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Title:
PROCESS FOR PRODUCING PREPARATION FOR ORAL ADMINISTRATION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/129730
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing or continuously producing a preparation for oral administration, the preparation comprising a first water-swellable gel-forming layer as an outermost layer, a second water-swellable gel-forming layer as another outermost layer, and a drug enclosed in an enclosing part formed by bonding peripheral parts of the first and second water-swellable gel-forming layers to each other directly or through an adhesive layer. This production process or continuous production process comprises the following steps: (a) the step of forming a first water-swellable gel-forming layer, (b) the step of forming a recessed part in a given area of the first water-swellable gel-forming layer, (c) the step of packing a drug into the recessed part formed, and (d) the step of forming a second water-swellable gel-forming layer over the packed drug directly or through an adhesive layer and bonding the layers together in a peripheral part surrounding the recessed part.

Inventors:
KABUTO AKIO (JP)
SUGIURA YUSAKU (JP)
SUZUKI EIJI (JP)
OKABE HIDEAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074129
Publication Date:
October 30, 2008
Filing Date:
December 14, 2007
Export Citation:
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Assignee:
LINTEC CORP (JP)
KABUTO AKIO (JP)
SUGIURA YUSAKU (JP)
SUZUKI EIJI (JP)
OKABE HIDEAKI (JP)
International Classes:
A61J3/06; A61J3/07; A61K9/48
Domestic Patent References:
WO2005063217A12005-07-14
WO2005074882A22005-08-18
WO2002087622A12002-11-07
WO2005074882A22005-08-18
Foreign References:
JP2005289868A2005-10-20
JPS57114407A1982-07-16
JPS61161215A1986-07-21
JP2000516222A2000-12-05
JP2007044547A2007-02-22
JP2005298471A2005-10-27
JP2005289868A2005-10-20
Other References:
See also references of EP 2133060A4
Attorney, Agent or Firm:
OHISHI, Haruhito (6-1 Uchikanda 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 47, JP)
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Claims:
 第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル形成層が最外層に設けられ、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、直接または接着剤層を介して接合されることにより形成された内包部に、薬物が封入されてなる経口投与剤の製造方法であって、
第一の水膨潤性ゲル形成層を形成する工程(a)、
前記第一の水膨潤性ゲル形成層の所定部分に凹部を形成する工程(b)、
前記形成した凹部内に薬物を充填することにより薬物充填体を得る工程(c)、および、
前記薬物充填体上に、直接または接着剤層を介して、第二の水膨潤性ゲル形成層を形成し、前記凹部の周縁部を接合する工程(d)
を有する経口投与剤の製造方法。
 第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル形成層が最外層に設けられ、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、直接または接着剤層を介して接合されることにより形成された内包部に、薬物が封入されてなる経口投与剤の連続製造方法であって、
長尺の第一の支持体上に第一の水膨潤性ゲル形成層を形成する工程(a3)、
前記第一の水膨潤性ゲル形成層の所定部分に複数の凹部を形成する工程(b3)、
前記形成した各凹部内に薬物を充填することにより、帯状に連続する薬物充填体を得る工程(c3)、および、
前記薬物充填体上に、直接または接着剤層を介して、第二の水膨潤性ゲル形成層を形成し、前記凹部の周縁部を接合する工程(d3)
を有する経口投与剤の連続製造方法。
Description:
経口投与剤の製造方法

 本発明は、服用が容易で安全な経口投与 を、薬物への熱履歴が少なく、薬物のロス なく、かつ、効率よく製造する方法に関す 。

 経口投与剤を服用する場合、薬物の苦味 渋味等による不快感、服薬による嘔気や嘔 、服薬拒否等の原因によって服薬コンプラ アンスが低下する場合がある。例えば、経 投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例え ば、粉剤、錠剤等)の場合、そのままでは飲 込み難いため、通常は多量の水とともに服 しなければならず、服薬コンプライアンス 低下する。特に高齢者や幼児においては、 形製剤を飲み込むことが困難な場合が多い また、誤って気管に詰まらせたり、食道に り付いて食道腫瘍を形成したりする危険性 ある。

 そこで、服用の容易性及び安全性を向上 せるべく、図10(a)に示すような、薬物13の上 面及び下面にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12 び12'が積層された経口投与剤aが提案されて いる(特許文献1、2)。

 この経口投与剤aが患者の口腔内に投与さ れると、水膨潤性ゲル形成層は唾液等の水分 により膨潤してゲル化する。これにより、経 口投与剤aは飲み込みやすい大きさ、形状、 力、粘度等を有する剤形に変化するため、 用が容易となり、気管に詰まる危険性が低 し、老人や乳幼児でも安全に服用すること できるようになる。また、唾液が少なく水 潤性ゲル形成層が十分に膨潤及びゲル化し い患者の場合であっても、少量の水ととも 服用させたり、投与前に予め水に浸したり ることで同様の効果を発揮させることがで る。このときに必要となる水は、錠剤、カ セル剤等の他の固形製剤を服用するときに 要となる水と比べて非常に少量である。

 また、経口投与剤aが患者の口腔内に投与 されると、水膨潤性ゲル形成層は唾液等の水 分により膨潤してゲル化し、薬物含有層はゲ ルで覆われた状態となる。これにより、薬物 含有層に含有される薬物の味(例えば苦味、 味)や臭い等がマスキングされるので、服薬 ンプライアンスの低下を防止することがで る。

 しかしながら、図10(a)に示す経口投与剤a おいては、その端部に薬物13が露出してい 。この部分は、水膨潤性ゲル形成層12及び12' が唾液等の水分により膨潤してゲル化しても ゲルで完全には覆われないため、薬物13が若 露出したままの状態となる。このため、経 投与剤aでは、薬物13に含有される薬物の味 臭い等を完全にマスキングすることが困難 あった。

 そこで、特許文献3には、図10(b)に示すよ な、薬物含有層に含有される薬物の味、臭 等を完全にマスキングすることができる経 投与剤bが提案されている。

 特許文献3に記載された経口投与剤bは、次 ようにして製造される。
 すなわち、プラスチックフィルム等の第一 保持基材の上面に、水膨潤性ゲル形成剤等 含有する懸濁液を塗布等した後、これを乾 して水膨潤性ゲル形成層14’を形成する。 いで、水膨潤性ゲル形成層14’の上面に、接 着剤を含有する懸濁液を塗布等した後、これ を乾燥して接着剤層15’を形成する。こうし 、保持基材の上面に水膨潤性ゲル形成層14 及び接着剤層15’を順次積層してなる第一の 積層体を製造する。

 一方、第二の保持基材を用意し、上記と 様にして、該保持基材の上面に水膨潤性ゲ 形成層14及び接着剤層15を順次形成する。次 いで、接着剤層15の上面に、薬物等を含有す 懸濁液を塗布等した後、これを乾燥して薬 13を形成する。この際、薬物13の下面の大き さを、接着剤層15の上面の大きさよりも小さ なるように(すなわち、薬物13が接着剤層15 上面の中央部に形成され、接着剤層15の上面 の周縁部が露出した状態のままとなるように )調節する。こうして、第二の保持基材の上 に水膨潤性ゲル形成層14、接着剤層15及び薬 13を順次積層してなる第二の積層体を製造 る。

 次いで、第一の積層体の水膨潤性ゲル形 層14’の周縁部と第二の積層体の水膨潤性 ル形成層14の周縁部とを接着剤層15及び15’ 介して接着させることにより、薬物13が内部 に封入された経口投与剤bを製造することが きる。

 しかしながら、上述した経口投与剤bの製造 方法は、含有させる薬物量の制限があり、薬 物への熱履歴が多いため薬物が変質するおそ れがある。また、薬物13の下面の大きさを、 着剤層15の上面の大きさよりも小さくなる うに調節する必要があるため、上記製造方 により、工業的に経口投与剤bを製造する場 に生産効率上の問題があった。

WO02/087622号パンフレット

特開2005-298471号公報

特開2005-289868号公報

 本発明は、かかる従来技術の実情に鑑み なされたものであり、薬物含有層に含有さ る薬物の味、臭い等を完全にマスキングす ことができる経口投与剤を、薬物への熱履 が少なく、薬物のロスがなく、かつ、効率 く製造することができる、経口投与剤の製 方法及びその連続製造方法を提供すること 課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究を重ねた。その結果、支持体上に第一 水膨潤性ゲル形成層を形成し、該第一の水 潤性ゲル形成層の所定部分にエンボス加工 ることにより複数の凹部を形成し、形成し 各凹部に薬物を充填し、この上に、第二の 膨潤性ゲル形成層を形成し、前記凹部の周 部を接合することにより、薬物含有層に含 される薬物の味、臭い等を完全にマスキン することができる経口投与剤を効率よく製 できることを見出し、本発明を完成するに った。

 かくして本発明の第1によれば、下記(1)の経 口投与剤の製造方法が提供される。
(1)第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨 潤性ゲル形成層が最外層に設けられ、前記第 一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二 の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、直接又 は接着剤層を介して接合されることにより形 成された内包部に、薬物が封入されてなる経 口投与剤の製造方法であって、
第一の水膨潤性ゲル形成層を形成する工程(a) 、
前記第一の水膨潤性ゲル形成層の所定部分に 凹部を形成する工程(b)、
前記形成した凹部内に薬物を充填することに より薬物充填体を得る工程(c)、及び、
前記薬物充填体上に、直接又は接着剤層を介 して、第二の水膨潤性ゲル形成層を形成し、 前記凹部の周縁部を接合する工程(d)
を有する経口投与剤の製造方法。

 本発明の第2によれば、下記(2)の経口投与剤 の連続製造方法が提供される。
(2)第一の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨 潤性ゲル形成層が最外層に設けられ、前記第 一の水膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二 の水膨潤性ゲル形成層の周縁部とが、直接又 は接着剤層を介して接合されることにより形 成された内包部に、薬物が封入されてなる経 口投与剤の連続製造方法であって、
長尺の第一の支持体上に第一の水膨潤性ゲル 形成層を形成する工程(a3)、
前記第一の水膨潤性ゲル形成層の所定部分に 複数の凹部を形成する工程(b3)、
前記形成した各凹部内に薬物を充填すること により、帯状に連続する薬物充填体を得る工 程(c3)、及び、
前記薬物充填体上に、直接又は接着剤層を介 して、第二の水膨潤性ゲル形成層を形成し、 前記凹部の周縁部を接合する工程(d3)
を有する経口投与剤の連続製造方法。

 本発明の製造方法によれば、薬物の熱履歴 よる劣化が少なく、薬物のロスがなく、薬 の添加量に制限がなく、薬物が完全にマス ングされた、服用時に薬物由来の苦味や臭 に悩まされることのない経口投与剤を、効 よく製造することができる。
 本発明の連続製造方法によれば、薬物の熱 歴による劣化が少なく、薬物のロスがなく 薬物の添加量に制限がなく、薬物が完全に スキングされた、服用時に薬物由来の苦味 臭いに悩まされることのない経口投与剤を 高い生産効率で製造することができる。

本発明の製造方法により得られる経口 与剤の断面図である。 本発明の製造方法を示す工程断面図で る。 本発明の製造方法を示す工程断面図で る。 本発明の連続製造方法の実施に用いる 続製造装置の概略図である。 本発明の連続製造方法を示す工程断面 である。 エンボス加工を施す方法を示す図であ 。 エンボス加工された長尺のフィルムの 例の上面図である。 本発明の連続製造方法により得られる 口投与剤の断面図である。 長尺の経口投与剤フィルムをダイカッ する方法を示す図である。 従来の経口投与剤の断面図である。

符号の説明

1,11,13…薬物、2a,2b,20a,20b,12,12’,14,14’…水 潤性ゲル形成層、3a,3b,30a,30b,15,15’…接着剤 層、10,100…支持体、40…凹部、106,400…加工ロ ール、107,500…下ロール、100a…第一の支持体 第2の支持体…100b、101a,101b…支持体送り出 部、102a,102b,104a,104b…塗工装置、103b,104a,105b 乾燥装置、108…薬物投入装置、109…熱ラミ ート装置、110a,110b,110e,110f…支持ロール、110c ,110d,110g…送りロール、110h,110i…圧着ロール

 以下、本発明を詳細に説明する。
1)経口投与剤の製造方法
 本発明の経口投与剤の製造方法は、第一の 膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性ゲル 成層が最外層に設けられ、前記第一の水膨 性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水膨潤 ゲル形成層の周縁部とが、直接又は接着剤 を介して接合されることにより形成された 包部に、薬物が封入されてなる経口投与剤 製造方法であって、下記に示す工程(a)~(d)を この順に有する。

(a)第一の水膨潤性ゲル形成層を形成する工程
(b)前記第一の水膨潤性ゲル形成層の所定部分 に凹部を形成する工程
(c)前記形成した凹部内に薬物を充填すること により薬物充填体を得る工程
(d)前記薬物充填体上に、直接又は接着剤層を 介して、第二の水膨潤性ゲル形成層を形成し 、前記凹部の周縁部を接合する工程

 本発明の製造方法により得られる経口投与 の一例の断面図を図1に示す。
図1中、Aは、薬物1と、薬物1の一方の側に直 積層された第一の水膨潤性ゲル形成層2aと、 薬物1の他方の側に直接積層された第二の水 潤性ゲル形成層2bとからなる経口投与剤であ る。Bは、薬物1と、薬物1の一方の側に直接積 層された第一の水膨潤性ゲル形成層2aと、薬 1の他方の側に接着剤層3bを介して積層され 第二の水膨潤性ゲル形成層2bとからなる経 投与剤である。Cは、薬物1と、薬物1の一方 側に接着剤層3aを介して積層された第一の水 膨潤性ゲル形成層2aと、薬物1の他方の側に直 接積層された第二の水膨潤性ゲル形成層2bと らなる経口投与剤である。また、Dは、薬物 1と、薬物1の一方の側に接着剤層3aを介して 層された第一の水膨潤性ゲル形成層2aと、薬 物1の他方の側に接着剤層3bを介して積層され た第二の水膨潤性ゲル形成層2bとからなる経 投与剤である。

(I)経口投与剤A及びBの製造方法
 図1の経口投与剤A及びBの製造方法の工程断 図を図2に示す。以下、図2を参照しながら 本発明の経口投与剤A及びBの製造方法を説明 する。

[工程(a1)]
 工程(a1)では、図2(a1)に示すように、支持体1 0上に第一の水膨潤性ゲル形成層2aを形成する 。
 用いる支持体10としては、その表面上に水 潤性ゲル形成層を形成することができるも であれば、特に限定されない。例えば、ポ エチレンテレフタレートフィルム、ポリブ レンテレフタレートフィルム、ポリプロピ ンフィルム等の樹脂フィルム;グラシン紙、 レーコート紙、ポリエチレンラミネート紙 のラミネート紙等の紙を、必要に応じてシ コーン系剥離剤等で剥離処理したもの;等が 挙げられる。

 水膨潤性ゲル形成層は、水膨潤性ゲル形 剤を含有し、水分により膨潤してゲルを形 し得る層である。

 用いる水膨潤性ゲル形成剤としては、可 性であって、水分により膨潤してゲルを形 するものであれば、その種類は特に限定さ るものではなく、架橋されたものであって 架橋されていないものであってもよい。

 水膨潤性ゲル形成剤の具体例としては、 ルボキシビニルポリマー、デンプン及びそ 誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラ タン、ガラクトマンナン、セルロース及び の誘導体、カラゲーン、デキストラン、ト ガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロ 酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン キサンタンガム等が挙げられる。

 これらの中でも、膨潤時に程よいゲル強 を示すことができることから、架橋化カル キシビニルポリマーが好ましく、架橋化ポ アクリル酸が特に好ましい。

 架橋化は、架橋される分子の種類に応じ 架橋剤によって行うことができる。例えば カルボキシビニルポリマーは、多価金属化 物によって架橋することができる。多価金 化合物の具体例としては、塩化カルシウム 塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫 アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミ ウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第 鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニ ム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸 マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛 硫酸亜鉛等が挙げられる。

 水膨潤性ゲル形成層中の水膨潤性ゲル形 剤の含有量は、水膨潤性ゲル形成剤の種類 に応じて適宜調節することができるが、通 、形成される水膨潤性ゲル形成層の15~70重 %である。

 水膨潤性ゲル形成層には、水膨潤性ゲル 成層のフィルム形成性を向上させるために フィルム形成剤を含有させることができる

 フィルム形成剤は、フィルム形成能を有 る限り、その種類は特に限定されない。用 るフィルム形成剤としては、ポリビニルア コール;ポリビニルピロリドン;ポリ酢酸ビ ル;ポリ酢酸ビニルフタレート;ヒドロキシプ ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ ルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース 、ヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキ シアルキルセルロース;メチルセルロース、 チルセルロース等のアルキルセルロース;カ ボキシメチルセルロース等のカルボキシア キルセルロース;(メタ)アクリル酸エステル が挙げられる。

 これらの中でも、水溶性のフィルム形成 が好ましい。フィルム形成剤が水溶性であ と、水膨潤性ゲル形成層に水分が浸入しや くなり、口腔内において水膨潤性ゲル形成 の膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせる とができる。

 水溶性のフィルム形成剤としては、ポリ ニルアルコール;ヒドロキシプロピルセルロ ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 等のヒドロキシアルキルセルロース;メチル ルロース;ポリビニルピロリドン等が挙げら る。なかでも、ポリビニルアルコールは、 述するマスキング剤としての役割も果たす で特に好ましい。

 フィルム形成剤の含有量は、特に限定さ ないが、通常、形成される水膨潤性ゲル形 層の30~85重量%である。

 水膨潤性ゲル形成層には、水膨潤性ゲル 成層に適度な柔軟性を付与するために、可 剤を含有させてもよい。

 用いる可塑剤としては、プロピレングリ ール、ポリエチレングリコール、グリセリ 及びソルビトール、グリセリントリアセテ ト、フタル酸ジエチル及びクエン酸トリエ ル、ラウリル酸、ショ糖、ソルビトール等 挙げられる。

 水膨潤性ゲル形成層には、薬物の味や匂 をマスキングするためのマスキング剤を含 させてもよい。水膨潤性ゲル形成層がマス ング剤を含有することによって、水膨潤性 ル形成層による薬物の味や臭いのマスキン 効果を向上させることができ、これによっ 服薬コンプライアンスの低下を効率よく防 することができる。

 用いるマスキング剤としては、クエン酸 酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの;サ ッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、 マンニトール等の甘味剤;メントール、ハッ 油等の清涼化剤;天然又は合成の香料;等が挙 げられる。

 水膨潤性ゲル形成層には、所望により、 ドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安 香酸プロピル等の防腐剤や、食用レーキ着 剤等の着色剤等の他の添加剤をさらに含有 せてもよい。これらの添加剤を含有させる とにより、フィルム状に形成された水膨潤 ゲル形成層の強度を減少させることができ 。これによって、水膨潤性ゲル形成層に水 が浸入しやすくなり、水膨潤性ゲル形成層 浸入した水分により水膨潤性ゲル形成剤の 潤及びゲル形成が生じやすくなる。

 水膨潤性ゲル形成層2aは、支持体10上に、 水膨潤性ゲル形成層形成用組成物を、グラビ アコーター、ナイフコーター、ロールコータ ー、ダイコーター、アプリケーター等の公知 の塗工装置を用いて塗布、又は公知の噴霧装 置を用いて噴霧することにより、支持体10上 水膨潤性ゲル形成層形成用組成物の塗膜を 成したのち、溶媒を乾燥除去することによ 形成することができる。

 水膨潤性ゲル形成層形成用組成物は、水 潤性ゲル形成剤、溶媒、所望によりフィル 形成剤等の添加剤を混合・撹拌して調製す ことができる。

 水膨潤性ゲル形成層形成用組成物の調製 用いる溶媒は、溶質の種類に応じて適宜選 することができる。その具体例としては、 製水、エタノール、及びこれらの混合溶媒 が挙げられる。

 溶媒の使用量は、用いる水膨潤性ゲル形 剤の種類等にもよるが、通常、水膨潤性ゲ 形成剤1重量部に対して、1~100重量部、好ま くは5~50重量部である。

 水膨潤性ゲル形成層形成用組成物の塗膜 乾燥温度は、通常50~120℃、好ましくは60~90 である。乾燥時間は通常1~15分間、好ましく 1~10分間である。

 形成される水膨潤性ゲル形成層2aの坪量は 通常、3~1000g/m 2 であり、好ましくは5~500g/m 2 である。水膨潤性ゲル形成層の坪量が3g/m 2 未満であるとゲル形成が不十分となり、水膨 潤性ゲル形成層による薬物の味及び/又は臭 のマスキングが不十分なものとなる。一方 水膨潤性ゲル形成層の坪量が1000g/m 2 を超えると患者の口腔内に投与したときに唾 液だけでは十分に膨潤せず、ゲルを形成する ことができず、服用し難くなる。

[工程(b1)]
 工程(b1)では、図2(b1)に示すように、水膨潤 ゲル形成層2aの所定部分に凹部を形成する 凹部を形成することにより、後述するよう 薬剤を効率よくロスなく凹部内に充填する とができる。

 水膨潤性ゲル形成層2aの所定部分に凹部 形成する方法としては、水膨潤性ゲル形成 2aの所定部分を押圧する方法が挙げられる。

 形成される凹部の形状は、特に制限はな 、上から見たときに丸型であっても角型で っても多角形状であっても構わない。

 形成される凹部の容積は、後述する薬剤 投入量、用途等に合わせて適宜選択すれば い。通常、5~50mmφで深さ0.2~10mm、好ましくは 、5~20mmφで深さ0.3~6mmである。

 水膨潤性ゲル形成層2aの所定部分を押圧 て凹部を形成する方法としては、特に制約 ないが、作業効率の観点から、エンボス加 を施す方法が好ましい。

 エンボス加工は、型押し等の方法により、 ートの表面に凹凸をつける加工である。
 エンボス加工を施す前には、水膨潤性ゲル 成層2a表面を保護するために、水膨潤性ゲ 形成層2a上に保護フィルムをラミネートして おくのも好ましい。

 用いる保護フィルムとしては、例えば、ポ エチレンテレフタレートフィルム、ポリブ レンテレフタレートフィルム、ポリプロピ ンフィルム等の樹脂フィルム;グラシン紙、 クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙 等のラミネート紙等の紙を、必要に応じてシ リコーン系剥離剤等で剥離処理したもの;等 挙げられる。
 保護フィルムは、次工程で薬物を充填する に剥がせばよい。

[工程(c1)]
 工程(c1)では、図2(c1)に示すように、前記形 した凹部内に薬物1を充填することにより薬 物充填体を得る。

 薬物1は、患者に投与すべき薬物であり、 その種類は特に限定されない。例えば、中枢 神経に作用する薬物として、アモバルビター ル、エスタゾラム、トリアゾラム、ニトラゼ パム、ペントバルビタール等の催眠薬;塩酸 ミトリプチン、塩酸イミプラミン、オキサ ラム、クロルジアゼポキシド、クロルプロ ジン、ジアゼパム、スルピリド、ハロペリ ール等の向精神薬;トリヘキシフェニジル、 ボドパ等の抗パーキンソン薬;アスピリン、 イソプロピルアンチピリン、インドメタシン 、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸 、ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナー ゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ等の鎮痛薬 及び抗炎症薬;ATP、ビンポセチン等の中枢神 代謝賦活薬;

 呼吸器に作用する薬物として、カルボシス イン、塩酸プロムヘキシン等の去痰薬;塩酸 アゼラスチン、オキサトミド、テオフィリン 、硫酸テルブタリン、トラニラスト、塩酸プ ロカテロール、フマル酸ケトチフェン等の抗 喘息薬;
 循環器系に作用する薬物として、アミノフ リン、ジギトキシン、ジゴキシン等の強心 ;アジマリン、ジソピラミド、塩酸プロカイ ンアミド、塩酸メキシレチン等の抗不整脈薬 ;亜硝酸アミル、塩酸アルプレノロール、硝 イソソルビド、ニコランジル、オキシフェ リン、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、塩 ジルチアゼム、ニトログリセリン、ニフェ ピン、塩酸ベラパミル等の抗狭心症薬;カリ ノゲナーゼ等の末梢血管拡張薬;アテノロー ル、カプトプリル、塩酸クロニジン、酒石酸 メトプロロール、スピロノラクトン、トリア ムテレン、トリクロルメチアジド、ニカルジ ピン、塩酸ヒドララジン、ヒドロクロロチア ジド、塩酸プラゾシン、フロセミド、塩酸プ ロプラノロール、マレイン酸エナラプリル、 メチルドパ、塩酸ラベタロール、レセルピン 等の抗高血圧薬;クロフィブラート、デキス ラン硫酸、ニコモール、ニセリトロール等 抗動脈硬化薬;

 血液及び造血作用薬として、カルバゾクロ スルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸等 止血薬;塩酸チクロピジン、ワルファリンカ リウム等の抗血栓症薬;硫酸鉄等の貧血治療 ;
 消化器系に作用する薬物として、アズレン アルジオキサ、シメチジン、塩酸ラニチジ 、ファモチジン、テプレノン、レバミピド の抗潰瘍薬;ドンペリドン、メトクロプラミ ド等の制吐剤;センノシド等のしゃ下薬;消化 素製剤;グリチルリチン、肝臓エキス製剤等 の肝疾患治療薬;

 代謝性疾患に作用する薬物として、グリベ クラミド、クロルプロパミド、トルブタミ 等の抗糖尿病薬;アロプリノール、コルヒチ ン等の痛風治療薬;
 眼科領域の薬物として、アセタゾラミド;
 耳鼻科領域の薬物として、塩酸ジフェニド ル、メシル酸ベタヒスチン等の抗めまい薬;
 化学療法薬及び抗生物質として、イソニア ド、塩酸エタンブトール、オフロキサシン ステアリン酸エリスロマイシン、セファク ル、ノルフロキサシン、ホスホマイシンカ シウム、塩酸ミノサイクリン、リファンピ ン、ロキタマイシン等;

 抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド テガフール等;
 免疫抑制薬として、アザチオプリン等;
 ホルモン類及び内分泌治療薬として、黄体 ルモン、唾液腺ホルモン、チアマゾール、 レドニゾロン、ベタメタゾン、リオチロニ 、レボチロキシン等;
 生体内活性物質(オータコイド)として、フ ル酸クレマスチン、D-マレイン酸クロルフェ ニラミン等の抗ヒスタミン薬;アルファカル ドール、コバマミド、ニコチン酸トコフェ ール、メコパラミン等のビタミン等が挙げ れる。
 薬物は、一種単独で、あるいは二種以上を み合わせて用いてもよい。

 薬物の形状は特に制約はなく、錠剤、粉体 のいずれであってもよい。
 薬物は、前記工程(c1)で形成された凹部に充 填される。工程(c1)においてエンボス加工が された場合は、エンボス部分に薬物が充填 れる。

 なお、薬物には、所望により、薬学的に許 され得る、熱可塑性可食性高分子等の基剤 賦形剤、結合剤、崩壊剤、マスキング剤、 色剤等の添加剤が含有されていてもよい。
 充填される薬物の量は、特に制約はなく、 口投与剤1個あたり、0.01mgから10gである。

[工程(d1)]
 工程(d1)では、前記薬物充填体上に、直接又 は接着剤層を介して、水膨潤性ゲル形成層2b 形成し、前記凹部の周縁部を接合する。

 この工程により得られる状態図を、図2(d1 -i)、(d1-ii)に示す。図2(d1-i)は、工程(c1)で得ら れた薬物充填体上に、直接に、水膨潤性ゲル 形成層2bを形成し、前記凹部の周縁部を接合 て(工程(d1-i))得られた構造体である。

 図2(d1-ii)は、工程(c1)で得られた薬物充填体 に、接着剤層3bを介して、水膨潤性ゲル形 層2bを形成し、前記凹部の周縁部を接合して (工程(d1-ii))得られた構造体である。
 これらの中でも、工程(d1)としては、より接 着力が強固となることから、工程(d1-ii)が好 しい。

 工程(d1-i)において、水膨潤性ゲル形成層2 bを形成し、前記凹部の周縁部を接合する方 としては、次の(α)及び(β)の方法が挙げられ る。

(α)前記工程(a1)において水膨潤性ゲル形成 2aを支持体10上に形成したのと同様の方法で 、水膨潤性ゲル形成層形成用組成物を、前記 薬物充填体の薬物が露出している側に、前記 と同様の公知の塗工装置を用いて塗布、又は 公知の噴霧装置を用いて噴霧した後、乾燥す る方法

(β)別途支持体を用意し、該支持体上に、工 (a1)と同様にして水膨潤性ゲル形成層2bを形 して積層体を得、該積層体の水膨潤性ゲル 成層2b側を、前記薬物充填体の薬物が露出し ている側上に熱ラミネートし、後に支持体を 剥離する方法
 これらの方法の中でも、熱履歴がより少な 、薬物の劣化がより少なくてすむ観点から (β)の方法が好ましい。
 (β)の方法において、熱ラミネートする際の 温度は、通常50~250℃、好ましくは、80~180℃で ある。ラミネートする際の圧力は、通常9.8×1 0 4 Paである。

 水膨潤性ゲル形成層2bの形成に用いる水 潤性ゲル形成層形成用組成物としては、前 水膨潤性ゲル形成層2aの形成に用いることが できるものと同様のものが挙げられる。

 工程(d1-ii)において、接着剤層3bの形成に いる接着剤としては、薬学的に許容され得 接着剤であれば、特に限定されない。例え 、溶媒を含んだ状態で用いることによって 着性を示す接着剤、加熱によって接着性を す(すなわち熱融着可能な)接着剤等が挙げ れる。これらの接着剤は1種単独で、あるい 2種以上を組み合わせて使用することができ る。

 溶媒を含んだ状態で用いることによって 着性を示す接着剤としては、例えば、カル キシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナト ウム等のポリアクリル酸又はその薬学的に 容される非毒性塩;アクリル酸共重合体又は その薬学的に許容される塩;カルボキシメチ セルロース及びナトリウム塩等の親水性セ ロース誘導体;プルラン、ポビドン、カラヤ ム、ペクチン、キサンタンガム、トラガン 、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類 はその誘導体若しくはその薬学的に許容さ る塩;等が挙げられる。

 熱融着可能な接着剤としては、例えば、 リ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等の モポリマー;酢酸ビニルとビニルピロリドン とのコポリマー;等が挙げられる。

 なお、溶媒を含んだ状態で用いることに って接着性を示す接着剤を使用する場合に 、接着剤層形成用組成物の塗膜を形成した ち、直ちに溶媒を乾燥除去することなく、 述する工程(d1-ii)において、凹部の周縁部を 接合する際に、溶媒の乾燥除去を同時に行な う。

 接着剤層3bは、図2(e1)に示すように、薬物 充填体上に、接着剤層形成用組成物を、前記 と同様の公知の塗工装置を用いて塗布、又は 公知の噴霧装置を用いて噴霧することにより 、薬物充填体上に接着剤層形成用組成物の塗 膜を形成したのち、溶媒を乾燥除去すること により形成することができる。

 前記接着剤層形成用組成物は、接着剤、 媒、所望により添加剤を混合・撹拌して調 することができる。

 用いる添加剤としては、可塑剤等が挙げ れる。可塑剤としては、前記水膨潤性ゲル 成層に添加してもよい可塑剤として例示し ものと同様のものが挙げられる。

 用いる溶媒としては、溶質の種類に応じて 宜選択することができ、その具体例として 、精製水、エタノール等が挙げられる。
 溶媒の使用量は、用いる接着剤の種類等に よるが、通常、接着剤1重量部に対して、1~1 0重量部、好ましくは2~5重量部である。

 接着剤層形成用組成物の塗膜の乾燥温度 、通常50~120℃、好ましくは60~90℃である。 燥時間は通常1~15分間、好ましくは1~10分間で ある。

 形成される接着剤層3bの坪量は、経口投与 能な範囲内において適宜調節することがで るが、通常、1~50g/m 2 、好ましくは10~30g/m 2 である。接着剤層3bの坪量が1g/m 2 未満であると接着不良を招くおそれがある一 方、接着剤層3bの坪量が50g/m 2 を超えると、経口投与剤の服用時に唾液等に よる膨潤を妨げるおそれがあるとともに、接 着剤層3bに含まれる接着剤が水に不溶性のも である場合には、服用感の悪化を招くおそ がある。

 以上のようにして形成した接着剤層3b上に 水膨潤性ゲル形成層2bを形成し、前記凹部の 周縁部を接合する。
 ここで、水膨潤性ゲル形成層2bの形成に用 る水膨潤性ゲル形成層形成用組成物として 、前記水膨潤性ゲル形成層2aの形成に用いる ことができるものと同様のものが挙げられる 。

 工程(d1-ii)において、接着剤層3bを介して 水膨潤性ゲル形成層2bを形成し、前記凹部 周縁部を接合する方法としては、以下の(γ) (δ)の方法等が挙げられるが、これらに限定 されるものではない。

(γ)接着剤層形成用組成物を、前記薬物充填 の薬物が露出している側上に接着剤層形成 組成物の塗膜を形成した後、該塗膜を乾燥 て接着剤層3bを形成し、次いで、形成した接 着剤層3b上に水膨潤性ゲル形成層形成用組成 の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥して水膨潤 ゲル形成層2bを形成する方法、
(δ)別途支持体を用意し、該支持体上に、水 潤性ゲル形成層2b及び接着剤層3bを形成した 層体を製造し、該積層体の接着剤層3b側を 前記薬物充填体の薬物が露出している側上 熱ラミネートし、後に支持体を剥離する方

 これらの方法の中でも、熱履歴がより少 く、薬物の劣化がより少なくてすむ観点か 、(δ)の方法が好ましい。

(δ)の方法において、熱ラミネートする際の 度は、通常50~250℃、好ましくは、80~180℃で る。ラミネートする際の圧力は、通常9.8×10 4 Paである。
 形成される水膨潤性ゲル形成層2bの坪量は 通常、3~1000g/m 2 であり、好ましくは5~500g/m 2 である。

(II)経口投与剤C及びDの製造方法
 図1の経口投与剤C及びDの製造方法を図3に示 す。以下、図3を参照しながら、本発明の経 投与剤C及びDの製造方法を説明する。

[工程(a2)]
 工程(a2)では、図3(a2)に示すように、支持体1 0上に水膨潤性ゲル形成層2aを形成する。工程 (a2)の詳細は、上記経口投与剤A及びBの製造方 法の工程(a1)と同様である。

[工程(e2)]
 工程(e2)では、図3(e2)に示すように、水膨潤 ゲル形成層2a上に接着剤層3aを形成する。

 接着剤層3aは、例えば、少なくとも接着 を含有する接着剤層形成用組成物を、水膨 ゲル形成用2a上に、前記と同様の公知の塗工 装置を用いて塗布、又は公知の噴霧装置を用 いて噴霧等して、接着剤層形成用組成物の塗 膜を形成した後、該塗膜を乾燥させることに より形成することができる。

 用いる接着剤層形成用組成物としては、 記接着剤層3bの形成に用いた接着剤層形成 組成物と同様のものが挙げられる。

 接着剤層形成用組成物の塗膜の乾燥温度 、通常50~120℃、好ましくは60~90℃である。 燥時間は通常1~15分間、好ましくは1~10分間で ある。

[工程(b2)]
 工程(b2)では、図3(b2)に示すように、水膨潤 ゲル形成層2a上に形成された接着剤層3aの所 定部分に凹部を形成する。このように凹部を 形成することにより、後述するように薬剤を 効率よくロスなく凹部内に充填することがで きる。

 接着剤層3aの所定部分に凹部を形成する 法としては、接着剤層3aの所定部分を表面側 から押圧する方法が挙げられる。

 形成される凹部の形状は、特に制限はな 、上から見たときに丸型であっても角型で っても多角形状であっても構わない。

 形成される凹部の容積は、後述する薬剤 投入量、用途等に合わせて適宜選択すれば い。通常、5~50mmφで深さ0.2~10mm、好ましくは 、5~20mmφで深さ0.3~6mmである。

 接着剤層3aの所定部分を押圧して凹部を 成する方法としては、特に制約はないが、 業効率の観点からは、エンボス加工を施す 法が好ましい。

 エンボス加工は、型押し等の方法により、 ートの表面に凹凸をつける加工である。
 エンボス加工を施す前には、接着剤層3a表 を保護するために、該接着剤層3a上に保護フ ィルムをラミネートしておくのも好ましい。
 用いる保護フィルムとしては、上述したも と同様のものが挙げられる。

[工程(c2)]
 工程(c2)では、図3(c2)に示すように、前記形 した凹部内に薬物1を充填することにより薬 物充填体を得る。
 薬物1は、患者に投与すべき薬物であり、そ の種類は特に限定されるものではない。薬物 としては、上述したものと同様のものが揚げ られる。

 薬物は、前記工程(b2)で形成された凹部に 充填される。工程(b2)においてエンボス加工 施された場合は、エンボス部分に薬物が充 される。

[工程(d2)]
 工程(d2)では、前記薬物充填体上に、直接又 は接着剤層を介して、水膨潤性ゲル形成層2b 形成し、前記凹部の周縁部を接合する。

 この工程により得られる状態図を、図3(d2 -i)、(d2-ii)に示す。図3(d2-i)は、工程(c2)で得ら れた薬物充填体上に、直接に、水膨潤性ゲル 形成層2bを形成し、前記凹部の周縁部を接合 て(工程(d2-i))得られた構造体である。

 図2(d2-ii)は、工程(c2)で得られた薬物充填体 に、接着剤層3bを介して、水膨潤性ゲル形 層2bを形成し、前記凹部の周縁部を接合して (工程(d2-ii))得られた構造体である。
 これらの中でも、工程(d2)としては、より接 着力が強固となることから、工程(d2-ii)が好 しい。

 工程(d2-i)、及び工程(d2-ii)は、上述した、 図2に示す工程(d1-i)、及び工程(d1-ii)と同様に て行うことができる。

2)経口投与剤の連続製造方法
 本発明の経口投与剤の連続製造方法は、第 の水膨潤性ゲル形成層及び第二の水膨潤性 ル形成層が最外層に設けられ、前記第一の 膨潤性ゲル形成層の周縁部と前記第二の水 潤性ゲル形成層の周縁部とが、直接又は接 剤層を介して接合されることにより形成さ た内包部に薬物が封入されてなる経口投与 の連続製造方法であって、長尺の第一の支 体上に第一の水膨潤性ゲル形成層を形成す 工程(a3)、前記第一の水膨潤性ゲル形成層の 所定部分に複数の凹部を形成する工程(b3)、 記形成した各凹部内に薬物を充填すること より、帯状に連続する薬物充填体を得る工 (c3)、及び、前記薬物充填体上に、直接又は 着剤層を介して、第二の水膨潤性ゲル形成 を形成し、前記凹部の周縁部を接合する工 (d3)を有する。
 なお、工程(a3)と工程(b3)との間に、第一の 膨潤性ゲル形成層上に接着剤層を形成する 程(e3)を設けてもよい。

 本発明の連続製造方法によれば、前記本 明の製造方法によって得られるのと同様の 造を有する経口投与剤を連続的に効率よく 造することができる。

 本発明の連続製造方法は、例えば、図4に 示す経口投与剤の連続製造装置を用いること によって実施することができる。

 以下、図4を参照しながら、本発明の連続製 造方法を説明する。
 なお、図4中、後述するもののほか、110a,110b ,110e,110fは支持ロール、110c,110d,110gは送りロー ル、110h,110iは圧着ロールをそれぞれ示す。

[工程(a3)]
 まず、ロール状に巻き取られた長尺の、第 の支持体100aを、支持体送り出し部101aから 続的に送り出し、一定方向に搬送しながら 該支持体100a上に、塗工装置102aにより、水膨 潤性ゲル形成層形成用組成物を塗布すること で、該組成物の塗膜を形成し、乾燥装置103a おいて、前記塗膜を乾燥することで、水膨 性ゲル形成層20aを形成することにより、図5( a3)に示す断面を有する構造体を得る。

 長尺の第一の支持体100aとしては、長尺のも のであって、前記支持体10と同様のものを用 ることができる。
 第一の支持体100aの大きさ(長さ、横幅等)は 特に制約はなく、経口投与剤の種類、生産 模、生産効率等を考慮して適宜決定するこ ができる。横幅は、経口投与剤を一列に製 できる幅であっても、経口投与剤を複数列 つ製造できる幅であってもよい。

 用いる水膨潤性ゲル形成層形成用組成物 しては、本発明の経口投与剤の製造方法に いて、水膨潤性ゲル形成層形成用組成物と て列記したものと同様のものが挙げられる

[工程(e3)]
 次に、工程(a3)で形成した水膨潤性ゲル形成 層20a上に接着剤層30aを形成することにより、 図5(e3)に示す断面図を有する構造体を得る。

 すなわち、表面に水膨潤性ゲル形成層20a 形成された構造体を一定方向に搬送しなが 、塗工装置104aにより、接着剤層形成用組成 物を塗布することで、該組成物の塗膜 を形 し、乾燥装置105aにより前記塗膜を乾燥する ことで、水膨潤性ゲル形成層20a上に接着剤層 30aを形成することにより、図5(e3)に示す構造 を得ることができる。

 用いる接着剤層形成用組成物としては、 発明の経口投与剤の製造方法において、接 剤層形成用組成物として列記したものと同 のものが挙げられる。

[工程(b3)]
 次いで、前記接着剤層30aの所定部分に複数 所定形状の凹部40を形成することにより、 5(b3)に示す構造を有する構造体を得る。

 すなわち、表面に接着剤層30aが形成され 構造体を一定方向に搬送しながら、例えば 図6に示すごとき形状を有する複数の凸部を 有する加工ロール400及び下ロール500(図4中、1 06、107)を用いて、接着剤層30aの表面側からエ ンボス加工を施して、接着剤層30aの所定部分 に複数の凹部40を連続的に形成することによ 、図5(b3)に示す構造体を得ることができる

 なお、図6に示すものは、下ロール500の表 面は平坦であるが、下ロール500として、その 表面に、加工ロール400の凸部の形状に合わせ た凹部を設けたものを用いてもよい。

 前述のように、凹部の形状、深さ、容積等 、投入する薬物の種類、量等に合わせて決 すればよい。また、横列に形成する凹部の は、特に制約されず、用いる薬物の種類、 口投与剤の使用方法、生産規模、生産効率 を考慮して決定すればよい。
 この方法を用いることにより、所定形状の 部を連続的に簡便に効率よく形成すること できる。

 凹部40を形成した長尺のシートの一例の 面図を図7に示す。図7(a)に示すものは、横列 に1個の丸型の凹部を形成したものである。 7(b)に示すものは、横列に3個の丸型の凹部を 形成したものである。

 なお、前記と同様に、エンボス加工を施 際には接着剤層30a表面を保護するために、 記接着剤層30a上に保護フィルムをラミネー 等した後に施すのが好ましい。用いる保護 ィルムとしては、本発明の経口投与剤の製 方法において、保護フィルムとして列記し ものと同様のものが挙げられる。

[工程(c3)]
 次いで、薬物投入装置108により、前記形成 れた複数の凹部40内に、薬物11を連続的に充 填して、図5(c3)に示す断面構造を有する帯状 薬物充填体を得る。

 充填する薬物としては、本発明の経口投 剤の製造方法において、使用できる薬物と て列記したものと同様のものが挙げられる また、薬物の形状は特に制限されず、粉末 あっても、錠剤であってもよい。

[工程(d3)]
 前記薬物充填体上に、直接又は接着剤層30b 介して、水膨潤性ゲル形成層20bを形成し、 記凹部の周縁部を接合することにより、図8 (d3-i)、(d3-ii)に示す断面構造を有する経口投 剤を得ることができる。

 工程(d3)は、具体的には、図3(d2-i)、(d2-ii) 示す断面構造を有する積層体を得ることが きる方法と同様の方法により、実施するこ が出来る。

 例えば、図4に示すように、ロール状に巻 き取られた長尺の第二の支持体100bを、支持 送り出し部101bから連続的に送り出し、一定 向に搬送しながら、該支持体100b上に、塗工 装置102bにより水膨潤性ゲル形成層形成用組 物を塗布することで、該組成物の塗膜を形 し、乾燥装置103bにおいて、前記塗膜を乾燥 ることで、水膨潤性ゲル形成層20bを形成す 。

 次に、塗工装置104bにより接着剤層形成用 組成物を塗布することで、該組成物の塗膜を 形成し、乾燥装置105bにより前記塗膜を乾燥 ることで、水膨潤性ゲル形成層20a上に接着 層30bを形成して、図5(e3)に示すものと同様の 断面構造を有する構造体を得る。

 次いで、上記で製造した帯状の薬物充填 と、図5(e3)に示すものと同様の断面構造を する構造体とを、接着剤層30aと接着剤層30b が貼り合わせされるように圧着ロール110h、1 10iの間に送り込み、熱ラミネート装置109を使 用して熱ラミネートすることにより、図8(d3-i i)に示す断面構造を有する、長尺の経口投与 を得ることができる。

 この場合において、熱ラミネートする際の 度は、通常50~250℃、好ましくは、80~180℃で る。ラミネートする際の圧力は、通常9.8×10 4 Paである。

 なお、図4に示す製造装置は、図8(d3-ii)に示 断面構造を有する経口投与剤を連続的に製 するものであるが、図4中、接着剤層形成用 組成物の塗工装置104b、及び乾燥装置105bを省 した構成を有する製造装置を使用すること より、同様にして、図8(d3-i)に示す断面構造 を有する、長尺の経口投与剤を製造すること ができる。
 この場合において、熱ラミネートする際の 度及び圧力は、前記と同様である。

 以上のようにして得られた長尺の経口投 剤は、通常、所定の大きさにダイカットさ 、支持体を剥離して用いられる。

 ダイカットのパターンは特に制約はなく 横方向にのみダイカットするパターン、縦 両方向にダイカットするパターン等が挙げ れる。図9にダイカットのパターンの一例を 示す。図9(a)は、点線が示すように、横方向 ダイカットされ薬物が3個ずつに分けられる 合、図9(b)は、縦方向、横方向にダイカット され薬物が1個ずつに分けられる場合を示し いる。

 本発明の連続製造方法によれば、薬物の 履歴による劣化が少なく、薬物のロスがな 、薬物の添加量に制限がなく、薬物が完全 マスキングされた、服用時に薬物由来の苦 や臭いに悩まされることがない経口投与剤 、簡便に効率よく連続的に製造することが きる。そのため、本方法は工業的生産に適 ている。

 次に、実施例により本発明をさらに詳細 説明する。但し、本発明は、これらにより ら制限されるものではない。

(実施例1)
(a)水膨潤性ゲル形成層の形成
 精製水900gに、塩化カルシウム(日本薬局方  塩化カルシウム、富田製薬社製)0.90gを添加し 撹拌した。ここに、撹拌下、ポリアクリル酸 (カーボポール974P、CBC製)33.80gを徐々に添加し 、さらに1時間撹拌した。次に、ポリビニル ルコール(ゴーセノール EG40、日本合成化学 製)56.50gをゆっくり添加し、さらに70℃で1時 間撹拌した。ここに、グリセリン(日本薬局  濃グリセリン、旭電化工業社製、以下にて 同じ)8.00gと、アセスルファムカリウム(サネ トAタイプ、丸善製薬社製)0.80gを添加し、さ に10分間撹拌することにより塗工液Aを調製 た。

 塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が 10g/m 2 となるようにギャップを調整したアプリケー ターを用いて、ポリエチレンテレフタレート フィルム(SP-PET3811、リンテック製)の剥離処理 面の反対面上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥 して水膨潤性ゲル形成層を形成した。

(b)接着剤層の形成
 精製水300gに、撹拌下、ポリビニルピロリド ン(PVP K-90、アイエスピー・ジャパン社製)91.0 0gをゆっくりと添加し、1時間撹拌した。次に 、ここにグリセリン9.00gを添加し、10分間撹 することにより塗工液Bを調製した。

 塗工液Bを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が 10g/m 2 となるようにギャップを調整したアプリケー ターを用いて、上記で形成した水膨潤性ゲル 形成層上に展延塗布し、得られた塗膜を80℃ 5分間乾燥して接着剤層を形成した。
 この接着剤層上に、保護フィルムとして、 リエチレンテレフタレートフィルム(SP-PET381 1、リンテック製)をラミネートした。

(c)エンボス加工
 前記(b)で得られたフィルムの保護フィルム を、図6に示すようなエンボスロールを用い てエンボス加工して、15mmφ、深さ0.5mmの凹部( エンボス)を複数作製した。

(d)薬物充填
 前記(c)で得られたフィルムの保護フィルム 剥がし、凹部(エンボス部分)にファモチジ (抗潰瘍薬)の粉末を10mg充填した。

(e)ラミネート
 前記(a)及び(b)工程と同様にして、ポリエチ ンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲ 形成層及び接着剤層が形成されたフィルム 作製した。
 このフィルムを、前記(d)で得られた薬物が 填されたフィルム上に、100℃、9.8×kgf/cm 2 、2秒間、熱ラミネートした。

 このフィルムを、薬物が充填された凹部 中心に1つ入るようにして25mmφにダイカット して経口投与剤のサンプル1を得た。

(比較例1)
(a)水膨潤性ゲル形成層の形成
 実施例1と同様にして水膨潤性ゲル形成層を 形成した。
(b)薬物含有層の形成
 精製水400gに、撹拌下、ポリビニルピロリド ン(PVP K-90、アイエスピー・ジャパン社製)68.2 5gをゆっくりと添加し、1時間撹拌した。ここ に、撹拌下、ファモチジン25.00gをゆっくり添 加し、さらに5分間撹拌した。次いで、グリ リン6.75gを添加し、10分間撹拌することによ 、塗工液Cを調製した。

 塗工液Cを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が 41g/m 2 となるようにギャップを調整したアプリケー ターを用いて、前記(a)で形成された水膨潤性 ゲル形成層上に展延塗布し、得られた塗膜を 85℃で5分間乾燥して薬物含有層を形成した。

(c)ラミネート
 前記(b)で作製した積層フィルムを2枚用意し 、積層フィルム同士を、薬物含有層が内側に なるように重ね合わせ、100℃、9.8×kgf/cm 2 、2秒間、熱ラミネートした。
 得られたフィルムを、25mmφにダイカットし 、経口投与剤のサンプル2を得た。

(苦味の試験)
 実施例1及び比較例1で得られた経口投与剤 、苦味の試験を次のように行った。
 すなわち、うがいして口腔内を洗浄し、2分 後にサンプルを口の中に入れ、30秒後にサン ルを吐き出した。サンプルが口腔内にあっ ときの苦味を以下のような5段階の基準で評 価した。なお、評価2は、評価1と評価3の中間 の評価であり、評価4は、評価3と評価5の中間 の評価である。

 評価1・・・苦味が強く不快
 評価3・・・苦味はあるが気にならない
 評価5・・・苦味が感じられない
 下記第1表に、サンプル1,2の評価を示す。

 第1表より、実施例1により得られた経口 与剤は、まったく苦味を感じずに服用する とができることがわかった。一方、比較例1 より得られた経口投与剤は、苦味がかなり いものであり、服薬コンプライアンスの低 剤であった。