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Patent Searching and Data


Title:
PET PROBE HAVING ALKOXY GROUP SUBSTITUTED BY FLUORINE AND HYDROXY GROUP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004914
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a PET probe compound having an alkoxy group substituted by a fluorine and a hydroxy group, which is useful for the early diagnosis of a conformational disease; a pharmaceutical composition for the treatment and/or prevention of a conformational disease, which comprises the compound; and others.

Inventors:
KUDO YUKITSUKA (JP)
FURUMOTO SYOZO (JP)
OKAMURA NOBUYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061032
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
June 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOHOKU (JP)
KUDO YUKITSUKA (JP)
FURUMOTO SYOZO (JP)
OKAMURA NOBUYUKI (JP)
International Classes:
A61K31/428; C07C217/56; A61K31/437; A61K31/44; A61K49/00; A61P25/00; A61P25/14; A61P25/16; A61P25/28; A61P31/12; C07C309/73; C07D213/64; C07D277/66; C07D471/04; C07B59/00
Domestic Patent References:
WO2007126733A22007-11-08
WO2006078384A22006-07-27
WO2006066104A22006-06-22
WO2007002540A22007-01-04
Foreign References:
US9605918W1996-05-01
US9807889W1998-04-20
JP2000080082A2000-03-22
JP2000080083A2000-03-22
JP2001076075A2001-03-16
JP0102204W2001-03-21
JP0102205W2001-03-21
JP0307183W2003-06-06
JP0315269W2003-11-28
JP0315229W2003-11-28
JP2004001546W2004-02-13
Other References:
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PUCHTLER ET AL., JOURNAL OF HISTOCHEMISTRY AND CYTOCHEMISTRY, vol. 10, 1962, pages 35
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LE VINE, PROTEIN SCIENCE, vol. 2, 1993, pages 404 - 410
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STEPHENSON ET AL., BIOCONJUGATE CHEMISTRY, vol. 18, 2007, pages 238 - 246
See also references of EP 2172444A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 01, JP)
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Claims:
 式(I):
[式中、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表される基であり、かつ、
R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 13 が前記式(II)で表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II)で表される基である場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基であり、かつ、
R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 23 が前記式(II)で表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
pは1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式(II)で表される基である場合には、pは0でもよく、
は、
又は
を示し、
 R 31 、R 32 又はR 33 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される基であり、かつ、
R 31 、R 32 又はR 33 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 33 が前記式(II)で表される基である場合には、R 31 、R 32 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
nは1であるか、或いは、R 31 又はR 32 のいずれかが、前記式(II)で表される基である場合には、nは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又は4がCHである]からなる群より選択される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 Xがヒドロキシ基で1又は2置換された炭素数3乃至7の直鎖又は分岐のアルキル基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 式(II)が、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)からなる群より選択される基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 式Iで表される化合物が、式(I-1)
[式中、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表される基であって、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)からなる群より選択される基であり、かつ、
R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、或いは、
R 13 が前記式IIで表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II)で表される基である場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示す]で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 R 13 が、式(III):

(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)からなる群より選択される基であり、
R 11 及びR 12 が、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基であるか、 或いは、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、mが1であり、Zが硫黄原子である請求項4記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 R 13 が、式(III-1):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)で表される基である請求項5記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 式(I)が、式(I-2):
[式中、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表される基であり、かつ、R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 23 が式(II):
(式中、Xは前記の意味を有する)
で表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
pは1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式(II)で表される基である場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又は4がCHである]で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 R 23 が、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)からなる群より選択される基であり、
R 21 及びR 22 は、それぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル基であるか、或いは、
R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、pが1である請求項7記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 R 23 が、式(III-1):
で表される基である請求項8記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 式(I)で表される化合物が、
又は
である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 標識された請求項1乃至10のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 標識が放射性核種によるものである請求項11記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 放射性核種がγ線放出核種である請求項12記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 標識が陽電子放出核種である請求項11記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 陽電子放出核が、 11 C、 13 N、 15 O、 18 F、 35 mCl、 76 Br、 45 Ti、 48 V、 60 Cu、 61 Cu、 62 Cu、 66 Ga、 89 Zr、 94m Tc及び 124 Iからなる群より選択されるものである、請求項14記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 陽電子放出核が、 11 C又は 18 Fである請求項14記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する医薬組成物。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と溶解補助剤とを含む医薬組成物。
 溶解補助剤がポリソルベート80、ポリエチレングリコール、エタノール及びプロピレングリコールからなる群より選択されるものである、請求項18記載の医薬組成物。
 注射剤である請求項17乃至19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病診断用組成物。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する、コンフォーメーション病を治療及び/又は予防するための医薬組成物。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、コンフォーメーション病診断用キット。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を必須の構成要素として含む、βシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物又はキット。
 画像診断用である、請求項23又は24記載のキット。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを特徴とする、対象におけるコンフォーメーション病の治療及び/又は予防方法。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象に投与することを特徴とする、対象におけるコンフォーメーション病の診断方法。
 対象におけるコンフォーメーション病の診断用組成物又はキットを製造するための、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
 対象におけるコンフォーメーション病の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を用いて試料を染色することを特徴とする、試料中のβシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色する方法。
 試料中のβシート構造をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又は染色するための組成物又はキットを製造するための、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
 式(I’):
[式中、R 111 、R 121 又はR 131 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表される基であり、かつ、
R 111 、R 121 又はR 131 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 131 が前記式(II’)で表される基である場合には、R 111 、R 121 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II’)で表される基である場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基であり、かつ、
R 211 、R 221 又はR 231 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 231 が前記式(II’)で表される基である場合には、R 211 、R 221 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
nは1であるか、或いは、R 211 又はR 221 のいずれかが、前記式(II’)で表される基である場合には、nは0でもよく、
は、
又は
を示し、
R 311 、R 321 又はR 331 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される基であり、かつ、
R 311 、R 321 又はR 331 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル基であるか、
或いは、R 331 が前記式(II’)で表される基である場合には、R 311 、R 321 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になって形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であり、
pは1であるか、或いは、R 311 又はR 321 のいずれかが、前記式(II’)で表される基である場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又は4がCHである]からなる群より選択される化合物。
 式(II’)で表される基が、式(III’):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示す)からなる群より選択される基である請求項32記載の化合物。
 式(I’)で表される化合物が、
又は
である請求項32記載の化合物。
Description:
フッ素およびヒドロキシ基で置 されたアルコキシ基を有するPETプローブ

 本発明は、コンフォーメーション病の診 プローブ、特に画像診断プローブ、詳細に 、陽電子放出核種により標識されたプロー 、ならびに該プローブを含む画像診断用組 物に関する。さらに、本発明は、例えば、 材料中のアミロイドβ蛋白および神経原線 変化の検出・染色、例えば、アルツハイマ 病患者脳における老人斑の検出・染色、な びにコンフォーメーション病の予防および/ たは治療用の医薬組成物にも関する。また 本発明は、上記プローブを含むコンフォー ーション病診断組成物などにも関する。

 コンフォーメーション病特有のβシート 造をとった蛋白が蓄積する疾患には、体内 種々の器官や組織への不溶性原線維性蛋白 沈着を特徴とする種々の疾病がある。これ の疾病には、アルツハイマー病、プリオン 、レビー小体病、パーキンソン病、ハンチ トン病、球脊髄性筋萎縮症、歯状核・淡蒼 ルイ体萎縮症、脊髄・小脳変性症、Machado-Jos eph Disease、Amyophic Lateral Sclerosis(ALS), ダウン 症候群、ピック病、FTDP-17(Frontotemporal Dementia and Parkinsonism linked to Chromosome 17)、LNTD(Limbi c Neurofibrillary Tangle Demetia)、Sudanophiloc Leukody strophy、アミロイドーシス等が含まれる。 

 このうち、アルツハイマー病(AD)は、現在最 も治療の困難な疾病の1つとされており、正 な早期診断が望まれている疾患である。ア ツハイマー病は、主として、初老期から老 期にかけて起こる進行性の認知症を特徴と る疾患である。病理学的には、大脳の全体 な萎縮、神経細胞の著しい変性と脱落、神 原線維変化と老人斑の出現を特徴とする。 ルツハイマー病に代表される認知症の最大 リスクファクターは、加齢であることが知 れている。したがって、老齢人口の増加に う患者の増加は、特に、高齢化社会となっ いる日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国にお て顕著であり、それに対する医療コストは これらの国の医療システムを危機におとし ている。
 なお、我が国においては、アルツハイマー 患者数は、約100万人と推定され、今後人口 高齢化に伴い、その患者数は増大すること 確実視されている。アルツハイマー病患者 かかわる費用は、介護費用を含めると年間 者1人あたり100万円から300万円を考えられて いることから、すでに我が国では1兆円から3 円の社会経済コストを払っていることにな 。アルツハイマー病において症状が、顕在 する以前ないしは、できるだけ早期に治療 加えることは、大きな医療経済効果をもた すことはいまや世界の常識となっている。

 現在のアルツハイマー病診断方法は、各 あるが、我が国においては、長谷川式、ADAS 、MMSE等の、アルツハイマー病が疑われる個 の認知機能の低下を定量的に評価する方法 一般的であり、まれに画像診断法(MRI、CT等) 補助的に用いられている。しかし、これら 診断法では、病気を確定するには不十分で り、確定診断には生前における脳の生検(バ イオプシー)、死後脳の病理組織学的検査が 要である。このように、アルツハイマー病 診断法についても精力的な研究が行われて るにもかかわらず、それほどの進歩がみら ないでいる。多くの研究の結果、最初の臨 症状が現れるかなり以前(長い場合は約40年 )にはすでにアルツハイマー病特徴的な神経 性が始まっていることが判ってきた。また 同病においては、患者を取り巻く家族また 臨床家が最初の臨床症状に気づいた時には すでに脳内病理像は取り返しのつかない状 まで進行していることが知られている。上 のような病状の進行特性および患者数の激 を考え合わせると、アルツハイマー病の正 な早期診断の必要性ならびに意義は極めて きい。

アルツハイマー病の病理組織像は、2つの主 に代表される。すなわち、老人斑および
神経原線維変化である。前者の主構成成分は 、βシート構造をとったアミロイドβ(Aβ)蛋白 であり、後者のそれは、過剰リン酸化された アミロイドβ蛋白である。アルツハイマー病 確定診断は、これらの病理学的特徴が患者 内に出現することをよりどころとしている

 アミロイドβ蛋白はアルツハイマー病を 含するコンフォーメーション病に特徴的で り、密接な関連性を有している。したがっ 、体内、特に、脳内にβシート構造をとった アミロイドβ蛋白をマーカーとして検出する とが、コンフォーメーション病、特に、ア ツハイマー病の重要な診断方法の1つになる 。アルツハイマー病をはじめとするアミロイ ドが蓄積する疾患の診断を目的として、体内 、特に脳内アミロイドβ蛋白に特異的に結合 、これを染色する物質の検索が従来から行 れている。かかる物質としては、コンゴー ッド(非特許文献1参照)およびチオフラビンS (非特許文献2参照)、チオフラビンT(非特許文 3参照)ならびにクリサミンGおよびその誘導 (特許文献1および特許文献2参照)等が知られ ているが、アミドロイドβ蛋白に対する結合 異性、血液-脳関門透過性、溶解度、毒性等 の面から問題が少なくない。本発明者らは、 アミロイドβ蛋白に対して特異性が高く、血 -脳関門透過性、溶解度が大きく、毒性が小 さい等の特徴を有する種々の化合物を見出し ている(特許文献3、特許文献4、特許文献5、 許文献6および特許文献7参照)。

 脳内蛋白がβシート構造をとることによ て、その蛋白自身が病因となる疾患が知ら ている。アルツハイマー病においては、ア ロイドβ蛋白およびタウ蛋白がβシート構造 とることによって、蛋白自身が病因または 因の一部となっていると考えられている。Y ankerらはアミロイドβ蛋白にβシート構造をと らせることにより神経細胞毒性を発揮するこ とを初めて報告した(非特許文献4参照)。その 後、多くの追試が行われ、βシート構造をと たアミロイドβ蛋白が、神経細胞毒性を有 ることが確認された。このようにβシート構 造をとったアミロイドβ蛋白、タウ蛋白に神 細胞毒性が見られることから、その細胞毒 を抑制する化合物は蛋白自身がβシート構 をとることによって病因、または病因の一 となる疾患、すなわちコンフォーメーショ 病、例えば、アルツハイマー病の治療薬に りうることが示唆される。しかしながら、 かる治療薬の開発も十分な成果が得られて ないのが現状である。

 したがって、アルツハイマー病をはじめ するコンフォーメーション病の診断、アミ イドβ蛋白の特異的染色剤、ならびにコン ォーメーション病の治療および予防のため 、アミロイドβ蛋白に対する特異性の高い化 合物に対する必要性が高まっている。

 アルツハイマー病のもう1つの病理組織学主 徴は神経原線維変化およびその主構成成分で ある過剰リン酸化されたタウ蛋白であるが、 一般的にこれらはアミロイドβ蛋白よりは遅 て実現すると考えられている。しかし、神 原線維変化はアミロイドβ蛋白に比し痴呆 程度とよく相関すると考えられている(非特 文献5および非特許文献6参照)。
 また、アルツハイマー病以外にタウ蛋白の 内蓄積を主徴とする疾病(タウオパチイ)に 、ピック病、進行性核上性麻痺(PSP)などがあ げられる。これらの疾病もコンフォーメーシ ョン病に含まれる。

 このようにタウ蛋白はアルツハイマー病 包含するタウ蛋白が蓄積する疾患に特徴的 あり、密接な関連を有している。従って体 、特に脳内でβシート構造をとったタウ蛋 をマーカーとして検出することが、タウ蛋 が蓄積する疾患、特にアルツハイマー病の 要な診断法の1つとなる。

 アルツハイマー病をはじめとするタウが 積する疾患の診断を目的として、体内、特 脳脊髄液中のタウを定量する方法が2、3の ループから報告されている(非特許文献7およ び非特許文献8参照)。しかし、非侵襲的にイ ビボでのタウを定量することを目的とした ローブは世界的にみても全く見当たらない

 したがって、アルツハイマー病をはじめ する神経原線維変化が病因または病因の一 となる疾患の診断や治療のための、あるい 神経原線維変化を染色するための、神経原 維変化に対する特異性の高い化合物に対す 必要性が高まっている。

 これまでアミロイドβ蛋白および神経原線 変化に対する特異性の高い化合物が報告さ てきた(特許文献8、特許文献9、特許文献10、 特許文献11参照)。これらの化合物をインビボ において、特にヒト患者の体内において使用 する場合、骨集積が極めて少ないか、ほとん どないことが望ましい。したがって、骨集積 が極めて低いか、あるいはない、コンフォー メーション病診断プローブとして使用できる 化合物の検索が必要である。

国際特許出願PCT/US96/05918明細書

国際特許出願PCT/US98/07889明細書

特願平第2000-080082号明細書

特願平第2001-080083号明細書

特願平第2001-76075号明細書

国際特許出願PCT/JP01/02204明細書

国際特許出願PCT/JP01/02205明細書

国際特許出願PCT/JP03/01783明細書

国際特許出願PCT/JP03/15269明細書

国際特許出願PCT/JP03/15229明細書

国際特許出願PCT/JP03/01546明細書 Puchtlerら、Journal of Histochemistry、第10巻 35頁、1962年 Puchtlerら、Journal of Histochemistry、第77巻 431頁、1983年 LeVine、Protein Science、2巻、404-410ページ Yanknerら、Science、245巻、417-420ページ、198 9年 Braak H and Braak E、Acta Neuropathol、82巻、 239-259ページ、1991年 Wischikら、Neurobiology of Alzheimer’s Disease 103-206ページ、Oxford University Press、 Oxford、 2001年 Ishiguroら、Neufosci.Lett.、270巻、81-84ページ 、1999年 Itohら、Ann.Neurol.、50巻、150-156ページ、200 1年

 本発明は上記事情に鑑み、アミロイドβ 白および/または神経原線維変化に対する特 性が高く、脳移行性が高く、しかも骨集積 極めて少ない、あるいはない、コンフォー ーション病の診断プローブとして使用でき 物質を提供するものである。また、本発明 、コンフォーメーション病の画像診断プロ ブとして用いられる標識されたかかる物質 ならびにかかるプローブを含む画像診断用 成物およびキットをも提供する。さらに、 発明は、脳材料中のアミロイドβ蛋白およ 神経原線維変化の検出および/または染色方 、そのためのキット、ならびにコンフォー ーション病の予防および/または治療用の医 薬組成物も提供する。また、本発明は、コン フォーメーション病の早期診断に有用な化合 物、それを含む画像診断用組成物なども提供 する。

 本発明らは、上記課題を解決すべく鋭意研 を重ねた結果、式(I):
[式中、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であり、かつ、
R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 13 が前記式IIで表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式IIで表される基である 合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基 であり、かつ、
R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 23 が前記式IIで表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
nは1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、nは0でもよく、
は、
又は
を示し、
R 31 、R 32 又はR 33 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される 基であり、かつ、
R 31 、R 32 又はR 33 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 33 が前記式IIで表される基である場合には、R 31 、R 32 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
pは1であるか、或いは、R 31 又はR 32 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又 は4がCHである]からなる群より選択される化 物又はその薬学的に許容される塩もしくは 媒和物が、アミロイドβ蛋白および/または 経原線維変化に対する特異性が高く、脳移 性が高く、しかも骨集積が極めて少ないか あるいはない、コンフォーメーション病の 断プローブとして使用できることを見出し 本発明を完成するに至った。

 末端に、-O-アルキル基又は-N-アルキル基(該 アルキル基は、ハロゲン原子およびヒドロキ シ基で置換されており、さらに、フッ素原子 で置換されている)を有する化合物は、骨集 が低い、あるいは極めて低いものである。 かる骨集積の低い、あるいは極めて低い化 物を包含することは、本発明の1つの特徴で る。
 本発明は、式(I)で表される化合物のうち、 端に-O-アルキル基又は-N-アルキル基(該アル キル基は、ハロゲン原子およびヒドロキシ基 で置換されており、さらに、フッ素原子で置 換されている)を有することにより、従来の ミロイドPETプローブと比較して、より安全 の高い化合物又はその薬学的に許容される もしくは溶媒和物を提供するものである。
それゆえ、本発明の化合物はきわめて安全性 の高いものである。また、本発明の化合物は 、アミロイドβ蛋白を特異的かつ鮮明に染色 ることから、特に、アルツハイマー病、ダ ン症候群などの正確な早期診断を可能にす ものといえる。さらに本発明の化合物は、 移行性、すなわち、血液-脳関門透過性も高 い。これらの特徴から、本発明の化合物を用 いて、インビボにおける、特に、ヒト患者に おける非侵襲性の早期診断が可能となる。

 アミロイドPETプローブ診断用薬剤として 例えば、WO2007/002540には、末端に標識された エチレングリコール又はポリエチレングリコ ールが開示されている。しかしながら、この 明細書には、骨集積の低い、或いは、ほとん ど認められない末端基として、どのようなも のが優れているかについては、具体的な開示 はなく、末端基を標識化されたポリエチレン グリコールにすることにより、脂溶性を下げ ることができることが開示されている。

 本発明は、アミロイドβ蛋白および/また 神経原線維変化に対する特異性が極めて高 、血液-脳関門透過性が高く、極めて安全性 の高い化合物を提供する。また、本発明は、 アミロイドβ蛋白および/または神経原線維変 化に対する特異性が極めて高く、血液-脳関 透過性が高く、しかも、骨への集積が低い 或いは、ほとんどない、極めて安全性の高 化合物を提供する。したがって、本発明の 合物を用いて、コンフォーメーション病の 断、治療および/または予防を行うことがで る。また、本発明によれば、コンフォーメ ション病の画像診断、特にPETを用いた画像 断も可能となる。したがって、本発明によ 、コンフォーメーション病の早期における 確な診断、効果的な治療および予防が可能 なる。

図1はアルツハイマー病患者脳切片にお けるTHK-837染色像である。白抜き矢印はアミ イドβ蛋白を示す。 図2はアルツハイマー病患者脳切片にお けるTHK-853染色像である。白抜き矢印はアミ イドβ蛋白を示す。

 本発明の化合物は以下に説明する式(I)で される化合物、またはその塩もしくは溶媒 物である。本明細書において、「発明の化 物」という場合には、特に断らないかぎり 式(I)の化合物、ならびにそれらの塩および 媒和物を包含するものとする。

 本明細書において、「低級アルキル基」 は、炭素数1乃至6の直鎖又は分岐を有する ルキル基を意味し、具体的には、例えば、 チル基、エチル基、プロピル基、イソプロ ル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル 、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル 、ネオペンチル基、イソペンチル基、1,1-ジ チルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチ ルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、ヘキ ル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基 、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基 1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基 、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル 、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチ 基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1 ,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチ プロピル基等が挙げられる。

本明細書において、「アミロイドベータ蛋 白」、「アミロイドβ蛋白」、「Aβ蛋白」、 アミロイドベータ」、「アミロイドβ」、 Aβ」は同義である。

 本発明の化合物中の2つの環の間に二重結 合が存在する場合には、シス、トランス双方 の異性体が存在しうる。

 また、本発明の化合物中に、不斉炭素原子 存在する場合には、異性体の混合物、それ の個々の異性体も本発明の化合物に包含さ る。
 例えば、本発明の化合物に不斉炭素が1つ存 在する場合には、光学的に活性な化合物は、 それぞれを別個に合成するか、或いは、カラ ムクロマトグラフィーによって、各々の光学 異性体を分離することができる。
 カラムクロマトグラフィーによって、光学 性体を分離する場合、用いられるカラムと ては、例えば、キラルパックAD(ダイセル社 )等が挙げられる。
 また、用いられる溶媒としては、通常異性 を分離するのに用いられる溶媒であればよ 、例えば、クロロホルム、アセトニトリル 酢酸エチル、メタノール、エタノール、ア トン、ヘキサン、水等を単独で用いるか、 いは、これらの溶媒を2又はそれ以上組み合 わせて用いることもできる。

 本発明に係る式(I):
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合 について、さらに、具体的に開示するため 、式(I)において用いられる各種記号につい 、具体例を挙げて説明する。

 まず、式(I)中の式(I-1):
で表される化合物について説明する。

 R 11 、R 12 及びR 13 については、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
で表される基であり、かつ、R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 13 が前記式IIで表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基を示 。

 前記式II中のXは、ヒドロキシ基で1乃至3置 された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す
 該炭素数3乃至10のアルキル基は、直鎖又は 岐のいずれであってもよいが、炭素数3乃至 7のアルキル基が好ましく、フッ素原子が結 している炭素原子の隣の炭素原子が2級炭素 子であり、かつ、ヒドロキシ基が該2級炭素 原子に結合している場合が好ましい。

 式IIで表される基としては、具体的には、 えば、式(III):
[式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す]からなる群より選択される基が挙げられ これらのうち、式(III-1):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基であるか、或 は、式(III-2):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基が好ましい。

 R 13 が前記式IIで表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て3乃至8員の含窒素脂肪族環を形成していて よく、さらに、該含窒素脂肪族環を構成す 炭素原子の1つが、窒素原子、硫黄原子又は 酸素原子に置き換わっていてもよく、該含窒 素脂肪族環としては、具体的には、例えば、
[式中、Zは、O、S、CH 2 又はNR e であり、R e は、水素又はC 1-4 アルキル基を示す]で表される基等が挙げら 、これらのうち、モルホリノ基が好ましい

 mは、1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式IIで表される基である 合には、mは0でもよい。

 Zは酸素原子又は硫黄原子を示すが、Zが 黄原子であることが好ましい。

 次に、式(I)中の式(I-2):
で表される化合物について説明する。

 R 21 、R 22 及びR 23 については、R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
で表される基であり、かつ、R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 23 が前記式IIで表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基を示 。

 前記式II中のXは、ヒドロキシ基で1乃至3置 された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す
 該炭素数3乃至10のアルキル基は、直鎖又は 岐のいずれであってもよいが、炭素数3乃至 7のアルキル基が好ましく、フッ素原子が結 している炭素原子の隣の炭素原子が2級炭素 子であり、かつ、ヒドロキシ基が該2級炭素 原子に結合している場合が好ましい。

 式IIで表される基としては、具体的には、 えば、式(III):
[式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す]からなる群より選択される基が挙げられ これらのうち、式(III-1):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基であるか、或 は、式(III-2):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基が好ましい。

 R 23 が前記式IIで表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て3乃至8員の含窒素脂肪族環を形成していて よく、さらに、該含窒素脂肪族環を構成す 炭素原子の1つが、窒素原子、硫黄原子又は 酸素原子に置き換わっていてもよく、該含窒 素脂肪族環としては、具体的には、例えば、
[式中、Zは、O、S、CH 2 又はNR e であり、R e は、水素又はC 1-4 アルキル基を示す]で表される基等が挙げら 、これらのうち、モルホリノ基が好ましい

 pは、1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式IIで表される基である 合には、pは0でもよい。

 A 1 乃至A 5 は、全てが炭素原子であるか、或いは、A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であってもよい。 れらのうち、A 1 乃至A 5 の全てが炭素原子であるか、或いは、A 1 乃至A 5 のうちの1つが窒素原子であることが好まし 。

は、二重結合を示すか、或いは、三重結合を 示す。

 次に、式(I)中の式(I-3):
で表される化合物について説明する。

 R 31 、R 32 及びR 33 については、R 31 、R 32 又はR 33 のいずれか一つが、式(II):
で表される基であり、かつ、R 31 、R 32 又はR 33 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 33 が前記式IIで表される基である場合には、R 31 、R 32 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基を示 。

 前記式II中のXは、ヒドロキシ基で1乃至3置 された、炭素数3乃至10のアルキル基を示す
 該炭素数3乃至10のアルキル基は、直鎖又は 岐のいずれであってもよいが、炭素数3乃至 7のアルキル基が好ましく、フッ素原子が結 している炭素原子の隣の炭素原子が2級炭素 子であり、かつ、ヒドロキシ基が該2級炭素 原子に結合している場合が好ましい。

 式(II)で表される基としては、具体的には、 例えば、式(III):
[式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す]からなる群より選択される基が挙げられ これらのうち、式(III-1):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基であるか、或 は、式(III-2):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基が好ましい。

 R 33 が前記式IIで表される基である場合には、R 31 、R 32 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て3乃至8員の含窒素脂肪族環を形成していて よく、さらに、該含窒素脂肪族環を構成す 炭素原子の1つが、窒素原子、硫黄原子又は 酸素原子に置き換わっていてもよく、該含窒 素脂肪族環としては、具体的には、例えば、
[式中、Zは、O、S、CH 2 又はNR e であり、R e は、水素又はC 1-4 アルキル基を示す]で表される基等が挙げら 、これらのうち、モルホリノ基が好ましい

 nは、1であるか、或いは、R 31 又はR 32 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、nは0であってもよい。

 これらの化合物、その薬学的に許容され 塩もしくは溶媒和物は、Aβに対する特異性 高く、そのうえ、毒性が低く、また、脳内 行性が高く、一定時間経過後、速やかに脳 ら大部分の薬剤が消失する。

したがって、本発明の化合物は、コンフォ ーメーション病の画像診断のための、安全な プローブとして使用することができる。

また、本発明は、式(I)で表される化合物の 合成のための前駆体として使用される化合物 も提供する。当業者は、かかる前駆体を目的 とする本発明の化合物から容易に設計するこ とができ、その合成をすることができる。あ るいは、かかる前駆体は市販されているもの を修飾することによっても得ることができる 。

該前駆体としては、例えば、式(I’)
[式中、R 111 、R 121 又はR 131 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であり、かつ、
R 111 、R 121 又はR 131 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 131 が前記式(II’)で表される基である場合には R 111 、R 121 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基 であり、かつ、
R 211 、R 221 又はR 231 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 231 が前記式(II’)で表される基である場合には R 211 、R 221 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
nは1であるか、或いは、R 211 又はR 221 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、nは0でもよく、
は、
又は
を示し、
R 311 、R 321 又はR 331 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される 基であり、かつ、
R 311 、R 321 又はR 331 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 331 が前記式(II’)で表される基である場合には R 311 、R 321 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
pは1であるか、或いは、R 311 又はR 321 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又 は4がCHである]からなる群より選択される化 物が挙げられる。

 式(I’)中のR 111 、R 121 もしくはR 131 のうちの1つ、R 211 、R 221 もしくはR 231 のうちの一つ、又はR 311 、R 321 もしくはR 331 のうちの一つが、式(II’)で表される基を示 以外は、各記号は式(I)のものと同様である

式(II’)で表される基としては、具体的には 例えば、式(III’):
[式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す]からなる群より選択される基が挙げられ これらのうち、式(III’-1):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基であるか、或 は、式(III’-2):
[式中、
は、前記に同じ]で表される基が好ましい。

 コンフォーメーション病の診断においては 本発明の化合物を標識せずにプローブとし 用いることができる。例えば、生検試料に 発明の化合物を接触させて、染色される部 の有無を調べてもよい。しかしながら、標 した本発明の化合物をコンフォーメーショ 病の診断用プローブとして使用するのが一 的である。標識には、蛍光物質、アフィニ
ティー物質、酵素基質、放射性核種等があろ う。コンフォーメーション病の画像診断には 通常、放射性核種で標識したプローブを使用 する。当該分野においてよく知られた方法に より種々の放射性核種で本発明の化合物を標 識することができる。例えば、 3 H、 14 C, 35 S、 131 I等は以前から使用されている放射性核種で り、インビトロでの利用が多い。画像診断 ローブおよびその検出手段に求められる一 的要件としては、インビボで画像診断でき こと、患者へのダメージが少ないこと(特に 非侵襲的であること)、検出感度が高いこと 、半減期が適当な長さであること(標識プロ ブ調製時間、診断時間が適当であること)等 挙げられる。そこで最近では、高い検出感 と物質透過性を示すγ線を利用した陽電子 層撮影法(PET)またはγ線放出核種によるコン ューター断層撮影法(SPECT)が用いられるよう になってきた。このうち、PETは、陽電子放出 核種から正反対の方向に放射される2本のγ線 を1対の検出器により同時計数法により検出 るので、解像力や定量性に優れた情報が得 れるので好ましい。SPECT用には、 99m Tc、 111 In、 67 Ga、 201 Tl、 123 I、 133 Xe等のγ線放出核種で本発明の化合物を標識 ることができる。 99m Tcおよび 123 IがSPECT用によく用いられている。PET用には 11 C、 13 N、 15 O、 18 F, 62 Cu、 68 Ga、 76 Br等の陽電子放出核種で本発明の化合物を標 することができる。陽電子放出核種のなか も、半減期が適当であること、標識しやす 等の点から、 11 C、 13 N、 15 O、 18 Fが好ましく、 11 C又は 18 Fがより好ましく、 18 Fが特に好ましい。放射性核種、例えば、陽 子放出核種、γ線放出核種等の放射線放出核 種での本発明の化合物の標識位置はいずれの 位置であってもよいが、好ましい標識位置は 化合物中のアルキル基および/フェニル環上 ある。このような標識された本発明の化合 も本発明に包含される。例えば、本発明の 合物を 18 Fで標識する場合、側鎖のいずれかが 18 Fで標識されていてもよく、あるいは環上の 素が 18 Fで置換されていてもよい。また、例えば、 ルキル置換基のいずれかに含まれる水素を 18 Fで置換してもよい。なお、当業者には自明 あるが、mとは核異性体を示す。

 式(I)で表される具体的化合物の例を下表1 に示す。

 また、本発明に係る式(I’)で表される具 的化合物の例としては、上記表1のフッ素原 子をTsOに置き換えた化合物が挙げられる。こ こで、Tsとは、p-トルエンスルホニル基を意 する。

 したがって、本発明は:
(1)式(I):
[式中、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であり、かつ、
R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 13 が前記式(II)で表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基 であり、かつ、
R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 23 が前記式(II)で表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
pは1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、pは0でもよく、

は、
又は
を示し、
R 31 、R 32 又はR 33 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される 基であり、かつ、
R 31 、R 32 又はR 33 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 33 が前記式(II)で表される基である場合には、R 31 、R 32 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
nは1であるか、或いは、R 31 又はR 32 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、nは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又 は4がCHである]からなる群より選択される化 物又はその薬学的に許容される塩もしくは 媒和物;
(2)Xがヒドロキシ基で1又は2置換された炭素数 3乃至7の直鎖又は分岐のアルキル基である(1) 載の化合物又はその薬学的に許容される塩 しくは溶媒和物;
(3)式(II)が、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)からなる群より選択される基である(1)記 の化合物又はその薬学的に許容される塩も くは溶媒和物;
(4)式Iで表される化合物が、式(I-1)
[式中、R 11 、R 12 又はR 13 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であって、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)からなる群より選択される基であり、か 、
R 11 、R 12 又はR 13 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、或いは、
R 13 が前記式IIで表される基である場合には、R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示す]で表される 合物であることを特徴とする、(1)記載の化 物又はその薬学的に許容される塩もしくは 媒和物;
(5)R 13 が、式(III):

(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)からなる群より選択される基であり、
R 11 及びR 12 が、それぞれ独立して、水素原子又は低級ア ルキル基であるか、或いは、
R 11 、R 12 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、mが1であり、Zが硫黄原子である(4)記載の 合物又はその薬学的に許容される塩もしく 溶媒和物;
(6)R 13 が、式(III-1):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)で表される基である(5)記載の化合物又は の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(7)式(I)が、式(I-2):
[式中、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であり、かつ、R 21 、R 22 又はR 23 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 23 が式(II):
(式中、Xは前記の意味を有する)
で表される基である場合には、R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
pは1であるか、或いは、R 21 又はR 22 のいずれかが、前記式(II)で表される基であ 場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又 は4がCHである]で表される化合物であること 特徴とする、(1)記載の化合物又はその薬学 に許容される塩もしくは溶媒和物;
(8)R 23 が、式(III):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)からなる群より選択される基であり、
R 21 及びR 22 は、それぞれ独立して、水素原子又は低級ア ルキル基であるか、或いは、
R 21 、R 22 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、pが1である(7)記載の化合物又はその薬学 に許容される塩もしくは溶媒和物;
(9)R 23 が、式(III-1):
で表される基である(8)記載の化合物又はその 薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;
(10)式(I)で表される化合物が、
又は
である(1)記載の化合物又はその薬学的に許容 される塩もしくは溶媒和物;
(11)標識された(1)乃至(10)のいずれか1項に記載 の化合物又はその薬学的に許容される塩もし くは溶媒和物;
(12)標識が放射性核種によるものである(11)記 の化合物又はその薬学的に許容される塩も くは溶媒和物;
(13)放射性核種がγ線放出核種である(12)記載 化合物又はその薬学的に許容される塩もし は溶媒和物;
(14)標識が陽電子放出核種である(11)記載の化 物又はその薬学的に許容される塩もしくは 媒和物;
(15)陽電子放出核が、 11 C、 13 N、 15 O、 18 F、 35 mCl、 76 Br、 45 Ti、 48 V、 60 Cu、 61 Cu、 62 Cu、 66 Ga、 89 Zr、 94m Tc及び 124 Iからなる群より選択されるものである、(14) 載の化合物又はその薬学的に許容される塩 しくは溶媒和物;
(16)陽電子放出核が、 11 C又は 18 Fである(14)記載の化合物又はその薬学的に許 される塩もしくは溶媒和物;
(17)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を含有する医薬組成物;
(18)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物と溶解補助剤とを含む医薬組成物;
(19)溶解補助剤がポリソルベート80、ポリエチ レングリコール、エタノール及びプロピレン グリコールからなる群より選択されるもので ある、(18)記載の医薬組成物;
(20)注射剤である(17)乃至(19)のいずれか1項に 載の医薬組成物;
(21)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を含有する、コンフォーメーション病診断 用組成物;
(22)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を含有する、コンフォーメーション病を治 療及び/又は予防するための医薬組成物;
(23)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を必須の構成要素として含む、コンフォー メーション病診断用キット;
(24)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を必須の構成要素として含む、βシート構 をとった蛋白又は神経原線維変化を検出又 染色するための組成物又はキット;
(25)画像診断用である、(23)又は(24)記載のキッ ト;
(26)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を対象に投与することを特徴とする、対象 におけるコンフォーメーション病の治療及び /又は予防方法;
(27)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を対象に投与することを特徴とする、対象 におけるコンフォーメーション病の診断方法 ;
(28)対象におけるコンフォーメーション病の 断用組成物又はキットを製造するための、(1 )乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又はそ の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の 使用;
(29)対象におけるコンフォーメーション病の 療及び/又は予防のための医薬組成物を製造 るための、(1)乃至(16)のいずれか1項に記載 化合物又はその薬学的に許容される塩もし は溶媒和物の使用;
(30)(1)乃至(16)のいずれか1項に記載の化合物又 はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和 物を用いて試料を染色することを特徴とする 、試料中のβシート構造をとった蛋白又は神 原線維変化を検出又は染色する方法;
(31)試料中のβシート構造をとった蛋白又は神 経原線維変化を検出又は染色するための組成 物又はキットを製造するための、(1)乃至(16) いずれか1項に記載の化合物又はその薬学的 許容される塩もしくは溶媒和物の使用;
(32)式(I’):
[式中、R 111 、R 121 又はR 131 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、ヒドロキシ基で1乃至3置換され 、炭素数3乃至10のアルキル基を示す)で表さ る基であり、かつ、
R 111 、R 121 又はR 131 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 131 が前記式(II’)で表される基である場合には R 111 、R 121 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
mは1であるか、或いは、R 11 又はR 12 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、mは0でもよく、
Zは酸素原子又は硫黄原子を示し、
R 21 、R 22 又はR 23 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基 であり、かつ、
R 211 、R 221 又はR 231 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 231 が前記式(II’)で表される基である場合には R 211 、R 221 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
nは1であるか、或いは、R 211 又はR 221 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、nは0でもよく、

は、
又は
を示し、
R 311 、R 321 又はR 331 のいずれか一つが、式(II’):
(式中、Xは、前記の意味を有する)で表される 基であり、かつ、
R 311 、R 321 又はR 331 の残りの二つが、水素原子又は低級アルキル 基であるか、
或いは、R 331 が前記式(II’)で表される基である場合には R 311 、R 321 及びこれらに結合する窒素原子が一緒になっ て形成する3乃至8員の含窒素脂肪族環基であ 、
pは1であるか、或いは、R 311 又はR 321 のいずれかが、前記式(II’)で表される基で る場合には、pは0でもよく、
A 1 乃至A 5 のうちの1又は2が窒素原子であり、残りの3又 は4がCHである]からなる群より選択される化 物;
(33)式(II’)で表される基が、式(III’):
(式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す)からなる群より選択される基である(32)記 の化合物;
(34)式(I’)で表される化合物が、
又は
である(32)の化合物;
を提供するものである。

 次に、本発明に係る化合物の製造方法につ て説明する。式(I)で表される化合物は、例 ば、以下の方法によって製造することがで る。
[式中、R 13’ 、R 23’ 又はR 33’ は、それぞれ、R 13 、R 23 又はR 33 の有するヒドロキシ基の保護基を示し、他の 記号は前記の意味を有する]
(工程1)
 本工程は、化合物(A)と化合物R 13’ OH、R 23’ OH又はR 33’ OHとを反応させることにより、化合物(A-1)を 造する方法である。本工程における反応は いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、ホスフィ ン化合物及びアゾ化合物の存在下、文献記載 の方法(例えば、ミツノブ(Mitsunobu.O)著、「ユ ス オブ ジエチル アゾジカルボキシレー  アンド トリフェニルホスフィン イン  ンセシス アンド トランスフォーメーショ  オブ ナチュラル プロダクツ(The use of d iethylazodicarboxylate and triphenylphosphine in synthes is and transformation of natural products)」、シン シス(synthesis)、第1巻、1981年、p1-28)、それに 準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせ ることにより行うことができる。

 用いられる化合物(A)は、公知化合物を用 るか、或いは、公知化合物を原料として、 機化学の分野で通常用いられる方法又はこ に準じた方法により製造したものを用いて よい。

 用いられる化合物R 13’ OH、R 23 OH又はR 33’ OHの量は、化合物(A)1当量に対し、通常0.5乃至 10当量、好ましくは1乃至5当量である。

 本工程において用いられるホスフィン化 物としては、例えば、トリフェニルホスフ ン、トリエチルホスフィン等が挙げられる

 用いられるホスフィン化合物の量は、化 物(A)1当量に対して、通常1乃至10当量、好ま しくは1乃至5当量である。

 用いられるアゾ化合物としては、例えば ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソ ロピルアゾジカルボキシレート等が挙げら る。

 用いられるアゾ化合物の量は、化合物(A)1 当量に対して、通常0.5乃至10当量、好ましく 1乃至5当量である。

 反応時間は、通常1乃至48時間、好ましく 1乃至24時間である。

 反応温度は、通常0℃乃至反応溶媒の還流 温度、好ましくは、10乃至50℃である。

 本工程において用いられる反応溶媒とし は、反応に支障のないものであれば、特に 定されないが、例えば、テトラヒドロフラ (THF)、トルエン等が挙げられる。

 このようにして得られる化合物(A-1)は、 知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃 、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグ フィー等により単離精製するか、又は単離 製することなく、次工程に付すことができ 。

(工程2)
 本工程は、R 13’ 、R 23’ 又はR 33’ の有するヒドロキシ基の保護基を除去するこ とにより、本発明に係る化合物(I)を製造する 方法である。本工程におけるヒドロキシ基の 保護基の除去は、文献記載の方法(例えば、 ロテクティブ グル-プス イン オ-ガニック  シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis )、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991 、等)、それに準じた方法又はこれらと常法 とを組み合わせることにより行うことができ る。

 このようにして得られる本発明に係る化 物(I)は、公知の分離精製手段、例えば、濃 、減圧濃縮、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、 ロマトグラフィー等により単離精製するこ ができる。

 なお、式(A)、(A-1)又は(I)中のR 11 、R 12 、R 21 、R 22 、R 31 又はR 32 に、必要に応じて、アミノ基の保護基を導入 して、適宜該アミノ基の保護基を除去しても よい。
 また、式(A)中の
[式中、各記号は前記の意味を有する]で表さ る基、或いは、これらのアミノ基に保護基 導入した基は、ニトロ基から誘導化するこ ができる。

 該アミノ基の保護基の導入は、前記プロ クティブ グル-プス イン オ-ガニック シ ンセシスに記載の方法、これに準じた方法又 はこれらと常法とを組み合わせることにより 行うことができる。

 また、本発明に係る化合物(I’)は、例えば 以下の方法により製造することができる。
[式中、R 131’ 、R 231’ 又はR 331’ は、それぞれ、式(II’-1)
(式中、X’は、前記Xの有するヒドロキシ基が 保護されたXを示し、Proはヒドロキシ基の保 基を示す)で表される基を示し、R 131’’ 、R 231’’ 又はR 331’’ は、それぞれ、式(II’-2)
(式中、Xは前記の意味を有する)で表される基 を示す]

(工程3)
 本工程は、化合物(A-2)と化合物R 131’ OH、R 231’ OH又はR 331’ OHとを反応させることにより、化合物(A-3)を 造する方法である。本工程における反応は いわゆる光延(Mitsunobu)反応であり、前記工程 1と同様の方法、これに準じた方法又はこれ と常法とを組み合わせることにより行うこ ができる。

 このようにして得られる化合物(A-3)は、 知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃 、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグ フィー等により単離精製するか、又は単離 製することなく、次工程に付すことができ 。

(工程4)
 本工程は、化合物(A-3)の有するヒドロキシ の保護基を除去することにより、化合物(A-4) を製造する方法である。
 ヒドロキシ基の保護基の除去は、前記プロ クティブ グル-プス イン オ-ガニック シ ンセシスに記載の方法、これに準じた方法又 はこれらと常法とを組み合わせることにより 行うことできる。

 このようにして得られる化合物(A-4)は、 知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃 、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグ フィー等により単離精製するか、又は単離 製することなく、次工程に付すことができ 。

(工程5)
 本工程は、塩基の存在下、化合物(A-4)とp-ト ルエンスルホン酸無水物とを反応させること により、本発明に係る化合物(I’)を製造する 方法である。

 用いられる塩基としては、例えば、トリエ ルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等 挙げられる。
 また、反応系中に、ジメチルアミノピリジ 等を触媒量加えてもよい。

 用いられる塩基の量は、化合物(A-4)1当量 対して、通常1乃至10当量、好ましくは、1乃 至5当量である。

 用いられるp-トルエンスルホン酸の量は 化合物(A-4)1当量に対して、通常0.5乃至1当量 ある。

 反応温度は、通常室温乃至溶媒の沸点温 、好ましくは、50℃乃至80℃である。

 反応時間は、通常1乃至48時間、好ましく 、1乃至24時間である。

 反応溶媒は、反応に支障のないものであ ば、特に限定されないが、例えば、ジメト シエタン、ジメチルホルムアミド等が挙げ れる。

 このようにして得られる化合物(I’)は、 知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃 、結晶化、溶媒抽出、再沈殿、クロマトグ フィー等により単離精製することができる

 なお、式(A-2)、(A-3)、(A-4)又は(I’)中のR 11 、R 12 、R 21 、R 22 、R 31 又はR 32 に、必要に応じて、アミノ基の保護基を導入 して、適宜該アミノ基の保護基を除去しても よい。
 また、式(A-2)中の
[式中、各記号は前記の意味を有する]で表さ る基、或いは、これらのアミノ基に保護基 導入した基は、ニトロ基から誘導化するこ ができる。

 本発明の化合物の塩も本発明に包含され 。当該塩は、本発明によって提供される式( I)で示される化合物を用いて、常法にしたが て製造することができる。

 具体的には、上記式(I)の化合物が、当該 子内に例えば、アミノ基、ピリジル基等に 来する塩基性基を有している場合には、当 化合物を酸で処理することにより、相当す 塩に変換することができる。

 当該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、フ 化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸 等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸 塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩等の無機酸塩; タンスルホン酸塩、トリフルオロメタンス ホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級ア キルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p -トルエンスルホン酸塩等のアリ-ルスルホン 塩;フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、 酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有 機酸塩;及びグルタミン酸塩、アスパラギン 塩等のアミノ酸等の有機酸であ
る酸付加塩を挙げることができる。

また、本発明の化合物が酸性基を当該基内 に有している場合、例えばカルボキシル基等 を有している場合には、当該化合物を塩基で 処理することによっても、相当する薬学的に 許容される塩に変換することができる。当該 塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カ リウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マ グネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモ ニウム塩、グアニジン、トリエチルアミン、 ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基による 塩が挙げられる。

さらに本発明の化合物は、遊離化合物又は その塩の任意の水和物又は溶媒和物として存 在してもよい。

 本発明に係る化合物に用いられる放射性 種はサイクロトロンまたはジェネレーター 呼ばれる装置により産生される。当業者は 産生核種に応じた産生方法および装置が選 可能である。そのようにして産生された核 を用いて本発明の化合物を標識することが きる。

 これらの放射性核種で標識された標識化合 の製造方法は当該分野においてよく知られ いる。代表的な方法としては、化学合成法 同位体交換法および生合成法がある。化学 成法は従来から広く用いられており、放射 の出発物質を用いること以外は通常の化学 成法と本質的に変わらない。この方法によ 種々の核種が化合物に導入されている。同 体交換法は、簡単な構造の化合物中の 3 H、 35 S、 125 I等を複雑な構造の化合物中に移して、これ の核種で標識された複雑な構造の化合物を る方法である。生合成法は、 14 C、 35 S等で標識した化合物を微生物等の細胞に与 てこれらの核種が導入された代謝産物を得 方法である。

 標識位置については、通常の合成と同様 合成スキームを目的に応じて設計すること より、所望位置に標識を導入することがで る。かかる設計は当業者によく知られてい 。

 また、例えば、比較的半減期の短い 11 C、 13 N、 15 O、 18 F等の陽電子放出核種を用いる場合、病院等 施設内の設置された(超)小型サイクロトロン から所望核種を得て、上記の方法により所望 化合物を所定位置で標識して、即座に診断、 検査、治療等に使用することも可能となって いる。

 これらの当業者に公知の方法により、本 明の化合物の所望位置に所望核種を導入し 標識することができる。

 本発明標識化合物の対象への投与は局所 であってもよく、あるいは全身的であって よい。投与経路としては、皮内、腹腔内、 脈、動脈、もしくは脊髄液への注射または 液等があるが、疾病の種類、使用核種、使 化合物、対象の状態、検査部位の要因によ 選択できる。本発明プローブを投与して、 ミロイドβ蛋白への結合および崩壊のため 十分な時間経過後、PET、SPECT等の手段で検査 部位を調べることができる。こららの手段は 、疾病の種類、使用核種、使用化合物、対象 の状態、検査部位等の要因に応じて適宜選択 できる。

 放射性核種で標識された本発明の化合物の 量は、疾病の種類、使用核種、使用化合物 対象の年齢、身体的状態、性別、疾病の程 、検査部位等により様々である。特に、対 の被爆量については十分注意する必要があ 。例えば、 11 C、 13 N、 15 O、 18 Fのごとき陽電子放出核種により標識された 発明の化合物の放射能量は、通常には、3.7 ガベクレル乃至3.7ギガベクレル、好ましく 18メガベクレル乃至740メガベクレルの範囲で ある。

 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物には、以下に述べるコンフォーメーショ 病の治療方法、診断方法、治療用組成物、 断用組成物、診断用キット、これらの組成 およびキットを製造するための使用、なら にその他の使用に適している。
 また、本発明化合物のうち、式(I)中のR 11 、R 12 もしくはR 13 のいずれか一つ、R 21 、R 22 もしくはR 33 のいずれか一つ、又はR 21 、R 22 もしくはR 33 のいずれか一つが、式(III):
[式中、
は、酸素原子又は窒素原子との結合部位を示 す]からなる群より選択される基を有するも は、骨への集積が極めて低いか、ほとんど いので人体への投与に適している。

 本発明は、本発明の化合物を含む、コンフ ーメーション病の画像診断用組成物を提供 る。本発明組成物は、本発明の化合物およ 医薬上許容される担体を含む。組成物中の 発明の化合物は標識されていることが好ま い。上記のごとき標識法は様々であるが、 ンビボでの画像診断用途には放射性核種(特 にPET用には 11 C、 13 N、 15 O、 18 Fのごとき陽電子放出核種)で標識されている とが望ましい。本発明組成物の携帯は、そ 目的からすれば注射あるいは輸液可能な形 であることが好ましい。したがって、医薬 許容される担体は液体であるものが好まし 、リン酸カリウム緩衝液、生理食塩水、リ ゲル液、蒸留水等のごとき水性溶媒、ある はポリエチレングリコール、植物性油脂、 タノール、グリセリン、ジメチルスルホキ ド、プロピレングリコール等のごとき非水 溶媒があるが、これらに限らない。担体と 発明の化合物の配合比率は、適用部位、検 手段等に応じて適宜選択できるが、通常に 10万対1乃至2対1の比率であり、好ましくは1 対1乃至10対1の比率である。また本発明組成 物はさらに公知の抗菌剤(例えば、抗生剤等) 局所麻酔剤(例えば、塩酸プロカイン等)、 ッファー(例えば、トリス-塩酸バッファー、 ヘペスバッファー等)、浸透圧調節剤(例えば グルコース、ソルビトール、塩化ナトリウ 等)等を含有していてもよい。
 さらに本発明は、本発明の化合物を必須の 成成分として含む、コンフォーメーション の画像診断用キットを提供する。通常には キットは、本発明の化合物、それを溶解す 溶剤、バッファー、浸透圧調節剤、抗菌剤 局所麻酔剤等の各成分を別個に、あるいは くつかを一緒にしてそれぞれの容器に入れ ものをひとまとめにしたものである。本発 の化合物は未標識であっても、標識されて てもよい。未標識の場合、上記で説明した うな通常の方法により、使用前に本発明の 合物を標識することができる。また、本発 の化合物は凍結乾燥粉末等の固形として提 してもよく、あるいは適当な溶媒中に溶解 て提供してもよい。溶剤としては上述の本 明組成物に用いる担体と同様のものであっ よい。また、バッファー、浸透圧調節剤、 菌剤、局所麻酔剤等の各成分も上述の本発 組成物に使用するものと同様のものであっ よい。容器は種々のものを適宜選択できる 、本発明の化合物への標識導入操作に適し 形状とすることもでき、化合物の性質に応 て遮光性の材質のものとしてもよく、ある は、患者への投与に便利なようにバイアル または注射器等の形状とすることもできる また、キットは診断に必要な器具類、例え 、注射器、輸液セット、あるいはPET装置やS PECT装置に使用する器具等を適宜含んでいて よい。通常、キットには説明書を添付する

 さらに、本発明の化合物がアミロイドβ 白に特異的に結合することから、本発明の 合物を未標識のまま、あるいは標識して、 ンビトロにて試料標本と接触させることに り、標本中のアミロイドβ蛋白の検出、定量 等に使用することもできる。例えば、顕微鏡 標本のアミロイドβ蛋白染色、試料中のアミ イドβ蛋白の比色定量、あるいはシンチレ ションカウンターを用いたアミロイドβ蛋白 の定量等に本発明の化合物を使用してもよい 。顕微鏡標本の調製ならびに本発明の化合物 を用いた染色は、当業者に知られた通常の方 法により行うことができる。

 先にも述べたように、本発明の化合物は ミロイドβ蛋白に特異性が高い。したがっ 、本発明の化合物は、例えば、アミロイドβ 蛋白蓄積性疾患の研究あるいは生前または死 後における診断等に有用であり、例えば、ア ルツハイマー病患者脳の老人斑の染色剤とし て有用と考えられる。本発明の化合物を用い た標本、例えば脳切片の染色は、当業者に知 られた通常の方法で行うことができる。

 上述のごとく、本発明化合物のうち、とり け末端基として式(III):
[式中、
は前記に同じ]からなる群より選択される基 有するものは、骨への集積が極めて低いか ほとんどない。
したがって、これらの本発明の化合物は極め て安全なコンフォーメーション病診断プロー ブであるばかりでなく、後述のような治療薬 または予防薬として用いた場合にも安全性が 高い。

 しがたって、本発明は、本発明の化合物 たはその医薬上許容される塩もしくは溶媒 物を含む試料中のアミロイドβ蛋白の染色 組成物、ならびに本発明の化合物またはそ 医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を必 の構成成分として含む、試料中のアミロイ β蛋白の染色用キットに関する。さらに、本 発明は、本発明の化合物又はその医薬上許容 される塩もしくは溶媒和物を用いることを特 徴とする試料中のアミロイドβ蛋白の染色方 にも関する。これらの染色に適した試料は 脳切片である。

 上述のごとく、βシート構造をとったア ロイドβ蛋白に神経細胞毒性がみられること が判明している。本発明の化合物は、βシー 構造をとったアミロイドβ蛋白に特異的に 合するので、その神経細胞毒性を抑制する 考えられる。したがって、本発明の化合物 、蛋白自身がβシート構造をとることによっ て病因、または病因の一部となるコンフォー メーション病、例えばアルツハイマー病の治 療薬または予防薬になると考えられる。

 したがって、本発明は、
 式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和 を投与することを特徴とするアミロイドβ 白蓄積性疾患の治療および/または予防方法;
 式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和 を用いることを特徴とするアミロイドβ蛋 蓄積性疾患の診断方法;ならびに
 アミロイドβ蛋白蓄積性疾患の治療、予防 たは診断するための組成物またはキットを 造するための式(I)の化合物またはその塩も くは溶媒和物の使用
を提供する。

 かかる医薬組成物の形態は特に限定され いが、液体処方が好ましく、特に注射用処 が好ましい。かかる注射用処方を脳内に直 注入することもでき、あるいは、実施例に すように本発明の化合物は血液/脳関門透過 性が高いので、上記医薬組成物を静脈注射ま たは静脈点滴用に処方して投与することもで きる。かかる液体処方の調製は当該分野にて 、公知の方法で行うことができる。溶液の調 製は、例えば、本発明の化合物を適当な担体 、注射用水、生理食塩水、リンゲル液等に溶 解し、フィルター等で滅菌し、その後、適当 な容器、例えば、バイアルまたはアンプルに 充填する。また、溶液を凍結乾燥させ、使用 時に適当な担体で再度溶液に復元することも 可能である。懸濁液の調製は、例えば、本発 明の化合物を例えばエチレンオキサイドにさ らすことにより滅菌し、次いで、滅菌済み液 体担体に懸濁することにより行うことができ る。

 かかる医薬組成物を液体処方、特に注射用 方として用いる場合、本発明に係る化合物 溶解補助剤を加えて、注射剤とすることが きる。
 該溶解補助剤としては、当該技術分野で用 られる非イオン界面活性剤、陽イオン界面 性剤、両性界面活性剤等を用いることがで る。これらのうち、溶解補助剤としては、 リソルベート80、ポリエチレングリコール エタノール又はプロピレングリコールが好 しく、ポリソルベート80がより好ましい。

 上記治療方法、予防方法、および使用に ける本発明の化合物のヒト対象への投与量 、患者の病状、性別、年齢、体重等に左右 れるが、一般的には、体重70kgの成人の場合 、1日あたり0.1mg乃至1g、好ましくは1mg乃至100m g、より好ましくは5mg乃至50mgである。一定期 かかる投与量で処置を行い、結果により投 量を増減することができる。

 さらに、本発明の化合物またはその薬学 に許容される塩もしくは溶媒和物は、コン ォーメーション病の診断プローブとして、 ましくは放射線核種にて標識された画像診 プローブとしても使用できる。さらに、本 明の化合物はコンフォーメーション病の治 および/または予防にも効果を有する。

 したがって、本発明は、
 コンフォーメーション病の画像診断プロー として使用される本発明の化合物またはそ 塩もしくは溶媒和物;
 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物を含むコンフォーメーション病の画像診 用組成物またはキット;
 本発明の化合物またはその医薬上許容され 塩もしくは溶媒和物および医薬上許容され 担体を含有する、コンフォーメーション病 予防および/または治療用医薬組成物;
 本発明の化合物またはその医薬上許容され 塩もしくは溶媒和物を用いることを特徴と る、コンフォーメーション病の診断方法;
 コンフォーメーション病を診断するための 本発明の化合物またはその医薬上許容され 塩もしくは溶媒和物の使用;
 本発明の化合物またはその医薬上許容され 塩もしくは溶媒和物を対象に投与すること 特徴とする、コンフォーメーション病の予 および/または治療方法;
 コンフォーメーション病を予防および/また は治療するための、本発明の化合物またはそ の医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使 用;ならびに
 コンフォーメーション病を予防および/また は治療するための医薬組成物の製造における 、本発明の化合物の使用
にも関する。

 上記治療方法および予防方法における本 明の化合物のヒト対象への投与量は、上述 とおりである。

 本発明の化合物のうち、ある種のものは 経原線維変化を認識するので、神経原線維 化の検出用プローブ、あるいは神経原線維 化の染色剤として使用することができる。 たがって、本発明は、神経原線維変化の診 プローブ、特に画像診断プローブとしての 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物の用途にも関する。神経原線維変化の染 剤として好ましい本発明の化合物は、THK-837 、THK-853などどである。

 したがって、本発明は:
 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物を含む、神経原線維変化を検出あるいは 色するための組成物;
 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物を含む、神経原線維変化を検出あるいは 色するためのキット;
 本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒 物を用いることを特徴とする神経原線維変 を検出あるいは染色する方法;ならびに
 神経原線維変化を検出あるいは染色するた の組成物を製造するための本発明の化合物 たはその塩もしくは溶媒和物の使用
を提供する。

 上述の神経原線維変化を検出あるいは染 における試料標本の調製、染色などの方法 当業者に公知の方法を適用することができ 。

 以下に実施例を示して、本発明をより詳 かつ具体的に説明するが、実施例によって 本発明は何ら限定されるものではない。

 本発明の化合物の合成
 以下に、本発明の化合物の合成例を示す。
 実施例のシリカゲルカラムクロマトグラフ ーには、富士シリシア化学社製のシリカゲ BW300を用いた。アミノ基結合型シリカゲル 用いる塩基性シリカゲルカラムクロマトグ フィーは富士シリシア化学社製クロマトレ クスNH-DM1020を用いた。
  1 H-NMRはVARIAN社製UNITY INOVA500(500MHz)、日本電子 製JNM-LA400(400MHz)、VARIAN社製Gemini 2000(300MHz)テ ラメチルシランを標準物質として用いて測 し、全δ値をppmで測定した。
 またマススペクトルはThermoQuest社製LCQ-Advanta ge、またはFinniganMAT社製SSQ-7000Cを使用し、大 圧化学イオン化法(APCI)で測定した。
 赤外線スペクトルについてはPerkin-Elmer社製P aragon1000 FT-IRを用い、融点測定にはBUCHI社製B- 545を用いた。

 NMR測定における略号の意味を以下に示す。
 s:シングレット
 d:ダブレット
 dd:ダブルダブレット
 ddd:ダブルダブルダブレット
 t:トリプレット
 dt:ダブルトリプレット
 q:カルテット
 m:マルチプレット
 br:ブロード
 J:カップリン定数
 Hz:ヘルツ
 CDCl 3 :重クロロホルム
 DMSO-d 6 :重ジメチルスルホキシド

THK-837(159)の合成

153の合成
132(1.00g、6.44mmol)及び4-ニトロベンズアルデヒ (0.97g、6.44mmol)のジメチルスルホキシド(36ml) 液をアルゴン雰囲気下180℃で30分攪拌した 反応液を放冷、酢酸エチルで希釈、水洗、 燥、減圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで再 晶し153(1.57g、85%)を橙色結晶として得た。
mp 217~218℃、APCI-MS  m/z 287[M+H] +

154の合成
153(1.48g、5.17mmol)及びビリジン塩酸塩(20g)の混 物を200℃で4時間攪拌した。
反応液を放冷(固化)、水及び酢酸エチルで溶 、10%塩酸でpH1とし、分液後、有機層を水洗 乾燥、減圧溶媒留去し154(1.40g、99%)を橙色固 体として得た。
mp 262~264℃、APCI-MS  m/z 273[M+H] +

155の合成
154(1.40g、5.14mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)溶 液に126(1.14g、6.17mmol)、トリフェニルホスフィ ン(1.62g、6.17mmol)を加え、氷冷攪拌下ジイソプ ロピルアゾジカルボキシレート(1.22ml、6.17mmol )を滴下し室温で16時間撹拌した。反応液を減 圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(溶出溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチ =4/1)で精製、酢酸エチル/n-ヘキサンで再結 し155(1.87g、83%)を淡黄色結晶として得た。
mp 96~97℃、APCI-MS  m/z 439[M+H] +

156の合成
155(1.87g、4.26mmol)のメタノール/酢酸エチル/酢 (30/30/10ml)溶液にアルゴン雰囲気下10%パラジ ムー炭素(0.38g)を加え、水素雰囲気下、常圧 、室温で16時間攪拌した。
反応液のパラジウムー炭素をろ別、ろ液を減 圧溶媒留去、残渣を酢酸エチルで希釈し、炭 酸カリウム水溶液洗、水洗、乾燥、減圧溶媒 留去、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ フィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=3:1) 精製し156(1.70g、98%)を淡黄色油状物として得 。
APCI-MS  m/z 409[M+H] +

157の合成
156(1.46g、3.57mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に ビリジン(0.87ml、10.72mmol)を加え、氷冷撹拌下 リフロロ酢酸無水物 (0.76ml、5.36mmol)を滴下 、同温で20分撹拌した。反応液に冷水を加 酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、乾 、減圧溶媒留去、残渣をシリカゲルカラム ロマトグラフィー(溶出溶媒:n-ヘキサン/酢酸 エチル=3/1)で精製し157(1.65g、92%)を淡黄色固体 として得た。
mp 121~122℃、APCI-MS  m/z 505[M+H] +

158の合成
157(1.65g、3.27mmol)のジメチルホルムアミド(20ml) 溶液に氷冷攪拌下、60%水素化ナトリウム(0.20g 、4.91mmol)を加え、同温で5分攪拌、ヨードメ ン(0.67ml、9.81mmol)を加え、室温で1時間撹拌し た。反応液を氷冷攪拌下、飽和塩化アンモニ ウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。抽 出液を水洗、乾燥、減圧溶媒留去、残渣をシ リカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサ ン/アセトン=9/1)で精製し158(1.22g、72%)を淡黄 油状物として得た。
APCI-MS  m/z 519[M+H] +

159の合成
158(1.22g、2.35mmol)及びビリジン塩酸塩(15g)の混 物を180℃で2時間攪拌した。
反応液を放冷(固化)、水及び酢酸エチルで溶 、分液後、有機層を水洗、乾燥、減圧溶媒 去し159(0.34g、44%)を淡黄色結晶として得た。
mp 162~163℃、 1 H NMR(300MHz、CDCl 3 )δ 1.90(1H、t、J=6.4Hz、D 2 O消去)、2.91(3H、s)、3.90~4.02(2H、m)、4.11(1H、s、 D 2 O消去)、4.54~4.80(3H、m)、6.65(2H、d、J=8.3Hz)、7.11 (1H、dd、J=8.8、2.0Hz)、7.45(1H、d、J=2.0Hz)、7.88 ( 3H、d、J=8.8Hz)
IR (Nujol) 3380、1615cm -1 、APCI-MS  m/z 333[M+H] +

THK852の合成
184の合成
182(1.00g、4.15mmol)、183(1.60g、4.97mmol)、トリフェ ニルホスフィン(1.31g、4.97mmol)、テトラヒドロ フラン(40ml)の混合物に、アルゴン雰囲気氷冷 攪拌下ジイソプロピルアゾジカルボキシレー ト(0.99ml、4.97mmol)を滴下し同温で1時間、室温 3日撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去して 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/20)で精製 て粗製の184(2.53g)を黄色油状物質として得た 。本品は、さらに精製することなく次の工程 に使用した。
APCI-MS  m/z544[M+H] +

185の合成
184(2.53g)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液に1Mテ トラブチルアンモニウムフロリド/テトラヒ ロフラン溶液(8.29ml、8.29mmol)を滴下し、室温 1時間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸 エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、 溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラム クロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n- キサン=1/1および酢酸エチル)で精製した後 酢酸エチルから再結晶して185(1.08g、82% from  182)を黄色結晶として得た。
mp 129~129.5℃、IR (Nujol)3334cm -1 、APCI-MS m/z316[M+H] +

186の合成
185(1.08g、3.43mmol)、エタノール(41ml)、SnCl 2 ・2H 2 O(4.02g)および濃塩酸(1.61ml)の混合物を1時間加 還流した。放冷後、反応液に水-酢酸エチル を加えて、炭酸カリウム水溶液でpH8として分 液した。有機層を水洗、乾燥後、溶媒を減圧 留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグ ラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1 および2/2)で精製して186(840mg、85%)を淡黄色固 として得た。
mp 217~218℃、APCI-MS  m/z286[M+H] +

187の合成 
186(840mg、2.84mmol)、パラホルムアルデヒド(440mg 、14.7mmol)ナトリウムメトキシド(28%メタノー 溶液:2.84g、14.7mmol)、メタノール(56ml)の混合 をアルゴン雰囲気下、2時間加熱還流した。 応液を氷冷し、水素化ほう素ナトリウム(560 mg、14.7mmol)を加え、同温で5分攪拌後1時間加 還流した。反応液を室温とし、飽和塩化ア モニウム水溶液を加え、水を加えて酢酸エ ルで抽出した。抽出液を水洗後乾燥して、 媒を減圧留去して、187(880mg、定量的)を淡黄 固体として得た。
mp 164~165℃、APCI-MS  m/z300[M+H] +

188の合成
187(880mg、2.66mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶 液に(Boc) 2 O(0.73ml、3.19mmol)を加え、室温で3時間、50℃で1 4時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し 残渣をn-ヘキサンで洗浄後乾燥して、188(1.03g 、96%)を淡黄色固体として得た。
mp142~143℃、APCI-MS  m/z400[M+H] +

189の合成
188(1.03g、2.58mmol)のエチレングリコールジメチ ルエーテル(30ml)溶液にトリエチルアミン(0.54m l、3.87mmol)、トルエンスルホン酸無水物(840mg 2.58mmol)を加え1時間加熱還流した。反応液の 媒を減圧留去して、残渣をシリカゲルカラ クロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n -ヘキサン=1/3~2/1)で精製し189(540mg、37%)を淡黄 泡状物として得た。
APCI-MS  m/z 554[M+H] +

THK-852の合成
189(880mg、1.59mmol)のクロロホルム(12ml)溶液に氷 冷攪拌下トリフロロ酢酸(8ml)を滴下し室温で1 時間攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エチ ルで希釈して、炭酸カリウム水溶液でpH8とし 分液した。有機層を水洗後乾燥し、溶媒を減 圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサ =1/2)で精製後、酢酸エチルから再結晶してTH K-852(436mg、60%)を淡黄色結晶として得た。
mp122~123.5℃、 1 H NMR(400MHz、CDCl 3 )δ 2.43(3H、s)、 2.87(3H、s)、3.81(1H、dd、J=12、4 .9Hz)、3.89(1H、dd、J=12、4.3Hz)、4.23~4.29(2H、m)、4 .48~4.54(1H、m)、6.60(2H、d、J=8.6Hz)、6.81(2H、d、J= 8.6Hz)、6.82(1H、d、J=16Hz)、6.90(1H、d、J=16Hz)、7.3 0~7.38(6H、m)、7.76(2H、d、J=7.8Hz)
IR (Nujol)3435、1612cm -1 、APCI-MS m/z454[M+H] +

THK-853の合成
190の合成 
182(1.00g、4.15mmol)、126(0.92g、4.97mmol)、トリフェ ニルホスフィン(1.31g、4.97mmol)、テトラヒドロ フラン(40ml)の混合物に、アルゴン雰囲気氷冷 攪拌下ジイソプロピルアゾジカルボキシレー ト(0.99ml、4.97mmol)を滴下し同温で1時間、室温 3日撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去して 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/4)で精製 て190(1.78g、定量的)を黄色油状物質として得 。
APCI-MS  m/z408[M+H] +

191の合成
190(1.60g、3.93mmol)及びビリジン塩酸塩(10g)の混 物を180℃で40分攪拌した。反応液を放冷後 水及び酢酸エチルで溶解し、10%塩酸でpH1と て分液した。有機層を水洗、乾燥後、溶媒 減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサ ン=1/4~1/1)で精製して191(1.03g、82%)を黄色固体 して得た。
mp113~114℃、APCI-MS  m/z318[M+H] +

192の合成
191(1.03g、3.25mmol)、エタノール(40ml)、SnCl 2 ・2H 2 O(3.81g)および濃塩酸(1.53ml)の混合物を1.5時間 熱還流した。放冷後、反応液に水-酢酸エチ を加えて、炭酸カリウム水溶液でpH8として 液した。有機層を水洗、乾燥後、溶媒を減 留去して残渣を酢酸エチルから再結晶して1 92(820mg、87%)を淡黄色結晶として得た。
mp 194~195℃、APCI-MS  m/z288[M+H] +

THK-853の合成
192(820mg、2.85mmol)、パラホルムアルデヒド(430mg 、14.2mmol)ナトリウムメトキシド(28%メタノー 溶液:2.74g、14.2mmol)、メタノール(55ml)の混合 をアルゴン雰囲気下、2時間加熱還流した。 応液を氷冷し、水素化ほう素ナトリウム(540 mg、14.2mmol)を加えて同温で5分攪拌後、1時間 熱還流した。反応液を室温とし、飽和塩化 ンモニウム水溶液および水を加えて酢酸エ ルで抽出した。抽出液を水洗後乾燥して、 媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラ クロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n- ヘキサン=1/1)で精製後、酢酸エチルから再結 して、THK-853(692mg、80%)を無色結晶として得 。
mp 156~156.5℃、
1 H NMR(400MHz、CDCl 3 )δ 1.91(1H、br、D 2 O消去)2.86(3H、s)、 3.87~3.97(2H、m)、4.51~4.74(3H、 m)、6.59(2H、d、J=8.5Hz)、6.84(1H、d、J=16Hz)、6.90~6 .97(3H、m)、7.34(2H、d、J=8.8Hz)、7.40(2H、d、J=8.8Hz )
IR (Nujol)3588、3387、1605cm -1 、APCI-MS m/z302[M+H] +

THK857の合成
176の合成
154(1.50g、5.51mmol)のテトラヒドロフラン(60ml)懸 濁液に1,3-ジベンジルオキシ-2-プロパノール(1 .80g、6.61mmol)、トリフェニルホスフィン(1.73g 6.61mmol)を加え、アルゴン雰囲気氷冷攪拌下 イソプロピルアゾジカルボキシレート(1.31ml 6.61mmol)を滴下し室温で16時間撹拌した。1,3- ベンジルオキシ-2-プロパノール(0.45g、1.65mmo l)、トリフェニルホスフィン(0.43g、1.65mmol)を 加し、氷冷攪拌下ジイソプロピルアゾジカ ボキシレート(0.33ml、1.65mmol)を滴下し室温で 3日撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去して 渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー( 出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9)で精製後 酢酸エチル-n-ヘキサンより再結晶して176(1.9 9g、68%)を黄色結晶として得た。
mp 94~95℃、APCI-MS  m/z527[M+H] +

177の合成
176(1.99g、3.78mmol)及びビリジン塩酸塩(20g)の混 物を180℃で2.5時間攪拌した。反応液を放冷( 固化)し、水及び酢酸エチルで溶解、10%塩酸 pH1とし、分液後、有機層を水洗、乾燥、減 溶媒留去して177(1.00g、99%)を橙色固体として た。
mp 202~203℃、APCI-MS  m/z347[M+H] +

178の合成
177(1.00g、2.89mmol)のテトラヒドロフラン/水(40/4 ml)溶液にアルゴン雰囲気下10%パラジウム-炭 (水分約50%:400mg)を加え、水素雰囲気下、常圧 、室温で3時間攪拌した。反応液のパラジウ -炭素をろ別、ろ液を減圧溶媒留去、残渣を リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶 媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1~酢酸エチル)で 製し178(0.90g、98%)を黄色固体として得た。
mp 181~182℃、APCI-MS  m/z 347[M+H] +

179の合成
178(900mg、2.85mmol)、パラホルムアルデヒド(430mg 、14.2mmol)ナトリウムメトキシド(28%メタノー 溶液:2.74g、14.2mmol)、メタノール(60ml)および トラヒドロフラン(20ml)の混合物をアルゴン 囲気下、2.5時間加熱還流した。反応液を氷 し、水素化ほう素ナトリウム(540mg、14.2mmol) 加え、10分加熱還流した。反応液を室温とし 、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え10分室 で攪拌後、水を加えて酢酸エチルで抽出し 。抽出液を水洗後乾燥して、溶媒を減圧留 した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグ フィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製し179(890 mg、94%)を橙色固体として得た。
mp 179~181℃、APCI-MS  m/z331[M+H] +

180の合成
179(890mg、2.69mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶 液に(Boc) 2 O(0.74ml、3.23mmol)を加え、室温で1時間、加熱還 流で2時間撹拌した。(Boc) 2 O(3.72ml、16.1mmol)を追加し、16時間加熱還流し 。反応液を室温とし、炭酸カリウム水溶液 よびメタノールを加えて、2時間加熱還流し 。反応液を室温として酢酸エチルで抽出し 抽出液を水洗,乾燥後、溶媒を減圧留去した 。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ ー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~酢酸 チル)で精製し180(910mg、78%)を淡黄色固体とし て得た。
mp150~151℃、APCI-MS  m/z431[M+H] +

181の合成
180(910mg、2.11mmol)のエチレングリコールジメチ ルエーテル(40ml)懸濁液にトリエチルアミン(0. 44ml、3.17mmol)、トルエンスルホン酸無水物(690m g、2.11mmol)を加え1時間加熱還流した。反応液 溶媒を減圧留去して、残渣をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチ /n-ヘキサン=1/2~酢酸エチル)で精製し181(650mg 52%)を淡黄色泡状物として得た。
APCI-MS  m/z 585[M+H] +

THK-857の合成
181(910mg、1.56mmol)のクロロホルム(12ml)溶液に氷 冷攪拌下トリフルオロ酢酸(8ml)を滴下し室温 1時間攪拌した。反応液に冷水を加え酢酸エ チルで希釈して、炭酸カリウム水溶液でpH9と し分液した。有機層を水洗後乾燥し、溶媒を 減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロ マトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n-ヘキ ン=1/1)で精製後、酢酸エチルで再結晶してTH K-857(508mg、67%)を淡黄色結晶として得た。
mp163.5~164.5℃、 1 H NMR(500MHz、DMSO-d 6 )δ 2.35(3H、s)、 2.75(3H、d、J=5.0Hz)、3.54~3.63(2H m)、4.24(1H、dd、J=11、5.8Hz)、4.32(1H、dd、J=11、 2.7Hz)、5.06(1H、t、J=5.6Hz、D 2 O消去)、6.43(1H、q、J=5.0Hz、D 2 O消去)、6.64(2H、d、J=8.6Hz)、6.95(1H、dd、J=8.9、2 .4Hz)、7.39(2H、d、J=8.1Hz)、7.50(1H、d、J=2.4Hz)、7. 74(2H、d、J=8.1Hz)、7.75(1H、d、J=8.9Hz)、7.78(2H、d J=8.6Hz)
IR (Nujol)3387、3197、1610cm -1 、APCI-MS m/z485[M+H] +

本発明の化合物のアルツハイマー病患者脳 切片上での染色性試験

 本発明の化合物のアルツハイマー病患者脳 片上での染色性試験の手順について、以下 説明する。
 (1)病理学的にアルツハイマー病と確定診断 れた患者および正常高齢者の、側頭葉また 海馬における脳標本を使用した。標本は共 研究先である福祉村病院長寿医学研究所か 提供を受け、患者遺族から研究目的での使 に対する承諾を得ている(福祉村病院倫理委 員会許可No.20)。
 (2)パラフィン包埋された脳組織は厚さ6μmあ るいは8μmで薄切し、スライドグラス上に伸 、乾燥させた。パラフィン脳切片はキシレ 10分×2、100%エタノール5分×2、90%エタノール5 分、流水洗10分の順で脱パラフィン化した。
 (3)本発明に化合物による染色の前処理とし 、リポフスチンによる自己蛍光を除去する 置を行った。はじめに、脳パラフィン化し 切片を0.25%、KM n O 4 溶液に20分間浸漬した。PBSにて2分間×2回洗浄 した後、0.1%K 2 S 2 O 5 /シュウ酸溶液中に約5秒間浸し、さらにPBSに 2分間×3回洗浄を行った。
 (4)50%エタノールに溶解した100μM本発明化合 溶液を約150μl滴下し、10分間反応させた。 道水中に5回つけた後、Flour Save Reagent(Calbioc hem)で封入し、蛍光顕微鏡(ニコン、エクリプ 80i)を用いて鏡検した。画像はデジタルカメ ラ(ニコンDxin1200FまたはPhotometrics社Cool SNAP ES )にて撮影した。

 本発明の化合物についての上記染色試験 結果を図1及び図2に示す。THK-837は、アルツ イマー病患者脳切片においてアミロイドβ 白に結合した(図1)。THK-853は、アルツハイマ 病患者脳切片においてアミロイドβ蛋白に 合した(図2)。このように、本発明の化合物 、アルツハイマー病患者脳切片においてア ロイドβ蛋白および神経原線維変化を特異的 に認識することがわかった。

本発明の化合物の特性試験
 以下に、本発明の化合物の特性に関する試 方法を説明する。

[ 18 F]標識体を用いた検討
 本発明の化合物は、当業者に公知の方法を いて標識体とすることができる。以下に、 くつかの本発明の化合物の[ 18 F]標識体の合成例を示す。

[ 18 F]THK-837の標識合成
 サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速 た12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[ 18 O]H 2 Oに照射して 18 F - を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換 樹脂(AG1-X8)に通して 18 F - を樹脂上に捕捉し、33mM K 2 CO 3 溶液で溶出させた。この 18 F - 含有K 2 CO 3 水溶液300μL(3.57 GBq)を褐色バイアル(容量10mL) とり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(2.0 m L)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHe ガスを吹き付け、水を共沸させながらアセト ニトリルを完全に除去した。さらにアセトニ トリルを加え同様に加熱条件下でアセトニト リルを除去する操作を3回繰り返して、バイ ル内を無水の状態にした。そこに、標識前 体のTHK-857(3.5 mg)を溶解したDMSO溶液(0.7mL)を え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した その後、反応溶液を蒸留水(7 mL)で希釈して Sep-Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし 、蒸留水でカートリッジを洗浄後、EtOHで溶 した溶液をセミ分取HPLC(カラム:Inertsil(登録 標) ODS-3 (10×250 mm)、移動相: MeCN/20mM NaH 2 PO 4  =40/60、流速: 7.0mL/min)にかけて、約21分に溶 する[ 18 F]THK-837由来の放射性ピークを分取した。この フラクションの放射能から求めた減衰補正後 の放射化学的収率は26%であった。

[ 18 F]THK-853の標識合成
 サイクロトロンHM12(住友重機械社製)で加速 た12MeVの陽子ビームを同位体純度95%以上の[ 18 O]H 2 Oに照射して 18 F - を合成した。続いてその溶液を陰イオン交換 樹脂(AG1-X8)に通して 18 F - を樹脂上に捕捉し、33mM K 2 CO 3 溶液で溶出させた。この 18 F - 含有K 2 CO 3 水溶液300μL(3.85 GBq)を褐色バイアル(容量10mL) とり、Kryptofix222(16mg)、アセトニトリル(2.0 m L)を加えてオイルバス(110℃)で加熱しながらHe ガスを吹き付け、水を共沸させながらアセト ニトリルを完全に除去した。さらにアセトニ トリルを加え同様に加熱条件下でアセトニト リルを除去する操作を3回繰り返して、バイ ル内を無水の状態にした。そこに、標識前 体のTHK-852(3.5 mg)を溶解したDMSO溶液(0.7mL)を え、オイルバス(110℃)で10分間加熱攪拌した その後、反応溶液を蒸留水(7 mL)で希釈して Sep-Pak tC18カートリッジ(Waters社製)にロードし 、蒸留水でカートリッジを洗浄後、EtOHで溶 した溶液をセミ分取HPLC(カラム: Inertsil(登録 商標) ODS-3 (10×250 mm)、移動相: MeCN/20mM NaH 2 PO 4  =45/55、流速: 7.0mL/min)にかけて、約22分に溶 する[ 18 F]THK-853由来の放射性ピークを分取した。この フラクションの放射能から求めた減衰補正後 の放射化学的収率は29%であった。

標識化合物含有生理食塩液の調製
 標識合成により得られた[ 18 F]THK-837または[ 18 F]THK-853を含有する分取HPLCフラクションを蒸 水(約20mL)で希釈してSep-Pak tC18カートリッジ( Waters社製)にロードし、蒸留水(10mL)でカート ッジを洗浄後、EtOH(4~5mL)で標識化合物を溶出 した。このEtOH溶出液に5%ポリソルベート80エ ノール溶液を適量加えて80℃で加熱しなが ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し 得られた標識化合物とポリソルベート80の混 合物を生理食塩液に溶解させることで標識化 合物含有生理食塩液を調製した。調製後の薬 液の放射化学的純度は95%以上であった。

  標識化合物のマウス脳移行性及び 骨集積性の評価
 [ 18 F]BF-837又は[ 18 F]THK-853を含有する生理食塩液を雄性ICRマウス (6~7週齢)に尾静脈内投与し、2、30、及び60分 における脳組織及び骨組織における放射能 集積性から各標識化合物の脳移行性及び骨 積性を評価した。
 なお、BF-227(2-[2-(2-ジメチルアミノチアゾー -5-イル)エテニル]-6-(2-フルオロエトキシ)ベ ゾキサゾール)はその化学構造が本発明化合 物のそれらと比較的類似していること、また 、BF-227は[ 11 C]標識体として用いられてきたが、その化学 造の中にFを有している(Kudoら、Journal of Nuc lear Medicine、48巻、553-561ページ、2007年)こと ら、実験において、アルツハイマー病診断 PETプローブとしての[ 18 F]BF-227と本発明の[ 18 F]標識化合物の特性の相違を検討した。
 使用した標識化合物含有生理食塩液の放射 学的純度は95%以上、比放射能は18.5~148GBq/μmo lであり、マウス1匹あたり1.11~2.22MBqの標識化 物を投与した。放射集積性の評価では、全 与放射能に対する評価組織の単位重量あた の放射能の割合(% Injected Dose/g of tissue;%ID/ g)を指標とした。放射能の計測には、ガンマ カウンター(1480 WIZARD、パーキンエルマー社 製)を使用した。実験手順としては、標識化 物を尾静脈内投与して2、30、及び60分後にエ ーテル麻酔下でマウスの頚椎脱臼を行い、速 やかに心臓から血液を採取したのち、全脳( 脳、脳幹含む)及び大腿部骨を摘出した。そ て各サンプルの放射能及び組織重量の計測 行い、そのデータを用いて%ID/gを算出した
 表2にこの評価実験の結果をまとめて示す。

 中枢神経系を対象としたPETまたはSPECT用標 化合物の脳移行性は、0.5%ID/g以上あれば十分 と考えられている。その意味で本発明の[ 18 F]標識化合物は、極めて脳移行性の高い[ 18 F]標識化合物である。
 [ 18 F]標識化合物においてしばしば問題となるの インビボにおける脱フッ素(defluorination)に基 づく 18 Fイオンの骨集積である(Tipreら、Journal of Nucl ear Medicine、47巻、345-353ページ、2006年)。 18 Fイオンは骨集積性が高いことから、もし脱 ッ素を受けやすい[ 18 F]標識化合物をアルツハイマー病等の診断プ ーブとして用いるならば、得られるPET画像 あたかも骨(頭蓋骨)画像となるであろう。 かしながら、現状では、満足のいく程度に フッ素を受けにくい標識化合物が得られて るとはいえない(Caiら、Journal of Medicinal Chem istry、47巻、2208-2218ページ、2004年、Zhangら、Jo urnal of Medicinal Chemistry、48巻、5980-5988ページ 、2005年、Changら、Nuclear Medicine and Biology、33 巻、811-820ページ、2006年、およびStephensonら、 Bioconjugate Chemistry、18巻、238-246ページ、2007年 参照)。
 脳移行性評価時に同時に測定した[ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853の骨集積性の結果を示すと表2の通り あった。[ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853には骨集積は認められなかったが、一 方、[ 18 F]BF-227には投与後時間依存性の著明な骨集積 が認められた。以上より、インビボにおい [ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853は脱フッ素を受けないが、[ 18 F]BF-227は容易に脱フッ素を受け 18 Fイオンが骨に集積することが示唆された。

 以上の実験結果をまとめると、本発明の[ 18 F]標識化合物、特に[ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853は明らかに脳からのウォッシュアウト において[ 18 F]BF-227よりも優れ(表2)、また[ 18 F]BF-227において観察される脱フッ素に基づく 18 Fイオンの骨集積は、本発明の[ 18 F]標識化合物、特に[ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853においてはほとんど認められず、満足 のいく程度にまで脱フッ素が抑えられている ことがわかった(表2)。
 以上より、アルツハイマー病診断用PETプロ ブとして見た場合、本発明の[ 18 F]標識化合物、特に[ 18 F]THK-837および[ 18 F]THK-853は、本発明の化合物の構造を有してい ないBF-227と比較して極めて有用性が高い。

 本発明のコンフォーメーション病診断プ ーブ用化合物、特に画像診断用プローブ化 物、ならびにそれを含有するコンフォーメ ション病治療および/または予防用医薬組成 物等は、現在最も難病とされているコンフォ ーメーション病、例えば、アルツハイマー病 の早期発見、治療および予防において極めて 有用であり、コンフォーメーション病の診断 薬や診断キットの製造分野、コンフォーメー ション病の治療薬および予防薬の製造分野、 コンフォーメーション病の研究等に利用可能 である。