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Title:
PROCESS FOR PRODUCING PLASMA DISPLAY PANEL, AND PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/090740
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a process for producing a plasma display panel (1), comprising superimposing a front substrate structure (11) and a back substrate structure (12) on top of each other to assembly the plasma display panel (1). In this production process, a P particle enhancing function layer (16) having the function of increasing priming particles (electrons) within a discharge space (24) is selectively formed on the surface of a protective layer (18) in the front substrate structure (11). A slurry of crystal particles of MgO and the like dispersed therein is coated on the surface of the protective layer (18). Light is applied to the front substrate structure (11) to selectively heat a Y bus electrode (15b) in the front substrate structure (11), and, in this state, slurry is evaporated. The crystal particles dispersed in the slurry can automatically gather in a region overlapped with the Y bus electrode (15b) to cause aggregation to selectively form the P particle enhancing function layer (16). Accordingly, discharge delay during address discharge can be improved, and, at the same time, a lowering in luminescence efficiency can be suppressed.

Inventors:
SEO YOSHIHO (JP)
BETSUI KEIICHI (JP)
FUKUTA SHINYA (JP)
KOSAKA TADAYOSHI (JP)
HASEGAWA MINORU (JP)
INOUE HAJIME (JP)
MISAWA TOMONARI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050493
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
January 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
SEO YOSHIHO (JP)
BETSUI KEIICHI (JP)
FUKUTA SHINYA (JP)
KOSAKA TADAYOSHI (JP)
HASEGAWA MINORU (JP)
INOUE HAJIME (JP)
MISAWA TOMONARI (JP)
International Classes:
H01J9/02; H01J11/12; H01J11/40
Foreign References:
JP2007311075A2007-11-29
Attorney, Agent or Firm:
TSUTSUI, Yamato (6th Floor Kokusai Chusei Kaikan, 14, Gobancho, Chiyoda-k, Tokyo 76, JP)
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Claims:
 (a)表示面側の基板である第1基板の第1の面に可視光に対する遮光性が前記第1基板よりも高い遮光部を有する第1電極を形成した後、前記第1電極を被覆する誘電体層を形成し、第1基板構造体を形成する工程と、
 (b)第2基板の第2の面側を複数の放電空間に区画する隔壁を形成した後、前記隔壁で区画された放電空間内に蛍光体部を形成した第2基板構造体を形成する工程と、
 (c)前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面であって、前記第1電極の前記遮光部が形成される位置と重なる領域に第1粉体層を選択的に形成する工程と、
 (d)前記第1基板構造体の前記第1の面側と、前記第2基板構造体の前記第2の面側とを対向させた状態で重ね合わせる工程とを含み、
 前記第1粉体層は、前記放電空間内のプライミング粒子を増加させる機能を有し、
 前記第1電極は、セルの点灯/非点灯を選択するための放電であるアドレス放電時に前記プライミング粒子と同じ電気的極性となる電極であり、
 前記(c)工程には、
 (c1)前記第1粉体層を構成する第1粒子が有機溶媒中に分散されたスラリを準備する工程と、
 (c2)前記スラリを前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面に塗布する工程と、
 (c3)前記第1基板構造体に光を照射して、前記第1電極の前記遮光部が形成された領域の温度を選択的に上昇させた状態で前記スラリの前記有機溶媒を蒸発させる工程とが含まれることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c3)工程では、前記第1電極の前記遮光部に沿って集光した光を照射することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c2)工程と前記(c3)工程とは、並行して進行され、前記スラリの塗布が完了した領域に対して逐次的に前記光を照射することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c2)工程と前記(c3)工程とは、並行して進行され、前記スラリの塗布が完了した領域に対して逐次的に前記光を照射することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c3)工程は、前記(c2)工程で前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面全体に前記スラリを塗布した後で行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c3)工程は、前記(c2)工程で前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面全体に前記スラリを塗布した後で行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 (a)表示面側の基板である第1基板の第1の面に可視光に対する遮光性が前記第1基板よりも高い遮光部を有する第1電極を形成した後、前記第1電極を被覆する誘電体層を形成し、第1基板構造体を形成する工程と、
 (b)第2基板の第2の面側を複数の放電空間に区画する隔壁を形成した後、前記隔壁で区画された放電空間内に蛍光体部を形成した第2基板構造体を形成する工程と、
 (c)前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面であって、前記第1電極の前記遮光部が形成される位置と重なる領域に第1粉体層を選択的に形成する工程と、
 (d)前記第1基板構造体の前記第1の面側と、前記第2基板構造体の前記第2の面側とを対向させた状態で重ね合わせる工程とを含み、
 前記第1粉体層は、前記放電空間内のプライミング粒子を増加させる機能を有し、
 前記第1電極は、セルの点灯/非点灯を選択するための放電であるアドレス放電時に前記プライミング粒子と同じ電気的極性となる電極であり、
 前記(c)工程には、
 (c1)前記第1粉体層を構成する第1粒子が有機溶媒中に分散されたスラリを準備する工程と、
 (c2)前記スラリを前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面に塗布する工程と、
 (c3)前記第1電極に電圧を印加して通電させることにより、前記第1電極の前記遮光部が形成された領域の温度を選択的に上昇させた状態で前記スラリの前記有機溶媒を蒸発させる工程とが含まれることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記(c3)工程は、前記(c2)工程で前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面全体に前記スラリを塗布した後で行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 表示面側の基板である第1基板と、前記第1基板の第1の面側に形成され、可視光に対する遮光性が前記第1基板よりも高い遮光部を有する第1電極と、前記第1電極を被覆する誘電体層を有する第1基板構造体と、
 背面側の基板である第2基板と、前記第2基板の第2の面側に形成され、前記第2の面側を複数の放電空間に区画する隔壁と、前記隔壁で区画された前記放電空間内に形成される蛍光体部とを有し、前記第2の面側と前記第1基板構造体の前記第1の面側とを対向させた状態で重ね合わされる第2基板構造体とを有し、
 前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面には、前記第1電極の前記遮光部が形成された位置と重なる領域に前記放電空間内のプライミング粒子を増加させる機能を有する第1粉体層が選択的に形成され、
 前記第1電極は、セルの点灯/非点灯を選択するための放電であるアドレス放電時に前記プライミング粒子と同じ電気的極性となる電極であり、
 前記第1粉体層は前記第2基板構造体と対向する主面が前記放電空間に露出していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
 請求項9に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
 前記第1基板構造体は、前記第1基板の前記第1の面側に前記第1電極に沿って形成され、可視光に対する遮光性が前記第1基板よりも高い遮光部を有する第2電極を有し、
 前記第2電極は、前記蛍光体部を励起するための放電である維持放電時に、前記第1電極と対をなす電極であり、
 前記第1基板構造体の前記第1の面側の表面には、前記第2電極の前記遮光部が形成された位置と重なる領域にも前記第1粉体層が選択的に形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
Description:
プラズマディスプレイパネルの 造方法およびプラズマディスプレイパネル

 本発明は、プラズマディスプレイパネル 技術に関し、特に、放電空間内のプライマ ー粒子を増加させるために粉体層を形成す プラズマディスプレイパネルに適用して有 な技術に関する。

 プラズマディスプレイパネル(PDP;Plasma Dis play Panel)は、高精細化が進んでおり、画素数 が増加することにより、セルの点灯/非点灯 選択決定するアドレス動作の時間が増大す 。この増大を抑制するためには、アドレス 電用の電圧(アドレス電圧)のパルス幅を小さ くすることが有効である。しかし、電圧を印 加してから放電が発生するまでの時間(放電 れ)には、ばらつきがある。そのため、アド ス電圧のパルス幅が小さ過ぎると、パルス 印加しても放電が発生しない場合がある。 の場合、サステイン期間(維持発光期間)で 該セルが正しく点灯しない。そのため、画 劣化を招く。

 また、アドレス放電時に放電遅れが発生 ると、1フィールド中のSF(サブフィールド) の減少、あるいはサステイン期間の減少を く。

 PDPの放電遅れを改善する手段として、放 空間内のプライミング粒子(電子などの荷電 粒子、以下P粒子と記載する)の量を増加させ 機能を有する層(以下P粒子増加機能層)をPDP に形成する技術が提案されている。

 例えば、特開2002-56779号公報(特許文献1)に は、背面構造体に形成された隔壁の上面(前 構造体と対向する面)にP粒子増加機能層(2次 子放出層)を形成する構造が開示されている 。

 また例えば、特開2006-59786号公報(特許文献2) には、前面構造体に形成された誘電体層の表 面全体に、アルコールなどの溶媒に分散され た気相法酸化マグネシウム単結晶体をスプレ ーで吹付けて、この気相法酸化マグネシウム 単結晶体の粉体層をP粒子増加機能層として 成する構造が開示されている。

特開2002-56779号公報

特開2006-59786号公報

 しかしながら、前記特許文献1に記載され る構造の場合、P粒子増加機能層が放電空間 露出していない、あるいはその露出面積が めて小さいため、放電空間内のP粒子を十分 増加させることができないという問題があ 。

 また、前記特許文献2に記載されるように 、P粒子増加機能層を構成する材料として酸 マグネシウムなどの結晶体粒子を用いる場 、P粒子増加機能層の形成工程ではPDPの製造 程で一般的に用いられる粉体粒子をバイン 樹脂などに分散、ペースト化させて所望の 置に塗布する方法には以下の問題がある。

 すなわち、前記特許文献2に記載される気 相法酸化マグネシウム単結晶体などP粒子を 加させる機能を有する材料は、一般に不安 な物質であるため、これをペースト化させ 工程中、あるいは、塗布したペーストを焼 してバインダ樹脂成分を蒸発させる工程中 変質する場合がある。

 したがって、P粒子増加機能層の形成工程 では、前記特許文献2に記載されるようにア コールなど揮発性の高い有機溶媒中にP粒子 増加させる機能を有する粉体粒子を分散さ て、これをスプレーなどにより、前面構造 の表面全体に塗布する方法が用いられてい 。

 しかし、P粒子を増加させる機能を有する 粉体層を誘電体層表面に全体的に形成する構 造の場合、PDPの内部に形成された蛍光体から 発光される光が、この粉体層によって乱反射 されるため、PDPの発光効率を低下させる原因 となる。

 また、サステイン放電(面放電、維持放電 )を行う際には、この粉体層がサステイン放 のセル内での広がりを阻害して、マージン 悪化を引き起こす原因となる。

 本発明は、上記課題に鑑みてなされたも であり、その目的は、アドレス放電時の放 遅れを改善しつつ、かつ、発光効率の低下 抑制することができる技術を提供すること ある。

 本発明の前記ならびにその他の目的と新 な特徴は、本明細書の記述および添付図面 ら明らかになるであろう。

 本願において開示される発明のうち、代 的なものの概要を簡単に説明すれば、次の おりである。

 すなわち、本発明の一つの実施の形態に けるPDPの製造方法は、以下の製造工程を含 。

 (a)表示面側の基板である第1基板の第1の に可視光に対する遮光性が前記第1基板より 高い遮光部を有する第1電極を形成した後、 前記第1電極を被覆する誘電体層を形成し、 1基板構造体を形成する工程。

 (b)第2基板の第2の面側を複数の放電空間 区画する隔壁を形成した後、前記隔壁で区 された放電空間内に蛍光体部を形成した第2 板構造体を形成する工程。

 (c)前記第1基板構造体の前記第1の面側の 面であって、前記第1電極の前記遮光部が形 される位置と重なる領域に第1粉体層を選択 的に形成する工程。

 (d)前記第1基板構造体の前記第1の面側と 前記第2基板構造体の前記第2の面側とを対向 させた状態で重ね合わせる工程。

 ここで、前記第1粉体層は、前記放電空間 内のプライミング粒子を増加させる機能を有 し、前記第1電極は、セルの点灯/非点灯を選 するための放電であるアドレス放電時に前 プライミング粒子と同じ電気的極性となる 極である。また、前記(c)工程には以下の工 が含まれる。

 (c1)前記第1粉体層を構成する第1粒子が有 溶媒中に分散されたスラリを準備する工程

 (c2)前記スラリを前記第1基板構造体の前 第1の面側の表面に塗布する工程。

 (c3)前記第1基板構造体に光を照射して、 記第1電極の前記遮光部が形成された領域の 度を選択的に上昇させた状態で前記スラリ 前記有機溶媒を蒸発させる工程。

 本願において開示される発明のうち、代 的なものによって得られる効果を簡単に説 すれば以下のとおりである。

 すなわち、本発明の一つの実施の形態に れば、前記第1基板構造体の前記第1の面側 表面であって、前記第1電極の前記遮光部が 成された位置と重なる領域に前記第1粉体層 を選択的に形成することができるので、アド レス放電時の放電遅れを改善しつつ、かつ、 発光効率の低下を抑制することができる。

本発明の一実施の形態であるPDPの要部 拡大して示す要部拡大斜視図である。 図1に示す電極群、隔壁、およびP粒子 加機能層の平面的位置関係を示す表示面側 らみた要部拡大平面図である。 図1に示すPDPの駆動波形の例を示す説明 図である。 本発明の一実施の形態であるPDPの製造 法の一工程を示す図であって、前面基板構 体にP粒子を増加させる機能を有する結晶体 粒子が分散されたスラリを塗布した状態を示 す要部拡大断面図である。 図4に示す前面構造体のP粒子増加機能 を形成したい領域に選択的に光を照射した 態を示す要部拡大断面図である。 図5に示す前面構造体に光を照射するこ とによりスラリの中に分散された結晶体粒子 が移動する様子を模式的に示す要部拡大断面 図である。 図6に示す有機溶媒が完全に蒸発してP 子増加機能層が形成された状態を示す要部 大断面図である。図2および図3に示す蛍光体 部の詳細な構造を示す拡大断面図である。 本発明の一実施の形態であるPDPの製造 法の一工程を示す図であって、図4~図7に示 前面基板構造体の斜視図である。 本発明の他の実施の形態であるPDPの要 を拡大して示す要部拡大斜視図である。 図9に示す電極群、隔壁、およびP粒子 加機能層の平面的位置関係を示す表示面側 らみた要部拡大平面図である。 図9に示すPDPが維持放電をする様子を 式的に示す図であって図10に示すB-B線に沿っ た前面基板構造体の要部拡大断面図である。 本発明の他の実施の形態であるPDPの製 造方法の一工程を示す図であって、前面基板 構造体にP粒子を増加させる機能を有する結 体粒子が分散されたスラリを塗布した状態 示す要部拡大断面図である。 図12に示す前面構造体の全体に光を照 した状態を示す要部拡大断面図である。 図13に示す前面構造体に光を照射する とによりスラリの中に分散された結晶体粒 が移動する様子を模式的に示す要部拡大断 図である。

 本実施の形態を説明するための全図にお て同一機能を有するものは同一の符号を付 ようにし、その繰り返しの説明は原則とし 省略する。また、本実施の形態を説明する めの全図においては、各部材の構成をわか やすくするために、平面図であってもハッ ングや模様を付す場合がある。以下、本発 の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明 る。

 (実施の形態1)
 <PDPの基本構造>
 まず、図1および図2を用いて本実施の形態1 PDPの構造の一例について交流面放電型のPDP 例に説明する。図1は本実施の形態1のPDPの 部を拡大して示す要部拡大組み立て斜視図 図2は図1に示す電極群、隔壁、およびP粒子 加機能層の平面的位置関係を示す表示面側 らみた要部拡大平面図である。

 なお、図2ではPDPの有する電極群、隔壁、 およびP粒子増加機能層の位置関係を判りや く示すため、その他の部材は図示を省略し いる。

 図1において、PDP1は前面構造体(第1基板構 造体)11と背面構造体(第2基板構造体)12とを有 ている。前面構造体11と背面構造体12とは互 いに対向した状態で組み合わされ、その間に 放電空間24を有している。

 前面構造体11はPDP1の表示面を有し、表示 側には主にガラスで構成される前面基板(基 板、第1基板)13を有している。前面基板13の表 示面と反対側の面(第1の面)にはPDP1の表示電 であるX電極(第2電極、維持電極、サステイ 電極)14と、Y電極(第1電極、走査電極、スキ ン電極)15とがそれぞれ複数(図2参照)形成さ ている。

 X電極14およびY電極15は維持放電(表示放電 、あるいはサステイン放電とも呼ばれる)を うための電極対を構成し、例えば、行方向( 方向)に延在するようにそれぞれ交互に配置 されている。この一対のX電極14とY電極15とが PDP1における表示の行を構成する。

 このX電極14およびY電極15は一般に例えば ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な電極材料で 成されるX透明電極(透過部)14a、Y透明電極(透 過部)15aと、各透明電極に電気的に接続され Xバス電極(遮光部)14b、Yバス電極(遮光部)15b で構成される。

 このX透明電極14a、Y透明電極15aとXバス電 14b、Yバス電極15bとは後述する蛍光体部23か 発光される可視光に対する透過性が異なる

 このX透明電極14a、Y透明電極15aは、維持 電の安定化や放電効率の向上のため、例え 図2に示すように、一対の電極対間の最短距 (放電ギャップと呼ばれる)がセル25の位置に 対応して局所的に近づくようにXバス電極14b Yバス電極15bからそれぞれ対向する方向に突 して形成される。このX透明電極14a、Y透明 極15aが突出して形成される位置は、PDP1(図1 照)のセル25に該当するため、後述する蛍光 部23から発光される可視光を透過させるため に、X透明電極14a、Y透明電極15aは透明の電極 料で形成される。

 なお、図2ではX透明電極14a、Y透明電極15a それぞれ有する突出部の形状の一例としてT 型の形状を示しているが、この形状に限定さ れる訳ではなく、種々の変形例に適用するこ とができる。

 一方、Xバス電極14bおよびYバス電極15bは X電極14およびY電極15の電気抵抗を低減する めに形成され、透明電極よりも電気抵抗の いCuやAgなどの金属材料で形成されている。 た、この金属材料は単一成分に限定される ではなく、例えばCuを用いる場合には、Cuの 酸化防止やITOなどへの接着性向上のためにCr/ Cu/Crを順に積層した構造とすることもできる

 このようにXバス電極14b、Yバス電極15bは 属材料で形成されるため、可視光に対する 光性が前面基板13およびX透明電極14a、Y透明 極15aと比較して高い。つまり可視光の透過 が低い。また、Xバス電極14bおよびYバス電 15bの表面は外光の反射を防止ないしは抑制 るため、黒色あるいは暗色の色調となるよ に形成されている。

 このため、この前面基板構造体11の厚さ 向に一様な可視光を照射すると、Xバス電極1 4b、Yバス電極15bが配置される箇所では光が吸 収され、X透明電極14a、Y透明電極15aが配置さ る箇所のうち、Xバス電極14b、Yバス電極15b 重ならない領域では光が透過する構造とな ている。

 また、図1に示すように、これらの電極群 (X電極14、Y電極15)は、誘電体層17で被覆され いる。また、誘電体層17の表面には、MgO(酸 マグネシウム)などの金属酸化物で構成され 保護層18が形成されている。保護層18は誘電 体層17の一方の表面を覆うように形成されて る。

 保護層18には高いスパッタ耐性と2次電子 出係数が要求されるため、一般にMgOを用い が、材料はこれに限定されない。例えば、M gOにCaO(酸化カルシウム)を混合した複合材料 してもよい。CaOを混合することにより、保 層18のスパッタ耐性を向上させることができ る。あるいは2次電子放出係数がMgOよりも高 SrOなどの材料を用いても良い。

 また、保護層18の表面にはP(プライマリ) 子増加機能層(第1粉体層)16が形成されている 。このP粒子増加機能層16は、例えばMgOなど結 晶体である複数の結晶体粒子が保護層18の表 に凝集して形成された粉体凝集層である。 のP粒子増加機能層16の詳細な構造および機 については後述する。

 一方、図1に示す背面構造体12は、主にガ スで構成される背面基板(基板、第2基板)19 有している。背面基板19の前面基板構造体11 対向する面(第2の面)上には、複数のアドレ 電極(第3電極)20が形成されている。各アド ス電極20は、X電極14およびY電極15が延在する 方向と交差する(略直角)の列方向(縦方向)に 延在するように形成されている。また、各 ドレス電極20は、互いに沿って(略平行)とな ように所定の配置間隔を持って配置されて る。

 このアドレス電極20と、前面基板構造体11 に形成されたY電極15とは、セル25の点灯/非点 灯を選択するための放電であるアドレス放電 を行うための電極対を構成する。つまり、Y 極14は維持放電用の電極としての機能とアド レス放電用の電極としての機能とを併せ持っ ている。

 アドレス電極20は、誘電体層21で被覆され ている。誘電体層21上には背面構造体12の厚 方向に伸びる複数の隔壁(第1の隔壁、縦リブ )22が形成されている。隔壁22はアドレス電極2 0が延在する方向に沿ってライン状に延在す ように形成されている。また、隔壁22の平面 上の位置は、図2に示すように隣り合うアド ス電極20の間に配置されている。隔壁22を隣 合うアドレス電極20の間に配置することに り、各アドレス電極の位置に対応して誘電 層21の表面を列方向に区分けする放電空間24 形成される。

 また、アドレス電極20上の誘電体層21上面 、および隔壁22の側面には、真空紫外線によ 励起されて赤(R),緑(G),青(B)の各色の可視光 発生する蛍光体部23r、23g、23bがそれぞれ所 の位置に形成されている。

 また、図1に示す前面構造体11と背面構造 12とは、保護層18が形成された面と隔壁22が 成された面とが対向した状態で固定されて る。また、図示しないPDP1の周囲部は、例え ばフリットとよばれる低融点ガラス材料など の封着材により封着され、放電空間24内に、 電ガスと呼ばれるガス(例えばNeとXeの混合 ス)が所定の圧力で封入されている。

 図2に示すように一対のX電極14とY電極15と アドレス電極20との交差に対応して1個のセル 25が構成される。セル25の平面積は一対のX電 14とY電極15の配置間隔と、隔壁22の配置間隔 により規定される。

 また、各セル25には、図1に示す赤用の蛍 体部23r、緑用の蛍光体部23g、または青用蛍 体部23bのいずれかがそれぞれ形成されてい 。

 このR,G,Bの各セル25のセットにより画素( クセル)が構成される。つまり、各蛍光体部2 3r、23g、23bはPDP1の発光素子であり維持放電に よって発生する所定波長の真空紫外線に励起 されて赤(R),緑(G),青(B)の各色の可視光を発光 る。

 PDP1は、このセル25毎に維持放電を発生さ て、維持放電により発生する真空紫外線に りR、G、Bの各蛍光体部23を励起して発光さ る構造となっている。

 <PDPの駆動方式>
 次に図1~図3を用いてPDP1の基本的な駆動方式 (サブフィールド法及びアドレス表示分離方 )、駆動波形の例、セル点灯プロセス等につ て説明する。図3は図1に示すPDPの駆動波形 例を示す説明図である。

 図1に示すPDP1が組み込まれたPDP装置では 駆動制御回路(図示は省略)から送られる表示 データ等に基づき、PDP1の電極群(X電極14、Y電 極15、アドレス電極20)へ駆動波形を印加する とにより駆動する。PDP1の画面に対応するフ ィールド(フィールド期間)は、所定の輝度の み付けが与えられた複数のサブフィールド( SF)から構成される。サブフィールド(サブフ ールド期間)は、例えばリセット、アドレス サステインといった概略3つの動作期間で構 成され、これらの反復により所望のセル(サ ピクセル)25(図2参照)を点灯(発光)させる。ま た、フィールド中の点灯するサブフィールド を選択し組み合わせることで、画素(ピクセ )の輝度(階調)が表現される。図3ではサブフ ールド(SF)における図2に示す各電極(X電極14 Y電極15、アドレス電極20)に対する駆動波形 (PX,PY,PA)を示している。

 第1のステップとして、リセット動作期間 (TR)では、表示電極対であるX電極14(図2参照) Y電極15(図2参照)に駆動波形を印加すること より、表示電極(X電極14、Y電極15)対での放電 (リセット放電)を発生させて、全セルの初期 (次のアドレス動作期間に備える状態にする こと)を行う。

 第2のステップとして、アドレス動作期間 (TA)では、点灯させることを選択するセル25( 2参照)に対し、アドレス電極20及びY電極15へ 駆動波形(アドレスパルス、走査パルス)を 加することにより、アドレス電極20(図2参照) とY電極15との間での放電(アドレス放電)、及 それに続く表示電極(X電極14、Y電極15)対で 放電(維持放電、表示放電)を発生させる。

 第3のステップとして、サステイン動作期 間(TS)では、表示電極(X電極14、Y電極15)群への 駆動波形(サステインパルス)の印加により、 前のアドレス動作で選択されているセルで 表示電極(X電極14、Y電極15)対の間での放電( 持放電、表示放電、サステイン放電)を発生 させ、当該セルでの発光が行われる。

 図2に示す各セル25内の蛍光体部23(図1参照 )は、サステイン放電動作の結果、放電ガス ら放射される紫外線によって励起され、対 する色で発光する。各色の発光が、表示面 へ透過されて取り出されることで、表示の 度となる。

 図3において、リセット動作期間(TR)では まず、前半(a)、X電極14に、負の書き込み電 が印加され、Y電極15に、正の書き込み電圧( やかに上昇する波形)が印加される。これに より、セル25の発光を抑えながら、表示電極( X電極14、Y電極15)対に、正と負の壁電荷がそ ぞれ蓄積される。

 次に、後半(b)、X電極14に、正の調整電圧 印加され、Y電極15に、負の調整電圧(鈍波) 印加される。これにより、壁電荷の量が減 とともに、全てのセル25の壁電荷がほぼ等し くなる。

 アドレス動作期間(TA)では、選択対象(点 させることを選択する対象)のセル25に対し X電極14に、正の走査電圧が印加され、Y電極1 5に、負の走査パルスが印加され、アドレス 極20に、正のアドレスパルスが印加される。 これにより選択されたセルは、放電(アドレ 放電)を開始する。

 図3に示す駆動方式の場合、アドレス放電 時において、駆動波形PYには負の走査パルス 印加され、駆動波形PAに正のアドレスパル が印加される。つまり、アドレス放電時に いて図1に示すY電極15が陰極、アドレス電極2 0が陽極となる。

 なお、駆動方式は図3に示す方法に限定さ れず、例えば上記アドレスパルスの正負を逆 転して印加することもできる。この場合、ア ドレス放電時のY電極15は陽極、アドレス電極 20は陰極として動作することとなる。

 サステイン動作期間(TS)では、表示電極(X 極14、Y電極15)対の群に、まず、負及び正の 持パルスが印加される(c)。これにより、点 することを選択されたセル25の放電状態が 持される。続いて、表示電極(X電極14、Y電極 15)対の群に、互いに極性の異なる維持パルス が繰り返し印加される(d)。これにより、点灯 することを選択されたセル25での放電が繰り し行われる。維持パルスの印加後(e)には、 えば次のリセット動作期間(TR)につながる調 整の波形が表示電極(X電極14、Y電極15)に印加 れる。

 <P粒子増加機能層の詳細構造>
 次に図1~図3を用いてP粒子増加機能層16の詳 な構造と機能について説明する。

 図3を用いて説明したように、アドレス動 作期間(TA)では選択対象(点灯させることを選 する対象)のセル25(図2参照)に対し、Y電極15( 図2参照)に、負の走査パルスが印加され、ア レス電極20(図2参照)に、正のアドレスパル が印加される。

 ここで、Y電極15に走査パルスを印加して アドレス電極20にアドレスパルスを印加し 時に、放電空間24(図1参照)内の選択されたセ ル25に対応する位置に存在するP粒子(プライ ング粒子、荷電粒子)の量によって、アドレ 放電が開始されるまでの時間がばらつく問 がある。すなわち、放電空間24内にP粒子が 分に存在する場合、走査パルスおよびアド スパルスを印加してからアドレス放電が開 されるまでの時間(アドレス放電遅れ)は短 が、P粒子の存在量が少ない場合、アドレス 電遅れは長くなってしまうという問題であ 。

 そこで、本実施の形態1では、前面基板構 造体11(図1参照)の放電空間24に露出する面にP 子増加機能層(第1粉体層)16を形成した。

 このP粒子増加機能層16は、例えば気相法 形成された金属(詳しくは2価の金属)酸化物 晶体粒子の粉体が凝集して形成された(2価 )金属酸化物結晶体粒子凝集層である。この うな結晶粉体として例えば、MgO結晶粉体が る。また、酸化カルシウム結晶粉体、酸化 トロンチウム結晶粉体、あるいは酸化バリ ム結晶粉体などもMgO結晶粉体と構成が類似 ているため用いることができると考えられ 。

 このP粒子増加機能層16が放電空間24内のP 子をどのようなメカニズムにより増加させ のかは現時点では詳細には解明されていな 。しかし、P粒子増加機能層16を放電空間24 露出させて形成することにより、該露出し 領域周辺のP粒子(詳しくは電子)の量が増加 ることは実験的に判っている。

 また本発明者の実験により、P粒子増加機 能層16の露出面積を大きくする程、P粒子(電 )の量を多くすることが出来ることも判った

 しかし、P粒子増加機能層16は略立方体の 晶体粒子が凝集して形成された層であるた 、図1に示す保護層18の全面に形成すると、 光体部23から発光された可視光がP粒子増加 能層16で乱反射してPDP1の発光効率が低下し しまう。

 また、図3に示すサステイン動作期間(TS) 、表示電極(X電極14、Y電極15)対の群に、維持 パルスを印加しても、P粒子増加機能層16によ って放電の広がりが阻害され易くなる。この ため、適正な維持放電を行うために印加する 電圧量が高くなるのでマージンの悪化を引き 起こす原因となる。

 そこで、本発明者は、アドレス放電遅れ ばらつく問題を解決するために必要な量のP 粒子を確保しつつP粒子増加機能層16の形成面 積を最小限とするための構造について検討を 行った。

 図2に示すように、本実施の形態1では、P 子増加機能層16を保護層18の表面全体に形成 するのではなく、保護層18の表面であって、Y バス電極15aと重なる位置に選択的に形成して いる。

 ここで、P粒子増加機能層16の例として例 した各結晶粉体はP粒子としての電子を増加 させる機能を有している。つまり、負の電気 的極性を有するP粒子を増加させる。一方、Y ス電極15b(Y電極15)は前述の通りアドレス放 時に陰極となる。したがって、P粒子増加機 層16は、アドレス放電時にP粒子と同じ電気 極性となるYバス電極15bと重なる位置に選択 的に形成されている。

 このようにP粒子が電子である場合、アド レス放電遅れのばらつきを抑制するためには 、アドレス放電時に陰極となる電極近傍の放 電空間24、すなわち本実施の形態1ではY電極15 が形成された領域近傍の放電空間24のP粒子が 十分に存在していれば良い。

 つまり、P粒子増加機能層16を、Yバス電極 15bと重なる位置に選択的に形成することによ りアドレス放電遅れのばらつきを抑制するこ とができる。

 また、P粒子増加機能層16の背面基板構造 12と対向する主面16aは、放電空間24に露出し ている。このように、P粒子増加機能層16の側 面のみではなく、主面16aも放電空間24に露出 せることにより、P粒子増加機能層16が放電 間24内のP粒子を増加させる機能を向上させ ことができる。つまり、アドレス放電遅れ ばらつきを防止ないしは抑制することがで る。

 また、P粒子増加機能層16を、Yバス電極15b と重なる位置に選択的に形成することにより 、P粒子増加機能層16の形成面積を最小限に抑 えることができる。このため、蛍光体部23か 発光された可視光はP粒子増加機能層16を形 していない領域を透過するので、上記したP DP1の発光輝度の低下を抑制することができる 。

 なお、P粒子増加機能層16を形成した領域 、可視光に対する遮光性が高いYバス電極15b と重なる領域であるため、P粒子増加機能層16 の有無に係わらず可視光は遮光される領域で ある。したがって、Yバス電極15bと重なる領 にP粒子増加機能層16を形成したことによる 光効率の低下は無視できるほど小さい。

 本実施の形態1では、アドレス放電時に図 1に示すY電極15が陰極となる駆動回路を有し P粒子増加機能層16が増加させるP粒子が負の 気的極性を有する電子であるため、Yバス電 極15bと重なる領域にP粒子増加機能層16を形成 した。しかし、上記構成には種々の変形例が ある。

 例えば、アドレス放電時に図1に示すY電 15が陽極となる駆動回路を有し、P粒子増加 能層16が増加させるP粒子が正の電気的極性 有する荷電粒子(例えば陽イオン)である場合 であっても、Yバス電極15bと重なる領域にP粒 増加機能層16を形成することにより、アド ス放電遅れを抑制しつつ、発光輝度の低下 抑制することができる。

 また、本実施の形態1ではアドレス電極20 背面基板構造体12側に形成したが、アドレ 電極20を前面基板構造体11側に形成する場合 ある。例えば、図2に示す各電極群(X電極14 Y電極15、アドレス電極20)と同様な平面的な 置構造を有しつつ、図1に示す誘電体層17と 護層18との間にアドレス電極20とこれを被覆 る第2の誘電体層を形成する場合がある。

 この構造において、アドレス放電時に図1 に示すY電極15が陽極となる駆動回路を有し、 P粒子増加機能層16が増加させるP粒子が負の 気的極性を有する電子である場合には、ア レス放電時に陰極となるアドレス電極20と重 なる領域にP粒子増加機能層16を形成すること により、アドレス放電遅れを抑制しつつ、発 光輝度の低下を抑制することができる。

 また、この構造において、アドレス放電 に図1に示すY電極15が陰極となる駆動回路を 有し、P粒子増加機能層16が増加させるP粒子 正の電気的極性を有する荷電粒子(例えば陽 オン)である場合には、アドレス放電時に陽 極となるアドレス電極20と重なる領域にP粒子 増加機能層16を形成することにより、アドレ 放電遅れを抑制しつつ、発光輝度の低下を 制することができる。

 ただし、アドレス電極20が図1に示すよう 背面基板構造体20に形成される構成におい 、このアドレス放電時のアドレス電極20の電 気的極性がP粒子の電気的極性と同じである 合、上記した発光輝度の低下の問題は発生 ないのでこの構成は除かれる。

 <PDPの製造方法の概要>
 次に、本実施の形態1のPDP1の製造方法の概 について図1を用いて説明する。本実施の形 1のPDP1の製造方法は以下の工程を有してい 。

 (a)まず、図1に示す前面基板構造体11(P粒 増加機能層16を除く)を形成する。前面基板 造体11は例えば以下のように形成される。

 まず、前面基板(第1基板)13を用意して表 面の反対側となる第1の面にX透明電極(透明 )14aおよびY透明電極(透明部)15aを例えば図2に 示すような所定のパターンで形成する。また 、X透明電極14a、Y電極15a上にそれぞれXバス電 極(遮光部)14b、Yバス電極(遮光部)15bを形成す 。

 次に、前面基板13上に、X電極14およびY電 (第1電極)15を被覆する誘電体層17、保護層18 順次積層して形成する。なお、保護層18は えばMgOで構成され、例えば蒸着法により形 することができるが、保護層18を構成するMgO などの金属酸化物は雰囲気中の水分などを吸 着しやすい性質を有している。このため、本 保護層形成工程は真空(減圧)雰囲気中で行い 保護層18への水分の付着を防止ないしは抑 することが好ましい。

 (b)また、図1に示す背面基板構造体12を形 する。背面基板構造体12は例えば以下のよ に形成される。

 まず、背面基板19を用意して一方の面(第2 の面)にアドレス電極20を所定のパターンで形 成する。次に背面基板19の表面にアドレス電 20を覆うように誘電体層21を形成する。次に 誘電体層21の表面に放電空間24を区画する隔 22を形成する。隔壁22は、アドレス電極20に って延在するように形成する。次に、隔壁22 で区画された各放電空間24内に蛍光体部23を 布、加熱して形成する。

 なお、背面基板構造体12は、必ずしもこ 段階で用意する必要はなく、後述する(d)工 の前に用意すれば良い。

 (c)次に前面基板構造体11の第1の面側の表 (つまり保護層18の表面)であって、Y電極15が 形成される位置と重なる領域にP粒子増加機 層16を選択的に形成する。本工程については 後で詳細に説明する。

 (d)次に前面基板構造体11の第1の面側と第2 基板構造体の第2の面側とを対向させた状態 重ね合わせて組み立てる。

 この工程では、各基板構造体11、12のいず れかに形成された電極群(X電極14、Y電極15、 ドレス電極20)が、例えば図2に示すような所 の位置関係となるように位置合わせされた 、重なった状態で固定され、各基板構造体1 1、12の外周を図示しない封着剤(例えばシー フリット)などで封着する。

 各基板構造体11、12の外周が封着された後 、少なくともいずれか一方の基板構造体11、1 2に形成された図示しない通気孔を介して放 空間24の内部空間のガスが排出する。また、 その後該通気孔を介して所定の放電ガスが所 定の圧力で封入される。放電ガスが封入され た後、通気孔を封止して図1に示すPDP1が得ら る。

 <P粒子増加機能層を選択的に形成する工 >
 ところで、上記<P粒子増加機能層の詳細 造>で説明した気相法で形成したMgO結晶体 子などの結晶体粒子の凝集体は、不安定な( 反応性の高い)物質である。このため、図1お び図2に示すP粒子増加機能層16を選択的に形 成する方法として、樹脂ペースト化した結晶 体粒子粉体を選択的に塗布する方法を用いる と、ペースト化させる工程中、あるいは、塗 布したペーストを焼成してバインダ樹脂成分 を蒸発させる工程中に変質してしまう問題が あった。つまり、現在までP粒子増加機能層16 を所望の位置に選択的に形成する技術は確立 されていなかった。

 以下で、本実施の形態1のP粒子増加機能 16を形成する工程を示す断面図である図4~図7 を用いて、本発明者が検討および実験を行っ た結果確立したP粒子増加機能層16を選択的に 形成する技術について説明する。

 図4は本実施の形態1の前面基板構造体にP 子を増加させる機能を有する結晶体粒子が 散されたスラリを塗布した状態を示す要部 大断面図、図5は図4に示す前面構造体のP粒 増加機能層を形成したい領域に選択的に光 照射した状態を示す要部拡大断面図である また、図6は図5に示す前面構造体に光を照 することによりスラリの中に分散された結 体粒子が移動する様子を模式的に示す要部 大断面図、図7は図6に示す有機溶媒が完全に 蒸発してP粒子増加機能層が形成された状態 示す要部拡大断面図である。

 なお、図4~図7に示す各断面図は、図2に示 すA-A線に沿った前面基板構造体の断面図であ って、表示面側を下面側とした状態で示して いる。

 (c1)まず、図1に示すP粒子増加機能層16を 成する結晶体粒子(第1粒子)30(図4参照)が、有 機溶媒31(図4参照)中に分散されたスラリ32を 備する(スラリ準備工程)。

 スラリ32の原料となる結晶体粒子30は上記 <P粒子増加機能層の詳細構造>で説明した 例えばMgOなど(2価の)金属酸化物結晶体粒子を 粉体化したものである。この結晶体粒子30の 製方法は特に限定されないが、例えば、MgO 結晶体粒子30の場合、マグネシウム蒸気と 素を反応させる気相法で製造することがで る。結晶体粒子30を気相法で製造することに より、純度の高い単結晶粉体が得られる。

 また、気相法で製造する際に結晶体粒子3 0の1次粒子が凝集している場合には、予め解 しておくことが好ましい。結晶体粒子30の 集体である2次粒子の粒子径が大きいと、ス リ32中でこの凝集体が沈降する場合がある 、予め解砕しておくことによりこれを防止 きる。

 次に、結晶体粒子30を有機溶媒31中に混合 、分散させてスラリ32が得られる。この有機 媒31は、結晶体粒子30を分散させることが可 能な液状のものであって、後述する有機溶媒 蒸発工程で蒸発させることができるものであ れば特に限定されない。例えば、アルコール 系の有機溶媒を用いることができる。

 ただし、粉体粒子をペースト化する際に 般にバインダ樹脂として用いられるポリマ 機化合物は含まないようにすることが好ま い。ポリマ有機化合物を含んでいる場合、 述する有機溶媒蒸発工程で、蒸発させるた に高温で焼成する必要が生じる。この焼成 に結晶体粒子30が蒸発前の有機化合物等と 応して変質する場合があるからである。

 (c2)次に、図4に示すようにスラリ32を前面 基板構造体11の前記した第1の面側の表面、す なわち保護層18の表面に塗布する(スラリ塗布 工程)。

 この工程ではスラリ32を保護層18の表面全 体に塗布すれば良く、結晶体粒子30が特定の 域に集まるように塗布する必要はない。し がって、塗布手段は特に限定されない。例 ば、スプレーガンを用いてスラリ32を保護 18の表面に吹付ける手段を用いることができ る。

 また、例えば、スクリーン印刷装置や、 ロットコータなどを用いて保護層18の表面 スラリ32を塗布しても良い。ただし、スクリ ーン印刷法やスロットコート法を用いる場合 には、スプレー法と比較してスラリ32が厚く 布される。したがって保護層18の外側にス リ32がこぼれることを防止するために、保護 層18の外周を枠状に取り囲む壁となる治具を いることが好ましい。

 (c3)次に図5に示すように、前面基板構造 11に光を照射して、図6に示すYバス電極15bが 成された領域の温度を選択的に上昇させた 態でスラリ32の有機溶媒31を蒸発させる(有 溶媒蒸発工程)。

 この工程では、例えば、図5に示す前面基 板構造体11のスラリ32が塗布された面側から 透明な材料である前面基板13やY透明電極15a 保護層18は透過するが、遮光部であるYバス 極15bには吸収されるような光35を照射する。 図5では波長が約400nm~約800nm程度の可視光を例 えばレーザ光のように指向性や収束性を高め た状態で集光した光35をYバス電極15bが形成さ れた領域に沿って選択的に照射している状態 を示している。

 光35が遮光部であるYバス電極15bに照射さ ると、Yバス電極15bは光35を吸収して加熱さ る。そして、図6に示すYバス電極15bの周辺 第1領域36はその他の領域と比較して温度が くなる。つまり、Yバス電極15bが形成された 域の温度が選択的に上昇する。この結果、 護層18の表面上には、Yバス電極15bと重なる 域と、その他の領域とで温度差が生じる。

 このため、Yバス電極15bと重なる領域に塗 布されたスラリ32の有機溶媒31は他の領域よ も活発に蒸発することとなる。つまり有機 媒31の単位時間蒸発量はYバス電極15bと重な 領域が他の領域と比較して多くなる。

 ここで、本発明者は有機溶媒31のように 度が低く、高い流動性を有する液体中に分 された結晶体粒子30は、図6に示すように単 時間当りの有機溶媒31の蒸発量が多い領域に 集まるように移動することを実験的に確認し た。

 この現象は、以下の理由によるものと考 られる。すなわち、単位時間蒸発量がその 囲と比較して局所的に多い領域が形成され と、該領域の有機溶媒31の残存量が周辺領 よりも早く少なくなる。このため、この周 領域の有機溶媒31が単位時間蒸発量の多い領 域に向かって移動する流れができる。図6に すようにスラリ32中の結晶体粒子30はこの有 溶媒31の流れに同伴されて、単位時間蒸発 の多い領域、すなわちYバス電極15bと重なる 域に向かって移動するためと考えられる。

 本実施の形態1では図5に示す光35として可 視光を用いた。可視光には、略透明な材料で 構成される前面基板13やY透明電極15a、保護層 18などは透過するが、遮光部である金属材料 構成されるYバス電極15bには吸収される性質 を持っている。

 このため、集光された光35の少なくとも 部が、Yバス電極15bに照射されればYバス電極 15bが加熱される。一方、前面基板13やY透明電 極15a、保護層18などの部材に光35が照射され 場合であっても光35は透過するため、これら の部材は加熱されず、結果として上記した温 度差が生じることとなる。

 したがって、光35の集光の程度およびYバ 電極15bの配置位置に対する位置合わせ(アラ イメント)精度は厳密なものでなくても良く 少なくとも光35の一部がYバス電極15bに照射 れていれば良い。

 ただし、照射する光35のエネルギー効率 考慮する場合、Yバス電極15bに照射されない 35はYバス電極15bの加熱に寄与しないので、 きる限り少なくすることが好ましい。つま 、集光した光35をYバス電極15bに沿って選択 に照射することが好ましい。また、光35を 射する領域が、Yバス電極15bが形成された領 と同一である場合、理論上照射する光35の ネルギー効率は最大となる。

 光35の変形例として例えば赤外線など可 光よりも波長が長い光を用いることもでき 。ただし、赤外線など可視光よりも波長が い光は、前面基板13やY透明電極15a、保護層18 なども吸収するので、これを用いる場合は可 視光を用いる場合よりも収束性を高めたレー ザ光を用いる必要がある。また、Yバス電極15 bの配置位置に対する位置合わせ(アライメン )精度も向上させる必要がある。

 また、光35は、Yバス電極15bと重なる領域 その他の領域において温度差が生じ、塗布 れたスラリ32の有機成分31が活発に蒸発する のに十分な強度を有している。

 ところで、上記(c2)工程と(c3)工程とはか らずしも順番に実施する必要はなく、並行 て進行させることもできる。以下図8を用い 説明する。

 図8は、本実施の形態1の(c2)工程および(c3) 工程を並行して進行させる方法の一例を示す 説明図であって、図4~図7に示す前面基板構造 体の斜視図である。

 本実施の形態1の(c2)工程および(c3)工程を 行して進行させる場合、図4に示すスラリ32 、例えばスプレー法などを用いてYバス電極 15bが形成された位置に沿ってスキャンしなが ら塗布する。図8では、スラリ32を塗布するス キャン方向37の例を矢印で示している。

 スラリ32はスプレーガン(塗布装置)38がス ャン方向37に通過することにより、Yバス電 15b(図4)に沿って塗布される。ここで、スラ 32に含まれる有機溶媒31(図4参照)は、例えば アルコール系の有機化合物であり、揮発性が 高い。このため、スラリ32の塗布が完了した の放置時間が長くなると、雰囲気の温度に って揮発してしまう場合がある。

 そこで、図8に示すように、例えばスプレ ーガン38の後を光照射装置39が追従するよう 構成とする。つまり、スラリ32の塗布が完了 した領域に対して逐次的に光35を照射する。

 このように(c2)工程および(c3)工程を並行 て進行させて、スラリ32の塗布が完了した領 域に対して逐次的に光35(図5参照)を照射する とにより、スラリ32を塗布した後の放置時 は大幅に短縮される。このため、スラリ32に 含まれる有機溶媒31の揮発を防止ないしは抑 することができる。

 この(c3)工程が完了すると、スラリ32中に 散されていた結晶体粒子30は図7に示すよう 保護層18の表面であって、Yバス電極15bと重 る領域に凝集してP粒子増加機能層16が選択 に形成される。

 以上説明したように、本実施の形態1によ れば、前面基板構造体11の保護層18の表面で って、Yバス電極15bと重なる領域にP粒子増加 機能層16を選択的に形成することができる。

 また、保護層18の表面に塗布するスラリ32 中の結晶体粒子30は特定の場所に固まって配 されている必要はなく、分散されていれば い。結晶体粒子30が分散された状態であっ も自動的に所定の領域に結晶体粒子30が凝集 する。したがって、製造工程を簡略的なもの とすることができる。

 また、保護層18の表面であって、Yバス電 15bと重なる領域にP粒子増加機能層16を形成 、P粒子増加機能層16の背面基板構造体12と 向する主面16aが放電空間24に露出する構造と することにより、アドレス放電遅れのばらつ きを防止ないしは抑制することができる。

 また、Yバス電極15bと重なる領域にP粒子 加機能層16を形成する領域を選択的に形成す ることにより、蛍光体部23から発光される可 光を散乱させる現象、あるいは維持放電時 放電の広がりを阻害する現象を最小限に留 ることができるので、発光効率の低下を抑 することができる。

 <本実施の形態1の変形例>
 図1~図8では、Yバス電極15bと重なる領域のみ にP粒子増加機能層16を選択的に形成する構成 について説明した。しかし、P粒子増加機能 16を形成する領域はYバス電極15bと重なる領 のみに限定される訳ではない。

 以下図9~図11を用いて本実施の形態1の第1 変形例について説明する。図9は本実施の形 態1の変形例であるPDPの要部拡大組み立て要 拡大組み立て斜視図、図10は図9に示す電極 、隔壁、およびP粒子増加機能層の平面的位 関係を示す表示面側からみた要部拡大平面 である。また、図11は図9に示すPDPが維持放 をする様子を模式的に示す図であって図10 示すB-B線に沿った前面基板構造体の要部拡 断面図である。

 図9に示すPDP1aと図1に示すPDP1との相違点 、P粒子増加機能層16が第1の面側の表面、す わち保護層18の表面であって、Yバス電極15b 重なる領域に加えて、Xバス電極14bと重なる 領域にも形成されている点である。

 このXバス電極14bが構成するX電極14は、前 述の通り、蛍光体部23を励起するための放電 ある維持放電時に、Y電極15と対をなす電極 ある。また、このXバス電極14bはYバス電極15 bと同様の材料で形成されており、可視光に する遮光性は前面基板13よりも高く、P粒子 加機能層16の有無に係わらず蛍光体部23から 可視光は遮光される領域である。このため Yバス電極15bと重なる領域にP粒子増加機能 16を形成したことによる発光効率の低下は無 視できるほど小さい。

 また、Xバス電極14bと重なる領域に形成し たP粒子増加機能層16の背面基板構造体と対向 する面である主面16aも放電空間24に露出して る。このため放電空間24内のP粒子をさらに 加させることができる。

 また、Xバス電極14b、Yバス電極15bの各々 重なる領域にP粒子増加機能層16を形成する とにより図1~図8を用いて説明した効果に加 て以下の効果が得られる。

 図11において、X電極14、Y電極15で維持放 を行う場合、まず、X電極14、Y電極15とが最 近づく領域、すなわち放電ギャップ(詳しく X透明電極14aとY透明電極15aとが互いに対向 る側の先端間の領域)で維持放電の初期放電4 0が発生する。この初期放電40は徐々に周囲に 拡大して、本放電41の大きさとなる。

 ここで、前述の通り、保護層18の表面上 形成されるP粒子増加機能層16はこの放電の 大を阻害する要因となる。拡大を阻害され 本放電41は例えば図11に示す大きさで維持さ ることとなる。

 ところで、PDPの点灯/非点灯の単位である セル25平面積は図10に示すように一対のX電極1 4とY電極15の配置間隔と、隔壁22の配置間隔に より規定される。

 図11に示す本放電41の大きさは図10に示す ル25の端部周辺まで拡大した所で維持され 。つまり、セル25内における透過率の高い領 域(Xバス電極14b、Yバス電極15b、隔壁22などと ならない領域)まで、維持放電の本放電41を 率的に拡大させて、セル25内を超えて拡大 ることを抑制することができる。

 このため、維持放電によって放電ガスか 放射される紫外線は図9に示す蛍光体部23に 率的に照射され、PDP1aの発光に寄与しない 域に照射される紫外線の量を抑制すること できるので、PDP1aの発光効率を向上させるこ とができる。

 図9~図11に示すPDP1aは、図1に示すPDP1と略 様に製造することができる。相違点は、前 の(c3)工程で、図5に示す光35をYバス電極15bに 沿って照射する際に、Xバス電極14bに沿って 射する工程も追加すればよい。また、保護 18の表面に凝集させる結晶体粒子30の量が増 るため、前述した(c1)工程では、予めスラリ 32中に分散させる結晶体粒子30の量を(好まし は2倍以上に)増やしておくことが好ましい

 (実施の形態2)
 前記実施の形態1では、前面基板構造体11の 護層18の表面であって、Yバス電極15bと重な 領域にP粒子増加機能層16を選択的に形成す 方法として、Yバス電極15bに沿って集光した 光35を照射する構成について説明した。

 本実施の形態2では、前面基板構造体11全 に光を照射する方法について説明する。な 、本実施の形態2のPDPの構造は前記実施の形 態1で説明した図9に示すPDP1aと同様の構造で る。したがって、本実施の形態2では必要に じて前記実施の形態1で説明した図9~図11を 照し、繰り返しの説明は原則として省略す 。

 図9に示す本実施の形態2のPDP1aと前記実施 の形態1で説明した図1に示すPDP1はその製造方 法が異なる。より詳しくは、前記実施の形態 1で説明した(c)工程での光の照射方法が異な 。以下に本実施の形態2のPDPの製造方法のう 、(c)工程の相違点について図12~図14を用い 説明する。

 図12は本実施の形態2の前面基板構造体にP 粒子を増加させる機能を有する結晶体粒子が 分散されたスラリを塗布した状態を示す要部 拡大断面図、図13は図12に示す前面構造体の 体に光を照射した状態を示す要部拡大断面 である。また、図14は図13に示す前面構造体 光を照射することによりスラリの中に分散 れた結晶体粒子が移動する様子を模式的に す要部拡大断面図である。

 まず、(c1)工程において、前記実施の形態 1との相違点は、スラリ32中に分散させる結晶 体粒子30の量である。前記実施の形態1で説明 したように、PDP1aは保護層18の表面であって Yバス電極15bと重なる領域に加えて、Xバス電 極14bと重なる領域にも形成する。このため図 1に示すPDP1と比較して保護層18の表面に凝集 せる結晶体粒子30の量が増える。したがって 、前述した(c1)工程では、例えば、図12に示す ように予めスラリ32中に分散させる結晶体粒 30の量を増やしておくことが好ましい。

 次に、(c2)工程においては、前記実施の形 態1との相違点は、特にない。

 次に、(c3)工程においては、前記実施の形 態1との相違点は、光の照射方法である。

 前記実施の形態1では図5に示すように集 した光35を照射した。本実施の形態2では、 13に示すように、例えば、図13に示す前面基 構造体11のスラリ32が塗布された面側から略 透明な材料である前面基板13やY透明電極15a、 保護層18は透過するが、遮光部であるXバス電 極14bおよびYバス電極15bには吸収されるよう 光45を前面基板構造体11の面全体に照射する

 光45は、波長が約400nm~約800nm程度の可視光 である。この可視光は前述の通り、略透明な 材料で構成される前面基板13やY透明電極15a、 保護層18などは透過するが、遮光部である金 材料で構成されるXバス電極14bおよびYバス 極15bには吸収される性質を持っている。

 このため、前面基板構造体11の全面に光45 を照射しても、Xバス電極14bおよびYバス電極1 5bが選択的に加熱され、その他の領域よりも 温になる。つまり、前記実施の形態1で説明 したように、保護層18の表面上には、Yバス電 極15bと重なる領域およびXバス電極14bと重な 領域と、その他の領域とで温度差が生じる

 したがって、結晶体粒子30は図14に示すよ うに有機溶媒31の単位時間蒸発量が多い領域 すなわちYバス電極15bおよびXバス電極14bと なる領域に向かって集まるように移動し、 集する。

 本実施の形態2では、前記実施の形態1と 較して前面基板構造体11を透過する光45の量 多い。このため、光の照射エネルギー効率 観点からは前記実施の形態1の方が好ましい 。

 しかし、本実施の形態2では、前面基板構 造体11の全面に光45を照射しても自動的にYバ 電極15bおよびXバス電極14bと重なる領域に選 択的にP粒子増加機能層16を形成することがで きるため、位置合わせ(アライメント)を行う 要がなくなる。製造工程を簡略化して、製 効率を向上させることができる。

 また、結晶体粒子30は、前述の通り、変 しやすいためこのP粒子増加機能層16を形成 る工程は減圧(真空)雰囲気中で行うことが好 ましい。このように減圧(真空)雰囲気中で製 作業を行う場合、一般に製造装置の機構は 来る限り単純化することが好ましい。装置 小型化や低塵化に寄与するからである。

 本実施の形態2では、光45を照射する際の 置合わせが不要となるので、装置を単純化 ることができる。

 また、製造工程の簡略化および製造装置 単純化を図る観点からは、本実施の形態2の (c3)工程は、(c2)工程で前面基板構造体11の保 層18の表面全体にスラリ32を塗布した後で行 方が好ましい。前記実施の形態1で説明した ように(c2)工程および(c3)工程を並行して進行 せて、スラリ32の塗布が完了した領域に対 て逐次的に光35を照射する方法と比較して、 製造工程の簡略化および製造装置の単純化が 可能となるからである。

 またこの場合、スラリ32に含まれる有機 媒31は揮発し易いので、スラリ32を厚く塗布 来る方法(例えば、前記実施の形態1で説明 たようにこぼれ防止用の枠状の治具を用い スクリーン印刷法やスロットコート法)を用 ることが好ましい。

 この(c3)工程が完了すると、スラリ32中に 散されていた結晶体粒子30は図11に示すよう に保護層18の表面であって、Xバス電極14bおよ びYバス電極15bと重なる領域に凝集して形成 れる。

 なお、前記実施の形態1で説明した効果は 、製造方法の違いによる効果の程度の差はあ るが本実施の形態2でも得られることは言う でもない。

 (実施の形態3)
 前記実施の形態1、2では、前面基板構造体11 の保護層18の表面であって、Yバス電極15bと重 なる領域にP粒子増加機能層16を選択的に形成 する方法として、前面基板構造体11に光35、45 を照射する構成について説明した。

 本実施の形態3では、Yバス電極15bを通電 せることにより加熱する方法について説明 る。なお、本実施の形態3のPDPの構造は前記 施の形態1、2で説明した図1に示すPDP1あるい は図9に示すPDP1aと同様の構造である。したが って、本実施の形態3では必要に応じて前記 施の形態1、2で説明した図1~図14を参照し、 り返しの説明は原則として省略する。

 本実施の形態3の製造方法と前記実施の形 態1、2で説明した製造方法は図1、図9に示すY ス電極15b(およびXバス電極14b)の加熱手段が なる。つまり、前記実施の形態1、2で説明 た製造方法とは、(c3)工程が異なる。

 より詳しくは、前記実施の形態1、2では 35、45を照射することにより加熱したのに対 、本実施の形態3では、Yバス電極15b(およびX バス電極14b)に通電することにより加熱する

 (c3)本実施の形態3では、図7あるいは図14 示すYバス電極15b(およびXバス電極14b)に電圧 印加して通電する。電圧を印加する際に通 用の電極端子が必要な場合は、例えば、前 実施の形態1、2で説明した(c2)工程の前に、 2あるいは図10に示すYバス電極15b(およびXバ 電極14b)の端部に図示しない電極端子を形成 しておく。この通電用の電極端子はP粒子増 機能層16を形成した後(例えば前面基板構造 11と背面基板構造体12とを組み立てた後)で切 り落としても良い。

 ところで、Yバス電極15b(およびXバス電極1 4b)はY透明電極15a(およびX透明電極14a)と電気 に接続されているが、通電した場合、電気 抗の低い部材であるYバス電極15b(およびXバ 電極14b)に殆どの電流が流れる。

 このため、通電した結果Yバス電極15b(お びXバス電極14b)が加熱され、その他の領域よ りも高温になる。つまり、前記実施の形態1 説明したように、保護層18の表面上には、Y ス電極15b(およびXバス電極14b)と重なる領域 重なる領域と、その他の領域とで温度差が じる。

 したがって、結晶体粒子30は図14に示すよ うに有機溶媒31の単位時間蒸発量が多い領域 すなわちYバス電極15b(およびXバス電極14b)と 重なる領域に向かって集まるように移動し、 凝集する。つまり、P粒子増加機能層16を保護 層18の表面であってYバス電極15b(およびXバス 極14b)と重なる領域に選択的に形成すること ができる。

 本実施の形態3では、光を透過させる訳で はないので、略透明な材料で形成される前面 基板13、Y透明電極15a、保護層18や遮光部であ Xバス電極14b、Yバス電極15bの光の透過率を 慮する必要がない。

 したがって、前記実施の形態1で説明した 効果に加えて設計上の自由度を向上させるこ とができる。

 なお、本実施の形態3では、通電させる電 極を適宜選択することにより、図1に示すPDP1 製造することもできるし、図9に示すPDP1aを 成することができることは言うまでもない

 以上、本発明者によってなされた発明を 施の形態に基づき具体的に説明したが、本 明は前記発明の実施の形態に限定されるも ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種 変更可能である。

 例えば、PDPは、要求性能や駆動方式など 応じて各種構造が存在し、実施の形態1~3で 明したPDP1、PDP1aとは異なる構造のPDPにも適 することができる。

 例えば、実施の形態1ではPDPの構造例とし て放電空間24をライン状(縦方向)に伸びる隔 (第1の隔壁、縦リブ)22で区画されるストライ プリブと呼ばれる構造について説明した。

 しかし、輝度を向上させるなどの目的で この隔壁22と略直交方向に交差する横隔壁( 2の隔壁、横リブ)を複数形成し、セル25毎に 隔壁22と横隔壁で区画するボックスリブと呼 れる構造もある。

 このようにボックスリブ構造のPDPに適用 る場合は、前面基板構造体の表面(例えば保 護層の表面)であってYバス電極(およびXバス 極)が形成された領域と重なる領域が、横隔 と重ならないような構造とすれば良い。こ ような電極配置構造とすることにより、P粒 子増加機能層の背面基板構造体と対向する主 面が放電空間に露出することとなり、アドレ ス放電遅れのばらつきを抑制することができ る。またP粒子増加機能層は選択的に形成さ るので、発光効率の低下も抑制することが きる。

 また、例えば、外光の反射を抑制して明 コントラストを向上させるため、図2に示す 上段のセル25と下段のセル25との間の非表示 域(前面基板構造体側)に黒色あるいは暗色の 遮光部を形成する構造(一般に黒帯あるいは ラックストライプと呼ばれる)がある。

 この構造のPDPに例えば、実施の形態2で説 明した製造方法を適用すると、上記非表示領 域に形成した遮光部と重なる領域にもP粒子 加機能層16が形成されることとなる。しかし 、非表示領域にP粒子増加機能層16が形成され てもPDPの発光効率の低下には繋がらないため 、本構造にも適用できることは言うまでもな い。

 本発明は、PDP、PDPに駆動回路などの各種 路基板を取り付けたPDPモジュール、あるい PDPモジュールにカバーや支持部材を取り付 たPDP装置に適用できる。