Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
NOVEL LACTIC ACID BACTERIA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099544
Kind Code:
A1
Abstract:
Bacterium of the genus Lactococcus having (1) a fermenting property such that upon culturing in a 10% reduced powdered skim milk medium within a temperature range of 25° to 37°C for 16 hr, the medium solidifies, (2) a Bifidobacterium longum growth promoting property such that in a mixed culturing with Bifidobacterium longum in the above medium, when the pH value reaches 4.4 to 4.6, the number of Bifidobacterium longum bacteria is 5x108 CFU/g or more, and (3) a Bifidobacterium longum storage survivability enhancing property such that in a mixed culturing with Bifidobacterium longum in the above medium, when the culture is rapidly cooled upon reaching of the pH value at 4.4 to 4.6 and stored at 10°C for two weeks, the survivability of Bifidobacterium longum is 30% or higher.

Inventors:
SHIMIZU KANETADA (JP)
YAESHIMA TOMOKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/071395
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
November 02, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MORINAGA MILK INDUSTRY CO LTD (JP)
SHIMIZU KANETADA (JP)
YAESHIMA TOMOKO (JP)
International Classes:
C12N1/20; A23L33/00; A61K35/74; A61K35/744; A61P1/04; A61P1/14; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2006129508A12006-12-07
Foreign References:
JP2004018469A2004-01-22
JPH10229819A1998-09-02
JP2002335860A2002-11-26
JP2003250528A2003-09-09
JP2007032645A2007-02-08
JP3364491B22003-01-08
JPH0368484B21991-10-28
Other References:
"Bergey's Manual of Systematic Bacteriology", vol. 2, 1986, WILLIAMS AND WILKINS COMPANY
MITSUOKA: "Clinical Examination", TOMOTARI MITSUOKA, THE BACTERIOLOGY OF LACTIC ACID BACTERIA, vol. 18, 1974, pages 1163 - 1172
NATIONAL INSTITUTE OF ADVANCED INDUSTRIAL SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 6, pages 1 - 1
NATIONAL INSTITUTE OF ADVANCED INDUSTRIAL SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 6, 31 October 2001 (2001-10-31), pages 1 - 1
See also references of EP 2112219A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Yaesu Chuo-k, Tokyo 53, JP)
Download PDF:
Claims:
 (1)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25~37℃の温度範囲で16時間培養した場合に、培地が凝固する発酵性;
 (2)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)と混合培養した場合に、pHが4.4~4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 8 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性;および
 (3)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4~4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性、
の菌学的性質を有する、ラクトコッカス(Lactococcus)属菌。
 キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しないことを特徴とする請求項1記載のラクトコッカス属菌。
 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)である、請求項1又は2記載のラクトコッカス属菌。
 前記ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7787及びビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか記載のラクトコッカス属菌。
 菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852(FERM BP-10742)である、請求項3又は4記載のラクトコッカス属菌。
 菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857(FERM BP-10757)である、請求項3又は4記載のラクトコッカス属菌。
 菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC859(FERM BP-10744)である、請求項3又は4記載のラクトコッカス属菌。
 菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865(FERM BP-10745)である、請求項3又は4記載のラクトコッカス属菌。
 菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866(FERM BP-10746)である、請求項3又は4記載のラクトコッカス属菌。
 請求項1~9のいずれか記載のラクトコッカス属菌を含有する菌末。
 請求項1~9のいずれか記載のラクトコッカス属菌を含有する医薬用組成物。
 請求項1~9のいずれか記載のラクトコッカス属菌を含有する整腸剤。
 請求項1~9のいずれか記載のラクトコッカス属菌を用いることを特徴とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育・生残性促進方法。
Description:
新規乳酸菌

 本発明は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属 する新規乳酸菌、該乳酸菌を含有する菌末、 医薬用組成物及び整腸剤、及び、該乳酸菌を 用いるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifid obacterium longum)の生育・生残性促進方法に関 る。
 本願は、2007年2月13日に出願された特願2007-0 32645号に基づいて優先権を主張し、その内容 ここに援用する。

 ラクトコッカス属菌やビフィドバクテリ ム(Bifidobacterium)属菌(以下、「ビフィズス菌 という)等の乳酸菌は、腸内細菌のバランス を回復する整腸作用や、免疫増強作用、発ガ ン抑制作用等を有することが知られている。 このため、近年、生活者の健康志向の高まり と共に、乳酸菌の食品への利用が盛んになっ てきている。特に、ビフィドバクテリウム・ ロンガム等のビフィズス菌は、ヒトの腸管内 で形成される腸内菌叢の優勢菌種の一つであ り、生きているビフィズス菌を含む発酵乳等 の食品への需要が高まっている。

 ビフィズス菌は、乳性培地における増殖性 悪い。このため、発酵乳中に一定量の、例 ば1×10 7 CFU/mLのビフィズス菌を含有させるために、通 常、様々な生育促進物質を添加することが行 われている。しかし、該生育促進物質は一般 的に高価であり、かつ、風味が損なわれるお それもある。また、ビフィズス菌は、酸性条 件下での保存が難しく、死滅し易い。このた め、発酵乳製品等が流通する過程で、発酵乳 製品中の生きているビフィズス菌量は加速度 的に減少してしまう。
 そこで、ビフィズス菌の生育性や保存生残 を改善することにより、生きているビフィ ス菌を多く含有する発酵乳を製造し得るば りではなく、生きているビフィズス菌が、 造直後と同様に、消費者が摂食する時点に いても豊富に含有されている発酵乳を製造 得ることが期待できる。

 ビフィズス菌以外の乳酸菌と混合発酵を せることにより、該生育促進物質等を添加 ることなく、ビフィズス菌の生育性や保存 残性を改善する種々の方法が開示されてい 。発酵乳製造におけるビフィズス菌の生育 を改善させる方法については、例えば、(1) クトコッカス・ラクチス・サブスピーシー ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラ クトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)お よびビフィズス菌を含有することを特徴とす るヨーグルト及びその製造方法が開示されて いる(例えば、特許文献1参照。)。

 その他、発酵乳のビフィズス菌の保存生残 を改善させる方法については、例えば、(2) を主成分とする培地で、ビフィドバクテリ ム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、並びにダ アセチル及びアセトインを生成しないラク コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ クチスを混合培養することを特徴とするビ ィズス菌発酵乳の製造方法が開示されてい (例えば、特許文献2参照。)。

特許第3364491号公報

特許第3068484号公報

 しかしながら、上記(1)の方法では、ビフ ズス菌の生育が促進され、発酵時間を短縮 ることができるものの、特許文献1には、ビ フィズス菌の保存生残性については一切記載 がない。一方、上記(2)の方法では、特定のビ フィズス菌と特定の乳酸菌とからなる混合菌 を用いることにより、増殖促進効果と生残性 改善効果の両方が認められるものの、ビフィ ドバクテリウム・ブレーベ以外のビフィズス 菌、例えば食品に汎用されているビフィドバ クテリウム・ロンガムについては、一切記載 がない。

 本発明は、ビフィズス菌、特にビフィドバ テリウム・ロンガムの生育性や保存生残性 改善させ得る乳酸菌を提供することを目的 する。
 また、本発明は、該乳酸菌を含有する菌末 医薬用組成物及び整腸剤、及び、該乳酸菌 用いるビフィドバクテリウム・ロンガムの 育・生残性促進方法を提供することを目的 する。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意 究した結果、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地にお る発酵性に優れた乳酸菌の菌株について、 フィドバクテリウム・ロンガムとの混合培 による発酵試験を行い、pHが4.4~4.6に達した に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌 を5×10 8 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロ ガムの生育促進性や、発酵終了後に急冷し 10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバク リウム・ロンガムの生残率を30%以上とする ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生 性促進性を有する乳酸菌を見出し、本発明 完成させた。

 すなわち、本発明は、下記の菌学的性質を するラクトコッカス(Lactococcus)属菌を提供す るものである。
(1)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25~37℃の温度 囲で16時間培養した場合に、培地が凝固する 発酵性、(2)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフ ドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium long um)と混合培養した場合に、pHが4.4~4.6に達した 時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌 数を5×10 8 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロ ガムの生育促進性、及び(3)10%(W/W)還元脱脂 乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガ と混合培養した場合に、pHが4.4~4.6に達した に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、 フィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30 %以上とする、ビフィドバクテリウム・ロン ムの保存生残性促進性。
 また、本発明は、キシロース資化性を有さ 、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生 しないことを特徴とする、前記ラクトコッ ス属菌を提供するものである。
 また、本発明は、ラクトコッカス・ラクチ ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus la ctis subsp. lactis)である、前記ラクトコッカス 属菌を提供するものである。
 また、本発明は、前記ビフィドバクテリウ ・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウ ・ロンガムFERM BP-7787及びビフィドバクテリ ウム・ロンガム タイプストレインATCC15707か なる群から選択される少なくとも一種であ 、ラクトコッカス属菌を提供するものであ 。
 また、本発明は、菌株が、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC8 52(FERM BP-10742)である、ラクトコッカス属菌を 提供するものである。
 また、本発明は、菌株が、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC8 57(FERM BP-10757)である、ラクトコッカス属菌を 提供するものである。
 また、本発明は、菌株が、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC8 59(FERM BP-10744)である、ラクトコッカス属菌を 提供するものである。
 また、本発明は、菌株が、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC8 65(FERM BP-10745)である、ラクトコッカス属菌を 提供するものである。
 また、本発明は、菌株が、ラクトコッカス ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC8 66(FERM BP-10746)である、ラクトコッカス属菌を 提供するものである。
 また、本発明は、前記いずれか記載のラク コッカス属菌を含有する菌末を提供するも である。
 また、本発明は、前記いずれか記載のラク コッカス属菌を含有する医薬用組成物を提 するものである。
 また、本発明は、前記いずれか記載のラク コッカス属菌を提供するものである。
 また、本発明は、前記いずれか記載のラク コッカス属菌を用いることを特徴とする、 フィドバクテリウム・ロンガムの生育・生 性促進方法を提供するものである。

 本発明のラクトコッカス属菌、及び、本 明のビフィドバクテリウム・ロンガムの生 ・生残性促進方法により、ビフィドバクテ ウム・ロンガムの生育性や保存生残性を顕 に改善することができるため、従来に無く フィドバクテリウム・ロンガムを多く含有 る発酵乳製品を、効率よく製造することが きる。また、発酵乳製品中の生きているビ ィドバクテリウム・ロンガム含有量が、流 過程においても充分に維持されるため、よ 整腸効果の高い発酵乳製品を提供すること でき、健康管理上も有用である。

 本発明のラクトコッカス属菌、特にラクト ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラ チスは、上記(1)、(2)、及び(3)の特性を有す ものである。
 (1)は、発酵性に関するものである。10%(W/W) 元脱脂粉乳培地で、25~37℃の温度範囲で16時 培養した時に、培地を凝固させることがで るほど増殖が早く、強い発酵性を有する乳 菌であれば、発酵乳製造時に、ビフィドバ テリウム・ロンガムの生育性等をより効果 に改善することができる。ここで、「培地 凝固する」とは、酸発酵により、培地のpH 乳蛋白質の等電点を下まわり、乳蛋白質が 集し、培地が凝固することを意味する。ま 、「10%(W/W)還元脱脂粉乳培地」は、還元脱脂 粉乳(例えば、森永乳業社製)を10質量%濃度で に溶解して調製することができる。

 通常、ラクトコッカス属菌に適した発酵 度範囲は、20~30℃であるが、本発明のラク コッカス属菌は、25~37℃の温度範囲で強い発 酵性を有する菌である。すなわち、本発明の ラクトコッカス属菌は、ビフィドバクテリウ ム・ロンガムに適した発酵温度範囲(30~40℃) おいて、充分な発酵性を有する菌である。

 (2)は、ビフィドバクテリウム・ロンガムの 育促進性に関するものである。10%(W/W)還元 脂粉乳培地等の乳性培地は、pHが4.6付近にな ると、通常、含有されるカゼイン等が沈殿し 、培地全体が凝固し、風味、食感及び外観が 優れたものになる。このため、発酵乳製品を 製造する場合には、一般に、pHが4.6付近に達 た時に、急冷等をすることにより発酵を停 する。したがって、10%(W/W)還元脱脂粉乳培 で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混 培養した場合に、pHが4.4~4.6に達した時に、 フィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 8 CFU/g以上という高濃度にすることができるよ な生育促進性を有する乳酸菌であれば、発 乳製造時に、発酵乳中のビフィドバクテリ ム・ロンガム含有量をより効果的に改善す ことができる。

 (3)は、ビフィドバクテリウム・ロンガム 保存生残性促進性に関するものである。発 乳製品の品質保持期限は、一般に、10℃以 の保存条件で2週間程度である。したがって 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバク リウム・ロンガムと混合培養した場合に、pH が4.4~4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間 持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロ ガムの生残率を30%以上とすることができる うな保存生残性促進性を有する乳酸菌であ ば、品質保持期限終了間際においても充分 のビフィドバクテリウム・ロンガムを含有 得る発酵乳を製造することができる。

 本発明のラクトコッカス属菌は、例えば 下の方法により得ることができる。まず、 種の試料から菌株を分離し、この中から10%( W/W)還元脱脂粉乳培地での発酵性が優れたも 、すなわち、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25~ 37℃の温度範囲で16時間培養した時に、培地 凝固させることができる発酵性を有するも を選択する。次いで、選択された菌とビフ ドバクテリウム・ロンガムとの混合培養試 を行い、上記(2)および(3)で規定されるビフ ドバクテリウム・ロンガムの生育促進性及 保存生残性促進性を有する菌株を選択する とにより得ることができる。更に、キシロ ス資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及 アセトインを生成しない菌株を選択するこ が好ましい。

 以下、さらに詳細に説明する。
1.菌株の取得
 本発明者らは、前記の性質を有する菌株を 然界から取得すべく、日本国内の自然界か 採集したサンプルを嫌気性希釈液(1980年叢 社発行、光岡知足著「腸内菌の世界」322ペ ジ。以下、参考文献1と記載する。)で希釈し 、Briggs liver broth(前記参考文献1、319ページ) 平板に塗布し、30℃で嫌気培養した。そし 得られたコロニーの中で連鎖球菌の形態を し、かつ塗布標本の顕微鏡観察によりグラ 陽性である菌を釣菌した。該釣菌した菌を BL寒天培地平板に画線塗布し、前記と同様の 方法で嫌気培養を反復し、純粋単離された菌 株を得た。これらの菌株を下記の方法を用い て、まず、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地中での発 試験を行い、上記(1)で規定される発酵性を する菌株を20株得た。続いて、ビフィドバ テリウム・ロンガムとの混合培養試験を行 、pHが4.4~4.6に達した時に、ビフィドバクテ ウム・ロンガムの菌数を5×10 8 CFU/g以上とすることのできる生育促進性と、p Hが4.4~4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間 持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロ ガムの生残率を30%以上とすることのできる 存生残性促進性を有する菌株を5株取得した 。該5菌株はそれぞれ、MCC852、MCC857、MCC859、MC C865、MCC866と名付けられた。

2.菌学的性質
 前記5菌株の菌学的性質を、以下に示す。な お、菌学的性質を測定するための試験は、バ ージェイズ・マニュアル・オブ・システマテ ィック・バクテリオロジー(Bergey's Manual of S ystematic Bacteriology、Peter H. A. Sneath編、第2巻 、Williams and Wilkins Company、1986年)にほぼ従っ て行った。

(I)菌形(BL寒天培地平板で30℃、72時間嫌気培 した時の光学顕微鏡観察時)
  大きさ:直径1~2μm
  形 状:連鎖球菌
(II)グラム染色性:陽性
(III)リトマスミルク:凝固
(IV)芽胞形成:陰性
(V)グルコースからのガス生成:なし
(VI)運動性:なし
(VII)カタラーゼ活性:陰性
(VIII)アルギニンデカルボキシラーゼ試験:陽
(IX)クエン酸からのガス産生:陰性
(X)温度感受性(60℃30分間及び65℃30分間):何れ 感受性
(XI)グルコースの分解産物:L-乳酸

 上記(I)~(XI)に示す菌学的性質は、前記5菌 全てに共通しており、かつ、ラクトコッカ ・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス タイプストレインであるATCC19435とも共通し いた。(XII)生育温度、(XIII)食塩耐性、(XIV)pH 性、(XV)メチレンブルー耐性、(XVI)アルギニ からのアンモニアの産生、及び(XVII)糖の発 性については、各々、表1に示す性質を示し た。なお、糖の発酵性は、光岡の糖発酵性用 培地(1974年、光岡知足著「乳酸菌の細菌学」 臨床検査18、1163~1172ページ)を用いて、28種 の糖について試験を行った。

 以上の結果から、前記5菌株は、ラクトコ ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラク チス菌種の菌学的性質を、共通して有してい ることが明らかである。すなわち、前記5菌 は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチス菌種であることが確認さ た。一方、上記(XII)~(XVII)に示す菌学的性質 ら、前記5菌株は、特に、キシロース資化性 有さない点で、タイプストレインとは異な ことが明らかである。

 そこで、出願人は、前記5菌株を、独立行 政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン ター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1  央第6(郵便番号 305-8566))に新規菌株として 託した。受託番号は、ラクトコッカス・ラ チス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852株 FERM BP-10742、ラクトコッカス・ラクチス・サ ブスピーシーズ・ラクチスMCC857株がFERM BP-107 57、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピー ーズ・ラクチスMCC859株がFERM BP-10744、ラク コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ クチスMCC865株がFERM BP-10745、ラクトコッカス ・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC 866株がFERM BP-10746である。なお、寄託日は、 クトコッカス・ラクチス・サブスピーシー ・ラクチスMCC852、859、865、及び866株が平成1 8年12月1日であり、ラクトコッカス・ラクチ ・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株が平 19年1月10日である。

3.10%(W/W)還元脱脂粉乳培地での発酵性試験
 還元脱脂粉乳(森永乳業社製)を水で溶解し 得た10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を95℃で30分間 菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、各菌株 スターターを3%(V/V)接種し、25、30、及び37℃ 各温度で16時間培養した。得られた培養液 急冷し、凝固状況、pH、及び含有される乳酸 菌数を測定した。乳酸菌数の測定は、市販さ れているBCP加プレートカウント寒天培地(栄 機材社製)平板で行なった。測定結果を表2に 示す。
 なお、対照株として、特許文献2に記載のラ クトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株を用 いた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866のそれ れの菌株、すなわち、本発明のラクトコッ ス属菌を用いた場合には、何れの温度条件 おいても、pHが4.4~4.6まで低下して培地が凝 した。また、含有される乳酸菌数も1×10 9 CFU/g前後であり、非常に増殖・発酵性の良い とが分かった。
 一方、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC 19435株を用いた場合には、何れの温度条件に いても、pHが5.5以上であり、培地は凝固し かった。また、本発明のラクトコッカス属 と比較して、特に30℃以上において、乳酸菌 数が顕著に少なかった。

4.ビフィドバクテリウム・ロンガムとの混合 養試験
(1)ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-778 7株との混合培養試験
 対照株として、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ・ラクチスのタイプスト インATCC19435株を用いた。
 まず、後記実施例1に記載の方法で、ラクト コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラ クチスMCC852、857、859、865、866の5菌株のそれ れのカルチャー、及び、ビフィドバクテリ ム・ロンガムFERM BP-7787株のカルチャーを調 した。
 ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7787 株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許 生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東 1丁目1番地1 中央第6(郵便番号 305-8566))に平 13年10月31日に受託されている。
 また、0.2%(W/W)酵母エキス(Difco社製)入り10%(W/ W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し 、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株 のカルチャーを30mL接種し、30℃で16時間培養 て、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスのタイプストレインATCC194 35株のカルチャーを調製した。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺 し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のよ に調製したラクトコッカス・ラクチス・サ スピーシーズ・ラクチスの各菌株のカルチ ー1%(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガ ムFERM BP-7787株のカルチャー1%(V/V)を接種し、3 7℃で16時間培養して発酵乳を得た。該発酵乳 を急冷し、pH及び含有されるビフィドバクテ ウム・ロンガムの菌数を測定した。さらに 10℃で2週間保存し、保存後1週間及び2週間 おけるビフィドバクテリウム・ロンガムの 数を測定した。ビフィドバクテリウム・ロ ガムの菌数の測定は、TOSプロピオン酸寒天 地(ヤクルト薬品工業社製)平板で行なった。 測定結果を表3に示す。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866の5菌株 をそれぞれ用いた発酵乳は、発酵後pHがおよ 4.5であり、ビフィドバクテリウム・ロンガ の菌数が5×10 8 CFU/g以上に達した。また、該発酵乳を10℃で2 間保存した場合のビフィドバクテリウム・ ンガムの菌生残率は、何れも80%以上であっ 。
 一方、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC 19435株を用いた発酵乳は、発酵が進まず、発 後pHが5.0以上であり、10℃での保存試験が不 可能であった。また、発酵終了直後のビフィ ドバクテリウム・ロンガムの菌数もおよそ1× 10 8 CFU/gであり、本発明のラクトコッカス属菌と 較して、顕著に少なかった。

 すなわち、ラクトコッカス・ラクチス・サ スピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865 及び866の5菌株は、ラクトコッカス・ラクチ ス・サブスピーシーズ・ラクチスの公知の他 の菌株よりも、ビフィドバクテリウム・ロン ガムFERM BP-7787株に対する生育促進性及び保 生残性促進性が優れていることが明らかで る。
 また、特許文献2に記載のダイアセチル及び アセトインを生成しないラクトコッカス・ラ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスと、ビ フィドバクテリウム・ロンガムとを、混合培 養した場合には、ビフィドバクテリウム・ブ レーベを用いた場合と異なり、特許文献2に 載されているような、ビフィドバクテリウ ・ロンガムの増殖促進効果と生残性改善効 の何れの効果も得ることができないことも らかである。

(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプ トレインATCC15707株との混合培養試験
 本発明のラクトコッカス属菌の、ビフィド クテリウム・ロンガムに対する生育促進性 び保存生残性促進性を、ビフィドバクテリ ム・ロンガムFERM BP-7787株とビフィドバクテ リウム・ロンガム タイプストレインATCC15707 を用いて確認した。
 まず、後記実施例1に記載の方法で、ラクト コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラ クチスMCC857株のカルチャー、及び、ビフィド バクテリウム・ロンガムFERM BP-7787株のカル ャーを調製した。
 また、後記実施例21に記載の方法で、スト プトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus t hermophilus)及びラクトバチルス・ブルガリクス (Lactobacillus bulgaricus)の混合カルチャーを調製 した。
 さらに、0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂 乳培地を90℃で30分間殺菌し、該脱脂粉乳培 に対し、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のスターターを10 %(V/V)接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養し 、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプ ストレインATCC15707株のカルチャーを調製した 。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌 、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のよう 調製したラクトコッカス・ラクチス・サブ ピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー1 %(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガムFER M BP-7787株のカルチャー1%(V/V)若しくはビフィ バクテリウム・ロンガム タイプストレイ ATCC15707株のカルチャー1%(V/V)と、ストレプト ッカス・サーモフィルス及びラクトバチル ・ブルガリクスの混合カルチャー0.01%(V/V)を 接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養して発 乳を得た。該発酵乳を急冷し、含有される フィドバクテリウム・ロンガムの菌数を測 した。さらに、10℃で2週間保存し、保存後1 間及び2週間におけるビフィドバクテリウム ・ロンガムの菌数を測定した。
 一方、対照として、10%(W/W)還元脱脂粉乳培 を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地 対し、上記のように調製したビフィドバク リウム・ロンガムFERM BP-7787株のカルチャー 1.5%(V/V)若しくはビフィドバクテリウム・ロン ガム タイプストレインATCC15707株のカルチャ 1.5%(V/V)と、ストレプトコッカス・サーモフ ルス及びラクトバチルス・ブルガリクスの 合カルチャー0.4%(V/V)を接種し、37℃でpHが4.6 になるまで培養して得た発酵乳のビフィドバ クテリウム・ロンガムの菌数を同様に測定し た。測定結果を表4に示す。

 ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7787 株と、ビフィドバクテリウム・ロンガム タ プストレインATCC15707株の両株とも、ラクト ッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラ チスMCC857株と混合培養することにより、発 乳中のビフィドバクテリウム・ロンガムの 数は顕著に増大した。また、10℃で2週間保 後のビフィドバクテリウム・ロンガムの菌 残率も、ビフィドバクテリウム・ロンガムF ERM BP-7787株で71%、ビフィドバクテリウム・ロ ンガム タイプストレインATCC15707株で31%と、 れも30%以上であった。
 これに対し、ラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC857株と混合培 しなかった場合には、10℃で2週間保存後の フィドバクテリウム・ロンガムの生残率は ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7787 株で20%であり、ビフィドバクテリウム・ロン ガム タイプストレインATCC15707株では生きて るビフィドバクテリウム・ロンガムは検出 れなかった。
 なお、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスMCC857株に代えて、ラク コッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ クチスMCC852、859、865、又は866株をそれぞれ いた場合にも同様の結果が得られた。

 すなわち、ラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、8 65、866のそれぞれの菌株は、保存生残性に優 たビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7 787株以外のビフィドバクテリウム・ロンガム に対しても、優れた生育促進性及び保存生残 性促進性を有することが明らかである。

5.特許文献1記載のラクトコッカス・ラクチス ・サブスピーシーズ・ラクチスとラクトコッ カス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモ リスの混合物との比較試験
 まず、上記4(2)記載の方法で、ラクトコッカ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス MCC857株のカルチャー、ビフィドバクテリウム ・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカ チャー、及び、ストレプトコッカス・サー フィルス及びラクトバチルス・ブルガリク の混合カルチャーを調製した。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌 、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のよう 調製したラクトコッカス・ラクチス・サブ ピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー1 %(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガム  イプストレインATCC15707株のカルチャー1%(V/V) と、ストレプトコッカス・サーモフィルス及 びラクトバチルス・ブルガリクスの混合カル チャー0.01%(V/V)を接種し、37℃でpHが4.6になる で培養して発酵乳を得た。該発酵乳を急冷 、含有されるビフィドバクテリウム・ロン ムの菌数を測定した。
 一方、対照として、10%(W/W)還元脱脂粉乳培 を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地 対し、上記のように調製したビフィドバク リウム・ロンガム タイプストレインATCC1570 7株のカルチャー1%(V/V)と、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスとラ トコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ クレモリスの混合物「EZAL MA14」(Rhodia社製)2 %(V/V)を接種し、38℃でpHが4.6になるまで培養 て得た発酵乳のビフィドバクテリウム・ロ ガムの菌数を同様に測定した。なお、「EZAL MA14」は、特許文献1に記載の「EZAL MR014」(Rho dia社製)に相当する混合物である。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC857株を用いた発酵乳では、 フィドバクテリウム・ロンガムの菌数は5.5 10 8 CFU/gであった。これに対し、「EZAL MA14」を用 いた発酵乳を10 6 倍に希釈した希釈溶液からは、ビフィドバク テリウム・ロンガムが全く検出されず、該発 酵乳に含有されるビフィドバクテリウム・ロ ンガムの菌数は1×10 6 CFU/g以下であることが判明した。

 すなわち、特許文献1記載のラクトコッカ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス とラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ーズ・クレモリスを、ビフィドバクテリウム ・ロンガムと、混合培養した場合には、特許 文献1に記載されているような、ビフィズス の生育促進及び発酵時間の短縮という効果 得ることができないことが明らかとなった

 以上のように、本発明のラクトコッカス 菌は、ビフィズス菌に適した発酵温度範囲 おける10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、強い発 性を示し、さらに、ビフィドバクテリウム ロンガムと混合培養した場合に、ビフィド クテリウム・ロンガムの生育及び保存生残 対し、優れた促進効果を示すものであり、 クトコッカス属の公知の菌株にみられなか た性質を有するものである。また、非常に い発酵性を有するため、効率よく発酵乳等 発酵物を製造することができる。また、ダ アセチル及びアセトインを生成しないため 風味の良い発酵物を製造することも期待で る。

 特に、ラクトコッカス・ラクチス・サブ ピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、8 66の5菌株は、自然界から分離した乳酸菌の中 から、発酵性が良く、ビフィドバクテリウム ・ロンガムの生育促進性及び保存生残性促進 性を有するものを選び出し得られたものであ るため、発酵性食品等をはじめとする様々な 飲食物に、安全に利用することが可能である 。

 本発明のラクトコッカス属菌は、他の乳酸 と同様に、菌末の形態で用いることもでき 。該菌末は、例えば、食品や飼料に添加し 用いることもできる。
 また、本発明のラクトコッカス属菌は、整 剤等の医薬品組成物としても好ましい。整 剤として用いる場合において、本発明のラ トコッカス属菌の、整腸剤中の含有量や1日 あたりの摂取量等は、整腸効果が期待できる 量であれば、特に限定されるものではない。 例えば、1日あたり、1×10 9 CFU程度のラクトコッカス属菌を摂取すること が好ましい。

 本発明において、ビフィドバクテリウム ロンガムとラクトコッカス属菌の前培養に いられる培地は、通常用いられる培地であ ば、特に限定されるものではないが、乳性 地であることが好ましい。取り扱いが簡便 あるため、還元脱脂粉乳培地が特に好まし 。該還元脱脂粉乳培地の濃度は、3%(W/W)以上 が好ましく、8%(W/W)以上が特に好ましい。そ 他、前培養に用いられる培地には、酵母エ ス等の生育促進物質や、L-システイン等の還 元剤等を添加することができる。特にビフィ ズス菌は乳性培地での増殖性が低いため、生 育促進物質を添加した培地を用いることが好 ましい。例えば、0.1~1%(W/W)の酵母エキスを含 した培地を用いることができる。また、前 養に用いられる培地は、殺菌処理をしたも を用いる。該殺菌処理は、通常用いられる 法で行うことができ、例えば、80~122℃で5~40 分間、好ましくは85~95℃で5~35分間の加熱処理 により行うことができる。

 本発明のビフィドバクテリウム・ロンガ の生育・生残性促進方法により、簡便かつ 率よく、ビフィドバクテリウム・ロンガム 生育と保存生残性を改善させることができ 。該方法は、具体的には、本発明のラクト ッカス属菌とビフィドバクテリウム・ロン ムを混合培養することにより行われる。混 培養の際の、ビフィドバクテリウム・ロン ムと本発明のラクトコッカス属菌のスター ーの混合培養用ベースへの接種比率は、特 限定されるものではないが、100:1~1:10が好ま しく、10:1~1:1が特に好ましい。また、該ベー へ添加する量も、特に限定されるものでは いが、ビフィドバクテリウム・ロンガムと クトコッカス属菌を合わせた添加量が、該 ースに対して0.01~10(V/V)%が好ましく、0.1~5(V/V )%が特に好ましい。

 該ベースは、ビフィズス菌と乳酸菌の混 培養に通常用いられるベースであれば、特 限定されるものではないが、乳を主成分と るベースであることが好ましい。本発明の フィドバクテリウム・ロンガムの生育・生 性促進方法により、ビフィズス菌の生育に まり適さない乳性培地においても、ビフィ バクテリウム・ロンガムの生育・生残性を 善することができるためである。該ベース 、例えば、牛乳、脱脂乳、生クリーム、バ ー、全粉乳、脱脂粉乳等に、必要に応じて 糖等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツ ュース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着 料、安定剤、還元剤等を配合し、常法に従 て殺菌、均質化、冷却等することにより調 することができる。特にビフィドバクテリ ム・ロンガムを含有する発酵乳等の製造に いられることが好ましい。

 次に実施例を示して本発明をさらに詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間 菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスMCC852株のシードカルチ ーを30mL接種し、25℃16時間培養した。一方 0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂粉乳培地100 0mLを90℃で30分間殺菌し、ビフィドバクテリ ム・ロンガムFERM BP-7787株のシードカルチャ を100mL接種し、37℃6時間培養した。
 これとは別に、脱脂粉乳、全粉乳、ペクチ 、及び蔗糖からなる原料を混合溶解して得 れた、乳脂肪0.5%(W/W)、無脂乳固形分8.0%(W/W) 蔗糖5.0%(W/W)、ペクチン0.2%(W/W)からなるベー 50Lを、90℃で10分間殺菌し、40℃に冷却した 該殺菌したベースに、前記の通り前培養を ったラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC852株のカルチャー50mLと ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP-7787 のカルチャー500mLを接種し、37℃16時間培養 て発酵乳を得た。該発酵乳を直ちに攪拌冷 し、冷却発酵乳を15MPaの圧力で均質化し、200 mL容のガラス容器に充填し、密封し、ドリン ヨーグルトを得た。得られたドリンクヨー ルトはpH4.64であり、6.8×10 8 CFU/gのビフィドバクテリウム・ロンガムを含 していた。このドリンクヨーグルトを10℃ 14日間保存した時のビフィドバクテリウム・ ロンガムの菌数は5.8×10 8 CFU/gであり、生残率は85%であった。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC857株を用いた以外は、実施例1と同様にし てドリンクヨーグルトを得た。得られたドリ ンクヨーグルトはpH4.62であり、8.5×10 8 CFU/gのビフィドバクテリウム・ロンガムを含 していた。このドリンクヨーグルトを10℃ 14日間保存した時のビフィドバクテリウム・ ロンガムの菌数は7.6×10 8 CFU/gであり、生残率は89%であった。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC859株を用いた以外は、実施例1と同様にし てドリンクヨーグルトを得た。得られたドリ ンクヨーグルトはpH4.56であり、7.2×10 8 CFU/gのビフィドバクテリウム・ロンガムを含 していた。この該ドリンクヨーグルトを10 で14日間保存した時のビフィドバクテリウム ・ロンガムの菌数は5.8×10 8 CFU/gであり、生残率は81%であった。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC865株を用いた以外は、実施例1と同様にし てドリンクヨーグルトを得た。得られたドリ ンクヨーグルトはpH4.54であり、6.9×10 8 CFU/gのビフィドバクテリウム・ロンガムを含 していた。この該ドリンクヨーグルトを10 で14日間保存した時のビフィドバクテリウム ・ロンガムの菌数は6.6×10 8 CFU/gであり、生残率は96%であった。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC866株を用いた以外は、実施例1と同様にし てドリンクヨーグルトを得た。得られたドリ ンクヨーグルトはpH4.55であり、6.5×10 8 CFU/gのビフィドバクテリウム・ロンガムを含 していた。この該ドリンクヨーグルトを10 で14日間保存した時のビフィドバクテリウム ・ロンガムの菌数は6.2×10 8 CFU/gであり、生残率は95%であった。

 肉エキス50g、酵母エキス100g、ペプトン100g 乳糖200g、K 2 HPO 4 50g、KH 2 PO 4 10g、シスチン4g及び水9.5Lの組成からなる培地 で37℃16時間前培養したラクトコッカス・ラ チス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852株 シードカルチャー500mLを、前記培地と同一組 成の培地10Lに接種し、37℃16時間培養した。 に、90℃で30分間殺菌した前記培地と同一組 の培地200Lに、前記培養液全量(10.5L)を接種 、37℃16時間培養した。培養後の生菌数は3.0 10 9 CFU/mLであった。
 次いで、シャープレス型遠心分離機(トミー 精工株式会社製、商品名:RD-20IV)を用いて、遠 心分離(15,000rpm)により菌体を集め、培地と同 の生理食塩水(90℃30分間殺菌済)に再懸濁し 前記と同様遠心分離して再度集菌した。集 た菌体を、脱脂粉乳10%(W/W)、蔗糖1%(W/W)、グ タミン酸ソーダ1%(W/W)からなる溶液(90℃30分 殺菌済)20Lに懸濁し、常法に従って凍結乾燥 し、8.6×10 10 CFU/gのラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC852を含む粉末約2.2kgを た。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC857株を用いた以外は、実施例6と同様にし て、9.2×10 10 CFU/gのラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC857を含む粉末約2.2kgを た。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC859株を用いた以外は、実施例6と同様にし て、8.5×10 10 CFU/gのラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC859を含む粉末約2.2kgを た。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC865株を用いた以外は、実施例6と同様にし て、9.4×10 10 CFU/gのラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC865を含む粉末約2.2kgを た。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC866株を用いた以外は、実施例6と同様にし て、8.8×10 10 CFU/gのラクトコッカス・ラクチス・サブスピ シーズ・ラクチスMCC866を含む粉末約2.2kgを た。

 乾燥殺菌した澱粉14kg及び乳糖6kgに、実施 例6で得られたラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC852を含む粉末20 gを加えて均一に混合し、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852 菌末を含有する整腸剤約20kgを得た。

 乾燥殺菌した澱粉14kg及び乳糖6kgに、実施 例7で得られたラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC857を含む粉末20 gを加えて均一に混合し、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857 菌末を含有する整腸剤約20kgを得た。

 乾燥殺菌した澱粉14kg及び乳糖6kgに、実施 例8で得られたラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC859を含む粉末20 gを加えて均一に混合し、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC859 菌末を含有する整腸剤約20kgを得た。

 乾燥殺菌した澱粉14kg及び乳糖6kgに、実施 例9で得られたラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC865を含む粉末20 gを加えて均一に混合し、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865 菌末を含有する整腸剤約20kgを得た。

 乾燥殺菌した澱粉14kg及び乳糖6kgに、実施 例10で得られたラクトコッカス・ラクチス・ ブスピーシーズ・ラクチスMCC866を含む粉末2 0gを加えて均一に混合し、ラクトコッカス・ クチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866 菌末を含有する整腸剤約20kgを得た。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間 菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスMCC852株のシードカルチ ーを30mL接種し、25℃16時間培養した。
 これとは別に、乳脂肪3.0%(W/W)、無脂乳固形 9.5%(W/W)からなる生乳50Lを70℃に加温し、15MPa の圧力で均質化した後、90℃で10分間殺菌し,4 0℃に冷却した。該殺菌したベースに、前記 通り前培養を行ったラクトコッカス・ラク ス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852株の ルチャー500mLを接種し、500mL容の樹脂容器に 填し、密封し、37℃16時間培養した後、直ち に冷却した。得られた発酵乳はpH4.70であり、 1.3×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC857株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.69 あり、1.5×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC859株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.65 あり、1.4×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC865株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.64 あり、1.5×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC866株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.62 あり、1.3×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間 菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブス ーシーズ・ラクチスMCC852株のシードカルチ ーを30mL接種し、25℃16時間培養した。また 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1500mLを90℃で30分間 菌し、ストレプトコッカス・サーモフィル (ハンゼン社製)とラクトバチルス・ブルガリ クス(ハンゼン社製)の混合カルチャー50mLを接 種し、37℃5時間培養した。
 これとは別に、乳脂肪3.0%(W/W)、無脂乳固形 9.0%(W/W)からなる生乳50Lを70℃に加温し、15MPa の圧力で均質化した後、90℃で10分間殺菌し,4 0℃に冷却した。該殺菌したベースに、前記 通り前培養を行ったラクトコッカス・ラク ス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852株の ルチャー500mL、及びストレプトコッカス・サ ーモフィルスとラクトバチルス・ブルガリク スの混合カルチャー50mLを接種し、500mL容の樹 脂容器に充填し、密封し、37℃7時間培養した 後、直ちに冷却した。得られた発酵乳はpH4.75 であり、9.8×10 8 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC857株を用いた以外は、実施例21と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.74 あり、1.2×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC859株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.70 あり、1.6×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC865株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.72 あり、1.7×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシ ズ・ラクチスMCC852株の代わりにラクトコッ ス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチ MCC866株を用いた以外は、実施例16と同様に て、発酵乳を得た。得られた発酵乳はpH4.70 あり、1.5×10 9 CFU/gの乳酸菌を含有していた。

 本発明のラクトコッカス属菌は、ヨーグ ト、ドリンクヨーグルト、酸性乳飲料等の 酵乳製品中でのビフィドバクテリウム・ロ ガムの菌数及び保存生残性を高く維持でき ため、健康管理上及び発酵乳製品の製造上 用であり、発酵乳製品等の製造分野で利用 可能である。