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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL (2-AMINOPHENYL)PYRIDINECARBOXAMIDE DERIVATIVE HAVING UREA STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117862
Kind Code:
A1
Abstract:
A novel (2-aminophenyl)pyridinecarboxamide derivative having a novel urea structure is synthesized, which has pharmacological activity. The derivative is a compound represented by the formula (1) or a salt thereof. In the formula, R1 and R2 each represents hydrogen, lower alkyl, etc.; R3 represents hydroxy, lower alkoxy, lower cycloalkyloxy, aryloxy, carboxy, lower alkoxycarbonyl, -OCONRaRb, -NRcRd, etc.; R4 and R5 each represents halogeno, lower alkyl, hydroxy, lower alkoxy, etc.; Ra and Rb each represents hydrogen, lower alkyl, lower cycloalkyl, aryl, heterocyclic group, etc.; Rc and Rd each represents hydrogen, lower alkyl, lower cycloalkyl, aryl, etc.; X represents lower alkylene; Y represents a single bond or lower alkylene; W1-W2 represents N-C or C-N; and l and m each is 0, 1, 2, or 3. [Chemical formula 1] (1)

Inventors:
MOGI HIROYUKI (JP)
TAJIMA HISASHI (JP)
MISHINA NORIKO (JP)
YAMAZAKI YUSUKE (JP)
YONEDA SHINJI (JP)
WATANABE KATSUHIKO (JP)
FUJIKAWA JUNKO (JP)
YAMAMOTO MINORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056012
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SANTEN PHARMACEUTICAL CO LTD (JP)
MOGI HIROYUKI (JP)
TAJIMA HISASHI (JP)
MISHINA NORIKO (JP)
YAMAZAKI YUSUKE (JP)
YONEDA SHINJI (JP)
WATANABE KATSUHIKO (JP)
FUJIKAWA JUNKO (JP)
YAMAMOTO MINORU (JP)
International Classes:
C07D213/81; A61K31/44; A61K31/443; A61K31/4433; A61K31/4436; A61K31/4439; A61K31/444; A61K31/5377; A61P1/00; A61P1/04; A61P1/16; A61P3/10; A61P7/06; A61P9/00; A61P9/04; A61P9/10; A61P11/02; A61P11/06; A61P13/12; A61P17/00; A61P17/06; A61P19/02; A61P25/00; A61P25/02; A61P25/08; A61P25/14; A61P25/16; A61P25/28; A61P27/02; A61P27/14; A61P29/00; A61P31/04; A61P31/10; A61P31/12; A61P31/22; A61P33/02; A61P33/06; A61P35/00; A61P37/02; A61P37/06; A61P43/00; C07D401/12; C07D405/12; C07D405/14; C07D409/12; C07D413/12; C07D417/12
Domestic Patent References:
WO1997024328A11997-07-10
WO2004052838A12004-06-24
WO1990005723A11990-05-31
Foreign References:
JP2006509021A2006-03-16
JPH11302173A1999-11-02
JP2005272419A2005-10-06
JP2006517532A2006-07-27
Other References:
"Nucleic Acid and Enzyme", PROTEIN, vol. 51, no. 14, 2006
J. BIOL. CHEM., vol. 254, 1979, pages 1716 - 1723
CANCER RES., vol. 47, 1987, pages 3688 - 3691
EXP. CELL RES, vol. 177, 1988, pages 122 - 131
J. BIOL. CHEM., vol. 265, 1990, pages 17174 - 17179
J. ANTIBIOTICS, vol. 43, 1990, pages 1524 - 1534
J. BIOL. CHEM., vol. 268, 1993, pages 22429 - 22435
JOURNAL OF CLINICAL INVESTIGATION, vol. 103, 1999, pages 1141 - 1150
THE JOURNAL OF CLINICAL INVESTIGATION, vol. 103, 1999, pages 1141 - 1150
INVESTIGATIVE OPHTHALMOLOGY & VISUAL SCIENCE, vol. 43, 2002, pages 151 - 161
INVESTIGATIVE OPHTHALMOLOGY & VISUAL SCIENCE, vol. 42, 2001, pages 137 - 144
See also references of EP 2133339A4
Attorney, Agent or Firm:
HIBI, Norihiko et al. (3rd FloorInaba Building, 13-18,Nishishinsaibashi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 86, JP)
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Claims:
下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。

 [R 1 及びR 2 は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基又は下記一般式(2)で表される基を示し;

R 3 はヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、カルボキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し;

R 4 及びR 5 は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、ヒドロキシ基又は置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
R 6 はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、メルカプト基、置換基を有してもよい低級アルキルチオ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、ホルミル基、置換基を有してもよい低級アルキルカルボニル基、カルボキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基又は-NR e R f を示し;
R 7 は置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シクロアルキルオキシ基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示し;
R a 、R b は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示し;
R c 、R d 、R e 及びR f は同一又は異なって、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級シクロアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し;
環Aは環式炭化水素又は複素環を示し;
環Bは窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される1又は複数個のヘテロ原子を環内に有する複素環を示し;
Xは置換基を有してもよい低級アルキレン基を示し;
Y及びZは同一又は異なって、単結合又は置換基を有してもよい低級アルキレン基を示し;
W 1 -W 2 がN-C又はC-Nを示し;
l、m、n及びoは同一又は異なって、0、1、2又は3を示す。]
一般式(1)において、
R 1 及びR 2 が同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルキル基、メトキシ基を置換基として有する低級アルキル基、メチルチオ基を置換基として有する低級アルキル基、シアノ基を置換基として有する低級アルキル基、メチルアミノカルボニル基を置換基として有する低級アルキル基、ジイソプロピルアミノ基を置換基として有する低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基又は下記一般式(2)で表される基を示し;

R 3 がヒドロキシ基、低級アルコキシ基、低級シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し;

R 4 及びR 5 が同一又は異なって、ハロゲン原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ基を示し;
R 6 がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルキル基、シアノ基を置換基として有する低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルコキシ基、アリール基を置換基として有する低級アルコキシ基、低級シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、ホルミル基、低級アルキルカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基又は-NR e R f を示し;
R 7 が低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、低級シクロアルキルオキシ基又はアリールオキシ基を示し;
R a 及びR b が同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基又は複素環基を示し;
R c 、R d 、R e 及びR f が同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示し;
環Aが環式炭化水素又は複素環を示し;
環Bが窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される1又は複数個のヘテロ原子を環内に有する複素環を示し;
Xが低級アルキレン基を示し;
Y及びZが同一又は異なって、単結合、低級アルキレン基又はオキソ基を置換基として有する低級アルキレン基を示し;
W 1 -W 2 がN-C又はC-Nを示し;
l、m、n及びoが同一又は異なって、0、1、2又は3を示す請求項1記載の化合物又はその塩。
一般式(1)において、
R 1 が低級アルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルキル基、メトキシ基を置換基として有する低級アルキル基、メチルチオ基を置換基として有する低級アルキル基、シアノ基を置換基として有する低級アルキル基、メチルアミノカルボニル基を置換基として有する低級アルキル基、ジイソプロピルアミノ基を置換基として有する低級アルキル基、低級アルキニル基又は下記一般式(2)で表される基を示し;

R 2 が水素原子を示し;
R 3 がヒドロキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し;

R 6 がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルキル基、シアノ基を置換基として有する低級アルキル基、アリール基、モルホリノ基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有する低級アルコキシ基、アリール基を置換基として有する低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルカルボニル基、ニトロ基、シアノ基又は-NR e R f を示し;
R 7 が低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し;
R a 及びR b が同一又は異なって、水素原子又は複素環基を示し;
R c 、R d 、R e 及びR f が低級アルキル基を示し;
環Aが環式炭化水素又は複素環を示し;
環Bが窒素原子及び酸素原子からなる群より選択される複数個のヘテロ原子を環内に有する複素環を示し;
X及びYが低級アルキレン基を示し;
Zが単結合、低級アルキレン基又はオキソ基で置換された低級アルキレン基を示し;
W 1 -W 2 がC-N又はN-Cを示し;
l及びmが0を示し;
oが0又は1を示し;
nが0、1又は2を示す請求項1又は2記載の化合物又はその塩。
一般式(1)において、環Aがベンゼン、インダン、チオフェン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、2,3-ジヒドロベンゾフラン、1H-ベンゾイミダゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン又はピリジンを示す請求項1~3記載の化合物又はその塩。
一般式(1)において、環Bがピロリジン又はモルホリンを示す請求項1~3記載の化合物又はその塩。
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)-3-フェネチルウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3,4-ジフルオロフェニル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(4-メトキシフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジエチルアミノフェニル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(3-フルオロフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-シアノフェニル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(4-トリフルオロメトキシフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジメチルアミノフェニル)-1-(2-エトキシカルボニルエチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(2-ヒドロキシエチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(フェニルカルボニルメチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(1,3-チアゾール-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジエチルアミノプロピル)-3-(3,4-ジフルオロフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)-3-(ピリジン-3-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(チオフェン-3-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(3-ジエチルアミノプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジエチルアミノプロピル)-3-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(2-ジメチルアミノエチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-(3-メトキシフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-(3-フルオロフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-(チオフェン-3-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(ピリジン-3-イル)-1-[3-(ピロリジン-1-イル)プロピル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)-3-(フェニルカルボニルメチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-クロロフェニル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-フルオロフェネチル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-シアノフェニル)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-フルオロフェニル)-1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-(3-メチルフェニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-[4-(モルホリン-4-イル)ブチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-(チアゾール-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2-メトキシフェニル)-1-[4-(モルホリン-4-イル)ブチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-メチルフェニル)-1-[3-(4-メチルピペリジン-1-イル)プロピル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド、及び
・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-シクロペンチル-1-[5-(モルホリン-4-イル)ペンチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミドから選択される化合物又はその塩。
請求項1~6記載の化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つを含有する医薬組成物。
請求項1~6記載の化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含有するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤。
請求項1~6記載の化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つを有効成分として含有する、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が有効とされる疾患の予防又は治療剤。
請求項1~6記載の化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つの有効な量を患者に投与することからなるヒストン脱アセチル化酵素阻害方法。
請求項1~6記載の化合物又はその塩からなる群より選択される少なくとも1つの有効な量を患者に投与することからなるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が有効とされる疾患の予防又は治療剤方法。
Description:
ウレア構造を有する新規ピリジ カルボン酸(2-アミノフェニル)アミド誘導体

 本発明は医薬として有用なウレア構造を有 る新規ピリジンカルボン酸(2-アミノフェニ )アミド誘導体又はその塩に関する。同誘導 体又はその塩はヒストン脱アセチル化酵素阻 害活性を有し、ヒストン脱アセチル化酵素阻 害剤が有効とされる疾患の予防及び/又は治 剤として期待される。

 真核生物の染色体DNAは、コアヒストン蛋 質であるヒストンH2A、H2B、H3、H4等に巻き付 いてヌクレオソームとよばれる基本構造をと る。また、そのヌクレオソーム構造が集合す ることによりクロマチン構造を形成している 。このクロマチン構造の構成にはヒストンの 翻訳後修飾が密接に関係しており、その翻訳 後修飾として、アセチル化、メチル化、リン 酸化、ユビキチン化等が知られている。

 例えば、ヒストンのアセチル化は、遺伝 の転写誘導、複製、修復等に関与すると考 られている。

 このヒストンのアセチル化は、ヒストン セチル化酵素(以下、「HAT」とする)とヒス ン脱アセチル化酵素(以下、「HDAC」とする) より可逆的に制御されている。

 このHDACを阻害すれば、HATによるヒストン のアセチル化が亢進して、それに続く遺伝子 の転写誘導、複製、修復等が活性化され、細 胞増殖、老化等が関与するとされる種々の疾 患、例えば、癌、自己免疫疾患、神経変性疾 患、感染症等の予防及び/又は治療が可能に ると考えられている(非特許文献1、特許文献 1、特許文献2)。

 HDAC阻害剤の代表例として、細胞周期停止 作用、形質転換細胞の正常化及び分化作用等 を有する酪酸(非特許文献2)、細胞周期停止作 用、形分化作用等を有する微生物の代謝産物 であるトリコスタチンA(非特許文献3、4、5)、 細胞増殖抑制作用を有する微生物の代謝産物 であるトラポキシン(非特許文献6、7)等が知 れている。

 一方、アリーレンカルボン酸(2-アミノフェ ル)アミド構造を有する化合物が、腫瘍細胞 増殖阻害剤として特許文献3に開示されてい 。しかしながら、ウレア構造を有する新規 リジンカルボン酸(2-アミノフェニル)アミド 導体に関する具体的な記載は一切なされて ない。

蛋白質 核酸 酵素 Vol.51.No.14(2006)

特開2005-272419号公報

特表2006-517532号公報 J.Biol.Chem.,254,1716-1723(1979) Cancer Res.,47,3688-3691(1987) Exp.Cell Res.,177,122-131(1988) J.Biol.Chem.,265,17174-17179(1990) J.Antibiotics,43,1524-1534(1990) J.Biol.Chem.,268,22429-22435(1993)

国際公開第2004/052838号パンフレット

 ウレア構造を有する新規ピリジンカルボン (2-アミノフェニル)アミド誘導体又はその塩 の合成研究及びその誘導体の薬理作用に関す る研究は非常に興味深い課題である。

 本発明者等は新たな化学構造を有する新 ピリジンカルボン酸(2-アミノフェニル)アミ ド誘導体又はその塩の合成研究を行い、数多 くの新規化合物を創製することに成功した。

  さらに、上記誘導体又はその塩の薬理 用について研究した結果、本発明者等は、 記誘導体又はその塩がHDAC阻害活性を有し、H DAC阻害剤が有効とされる疾患の予防及び/又 治療剤として有用であること、線維柱帯形 変化作用及び眼圧下降作用を有し、房水循 及び/又は眼圧が関与するとされる疾患の予 及び/又は治療剤として有用であることを見 出し、本発明を完成させた。

 すなわち、本発明は下記一般式(1)で表さ る化合物又はその塩(以下、「本発明化合物 」とする)及びそれを含む医薬組成物に関す 。

 また、その医薬用途における好ましい発明 、HDAC阻害剤が有効とされる疾患、例えば、 癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経変性疾 患、感染症、造血障害、繊維症、循環器疾患 、血管新生が関与するとされる疾患等の予防 及び/又は治療剤に関する発明であり、また 線維柱帯形態変化作用及び眼圧下降作用を することから房水循環及び/又は眼圧が関与 るとされる疾患、例えば、緑内障、高眼圧 等の予防及び/又は治療剤に関する発明であ る。


 [R 1 及びR 2 は同一又は異なって、水素原子、置換基を有 してもよい低級アルキル基、置換基を有して もよい低級アルケニル基、置換基を有しても よい低級アルキニル基又は下記一般式(2)で表 される基を示し;


R 3 はヒドロキシ基、置換基を有してもよい低級 アルコキシ基、置換基を有してもよい低級シ クロアルキルオキシ基、置換基を有してもよ いアリールオキシ基、カルボキシ基、置換基 を有してもよい低級アルコキシカルボニル基 、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し;


R 4 及びR 5 は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換基 を有してもよい低級アルキル基、ヒドロキシ 基又は置換基を有してもよい低級アルコキシ 基を示し;
R 6 はハロゲン原子、置換基を有してもよい低級 アルキル基、置換基を有してもよい低級シク ロアルキル基、置換基を有してもよいアリー ル基、置換基を有してもよい複素環基、ヒド ロキシ基、置換基を有してもよい低級アルコ キシ基、置換基を有してもよい低級シクロア ルキルオキシ基、置換基を有してもよいアリ ールオキシ基、メルカプト基、置換基を有し てもよい低級アルキルチオ基、ホルミル基、 置換基を有してもよい低級シクロアルキルチ オ基、置換基を有してもよいアリールチオ基 、置換基を有してもよい低級アルキルカルボ ニル基、カルボキシ基、置換基を有してもよ い低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、 シアノ基又は-NR e R f を示し;
R 7 は置換基を有してもよい低級アルキル基、置 換基を有してもよい低級シクロアルキル基、 置換基を有してもよいアリール基、ヒドロキ シ基、置換基を有してもよい低級アルコキシ 基、置換基を有してもよい低級シクロアルキ ルオキシ基又は置換基を有してもよいアリー ルオキシ基を示し;
R a 、R b は同一又は異なって、水素原子、置換基を有 してもよい低級アルキル基、置換基を有して もよい低級シクロアルキル基、置換基を有し てもよいアリール基又は置換基を有してもよ い複素環基を示し;
R c 、R d 、R e 及びR f は同一又は異なって、水素原子、置換基を有 してもよい低級アルキル基、置換基を有して もよい低級シクロアルキル基又は置換基を有 してもよいアリール基を示し;
環Aは環式炭化水素又は複素環を示し;
環Bは窒素原子及び酸素原子からなる群より 択される1又は複数個のヘテロ原子を環内に する複素環を示し;
Xは置換基を有してもよい低級アルキレン基 示し;
Y及びZは同一又は異なって、単結合又は置換 を有してもよい低級アルキレン基を示し;
W 1 -W 2 がN-C又はC-Nを示し;
l、m、n及びoは同一又は異なって、0、1、2又 3を示す。以下、同じ。]

 本発明は医薬として有用なウレア構造を有 る新規ピリジンカルボン酸(2-アミノフェニ )アミド誘導体又はその塩を提供する。本発 明化合物はHDAC阻害活性を有し、HDAC阻害剤が 効とされる疾患の予防及び/又は治療剤とし て有用であり、特に、癌、自己免疫疾患、炎 症性疾患、神経変性疾患、感染症、造血障害 、繊維症、循環器疾患、血管新生が関与する とされる疾患の予防及び/又は治療剤として 待されるものであり、また、本発明化合物 線維柱帯形態変化作用及び眼圧下降作用を することから房水循環及び/又は眼圧が関与 るとされる疾患、例えば、緑内障、高眼圧 等の予防及び/又は治療剤に関する発明でも ある。

 本明細書中で使用される文言(原子、基、 環等)の定義について以下に詳しく説明する

 「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、 素又はヨウ素原子を示す。

 「低級アルキル基」とは、炭素原子数が1 ~8個、好ましくは1~6個の直鎖又は分枝のアル ル基を示す。具体例として、メチル、エチ 、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘ シル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソプロピ 、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イ ペンチル基等が挙げられる。

 「低級アルケニル基」とは、炭素原子数 2~8個、好ましくは2~6個の直鎖又は分枝のア ケニル基を示す。具体例として、ビニル、 ロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセ ル、ヘプテニル、オクテニル、イソプロペ ル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-ブテ ニル基等が挙げられる。

 「低級アルキニル基」とは、炭素原子数 2~8個、好ましくは2~6個の直鎖又は分枝のア キニル基を示す。具体例として、エチニル プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキ ニル、ヘプチニル、オクチニル、イソブチ ル、イソペンチニル基等が挙げられる。

 「低級シクロアルキル基」とは、炭素原 数が3~8個、好ましくは3~6個のシクロアルキ 基を示す。具体例として、シクロプロピル シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ シル、シクロヘプチル又はシクロオクチル が挙げられる。

 「アリール基」とは、炭素原子数が6~14個 の単環式芳香族炭化水素基又は2環式若しく 3環式の縮合多環式芳香族炭化水素から水素1 原子を除いた残基を示す。具体例として、フ ェニル、ナフチル、アントリル、フェナント リル基等が挙げられる。

 「低級アルコキシ基」とは、ヒドロキシ の水素原子が低級アルキル基で置換された を示す。具体例として、メトキシ、エトキ 、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペントキシ n-ヘキシルオキシ、n-ヘプチルオキシ、n-オ チルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキ 、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペント シ基等が挙げられる。

 「低級シクロアルキルオキシ基」とは、 ドロキシ基の水素原子が低級シクロアルキ 基で置換された基を示す。具体例として、 クロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオ シ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチ オキシ基が挙げられる。

 「アリールオキシ基」とは、ヒドロキシ の水素原子がアリール基で置換された基を す。具体例として、フェノキシ、ナフトキ 、アントリルオキシ、フェナントリルオキ 基等が挙げられる。

  「低級アルキルチオ基」とは、メルカ ト基の水素原子が低級アルキル基で置換さ た基を示す。具体例として、メチルチオ、 チルチオ、n-プロピルチオ、n-ブチルチオ、n -ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、n-ヘプチル オ、n-オクチルチオ、イソプロピルチオ、 ソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチル オ、イソペンチルチオ基等が挙げられる。

 「低級シクロアルキルチオ基」とは、メ カプト基の水素原子が低級シクロアルキル で置換された基を示す。具体例として、シ ロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シク ペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シク ヘプチルチオ又はシクロオクチルチオ基が げられる。

 「アリールチオ基」とは、メルカプト基 水素原子がアリール基で置換された基を示 。具体例として、フェニルチオ、ナフチル オ、アントリルチオ、フェナントリルチオ 等が挙げられる。


 「低級アルキルカルボニル基」とは、ホル ル基の水素原子が低級アルキル基で置換さ た基を示す。具体例としてメチルカルボニ 、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニ 、n-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニ 、n-ヘキシルカルボニル、n-ヘプチルカルボ ニル、n-オクチルカルボニル、イソプロピル ルボニル、イソブチルカルボニル、sec-ブチ ルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、イソ ンチルカルボニル基等が挙げられる。

 「低級アルコキシカルボニル基」とは、 ルミル基の水素原子が低級アルコキシ基で 換された基を示す。具体例として、メトキ カルボニル、エトキシカルボニル、n-プロ キシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、n- ントキシカルボニル、n-ヘキシルオキシカ ボニル、n-ヘプチルオキシカルボニル、n-オ チルオキシカルボニル、イソプロポキシカ ボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブト キシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、 ソペントキシカルボニル基等が挙げられる

 
 「複素環」とは、窒素原子、酸素原子及び 黄原子から選択される1又は複数個のヘテロ 原子を環内に有する飽和或いは不飽和単環式 複素環又は2環式若しくは3環式の縮合多環式 素環を示す。

 飽和の単環式複素環の具体例として、窒 原子を環内に有するアジリジン、アゼチジ 、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリ ン、トリアゾリジン、ピペリジン、ヘキサ ドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラ ン等が、酸素原子を環内に有するテトラヒ ロフラン、テトラヒドロピラン、[1,4]ジオ サン、[1,2]ジオキシラン等が、硫黄原子を環 内に有するテトラヒドロチオフェン、テトラ ヒドロチオピラン等が、窒素原子と酸素原子 を環内に有するオキサゾリジン、イソオキサ ゾリジン、モルホリン等が、窒素原子と硫黄 原子を環内に有するチアゾリジン、イソチア ゾリジン、チオモルホリン等が挙げられる。

 また、それらの飽和の単環式複素環はベ ゼン環等と縮合してジヒドロインドール、 ヒドロインダゾール、ジヒドロベンゾイミ ゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒ ロイソキノリン、テトラヒドロシンノリン テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロキ ゾリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒ ロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラ 、クロマン、イソクロマン、ベンゾ[1,3]ジ キソール、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシ 、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイ ベンゾチオフェン、チオクロマン、イソチ クロマン、ジヒドロベンゾオキサゾール、 ヒドロベンゾイソオキサゾール、ジヒドロ ンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアゾー 、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒド ベンゾチアジン、キサンテン、4a-カルバゾ ル、ペリミジン等の2環式又は3環式の縮合多 環式複素環を形成してもよい。

 不飽和の単環式複素環の具体例として、 素原子を環内に有するジヒドロピロール、 ロール、ジヒドロピラゾール、ピラゾール ジヒドロイミダゾール、イミダゾール、ジ ドロトリアゾール、トリアゾール、テトラ ドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジ 、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピリ ジン、ピリダジン、テトラヒドロピリミジ 、ジヒドロピリミジン、ピリミジン、テト ヒドロピラジン、ジヒドロピラジン、ピラ ン等が、酸素原子を環内に有するジヒドロ ラン、フラン、ジヒドロピラン、ピラン等 、硫黄原子を環内に有するジヒドロチオフ ン、チオフェン、ジヒドロチオピラン、チ ピラン等が、窒素原子と酸素原子を環内に するジヒドロオキサゾール、オキサゾール ジヒドロイソオキサゾール、イソオキサゾ ル、ジヒドロオキサジン、オキサジン等が 窒素原子と硫黄原子を環内に有するジヒド チアゾール、チアゾール、ジヒドロイソチ ゾール、イソチアゾール、ジヒドロチアジ 、チアジン等が挙げられる。

 また、それらの不飽和の単環式複素環は ンゼン環等と縮合してインドール、インダ ール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリア ール、ジヒドロキノリン、キノリン、ジヒ ロイソキノリン、イソキノリン、フェナン リジン、ジヒドロシンノリン、シンノリン ジヒドロフタラジン、フタラジン、ジヒド キナゾリン、キナゾリン、ジヒドロキノキ リン、キノキサリン、ベンゾフラン、イソ ンゾフラン、クロメン、イソクロメン、ベ ゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、チ クロメン、イソチオクロメン、ベンゾオキ ゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾ キサジン、ベンゾチアゾール、テトラヒド ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール ベンゾチアジン、フェノキサンチン、カル ゾール、β-カルボリン、フェナントリジン アクリジン、フェナントロリン、フェナジ 、フェノチアジン、フェノキサジン等の2環 式又は3環式の縮合多環式複素環を形成して よい。

 さらにこれらの複素環において、同一の 素原子上に2つの水素原子を有する複素環の 場合、それらの水素原子がオキソ基と置換し て、2-ピロリドン、4-ピペリドン、4-チアゾリ ドン、ピラン-4-(4H)-オン、ピラジン-2-(3H)-オ 等の複素環式ケトンを形成してもよく、こ 複素環式ケトンも本発明の複素環の範囲に 含される。

 「窒素原子及び酸素原子からなる群より 択される1又は複数個のヘテロ原子を環内に 有する複素環」とは、前記複素環の内、窒素 原子及び/又は酸素原子を1又は複数個、環内 有する複素環を示す。

 「複素環基」とは、複素環から水素1原子 を除いた残基を示す。

 
 「環式炭化水素」とは、炭素原子数が3~10個 の飽和又は不飽和単環式炭化水素、2環式若 くは3環式炭化水素を示す。

 飽和単環式炭化水素の具体例として、シ ロプロパン、シクロブタン、シクロペンタ 、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シク オクタン等が挙げられる。

 飽和2環式炭化水素の具体例として、オク タヒドロペンタレン、オクタヒドロインデン 、デカヒドロナフタレン等が挙げられる。

 飽和3環式炭化水素の具体例として、ビシ クロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。

 不飽和単環式炭化水素の具体例として、 クロペンテン、シクロヘキセン、シクロペ タジエン、シクロヘキサジエン、ベンゼン が挙げられる。

 不飽和2環式炭化水素の具体例として、イ ンダン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ナ タレン等が挙げられる。

 
 「低級アルキレン基」とは、炭素原子数が1 ~8個、好ましくは1~6個の直鎖又は分枝のアル レン基を示す。具体例として、メチレン、 チレン、トリメチレン、テトラメチレン、 ンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメ レン、オクタメチレン、メチルメチレン、 チルメチレン基等が挙げられる。

 
 「置換基を有してもよい低級アルキル基」 「置換基を有してもよい低級アルケニル基 、「置換基を有してもよい低級アルキニル 」、「置換基を有してもよい低級アルコキ 基」、「置換基を有してもよい低級アルキ チオ基」、「置換基を有してもよい低級ア キルカルボニル基」、「置換基を有しても い低級アルコキシカルボニル基」及び/又は 「置換基を有してもよい低級アルキレン基」 とは、ハロゲン原子、低級シクロアルキル基 、アリール基、複素環基、ニトロ基、シアノ 基、オキソ基、‐OR p 、‐SR q 、-COR r 、-COOR s 、-CONR t R u  及び-NR V R W  からなる群より選択される1又は複数個の置 換基を有してもよい「低級アルキル基」、「 低級アルケニル基」、「低級アルキニル基」 、「低級アルコキシ基」、「低級アルキルチ オ基」、「低級アルキルカルボニル基」、「 低級アルコキシカルボニル基」及び/又は「 級アルキレン基」を示す。

 「置換基を有してもよい低級シクロアルキ 基」、「置換基を有してもよいアリール基 、「置換基を有してもよい複素環基」、「 換基を有してもよい低級シクロアルキルオ シ基」及び/又は「置換基を有してもよいア リールオキシ基」とは、ハロゲン原子、低級 アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキ ニル基、低級シクロアルキル基、アリール基 、複素環基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基 、‐OR p 、‐SR q 、-COR r 、-COOR s 、-CONR t R  u  及び-NR v R w からなる群より選択される1又は複数個の置 基を有してもよい「低級シクロアルキル基 、「アリール基」、「複素環基」、「低級 クロアルキルオキシ基」及び/又は「アリー オキシ基」を示す。


 ここで、R p 、R q 、R r 、R s 、R t 、R u 、R v 及びR W は同一又は異なって、水素原子、低級アルキ ル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基 、低級シクロアルキル基、アリール基及び複 素環基からなる群より選択される基を示す。


 本発明でいう「複数個の基」とは、夫々の が同一であっても異なるものであってもよ 、その個数は2又は3個の場合が好ましく、 に2個の場合が好ましい。また、水素原子や ロゲン原子もこの「基」の概念に含まれる


 本発明において、「l」、「m」、「n」及び/ 又は「o」が2又は3を示す場合、複数存在する 各R 4 、R 5 、R 6 及びR 7 は同一又は異なっていてもよい。尚、「l」 「m」、「n」及び/又は「o」が0を示す場合と は、各R 4 、R 5 、R 6 及び/又はR 7 が存在しない、すなわち、それらの置換基を 有さない場合を示す。


 本発明でいう「HDAC阻害剤」とは、HDACを阻 することで、ヒストン等のアセチル化を亢 させて、医薬的作用を発現させる医薬組成 をいう。 
本発明でいう「HDAC阻害剤が有効とされる疾 」とは、HDAC阻害剤で治療効果及び/又は予防 効果が期待されることが知られている疾患を いい、その具体例として、癌、自己免疫疾患 、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、造血 障害、繊維症、循環器疾患等が挙げられる。

より具体的には、急性白血病、慢性白血病 、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、大腸癌、脳 腫瘍、頭頚部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌 、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、膵島細胞癌 、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌 、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状 腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性 黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞 腫、ウィルムス腫瘍、網膜芽細胞腫等の癌; 節リウマチ、腎炎、糖尿病、全身性エリテ トーデス、ヒト自己免疫性リンパ球増殖性 ンパ節症、免疫芽細胞リンパ節症、クロー 病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、炎症性 疾患、乾癬、変形性関節症、若年性慢性関 炎、移植片対宿主拒絶反応、喘息、アルコ ル性肝炎、シェーグレン症候群、強直性脊 炎、膜性糸球体腎炎、椎間板痛、アトピー 皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性 膜炎、角膜炎、結膜炎、ブドウ膜炎、加齢 斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫等 自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患;アルツハ イマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞 踏病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性、 ポリグルタミン病、線条体黒質変性症、進行 性核上麻痺、捻転ジストニア、痙性斜頸、家 族性振戦、ジル・ド・ラ・トゥレット症候群 、びまん性レヴィー小体病、ピック病、脳内 出血、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、 筋萎縮性側索硬化症、肥厚性間質性ニューロ パシー 、網膜色素変性症、遺伝性視神経萎 症、遺伝性痙性対麻痺、進行性失調症、シ イ・ドレーガー症候群等の神経変性疾患;真 菌感染(カンジダ菌など)、細菌感染、ウィル 感染(単純ヘルペス含む)、原虫感染(マラリ など)、トキソプラズマ症、コクシジウム症 等の感染症;貧血、鎌状赤血球貧血、サラセ ア等の造血障害;肝線維症、嚢胞性線維症、 管線維腫等の線維症;心不全、再狭窄、動脈 硬化症、心肥大等の循環器疾患;前記癌、関 リウマチ、乾癬、加齢黄斑変性、糖尿病網 症等の血管新生が関与するとされる疾患等 挙げられる。

 
 尚、前記した具体的な疾患は、本発明をよ よく理解するためのものであり、本発明の 囲を限定するものではなく、HDAC阻害剤が有 効とされる疾患であれば、特に制限はない。


 また、本発明におけるHDACに、ファミリー及 び/又はサブタイプが存在する場合、そのフ ミリー及び/又はサブタイプも本発明のHDACの 範囲に含まれる。


 本発明でいう「房水循環及び/又は眼圧が関 与するとされる疾患」とは、房水循環及び/ は眼圧が関与するとされる疾患であれば特 制限はないが、好ましくは、緑内障又は高 圧症が挙げられる

 本発明化合物における「塩」とは、医薬と て許容される塩であれば、特に制限はなく 塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、 酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フマ 酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒 酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプ 酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタン ルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスル ホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オ レイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ス テアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタ ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トル ンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫 メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサ チル酸等の有機酸との塩、臭化メチル、ヨ 化メチル等との四級アンモニウム塩、臭素 オン、塩素イオン、ヨウ素イオン等のハロ ンイオンとの塩、リチウム、ナトリウム、 リウム等のアルカリ金属との塩、カルシウ 、マグネシウム等のアルカリ土類金属との 、鉄、亜鉛等との金属塩、アンモニアとの 、トリエチレンジアミン、2-アミノエタノ ル、2,2-イミノビス(エタノール)、1-デオキシ -1-(メチルアミノ)-2-D-ソルビトール、2-アミノ -2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール プロカイン、N,N-ビス(フェニルメチル)-1,2-エ タンジアミン等の有機アミンとの塩等が挙げ られる。


 本発明化合物に幾何異性体又は光学異性体 存在する場合は、それらの異性体も本発明 範囲に含まれる。


 また、本発明化合物は水和物又は溶媒和物 形態をとっていてもよい。


 本発明化合物にプロトン互変異性が存在す 場合には、それらの互変異性体も本発明に まれる。


 本発明化合物に結晶多形及び結晶多形群(結 晶多形システム)が存在する場合には、それ の結晶多形体及び結晶多形群(結晶多形シス ム)も本発明に含まれる。ここで、結晶多形 群(結晶多形システム)とは、それら結晶の製 、晶出、保存等の条件及び状態(尚、本状態 には製剤化した状態も含む)により、結晶形 変化する場合の各段階における個々の結晶 及びその過程全体を意味する。


 (a)本発明化合物における好ましい例として 一般式(1)で示される化合物又はその塩にお て、各基が下記に示す基である化合物又は の塩が挙げられる。

 
(a1)R 1 及びR 2 が同一又は異なって、水素原子、低級アルキ ル基、ハロゲン原子を置換基として有する低 級アルキル基、メトキシ基を置換基として有 する低級アルキル基、メチルチオ基を置換基 として有する低級アルキル基、シアノ基を置 換基として有する低級アルキル基、メチルア ミノカルボニル基を置換基として有する低級 アルキル基、ジイソプロピルアミノ基を置換 基として有する低級アルキル基、低級アルケ ニル基、低級アルキニル基又は下記一般式(2) で表される基を示し; 及び/又は


(a2)R 3 がヒドロキシ基、低級アルコキシ基、低級シ クロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、 カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基 、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し; 及び /又は


(a3)R 4 及びR 5 が同一又は異なって、ハロゲン原子、低級ア ルキル基、ヒドロキシ基又は低級アルコキシ 基を示し;及び/又は
(a4)R 6 がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン 原子を置換基として有する低級アルキル基、 シアノ基を置換基として有する低級アルキル 基、低級シクロアルキル基、アリール基、複 素環基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、 ハロゲン原子を置換基として有する低級アル コキシ基、アリール基を置換基として有する 低級アルコキシ基、低級シクロアルキルオキ シ基、アリールオキシ基、メルカプト基、低 級アルキルチオ基、低級シクロアルキルチオ 基、アリールチオ基、ホルミル基、低級アル キルカルボニル基、カルボキシ基、低級アル コキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基又 は-NR e R f を示し;及び/又は
(a5)R 7 が低級アルキル基、低級シクロアルキル基、 アリール基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ 基、低級シクロアルキルオキシ基又はアリー ルオキシ基を示し;及び/又は
(a6)R a 及びR b が同一又は異なって、水素原子、低級アルキ ル基、低級シクロアルキル基、アリール基又 は複素環基を示し;及び/又は
(a7)R c 、R d 、R e 及びR f が同一又は異なって、水素原子、低級アルキ ル基、低級シクロアルキル基又はアリール基 を示し;及び/又は
(a8)環Aが環式炭化水素又は複素環を示し;及び /又は
(a9)環Bが窒素原子及び酸素原子からなる群よ 選択される1又は複数個のヘテロ原子を環内 に有する複素環を示し;及び/又は
(a10)Xが低級アルキレン基を示し;及び/又は
(a11)Y及びZが同一又は異なって、単結合、低 アルキレン基又はオキソ基を置換基として する低級アルキレン基を示し;
(a12)W 1 -W 2 がN-C又はC-Nを示し;及び/又は
(a13)l、m、n及びoが同一又は異なって、0、1、2 又は3を示す。

 
 すなわち、一般式(1)で示される化合物にお て、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)、(a6)、(a7) 、(a8)、(a9)、(a10)、(a11)、 (a12) 及び(a13)から る群より選択される1又は2以上の各組み合 せからなる化合物又はその塩が挙げられる


 (b)本発明化合物におけるより好ましい例と て、一般式(1)で示される化合物又はその塩 おいて、各基が下記に示す基である化合物 はその塩が挙げられる。


(b1)R 1 が低級アルキル基、ハロゲン原子を置換基と して有する低級アルキル基、メトキシ基を置 換基として有する低級アルキル基、メチルチ オ基を置換基として有する低級アルキル基、 シアノ基を置換基として有する低級アルキル 基、メチルアミノカルボニル基を置換基とし て有する低級アルキル基、ジイソプロピルア ミノ基を置換基として有する低級アルキル基 、低級アルキニル基又は下記一般式(2)で表さ れる基を示し; 及び/又は


(b2)R 2 が水素原子を示し;及び/又は
(b3)R 3 がヒドロキシ基、カルボキシ基、低級アルコ キシカルボニル基、-OCONR a R b 、-NR c R d 又は下記一般式(3)で表される基を示し; 及び /又は


(b4)R 6 がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン 原子を置換基として有する低級アルキル基、 シアノ基を置換基として有する低級アルキル 基、アリール基、モルホリノ基、ヒドロキシ 基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子を置換 基として有する低級アルコキシ基、アリール 基を置換基として有する低級アルコキシ基、 低級アルキルチオ基、低級アルキルカルボニ ル基、ニトロ基、シアノ基又は-NR e R f を示し;及び/又は
(b5)R 7 が低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示 し;及び/又は
(b6)R a 及びR b が同一又は異なって、水素原子又は複素環基 を示し;及び/又は
(b7)R c 、R d 、R e 及びR f が低級アルキル基を示し;及び/又は
(b8)環Aが環式炭化水素又は複素環を示し;及び /又は
(b9)環Bが窒素原子及び酸素原子からなる群よ 選択される複数個のヘテロ原子を環内に有 る複素環を示し;及び/又は
(b10)X及びYが低級アルキレン基を示し;及び/又 は
(b11)Zが単結合、低級アルキレン基又はオキソ 基で置換された低級アルキレン基を示し;及 /又は
(b12)W 1 -W 2 がC-N又はN-Cを示し;及び/又は
(b13)l及びmが0を示し;及び/又は
(b14)oが0又は1を示し;
(b15)nが0、1又は2を示す。


 すなわち、一般式(1)で示される化合物にお て、上記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、(b6)、(b7) 、(b8)、(b9)、(b10)、(b11)、(b12) 、(b13)、(b14)及 (b15)からなる群より選択される1又は2以上の 各組み合わせからなる化合物又はその塩が挙 げられる。


 (c)環Aの好ましい例として、下記の環が挙げ られる。


 環Aがベンゼン、インダン、チオフェン、ベ ンゾ[1,3]ジオキソール、2,3-ジヒドロベンゾフ ラン、1H-ベンゾイミダゾール、イソオキサゾ ール、チアゾール、ベンゾチアゾール、2,3- ヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン又はピリジンを 示す。

 
 また、その環Aを有し、上記(a)、(b)及び/又 下記(d)の条件を充足する化合物又はその塩 特に好ましい。


 (d)環Bの好ましい別の例として、下記の環が 挙げられる。


 環Bがピロリジン又はモルホリンを示す。

 
 また、その環Bを有し、上記(a)、(b)及び/又 (c)の条件を充足する化合物又はその塩が特 好ましい。


 (e)本発明化合物における特に好ましい具体 として、下記の化合物又はその塩が挙げら る。


・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベ ゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(3-ジメチルアミ プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボ ン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジメチルア ノフェニル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピ )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸ア ド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン -4-イル)プロピル)-3-フェネチルウレイドメチ ]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3,4-ジフルオ フェニル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレ イドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(4-メトキシフェニル)ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジエチルア ノフェニル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル) レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(3-フルオロフェニル)ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(3-フルオロ-4-メチルフェニル )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(4-フルオロ-3-メチルフェニル )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-シアノフェ ル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル)ウレイド チル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(4-トリフルオロメトキシフェ ニル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸 ミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(ベンゾ[1,3]ジ キソール-5-イル)-1-(3-ヒドロキシプロピル) レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジメチルア ノフェニル)-1-(2-エトキシカルボニルエチル )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(1,3-ベンゾチ ゾール-2-イル)-1-(3-ジメチルアミノプロピル) ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(1H-ベンゾイミ ダゾール-2-イル)-1-(3-ジメチルアミノプロピ )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ ド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロ-1 -ベンゾフラン-5-イル)-1-(3-(モルホリン-4-イル )プロピル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボ ン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロ ンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(2-ヒドロキシ チル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸 アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(フェニルカルボニルメチル) レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(1,3-チアゾール-2-イル)ウレイ ドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾ ル-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カル ン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾ ル-2-イル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カル ン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジエチルア ノプロピル)-3-(3,4-ジフルオロフェニル)ウレ イドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン -4-イル)プロピル)-3-(ピリジン-3-イル)ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(チオフェン-3-イル)ウレイド チル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルア ノプロピル)-3-(3-フルオロ-4-メトキシフェニ ル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸ア ド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-クロロ-4-フ オロフェニル)-1-(3-ジエチルアミノプロピル )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジエチルア ノプロピル)-3-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル )ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロ ンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-(2-ジメチルア ノエチル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボ ン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルア ノエチル)-3-(3-メトキシフェニル)ウレイド チル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルア ノエチル)-3-(3-フルオロフェニル)ウレイド チル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルア ノエチル)-3-(チオフェン-3-イル)ウレイドメ ル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(ピリジン-3-イ ル)-1-[3-(ピロリジン-1-イル)プロピル]ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-(モルホリン -4-イル)プロピル)-3-(フェニルカルボニルメチ ル)ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸ア ド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-クロロフェ ル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウレイ ドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・ N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-フルオロフ ネチル)-1-(3-(モルホリン-4-イル)プロピル)ウ レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-シアノフェニ ル)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ウレイドメチル] ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-フルオロフェ ニル)-1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル] ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベ ゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-[3-(4-メチルピペ ジン-1-イル)プロピル]ウレイドメチル]ピリ ン-2-カルボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミ ノエチル)-3-(3-メチルフェニル)ウレイドメチ ]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2,3-ジヒドロベ ゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-1-[4-(モルホリン-4- イル)ブチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カル ボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(2-ジメチルアミ ノエチル)-3-(チアゾール-2-イル)ウレイドメチ ル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(2-メトキシフェ ニル)-1-[4-(モルホリン-4-イル)ブチル]ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(3-メチルフェニ ル)-1-[3-(4-メチルピペリジン-1-イル)プロピル] ウレイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミ 。

・N-(2-アミノフェニル)-5-[3-シクロペンチル -1-[5-(モルホリン-4-イル)ペンチル]ウレイドメ チル]ピリジン-2-カルボン酸アミド。

 
 本発明化合物は、以下の方法により製造す ことができる。尚、個々の具体的な製造方 については、後述の実施例[製造例の項]で 細に説明する。また、下記の合成経路中で 用されているBocはtert-ブトキシカルボニル基 を示す。下記の式中R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が含まれ る場合にはこれらを汎用される方法で保護、 脱保護することが出来る。


 本発明化合物の製造方法は、以下に示す方 に大別することができ、置換基の種類に応 て、適宜その方法を選択することができる

1) 本発明化合物(I)は、合成経路1に従い製造 ることができる。すなわち、本発明化合物( I)は、化合物(II)をメタノール等の有機溶媒中 、塩化水素-酢酸エチル等の酸存在下、0℃か 室温で30分間から24時間処理することにより 得ることができる。


 化合物(IIa,R 2 =H)は、合成経路1-1に従い製造することができ る。すなわち、これは、化合物(III)とイソシ ネート(IV)を塩化メチレン等の有機溶媒中、 0℃から室温で30分間から24時間反応させるこ により得ることができる。


 化合物(III)は、合成経路1-2に従い製造する とができる。すなわち、これは、スルホネ ト(V)とアミン(VI)を0℃から室温で30分間から2 4時間反応させることにより得ることができ 。


 化合物(V)は、合成経路1-3に従い製造するこ ができる。すなわち、これは、化合物(VII) 塩化メタンスルホニル(VIII)を塩化メチレン の有機溶媒中、トリエチルアミン等の塩基 在下、0℃から室温で30分間から3時間反応さ ることにより得ることができる。


 化合物(VIIa,Y=CH 2 )は、合成経路1-4に従い製造することができ 。すなわち、これは、化合物(IX)をテトラヒ ロフラン(以下、「THF」とする)等の有機溶 中、テトラヒドロほう素化リチウム等の還 剤の存在下、0℃から室温で30分間から24時間 反応させることにより得ることができる。


 化合物(IX)は、合成経路1-5に従い製造するこ とができる。すなわち、これは、化合物(X)と 化合物(XI)をN,N-ジメチルホルムアミド(以下、 「DMF」とする)等の有機溶媒中、O-(7-アザベン ゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル ロニウム ヘキサフルオロフォスフェート( 下、「HATU」とする)等の縮合剤及びN,N-ジイ プロピルエチルアミン等の塩基存在下、室 で1時間から24時間反応させることにより得 ことができる。


 化合物(X)は、合成経路1-6に従い製造するこ ができる。すなわち、これは、化合物(XII) 二炭酸ジ-tert-ブチル(XIII)をTHF等の有機溶媒 、トリエチルアミン等の塩基存在下、室温 1時間から24時間反応させることにより得る とができる。


2) 化合物(II)は、合成経路2に従い製造するこ とができる。すなわち、これは、化合物(III) アミン(XIV)をTHF等の有機溶媒中、1,1’-カル ニルジイミダゾール等のウレア化剤存在下 0℃から60℃で30分間から24時間反応させるこ とにより得ることができる。


本発明化合物の薬理活性については、後述の 実施例「薬理試験」の項で詳細に説明するが 、本発明化合物のHDAC阻害活性をHDAC Fluorimetri c Assay/Drug Discovery Kit(BIOMOL社製)を用いて、 のプロトコールに準じて検討した結果、本 明化合物が優れたHDAC阻害活性を有すること 見出した。すなわち、本発明化合物は、HDAC 阻害剤が有効とされる疾患の予防及び/又は 療剤として有用であり、特に、癌、自己免 疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症 造血障害、繊維症、循環器疾患、血管新生 関与するとされる疾患等の予防及び/又は治 剤として期待される。

また、本発明化合物の線維柱帯細胞に対す る形態変化作用、すなわち、The Journal of Cli nical Investigation, 103, 1141-1150 (1999)に報告さ ているCell Shape Index(以下、「CSI」とする)を 指標とした評価系において、本発明化合物の 線維柱帯細胞の細胞形態変化作用を検討した 結果、本発明化合物に優れた線維柱帯細胞の 形態変化作用があることを見出した。

さらに、雄性日本白色ウサギを用いて、本 発明化合物の実際の眼圧下降作用を確認する 為、前眼房内投与における眼圧下降作用につ いて検討した結果、本発明化合物に眼圧下降 作用があることを確認した。すなわち、本発 明化合物は線維柱帯形態変化作用及び眼圧下 降作用を有することから房水循環及び/又は 圧が関与するとされる疾患、例えば、緑内 、高眼圧症等の予防及び/又は治療剤として 期待される。


 本発明化合物は経口でも、非経口でも投与 ることができる。投与剤型として、錠剤、 プセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤 が挙げられ、それらは汎用される技術を使 して製剤化することができる。


 例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤 の経口剤は、乳糖、マンニトール、デンプ 、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸 ルシウム、リン酸水素カルシウム等の賦形 、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウ 、タルク等の滑沢剤、デンプン、ヒドロキ プロピルセルロース、ヒドロキシプロピル チルセルロース、ポリビニルピロリドン等 結合剤、カルボキシメチルセルロース、低 換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ヒドロキ プロピルメチルセルロース、マクロゴール シリコーン樹脂等のコーティング剤、パラ キシ安息香酸エチル、ベンジルアルコール
等の安定化剤、甘味料、酸味料、香料等の矯 味矯臭剤等を必要に応じて、必要量を使用し 、調製することができる。


 また、注射剤、点眼剤等の非経口剤は、塩 ナトリウム、濃グリセリン、プロピレング コール、ポリエチレングリコール、塩化カ ウム、ソルビトール、マンニトール等の等 化剤、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナト ウム、酢酸ナトリウム、クエン酸,氷酢酸、 トロメタモール等の緩衝化剤、ポリソルベー ト80、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキ エチレン硬化ヒマシ油60等の界面活性剤、ク エン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の 安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン 、塩化ベンゾトニウム、パラオキシ安息香酸 エステル、安息香酸ナトリウム、クロロブタ ノール、ソルビン酸等の防腐剤、塩酸、クエ ン酸、リン酸、氷酢酸、水酸化ナトリウム、 炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH 整剤、ベンジルアルコール等の無痛化剤等 必要に応じて、必要量を使用し、調製する とができる。


 本発明は、本発明化合物の有効な量を患者 投与することからなるヒストン脱アセチル 酵素阻害方法、および、本発明化合物の有 な量を患者に投与することからなるヒスト 脱アセチル化酵素阻害剤が有効とされる疾 の予防又は治療剤方法にも関する。


 本発明化合物の投与量は、症状、年齢、剤 等により適宜選択して使用することができ 。例えば、経口剤では通常1日当たり0.01~1000 mg、好ましくは1~100mgを1回又は数回に分けて 与することができる。また、点眼剤は通常0. 0001%~10%(w/v)、好ましくは0.01%~5%(w/v)の濃度のも のを1回又は数回に分けて投与することがで る。


以下に本発明化合物の製造例、製剤例及び薬 理試験の結果を示す。尚、これらの例示は本 発明をよりよく理解するためのものであり、 本発明の範囲を限定するものではない。

[製造例]
参考例1
2-アミノフェニルカルバミン酸 t-ブチルエス テル(参考化合物1-1)
 O-フェニレンジアミン(22g、200mmol)とトリエ ルアミン(30mL、210mmol)のTHF(150mL)溶液に二炭酸 ジ-t-ブチル(44g、200mmol)のTHF(50mL)溶液を滴下し 、室温で15時間撹拌した。反応液を濃縮して られた固体を酢酸エチルでろ取し、固体を 圧下で乾燥して標記参考化合物21gを白色固 として得た。またろ液を濃縮して得られた      体を酢酸エチルでろ取し、減圧下で 乾燥することにより、標記参考化合物11gを白 色固体として得た(収率76%)。


参考例2
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5- トキシカルボニルピリジン-2-カルボン酸ア ド(参考化合物2-1)
 2-アミノフェニルカルバミン酸 t-ブチルエ テル(参考化合物1-1、10g、50mmol)、5-メトキシ カルボニルピリジン-2-カルボン酸(10g、55mmol) びN-メチルモルホリン(11mL、100mmol)のDMF(100mL) 溶液にHATU(21g、55mmol)を加え、室温で20時間撹 した。水(300mL)を加え、酢酸エチル(300mL)で3 抽出した。有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄 した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 減圧下で溶媒を留去し、析出した固体をろ取 することにより、標記参考化合物15gを淡褐色 固体として得た(収率79%)。


参考例3
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5- ドロキシメチルピリジン-2-カルボン酸アミ (参考化合物3-1)
 氷冷下でN-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフ ェニル)-5-メトキシカルボニルピリジン-2-カ ボン酸アミド(参考化合物2-1、38g、100mmol)のTH F(400mL)溶液にテトラヒドロほう素化リチウム( 2.1g、100mmol)を加え、3時間撹拌した。氷冷下 水(200mL)、1.0M塩酸(300mL)を加え、酢酸エチル(3 00mL)で抽出し、有機層を水(500mL)、飽和食塩水 (400mL)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで 燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣に酢酸 チル(20mL)、ヘキサン(30mL)を加え、析出した 体をろ取することにより、標記参考化合物18 gを白色固体として得た(収率53%)。


参考例4
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5- タンスルホニルオキシメチルピリジン-2-カ ボン酸アミド(参考化合物4-1)
 氷冷下でN-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフ ェニル)-5-ヒドロキシメチルピリジン-2-カル ン酸アミド(参考化合物3-1、16g、45mmol)とトリ エチルアミン(16mL、110mmol)の塩化メチレン(150m L)溶液に塩化メタンスルホニル(4.2mL、54mmol)を 加え、1時間撹拌した。水(400mL)を加え、酢酸 チル(500mL)で5回抽出した。有機層を水(500mL) 洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 圧下で溶媒を留去した。残渣にヘキサン(80m L)、酢酸エチル(20mL)を加え、析出した固体を 取することにより、標記参考化合物18gを白 固体として得た(収率94%)。


参考例5
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5-( 3-ジメチルアミノプロピルアミノメチル)ピリ ジン-2-カルボン酸アミド(参考化合物5-1)
 N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(3.0mL、24mm ol)と炭酸カリウム(3.3g、24mmol)のDMF(40mL)懸濁液 にN-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)- 5-メタンスルホニルオキシメチルピリジン-2- ルボン酸アミド(参考化合物4-1、4.9g、12.0mmol )を加え、室温で6時間撹拌した。飽和重曹水( 100mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した 有機層を水(100mL)で3回洗浄し、無水硫酸マ ネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し 。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ ー(クロロホルム-メタノール)で精製するこ により、標記参考化合物1.9gを黄色アモルフ スとして得た(収率38%)。


以下、参考化合物4-1及び市販化合物から選択 される化合物を使用し、参考化合物5-1の製造 方法に準じて、参考化合物5-2~5-19を得た。ま 、参考化合物11-1及び市販化合物から選択さ れる化合物を使用し、参考化合物4-1及び5-1の 製造方法に準じて、参考化合物5-20を得た。

参考例6
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5-[ 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-フェネチルウ レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド( 考化合物6-1)
 N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5 -(3-ジメチルアミノプロピルアミノメチル)ピ ジン-2-カルボン酸アミド(参考化合物5-1、27m g、0.060mmol)の塩化メチレン(1.0mL)溶液にフェネ チルイソシアネート(15μL、0.11mmol)を加え、室 温で2時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロ ホルム-メタノール)で精製することにより 標記参考化合物32mgを無色アモルファスとし 得た(収率88%)。


以下、参考化合物5-1~5-20、市販化合物及び既 化合物から選択される化合物を使用し、参 化合物6-1の製造方法に準じて、参考化合物6 -2~6-141を得た。

参考例7
5-[3-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-(3-ジメチ アミノプロピル)ウレイドメチル]-N-(2-t-ブト キシカルボニルアミノフェニル)ピリジン-2- ルボン酸アミド(参考化合物7-1)
 氷冷下でN,N’-カルボニルジイミダゾール(98 mg、0.60mmol)のTHF(3.0mL)溶液に2-アミノ-1,3-ベン チアゾール(100mg、0.60mmol)を加え、2時間撹拌 た。さらにN-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ フェニル)-5-(3-ジメチルアミノプロピルアミ メチル)ピリジン-2-カルボン酸アミド(参考化 合物5-1、90mg、0.20mmol)を加え、60℃で3時間撹 した。水(30mL)を加え、酢酸エチル(30mL)で2回 出し、有機層を水(30mL)、飽和食塩水(30mL)で 浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 圧下で溶媒を留去することにより、標記参 化合物を含有する220mgの混合物を白色アモ ファスとして得た。


以下、参考化合物5-1~5-20及び市販化合物から 択される化合物を使用し、参考化合物7-1の 造方法に準じて、参考化合物7-2~7-49を得た

参考例8
6-メチルピリジン-3-カルボン酸メチルエステ  N-オキシド(参考化合物8-1)
 6-メチルピリジン-3-カルボン酸メチルエス ル(3.0g、20mmol)に30%過酸化水素水(5.7mL、50mmol) タングステン酸ナトリウム2水和物(270mg、0.8 0mmol)を加え、60℃で70分間、80℃で4時間半撹 した。氷冷し、メタノール(10ml)と酸化マン ン(0.51g、6.0mmol)を加え、室温に戻し16時間撹 した。セライトで不溶物をろ去し、ろ液を 縮することにより、標記参考化合物3.2gを薄 茶色固体として得た(収率98%)。


参考例9
6-アセトキシメチルピリジン-3-カルボン酸メ ルエステル(参考化合物9-1)
 6-メチルピリジン-3-カルボン酸メチルエス ル N-オキシド(参考化合物8-1、2.1g、13mmol)の 酸(14mL)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミ ン(2.2mL、13mmol)と無水酢酸(3.5mL、38mmol)を加え 120℃で135分撹拌した。放冷後、飽和重曹水( 100mL)を加え、さらに泡が出なくなるまで重曹 を加えた。酢酸エチル(100mL、50mL)で抽出し、 機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、 圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エ ル)で精製し、得られた固体をヘキサンと酢 エチルを用いて濾取することにより、標記 考化合物1.2gを薄黄色固体として得た(収率48 %)。


参考例10
6-ヒドロキシメチルピリジン-3-カルボン酸(参 考化合物10-1)
 氷冷下、6-アセトキシメチルピリジン-3-カ ボン酸メチルエステル(参考化合物9-1、0.60g 2.9mmol)のメタノール(6.0mL)溶液に2規定水酸化 トリウム水溶液(3.0mL)を加え、氷冷で40分間 室温で4時間撹拌した。氷冷下、2規定塩酸(3 .1mL)を加え、減圧下で溶媒を留去することに り、標記参考化合物を橙色固体として得た


参考例11
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-6- ドロキシメチルピリジン-3-カルボン酸アミ (参考化合物11-1)
 参考例10で得られた6-ヒドロキシメチルピリ ジン-3-カルボン酸(参考化合物10-1)をDMF(10mL)に 懸濁させ、2-アミノフェニルカルバミン酸 t- ブチルエステル(参考化合物1-1、0.60g、2.9mmol), N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.5mL、8.6mmol) ,HATU(1.1g、2.9mmol)を加えて2時間撹拌した。水(2 00mL)を加え、酢酸エチル(100mL、50ml)で抽出し 有機層を飽和食塩水(100mL)で2回洗浄した。無 水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒 を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製す ることにより、標記参考化合物0.66gを褐色油 物として得た(収率67%(2工程))。


実施例1
N-(2-アミノフェニル)-5-[1-(3-ジメチルアミノプ ロピル)-3-フェネチルウレイドメチル]ピリジ -2-カルボン酸アミド(化合物1-1)
 N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5 -[1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-フェネチル レイドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド (参考化合物6-1、31mg、0.060mmol)のメタノール(2. 0mL)溶液に4.0M塩化水素-酢酸エチル(1.0mL)を加 、室温で4時間撹拌した。飽和重曹水(30mL)を え、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。有機層 を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧 下で溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラム クロマトグラフィー(クロロホルム-メタノー )で精製することにより、標記化合物24mgを 色アモルファスとして得た(収率84%)。


以下、参考化合物6-2~6-141、参考化合物7-1~7-49 ら選択される化合物を使用し、化合物1-1の 造方法に準じて、化合物1-2~1-190を得た。

実施例2
N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ジメチルアミノフ ェニル)-1-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]ウ イドメチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド(化 合物2-1)
N-(2-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-5-[ 3-(モルホリン-4-イル)プロピルアミノメチル)] ピリジン-2-カルボン酸アミド(参考化合物5-10 25mg、0.053mmol)の塩化メチレン(1.0mL)溶液に4- メチルアミノフェニルイソシアネート(23mg、 0.14mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応 をNH基修飾シリカゲルカラムクロマトグラフ ィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製することに より、無色の化合物を得た。得られた化合物 をメタノール(0.5mL)に溶解し、4.0M塩化水素-酢 酸エチル(1.0mL)溶液を加え、室温で4時間撹拌 た。飽和重曹水(30mL)を加え、酢酸エチル(30m L)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウ で乾燥し、減圧下で溶媒を留去することに り、標記化合物27mgを無色アモルファスとし て得た(77%)

 
以下、参考化合物5-1、5-2、5-6、5-7、5-9及び5-1 0から選択される化合物を使用し、化合物2-1 製造方法に準じて、化合物2-2~2-15を得た。

実施例3
N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4-ヒドロキシフェニ ル)-1-[5-(モルホリン-4-イル)ペンチル]ウレイ メチル]ピリジン-2-カルボン酸アミド(化合物 3-1)
 窒素雰囲気下、N-(2-アミノフェニル)-5-[3-(4- ンジルオキシフェニル)-1-[5-(モルホリン-4- ル)ペンチル]ウレイドメチル]ピリジン-2-カ ボン酸アミド(化合物1-182,45mg、0.072mmol)の酢 エチル(2.0ml)とメタノール(3.0ml)の混合溶液に 10%パラジウム-炭素(30mg)を加えた後、水素雰 気下、室温で2時間撹拌した。セライトで不 物をろ去し、ろ液を濃縮した。残渣をシリ ゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホル ム-メタノール)で精製することにより、標記 合物32mgを黄色油状物質として得た(収率84%)


[製剤例]
本発明化合物の代表的な製剤例を以下に示す 。


1)錠剤(150mg中)
  本発明化合物                  1m g
  乳糖                     100mg
  トウモロコシデンプン              40mg
  カルボキシメチルセルロースカルシウム       4.5mg
  ヒドロキシプロピルセルロース           4mg
  ステアリン酸マグネシウム            0.5mg

上記処方の錠剤にコーティング剤(例えば、 ドロキシプロピルメチルセルロース、マク ゴール、シリコーン樹脂等の通常のコーテ ング剤)3mgを用いてコーティングを施し、目 とする錠剤を得ることができる。また、本 明化合物並びに添加物の種類及び/又は量を 適宜変更することで、所望の錠剤を得ること もできる。


2)カプセル剤(150mg中)
  本発明化合物                       5mg
  乳糖                   135mg
  カルボキシメチルセルロースカルシウム     4.5mg
  ヒドロキシプロピルセルロース          4mg
  ステアリン酸マグネシウム           1.5mg

 本発明化合物並びに添加剤の種類及び又は を適宜変更することで、所望のカプセル剤 得ることができる。


3)点眼剤(100ml中)
  本発明化合物                100mg
  塩化ナトリウム               900mg
  ポリソルベート80                 500mg
  水酸化ナトリウム              適
  塩酸                    適量
  滅菌精製水                 適量

 本発明化合物及び添加物の種類及び/又は量 を適宜変更することで、所望の点眼剤を得る ことができる。


[薬理試験]
1.HDAC阻害活性評価試験
本発明化合物のHDAC阻害活性の評価は、HDAC Fl uorimetric Assay/Drug Discovery Kit(BIOMOL社製)を用 、キットのプロトコールに準じて実施した キットには、Buffer、HeLa細胞核抽出液(HDACが まれている)、Substrate、Developer及びTrichostatin A(HDAC Inhibitor)が含まれている。


(被験化合物溶液の調製)
被験化合物をジメチルスルホキシド(以下、 DMSO」とする)に溶解して2mg/mL溶液を調製し、 これを5%DMSO含有Bufferで希釈して150μMの被験化 合物溶液を調製した。


(試験方法及び測定方法)
1)384穴プレートに被験化合物溶液を1穴あたり 2μLずつ添加した。

2)Bufferにて30倍希釈したHeLa細胞核抽出液を1 穴あたり3μLずつ添加し、37℃で2時間インキ ベーションした。

3)Bufferにて500倍希釈したSubstrateを1穴あたり 5μLずつ添加し、37℃で10分間インキュベーシ ンした(被験化合物濃度:30μM)。

4)Bufferにて20倍希釈したDeveloper(2μM Trichostat in A含有)を1穴あたり10μLずつ添加し、室温で 15分間インキュベーションした。

5)マルチラベルカウンター ARVO(Wallac社製) 用いて、各穴の蛍光強度(励起波長:360nm、蛍 波長:460nm)を測定した。

6)被験化合物溶液に代えて5%DMSO含有Bufferを いて、他は前記1~5)と同じ操作を行い、その 結果をコントロールとした。

7)被験化合物溶液に代えて5%DMSO含有Bufferを また、HeLa細胞核抽出液に代えてBufferを用い て、他は前記1~5)と同じ操作を行い、その結 をブランクとした。


(酵素阻害率の計算式)
酵素阻害率(%)は以下の式により算出した。

酵素阻害率(%)=100×{1-(被験化合物溶液の蛍光 度-ブランクの蛍光強度)/(コントロールの蛍 強度-ブランクの蛍光強度)}

(試験結果)
被験化合物として、化合物1-2、化合物1-3、化 合物1-4、化合物1-6、化合物1-8、化合物1-10、 合物1-13、化合物1-14、化合物1-20、化合物1-21 化合物1-24、化合物1-25、化合物1-27、化合物1 -30、化合物1-31、化合物1-38、化合物1-40、化合 物1-41、化合物1-42、化合物1-44、化合物1-46、 合物1-51、化合物1-53、化合物1-55、化合物1-56 化合物1-58、化合物1-63、化合物1-68、化合物1 -79、化合物1-90、化合物1-96、化合物1-115、化 物1-116、化合物1-141、化合物2-1、化合物2-3及 化合物2-10を使用した場合の酵素阻害率を表 Iに示す。

2.線維柱帯細胞に対する形態変化作用の評価 験
細胞の形態変化を評価する方法の一つとして 、Cell Shape Index(以下、「CSI」とする)を指標 した評価系が、The Journal of Clinical Investiga tion, 103, 1141-1150 (1999)に報告されている。そ こで、前記文献記載の方法に準じ、本発明化 合物の線維柱帯細胞に対する形態変化作用を 評価した。


(使用細胞)
Investigative Ophthalmology & Visual Science, 43,  151-161 (2002)に報告されている、ヒト線維柱帯 細胞株(以下、「TM-1細胞」とする)を使用した 。


(試薬の調製)
培養液1:Dulbecco’s Modified Eagle Medium(以下、 D-MEM」とする)にウシ胎児血清(10%)、L-グルタ ン(2mM)、アンフォテリシンB(2.5μg/mL)及びゲ タマイシン(25μg/mL)を添加し、培養液1とした 。

培養液2:D-MEMにウシ胎児血清(3%)、L-グルタ ン(2mM)、アンフォテリシンB(2.5μg/mL)及びゲン タマイシン(25μg/mL)を添加し、培養液2とした

細胞染色液:Calcein-AM溶液(細胞質染色試薬、 DOJINDO社製)及びHoechst 33342溶液(核染色試薬、D OJINDO社製)を、L-グルタミン(2mM)、アンフォテ シンB(2.5μg/mL)及びゲンタマイシン(25μg/mL)を 添加したD-MEMで希釈し、Calcein-AM(16μM)、Hoechst 33342(40μM)の混合液を調製した。


(細胞の調製)
37℃、8%炭酸ガス雰囲気下で継代培養したTM-1 胞を、後述の薬物処理24時間前にトリプシ -EDTA溶液(0.05%トリプシン、0.53mMエチレンジア ミン四酢酸四ナトリウム)で処理して96穴培養 プレートに播種した。細胞の継代培養には培 養液1を用いた。プレート播種後の細胞培養 は培養液2を用いた。


(被験化合物溶液の調製)
被験化合物をDMSOに溶解して5mM溶液を調製し これを培養液2で希釈して200μMの被験化合物 液を調製した。


(陽性対照化合物溶液の調製)
Rhoキナーゼ阻害剤であるY-27632が線維柱帯細 の形態変化を誘導することがInvestigative Ophth almology & Visual Science,42,137-144(2001)に報告 れている。そこでY-27632(国際公開第90/05723号 ンフレットに記載の方法に従い製造)を陽性 対照として設定し、被験化合物と同様にY-2763 2をジメチルスルホキシドに溶解して5mM溶液 調製し、これを培養液2で希釈して200μMの溶 の陽性対照化合物溶液を調製した。


(試験方法及び測定方法)
1)96穴培養プレートに1.6×10 4 cells/mLに調製したTM-1細胞を1穴あたり95μL(1.5× 10 4 cells)ずつ添加した。

2)8%炭酸ガス雰囲気下、37℃で24時間培養を った。

3)被験化合物溶液または陽性対照化合物溶 を1穴あたり5μLずつ添加した(被験化合物ま は陽性対照化合物の最終濃度:10μM)。またコ ントロールとしては、DMSO(4%)を含有する培養 2を1穴あたり5μLずつ添加した。

4)8%炭酸ガス雰囲気下、37℃で24時間培養を った。

5)細胞染色液を1穴あたり10μLずつ添加した

6)8%炭酸ガス雰囲気下、37℃で1時間インキ ベーションし細胞を染色した。

7)37%ホルムアルデヒド溶液を1穴あたり10μL つ添加した。

8)室温で1時間インキュベーションし細胞を 固定した。

9)リン酸緩衝生理食塩液による洗浄を行っ 。

10)Array Scan Vti HCS reader(Cellomics社製)を用 て、20倍の対物レンズで、1被験化合物添加 あたり80視野(10視野×8穴)につき染色細胞の 像を取り込んだ。

11)各細胞につきCSIを算出し、各被験化合物 添加群ごとの平均値を求めた。


(CSIの計算式)
CSIは以下の式により算出した。

CSI=4π×細胞の面積/(細胞周囲の長さ) 2

(試験結果)
被験化合物として、化合物1-2、化合物1-3、化 合物1-4、化合物1-6、化合物1-8、化合物1-10、 合物1-13、化合物1-14、化合物1-20、化合物1-21 化合物1-24、化合物1-25、化合物1-27、化合物1 -30、化合物1-31、化合物1-38、化合物1-40、化合 物1-41、化合物1-42、化合物1-44、化合物1-46、 合物1-51、化合物1-53、化合物1-55、化合物1-56 化合物1-58、化合物1-63、化合物1-68、化合物1 -79、化合物1-90、化合物1-96、化合物1-115、化 物1-116、化合物1-141、化合物2-1、化合物2-3、 合物2-10及びY-27632を使用した場合のCSIを表II に示す。

3.眼圧下降作用の評価試験
本発明化合物の眼圧下降作用を評価するため 、雄性日本白色ウサギを用いた本発明化合物 の前房内投与による眼圧下降作用の評価試験 を実施した。


(被験化合物投与液の調製)
被験化合物を0.5%のDMSO含有生理食塩液に溶解 せ、1mMの被験化合物投与液を調製した。

 
(試験方法及び測定方法)
雄性日本白色ウサギの両眼に0.4%塩酸オキシ プロカイン点眼液を一滴ずつ点眼し局所麻 した後、圧平式眼圧計を用いて眼圧を測定 た。次いで、30G針の注射器を用い、片眼に 験化合物投与液(20μL)を前房内投与した。コ トロールとしては、被験化合物の溶媒(0.5%DM SO含有生理食塩液)を20μL前房内投与した。被 化合物又は溶媒を投与してから一定時間の に、投与眼に0.4%塩酸オキシブプロカイン点 眼液を一滴ずつ点眼し局所麻酔した後、圧平 式眼圧計を用いて眼圧を測定した。


(眼圧下降率の計算式)
被験化合物の眼圧下降作用は眼圧下降率を算 出することにより評価した。眼圧下降率(%)は 以下の式により算出した。


眼圧下降率(%)=100×(コントロール群の眼圧の 均値-各被験化合物投与群の眼圧の平均値)/ ントロール群の眼圧の平均値

(試験結果及び考察)
被験化合物として、化合物1-96を使用した場 の眼圧下降率を表IIIに示す。尚、以下の眼 下降率は、各被験化合物を投与してから9時 後のものである(一群あたり6例)。

表Iで示したとおり、本発明化合物は優れたHD AC阻害活性を有しており、HDAC阻害剤が有効と される疾患、例えば、癌、自己免疫疾患、炎 症性疾患、神経変性疾患、感染症、造血障害 、繊維症、循環器疾患、血管新生が関与する とされる疾患の予防及び/又は治療剤として 待される。又、表IIで示したとおり、かかる 化合物は線維柱帯細胞に対して、陽性対照と したY-27632と同程度またはそれ以上の優れた 胞形態変化作用を有した(尚、表IIにおいて 、CSIが小さい程、細胞形態変化が大きいこ を示す)。さらに表IIIで示したとおり、かか 化合物は実際の動物モデル試験においても れた眼圧下降作用を有していることから、 かる化合物は、房水循環及び/又は眼圧が関 与するとされる疾患の予防及び/又は治療剤 特に緑内障、高眼圧症等の予防及び/又は治 剤としても有用であることが期待される。

本発明化合物はHDAC阻害活性を有し、HDAC阻 剤が有効とされる疾患の予防及び/又は治療 剤として有用であり、特に、癌、自己免疫疾 患、炎症性疾患、神経変性疾患、感染症、造 血障害、繊維症、循環器疾患、血管新生が関 与するとされる疾患の予防及び/又は治療剤 して有用である。また、本発明化合物は線 柱帯形態変化作用及び眼圧下降作用を有す ことから房水循環及び/又は眼圧が関与する される疾患、例えば、緑内障、高眼圧症等 予防及び/又は治療剤として有用である。