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Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022564
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a pneumatic tire (1), in which a tread rubber (7), a side-wall rubber (8) and a breaker rubber (9) have an intrinsic volume resistivity of 1 X 108 Ω·cm or higher, and in which a clinch rubber (3) and a chafer rubber (2) have an intrinsic volume resistivity of 1 X 108 Ω·cm or lower. The pneumatic tire (1) comprises a first conductive layer (4) interposed between a carcass ply and the edge portion and the side wall portion of the breaker rubber (9), a second conductive layer (5) contacting the first conductive layer (4) and interposed between the tread rubber (7) and a carcass (10), and a pen rubber layer (6) continuing from the second conductive layer (5) to the surface of the tread portion. The pneumatic tire (1) has a structure, in which the first conductive layer (4), the second conductive layer (5) and the pen rubber layer (6) have an intrinsic volume resistivity of 1 X 108 Ω·cm or lower, and in which the carcass ply contains a conductive fibrous material having an intrinsic volume resistivity of 1 X 108 Ω·cm or lower and contacts the clinch portion, the chafer portion and the first conductive layer (4).

Inventors:
MIYAZAKI SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063947
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
August 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO RUBBER IND (JP)
MIYAZAKI SHINICHI (JP)
International Classes:
B60C19/08; B60C9/00; B60C9/04; B60C9/20; B60C11/00; B60C15/06
Foreign References:
JP2007008269A2007-01-18
JP2007176437A2007-07-12
JP2005254859A2005-09-22
JP2000085316A2000-03-28
JPH11180108A1999-07-06
JPH1111121A1999-01-19
JP2004243973A2004-09-02
JPH1036559A1998-02-10
JPH0834204A1996-02-06
EP2014488A12009-01-14
Other References:
See also references of EP 2193939A4
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (Nakanoshima Central Tower 22nd Floor,2-7, Nakanoshima 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 05, JP)
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Claims:
 トレッド部、サイドウォール部、およびブレーカー部をそれぞれ構成するトレッドゴム(7)、サイドウォールゴム(8)およびブレーカーゴム(9)の体積固有抵抗がそれぞれ1×10 8 ω・cm以上で、クリンチ部およびチェーファー部をそれぞれ構成するクリンチゴム(3)およびチェーファーゴム(2)の体積固有抵抗がそれぞれ1×10 8 ω・cm以下であり、
 前記トレッド部から前記サイドウォール部を経てビード部に至るカーカス(10)と、前記トレッド部と前記ブレーカー部との間に設けられた導電層とを有し、
 前記導電層は、前記カーカス(10)を構成するカーカスプライと前記ブレーカーゴム(9)のエッジ部分と前記サイドウォール部との間に設けられる第1導電層(4)と、該第1導電層(4)と接し、前記トレッドゴム(7)と前記カーカス(10)の間の一部または全体に設けられる第2導電層(5)と、該第2導電層(5)からトレッド部表面にかけて連続するペンゴム層(6)とからなり、
 前記第1導電層(4)、第2導電層(5)およびペンゴム層(6)は、その体積固有抵抗がそれぞれ1×10 8 ω・cm以下であり、
 前記カーカスプライは、体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下である導電性繊維材料を含み、少なくとも前記クリンチ部、前記チェーファー部および前記第1導電層(4)と接する構造である、空気入りタイヤ(1)。
 前記カーカスプライは、カーカスコードと該カーカスコードを被覆する接着樹脂層とから構成される前記導電性繊維材料からなり、
 前記接着樹脂層は、金属箔を含む請求の範囲第1項に記載の空気入りタイヤ(1)。
 前記カーカスコードの90質量%以上がレーヨンである請求の範囲第2項に記載の空気入りタイヤ(1)。
 前記カーカスプライは、0.5質量%~20質量%の導電性繊維を含む前記導電性繊維材料からなるカーカスコードとゴム層とを備える請求の範囲第1項に記載の空気入りタイヤ(1)。
 前記導電性繊維は、ポリピロールからなる請求の範囲4に記載の空気入りタイヤ(1)。
Description:
空気入りタイヤ

 本発明は、導電性繊維材料をカーカスプ イに用いることにより、タイヤの電気抵抗 低減した空気入りタイヤに関する。

 従来、ウェットグリップ性能を維持し、 つ転がり抵抗を低減させる方法として、ト ッド部を構成するゴム組成物にシリカを配 することが行なわれてきた。また、転がり 抗をさらに低減させるために、たとえば、 イドウォール部を構成するゴム組成物にシ カを配合したタイヤ(特開平10-036559号公報( 許文献1))が検討されている。

 しかしながら、シリカを多量に配合した 合にはタイヤの電気抵抗が高くなるため、 とえば、車両の燃料補給時に静電気による パークが発生し、燃料に引火するという可 性もあり、使用時の安全性に欠けるという 題があるため、転がり抵抗の低減およびウ ットグリップ性能の維持が実現されるとと に、静電気の発生を十分に防止したタイヤ 提供が要求されている。

 上記静電気の低減方法としては、たとえば 特開平8-034204号公報(特許文献2)に、トレッ 部に電気抵抗の低いゴムを埋設する方法が 示されているが、トレッドにおける電気抵 の課題を検討したものであり、上記のよう サイドウォール部やブレーカー部において シリカを配合したタイヤにおいて優れた転 り抵抗と十分に低減された電気抵抗とを付 できるものではなかった。

特開平10-036559号公報

特開平8-034204号公報

 本発明は、ウェットグリップ性能を維持 優れた転がり抵抗を有するタイヤであって 電気抵抗を十分低減したタイヤを提供する とを目的とする。

 本発明の空気入りタイヤは、トレッド部、 イドウォール部、およびブレーカー部をそ ぞれ構成するトレッドゴム、サイドウォー ゴムおよびブレーカーゴムの体積固有抵抗 それぞれ1×10 8 ω・cm以上で、クリンチ部およびチェーファ 部をそれぞれ構成するクリンチゴムおよび ェーファーゴムの体積固有抵抗がそれぞれ1 10 8 ω・cm以下であり、上記トレッド部から上記 イドウォール部を経てビード部に至るカー スと、上記トレッド部と上記ブレーカー部 の間に設けられた導電層とを有し、上記導 層は、上記カーカスを構成するカーカスプ イと上記ブレーカーゴムのエッジ部分と上 サイドウォール部との間に設けられる第1導 層と、該第1導電層と接し、上記トレッドゴ ムと上記カーカスの間の一部または全体に設 けられる第2導電層と、該第2導電層からトレ ド部表面にかけて連続するペンゴム層とか なり、上記第1導電層、第2導電層およびペ ゴム層は、その体積固有抵抗がそれぞれ1×10 8 ω・cm以下であり、上記カーカスプライは、 の体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下であり、少なくとも上記クリンチ 、チェーファー部および第1導電層と接する 造であることを特徴とする。

 上記体積固有抵抗を有するカーカスプラ は、カーカスコードと、該カーカスコード 被覆する接着樹脂層とから構成され、この 着樹脂層は、金属箔を含むことが好ましい また、接着樹脂層に金属箔を含む場合は、 ーカスコードの90質量%以上がレーヨンであ ことが好ましい。

 また、本発明の別の態様として、上記体 固有抵抗を有するカーカスプライは、カー スコードとゴム層とを備え、このカーカス ードは、0.5質量%~20質量%の導電性繊維を含 導電性繊維材料で構成されることが好まし 、この導電性繊維は、ポリピロールからな ことが好ましい。

 本発明の空気入りタイヤは、体積固有抵 を制御したカーカスプライを用いることに りタイヤ全体の電気抵抗を低減できるもの あって、トレッド部、サイドウォール部、 レーカー部、クリンチ部およびチェーファ 部をそれぞれ構成するゴムを特定の体積固 抵抗を有するものとし、カーカスとブレー ー部のエッジ部分およびサイドウォールと 間に導電層を設け、さらに少なくともクリ チ部、チェーファー部および導電層と上記 ーカスプライが接する構造とすることによ て、タイヤの静電気をより効率よく低減す ことができ、ウェットグリップを維持し転 り抵抗を十分に低減させ、かつ使用時の安 性が向上させることができる。

本発明に係る空気入りタイヤの断面図 右半分を例示した図である。

符号の説明

 1 空気入りタイヤ、2 チェーファーゴム 3 クリンチゴム、4 第1導電層、5 第2導電 、6 ペンゴム層、7 トレッドゴム、8 サイ ウォールゴム、9 ブレーカーゴム、10 カー ス。

 <空気入りタイヤ>
 本発明の空気入りタイヤの構造は、たとえ 図1のタイヤ断面の右上半分に例示されるも のである。タイヤ1は、トレッド部を構成す トレッドゴム7と、その両端からタイヤ半径 向内方にのびる一対のサイドウォール部を 成するサイドウォールゴム8と、各サイドウ ォール部の内方端に位置するクリンチ部を構 成するクリンチゴム3およびリム上部に位置 るチェーファー部を構成するチェーファー ム2とを備える。またクリンチ部、チェーフ ー部間にはカーカス10が架け渡されるとと に、このカーカス10のタイヤ半径方向外側に ブレーカー部を構成するブレーカーゴム9が される。該カーカス10は、カーカスコードを 配列する1枚以上のカーカスプライから形成 れ、このカーカスプライは、トレッド部か サイドウォール部を経て、ビードコアと、 ビードコアの上端からサイドウォール方向 延びるビードエーペックスとの廻りをタイ 軸方向の内側から外側に折返され、折返し によって係止される。ブレーカー部は、ブ ーカーコードを配列した2枚以上のプライ(ブ レーカーゴム9)からなり、各ブレーカーコー がプライ間で交差するよう向きを違えて重 している。本発明の空気入りタイヤにおい は、トレッド部とブレーカー部との間に導 層が設けられる。該導電層は、カーカス10 構成するカーカスプライとブレーカー部を 成するブレーカーゴム9のエッジ部分および イドウォール部との間に設けられる第1導電 層4と、少なくとも該第1導電層4に接し、トレ ッドゴム7とブレーカーゴム9との間に配され トレッド部の全面または一部に設けられる 2導電層5、および、トレッド部に埋設され 2導電層5とトレッド表面とを連続するペンゴ ム層6とからなる。

 <トレッド部、サイドウォール部、ブレー カー部>
 本発明の空気入りタイヤにおいては、トレ ド部、サイドウォール部、およびブレーカ 部をそれぞれ構成するトレッドゴム、サイ ウォールゴムおよびブレーカーゴムの体積 有抵抗がいずれも1×10 8 ω・cm以上に設定される。該体積固有抵抗が1 10 8 ω・cm以上であれば、十分な転がり抵抗を維 することができ、耐久性が損なわれたり、 工性が低下したりする危険性が少ない。

 本発明においては、上記トレッド部、サ ドウォール部、およびブレーカー部を構成 るゴムのそれぞれに配合される上記の充填 のうち50質量%以上がシリカであることが好 しい。充填剤のうち50質量%以上をシリカが める場合、タイヤの転がり抵抗の低減効果 良好である。充填剤のうちシリカが占める 合は、より好ましくは70質量%以上であり、 らに好ましくは90質量%以上である。本発明 おいては、上記充填剤のすべてがシリカで ってもよいが、トレッドゴム、ブレーカー ムおよびサイドウォールゴムのそれぞれの 電性や機械的強度を調整する目的で他の充 剤が併用されることも好ましい。

 上記トレッドゴム、サイドウォールゴム よびブレーカーゴムに配合されるシリカと ては汎用ゴム一般に用いられるものを使用 ることができ、たとえば補強材として使用 れる乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワ トカーボン、コロイダルシリカ等が挙げら る。中でも含水ケイ酸を主成分とする湿式 ホワイトカーボンが好ましい。

 上記シリカのBET法により測定した窒素吸着 表面積(BET比表面積)が、たとえば50~300m 2 /gであることが好ましく、さらに100~200m 2 /gの範囲内であることが好ましい。シリカのB ET比表面積が50m 2 /g以上である場合、補強効果が十分得られる とによりタイヤの耐摩耗性が良好に向上す 。一方該BET比表面積が300m 2 /g以下である場合、それぞれのゴムの製造時 加工性が良好であり、タイヤの操縦安定性 良好に確保される。なお、BET比表面積は、A STM D3037-81に準じて測定することができる。

 上記トレッドゴム、ブレーカーゴムおよ サイドウォールゴムのそれぞれにおけるシ カの配合量は、ゴム成分の100質量部に対し たとえば5質量部以上100質量部以下とするこ とができる。シリカの配合量がゴム成分100質 量部に対して5質量部以上である場合、タイ の耐摩耗性が良好であり、100質量部以下で る場合、トレッドゴム、ブレーカーゴムお びサイドウォールゴムの製造時における未 硫ゴム組成物の粘度上昇による加工性の低 やコストの過度な上昇を良好に防止できる

 ここで、トレッドゴム、サイドウォールゴ またはブレーカーゴムにカーボンブラック 配合する場合は、タイヤを構成するゴムに 強効果を付与できる点から、その配合量を ム成分100質量部に対して10質量部以上150質 部以下とすることが好ましい。また、上記 ーボンブラックとしては、BET比表面積が70~30 0m 2 /gの範囲内であり、DBP吸油量が5~300ml/100gの範 内であって、かつヨウ素吸着量が146~152mg/g 範囲内を使用することが補強効果の点で好 である。

 なお、本発明において体積固有抵抗とは 温度23℃および相対湿度55%の恒温恒湿条件 、印加電圧を1000VとしてJIS規格、K 6271にし がい測定した体積低効率をいうものとする

 上述のように少なくともトレッド部、サイ ウォール部およびブレーカー部をそれぞれ 成するゴムの体積固有抵抗がいずれも1×10 8 ω・cm以上である場合は、ビードのリムと接 る部分に設けられるゴム層とトレッド表面 を電気的に連続した構造としなければ、タ ヤの静電気をタイヤ外部に放出することが 難である。本発明においては、クリンチ部 よびチェーファー部をそれぞれ構成するク ンチゴムおよびチェーファーゴムの体積固 抵抗を特定の値とし、かつ特定の体積固有 抗を有する導電層を設けて、それらを特定 カーカスにより電気的に連続したものとな 構造とすることにより、タイヤの静電気を り効率よくタイヤ外部に放出することがで る。

 <クリンチ部、チェーファー部>
 上述のように本発明の空気入りタイヤにお て、クリンチ部およびチェーファー部をそ ぞれ構成するクリンチゴム3およびチェーフ ァーゴム2の体積固有抵抗はいずれも1×10 8 ω・cm以下に設定される。該体積固有抵抗は1 10 8 ω・cm以下であればよく、クリンチゴムおよ チェーファーゴムの体積固有抵抗を上記範 とすることによって、タイヤの電気導電性 確保できる。

 上記クリンチゴムおよびチェーファーゴ は、体積固有抵抗を上記範囲とするために これらを構成するゴム成分100質量部に対し 30~100質量部の範囲内でカーボンブラックを 合することが好ましい。ゴム成分100質量部 対して30質量部以上のカーボンブラックが 合される場合、導電層の導電性が良好であ 点で好ましい。またカーボンブラックの含 量がゴム成分100質量部に対して100質量部以 である場合耐久性が良好である点で好まし 。カーボンブラックの配合量は、ゴム成分10 0質量部に対して35質量部以上がより好ましく 、さらに40質量部以上が好ましく、80質量部 下がより好ましく、さらに70質量部以下が好 ましい。

 クリンチゴムおよびチェーファーゴムに配 されるカーボンブラックのBET比表面積は、1 00m 2 /g以上1500m 2 /g以下とされることが好ましい。該BET比表面 が100m 2 /g以上である場合導電層の機械的強度が良好 あり、1500m 2 /g以下である場合製造時の加工性を確保する で好ましい。該BET比表面積は、105m 2 /g以上がより好ましく、また、1300m 2 /g以下、さらに1000m 2 /g以下がより好ましい。

 本発明におけるクリンチゴムおよびチェ ファーゴムは、カーボンブラック以外に、 填剤としてたとえばシリカ等を含有しても いが、良好な導電性を付与するという観点 ら、これらのゴムに充填される全充填剤の ち8質量%以上、さらに15質量%以上、さらに10 0質量%をカーボンブラックが占めることがよ 好ましい。

 <ペンゴム層>
 本発明のタイヤにおいては、タイヤに発生 る静電気を効率よく放出するために、上記 レッド部内に、後述のトレッド部とブレー ー部の間に配される第2導電層5に接し、ト ッド部表面まで連続するペンゴム層6を備え 該ペンゴム層の体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下に設定される。該体積固有値が1×10 8 ω・cm以下であればタイヤの導電性の向上効 (静電気の放出効率)が所望の程度得られる。 該導電層の体積固有抵抗は、好ましくは1×10 7 ω・cm以下であり、1×10 6 ω・cm以下に設定されることがより好ましい タイヤの導電性を向上させる点で該導電層 体積固有抵抗は低い程好ましい。

 ペンゴム層を構成するゴムとしては、上 クリンチゴムおよびチェーファーゴムの場 と同範囲でカーボンブラックを配合したゴ を用いることができる。また、配合するカ ボンブラックとしても、上記クリンチゴム よびチェーファーゴムと同様のBET比表面積 有するものとすることが好ましい。

 本発明においてペンゴム層の厚みは0.2mm 上であることが好ましく、0.2mm以上であれば タイヤ導電性の向上効果が所望の程度得られ る。また該ペンゴム層の厚みは2.0mm以下であ ことが好ましく、この範囲であればトレッ 表面に顕在する場合においてもタイヤの転 り抵抗を大きく悪化させることがない。導 層の厚みは、0.5mm以上、さらに0.9mm以上がよ り好ましく、また、1.5mm以下がより好ましい

 また、該ペンゴム層のトレッド部内にお る構造は、第2導電層とトレッド表面とを直 接連続させる限り特に限定されるものではな く、たとえば、厚みが0.2mmのゴム層をタイヤ 方向に連続的に設けたり、厚みが0.2mm、幅 3mmの板状のゴムをトレッド内部の一部また タイヤ周方向に断続的に設したりすること できる。なかでも、静電気の放出効率の点 らは、タイヤ周方向に連続的に設けること 好ましい。また、上記ペンゴム層はトレッ 内部である限り、タイヤ幅方向の中心側、 イドウォール側を問わず任意に設けること できるが、ペンゴム層を確実に接地させる めにはタイヤのトレッドの中央部付近に設 ることが好ましい。

 <第1導電層>
 本発明における上記第1導電層4は、後述の ーカス10を構成するカーカスプライとブレー カー部のエッジ部分およびサイドウォール部 との間に設けられる、体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下に設定されたゴムからなる。該体 固有値が1×10 8 ω・cm以下であればタイヤの導電性の向上効 が所望の程度得られる。該導電層の体積固 抵抗は、好ましくは1×10 7 ω・cm以下であり、1×10 6 ω・cm以下に設定されることがより好ましい タイヤの導電性の向上効果という点で該導 層の体積固有抵抗は低い程好ましい。一方 該導電層の体積固有抵抗は1×10 3 ω・cm以上であることが好ましく、1×10 4 ω・cm以上に設定されることがより好ましい

 上記体積固有抵抗を有する第1導電層を構 成するゴムは、ゴム成分100質量部に対して、 カーボンブラックを30~100質量部配合したゴム であることが好ましい。カーボンブラックを 該範囲内とする場合、第1導電層の導電性を 好にすることができ、また耐久性が良好で る点で好ましい。第1導電層を構成するゴム おいて、カーボンブラックの配合量は、ゴ 成分100質量部に対して35質量部以上がより ましく、さらに40質量部以上が好ましい。ま た、カーボンブラックの配合量を80質量部以 とすることがより好ましく、さらに好まし は70質量部以下である。

 第1導電層を構成するゴムに配合されるカー ボンブラックのBET比表面積は、100m 2 /g以上1500m 2 /g以下とすることが好ましい。該BET比表面積 100m 2 /g以上である場合第1導電層の機械的強度が良 好であり、1500m 2 /g以下である場合製造時の加工性を確保する で好ましい。該BET比表面積は、105m 2 /g以上がより好ましく、また、1300m 2 /g以下、さらに1000m 2 /g以下がより好ましい。

 上記第1導電層を構成するゴムは、カーボ ンブラック以外に、充填剤としてたとえばシ リカ等を含有してもよいが、良好な導電性を 付与するという観点から、全充填剤のうち8 量%以上、さらに15質量%以上、さらに100質量% をカーボンブラックが占めることがより好ま しい。

 上記第1導電層の形状は特に限定されるも のではなく、上述のようにカーカスを構成す るカーカスプライとブレーカー部のエッジ部 分およびサイドウォールとの間にタイヤ周方 向に連続して配されていればよく、たとえば 第1導電層の厚みなどは特に限定されない。

 <第2導電層>
 本発明における第2導電層5は、上記第1導電 4と上記ペンゴム層6とに接して設けられる 体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下に設定されたゴムからなる。上記 積抵抗値が1×10 8 ω・cm以下であればタイヤの導電性の向上効 が所望の程度得られる。また、該体積固有 抗は、上記第1導電層と同様に設定すること でき、好ましくは1×10 7 ω・cm以下であり、より好ましくは1×10 6 ω・cm以下であり、また、1×10 3 ω・cm以上とすることが好ましく、1×10 4 ω・cm以上に設定することがより好ましい。

 上記体積固有抵抗を有する第2導電層を構 成するゴムは、ゴム成分100質量部に対して、 カーボンブラックを30~100質量部配合したゴム であることが好ましい。カーボンブラックを 該範囲内とする場合、第2導電層の導電性を 好にすることができ、また耐久性が良好で る点で好ましい。第1導電層を構成するゴム おいて、カーボンブラックの配合量は、ゴ 成分100質量部に対して35質量部以上がより ましく、さらに40質量部以上が好ましい。ま た、カーボンブラックの配合量を80質量部以 とすることがより好ましく、さらに好まし は70質量部以下である。

 第2導電層を構成するゴムに配合されるカー ボンブラックのBET比表面積は、100m 2 /g以上1500m 2 /g以下とすることが好ましい。該BET比表面積 100m 2 /g以上である場合第2導電層の機械的強度が良 好であり、1500m 2 /g以下である場合製造時の加工性を確保する で好ましい。該BET比表面積は、105m 2 /g以上がより好ましく、また、1300m 2 /g以下、さらに1000m 2 /g以下がより好ましい。

 上記第2導電層を構成するゴムは、カーボ ンブラック以外に、充填剤としてたとえばシ リカ等を含有してもよいが、良好な導電性を 付与するという観点から、全充填剤のうち8 量%以上、さらに15質量%以上、さらに100質量% をカーボンブラックが占めることがより好ま しい。

 上記第2導電層の厚みは特に限定されない が、タイヤの導電性の向上効果の点から、0.2 mm以上とすることが好ましく、より好ましく 0.5mm以上である。また、該第2導電層の厚み 上限としては、タイヤの構造上トレッド部 構成するトレッドゴムとブレーカー部を構 するブレーカーゴムの間の間隔を超えない みであればよいが、タイヤの発熱を抑える から、1.0mm以下としておくことが好ましい

 上記第2導電層は、第1導電層とペンゴム と接する部分を有していればよく、トレッ 部とブレーカー部の間全面にわたり設けた 、上記ペンゴム層が配された位置まで、ま はそれを超える範囲で部分的に設けたりす ことができる。

 また、第2導電層と第1導電層およびペン ム層の接する部分について、上記第1導電層 はタイヤ周方向に帯状の5mm以上の幅で接触 ている部分があることが好ましく、10mm以上 接触していることがより好ましい。第1導電 と第2導電層とを上記の条件で接触させるこ により、タイヤの導電性効果が十分に得ら るものとなる。上記ペンゴム層との接触は ペンゴム層のタイヤ幅方向の全面が接して ることが好ましい。

 <カーカス>
 本発明におけるカーカス10は、カーカスコ ドを配列する1枚以上のカーカスプライから 成される。該カーカスプライは、体積固有 抗が1×10 8 ω・cm以下である導電性繊維材料を含み、一 にカーカスコートとゴム層とから構成され 。

 <カーカスコード>
 カーカスコードを構成する繊維材料として 、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ア ミド、高強力ビニロンなどを例示すること でき、これらは単独で用いても2種以上を混 合して用いてもよい。カーカスコードを構成 する繊維材料なかでも、タイヤの操縦安定性 の点からレーヨンを用いることが好ましい。 また、カーカスコードを構成する繊維材料に 対してレーヨンを90質量%以上使用することが 好ましく、該使用量とすることによって、操 縦安定性を最適にすることができる。

 <カーカスプライ>
 本発明におけるカーカスプライは、第1の態 様として、カーカスコードと該カーカスコー ドを被覆する接着樹脂層とから構成される上 記導電性繊維材料からなる。この接着樹脂層 は、金属箔を含むものであり、このように金 属箔を含むことにより体積固有抵抗を1×10 8 ω・cm以下とする。上記繊維材料の表面には レゾルシン、ホルマリン、ゴムラテックス どからなるRFL系の接着性を付与する液に浸 て乾燥させることにより接着樹脂層が形成 れる。本発明における上記導電性繊維材料 接着樹脂層は、導電性物質を含む。導電性 質としては、金属箔、金属粒子、導電性ポ マーなどを例示することができる。なかで 、良好な導電性を付与できる点から金属箔 好ましく、たとえば、銀、銅、鉄などの導 性に優れる金属を用いることが好ましい。 記導電性物質として金属箔を適用する場合 その形状は上記導電性繊維材料の体積固有 抗を1×10 8 ω・cm以下に設定できるものであれば特に限 されるものではなく、たとえば接着樹脂層 体に対する金属箔の割合を体積比で0.1%以上 することにより、上記体積固有抵抗を達成 きるものとなる。体積固有抵抗が低減され ことが好ましいことから、金属箔の接着樹 層に占める割合は大きいほうがよいが、接 性を確保する点から、上限を体積比で5%と ることが好ましい。

 上記体積固有抵抗を1×10 8 ω・cm以下に設定することができれば、上記 着樹脂層における金属箔の分布は特に限定 れるものではないが、各タイヤ部材との接 効率が向上してタイヤ全体の導電性を向上 せることとなることから、金属箔を均一に 布させておくことが好ましい。このように 着樹脂層に金属箔を均一に分布させる方法 しては、たとえば、接着樹脂層の形成に用 られる接着性を付与する液に金属箔を分散 せて、該液を攪拌し、そこに繊維を浸漬す ことによって、繊維材料上に金属箔が均一 分散した接着樹脂層を形成させる方法があ られる。

 また、本発明におけるカーカスプライは、 2の態様として、カーカスプライを構成する カーカスコードとして、0.5質量%~20質量%の導 性繊維を含む体積固有抵抗が1×10 8 ω・cm以下である導電性繊維材料を用いる。 ーカスコードにおいて導電性繊維の占める 合は、該繊維の導電性に因るため特に限定 れるものではないが、カーカスコードとし 必要な強度や耐疲労性などの特性を大きく えない点から0.5質量%~12質量%とすることがよ り好ましい。

 第2の態様における上記導電性繊維として は、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、 ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリ ンなどを挙げることができ、これらのいずれ も好適に使用することができるが、なかでも ポリピロールを用いることが好ましい。

 カーカスコードを構成する繊維材料と上 導電性繊維は、カーカスコードを構成する 維材料の周りに上記導電性材料を巻きつけ 構造とすることが好ましい。このような構 とすることにより、カーカスコードの強度 好適なものとなる。

 上記のような構成としたカーカスコードの 積固有抵抗は1×10 8 ω・cm以下である。カーカスコードの体積固 抵抗をこの範囲とすることにより、走行に りタイヤに発生する静電気を効率よく放出 ることができる。カーカスコードの体積固 抵抗は、1×10 7 ω・cm以下がより好ましい。

 上記第2の態様においては、繊維材料の表 面に、レゾルシン、ホルマリン、ゴムラテッ クスなどからなるRFL系の接着性を付与する液 に浸して乾燥させることにより、一般にタイ ヤのカーカスコードに設けられる接着樹脂層 が形成される。

 本発明におけるカーカスを構成する上記 ーカスプライは、上記第1および第2の態様 いずれにおいても、少なくとも上記クリン ゴム、チェーファーゴムおよび第1導電層と するように配置される。具体的には、たと ば、第2の態様では上記クリンチゴム、チェ ーファーゴムおよび第1導電層と接する部分 カーカスコードを被覆するゴム層を除去し 、カーカスコードと上記のようなゴムおよ 導電層と直接接触できるようにすることに り、上記のようなゴムおよび導電層と電気 に接触した状態とすることができる。上記 1導電層、第2導電層およびペンゴム層を連続 した構造とすることに加えて、十分に低減さ れた体積固有抵抗を有するカーカスプライを 、クリンチゴム、チェーファーゴムおよび第 1導電層とが接した配置とすることによって リムを通じた静電気の放出効率を著しく向 させることができる。

 <ゴム組成物>
 本発明において用いられるゴム成分は、天 ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくと いずれかからなる天然ゴム成分を含むこと 好ましい。

 天然ゴム(NR)としては、ゴム工業において 従来用いられているものを使用することがで き、たとえば、RSS#3、TSRなどのグレードの天 ゴムを挙げることができる。

 エポキシ化天然ゴム(ENR)は、天然ゴムの不 和二重結合がエポキシ化された変性天然ゴ の一種であり、極性基であるエポキシ基に り分子凝集力が増大する。そのため、天然 ムよりもガラス転移温度(T g )が高く、かつ機械的強度や耐磨耗性、耐空 透過性に優れる。特に、ゴム組成物中にシ カを配合した場合においては、シリカ表面 シラノール基とエポキシ化天然ゴムのエポ シ基との反応に起因して、カーボンブラッ をゴム組成物中に配合する場合と同程度の 械的強度や耐磨耗性を得ることができる。

 エポキシ化天然ゴム(ENR)としては、市販 ものを用いてもよいし、天然ゴム(NR)をエポ シ化したものを用いてもよい。天然ゴム(NR) をエポキシ化する方法としては、特に限定さ れるものではなく、たとえばクロルヒドリン 法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒ ドロペルオキシド法、過酸法などを挙げるこ とができる。過酸法としては、たとえば天然 ゴムのエマルジョンに過酢酸や過蟻酸などの 有機過酸をエポキシ化剤として反応させる方 法を挙げることができる。

 エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率 、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより 好ましい。ここで、エポキシ化率とは、エポ キシ化前の天然ゴム中の二重結合の全数のう ちエポキシ化された数の割合を意味し、たと えば滴定分析や核磁気共鳴(NMR)分析等により められる。エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポ シ化率が5モル%未満の場合、エポキシ化天然 ゴム(ENR)のガラス転移温度が低いために、ゴ 組成物のゴム硬度が低く、たとえば該ゴム 成物をインナーライナーゴムとして用いた 合には、空気入りタイヤの耐久性および耐 労性が低下する傾向がある。また、エポキ 化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、60モル% 下が好ましく、50モル%以下がより好ましい エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率が60 ル%を超える場合、ゴム組成物が硬くなるこ とによって機械強度が低下する傾向がある。

 エポキシ化天然ゴム(ENR)として、より典 的には、エポキシ化率25モル%のエポキシ化 然ゴムや、エポキシ化率50モル%のエポキシ 天然ゴムなどを例示できる。

 本発明において、ゴム成分中の天然ゴム 分の含有率は10質量%以上とされることが好 しい。該含有率が10質量%未満である場合、 油資源由来の原料の使用量の低減効果が低 なる傾向がある。天然ゴム成分の該含有率 、30質量%以上、さらに50質量%以上、さらに6 0質量%以上であることがより好ましい。石油 源由来の原料の使用量の低減効果が良好で る点で、天然ゴム成分の該含有率は100質量% であることが好ましいが、所望のタイヤ特性 に応じて、たとえば該含有率を90質量%以下、 さらに80質量%以下とし、ゴム成分中の残部と して天然ゴム成分以外のゴムを配合してもよ い。

 本発明のゴム成分は、前述のように定義 れる天然ゴム成分以外にも、石油外資源由 のゴムとして、たとえば水素化天然ゴムな の変性天然ゴムなどを含有することができ 。

 また、ゴム成分は、本発明の効果を損な ない範囲で石油資源由来のゴムを含有して よい。石油資源由来のゴムとしては、たと ば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジ ンゴム(BR)、スチレンイソプレン共重合体ゴ 、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ク ロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジ エンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、 イソブチレンとp-メチルスチレンとの共重合 のハロゲン化物などを例示できる。中でも ゴム組成物の硬度を高くでき、空気入りタ ヤに対して特に良好な耐久性および耐疲労 を付与できる点で、SBR、BR、IR、IIRが好まし い。

 ゴム成分中の天然ゴム(NR)の含有率は、10 量%以上であることが好ましい。天然ゴム(NR )の該含有率が10質量%未満の場合、ゴム組成 の機械強度が低くなる傾向がある。天然ゴ (NR)の該含有率は、30質量%以上、さらに40質 %以上であることがより好ましい。また、ゴ 成分中の天然ゴム(NR)の含有率は、90質量%以 下であることが好ましい。天然ゴム(NR)の該 有率が90質量%を超える場合、ゴム組成物の 屈曲性が低くなる傾向がある。天然ゴム(NR) 該含有率は、80質量%以下、さらに70質量%以 であることがより好ましい。

 ゴム成分中のエポキシ化天然ゴム(ENR)の 有率は、5質量%以上であることが好ましい。 エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有率が5質量% 満の場合、耐屈曲性の改善効果が低くなる 向がある。エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有 率は、10質量%以上、さらに20質量%以上、さら に30質量%以上であることがより好ましい。ま た、ゴム成分中のエポキシ化天然ゴム(ENR)の 有率は、60質量%以下であることが好ましい エポキシ化天然ゴム(ENR)の含有率が60質量% 超える場合、ゴム硬度が大きくなり過ぎる めにゴム組成物の機械強度が低くなる傾向 ある。エポキシ化天然ゴム(ENR)の該含有率は 、50質量%以下であることがより好ましい。

 本発明における上記ゴム組成物には、そ 他ゴム製品において一般的に配合される以 の成分を適宜配合することができる。

 本発明におけるトレッド部、サイドウォ ル部およびブレーカー部を構成するゴムの うにゴム組成物にシリカを配合する場合は タイヤの耐摩耗性および操縦安定性を向上 せることができることから、シラン系カッ リング剤や含硫黄シランカップリング剤な のシランカップリング剤を配合することが ましい。なかでも含硫黄シランカップリン 剤を配合することが好ましい。

 上記シラン系カップリング剤としては、 ニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2-メ キシエトキシ)シラン、γ-グリシドキシプロ ピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシ プロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエ チル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ -クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-ア ノプロピルトリエトキシシラン等を使用す ことができる。

 また、含硫黄シランカップリング剤とし は、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメ チルチオカルバモイル-テトラスルフィド、 リメトキシシリルプロピル-メルカプトベン チアゾールテトラスルフィド、トリエトキ シリルプロピル-メタクリレート-モノスル ィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N- ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィ 、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]テ トラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリ トキシシラン等が例示される。

 上記シランカップリング剤は、各ゴム組 物におけるシリカの質量に対して1質量%以 20質量%以下の範囲内で配合することが好ま い。シランカップリング剤の配合量が1質量% 以上の場合、耐摩耗性および操縦安定性の向 上効果が良好に得られる。またシランカップ リング剤の配合量が20質量%以下の場合、ゴム の混練、押出工程での焼け(スコーチ)が生じ 危険性が少ないので好ましい。

 本発明においては、用途に応じてその他 カップリング剤、例えばアルミネート系カ プリング剤、チタン系カップリング剤を単 またはシラン系カップリング剤と併用して 用することも可能である。

 その他の充填剤としては、カーボンブラ ク、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カル ウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニ ム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウ 、酸化チタン等をあげることができ、これ の充填剤は単独あるいは2種以上混合して用 いることができる。

 ゴム組成物には、上記充填剤他に、加硫 、加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、老化防止 、発泡剤およびスコーチ防止剤等を適宜配 することができる。

 加硫剤としては、有機過酸化物もしくは 黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物と ては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイ 、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパ オキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイ 、メチルエチルケトンパーオキサイド、ク ンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5 -ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチ ル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2, 5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシ -3あるいは1,3-ビス(t-ブチルパーオキシプロ ル)ベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキシ-ジイ プロピルベンゼン、t-ブチルパーオキシベン ゼン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイ 、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチル シロキサン、n-ブチル-4,4-ジ-t-ブチルパーオ シバレレートなどを使用することができる また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、 黄、モルホリンジスルフィドなどを使用す ことができ、なかでも硫黄が好ましい。

 加硫促進剤としては、スルフェンアミド 、チアゾール系、チウラム系、チオウレア 、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、 ルデヒド-アミン系またはアルデヒド-アン ニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサ テート系加硫促進剤のうち少なくとも一つ 含有するものを使用することが可能である

 老化防止剤としては、アミン系、フェノ ル系、イミダゾール系の各化合物や、カル ミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択し 使用することが可能である。

 本発明ではゴム組成物の練り加工性を一 向上させるために軟化剤を併用してもよい 軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油 パラフィン、流動パラフィン、石油アスフ ルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、ヒマ 油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂 油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カ ナバロウ、ラノリンなどのワックス類、リ ール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラ リン酸などの脂肪酸、等が挙げられる。

 上記可塑剤としては、フタル酸ジメチル( DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチ ル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸 オクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、 フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチル ベンジル(BBP)、フタル酸ジラウリル(DLP)、フ ル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、無水ヒドロフ ル酸エステル、アゼライン酸ジ-2-エチルヘ シル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシ 酸ジオクチル(DOS)、クエン酸アセチルトリ チル、クエン酸アセチルトリブチル、マレ ン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸-2-エチルヘキ シル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)等が挙げら 、いずれも好適に用いることができる。

 スコーチ防止剤としては、スコーチを防 または遅延させるためのものであり、たと ば無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸な の有機酸、N-ニトロソジフェニルアミンな のニトロソ化合物、N-シクロヘキシルチオフ タルイミド等を使用することができる。

 本発明において、ゴム組成物の混錬温度 よび時間などの諸条件は、各タイヤ部材を 成するゴムにおいて一般に行なわれている 錬条件とすることができる。

 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細 説明するが、本発明はこれらに限定される のではない。

 <クリンチ部およびチェーファー部用ゴム 組成物>
 表1に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てクリンチ部およびチェーファー 用ゴム組成物1aおよび1bを作製した。

 得られたゴム組成物1aおよび1bのそれぞれ を150℃で30分間加硫成形した後、厚み2mmで15cm 四方の試験片を切り出し、23℃および相対湿 55%の恒温恒湿条件で、印加電圧を1000Vとし JIS規格、K 6271にしたがいADVANTES製の電気抵 測定器(R8340A)を用いて体積固有抵抗(体積低 率)を測定した。結果を表1に示す。

 <第1導電層用ゴム組成物>
 表3に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物2を作製した。

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物2を加硫成形した後、体積固有抵抗を 測定した。結果を表2に示す。

 <第2導電層用ゴム組成物の作製>
 表3に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物3を作製した。

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物3を加硫成形した後、体積固有抵抗を 測定した。結果を表3に示す。

 <ペンゴム層用ゴム組成物の作製>
 表5に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物4を作製した。

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物4を加硫成形した後、体積固有抵抗を 測定した。結果を表4に示す。

 <トレッド部用ゴム組成物の作製>
 表6に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物5を作製した。

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物5を加硫成形した後、体積固有抵抗を 測定した。結果を表5に示す。

 <サイドウォール部用ゴム組成物の作製> ;
 表7に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物6aおよび6bを作製した

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物6aおよび6bをそれぞれ加硫成形した後 、体積固有抵抗を測定した。結果を表6に示 。

 <ブレーカー部用ゴム組成物の作製>
 表8に示す配合成分のうち硫黄および加硫促 進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキ サーを用いて140℃で4分間混練した後、硫黄 よび加硫促進剤を加えて95℃で2分間さらに り込み、定法により押出し工程、カレンダ 工程を経てゴム組成物7aおよび7bを作製した

 また、クリンチ部およびチェーファー部 ゴム組成物と同条件において、得られたゴ 組成物7aおよび7bをそれぞれ加硫成形した後 、体積固有抵抗を測定した。結果を表7に示 。

 上記表1~表7中における各配合は以下のもの 用いた。
天然ゴム:タイ製、商品名「TSR20」
合成ゴム1:JSR(株)製、商品名「SBR1500」
合成ゴム2:JSR(株)製、商品名「SBR1502」
ポリブタジエン:日本ゼオン(株)製、商品名「 BR150B」
カーボンブラックN220:東海カーボン(株)製、 品名「シースト6」(BET比表面積:119m 2 /g)
カーボンブラックN330:三菱化学(株)製、商品 「ダイアブラック H」(BET比表面積:79m 2 /g)
シリカ:デグサ社製、商品名「VN3」(BET比表面 :175m 2 /g)
シランカップリング剤:デグサ社製、商品名 Si69」
アロマチックオイル:出光興産(株)、商品名「 ダイアナプロセスAH40」
ワックス:大内新興化学工業(株)製、商品名「 サンノックN」
老化防止剤:住友化学工業(株)製、商品名「ア ンチゲン6C」
ステアリン酸:日本油脂(株)製、商品名「ステ アリン酸 椿」
ステアリン酸コバルト:大日本インキ工業(株) 製、商品名「COST-F」
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
硫黄:軽井沢製錬(株)製、商品名「粉末硫黄」
不溶性硫黄:四国化成工業(株)製、商品名「ミ ュークロンOT20」
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製、商品名 「ノクセラーNS-P」
 <導電性繊維材料の作製1>
 レーヨンを質量比で90%含む繊維材料の表面 、厚み0.15μm、0.5×0.5mmの金属箔(銀)を質量比 で2%含む表面接着樹脂層を備え、この表面接 樹脂層の付着量が繊維材料の5.0%(質量比)と た導電性繊維材料Aを作製した。

 また、レーヨンを質量比で90%含む繊維材 の表面に、繊維材料に対する付着量が5.0%( 量比)である表面接着樹脂層を有する、導電 繊維材料Bを作製した。

 上記導電性繊維材料AおよびBの体積固有抵 の測定結果を表8に示す。
 <導電性繊維材料の作製2>
 導電性繊維としてポリピロールを質量比で1 0%含み、その他の繊維材料がポリエチレンテ フタレートである導電性繊維材料Cを作製し た。

 また、比較例として、ポリエチレンテレ タレートのみからなる導電性繊維材料Dを作 製した。

 上記導電性繊維材料CおよびDの体積固有 抗の測定結果を表9に示す。なお、これらの 維材料は、その表面を公知のRFLを主成分と る接着処理液により処理して、後述のタイ の作製に供した。

 なお、上記導電性繊維材料CおよびDは、 発明の体積固有抵抗を満たすものではない 、便宜上導電性繊維材料と表す。

 (実施例1および2、比較例1~8)
 表10または表11に示す組合せで上記のように 作製したゴム組成物をそれぞれ、トレッド部 、サイドウォール部、ブレーカー部、クリン チ部、チェーファー部、ペンゴム層、第1導 層および第2導電層に適用し、160℃で20分間 レスにより加硫成形し、図1に示す構造また 図1に示す構造に準じた構造を有するサイズ 195/65R15の空気入りタイヤを作製した。得られ た空気入りタイヤの構造は以下のとおりであ る。

 <空気入りタイヤの構造>
 カーカス:材料 表8または表9に記載の導電 繊維材料
 ブレーカー部:材料 スチールコード、構造 2+2×0.23HT
                      40コード/5cm
        角度 24°×24°
 <タイヤ導電性>
 上記で作製した空気入りタイヤを正規リム 装着し、規定内圧2.0MPaを充填して、荷重4.7k Nで鉄板にトレッド部を接地させ、印加電圧10 0Vにおいてタイヤリム部と鉄板との間の電気 抗値を測定した。結果を表10または表11に示 す。

 <転がり抵抗>
 上記で作製した空気入りタイヤを正規リム 装着し、規定内圧2.0MPaを充填して、STL社製 転がり抵抗試験機を用い、速度80km/h、荷重4 .7kNで転がり抵抗を測定した。転がり抵抗の 定値を付加荷重で除した転がり抵抗係数(RRC) につき、実施例1、比較例1~4の転がり抵抗を 下記の式、
(転がり抵抗)=(比較例1の転がり抵抗係数)/(実 例1、比較例1~4のそれぞれの転がり抵抗係数 )×100
により比較例1を100として表示した。また、 施例2、比較例5~8の転がり抵抗を、下記の式
(転がり抵抗)=(比較例5の転がり抵抗係数)/(実 例2、比較例5~8のそれぞれの転がり抵抗係数 )×100
により比較例2を100として表示した。値が大 いほど転がり抵抗が小さく性能が良好であ 。結果を表10または表11に示す。

 表10および表11に示す結果より、導電性繊維 材料として体積固有抵抗が十分低減されてい ない導電性繊維材料BまたはDを用いた比較例1 および5においては、タイヤの静電気の低減 果が向上しないことが分かる。また、体積 有抵抗が十分低減された導電性繊維材料を いた場合でも、サイドウォール部やブレー ー部にシリカを配合しない比較例2、3、6お び7の場合では、タイヤの静電気の低減と転 り抵抗の向上というバランスを達成できた イヤとはならないことが分かる。また、体 固有抵抗が十分低減された導電性繊維材料 用いた場合でも、クリンチ部およびチェー ァー部に用いるゴム組成物の体積固有抵抗 十分に低減されていなければ、タイヤ全体 静電気を低減することはできないことがわ る。これに対して、実施例1および2のよう トレッド部、サイドウォール部、ブレーカ 部をそれぞれ構成するゴム組成物の体積固 抵抗を1.0×10 8 ω・cm以上とし、クリンチ部およびチェーフ ー部をそれぞれ構成するゴム組成物の体積 有抵抗を1.0×10 8 ω・cm以下として、体積固有抵抗を十分に低 した第1導電層、第2導電層およびペンゴム層 を設け、これらを体積固有抵抗が1.0×10 8 ω・cm以下に設定された導電性繊維材料Aまた Cを含むカーカスプライによって電気的に連 続した構造とした本発明の空気入りタイヤは 、転がり抵抗と静電気の抑制のいずれにも優 れることが分かる。

 以上のように本発明の実施の形態および 施例について説明を行なったが、上述の各 施の形態および実施例の構成を適宜組み合 せることも当初から予定している。

 今回開示された実施の形態および実施例 すべての点で例示であって制限的なもので ないと考えられるべきである。本発明の範 は上記した説明ではなくて請求の範囲によ て示され、請求の範囲と均等の意味および 囲内でのすべての変更が含まれることが意 される。

 転がり抵抗が大きく増大することなく路 とタイヤとの間における静電気の発生が防 された本発明の空気入りタイヤは、たとえ 乗用車、トラック、バス、重機等の各種車 に対して好ましく適用され得る。