Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110353
Kind Code:
A1
Abstract:
A pneumatic tire improved in the durability of a splice part (2) of a tire-constituting member (1) and in the uniformity of the tire; and a process for producing the tire. The pneumatic tire includes a tire-constituting member (1) having a splice part (2) coated with a thin film (3) fusion-bonded thereto, the film comprising a thermoplastic resin or thermoplastic elastomer composition. The process for producing the pneumatic tire includes a step in which thin films (3) disposed respectively in a splice part (2) of an inner liner layer (14) and a splice part (2) of a carcass layer (13) are heated on a tire-forming drum thereby thermally melting the thermoplastic resin or thermoplastic elastomer composition constituting the thin films (3).

Inventors:
ITOH TAKANORI (JP)
HATAKEYAMA TAKUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053271
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
February 24, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
YOKOHAMA RUBBER CO LTD (JP)
ITOH TAKANORI (JP)
HATAKEYAMA TAKUMI (JP)
International Classes:
B60C5/14; B29D30/30; B60C9/04
Foreign References:
JPH0640207A1994-02-15
JPH09164805A1997-06-24
JP2007009121A2007-01-18
JP2000198314A2000-07-18
Attorney, Agent or Firm:
OGAWA, Shin-ichi et al. (JP)
Shin-ichi Ogawa (JP)
Download PDF:
Claims:
 シート状のタイヤ構成部材を、タイヤ周方向に配置すると共に、そのタイヤ周方向の端部同士をスプライスさせた構成からなる空気入りタイヤにおいて、
 前記タイヤ構成部材のスプライス部に、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる薄膜を被覆融着させた空気入りタイヤ。
 前記スプライス部が、前記端部同士を互いに突き合わせたバット方式からなり、前記薄膜が前記端部間の表面に跨るようにした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記スプライス部が前記端部同士を互いに突き合わせたバット方式からなり、前記薄膜が前記端部間に挟み込むようにした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記薄膜の表面に接着層を配置し、該接着層を前記タイヤ構成部材に対面させるように配置した請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 加硫後のタイヤにおける前記薄膜の厚さが10~1500μmであり、前記スプライス部における前記薄膜のタイヤ周方向に対する総被覆幅が20~150mmである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ構成部材がインナーライナー層又はカーカス層である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記インナーライナー層がブチル系ゴム組成物からなる請求項6に記載の空気入りタイヤ。
 タイヤ成形ドラム上にインナーライナー層を配置すると共に、該インナーライナー層のスプライス部に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる薄膜を被覆し、次いで前記インナーライナー層の外周にカーカス層を巻き付けると共に、該カーカス層のスプライス部に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる薄膜を挟み込んで突き合わせ接合した後、前記インナーライナー層のスプライス部と前記カーカス層のスプライス部とを加熱して、前記薄膜を熱溶融させることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
Description:
空気入りタイヤ及びその製造方

 本発明は空気入りタイヤ及びその製造方 に関し、さらに詳しくは、タイヤ構成部材 スプライス部における耐久性を向上させる うにした空気入りタイヤ及びその製造方法 関する。

 一般に、タイヤ構成部材の多くはシート であり、その端部同士をスプライスしてタ ヤ構成部材を組立てている。このようなス ライス部の接合方法には、タイヤ構成部材 端部同士を互いに重ね合わせるオーバーラ プ方式とタイヤ構成部材の端部同士を突き わせるバット方式とがある。

 これらのタイヤ構成部材のうち、インナ ライナー層やカーカス層は、タイヤ成形ド ム上でタイヤ周方向に配置し、そのタイヤ 方向の端部同士をスプライスして形成する うになっている。そのため、この成形体を 径させる成形時のリフト工程や未加硫タイ を加硫金型内で膨径させる加硫時のリフト 程において、スプライス部のタイヤ周方向 大きな剪断力が加わる。従って、インナー イナー層やカーカス層のスプライス部には 図6に示すように、タイヤ構成部材1の端部1a 同士を互いに重ね合わせたオーバーラップ方 式が採用される。この端部1a同士のオーバー ップ幅xが、剪断力により生ずるずれ量を十 分に吸収し得る大きさに設定されている。

 このオーバーラップ幅xが小さいと、空気 充填圧を高圧に保持する重荷重用空気入りタ イヤにあっては、ショルダー部に大きな負荷 がかかる。そのため、ショルダー部における カーカス部材のスプライス部2が開口して、 ーカス層の内周側に配置したインナーライ ーゴムやタイゴムがスプライス部2に入り込 。このことが、やがてはトレッドゴムを破 に至らせる所謂吹き抜け故障を発生させる 因となる。

 しかし、スプライス部2の接着強度を確保 するために、端部1a同士のオーバーラップ幅x を大きくし過ぎると、スプライス部2におけ 剛性が局部的に大きくなるため、タイヤ回 時の振動が大きくなり、タイヤの均一性(ユ フォミティー)が悪化する。そのため、耐久 性と均一性とを両立させるために、端部1a同 のオーバーラップ幅xをどの程度に設定する かが重要な課題になっていた。

 この問題を解消するために、カーカス層な のタイヤ構成部材の端部に厚さを約1/2に薄 した耳ゴムを突出形成させておき、この耳 ム同士を重ね合わせてスプライスさせるよ にした提案がある(例えば、特許文献1参照) しかし、この提案の方法では、端縁に耳ゴ を形成するための工程が必要になるため、 産性が低下する。さらに、スプライス作業 に薄肉の耳ゴムがバックリングを起こし易 ため、スプライス部にエアーを抱き込んで 久性を低下させるという問題があった。

特開2001-322403号公報

 本発明の目的は、上述する問題点を解消 るもので、タイヤ構成部材のスプライス部 おける耐久性を向上させるようにした空気 りタイヤ及びその製造方法を提供すること ある。本発明の他の目的は、タイヤのユニ ォミティーを改善しながら、タイヤ構成部 のスプライス部における耐久性を向上する うにした空気入りタイヤ及びその製造方法 提供することにある。

 上記目的を達成するための本発明の空気 りタイヤは、シート状のタイヤ構成部材を イヤ周方向に配置すると共に、そのタイヤ 方向の端部同士をスプライスさせた構成か なる空気入りタイヤにおいて、前記タイヤ 成部材のスプライス部に、熱可塑性樹脂ま は熱可塑性エラストマー組成物からなる薄 を被覆融着させたことを特徴とする。

 さらに、上述する構成において、以下(1)~(5) に記載するように構成することが好ましい。
(1)前記スプライス部を前記端部同士が互いに 突き合わせたバット方式に構成すると共に、 前記薄膜を前記端部間の表面に跨るように被 覆する。
(2)前記スプライス部を前記端部同士を互いに 突き合わせたバット方式に構成すると共に、 前記薄膜を前記端部間に挟み込むようにする 。
(3)前記薄膜の表面に接着層を配置し、該接着 層を前記タイヤ構成部材に対面させるように する。
(4)加硫後のタイヤにおける前記薄膜の厚さを 10~1500μmにすると共に、前記スプライス部に ける前記薄膜のタイヤ周方向に対する総被 幅を20~150mmにする。
(5)前記タイヤ構成部材をインナーライナー層 又はカーカス層にする。この場合において、 前記インナーライナー層をブチル系ゴム組成 物で構成するとよい。

 また、本発明の空気入りタイヤの製造方 は、タイヤ成形ドラム上にインナーライナ 層を配置すると共に、該インナーライナー のスプライス部に熱可塑性樹脂または熱可 性エラストマー組成物からなる薄膜を被覆 、次いで前記インナーライナー層の外周に ーカス層を巻き付けると共に、該カーカス のスプライス部に熱可塑性樹脂または熱可 性エラストマー組成物からなる薄膜を挟み んで突き合わせ接合した後、前記インナー イナー層のスプライス部と前記カーカス層 スプライス部とを加熱して、前記薄膜を熱 融させることを特徴とする。

 本発明の空気入りタイヤによれば、タイ 構成部材のスプライス部に熱可塑性樹脂ま は熱可塑性エラストマー組成物からなる薄 を被覆融着させたので、スプライス部にお る接合強度がこの薄膜の被覆により高めら て、タイヤ成形時やタイヤ加硫時のリフト 程において、スプライス部における開口が 制される。さらに、融着時において、薄膜 構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラ トマー組成物がスプライス部の空隙に流れ み充填されるため、加硫後のタイヤではス ライス部の接着強度が一層強化されて、タ ヤの耐久性を向上させることができる。

 しかも、このようにスプライス部の接着 度が向上するため、スプライス部をバット 式にすることが可能になる。スプライス部 オーバーラップ方式とした場合であっても 重なり幅を可及的に小さくすることができ ため、タイヤのユニフォミティーを改善さ ることができる。

 また、本発明の空気入りタイヤの製造方 によれば、タイヤ成形ドラム上に、スプラ ス部に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラス マー組成物からなる薄膜を被覆したインナ ライナー層を配置し、そのインナーライナ 層の外周にスプライス部に熱可塑性樹脂ま は熱可塑性エラストマー組成物からなる薄 を挟み込んで突き合わせ接合したカーカス を配置すると共に、インナーライナー層の プライス部とカーカス層のスプライス部と 加熱して薄膜を熱溶融させるようにしたの 、タイヤ成形時のリフト工程に先立って、 ンナーライナー層及びカーカス層のスプラ ス部における強度を、熱可塑性樹脂または 可塑性エラストマー組成物の熱融着により 一層強固なものにすることができる。その め、タイヤ成形時のリフト率の高いタイヤ あってもリフト工程におけるスプライス部 おける開口を確実に防止することができる

図1は本発明の実施形態による空気入り タイヤの一例を示す半断面図である。 図2は本発明の実施形態によるタイヤ構 成部材のスプライス部の加熱処理前又は加硫 前と加熱処理後又は加硫後とにおける構造を 説明する一部断面図である。 図3A~図3Eは、それぞれ本発明の他の実 形態によるタイヤ構成部材のスプライス部 おける加熱処理前又は加硫前の構造を示す 部断面図である。 図4A及び図4Bは、それぞれ本発明の他の 実施形態による図3に相当する一部断面図で る。 図5A及び図5Bは、それぞれ本発明の実施 形態による薄膜と接着層との積層形態を示す 一部断面図である。 従来のタイヤ構成部材のスプライス部 おける構造を示す一部断面図である。

符号の説明

1 タイヤ構成部材
2 スプライス部
3 薄膜
4 接着層
13 カーカス層
14 インナーライナー層

 以下、本発明の構成につき、添付の図面 参照しながら詳細に説明する。

 図1は、本発明の実施形態による空気入り タイヤの一例について、加硫後のタイヤの状 態を示す半断面図である。

 図1において、10はトレッド部、11はサイ ウォール部、12はビード部である。タイヤの 内側には、カーカス層13が、トレッド部10か それぞれ左右のサイドウォール部11を経てビ ード部12に延長している。このカーカス層13 、それぞれビード部12で両端部を折り返すよ うに配置されている。このカーカス層13の内 には空気透過防止層としてインナーライナ 層14が設けられている。また、このカーカ 層13の外周側には2層のベルト層15が設けられ ている。

 上記タイヤ構成部材のうち、カーカス層1 3は、タイヤ周方向に略直交する方向に配列 る複数のカーカスコードにコートゴムが被 するように構成されている。インナーライ ー層14はブチル系ゴム組成物のゴムシートか ら構成されている。これらタイヤ構成部材は 、それぞれ1枚又は複数枚のシート状の材料 タイヤ周方向に沿って配列されると共に、 イヤ周方向の端部同士を互いにスプライス るように構成されている。そして、そのス ライス部が、以下に説明するように、熱可 性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物 らなる薄膜により被覆融着されるように構 されている。

 図2は、本発明の実施形態によるタイヤ構 成部材のスプライス部における構造を示すも のである。図2の上段は加熱処理前又は加硫 の状態を示している。図2の下段は加熱処理 又は加硫後の状態を示している。即ち、本 明の空気入りタイヤでは、図2の上段に示す ように、タイヤ構成部材1、1のスプライス部2 は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ ー組成物からなる薄膜3によって被覆されて る。そして、図2の下段に示すように、この 膜3は、スプライス部2の加熱処理又は加硫 作を通じて溶融する。薄膜3が溶融した熱可 性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物 、スプライス部2の空隙に流れ込んで、この 空隙を充填することによって、タイヤ構成部 材1、1の端部同士が熱融着するようにしてい 。

 なお、図2上段の実施形態では、タイヤ構 成部材1のスプライス部2における接合方式が タイヤ構成部材1、1の端部同士を互いに突 合わるバット方式である場合について示し 。しかし、本発明の空気入りタイヤでは、 プライス部2における接合方式を図4Aに示す うにオーバーラップ方式にする場合もある

 本発明の空気入りタイヤは、後述するよ に、タイヤ成形ドラム上でタイヤ構成部材1 のスプライス部2に薄膜3を被覆しておくこと より、スプライス部2の接合強度を高めて、 タイヤ成形時のリフト工程におけるスプライ ス部2の開口を抑制するようにしている。そ ため、このリフト工程に先立って、あらか めタイヤ成形ドラム上でスプライス部2を加 することにより、熱可塑性樹脂または熱可 性エラストマー組成物を溶融してタイヤ構 部材1の端部同士を融着させておくとよい。 こうすることで、リフト率の高いタイヤであ っても、タイヤ成形時のリフト工程における スプライス部2の開口を確実に抑制すること できる。

 しかも、このようにスプライス部2の接着 強度が向上するため、スプライス部2をバッ 方式にすることが可能になる。また、スプ イス部2をオーバーラップ方式とした場合で っても、重なり幅xを可及的に小さくするこ とができるため、タイヤのユニフォミティー を改善することができる。

 本発明において、スプライス部2における 薄膜3の被覆形態は、特に限られるものでは い。上述するように、図2上段及び図4Aに示 ように、タイヤ構成部材1の端部間の片側の 面に跨るように被覆するほか、図3A及び図4B に示すように、タイヤ構成部材1の端部間の 側の表面を跨るように被覆してもよい。ま 、図3Bに例示するように、タイヤ構成部材1 端部をテーパ面に形成しておき、これらテ パ面を対面させるようにすることができる

 さらに、スプライス部2をタイヤ構成部材 1の端部同士を互いに突き合わせたバット方 にしたうえで、図3C~図3Eに例示するように、 薄膜3を端部間に挟み込むようにしてもよい これにより、スプライス部2における接着強 を一層向上させることができる。

 上述する薄膜3を構成する熱可塑性樹脂と しては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば 、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46( N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロ ン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共 合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610) 、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6 T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン 66/PPS共重合体〕及びそれらのN-アルコキシア キル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメ チル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシ チル化物、ナイロン612のメトキシメチル化 、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチ ンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレ タレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート (PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、 リブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエ テル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ リブチレンテレフタレート共重合体などの 香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂 例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ タクリロニトリル、アクリロニトリル/スチ ン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/ス チレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/ス チレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタク レート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸 チル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポ ビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリ ニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エ レン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC )、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビ リデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルア リレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリ ロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹 脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セル ロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ 化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、 リクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフ ロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド 樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を ましく用いることができる。

 また、本発明で使用する熱可塑性エラス マー組成物は、上述した熱可塑性樹脂とエ ストマーとをブレンドして構成することが きる。

 熱可塑性エラストマー組成物を構成する ラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴ 及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イ ソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、ス レンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR 、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR) 水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム 例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM) マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EP M)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族 ニル又はジエン系モノマー共重合体、アク ルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴ ム〔例えば、Br-IIR、CI-IIR、イソブチレンパラ メチルスチレン共重合体の臭素化物(Br-IPMS)、 クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、ク ロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素 ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素 化ポリエチレンゴム(M-CM)〕、シリコンゴム〔 例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチ ルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリ コンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリス ルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニ リデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニル エーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン- ロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム 含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性 ラストマー〔例えば、スチレン系エラスト ー、オレフィン系エラストマー、エステル エラストマー、ウレタン系エラストマー、 リアミド系エラストマー〕等を好ましく使 することができる。

 前記した特定の熱可塑性樹脂とエラスト ーとの相溶性が異なる場合は、第3成分とし て適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させ ることができる。ブレンド系に相溶化剤を混 合することにより、熱可塑性樹脂とエラスト マーとの界面張力が低下し、その結果、分散 層を形成しているゴム粒子径が微細になるこ とから、両成分の特性はより有効に発現され ることになる。そのような相溶化剤としては 、一般的に、熱可塑性樹脂及びエラストマー の両方又は片方の構造を有する共重合体、或 いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可 能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基 、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有 した共重合体の構造をとるものとすることが できる。これらは、混合される熱可塑性樹脂 とエラストマーの種類によって選定すればよ いが、通常使用されるものには、スチレン/ チレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及 そのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチ ン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合 体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マ イン酸共重合体、反応性フェノキシン等を げることができる。かかる相溶化剤の配合 には特に限定はないが、好ましくは、ポリ ー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合 )100重量部に対して、0.5~10重量部がよい。

 熱可塑性エラストマー組成物において、 定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成 は、特に限定されるものではない。熱可塑 樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連 相として分散した構造をとるように適宜決 ればよい。この組成比の好ましい範囲は、 量比90/10~30/70である。

 本発明において、薄膜3を構成する熱可塑 性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物に は、薄膜3としての必要特性を損なわない範 で、前記した相溶化剤などの他のポリマー 混合することができる。他のポリマーを混 する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマー の相溶性を改良するため、材料の成型加工 をよくするため、耐熱性向上のため、及び ストダウンのため等があり、これに用いら る材料としては、例えば、ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS SBS、又はポリカーボネート(PC)等を例示する とができる。また、一般的にポリマー配合 に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化 チタン、及びアルミナ等)、カーボンブラッ 、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、 塑剤、加工助剤、顔料、染料、及び老化防 剤等を薄膜3としての必要特性を損なわない り任意に配合することもできる。

 本発明において、薄膜3とタイヤ構成部材 1との接着性を強固にするために、図5Aに示す ように、薄膜3の片面に接着層4を配置して、 の接着層4をタイヤ構成部材1に対面させる うにするとよい。接着層4の材料は、タイヤ 成部材1の種類に応じてその都度選定すると よい。

 さらに、薄膜3と周囲のゴムとの接着性を 強固にするために、図5Bに示すように、薄膜3 の両面に接着層4を配置してもよい。これに り、スプライス部2における接着強度をより 層強固にすることができる。

 本発明の空気入りタイヤでは、加硫後の イヤにおいて、薄膜3の厚さが10~1500μm、好 しくは500~1000μmになるように調整するとよい 。さらに、スプライス部2における薄膜3の総 覆幅w(上面及び下面を覆う最大幅)が20~150mm 好ましくは30~60mmとなるように調整するとよ 。薄膜3の厚さが10μm未満ではスプライス部2 における接着強度が不足することになる。薄 膜3の厚さが1500μm超ではタイヤのユニフォミ ィーの改善効果が十分には得られなくなる また、薄膜3の総被覆幅wが20mm未満では、上 と同様に、スプライス部2における強度が不 足することになる。薄膜3の層被覆幅wが150mm では、タイヤのユニフォミティーの改善効 が十分には得られなくなる。

 また、本発明の空気入りタイヤでは、タ ヤ構成部材1のうち、スプライス部2がタイ 成形時のリフト工程において最も大きなせ 断力を受けるインナーライナー層14及びカー カス層13に対して本発明を適用させることが ましい。したがって、本発明の空気入りタ ヤでは、少なくともインナーライナー層14 びカーカス層13のスプライス部2に熱可塑性 脂または熱可塑性エラストマー組成物から る薄膜3を被覆するとよい。

 さらに、本発明はインナーライナー層14 ブチル系ゴム組成物を使用した空気入りタ ヤに対して好ましく適用される。その理由 、ブチル系ゴム組成物は汎用のジエン系ゴ 組成物よりも接着性が劣るので、ブチル系 ム組成物をインナーライナー層14に使用した タイヤではスプライス部2が開口し易くなる めに、本発明を適用することにより、イン ーライナー層14のスプライス部2における開 が抑制されて、耐久性の向上効果が顕著に れるからである。

 また、本発明は、インナーライナー層14 熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー 成物を使用した空気入りタイヤに対しても ましく適用される。その理由は、本発明の 気入りタイヤでは、カーカス層13のスプライ ス部2に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラス マー組成物からなる薄膜3を配置するため、 の薄膜3の材料をインナーライナー層14を構 する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト ー組成物と同質の材料で構成することによ 、カーカス層13のスプライス部2とインナー イナー層14とが融着して、スプライス部2に ける強固な接着力を確保することができる らである。

 また、上述するように、スプライス部2に おけるタイヤ故障は、タイヤ成形時における リフト率が大きいタイヤや空気充填圧の高い タイヤほど顕著に表れる。したがって、本発 明をトラックやバス等の重荷重用の空気入り タイヤに適用した場合に、特に優れた効果を 発揮する。

 本発明の空気入りタイヤの製造方法は、 イヤ成形ドラム上にインナーライナー層14 配置すると共に、インナーライナー層14のス プライス部2に熱可塑性樹脂または熱可塑性 ラストマー組成物からなる薄膜3を被覆し、 いでインナーライナー層14の外周にカーカ 層13を巻き付けると共に、カーカス層13のス ライス部2に熱可塑性樹脂または熱可塑性エ ラストマー組成物からなる薄膜3を挟み込ん つき合わせ接合した後、インナーライナー 14のスプライス部2とカーカス層13のスプライ ス部2とを加熱して、薄膜3を熱溶融させるこ を特徴とする。

 これにより、タイヤ成形時のリフト工程 先立って、インナーライナー層14及びカー ス層13のスプライス部2における強度を、熱 塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成 の熱融着により、一層強固なものにするこ ができるため、リフト率の高いタイヤであ ても、リフト工程におけるスプライス部2の 口を確実に防止することができる。

 したがって、カーカス層13のスプライス 2における突き合わせ間隔が1mm程度であった 、カーカス層13のスプライス部2における重 り幅xが1~2mm程度であっても、タイヤ成形時 リフト工程において、スプライス部2の開口 を確実に防止することができる。特に、イン ナーライナー層14を熱可塑性樹脂または熱可 性エラストマー組成物により構成した場合 は、インナーライナー層14とカーカス層13の スプライス部とがより強固に一体化されるた め耐久性をさらに向上させることができる。

 タイヤサイズを275/80R22.5、タイヤ構造を 1、カーカス層13を除く全ての仕様を共通に て、カーカス層13のスプライス部2の構造、 膜3の総被覆幅w、薄膜3の表面における接着 の有無、タイヤ成形時における薄膜3の熱溶 の有無、をそれぞれ表1のように異ならせて 、スプライス部2に薄膜3を配置しない従来タ ヤ(従来例)と、スプライス部2に薄膜3を配置 した本発明タイヤ(実施例1~7)とをそれぞれ製 した。なお、各タイヤのインナーライナー 14にはブチルゴムを使用した。本発明タイ の薄膜3にはナイロン6/66とBr-IPMSとのブレン からなる熱可塑性エラストマー組成物を使 した。この薄膜3の厚さを700μmとした。

 これら8種類のタイヤについて、以下の試 験方法によりカーカス層のスプライス部にお ける開口状況(以下、スプライス部の目開き いう)、ユニフォミティー及び耐久性の評価 行った。その評価の結果を、従来例を100と る指数により表1に表示した。数値が大きい ほど優れていることを示している。

〔スプライス部の目開きの評価〕
 各タイヤについて、カーカス層のスプライ 部における開口状況(発生本数及び大きさ) 目視により観察した。その結果を以って接 部の目開きの評価とした。

〔ユニフォミティーの評価〕
 各タイヤをリム組み(リムサイズ:22.5×7.50)す ると共に、空気圧900kPaを充填して、JASO C607 準拠してユニフォミティー(RFV)を測定した。 この結果を以ってユニフォミティーの評価と した。

〔耐久性の評価〕
 各タイヤをリム組み(リムサイズ:22.5×7.50)す ると共に、空気圧900kPaを充填した。室内ドラ ム試験機(ドラム径:1707mm)を使用して、負荷荷 重を47.36kN、速度を45km/hとして、ショルダー に吹き抜け故障が発生するまで走行させた この走行距離を以って耐久性の評価とした

 表1より、本発明タイヤは従来タイヤに比 して、スプライス部における目開きが抑制さ れていると同時に、ユニフォミティー及び耐 久性が向上していることがわかる。




 
Previous Patent: WO/2009/110344

Next Patent: WO/2009/110383