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Title:
PROCESS FOR PRODUCING CATALYST FOR FUEL CELL, ELECTRODE ASSEMBLY, AND FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116157
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a process for producing a catalyst for a fuel cell. The production process comprises, in the following sequence, a fibrous nanocarbon production step (S10) of thermally decomposing a carbon-containing gas in the presence of a metal catalyst or an alloy catalyst in the temperature range of 400°C to 1200°C to produce a fibrous nanocarbon, an iron-type transition metal catalyst particle deposition step (S20) of depositing iron-type transition metal catalyst particles onto the surface of the fibrous nanocarbon, a tunnel-type mesopore forming step (S30) of bringing an oxidizing gas into contact with the fibrous nanocarbonin the temperature range of 200°C to 600°C to form tunnel-type mesopores in the fibrous nanocarbon, and a noble metal catalyst particle supporting step (S40) of supporting noble metal catalyst particles in the tunnel-type mesopores. According to the above constitution, the process for producing a catalyst for a fuel cell can produce a catalyst for a fuel cell which can realize a higher fuel cell efficiency than the prior art.

Inventors:
MOCHIDA ISAO (JP)
YOON SEONG-HO (JP)
HONG SEONG-HWA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055145
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CORP (JP)
MOCHIDA ISAO (JP)
YOON SEONG-HO (JP)
HONG SEONG-HWA (JP)
International Classes:
H01M4/88; B01J23/46; B01J32/00; B01J37/12; C01B31/02; H01M4/96
Foreign References:
JP2006334527A2006-12-14
JP2007527348A2007-09-27
JP2006193836A2006-07-27
JP2006240958A2006-09-14
Attorney, Agent or Firm:
MATSUO, Nobutaka et al. (JP)
Masatake Matsuo (JP)
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Claims:
 金属触媒又は合金触媒存在下のもとで400℃~1200℃の温度範囲で炭素含有ガスを熱分解反応させることにより、繊維状ナノ炭素を作製する繊維状ナノ炭素作製工程と、
 前記繊維状ナノ炭素の表面に鉄系遷移金属触媒粒子を付着させる鉄系遷移金属触媒粒子付着工程と、
 200℃~600℃の温度範囲で前記繊維状ナノ炭素に酸化性ガスを接触させることにより、前記繊維状ナノ炭素にトンネル型メソ気孔を形成するトンネル型メソ気孔形成工程と、
 前記トンネル型メソ気孔中に貴金属触媒粒子を担持させる貴金属触媒粒子担持工程とをこの順序で含むことを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1に記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記繊維状ナノ炭素作製工程で作製する繊維状ナノ炭素は、ヘリングボーン構造を有する繊維状ナノ炭素又はプレートレット構造を有する繊維状ナノ炭素であることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記貴金属触媒粒子は、平均粒径が2nm~5nmの範囲内にあり、
 前記トンネル型メソ気孔は、平均孔径が2.5nm~100nmの範囲内にあり、平均深さが10nm以上の範囲内にあることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~3のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記鉄系遷移金属触媒粒子は、平均粒径が2.5nm~100nmの範囲内にあることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~4のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記繊維状ナノ炭素作製工程で作製する繊維状ナノ炭素は、BET比表面積が200m 2 /g以上であることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記酸化性ガスは、空気、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス又は純酸素ガスであることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~6のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記トンネル型メソ気孔形成工程終了後の繊維状ナノ炭素には、0.5重量%~20重量%の酸素が含まれていることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~7のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記鉄系遷移金属触媒粒子は、Fe、Ni若しくはCo又はこれらの合金の微粒子からなることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~8のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法において、
 前記貴金属触媒粒子は、Pt、Ru若しくはPd又はこれらの貴金属を含む合金の微粒子からなることを特徴とする燃料電池用触媒の製造方法。
 請求項1~9のいずれかに記載の燃料電池用触媒の製造方法によって製造される燃料電池用触媒に炭素含有ペーストを混合して得られるスラリーを用いて製造される電極接合体であって、
 前記スラリーにおける貴金属触媒粒子の全重量と炭素の全重量との和に占める前記貴金属触媒粒子の全重量の比率は、40%以下であることを特徴とする電極接合体。
 請求項10に記載の電極接合体を備える燃料電池であって、
 90℃運転時に160mW/cm 2 以上の電力を産生可能であることを特徴とする燃料電池。
 請求項11に記載の燃料電池において、
 90℃運転時に185mW/cm 2 以上の電力を産生可能であることを特徴とする燃料電池。
Description:
燃料電池用触媒の製造方法、電 接合体及び燃料電池

 本発明は、燃料電池用触媒の製造方法、 極接合体及び燃料電池に関する。

 従来、トンネル型メソ気孔を有する繊維 ナノ炭素に貴金属触媒粒子を担持させた構 を有する燃料電池用触媒が知られている(例 えば、非特許文献1参照。)。

 図11は、非特許文献1に記載された従来の 料電池用触媒の製造方法を説明するために すフローチャートである。図12は、従来の 料電池用触媒の製造方法におけるトンネル メソ気孔形成工程S930を説明するために示す である。図12(a)は繊維状ナノ炭素における 応表面を示す図であり、図12(b)は炭素の結合 状態の変化を示す図である。

 従来の燃料電池用触媒の製造方法は、図1 1に示すように、ヘリングボーン構造を有す 繊維状ナノ炭素又はプレートレット構造を する繊維状ナノ炭素を作製する繊維状ナノ 素作製工程S910と、繊維状ナノ炭素の表面に 規触媒粒子を付着させる新規触媒粒子付着 程S920と、600℃~1200℃の温度範囲で繊維状ナ 炭素に水素ガスを接触させることにより、 維状ナノ炭素にトンネル型メソ気孔を形成 るトンネル型メソ気孔形成工程S930と、トン ネル型メソ気孔中にPtRu等の貴金属触媒粒子 担持させる貴金属触媒粒子担持工程S940とを の順序で含むものである。

 そして、トンネル型メソ気孔形成工程S930 においては、図12に示すように、水素ガスを いる新規の触媒ガス化法を用いることによ て、繊維状ナノ炭素を構成しているナノロ ドを部分的にかつ選択的に除去することで 平均孔径が3nm~10nm程度のトンネル型メソ気 を形成している。

 このため、従来の燃料電池用触媒の製造 法によれば、上記のようなトンネル型メソ 孔形成工程S930を含むため、繊維状ナノ炭素 に、多量の、平均粒径が2nm~5nm程度の微小な 金属触媒粒子を分散して担持させることが 能となり、結果として、高い燃料電池効率( 特許文献1の場合、産生電力密度。)を得る とが可能となる。

科学技術振興機構のホームページ,「http: //www.jst.go.jp/kisoken/crest/report/heisei16/pdf/pdf10/10_1 /008.pdf」,題「平成14年度戦略的創造研究推進 業(公募型研究)チーム型研究(CRESTタイプ)研 年報/環境保全のためのナノ構造制御触媒と 新材料の創製/表面最適化炭素ナノ繊維の新 環境触媒機能」(特に、2.1欄及び2.10欄参照。 )

 ところで、燃料電池用触媒としては常に 従来よりも高い燃料電池効率を得ることが 能な燃料電池用触媒が求められている。

 そこで、本発明は、上記事情に鑑みてな れたもので、従来よりも高い燃料電池効率 得ることが可能な燃料電池用触媒を製造す 方法を提供することを目的とする。また、 のような方法によって製造された燃料電池 触媒を用いて製造される電極接合体及び燃 電池を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上述した目的を達成すべ 鋭意努力を重ねた結果、酸化性ガスを用い 繊維状ナノ炭素にトンネル型メソ気孔を形 することとすれば、形成されるトンネル型 ソ気孔の孔壁に多量の酸素官能基が形成さ るようになるため、トンネル型メソ気孔中 従来よりも多量の貴金属触媒粒子を担持さ ることが可能となり、結果として、従来よ も高い燃料電池効率を得ることが可能とな ことを見出し、本発明を完成させるに至っ 。

(1)本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、 金属触媒又は合金触媒存在下のもとで400℃~12 00℃の温度範囲で炭素含有ガスを熱分解反応 せることにより、繊維状ナノ炭素を作製す 繊維状ナノ炭素作製工程と、前記繊維状ナ 炭素の表面に鉄系遷移金属触媒粒子を付着 せる鉄系遷移金属触媒粒子付着工程と、200 ~600℃の温度範囲で前記繊維状ナノ炭素に酸 化性ガスを接触させることにより、前記繊維 状ナノ炭素にトンネル型メソ気孔を形成する トンネル型メソ気孔形成工程と、前記トンネ ル型メソ気孔中に貴金属触媒粒子を担持させ る貴金属触媒粒子担持工程とをこの順序で含 むことを特徴とする。

 本発明の燃料電池用触媒の製造方法によ ば、繊維状ナノ炭素におけるトンネル型メ 気孔中に貴金属触媒粒子を担持させること しているため、繊維状ナノ炭素に、多量の 平均粒径が2nm~5nm程度の微小な貴金属触媒粒 子を分散して担持させることが可能となり、 結果として、高い燃料電池効率を得ることが 可能となる。

 また、本発明の燃料電池用触媒の製造方 によれば、トンネル型メソ気孔形成工程に いて酸化性ガスを用いて繊維状ナノ炭素に ンネル型メソ気孔を形成することとしてい ため、形成されるトンネル型メソ気孔の孔 に多量の酸素官能基が形成されるようにな 。このため、繊維状ナノ炭素に従来よりも 量の貴金属触媒粒子を担持させることが可 となる。

 その結果、本発明の燃料電池用触媒の製 方法によれば、従来よりも高い燃料電池効 を得ることが可能な燃料電池用触媒を製造 ることできる。

 また、本発明の燃料電池用触媒の製造方 によれば、従来よりも低い温度で繊維状ナ 炭素にトンネル型メソ気孔を形成すること 可能となるため、従来よりも安価な製造コ トで燃料電池用触媒を製造することができ 。

(2)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記繊維状ナノ炭素作製工程で作製 する繊維状ナノ炭素は、ヘリングボーン構造 を有する繊維状ナノ炭素又はプレートレット 構造を有する繊維状ナノ炭素であることが好 ましい。

 ヘリングボーン構造を有する繊維状ナノ 素又はプレートレット構造を有する繊維状 ノ炭素は、これらの繊維状ナノ炭素を構成 るナノロッドの軸幅D(後述する図2(c)参照。) が例えば2.5nm程度である。従って、上記のよ な方法とすることにより、繊維状ナノ炭素 、多量の、平均粒径が2nm~5nm程度の微小な貴 金属触媒粒子を分散して担持可能なトンネル 型メソ気孔を形成することが可能となる。

(3)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記貴金属触媒粒子は、平均粒径が 2nm~5nmの範囲内にあり、前記トンネル型メソ 孔は、平均孔径が2.5nm~100nmの範囲内にあり、 平均深さが10nm以上の範囲内にあることが好 しい。

 このような方法とすることにより、トン ル型メソ気孔中に、平均粒径が2nm~5nm程度の 微小な貴金属触媒粒子を確実に担持させるこ とができる。

(4)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記鉄系遷移金属触媒粒子は、平均 粒径が2.5nm~100nmの範囲内にあることが好まし 。

 このような方法とすることにより、平均 径が2.5nm~100nmの範囲内にあるトンネル型メ 気孔、言い換えれば、平均粒径が2~5nm程度の 微小な貴金属触媒粒子を多量担持させること が可能なトンネル型メソ気孔を形成すること ができる。

(5)本発明の燃料電池用触媒の製造方法におい ては、前記繊維状ナノ炭素作製工程で作製す る繊維状ナノ炭素は、BET比表面積が200m 2 /g以上であることが好ましい。

 このような方法とすることにより、繊維 ナノ炭素に多量の貴金属触媒粒子を担持さ ることが可能となる。

(6)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記酸化性ガスは、空気、不活性ガ スと酸素ガスとの混合ガス又は純酸素ガスで あることが好ましい。

 このような方法とすることにより、トン ル型メソ気孔中に多量の酸素官能基を導入 ることが可能となる。

(7)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記トンネル型メソ気孔形成工程終 了後の繊維状ナノ炭素には、0.5重量%~20重量% 酸素が含まれていることが好ましい。

 このような方法とすることにより、トン ル型メソ気孔中には多量の酸素官能基が導 されていることとなり、その結果、トンネ 型メソ気孔中に貴金属触媒粒子を安定して 持させることが可能となる。

(8)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記鉄系遷移金属触媒粒子は、Fe、N i若しくはCo又はこれらの合金の微粒子からな ることが好ましい。

 このような方法とすることにより、酸化 ガスを用いて繊維状ナノ炭素に上記したよ なトンネル型メソ気孔を形成することが可 となる。

(9)本発明の燃料電池用触媒の製造方法にお いては、前記貴金属触媒粒子は、Pt、Ru若し はPd又はこれらの貴金属を含む合金の微粒子 からなることが好ましい。

 このような方法とすることにより、高い 料電池効率を得ることが可能な燃料電池用 媒を製造することができる。

(10)本発明の電極接合体は、本発明の燃料 池用触媒の製造方法によって製造される燃 電池用触媒に炭素含有ペーストを混合して られるスラリーから製造される燃料電池用 媒であって、前記スラリーにおける貴金属 媒粒子の全重量と炭素の全重量との和に占 る前記貴金属触媒粒子の全重量の比率(貴金 使用量)は、40%以下であることを特徴とする 。

 本発明の電極接合体は、本発明の燃料電 用触媒の製造方法によって製造される燃料 池用触媒に炭素含有ペーストを混合して得 れるスラリーから製造される電極接合体で るため、従来よりも高い燃料電池効率を得 ことが可能な電極接合体となる。また、本 明の電極接合体は、貴金属使用量を80%程度 上とすることも可能であるが、貴金属使用 を40%以下とすることにより、貴金属触媒粒 の使用量が少なく製造コストの比較的安価 電極接合体となる。

(11)本発明の燃料電池は、90℃運転時に160mW/cm 2 以上の電力を産生可能であることを特徴とす る。

 本発明の燃料電池は、上記した電極接合 を備える燃料電池であるため、後述する実 例からも明らかなように、貴金属触媒粒子 使用量が少なく製造コストの比較的安価な 料電池でありながら、所定の燃料電池効率 得ることが可能な燃料電池となる。

(12)本発明の燃料電池は、90℃運転時に185mW/cm 2 以上の電力を産生可能であることを特徴とす る。

 本発明の燃料電池は、上記した電極接合 を備える燃料電池であるため、後述する実 例からも明らかなように、貴金属触媒粒子 使用量が少なく製造コストの比較的安価な 料電池でありながら、所定の燃料電池効率 得ることが可能な燃料電池となる。

実施形態に係る燃料電池用触媒の製造 法を説明するために示すフローチャートで る。 繊維状ナノ炭素100の構造を説明するた に示す図である。 実施形態に係る燃料電池用触媒の製造 法を説明するために示す図である。 実施形態に係る燃料電池用触媒の製造 法を説明するために示す図である。 実施形態に係る燃料電池用触媒100bを説 明するために示す図である。 単電池評価系200を説明するために示す である。 比較例1に係る燃料電池用触媒が産生す る電力密度を示す図である。 比較例2に係る燃料電池用触媒が産生す る電力密度を示す図である。 比較例3に係る燃料電池用触媒が産生す る電力密度を示す図である。 実施例1に係る燃料電池用触媒が産生 る電力密度を示す図である。 非特許文献1に記載された燃料電池用 媒の製造方法を説明するために示すフロー ャートである。 非特許文献1に記載された燃料電池用 媒の製造方法におけるトンネル型メソ気孔 成工程を説明するために示す図である。

 以下、本発明の燃料電池用触媒の製造方 、電極接合体及び燃料電池について、図に す実施の形態に基づいて説明する。

[実施形態]
 図1は、実施形態に係る燃料電池用触媒の製 造方法を示すフローチャートである。
 図2は、繊維状ナノ炭素作製工程S10終了後に おける繊維状ナノ炭素100の構造を説明するた めに示す図である。図2(a)は1本の繊維状ナノ 素100を模式的に示す図であり、図2(b)は図2(a )における符号A 1 で示す部分の拡大図であり、図2(c)はナノロ ド106の拡大図である。

 図3及び図4は、実施形態に係る燃料電池 触媒の製造方法を説明するために示す図で る。図3(a)は繊維状ナノ炭素作製工程S10終了 における繊維状ナノ炭素100の構造を示す図 あり、図3(b)は鉄系遷移金属触媒粒子付着工 程S20終了後における繊維状ナノ炭素100の構造 を示す図であり、図3(c)及び図3(d)並びに図4(a) はトンネル型メソ気孔形成工程S30実施中にお ける繊維状ナノ炭素100の構造を示す図であり 、図4(b)はトンネル型メソ気孔形成工程S30終 後に鉄系遷移金属触媒粒子110を除去した後 おける繊維状ナノ炭素100の構造を示す図で り、図4(c)は貴金属触媒粒子担持工程S40終了 における繊維状ナノ炭素100の構造を示す図 ある。

 図5は、実施形態に係る燃料電池用触媒100 bを説明するために示す図である。図5(a)は燃 電池用触媒100bの透過型電子顕微鏡による写 真であり、図5(b)は図5(a)をさらに拡大した写 である。

 実施形態に係る燃料電池用触媒の製造方 は、図1に示すように、繊維状ナノ炭素作製 工程S10と、鉄系遷移金属触媒粒子付着工程S20 と、トンネル型メソ気孔形成工程S30と、貴金 属触媒粒子担持工程S40とをこの順序で含む。 以下、各工程を詳細に説明する。

1.繊維状ナノ炭素作製工程S10
 繊維状ナノ炭素作製工程S10は、金属触媒又 合金触媒存在下のもとで400℃~1200℃の温度 囲で炭素含有ガスを熱分解反応させること より、繊維状ナノ炭素100を作製する工程で る(図3(a)参照。)。

 金属触媒又は合金触媒としては、鉄、ニッ ル、コバルトなどの遷移金属又はこれらの 金から製造される触媒(例えば、硝酸鉄、硝 酸ニッケルなど。)を用いる。炭素含有ガス しては、一酸化炭素(CO)又は炭化水素(例えば 、メタン(CH 3 )、エチレン(C 2 H 4 )、プロパン(C 3 H 8 )など。)を用いる。キャリアガスとして水素( 水素分圧0%~90%)を用いてもよい。熱分解反応 、400℃~1200℃の温度範囲で、上記した炭素含 有ガスを上記した金属触媒又は合金触媒に接 触させることにより行う。

 繊維状ナノ炭素作製工程S10で作製される 維状ナノ炭素100は、例えば、図2に示すよう に、ナノロッド群の配列角度がナノロッドの 積層方向の繊維軸と直交する軸に対して20度 り大きく80度未満の角度で配列したヘリン ボーン構造を有する繊維状ナノ炭素である ナノロッド群は、多数のナノロッド106が互 に平行に配列された構造を有する。ナノロ ド106は、六角柱の形状を有し、かつ、炭素 角網面が同心状に積層された構造を有する なお、図2(b)中、符号102は金属触媒又は合金 媒を示し、符号104は多数のナノロッド106が いに平行に配列された構造を示す。金属触 又は合金触媒102の短径Waは、例えば50~150nmで あり、金属触媒又は合金触媒102の長径Wbは、 えば50nm~300nmである。また、図2(c)に示すナ ロッド106の軸幅Dは、例えば2.5nmであり、ナ ロッド106の長さLは、例えば20nmである。また 、繊維状ナノ炭素100の長さは、例えば500nm~300 0nmである。

2.鉄系遷移金属触媒粒子付着工程S20
 鉄系遷移金属触媒粒子付着工程S20は、繊維 ナノ炭素100の表面に鉄系遷移金属触媒粒子1 10を付着させる工程である(図3(b)参照。)。

 鉄系遷移金属触媒粒子付着工程S20は、鉄 遷移金属触媒粒子110を含有させた溶液に、 維状ナノ炭素100を浸漬した後、繊維状ナノ 素100を乾燥させることにより行う。鉄系遷 金属触媒粒子110としては、Fe、Ni若しくはCo はこれらの合金の微粒子からなるものを用 る。また、鉄系遷移金属触媒粒子110として 、平均粒径が2.5nm~100nmの範囲内にあるもの 用いる。

3.トンネル型メソ気孔形成工程S30
 トンネル型メソ気孔形成工程S30は、200℃~600 ℃の温度範囲で繊維状ナノ炭素100に酸化性ガ スを接触させることにより、繊維状ナノ炭素 100にトンネル型メソ気孔120を形成する工程で ある(図3(c)及び図3(d)並びに図4(a)参照。)。

 酸化性ガスとしては、例えば、空気、不活 ガスと酸素ガスとの混合ガス又は純酸素ガ を用いる。
 トンネル型メソ気孔形成工程S30においては 接触時間が経過するに従ってトンネル型メ 気孔が徐々に成長するため、平均孔径が2.5n m~100nmの範囲内にあり、ナノロッド106の軸方 B(図4(b)及び図2(b)参照。)に沿った平均長さ( 均深さ)が10nm以上のトンネル型メソ気孔を制 御性よく形成することができる。

4.貴金属触媒粒子担持工程S40
 貴金属触媒粒子担持工程S40は、トンネル型 ソ気孔120中に貴金属触媒粒子130を担持させ 工程である(図4(b)~図4(d)参照。)。

 貴金属触媒粒子担持工程S40は、繊維状ナ 炭素100から鉄系遷移金属触媒粒子110を除去 た後、貴金属触媒粒子130を含有する溶液に 繊維状ナノ炭素100を浸漬することにより行 。貴金属触媒粒子130としては、Pt、Ru若しく はPd又はこれらの貴金属を含む合金の微粒子 らなるものを用いる。また、貴金属触媒粒 130としては、平均粒径が2nm~5nmの範囲内にあ るものを用いる。貴金属触媒粒子担持工程S40 終了後には、多数の貴金属触媒粒子130がトン ネル型メソ気孔120中に担持された構造の燃料 電池用触媒140が得られる(図4(c)及び図4(d)並び に図5(a)及び図5(b)参照。)。

 以上のようにして実施形態に係る燃料電 用触媒140を製造することができる。

 なお、図示による説明は省略するが、本 明においては、このようにして製造される 料電池用触媒140に炭素含有ペーストを混合 て得られるスラリーを用いて電極接合体を 造することができ、また、このようにして 造される電極接合体を用いて燃料電池を製 することができる。

 以上、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法、電極接合体及び燃料電池を説明し が、実施形態に係る燃料電池用触媒の製造 法によれば、繊維状ナノ炭素100におけるト ネル型メソ気孔120中に貴金属触媒粒子130を 持させることとしているため、繊維状ナノ 素100に、多量の、平均粒径が2nm~5nm程度の微 小な貴金属触媒粒子130を分散して担持させる ことが可能となり、結果として、高い燃料電 池効率を得ることが可能となる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、トンネル型メソ気孔形成 程S30において酸化性ガスを用いて繊維状ナ 炭素100にトンネル型メソ気孔120を形成する ととしているため、形成されるトンネル型 ソ気孔120の孔壁には多量の酸素官能基が形 される。このため、繊維状ナノ炭素100に従 よりも多量の貴金属触媒130を担持させるこ が可能となる。

 その結果、実施形態に係る燃料電池用触 の製造方法によれば、従来よりも高い燃料 池効率を得ることが可能な燃料電池用触媒 製造することできる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、従来よりも低い温度で繊 状ナノ炭素100にトンネル型メソ気孔120を形 することが可能となるため、従来よりも安 な製造コストで燃料電池用触媒を製造する とができる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、繊維状ナノ炭素作製工程S 10で作製する繊維状ナノ炭素100がヘリングボ ン構造を有する繊維状ナノ炭素であるため 繊維状ナノ炭素100に、多量の、平均粒径が2 nm~5nm程度の微小な貴金属触媒粒子を分散して 担持可能なトンネル型メソ気孔120を形成する ことが可能となる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、貴金属触媒粒子130は、平 粒径が2nm~5nmの範囲内にあり、トンネル型メ ソ気孔120は、平均孔径が2.5nm~100nmの範囲内に りかつ平均深さが10nm以上の範囲内にあるた め、トンネル型メソ気孔120中に、平均粒径が 2nm~5nm程度の微小な貴金属触媒粒子130を担持 せることができる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、鉄系遷移金属触媒粒子110 、平均粒径が2.5nm~100nmの範囲内にあるため 平均孔径が2.5nm~100nmの範囲内にあるトンネル 型メソ気孔120、言い換えれば、平均粒径が2nm ~5nm程度の微小な貴金属触媒粒子130を多量担 させることが可能なトンネル型メソ気孔を 成することができる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の製 方法によれば、繊維状ナノ炭素作製工程S10 作製する繊維状ナノ炭素100は、BET比表面積 200m 2 /g以上であるため、繊維状ナノ炭素100に多量 貴金属触媒粒子130を担持させることが可能 なる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、酸化性ガスは、空気、不 性ガスと酸素ガスとの混合ガス又は純酸素 スであるため、トンネル型メソ気孔120中に 量の酸素官能基を導入することが可能とな 。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、トンネル型メソ気孔形成 程S30終了後の繊維状ナノ炭素100には、0.5重 %~20重量%の酸素が含まれているため、トン ル型メソ気孔120中に貴金属触媒粒子130を安 して担持させることが可能となる。

 また、実施形態に係る燃料電池用触媒の 造方法によれば、鉄系遷移金属触媒粒子110 、Fe、Ni若しくはCo又はこれらの合金の微粒 からなるため、酸化性ガスを用いて繊維状 ノ炭素に上記したようなトンネル型メソ気 120を形成することが可能となる。

 以下、実施例を参照しながら、本発明の 料電池用触媒の製造方法、電極接合体及び 料電池の効果を説明する。

 1.試料の作製
[実施例1]
 以下の繊維状ナノ炭素作製工程と、鉄系遷 金属触媒粒子付着工程と、トンネル型メソ 孔形成工程と、貴金属触媒粒子担持工程と この順序で含む燃料電池用触媒の製造方法 実施することにより、実施例1に係る燃料電 池用触媒を作製した。

(1)繊維状ナノ炭素作製工程
 沈澱法を用いて調整した超微粒子状のニッ ル触媒50mgを石英ガラス製のボート(長さ10mm 幅2.5mm、深さ1.5mm)に載せ、内径4.5cmの石英ガ ラス管の中で、触媒活性化のため、水素(H 2 )とヘリウム(He)との混合ガス(水素分圧:20体積 %)を100sccm(cc/min)流しながら500℃で2時間還元し た。その後、エチレン(C 2 H 4 )と水素(H 2 )との混合ガス(水素分圧:20体積%)を100sccm流し がら580℃の温度で1時間反応させて、所定量 のヘリングボーン構造の繊維状ナノ炭素を作 製した。

(2)鉄系遷移金属触媒粒子付着工程
 その後、硝酸鉄(III)九水和物の一定量を純 に溶解した溶液に、繊維状ナノ炭素を浸漬 た後、繊維状ナノ炭素を乾燥させることに り、繊維状ナノ炭素に平均粒径が20nmの鉄系 移金属触媒粒子を付着させた。

(3)トンネル型メソ気孔形成工程
 その後、内径5cmの石英ガラス管の中で、200 ~600℃の温度範囲で繊維状ナノ炭素に酸化性 ガスとしての空気を接触させることにより、 繊維状ナノ炭素に、平均孔径が20nm、平均深 が20nmのトンネル型メソ気孔を形成した。ト ネル型メソ気孔形成工程終了後、残存炭素 、酸素含有量及びBET比表面積を測定した。 お、残存炭素量は、重量減少率より算出し 酸素含有量は、CHN元素分析結果より算出し 。

 表1は、トンネル型メソ気孔形成工程中に おける空気の流量及び空気との接触時間と、 トンネル型メソ気孔形成工程終了後における 残存炭素量、酸素含有量及びBET比表面積との 関係を示す表である。

 表1に示すように、トンネル型メソ気孔形成 工程中における空気の流量を多くしたり、空 気との接触時間を長くしたりすれば、残存炭 素量が減少し、酸素含有量が増加し、BET比表 面積が大きくなることがわかる。実施例1に いては、空気の流量を150sccmとするとともに 気との接触時間を2時間とし、残存炭素量が 72%、酸素含有量が11.7%、BET比表面積が222m 2 /gとなる条件(表1の上から4行目の条件)でトン ネル型メソ気孔形成工程を行った。

(4)貴金属触媒粒子担持工程
 その後、繊維状ナノ炭素を20%の塩酸に浸漬 ることにより繊維状ナノ炭素から鉄系遷移 属触媒粒子を除去した後、当該繊維状ナノ 素を塩化白金酸六水和物及び塩化ルテニウ (III)n水和物を含有する水溶液に浸漬した。 らにその後、テトラヒドロホウ酸ナトリウ を用いて上記貴金属塩を化学還元すること より、繊維状ナノ炭素に貴金属触媒粒子を 持させた。貴金属触媒粒子130の平均粒径は3 nmであった。

[比較例1]
 以下の繊維状ナノ炭素作製工程と、鉄系遷 金属触媒粒子付着工程と、トンネル型メソ 孔形成工程と、貴金属触媒粒子担持工程と この順序で含む燃料電池用触媒の製造方法 実施することにより、比較例1に係る燃料電 池用触媒を作製した。このうち、繊維状ナノ 炭素作製工程、鉄系遷移金属触媒粒子付着工 程及び貴金属触媒粒子担持工程は、実施例1 同じであり、トンネル型メソ気孔形成工程 、実施例1とは異なる。トンネル型メソ気孔 成工程は、以下のとおりである。

(3)トンネル型メソ気孔形成工程
 その後、内径5cmの石英ガラス管の中で、850 の温度で3時間繊維状ナノ炭素に水素ガス/ リウムガスの混合ガス(1:1)を接触させること により、繊維状ナノ炭素に、平均孔径が20nm 度、平均深さが20nmのトンネル型メソ気孔を 成した。

[比較例2]
 以下の繊維状ナノ炭素作製工程と、貴金属 媒粒子担持工程とをこの順序で含む燃料電 用触媒の製造方法を実施することにより、 較例2に係る燃料電池用触媒を作製した。す なわち、比較例2においては、繊維状ナノ炭 作製工程で作製された繊維状ナノ炭素をそ まま用いて当該繊維状ナノ炭素に貴金属触 粒子を担持させた。なお、繊維状ナノ炭素 製工程及び貴金属触媒粒子担持工程は、実 例1と同じである。

[比較例3]
 E-TEK社から販売されている、カーボン微粒 に貴金属触媒粒子を担持させた燃料電池用 媒を比較例3とした。

2.単電池評価
(1)スラリーの作製
 実施例1及び比較例1~3に係る燃料電池用触媒 のそれぞれに炭素含有ペーストを混合してス ラリーを作製した。
 表2は、実施例1及び比較例1~3における貴金 使用量を示す表である。表2に示すように、 金属使用量(すなわちスラリーにおける貴金 属触媒粒子の全重量と炭素の全重量との和に 占める貴金属触媒粒子の全重量の比率)は、 施例1並びに比較例1及び2の場合は40%であり 比較例3の場合は60%である。

(2)単電池評価系の作製
 図6は、単電池評価系200を説明するために示 す図である。
 まず、「実施例1並びに比較例1~3に係る燃料 電池用触媒」、「ナフィオン115(デュポン株 会社製、ナフィオンはデュポン株式会社の 標。)及びナフィオン分散液20重量%」並びに 市販のPt-black(Johnson Matthey社製、6mg/cm 2 )」を積層し、これらを135℃の温度下、100kg/cm 2 の圧力を10分間印加することにより電極接合 (MEA)204を作製した。実施例1並びに比較例1~3 係る燃料電池用触媒が燃料極触媒212となり 「ナフィオン115」及びナフィオン分散液が 解質膜230となり、市販のPt-blackが空気極触 222となる。電極接合体204の面積は、25mm×25mm ある。

 その後、電極接合体204に燃料極集電体214 びを空気極集電体224を取り付けることによ 、燃料電池(ダイレクトメタノール型燃料電 池)202を作製し、当該燃料電池202を用いて図6 示すような単電池評価系200を作製した。

(3)単電池評価
 単電池評価系200における燃料極210に2Mのメ ノールを4ml/分の流量で供給するとともに、 気極220に酸素を200ml/分の流量で供給したと の電圧及び電流を電圧計242及び電流計244を いて、負荷240の抵抗値を変化させながら測 し、単電池評価を行った。

 図7~図10は、単電池評価の結果を示す図で ある。図7は、実施例1に係る燃料電池用触媒 用いた単電池における産生電力密度を示す であり、図8は、比較例1に係る燃料電池用 媒を用いた単電池における産生電力密度を す図であり、図9は、比較例2に係る燃料電池 用触媒を用いた単電池における産生電力密度 を示す図であり、図10は、比較例3に係る燃料 電池用触媒を用いた単電池における産生電力 密度を示す図である。

 表3は、単電池評価結果を示す表である。表 3においては、実施例1並びに比較例1~3におけ 最大産生電力密度を示す。

 図7~図10及び表3からもわかるように、実 例1に係る燃料電池用触媒を用いた単電池は 比較例1~3に係る燃料電池用触媒を用いた単 池に比べて最大産生電力密度が高く、ひい は燃料電池効率が高いことがわかった。 

 以上、本発明の燃料電池用触媒の製造方 、電極接合体及び燃料電池を上記の実施形 に基づいて説明したが、本発明は上記の実 形態に限定されるものではなく、その要旨 逸脱しない範囲において種々の態様におい 実施することが可能であり、例えば次のよ な変形も可能である。

(1)上記実施形態においては、繊維状ナノ炭 素として、ヘリングボーン構造を有する繊維 状ナノ炭素を用いたが、本発明はこれに限定 されるものではない。例えば、プレートレッ ト構造を有する繊維状ナノ炭素を用いること もできる。

(2)上記実施例においては、貴金属使用量と して40重量%のものを用いたが、本発明はこれ に限定されるものではない。例えば、貴金属 使用量として40重量%以上のものを用いること もできるし、40重量%未満のものを用いること もできる。

(3)上記実施例においては、本発明の燃料電 池用触媒によって製造された燃料電池用触媒 を燃料極触媒の材料として用いたが、本発明 はこれに限定されるものではない。例えば、 空気極触媒の材料として用いることもできる 。