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Title:
PROCESS FOR CONVERSION OF HYDROCARBONS WITH MOLDED ZEOLITE CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114771
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims at providing a process for the conversion of hydrocarbons by using a molded zeolite catalyst applicable to a fixed-bed industrial reaction process wherein hydrocarbon is used as raw material which catalyst exhibits high catalytic activity, a long catalyst life, and high crushing strength though it is reduced in the content of an inorganic binder and has a high pore volume. The catalyst used in the process is a molded zeolite catalyst comprising zeolite and an inorganic binder which is obtained by kneading together zeolite, a raw material for an inorganic binder, a molding assistant, organic polymer particles having a mean diameter of 0.1 to 6μm, and water and subjecting the kneaded compound to extrusion, drying and firing and which is characterized by having a zeolite content of 60% by weight or above based on the whole catalyst, a pore volume of 0.4 to 1.0ml/g, a volume-median pore diameter of 80 to 500nm, and a crushing strength of 0.9kg or above.

Inventors:
HENG PHALA (JP)
MURAISHI TERUO (JP)
UMENO MICHIAKI (JP)
IKENAGA HIROKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054862
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
HENG PHALA (JP)
MURAISHI TERUO (JP)
UMENO MICHIAKI (JP)
IKENAGA HIROKAZU (JP)
International Classes:
C10G11/05; B01J29/40; C07C4/06; C07C11/02; C07C11/04; C07C11/06; C07B61/00
Foreign References:
JP2005270851A2005-10-06
JPS61155216A1986-07-14
JPS61242911A1986-10-29
JPH02157118A1990-06-15
JPH1087322A1998-04-07
JPS6126509A1986-02-05
JPH04346839A1992-12-02
JPH06211517A1994-08-02
JP2003510181A2003-03-18
JP2002079087A2002-03-19
JP2002136871A2002-05-14
JP2004169011A2004-06-17
JPS5959741A1984-04-05
JPH03140286A1991-06-14
Other References:
SHEN B.-J.: "PRIMARY STUDY ON MACRO POROUS FCC CATALYSTS PREPARED USING THE NANO POLYSTYRENE PARTICLES AS TEMPLATE", BOOK OF ABSTRACTS 229TH ACS NATIONAL MEETING, SAN DIEGO, CA, AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, 13 February 2005 (2005-02-13) - 17 March 2005 (2005-03-17), XP008119368
J. WEITKAMP; L. PUPPE: "Catalysis and Zeolites, Fundamentals and Applications", 1999, SPRINGER, pages: 127 - 155
See also references of EP 2138554A4
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F13-6, Nishigotanda 7-chome, Shinagawa-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
ゼオライト粉末、無機物バインダ-の原料、成形助剤、平均直径が0.1~6μmの有機高分子粒子及び水を混錬することにより混錬物を製造し、該混錬物を押出し、乾燥、焼成することによって得られるゼオライト成形触媒を用い、オレフィンを含む炭化水素原料を接触分解することにより、原料よりも低級なオレフィンを製造することを特徴とする炭化水素の変換方法。
  ゼオライト及び無機物バインダーを含むゼオライト成形触媒であって、ゼオライト成分含量が全量の60重量%以上であり、細孔容積が0.4~1.0ml/g、且つ体積中央細孔径が80~500nm、破砕強度が0.9Kg以上であるゼオライト成形触媒を用い、オレフィンを含む炭化水素原料を接触分解することにより原料よりも低級なオレフィンを製造することを特徴とする炭化水素の変換方法。
  ゼオライト粉末、無機物バインダ-の原料、成形助剤、平均直径が0.1~6μmの有機高分子粒子及び水を混錬することにより混錬物を製造し、該混錬物を押出し、乾燥、焼成することによって得られるゼオライト及び無機物バインダーを含むゼオライト成形触媒であって、ゼオライト成分含量が全量の60重量%以上であり、細孔容積が0.4~1.0ml/g、且つ体積中央細孔径が80~500nm、破砕強度が0.9Kg以上であるゼオライト成形触媒を用い、オレフィンを含む炭化水素原料を接触分解することにより原料よりも低級なオレフィンを製造することを特徴とする炭化水素の変換方法。
    前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の炭化水素の変換方法。
    前記無機物バインダーの含有量がゼオライト成形触媒全量に対して40重量%以下である請求項1ないし3に記載の炭化水素の変換方法。
    前記無機物バインダーがシリカであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の炭化水素の変換方法。
  前記ゼオライト粉末100重量部、無機物バインダ-の原料10~70重量部、成形助剤15重量部以下、平均直径が0.1~6μmの有機高分子粒子10~60重量部、及び水の配合量を全混合物重量の20~60%とすることを特徴とする請求項1または3に記載の炭化水素の変換方法。
    前記ゼオライト粉末が、アンモニウム型またはアルカリ型であることを特徴とする請求項1または3に記載の炭化水素の変換方法。
    前記無機物バインダーの原料がシリカゾルまたはナトリウム型のシリカゾルであることを特徴とする請求項1または3に記載の炭化水素の変換方法。
   前記オレフィンを含む炭化水素原料が、少なくとも1種の炭素数4~12のオレフィンを含有し、かつ10~60重量%の少なくとも1種の炭素数1~12の飽和炭化水素を含有する炭化水素原料であり、原料よりも低級なオレフィンがエチレン及びプロピレンであり、接触分解の温度が400~580℃であることを特徴とする請求項1ないし3に記載の炭化水素の変換方法。
    前記接触分解の圧力が0.05~2MPaであり、触媒単位あたりの炭化水素原料の供給速度(WHSV)が20~256hr -1 であることを特徴とする請求項10に記載の炭化水素の変換方法。
Description:
ゼオライト成形触媒を用いる炭 水素の変換方法

  本発明は、ゼオライト成形触媒を用い 炭化水素の変換方法に関する。さらに詳し は、炭化水素を原料とする固定床などの反 プロセスに使用できる高触媒活性、長触媒 命及び高破砕強度を有するゼオライト成形 媒を用いる炭化水素の変換方法に関する。

  工業的プロセスの触媒として広く使われ ゼオライトは、粉末状の結晶性物質である
工業的に使用するために、一般にある程度の 破砕強度を賦与する目的でバインダーとよば れる結合物質で一体化され、取扱いが容易な 大きさに成形される。しかし、成形された触 媒は通常、元の粉末状触媒より性能が低下す る。性能低下の原因として考えられるのは、 バインダーとの相互作用又は化学結合の生成 によるゼオライト内触媒活性点の変質や他の 妨害によるものである。更に、成形触媒内で は、原料及び生成物の拡散が真空状態や有機 溶媒中より遅く、結果的に触媒活性点への原 料供給速度が反応速度より遅くなる上に、生 成物が触媒を離れる速度が遅くなることが原 因で、副反応の反応速度が加速される、いわ ゆる拡散律速状態の発生である。特に、高活 性な触媒の場合や、反応速度が速い高温や高 圧の反応条件下では、拡散律速が原因でコー クの蓄積が加速され、結果的に成形触媒の活 性及び寿命という触媒を使用する上で最も重 要な性能の低下が顕著になる。その他、バイ ンダー自身が触媒として働き、副反応が生じ る場合もみられる。

  このようなゼオライト成形触媒性能低下 可能な限り最小限に抑制する目的で、バイ ダー使用量を少なくする方法及び成形触媒 を高細孔容積化する方法が取られている。 インダーは、成形触媒が用いられる反応に 活性であり、且ゼオライトの反応性を変質 せない化合物の中から選ばれている。しか 、バインダー使用量の減少は成形触媒の破 強度を低下させる上に、成形工程を困難な のにする。又、高細孔容積化は成形触媒の 砕強度を低下させる。その他、目的の物性 有する成形触媒を得る制約はその成形性で る。例えば、押出し成形法の場合は、ゼオ イト、バインダー原料、水及び成形助剤か なる混合物を押出し機によって成形性可能 するため、その粘性を適切な値に保たなけ ばならない。高すぎる粘性では押出しが出 ないし、低すぎる粘性では成形ができない
成形助剤として、増粘剤、界面活性剤、保水 剤、可塑剤、有機バインダーなど多くの物質 が使われるが、成形性だけでなく成形触媒の 性能を損なわないことも考慮する必要があり 、その選定が課題となる。
上述の課題を解決するための多くの方法が開 示されている。

  例えば、特許文献1~特許文献4には、吸 剤や触媒を目的とした成型法が開示されて る。いずれの場合もカルボキシルメチルセ ロース類が成形助剤として用いられ、バイ ダーとしては酸性白土、木節粘土、セビオ イト、アタパルジャイト、カオリンなどの うな比較的にゼオライトと結合しやすい無 化合物が使用された。それらの無機バイン ーにはアルミナ成分などの他に不純物が多 含まれ、反応によってはゼオライトの触媒 能を損なう場合が生じるために、成形触媒 らの除去工程が必要になり、生産コストが 昇する。

  特許文献5には、アルカリ金属化合物の 在下、珪質固体とゼオライトからの成形触 製造法が開示されている。開示されている 施例によると、ZSM-5ゼオライト成形触媒中 シリカ結合剤の含有量が35.5%と比較的に低い 場合において、高破砕強度(12.7Kg/cm)と高細孔 積(0.615cc/g)が得られ、細孔径は、200~600オン ストローム(20~60nm)に集中していた。この方 は、バインダーとして珪質固体原料を選ぶ とにより、ゼオライト触媒性能を損なう物 を排除すことができる。しかし、このよう アルカリ化合物の存在下では、アルミノシ ケートゼオライトの結晶化度の低下を起こ 、結果的には触媒性能の低下につながる可 性がある。また、アルカリ金属を取り除く めに、成形工程の終盤に硝酸アンモニウム よる処理と硝酸による処理工程が必要とな 、経済的な成形プロセスとは言えない。

  特許文献6~特許文献8には、成形助剤と てアミン化合物を用いることにより、アル リ金属を使用しないゼオライトの押出し成 法が開示されている。ゼオライト触媒の性 を損なわないシリカバインダーの原料とし シリカゾルが使用されている。この方法に れば、成形触媒中のゼオライトの結晶化度 ほとんど保持され、又、成形触媒の破砕強 が高い値を示した。しかし、開示されてい 実施例によると、この方法では、成形触媒 のシリカバインダーの含有量が40~50重量%と いために、成形触媒性能の大きな低下が避 られない。

  特許文献9~特許文献10では、焼却炉から 排出される排ガス中の有害成分を分解、除 する、酸化チタンを担体とする触媒を製造 る際、多孔化剤としてアセタール樹脂、ア リル樹脂、ポリエステル樹脂及びメタクリ 樹脂などの易熱分解性物質を用いることに り、300 nm ~ 450 nm 範囲の細孔サイズを作 出す方法が開示された。これらの方法では 用いられる多孔剤が製造過程中に分解する で、開示されている実施例によると、上記 範囲の細孔サイズを得るために、粒子径3μm の樹脂を用いなければならない。開示の方法 では、多孔剤粒子径と形成触媒の細孔径とは サイズが大きく違っており、細孔容積や細孔 径を制御することが困難である上、均一的な サイズの細孔を作り出すこともさらに困難と 予想される。

  即ち、カルボキシルメチルセルロース類 形助剤を使用して、ゼオライトとの成形性 容易なカオリナイトや酸性白土などはバイ ダーとして使用することができるが、成形 媒の性能が損なわれる可能性がある。また 成形触媒性能をあまり低下させないシリカ インダーはゼオライトとの成形性が良くな 。そこで、押出し原料混合物にアルカリ金 を添加することによって押出しが可能にな 、十分な大きさの細孔容積とも高い破砕強 の成形触媒が得られる。しかし、大量のア カリの除去工程が必要となり、経済的に好 しくなく、成形触媒物性の制御も容易では い。成形助剤として、アミン化合物の使用 弱いアルカリ雰囲気下での押出し成形を可 にするが、十分な破砕強度を得るためには バインダーの含有量をある程度高くしなけ ばならず、成形触媒の触媒活性や寿命にお る性能低下が避けられない結果となる。

特開昭61-155216号公報

特開昭61-242911号公報

特開平02-157118号公報

特開平10-087322号公報

特開昭61-026509号公報

特開平04-346839号公報

特開平06-211517号公報

特表2003-510181号公報

特開2002-079087号公報

特開2002-136871号公報

  本発明の目的は、低含有量の無機物バ ンダーで且つ高細孔容積を有しつつも、炭 水素を原料とする固定床の工業的反応プロ スに使用できる高触媒活性、長触媒寿命及 高破砕強度を有するゼオライト成形触媒を いる炭化水素の変換方法を提供することに る。

  本発明者らは、上記課題を解決すべく ゼオライト成形触媒及びその製造方法に関 て鋭意研究を重ねた結果、ゼオライト成分 量が60重量%以上で細孔容積が0.4~1.0ml/g、且つ 体積中央細孔径が80~500nmのゼオライト成形触 は0.9Kg以上の高い破砕強度を有し、炭化水 を原料とする固定床の反応プロセス触媒と て使用できることを見出した。又、ゼオラ ト粉末、無機物バインダーの原料、成形助 、有機高分子粒子、及び水を混錬すること より押出し可能な粘土状の混錬物を押出し 形し、乾燥、焼成することにより上記の特 を満たすゼオライト成形触媒の製造方法を 発した。

 該成形触媒を炭化水素を原料とする固定 の工業的反応プロセスに使用する際、元の 末状ゼオライトに比べて、大きな触媒活性 低下及びコーク生成速度の加速が見られな ったことにより上記課題を解決できること 見出した。

  上述のように既存の成形触媒性能低下 制方法としての低無機物バインダー使用及 高細孔容積化はいずれも成形触媒性能の低 を引き起こすものであった。本発明者らは こうした成形触媒の性能が低下する原因に いて詳細に検討した。本発明者らは、特に 銀多孔測定法による成形触媒内の細孔径分 に着目した。その結果、ある大きさ以上の 孔内では原料の拡散速度が確保され、反応 度の低下及びコーク生成速度の加速が共に 制されることを見出したのである。成形触 内細孔の分布を平均的に表す指標としては 体積中央細孔径が有効であることも見出し 。

  本発明者らは、細孔容積と細孔径の形 に不規則な影響を及ぼす成形助剤の使用量 できるだけ低くし、最適な粒子径と比較的 狭い粒子分布を有する有機高分子粒子を使 することにより、成形触媒内の細孔を制御 、上記の物性を有するゼオライト成形触媒 製造法および該製造法により得られたゼオ イト成形触媒を用いる炭化水素の変換方法 見出して、本発明に到達した。

  すなわち、本発明に係るゼオライト成形 媒を用いる炭化水素の変換方法は、
(1) ゼオライト粉末、無機物バインダ-の原料 、成形助剤、平均直径が0.1~6μmの有機高分子 子及び水を混錬することにより混錬物を製 し、該混錬物を押出し、乾燥、焼成するこ によって得られるゼオライト成形触媒を用 、オレフィンを含む炭化水素原料を接触分 することにより、原料よりも低級なオレフ ンを製造することを特徴とする。また、
(2)  ゼオライト及び無機物バインダーを含 ゼオライト成形触媒であって、ゼオライト 分含量が全量の60重量%以上であり、細孔容 が0.4~1.0ml/g、且つ体積中央細孔径が80~500nm、 砕強度が0.9Kg以上であるゼオライト成形触 を用い、オレフィンを含む炭化水素原料を 触分解することにより原料よりも低級なオ フィンを製造することを特徴とする。さら 、
(3) ゼオライト粉末、無機物バインダ-の原料 、成形助剤、平均直径が0.1~6μmの有機高分子 子及び水を混錬することにより混錬物を製 し、該混錬物を押出し、乾燥、焼成するこ によって得られるゼオライト及び無機物バ ンダーを含むゼオライト成形触媒であって ゼオライト成分含量が全量の60重量%以上で り、細孔容積が0.4~1.0ml/g、且つ体積中央細 径が80~500nm、破砕強度が0.9Kg以上であるゼオ イト成形触媒を用い、オレフィンを含む炭 水素原料を接触分解することにより原料よ も低級なオレフィンを製造することを特徴 する。
(4) 上記(1)ないし(3)において、前記ゼオライ が、MFI型ゼオライトであることを特徴とす 。
(5) 上記(1)ないし(3)において、前記無機物バ ンダーの含有量がゼオライト成形触媒全量 対して40重量%以下であることを特徴とする
(6)  上記(1)ないし(3)において、前記無機物 インダーがシリカであることを特徴とする
(7)  上記(3)において、前記ゼオライト粉末10 0重量部、無機物バインダ-の原料10~70重量部 成形助剤15重量部以下、平均直径が0.1~6μmの 機高分子粒子10~60重量部、及び水の配合量 全混合物重量の20~60%とすることを特徴とす 。
(8)  上記(1)または(3)において、前記ゼオラ ト粉末が、アンモニウム型またはアルカリ であることを特徴とする。
(9)  上記(1)または(3)において、前記無機物 インダーの原料がシリカゾルまたはナトリ ム型のシリカゾルであることを特徴とする
(10)  上記(1)ないし(3)において、前記オレフ ンを含む炭化水素原料が、少なくとも1種の 炭素数4~12のオレフィンを含有し、かつ10~60重 量%の少なくとも1種の炭素数1~12の飽和炭化水 素を含有する炭化水素原料であり、原料より も低級なオレフィンがエチレン及びプロピレ ンであり、接触分解の温度が400~580℃である とを特徴とする。
(11)  上記(10)において、前記接触分解の圧力 が0.05~2MPaであり、触媒単位あたりの炭化水素 原料の供給速度(WHSV)が20~256hr -1 であることを特徴とする。

  本発明の炭化水素の変換方法において 用するゼオライト成形触媒は、低含有量の 機物バインダーで且つ高細孔容積を有しつ も高破砕強度を有するので、炭化水素を原 とする固定床の工業的反応プロセスに使用 ることができ、高触媒活性、長触媒寿命を する。本発明で使用するゼオライト成形触 は、ゼオライト粉末、無機物バインダ-の原 、成形助剤、平均直径が0.1~6μmの有機高分 粒子及び水を混錬することにより混錬物を 造し、該混錬物を押出し、乾燥、焼成して 造しているので、低含有量の無機物バイン ーで且つ高細孔容積を有しつつも高破砕強 を有し、高触媒活性、長触媒寿命を有する

  本発明で用いるゼオライト成形触媒は 炭化水素を原料とする固定床の工業的反応 ロセス、特に、少なくとも1種の炭素数4~12の オレフィンを含有し、かつ、10~60重量%の少な くとも1種の炭素数1~12の飽和炭化水素を含有 る炭化水素原料を接触分解して、エチレン びプロピレンを製造する反応に好適に用い れる。

  本発明において、ゼオライト成形触媒 、ゼオライト及び無機物バインダーを含み ゼオライト含量60重量%以上90重量%以下、好 しくは、65重量%以上88重量%以下、更に好ま くは70重量%以上85重量%以下、細孔容積0.4~1.0m l/g、好ましくは、0.5~0.8ml/g、且つ体積中央細 径80nm~500nm、好ましくは、80~400nm、破砕強度0 .9Kg以上、好ましくは、1.0Kg以上である。

  本発明者らは、驚くべきことに、この うな特性のゼオライト成形触媒は元の粉末 ゼオライトと比較して性能の低下が効率的 抑制され、且つ炭化水素を原料とする固定 の反応プロセスに使用可能な破砕強度を備 ることを見出した。細孔容積が、0.4ml/g未満 は、触媒性能が低下し、コークの生成速度 加速される。1.0ml/gを超えると、触媒性能の 低下は小さいが、破砕強度が低く炭化水素を 原料とする固定床の反応プロセスに使用する ことができない。  

  成形触媒の細孔容積と体積中央細孔径 水銀多孔度測定法(水銀ポロシ)により求める 。水銀多孔度測定法から成形触媒の細孔分布 のピークが得られるが、特に直径の値が80nm~5 00nm付近の細孔内では原料の拡散速度が十分 速く、反応速度の低下及びコークが抑制さ る。従って、これら細孔容積の合計体積が める割合が全体の細孔体積の大半を示す時 成形触媒が最も高い性能を示す。本発明で 、水銀多孔測定法で得られた細孔直径対細 容積積算値のプロットにおいて、全細孔容 の半分のところに当たる細孔径を体積中央 孔径とする。

  本発明において、ゼオライトは特にあ 特定のゼオライトに限定されるものではな 、ゼオライト類全体を含むものである。ゼ ライト類の例としては、モルデナイト、フ リエライト、ZSM-4(オメガ)、ZSM-5(MFI型アルミ シリケート)、ZSM-11、ZSM-112、ZSM-20、ZSM-22、ZS M-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-50、X、Y、L及びベータ- どが挙げられる。

  アルミノシリケートゼオライトの場合、 のSiO 2 /Al 2 O 3 モル比は本発明の方法に影響を与えるもので はなく、その範囲はSiO 2 /Al 2 O 3 モル比が3以上であればよく、事実上制限さ ない。ゼオライトは目的のSiO 2 /Al 2 O 3 モル比を有する市販品をそのまま使用しても よいが、ある組成のゼオライトを原料として 公知の方法により違う組成を得ることも可能 である。すなわち、低いSiO 2 /Al 2 O 3 モル比の市販品を脱アルミさせて、より高シ リカゼオライトに転化させることも可能であ る。脱アルミナの方法としては、例えば、Cat alysis and Zeolites, Fundamentals and Applications (J.  Weitkamp, L. Puppe編集、Springer, 1999)、127~155ペ ージに記載され、水蒸気処理、四塩化ケイ素 による処理、ヘキサフルロシリケート処理等 の方法を挙げることができる。上記方法で処 理されたゼオライトに本発明の方法が全て適 用される。

  上記のゼオライトは、酸性を示すこと 必要な要件であるため、プロトン型以外に 、金属イオンで交換された酸性を示すゼオ イトも用いることができる。その金属イオ としては、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類 金属、Fe、Ni、Mn、Co、V等の遷移金属を挙げる ことができる。これらは、プロトンと任意の 割合で同時に存在しても差し支えない。この とき、ゼオライトの交換容量の全てを前述の プロトン、または金属で置き換えても良いが 、活性が高すぎる場合には、その交換容量の 一部を、任意の割合でLi、Na、K等のアルカリ 属で置き換えて酸性度を下げてもよい。た し、アルカリ金属の交換容量に占める割合 90%を越すと酸性度が低くなりすぎるため、 れ以下の割合とすることが好ましい。これ の元素を触媒に含有させる方法としては、 知の方法がとられる。例えば、プロトン型 オライトとイオン交換法で、金属原子のカ オンをプロトンと交換させる方法や、これ の元素が含有する塩や錯化体の化合物をゼ ライトに含浸させる方法などが挙げられる

  上記のゼオライトには、活性の制御、 択性の向上、コーク生成の抑制及び触媒劣 速度の抑制を目的で、公知の方法に従って SiとAl以外の第3金属として、B、Sn、Ga、Mn、Fe 及びTiをゼオライト構造の骨格に含有したも を用いることもできる。

  本発明において用いられる無機物バイ ダーとしては、シリカ、アルミナ、アルミ ・シリカを含む無機化合物等が挙げられる ゼオライト成形触媒を使用する時、目的の 応に重大な影響を与えないものであれば、 れを用いることができる。

  本発明において用いられるゼオライト 形触媒中の無機物バインダー含有量は、破 強度の強さ及び触媒性能の観点から、10重量 %~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%、更に好 ましくは15重量%~30重量%とする。  無機物バ ンダーとゼオライトとの結合により、ゼオ イト表面付近の活性点が影響され、場合に ってはその活性がまったくなくなってしま からである。従って、無機物バインダー含 量をできるだけ低くした方が好ましいが、 機物バインダー含有量が低くなると、成形 媒の破砕強度が弱くなるというトレードオ の関係にある。

  本発明において、ゼオライト成形触媒 、たとえば、ゼオライト粉末、無機物バイ ダーの原料、成形助剤、平均直径0.1~6μmの有 機高分子粉末及び水を混練して、該混練物を 押出し、乾燥、焼成することにより製造され る。

  本発明に用いられるゼオライト粉末は アルカリ型、アンモニウム型又はプロトン 、いずれのゼオライトも用いることができ が、アルカリ型又はアンモニウム型がより ましく用いられる。プロトン型が用いられ 場合は、押出し用混錬物のpHを調整し、アル カリ性に保つことが望ましいが、押出し用混 錬物が酸性の場合においても、用いられる補 助剤がその影響を受けなければ、問題なくプ ロトン型ゼオライトを用いることができる。

  上記のゼオライト粉末は、アルカリ又 アンモニウム型以外にも、他の金属イオン 交換されたゼオライトも用いることができ 。その金属イオンは周期律表の第II族、例え ばMg、Ca、Sr、Baなどから第VIII族遷移金属、例 えば、Fe、Ni、Mn、Co、Vなど、又はアルカリ土 類金属、例えばLa、Ceなど、実質イオン交換 きる全てのカチオンを含むことができる。 れらはナトリウム又はアンモニウムと任意 割合で同時に存在しても差し支えない。こ らの元素を触媒に含有させる方法としては 公知の方法がとられる。例えば、プロトン ゼオライトとイオン交換法で、金属原子の チオンをプロトンと交換させる方法や、こ らの元素が含有する塩や錯化体の化合物を オライトに含浸させる方法などが挙げられ 。

  本発明に用いられるゼオライト粉末は 成形工程の混錬、焼成あるいは必要であれ 酸処理、イオン交換などの工程を経て、プ トン型あるいは金属イオンで交換された酸 を示すゼオライトとなる。

  無機物バインダーの原料としては、例 ば活性白土、ベントナイト、モンモリロナ ト等のスメクタイト系膨潤性粘土を主成分 して含む粘土鉱物、あるいはシリカゾル、 ルミナゾルなど、特にその組成が、ゼオラ ト成形触媒が触媒として使用される反応に 影響を与えなければこれらを用いることが きる。その中でも、粉末シリカやシリカゾ が好ましく用いられる。多くの場合反応に 響を及ぼさないし、熱安定性に優れている らである。無機物バインダーとしてのシリ は、その粒子表面の水酸基とゼオライト結 粒子表面の水酸基との脱水縮合反応により くゼオライト結晶粒子と結合する。シリカ 子間も同じ化学結合で繋がり、破砕強度の い非晶性のシリカネットワークがゼオライ 結晶粒子を繋ぎ止める構図になっていると われる。ゼオライト結晶粒子に比べてシリ バインダーの原料は粒子径が小さいものが ましく用いられる。シリカとゼオライトと 結合が効率的に形成され、強い破砕強度が られるからである。

  前記シリカバインダーの原料は特に限 されるものではないが、粉末状シリカやシ カゾルなどが好ましく用いられる。シリカ ルとはコロイド状のシリカ粒子が水に分散 る状態の混合物であり、アルカリ型、アン ニウム型及び酸性型が存在する。本発明に れば、pHが8~11のアルカリ型又はアンモニウ 型のシリカゾルが好ましく用いられる。こ 範囲よりpHの値が低くなると、シリカバイン ダーとゼオライトとの結合が弱くなる上に、 成形助剤によっては分解反応が起こり、その 役割を果たさなくなる。結果的に、8より低 pH値では、破砕強度の強い成形触媒が得られ ない。ただし、用いられる成型助剤が酸性雰 囲気下で安定に存在できれば、酸性型を用い ることもできる。本発明に用いられる粉末状 シリカ及びシリカゾルの粒子サイズの平均値 は、破砕強度の強さの観点から、50nm以下、 り好ましくは30nm以下とする。シリカバイン ーの原料は公知の方法を用いて合成したも を用いることもできるし、商業的に入手で る製品例えば、シグマ社のヒュームドシリ 、日産化学社製のスノーテックシリーズ、G race Davison社のLUDOXコロイダルシリカなどの製 品群などを使用することもできる。

  発明に用いられる成形助剤には、増粘 、分散剤、界面活性剤、解こう剤、保水剤 有機バインダーなどとよばれる物質が含ま る。これらの成形助剤は多くの場合、いく かの性質を備えているが、便宜上上記のよ にその一性能で呼ばれているのである。本 明によれば、これらを単独に使うこともで るし、共存させて用いることもできる。助 の役割は、ゼオライトと無機物バインダー 均一に分散させることや結合させることな の他に、混合物を押出し可能な粘度に調整 ることなどである。

  成形助剤は有機化合物、特定の機能を 与する合成樹脂、ガム、天然高分子、ある はそれらの混合物が用いられる。押出し工 後の焼成工程で、これら成形助剤は燃焼、 発されるので、最終的にゼオライト成形触 に残らない。助剤の例としては、例えばメ ルセルロース、カルボキシメチルセルロー 、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチ ングリコール、ポリエチレンオキシド、ポ アクリルアミド、アルギン酸ポリプロピレ グリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ レタン、キサンタンガム及びこれらの共重 体や誘導体から選ばれる少なくとも一種類 好適に利用できる。これらのなかでも、ウ タン変性ポリエチレングリコール、アルギ 酸ポリプロピレングリコール、特開2004-169011 の方法で製造した水溶性ポリウレタン、ポリ エチレンオキシド及びメチルセルロース、キ サンタンガム及びにこれらの誘導体からなる 群から1つ以上選ばれるものを使用すること 、成形体の強度を向上させる効果が大きく ましい。上記の成形助剤は公知の方法を用 て合成したものを用いることもできるし、 販品を用いることもできる。

  本発明において、使用する成形助剤の 重量をゼオライトの重量に対して15重量%以 2重量%以上とし、好ましくは10重量%以下2重 %以上とする。焼成工程で成形助剤が蒸発し 焼することにより細孔が形成されるが、こ らの細孔サイズは成形助剤の物性により影 され、必ずしも成形触媒性能の向上によい 響をもたらすものではない。従って、上記 範囲より高い成形助剤の量が使用されると 好ましくないサイズの細孔が多く生成され 成形触媒性能の低下に繋がる。

  本発明の方法において、用いられる有機 分子粒子の例として、例えば、シリコーン ム、シリコーン樹脂、ポリスチレン、架橋 リスチレン、ポリスチレン系樹脂、スチレ -ジビニルベンゼン共重合体、スチレン-アク リル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エス ル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共 合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、ス チレン-メタクリル酸エステル共重合体、ス レン-メタクリロニトリル共重合体、ポリビ ルトルエン、ポリエチレン、ポリオレフィ 樹脂、アクリル樹脂、架橋アクリル樹脂、 チレン-アクリル酸共重合体、エチレン-ア リル酸エステル共重合体、エチレン-アクリ ニトリル共重合体、エチレン-メタクリル酸 共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル 重合体、エチレン-メタクリロニトリル共重 体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタク ル酸エチル、ポリメタクリル酸グリシジル 架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリアクロ イン、ポリグルタルアルデヒド、ポリアク ルアミド、架橋アルコール性樹脂、フェノ ル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン6、ナイロ ン66、ナイロン11、ナイロン12、ベンゾグアナ ミン樹脂、メラミン樹脂、メラミン-グアナ ン樹脂及びポリアクリル酸n-ブチルよりなる 群から選ばれた少なくとも一種から選ぶこと ができる。
特に、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポ リスチレン系樹脂、スチレン-ジビニルベン ン共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体 スチレン-アクリル酸エステル共重合体、ス チレン-アクリロニトリル共重合体、スチレ -メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリ ル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリ ニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチ 、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリ 酸グリシジルまたは架橋ポリメタクリル酸 チルを用いた場合に好ましい結果を与える

  上記のこれらの有機高分子粒子は、市 品として粉体、スラリー、ラテックス又は マルジョンなどとして容易に入手すること できる。例えば、三井化学社製のミューテ クルシリーズ、三井化学社製のグロスデー シリーズ、日本純薬社製のジュリマーシリ ズ、セラダイン社製のポリスチレン粒子シ ーズなどはその例として挙げられる。ある は、上記の有機高分子を公知の方法を用い 合成したものを用いることもできるが、本 明はこれらの重合方法に限定されず、どの うな方法で製造された合成有機高分子であ ても、これらを使用することができる。そ 中でも、粒子分布が狭い高分子が得られる 例えばエマルジョン重合法、特開昭59-59741や 特開平03-140286で開示される製造方法などが好 ましく用いられる。

  本発明の方法において、使用される有 高分子粒子は、粒子径が 0.1~6 μm、好まし は 0.2~5μm の微粒子とする。0.1μmより小さ 粒径では、成形触媒内に形成される細孔サ ズが小さく、成形触媒内拡散の促進が十分 はないため触媒として用いられる際、コー ング速度が速く高寿命が得られない。また 6μmより大きい粒径の有機高分子粒子の使用 破砕強度の低下に繋がる。粒子形状は球状 破砕形、扁平形、楕円形等種々の形状を用 る事ができるが、特に球状粒子が好ましい ゼオライト成形触媒製造の際、焼成工程に いて、有機高分子粒子が燃焼し蒸発するこ により、成形触媒内にそれらの粒子に近い イズの細孔が形成される。使用される有機 分子の粒子サイズが上記の範囲内に含まれ と、好ましいサイズを有する細孔が形成さ る。又、使用される有機高分子の粒子分布 狭い場合、サイズの近い細孔が多く生成す 。一般的に同じ細孔容積を有する成形触媒 比較した場合が、細孔分布が狭くサイズの い細孔を多く含むものの方が細孔サイズ分 の広いものより破砕強度が高くなる。

 なお、有機高分子粒子の直径は、電子顕 鏡写真から容易に測定できる。

  本発明の方法では、使用する有機高分 粒子量は、ゼオライトの重量に対して10~60% し、より好ましくは10~50%とする。この範囲 り低いと有機高分子の蒸発・燃焼で形成さ る細孔の全容積が小さく成形触媒性能への 響が十分ではない。又、この範囲より高い 成形触媒の破砕強度低下へ繋がる。

  本発明において、混合物に含まれる全 分量を全混合物に対してその重量比が20~60% 好ましくは25~50%になるように水の量を調整 る。この範囲以下では粘度が高すぎて成形 工できない。またこの範囲以上では得られ 成形体の破砕強度が弱く、工業触媒として いることができない。水分量は成形工程の 易さだけでなく、ゼオライト成形触媒の細 容積と細孔サイズなどに影響を与える重要 要因である。

  本発明において、ゼオライト成形触媒 、好ましくは、ゼオライト粉末100重量部、 機物バインダーの原料10~70重量部、成形助剤 15重量部以下、平均直径0.1~6μmの有機高分子 末10~60重量部及び水を全混合物重量の20~60%の 混合物を混練して、該混練物を押出し、乾燥 、焼成することにより製造される。

  ゼオライト、無機物バインダーの原料 成形助剤、有機高分子粒子及び水の上記分 の混合物を混練して、押出しできる状態の 錬物にする。混錬工程は室温又は室温以上 温度で行われ適切な粘土状の混錬物が製造 れる。該混錬体は押出し機を用いることに り成形される。押出した成形体は乾燥され 。乾燥条件は特に限定されないが、空気又 窒素の雰囲気又は流通下で、好ましくは50℃ ~120℃で行われる。乾燥工程の次に、酸素含 ガス存在下又は流通下で400℃以上、好まし は500~600℃の温度で成形体が焼成される。焼 工程では成形体に急激な変化を与えないた に、所定の温度に達するまでに最初は遅い 度で昇温する方法が取られる。焼成の工程 、無機物バインダーとゼオライト間の結合 生成すると同時に、成形助剤や有機高分子 子の有機組成物が燃焼、蒸発し目的のゼオ イト成形触媒が製造される。

  ゼオライト成形触媒の直径は、0.5~3mmとす 。この範囲より小さいと使用時に圧損が大 くコークの生成の原因になり、又この範囲 り大きいと触媒性能が低下する。
又該成形触媒を触媒として使用する反応によ っては、成形触媒に含まれるアルカリや他の 金属成分を取り除く工程が行われることもあ る。この場合、金属成分除去後、成形触媒を 洗浄する。洗浄工程に塩酸や硝酸などの水溶 液が好んで用いられる。後に続く乾燥や焼成 工程でその成分が成形触媒に残存しないから である。

  本発明は、上記の方法で製造されるゼ ライト成形触媒を用いて炭化水素の変換を なうものである。後述のとおり、本発明は 定床の反応プロセスに好適に用いられる。

  本発明に係る反応プロセスは特に限定 れるものではなく、例えばコークの生成速 が一般に速い反応である、炭化水素の変換 応、より具体的にはオレフィンを含む炭化 素原料を接触分解することにより、原料よ も低級なオレフィンを製造することを特徴 る変換反応に好んで使用される。

  本発明に係る炭化水素の変換反応の例 して、パラフィンの接触分解、オレフィン 接触分解などが挙げられる。

 本発明に係る炭化水素の変換方法は、固 床、流動床および移動床など、いずれの形 の反応器においても用いることができるが ゼオライト成形触媒に要求される破砕強度 比較的小さく、設備が簡単である固定床反 器であることが好ましい。このような反応 に上記ゼオライト成形触媒を充填し、オレ ィン含有炭化水素原料を供給することによ 、炭化水素の変換反応が行なわれる。

  上記の炭化水素の例としては、メタン エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、 直鎖、分岐と環状ペンタン、直鎖、分岐と環 状ヘキサン、直鎖、分岐と環状ヘプタン、直 鎖、分岐と環状オクタンを挙げることができ る。芳香族の例として、ベンゼン、トルエン 、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる 。オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、 ス ―2-ブテン、トランス―2-ブテン、イソ テン、1-ペンテン、シス―2-ペンテン、トラ ンス―2-ペンテン、2-メチル―1-ブテン、2-メ ル―2-ブテン、3-メチル―1-ブテン、シクロ ンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセ 、メチルブテン類、ジメチルブテン類、ネ ヘキセン、シクロヘキセン、メチルシクロ ンテン、直鎖状ヘプテン類、分岐状ヘプテ 類、環状ヘプテン類、メチルシクロヘキセ 類、炭素数9~12の直鎖状、分岐状、または環 状のオレフィン類を挙げることができる。

  本発明に使用する上記ゼオライト成形 媒は、ブタジエン、シクロペンタジエン等 ジエン類が触媒活性の低下などを引き起こ ないことを特徴する。すなわち、原料炭化 素にブタジエンなどのジエン成分が原料炭 水素全量に対し、最大2重量%程度含まれてい ても、その程度の含有量であればプロピレン 収率は長期にわたり安定的に得ることができ 、コークの生成収率の増加も少ない。

  このような成分をもつ原料としては、 えば、 ナフサ熱分解炉、またはナフサ接触 分解炉で得られる混合物からC1~C3留分を分離 た後送られる脱ブタン塔の塔頂より得られ  留分(クルードC4留分)からブタジエンを抽 除去した後の留分(ラフィネート-1)、または クルードC4留分中のブタジエンを抽出するこ なくその全量を選択的に接触水添してジエ 成分を含まないオレフィン留分、またはラ ィネート-1からイソブテンを分離した後の 分(ラフィネート-2)、または脱ブタン塔の塔 より得られる 留分(クルードC5留分)からイ プレンを抽出除去した後の留分、またはク ードC5留分からイソプレンを抽出すること くその全量を選択的に接触水添してジエン 分を含まないオレフィン留分、またはナフ 熱分解炉、またはナフサ接触分解炉で得ら る混合物からC1~C3留分を分離した後送られる 脱ペンタン塔の塔頂より得られる留分からブ タジエンやイソプレンを抽出することなくそ の全量を選択的に接触水添してジエン成分を 含まないオレフィン留分などを挙げることが できる。その他、FCCプロセスで得られるオレ フィン、パラフィンや芳香族を含む諸留分で 、ガソリンなどとして使用されない留分など が利用できる。これらの原料は単独で用いて も良いし、または任意の分量で混合して使用 しても差し支えない。原料は上述に限定され るものではない。

  本発明は、オレフィンを含む炭化水素 料を接触分解することにより、原料よりも 級なオレフィンを製造する反応の中でも、 に、炭素数4~12のオレフィンを含有する炭化 素原料を接触分解してエチレン、プロピレ を製造するプロセスに好適に用いられる。

  前記オレフィンを含む炭化水素原料は 少なくとも1種の炭素数4~12のオレフィンを含 有し、かつ、10~60重量%の少なくとも1種の炭 数1~12の飽和炭化水素を含有する炭化水素原 である。

  前記接触分解の温度は、400~580℃、好ま くは480~580℃、更に好ましくは480~560℃であ 。この範囲よりも反応温度が低い場合には 供給するオレフィンの転化率が低下し、十 なエチレン及びプロピレンの生産性が得ら ないので・BR>Dましくない。一方、この範 よりも高い反応温度では、コークの生成速 が加速し、触媒の活性低下が速くなる。

  前記接触分解の圧力は、0.05~2MPa、好ま くは0.05~1MPa、より好ましくは0.05~0.5MPaである 。

  触媒単位重量あたりの炭化水素原料の供 速度(WHSV)は、20~256hr -1 、好ましくは32~256hr -1 、より好ましくは40~128hr -1 である。この範囲よりも原料供給速度(WHSV)が 低い場合は、反応生成留出物中のペンテン含 有量が低くなり、また触媒の活性低下速度が ある程度抑制されるものの、水素、飽和炭化 水素及び芳香族炭化水素の収率が増加し、高 いエチレン及びプロピレンの選択率と生産性 が得られない。一方、この範囲よりも大きな 原料供給速度(WHSV)の反応条件下では、コーク の生成速度が速くなるので好ましくない。

  また、反応器は、単一の反応器であっ も、複数の反応器からなっていてもよく、 に複数の反応器の場合、直列に反応器を設 することにより反応条件をより精密に制御 きる。また、並列に設置した場合には、片 の反応器で接触分解運転を行い、他の反応 で再生などを行い、これらを切り替えなが 運転することにより、一定の生産量を維持 ることが可能となる。このような反応条件 で、プロピレンの選択率、収率と生産性を 大限得られ、触媒の活性低下の原因となる ークの生成が抑制される。

  一方、反応器を一つしか使用しない場 には、ペンテンを含む炭素数4以上のオレフ ンは反応生成留出物から分離された後、接 分解反応器にリサイクルして新たな原料と 一して使用することも可能であり、また、 れら炭素数4以上のオレフィンは分離後、ナ フサクラッカーへ新たなナフサ原料と合一し て使用することも可能である。

  以下本発明を実施例により更に詳細に説 するが、本発明はこれらの実施例に限定さ るものではない。
なお、以下の方法により、成形触媒の各種の 評価を行った。
(1)破砕強度
木屋式硬度計を用いた。該硬度計は、成形触 媒に加重を加える方式のものであり、成形触 媒が破砕した時の加重を破砕強度(Kg)とした 成形触媒5個を測定し、その平均値を用いた
(2)細孔容積
水銀多孔測定法により、測定。
(3)体積中央細孔径
水銀多孔測定法で得られた細孔直径対細孔容 積積算値のプロットにおいて、全細孔容積の 半分のところの細孔直径を体積中央細孔径と した。
(4)有機高分子粒子の直径
電子顕微鏡で測定。

  <実施例1>
市販品の粉末状アンモニウム塩型ZSM-5(SiO 2 /Al 2 O 3 モル比500)粉末10g、ナトリウム型シリカゾル( 産化学社製スノーテックS、シリカ30%、粒子 径8~11nm)5.8g、特開2004-169011(実施例1)の方法で 造した水溶性ポリウレタン樹脂0.20g、キサン タンガム0.20g、特開平03-140286(重合例1)の方法 製造したポリスチレン樹脂(平均粒子径0.8μm )1.5g及び水4.0gを乳鉢に入れ、10分間練った。 られた粘土状のペーストを、押出し機を使 て、直径1.5mmの成形体に押出し、一夜風乾 た後、120℃で1.5時間乾燥し、500℃で空気気 中5時間焼成した。1規定硝酸水溶液中で3時 還流した後、濾過、水洗浄した。この硝酸 理、濾過、水洗の操作を3回繰り返した後、 燥後、500℃で空気中5時間焼成した。木屋式 硬度計を使って、測定した平均破砕強度は1.0 Kgであった。水銀多孔測定機で測定した結果 細孔容積は0.55nm、体積中央細孔径は177nmで った。

  上記の成形触媒を約2mmの長さに折り、C4留 分原料の接触分解反応触媒としての性能評価 を行った。反応は固定床流通式反応器(内径10 .7mm、長さ250mm)を使用した。上記成形触媒を0. 7g、保持材として石英ウールと石英砂を、全 の長さが250mmになるように石英管に充填し 。この石英管を反応器に装填し、触媒層の 度550℃に保持し、ナフサのクラッキングで られたC4留分原料を30g毎時の流量で供給し(WH SV=43hr ー1 )、0.05MPaの反応圧力下、接触分解反応を行っ 。流出した反応生成物を気相状態に保持し ガスクロマトグラフを用いて分析を行った
結果を表1に示した。

  原料の転化率、生成物の収率及び触媒寿 を次式により算出した。
(1)転化率(%)=(1-(未反応のブテン重量/原料中の ブテン重量))×100
(2)触媒寿命=(初期転化率-転化率)が10%に達す 流通時間
(3)[エチレン(C 2 = )+プロピレン(C 3 = )]    収率(%)=(C 2 = +C 3 の生成重量
/原料中のブテン重量)×100
  <実施例2~3>
ナトリウム型シリカゾルを8.2g、ポリスチレ 樹脂をそれぞれ2.0、3.0g用いたこと及び水を れぞれ4.8、4.0g添加したこと以外は、実施例 1と同じ条件下で成形触媒を製造し、C4留分原 料の接触分解反応を行った。結果を表1に示 た。

  <実施例4~6>
平均細孔径0.5μmポリスチレン樹脂をそれぞれ 1.0、2.0、3.0g用いたこと及び水を3.5g添加した と以外は実施例2と同じ条件下で成形触媒を 製造し、C4留分原料の接触分解反応を行った   結果を表1に示した。

  <実施例7>
ポリスチレン樹脂の代わりに、ポリスチレン エマルジョンを(ポリスチレン45%、平均粒子 0.65μm)を4.4g用いたこと及び水を3.0g添加した と以外は、実施例2と同じ条件下で成形触媒 を製造し、C4留分原料の接触分解反応を行っ 。結果を表1に示した。

  <実施例8>
ゼオライトを4.7g、ポリスチレン樹脂の代わ にポリメタクル酸メチル(略PMMA、日本純薬社 製、製品名ジュリマーMB-SX、平均粒子径4~5μm) を1.0g用いたこと及び水を4.3g添加したこと以 は、実施例1と同じ条件下で成形触媒を製造 し、C4留分原料の接触分解反応を行った。結 を表1に示した。

  <実施例9>
キサンタンがムの代わりにアルギン酸ポリプ ロピレングリコール(純正化学社製)を0.2g用い たこと、ポリスチレン樹脂を2.0g用いたこと び水をそれぞれ4.8g添加したこと以外は、実 例2と同じ条件下で成形触媒を製造し、C4留 原料の接触分解反応を行った。結果を表1に 示した。

  <実施例10>
ナトリウム型シリカゾルを14g、水溶性ウレタ ン0.25g及びキサンタンガムを0.25g用いたこと び水を添加しないこと以外は、実施例2と同 条件下で成形触媒を製造し、C4留分原料の 触分解反応を行った。この実施例では、シ カゾルに含まれる水分量が多く、水の添加 不要であった。結果を表1に示した。

  <実施例11>
市販品の粉末状アンモニウム塩型ZSM-5(SiO 2 /Al 2 O 3 モル比500)粉末30g、ナトリウム型シリカゾル( 産化学社製スノーテクS、シリカ30%、粒子径 8-11nm)24.6g、特開2004-169011(実施例1)の方法で製 した水溶性ポリウレタン樹脂0.60g、アルギ 酸ポリプロピレングリコール(純正化学社製) 0.6g、特開03-140286(重合例1)の方法で製造した リスチレン樹脂(平均粒子径0.8μm)4.5g及び水10 .5gを混錬機で30分間練った。得られた粘土状 ペーストを、押出し機を使って、直径1.5mm 成形体に押出し、一夜風乾した後、120℃で1. 5時間乾燥し、500℃で空気気流中5時間焼成し 。1規定硝酸水溶液中で3時間還流した後、 過、水洗浄した。この硝酸処理、濾過、水 の操作を3回繰り返した後、乾燥後、500℃で 気中5時間焼成した。木屋式硬度計を使って 、測定した平均破砕強度は1.1Kgであった。水 多孔測定機で測定した結果、細孔容積は0.62 ml/g、体積中央細孔径は294nmであった。

  上記の触媒を実施例と同じ条件で、C4留 分原料の接触分解反応触媒としての性能評価 を行った。結果を表1に示した。

  <実施例12>
アルギン酸ポリプロピレングリコールの代わ りにキサンタンガム0.90g、ポリスチレン樹脂6 .0gを用いたこと及び水を7.5g添加したこと以 は実施例11と同じ条件下で成形触媒を製造し 、C4留分原料の接触分解反応を行った。結果 表1に示した。

  <比較例1>
  ナトリウム型シリカゾル3.6g、特開2004-16901 1(実施例1)の方法で製造した水溶性ポリウレ ン樹脂0.1g、キサンタンガム0.1g、水5.0gを用 たこと及びポリスチレン樹脂を用いなかっ こと以外は実施例1と同じ条件下で成形触媒 製造し、C4留分原料の接触分解反応を行っ 。このような低いシリカバインダー含有量 組成とする成形触媒は破砕強度が0.8Kgしかな かった。結果を表1に示した。

  <比較例2~4>
ゼオライトをそれぞれ5、10、10g、ナトリウム 型シリカゾルをそれぞれ2.9、8.2、14.0g、水溶 ポリウレタン樹脂をそれぞれ0.05、0.20、0.25g 、キサンタンガム0.05、0.20、0.25gを用いたこ 及び水をそれぞれ2.5、1.8、0g添加したこと以 外は比較例1と同じ条件下で成形触媒を製造 、C4留分原料の接触分解反応を行った。有機 高分子粒子を用いなかったこれらの成形触媒 製造条件下では、細孔容積と体積中央細孔径 の大きさが十分ではなく、触媒寿命が低下し た。結果を表1に示した。