同様の方法によって重合体を得た。

2.製造確認(データ)
 [0050]に記した重合化の条件を更に種々変更 て得た重合体について、重合条件、及び収 、得られた重合体の分子量について[表1]に とめた。

<フィルム化>
 上記で得られたポリマー 各0.4gをTHF 15mLに 解し、この溶液を8cm径のシャーレに移して1 日放置し溶媒を蒸発させると、無色透明で強 度があり、折り曲げに強いフィルムが得られ た。
 得られたフィルムからポリマーのIRスペク ルを得て図9~13に示した。

<重合>
 以下の重合反応は実施例2と同様に実施した が、触媒となる錯体として市販の、[RuCl 2 (P(Cyclohexyl) 3 ) 2 (CHPh)] (シグマアルドリッチ(株) 579726、以下G rubbs1と略)または[RuCl 2 (C(N(Mes)CH 2 ) 2 )(P(Cyclohexyl) 3 )(CHPh)] (シグマアルドリッチ(株) 569747、以下 Grubbs2と略)を用いた。得られた重合体につい [表2」にまとめた。

<フィルム化>
 上記で得られたポリマーF,Hを 各0.4gをTHF 15 mLに溶解し、この溶液を8cm径のシャーレに移 て1日放置し溶媒を蒸発させると、無色透明 で強度があり、折り曲げに強いフィルムが得 られた。
 得られたフィルムからポリマーのIRスペク ルを得て図14,15に示した。

<共重合反応>
 実施例2で得たエストロン-ノルボルネン結 体モノマー(D)の粉末0.23g (0.586 mmol)と、ノル ボルネン0.055g(0.586 mmol)およびルテニウム-ビ リデン錯体[RuCl 2 (P(Cyclohexyl) 3 ) 2 (CCH-t-Bu)]の結晶0.5mg(0.6 μmol)を容器にいれ、 気した1,2-ジクロロエタン5 mlを加え、70℃で 24時間撹拌した。反応混合物を多量のメタノ ルに注ぎ、重合体を白色固体(収量0.19 g)と て得た。GPCによる測定ではやや幅のあるシ グルピークが観測され、分子量はMn=262,000,  Mw/Mn=2.48 (ポリスチレン基準)であった。1H NMR スペクトル(CDCl 3 溶媒)では、d 6.75ppm 付近にエストロンの芳 環水素2つに帰属される重なったピークが観 され、これらピークの積分値と、他の水素 よるピーク(d 5.6~5.2:アルケン水素、d 3.2~0.8 :アルカン水素)の積分値を比較することによ 、共重合体中にはノルボルネンとモノマーD がほぼ1.2/1の割合で取り込まれていることが かった。

<フィルム化>
 上記で得られた共重合体0.4gをTHF 15mLに溶解 し、この溶液を8cm径のシャーレに移して1日 置し溶媒を蒸発させると、無色透明で強度 あり、折り曲げに強いフィルムが得られた
 得られたフィルムからポリマーのIRスペク ルを得て図16に示した。

<徐放試験>
[実施例2で得たポリマーDを用いたエステロン 加水分解試験]
1.酸による加水分解 
  1. 粉末、フィルム状のエストロン-ノルボ ルネンポリマー (1 mg)をそれぞれ4つ分取し 。
  2. 1 μMのHCl水溶液 (pH 5.2)を100 μl加え、 36  o Cで12時間、5日、7日放置した。
  3. 反応液を中和し、ポリマーを混入させ いようにメタノールで反応容器を洗いなが シリンジで溶液をマイクロチューブに移し 溶液をエバポレートした。
  4. 内部標準として1.6 mMのプレグネノロン メタノール溶液を50 μl加えてGCにて定量した 。

2.塩基による加水分解
  1. 粉末、フィルム状のエストロン-ノルボ ルネンポリマー (1 mg)をそれぞれ3つ分取し 。
  2.  1μMのKOH水溶液 (pH 9.1)を100 μl加え、 36  o Cで12時間、5日、7日放置した。
  3. 反応液を中和し、ポリマーを混入させ いようにメタノールで反応容器を洗いなが シリンジで溶液をマイクロチューブに移し 溶液をエバポレートした。
  4. 内部標準として1.6 mMのプレグネノロン /メタノール溶液を50 μl加えてGCにて定量し 。

3.加水分解試験の結果
 結果を図17,18に示した。図17,18で横軸は反応 時間、縦軸は反応率を表す。

 以上のとおり、本発明によって、徐放性医 、貼付薬、センサ、分析剤などに応用がで る生理活性物質を結合したノルボルネン高 子重合体提供することができたので、産業 の有用性を有する。