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Title:
PROCESS AND APPARATUS FOR PRODUCING SEMI-SOLIDIFIED SLURRY OF IRON ALLOY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096411
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a semi-solidified slurry of an iron alloy which comprises pouring a melt of the iron alloy into a semi-solidified-slurry production vessel (30) and cooling the melt to obtain a semi-solidified slurry comprising a crystallized solid phase and a residual liquid phase, wherein a hypoeutectic cast iron composition is used as the material. The melt is poured in a given amount each time into the semi-solidified-slurry production vessel (30). The temperature of the melt which has been poured into the semi-solidified-slurry production vessel (30) is regulated so as to be not lower than the crystallization initiation temperature for the composition and be not higher than the temperature which is higher by 50°C than the crystallization initiation temperature. The rate of cooling the melt poured in the semi-solidified-slurry production vessel (30) is regulated to 20 °C/min or lower.

Inventors:
SHIKAI SYUICHI (JP)
FUJINAGA YASUSHI (JP)
SASAKI MINORU (JP)
ISSHIKI YOSHIHITO (JP)
NISHIKAWA SUSUMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/051987
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 06, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KOGI CORP (JP)
SHIKAI SYUICHI (JP)
FUJINAGA YASUSHI (JP)
SASAKI MINORU (JP)
ISSHIKI YOSHIHITO (JP)
NISHIKAWA SUSUMU (JP)
International Classes:
B22D17/00
Foreign References:
JPH1076356A1998-03-24
JPH10158756A1998-06-16
Attorney, Agent or Firm:
MUROTA, Rikio (101 Edomachi, Chuo-ku, Kobe-sh, Hyogo 33, JP)
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Claims:
 鉄系合金の溶湯を半凝固スラリー生成容器内に注湯して冷却することで、晶出固相と残留液相とからなる半凝固スラリーを得る鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法であって、亜共晶鋳鉄組成の材料を用い、この溶湯を所定量ずつ前記半凝固スラリー生成容器内に注湯すると共に、前記半凝固スラリー生成容器に注湯された際の溶湯の温度範囲を、その組成における晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下となるように制御し、且つ前記半凝固スラリー生成容器内に注湯された溶湯の冷却速度を、毎分20℃以下の冷却速度になるように制御することを特徴とする鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 半凝固スラリー生成容器の上方において、取鍋からの溶湯を所定量ずつ中継ぎ緩衝容器に一旦取り受けて、該中継ぎ緩衝容器内で前記取り受けた溶湯を冷却、均質化しながら、更に半凝固スラリー生成容器内に注湯するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 取鍋から取り受けた溶湯を、中継ぎ緩衝容器内で冷却、均質化しながら、底部に設けた流出孔から下方の半凝固スラリー生成容器内へ連続的に落下させて注湯するようにしたことを特徴としている請求項2に記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 中継ぎ緩衝容器から半凝固スラリー生成容器内への落下途中の溶湯を風冷するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 中継ぎ緩衝容器から半凝固スラリー生成容器への溶湯落下のエネルギーを用いて半凝固スラリー生成容器内の溶湯の攪拌を行わせることを特徴とする請求項3又は4に記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 注湯された溶湯の半凝固スラリー生成容器内での冷却速度が毎分20℃以下となるように、半凝固スラリー生成容器を予熱しておくことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 半凝固スラリー生成容器の予熱は、半凝固スラリー生成容器そのものを高周波誘導加熱することにより行うことを特徴とする請求項6に記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 生成された半凝固スラリーの取り出しは、半凝固スラリー生成容器を高周波誘導加熱することで、半凝固スラリー生成容器を介してそれに接している半凝固スラリー部分を加熱した状態で行うことを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法。
 亜共晶鋳鉄組成の溶湯を保持して注湯することができる溶湯注湯手段と、注湯された溶湯を冷却して半凝固状態のスラリーを生成させる半凝固スラリー生成容器とを有し、前記溶湯注湯手段は、亜共晶鋳鉄溶湯をその晶出開始温度以上であって且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下にして半凝固スラリー生成容器に注湯する注湯温度調節手段を備え、前記半凝固スラリー生成容器は受け入れた溶湯を毎分20℃以下の冷却速度で冷却する冷却速度調節手段を備えることを特徴とする鉄系合金の半凝固スラリーの製造装置。
 溶湯注湯手段は、溶解炉から溶湯を受け取って運んでくる取鍋と、半凝固スラリー生成容器の上方に配置されて前記取鍋から必要な所定量だけの溶湯を一旦取り受けると共に更にその取り受けた溶湯を半凝固スラリー生成容器内に注湯する中継ぎ緩衝容器とからなり、前記注湯温度調節手段は、中継ぎ緩衝容器に取り受けられる溶湯の取鍋出口での溶湯温度を所定温度範囲に調節する第1の温度調節手段と、中継ぎ緩衝容器で冷まされる溶湯の温度低下を調節して中継ぎ緩衝容器出口での溶湯温度を所定温度範囲に調節する第2の温度調節手段とを有することを特徴とする請求項9に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造装置。
 注湯温度調節手段は、中継ぎ緩衝容器を出て半凝固スラリー生成容器に到達する間における溶湯の温度低下を調節する第3の温度調節手段を有することを特徴とする請求項10に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造装置。
 冷却速度調節手段は、半凝固スラリー生成容器を予熱する予熱手段を有することを特徴とする請求項9~11の何れかに記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造装置。
 半凝固スラリー生成容器の予熱手段は高周波誘導加熱手段であることを特徴とする請求項12に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造装置。
Description:
鉄系合金の半凝固スラリーの製 方法及び製造装置

 本発明は、鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法及び製造装置に関し、より詳しくは 鉄等の鉄系合金を溶融状態から冷却し、こ によって融液の中に固相が生じた固液共存 態の半凝固スラリーを製造する製造方法と 造装置に関する。

 半凝固状態は、金属材料が液体(融液)状態 ら冷却され固液共存状態となっている状態 ある。
 金属材料を固液共存状態にする方法として 、半凝固法(レオメタル法)と半溶融法(チク メタル法)がある。前記半凝固法を用いた成 形(加工)法としては、例えばレオキャャスト があり、また前記半溶融法を用いた成形(加 工)法としては、例えばチクソチャスト法が る。
 このように金属を半凝固状態或いは半溶融 態で加工することで、一般的には結晶粒の 細化や均質化が図れる利点がある。
 半凝固成形法と半溶融成形法とを一般的に 較すると、大量生産を前提とした場合には 凝固成形法がエネルギーのロスが少なく有 である。しかし小規模ロットへの対応を考 た場合には、必要な時に必要な数量だけ処 できる半溶融成形法の方がエネルギー消費 少なくなる場合もあり、場合に応じて半凝 成形法と半溶融成形法とを使い分けるのが ましいと言える。
 半凝固成形法による金属の半凝固スラリー 製造方法としては、冷却中に機械攪拌を加 るようにした半凝固金属の製造法(特許文献 1)、傾斜冷却板を用いるレオキャスト鋳造法 びレオキャスト鋳造装置(特許文献2)、電磁 拌を加える固液共存状態金属スラリの製造 置(特許文献3)等が提供されている。

特開平6-297097号公報

特開平10-34307号公報

特開2005-88083号公報

 ところが上記特許文献1による機械攪拌を加 えるようにしたものでは、鋳鉄のような高融 点材料では、本願の図7に示すように、攪拌 1がすぐに劣化したり、成分が溶け込んだり る等、実用的に使用できる攪拌子1が実質上 ないという問題がある。
 また上記特許文献2による傾斜冷却板を用い るようにしたものでは、同様に高融点材料の 凝固に用いる場合には傾斜冷却板が劣化し易 い問題がある。また傾斜冷却板に接触させる 溶融金属が凝固付着をおこし易く、よって傾 斜冷却板に対して微妙で繊細な温度管理や操 業管理を必要とする問題がある。
 また上記特許文献3による電磁攪拌加えるよ うにしたものでは、実質的な攪拌を得るには 溶湯の粘性を低く抑える必要があるため、固 相率が20%程度以下の低固相率のスラリーしか 得られない。従って、そのような低固相率の スラリーでは、例えダイカスト等の方法で成 形しても、鋳巣等の欠陥が多くなる問題があ る。

 そこで本発明は上記従来の問題を解消し 鉄系合金、特に鋳鉄を対象として、攪拌子 必要とする機械攪拌を行うことなく、また 磁攪拌の如き特別な設備を用いることなく また傾斜冷却板の如き特別の接触流下手段 用いることなく、ダイカスト等で成形して 鋳巣が生じない、良好な半凝固スラリーを ることができる鉄系合金の半凝固スラリー 製造方法及び製造装置の提供を課題とする

 上記課題を解決するため本発明者らは種々 実験と検討を重ねた結果、機械的攪拌手段 電磁攪拌手段を用いなくとも、溶湯から凝 に至る過程の温度をうまく制御することで 任意の固相率の半凝固スラリーを製造でき ことを見出し、本発明の完成に至ったもの ある。
 本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの製造 法は、鉄系合金の溶湯を半凝固スラリー生 容器内に注湯して冷却することで、晶出固 と残留液相とからなる半凝固スラリーを得 鉄系合金の半凝固スラリーの製造方法であ て、亜共晶鋳鉄組成の材料を用い、この溶 を所定量ずつ前記半凝固スラリー生成容器 に注湯すると共に、前記半凝固スラリー生 容器に注湯された際の溶湯の温度範囲を、 の組成における晶出開始温度以上で且つ晶 開始温度よりも50℃高い温度以下となるよ に制御し、且つ前記半凝固スラリー生成容 内に注湯された溶湯の冷却速度を、毎分20℃ 以下の冷却速度になるように制御することを 第1の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第1の特徴に加えて、半凝固 スラリー生成容器の上方において、取鍋から の溶湯を所定量ずつ中継ぎ緩衝容器に一旦取 り受けて、該中継ぎ緩衝容器内で前記取り受 けた溶湯を冷却、均質化しながら、更に半凝 固スラリー生成容器内に注湯するようにした ことを第2の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第2の特徴に加えて、取鍋か ら取り受けた溶湯を、中継ぎ緩衝容器内で冷 却、均質化しながら、底部に設けた流出孔か ら下方の半凝固スラリー生成容器内へ連続的 に落下させて注湯するようにしたことを第3 特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第3の特徴に加えて、中継ぎ 緩衝容器から半凝固スラリー生成容器内への 落下途中の溶湯を風冷するようにしたことを 第4の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第3又は第4の特徴に加えて 中継ぎ緩衝容器から半凝固スラリー生成容 への溶湯落下のエネルギーを用いて半凝固 ラリー生成容器内の溶湯の攪拌を行わせる とを第5の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第1~第5の何れかの特徴に加 て、注湯された溶湯の半凝固スラリー生成 器内での冷却速度が毎分20℃以下となるよ に、半凝固スラリー生成容器を予熱してお ことを第6の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第6の特徴に加えて、半凝固 スラリー生成容器の予熱は、半凝固スラリー 生成容器そのものを高周波誘導加熱すること により行うことを第7の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造方法は、上記第1~第7の何れかの特徴に加 て、生成された半凝固スラリーの取り出し 、半凝固スラリー生成容器を高周波誘導加 することで、半凝固スラリー生成容器を介 てそれに接している半凝固スラリー部分を 熱した状態で行うことを第8の特徴としてい る。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの 造装置は、亜共晶鋳鉄組成の溶湯を保持し 注湯することができる溶湯注湯手段と、注 された溶湯を冷却して半凝固状態のスラリ を生成させる半凝固スラリー生成容器とを し、前記溶湯注湯手段は、亜共晶鋳鉄溶湯 その晶出開始温度以上であって且つ晶出開 温度よりも50℃高い温度以下にして半凝固 ラリー生成容器に注湯する注湯温度調節手 を備え、前記半凝固スラリー生成容器は受 入れた溶湯を毎分20℃以下の冷却速度で冷却 する冷却速度調節手段を備えることを第9の 徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製 装置は、上記第9の特徴に加えて、溶湯注湯 手段は、溶解炉から溶湯を受け取って運んで くる取鍋と、半凝固スラリー生成容器の上方 に配置されて前記取鍋から必要な所定量だけ の溶湯を一旦取り受けると共に、更にその取 り受けた溶湯を半凝固スラリー生成容器内に 注湯する中継ぎ緩衝容器とからなり、前記注 湯温度調節手段は、中継ぎ緩衝容器に取り受 けられる溶湯の取鍋出口での溶湯温度を所定 温度範囲に調節する第1の温度調節手段と、 継ぎ緩衝容器で冷まされる溶湯の温度低下 調節して中継ぎ緩衝容器出口での溶湯温度 所定温度範囲に調節する第2の温度調節手段 を有することを第10の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製 装置は、上記第10の特徴に加えて、注湯温 調節手段は、中継ぎ緩衝容器を出て半凝固 ラリー生成容器に到達する間における溶湯 温度低下を調節する第3の温度調節手段を有 ることを第11の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製 装置は、上記第9~第11の何れかの特徴に加え て、冷却速度調節手段は、半凝固スラリー生 成容器を予熱する予熱手段を有することを第 12の特徴としている。
 また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製 装置は、上記第12の特徴に加えて、半凝固 ラリー生成容器の予熱手段は高周波誘導加 手段であることを第13の特徴としている。

 請求項1に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造方法によれば、亜共晶鋳鉄組成の材料 を用い、この組成の溶湯が、晶出開始温度以 上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以 で、半凝固スラリー生成容器内に注湯され 且つ20℃以下の冷却速度で初晶の晶出開始 度以下の温度まで冷却される。これにより 晶が樹脂状晶化することなく、初晶が粒状 した半凝固スラリーを得ることができる。 状化した初晶をもつ半凝固スラリーを用い ことで、その後の鋳造やその他の加工にお て、欠陥の少ない、緻密で且つ組織に優れ 良好な機械的性質を有する製品を得ること できる。この場合において、半凝固スラリ を、一旦凝固させることなく、そのまま用 て鋳造加工やその他の加工に良好に供する とができるので、機械的性質に優れている けでなく、省エネルギーにも優れた製品を ることが可能となる。
 また半凝固スラリー生成容器内での冷却は たかだか晶出開始温度より50℃高い温度の 湯からの冷却であるので、冷却に要する時 を短くすることができ、効率よく半凝固ス リーを製造することできる。

 請求項2に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造方法によれば、上記請求項1に記載の 成による上記効果に加えて、溶湯は溶解炉 から取鍋で運ばれ、取鍋から所定量ずつ中 ぎ緩衝容器に取り受けられる。そして中継 緩衝容器に取り受けられた溶湯は、そこで 却、均質化されながら、半凝固スラリー生 容器内に注湯される。
 取鍋から中継ぎ緩衝容器に流下する溶湯の ち、最初に流下する溶湯は比較的早期に半 固スラリー生成容器に流下して該半凝固ス リー生成容器内で冷却され、後から流下す 溶湯は中継ぎ緩衝容器内に多少とどまって の間に冷却され、半凝固スラリー生成容器 流下する。これにより全ての溶湯が半凝固 ラリー生成容器に注湯されたときに温度差 小さくなるようにすることができる。溶湯 温度差を小さくすることで樹脂状晶の晶出 予防され、晶出粒状晶と溶湯とからなる良 な半凝固スラリーを得ることができる。
 溶解炉等から取鍋に取得される溶湯量は、 凝固スラリーの所定量に比べてかなり多量 あるので、取鍋から直接的に半凝固スラリ 容器に注湯する場合には、注湯作業がスム ズに行い難く、安定した注湯が難しい。ま 取鍋内の溶湯の温度自体を晶出開始温度近 まで低下させた状態で、且つ凝固開始する となく保持しなければならないという問題 ある。請求項2の発明では、取鍋からの溶湯 を一旦中継ぎ緩衝容器に取り受けて中継ぎし 、更に半凝固スラリー生成容器に注湯するよ うにすることで、容量の大きな取鍋から所定 量の溶湯を小分けして注湯する注湯作業をス ムーズに行うことができる。また取鍋からの 溶湯が中継ぎ緩衝容器に一旦取り受けられる ことで、取り受けられた所定量の溶湯の均質 化を行うことができ、半凝固スラリー生成容 器へ注湯さる溶湯をより均質化されたものと することができる。また取鍋からの溶湯は中 継ぎ緩衝容器を経る間に冷却がなされるので 、取鍋内での溶湯温度を多少高めに保持する ことが可能となり、その分温度管理が容易と なる。

 請求項3に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造方法によれば、上記請求項2に記載の 成による上記効果に加えて、取鍋から中継 緩衝容器に取り受けられた溶湯は、中継ぎ 衝容器の底部に設けられた流出孔から下方 半凝固スラリー生成容器に向けて連続的に 下される。この場合、中継ぎ緩衝容器は一 の漏斗としての役割を果たし、溶湯を容易 、スムーズに、安定して半凝固スラリー生 容器に注湯することができる。
 また取鍋から中継ぎ緩衝容器に入った溶湯 、底部の流出孔から流出するまでに多少の 間、容器内に保持されることになるので、 の間容器内で冷却されると共に、容器内で 合されて均質化が進む。よってより均質で ましい温度の溶湯を半凝固スラリー生成容 に注湯することができる。

 請求項4に記載の鉄系合金の半凝固スラリ ーの製造方法によれば、請求項3に記載の構 による上記効果に加えて、中継ぎ緩衝容器 ら半凝固スラリー生成容器内への落下途中 溶湯を風冷するようにしたので、半凝固ス リー生成容器への落下中の溶湯を強制冷却 ることができ、半凝固スラリー生成容器内 入った溶湯の温度をより晶出温度に近くし 、その後の冷却時間を短縮することができ 。また風冷する分だけ、取鍋から注ぐ溶湯 温度や中継ぎ緩衝容器内での溶湯温度が高 てもよくなり、温度制御がし易くなる。

 請求項5に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造方法によれば、上記請求項3又は4に記 の構成による作用効果に加えて、中継ぎ緩 容器から半凝固スラリー生成容器への溶湯 下のエネルギーを用いて半凝固スラリー生 容器内の溶湯の攪拌を行わせるようにして るので、攪拌棒のような攪拌子を必要とす ことなく、また電磁攪拌手段のような高価 複雑な装置を必要とすることなく、落下す 溶湯自身の攪拌作用により半凝固スラリー 成容器内での溶湯の攪拌を行うことができ これにより溶湯の均一温度化を十分に図っ 、核生成の促進と初晶の微細化、粒状化を ることができる。
 落下エネルギーを調整してどの程度の攪拌 果を得るようにするかは、予め実験により 溶湯の量や半凝固スラリー生成容器の容量 応じて、落下高さを定めることで行うこと できる。

 請求項6に記載の鉄系合金の半凝固スラリ ーの製造方法によれば、上記請求項1~5の何れ かに記載の構成による作用効果に加えて、注 湯された溶湯の半凝固スラリー生成容器内で の冷却速度が毎分20℃以下となるように、半 固スラリー生成容器を予熱しておくことに り、注湯された溶湯を毎分20℃以下の冷却 度に確実に制御することができる。勿論、 当な予熱を採用することで、冷却速度が遅 なりすぎないようにして且つ毎分20℃以下の 冷却速度に調整することができる。これによ って、粒状晶からなる半凝固スラリーを効率 よく製造することができる。

 請求項7に記載の鉄系合金の半凝固スラリ ーの製造方法によれば、上記請求項6に記載 構成による作用効果に加えて、半凝固スラ ー生成容器の予熱は、半凝固スラリー生成 器そのものを高周波誘導加熱することで行 ことにより、きめ細かい温度調整が可能と る。即ち、電気ヒータを用いる場合には、 熱、冷却の応答が悪い、保持温度が高いな の理由により実用的ではない。高周波誘導 熱での温度調節の場合には、保持温度が高 てもきめ細かな温度調節が可能となるが、 ラリーを直接加熱する方法ではスラリーを 時測温する必要があり、鋳鉄等の高温のス リーでは測温方法に課題が残る。そこで本 明のように半凝固スラリー生成容器そのも を高周波誘導加熱し、この容器を放射温度 等で測温することにすれば、きめ細かな温 調節が可能となるのである。

 請求項8に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造方法によれば、上記請求項1~7の何れか に記載の構成による作用効果に加えて、生成 された半凝固スラリーの取り出しは、半凝固 スラリー生成容器を高周波誘導加熱すること で、半凝固スラリー生成容器を介してそれに 接している半凝固スラリー部分を加熱した状 態で行うことにより、半凝固スラリーに温度 ムラを生じさせることなく、且つ容易に半凝 固スラリー生成容器から取り出すことができ る。即ち、生成された半凝固スラリーは半凝 固スラリー生成容器から取り出して、金型等 の成形手段に供されることになるが、この場 合、スラリーを成形に適した温度に調整して も、容器に接する部分は温度が低く、取り出 しが困難である。一方、スラリーの外周部を 素早く加熱する方法としては高周波誘導加熱 が適している。しかし、この高周波誘導加熱 手段を鋳鉄の半凝固スラリーに適用した場合 には、鋳鉄が効率よく加熱されるものの、熱 伝導率が悪いため局所的に温度が上がり、ス ラリーの温度ムラが発生して、固相率が安定 しなくなる。また測温が困難なため正確な温 度制御も行えない。
 この請求項8の方法では、半凝固スラリー生 成容器そのものを高周波誘導加熱で素早く加 熱するようにしたので、容器に接する部分の 半凝固スラリーだけを速やかに昇温して半凝 固スラリーを容器から容易に取り出すことが できると共に半凝固スラリーに温度ムラを生 じさせることなく、安定した固相率で成形加 工に供することができる。なおアルミ合金の 半凝固ダイカスト法において、高周波誘導加 熱手段を用いたものがあるが、あくまで半凝 固スラリーそのものの均熱を図るためのもの であり、半凝固スラリーの容器からの取り出 しのためのものではない。

 請求項9に記載の鉄系合金の半凝固スラリー の製造装置によれば、溶湯注湯手段によって 亜共晶鋳鉄組成の溶湯が半凝固スラリー生成 容器に注湯される。注湯は注湯温度調節手段 により晶出開始温度以上であって且つ晶出開 始温度よりも50℃高い温度以下に調節されて われる。半凝固スラリー生成容器に注湯さ た溶湯は、冷却速度調節手段により毎分20 以下の冷却速度で冷却され、半凝固スラリ となる。半凝固スラリーは容器から取り出 れ、成形加工に供される。
 請求項9に記載の半凝固スラリーの製造装置 によれば、注湯温度調節手段によって半凝固 スラリー生成容器への注湯温度が晶出開始温 度を晶出開始温度以上であって且つ晶出開始 温度よりも50℃高い温度以下に調節されると に、冷却速度調節手段により半凝固スラリ 生成容器内の溶湯は毎分20℃以下の冷却速 で冷却されるので、樹脂状晶を晶出するこ なく粒状晶を晶出して半凝固スラリーを得 ことができる。よって、その後の鋳造やそ 他の成形加工において、欠陥の少ない、緻 で且つ優れた機械的性質を有する製品を得 ことができる。
 加えて、注湯温度調節手段により注湯温度 晶出開始温度よりも50℃高い温度以下に調 されるので、溶湯の冷却に要する時間を短 することができ、効率よく半凝固スラリー 製造することできる。

 請求項10に記載の鉄系合金の半凝固スラリ の製造装置によれば、上記請求項9に記載の 成による作用効果に加えて、溶湯注湯手段 、溶解炉からの溶湯を受け取って運んでく 取鍋と、取鍋から必要量を一旦取り受け、 に半凝固スラリー生成容器内に注湯する中 ぎ緩衝容器とからなるので、溶湯保持量の い取鍋から半凝固スラリー生成容器に直接 に注湯する場合に比べて、注湯作業を容易 且つ安定した状態で行うことができる。即 、取鍋から直接的に半凝固スラリー生成容 に注湯する場合、取鍋と半凝固スラリー生 容器との距離(落差)が大きいときには、半 固スラリー生成容器への注湯そのものが容 には行えず、勿論、安定しては行えない。 た落下エネルギーが過大となって空気等の き込みなど攪拌過多の問題が生じる。一方 取鍋と半凝固スラリー生成容器との距離が さい場合には、取鍋から半凝固スラリー生 容器に注湯される間における溶湯温度の低 が小さくなるため、取鍋内の溶湯温度その のを晶出開始温度に近い温度に低下させた 態で保持する必要があり、凝固しないよう 保持するのが制御上難しい問題がある。
 以上より、溶湯注湯手段として、中間に中 ぎ緩衝容器を介在させることで、取鍋と半 固スラリー生成容器との距離(落差)が大き 場合でも、中継ぎ緩衝容器が中継すること 、半凝固スラリー生成容器への注湯が確実 つ容易に、安定して行える。また溶湯の落 エネルギーを二分することで、半凝固スラ ー生成容器内での溶湯落下による過度の攪 がなされないようにすることができる。
 また中間に中継ぎ緩衝容器を介在させるこ で、取鍋から中継ぎ緩衝容器を介して半凝 スラリー生成容器内へ注湯するまでの温度 下を大きくすることができ、よって取鍋内 の溶湯保持温度をその分だけ高くすること でき、取鍋内での凝固が起こらないように るための温度制御が容易となる。
 注湯温度調節手段は、取鍋出口での溶湯温 を所定温度範囲に調節する第1の温度調節手 段により、取鍋からの出湯される溶湯の温度 を所定温度範囲に調節することができる。ま た中継ぎ緩衝容器で冷まされる溶湯の温度低 下を調節して中継ぎ緩衝容器出口での溶湯温 度を所定温度範囲に調節する第2の温度調節 段により、中継ぎ緩衝容器から出湯される 湯の温度を所定温度範囲に調節することが きる。よって半凝固スラリー生成容器に注 された際の溶湯温度(注湯温度)を、晶出開始 温度以上で晶出開始温度よりも50℃高い温度 下に確実に調節することができる。

 請求項11に記載の鉄系合金の半凝固スラ ー製造装置によれば、上記請求項10に記載の 構成による作用効果に加えて、中継ぎ緩衝容 器を出て半凝固スラリー生成容器に到達する 間における溶湯の温度低下を調節する第3の 度調節手段を有することにより、中継ぎ緩 容器から半凝固スラリー生成容器への途中 おいても溶湯の温度低下を更に促進或いは 延させることができる。よって半凝固スラ ー生成容器への注湯温度をより確実な所定 度に調節することができる。また第3の温度 節手段の存在により、取鍋での溶湯温度を り高温な状態に安定して保持することが可 となる。

 請求項12に記載の鉄系合金の半凝固スラ ー製造装置によれば、上記請求項9~11の何れ に記載の構成による作用効果に加えて、冷 速度調節手段は、半凝固スラリー生成容器 予熱する予熱手段を有することで、該予熱 段を用いて半凝固スラリー生成容器を必要 応じて必要な温度に予熱することで、半凝 スラリー生成容器に注湯されてきた溶湯を 毎分20℃以下の冷却速度に確実に調節する とができる。

 請求項13に記載の鉄系合金の半凝固スラ ー製造装置によれば、上記請求項12に記載の 構成による作用効果に加えて、半凝固生成容 器の予熱手段は高周波誘導加熱手段であるの で、この高周波誘導加熱手段を用いて、半凝 固スラリー生成容器を素早く且つきめ細かく 調節することができるので、溶湯の冷却速度 を十分確実に所定の冷却速度に調節して、良 好な粒状晶からなる半凝固スラリーを得るこ とができる。更に半凝固スラリーを半凝固ス ラリー生成容器から取り出す際には、素早く 半凝固スラリー生成容器のみを加熱すること ができるので、半凝固スラリーの容器接触部 分のみを加温することで、取り出しを容易に することができると共に、半凝固スラリーに 温度ムラが発生するのを予防して、固相率を 安定化させることができる。

本発明の実施形態に係る鉄系合金の半 固スラリーの製造装置の概略を説明する断 図である。 本発明の実施形態に係る製造方法及び 造装置で製造した半凝固スラリーの組織を す写真である。 比較例として樹脂状晶を晶出した半凝 スラリーの組織を示す写真である。 本発明の実施例における半凝固スラリ の生成条件をまとめた図表である。 本発明の実施例における試験結果を示 図表である。 本発明の実施例における試験結果を示 図表である。 従来技術を説明する断面図である。

符号の説明

 10 取鍋
 11 保温手段
 12 測温手段
 20 中継ぎ緩衝容器
 21 流出孔
 22 容器予熱手段
 23 測温手段
 30 半凝固スラリー生成容器
 31 保温容器
 32 予熱手段
 33 測温手段
 40 送風ファン

 以下の図面を参照しながら、本発明の鉄 合金の半凝固スラリーの製造方法及び製造 置についての実施形態を更に説明する。

 図1を参照して、本発明の実施形態に係る 半凝固スラリーの製造装置は、図示しない溶 解炉から溶湯を受け取って運んでくる取鍋10 中継ぎ緩衝容器20、半凝固スラリー生成容 30を少なくとも有する。また半凝固スラリー 生成容器30へ落下注湯される溶湯を、その途 で冷却する送風ファン40を備えることがで る。

 前記取鍋10と中継ぎ緩衝容器20は、半凝固ス ラリー生成容器30に溶湯を注湯する溶湯注湯 段Pを構成する。
 前記溶湯注湯手段Pは、半凝固スラリー生成 容器30に対して、予め定めた所定量の溶湯を その溶湯の晶出開始温度以上で且つ晶出開 温度よりも50℃高い温度以下という注湯温 条件で、注湯する役割を果たす。前記注湯 度条件は、例えば注湯する溶湯の晶出開始 度(液相線温度)が1300℃である場合に、半凝 スラリー生成容器に入った際の温度が1300℃ 上で且つ1350℃以下の温度であるという意味 である。
 前記取鍋10は溶解炉の位置で溶湯を受け取 、半凝固スラリー生成容器30の上方の位置ま で移動する。取鍋10の容量は半凝固スラリー 成容器30で1回に生成する半凝固スラリーの よりもかなり大きく、従って半凝固スラリ 生成容器30に対して複数回注湯し、或いは 数の半凝固スラリー生成容器30に対して注湯 することが可能である。
 取鍋10には、保温手段11を設けることができ る。この保温手段11により溶解炉から受け取 た溶湯を適当な温度に保持しながら、注湯 業を行うことができる。
 また取鍋10には溶湯の温度を測定する測温 段12を設けることができる。測温手段12は、 えば浸漬温度計を用い、取鍋10内の溶湯温 を測定することができる。温度測定は、例 ば取鍋10からの溶湯の出湯に先駆けて行う。 測定された溶湯温度が予め定めた所定の温度 範囲にあれば、出湯を行う。
 前記測温手段12と前記保温手段11とによって 、取鍋10から前記中継ぎ緩衝容器20へ流下さ る溶湯の温度を適当な温度に調整すること できる。

 前記中継ぎ緩衝容器20は、前記半凝固スラ ー生成容器30の上方に配置され、取鍋10から 溶湯を取り受けて中継ぎし、溶湯の落下の いを適当に緩衝して半凝固生成容器30に注 する。該中継ぎ緩衝容器20の容量は少なくと も1回の注湯量を容器内に収容できる容量と るが、取鍋10の容量に比較してかなり小さく 構成されている。
 中継ぎ緩衝容器20は、例えば黒鉛ルツボを いることができる。
 中継ぎ緩衝容器20の底部に流出孔21を設けて いる。流出孔21は、例えば底部の中央部に設 ることができる。
 流出孔21の径は実験により決定するが、少 くとも取鍋10から中継ぎ緩衝容器20に注がれ 溶湯の流量よりも中継ぎ緩衝容器20から半 固スラリー生成容器30に注がれる溶湯の流量 の方が少なくなるように構成する。流出孔21 径は、実際には中継ぎ緩衝容器20の容積、 面積、取鍋10から流下してくる溶湯の流量、 1回に注湯する溶湯量を考慮して、取鍋10から 流下してきた溶湯が中継ぎ緩衝容器20内で適 に溜まって保持されながら、適当に冷却さ 、また取鍋10から流下する溶湯によって適 に混合、均質化され、また底部の流出孔21か ら、整流となって連続的に半凝固スラリー生 成容器30に流下されるように、予め実験によ て最適な径が定められる。
 上記のような流出孔21付きの中継ぎ緩衝容 20を用いることで、該中継ぎ緩衝容器20が漏 のような役割を果たして、取鍋10からの溶 を半凝固スラリー生成容器30に確実、容易に 且つ荒れることなく円滑に導き入れることが できる。また取鍋10から半凝固スラリー生成 器30に至る間における溶湯の温度低下を適 に促進、調節しながら、且つ半凝固スラリ 生成容器30へ落下する溶湯の落下エネルギー が過大になるのを防止することができる。
 なお前記流出孔21には開閉蓋或いは開閉シ ッターのごとき開閉手段を設け、取鍋10から の溶湯の取り受けと流出孔21からの溶湯の流 を一定のタイミングで行うようにする構成 してもよい。これにより中継ぎ緩衝容器20 での溶湯の均質化や温度降下の程度をより め細かく調節することが可能となる。
 中継ぎ緩衝容器20には、容器予熱手段22を設 けることができる。この容器予熱手段22は、 鍋10から最初に中継ぎ緩衝容器20に流下され る溶湯が、急激に温度低下されて凝固を開始 してしまうことがないようにするために設け られ、また中継ぎ緩衝容器20から半凝固スラ ー生成容器30に流下する溶湯の温度を、晶 開始温度よりも適当に高い一定の温度領域 安定させるために設けられる。
 中継ぎ緩衝容器20には、測温手段23を設ける ことができる。この測温手段23は、例えば熱 対からなる測温手段とし、中継ぎ緩衝容器2 0の外壁面に接触した配置することで、中継 緩衝容器20の温度を測温する構成とすること ができる。これにより容器20の予熱温度を所 の温度に調節する。

 前記半凝固スラリー生成容器30は、保温容 31内に出し入れ自在に配置することができる 。そして本実施形態では、保温容器31に予熱 段32が設けられ、半凝固スラリー生成容器30 を予熱することができるようになされている 。半凝固スラリー生成容器30は、耐熱温度が なくとも溶湯の晶出温度を超え、且つ高周 誘導加熱が可能な材料として、例えば導電 セラミックスを用いることができる。具体 には、カーボンと炭化珪素、炭化ホウ素等 セラミックスとの複合材を用いることがで る。
 この予熱手段32は、本実施形態では高周波 導加熱手段で構成されている。この高周波 導加熱手段からなる予熱手段32は、半凝固ス ラリー生成容器30そのものを加熱する。
 33は測温手段である。この側温手段33は、例 えば放射測温計を用いて半凝固スラリー生成 容器30の温度を測温する構成とすることがで る。しかし半凝固スラリー生成容器30内の ラリーの溶湯温度を直接的に測温できるも であってもよく、その方がより正確にスラ ーの温度を所定の温度に維持することが可 ではある。
 半凝固スラリー生成容器30内のスラリー温 の低下は、その溶湯の組成における液相線 固相線との中間の温度までとし、その中間 度に維持するように半凝固スラリー生成容 30の温度が調節される。

 前記送風ファン40は、中継ぎ緩衝容器20か ら落下する溶湯に対して風を送って、これを 冷却するものである。

 前記取鍋10と中継ぎ緩衝容器20を有する溶湯 注湯手段Pは、半凝固スラリー生成容器30に、 溶湯を晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度 よりも50℃高い温度以下という注湯温度条件 注湯するための注湯温度調節手段TCを備え いる。
 前記注湯温度調節手段TCは、具体的には、 鍋10の保温手段11と測温手段12、中継ぎ緩衝 器20、その流出孔21、容器予熱手段22、送風 ァン40、取鍋10と中継ぎ緩衝容器20と半凝固 ラリー生成容器30との高さ関係、の各要素の 組み合わせからなる。
 そして前記注湯温度調節手段TCのうち、前 取鍋10の保温手段11と測温手段12とが、第1の 度調節手段TC1を構成する。この第1の温度調 節手段TC1である取鍋10の保温手段11と測温手 12とで、取鍋10に保持される溶湯温度を調節 る。
 また前記注湯温度調節手段TCのうち、中継 緩衝容器20の材質、形状、厚み、容量、流出 孔21の大きさ、位置、容器予熱手段22による 熱とで、第2の温度調節TC2を構成する。この 2の温度調節TC2によって、中継ぎ緩衝容器20 経る溶湯の温度低下量を調節し、流出孔21 ら流出する溶湯の温度を調節する。
 更に前記注湯温度調節TCのうち、前記送風 ァン40によって、第3の温度調節手段を構成 る。この第3の温度調節手段TC3によって、中 ぎ緩衝容器20から落下する溶湯の温度低下 を調節する。

 前記半凝固スラリー生成容器30は、半凝固 ラリー生成容器30に受け入れた溶湯を毎分20 以下の冷却速度で冷却するための冷却速度 節手段SCを備えている。
 前記冷却速度調節手段SCは、具体的には、 凝固スラリー生成容器30そのものの材質、形 状、厚み、容量、保温容器31、予熱手段32と 構成される。即ち、半凝固スラリー生成容 30の材質、形状、厚み、容量で溶湯の冷却速 度の調節がなり、また保温容器31の材質、形 、厚み、容量によっても冷却速度が調節さ る。特に予熱手段32によって、半凝固スラ ー生成容器30をどのくらいの温度に予熱して おくかによって、溶湯の冷却速度をかなり自 在に変更調節することができる。よって、こ の冷却速度調節手段SCによって、半凝固スラ ー生成容器30内での溶湯の冷却速度を毎分20 ℃以下に調節することができる。
 なお、半凝固スラリー生成容器30内での溶 の温度は、固相と液相との割合が予め定め 所定の割合になるように、その溶湯の液相 と固相線との間の所定温度まで低下させて 保持されることになる。
 そして半凝固スラリー生成容器30からの半 固スラリーの取り出しの際には、高周波誘 加熱手段からなる予熱手段32を用いて、半凝 固スラリー生成容器30を素早く加熱し、半凝 スラリーの生成容器30との接触部分のみを 温することで、取り出しを容易に行うと共 、半凝固スラリーに温度ムラが発生するの 防止して、所望の固相率での取り出しを確 する。

 次に上記した製造装置を用いてなる鉄系合 の半凝固スラリーの製造方法についての実 態様を説明する。
 半凝固スラリーの製造原料は亜共晶鋳鉄組 の材料を用いる。原料を溶解炉にて溶解し 所定の亜共晶鋳鉄組成となる溶湯を得る。
 溶解炉で溶解された溶湯は、適当な量ずつ 鍋10に受け取られ、中継ぎ緩衝容器20の上方 位置まで移動される。
 取鍋10では、溶湯を所定の温度範囲に保持 ながら、予め定めた所定量(1回に生成させる 半凝固スラリーの量)ずつを中継ぎ緩衝容器20 に流下させる。
 前記取鍋10から流下した溶湯は中継ぎ緩衝 器20に一旦入り、更に底部の流出孔21から下 に落下して半凝固スラリー生成容器30に注 される。半凝固スラリー生成容器30に注湯さ れた溶湯は、そこで冷却され、初晶固相と残 留液相とからなる半凝固スラリーが生成され る。半凝固スラリーは、その状態のまま半凝 固スラリー生成容器30から取り出され、レオ ャスト等の成形加工に供される。

 前記半凝固スラリー生成容器30に注湯され 亜共晶鋳鉄溶湯の温度は、その成分組成に ける晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度 りも50℃高い温度以下の温度範囲にある温度 に調節される。
 この注湯温度の制御は、取鍋10から出湯さ る溶湯の温度を調節(第1の温度調節手段TC1に よる調節)し、また中継ぎ緩衝容器20の形状、 厚み、容量、流出孔21の径、予熱の有無や温 による温度降下量を調節(第2の温度調節手 TC2による調節)し、また中継ぎ緩衝容器20か 落下する溶湯の送風ファン40(第3の温度調節 段TC3による調節)による温度降下量を調節す ることで行うことができる。
 勿論、取鍋20から半凝固スラリー生成容器30 に至るまでの溶湯温度降下量は、取鍋10と中 ぎ緩衝容器20と半凝固スラリー生成容器30と の高さ関係、より単純に言えば、溶湯が取鍋 10から半凝固スラリー生成容器30に落下する に空気中に曝される時間(落差)を調節するこ とによっても調節することができる。注湯温 度調節手段CTには、このような落差の調節も まれるものとする。
 以上のようにして、注湯温度の調節制御は 取鍋10を出た溶湯が半凝固スラリー生成容 30に到達するまでにどれだけの温度降下がな されるか、或いは取鍋10を出た溶湯を半凝固 ラリー生成容器30に至るまでに如何ほどの 度降下をなさしめるか、を予め実験により らかにしておくことで、後は取鍋10から出湯 する溶湯温度を所定の温度は範囲に制御する だけで、半凝固スラリー生成容器30への注湯 度を所定の温度(晶出開始温度以上で且つ晶 出開始温度よりも50℃高い温度以下)に調節制 御することができる。

 前記において、取鍋10から半凝固スラリー 成容器30までの落差を大きくすることで温度 降下量を大きくすることができるので、取鍋 10での溶湯保温温度をその分だけ高温にする とができ、都合がよい。しかしその一方で 落下エネルギーが過剰となって注湯が乱れ 問題が生じる。そこで本発明では、途中に 継ぎ緩衝容器20を設けることで、落差を大 くすることによる溶湯の落下エネルギーを 当に緩衝して、半凝固スラリー生成容30への 的の外れることのない注湯と、落下エネルギ ーが強すぎない(過剰攪拌や溶湯の跳ね飛び ない)注湯を可能としたのである。
 前記中継ぎ緩衝容器20の半凝固スラリー生 容器30に対する高さ(落差)を調節することで スムーズで跳ね飛びのない注湯を確保しつ 、且つ溶湯の適当な落下エネルギーによる 当な攪拌効果により、半凝固スラリー生成 器30内での溶湯の均温化を図ることができ 。即ち、半凝固スラリー生成容器30に対する 中継ぎ緩衝容器20の高さが低い場合は、溶湯 下による攪拌効果が得られないので、半凝 スラリー生成容器30に注湯された溶湯の均 化があまり図れない。そして中継ぎ緩衝容 20の半凝固スラリー生成容器に対する高さを 高くするにつれて、前記攪拌効果による均質 化が図れるようになる。しかし高くなりすぎ ると、半凝固スラリー生成容器30への注湯の に溶湯の跳ね飛びがある等、過剰攪拌状態 なる。よって中継ぎ緩衝容器20の好ましい さは、該中継ぎ緩衝容器20の流出孔21の大き や、半凝固スラリー生成容器30の形状や容 等を考慮して予め実験により定めることに る。

 前記中継ぎ緩衝容器20の役割は、取鍋10から の溶湯を一旦取り受けて、容器20に入れるこ で、溶湯の均質化を図り、また容器20内で 冷却を行うことである。
 また中継ぎ緩衝容器20の他の役割は、溶湯 底部の流出孔21から連続的に半凝固スラリー 生成容器30に落下させることで、スムーズで 定した注湯を確保することである。

 前記半凝固スラリー生成容器30に注湯され 溶湯は、毎分20℃以下の冷却速度で冷却され るようにする。この冷却速度の制御は、主と して半凝固スラリー生成容器30を予熱するこ で行う。勿論、半凝固スラリー生成容器30 のものの形状、厚み、容量等による固有の 却特性によっても冷却速度が変更されるの 、予め実験により、注湯される溶湯の温度 対してどの程度の予熱を半凝固スラリー生 容器30にしておけば所定の冷却速度範囲内で の良好な粒状初晶と残留液相からなる半凝固 スラリーが得られるかを明らかにしておくこ とになる。
 前記半凝固スラリー生成容器30の予熱は、 周波誘導加熱により、電気ヒータを用いる 合に比較して容器30を必要に応じて素早く予 熱することができ、温度調節をきめ細かくで きるので、確実に冷却速度を制御して、樹脂 状晶を晶出させることなく良好な半凝固スラ リーを得ることができる。

 また前記高周波誘導加熱により半凝固ス リー生成容器30を素早く、きめ細かく加熱 ることで、半凝固スラリーを容器30から取り 出す際には、容器30に接する半凝固スラリー 分のみを素早く加熱することができる。よ て容器30を反転させるだけで半凝固スラリ を容器から取り出せる等、半凝固スラリー 容易に容器30から取り出すことが可能となる と共に、半凝固スラリーの固液割合を変更す ることなく且つ半凝固スラリーに温度ムラを 生じさせることなく容器30から取り出すこと できる。

 成分組成を、C(炭素)を2.6重量%、Si(珪素)を1. 5重量%含む亜共晶鋳鉄組成とした原料を溶解 で溶解して溶湯とした。この組成の亜共晶 鉄は液相線温度が約1300℃で、固相線温度が 1150℃である。従って溶湯を1300℃~1150℃の間 で冷却して保持することで半凝固スラリー 得ることができる。
 溶解炉の溶湯は取鍋10で受け取り、注湯に する。即ち、取鍋10の溶湯の所定量ずつを、 予熱した黒鉛ルツボからなる中継ぎ緩衝容器 20に流下させ、更に中継ぎ緩衝容器20の底部 設けた流出孔21から流下させて、予め予熱し た半凝固スラリー生成容器30に注湯し、半凝 スラリー生成容器30内で溶湯を冷却して半 固スラリーを生成した。
 半凝固スラリーの生成の条件は図4に示す通 りである。

 半凝固スラリー生成容器30は、高周波誘導 熱が可能な材料としてカーボンとセラミッ ス(炭化珪素と炭化ホウ素)の複合材を用いた 。半凝固スラリー生成容器30に溜まったスラ ーは1200℃まで冷却した後、容器30を高周波 導加熱し、容器30が1300℃になったところで 容器30を反転させて半凝固スラリーを取り し、水冷し、組織観察を行った。
 試験結果を図5、図6に示す。

 図5、6に示す試験結果によれば、今回の図4 示す条件では、取鍋10からの出湯温度を1350 以上、中継ぎ緩衝容器20の予熱温度を600℃ 上、中継ぎ緩衝容器20の流出孔21の径を10mm以 上とすることで、取鍋10から中継ぎ緩衝容器2 0を経て半凝固スラリー生成容器30内への流下 、注湯が可能であった。
 取鍋10からの出湯温度が1300℃の場合(試料1) 場合は、溶湯が中継ぎ緩衝容器20内に残留 て凝固した。
 また取鍋10からの出湯温度が1400℃の場合で っても、中継ぎ緩衝容器20の流出孔21の径が 5mmの場合(試料26)は、溶湯が中継ぎ緩衝容器20 内に残留して凝固した。
 また取鍋10からの出湯温度が1400℃の場合で っても、中継ぎ緩衝容器20の予熱が300℃と い場合(試料27)は、溶湯が中継ぎ緩衝容器20 に残留して凝固した。
 また半凝固スラリー生成容器30への注湯温 が1350℃を超える場合(試料29、31、32、33、34 35、42)は、初晶が図3に示すような樹脂状晶 なった。
 また半凝固スラリー生成容器30内での冷却 度が20℃/分を超える場合(試料40、49)は、注 温度が1300℃以上で1350℃以下であっても、初 晶が図3に示すような樹脂状晶になった。
 一方、半凝固スラリー生成容器30内での冷 速度が20℃/分以下の場合は、初晶が図2に示 ような粒状晶になった。
 但し、半凝固スラリー生成容器30内での冷 速度が20℃/分以下であっても、半凝固スラ ー生成容器30に対する中継ぎ緩衝容器20の高 が100mm未満の場合(実施例は50mmの場合)(試料2 ~9、28、30)には、内部は粒状晶であったが、 凝固スラリー生成容器30との接触部付近が樹 脂状晶になった。これは、この試験での測温 位置(容器30の中央付近)では20℃/分以下の冷 速度であっても、外周部の前記接触部付近 は20℃/分を超える冷却速度になっていたた と考えられる。
 半凝固スラリー生成容器30内での冷却速度 20℃/分以下で、半凝固スラリー生成容器30に 対する中継ぎ緩衝容器20の高さが100mm以上の 合(実施例では100mm、200mmの場合)には、溶湯 落下エネルギーによる攪拌効果が作用して 得られる半凝固スラリーの内部も外周部(容 30との接触部)も成形に適した粒状晶が得ら た。

 本発明の鉄系合金の半凝固スラリーの製 方法及び製造装置は、レオキャャスト法或 はレオキャスト装置として、また半凝固ス リーを用いたその他の成形加工及びその装 として、産業上の利用性が大きい。