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Title:
PROCESS FOR PRODUCING AROMATIC CARBOXYLIC ACID
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/014098
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing an aromatic carboxylic acid by oxidizing an alkyl aromatic compound in a solvent to thereby obtain a slurry of aromatic carboxylic acid and performing solid-liquid separation with a pressurized state maintained, in which any accidental stoppage of the transfer operation for slurry, mother liquor, washing drainage, etc. can be prevented. The process for producing an aromatic carboxylic acid comprises at least the steps of oxidizing an alkyl aromatic compound in a solvent in a reactor in pressurized condition to thereby form an aromatic carboxylic acid and, after drawing out a slurry containing the aromatic carboxylic acid and the solvent from the reactor, carrying out solid-liquid separation in a pressurized state by means of a solid-liquid separator to thereby obtain an aromatic carboxylic acid cake and a mother liquor, wherein discharge of any gas drawn out together with the slurry from the reactor is carried out by means other than the reactor.

Inventors:
ISOGAI TAKAYUKI (JP)
OGATA TOMOHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063047
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
ISOGAI TAKAYUKI (JP)
OGATA TOMOHIKO (JP)
International Classes:
C07C51/265; C07C51/43; C07C51/47; C07C63/26
Foreign References:
JP2005247839A2005-09-15
JPH10291957A1998-11-04
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-konyach, Chiyoda-ku Tokyo 35, JP)
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Claims:
 加圧状態の反応装置内において、溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を生成させる工程、及び前記芳香族カルボン酸及び溶媒を含むスラリーを前記反応装置から抜き出した後、固液分離装置にて加圧状態で固液分離を行い、芳香族カルボン酸ケーキ及び母液を得る工程、を少なくとも含む芳香族カルボン酸の製造方法であって、
 前記反応装置から前記スラリーとともに抜き出されたガスの排出を前記反応装置以外で行うことを特徴とする、芳香族カルボン酸の製造方法。
 ガスの排出が、前記固液分離工程以降の工程で行われる、請求項1に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 ガスの排出が、少なくとも前記固液分離装置で行われる、請求項1又は2に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記固液分離装置がスクリーンボウルデカンターである、請求項1~3のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記母液が、加圧状態を維持したまま前記反応装置に移送される、請求項1~4のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記芳香族カルボン酸ケーキを洗浄液を用いて洗浄する工程を更に含み、該洗浄工程で得られた洗浄排液が、加圧状態を維持したまま前記反応装置に移送される、請求項1~5のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記母液を反応装置へ移送する前に貯留する母液タンク、及び/又は前記洗浄排液を反応装置へ移送する前に貯留する洗浄排液タンクからガスの排出を行う、請求項5又は6に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記ガスの排出が、少なくとも圧力調整手段を用いて行われる、請求項1~7のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 圧力調整手段を自動的圧力調整開閉弁にて行い、圧力変動幅を1MPa以内で行う、請求項8に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
 前記反応装置が、直列に配された2以上の反応器を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
Description:
芳香族カルボン酸の製造方法

 本発明は、芳香族カルボン酸の製造方法 関する。

 芳香族カルボン酸はポリエステルの合成原 等として有用であり、通常、アルキル基を する芳香族化合物(以下、アルキル芳香族化 合物と称する)を酸化することにより製造さ る。
 芳香族カルボン酸として代表的なテレフタ 酸を例に、その製造工程について説明する

 図2に示す如く、まず、原料であるアルキル 芳香族化合物aを、触媒を含み高温高圧状態 ある反応器1内に導入する。このアルキル芳 族化合物aを酢酸などの溶媒c中で、空気な の分子状酸素含有ガスbにより酸化して、芳 族カルボン酸を生成する。
 従来、生成した芳香族カルボン酸と酢酸溶 とのスラリーdは、複数段の晶析槽で段階的 に圧力と温度を下げて晶析させた後に固液分 離を行っていた(特許文献1参照)。しかし近年 、スラリーdを、反応器1よりは低圧であるも の常圧を上回る加圧状態を維持したまま加 固液分離装置3に送り、高温高圧のまま芳香 族カルボン酸ケーキfと母液gとに分離する方 が提案されている(特許文献2参照)。なお、 応器1より低圧でかつ加圧状態とするために 、スラリーdの移送経路中に圧力弁2を設ける

 分離した母液gには、酢酸溶媒に溶解した ままの芳香族カルボン酸や、芳香族カルボン 酸になるまで酸化しきらなかった(酸化反応 不完全であった)、一部酸化したアルキル基 有する芳香族化合物(以下、一部酸化アルキ ル芳香族化合物と称する)を含むので、反応 1に戻して再利用する。これにより母液gに含 まれる一部酸化アルキル芳香族化合物は反応 器1で酸化され、芳香族カルボン酸となる。

 また、芳香族カルボン酸ケーキfは、洗浄 装置4内で洗浄液iにより洗浄され、洗浄ケー hとなる。この洗浄ケーキhを乾燥装置6で乾 させて芳香族カルボン酸結晶kを得る。一方 、洗浄装置4から出る洗浄排液jは母液gと同様 に芳香族カルボン酸を多く含むので直接又は 間接的に回収し、一部は反応器1に戻すとと に、一部は系内への不純物の蓄積を避ける めに廃棄処理工程9に送る。また、反応器1か ら排出される反応ガスmは凝縮器8で凝縮され 得られた凝縮液nの一部は反応器1に戻され とともに、凝縮器8から出る凝縮器排ガスoの 一部も反応器1に戻される。

 上記の方法を用いれば、晶析槽を用いず 加温加圧状態であるエネルギーを保持した ま母液gや洗浄排液jの回収、再利用を行う とができ、プロセス全体で必要とするエネ ギー量を低減させることができる。

 また、特許文献3には、結晶等の固形分を含 むスラリーを加圧、濾過して固形分を得るに 際し、圧力を調整するための圧力調整手段が 記載されている。特許文献3に記載の本技術 、スラリーを加圧ガスを用いて濾過する際 、用いるガスが漏洩して濾過後の下流側(例 ば乾燥機等)の機器に悪影響を与えるため、 圧力調整手段を用いて加圧ガスの漏洩を防止 するものである。

特開2004-231637号公報

特開2005-247839号公報

WO2005/037401号公報

 前記の従来方法では、反応器1の圧力より も加圧固液分離装置3の圧力を低圧とするこ で、スラリーdが反応器1から抜き出され加圧 固液分離装置3に移送される。しかしながら の方法を連続的に行うと、やがては反応器1 圧力と固液分離装置3の圧力とが同圧になり 、スラリーdが移送されずにプロセスが停止 てしまうことがあった。或いは、加圧固液 離装置3や洗浄装置4から母液gや洗浄排液jを 応器1へ送る工程が停止することもあった。

 また、反応器1から抜き出したスラリーdを ンプでポンプアップ(昇圧)して、より高圧に した後に加圧固液分離装置3に導入すること スラリーdを強制的に送る方法もあるが、こ 方法でもなお、スラリーdの移送が停止して しまう場合があった。
 そこで本発明は、加圧状態の反応器1から抜 き出した芳香族カルボン酸のスラリーdを加 状態のまま固液分離する工程を含む芳香族 ルボン酸の製造工程において、スラリー、 液、洗浄排液等の移送工程が意図に反して 止するのを防ぐことを目的とする。

 本発明者らは上記目的を達成するため鋭意 討した結果、反応装置からスラリーととも 抜き出されたガスを、その後の工程のいず かの箇所で排出することで課題を解決しう ことを見出し、本発明に至った。
 即ち本発明は、加圧状態の反応装置内にお て、溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化 て芳香族カルボン酸を生成させる工程、及 、前記芳香族カルボン酸及び溶媒を含むス リーを前記反応装置から抜き出した後、固 分離装置にて加圧状態で固液分離を行い、 香族カルボン酸ケーキ及び母液を得る工程 を少なくとも含む芳香族カルボン酸の製造 法であって、前記反応装置から前記スラリ とともに抜き出されたガスの排出を前記反 装置以外で行うことを特徴とする芳香族カ ボン酸の製造方法に関する。
 また本発明は、ガスの排出が、前記固液分 工程以降の工程で行われる前記製造方法に する。
 また本発明は、ガスの排出が、少なくとも 記固液分離装置で行われる前記製造方法に する。
 また本発明は、前記固液分離装置がスクリ ンボウルデカンターである前記製造方法に する。
 また本発明は、前記母液が、加圧状態を維 したまま前記反応装置に移送される前記製 方法に関する。
 また本発明は、前記芳香族カルボン酸ケー を洗浄液を用いて洗浄する工程を更に含み 該洗浄工程で得られた洗浄排液が、加圧状 を維持したまま前記反応装置に移送される 記製造方法に関する。
 また本発明は、前記母液を反応装置へ移送 る前に貯留する母液タンク、及び/又は、前 記洗浄排液を反応装置へ移送する前に貯留す る洗浄排液タンクからガスの排出を行う前記 製造方法に関する。
 また本発明は、前記ガスの排出が、少なく も圧力調整手段を用いて行われる前記製造 法に関する。
 また本発明は、圧力調整手段を自動的圧力 整開閉弁にて行い、圧力変動幅を1MPa以内で 行う芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
 また本発明は、前記反応装置が、直列に配 れた2以上の反応器を有する前記製造方法に 関する。

 本発明によれば、芳香族カルボン酸の製造 おいて、加圧状態の反応装置でアルキル芳 族化合物の酸化を行い、得られたスラリー 加圧のまま固液分離することができる。ま 、スラリーや固液分離した母液、洗浄排液 の移送工程の停止を防ぐことができるので 芳香族カルボン酸の安定した製造が可能と る。
 また、本発明によれば、移送に供するガス 排出工程を有し、固液分離工程以降の搬送 ラリーの圧力変動を最小限にすることによ 、固液スラリーから目的とする芳香族カル ン酸の析出を促進し、安定的に回収するこ が可能となる。

本発明に係わる芳香族カルボン酸の製 工程を示す概念図 従来の芳香族カルボン酸の製造工程を す概念図

符号の説明

1,11 反応器
11’  追酸化反応器
2    圧力弁
12   ポンプ
3,13 加圧固液分離装置
4,14 洗浄装置
15   加圧固液分離洗浄装置
6,16 乾燥装置
17   加圧固液分離洗浄乾燥装置
8,18 凝縮器
9,19 廃棄処理工程
20   母液タンク
21   洗浄排液タンク
22   ガス排出ライン
23、24 圧力調整弁
a,A  アルキル芳香族化合物
b,B,B’ 分子状酸素含有ガス
c,C  溶媒
d,D  スラリー
f,F  芳香族カルボン酸ケーキ
g,G  母液
h,H  洗浄ケーキ
i,I  洗浄液
j,J  洗浄排液
k,K  芳香族カルボン酸結晶
m,M,M’ 反応ガス
n,N  凝縮液
o,O  凝縮器排ガス
P    加圧固液分離装置排出ガス
Q    母液タンク排出ガス
R    洗浄排液タンク排出ガス
S    圧力調整用排出ガス
T    圧力調整用導入ガス

 以下、本発明についてより詳細に説明する なお以下の明細書において「ppm」は「重量p pm」を表す。
 本発明は、加圧状態の反応装置内において 媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳 族カルボン酸を生成させる工程と、芳香族 ルボン酸及び溶媒を含むスラリーを反応装 から抜き出した後、固液分離装置にて加圧 態で固液分離を行い芳香族カルボン酸ケー 及び母液を得る工程とを少なくとも含む芳 族カルボン酸の製造方法であって、反応装 からスラリーとともに抜き出されたガスの 出を前記反応装置以外で行うものである。

 すなわち、本発明者らが上記のスラリー 母液、洗浄排液等の移送工程が停止する原 を検討したところ、反応装置から凝縮器等 抜き出しきれなかった反応ガスや溶媒に溶 した反応ガスが反応装置から抜き出される ラリーに同伴してしまい、固液分離装置や 送配管の内部に蓄積することが分かった。 積したガスは固液分離装置内部の圧力を上 させ、反応装置からスラリーを送ろうとす 圧力と同圧になってしまうため、スラリー 移送が止まるのである。

 また、スラリーに同伴したガスは固液分離 の母液や洗浄排液にも同伴してしまい、固 分離装置や洗浄装置から反応装置への移送 管内、母液タンク、洗浄排液タンク、及び れらへの移送配管内に蓄積し、母液や洗浄 液の移送工程を止めてしまうことが分かっ 。
 そこで本発明は、反応装置からスラリーが き出された以降のプロセスの何れかにガス( 本発明では、気体を意味する)排出手段を設 、スラリーに同伴したガスを排出し、これ よりスラリー、母液、洗浄排液等の移送の 止を起こさないようにするものである。

 なお、本発明において反応装置は1つの反応 器のみから成ってもよく、直列又は並列に配 された複数の反応器から成ってもよい。例え ば、反応器と直列に配された追酸化反応器と からなる構成が挙げられる。複数の反応器か らなる場合は、通常、「反応装置から抜き出 されたスラリー」とは、最も下流の反応器か ら抜き出されたスラリーを指す。
 また、反応器とは、酸素源を供給しアルキ 芳香族化合物を酸化することを主な目的と た装置を言う。例えば、分離装置、洗浄装 、乾燥装置、晶析装置などにおいても多少 酸化は進行しうるが、上記定義には当ては らず、反応器ではない。

 以下、本発明の製造方法について図1を用い て詳細に説明するが、本発明の形態は図1に された方法のみに限定されるものではない
 まず反応器11にアルキル芳香族化合物Aを導 し、酢酸など脂肪族カルボン酸を含む溶媒C 中で、原料であるアルキル芳香族化合物Aを 気などの分子状酸素含有ガスBにより酸化し 芳香族カルボン酸を生成させ、溶媒との混 物であるスラリーDを得る。酸化反応には通 常、触媒が用いられる。なお本発明において アルキル芳香族化合物Aとは、アルキル基を する芳香族化合物だけでなく、一部酸化さ たアルキル基を有する芳香族化合物も含む 念である。

 本発明において原料のアルキル芳香族化合 及び溶媒の混合物は、液相、気液2相、気液 固3相の様々なケースが挙げられるが、通常 少なくとも液相を含む。なお本発明では固 2相、または気液固3相となっているものをス ラリーと呼ぶ。
 本発明が適用される芳香族カルボン酸の種 は特に制限はないが、例えばオルトフタル 、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ ト酸(ベンゼントリカルボン酸)、2,6-、又は2 ,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニ ジカルボン酸などが挙げられる。なかでも 発明はフタル酸類(オルトフタル酸、イソフ ル酸、テレフタル酸)の製造に適用すること が好ましく、特にテレフタル酸の製造に適用 することが好ましい。

 芳香族カルボン酸の原料となるアルキル 香族化合物Aとしては、例えば、ジ-及びト -アルキルベンゼン類、ジ-及びトリ-アルキ ナフタレン類、ジ-及びトリ-アルキルビフェ ニル類が挙げられる。好ましくは、o-キシレ 、m-キシレン、p-キシレン、o-、m-、又はp-ジ イソプロピルベンゼン、トリメチルベンゼン 類、2,6-又は2,7-ジメチルナフタレン、2,6-ジイ ソプロピルナフタレン、4,4’-ジメチルビフ ニルなどが挙げられる。なかでもメチル基 エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル 基等の炭素数1~4のアルキル基を2~4個有する芳 香族化合物が、反応性が高く好ましい。また 原料のアルキル芳香族化合物は一部酸化され たアルキル芳香族化合物(一部酸化アルキル 香族化合物)を含んでもよく、全てが一部酸 アルキル芳香族化合物であってもよい。

 一部酸化アルキル芳香族化合物は、上記 ルキル芳香族化合物におけるアルキル基が 化されて、アルデヒド基、アシル基、カル キシル基又はヒドロキシアルキル基等に酸 されているものの、目的とする芳香族カル ン酸となる程には酸化されていない化合物 ある。具体的には、例えば3-メチルベンズ ルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-カ ボキシベンズアルデヒド(以下、「4CBA」と する。)、p-トルアルデヒド、m-トルイル酸、 p-トルイル酸、3-ホルミル安息香酸、4-ホルミ ル安息香酸、2-メチル-6-ホルミルナフタレン 等を挙げることができる。

 原料であるアルキル芳香族化合物としては れら化合物を単独で、又は2種以上の混合物 として用いることができる。
 アルキル芳香族化合物Aとしてはキシレン類 (o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)が好ま く、特にp-キシレンが好ましい。アルキル 香族化合物Aとしてp-キシレンを用いる場合 一部酸化アルキル芳香族化合物としては、 えば4CBA、p-トルアルデヒド、p-トルイル酸等 が挙げられ、芳香族カルボン酸としてはテレ フタル酸が得られる。

 このアルキル芳香族化合物Aを分子状酸素含 有ガスBにより酸化する。分子状酸素含有ガ Bとしては分子状酸素を含むガスであればよ 、例えば空気、酸素富化空気、不活性ガス 希釈された酸素等が用いられる。このうち コストが低い空気が実用的には好ましい。
 また、アルキル芳香族化合物Aを酸化する際 には好ましくは触媒が用いられる。触媒の種 類には、アルキル芳香族化合物を酸化し芳香 族カルボン酸を生成する反応を促進する能力 を有するものであれば特に制限はない。好ま しくは重金属化合物を含有する触媒である。 重金属化合物に含まれる重金属としては、例 えばコバルト、マンガン、ニッケル、クロム 、ジルコニウム、銅、鉛、ハフニウム、セリ ウム等が挙げられる。これらは単独で、また は組み合わせて用いることができるが、特に コバルトとマンガンとを組み合わせて用いる ことが好ましい。このような重金属化合物と しては、例えば酢酸塩、硝酸塩、アセチルア セトナート塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸 塩、臭化物等を挙げることができる。なかで も酢酸塩及び臭化物が好ましい。

 また、触媒は、必要に応じて触媒助剤を んでいてもよい。触媒助剤としては、好ま くは臭素化合物である。例えば分子状臭素 臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム 臭化コバルト、臭化マンガン等の無機臭素 合物;臭化メチル、臭化メチレン、ブロモホ ルム、臭化ベンジル、ブロモメチルトルエン 、ジブロモエタン、トリブロモエタン、テト ラブロモエタン等の有機臭素化合物;などを げることができる。これらの臭素化合物も 独で、又は2種以上の混合物として用いるこ ができる。

 なかでも、重金属化合物としてコバルト及 /又はマンガンの化合物を用い、触媒助剤と して臭素化合物を用いる触媒が好ましい。特 に好ましくは、酢酸コバルト、酢酸マンガン 、及び臭化水素の組合せが挙げられる。
 重金属化合物と臭素化合物との組合せから る触媒の場合、通常、重金属原子1モルに対 して臭素原子は、0.05モル以上とし、好まし は0.1モル以上とし、より好ましくは0.5モル 上とする。一方、重金属原子1モルに対して 通常、臭素原子は、10モル以下とし、好ま くは7モル以下とし、より好ましくは5モル以 下とする。これらの範囲とすることで触媒活 性が高まる利点がある。

 触媒の濃度は、上記酸化反応を促進し得 範囲であれば特に限定されないが、通常、 応溶媒中の重金属濃度は、10ppm以上とし、 ましくは100ppm以上とし、より好ましくは200pp m以上とし、通常10000ppm以下とし、好ましくは 5000ppm以下とし、より好ましくは3000ppm以下と る。下限値以上とすることで反応速度が高 り、上限値以下とすることでコストが抑制 きるとともに排液や排ガス中の重金属濃度 臭素濃度を低減でき、環境面、安全面で好 しい。

 溶媒Cは、通常、生成する芳香族カルボン酸 の少なくとも一部を溶解しうるものである。 なお、溶媒Cとしては、常圧(常圧は通常0.101MP aを指す。以下同じ。)では芳香族カルボン酸 不溶又は難溶であっても、加圧下で少なく も一部を溶解しうるものであればよい。
 また溶媒Cは、通常、酸化反応中に液体又は 気液2層となるものであり、原料や反応後の 的化合物に化学的な変化を起こさないもの ある。
 溶媒Cの常圧における沸点は好ましくは40℃ 上、より好ましくは50℃以上、更に好まし は60℃以上であり、好ましくは200℃以下、よ り好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃ 以下である。下限値以上とすることで取り扱 いや回収が容易となり、上限値以下とするこ とで後工程での固液分離、乾燥が容易となる 。

 溶媒Cの種類は特に限定されないが、溶解 性や沸点から、脂肪族カルボン酸を主成分と する溶媒が好ましく、酢酸、プロピオン酸、 蟻酸、酪酸等を主成分とする溶媒がより好ま しい。なお、主成分とするとは、溶媒の全重 量の60重量%以上を占めることを言う。なかで も溶解性及び取り扱いの容易性から酢酸を主 成分とする溶媒が好ましい。最も好ましくは 酢酸と水との混合物である。酢酸と水との比 率は、酢酸100重量部に対して水は通常1重量 以上であり、好ましくは5重量部以上であり 通常、40重量部以下であり、好ましくは25重 量部以下であり、より好ましくは15重量部以 である。上限値以下とすることで反応効率 向上させることができ、下限値以上とする とで酢酸の燃焼(分解)量をより削減するこ ができ、エネルギー面、経済面での節源が れ、それぞれ好ましい。

 溶媒Cの量は原料や目的反応物の溶解性等に より変えうるが、アルキル芳香族化合物Aの10 0重量部に対して、通常、100重量部以上、好 しくは150重量部以上とし、通常、500重量部 下、好ましくは350重量部以下とする。
 本発明が適用される芳香族カルボン酸と溶 Cとの組合せに特に制限はないが、なかでも 、製造する芳香族カルボン酸が難溶性である ものを溶媒Cとして用いると効果が高い。特 、芳香族カルボン酸がテレフタル酸であり 溶媒Cが酢酸を主成分とする溶媒である組合 が好ましい。

 本発明の製造方法において、アルキル芳 族化合物Aの酸化反応は、加圧状態、即ち常 圧を超える圧力下に行われる。液相酸化の反 応効率を高めるためには、反応温度において 溶媒Cとアルキル芳香族化合物Aとの混合物が 相を保持できる圧力以上とする。酸化反応 おける圧力は、好ましくは絶対圧で0.2MPa以 とし、より好ましくは0.5MPa以上とし、更に ましくは1MPa以上とする。反応後のスラリー を固液分離装置へ移送しやすくするためには 、反応器11の圧力が前記範囲であることが好 しい。一方、酸化反応の圧力は、通常、絶 圧で20MPa以下とし、好ましくは10MPa以下とし 、より好ましくは7MPa以下とし、更に好まし は5MPa以下とし、特に好ましくは2MPa以下とす る。反応器11の圧力を前記範囲とすることで 耐圧強度の低い反応器を用いることができ コストが節減できる。実際の運用において 、反応混合物の組成及び設定反応温度にお て、沸騰状態を維持できる圧力とすること 望ましい。反応器11の圧力を前記範囲とす ことにより、副反応や化合物の分解を抑制 き、目的とする芳香族カルボン酸の収率低 を抑える利点がある。

 また、反応器11の温度は、通常、80℃以上 、好ましくは100℃以上とし、より好ましくは 140℃以上とし、更に好ましくは160℃以上とし 、最も好ましくは180℃以上とする。反応器11 温度を前記範囲とすることにより、反応速 を高め、目的とする芳香族カルボン酸の収 が上がる傾向にある。一方、反応器11の温 は通常300℃以下、好ましくは250℃以下とし より好ましくは230℃以下とし、更に好まし は210℃以下とし、特に好ましくは200℃以下 する。反応器11の温度を前記範囲とすること により、溶媒の燃焼による損失量を抑えるこ とができる。また副反応や化合物の分解を抑 制でき、収率の低下を抑える利点がある。

 本発明において、酸化反応は連続的に実 すると生産効率が高まり、望ましい。その の反応時間(平均滞留時間)は20分以上である と好ましく、30分以上であるとより好ましく 40分以上であると更に好ましい。その理由 、反応を十分に進行させ、純度の高い芳香 カルボン酸を得るためである。一方、反応 間は300分以下であると好ましく、150分以下 あるとより好ましく、120分以下であると更 好ましく、90分以下であると特に好ましい。 その理由は、溶媒Cの燃焼による損失を抑制 コストを低減するためである。また、酸化 応を連続的に行なうことは、反応器11の容量 を小さくできる点でも好ましい。

 本発明において反応器11の種類は特に限 されず、従来公知のものを用い得る。例え 攪拌機付き反応器、気泡塔反応器、プラグ ロー型(配管流通型)反応器などいずれでもよ いが、反応効率を高めるには攪拌機付き完全 混合槽型反応器及び/又は気泡塔反応器が好 しい。反応器11の下部には、例えば、分子状 酸素含有ガスBの供給口が設けられる。反応 11の下部供給口から供給された分子状酸素含 有ガスBは、アルキル芳香族化合物Aの酸化反 に利用された後、多量の溶媒Cの蒸気を含む 反応ガスMとなり反応器11の塔頂部より抜き出 される。

 次いで、必要に応じて凝縮器18にて溶媒Cを とする凝縮液Nを凝縮分離した後、凝縮器排 ガスOとして排出される。凝縮器18は一段でも よいし、複数段からなるものでもよい。凝縮 器18に代えて反応蒸留塔を用いても同様の分 が可能である。
 分子状酸素含有ガスBの供給量及び酸素濃度 は、凝縮器排ガスO(凝縮器18が複数段からな 場合は最終段の凝縮器の排ガスを凝縮器排 スOとする。)中の酸素濃度が特定範囲となる ように制御するのが好ましい。好ましくは凝 縮器排ガスO中の酸素濃度が0.5容量%以上、よ 好ましくは1容量%以上、更に好ましくは2容 %以上となるよう制御する。酸素濃度が下限 値より高いほど反応効率が高まる利点がある 。また酸素濃度は、好ましくは10容量%以下、 より好ましくは8容量%以下、更に好ましくは7 容量%以下となるよう制御する。酸素濃度を 限値より低くすることで安全性が高まる。

 通常、凝縮液Nは水分を含有しており、系内 の水分量調整のためにその一部を系外にパー ジし、残りは反応器11に還流させる。また、 縮器排ガスOを二つの流れに分岐させ、一方 は系外に排出させ、他方は反応器11に連続的 循環供給させてもよい。
 また、溶媒Cとして酢酸などの脂肪族カルボ ン酸を用いる場合、反応器11中の上記溶媒Cの 水分濃度を前述の範囲に調整することは、溶 媒Cとして純粋な酢酸などの脂肪族カルボン を供与し、かつ、後述する母液Gや洗浄排液J の一部を再利用すると共に、反応器11で発生 た反応ガスMを凝縮器18で凝縮して得られる を含む凝縮液Nの一部を系外にパージする量 を調整することで行える。これにより、新た な溶媒Cの使用量を抑えつつ、反応への影響 無視できる程度の水分濃度に抑えることが きる。

 本発明では、凝縮器18に代えて蒸留塔ま は反応蒸留塔を用いてもよい。即ち、脂肪 カルボン酸と水とを分離可能な蒸留塔を反 器11に連結し、反応器11で発生した反応ガスM を蒸留塔で蒸留する方法や反応器11と蒸留塔 一体になった反応蒸留塔を用いる方法も採 することができる。上記の方法を用いるこ により、塔底から得られる水分濃度が低減 れた脂肪族カルボン酸を反応器11に回収す とともに、塔頂から得られる水を含む成分 例えば系外にパージするなどして、系内の 分量を調整することができる。

 なお、反応器11での酸化反応の後、必要 応じて追酸化処理を行ってもよい。追酸化 理とは、反応器11(以下、「第1反応帯域」と う。)での酸化反応で得られた反応混合物を 、追酸化反応器11’(以下、「第2反応帯域」 言う。)において、アルキル芳香族化合物Aを 供給することなく分子状酸素含有ガスB’を 給し酸化処理することである。

 追酸化処理の好ましい一例としては、第1 反応帯域で得られた反応混合物に、より低温 に保持した第2反応帯域において追酸化処理 行う(以下、「低温追酸化」という)場合が挙 げられる。アルキル芳香族化合物Aがp-キシレ ンであれば、第2反応帯域の温度は第1反応帯 の温度より1~20℃低温とすることが好ましく 、5℃以上15℃以下の低温がより好ましい。

 低温追酸化も加圧状態、即ち常圧を超え 圧力下に行われ、反応温度において内部の 合物が液相を保持できる圧力以上とする。 た、反応後のスラリーを固液分離装置へ移 しやすくするためにも追酸化反応器11’の 力は高いことが好ましい。追酸化反応器11’ の圧力は、好ましくは絶対圧で0.2MPa以上とし 、より好ましくは0.5MPa以上とし、通常、20MPa 下とし、好ましくは10MPa以下とし、より好 しくは7MPa以下とし、更に好ましくは5MPa以下 とし、特に好ましくは2MPa以下とする。追酸 反応器11’の圧力を前記範囲とすることで、 副反応や化合物の分解を抑制でき、収率の低 下を抑える利点がある。また圧力をできるだ け低く抑えることで、耐圧強度の低い反応器 を用いることができ、コストが節減できる。 実際の運用においては、反応器11から出たス リーDを効率的に追酸化反応器11’に導入す ため、反応器11よりも低い圧力とすること 望ましい。

 なお、低温追酸化の反応は連続的に実施 ると生産効率が高まり望ましい。その際の 応時間(平均滞留時間)は5分以上であると好 しく、10分以上であるとより好ましく、20分 以上であると更に好ましい。その理由は、反 応を十分に行わせ、純度の高い芳香族カルボ ン酸を得るためである。また、反応時間は150 分以下であると好ましく、120分以下であると より好ましく、90分以下であると更に好まし 。その理由は、溶媒Cの燃焼による損失を抑 え、かつ装置を小型化するためである。

 追酸化処理の他の好ましい一例としては 第1反応帯域で得られた反応混合物に、より 高温に保持した第2反応帯域において追酸化 理を行う(以下、「高温追酸化」という)場合 が挙げられる。アルキル芳香族化合物Aがp-キ シレンであれば、第2反応帯域の温度は第1反 帯域の温度より1~150℃高温とすることが好 しく、より好ましくは30℃以上、更に好まし くは50℃以上、また、より好ましくは100℃以 、更に好ましくは80℃以下の高温とするこ である。

 高温追酸化も加圧状態、即ち常圧を超え 圧力下に行われ、反応温度において内部の 合物が液相を保持できる圧力以上とする。 た、反応後のスラリーを固液分離装置へ移 しやすくするためにも追酸化反応器11’の 力は高いことが好ましい。追酸化反応器11’ の圧力は、好ましくは絶対圧で0.2MPa以上とし 、より好ましくは0.5MPa以上とし、通常、20MPa 下とし、好ましくは10MPa以下とし、より好 しくは7MPa以下とし、更に好ましくは5MPa以下 とし、特に好ましくは2MPa以下とする。高温 酸化の圧力を前記範囲とすることで、副反 や化合物の分解を抑制でき、収率の低下を える利点がある。また圧力をできるだけ低 抑えることで、耐圧強度の低い反応器を用 ることができ、コストが節減できる。実際 運用においては、反応器11から出たスラリー Dを効率的に追酸化反応器11’に導入するため 、反応器11よりも低い圧力とすることが望ま い。

 なお、高温追酸化の反応は連続的に実施 ると生産効率が高まり望ましい。その際の 応時間(平均滞留時間)は5分以上であると好 しく、10分以上であるとより好ましく、20分 以上であると更に好ましい。その理由は、反 応を十分に行わせ、純度の高い芳香族カルボ ン酸を得るためである。また、反応時間は150 分以下であると好ましく、120分以下であると より好ましく、90分以下であると更に好まし 。その理由は、溶媒Cの燃焼による損失を抑 え、かつ装置を小型化するためである。

 上記追酸化処理は1回のみ行ってもよいし 、2回以上連続して行ってもよい。例えば低 追酸化を2回以上行ってもよいし、低温追酸 と高温追酸化を各1回以上行ってもよいし、 高温追酸化を2回以上行ってもよい。追酸化 理を2回以上行う場合、通常、追酸化反応器 2以上設ける。本発明において、好ましくは 追酸化処理を1回以上行い、より好ましくは なくとも低温追酸化を1回行う。

 追酸化処理を行うために供給する分子状 素含有ガスB’としては、分子状酸素を含む ガスであればよく、第1反応帯域と同様に、 気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈され 酸素等が用いられる。このうち、実用的に 空気が好ましい。追酸化反応器11’から排出 された反応ガスM’は酸素及び溶媒Cの蒸気を み、上記反応ガスMに用いる凝縮器18と同様 凝縮器を用いて凝縮される。或いは、凝縮 に代えて蒸留塔を用いても同様の分離が可 である。

 分子状酸素含有ガスB’の供給量及び酸素 濃度は、凝縮器からの凝縮器排ガス(凝縮器 複数段からなる場合は最終段の凝縮器の排 ス)中の酸素濃度が特定範囲となるように制 するのが好ましい。好ましくは凝縮器排ガ 中の酸素濃度が0.5容量%以上、より好ましく は1容量%以上、更に好ましくは2容量%以上と るよう制御する。酸素濃度が下限値より高 ほど反応効率が高まる利点がある。また酸 濃度は、好ましくは10容量%以下、より好ま くは8容量%以下、更に好ましくは7容量%以下 なるよう制御する。酸素濃度を上限値より くすることで安全性が高まる。

 また分子状酸素含有ガスB’の供給量は、第 1反応帯域で行う酸化反応に供給する分子状 素含有ガスBの量に対し体積比で、1/10000以上 であることが好ましく、1/1000以上であるとよ り好ましく、1/100以上であると更に好ましく また、1/5以下であることが好ましく、1/10以 下であるとより好ましい。
 なお、追酸化処理を行う反応器の種類は特 限定されないが、例えば上記第1反応帯域と 同様のタイプの反応器などが使用可能である 。また追酸化処理の他の条件については、第 1反応帯域における酸化と同様である。
 さらに、本発明では上述した反応蒸留塔を 用することにより、上記低温追酸化及び/又 は高温追酸化を省略することもできる。

 以上のようにして酸化反応が行われ、反 器11及び/又は追酸化反応器11’から芳香族 ルボン酸と溶媒Cとを含むスラリーDが抜き出 される。芳香族カルボン酸は固体として、好 ましくは結晶として得られ、少なくとも固体 の化合物と溶媒を含むスラリーが得られる。 なお芳香族カルボン酸は、一部、溶媒Cに溶 していてもよい。このスラリーDには、溶媒C や芳香族カルボン酸の他に、触媒、原料のア ルキル芳香族化合物、副生成物(例えば、一 酸化アルキル芳香族化合物)などが含まれる 副生成物としては、p-キシレンからテレフ ル酸を製造する場合には、例えば4CBA、p-ト アルデヒド、p-トルイル酸、酢酸メチル等が 挙げられる。スラリー中には、4CBAがテレフ ル酸に対して通常、0.1~5000ppm含まれている。 4CBAの含有量は、好ましくは3000ppm以下、より ましくは2500ppm以下、更に好ましくは2000ppm 下、特に好ましくは1500ppm以下である。

 以下では便宜上、反応装置が反応器11の からなり、反応器11から抜き出されるスラリ ーを反応装置から抜き出されるスラリーDと る場合について説明する。ただしこの説明 、反応装置が反応器11及び追酸化反応器11’ らなり、追酸化反応器11’から抜き出され スラリーを反応装置から抜き出されるスラ ーDとした場合、あるいは、反応器と蒸留塔 一体となった反応蒸留塔から抜き出される ラリーDとした場合にも全く同様に適用され る。

 このスラリーDを溶媒と芳香族カルボン酸 とに固液分離するため、加圧状態を維持した ままで加圧固液分離装置13へ移送する。この 送に当たっては、スラリーDを順次加圧固液 分離装置13へ向けて移動させるために、例え 、ポンプ12を設けてポンプアップ(昇圧)し、 スラリーDを反応器内より更に加圧したうえ 加圧固液分離装置13に導入してもよい。また これとは逆に、圧力弁を設けて反応器11内よ もやや減圧させることでスラリーDを加圧固 液分離装置13に導入してもよい。いずれの場 も、生じる圧力差によって反応器11への逆 を防ぎスラリーDを加圧固液分離装置13に移 することができる。

 加圧固液分離装置13は加圧状態での固液 離が可能な固液分離装置であり、スラリーD 加圧状態、即ち常圧を超える圧力下で芳香 カルボン酸ケーキFと母液Gとに固液分離す 。加圧状態で固液分離を行うことで内部エ ルギーの大きいケーキFが得られ、後のケー Fの乾燥工程でケーキ付着液の蒸発を効率的 に行うことができる。加圧固液分離装置13の 力は、好ましくは絶対圧で0.2MPa以上とし、 り好ましくは0.3MPa以上とし、更に好ましく 0.5MPa以上とし、通常、20MPa以下とし、好ま くは10MPa以下とし、より好ましくは5MPa以下 し、更に好ましくは3MPa以下とし、特に好ま くは2MPa以下とする。加圧固液分離装置13の 力を前記範囲とすることで、耐圧性がやや い装置が使用でき、コストが節減できる。 際の運用においては、移送中にポンプ12に りポンプアップする場合にはその圧力程度 し、圧力弁を用いる場合は反応器11の圧力よ りやや低い圧力とすることが望ましい。

 加圧固液分離装置13としては公知の装置 制限なく使用しうるが、例えば、スクリー ボウルデカンター、ソリッドボウルセパレ ター、ロータリー加圧フィルター、ロータ ーバキュームフィルター等が挙げられる。 ましくはスクリーンボウルデカンター、ロ タリーバキュームフィルターであり、特に クリーンボウルデカンターが好ましい。そ 場合、回転速度は100rpm以上が好ましく、よ 好ましくは500rpm以上、更に好ましくは1000rpm 上とする。加圧固液分離装置13の回転速度 前記範囲とすることで、分離効率が高く、 られる芳香族カルボン酸ケーキFの含液率が くなる。一方、回転速度は通常、10000rpm以 とする。好ましくは5000rpm以下とし、より好 しくは3000rpm以下とする。スクリーンボウル デカンターについては後に詳述する。

 加圧固液分離装置13で分離された母液Gは 通常、母液タンク20に回収されるが、反応 用いた溶媒が主成分であり、溶解した芳香 カルボン酸、未反応のアルキル芳香族化合 、触媒、副生成物、水などが含まれている 従って母液Gは反応器11へ移送し溶媒、未反 原料、触媒などを再利用するとともに、含 れる芳香族カルボン酸を反応系内に戻すと プロセス全体の収率を上げることができる で好ましい。母液Gは加圧状態を維持したま 反応器11へ移送するのが、再加圧ためのエ ルギーが節減できるので好ましい。また、 液Gは加圧、高温状態を維持したまま反応器1 1へ移送すると、触媒の活性も維持され、再 圧、再加温のためのエネルギーが節減でき ので特に好ましい。

 加圧固液分離装置13で母液Gと分離された芳 族カルボン酸ケーキFは、そのまま乾燥して もよいが、洗浄装置14で洗浄することで、不 物、副生成物、触媒等を除去でき、得られ 芳香族カルボン酸の結晶の純度が高まるの 好ましい。
 洗浄装置14では芳香族カルボン酸ケーキFが 浄液Iにより洗浄され、付着母液が除去され 不純物濃度が低減された洗浄ケーキHが得ら る。洗浄排液Jは洗浄ケーキHと分離され洗浄 排液タンク21に回収することができる。洗浄 液Jには母液Gと同様、溶解した芳香族カル ン酸、未反応のアルキル芳香族化合物、触 、副生成物、水などが含まれる。すなわち 洗浄排液Jの反応器11への移送は、溶媒、未 応原料、触媒を再利用するとともに、含ま る芳香族カルボン酸を反応系内に戻すこと 収率を上げることができるので好ましい。 浄排液Jは、加圧状態を維持したまま反応器1 1へ移送するのが、再加圧のためのエネルギ が節減できるので好ましい。

 なお、工程内に副生成物や触媒などの不純 が蓄積するのを避けるため、洗浄排液Jの一 部は廃棄処理工程19へ送り廃棄し、残部を反 器11へ送り再利用するのが好ましい。これ より、工程内への不純物の蓄積を抑制する とができる。廃棄処理工程19は、例えば溶媒 蒸発工程や触媒回収工程などからなる。
 また、母液タンク20と洗浄排液タンク21とを まとめて、1つの母液・洗浄排液タンクとし もよい。その場合、反応器11への移送、溶媒 、未反応原料、触媒等の再利用、廃棄処理工 程へ移送しての廃棄などもまとめて行うこと ができる。以下、母液タンク20や洗浄排液タ ク21に関する説明は、このような母液・洗 排液タンクをも含むものとする。

 洗浄に用いる洗浄液Iは、水や有機溶媒な どを用いることができ、特に制約はないが、 反応器11で用いる溶媒Cと相溶するものが好ま しい。例えば、溶媒Cが酢酸を主成分とする 媒である場合、洗浄液Iとしては、酢酸;水; 酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢 ブチル等の比較的蒸発潜熱の小さい酢酸エ テル類;これらの混合物を主成分とする溶媒; などを用いることが好ましい。洗浄液Iが溶 Cと主成分が共通するものであると、上記の うな洗浄排液Jの再利用がより行い易く、よ り好ましい。溶媒Cが酢酸を主成分とする溶 である場合、洗浄液Iも酢酸を主成分とする 媒が好ましく、酢酸を溶媒の合計量の80重 %以上含む溶媒であるとより好ましく、90重 %以上含む溶媒であることが特に好ましい。

 洗浄装置14では、芳香族カルボン酸ケー Fを、好ましくは加圧状態、即ち常圧を超え 圧力下で洗浄する。洗浄排液Jを加圧状態の まま反応器11に戻すことができ、エネルギー 節減できるためである。洗浄装置14の圧力 、好ましくは絶対圧で0.2MPa以上とし、より ましくは0.3MPa以上とし、更に好ましくは0.5MP a以上とし、20MPa以下とする。低めの圧力とす ることで耐圧性がやや低い装置が使用でき、 コストが節減できる。洗浄装置14の圧力は、 対圧で、好ましくは10MPa以下とし、より好 しくは5MPa以下とし、更に好ましくは3MPa以下 とし、特に好ましくは2MPa以下とする。実際 運用においては、加圧固液分離装置13の圧力 と同程度かやや低い圧力とすることが望まし い。

 母液Gや洗浄排液Jを反応装置に移送する場 、反応装置の中のどの反応器に移送しても い。但し、反応効率を高めるため、好まし は最も上流の反応器に移送する。
 このようにして得られた洗浄ケーキHは、好 ましくは乾燥装置16により乾燥させることに り、ケーキに残留する付着液を除去して芳 族カルボン酸を得る。通常、芳香族カルボ 酸結晶Kとして得られる。乾燥装置16は1つの みでもよいし複数の同一又は異なる装置で構 成されていてもよい。

 乾燥装置16の種類は特に制限されないが、 ましくは、洗浄ケーキHを高圧状態から低圧 態へ移行させることで洗浄ケーキHに付着し ている付着液を放圧蒸発させる装置、いわゆ るフラッシュ乾燥装置を含むことが好ましい 。
 ここで放圧蒸発とは、高圧状態にある液体 、移行前の温度が移行後の圧力における沸 以上となる低圧状態へ急激に移行させられ ことによって、その内部エネルギーを気化 として一部液体が蒸発することを言う。放 蒸発を行える乾燥装置としては、例えば、 圧状態から低圧状態への抜き出しが可能な ィスチャージバルブを備えた加圧乾燥装置 どが挙げられる。例えば、高圧状態を保持 たまま洗浄ケーキHを蓄えたケーキ保持槽か ら、ディスチャージバルブを開放して洗浄ケ ーキHをより低圧である粉体滞留槽へ抜き出 。

 放圧蒸発によれば、更なるエネルギーを加 ることなく洗浄ケーキHの乾燥が行えるので 、放圧蒸発でできるだけ多くの付着液を蒸発 させることがエネルギーコスト節減上、好ま しい。
 ディスチャージバルブは抜き出し方式が連 式であっても間欠式であってもよく、また 燥装置はディスチャージバルブを1つ備えて いても複数備えていてもよい。なお、ディス チャージバルブによる抜き出しの際、粉体滞 留槽での洗浄ケーキHの滞留量が一定となる うタイミングや回数を調整すると、安定的 工程を進行させやすく好ましい。

 放圧蒸発前の高圧状態とは、通常、加圧 態、即ち常圧を超える圧力を言うが、好ま くは絶対圧で0.2MPa以上とし、より好ましく 0.3MPa以上とし、更に好ましくは0.5MPa以上と る。より高圧とすることで洗浄ケーキHの付 着液の蒸発を効率的に行うことができる。一 方、放圧蒸発前の圧力は、通常、絶対圧で20M Pa以下とする。低めの圧力とすることで耐圧 がやや低い装置が使用でき、コストが節減 きる。好ましくは10MPa以下とし、より好ま くは5MPa以下とし、更に好ましくは3MPa以下と し、特に好ましくは2MPa以下とする。実際の 用においては、加圧固液分離装置13や洗浄装 置14の圧力と同じかそれ以下とすることで、 たな加圧が必要無くエネルギーコストが節 でき、好ましい。

 放圧蒸発後の低圧状態とは、放圧前の圧 より低圧であればよく制限はないが、通常 絶対圧で1MPa以下とする。放圧前後の圧力差 が大きいほど付着液の放圧蒸発量が多く、好 ましい。好ましくは0.5MPa以下とし、より好ま しくは0.3MPa以下とし、更に好ましくは0.2MPa以 下とする。一方、低圧状態の圧力は、好まし くは常圧以上とする。新たな加圧や減圧が必 要無くエネルギーコストが節減できるためで ある。

 放圧蒸発前の洗浄ケーキHの温度を、付着液 の常圧における沸点より高い温度としておく と、付着液の放圧蒸発量を増やすことができ 、好ましい。また、好ましくは放圧蒸発前後 の温度差を5℃以上とし、より好ましくは10℃ 以上とし、更に好ましくは20℃以上とする。 限値より高いほど放圧蒸発の効果が高まり 液率を下げることができる。また、放圧蒸 前後の温度差は、好ましくは250℃以下とし より好ましくは200℃以下とし、更に好まし は170℃とする。上限値より低いほど、設備 ストが低減できる利点がある。
 洗浄ケーキHの乾燥に用いる放圧蒸発装置と しては例えば、特開2002-336687号公報に記され いるものが使用しうる。

 なお、加圧固液分離工程と洗浄工程とを つの装置で行える加圧固液分離洗浄装置15( 1中、破線で囲まれた範囲に相当する)によ 、両工程を行ってもよく、工程を簡略化で る利点がある。このように二つの工程をま めて行うことのできる加圧固液分離洗浄装 15としては、スクリーンボウルデカンター( クリーンボウル型遠心分離装置)、ソリッド ウルセパレーター、ロータリー加圧フィル ー、水平ベルトフィルター等が挙げられる これらの中でも、スクリーンボウルデカン ー, ロータリー加圧フィルターが好ましく 特にスクリーンボウルデカンターは耐熱性 優れ、反応器11の温度に近い高温域でも使 可能であるため好ましい。

 また、加圧固液分離工程、洗浄工程及び 燥工程を一つの装置で行える加圧固液分離 浄乾燥装置17(図中、破線囲みの17に相当す 。)により、これら3つの工程を行ってもよく 、工程を簡略化できる利点がある。このよう な装置としては特に制限はなく、例えばスク リーンボウルデカンター、ソリッドボウルデ カンターのような遠心分離機、水平ベルトフ ィルター、ロータリー加圧フィルターなどを 用いることができる。なかでもスクリーンボ ウルデカンターは耐熱性に優れるため好まし い。

 以下に、スクリーンボウルデカンターで 処理について説明する。スクリーンボウル カンター内では、遠心力によって芳香族カ ボン酸ケーキFと母液Gが分離され、ケーキF 螺旋状の板により、濾過材を備えた洗浄部 に搬送される。次いで、ケーキFが濾過材を 備えた洗浄部位を通過する際、洗浄液Iの散 によってこのケーキFを洗浄することができ 付着母液が除去され不純物濃度が低減され 洗浄ケーキHが得られる。洗浄ケーキHは加 状態を保ったままケーキ保持槽で保持され 。また洗浄排液Jは濾過材を通り、洗浄ケー Hと分離され回収することができる。このよ うにして、固液分離と洗浄を一体化された装 置内で行うことができる。分離や洗浄の際の 好ましい操作圧力、回転数などの条件は前述 の通りである。

 使用しうる濾過材の材質及び形状には特に 約はなく、例えばセラミックフィルター、 網、金属バースクリーン等が挙げられ、耐 性や目詰まりを考慮して選定することがで る。例えば金属バースクリーンを使用する 、若干のケーキ目漏れはあるが、目詰まり 回避することができ、安定的な連続生産が なえ好ましい。
 またスクリーンボウルデカンターでは母液G と洗浄排液Jを別々に回収することができる いずれも前述の通り再利用し、又は一部廃 することが好ましい。

 ケーキ保持槽の洗浄ケーキHは、更に、ディ スチャージバルブによってより低圧の粉体滞 留槽へ抜き出され、ケーキ付着液の放圧蒸発 が行われる。乾燥の際の好ましい操作圧力、 温度などの条件は前述の通りである。
 このようにして得られる芳香族カルボン酸 晶Kの乾燥が不十分な場合は、乾燥装置16の に加熱乾燥装置などを設け、更に乾燥を行 ことが好ましい。加熱乾燥装置の種類は特 制限は無いが、乾燥効率やコスト等の点か 、流動床乾燥装置(Fluidized Bed Dryer)、回転 乾燥装置(スチームチューブドライヤー等)な どが好ましく用いられる。

 以上のような工程により、アルキル芳香族 合物から芳香族カルボン酸が得られる。得 れた芳香族カルボン酸はそのまま使用して よいし、純度を上げるために、さらに還元 程に供してもよい。
 なお、還元工程とは、目的とする芳香族カ ボン酸とともに存在する不純物(例えば、目 的とする芳香族カルボン酸にまでには酸化さ れなかった化合物)を還元する工程である。 媒Cに難溶性の不純物は還元することによっ 溶媒に可溶性となる場合があるので、還元 程を行った後に固液分離することによって 香族カルボン酸の純度を上げることができ 。芳香族カルボン酸がテレフタル酸の場合 は、不純物として4CBAを含有するので、これ をp-トルイル酸に還元した後に固液分離する とでテレフタル酸の純度を上げることがで る。
 本発明の製造方法は、上記で示した全工程 必須とするものではなく、反応器11で芳香 カルボン酸を生成させ、加圧状態のままで 圧固液分離装置13に移送し、芳香族カルボン 酸を溶媒から分離するものであればよい。ま た必要に応じて上記以外の装置や配管を設け てもよい。

 上記製造プロセスにおいては、反応器11 らスラリーDを抜き出した際に、スラリーと もにガス(気体)が抜き出される場合がある このガスは通常、酸化反応で消費されず残 た酸素ガス;酸素源として供給される空気な のうち酸素以外の窒素など;ガス状の酢酸な ど;を主成分とする。以下このガスを反応ガ と称することもある。このガスのうち、反 器11の上方(凝縮器)から抜き出しきれずに溶 中にガス状態で存在したり、高圧下で溶媒C に溶解したものが、反応器11からスラリーと もに抜き出されるのである。

 上記製造プロセスは、乾燥装置16での乾 後の段階を除いては、通常いずれも加圧状 で進行する。スラリーDに同伴したガスはこ ような加圧状態の装置や配管に蓄積するこ があり、ガスが蓄積した場所の圧力が高ま 前工程との圧力差が無くなったり、配管中 ガス溜まりを生じたりすることがある。こ 結果、スラリー、液体、ケーキなどの次工 への移送が停止してしまうことがある。固 分離工程以降の工程は、反応器11より圧力 低いため、溶媒に溶解していたガスが配管 装置中で気化する事も、ガスの蓄積が生じ 原因の1つと考えられる。

 本発明においては、反応装置からのスラ ー抜き出し以降の加圧状態の工程や工程間 いずれかにガス排出手段を設け、スラリー ケーキ、母液、洗浄排液等からガスの排出 行うことにより、移送の停止を防ぐ。反応 11からスラリーに同伴したガスはスラリー ら得られる母液、洗浄排液にも含まれ得る め、ガスの排出を行う対象は、スラリーに らず、母液、洗浄排液も含み得る。また、 ス排出手段からの排出は、少なくともガス 排出されるものであればよく、本発明の効 を損なわない範囲で、ガスと共にスラリー 母液、洗浄液等が排出されるものであって よい。

 ガス排出手段を設ける箇所は、前記反応装 以外、すなわち、反応装置からスラリーが き出された以降の工程であれば特に限定さ ないが、例えば、反応器11又は追酸化反応 11’から加圧固液分離装置13までの移送配管 加圧固液分離装置13、加圧固液分離装置13か ら母液タンク20までの移送配管、母液タンク2 0、母液タンク20から反応器11までの移送配管 どが挙げられる。さらに洗浄排液Jの再利用 を行う場合は、加圧固液分離装置13から洗浄 置14までの移送配管、洗浄装置14または加圧 固液分離洗浄装置15、洗浄装置14または加圧 液分離洗浄装置15から洗浄排液タンク21まで 移送配管、洗浄排液タンク21、洗浄排液タ ク21から反応器11までの移送配管などが挙げ れる。なお母液タンク20と洗浄排液タンク21 とをまとめて母液・洗浄排液タンクとする場 合には、加圧固液分離装置13や加圧固液分離 浄装置15から該タンクまでの移送配管や、 タンクから反応器11までの移送配管なども含 まれる。
 ガス排出手段によってガスを排出後の圧力 限定されないが、通常、絶対圧で、0.1MPa以 、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.5M Pa以上とし、通常、5MPa以下、好ましくは3MPa し、より好ましくは2MPa以下とする。ガス排 手段によってガスを排出後の圧力を前記範 とすることで、スラリー、固液分離した母 、洗浄排液等の移送工程の停止を防ぐとと に、これらを反応装置に戻す場合は、効率 に戻すことが可能となるため望ましい。
 また、反応器11又は追酸化反応器11’からス ラリーが抜き出される際の圧力を基準とした 場合の、ガス排出手段によってガスを排出後 の圧力との差(低下度)は限定されないが、通 、3MPa以下、好ましくは2MPa以下、より好ま くは1MPa以下の圧力差とする。反応器11又は 酸化反応器11’からスラリーが抜き出される 際の圧力と、ガス排出手段によってガスを排 出後の圧力との差を前記範囲とすることで、 スラリーや固液分離した母液、洗浄排液等の 移送工程の停止を防ぐとともに、これらを反 応装置に戻す場合は、効率的に戻すことが可 能となるため望ましい。一方、圧力差の下限 値は限定されず、ガス排出手段によってガス が排出できれば、圧力差は無くてもよいが、 通常、0.01MPa以上である。

 本発明の製造方法においては、固液分離工 以降にガス排出手段を設けることがより好 しい。ここで、固液分離工程以降とは、固 分離工程、洗浄工程、乾燥工程、母液や洗 排液の再利用工程、及びこれら工程間の移 工程等を含む。
 本発明の芳香族カルボン酸の製造方法にお ては、反応器11から加圧固液分離装置13に至 るまでに圧力をやや下げ、その後の洗浄工程 、乾燥工程や母液、洗浄排液の再利用までは ほぼ同程度の圧力とすることが望ましい。す なわち、反応器11よりも圧力がやや下がった 液分離工程(加圧固液分離装置13)以降でガス 排出を行うことで、溶解していたガスが気化 した後に排出することができるのでガス排出 効果が高まる利点がある。

 なかでも、加圧固液分離装置13にガス排出 段を設けることが好ましい。スラリーDに溶 していたガスは加圧固液分離装置13に到達 る前に既に気化しており、かつスラリーDか 直接ガスを排出することで以降の工程への スの悪影響も低減できるので非常に効率的 ある。
 本発明においてガス排出手段は特に限定さ ないが、通常、ガス排出配管及び/又は圧力 調整手段を用いる。移送配管途中などの場合 は、ガス排出槽を設け、更にそこからガス排 出配管と圧力調整手段を設けてもよい。圧力 調整手段としては、例えば圧力調整弁等が用 いられる。ガス排出配管並びに圧力調整手段 内を流通する物質は実質的にガスであり、圧 力調整手段はそのガスの流通量を調整する機 能を備えている。さらに、圧力調整手段には 、対象とする部位の圧力を検知する手段、そ の圧力を制御するための機構が備わっていて もよい。通常は、検知した圧力が一定範囲に 収まるように、圧力を制御するための機構が 、圧力調整手段の操作量を決定する。制御す るための機構は、シーケンス等の論理構造を 持つ自動的な手段であってもよいし、人が判 断する手動的な手段であってもよい。さらに は、一定以上の圧力となった場合に弁が開く 機構であってもよい。

 または、母液タンク20及び/又は洗浄排液タ ク21にガス排出手段を設けることも好まし 。タンクでの貯蔵中に気液の分離(母液や洗 排液からのガス発生)が進むと考えられるた め、これらタンクからガスを排出することも 効率的である。
 ただし、ガス排出後も装置や配管の内部は 定の加圧状態を維持できることが好ましい ガス排出の結果、圧力が大きく低下したり 圧になってしまったりすると、再加圧や乾 のためのエネルギーが必要となるためであ 。即ち、工程の進行を妨げる程度のガスの 積を防ぐのに必要なだけのガスを排出する とができれば、この発明の効果は達成され 。

 また、加圧固液分離装置13から反応器11へ 母液Gを移送して再利用する母液移送配管を している場合は、この母液移送配管の途中 ガス排出手段を設けてガス排出を行っても い。スラリーではなく溶液になっても、加 状態にあるため大量の反応ガスが溶けてお 、配管途中で気化し反応器11への移送が停止 してしまうことがあるためである。洗浄装置 14から反応器11へ洗浄排液Jを移送して再利用 る洗浄排液移送配管を有している場合も同 に、ガス排出手段を設けてガス排出を行う とができる。

 ガス排出手段は、1箇所だけであってもよく 複数箇所に設けてもよい。特に、加圧固液分 離装置13でのガス排出とともに他の箇所での ス排出を併用して行うと、ガスの蓄積を効 的に防ぐことができるのでより好ましい。
 ガス排出方法は、プロセスの運転が安定的 行える限り特に限定されず、排出量の調整 固定でも可変でもよく、自動操作でも手動 作でもよい。また、常時排出しても間欠的 排出してもよく、間欠的に排出する場合の 度も限定されない。更に、ガスを一定量排 するのでもよいし装置や移送配管の圧力を 定に保つように排出するのでもよい。例え 、ガス排出量が固定されている調整手段と ては、オリフィスのほか、径を定めた配管 よる圧力損失を利用する方法もある。また 排出量の調整が可変である例として、グロ ブバルブ、ストップバルブ、ニードルバル 、カムフレックスバルブ、アングルバルブ バタフライバルブ、ボールバルブ、ゲート ルブ等、通常、化学プロセスで使用されて るものであればこれら例示に限定されるこ なく使用することができる。

 本発明においては、装置や移送配管の圧力 所定範囲に保つように圧力調整手段を制御 、常時ガス排出を行う方法であることが好 しい。例えば加圧固液分離装置13にガス排 配管と圧力調整弁を設けた場合、加圧固液 離装置13内の圧力が所定範囲に収まりスラリ ーDの移送が滞りなく行われるように、圧力 整弁の開閉度合いを制御する。
 図1に、加圧固液分離装置13、母液タンク20 洗浄排液タンク21の3箇所からガス排出を行 例を示す。加圧固液分離装置13のガス溜まり ができやすい部分、例えば装置上部のいずれ かの箇所にガス排出ライン22を設け、スラリ Dから加圧固液分離装置排出ガスPを排出さ る。また、母液タンク20のガス溜まりができ やすい部分、例えばタンク上部のいずれかの 箇所にガス排出ライン22を設け、母液Gから母 液タンク排出ガスQを排出させる。さらに洗 排液タンク21のガス溜まりができやすい部分 、例えばタンク上部のいずれかの箇所にガス 排出ライン22を設け、洗浄排液Jから洗浄排液 タンク排出ガスRを排出させる。これらのガ は、ガス排出ライン22を通り圧力調整弁23を て圧力調整用排出ガスSとして排出される。 ガス排出量は圧力調整弁23の開閉の程度によ 制御しうる。なお圧力調整弁23やガス排出 イン22は個々の対象に対して個別に設けても よいが、装置の簡略化のためには共通で1つ み設けることが好ましい。
 圧力調整手段による圧力の調整は、その圧 変動幅が1MPa以内、好ましくは0.6MPa以内、よ り好ましくは0.3MPa以内、更に好ましくは0.15MP a以内にて行うことが望ましい。設定値を基 とすれば、圧力の調整は、設定値に対し±0.5 MPa以内、好ましくは±0.3MPa以内、より好まし は±0.15MPa以内、更に好ましくは±0.075MPa以内 にて行うことが望ましい。圧力調整手段によ る圧力調整の変動幅を前記範囲とすることに より、連続運転安定性を高める他、固液スラ リーから芳香族カルボン酸の析出を促進し、 製品固形物の回収を安定的に向上させること が可能となるため好ましい。
 なお、圧力調整手段により調整される圧力 液相部の圧力を意味するが、実質的に液相 の圧力が検出可能な限り、圧力検出箇所が 相、気相、スラリーの何れであってもよい

 また加圧固液分離装置13、母液タンク20、洗 浄排液タンク21などの圧力が低くなりすぎた 合には、圧力調整用導入ガスTを、圧力調整 弁24を経てこれら装置へ導入し、圧力を高め ことができる機構を設けてもよい。
 本発明においては、反応器11及び/又は追酸 反応器11’内で生じるスラリーのガス同伴 を低減させるため、上記のように、反応器11 及び/又は追酸化反応器11’から反応ガスM、M の排出を行うことが望ましい。また本発明 おいては、追酸化反応器11’を設けること より望ましい。即ち反応装置が直列に配さ た2以上の反応器からなることが望ましい。 応器11で生じてスラリーDに同伴されたガス 、追酸化反応器11’で発生する反応ガスM’ ともにある程度排出されるため、スラリー ガス同伴量をより低減できるためである。

 加圧固液分離装置13から反応器11へ母液G 移送して再利用する場合や、洗浄装置14から 反応器11へ洗浄排液Jを移送して再利用する場 合において、母液Gや洗浄排液Jの圧力が低下 た場合は、必要に応じてポンプ(図示せず) を用いて昇圧してもよい。

 以下、実施例により本発明をより具体的に 明するが、本発明は以下の実施例に何ら限 されて解釈されるものではない。
[実施例1]
 図1に示す装置を用いて、アルキル芳香族化 合物から芳香族カルボン酸を製造した。
 まず反応器11にp-キシレンを導入し、酢酸に 対し10重量%程度の水を含む溶媒中で、触媒存 在下に空気酸化してテレフタル酸を生成させ 、テレフタル酸と溶媒からなるスラリーを得 た。p-キシレンに対する溶媒の量(重量)は約3 程度とした。空気の供給量は、凝縮器排ガ O中の酸素濃度が3~7容量%となるように制御 た。

 反応器11としては攪拌機付き反応器を用い 反応器の温度は185~195℃、圧力は1.0~1.7MPa(絶 圧)の範囲から設定し、反応時間(滞留時間) 約1時間とした。実際の運転時の圧力は、1.4~ 1.6MPa(絶対圧)であった。
 触媒としては酢酸コバルト、酢酸マンガン び臭化水素を用いた。重金属原子1モルに対 して臭素原子は2.5モルとし、反応溶液中の重 金属濃度は、コバルトが約300ppm、マンガンが 約300ppmであった。

 得られたスラリーを反応器11から抜き出 追酸化反応器11’へ移送し、追酸化を1回行 た。追酸化反応器11’としては攪拌機付き反 応器を用い、反応器の温度は180~194℃、圧力 0.9~1.7MPa(絶対圧)の範囲から設定し、反応時 (滞留時間)は約40~60分とした。実際の運転時 圧力は、1.1~1.3MPa(絶対圧)であった。追酸化 応器11’への空気の供給量は、凝縮器排ガ 中の酸素濃度が3~7容量%となるように制御し また反応器11への空気供給量の1/30(体積比) した。

 得られたスラリーを追酸化反応器11’か 抜き出し、ポンプ12により昇圧して、加圧固 液分離洗浄乾燥装置17であるスクリーンボウ デカンターへ移送した。追酸化反応器11’ らスラリーが抜き出される際の圧力は、追 化反応器11’内の前記圧力に対し、0~0.05MPa低 い圧力であった。スラリー中には4CBA(4-カル キシベンズアルデヒド)がテレフタル酸に対 て約1000ppm程度含まれていた。スラリーの流 量は30t(トン)/時間とした。次いでスクリーン ボウルデカンターにて固液分離を行い、テレ フタル酸ケーキと母液とに分離した。固液分 離の圧力は0.9~1.0MPa、温度は180~190℃、回転速 は約2050rpmとした。母液は母液タンクに回収 した後、固液分離と同程度かやや低い加圧及 び高温状態を保ったまま反応器11へ移送し再 用した。

 分離されたテレフタル酸ケーキを、酢酸 対し10重量%程度の水を含む洗浄液にて洗浄 、洗浄ケーキを得た。濾過材としては金属 ースクリーンを用い、洗浄時の圧力は0.9~1.0 MPa、温度は180~190℃とした。洗浄排液は洗浄 液タンク21に回収した後、一部は廃棄処理工 程19へ送り廃棄し、残部を固液分離と同程度 やや低い加圧状態を保ったまま反応器11へ 送し再利用した。

 得られた洗浄ケーキを圧力0.9~1.0MPa、約180~19 0℃を保ったままケーキ保持槽に保持した後 1つのディスチャージバルブを開放して、常 (0.101MPa)の粉体滞留槽へ抜き出し、付着液を 放圧蒸発により乾燥させ脱液ケーキとした。 脱液ケーキの温度は110~120℃であり、含液率 0.1重量%であった。
 本実施例では、スクリーンボウルデカンタ 、母液タンク、洗浄排液タンクの3箇所から ガス排出ライン22、圧力調整弁23を通じてガ 排出を行った。ガス排出は常時行い、スク ーンボウルデカンター内の固液分離時の圧 が0.9~1.0MPaの範囲を保持するよう圧力調整弁2 3が自動的に開閉される機構とした。この結 、追酸化反応器11’からスラリーが抜き出さ れる際の圧力を基準とした場合の、ガス排出 手段によってガスを排出後の圧力との差(低 度)は、0~0.65MPaであった。

 またスクリーンボウルデカンター、母液タ ク、洗浄排液タンクの圧力が低くなりすぎ 場合に、圧力調整用導入ガスTを、圧力調整 弁24を経てこれら装置へ導入し圧力を高める とができる機構を設けた。
 その結果、72時間連続で運転させても工程 停止することがなかった。

[比較例1]
 実施例1と同じ構成で、圧力調整弁23を閉じ ガスが排出されないようにしたところ、3分 後に工程が停止してしまった。
 原因を調べた結果、スクリーンボウルデカ ター内にガスが蓄積して圧力が上昇し、ポ プ12の圧力と同程度となってしまい、スラ ーの移送が停止したことが分かった。

 本発明によれば、加圧状態の反応装置でア キル芳香族化合物の酸化を行い、得られた ラリーを加圧のまま固液分離することがで 、スラリー、固液分離した母液、洗浄排液 の移送工程の停止を防ぐことができるので 芳香族カルボン酸の安定した製造が可能と り、産業上有用である。
 
 なお、2007年7月20日に出願された日本特許出 願2007-189315号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。




 
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