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Patent Searching and Data


Title:
PIEZOELECTRIC FILTER AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066448
Kind Code:
A1
Abstract:
A piezoelectric filter is formed by electrically connecting a first piezoelectric oscillator to a second piezoelectric oscillator. Each of the first and the second piezoelectric oscillator has: a substrate; a lower load film formed on the substrate; a lower electrode formed on the lower load film; a piezoelectric body arranged on the lower electrode; an upper electrode formed on the piezoelectric body; and an upper load film formed on the upper electrode. The piezoelectric body of the first piezoelectric oscillator and the piezoelectric body of the second piezoelectric oscillator constitute different regions. The lower load film and the upper load film of each of the first and the second piezoelectric oscillator adjust a resonance frequency of the first and the second piezoelectric oscillator so as to differentiate the resonance frequencies of the first and the second piezoelectric oscillator.

Inventors:
IWASAKI TOMOHIRO
NAKATSUKA HIROSHI
ONISHI KEIJI
Application Number:
PCT/JP2008/003377
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
November 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
IWASAKI TOMOHIRO
NAKATSUKA HIROSHI
ONISHI KEIJI
International Classes:
H03H9/54; H01L41/09; H01L41/18; H01L41/22; H01L41/253; H03H3/02; H03H9/17; H03H9/70
Domestic Patent References:
WO2007119556A12007-10-25
Foreign References:
JP2005223479A2005-08-18
JP2007143125A2007-06-07
JP2002237738A2002-08-23
JP2005286945A2005-10-13
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 基板と、
 前記基板上に形成された下部負荷膜と、
 前記下部負荷膜上に形成された下部電極と、
 前記下部電極上に設けられた圧電体と、
 前記圧電体上に形成された上部電極と、
 前記上部電極上に形成された上部負荷膜と、
をそれぞれ備えた第1と第2の圧電振動子とを電気的に接続することで構成される圧電フィルタであって、
 前記第1の圧電振動子の前記圧電体と、前記第2の圧電振動子の前記圧電体とは同一の圧電体のそれぞれ異なる領域であって、
 前記第1の圧電振動子と前記第2の圧電振動子のそれぞれの前記下部負荷膜と前記上部負荷膜とによって前記第1と第2の圧電振動子の共振周波数を調整し、前記第1と第2の圧電振動子の共振周波数を異ならせた、圧電フィルタ。
 前記第1の圧電振動子の前記上部負荷膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記上部負荷膜の厚みとが等しく、且つ、
 前記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みとが異なる、請求項1に記載の圧電フィルタ。
 前記第1の圧電振動子の前記上部負荷膜と、前記第2の圧電振動子の前記上部負荷膜とが同じ材料で形成されていると共に、
 前記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜と、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜とが同じ材料で形成されている、請求項2に記載の圧電フィルタ。
 前記第1と第2の圧電振動子の前記上部負荷膜の厚みをTa、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みをTb、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みをTc、前記第1と第2の圧電振動子の前記上部負荷膜の音速をva、前記第1と第2の圧電振動子の前記下部負荷膜の音速をvbとしたとき、下記式を満たす、請求項3に記載の圧電フィルタ。
 Tb×va/vb<Ta<Tc×va/vb
 前記圧電フィルタは、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みとをそれぞれ調整して、前記第1と第2の圧電振動子の共振周波数を調整するものであって、
 前記第1及び第2圧電振動子は前記基板上に支持部を介して設けられ、
 前記支持部は、前記基板上に設けられた第1の支持部と、前記第1及び第2圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みが未調整の非調整領域に設けられた第2の支持部と、を互いに接合することで構成され、
 前記第1及び第2圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みが調整された調整領域は、空洞部を介して前記基板と対向している、請求項4に記載の圧電フィルタ。
 前記圧電フィルタは、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みとをそれぞれ調整して、前記第1と第2の圧電振動子の共振周波数を調整するものであって、
 前記第1及び第2圧電振動子は前記基板上に支持部を介して設けられ、
 前記支持部は、前記下部負荷膜の厚さが未調整の非調整領域自体で構成され、前記下部負荷膜の前記非調整領域と前記基板とは直接接合され、
 前記第1及び第2圧電振動子の前記下部負荷膜の厚みが調整された調整領域は、空洞部を介して前記基板と対向している、請求項4に記載の圧電フィルタ。
 前記第1と第2の圧電振動子の前記上部負荷膜と、前記第1と第2の圧電振動子の前記下部負荷膜とが同じ材料で形成される、請求項4に記載の圧電フィルタ。
 前記第1と第2の圧電振動子の前記上部負荷膜と、前記第1と第2の圧電振動子の前記下部負荷膜とが異なる材料で形成される、請求項4に記載の圧電フィルタ。
 前記基板と、前記第1及び第2の圧電振動子との間には、空洞部を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の圧電フィルタ。
 前記空洞部は、転写工法により形成された、請求項9に記載の圧電フィルタ。
 圧電体の第1の領域を挟持して構成された第1の圧電振動子と、前記圧電体の第2の領域を挟持して構成された第2の圧電振動子とを含む圧電フィルタを製造する方法であって、
 前記圧電体の前記第1の領域を挟持する第1の圧電振動子を構成する工程には、
  前記圧電体の前記第1の領域の一方の主面上に上部電極を形成する工程と、
  前記圧電体の前記第1の領域の他方の主面上に下部電極を形成する工程と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と対向する面上に上部負荷膜を形成する工程と、
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と対向する面上に下部負荷膜を形成する工程と、
を含み、
 前記圧電体の前記第2の領域を挟持する第2の圧電振動子を構成する工程には、
  前記圧電体の前記第2の領域の一方の主面上に上部電極を形成する工程と、
  前記圧電体の前記第2の領域の他方の主面上に下部電極を形成する工程と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と対向する面上に上部負荷膜を形成する工程と、
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と対向する面上に下部負荷膜を形成する工程と、
を含み、
 前記第1の圧電振動子と、前記第2の圧電振動子とのそれぞれの前記上部負荷膜又は前記下部負荷膜を形成する工程あるいはその後の工程において、前記上部負荷膜と前記下部負荷膜の厚みを調整し、前記第1の圧電振動子の共振周波数と第2の圧電振動子の共振周波数とを異ならせる、圧電フィルタの製造方法。
 請求項1から10のいずれか一項に記載の前記圧電フィルタを備えた高周波回路部品。
 アンテナ、送信回路および受信回路を備えた通信機器であって、
 前記アンテナと前記送信回路または前記受信回路との接続部、もしくは、前記送信回路および前記受信回路の少なくともいずれか一方に、請求項12に記載の前記高周波回路部品を備えた通信機器。
Description:
圧電フィルタおよびその製造方

 本願は、日本国に2007年11月21日に出願し 特願2007-301114号の日本特許出願を優先権主張 の基礎とするものであり、この日本特許出願 の内容は、本願明細書の一部をなすものとし てここに挙げておく。

 本発明は、圧電振動子を用いた圧電フィ タならびにその製造方法に関する。

 携帯機器等の電子機器に内蔵される部品 、より小型化及び軽量化されることが要求 れている。例えば、携帯機器に使用される ィルタには、小型化が要求されると共に、 波数特性の精密な調整が可能であることが 求される。これらの要求を満たすフィルタ 1つとして、圧電振動子を用いたフィルタが 知られている。

 以下、図14A~図14Cを参照して、従来の圧電 振動子について説明する。図14Aは、従来の圧 電振動子60の基本構造を示した断面図である 圧電振動子60は、圧電体61を下部電極部62と 部電極部63とで挟んだ構造の共振部を有す 。この共振部は、キャビティ64が形成された 基板65の上に載置されている。キャビティ64 、例えば、微細加工法を用いて、基板65の裏 面から部分的にエッチングすることによって 形成可能である。

 この圧電振動子60は、図14Bに示すように 下部電極部62及び上部電極部63によって、圧 体61に厚さ方向の電界を印加することによ 、厚さ方向の振動を生じる。この圧電振動 60の動作について、無限平板の厚み縦振動を 用いて説明する。圧電振動子60は、下部電極 62と上部電極部63との間に電界が加えられる と、圧電体61で電気エネルギーが機械エネル ーに変換される。誘起された機械振動は厚 方向の伸び振動であり、電界と同じ方向に び縮みを行う。一般に、圧電振動子60は、 電体61の厚さ方向の共振振動を利用し、厚さ が半波長に等しくなる周波数の共振で動作す る。図14Aに示したキャビティ64は、この圧電 61の厚み縦振動を確保するために利用され 。

 この圧電振動子60の等価回路は、図14Cの(a )に示すように、直列共振と並列共振とを合 せ持ったものとなる。すなわち、コンデン C1、インダクタL1及び抵抗R1からなる直列共 部と、直列共振部に並列接続されたコンデ サC0とで構成される。この回路構成によって 、等価回路のアドミッタンス周波数特性は、 図14Cの(b)に示すように、共振周波数frでアド ッタンスが極大となり、反共振周波数faで ドミッタンスが極小となる。ここで、共振 波数frと反共振周波数faとは、次の関係にあ 。

  fr=1/{2π√(L1×C1)}
  fa=fr√(1+C1/C0)

 このようなアドミッタンス周波数特性を する圧電振動子60をフィルタとして応用し 場合、圧電体61の共振振動を利用するため、 小型で低損失のフィルタを実現することが可 能となる。図15に示すように、2つの圧電振動 子71、72を直列と並列に接続し、図16に示すよ うに、直列圧電振動子の共振周波数と並列圧 電振動子の反共振周波数とを略一致させると バンドパスフィルタを容易に構成することが できる。しかし、周波数を一致させるには、 直列圧電振動子よりも並列圧電振動子の方を 全体的に低い周波数に構成する必要がある。 そこで、周波数調整する発明が特許文献1、2 に開示されている。

 特許文献1に記載された、従来の周波数調 整方法について図17を参照して説明する。こ 方法は、周波数調整方法の一つとして一般 な質量負荷構造を用いたものである。図17 、2つの圧電振動子を用いた圧電フィルタの 成を示す断面図である。

 基板132上に共振器140と150を製造するため 、第1の底部電極142と第2の底部電極152が作 れ、これらの電極は、それぞれ第1の空洞141 第2の空洞151にまたがっている。次いで、圧 電(PZ)層134が両方の第1と第2の底部電極142と152 に作られ、PZ層134は、第1の底部電極142の上に 第1の部分144と第2の底部電極152の上に第2の部 分154を有している。次に、表面電極層136が、 作られ、表面電極136は、第1の部分144の上に 1のセクション146と第2の部分154の上に第2の クション156を有している。次に、表面負荷 138が、第1のセクション146の上に作られ、好 しくは第1のセクション146全体を覆うように する。表面負荷膜138は、導電性材料、絶縁性 材料あるいは、その両方を含み、材料の限定 はされないが、モリブデン、窒化アルミニウ ムあるいは二酸化ケイ素を含んでいる。次い で、表面負荷膜138は、オーバーエッチングさ れて第1の表面電極(エッチングされた表面負 膜148と第1のセクション146との組み合わせ(14 8+146))を形成する。すなわち表面負荷膜138と 面電極層136は、同時にエッチングされて第1 表面電極(148+146)を形成する。第2の表面電極 156は、第1の表面電極(148+146)を作る工程と同 工程で作ることができる。表面電極層136の 2の表面セクション156上には負荷電極が存在 ないので、第2のセクション156を残して第2 表面電極156とし、および第1の表面電極(148+14 6)を残しつつ、表面電極層136は、表面電極層1 36の他のすべての部分を削除するようにエッ ングされる。以上により、第1の共振器140で は、表面負荷膜148の分、第2の共振器150より 大きな質量負荷が加わる。これにより、第1 共振器140において周波数が低下し、第1の共 振器140と第2の共振器150とで周波数を異なら ることができる。

 次に、図18は、特許文献2に開示された、 の周波数調整方法を示す。この方法は、特 文献1と同様に、周波数調整方法の一つとし て一般的な質量負荷構造を用いたものである 。図18は、2つの圧電振動子を用いた圧電フィ ルタの断面図を示す。図18において、第1の薄 膜バルク振動子111を形成する領域を第1領域 第2の薄膜バルク振動子112を形成する領域を 2領域と呼ぶことにする。各々の薄膜バルク 振動子のダイヤフラム構造は、それぞれ、単 一基板の裏面側に形成された空洞109および110 上に形成され、第1領域の下地層102および第2 域の下地層121、第1領域の下部電極層103およ び第2領域の下部電極層104、第1領域の圧電層1 05および第2領域の圧電層106、ならびに第1領 の上部電極層107および第2領域の上部電極層1 08を含む。第2領域のダイヤフラム構造の下地 層121の膜厚t2は、第1領域のダイヤフラム構造 の下地層102の膜厚t1と比較して厚い。したが て、下地層121を含む第2領域のダイヤフラム 構造の膜厚T2が、下地層102を含む第1領域のダ イヤフラム構造の膜厚T1よりも厚く、その結 、第1の薄膜バルク振動子111の共振周波数と 比較して、第2の薄膜バルク振動子112の共振 波数は低くなる。

特開2002-335141号公報

特開2005-223479号公報

 上述した特許文献1、2に開示されている 明では、圧電振動子に質量負荷効果を加え ことで、所望の共振周波数に調整すること でき、複数の異なる共振周波数を有した圧 振動子を実現することで、フィルタを構成 ることができる。

 しかしながら、特許文献1、2に開示の圧電 動子では、図19(a)の理想的な圧電振動子に対 し、片方の面にのみ負荷膜を形成し周波数調 整を行っている。図19(b)に、下部電極82の下 負荷膜85を形成した構成を示す。図19(a)に示 理想的な圧電振動子では、上下方向の両面 自由空間と接するため、両面が自由端とな 基本モードは波長の2分の1で振動し、圧電 81の厚み方向の中心が振動の節となる。この とき、圧電体81で利用されるエネルギーは最 となり、圧電振動子の実効的な結合係数は 大となる。しかし、図19(b)に示すように、 方の面にのみ負荷膜85が形成されると、振動 の節は、負荷膜の形成される方向に変化する 。このとき、圧電体81で利用されるエネルギ は減少させられ、結合係数は劣化する。図1 9(c)に負荷膜の膜厚に対する結合係数の大き を数値計算した結果を示す。横軸を圧電体81 の膜厚で規格化した負荷膜85の厚み、縦軸を 合係数としている。また、圧電体にAlN、電 にMo、負荷膜にSiO 2 を使用している。図19(c)に示すように、負荷 85の厚みを大きくするほど、結合係数が大 く劣化することが分かる。携帯電話のW-CDMA ステム(2GHz帯)で使用する場合、圧電体の厚 は約1μm、所望の周波数調整量(=負荷膜の厚 )は約0.5μmとなり、結合係数は、理想的な圧 振動子に比べて15%程度の劣化となる。

 尚、図19では、下部電極の下にのみ負荷 を形成した場合について述べたが、上部電 の上にのみ負荷膜を形成した場合も同様の 果となる。

 したがって、本発明は、結合係数の劣化 合を改善した周波数調整方法を提供するこ を目的とする。

 また、従来の薄膜バルク音響共振器(Film  Bulk Acoustic wave Resonator:FBAR)フィルタには転 技術を用いた製造方法が開示されている。 の製造方法に上述の特許文献1、2の従来の周 波数調整方法を適用すると、歩留まりの劣化 が発生する。

 そこで、本発明では、結合係数の劣化度 を改善した周波数調整方法を提供すること 目的とする。また、転写技術を用いた製造 法における歩留まり劣化を改善する方法を 供することを目的とする。

 本発明の第1の構成の圧電フィルタは、基 板と、前記基板上に形成された下部負荷膜と 、前記下部負荷膜上に形成された下部電極と 、前記下部電極上に設けられた圧電体と、前 記圧電体上に形成された上部電極と、前記上 部電極上に形成された上部負荷膜を備えた第 1と第2の圧電振動子を電気的に接続すること 構成される。前記下部負荷膜と前記上部負 膜により前記第1と第2の圧電振動子の共振 波数を調整し、前記第1と第2の圧電振動子の 共振周波数を異ならせることを特徴とする。

 本発明の第1の構成の圧電フィルタの製造 方法は、圧電体の一方の主面上に上部電極を 形成する工程と、前記圧電体の他方の主面上 に下部電極を形成する工程と、前記上部電極 の圧電体が形成される面と対向する面上に上 部負荷膜を形成する工程と、前記下部電極の 圧電体が形成される面と対向する面上に下部 負荷膜を形成する工程とを備え、形成される 第1、第2の圧電振動子において前記上部負荷 と前記下部負荷膜のそれぞれの厚みを調整 、前記第1と第2の圧電振動子の共振周波数 異ならせることを特徴とする。

 本発明の第2の構成の圧電フィルタは、圧電 体の第1の領域を挟持して構成された第1の圧 振動子と、前記圧電体の第2の領域を挟持し て構成された第2の圧電振動子とを電気的に 続して構成される圧電フィルタであって、
 前記第1の圧電振動子は、
  前記圧電体の前記第1の領域の一方の主面 に形成された下部電極と、
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に形成された下部負荷膜と、
  前記圧電体の前記第1の領域の他方の主面 に形成された上部電極と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に形成された上部負荷膜と、
を備え、
 前記第2の圧電振動子は、
  前記圧電体の前記第2の領域の一方の主面 に形成された下部電極と、
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に形成された下部負荷膜と、
  前記圧電体の前記第2の領域の他方の主面 に形成された上部電極と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に形成された上部負荷膜と、
を備え、
 前記第1の圧電振動子と前記第2の圧電振動 のそれぞれの前記下部負荷膜と前記上部負 膜とによって前記第1と第2の圧電振動子の共 振周波数を調整し、前記第1の圧電振動子の 振周波数と前記第2の圧電振動子の共振周波 とを異ならせたことを特徴とする。

 本発明の第2の構成の圧電フィルタの製造方 法は、圧電体の第1の領域を挟持して構成さ た第1の圧電振動子と、前記圧電体の第2の領 域を挟持して構成された第2の圧電振動子と 含む圧電フィルタを製造する方法であって
 前記圧電体の前記第1の領域を挟持する第1 圧電振動子を構成する工程には、
  前記圧電体の前記第1の領域の一方の主面 に上部電極を形成する工程と、
  前記圧電体の前記第1の領域の他方の主面 に下部電極を形成する工程と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に上部負荷膜を形成する工程と
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に下部負荷膜を形成する工程と
を含み、
 前記圧電体の前記第2の領域を挟持する第2 圧電振動子を構成する工程には、
  前記圧電体の前記第2の領域の一方の主面 に上部電極を形成する工程と、
  前記圧電体の前記第2の領域の他方の主面 に下部電極を形成する工程と、
  前記上部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に上部負荷膜を形成する工程と
  前記下部電極の前記圧電体と接する面と 向する面上に下部負荷膜を形成する工程と
を含み、
 前記第1の圧電振動子と、前記第2の圧電振 子とのそれぞれの前記上部負荷膜又は前記 部負荷膜を形成する工程あるいはその後の 程において、前記上部負荷膜と前記下部負 膜の厚みを調整し、前記第1の圧電振動子の 振周波数と前記第2の圧電振動子の共振周波 数とを異ならせる工程と、
を含むことを特徴とする。

 また、前記第1の圧電振動子の前記上部負 荷膜と、前記第2の圧電振動子の前記上部負 膜の厚みが等しく、かつ前記第1の圧電振動 の前記下部負荷膜と、前記第2の圧電振動子 の前記下部負荷膜の厚みが異なるものとして もよい。

 また、前記第1の圧電振動子の前記上部負 荷膜と、前記第2の圧電振動子の前記上部負 膜とが同じ材料で形成されていてもよい。 らに、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷 と、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜 とが同じ材料で形成されていてもよい。

 また、前記第1と第2の圧電振動子の前記 部負荷膜の厚みをTa、前記第1の圧電振動子 前記下部負荷膜の厚みをTb、前記第2の圧電 動子の前記下部負荷膜の厚みをTc、前記第1 第2の圧電振動子の前記上部負荷膜の音速をv a、前記第1と第2の圧電振動子の前記下部負荷 膜の音速をvbとしたとき、TaはTb×va/vbよりも きく、Tc×va/vbよりも小さく構成してもよい

 また、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷 膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記下 負荷膜の厚みとをそれぞれ調整して、前記 1と第2の圧電振動子の共振周波数を調整し、
 前記第1及び第2圧電振動子は前記基板上に 持部を介して設けられ、
 前記支持部は、前記基板上に設けられた第1 の支持部と、前記第1及び第2圧電振動子の前 下部負荷膜の厚みが未調整の非調整領域に けられた第2の支持部と、を互いに接合する ことで構成され、
 前記第1及び第2圧電振動子の前記下部負荷 の厚みが調整された調整領域は、空洞部を して前記基板と対向していてもよい。

 また、前記第1の圧電振動子の前記下部負荷 膜の厚みと、前記第2の圧電振動子の前記下 負荷膜の厚みとをそれぞれ調整して、前記 1と第2の圧電振動子の共振周波数を調整し、
 前記第1及び第2圧電振動子は前記基板上に 持部を介して設けられ、
 前記支持部は、前記下部負荷膜の厚さが未 整の非調整領域自体で構成され、前記下部 荷膜の前記非調整領域と前記基板とは直接 合され、
 前記第1及び第2圧電振動子の前記下部負荷 の厚みが調整された調整領域は、空洞部を して前記基板と対向していてもよい。

 上述した本発明の圧電振動子によれば、 動モードの節が、従来の周波数調整方法に べ、圧電体の中心方向に近づくため、エネ ギーを効率よく使用することができ、良好 結合係数を実現することができる。また、 写工法に本発明の周波数調整方法を適用す と、所望の周波数間隔を実現する調整を転 前(空洞部形成前)に行うことができ、転写 の工程数を削減することにより、歩留まり 劣化を低減することができる。

(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧 電フィルタの振動部を示す断面図であり、(b) は、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動 の振動部を示す断面図であり、(c)は、本発 の第1の実施形態に係る圧電振動子の効果を すシミュレーション結果である。 本発明の第1の実施形態に係る別の圧電 フィルタの振動部を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る別の圧電 フィルタの振動部を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る別の圧電 フィルタの振動部を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る別の圧電 フィルタの支持構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電フィ ルタの振動部を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電フィ ルタの支持構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電フィ ルタの他の支持構造を示す断面図である。 (a)~(f)は、本発明の第2の実施形態に係 圧電フィルタの他の支持構成におけるプロ スフローを示した図である。 (a)~(e)は、本発明の第2の実施形態に係 圧電フィルタの他の支持構成におけるプロ スフローを示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る圧電フ ルタの支持構造を示す断面図である。 本発明の圧電フィルタを具備した共用 器の構成例を示すブロック図である。 本発明の圧電フィルタを具備した通信 機器の構成例を示すブロック図である。 従来の圧電振動子の構成を示す断面 である。 従来の圧電振動子の構成を示す斜視 である。 (a)は従来の圧電振動子の等価回路図 (b)は同圧電振動子のアドミッタンス周波数 性を示す図である。 従来の圧電振動子を用いたフィルタの 構成図である。 図12のフィルタの通過特性図である。 従来の圧電フィルタの周波数調整方法 を示した断面図である。 従来の他の圧電フィルタの周波数調整 方法を示した断面図である。 (a)は、従来の周波数調整前の理想的な 圧電振動子を示した断面図とその振動モード を示す概略図であり、(b)は、従来の周波数調 整を行った圧電振動子を示した断面図とその 振動モードを示す概略図であり、(c)は、従来 の周波数調整を行った圧電振動子の結合係数 をシミュレーションした結果を示すグラフで ある。 (a)~(e)は、転写技術を用いた参考例の 電フィルタのプロセスフローを示した図で る。 (a)~(d)は、転写技術を用いた参考例の 電フィルタのプロセスフローを示した図で る。

符号の説明

1、21、61、81 圧電体
2、22、62、82、97 下部電極
3、4、23、33、63、83、84 上部電極
5、6、7、8、15、16、25、26、35、85、98 負荷膜
9、10、20、60、89、90 圧電振動子
17、34、65、93、96 基板
18、19、64 空洞部
31、32、94、95 支持部
41 送信端子
42 受信端子
43 アンテナ端子
44 送信フィルタ
45 移相回路
46 受信フィルタ
47 共用器
51 送信端子
52 ベースバンド部
53 パワーアンプ
54 アンテナ
55 LNA
56 受信端子
57 通信機器
71 直列圧電共振器
72 並列圧電共振器

 また、前記上部負荷膜と前記下部負荷膜が じ材料の場合、前記上部負荷膜と前記下部 荷膜の厚みは等しくしてもよい。
 また、前記第1の圧電振動子の前記上部負荷 膜と前記第2の圧電振動子の前記上部負荷膜 厚みが等しく、かつ前記第1の圧電振動子の 記下部負荷膜と前記第2の圧電振動子の前記 下部負荷膜の厚みを異ならせてもよい。

 その場合、前記上部負荷膜の厚みをTa、 記第1の圧電振動子の前記下部負荷膜の厚み Tb、前記第2の圧電振動子の前記下部負荷膜 厚みをTc、前記上部負荷膜の音速をva、前記 下部負荷膜の音速をvbとしたとき、TaはTb×va/v bよりも大きく、Tc×va/vbよりも小さく構成さ ることが好ましい。

 前記第1と第2の圧電振動子の前記上部負荷 と、前記第1と第2の圧電振動子の前記下部負 荷膜が同じ材料で形成されることが好ましい 。あるいは、前記第1と第2の圧電振動子の前 上部負荷膜と、前記第1と第2の圧電振動子 前記下部負荷膜とを異なる材料で形成して よい。
 前記基板と前記第1と第2の圧電振動子の間 は、空洞部を形成してもよい。その空洞部 転写工法により形成してもよい。

 以下、本発明の実施の形態について、図 を参照して説明する。

 (第1の実施形態)
 図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧 フィルタの構造例を示す断面図である。図1( b)は、図1(a)に示した圧電フィルタに含まれる 圧電振動子の断面図とその振動モードを示す 図である。図1(c)は、図1(b)に示した圧電振動 の上下負荷膜の厚みの割合を変更した場合 結合係数を計算した結果を示すグラフであ 。ただし、一例として、上下負荷膜の材料 同じものとして計算している。本実施形態 係る圧電フィルタは、図1(a)に示すような断 面構造を有する。すなわち、圧電体1の一方 領域に対して、下部に下部電極2、更にその 部に下部負荷膜5(第1の負荷膜)が形成され、 上部に上部電極3、更にその上部に上部負荷 6(第2の負荷膜)が形成されて第1の圧電振動子 9が構成されている。また、圧電体1の上記領 とは異なる領域に対して、下部に下部電極2 、更にその下部に下部負荷膜7(第3の負荷膜) 形成され、上部に上部電極4、更にその上部 上部負荷膜8(第4の負荷膜)が形成されて第2 圧電振動子10が構成されている。すなわち圧 電体1のそれぞれ異なる領域を挟持して第1及 第2の圧電振動子9、10が構成されている。

 下部電極2及び上部電極3は、例えばモリ デン(Mo)などの金属材料で形成される。圧電 1は、例えば窒化アルミニウム(AlN)等の圧電 料で形成される。

 図1(a)に示すように、第1、第2の圧電振動子9 、10の厚み方向の両主面に負荷膜を形成する とで、従来の周波数調整方法よりも結合係 の劣化を低減することができる。そのメカ ズムを図1(b)、図1(c)を用いて説明する。
 図1(b)に示すように、圧電振動子20は、圧電 21の両主面上に下部電極22と上部電極23が形 され、更に下部電極22の下部に負荷膜25、上 部電極の上部に負荷膜26が形成されている。 の場合、上下電極22、23の材料、厚みが等し く、且つ上下負荷膜25、26の材料、厚みが等 い場合、その振動モードは厚み方向に対し 対称になる。すなわち、振動モードの節は 圧電体21の厚み方向の中心に位置し、結合係 数は最大となる。

 尚、このときの共振周波数fは以下のように 決定される。
(a)まず、圧電体21の音速をvp、厚みをTpとした 場合、圧電体の共振波長λpはvp/fとなる。
(b)次に、上下電極22、23の音速をve、厚みをTe した場合、電極の共振波長λeはve/fとなる。
(c)上下負荷膜25、26の音速をvd、厚みをTdとし 場合、負荷膜の共振波長λdはvd/fとなる。
(d)したがって、圧電体ではTp/λp倍の共振波長 を有し、各電極ではTe/λe倍の共振波長を有し 、各負荷膜では、Td/λd倍の共振波長を有する ため、
    Tp/λp+Te/λe×2+Td/λd×2=1/2
となるように、共振周波数fが決定される。
 そこで、共振周波数fを含むように上記式を 書き直した下記式、
    Tp/vp+(Te/ve)×2+(Td/vd)×2=1/(2×f)
に基づいて共振周波数fが決定される。

 図1(c)では、図1(b)に示す圧電振動子にお て、下部負荷膜25と上部負荷膜26の厚みの合 に対する下部負荷膜25の厚みの割合を横軸 し、図1(b)に示す圧電振動子の結合係数を縦 としている。すなわち、横軸が0の場合は、 下部負荷膜25が無く、上部負荷膜26のみの場 の結合係数を示し、横軸が1の場合は、逆に 部負荷膜26が無く、下部負荷膜25のみの場合 の結合係数を示している。この2点は、従来 造と同じ構造となる。図1(c)に示すように、 部、下部両方に負荷膜25、26を形成すること で、従来構造よりも結合係数が大きくなって いることがわかる。好ましくは、横軸が0.5と なる場合、すなわち前述のように、下部負荷 膜25と上部負荷膜26の厚みが等しくなる場合 おいて、結合係数は最大となる。

 尚、上記の上下負荷膜5、6、7、8は導電性材 料であっても、SiO 2 などの絶縁性材料であっても構わない。

 尚、図2に示すように、第1の圧電振動子9 下部負荷膜5と上部負荷膜6、もしくは、第2 圧電振動子10の下部負荷膜7と上部負荷膜8は それぞれ異なる材料で形成しても構わない。 ただし、その場合、異なる材料では、音速が 異なる。この場合、下部負荷膜5、7の音速をv d1、厚みをTd1として、上部負荷膜6、8の音速 vd2、厚みをTd2としたとき、Td1/Td2=vd1/vd2とな ように下部負荷膜5、7と上部負荷膜6、8のそ ぞれの厚みを決定することで、圧電体の中 に節が位置する。

 尚、図1(a)では、第1の圧電振動子と第2の 電振動子において、下部電極2を共通として いるが、下部電極ではなく上部電極側で共通 としても構わない。ただし、両方の電極を共 通とすると一つの圧電振動子として動作する ため、必ず一方の電極は電気的に分離されて いる必要がある。

 尚、第1、第2の圧電振動子において、電 が共通化されている側に形成されている負 膜、例えば図3に示すように下部電極の下側 負荷膜15は第1、第2の圧電振動子9、10で厚み の異なる同じ材料として形成しても構わない 。

 尚、電極が分離されている側の負荷膜は 例えば図4に示すように上部電極3、4の上側 負荷膜16が絶縁性材料であれば、第1、第2の 圧電振動子9、10で厚みの異なる共通の材料と して形成しても構わない。絶縁性材料であれ ば、上述のように上部電極同士は電気的な分 離が保たれる。

 ここまで、自由空間中の圧電振動子を利 して説明したが、実際は基板上に支持され 成される。図5に図4の支持構造の断面図を 例として示す。図5に示すように、基板17上 下部負荷膜15(第1の負荷膜)、下部電極2、圧 体1、上部電極3、上部負荷膜16(第2の負荷膜) 構成され、第1の圧電振動子9が支持されて る。また、基板17の別の領域には、下部負荷 膜15(第1の負荷膜)、下部電極2、圧電体1、上 電極4、上部負荷膜16(第2の負荷膜)が構成さ 、第2の圧電振動子10が支持されている。上 負荷膜15及び下部負荷膜16の厚みは、第1、第 2の圧電振動子9、10において、異なるように 成される。また、第1、第2の圧電振動子9、10 の下には、空洞部18、19が構成され、自由空 中と同様に振動が確保される。

 尚、基板17内に空洞部18、19を形成する構造 示したが、基板を貫通して空洞部を形成す 構造や、基板17と下部負荷膜15との間に空洞 部を形成する構造でも構わない。
 尚、自由空間中と同様の振動を確保する手 として、基板17と下部負荷膜15間に音響ミラ ー層を形成する構造でも構わない。

<音速の測定方法>
 なお、上下負荷膜等の音速は、一般に知ら た音速の測定方法によって測定することが きる。例えば、以下に説明する弾性率測定 や共振測定法によって音速を決めることが きる。ここに挙げた測定方法は一例であっ これらに限られるものではない。また、通 用いられる音速の測定方法であれば他の測 方法を用いてもよいことはいうまでもない

 a)弾性率測定法
 音速はヤング率と密度とを用いた以下の式 定義できる。
v:音速、E:ヤング率、ρ:密度
 なお、ヤング率は一般的に押し込み試験や っ張り試験での資料の歪み量を測定するこ によって得られる。また、密度も通常の測 方法で得られる。得られたヤング率と密度 を用いて音速を得ることができる。

 b)共振測定法
 上述したように、図1(b)に示す共振器の共振 周波数fは、共振器を構成する膜の厚みTp、Te Tdと、音速vp、ve、vdとの間で以下の関係式 満たす。
    Tp/vp+Te/ve×2+Td/vd×2=1/2×f
vp:圧電体の音速、Tp:圧電体の厚み、
ve:上下電極の音速、Te:上下電極の厚み
vd:上下負荷膜の音速、Td:上下負荷膜の厚み
 なお、上記関係式では、上下電極が同じ材 からなること、上下負荷膜が同じ材料から ることを前提条件としている。

 上記関係式によれば、共振器を構成するい れかの膜の厚みが変化すると、共振周波数f が変化する。例えば、測定対象となる負荷膜 の厚さTdをδTd変化させて共振周波数fの差分δ fを測定することで、負荷膜の音速vdを下記式 で算出することができる。
   vd=-4×δTd×f×(f+δf)/δf

 (第2の実施形態)
 図6は、本発明の第2の実施形態に係る圧電 ィルタの構成を示す断面図である。本発明 第1の実施形態における図1(c)に示したように 、圧電振動子の上下面に負荷膜を形成するこ とで、従来構造よりも結合係数を改善するこ とができる。図6に示すように、下部負荷膜5( 第1の負荷膜)上に下部電極2が形成され、下部 電極2上に圧電体1が設けられ、圧電体1上に上 部電極3が形成され、上部電極3上に上部負荷 6(第2の負荷膜)が形成されて第1の圧電振動 9が構成される。この場合、下部負荷膜5と上 部負荷膜6の厚みが異なっても構わない。ま 、下部負荷膜7(第3の負荷膜)上に下部電極2が 形成され、下部電極2上に圧電体1が設けられ 圧電体1上に上部電極4が形成され、上部電 4上に上部負荷膜8(第4の負荷膜)が形成されて 第2の圧電振動子10が構成される。この場合、 下部負荷膜7と上部負荷膜8の厚みが異なって 構わない。このとき、圧電体1の各領域につ いて一方の面の負荷膜同士、例えば、それぞ れの上部負荷膜(第2の負荷膜6と第4の負荷膜8) の膜厚を同じ材料、同じ膜厚とし、同一工程 で形成することにより、工程数を削減するこ とができる。

 ここで、第1、第2の圧電振動子9、10におけ 、各電極の厚み、圧電体の厚みを等しいと 、上部負荷膜6、8の波長をλa、厚みをTaとし 下部負荷膜5の波長をλb、厚みをTbとし、下 負荷膜7の波長をλc、厚みをTcとした場合、T a/λaは、Tb/λbよりも大きく、Tc/λcよりも小さ することで、第1、第2の圧電振動子9、10の 合係数を大きく劣化させることなく、工程 を削減することができる。上述の関係は下 の関係式として表すことができる。
   Tb/λb<Ta/λa<Tc/λc
 上記関係式は、λa=va/f、λb=vb/f、λc=vc/fの関 を代入して、下記式が得られる。
   Tb/(vb/f)<Ta/(va/f)<Tc/(vc/f)
 さらに式を整理すると、下記の関係式が得 れる。
   Tb×(va/vb)<Ta<Tc×(va/vc)

 なお、上述のように、第1の圧電振動子9の 部負荷膜6を構成する材料と、第2の圧電振動 子10の上部負荷膜8を構成する材料が同じであ るので、それぞれの上部負荷膜6、8は同じ音 vaを有する。さらに、第1の圧電振動子9の下 部負荷膜5を構成する材料と第2の圧電振動子1 0の下部負荷膜7を構成する材料が同じ場合に 、それぞれの下部負荷膜5、7の音速vb、vcも じとなる(vb=vc)。この場合、上記関係式は、 以下のようになる。
   Tb×(va/vb)<Ta<Tc×(va/vb)

 さらに、全ての負荷膜が同じ材料の場合 全ての負荷膜の音速は同じとなる(va=vb)とな る。この場合、各負荷膜の厚みの関係がTb< Ta<Tcの関係式を満たすように調整すること 、第1、第2の圧電振動子9、10の結合係数を きく劣化させることなく、工程数を削減す ことができる。上記範囲の膜厚とすること より、図1(c)に示した最適点である、上下負 膜の厚みが等しい場合(横軸0.5)を境に、0.5 下の圧電振動子と0.5以上の圧電振動子を構 することができる。これにより、可能な限 最適点の近傍で第1の圧電振動子9と第2の圧 振動子10を構成できるため、結合係数の劣化 を限りなく低減することができる。

 尚、図6では、第1の圧電振動子と第2の圧 振動子において、下部電極2を共通としてい るが、下部電極ではなく上部電極側で共通と しても構わない。ただし、両方の電極を共通 とすると一つの圧電振動子として動作するた め、必ず一方の電極は電気的に分離されてい る必要がある。

 尚、第1、第2の圧電振動子において、電 が共通化されている側に形成されている負 膜、例えば下部電極の下側の下部負荷膜5、7 は第1、第2の圧電振動子9、10で厚みの異なる じ材料として一括形成しても構わない。

 尚、電極が分離されている側の負荷膜は 例えば上部電極3、4の上側の上部負荷膜6、8 が絶縁性材料であれば、第1、第2の圧電振動 9、10で厚みの異なる同じ材料として一括形 しても構わない。絶縁性材料であれば、上 のように上部電極同士は電気的な分離が保 れる。

 図7に本発明の第2の実施形態に係る圧電 ィルタの支持構造の断面図を示す。図7に示 ように、基板17の一方の領域上に下部負荷 15(第1負荷膜)、下部電極2、圧電体1、上部電 3、上部負荷膜16(第2の負荷膜)が構成され、 1の圧電振動子9が支持されている。また、 板17の別の領域には、下部負荷膜15(第1の負 膜)、下部電極2、圧電体1、上部電極4、上部 荷膜16(第2の負荷膜)が構成され、第2の圧電 動子10が支持されている。第1の圧電振動子9 の下部負荷膜15の厚みと、第2の圧電振動子10 下部負荷膜15の厚みとは、異なるように形 される。一方、第1の圧電振動子9の上部負荷 膜16の厚みと第2の圧電振動子10の上部負荷膜1 6の厚みとは等しくしている。また、第1、第2 の圧電振動子9、10の下部負荷膜15と基板17と 間には、空洞部18、19が構成され、自由空間 と同様に振動が確保される。

 尚、基板17内に凹部状の空洞部18、19を形成 る構造を示したが、基板を貫通して空洞部 形成する構造でも構わない。
 尚、自由空間中と同様の振動を確保する手 として、基板17と下部負荷膜15間に音響ミラ ー層を形成する構造でも構わない。

 また、図8には、第2の実施形態に係る圧 フィルタの別の支持構造の断面図を示す。 の構造は、本発明の第2の実施形態に係る圧 フィルタを作製するため、転写技術を利用 た場合の断面構造である。基板17上に接合 れた第1、第2の支持部31、32を介して、下部 荷膜15が形成される。更に、その上に下部電 極2、圧電体1、上部電極3、4、上部負荷膜16が 形成され、第1、第2の圧電振動子9、10が構成 れる。また、基板17と下部負荷膜15との間に は、空洞部18、19が構成される。ここで、上 負荷膜16を第1、第2の圧電振動子で共通化し 同じ膜厚とすることで、空洞部18、19が構成 される工程後の工程数を削減することができ 、歩留まりの劣化を低減できる。

 図9ならびに図10に示す転写技術を用いたプ セスフローの一例を利用してそのメカニズ を説明する。
(a)図9(a)に示すように、基板34上に、上部電極 33、圧電体1、下部電極2を順次成膜し、下部 極2をパターニングする。
(b)次に、図9(b)に示すように、下部負荷膜15( 1の負荷膜)を形成する。
(c)次に、図9(c)、図9(d)に示すように、第1、第 2の圧電振動子9、10が形成されるそれぞれの 域に形成された下部負荷膜15の厚みを第1、 2の圧電振動子9、10のそれぞれで異なる厚さ なるようにエッチング等により調整する。 お、上述のように下部負荷膜15の厚みを調 された領域を「調整領域」とし、それ以外 領域を「非調整領域」とする。
(d)次に、図9(e)に示すように、下部負荷膜15の 非調整領域上に第1の支持部31を形成する。
(e)次に、図9(f)に示すように、別の基板17上に 第2の支持部32を形成する。
(f)次に、図10(a)に示すように、図9(e)、図9(f) 作製した2つの基板を第1の支持部31と第2の支 持部32で接合する。このとき、2つの基板間に は、空洞部18、19が形成される。
(g)次に、図10(b)に示すように、基板34を除去 、下部電極2、圧電体1、上部電極33からなる 膜構造体を転写する。
(h)更に、図10(c)に示すように、空洞部18、19に 対向する領域を残すように上部電極3、4を形 することで、下部電極2、圧電体1、上部電 3、4からなる第1、第2の圧電振動子9、10がそ ぞれ形成される。
(i)次に、図10(d)に示すように、第1、第2の圧 振動子をそれぞれ覆うように上部負荷膜16( 2の負荷膜)が形成され、図10(e)に示すように 1、第2の圧電振動子9、10上の上部負荷膜16の 厚みを一括で同量に調整する。

 これにより、第1、第2の圧電振動子9、10 おいて、それぞれの下部負荷膜15の厚みは異 なり、それぞれの上部負荷膜16の厚みは等し 圧電フィルタを実現することができる。こ で、最終工程である上部負荷膜16の調整回 を低減することで、基板34を除去し、下部電 極2、圧電体1、上部電極33(3、4)からなる薄膜 造が空洞部18、19上に支持された状態での工 程数を削減することができる。したがって、 上部負荷膜及び下部負荷膜の厚さ調整によっ て従来よりも結合係数を改善し、更に歩留ま りを低減することができる。

(参考例)
 なお、この第2の実施形態に係る圧電フィル タとの比較のため、図20及び図21に参考例の 電フィルタの製造方法を示す。図20ならびに 図21では、転写技術を用いたプロセスフロー 一例を示す。
(a)図20(a)に示すように、基板96上に上部電極97 、圧電体81、下部電極82を順次成膜し、下部 極82をパターニングする。
(b)次に、図20(b)に示すように、下部電極82上 第1の支持部94を形成する。
(c)次に、図20(c)に示すように、別の基板93上 第2の支持部95を形成する。
(d)次に、図20(d)に示すように、図20(b)、図20(c) で作製した2つの基板を第1の支持部94と第2の 持部95で接合する。このとき、2つの基板間 は、空洞部87、88が形成される。
(e)次に、図20(e)に示すように、基板96を除去 、下部電極82、圧電体81、上部電極97からな 薄膜構造体を転写する。
(f)更に、図21(a)に示すように、空洞部87、88に 対向する領域を残すように上部電極83、84を 成することで、下部電極82、圧電体81、上部 極83、84からなる第1、第2の圧電振動子89、90 が形成される。
(g)次に、図21(b)に示すように、第1、第2の圧 振動子を覆うように負荷膜98が形成され、図 21(c)、図21(d)に示すように第1、第2の圧電振動 子89、90上の負荷膜98の厚みを各々調整する。
 これにより、第1、第2の圧電振動子89、90に いて異なる厚みの負荷膜98を形成すること でき、異なる共振周波数の圧電振動子を接 した圧電フィルタを実現することができる

 しかし、上記の製造方法においては、図2 0(e)で基板96を除去後、下部電極82、圧電体81 上部電極97(83、84)からなる薄膜構造が空洞部 87、88上に支持された中で、後工程を行う必 があり、工程数が多いほど破壊される可能 が高くなる。その結果、参考例の圧電フィ タでは、第2の実施形態に係る圧電フィルタ 比べて歩留まりが大きく劣化する可能性が る。

(第3の実施形態)
 図11は、本発明の第3の実施形態に係る圧電 ィルタの支持構造を示す断面図である。基 上の第1、第2の圧電振動子9、10が形成され 構造に関しては、第2の実施形態と同様であ 。図11に示すように、基板17上に、下部負荷 膜35(第1の負荷膜)が形成され、下部負荷膜35 に下部電極2、圧電体1、上部電極3、4、上部 荷膜16(第2の負荷膜)が形成される。ここで 上部負荷膜16の厚みは、第1、第2の圧電振動 9、10において同じとされる。また、図9、図 10の転写工法のように、第1、第2の圧電振動 9、10が形成される領域の下部負荷膜35の厚み は、別基板上で事前にエッチングにより調整 され、その後基板17に接合される。下部負荷 35はエッチングにより調整された後、基板17 に直接接合される。これによって、下部負荷 膜35のうち、エッチングにより厚みが削減さ た領域、すなわち下部負荷膜35の調整領域 基板17の間に空洞部18、19が画成される。な 、この場合、下部負荷膜35の厚みが未調整の 領域、すなわち下部負荷膜35の非調整領域自 が支持部を構成し、この支持部である非調 領域が基板17と直接接合される。これによ 、本発明の第2の実施形態に示した転写工法 おける第1、第2の支持部を形成する工程を 減することができる。また、基板17上の第1 第2の圧電振動子9、10が形成される構造に関 ては、第2の実施形態と同様であるため、同 様に結合係数の劣化を改善し、転写工法の歩 留まりを低減することができる。

(第4の実施形態)
 図12は、本発明の第4の実施形態に係る高周 回路部品を示すブロック図である。本発明 各実施形態における圧電フィルタは、図12 示すアンテナ共用器47に用いることができる 。同図のアンテナ共用器47は、送信端子41、 信端子42、およびアンテナ端子43を有し、送 端子41と受信端子42間には送信フィルタ44、 相回路45、および受信フィルタ46が順に配置 されている。送信フィルタ44と移相回路45間 アンテナ端子43が接続されている。送信フィ ルタ44又は受信フィルタ46の少なくとも一方 、上記いずれかの実施形態に係る圧電フィ タを具備する。

 また、本発明の各実施形態における圧電 ィルタは、図13に示す通信機器57に用いるこ とができる。同図の通信機器57では、送信端 51から入った信号がベースバンド部52を通り 、パワーアンプ53で信号が増幅され、送信フ ルタ44を通りフィルタリングされ、アンテ 54から電波が送信される。また、アンテナ54 ら受信した信号は、受信フィルタ46を通り ィルタリングされ、LNA55により増幅され、ベ ースバンド部52を通り受信端子56に伝達され 。送信フィルタ44および受信フィルタ46の少 くとも一方として、上記いずれかの実施形 に係る圧電フィルタが具備される。

 本発明の圧電フィルタは、周波数調整を っても広帯域な特性を維持した圧電振動子 提供することが可能である。また、転写技 により圧電フィルタを作製する際の歩留ま を改善することができ、低コストでの提供 可能となる。したがって、低損失特性、急 なスカート特性、且つ良好な減衰特性を備 た高周波フィルタや共用器などの高周波回 部品、低損失フィルタ、通信機器に有用で る。