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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL MONOCLONAL ANTIBODY AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047117
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel monoclonal antibody capable of specifically recognizing BTN3 located on the surface of a cell (e.g., a lymphocyte).  Also disclosed is a method for utilizing the monoclonal antibody. The antibody can be produced by preparing a hybridoma which can produce a monoclonal antibody capable of specifically recognizing BTN3.  It becomes possible to distinguish or separating an activated lymphocyte from a non-activated lymphocyte by using the antibody.  It also becomes possible to inhibit the proliferation of a lymphocyte by adding the antibody to a culture medium for the lymphocyte.

Inventors:
YAMASHIRO HIROMICHI (JP)
TADAKI TOSHIMASA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/005547
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 22, 2009
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Assignee:
MEDINET CO LTD (JP)
YAMASHIRO HIROMICHI (JP)
TADAKI TOSHIMASA (JP)
International Classes:
C07K16/28; A61K39/395; A61P37/06; A61P43/00; G01N33/53; G01N33/577
Domestic Patent References:
WO2003105887A12003-12-24
WO2002008279A22002-01-31
Other References:
COMPTE, E. ET AL.: "Frontline: Characterization of BT3 molecules belonging to the B7 family expressed on immune cells.", EUROPEAN JOURNAL OF IMMUNOLOGY, vol. 34, no. 8, 2004, pages 2089 - 2099
NGUYEN, T. ET AL.: "BTNL2, a Butyrophilin-Like Molecule That Functions to Inhibit T Cell Activation.", JOURNAL OF IMMUNOLOGY, vol. 176, 2006, pages 7354 - 7360
MANA, P. ET AL.: "Tolerance induction by molecular mimicry: prevention and suppression of experimental autoimmune encephalomyelitis with the milk protein butyrophilin.", INTERNATIONAL IMMUNOLOGY, vol. 16, no. 3, 2004, pages 489 - 499
BENSUSSAN, A. ET AL.: "T-cell: Section report.", CELLULAR IMMUNOLOGY, vol. 236, no. 1-2, 2005, pages 3 - 5
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Claims:
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体。
前記モノクローナル抗体が、リンパ球に対して増殖抑制に働くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
リンパ球の集団における活性化リンパ球又は非活性のリンパ球の割合の測定方法であって、
 リンパ球の集団に膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を結合させる工程と、
 リンパ球に結合したモノクローナル抗体を検出する工程と、
 モノクローナル抗体が結合したリンパ球を非活性のリンパ球として、リンパ球の集団における活性化リンパ球又は非活性のリンパ球の割合を算出する工程、
とからなる測定方法。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項6に記載の測定方法。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項6又は7に記載の測定方法。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の測定方法。
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた、リンパ球の集団における活性化リンパ球又は非活性のリンパ球の割合の測定装置。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項10に記載の測定装置。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項10又は11に記載の測定装置。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項10乃至12に記載の測定装置。
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた、活性化リンパ球と非活性のリンパ球の分離方法。
前記分離方法が、
 リンパ球の集団にBTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を添加する工程と、
 リンパ球の集団に含まれる非活性のリンパ球とモノクローナル抗体とを結合させる工程と、
 モノクローナル抗体の結合したリンパ球と結合していないリンパ球とを分離する工程と、
からなる請求項14に記載の分離方法。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項14又は15に記載の分離方法。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項14乃至16に記載の分離方法。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一項に記載の分離方法。
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた、活性化リンパ球と非活性のリンパ球の分離装置。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項19に記載の分離装置。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項19又は20に記載の分離装置。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一項に記載の分離装置。
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体とリンパ球とを接触させることを特徴とするリンパ球の増殖抑制方法。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項23に記載の増殖抑制方法。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項23又は24に記載の増殖抑制方法。
前記モノクローナル抗体が、リンパ球に対して増殖抑制に働くことを特徴とする請求項23乃至25のいずれか一項に記載の増殖抑制方法。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項23乃至26のいずれか一項に記載の増殖抑制方法。
膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノクローナル抗体を含む、リンパ球の増殖抑制剤。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項28に記載のリンパ球の増殖抑制剤。
前記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特徴とする請求項28又は29に記載のリンパ球の増殖抑制剤。
前記モノクローナル抗体が、リンパ球に対して増殖抑制に働くことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載のリンパ球の増殖抑制剤。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項28乃至31のいずれか一項に記載のリンパ球の増殖抑制剤。
膜貫通分子BTN3からなる活性化リンパ球の逆相関マーカー。
前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする請求項33に記載のマーカー。
請求項33または34に記載のマーカーと、前記マーカーに特異的に結合するモノクローナル抗体とを結合させ、マーカーの発現量を調べることを特徴とする非活性のリンパ球の検出方法。
前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗体と同一の抗原認識部位を有することを特徴とする請求項35に記載の非活性のリンパ球の検出方法。
Description:
新規モノクローナル抗体とその 途

 本発明は、ブチロフィリン(BTN)3抗原を特 的に認識する新規モノクローナル抗体に関 る。更には、当該モノクローナル抗体の用 に関する。

 近年、細胞の解析技術の進歩により、一 一つの細胞から非常に多くの情報を得る事 可能となった。例えばフローサイトメトリ では、細胞が1個ずつ通る細い流路を作り、 そこを流れる細胞にレーザー光が当たって起 こる散乱光と蛍光を検出器によって検出し、 得られた情報を分析する事で細胞の状況を知 ることができる。特に細胞表面抗原の解析に おいては蛍光物質で標識された抗体で細胞を 染色してフローサイトメトリー解析を行う方 法が一般的に知られている。

 上記のように細胞の解析を行うには、細 表面抗原特異的な抗体を用いることが必要 可欠である。これまで数々の細胞表面抗原 それぞれに特異的に対応する抗体が同定さ 、細胞機能解析に大きな成果を挙げている そして現在も多くの研究者が新規抗原の発 とそれに対応する抗体の作製に取り組んで るが、未だ存在が確認されながらも機能が らかでない分子は多く、発見されていない 子も数多く存在すると考えられている。

 細胞表面抗原分子について、ヒト白血球 化抗原に関する国際ワークショップではWHO( 世界保健機構)の監修のもとで、造血系細胞 対するモノクローナル抗体を反応特異性に づくクラスターに分類し、それぞれにCD(Clust er of Differentiation)番号を付している。各々の 抗体のCD番号は特定の細胞表面抗原分子に対 している。

 細胞表面抗原のひとつとしてブチロフィ ン(以下、BTN)抗原が知られている。BTN抗原 イムノグロブリンスーパーファミリーに属 、サブファミリーによりBTN1、BTN2、BTN3に分 される膜貫通分子である。更に細かくは、 ンバー分類が存在し、例えばBTN3についてはB TN3A1、BTN3A2、BTN3A3と分類される。

 BTN3A1(ブチロフィリン、サブファミリー3 メンバーA1)は、分子量56kDのCD277として同定 れており、この抗原はT細胞、B細胞、NK(ナチ ュラルキラー)細胞、単球、樹状細胞といっ 、リンパ球全般に発現が確認されている。 れに対するモノクローナル抗体は、既にフ ンスのグループが取得しており、eBioscience社 より試薬として製品化されている(Affinity puri fied anti-human CD277(B7 Family,Butyrophilin)、商品名 ;eBioBT3.1)。しかしながら、その特徴はBTN3を特 異的に認識するのみであり、BTN3の機能及び 性については明らかにされていない(非特許 献1及び2)。

 BTN3A3に対するマウスポリクローナル抗体 しては、例えばイタリアのグループが取得 た(BTN3A3 antibody;abcam)(非特許文献3)が、前記B T3.1同様に試薬として製品化されている。

 また近年、モノクローナル抗体を用いた 子標的医薬又は抗体医薬の開発が盛んに行 れているが、BTN3A3に対するモノクローナル 体医薬に関する報告はなく、BTN3の機能や性 質についても報告はされていない。

 これまで明らかにされていなかったBTN3の 機能や性質を理解する事が重要であり、BTN3 性質を利用する事で、自己免疫疾患の治療 、免疫細胞療法、臓器移植といった医療分 において更なる発展が期待できる。

 細胞増殖を抑制する方法としては、例え 、免疫抑制剤としての抗CD3抗体から成るオ ソクローンOKT3注(ムロモナブ-CD3注射液;ヤン センファーマ)等があるが、これはCD3を発現 たT細胞のみを抑制する物である。リンパ球 般の増殖抑制に関与する分子の報告はされ いない。

 活性化細胞と非活性の細胞を識別する方 としては、活性化マーカーとして知られて るCD25、CD69等リンパ球活性化によって発現 る分子が挙げられる。しかし、逆に非活性 リンパ球に発現し、活性化リンパ球には発 が低下する分子の例は殆ど知られていない

Eur.J.Immunol.2004.Vol.34,P2089-2099 Immunogenitics,1997.Vol.47,P55-63 Proteomics,2002.Vol.2-7,P850-856

 本発明は、上記事情を鑑みてなされたも であり、細胞表面上に存在するBTN3を特異的 に認識する新規モノクローナル抗体及びその 利用方法を提供する事を課題とする。更には 、該抗体を用いて作製される試薬及び医薬等 を提供する事を課題とする。

 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意 究を行ったところ、BTN3を特異的に認識する モノクローナル抗体(以下、本発明抗体と記 )を得たことにより本発明を完成させた。ま 、本発明抗体を用いて更に研究を進めるこ によりこれまで明らかとなっていなかったB TN3が細胞増殖の抑制に関与していること、リ ンパ球の活性化とBTN3の発現は逆相関してい ことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は下記手段を提供するもので ある。

 (1)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノ クローナル抗体;(2)前記膜貫通分子BTN3が、BTN3 A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とする(1) 記載のモノクローナル抗体;(3)前記モノクロ ーナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端か 35-40アミノ酸を抗原として認識する事を特 とする(1)又は(2)に記載のモノクローナル抗 ;(4)前記モノクローナル抗体が、リンパ球に して増殖抑制に働くことを特徴とする(1)か (3)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体 ;(5)前記モノクローナル抗体が、微生物寄託 号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドー から産生される抗体と同一の抗原認識部位 有することを特徴とする、(1)から(4)のいず か1に記載のモノクローナル抗体。

 (6)リンパ球の集団における活性化リンパ 又は非活性のリンパ球の割合の測定方法で って、リンパ球の集団に膜貫通分子BTN3を特 異的に認識するモノクローナル抗体を結合さ せる工程と、リンパ球に結合したモノクロー ナル抗体を検出する工程と、モノクローナル 抗体が結合したリンパ球を非活性のリンパ球 として、リンパ球の集団における活性化リン パ球又は非活性のリンパ球の割合を算出する 工程、とからなる測定方法。;(7)前記膜貫通 子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを 徴とする(6)に記載の測定方法;(8)前記モノク ローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3のN末端 ら35-40アミノ酸を抗原として認識する事を 徴とする(6)又は(7)に記載の測定方法;(9)前記 ノクローナル抗体が、微生物寄託番号FERM B P-11177又はFERM BP-11178のハイブリドーマから産 生される抗体と同一の抗原認識部位を有する ことを特徴とする(6)から(8)のいずれか1に記 の測定方法。

 (10)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモ クローナル抗体を用いた、活性化リンパ球 非活性のリンパ球の割合の測定装置;(11)前記 膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であ ことを特徴とする(10)に記載の測定装置;(12) 記モノクローナル抗体が、前記膜貫通分子BT N3のN末端から35-40アミノ酸を抗原として認識 る事を特徴とする(10)又は(11)に記載の測定 置;(13)前記モノクローナル抗体が、微生物寄 託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリ ーマから産生される抗体と同一の抗原認識 位を有することを特徴とする(10)から(12)に記 載の測定装置。

 (14)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモノ ローナル抗体を用いた、活性化リンパ球と 活性のリンパ球の分離方法;(15)前記分離方法 が、リンパ球の集団にBTN3を特異的に認識す モノクローナル抗体を添加する工程と、リ パ球の集団に含まれる非活性のリンパ球と ノクローナル抗体とを結合させる工程と、 ノクローナル抗体の結合したリンパ球と結 していないリンパ球とを分離する工程と、 らなる(14)に記載の分離方法。
(16)前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3 A3であることを特徴とする(14)又は(15)に記載 分離方法;(17)前記モノクローナル抗体が、前 記膜貫通分子BTN3の、N末端から35-40アミノ酸 抗原として認識する事を特徴とする(14)から( 16)に記載の分離方法;(18)前記モノクローナル 体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP -11178のハイブリドーマから産生される抗体と 同一の抗原認識部位を有することを特徴とす る(14)から(17)のいずれか1に記載の分離方法。

 (19)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモ クローナル抗体を用いた、活性化リンパ球 非活性のリンパ球の分離装置;(20)前記膜貫通 分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であること 特徴とする(19)に記載の分離装置;(21)前記モ クローナル抗体が、前記膜貫通分子BTN3の、N 末端から35-40アミノ酸を抗原として認識する を特徴とする(19)又は(20)に記載の分離装置;( 22)前記モノクローナル抗体が、微生物寄託番 号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリドー から産生される抗体と同一の抗原認識部位 有することを特徴とする(19)から(21)のいずれ か1に記載の分離装置。

 (23)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモ クローナル抗体を用いた、リンパ球の増殖 抑制方法;(24)前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BT N3A2又はBTN3A3であることを特徴とする(23)に記 の抑制方法;(25)前記モノクローナル抗体が 前記膜貫通分子BTN3の、N末端から35-40アミノ を抗原として認識する事を特徴とする(23)又 は(24)に記載の抑制方法;(26)前記モノクローナ ル抗体が、リンパ球に対して増殖抑制に働く ことを特徴とする(23)から(25)のいずれか1に記 載の抑制方法;(27)前記モノクローナル抗体が 微生物寄託番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178の ハイブリドーマから産生される抗体と同一の 抗原認識部位を有することを特徴とする(23) ら(26)のいずれか1に記載の抑制方法。

 (28)膜貫通分子BTN3を特異的に認識するモ クローナル抗体を含む、リンパ球の増殖抑 剤;(29)前記膜貫通分子BTN3が、BTN3A1、BTN3A2又 BTN3A3であることを特徴とする(28)に記載のリ パ球の増殖抑制剤;(30)前記モノクローナル 体が、前記膜貫通分子BTN3の、N末端から35-40 ミノ酸を抗原として認識する事を特徴とす (28)又は(29)に記載のリンパ球の増殖抑制剤;( 31)前記モノクローナル抗体が、リンパ球に対 して増殖抑制に働くことを特徴とする(28)か (30)のいずれか1に記載のリンパ球の増殖抑制 剤;(32)前記モノクローナル抗体が、微生物寄 番号FERM BP-11177又はFERM BP-11178のハイブリド ーマから産生される抗体と同一の抗原認識部 位を有することを特徴とする(28)から(31)のい れか1に記載のリンパ球の増殖抑制剤。

 (33)膜貫通分子BTN3からなる活性化リンパ の逆相関マーカー;(34)前記膜貫通分子BTN3が BTN3A1、BTN3A2又はBTN3A3であることを特徴とす (33)に記載のマーカー;(35)(33)または(34)に記載 のマーカーと、前記マーカーに特異的に結合 するモノクローナル抗体とを結合させ、マー カーの発現量を調べることを特徴とする非活 性のリンパ球の検出方法;(36)前記モノクロー ル抗体が、微生物寄託番号FERM BP-11177又はFE RM BP-11178のハイブリドーマから産生される抗 体と同一の抗原認識部位を有することを特徴 とする(35)に記載の非活性のリンパ球の検出 法。

 本発明抗体は、現在市販されている抗CD27 7抗体(eBioBT3.1、以下BT3.1と記す)の8倍~9倍の親 性を持つため、BTN3の発現をより明確に検出 する事が可能である。

 また、本発明抗体はリンパ球に対して増 抑制の作用を示すことを発見した。従って 例えばモノクローナル抗体医薬として開発 た場合には、自己免疫疾患や臓器移植後の 疫抑制剤として利用できる可能性がある。

 更に、本発明者らは、本発明抗体を用い 研究により、活性化シグナルを享受したリ パ球においてBTN3の発現が減少する事を見出 した。この現象は、前記BT3.1を用いてもある 度観察できるが、より高い親和性をもつ本 明抗体を用いる事でより明確に識別でき、 には生体外においてどの程度の細胞が活性 刺激を受けたかを即座に判断する事が可能 なる。例えば、患者血液から採取したリン 球を生体外で大量に増殖、活性化させて患 体内へ投与する免疫細胞療法を行う場合に 活性化しているリンパ球の割合を知る測定 法・装置として用いることが可能である。

 BTN3分子が活性化状態のリンパ球での発現 が低下する性質から、例えば、本発明抗体に よる吸着ネガティブセレクション用カラムに 応用することで、活性化状態の抗腫瘍免疫に 有効な細胞集団を選択的に回収することが可 能となる。

mock geneを発現しているCHO-K1細胞と、BTN 3A3を発現しているCHO-K1細胞それぞれにコント ロールIgG2a、232-5由来モノクローナル抗体し 場合の反応を比較した結果である。これら 結果から、本発明抗体(図中、232-5)はBTN3A3に して特異的なモノクローナル抗体を産生し いることを確認した。 図1と同様の実験を、IgG2a、232-5抗体、34 -7抗体を用いて行った結果を示す図である。 予めBT3.1処理していたPBMCsにおいて、BT3 .1の濃度依存的に本発明抗体による蛍光強度 減少した。BT3.1と本発明抗体は共にBTN3抗原 傍のエピトープを認識していることを示し 図である。 BT3.1及び、本発明抗体(232-5抗体)の認識 域がVset又はCsetの何れかを検討するため、BT N3のCsetのみ(下段:Cos-7 pDisplay BTN3 Cset)又はVse tとCset両者を発現する(上段:Cos-7 pDisplay BTN3  EC)ベクターにそれぞれの抗体を反応させた。 その結果、共に抗原認識部位はN末端側のVset 域に存在することが明らかになった図であ 。 図4と同様の実験を、BT3.1、232-5抗体、34 -7抗体を用いて行った結果を示す図である。 BTN3抗原のVset領域内での抗原認識部位 推定するためのプラスミドを作製し、ウエ タンブロッティングを行った。これによりBT 3.1はBTN3抗原の40-50間のアミノ酸配列を、本発 明抗体(232-5抗体)はBTN3抗原の35-40間のアミノ 配列を認識していることが推定された図で る。 図6と同様の実験を、BT3.1、232-5抗体、34 -7抗体を用いて行った結果を示す図である。 BTN3抗原に対する抗原親和性を比較した 。本発明抗体はBT3.1に比べ最大で8~9倍の親和 を持つことが示された図である。 各種リンパ球集団におけるBTN3抗原の発 現をフローサイトメーターで検証した図であ る。本発明抗体は各リンパ球集団の細胞表面 の殆ど(>95%)を認識した。 PBMCs、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞に対 る、それぞれの抗体の増殖抑制効果を比較 た図である。これにより、本発明抗体にの 増殖抑制効果を確認できた。 図10と同様の実験を、IgG2a、BT3.1、232-5 体、34-7抗体を用いて行った結果を示す図で ある。 (a)T細胞のみを選択的に活性化させ、 性化したT細胞にのみBTN3の発現減少が起こる ことを確認した図である。(b)B細胞のみを選 的に活性化させ、活性化したB細胞にのみBTN3 の発現減少が起こることを確認した図である 。 PBMCsをOKT3/rIL-2で72時間刺激し、mRNAを調 製し、そこから得られたcDNAを用いてBTN3A1、BT N3A2、BTN3A3の発現を検証した図である。未処 、又は培地のみで培養したPBMCsでは3種類のBT N3分子の発現は維持されていたが、OKT3/rIL-2で 培養することで、その発現は減少した。 CD4陽性T細胞に比べCD8陽性T細胞のほう 、活性化マーカーCD25の発現上昇とBTN3の発 減少がより顕著であることが示された図で る。 CD4+CD25-CD45RO-ナイーブT細胞を分離し、6 日間培養を行った時のBTN3発現減少と活性化 ーカーとの逆相関を示す図である。 ナイーブT細胞をOKT3/αCD28/rIL-2で6日間 激し、その後各種活性化・メモリーマーカ と本発明抗体、BT3.1を用いてフローサイトメ ーター解析を実施した図である。BTN3抗原の 現は活性化・メモリーマーカーの発現と逆 関を示した。

 以下、本発明を実施するための最良の形 について説明する。

 BTN3に対するモノクローナル抗体
 まず、BTN3分子に対する本発明抗体について 説明する。
 本発明抗体は、膜貫通分子であるBTN3を特異 的に認識するモノクローナル抗体である。

 ここで、膜貫通分子BTN3とはイムノグロブ リンスーパーファミリーに属し、サブファミ リーによって1~3に分類された、ブチロフィリ ン、サブファミリー3を意味している。更に ンバー分類したものが、BTN3A1(メンバーA1)で り、分子量56kDのCD277として同定されている この抗原は、T細胞、B細胞、NK細胞、単球、 樹状細胞といった、リンパ球全般に発現が確 認されている。配列表中の配列番号1及び2はB TN3A1の遺伝子配列及びアミノ酸配列を、配列 号3及び4はBTN3A2の遺伝子配列及びアミノ酸 列を、配列番号5及び6はBTN3A3の遺伝子配列及 びアミノ酸配列をそれぞれ示している。細胞 膜外領域は3分子とも同様で、配列表に示し アミノ酸配列(それぞれ配列番号2、4又は6)の 1~248である。

 本発明抗体が認識するBTN3は、リンパ球に おいて非活性の状態で発現が多く認められる が、活性化シグナルを受けると共にその発現 は減少することが明らかとなった。上記の通 り、本発明の抗体は、とりわけ非活性のリン パ球に特異的に結合する特性を有する。

 本発明抗体は、クローン化されたイムノ ロブリン抗体であれば何であってもよく、 体の由来する動物種、イムノグロブリンの イプやサブタイプ、抗体の産生方法は問わ い。また、抗体を断片化して免疫反応部位 残したもの、それら断片の修復物、抗体そ ものの修飾物、二種類の抗体を結合させた メラ抗体等も包含する。

 本発明抗体は、従来公知の方法を適宜用 ることで作製する事が可能である。具体的 は、例えば目的抗原をコードする遺伝子配 を組み込んだプラスミドDNA(deoxyribonucleic aci d:デオキシリボ核酸)を作製し、動物へ免疫す る。その免疫動物から得たB細胞と株化ミエ ーマ細胞を融合させ、目的の抗原に反応す ハイブリドーマを純粋にクローニングし、 立する。そのハイブリドーマから産生され 抗体を抽出、精製する事で必要なときに必 な量を得られる。免疫動物の動物種は特に わないが、一般的にマウス、ラット、ハム ター、ウサギ等が用いられる。

 マウス、ラット等の動物を免疫する免疫 は様々なものを用いることができる。例え 、BTN3タンパク質又はそのペプチド断片、BTN 3をコードする遺伝子又はその断片を導入し ベクター、BTN3を発現するトランスフェクタ ト等が挙げられる。本発明の機能を有する 体を作製する場合には、前記した免疫原い れのものを用いることもできるが、特に膜 領域を免疫原として用いたり、特にVset領域 (配列番号2、4又は6に記載のアミノ酸配列の26 ~139の領域)を用いたりすることが考えられる

 本発明抗体は、BTN3のN末端から35-40アミノ 酸を抗原として認識する事を特徴とする抗体 であるから、BTN3のN末端から35-40アミノ酸を むペプチドを免疫原として用いることも可 である。BTN3のN末端から35-40アミノ酸とは、 列番号2、4又は6に記載されたアミノ酸配列 35番目から40番目までのアミノ酸配列を指す 。この35番目から40番目までのアミノ酸配列 BTN3A1、BTN3A2及びBTN3A3で共通しているため、 の部分を含むペプチドを免疫原として用い ことで、3つのBTN3分子を認識する抗体となる 。

 免疫動物(例えば、マウス)にBTN3の免疫を う。BTN3をコードする遺伝子配列を挿入した ベクターと金コロイド等の免疫賦活剤の混合 物を、Balb/cマウス、雌8~10週齢に遺伝子銃で 入し、約2~3ヶ月飼育する。

 BTN3に対する抗体価の上昇は以下の手順によ り確認できる。
 1)適当な細胞(例えば、CHO細胞)に当該遺伝子 挿入ベクターを導入し、BTN3を一過的に発現 せた細胞を作製する。
 2)免疫動物から採取した血清(BTN3に対するポ リクローナル抗体を含んでいる)と混合する
 3)蛍光標識した抗マウスポリクローナル抗 (二次抗体)を用いてフローサイトメーター解 析を行う。
 上記のように、BTN3を一過性発現させた細胞 を用いて、抗体価を確認することにより、BTN 3の細胞膜外に出ている立体構造を認識する 体が得られているかを確認することができ 。

 抗体価の強い上昇が確認された後、免疫 物はBTN3を一過的に発現させた細胞(例えばCH O細胞)を腹腔内に注射し、最終免疫を行う。 終免疫の3~5日後、免疫動物の脾臓細胞を取 出して、ミエローマ細胞(例えば、SP2/0マウ ミエローマ細胞)とポリエチレングリコール (PEG1500など)を用いて融合し、ハイブリドーマ を作製する。作製したハイブリドーマ細胞株 群の中から目的のBTN3に対する抗体を産生し いるハイブリドーマは、BTN3を一過的に発現 せた細胞とハイブリドーマ培養上清を混合 た後、蛍光標識した抗ポリクローナルマウ 抗体(二次抗体)を用いてFCM解析を行うこと 選択することができる。

[規則91に基づく訂正 27.01.2010] 
 このようにして得られたハイブリドーマ2株 を独立行政法人産業技術総合研究所 特許生 寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁 1番地1 中央第6)に国際寄託した。1株はAnti-hu man BTN3 Mouse hybridoma 232-5(以下、232-5と記す) 命名し、2008年10月21日に前記センターに国 寄託を行い(受託番号FERM P-21706)、2009年9月8 にブタペスト条約に基づく国際寄託へ移管 た(受託番号FERM BP-11177)。もう1株はAnti-human  BTN3 Mouse hybridoma 34-7(以下、34-7と記す)と命 し、2009年9月17日に国際寄託を行った(受領番 号FERM BP-11178)。これらのハイブリドーマを用 いることにより、本発明抗体を容易に得るこ とができる。

 得られた抗体の精製方法として、例えば 酸アンモニウムや硫酸ナトリウム、ポリエ レングリコール等を用いる塩析法、イオン 換クロマトグラフィ、ゲルろ過、アフィニ ィカラム等が挙げられるが、いかなる方法 あっても構わない。

 リンパ球増殖の抑制方法
 本発明抗体を用いることでリンパ球増殖を 制することができる。例えば生体外にてリ パ球の増殖を抑制するには、本発明抗体を ンパ球が懸濁された溶液中に添加し培養す ことにより、リンパ球の増殖を抑制するこ ができる。本発明抗体を用いてリンパ球の 殖を抑制する場合、添加濃度1~10μg/mlにて3 間以上共培養することにより増殖抑制効果 現れる。

 リンパ球増殖の抑制機能を利用して、本 明抗体を医薬として用いることができる。 えば自己免疫疾患の患者に投与し、リンパ の活性化を抑制することにより、自己免疫 患の症状を抑制することが可能となる。ま 、臓器移植を行った患者に投与し、患者体 のリンパ球の増殖を抑制することにより、 器移植後の拒絶反応を抑制することが可能 なる。

 活性化リンパ球と非活性のリンパ球との分 装置
 非活性のリンパ球とは、PBMC(末梢血単核球 Peripheral Blood Mononuclear Cell)から回収直後の 性因子による刺激を受けていない状態のリ パ球を指す。形状としては、小さく球状の のである。それに対し活性化リンパ球とは 何らかの活性化因子により刺激を受けた状 のものを指す。形状は大きく、サイトカイ 産生能を有し、必ずしも球状とは限らず歪 形をしたものを多く含む。

 本発明抗体は活性化リンパ球と非活性の ンパ球との分離装置・方法として用いるこ ができる。本発明の分離装置・方法はリン 球が活性化シグナルを享受するとBTN3の発現 量が低下することを利用した方法・装置であ る。

 本発明の活性化リンパ球と非活性のリン 球との分離装置・方法は、例えば本発明抗 とビーズなどの高分子化合物とを結合させ それをカラム等に充填することにより、PBMC 等のリンパ球の集団から効率的に活性化リン パ球又は非活性リンパ球を選択的に分離する ことができる。

 ここでいう高分子化合物としては、体液 接触しても溶解することなく、血球成分と 触しても害を及ぼさない毒性の低いポリマ から選ばれ、例えばポリウレタン、ポリス レン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ア リル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキ 樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、シリ ン系樹脂、セルロース系樹脂、キチン、キ サン、アガロース、デキストラン等が挙げ れる。また、これらの高分子材料を単独で いてもよいし、共重合体、複合体、あるい 混合物から構成されていても良い。

 具体的な構成例としては、例えば、本発 抗体を結合させた上記高分子化合物をカラ に充填することで、そこに培養後リンパ球 通すことにより非活性のリンパ球を吸着除 し、活性化リンパ球のみを抽出する装置・ 法等が挙げられる。

 このような分離には抗原との親和性が低 抗体では十分に吸着できないため分離には さず、親和性が高い抗体が求められる。本 明抗体は従来の市販品に比べ8倍~9倍の親和 を有するため、効率よく非活性のリンパ球 活性化リンパ球の分離することができる。

 本発明抗体とこれら高分子化合物の結合 化学結合により固定されるが、化学結合と ては、共有結合、イオン結合、疎水結合な があり、中でも固定が十分に可能であるこ から、共有結合が好ましい。この共有結合 固定するためには、これら高分子化合物は 当な官能基を持っていることが好ましく、 えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基 チオール基、グリシジル基、イソシアナー 基、ハロゲン基などを有していることが好 しい。中でも例えばトシル基やエポキシル が好適に用いられる。

 これら本発明の抗体と高分子化合物をカ ムに充填するときの充填剤の形状は特に限 されるものではなく、例えば、ビーズのほ 、フィルム、繊維、中空糸、ゲル等があげ れる。

 本発明抗体の上記高分子化合物への固定 量としては、本発明抗体が少なすぎると除 効果が不十分となる恐れがあり、多すぎる 抗体同士が重なり合って互いに立体障害と る恐れがあるため、高分子化合物1gあたり1p mol~10pmolの範囲で固定化することが好ましい

 また、以下の手順により分離することも 能である。リンパ球の集団を含む懸濁液に 発明の抗体を添加し、リンパ球と本発明抗 を結合させる。リンパ球をPBS等で洗浄した 、抗マウスIgG又はプロテインG等を固定化し た磁気ビーズを添加する。磁石を用いて磁気 ビーズを回収する。これにより、磁気ビーズ には非活性のリンパ球が回収され、溶液中に 残るリンパ球は活性化リンパ球となる。また 、本発明抗体と抗マウスIgG又はプロテインG を固定化した磁気ビーズは予め結合させて いた状態で、リンパ球集団を含む懸濁液へ 加しても構わない。

 このように構成された、本発明の非活性 リンパ球の分離装置・方法は、カラムに吸 しなかったリンパ球を活性化リンパ球とし 、吸着した細胞を非活性のリンパ球として 効率よく分離することができる。

 活性化リンパ球と非活性のリンパ球の割合 測定する装置・方法
 本発明抗体は活性化リンパ球と非活性のリ パ球の割合を測定する装置・方法として用 ることができる。

 例えば、リンパ球の集団(PBMC等)の懸濁液 、蛍光標識した本発明抗体を添加し、非活 のリンパ球に発現しているBTN3分子と本発明 抗体を結合させる。結合していない抗体を除 去(遠心分離等)した後、フローサイトメータ 等で蛍光標識された細胞を測定することで 当該リンパ球の集団中に含まれる非活性の ンパ球の割合を測定することができる。

 本発明抗体を用いた活性化リンパ球と非 性のリンパ球の割合を測定する装置・方法 、例えば免疫細胞療法等に用いることがで る。免疫細胞療法とは、患者リンパ球をサ トカイン等と共に培養する事でリンパ球を 特異的に活性化させ、患者へ投与する治療 である。その際、投与前に培養後のリンパ の一部を本発明抗体と混合し、フローサイ メーター等で測定する事により活性化リン 球の割合を知ることができ、免疫細胞の質 測り得るものである。

 膜貫通分子BTN3からなる活性化リンパ球の逆 相関マーカー
 本発明の活性化リンパ球の逆相関マーカー ついて説明する。
 本発明の活性化リンパ球の逆相関マーカー 膜貫通分子BTN3からなるものである。膜貫通 分子BTN3は、活性化していないリンパ球や単 細胞の細胞表面に発現し、リンパ球が活性 シグナルを享受するとBTN3の発現量が低下し リンパ球の活性化と逆相関している。その め、活性化していないリンパ球と活性化リ パ球を識別する活性化リンパ球の逆相関マ カーとして用いることができる。

 膜貫通分子BTN3を利用した非活性化リンパ球 の検出方法
 上記した活性化リンパ球の逆相関マーカー( 膜貫通分子BTN3)は、マーカーに特異的に結合 るモノクローナル抗体を結合させ、膜貫通 子BTN3(マーカー)の発現量を調べることによ て非活性のリンパ球の検出方法として用い ことが可能である。例えば、免疫細胞療法 行う患者に対し、治療前後の採血で得られ 血液の一部を活性化リンパ球の逆相関マー ー特異的モノクローナル抗体と混合し、フ ーサイトメーター等で活性化リンパ球の逆 関マーカーを発現する細胞の割合を測定す ことで、治療前後の患者体内にて、活性化 ンパ球の増加減少が数値として確認でき、 疫細胞療法の効果を示す新たな指標になり るものである。また、例えば免疫細胞療法 用いるべく患者から得られた末梢血を体外 培養した際、そのリンパ球群の一部を活性 リンパ球の逆相関マーカー特異的モノクロ ナル抗体と混合して活性化リンパ球の逆相 マーカーの発現細胞量を調べることで、患 に投与する前に活性化リンパ球群の質を測 指標となり得るものである。これにより、 与する細胞の活性化状態を数値で示すこと 可能となる。

 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説 する。ただし、本発明がこれに限定される のでないことは言うまでもない。

<抗BTN3モノクローナル抗体の調製>
 まず、本発明のモノクローナル抗体作製に かるハイブリドーマ細胞を作製するため、 ラスミドDNAの調製を行った。
 ヒト全長BTN3A3分子は、ヒト末梢血単核球(以 下PBMCs)由来のcDNA(相補性DNA)ライブラリから、 以下2つのプライマーを用いて、クローニン を行った。
5’-ATT AAG CTT CAA TGA AAA TGG CAA GTT CCC TG-3 (配列番号7)
5’-AGT TCT AGA TCA GTA AAG TGC TTC AGT GCG TGC  CT-3’(配列番号8)

 DNA増幅には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(G eneAmp PCR System9700;Applied Biosystem社)を行い、95 ℃30秒、55℃30秒、72℃30秒を30サイクル実行し た。

 次に、上記PCRにて得られたBTN3A3分子全長cDNA (配列番号5、アミノ酸配列は配列番号6に記載 )をサイトメガロウイルス由来プラスミドベ ター(pRC-CMV)(INVITROGEN)のHindIII/XbaI領域に挿入 プラスミドDNAを完成させた。
 BTN3A3を発現したBALB/3T3細胞はpRC-CMV-BTN3A3を用 いてBTN3A3を強制発現させることにより作製し た。その際の遺伝子導入には、リポフェクト アミン2000(インビトロジェン)を使用した。ま ず該当プラスミドベクター30mgに対し75mlリポ ェクトアミン2000を添加し、室温で20分反応 せた。その後、75cm 2 フラスコ(Sumilon)に播種しておいた4×10 6 個BALB/3T3細胞に添加し、48時間後に回収した のを免疫原細胞とした。

 次に、上記調製プラスミドDNAをマウスへ 疫しポリクローナル抗体を得る。具体的に 、8~10週齢メスBalb/cマウスの皮下に対し、30 gの上記プラスミドDNAを移入した。この操作 2週間おきに4回行った。

 その後、免疫後のマウスより採取した血清 含まれるポリクローナル抗体の力価をフロ サイトメーターにて測定した。具体的には ャイニーズハムスター由来CHO-K1細胞にpTracer -BTN3A3-GFP(BTN3A3分子とGFP(緑色蛍光タンパク質) 子を両方発現するベクター;INVITROGEN)を一過 に発現させた。前記プラスミドベクター30mg に対し75mlリポフェクトアミン2000を添加し、 温で20分反応させた。その後、75cm 2 フラスコ(Sumilon)に播種しておいた4×10 6 個BALB/3T3細胞に添加し、48時間後に回収した のをトランスフェクタントとして用いた。

 上記1×10 6 個トランスフェクタントを懸濁した懸濁液に 対し、採取血清を1/100、1/1000の割合となるよ に添加し、4℃で30分反応させた。PBS(-)で洗 後、0.5mlのPEラベル抗マウスIgG+IgMポリクロ ナル抗体を添加し、4℃で30分反応させた。PB S(-)で洗浄後、フローサイトメーターで解析 行った。フローサイトメーター解析で1/1000 も反応することが確認され、十分にBTN3A3分 に対するポリクローナル抗体が作製されて る事を確認した。

 対象マウスの脾臓細胞1×10 8 個とSP2/0ミエローマ細胞(ATCCより購入し、培 したもの)2×10 7 個とを、ポリエチレングリコール(PEG1500;SIGMA) を用いて融合した。

 この融合細胞を15%FCS(ウシ胎児血清)、HAT(ヒ キサンチン100μM、アミノプテリン0.4μM、チ ジン16μM:Sigma-Aldrich)、さらに10%メチルセル ース(Stem Cell Technologies)を添加したDMEM培地 播種し、37℃、5% CO 2 インキュベーター内で培養した。

 培養から10~12日後、形成されたハイブリ ーマのコロニーをピックアップし、ポリク ーナル抗体測定時と同様にフローサイトメ ターによるスクリーニングを行った。モノ ローナル抗体産生ハイブリドーマの選択は フローサイトメーターの検出結果をGFPと抗 ウスIgG+IgMポリクローナル抗体の結合量で展 し、GFPの発現と抗体の結合量が正比例の関 にあるものを選択した。スクリーニングを う中で、ハイブリドーマ232-5及び34-7を得た 約1Lの232-5又は34-7それぞれの細胞上清をPROTE IN Gカラム(GE Healthcare Science)で精製し、232-5 は34-7由来のモノクローナル抗体(以下、そ ぞれの抗体を232-5抗体、34-7抗体と記す。)を た。

 得られた本発明抗体のサブクラスは、Isos trip kit(Roche)により、免疫グロブリンG2a(IgG2a) あることを確認した。

 次に、CHO-K1にpTracer-BTN3A3-GFP又はpTracer mock  geneを一過性に発現させ、本発明抗体(232-5抗 体)又はコントロールIgG2aを反応させた。

 図1は、細胞を洗浄後フローサイトメータ ーで測定した結果である。mock gene(偽遺伝子) を発現しているCHO-K1細胞ではコントロールIgG 2a、本発明抗体(232-5抗体)ともに反応しなかっ た。一方、BTN3A3を発現しているCHO-K1細胞では 本発明抗体(232-5抗体)のみ反応した。これら 結果から本発明抗体(232-5抗体)はBTN3A3に対し 特異的なモノクローナル抗体であることが された。

 また、同様の実験をIgG2a、232-5抗体、34-7 体を用いて行った結果を図2に示す。図1では 、232-5抗体がBTN3A3特異的なモノクローナル抗 であることが明らかとなったが、図2から、 34-7抗体もBTN3A3特異的なモノクローナル抗体 あることが明らかとなった。

<抗原認識部位の推定1>
 PBMCsに0、0.1、1、10、100、1000ng/mlのBT3.1抗体 反応させ、洗浄後FITC標識した232-5抗体を1000n g/mlの濃度で反応させた後、フローサイトメ ターでFITCの蛍光強度を測定した。

 図3はフローサイトメーター解析の結果を 示す図である。予めBT3.1処理していたPBMCsに いて、BT3.1の濃度依存的に本発明抗体(232-5抗 体)による蛍光強度は減少した。このことか 、BT3.1と232-5抗体はBTN3抗原の非常に近傍のエ ピトープを認識していることが示された。

<抗原認識部位の推定2>
 BTN3抗原は細胞外領域にイムノグロブリンス ーパーファミリーに属するVset領域とCset領域 保有する。BT3.1及び、本発明抗体(232-5)の認 領域がVset又はCsetの何れかを検討するため BTN3A3のCsetのみ又はVsetとCset両者を発現する クター(pDisplay-Cset又はpDisplay-ALL)を作製した

 上記pDisplayベクター(INVITROGEN)はHA Tagを挿 している。COS-7細胞にpDisplay-Cset又はpDisplay-A LLプラスミドを一過性にトランスフェクショ し、BT3.1又は本発明抗体(232-5抗体)を反応さ た。更に、pDisplayベクターの発現確認のた 、抗HA(A型肝炎ウイルス)抗体でも染色をおこ なった。

 図4はフローサイトメーターの結果である 。BT3.1、232-5両者でpDisplay-Csetでは蛍光は検出 きなかった。一方、pDisplay-ALLトランスフェ タントでは両者の抗体で蛍光が検出された これらの結果から、BT3.1、本発明抗体(232-5 体)による抗原認識部位はBTN3抗原のN末端側 Vset領域に存在することが明らかになった。

 また、同様の実験をBT3.1、232-5抗体、34-7 体を用いて行った結果を図5に示す。34-7抗体 も他の2つの抗体同様にBTN3抗原のN末端側のVse t領域を認識することが明らかとなった。

<抗原認識部位の推定3>
 次に、BTN3抗原のVset内での抗原認識部位を 定するため以下のプラスミドを作製した。 れらはV-all、V-35、V-40、V-50、V-60の5種類で、 れぞれBTN3抗原(BTN3A3)の細胞外ドメインの26-1 39、35-139、40-139、50-139、60-139のアミノ酸をコ ドする。

 上記プラスミドを作製する際に用いたプラ マーは、
V-all:5’-GTT GGG GCA ACG CCG CCC TCT TTT GGA GGG TT-3’(配列番号9)、
V-35: 5’-TCA ATG GCC CAG CCG GCC GGA CCC TCT GGG  CCC AT-3’(配列番号10)、
V-40: 5’-TCA  ATG GCC CAG CCG GCC ATC CTG GCC A TG GTG GG-3’(配列番号11)、
V-50: 5’- TCA ATG GCC CAG CCG GCC CTG CCC TGT C AC CTG TT-3’(配列番号12)、
V-60: 5’- TCA ATG GCC CAG CCG GCC GCA GAG ACC A TG GAG CT-3’(配列番号13)
であり、共通のリバースプライマーは、
5’- TCA ATG TCG ACA AGA TCA GAA CCC AAT GCT G-3 ’(配列番号14)
である。

 PBMCs由来cDNAライブラリDNAをテンプレート し、PCR法により各種PCR産物(Vset領域のDNA断 )を得た。PCRは95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 30 で25サイクル行った。

 上記プラスミドをpDisplayベクターのSfi/Sal イトに挿入し、COS-7に一過性に強制発現さ た。24時間後に細胞を回収し、ウエスタンブ ロッティングにて発現の確認を行った。詳し くは、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリ アクリルアミドゲル電気泳動)サンプルバッ ァに溶解し熱処理を行い(100℃ 5分間)、12.5%S DS-PAGEにて電気泳動を行った。電気泳動後、 ルをPVDF(ポリフッ化ビニリデン)メンブレン(B IO-RAD社)に転写し、3%BSA(ウシ血清アルブミン) メンブレンをブロッキングした。その後、B T3.1又は本発明抗体を1μg/mlでメンブレンに添 し室温で一時間反応させた。PBS-tween(リン酸 緩衝食塩水-界面活性剤)で洗浄後、ヒツジ抗 ウスIgG-HRPを2000倍希釈で室温、30分間反応さ せた。PBS-tweenで洗浄後、HRPの基質であるECL(GE  Healthcare Science社)を添加し、X線フィルムに 光させた。

 図6は上記ウエスタンブロットの結果であ る。BT3.1はV-all、V-35、V-40でバンドが検出され たが、V-50、V60では検出されなかった。よっ BT3.1はBTN3抗原の40-50間のアミノ酸配列を認識 していることが示唆された。

 一方、本発明抗体(232-5抗体)に特異的なバ ンドはV-all、V-35で検出され、V-40ではその濃 は薄いものであった。また、V-50、V60ではバ ドは検出されなかった。このことから、本 明抗体はBTN3抗原の35-40間のアミノ酸配列を 識していることが推定された。

 また、同様の実験をBT3.1、232-5抗体、34-7 体を用いて行った結果を図7に示す。232-5抗 と同様に、34-7抗体もBTN3抗原の35-40間のアミ 酸配列を認識していることが推定された。3 5-40間のアミノ酸配列はBTN3A1、BTN3A2、BTN3A3で 致しており、本発明抗体がBTN3のいずれの分 も認識するモノクローナル抗体であること 推定された。

<BT3.1及び本発明抗体のPBMCsにおけるBTN3抗原 の発現割合及び抗原親和性>
 PBMCsをBT3.1又は232-5抗体(10μg/ml)により染色後 、FITC-goat anti-mouse IgG(BD Bioscience)を反応させ 、フローサイトメーターで解析した。また、 BT3.1、232-5抗体の最終濃度が0.01、0.1、1、10、1 00、100ng/mlになるよう調製した。これらの溶 をPBMCsに反応させ、反応後フローサイトメー ターで蛍光強度を測定した。

 結果を図8に示す。
 フローサイトメーター解析の結果、BT3.1はPB MCsの約80%を染色するのに対し、232-5抗体は約9 5%染色することが示された。また本発明抗体 BT3.1に比べBTN3抗原に対する抗原親和性が最 で8~9倍(10ng/ml時)あることが示された。

<各種リンパ球サブセット細胞表面におけ BTN3抗原の発現>
 実施例5において、本発明抗体はPBMCsの約95% 染色することを示したが、リンパ球の各サ セットにおけるBTN3抗原の発現を検証した。

 1×10 6 個PBMCsに対し、FITCラベルを施した232-5抗体と 種リンパ球マーカーであるPE-CD3、CD4、CD8、C D19、CD56、γδTCR抗体(以上、ベックマンコール ター社製)を用いてフローサイトメーター解 を行った。また、FITC-232-5のネガティブコン ロールとして、FITC-IgG2a(ベックマンコール ー製)を用いた。

 結果を図9に示す。
 フローサイトメーター解析の結果、各種リ パ球マーカー陽性画分の殆ど全てがBTN3陽性 であった。

<本発明抗体の細胞増殖に対する作用>
 PBMCsにCFSE(カルボキシフルオセイン二酢酸サ クシニミジルエステル;DOJINDO社)を最終濃度2μ Mになるように0.1%BSAを含むPBS中に添加し37℃ 10分反応させた後、10%FCSを含むRPMI1640培地を 加することでその反応を停止させた。CFSEラ ベルされたPBMCsをOKT3(5μg/ml)がプレコーティン グされている24穴(well)プレートに1×10 6 /mlで播種した。その際、コントロールマウス 抗体、BT3.1、本発明抗体(232-5抗体)をそれぞれ 1μg/mlで添加した。培地は10%FCSを含むRPMI1640に 対し、rhIL-2(組替えヒトインターロイキン-2) 50U/ml添加したものである。37℃、5%CO 2 インキュベーターで3日間培養後、フローサ トメーターで解析した。この際、フィコエ スリン(PE)-抗ヒトCD4(13B.2;ベックマンコール ー)、或いはPE-抗ヒトCD8a(B9.11;ベックマンコ ルター)を用いた。

 本試験の結果を図10に示す。
 CFSEは細胞が分裂する割合に伴い、その蛍光 強度が減弱する性質を持つ。それぞれのサン プルをフローサイトメーター解析すると、本 発明抗体(232-5)を添加したPBMCsでのみ細胞分裂 の抑制が観察された。これは全PBMCsを対象に た場合だけでなく、CD4又はCD8に限定した場 でも同様の傾向が観察された。BT3.1添加群 はそのような傾向は観察されなかった。

 また、同様の実験をBT3.1、232-5抗体、34-7 体を用いて行った結果を図11に示す。232-5抗 と同様に34-7抗体でも、細胞分裂の抑制が観 察された。これらの結果から本発明抗体(232-5 抗体及び34-7抗体)が細胞増殖の抑制効果を有 ることが明らかとなった。

<PBMCsを刺激した際のBTN3の発現減少>
 T細胞及びNK(ナチュラルキラー)細胞を刺激 ることを目的とし、1×10 6 個PBMCsをOKT3(5μg/ml)プレコーティング24wellプレ ートに播種し、10%FCS、50U/ml rhIL-2を含むRPMI164 0培地で37℃、5%CO 2 インキュベーターで培養を行った。

 またB細胞を刺激する目的で、別の培養系と して1×10 6 個PBMCsにlipopolysaccharide(リポ多糖:LPS)を最終濃 100ng/mlで添加した。3日後細胞を回収し、FITC -232-5/PE-ヒトCD3(UCHT1;ベックマンコールター)、 FITC-232-5/PE-ヒトCD4、FITC-232-5/PE-ヒトCD8a、FITC-23 2-5/PE-ヒトCD19(J4.119;ベックマンコールター)、F ITC-232-5/PE-ヒトCD56(N901;ベックマンコールター) 、FITC-232-5/PE- ヒトγδTCR(IMMU510;ベックマンコ ルター)で染色し、フローサイトメーター解 析した。

 本試験の結果を図12に示す。
 OKT3/rhIL-2で刺激したPBMCsを回収してフローサ イトメーター解析すると、T細胞の表面マー ーであるCD3、CD4、CD8、γδTCRや、NK細胞の表 マーカーであるCD56陽性細胞においてBTN3の発 現が減少していた。B細胞の表面マーカーで るCD19陽性細胞ではその現象は観察されなか た。

 一方、LPSで刺激したPBMCsをフローサイト ーター解析すると、CD19陽性細胞のみにBTN3の 発現減少が見られ、その他の画分ではBTN3発 減少は見られなかった。このことから、刺 されたリンパ球ではBTN3の発現減少が起こる とが明らかとなった。

<PBMCsを刺激した際のBTN3の発現減少(mRNAの解 析)>
 実施例8において、リンパ球が活性化される とBTN3分子の発現が減少していることを示し が、BTN3分子を構成するBTN3A1、BTN3A2、BTN3A3の ずれの分子が影響を受けているかは、抗体 用いての解析では検証することができない そこで、リンパ球を活性化させた際にmRNAを 抽出し、cDNA合成後にBTN3A1、BTN3A2、BTN3A3それ れに対する特異的プライマーを用いてPCRを った。

 (1)健常人採血直後の1×10 6 個PBMCs群、(2)健常人1×10 6 個PBMCsを培地のみで培養した群、(3)健常人1×1 0 6 個PBMCsを固相化OKT3、(5μg/ml)とrIL-2(50U/ml)で3日 刺激する群の3群を用意し、1mlのISOGEN(Wako)に 溶解した。トータルRNA、cDNA合成後にBTN3A1、BT N3A2、BTN3A3それぞれに対する特異的プライマ を用いてPCRを行った。
各プライマーの配列は以下の通りである。イ ンターナルコントロールとして、G3PDHを用い 。
BTN3A1:5’- GCA TCT CGG GGA GAG AGA CA-3’(配列 号15)、5’- GAA TAT GCG ATC CAT CCA CA-3’(配 番号16)、
BTN3A2:5’- GAT-GGA-GTG-GGC-CTA-TAT-GA-3’(配列番号17 )、5’-TCA-GGC-TGA CTT ATT G- 3’(配列番号18),
BTN3A3:5’- ATG GCT CGT GGA GAG AAG TC-3’(配列 号19)、5’- AGA TAT GAG ATC CAT CTG TG-3’(配 番号20)、
G3PDH:5’- ACC ACA GTC CAT CTC ATC AC-3’(配列番 号21)、5’- TCC ACC ACC CTG TTG CTG TA-3’(配列 番号22)
PCRの条件は94℃(30秒)、50℃(30秒)、72℃(1分)の イクルを35回行った。

 その結果を図13に示す。採血直後のPBMCsで はBTN3A1、BTN3A2、BTN3A3いずれのmRNAも発現して た。それらの発現はPBMCsを培地のみで培養し た際も維持されていた。一方、OKT3/rIL-2で刺 したPBMCsではBTN3A1、BTN3A2、BTN3A3全てのmRNAの 現が減少していた。これらのことからリン 球を活性化すると、BTN3分子を構成するBTN3A1 BTN3A2、BTN3A3の3分子全てのmRNAが減少するこ が判明した。

 <BTN3発現減少と活性化マーカーとの逆相 1>
 実施例8において、リンパ球を活性化すると BTN3分子の発現が減少することが判明した。 こで、リンパ球が活性化した際に強発現す IL-2レセプターα鎖(CD25)との相関を検証した

 1×10 6 個PBMCsをOKT3(5μg/ml)プレコーティング24wellプレ ートに播種した。10%FCS、50U/ml rhIL-2を含むRPMI 1640で3日間培養し、FITC-232-5/PE-ヒトCD25/PC5-ヒ CD8a(B9.11;ベックマンコールター)又はFITC-232-5/ PE-ヒトCD25/PC5-ヒトCD4(13B.8.2;ベックマンコール ター)で染色し、フローサイトメーター解析 行った。

 本試験の結果を図14に示す。
 フローサイトメーター解析の結果、CD4陽性T 細胞に比べCD8陽性T細胞のほうが、活性化マ カーCD25の発現上昇とBTN3の発現減少の逆相関 がより顕著であることが示された。また、PBM CsをFSC(細胞の大きさ)、SSC(細胞の密度)のパラ メータで展開した場合、両パラメータ値が高 い群が活性化リンパ球で、低い群は刺激が入 っていない非活性のリンパ球であると予測さ れた。

 FSC/SSC高値にゲートをかけた場合、CD8、CD4 陽性細胞ともにCD25高発現、BTN3減少の細胞集 (ポピュレーション)が濃縮されて観察され 。一方FSC/SSC低値にゲートをかけた場合は前 とは対照的に、CD25低発現、BTN3高発現ポピ レーションが観察された。

 これらのことからBTN3分子は活性化に伴い その発現が減少し、活性化マーカーとの発現 と逆の相関を示すことが判明した。

 <BTN3発現減少と活性化マーカーとの逆相 2>
 BTN3は殆どのPBMCsに発現しているが、CD45ROを 現しているメモリーT細胞画分では一部BTN3 発現が減少している。
 実施例8において、活性化リンパ球ではBTN3 減少が起こることを記載したが、刺激前か BTN3が減少している画分が増殖したという可 性を打ち消す目的で、BTN3を100%発現してい ナイーブT細胞(CD4 + CD25 - CD45RO - )を分離して刺激を行った。

 ナイーブT細胞の分離はまずPBMCsからCD4 + CD25 +  regulatory Tcell isolation kit(Miltenyi Biotec)を用 て、ネガティブセレクションによってCD4 + CD25 - T細胞を得た。

 続いて、CD4 + CD25 - T細胞1×10 7 個に対してヒトCD45ROマイクロビーズ(Miltenyi B iotec)を10μl添加し、MACSバッファ(1% BSA、2mM ED TA in PBS)で洗浄後、磁場カラムに通し、CD4 + CD25 - CD45RO - ナイーブT細胞を得た。

 こうして得られた上記ナイーブT細胞1×10 6 個をOKT3(5μg/ml)プレコーティング24wellプレー に播種し、10%FCS、50U/ml rhIL-2、5μg/ml抗ヒトCD 28抗体を含む培地で6日間培養した。6日後、 胞を回収し、FITC-232-5/PE-ヒトCD25(2A3;BD Bioscien ce)、FITC-232-5/PE-ヒトCD45RO(UCHL1;ベックマンコー ルター)で染色した。またBT3.1にもFITC化を施 (DOJINDO)、同様の染色を行い、フローサイト ーター解析を行った。

 図15に本試験の結果を示す。
 CD25は活性化マーカー、CD45ROはメモリーマー カーとして知られている。フローサイトメー ターの結果、本発明抗体によるBTN3の発現減 と、CD25/CD45RO分子の発現が逆相関しているこ とが示された。BT3.1を用いても同様の傾向は 察されたが、本発明抗体(232-5抗体)を用いた 場合程の明瞭な結果は得られなかった。

<リンパ球活性化に伴う活性化マーカーと 相関性>
 BTN3分子はリンパ球活性化に伴い減少するこ とを示したが、BTN3分子を発現していないリ パ球も存在するので、ほぼ100%BTN3分子を発現 しているナイーブCD4陽性T細胞を用いて検証 行った。

 健常人PBMCsからヒトCD4 isolation kit(Miltenyi biotec)とヒトCD25ビーズ(Miltenyi biotec)、CD45ROビ ーズ(Miltenyi biotec)を用いてCD4+CD25-CD45RO-ナイ ブT細胞を得た。これらの細胞を固相化OKT3(5 g/ml)、rIL-2(50U/ml)、αCD28抗体(5μg/ml、BD Bioscien ce)で7日間刺激し、その後フローサイトメー ー解析を行った。染色はFITC-232-5、FITC-34-7、F ITC-BT3.1、FITC-IgG2a(ベックマンコールター)、PE- CD25(Miltenyi biotec)、PE-CD45RO(ベックマンコール ー)、PE-CD70(BD Bioscience)、PE-CD103(BD Bioscience) PE-ICOS(BD Bioscience)、PE-PD-1(BD Bioscience)を用い た。

 本試験の結果を図16に示す。
 図14と同様にナイーブT細胞を活性化させた にもCD25の発現に伴いBTN3分子の発現減少が 察された。その他の活性化/メモリーマーカ (CD45RO、CD70、CD103、ICOS、PD-1)とBTN3分子の発 について解析しても、BTN3分子の活性化に伴 発現減少が観察された。これらのことから BTN3分子はCD25以外の活性化/メモリーマーカ とも発現が逆相関することが確認された。 方、e-Bioscience社のBT3.1を用いて解析した場 も活性化、メモリーマーカーとの逆相関が 察されたが、232-5、34-7を用いたようなクリ な結果(細胞集団を明確に分けること)を得る ことは出来なかった。

 以上説明したように、本発明の抗体はBTN3を 特異的に認識する特性を有する。また、リン パ球は活性化するとBTN3の発現が低下する。 れらの特性を利用して、活性化したリンパ と非活性のリンパ球を効率よく識別する事 できる。例えば、抗体吸着カラム等に応用 る事で、活性化リンパ球集団から活性化し リンパ球と非活性リンパ球を効率よく分離 る事ができる。また、免疫細胞療法を実施 る機関においては、リンパ球の活性化効率 投与前に診断する事が可能となる。
 さらに、本発明の抗体はリンパ球に対し増 抑制に働く特性を持つことから、抗体医薬 として開発された場合には免疫抑制剤とし 機能すると考えられるため、自己免疫疾患 臓器移植後の治療等に応用できる可能性が る。