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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING COATED-PAPER BASE AND FOR PRODUCING COATED PAPER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123493
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a coated-paper base and a coated paper in which the coated-paper base is produced by a neutral papermaking method with a gap former papermaking machine of the roll-and-blade former type which has a dehydration mechanism based on a dehydrating blade immediately after initial dehydration with forming rolls. The process includes adding to a stock a cationic polyacrylamide substance having a weight-average molecular weight as measured by the intrinsic-viscosity method of 10,000,000 or higher as a yield improver before the stock is formed. The process can attain improvements in yield based on the stock and in texture and interlaminar strength. Fine anionic particles and/or a coagulant can also be used.

Inventors:
GOTO SHISEI (JP)
YAMAGUCHI TAKASHI (JP)
OBA TSUKASA (JP)
ITO MASAKI (JP)
OKOMORI KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056315
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JUJO PAPER CO LTD (JP)
GOTO SHISEI (JP)
YAMAGUCHI TAKASHI (JP)
OBA TSUKASA (JP)
ITO MASAKI (JP)
OKOMORI KOJI (JP)
International Classes:
D21H17/37; D21F3/02; D21F9/02; D21H17/44; D21H21/10
Domestic Patent References:
WO2001034910A12001-05-17
Foreign References:
JP2006118076A2006-05-11
JP2006214028A2006-08-17
JP2006118093A2006-05-11
JP2004244766A2004-09-02
JP2005206978A2005-08-04
JP2005179831A2005-07-07
JP2005133238A2005-05-26
JP2004060084A2004-02-26
JP2001262487A2001-09-26
JP3681655B22005-08-10
JP2005002523A2005-01-06
JP2003183995A2003-07-03
JP2000282390A2000-10-10
JP2006138044A2006-06-01
JP2003212539A2003-07-30
JP2005219945A2005-08-18
Other References:
See also references of EP 2157237A4
Attorney, Agent or Firm:
SHAMOTO, Ichio et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi 2-chome,Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性抄紙法により塗工原紙を製造する方法であって、
 歩留まり向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加して抄紙することを含む、印刷用塗工原紙の製造方法。
 紙力剤として、カチオン化澱粉を紙料に添加し、
 歩留り向上剤として、前記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の前記添加後に、アニオン性微粒子を添加することを含む、請求項1に記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを含む、請求項1または2に記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 前記固形分濃度1.5%以上の紙料への凝結剤の添加が、一種以上の製紙原料を配合した後から種箱以降の白水または用水で希釈される前までに行われる、請求項3に記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 前記凝結剤の添加後に前記歩留り向上剤が添加される、請求項3または4に記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 前記製紙原料の1つとしてコートブロークを使用し、
 前記凝結剤が、配合前のコートブローク原料に添加される、請求項3~5のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 カチオン性多価金属塩を、前記コートブローク原料を含む一種以上の製紙原料を配合した後であって、前記凝結剤を添加する前の紙料に添加することを含む、請求項6に記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 抄紙速度が1300m/分以上である、請求項1~7のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 印刷用塗工原紙の紙中填料率が10重量%以上である、請求項1~8のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 紙料に配合される原料パルプに20重量%以上の脱墨パルプ(DIP)が含まれる、請求項1~9のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 前記抄紙機が、プレスパートにシュープレスを備える、請求項1~10のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 前記抄紙機が、オンマシンコータを備える、請求項1~11のいずれかに記載の印刷用塗工原紙の製造方法。
 請求項1~12のいずれかに記載の方法で印刷用塗工原紙を製造し、
 該印刷用塗工原紙に顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工することを含む、印刷用塗工紙の製造方法。
 前記塗工液が、ブレードコータにより塗工される、請求項13に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
Description:
塗工原紙および塗工紙の製造方

 本発明は、塗工原紙の製造方法、および 塗工原紙を用いる塗工紙の製造方法に関す 。また、本発明は、塗工原紙を製造するた の紙料の調成方法に関する。特に、本発明 、高速操業時の製造方法に関するものであ 。

 近年、抄紙機の開発、改良が進み、特に 生産性の高さから抄紙機の高速化・広幅化 傾向が顕著である。

 抄紙機のワイヤパートに関しては、その 水能力の向上という観点から、長網型フォ マからオントップ型のツインワイヤフォー 、更にギャップフォーマへと移行してきた ギャップフォーマ型抄紙機では、ヘッドボ クスから噴出された原料ジェットをすぐに2 枚のワイヤで挟み込むため原料ジェット表面 の乱れが少なく表面性が良好である。また、 ギャップフォーマ型抄紙機では、紙層の両側 から脱水し、脱水量を調整しやすいことから 、長網型やオントップ型のフォーマに比べて 高速での抄紙が可能であり、得られる紙の表 裏差が小さいという利点がある。

 一方、ギャップフォーマ型抄紙機では、 料濃度がごく薄い段階から紙層の両側から 激に脱水されるため、紙層中の微細繊維や 料の分布が表層部へと局在し、紙の中層部 微細繊維量が減少する傾向がある。そのた 、ギャップフォーマ型抄紙機には、層間強 が低下し、更には、抄紙工程におけるワイ 上の紙料及び灰分の歩留まりが低いという 題があった。

 そのため、ギャップフォーマ型抄紙機で 造された塗工原紙を用いた印刷用塗工紙に いては、その層間強度が小さいために、オ セット印刷後、加熱乾燥する際に塗工紙に まれる水分が蒸発しても、水分が塗工層を 気できないために紙層間で剥離が生じ、塗 層が膨れた現象であるブリスターが発生し そのため印刷面が荒れるなど、品質上の重 な問題が発生することがある。このため、 ャップフォーマ型抄紙機は、新聞用紙など 製造に限定されていた。

 印刷用塗工紙のブリスターを改善するた には、用いる塗工原紙の層間強度を高くす 必要がある。一般に、層間強度を向上させ ためには抄紙工程においてカチオン化澱粉 ポリアクリルアミド等の紙力増強剤を添加 る方法が用いられる。しかしながら、紙力 強剤を紙料中へ添加しても、紙力増強剤は 細繊維への定着が高いことから、微細繊維 局在した状態では十分な層間強度を得るた の添加量が多くなり、濾水性の悪化や地合 損なうなどの問題がある。特に、高価なポ アクリルアミドはコストアップとなり、ま 凝集性が強いことから地合を悪化させて印 品質の低下を招くこととなる。また、カチ ン化澱粉の場合はポリアクリルアミドに比 て多くの添加量を必要とすることから濾水 を悪化させ、脱水不良や乾燥負荷の増大、 紙強度の低下などの問題を引き起こす可能 がある。

 また、内添の紙力増強剤の添加に加えて 外添用の紙力増強剤を塗布することにより 間強度を向上させる方法も提案されている( 特開平10-280296号公報参照)。しかし、前述し ように、ギャップフォーマ型抄紙機で抄造 た紙のように微細繊維が紙表層に局在した 態では、紙力増強剤が原紙内部にまで浸透 ず、十分な効果が得られない。

 近年、この課題を解決するためにハード で種々の改良が加えられている。従来は初 の脱水過程においてフォーミングシューや ォーミングボード、サクションボックス等 機器により急激に脱水するため、微細繊維 灰分の紙表層への局在が顕著であったが、 在では、いわゆるロールアンドブレードフ ーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機では サクションを有したフォーミングロールに る初期脱水とその直後に脱水ブレードを併 することで緩やかに脱水できるようになり 更には加圧式の脱水ブレードによるパルス で湿紙層にマイクロタービュランスを与え 繊維の分散を促進することで、紙層中の微 繊維や填料の分布を均一化できるようにな 、地合も良好なものが得られている。その め、紙層に極端に弱い部分はなくなり、ま 、紙料に添加した紙力増強剤は効果的に紙 を向上させることができるため、層間強度 改善されるようになっている。

 しかしながら、ロールアンドブレードフ ーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機では 期脱水を緩やかにできるようになったこと 紙層構造は改善されたものの、脱水ブレー により加圧し湿紙内部へパルスを与えるこ で湿紙内部の微細繊維や填料が抜け出すた 、従来からのギャップフォーマ型抄紙機の 題である紙料歩留まりの低下について大き 改善はなされていない。

 このため、歩留まりを向上させる技術と て、歩留剤としてカチオン性ポリアクリル ミドの添加後、ベントナイトやコロイダル リカなどのアニオン性の無機微粒子を添加 た上、更にアニオン性のポリマーを添加す ことで良好な地合を維持したまま微細繊維 高い歩留まりを得るなどの処方が提案され いる(WO2001/34910号公報参照)。しかし、高速 、高灰分化、DIPの高配合化が進んでいる状 においては、層間強度、歩留まり、地合に いて、十分な改善はされていないのが現状 ある。

 ところで、コータについては、近年、抄 と塗工を一貫して行うことができるオンマ ンコータが広く普及している。オンマシン ータはオフマシンコータに比べ設備投資が なく設置スペースが小さいという利点があ 、また、原紙を速やかに塗工できるため生 コストを低減することができる。しかしな ら、抄紙と塗工を連続で行うため、断紙が 生した場合、通紙時間が長くなるなど、生 効率の低下が大きくなる。特に、メタリン サイズプレスコータ、ゲートロールコータ どのフィルムトランスファコータを有する ンマシンコータで塗工し、オンラインで連 するブレードコータでさらに塗工する場合 原紙表面の異物による断紙が生じ易い。そ ため、ブレードコータを効率良く操業する は異物を出来る限り少なくする必要があり 脱墨パルプなど異物混入の多いパルプの配 が制限されていた。また、断紙を少なくす 方法として紙の強度を上げる必要があるた 、前述のように強度の出にくいギャップフ ーマ型抄紙機の利用が制限されていた。

 上記異物の原因物質としては、特に、塗 時に発生する損紙(コートブローク)を離解 た原料に含まれる塗工層由来のホワイトピ チ、脱墨パルプ由来の粘着異物、機械パル 由来のナチュラルピッチが挙げられる。こ ようなホワイトピッチや粘着異物、ナチュ ルピッチを始めとする異物対策として、調 工程において、配合前のコートブローク原 や脱墨パルプ、機械パルプに凝結剤と呼ば るカチオン性ポリマーを添加することが知 れている(特開2005-206978号公報、特開2005-179831 号公報、特開2005-133238号公報、特開2004-60084号 公報、特開2001-262487号公報、特許第3681655号公 報、特開2005-2523号公報)。一般に凝結剤は、 ワイトピッチや粘着異物、ナチュラルピッ 等を始めとするアニオン性コロイド粒子の 面電荷を中和し、アニオン性コロイド粒子 出来るだけ小さい状態で緩やかに繊維に定 させたソフトフロックを形成させて、異物 ラブルを軽減させるものと考えられている

 配合前の原料に対する凝結剤の添加方法 ついては、これまで、種々の報告がされて る。例えば、古紙パルプに対して、抄紙機 原料調成工程へ流送する前に凝結剤を添加 る方法(特開2005-206978号公報)、古紙再生処理 工程から配合チェストに流送される前に凝結 剤を添加する方法(特開2005-179831号公報、特開 2005-133238号公報)、種箱に供給する前の調成工 程において複数の紙料に対して凝結剤を添加 する方法(特開2004-60084号公報)、雑誌古紙を主 体とする配合前の原料にカチオン性水溶性高 分子を添加する方法(特開2001-262487号公報)な である。その他にも、配合前の一種以上の 紙原料それぞれにカチオン性水溶性高分子 添加した後、前記製紙原料を含むその他の 紙原料と混合した配合原料に対しカチオン 高分子歩留り剤を添加する方法(特許第3681655 号公報)、回収清澄水と塗工損紙の混合物に のパルプを添加した後の離解工程にてカチ ン性高分子を添加する方法(特開2005-2523号公 )などが報告されている。

 しかしながら、凝結剤は前述のように繊 との結合が緩やかなソフトフロックを形成 せるため、特に、せん断力が強い高速抄紙 では、原料に対して添加した凝結剤の効果 工程を経るにつれ漸減し、定着したコロイ 粒子が脱着する問題がある。このため、コ イド粒子の電荷を再度中和するために過剰 の凝結剤の添加や、脱着した粒子を再定着 せるための歩留り剤添加量の増加を招き、 スト的に不利になるだけでなく、中途半端 粗粒化した異物と過剰量のカチオン薬品に る二次的なデポジットの発生といった障害 生じていた。一般的に、粗粒化した異物に 子量の大きいカチオン薬品を添加すると、 粒化した異物が紙へ定着し、結果として、 の欠陥や断紙の増加を招くことが知られて る。

 また、複数のパルプを含む製紙原料組成 に対して、カチオンポリマーとカチオンモ マーとの混合物を添加する方法が知られて る(特開2003-183995号公報)。しかしながら、こ の方法では、他のパルプや薬品と接触するこ とによるコロイド物質の粗粒化や異物の不安 定化が発生した後で凝結剤を添加するため、 紙面異物トラブルなどを引き起しやすく、か えって紙の断紙につながることがある。

 さらに、抄紙系においてカチオン性の歩 り・濾水向上剤を添加するに際し、多価金 塩およびカチオン性ポリマーの少なくとも 方を、少なくとも2箇所に分割して添加する 方法が報告されている(特開2000-282390号公報) しかし、この方法では、歩留り向上を目的 してカチオン性ポリマーを原料配合後の紙 に添加しているため、寧ろコロイド物質な の粗粒化が積極的に促されることになる。 のため、前述のようなコートブロークや脱 パルプ、機械パルプに由来するデポジット 発生や断紙などの操業性に関する問題を抑 することはできず、逆にこれらの問題を誘 する場合がある。

 また、複数のパルプを含む抄紙原料の調 工程と種箱からワイヤーパートへの供給過 に対して凝結剤を添加する方法が報告され いる(特開2006-138044号公報)。この方法では、 種箱以降の白水が多量に配合され、固形分濃 度が一般的に1.5%未満となっている2次ポンプ 後段のスクリーン前に凝結剤を添加し、さ に、スクリーン後に凝集剤を添加している しかし、この方法でも、前述のようなコー ブロークや脱墨パルプ、機械パルプに由来 るデポジットの発生や断紙などの操業性に する問題を抑制することはできず、逆にこ らの問題を誘発する場合がある。

 このように、従来の技術では、特に高速 紙機で製造される塗工原紙を製造する場合 コロイド物質や異物などの粗硫化によるデ ジットなどの問題を回避することが出来ず 生産性の低下を十分に克服することが出来 かった。また、これら異物を繊維に定着さ るため過剰な歩留り剤の添加が必要となり その結果、地合や填料分布が不均一になる いった紙品質の低下を招いていた。特に、 ャップフォーマ型抄紙機などの高速抄紙機 製造された塗工原紙から、オンラインで連 してコータを用いて塗工紙を製造する場合 断紙などの操業性の問題を回避することが 来ず、生産性が低下するとともに、紙品質 低下が生じる場合があった。

 このような状況に鑑み、本発明は、フォ ミングロールによる初期脱水の直後に脱水 レードによる脱水機構を有したロールアン ブレードフォーマ形式のギャップフォーマ 抄紙機を用いて、中性抄紙法により印刷用 工原紙を抄造する場合において、特に、紙 填料率が高い印刷用塗工原紙を高速条件で 造する場合であっても、紙料中の微細パル 繊維や填料などの微細成分のワイヤ上での 留りを大幅に改善でき、かつ地合、層間強 が良好である印刷用塗工原紙の製造方法を 供することを目的とする。また、本発明は 耐ブリスター性などの印刷品質の良好な塗 紙の製造方法を提供することを目的とする

 また、本発明は、特に高速時の抄紙機の 紙工程におけるデポジットの発生といった 業性に関する問題を抑制しつつ、高い歩留 と均一な填料分布ならびに良好な地合を持 塗工原紙の製造方法を提供することも目的 する。また、本発明の課題は、塗工原紙を いてコータで塗工した場合、断紙などの操 性の問題が発生せず、品質の良好な塗工紙 製造方法を提供することにある。さらに、 発明の課題は、抄紙機の抄紙工程において ポジットなどの操業性に関する問題の発生 抑制し、高い歩留りと均一な填料分布なら に良好な地合を持つ紙を製造するための紙 の調成方法を提供することにもある。

 そして、本発明者らは、フォーミングロ ルによる初期脱水の直後に脱水ブレードに る脱水機構を有したロールアンドブレード ォーマ形式のギャップフォーマ型抄紙機を いて印刷用塗工原紙を抄造する場合に、歩 り改善、及び塗工原紙としての品質向上に いて鋭意研究した結果、歩留り向上剤とし 超高分子量のカチオン性ポリアクリルアミ 系物質の使用により、紙層中の微細繊維や 料の分布を均一なまま、良好な地合を維持 つつ、歩留まりが改善でき、層間強度が良 であることを見出し、本発明を完成するに った。本発明を実施することにより、紙の 合を良好に維持しながら、高い歩留りや層 強度を達成することができる。特に抄紙速 が速く、紙中填料率が高い印刷用塗工原紙 抄造に本発明を適用すると発明の効果が大 い。

 また、本発明者らは、紙力剤としてカチ ン化澱粉を使用し、歩留まり向上剤として チオン性ポリアクリルアミド系物質とアニ ン性の微粒子をその順に添加することによ 、濾水性や地合を良好に維持しつつ高い層 強度を付与し、紙料の歩留まりも改善でき ことを見出した。ここで、カチオン化澱粉 添加の順番は、特に限定されないが、歩留 向上剤の前に添加するのが好ましい。また この印刷用塗工原紙に顔料と接着剤を含有 る塗工層液を塗工する印刷用塗工紙の製造 法によれば、耐ブリスター性などの印刷品 の良好な塗工紙を得ることができる。特に 紙速度が高速で紙中填料率が高い印刷用塗 原紙の抄造に本発明を適用すると、発明の 果が大きい。また、この塗工原紙に顔料と 着剤を含有する塗工層液を塗工した印刷用 工紙の製造方法においても、塗工速度が速 、耐ブリスター性などの印刷品質の良好な 工紙を得ることができる。

 さらに、本発明者らは、遊離しているコ イド粒子や異物の粗粒化やデポジット化を ぎ、かつ、高い歩留りと均一な填料分布な びに良好な地合を得られる抄紙方法につい 鋭意研究した結果、抄紙機の調成工程にお て凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以 の製紙原料と、複数の原料を配合後の固形 濃度が1.5%以上の紙料とに多段添加すること によって上記課題を解決できることを見出し 、本発明を完成させた。本発明を実施するこ とにより、コロイド粒子や異物を微細な状態 で繊維に定着させ、さらに高いせん断力が負 荷された後も、再分散し難く、かつ、分散し た粒子を速やかに再定着させることができる 。また、本発明において、凝結剤添加後に歩 留り剤を添加すると歩留効果が十分に発揮さ れるため、高い歩留りと均一な填料分布なら びに良好な地合を達成でき、紙の地合を良好 に維持しながら、高い層間強度や紙料歩留ま りを得ることができる。

 本発明は、抄紙速度が特に高速である場 において、ギャップフォーマ型抄紙機また ツインワイヤー型抄紙機を使用する場合、 抄紙機にメタリングサイズプレスコータ、 ートローコータなどのフィルムトランスフ ロールコータを備えたオンマシンコータに 塗工する場合、更にフィルムトランスファ ールコータを備えたオンマシンコータに続 てオンラインのブレードコータなどで塗工 を塗工する場合などに、特に好適であり、 面の欠陥や断紙などのトラブルが少なく良 な品質の塗工原紙及び塗工紙を得ることが きる。

図1は、本発明における凝結剤の添加方 法の一態様を示す概略図である。

発明を実施するための形態

 本発明は、フォーミングロールによる初 脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構 有したロールアンドブレードフォーマ形式 ギャップフォーマ型抄紙機を用いて、中性 紙法により塗工原紙を製造する方法である

 従来の比較的高速な抄紙機に適用される ャップフォーマ型抄紙機を用いて高速条件 印刷用塗工原紙を抄造する場合、脱水が紙 の両側から行われるために紙面の表裏差は 好となるが、微細成分の紙表層部への局在 や歩留りの低下による操業の不安定化とい た問題がある。

 この問題を改良した紙層中の微細成分を 一化できるロールアンドブレードフォーマ 式のギャップフォーマ型抄紙機においても 微細繊維の歩留まりの低下が大きくなると 脱水のバランスが調整できないために紙層 の微細成分の局在化が起こり、表面性の表 差拡大といった問題を引き起こす。

 一般に、紙料の歩留まりは、抄紙機の抄 速度が高速、紙中填料率が高い、坪量が低 ほど低下する傾向にあるが、現在の紙の製 方法は、高速、高灰分、低坪量化する傾向 あり、印刷用塗工紙原紙も同様である。

 従って、本発明の印刷用塗工原紙の製造 法は、フォーミングロールによる初期脱水 直後に脱水ブレードによる脱水機構を有し ロールアンドブレードフォーマ形式のギャ プフォーマ型抄紙機を用いる製造方法であ 、好ましくは抄紙速度が高速の上記ロール ンドブレードフォーマ形式のギャップフォ マ型抄紙機を用いる製造方法であり、更に ましくは、紙中填料率が高く、印刷用塗工 紙を抄造する抄紙速度が高速の上記ロール ンドブレードフォーマ形式のギャップフォ マ型抄紙機を用いる製造方法である。

 本発明は、高速抄紙に適用するとその効 が大きく、好適である。本発明において高 とは1000m/分以上であり、好ましくは1200m/分 上、より好ましくは1300m/分以上である。本 明を適用して得られる効果が大きいことか 、本発明は、1500m/分以上での抄紙に特に適 、さらに1600m/分以上、また2500m/分程度での 紙に適する。

  カチオン性ポリアクリルアミド系 歩留り向上剤
 本発明は、極限粘度法による重量平均分子 が1000万以上、好ましくは1200万以上の直鎖 たは分岐型のカチオン性ポリアクリルアミ (PAM)系物質を歩留まり向上剤として紙料に添 加して抄紙する。本発明のカチオン性ポリア クリルアミド系歩留り向上剤の分子量は、150 0万以上であれば、後述するアニオン性微粒 を併用しなくても、地合、層間強度が優れ 塗工原紙を高い歩留りで製造することがで 、好適である。

 本発明の製造方法で使用するカチオン性 リアクリルアミド系物質の形態は、エマル ョン型でも溶液型であっても構わない。こ 具体的な組成としては、該物質中にアクリ アミドモノマーユニットを構造単位として むものであれば特に限定はないが、例えば アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩と アクリルアミドとの共重合物、あるいはアク リルアミドとアクリル酸エステルを共重合さ せた後、4級化したアンモニウム塩が挙げら る。該カチオン性ポリアクリルアミド系物 のカチオン電荷密度は特に限定はないが、 刷用塗工原紙の紙料には塗被液由来のアニ ン性物質が多く含まれるためにそのカチオ 要求量は極めて高いので、歩留りを高める 点からカチオン電荷密度は高いほうが良く 具体的には1.0 meq/g以上が好ましく、1.5 meq/g 以上がより好ましく、2.0 meq/g以上がさらに ましい。カチオン電荷密度が10.0 meq/gを超え る場合は系内電荷バランスが陽転する可能性 があるため不適である。

 抄紙機前処理工程では、パルプ原料と内 抄紙薬品をミキサーで混合した紙料に、フ ンポンプの前でフレッシュな填料が添加さ 、均一混合されるのが通常である。従って カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添 場所は、この填料添加後~抄紙機ストックイ ンレット前の間が好ましい。また、後述する アニオン性微粒子と併用する場合には、アニ オン性微粒子を後で添加することも踏まえて 、本発明のカチオン性ポリアクリルアミド歩 留まり向上剤の添加場所は、填料添加後~一 スクリーン前の間が好ましい。

 歩留剤として添加する該カチオン性ポリ クリルアミド系物質の添加量は、紙料の性 や抄紙速度に応じて適宜決定されるので一 には言えないが、通常は、紙料固形分重量 対して50~750ppmであり、50~600ppmが好ましく、1 00~600ppmがより好ましく、100~500ppmが更に好ま い。該カチオン性高分子物質の添加量が50ppm 未満であると、印刷用塗工原紙の地合は良好 であるが、微細成分の充分な歩留りが得られ ない。750ppmを超えて添加すると、微細成分の 歩留りは高くなるが、地合が悪化し、地合ム ラに起因する印刷ムラなどの印刷不良の問題 が発生する。

 1つの態様において、本発明は、フォーミ ングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレ ードによる脱水機構を有したロールアンドブ レードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄 紙機を用いて、中性抄紙法により塗工原紙を 抄造する方法であって、歩留まり向上剤とし て極限粘度法による重量平均分子量が1500万 上のカチオン性ポリアクリルアミド系物質 紙料に添加して抄紙することを特徴とする 刷用塗工原紙の製造方法である。

 また別の態様において、本発明は、抄紙 度が1300m/分以上である上記印刷用塗工原紙 製造方法である。

 さらに別の態様において、本発明は、印 用塗工原紙の紙中灰分が10%以上である上記 刷用塗工原紙の製造方法である。

 また他の態様において、本発明は、原料 ルプに20%以上の脱墨パルプ(DIP)が含まれる 記印刷用塗工原紙の製造方法である。

 さらに他の態様において、本発明は、ギ ップフォーマ型抄紙機のプレスパートにシ ープレスを用いることを特徴とする上記印 用塗工原紙の製造方法である。

 また別の観点からは、本発明は、上記方 により得られた印刷用塗工原紙に、顔料と 着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗 紙の製造方法である。

  カチオン化澱粉とアニオン性微粒 子の併用
 本発明においては、歩留まり向上剤として 上述のカチオン性ポリアクリルアミド系物 に加えて、少なくとの一種類以上のアニオ 性微粒子を併用し、さらに、紙力剤として チオン化澱粉を用いると、良好な歩留まり 地合が得られるため好適である。ここで、 発明において、カチオン性ポリアクリルア ド系歩留り向上剤とアニオン性微粒子歩留 向上剤とを併用する場合には、カチオン性 リアクリルアミド系物質を添加した後に、 ニオン性微粒子を添加することが好ましい

 したがって、1つの態様において、本発明 の印刷用塗工原紙の製造方法は、紙力剤とし てカチオン化澱粉を紙料に添加し、前記カチ オン性ポリアクリルアミド系物質の前記添加 後にアニオン性微粒子を添加することを含む 。

 本発明の製造方法においては、紙力向上 としてカチオン化澱粉を使用することが好 しい。カチオン化澱粉は、3級アミン系、4 アンモニウム系であっても構わない。該カ オン化澱粉の電荷密度は特には限定されな が、塗工液由来のアニオン性物質が多く含 れることが多く、そのカチオン要求量は極 て高いので、カチオン電荷密度が低いと良 な紙力向上効果が期待されない。具体的に 0.1 meq/g以上が好ましく、0.15 meq/g以上がよ 好ましい。

 紙力向上剤として添加する該カチオン化 粉の添加量は、求められる塗工紙の品質や 料の性状、抄造条件に応じて適宜決定され ので一概には言えないが、通常は、紙料固 分重量に対して0.1~3.0%であり、0.3~3.0%が好ま しく、0.3~2.0%がより好ましい。該カチオン化 粉の添加量が0.1%未満であると、印刷用塗工 原紙として十分な層間強度が得られない。3.0 %を超えて添加すると、層間強度は高くなる 、ワイヤ上での濾水性やプレスでの搾水性 悪化し、脱水不良や乾燥負荷の増大といっ 問題が発生する。

 本発明に使用する歩留まり向上剤のアニ ン性微粒子としては、ベントナイトやコロ ダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくは リ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミ ウム改質物などの無機系の微粒子と、アク ルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロ リマーといわれる粒径100μm以下の有機系の 粒子が挙げられ、一種以上のアニオン性微 子を使用できる。好ましい無機系の微粒子 しては、ベントナイトかコロイダルシリカ ある。有機系の微粒子としては、アクリル とアクリルアミドの共重合物が好ましい。 た、無機系の微粒子と有機系の微粒子を併 する場合においてもベントナイトもしくは ロイダルシリカが好ましく、この場合の有 系の微粒子としてもアクリル酸とアクリル ミドの共重合物が好ましい。

 アニオン性微粒子の添加位置は、上記カ オン性ポリアクリルアミド系物質の添加後 好ましく、上記カチオン性ポリアクリルア ド系物質の添加後~抄紙機ストックインレッ ト前の間がより好ましい。アニオン性微粒子 として、無機系の微粒子と有機系の微粒子を 併用する場合の添加位置は、同時添加、もし くは別添加でも構わないが、好ましくは、無 機系の微粒子を添加した後に、有機系の微粒 子を添加する方が良い。

 歩留まり剤として添加する該アニオン性 粒子の添加量も、カチオン性ポリアクリル ミド同様に紙料や抄紙条件に応じて適宜決 される。通常は、紙料固形分重量に対して3 00~3000ppmであり、400~2500ppmが好ましく、500~2000p pmが更に好ましい。この添加量は無機系の微 子と有機系の微粒子を併用する場合も同様 あり、その場合には無機系の微粒子と有機 の微粒子を合計した総添加量となる。この 、無機系の微粒子と有機系の微粒子の比率 20:1~2:1が好ましく、10:1~3:1が更に好ましい。 アニオン性微粒子の添加量が300ppm未満である と、内添紙力向上剤として添加したカチオン 化澱粉により低下した濾水性の改善効果が小 さく、3000ppmを超えて添加してもこれ以上の 善効果は期待されない。

 1つの態様において、本発明は、フォーミ ングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレ ードによる脱水機構を有したロールアンドブ レードフォーマ形式のギャップフォーマ型の 抄紙機を用いて中性抄紙法により印刷用塗工 原紙を抄造する方法であって、紙料に、紙力 剤としてカチオン化澱粉を使用し、歩留まり 向上剤としてカチオン性のポリアクリルアミ ド系物質を添加した後に、アニオン性の微粒 子を添加することを特徴とする印刷用塗工原 紙の製造方法である。

 また別の態様において、本発明は、抄紙 度が1300m/分以上である上記印刷用塗工原紙 製造方法である。

 さらに別の態様において、本発明は、前 カチオン性のポリアクリルアミド系物質の 限粘度法による重量平均分子量が1000万以上 である上記印刷用塗工原紙の製造方法である 。

 また他の態様において、本発明は、塗工 紙の紙中填料率が10固形分重量%以上である 記印刷用塗工紙の製造方法である。

 さらに他の態様において、本発明は、原 パルプに20重量%以上の脱墨パルプが含まれ 上記印刷用塗工原紙の製造方法である。

 また別の観点からは、本発明は、上記方 により得られた印刷用塗工原紙に、顔料と 着剤を含有する塗工液を塗工する印刷用塗 紙の製造方法である。

  凝結剤
 好ましい態様において、本発明の塗工原紙 製造方法においては、凝結剤を使用するこ ができ、凝結剤によって歩留りを高めるこ ができる。本発明において、例えば、本発 の効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、 リ塩化アルミニウムなどの無機凝結剤や、 リアミンやポリエチレンイミン、ポリビニ アミン、ポリDADMAC(ジアリルジメチルアンモ ニウムクロリドホモポリマー)、ポリDADMACと クリルアミドの共重合物などの有機凝結剤 添加しても良い。

 本発明の好ましい態様において、凝結剤 多段添加することができ、凝結剤を、少な とも、配合前の一種以上の製紙原料と、該 紙原料を配合した後の固形分濃度1.5%以上の 紙料とに添加することが好ましい。

 ここで、本発明においては、配合前の各 原料を製紙原料または原料と呼び、配合前 各種パルプは原料の1種である。また、各種 原料を配合した後の混合物の総称を、紙料と 呼ぶ。したがって、本発明における紙料は、 パルプに加え填料や薬品等を含んでよい。さ らに、本発明においては、種箱以降に白水ま たは用水が配合され固形分濃度が1.5%未満と った紙料混合物を、インレット原料と呼ぶ とがある。なお、本発明においては、配合 の製紙原料を原料系、各種原料を配合した 合物を紙料系と呼ぶことがある。

 本発明においては、凝結剤が、少なくと 、各種原料(原料系)と原料配合後の紙料(紙 系)とに添加され、原料配合後の紙料の固形 分濃度は1.5%以上である。このように凝結剤 添加することによって、コロイド粒子を微 な状態で繊維に定着させ、経時にて生じる ロイド粒子の脱着を防ぐことができる。な 、本発明においては凝結剤が多段添加され が、添加回数に特に制限はない。

 本発明において添加する凝結剤の種類に 特に制限はないが、電荷中和という点から 電荷密度が3.0 meq./g以上で重量平均分子量 30万以上の凝結剤を使用することが好ましく 、特にアクリルアミドとジアリルジメチルア ンモニウム塩からなる共重合ポリマーやポリ ビニルアミン誘導体を使用することが好まし い。同一の凝結剤を分割して用いても良いが 、各原料に添加する凝結剤の種類を変えても 良いし、2種以上の凝結剤を同一原料に添加 ても良い。経済性および作業性という点で 、同一の凝結剤を用いることが好ましく、 り効果を高めるためには、コートブローク DIPに添加する場合は、重量平均分子量が100 以上の凝結剤を添加することが好ましく、 械パルプに添加する場合には電荷密度が5.0  meq./g以上であることが好ましい。同様に配合 後の紙料への凝結剤の添加についても、複数 の場所に同一の凝結剤を分割して添加しても 良く、2種類以上の凝結剤を複数の場所また 同一の場所に添加しても良い。原料と紙料 それぞれ添加される凝結剤についても、同 の凝結剤を分割することもできるが、2種類 上の凝結剤を別個または混合して添加して 良い。

 本発明の凝結剤としては、ポリエチレン ミンおよび第三級および/または四級アンモ ニウム基を含む改質ポリエチレンイミン、ポ リアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリ マー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒ リン重合体、並びにジアルキルジアリル第 級アンモニウムモノマー、ジアルキルアミ アルキルアクリレート、ジアルキルアミノ ルキルメタクリレート、ジアルキルアミノ ルキルアクリルアミドおよびジアルキルア ノアルキルメタクリルアミドとアクリルア ドの重合体、モノアミン類とエピハロヒド ンからなる重合体、ポリビニルアミンおよ ビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混 物などのカチオン性のポリマーに加え、前 ポリマーの分子内にカルボキシル基やスル ン基などのアニオン基を共重合したカチオ リッチな両イオン性ポリマー、カチオン性 リマーとアニオン性または両イオン性ポリ ーとの混合物などが挙げられる。

 一般に、凝結剤は、ホワイトピッチや粘 異物、ナチュラルピッチ等を始めとするア オン性コロイド粒子の表面電荷を中和し、 ニオン性コロイド粒子を出来るだけ小さい 態で緩やかに繊維に定着させ、いわゆるソ トフロックを形成させて異物トラブルを軽 させると考えられている。凝結剤と対照的 内添薬品として、歩留り剤や濾水向上剤と ばれるカチオン性ポリマーが知られている 、歩留り剤は、コロイド粒子などを凝集さ て粗大粒子とし、これを繊維に強固に結び けた凝集塊(ハードフロックと呼ばれる)を 成させるとされている。

 凝結剤の効果は、カチオン要求量および 度を指標として評価することができる。カ オン要求量とは、アニオン性コロイド粒子 中和するために必要なカチオン電荷の量を 味し、これによって、ホワイトピッチや粘 異物、ナチュラルピッチ等を始めとするア オン性コロイド粒子の中和の程度を評価す ことができる。また、粒子の量は、濁度と て評価することができる。すなわち、凝結 が、アニオン性コロイド粒子の電荷を中和 、効率良く繊維に定着させているかどうか 、カチオン要求量および濁度の低減率(カッ ト率)を基に評価することができる。

 本発明において、凝結剤は、少なくとも 配合前の製紙原料の一種以上に添加される 製紙原料としては、パルプ、填料、薬品な がある。パルプとしては、針葉樹または広 樹クラフトパルプ(NKPまたはLKP)、新聞古紙 雑誌古紙、チラシ古紙などの選別または無 別古紙、トナー印刷物などを含むオフィス 古紙、ノーカーボン・感熱紙などを含む情 記録用紙の回収紙などを単独あるいは混合 て離解、除塵、脱墨、洗浄又は脱水を経た ルプ(本発明では脱墨パルプ:DIPと呼ぶ)、針 樹または広葉樹の砕木パルプ(GP)、リファイ ー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパル (TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケ ミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ( SCP)等の機械パルプ、塗工紙や塗工原紙、そ 他の紙を含む損紙を離解してなるコートブ ーク、および、これらの2種以上の混合物が げられるが、これらに限定されるものでは い。各原料の完成直前に凝結剤を添加しタ クまたはチェストにて攪拌保持することが ましいが、原料が配合チェストへ送られる 送過程の配管やポンプの入口または出口な 他の原料と接触する前であれば、配合チェ ト直前に添加されても良い。

 また、本発明において、凝結剤は、少な とも、複数の原料を配合した後の紙料であ て固形分濃度が1.5%以上である紙料に添加さ れる。添加する紙料の固形分濃度は、より好 ましくは1.8%以上、さらに好ましくは2.0%以上 あり、4.0%以下が好ましい。この紙料は各種 パルプおよび填料および内添薬品を含みうる 。

 凝結剤の紙料系への添加場所は、具体的 は、配合チェスト以降から、種箱後に白水 たは用水により紙料が希釈される前までに 加することができる。凝結剤は、紙料に対 て、チェストやポンプの入口または出口な に添加することができ、これらチェストや ンプが複数存在する場合は、複数の場所に 加することができる。

 図1に、本発明における凝結剤の添加方法 の一態様を示す。図1において、1~4は、それ れ、広葉樹または針葉樹クラフトパルプ、 墨パルプ、機械パルプ、コートブロークの 成パルプを貯留するタンクまたはチェスト ある。各種原料はポンプで流送され、配合 ェストにて填料、薬品などと混合される。 合された紙料は、チェストおよび種箱なら にスクリーンやクリーナーなど必要とされ 設備を経て、抄紙機インレットに供給され 。本発明の製造方法においては、インレッ 中の紙料がワイヤー上に噴射され、湿紙が 成され、乾燥工程を経て塗工原紙が製造さ る。

 したがって、本発明において、製紙原料 の凝結剤の添加は、製紙原料を貯留するタ クやチェストあるいはそれにつながる配管 どにおいて行うことができる。また、紙料 対する凝結剤の添加は、配合チェスト、配 チェストより下流の各種チェスト、種箱、 よびそれにつながる配管などにおいて行う とができる。

 凝結剤の添加量としては、凝結剤に含ま る水を除いた有効成分添加量として、対象 するスラリーの固形分に対する添加量の合 が50~3000ppmであることが望ましい。50ppmより ない添加量では、原料と紙料に分割添加す 際の個々の添加量が少なすぎて、十分な定 効果を得ることができない。一方、3000ppmよ り多い添加量では、コスト的に不利になる。 また、単一の添加場所においては、過剰なカ チオンによる過凝集を避けるため、2000ppm以 で添加することが好ましい。

 原料に添加する際の凝結剤添加量は、50~1 500ppmであることが好ましく、より好ましくは 100~1000ppmである。紙料に添加する際の凝結剤 加量は、100ppm~1000ppmであることが好ましく より好ましくは200ppm~800ppmである。

 凝結剤を添加する原料の濃度としては、2 .5%以上5%未満であることがより好ましい。原 の濃度が2.5%未満である場合は、使用される 白水中に含まれるコロイド物質の中和に凝結 剤が多量に消費されてしまい、原料に含まれ るコロイド物質を微細な状態で効率的に繊維 に定着させることが難しくなり、また、その 後の配合紙料の濃度が低くなり、濃度調整幅 が小さくなるため操業が不安定になる。一方 、原料濃度が5%以上である場合、凝結剤と原 の混合が不十分となり、また、局所的に凝 剤が作用することで過度の凝集による異物 粗大化が生じ易くなる。

 一方、凝結剤を添加する紙料の濃度とし は1.5%以上4%未満であることが好ましく、1.8% 以上であることがより好ましく、2%以上であ ことがさらに好ましい。1.5%未満である場合 は、特にインレット周りで循環している白水 の割合が多くなり、この中に含まれている既 に粗大化した大きな異物を繊維に定着してし まうため、結果として紙面の欠陥や断紙など のトラブルを増加させる。4%以上である場合 原料添加と同様に混合が不十分となり、効 を十分に発揮できない。

 本発明は、特に原料としてDIPに凝結剤を 加し、配合後の紙料に凝結剤を添加するこ で、微細粘着異物由来の異物による断紙や 面欠陥を低減することができ、この効果は 料としてのDIP配合率が10%以上である場合に に顕著となる。

 また、本発明を用いることで、特に機械 ルプを配合した塗工原紙の生産を安定に実 することができる。機械パルプにはアニオ トラッシュの代表的物質である樹脂酸や脂 酸などの有機酸が含まれている。これらの 機酸とDIPやコートブローク中のカルシウム オン、内添填料である炭酸カルシウムなど 反応し、有機酸カルシウム塩を形成すると 粘潮性が高くなるためデポジット問題を引 起す。したがって、機械パルプに凝結剤を 加し、これらの有機酸をブロックした上で 上記原料と配合し、再度、凝結剤で定着さ ることによってデポジット問題を軽減し、 紙などの発生を低減することができる。DIP KPに比べとして測定される機械パルプのア オントラッシュ含有量は、指標として測定 れるカチオン要求量でDIPやKPの5~20倍であり 本発明の効果は、紙料としての機械パルプ 合率が5%以上である場合に特に顕著となる。

 さらに、本発明は、コートブロークを製 原料として用いる抄紙方法に好適に適用す ことができる。塗工原紙を製造する際に生 る損紙を再離解したコートブロークには、 テックスなどの疎水性の微粒子が含まれて ることから、特にコートブロークに対して 発明を適用することにより、良好な操業性 得ることができる。好ましいコートブロー の配合率としては、紙料に占める割合が1% 上50%未満であることが好ましく、特に40%未 であることが好ましい。また、ブローク配 率をできるだけ一定とすることで、効果を 定して得ることができる。

 塗工紙を得る好ましい方法としては、オ マシンコータを備えたギャップフォーマ型 紙機を用いる製造方法があり、あるいは、 ンマシンコータを備えたギャップフォーマ 抄紙機を用いて、さらにブレードコータな を用いて塗工する製造方法があり、特に抄 および塗工速度が高速の場合に好適に用い 製造方法がである。また、本発明は、オン シンコータを備えたギャップフォーマ型抄 機を用いて抄紙から塗工工程をオンライン 連続して生産する場合、更に仕上げ工程も ンラインで生産する場合、より効果を発揮 るものである。

 さらに、本発明では、配合後の紙料に対 てカチオン性多価金属塩を添加した後に凝 剤を添加することができる。この態様によ と、各種原料から流入するアニオントラッ ュを効果的に中和し、脱着したコロイド物 の再定着を促進するための凝結剤の効果を 幅することができる。カチオン性多価金属 としては、硫酸バンド(硫酸アルミニウム) 塩化アルミニウム、PAC(ポリ塩化アルミニウ )、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などが挙げ られる。これら金属塩の添加率に特に制限は 無いが、紙料の固形分に対して純分で3%以下 することが好ましく、2%以下とすることが に好ましい。3%より高くなる場合は、pHの変 が大きくなりやすく操業が不安定になるた 不適である。

 本発明において歩留り剤を使用する場合 これに限定されるものではないが、凝結剤 添加した後に、高分子ポリマーからなる歩 り剤を添加することが好ましい。凝結剤添 後に歩留り剤を添加すると、歩留効果が十 に発揮され、良好な地合と填料分布を持つ が得られるためである。高分子ポリマーか なる歩留り剤は、カチオン性ポリアクリル ミド系物質や、同物質に加えて、少なくと 一種以上のカチオン性の凝結剤を併用する わゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留り ステムでもよく、少なくとも一種類以上の ニオン性のベントナイトやコロイダルシリ 、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩 クロゲルおよびこれらのアルミニウム改質 などの無機微粒子やアクリルアミドが架橋 合したいわゆるマイクロポリマーといわれ 粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上 用する歩留りシステムであってもよい。特 単独または組合せで使用するカチオン性ポ アクリルアミド系物質が、極限粘度法によ 重量平均分子量が1000万以上、好ましくは120 0万以上の直鎖または分岐型である場合、良 な歩留りを得ることができ、さらに、1500万 上3000万未満の上記アクリルアミド系物質で ある場合に非常に高い歩留りを得ることが出 来る。

 本発明は、これに限定されるものではない 、以下の発明を包含する。
(1) 凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以 の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の 形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを 特徴とする塗工原紙の製造方法。
(2) 前記固形分濃度1.5%以上の紙料への凝結剤 の添加が、一種以上の製紙原料を配合した後 から種箱以降の白水または用水で希釈される 前までに行われることを特徴とする(1)に記載 の塗工原紙の製造方法。
(3) 抄紙ワイヤーの速度が1200m/分以上の抄紙 を用いて、凝結剤の総有効成分添加量が、 料固形分に対して50~3000ppmであることを特徴 とする(1)または(2)に記載の塗工原紙の製造方 法。
(4) フォーミングロールによる初期脱水の直 に脱水ブレードによる脱水機構を有したロ ルアンドブレードフォーマ形式のギャップ ォーマ形式の抄紙機を用いて、中性抄紙法 より抄紙することを特徴とする(1)~(3)のいず れかに記載の塗工原紙の製造方法。
(5) オンマシンコータを備えた抄紙機を用い 、凝結剤の一部が、配合前のコートブロー 原料に添加されることを特徴とする(1)~(4)の いずれかに記載の塗工原紙の製造方法。
(6) 配合される紙料中に10%以上の脱墨パルプ 含まれることを特徴とする(1)~(5)のいずれか 記載の塗工原紙の製造方法。
(7) 凝結剤を、少なくとも、コートブローク 料と、該コートブローク原料を含む一種以 の製紙原料を配合した後にカチオン性多価 属塩を添加した紙料とに添加することを特 とする(1)~(6)のいずれかに記載の塗工原紙の 製造方法。
(8) オンマシンコータを備えた抄紙機を用い 、塗工原紙を得た後、顔料と接着剤を含有 る塗工液をブレードコータにより塗工する とを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の塗 工紙の製造方法。
(9) 凝結剤を、少なくとも、配合前の一種以 の製紙原料と、該製紙原料を配合した後の 形分濃度1.5%以上の紙料とに添加することを 特徴とする紙料の調成方法。

  製紙原料
 本発明で製造される印刷用塗工原紙のパル 原料としては、特に限定されるものではな 、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP)、広葉樹 ラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(N KP)など、印刷用紙の抄紙原料として一般的に 使用されているものであればよく、適宜、こ れらの1種類または2種類以上を配合して使用 れる。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP) 、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカ カルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパ プ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミ カルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パル としては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞 、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが 合している無選別古紙を原料とする脱墨パ プであれば良く、特に限定はない。本発明 おいては、脱墨パルプが対パルプ20重量%以 、あるいは30重量%以上、更には50重量%以上 合しても、地合、歩留まり、層間強度を向 する効果を発揮することができる。

 本発明で使用される填料は公知のものを 意に使用でき、一般に無機填料および有機 料と呼ばれる粒子、または、その混合物を 用することができる。具体的には、無機填 として、例えば、重質炭酸カルシウム、軽 炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭 カルシウム-シリカ複合物、カオリン、焼成 カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウ ム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化ア ルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグ ネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、タルク、 ステアリン酸亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナト リウムの鉱産による中和で製造される非晶質 シリカ、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造さ れるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸 ルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合 体など)、二酸化チタン、白土、ベントナイ 、珪藻土、硫酸カルシウム、脱墨工程から られる灰分を再生して利用する無機填料、 よび、再生する過程でシリカや炭酸カルシ ムと複合体を形成した無機填料などが挙げ れる。なお、炭酸カルシウム-シリカ複合物 しては、特開2003-212539号公報や特開2005-219945 号公報に記載の複合物を例示できる。炭酸カ ルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム- リカ複合物以外に、ホワイトカーボンのよ な非晶質シリカを併用しても良い。この中 も、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表 な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カ シウム-シリカ複合物が好ましく使用される 。有機填料としては、メラミン系樹脂、尿素 -ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェ ール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド 合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフ ブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デン プン、未糊化デンプンなどが挙げられる。こ れらは単独でも2種類以上の組合せでも構わ い。

 本発明で製造される印刷用塗工原紙の紙 填料率は1~40固形分重量%が好ましく、5~35固 分重量%がさらに好ましい。抄紙においては 紙中填料率が高いほど歩留りは低下する。従 って、紙中填料率が高い印刷用塗工原紙の製 造に本発明を適用したほうが本発明の効果が 大きい。この観点から、紙中填料率は10~40固 分重量%が好ましく、12~35固形分重量%が更に 好ましい。

  中性抄紙
 本発明の中性抄紙は、好ましくは、pH6.0~9.0 より好ましくは7.0~8.5で行われる。本発明は 中性抄紙であることから、特に填料として炭 酸カルシウムを内添することが好ましい。炭 酸カルシウムにより、低コストでありながら 、高白色度、高不透明度の塗工原紙を得るこ とができる。

  内添薬品
 内添薬品としては、乾燥紙力向上剤、湿潤 力向上剤、濾水性向上剤、染料、サイズ剤 どの薬品を必要に応じて使用しても良い。 燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上 としてはポリアミドアミンエピクロロヒド ンなどが挙げられる。また、カチオン性や イオン性、アニオン性の変性澱粉なども使 できる。サイズ剤としては、ロジンエマル ョン、スチレン/アクリル共重合体、アルキ ルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸 、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。そ の他にも、濾水性向上剤、着色剤、染料、蛍 光染料などの従来から使用されている内添薬 品、さらに紙を嵩高化(低密度化)するための 用嵩高剤などを使用することができる。こ らの薬品は地合や操業性などの影響の無い 囲で添加される。

 紙用嵩高剤を具体的に化合物で例示する 、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコー 系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性 、多価アルコール型非イオン界面活性剤、 価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、 級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオ シアルキレン付加物、高級脂肪酸エステル ポリオキシアルキレン付加物、多価アルコ ルと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシ ルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミン 脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド ミンなどが挙げられ、特に限定は無い。嵩 剤の使用により紙力が低下する傾向がある め、嵩高剤を含む紙料に本発明を適用する 紙力維持の観点から好適である。

  抄紙機
 本発明の製造方法におけるフォーミングパ トはロールアンドブレード形式のギャップ ォーマであり、最初の脱水はバキュームを したフォーミングロールのラップエリアで われ、その直後に加圧ブレードモジュール よるブレード脱水が行われる。この機構よ 従来のフォーマよりも緩慢な脱水が可能と るため、均一な紙層構造や地合を有した紙 得られる。この時に使用されるフォーミン ロールはその径が小さいと十分な抱き角度 得ることができず脱水の調整が不十分とな ため1500 mm以上が望ましい。フォーミング ールやブレードによる脱水機構に加えて、 の後段にサクションユニットやハイバキュ ムサクションボックスなどの脱水装置を適 用いることでドライネスの調整を行うこと できる。ブレード圧等の脱水条件としては に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定 きる。

 本発明の製造方法におけるプレスパート 、シュープレスを用いることが好ましく、 紙速度が高速の場合、より好ましくは2段以 上で処理することによりプレス後のドライネ スを向上できることから、層間強度や裂断長 などの強度が向上する。本発明のシュープレ スはニップ幅が概ね150~250mmの範囲にあってよ く、回転駆動するプレスロールと油圧で押し 上げる加圧シューの間を通紙させるもので、 フェルトと加圧シューの間にスリーブを走行 させるタイプであってよい。プレス圧はプレ ス出口水分や表裏差を加味して適宜調整でき 、好ましくは400~1200kN/mであり、更に好ましく は1000~1200kN/mである。

 抄紙機プレドライヤー、アフタードライ ーも公用の装置を用いることができ、乾燥 件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適 設定できる。

 本発明においては、本発明の塗工原紙の 面処理として、必要に応じてデンプンを主 とするクリアー塗工液を塗工することで、 紙の表面性改善に加えて、接着剤の浸透に る層間強度を向上することができる。この に使用する塗被装置としては、ロッドメタ ングサイズプレスコータ、ブレードメタリ グサイズプレスコータ、ゲートロールコー 、2ロールサイズプレスが使用できるが、特 に高速時における層間強度向上の点からロッ ドメタリングサイズプレスコータを使用する ことが好ましい。

 クリアー塗工液の主成分として使用するデ プンとしては、生澱粉や、酸化澱粉、エス ル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉 アルデヒド化澱粉、エーテル化澱粉(湿式低 分子化ヒドロキシエチル化澱粉、乾式低分子 化ヒドロキシエチル化澱粉等)などの変性澱 が使用され、塗工量は、原紙片面当たり0.5~3 .0g/m 2 が好ましい。クリアー塗工液の澱粉の含有量 は、固形分で50重量%以上が好ましく、より好 ましくは80重量%である。

  塗工原紙
 本発明の製造方法により抄造される印刷用 工原紙の地合は、光透過光変動法による地 指数で、12.0以下であることが好ましく、10. 5以下がより好ましく、7.0以下が特に好まし 。なお、地合指数は値が小さいほど、紙の 合が良好である。また、地合指数で0.5の差 、肉眼でも地合の差として認識できるもの ある。

 印刷用塗工原紙の坪量についても限定はな が、通常20~80g/m 2 であり、好ましくは25~60g/m 2 であり、より好ましくは25~50g/m 2 で、より効果を発揮するものである。

  塗工紙
 本発明は、上述のようにして得た塗工原紙 用いて塗工紙を製造する方法にも関する。1 つの態様においては、本発明は、本発明によ り得られた塗工原紙に塗工液を塗工すること を含む、印刷用塗工紙の製造方法である。

 本発明による塗工紙を得る好ましい方法 一つとしては、オンマシンコータを備えた ャップフォーマ型抄紙機を用いる製造方法 あり、より好ましくは抄紙速度が高速のオ マシンコータを備えたギャップフォーマ型 紙機を用いる製造方法であり、さらに好ま くは、紙中填料率が高く、印刷用塗工紙を 造する抄紙速度が高速のオンマシンコータ 備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いる 造方法である。というのも、本発明によれ 、コートブロークなどを製紙原料としても 業性の低下を招かないため、本発明は、オ マシンコーターを備える抄紙機への適用に 適である。

 また、顔料と接着剤を主成分とする下塗 顔料塗工液に使用する顔料については、重 炭酸カルシウムが主に使用されるが、要求 質に応じて軽質炭酸カルシウム、カオリン クレー、タルク、サチンホワイト、プラス ックピグメント、二酸化チタン等を併用す 。また、顔料塗工液に使用する接着剤とし は、スチレン・ブタジエン系、スチレン・ クリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各 共重合体エマルジョン及びポリビニルアル ール、無水マレイン酸共重合体等の合成系 着剤、酸化デンプン、エステル化デンプン 酵素変性デンプン、エーテル化デンプンや れらをフラッシュドライして得られる冷水 溶性デンプン等を用いる。本発明の顔料塗 液には分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、 水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合される 種助剤を使用しても良い。

 下塗り顔料塗工液の塗工量は、原紙の片面 たり固形分で0.7~10.0g/m 2 の範囲で塗工するのが好ましく、より好まし くは1.0~5.0g/m 2 、2~5g/m 2 の範囲で塗工するのが最も好ましい。0.7g/m 2 より少ない量の塗被は装置上の限界から困難 であり、塗工液濃度を下げた場合には、塗工 液の原紙内部への浸透が大きくなり表面性が 低下しやすい。10g/m 2 より多い量を塗工する場合は、塗被液濃度を 高くする必要があり、装置上塗被量のコント ロールがしにくい。下塗り塗工後乾燥された 塗被紙は、上塗り顔料塗工液の塗布前にソフ トカレンダー等によるプレカレンダ処理を施 しても良い。

 本発明において、上塗り顔料塗工液の顔料 接着剤組成、配合量、塗被量等は特に限定 れず、一般に使用される顔料、接着剤で良 。塗工液濃度は55~70%が好ましく、塗被量は 常片面当たり固形分で6~20g/m 2 が好ましく、6~14g/m 2 がより好ましい。上塗り塗被装置は、特に限 定されないが、通常ファウンテンブレード、 あるいはロールアプリケーションブレードが 用いられ、オフのコーターでもオンマシンコ ータでも構わない。

 上塗り顔料塗工液を塗工後乾燥された塗 紙は、通常のごとくスーパーカレンダー、 フトカレンダー等の仕上げ工程により光沢 けがなされる。カレンダー装置の種類と処 条件は特に限定はなく、金属ロールから成 通常のカレンダーやソフトニップカレンダ 、高温ソフトニップカレンダーなどの公用 装置を適宜選定し、印刷用紙の品質目標値 応じて、これらの装置の制御可能な範囲内 条件を設定すれば良い。

 本発明の塗工紙を得る好ましい方法とし は、オンマシンコータを備えたギャップフ ーマ型抄紙機を用いる製造方法があり、あ いは、オンマシンコータを備えたギャップ ォーマ型抄紙機を用いて、さらにブレード ータなどを用いて塗工する製造方法があり 特に抄紙および塗工速度が高速の場合に好 に用いる製造方法である。また、本発明は オンマシンコータを備えたギャップフォー 型抄紙機を用いて抄紙から塗工工程をオン インで連続して生産する場合、更に仕上げ 程もオンラインで生産する場合、より効果 発揮するものである。

 また、本発明の製造方法により得られる印 用塗工紙は、耐ブリスター性などの印刷品 に優れるものである。塗工紙の坪量につい も限定はないが、通常30~120g/m 2 であり、好ましくは35~100g/m 2 であり、より好ましくは40~80g/m 2 で、より効果を発揮するものである。また、 本発明は、オンマシンコータを備えたギャッ プフォーマ型抄紙機を用いて抄紙から塗工工 程をオンラインで連続して生産する場合によ り効果を発揮するものである。

 また、本発明で製造される印刷用塗工原 を用いて製造された塗工紙は、オフセット 刷用、グラビア印刷用などの各種印刷用途 どに好適に使用できる。

  紙料の調成
 また、別の観点からは、本発明は、紙料の 成方法である。すなわち、本発明は、凝結 を、少なくとも、配合前の一種以上の製紙 料と、該製紙原料を配合した後の固形分濃 1.5%以上の紙料とに添加することを特徴とす る、紙料の調成方法。本発明によって調成し た紙料は、特に、塗工原紙及び塗工紙の製造 に好適に使用できる。

 以下、本発明を、実施例を挙げて説明す が、当然のことながら、本発明はこれらに 定されるものではない。なお、例中、部お び%は、特に断らない限り、それぞれ重量部 及び重量%を示す。

 以下の実験例に用いた測定項目の測定方 を次に示す。

 <測定方法>
 (1)歩留りの測定方法
 ストックインレット原料とワイヤを抜け落 た白水(ワイヤ下白水と記述する)について それぞれ固形分濃度と灰分濃度を測定した 灰分は、ストックインレット原料とワイヤ 水について、その固形分を525℃で灰化して 定した。

 下記式(1)により紙料歩留りを、下記式(2) より灰分歩留りを測定した。

 ・紙料歩留り=100×(A-B)/A   計算式(1)
   A:ストックインレット原料の固形分濃度( g/l)
   B:ワイヤ白水の固形分濃度(g/l)
 ・灰分歩留り=100×(C-D)/C   計算式(2)
   C:ストックインレット原料の灰分濃度(g/l )
   D:ワイヤ白水の灰分濃度(g/l)
 (2)紙の地合の測定方法
 紙の地合は野村商事(株)製の地合計FMT-III(光 透過光変動法)により評価した。なお、測定 が小さい程、地合は良好であることを示す

 (3)紙の層間強度の測定方法
 L&W ZD Tensile Tester SE 155(Lorentzen&Wettre 社製)で、層間強度を測定した。

 (4)紙の表面粗さの測定方法
 JIS P8151に準じて、MESSMER製のパーカープリ ト・サーフ試験機により表面粗さを測定し 。なお、測定値が小さい程、表面粗さが小 い(平滑である)ことを示す。

 (5)印刷評価
 オフセット輪転印刷機(4色、東芝製 B2T600) て、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製造社  レオエコー SOY  M)を用いて印刷速度500rpm 、乾燥時の紙面温度120℃で印刷した。得られ た印刷物の墨単色50%網点部について印刷再現 性を以下の基準で目視評価した(○:良好、△: やや劣る、×:劣る)。更に、4色ベタ部につい ブリスターの発生の有無を確認した(○:ブ スター発生なし、△:ブリスターの発生ほと どなし。×:ブリスター発生)。

  実験1
  <印刷用塗工原紙の抄造>
 (1)抄紙機:ロールアンドブレードフォーマ形 式のギャップフォーマ型抄紙機、もしくはブ レードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄 紙機。

 (2)パルプ原料配合:広葉樹クラフトパルプ( 水度CSF=350ml)50%、針葉樹クラフトパルプ(濾水 度CSF=600ml)20%、脱墨パルプ(濾水度CSF=240ml)30%
 (3)紙中填料率(紙中灰分):ロゼッタ型軽質炭 カルシウム(平均粒子径2.5μm)を使用し、目 の紙中灰分となるように添加量を適宜調整 た。

 [実施例1]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用合 紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光 PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当た 0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子 が2,000万のカチオン性ポリアクリルアミド 歩留まり剤(ソマール株式会社製リアライザ R300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を紙料固形 重量当たり300ppm添加し、タンデムシュープ スを2基有し、フォーミングロール径が1600mm あるロールアンドブレードフォーマ形式の ャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1 ,600m/分で坪量44g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を作成した。

 [実施例2]
 実施例1の歩留まり剤の添加率を200ppmとした 以外は、実施例1と同様に印刷用塗工原紙を た。

 [実施例3]
 実施例2の歩留まり剤を極限年度法による重 量平均分子量が1,500万のカチオン性ポリアク ルアミド系歩留まり剤(栗田工業株式会社製 ハイホールダーH722)に変えた以外は、実施例2 と同様に印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例1]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用合 紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光 PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当た 0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子 が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系 留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオ ン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり30 0ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmで るロールアンドブレードフォーマ形式のギ ップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,60 0m/分で坪量44g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例2]
 比較例1の歩留まり剤の添加率を500ppmとした 以外は、比較例1と同様に印刷用塗工原紙を た。

 [比較例3]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用合 紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光 PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当た 0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子 が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系 留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオ ン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり30 0ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmで るロールアンドブレードフォーマ形式のギ ップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,60 0m/分で坪量44g/m 2 、紙中灰分5%の印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例4]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用合 紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光 PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当た 0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子 が900万のカチオン性ポリアクリルアミド系 留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、カチオ ン電荷密度1.80meq/g)を紙料固形分重量当たり30 0ppm添加し、フォーミングロール径が1,600mmで るロールアンドブレードフォーマ形式のギ ップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,00 0m/分で坪量44g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例5]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用合 紙力増強剤の両性ポリアクリルアミド(星光 PMC株式会社製、DS4340)を紙料固形分重量当た 0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分子 が2,000万のカチオン性ポリアクリルアミド 歩留まり剤(ソマール株式会社製、リアライ ーR300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を紙料固 分重量当たり300ppm添加し、ブレードフォー 形式のギャップフォーマ型抄紙機を用いて 紙速度1,400m/分で坪量44g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。

 表1に結果を示す。実施例のカチオンPAM系 歩留まり向上剤を用いると、比較例の歩留り 向上剤を用いた場合よりも、紙料歩留りと灰 分歩留りが優れており、地合も良好であった 。また、本発明の実施品は、微細成分の歩留 まりが高いことから層間強度が向上している 。

 一方、カチオンPAM系歩留まり向上剤の分 量が小さいと、紙料歩留りと灰分歩留りが すぎるために、紙中の微細成分の歩留まり 低いことから紙力増強剤の効果が低減し、 間強度が低下している(比較例1~4)。さらに 長期連続操業した場合には歩留が低いこと ら白水系に汚れが蓄積し、紙面欠陥などの ラブルが多くなるため、効率良い操業はも 難であった。さらにまた、比較例1において 、微細成分の歩留まりが著しく低下し、表 差が大きくなっている。

 また、比較例5ではブレードフォーマ形式 のギャップフォーマ型抄紙機を用いているが 、脱水能力が低いために、抄速は1400m/分に留 まっている。また、紙力剤を添加しているに も関わらず、層間強度が低くなっているが、 これは紙層中の灰分が局在化しているためと 考えられる。

  <印刷用塗工紙の製造>
 (1)下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(白 カルシウム(株)、ハイドロカーボ90)100部に対 して、分散剤(東亜合成(株)、アロンT-40)を0.3 添加し、カウレス分散機を用いて水に分散 た後、接着剤としてリン酸エステル化デン ン15部、スチレン・ブタジエン系ラテック 3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗 液を調製した。

 (2)上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウ ムを70部、カオリン30部に対して、ポリアク ル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレ 分散機を用いて水に分散し、接着剤として ン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブ ジエン系共重合ラテックスを10部配合し、 形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した

 [実施例4]
 実施例1で作成した印刷用塗工原紙にロッド メタリングサイズプレスコータを用いて下塗 り用塗工液を片面あたり3g/m 2 両面塗工し、更にブレードコータを用いて上 塗り用塗工液を片面あたり8g/m 2 両面塗工した。表面処理として、金属ロール 表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニッ 数4ニップの条件で高温ソフトニップカレン ダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。本実 施例においては、オンマシンコータを備えた ギャップフォーマ型抄紙機を用いて、抄紙か ら塗工工程をオンラインで連続して生産した 。

 [実施例5]
 実施例3で作成した印刷用塗工原紙を用いた 以外は実施例4と同様にして印刷用塗工紙を た。

 [比較例6]
 比較例1で作成した印刷用塗工原紙にロッド メタリングサイズプレスコータを用いて下塗 り用塗工液を片面あたり3g/m 2 両面塗布し、更にブレードコータを用いて上 塗り用塗工液を片面あたり8g/m 2 両面塗布した。表面処理として、金属ロール 表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニッ 数4ニップの条件で高温ソフトニップカレン ダー処理を行い、印刷用塗工紙を作成した。

 表2に実験結果を示す。いずれのサンプル も、下塗り顔料塗工液を塗布したため原紙と 比較して層間強度が向上したものの、比較例 6は、印刷結果においてブリスターが発生し 。原紙の強度が低いことに起因するものと えられる。

 本発明を実施することにより、フォーミ グロールによる初期脱水の直後に脱水ブレ ドによる脱水機構を有したロールアンドブ ードフォーマ形式のギャップフォーマ型抄 機を用いて高速、高灰分条件において中性 紙法により印刷用塗工原紙の製造を行う場 に、良好な地合及び層間強度を有した印刷 塗工原紙の製造を安定して行うことができ 長期連続抄造が可能となり、また、塗工紙 も効果を発揮することができる。従って、 発明の効果は極めて大きい。本発明は、実 例4、5のように、オンマシンコータを備え ギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙か 塗工工程をオンラインで連続して生産し、 に仕上げ工程もオンラインで生産する場合 より効果を発揮するものである。

  実験2
  <印刷用塗工原紙の抄造>
 (1)抄紙機:フォーミングロールによる初期脱 水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有 したロールアンドブレードフォーマ形式のギ ャップフォーマ型抄紙機。

 (2)パルプ原料配合:広葉樹クラフトパルプ( 水度CSF=350ml)50%、針葉樹クラフトパルプ(濾水 度CSF=600ml)20%、脱墨パルプ(濾水度CSF=240ml)30%
 (3)紙中填料率:ロゼッタ型軽質炭酸カルシウ ム(平均粒子径3.5μm)を使用し、目標の紙中灰 となるように添加量を適宜調整した。

 [実施例6]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙 向上剤のカチオン化澱粉(日本NSC社製、Cato30 4)を紙料固形分重量当たり0.25%添加し、合成 力剤(ハリマ化成社製、EX288)を紙料固形分あ り0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分 子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミ 系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカル ズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm 加し、その後、アニオン性の無機系微粒子 あるベントナイト(チバスペシャルティケミ ルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当た 1000ppm添加し、フォーミングロール径が1600mm あるロールアンドブレードフォーマー形式 ギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速 1,600m/分で原紙坪量37g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。

 [実施例7]
 実施例6のアニオン性の無機系微粒子をコロ イダルシリカ(エカケミカルス社製、NP442)と た以外は、実施例6と同様に印刷用塗工原紙 得た。

 [実施例8]
 実施例6のアニオン性の微粒子として、有機 系微粒子の架橋ポリアクリルアミド(チバス シャルティケミカルズ社製、パーコールM8) 追加した以外は、実施例6と同様に印刷用塗 原紙を得た。

 [実施例9]
 実施例6の歩留剤を極限粘度法による重量平 均分子量が2,000万のカチオン性ポリアクリル ミド系歩留まり剤(ソマール株式会社製R-300) とした以外は、実施例6と同様に印刷用塗工 紙を得た。

 [実施例10]
 実施例6の歩留剤を極限粘度法による重量平 均分子量が2,000万であり、分岐型であるカチ ン性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ソマ ール株式会社製R-101)とした以外は、実施例6 同様に印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例7]
 実施例6において、歩留り向上剤を、極限粘 度法による重量平均分子量が900万のカチオン 性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ 式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g) 変更し、アニオン性の無機微粒子であるベ トナイト(チバスペシャルティケミカルズ社 製、Hydrocol-O)を添加しなかった以外は、実施 6と同様にして印刷用塗工原紙を得た。

 [比較例8]
 実施例6において、カチオン性ポリアクリル アミド系歩留まり剤(チバスペシャルティケ カルズ社製、DP7833)を添加しなかった以外は 実施例6と同様にして印刷用塗工原紙を得た 。

 [比較例9]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙 向上剤のカチオン化澱粉(日本NSC社製、Cato30 4)を紙料固形分重量当たり0.25%添加し、合成 力剤(ハリマ化成社製、EX288)を紙料固形分あ り0.2%添加し、極限粘度法による重量平均分 子量が1,000万のカチオン性ポリアクリルアミ 系歩留まり剤(チバスペシャルティケミカル ズ社製、DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm 加し、その後、アニオン性の無機系微粒子 あるベントナイト(チバスペシャルティケミ ルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分重量当た 1000ppm添加し、ブレードフォーマー形式のギ ップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙速度1,30 0m/分で原紙坪量37g/m 2 、紙中灰分15%の印刷用塗工原紙を得た。

 表3に結果を示す。本発明の実施例は、紙 の地合を良好に維持しながら、高い層間強度 や紙料歩留まりを得ることができ、長期操業 性も良好であった。

 また、歩留まり向上剤としてカチオンPAM( 分子量1000万)とアニオン性微粒子を併用する 、歩留まりが向上した。そのため、歩留ま 向上剤としてカチオンPAMとアニオン性微粒 を併用すると、白水濃度の上昇が抑制でき 系内が汚染されにくくなるため、長期に渡 連続した操業が容易である。

 さらに、ブレードフォーマ形式のギャッ フォーマ型抄紙機を用いる比較例9では、抄 速が1300m/分と低く、歩留まりは良好であるも のの、地合は悪くなっている。

  <印刷用塗工紙の製造>
 (4)顔料塗工液の作成
 ・下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(白 カルシウム(株)、ハイドロカーボ90)100部に対 して、分散剤(東亜合成(株)、アロンT-40)を0.3 添加し、カウレス分散機を用いて水に分散 た後、接着剤としてリン酸エステル化デン ン15部、スチレン・ブタジエン系ラテック 3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗 液を調製した。

 ・上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウ ムを70部、カオリン30部に対して、ポリアク ル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレ 分散機を用いて水に分散し、接着剤として ン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブ ジエン系共重合ラテックスを10部配合し、 形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した

 [実施例11]
 パルプと填料を混合した紙料に、内添用紙 向上剤のカチオン化澱粉(製、Cato304)を紙料 形分重量当たり0.25%添加し、合成紙力剤(ハ マ化成社製、EX288)を紙料固形分あたり0.2%添 加し、極限粘度法による重量平均分子量が1,0 00万のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留 り剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、 DP7833)を紙料固形分重量当たり400ppm添加し、 の後、アニオン性の無機微粒子であるベン ナイト(チバスペシャルティケミカルズ社製 Hydrocol-O)を紙料固形分重量当たり1000ppm添加 、フォーミングロール径が1600mmであるロー アンドブレードフォーマー形式のギャップ ォーマ型抄紙機を用いて抄造された抄紙速 1,600m/分で原紙坪量37g/m 2 、原紙の紙中灰分15%の塗工原紙に、ロッドメ タリングサイズプレスコータを用いて下塗り 用塗工液を片面あたり3g/m 2 両面塗工し、更にブレードコータを用いて上 塗り用塗工液を片面あたり8g/m 2 両面塗工した。表面処理として、金属ロール 表面温度150℃、線圧300kg/cm、カレンダーニッ 数4ニップの条件で高温ソフトニップカレン ダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。本実 施例においては、オンマシンコータを備えた ギャップフォーマ型抄紙機を用いて、抄紙か ら塗工工程をオンラインで連続して生産した 。

 [実施例12]
 実施例9で得た塗工原紙を用いた以外は実施 例11と同様にして印刷用塗工紙を得た。

 [実施例13]
 実施例10で得た塗工原紙を用いた以外は実 例11と同様にして印刷用塗工紙を得た。

 [比較例10]
 実施例8において、歩留り向上剤を、極限粘 度法による重量平均分子量が900万のカチオン 性ポリアクリルアミド系歩留まり剤(ハイモ 式会社製、DR8500、カチオン電荷密度1.80meq/g) 変更し、アニオン性の無機微粒子であるベ トナイト(チバスペシャルティケミカルズ社 製、Hydrocol-O)を添加しなかった以外は、実施 11と同様に印刷用塗工紙を得た。

 表4に結果を示す。歩留まり向上剤として カチオンPAMとアニオン性微粒子を併用すると 、耐ブリスター性が向上した。また、本発明 は、上記実施例のように、オンマシンコータ を備えたギャップフォーマ型抄紙機を用いて 抄紙から塗工工程をオンラインで連続して生 産し、更に仕上げ工程もオンラインで生産す る場合、より効果を発揮するものである。

  実験3:ダイナミックドレネージジ ーによる紙料の評価
 <測定方法>
 (1)カチオン要求量の測定方法
 紙料の200メッシュワイヤーのろ液について 流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck  PCD-02)にて、電荷を中和するまでに必要とし た1/1000規定のポリジアリルジメチルアンモニ ウムクロライド水溶液の量を元に、カチオン 要求量を測定した。カチオン要求量のカット 率は下記の式により求めた。

 ・カチオン要求量カット率=100×(A-B)/A
   A:凝結剤添加前のカチオン要求量
   B:凝結剤添加後のカチオン要求量
 (2)濁度の測定方法
 紙料を濾紙(Whatman #41)で濾過したろ液につ て、吸光光度計にて吸光度を測定し、ホル ジン標準液を用いて作成した検量線を基に 度を算出した。濁度のカット率はカチオン 求量のカット率と同様に凝結剤添加前後の 度より求めた。

 [実験例A1]
 DBP(ドライブロークパルプ、固形分濃度3.5%) 対して凝結剤ジアリルジメチルアンモニウ クロライド/アクリルアミド(DADMAC/AA、片山 ルコ社製N7527)を300ppm添加し、5分間ラボ撹拌 で緩やかに撹拌した。凝結剤を添加したDBP NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:600ml) LBKP(広葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:350ml) 、填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平 粒子径3.5μm)とを、DBP30%、NBKP20%、LBKP40%、填 10%の割合で配合し、水で固形分濃度2.5%に調 して、配合紙料を調成した。

 配合した紙料を攪拌機の回転数を1600rpmと したDDJ(ダイナミックドレネージジャー)にと 、10秒後に凝結剤を200ppm添加し、180秒間攪 したまま保持した後、濁度およびカチオン 求量を測定した。これらの結果を元に、凝 剤を添加せずにDDJで10秒攪拌しただけの配合 紙料(コントロール)の濁度およびカチオン要 量からのカット率を求めた。

 [実験例A2]
 DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固形分濃度 3.5%)に対しても凝結剤DADMAC/AAを500ppm添加し、 料構成をDBP30%、NKP20%、LKP30%、DIP10%、填料10% した以外は、実験例A1と同様にして紙料を 成した。

 [実験例A3]
 DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固形分濃度 3.5%)に対して凝結剤DADMAC/AAを500ppm添加し、GP( 木パルプ、濾水度CSF:80ml、固形分濃度3.2%)に 対して凝結剤DADMAC/AAを1000ppm添加し、紙料構 をDBP30%、NKP20%、LKP25%、DIP10%、GP5%、填料10%と た以外は、実験例A1と同様にして紙料を調 した。

 [実験例B1]
 DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmと し、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった 以外は、実験例A1と同様にして紙料を調成し 。

 [実験例B2]
 DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmと し、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった 以外は、実験例A2と同様にして紙料を調成し 。

 [実験例B3]
 DBPに対する凝結剤DADMAC/AAの添加率を1000ppmと し、配合紙料への凝結剤添加を行わなかった 以外は、実験例A3と同様にして紙料を調成し 。

 表5に実験結果を示す。実験例A1と実験例B 1とを比較すると、原料のDBPと、原料を配合 た配合紙料との両方に凝結剤を添加した場 、DBPのみに凝結剤を添加した場合よりも、 ぼ同程度の総凝結剤添加率であるにも関わ ず、濁度およびカチオン要求量のカット率 高くなった。これは、抄紙機でのデポジッ 問題や紙面の欠陥の原因となるホワイトピ チと呼ばれるアニオン性のコロイド粒子が 率良く繊維に定着されていることを示すも であり、この紙料に歩留り剤を添加すると 留り剤が効果を十分に発揮することができ 結果として高い歩留りを得ることができる 考えられる。

 同様に、実験例A2と実験例B2、および、実 験例A3と実験例B3の結果より、原料および配 紙料へ凝結剤を2段添加すると、原料のみに 結剤を添加するよりも、濁度およびカチオ 要求量のカット率が高くなり、特にDIPを10% 合した系やGPを5%配合した系では、多段添加 の効果が顕著であった。

  実験4
  <塗工原紙の評価>
 塗工原紙の欠陥数は、オンライン欠陥検出 (KP83WY26-NVPDFi、オムロン社製)を用いて、巻 りの枠あたりの欠陥数の平均値を示した。

 填料分布、地合係数、および層間強度は 巻取り中央部より採取した原紙をサンプル して評価した。填料分布は、バーンアウト 験によって確認し、目視により3段階評価を 行った(○:良好、△:偏りがある、×:偏りがひ どい)。地合係数は、地合計FMT-III(光透過光変 動法)を用いて測定した。地合係数は、値が さいほど、地合が良好であることを示す。 間強度は、L&WZD Tensile Tester SE155(Lorentzen& amp;Wettre社製)を用いて測定した。

  <塗工紙の評価>
 塗工原紙を塗料で塗工した後の塗工紙につ て、画像解析法に基づいて0.05mm以上の紙面 ート個数をSpecScan2000(アポジーテクノロジー 社製)を用いて測定した。

 オフセット輪転印刷機(B2T600、4色、東芝 )にて、オフ輪印刷用インキ(レオエコー SOY M、東洋インキ製造社製)を用いて印刷速度500 rpm、乾燥時の紙面温度120℃で印刷した。得ら れた印刷物の墨単色50%網点部について、印刷 再現性を目視評価した(○:良好、△:やや劣る 、×:劣る)。

 <顔料塗工液の作成>
 ・下塗り用塗工液:重質炭酸カルシウム(ハ ドロカーボ90、白石カルシウム(株))100部に対 して、分散剤(アロンT-40、東亜合成(株))を0.3 添加し、カウレス分散機を用いて水に分散 た後、接着剤としてリン酸エステル化デン ン15部、スチレン・ブタジエン系ラテック 3部を配合し、固形分濃度48%の下塗り顔料塗 液を調製した。

 ・上塗り用塗工液:上記重質炭酸カルシウ ムを70部、カオリン30部に対して、ポリアク ル酸ソーダ系分散剤0.3部を添加し、カウレ 分散機を用いて水に分散し、接着剤として ン酸エステル化デンプン5部とスチレン・ブ ジエン系共重合ラテックスを10部配合し、 形分濃度65%の上塗り顔料塗工液を調製した

 [実施例14]
 凝結剤DADMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)を、DBP( ライブロークパルプ、固形分濃度3.8%)に対し て500ppm、DIP(脱墨パルプ、濾水度CSF:240ml、固 分濃度3.4%)に対して800ppm添加した。凝結剤を 添加したDBPおよび凝結剤を添加したDIPを含む 原料を、DBP30%、NBKP(針葉樹クラフトパルプ、 水度CSF:600ml)15%、LBKP(広葉樹クラフトパルプ 濾水度CSF:350ml)15%、DIP40%の割合で配合チェス トにて混合し、紙料(固形分濃度3.0%)とした。 また、配合チェストにて同時にカチオン化澱 粉(Cato304、日本エヌエスシー社製)を0.2%添加 、さらに染料を添加した。

 その後、ミキシングチェスト入口にて硫 バンドを1.0%添加し、ミキシングチェスト出 口にて固形分濃度が2.9%である紙料に凝結剤DA DMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)を400ppm添加した。 キシングチェストの後のマシンチェストに 紙力剤(ハリマ化成社製EX280A)を0.1%添加した その後にサイズ剤として中性ロジンおよび 料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム:平均粒 径3.5μm、)を添加し、さらにスクリーン手前 て、極限粘度法による重量平均分子量が2,00 0万である歩留り剤(ソマール社製リアライザ R-300)を300ppm添加し、白水で原料を固形分濃 1.5%未満に希釈した状態の紙料(固形分濃度0. 8%)を調製した。

 この紙料をインレットモジュールより噴射 、ロールアンドブレードフォーマ形式のギ ップフォーマ型抄紙機にて、抄紙速度1600m/ で抄紙して塗工原紙(坪量40.7g/m 2 、紙中灰分12%)を得た。

 得られた塗工原紙について、ロッドメタリ グサイズプレスコータを用いて下塗り用塗 液を片面あたり3g/m 2 両面塗工し、さらにブレードコータを用いて 上塗り用塗工液を片面あたり8g/m 2 両面塗工した。塗工速度は1600m/分であった。 表面処理として、金属ロール表面温度150℃、 線圧300 kg/cm、カレンダニップ数4ニップの条 で高温ソフトニップカレンダー処理を行い 印刷用塗工紙を得た。

 [比較例11]
 歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平 分子量が900万のカチオン性ポリアクリルア ド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、 カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシ グチェストへの凝結剤添加を行わなかった 外は、実施例14と同様にして塗工原紙および 塗工紙を得た。

 [比較例12]
 歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平 分子量が900万のカチオン性ポリアクリルア ド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、 カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシ グチェスト出口での凝結剤添加を行わず、1 ファンポンプ入口にてインレット原料(紙料 の固形分濃度0.8%)へ凝結剤を400ppm添加した以 は、実施例14と同様にして塗工紙および塗 原紙を得た。

 [比較例13]
 歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平 分子量が900万のカチオン性ポリアクリルア ド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、 カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、DBPおよ DIPへの凝結剤添加を行わず、1次ファンポン 入口にてインレット原料へ凝結剤を400ppmし 以外は、実施例14と同様にして塗工紙およ 塗工原紙を得た。

 表6に実験結果を示す。DBPおよびDIPに凝結 剤を添加するとともに、各種原料を配合後の ミキシングチェストでさらに凝結剤を添加し た実施例14は、濁度およびカチオン要求量が く、歩留りが高くなった。また、実施例14 塗工原紙は、欠陥数が著しく少なく、地合 よび填料分布も良好であり、結果として高 層間強度を得ることができる。この原紙を 工した塗工紙は、紙面のダートが少なく、 刷再現性も優れていた。

 また、凝結剤を多段添加すると、DBPおよ DIPのみに凝結剤を添加した場合と比較して ストックインレットのカチオン要求量と濁 が低く、結果として紙料歩留りが高くなっ いる。さらに、凝結剤の多段添加により、 紙の欠陥が少なくなり、塗工後の塗工紙の 面ダート個数が減少した。

 さらに、比較例12に示すように、DBPおよ DIPに凝結剤を添加した後、白水で希釈した の1次ポンプ入口にて凝結剤を添加した場合 ストックインレットのカチオン要求量や濁 の低減という面では実施例14よりも優れて り歩留りも高い傾向にあるものの、原紙の 陥として比較的大きい欠陥が増加した。こ は、原料系で定着された異物のもととなる ロイド物質が、その後の紙料配合工程から 量の白水で希釈されるインレット紙料に至 までに、再分散した後、徐々に粗大化し、 大化した異物が1次ポンプで添加した凝結剤 よって繊維に定着されたためと考えられる また、凝集力が強くなり過ぎて地合と填料 布の悪化を招き、結果として層間強度も低 した。さらに、塗工紙についても紙面のダ トが多く、印刷再現性が実施例14に比べて っていた。

 さらにまた、比較例13に示すように、原 に凝結剤を添加せずに、ミキシングチェス および1次ポンプ入口にて凝結剤を添加した 合、比較例12と同様に、ストックインレッ のカチオン要求量や濁度の低減という面で 実施例14よりも優れており歩留りも高い傾向 にあるものの、原紙の欠陥が比較例12以上に 加した。これは、異物のもととなるコロイ 物質が、微細な状態で繊維に定着されるこ なく、硫酸バンドやカチオン化澱粉などカ オン薬品の添加により不安定化して粗大化 、非常に大きな異物となって凝結剤によっ 効率良く紙に抄き込まれたためと考えられ 。また、凝集力が強くなり過ぎて地合と填 分布の悪化を招き、結果として層間強度も 下していた。また、塗工紙についても紙面 ダートが多く、印刷再現性も実施例14に比 て劣っていた。

 以上のように、凝結剤を多段添加するこ により、ギャップフォーマ型抄紙機を用い 高速抄紙において、デポジットの発生とい た操業性に関する問題を抑制し、高い歩留 と均一な填料分布ならびに良好な地合を持 塗工原紙を製造することができ、また、そ らの塗工原紙を用いてコータで塗工した場 、品質の良好な塗工紙を得ることができる

 [実施例15]
 DBP(ドライブロークパルプ、固形分濃度2.8%) 対して凝結剤としてポリビニルアミン(BASF 製カチオファストVSH)を500ppm添加し、TMP(サー モメカニカルパルプ、濾水度CSF:130ml、固形分 濃度3.4%)およびGP(砕木パルプ、濾水度CSF:80ml 固形分濃度3.5%)に凝結剤として改質ポリエチ レンイミン(BASF社製カチオファストSF)をそれ れ800ppm、1200ppm添加した。凝結剤を添加した DBPおよびTMP、GP、ならびに他の原料を、DBP20% NBKP(針葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:80ml)20 %、LBKP(広葉樹クラフトパルプ、濾水度CSF:380ml )30%、TMP15%、GP15%の割合で配合チェストにて混 合し、紙料(固形分濃度約3.0%)とした。また、 配合チェストにて同時にカチオン化澱粉(日 エヌエスシー社製Cato304)を1.0%添加し、さら 染料を添加した。

 その後、ミキシングチェスト入口にて硫 バンドを0.8%添加し、ミキシングチェスト出 口にて凝結剤を460ppm添加した。ミキシングチ ェストの後のマシンチェストにて紙力剤(星 PMC社製DS4304)を0.2%添加した。その後に白水で 1.5%未満にまで希釈した紙料にサイズ剤とし AKDおよび填料(ロゼッタ型軽質炭酸カルシウ :平均粒子径3.5μm)を添加し、極限粘度法に る重量平均分子量が1,000万のカチオン性ポリ アクリルアミド系歩留り剤(チバスペシャル ィケミカルズ社製、DP7833)を紙料固形分重量 たり400ppm添加し、その後、アニオン性の無 微粒子であるベントナイト(チバスペシャル ティケミカルズ社製、Hydrocol-O)を紙料固形分 量当たり1000ppm添加した。

 この紙料を、ストックインレットよりツイ ワイヤー抄紙機にて抄紙速度1200m/分で抄紙 て、塗工原紙(坪量38.1g/m 2 、紙中灰分15%)を得た。

 得られた塗工原紙を、連続してロッドメタ ングサイズプレスコータを用いて下塗り用 工液を片面あたり2g/m 2 両面塗工し、さらにブレードコータを用いて 上塗り用塗工液を片面あたり9g/m 2 両面塗工した。塗工速度は1200m/分であった。 表面処理として、金属ロール表面温度150℃、 線圧350kg/cm、カレンダニップ数4ニップの条件 で高温ソフトニップカレンダ処理を行い、印 刷用塗工紙を得た。

 [比較例14]
 歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平 分子量が900万のカチオン性ポリアクリルア ド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、 カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシ グチェスト出口への凝結剤の添加を行わな った以外は、実施例15と同様にして塗工紙を 得た。

 表7に実験結果を示す。凝結剤を多段添加 することにより、インレットの濁度およびカ チオン要求量が低くなり、デポジットや欠陥 の原因物質であるアニオン性のコロイド物質 が効率良く繊維に定着していると考えられる 。また、コータ部での断紙の発生しにくさに ついて三段階評価(○:良好、△:やや不良、×: 不良)したところ、実施例15は断紙が発生しに くく、歩留まりおよびコート紙面の欠陥が優 れていた。

 このように、凝結剤を多段添加すること より、オンマシンコータでの欠陥や断紙を なくすることができる。

 [実施例16]
 DBPおよびDIP(濾水度CSF:380ml)に対して凝結剤DA DMAC/AA(片山ナルコ社製N7527)をそれぞれ400ppmお び200ppm添加し、TMP(濾水度CSF:130ml)に凝結剤 して改質ポリエチレンイミン(BASF社製カチオ ファストSF)を800ppm添加した。凝結剤添加後の DBPおよびDIP、TMP、ならびに他の原料を、DBP20% 、NBKP(濾水度CSF:580ml)20%、LBKP(濾水度CSF:380ml)20% 、DIP30%、TMP10%の割合で配合チェストにて混合 し、紙料とした。また、配合チェストにて同 時にカチオン化澱粉(日本エヌエスシー社製Ca to315)を1.0%添加し、さらに染料を添加した。

 その後、ミキシングチェスト入口に硫酸 ンドを0.8%添加し、ミキシングチェスト出口 にて凝結剤を360ppm添加した。ミキシングチェ ストの後のマシンチェストにて紙力剤(星光PM C社製DS4304)を0.2%添加した。その後に白水で原 料を1.5%未満に希釈した状態でサイズ剤とし AKDおよび填料(軽質炭酸カルシウム)を添加し 、分子量が2,000万である歩留り剤(ソマール社 製リアライザーR-300)を400ppm添加して紙料を調 製した。

 調製した紙料を用い、ストックインレット り、ロールアンドブレードフォーマ型式の ャップフォーマ抄紙機にて、抄紙速度1600m/ で抄紙して、得られた塗工原紙(坪量45.2g/m 2 、紙中灰分16%)、を、オンラインで連続して ッドメタリングサイズプレスコータを用い 下塗り用塗工液を片面あたり3g/m 2 両面塗工し、さらにブレードコータを用いて 上塗り用塗工液を片面あたり10g/m 2 両面塗工した。塗工速度は1600m/分である。そ して更にオンラインで連続して、金属ロール 表面温度150℃、線圧450kg/cm、カレンダニップ 4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダ ー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。

 [比較例15]
 歩留り向上剤を、極限粘度法による重量平 分子量が900万のカチオン性ポリアクリルア ド系歩留まり剤(ハイモ株式会社製、DR8500、 カチオン電荷密度1.80meq/g)に変更し、ミキシ グチェストへの凝結剤添加を行わなかった 外は、実施例16と同様にして塗工原紙および 塗工紙を得た。

 表8に結果を示す。凝結剤を多段添加する ことにより、インレットの濁度およびカチオ ン要求量が低くなり、デポジットや欠陥の原 因物質であるアニオン性のコロイド物質が効 率良く繊維に定着していると考えられる。ま た、断紙の発生しにくさについて三段階評価 (○:良好、△:やや不良、×:不良)したところ 実施例16は断紙が発生しにくく、歩留まりも 高かった。このように、凝結剤を多段添加す ることにより、抄紙機での断紙を少なくする ことができる。

 凝結剤を多段添加することにより、特に 速時において、抄紙機の抄紙工程において ポジットなどの操業性に関する問題の発生 低減し、高い歩留りと均一な填料分布なら に良好な地合を持つ塗工原紙を製造するこ ができる。また、本発明の塗工原紙を用い コータで塗工した場合、断紙などの操業性 関する問題が発生せず、品質の良好な塗工 を製造することができる。