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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF AROMATIC CARBONYL COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111515
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a simple and highly efficient process for producing an aromatic carbonyl compound, which can produce an aromatic carbonyl compound having a substituent introduced to an aromatic ring adjacent to a carbonyl group. The process comprises the step of reacting a raw material carbonyl compound having a structure of an aromatic ring having a carbonyl group attached thereto with a boron compound represented by the formula (1) in the presence of a transition metal catalyst to produce an aromatic carbonyl compound in which the group R11 in formula (1) is bound to at least one aromatic ring in the raw material carbonyl compound. (1) wherein R11 represents an aromatic group, an alkyl group, an alkynyl group or an alkenyl group; R12 and R13 independently represent a hydrogen atom, an alkyl group, an aryl group or a halogen-substituted alkyl group; X1 and X2 independently represent a nitrogen atom or an oxygen atom; and l and p independently represent a number of 1 or 2, provided that R12 and R13 may together form a ring.

Inventors:
KAKIUCHI FUMITOSHI (JP)
OGUMA JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054175
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KEIO (JP)
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
KAKIUCHI FUMITOSHI (JP)
OGUMA JUN (JP)
International Classes:
C07C46/00; C07C50/20; C07C221/00; C07C225/34; C07D333/22
Foreign References:
JPH06266031A1994-09-22
JPH0411214A1992-01-16
Other References:
GAUTROT J.E. ET AL.: "Experimental evidence for carbonyl-pi electron cloud interactions", NEW JOURNAL OF CHEMISTRY, vol. 30, no. 12, 2006, pages 1801 - 1807
MAKINO T. ET AL.: "Rotational isomerism involving an acetylenic carbon VI. Syntheses, structures, and dynamic stereochemistry of bis(1-phenyl-9-anthryl)ethynes: Highly restricted rotation about acetylenic axis in acyclic diarylethynes", BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, vol. 78, no. 5, 2005, pages 917 - 928
HOUSE H.O. ET AL.: "Unsymmetrically substituted 1,8-diarylanthracenes", JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 51, no. 6, 1986, pages 921 - 929
WINGEN R. ET AL.: "Strained anthraquinonophanes and anthracenophanes", CHEMISCHE BERICHTE, vol. 113, no. 2, 1980, pages 676 - 689
BUCKLE D.R. ET AL.: "Mass spectra of 1-arylanthraquinones", ORGANIC MASS SPECTROMETRY, vol. 1, no. 2, 1968, pages 273 - 278
BRAUDE E.A. ET AL.: "Polycyclic systems. VI. 8-meso-alpha-Naphth-10-anthrone and 2,3:8,9-dibenzoperylene", JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY, 1954, pages 1049 - 1059
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chom, Chuo-ku Tokyo 61, JP)
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Claims:
遷移金属触媒の存在下、芳香環にカルボニル基が結合した構造を含む原料カルボニル化合物と、下記一般式(1)で表されるホウ素化合物と、の反応により、一般式(1)中のR 11 が、前記原料カルボニル化合物における前記カルボニル基と結合している前記芳香環に結合した芳香族カルボニル化合物を得る、ことを特徴とする芳香族カルボニル化合物の製造方法。
[式中、R 11 は、置換基を有していてもよい芳香族基、アルキル基、アルキニル基又はアルケニル基を示し、R 12 及びR 13 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン置換アルキル基を示し、X 1 及びX 2 は、それぞれ独立に、窒素原子又は酸素原子を示し、l及びpは、それぞれ独立に、1又は2である。R 12 とR 13 とは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
前記原料カルボニル化合物が、前記芳香環と、前記カルボニル基を含む環状構造と、からなる縮合環構造を含む、ことを特徴とする請求項1記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
遷移金属触媒の存在下、複数の環状構造がカルボニル基を介して結合され少なくとも両端の前記環状構造が芳香環である原料カルボニル化合物と、下記一般式(1)で表されるホウ素化合物と、の反応により、一般式(1)中のR 11 が、前記原料カルボニル化合物における前記カルボニル基と結合している芳香環のうちの少なくとも一つに結合した芳香族カルボニル化合物を得る、ことを特徴とする芳香族カルボニル化合物の製造方法。
[式中、R 11 は、置換基を有していてもよい芳香族基、アルキル基、アルキニル基又はアルケニル基を示し、R 12 及びR 13 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン置換アルキル基を示し、X 1 及びX 2 は、それぞれ独立に窒素原子又は酸素原子を示し、l及びpは、それぞれ独立に、1又は2である。R 12 とR 13 とは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
前記原料カルボニル化合物が、カルボニル基を介して結合した前記環状構造同士が、直接又は所定の構造を介して結合した構造を含む、ことを特徴とする請求項3記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
前記原料カルボニル化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
[式中、A 2 で示される環状構造は、炭化水素環又は複素環を示し、Ar 21 及びAr 22 は、それぞれ独立に、これらが結合している原子とともに置換基を有していてもよい芳香環を構成する原子群を示し、nは0~5の整数である。nが2以上である場合、複数のA 2 で表される環状構造は、それぞれ異なっていてもよい。]
前記原料カルボニル化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
[式中、A 3 で示される環状構造は、炭化水素環又は複素環を示し、R 31 、R 32 、R 33 及びR 34 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ホルミル基、エステル基、アミド基又はハロゲン原子を示し、mは、0~5の整数である。ただし、R 31 とR 32 とは、互いに結合して環を形成していてもよく、R 33 とR 34 とは、互いに結合して環を形成していてもよい。また、mが2以上である場合、複数のA 3 で示される環状構造は、それぞれ異なっていてもよい。]
前記原料カルボニル化合物が、下記一般式(4a)又は(4b)で表される化合物である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
[式中、R 41 、R 42 、R 43 、R 44 、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ホルミル基、エステル基、アミド基又はハロゲン原子を示し、xは、0~5の整数である。ただし、R 41 とR 42 とは、互いに結合して環を形成していてもよく、R 43 とR 44 とは、互いに結合して環を形成していてもよい。]
前記ホウ素化合物が、前記R 12 と前記R 13 とが、互いに結合して環を形成した化合物である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
前記遷移金属触媒が、ルテニウム錯体、鉄錯体、コバルト錯体、ロジウム錯体、マンガン錯体、レニウム錯体、白金錯体、パラジウム錯体及びイリジウム錯体からなる群より選ばれる少なくとも一種の錯体である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
前記反応により、前記一般式(1)中のR 11 が、前記原料カルボニル化合物の前記芳香環における前記カルボニル基に対してβ位にある炭素原子のうちの少なくとも一つに結合した芳香族カルボニル化合物を得る、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の芳香族カルボニル化合物の製造方法。
 下記一般式(24)で表される、ことを特徴とする芳香族カルボニル化合物。
[式中、Ar 241 、Ar 242 、Ar 243 及びAr 244 は、それぞれ独立に、置換基を有する芳香族基を示す。n 1 、n 2 、n 3 及びn 4 は、それぞれ独立に、0又は1であり、且つn 1 +n 2 +n 3 +n 4 は1以上である。]
Description:
芳香族カルボニル化合物の製造 法

 本発明は、芳香族カルボニル化合物、よ 詳しくは、カルボニル基に隣接する芳香環 置換基が導入された芳香族カルボニル化合 の製造方法に関する。

 芳香族カルボニル化合物(芳香族ケトン)は 電子材料、医薬、農薬、工業製品等の原料 して広く用いられており、各種の構造を有 る芳香族カルボニル化合物を製造する方法 従来から研究されてきた。そのうち、カル ニル基に隣接する芳香環に置換基が導入さ た芳香族カルボニル化合物の製造方法とし は、例えば、酸無水物を出発原料として、6 階で芳香族カルボニル化合物を合成する方 が提案されている(非特許文献1)。
Jornal of Organic Chemistry, 2006, 71, 4085-4091

 しかしながら、上記従来の方法は、原料 合物から複数の工程を経る必要があるほか 目的化合物を得るまでの反応の効率がそれ ど高くなかったため、目的の芳香族カルボ ル化合物を収率良く得ることが困難であり 反応操作も複雑な場合が多かった。

 そこで、本発明はこのような事情に鑑み なされたものであり、カルボニル基に隣接 る芳香環に置換基が導入された芳香族カル ニル化合物を、簡便且つ高効率で得ること できる芳香族カルボニル化合物の製造方法 提供することを目的とする。

 上記目的を達成するため、本発明の芳香族 ルボニル化合物の製造方法は、遷移金属触 の存在下、芳香環にカルボニル基が結合し 構造を含む原料カルボニル化合物と、下記 般式(1)で表されるホウ素化合物と、の反応 より、一般式(1)中のR 11 が、上記原料カルボニル化合物におけるカル ボニル基と結合している芳香環に結合した芳 香族カルボニル化合物を得ることを特徴とす る。
[式中、R 11 は、置換基を有していてもよい芳香族基、ア ルキル基、アルキニル基又はアルケニル基を 示し、R 12 及びR 13 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アリール基又はハロゲン置換アルキル基を 示し、X 1 及びX 2 は、それぞれ独立に窒素原子又は酸素原子を 示し、l及びpは、それぞれ独立に1又は2であ 。R 12 とR 13 とは、互いに結合して環を形成していてもよ い。lが2である場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよい。また 、pが2である場合、2つのR 13 は同一であっても異なっていてもよい。]

 このような製造方法によれば、遷移金属触 の存在下、一段階の反応を行うことにより 原料カルボニル化合物に含まれるカルボニ 基と結合した芳香環に、上記一般式(1)中のR 11 で表される基が導入された芳香族カルボニル 化合物を得ることができる。したがって、従 来のように複数の工程を経る必要がないため 、簡便に且つ効率良く原料カルボニル化合物 の芳香環に置換基が導入された芳香族カルボ ニル化合物を得ることが可能となる。

 上記本発明の製造方法においては、原料 ルボニル化合物は、芳香環とカルボニル基 含む環状構造とからなる縮合環構造を含む のであると好ましい。このような構造を有 る原料カルボニル化合物を用いた場合、芳 環への置換基の導入が一層生じ易くなる傾 にある。

 また、本発明の芳香族カルボニル化合物の 造方法は、遷移金属触媒の存在下、複数の 状構造がカルボニル基を介して結合され少 くとも両端の環状構造が芳香環である原料 ルボニル化合物と、下記一般式(1)で表され ホウ素化合物と、の反応により、一般式(1) のR 11 が、原料カルボニル化合物におけるカルボニ ル基と結合している芳香環のうちの少なくと も一つに結合した芳香族カルボニル化合物を 得ることを特徴としてもよい。
[式中、R 11 は、置換基を有していてもよい芳香族基、ア ルキル基、アルキニル基又はアルケニル基を 示し、R 12 及びR 13 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アリール基又はハロゲン置換アルキル基を 示し、X 1 及びX 2 は、それぞれ独立に窒素原子又は酸素原子を 示し、l及びpは、それぞれ独立に1又は2であ 。R 12 とR 13 とは、互いに結合して環を形成していてもよ い。lが2である場合、2つのR 12 は同一であっても異なっていてもよい。また 、pが2である場合、2つのR 13 は同一であっても異なっていてもよい。]

 このような製造方法によっても、遷移金属 媒の存在下、一段階の反応を行うことによ 、原料カルボニル化合物に含まれる芳香環 、上記一般式(1)中のR 11 で表される基が導入された芳香族カルボニル 化合物を得ることができる。したがって、簡 便に且つ効率良く芳香環に置換基が導入され た芳香族カルボニル化合物を得ることが可能 となる。

 上記本発明の芳香族カルボニル化合物の 造方法においては、原料カルボニル化合物 して、カルボニル基を介して結合した環状 造同士が、このカルボニル基以外の部位で 接又は所定の構造を介して結合した構造を むものを用いることが好ましい。

 この場合、原料カルボニル化合物は、カ ボニル基を含む部分も環状構造を形成し、 の環状構造とともに縮合環構造を形成した のとなる。従来、このような縮合環構造に いて、カルボニル基に隣接する芳香環に置 基が導入された芳香族カルボニル化合物を 成することは極めて困難であったが、本発 によれば、かかる縮合環構造を含む原料カ ボニル化合物に対しても、カルボニル基に 接する芳香環に対して容易に置換基を導入 ることができる。

 また、原料カルボニル化合物としては、下 一般式(2)で表される化合物を用いることが り好ましい。
[式中、A 2 で示される環状構造は、炭化水素環又は複素 環を示し、Ar 21 及びAr 22 は、それぞれ独立に、これらが結合している 原子とともに置換基を有していてもよい芳香 環を構成する原子群を示し、nは0~5の整数で る。ただし、nが2以上である場合、A 2 で表される環状構造は、それぞれ異なってい てもよい。]

 上記一般式(2)で表される構造を有する芳 族カルボニル化合物は、発光材料や半導体 料として適用できる場合が多く、極めて有 である。そして、本発明によれば、このよ な構造を有する原料カルボニル化合物に対 ても、両端の芳香環に置換基を簡便且つ効 よく導入することができるため、例えば、 記の材料等への用途に対して所望の特性に 整等された芳香族カルボニル化合物を容易 得ることができる。

 より具体的には、原料カルボニル化合物と ては、下記一般式(3)で表される化合物が好 である。かかる原料カルボニル化合物から られる芳香族カルボニル化合物は、上述し ような用途に対して特に好適なものである そして、本発明の製造方法は、このような 料カルボニル化合物に対してもカルボニル に隣接する芳香環に良好に置換基を導入す ことができる。
[式中、A 3 で示される環状構造は、炭化水素環又は複素 環を示し、R 31 、R 32 、R 33 及びR 34 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールアルキル基 、アリールアルコキシ基、アリールアミノ基 、複素環基、シアノ基、ホルミル基、エステ ル基、アミド基又はハロゲン原子を示し、m 、0~5の整数である。ただし、R 31 とR 32 とは、互いに結合して環を形成していてもよ く、R 33 とR 34 とは、互いに結合して環を形成していてもよ い。また、mが2以上である場合、複数のAで示 される環構造は、それぞれ異なる構造であっ てもよい。]

 上述したような観点からは、より具体的に 、原料カルボニル化合物として、下記一般 (4a)又は(4b)で表される化合物が特に好適で る。
[式中、R 41 、R 42 、R 43 、R 44 、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、 アリールアルキル基、アリールアルコキシ基 、アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、 ホルミル基、エステル基、アミド基又はハロ ゲン原子を示し、xは、0~5の整数である。た し、R 41 とR 42 とは、互いに結合して環を形成していてもよ く、R 43 とR 44 とは、互いに結合して環を形成していてもよ い。]

 また、本発明の芳香族カルボニル化合物の 造方法において、ホウ素化合物としては、R 12 とR 13 とが互いに結合して環を形成した化合物を用 いることが好ましい。このような構造を有す るホウ素化合物によれば、原料カルボニル化 合物におけるカルボニル基に隣接する芳香環 に、より効率よくR 11 で表される基を導入することができる。

 さらに、本発明においては、遷移金属触 として、ルテニウム錯体、鉄錯体、コバル 錯体、ロジウム錯体、マンガン錯体、レニ ム錯体、白金錯体、パラジウム錯体及びイ ジウム錯体からなる群より選ばれる少なく も一種の錯体を用いることが好ましい。こ ような遷移金属触媒を用いることにより、 に効率良く芳香族カルボニル化合物を製造 ることが可能となる。

 そして、上記本発明の芳香族カルボニル化 物の製造方法においては、特に、上記反応 よって、一般式(1)中のR 11 が、原料カルボニル化合物の芳香環における カルボニル基に対してβ位にある炭素原子の ちの少なくとも一つに結合した芳香族カル ニル化合物が効率よく得られるようになる

 本発明の芳香族カルボニル化合物は、上記 発明の製造方法によって好適に得られる化 物であり、下記一般式(24)で表されることを 特徴とする。
[式中、Ar 241 、Ar 242 、Ar 243 及びAr 244 は、それぞれ独立に、置換基を有する芳香族 基を示す。n 1 、n 2 、n 3 及びn 4 は、それぞれ独立に、0又は1であり、且つn 1 +n 2 +n 3 +n 4 は1以上である。]

 このような芳香族カルボニル化合物は、 れた蛍光特性を有するという好適な特性を しており、有機EL、有機トランジスタ、有 薄膜太陽電池等の電子材料用途に対して有 である。また、このような芳香族カルボニ 化合物は、カルボニル部位を還元すること より、電子材料用途に有用な多環芳香族化 物に容易に変換できる点でも好ましい。

 本発明によれば、カルボニル基に隣接す 芳香環に置換基が導入された芳香族カルボ ル化合物を、簡便且つ高効率で得ることが きる芳香族カルボニル化合物の製造方法を 供することが可能となる。また、本発明に れば、このような製造方法により好適に得 ことができる芳香族カルボニル化合物を提 することが可能となる。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

 好適な実施形態の芳香族カルボニル化合 の製造方法においては、原料カルボニル化 物と、上記一般式(1)で表されるホウ素化合 とを、遷移金属触媒下で反応させて、芳香 カルボニル化合物を得る。

 まず、原料カルボニル化合物について説 する。

 原料カルボニル化合物は、芳香環にカル ニル基が結合した構造を含む化合物である なかでも、複数の環状構造がカルボニル基 介して結合され、少なくとも両端の環状構 が芳香環である化合物であると好適である この場合、原料カルボニル化合物は、環状 造とカルボニル基とが交互に結合された構 を有している。ここで、芳香環には、芳香 炭化水素環又は芳香族複素環の両方が含ま る。

 原料カルボニル化合物としては、カルボ ル基を介して結合した2つの環状構造同士が 、直接又は所定の構造を介して結合した構造 を少なくとも一部に含むものが好ましく、こ の2つの環状構造同士の全てが直接又は所定 構造を介して結合したものであるとより好 しい。環状構造同士を結合する所定の構造 しては、アルキル基、アリール基、カルボ ル基、エーテル基、エステル基、イミノ基 の2価の基が挙げられ、カルボニル基が好ま い。なお、これらの基には置換基が更に結 していてもよい。この場合、原料カルボニ 化合物は、隣り合う2つの環状構造の間にカ ルボニル基を含む環状構造が配置された構造 を有し、換言すれば、カルボニル基を含む環 状構造と他の環状構造とが2つ以上の原子を 有してなる縮合環構造を含むものとなる。

 原料カルボニル化合物としては、上記一般 (2)で表される化合物が好ましい。上記一般 (2)中、A 2 で表される環状構造は、炭化水素環又は複素 環である。炭化水素環としては、例えば、シ クロヘキサン環、ベンゼン環、テトラリン環 、ナフタレン環、アントラセン環、ジヒドロ アントラセン環、デカヒドロアントラセン環 、ピレン環等が挙げられる。また、複素環と してはピペラジン環、ピリジン環、ピラジン 環、キノリン環、キノキサリン環等が挙げら れる。なかでも、A 2 で表される環状構造としては、芳香族炭化水 素環又は芳香族複素環が好ましく、芳香族炭 化水素環がより好ましい。芳香族炭化水素環 としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アン トラセン環が好ましく、ベンゼン環が更に好 ましい。

 また、A 2 で表される環状構造は、置換基を更に有して いてもよい。置換基としては、アルキル基、 アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルア ミノ基、アリール基、アリールオキシ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアミノ基、複素環基、シアノ基、ホ ルミル基、エステル基、アミド基、ハロゲン 原子等が挙げられる。

 ここで、A 2 で表される環状構造が有していてもよい置換 基について更に詳細に説明する。まず、アル キル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれで あってもよく、その炭素数は1~20程度である 好ましい。具体的には、メチル基、エチル 、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i- チル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシ 基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オク ル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシ ル基、3,7-ジメチルオクチル基、ラウリル基 が挙げられる。なかでも、メチル基、ペン ル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘ キシル基、デシル基又は3,7-ジメチルオクチ 基が好ましい。

 アルコキシ基は、直鎖状、分岐状、環状 いずれであってもよく、その炭素数は1~20程 度であると好ましい。具体的には、メトキシ 基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i-プロ ルオキシ基、ブトキシ基、i-ブトキシ基、t- ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオ キシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチル オキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキ ルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキ 基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリ ルオキシ基等が挙げられる。なかでも、ペン チルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチル オキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、デシ オキシ基又は3,7-ジメチルオクチルオキシ基 が好ましい。

 アルキルチオ基は、直鎖状、分岐状、環 のいずれであってもよく、炭素数は1~20程度 であると好ましい。具体的には、メチルチオ 基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i-プロ ルチオ基、ブチルチオ基、i-ブチルチオ基 t-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシル チオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチ オ基、オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチ 基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7-ジメ チルオクチルチオ基、ラウリルチオ基等が挙 げられる。なかでも、ペンチルチオ基、ヘキ シルチオ基、オクチルチオ基、2-エチルヘキ ルチオ基、デシルチオ基又は3,7-ジメチルオ クチルチオ基が好ましい。

 アルキルアミノ基は、直鎖状、分岐状、 状のいずれであってもよく、モノアルキル ミノ基及びジアルキルアミノ基のいずれで ってもよい。その炭素数は、1~40程度である と好ましい。具体的には、メチルアミノ基、 ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチ ルアミノ基、プロピルアミノ基、i-プロピル ミノ基、ブチルアミノ基、i-ブチルアミノ 、t-ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘ キシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、 ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2-エ ルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デ ルアミノ基、3,7-ジメチルオクチルアミノ基 、ラウリルアミノ基等が挙げられる。なかで も、ジメチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基 、ジオクチルアミノ基が好ましい。

 アリール基は、芳香族炭化水素から水素原 1個を除いた1価の基であり、その炭素数は 6~60程度であると好ましい。具体的には、フ ニル基、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル基(C 1 ~C 12 は、炭素数1~12であることを示す。以下同様 )、C 1 ~C 12 アルキルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフ ル基等が挙げられ、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル基又はC 1 ~C 12 アルキルフェニル基が好ましい。

 アリールオキシ基は、その炭素数が6~60程度 のものが挙げられる。具体的には、フェノキ シ基、C 1 ~C 12 アルコキシフェノキシ基、C 1 ~C 12 アルキルフェノキシ基、1-ナフチルオキシ基 2-ナフチルオキシ基等が例示され、C 1 ~C 12 アルコキシフェノキシ基又はC 1 ~C 12 アルキルフェノキシ基が好ましい。

 アリールアルキル基は、その炭素数が7~60程 度であるものが挙げられる。具体的には、フ ェニル-C 1 ~C 12 アルキル基、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル-C 1 ~C 12 アルキル基、C 1 ~C 12 アルキルフェニル-C 1 ~C 12 アルキル基、1-ナフチル-C 1 ~C 12 アルキル基、2-ナフチル-C 1 ~C 12 アルキル基等が挙げられ、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル-C 1 ~C 12 アルキル基又はC 1 ~C 12 アルキルフェニル-C 1 ~C 12 アルキル基が好ましい。

 アリールアルコキシ基は、その炭素数が7~60 程度であるものが挙げられる。具体的には、 フェニル-C 1 ~C 12 アルコキシ基、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル-C 1 ~C 12 アルコキシ基、C 1 ~C 12 アルキルフェニル-C 1 ~C 12 アルコキシ基、1-ナフチル-C 1 ~C 12 アルコキシ基、2-ナフチル-C 1 ~C 12 アルコキシ基等を例示できる。なかでも、C 1 ~C 12 アルコキシフェニル-C 1 ~C 12 アルコキシ基又はC 1 ~C 12 アルキルフェニル-C 1 ~C 12 アルコキシ基が好ましい。

 アリールアミノ基は、その炭素数が6~60程度 であるものが挙げられる。例えば、フェニル アミノ基、ジフェニルアミノ基、C 1 ~C 12 アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C 1 ~C 12 アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C 1 ~C 12 アルキルフェニル)アミノ基、1-ナフチルアミ ノ基、2-ナフチルアミノ基等が例示できる。 かでも、C 1 ~C 12 アルキルフェニルアミノ基、ジ(C 1 ~C 12 アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。

 また、複素環基は、複素環化合物から水素 子1個を除いた1価の基であり、その炭素数 3~60程度であるものが挙げられる。具体的に 、チエニル基、C 1 ~C 12 アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基 、ピリジル基、C 1 ~C 12 アルキルピリジル基、ジアザフェニレン基、 キノリン-イル基、キノキサリン-イル基、フ ナントロリン-イル基等が例示される。なか でも、チエニル基、C 1 ~C 12 アルキルチエニル基、ピリジル基又はC 1 ~C 12 アルキルピリジル基が好ましい。

 一方、上記式(2)中、Ar 21 及びAr 22 で表される原子群は、これらが結合している 原子とともに置換基を有していてもよい芳香 環を構成する原子群である。このような芳香 環としては、芳香族炭化水素環及び芳香族複 素環のどちらも適用でき、例えば、上述した A 2 で表される環状構造として例示した芳香族炭 化水素環や芳香族複素環と同様のものが挙げ られる。なかでも、芳香族炭化水素環が好ま しく、ベンゼン環が特に好ましい。また、芳 香環に置換していてもよい官能基としては、 上記A 2 に置換していてもよい官能基と同様のものが 挙げられる。

 上記式(2)中、nは0~5の整数であるが、原料 カルボニル化合物の溶媒への溶解性を高くし て反応を有利に行う観点からは、nは0又は1で あることが好ましい。

 このような原料カルボニル化合物としては 式(2)におけるAr 21 及びAr 22 の両方が置換基を有していてもよいベンゼン 環である上記一般式(3)で表される化合物が好 ましい。上記式(3)中、A 3 は上記A 2 と同義である。また、R 31 、R 32 、R 33 及びR 34 は、それぞれ独立に、上記A 2 に置換していてもよい官能基と同様の基であ り、いずれも水素原子であると特に好ましい 。また、式(3)中、mは、0又は1であると、原料 カルボニル化合物の溶媒への溶解性が高めら れるため、好ましい。

 より具体的には、原料カルボニル化合物と ては、A 3 で表される環状構造がベンゼン環である上記 一般式(4a)で表される化合物、又は、A 3 で表される環状構造がピラジン環である上記 一般式(4b)で表される化合物が好ましい。R 41 、R 42 、R 43 、R 44 、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、上記A 2 に置換していてもよい官能基と同様の基であ り、水素原子であると特に好ましい。また、 xは0又は1であると好ましい。

 上記原料カルボニル化合物の具体例(上述し たような好適な原料カルボニル化合物の具体 例を含む)としては、下記化学式(5a)~(5r)、(6a)~ (6i)、(7a)~(7g)で表される化合物が挙げられる

 次に、上記一般式(1)で表されるホウ素化 物について説明する。

 上記一般式(1)で表されるホウ素化合物にお るR 11 としては、置換基を有していてもよい1価の 香族基が好ましい。この芳香族基としては 芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が挙 られ、芳香族炭化水素基が好ましい。また 上記式(1)中、X 1 及びX 2 は、それぞれ酸素原子であると好ましい。さ らに、R 12 とR 13 とは、互いに結合して環を形成していること が好ましい。特に、R 12 及びR 13 は、それぞれがアルキル基であって、これら のアルキル基同士が一部で結合することによ り環構造を形成しているとより好ましい。

 このようなホウ素化合物としては、下記一 式(8)で表される化合物が特に好適である。

 上記一般式(8)中、Ar 81 は、芳香族基であり、R 82 及びR 83 は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基で ある。Ar 81 で表される芳香族基としては、芳香族炭化水 素基が好ましい。芳香族炭化水素基は、芳香 族炭化水素から水素原子1個を除いた1価の基 あり、その炭素数が6~60程度であるものが好 ましく、6~20であるものがより好ましい。こ で、芳香族炭化水素基には、単環のもの、 合環を有するものに加え、ベンゼン環又は 合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介 て結合したものも含まれる。

 芳香族炭化水素基としては、例えば、フ ニル基、ナフタレニル基、アントラセニル 、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフ ニル基、スチルベン-イル基、ジスチルベン -イル基、フェナントレン-イル基、ピレン-イ ル基、ペリレン-イル基等が挙げられる。な でもフェニル基、アントラセニル基又はフ オレン-イル基が好ましい。これらの基は、 に置換基を有していてもよい。

 より具体的には、Ar 81 で表される芳香族基としては、下記化学式(9a )~(9q)で表される基が挙げられる。

 次に、遷移金属触媒について説明する。

 遷移金属触媒としては、ルテニウム錯体、 錯体、コバルト錯体、ロジウム錯体、マン ン錯体、レニウム錯体、白金錯体、パラジ ム錯体又はイリジウム錯体が挙げられる。 かでも、ルテニウム錯体が、特に高効率の 応が可能となることから好ましい。ルテニ ム錯体としては、具体的には、Ru 2 (CO) 12 (ルテニウムカルボニル)、Ru(cod)(cot)((シクロ クタジエン)(シクロオクタトリエン)ルテニ ム)、Ru(CO) 3 (PPh 3 ) 2 (トリカルボニルビス(トリフェニルホスフィ )ルテニウム)、RuH(Cl)(PPh 3 ) 3 (カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェ ルホスフィン)ルテニウム)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 (カルボニルジヒドリドトリス(トリフェニル スフィン)ルテニウム)、Ru(H)[(o-C 6 H 4 PPh 2 )(PPh 3 ) 3 (CO)(カルボニル[2-(ジフェニルホスフィノ)フ ニル-C,P]ヒドリド(トリフェニルホスフィン) テニウム)等が挙げられる。なかでも、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 が好適である。

 本実施形態の製造方法においては、遷移 属触媒の存在下、原料カルボニル化合物と ウ素化合物とを反応させる。このような反 においては、原料カルボニル化合物1モルに 対して、ホウ素化合物を4~20モル用いること 好ましく、8~12モル用いることがより好まし 。このような比率で反応を行うことで、収 よく目的の芳香族カルボニル化合物が得ら るようになるほか、後述するように、カル ニル基に対してβ位に効率よく置換基が導 されるようになる。

 また、遷移金属触媒は、原料カルボニル 合物に対して0.01~100モル%用いることが好ま く、4~40モル%用いることがより好ましく、10 ~30モル%用いることが更に好ましい。この遷 金属触媒の量が原料カルボニル化合物に対 て0.01モル%未満であると、十分に効率よく反 応が進行しなくなる場合がある。一方、100モ ル%を超えると、触媒に由来する不純物が無 し得ない程度に生成し、これが原料カルボ ル化合物と反応して目的としない構造の生 物が生成するおそれがある。

 上記反応は、-50~300℃で行うことができ、 0~200℃で行うことが好ましく、50~150℃で行う とがより好ましい。また、反応時間は、0.5~ 200時間とすることが好ましく、5~100時間とす ことがより好ましく、12~48時間とすること 更に好ましい。

 反応は、溶媒中で行うことが好ましい。 媒としては、特に限定されないが、反応に して不活性なものを用いることが好ましい 例えば、トルエン、キシレン、メシチレン テトラヒドロフラン、DMF(ジメチルホルムア ミド)、ジオキサン、イソプロパノール、ア トニトリル、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)、ピ コロン等が挙げられる。なかでも、反応中 脱離するボロン酸を補足して反応効率を向 させる観点から、ピナコロンが特に好まし 。溶媒は、原料カルボニル化合物の質量に して1~100倍量用いることが好ましく、2~20倍 用いることがより好ましい。

 反応には、原料化合物、ホウ素化合物及 遷移金属触媒以外に、反応効率のさらなる 上や、目的生成物の位置選択性の向上の観 から、他の成分を更に加えてもよい。この うな他の成分としては、例えば、トリフェ ルホスフィン、トリ-2-フリルホスフィン、 リシクロヘキシルホスフィン、1,3-ビスジフ ェニルホスフィノプロパン等のホスフィン類 や、ビニルシラン、スチレン、フタル酸ジメ チルエステル等のオレフィン類が挙げられる 。これらの成分の添加により、遷移金属触媒 の活性が向上して目的生成物が得られ易くな る傾向にある。

 また、例えば、炭酸カリウム、カリウムt -ブチラート、炭酸セシウム、トリエチルア ン、フッ化カリウム、炭酸ナトリウム、2,6- チジン、酢酸ナトリウム、ピリジンなどの 基を添加することもできる。このような塩 を添加することによって、さらに反応が促 される傾向にある。

 上記反応においては、望ましくない副反 等が生じるのを防止するため、反応に用い 容器としては、乾燥したものを用いること 好ましい。この場合、反応容器は、反応開 直前に加熱する等して乾燥させておくこと 好ましい。また、反応は、窒素等の不活性 ス雰囲気化で行うことが好ましい。この場 、窒素置換された反応容器内に原料を添加 、反応を開始させることで、窒素雰囲気下 の反応を行うことができる。

 反応終了後には、例えば得られた反応混 物をそのまま濃縮するか、又は、反応液を 中に投入した後、トルエン、酢酸エチル、 エチルエーテル、ジクロロメタン等の有機 媒で抽出し、得られた有機層を濃縮するこ によって、目的とする芳香族カルボニル化 物を得ることができる。また、必要に応じ カラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留 による精製を行ってもよい。

 遷移金属触媒存在下、原料カルボニル化合 とホウ素化合物との反応においては、原料 ルボニル化合物のカルボニル基に結合した 香環(特に、原料カルボニル化合物の両端の 芳香環)における炭素-水素結合の切断を経て この部分にホウ素化合物中のR 11 で表される基が置換する。このような反応に より、ホウ素化合物中のR 11 に由来する置換基が、原料カルボニル化合物 の芳香環のうちの少なくとも一つに導入され た芳香族カルボニル化合物が得られる。

 特に、本実施形態の方法によれば、ホウ素 合物中のR 11 で表される基が、原料カルボニル化合物の芳 香環におけるカルボニル基に対してβ位とな 部位に選択的に導入させることができる。 の場合、R 11 で表される置換基は、両端及び内部にある芳 香環に導入され、特に、原料カルボニル化合 物の両端にある2つの芳香環の両方に導入さ る場合と、片方のみに導入される場合とが る。そして、本実施形態の方法によれば、 端にある2つの芳香環の両方に導入すること 特に容易である。

 さらに、例えば上記一般式(2)で表される 合物のように、環状構造同士のカルボニル による結合が2カ所で形成されている場合、 原料カルボニル化合物は、両端の芳香環にカ ルボニル基に対してβ位となる置換可能な部 を最大4つ有するものとなり得るが、本実施 形態の製造方法は、これらの全ての部位に置 換基を導入するのに特に有利である。

 なお、原料カルボニル化合物に導入される 換基の数は、原料の当量比やその他の反応 件を変えることで調整することもできる。 た、例えば、異なるR 11 で表される基を有する複数種類のホウ素化合 物を用いることで、原料カルボニル化合物に 複数種類の置換基を導入することもできる。 さらに、置換基が導入されるのは、原料カル ボニル化合物の両端の芳香環に限られず、内 部の環状構造が芳香環である場合、かかる芳 香環に置換されることもある。

 上記反応により得られる芳香族カルボニル 合物としては、具体的には、下記化学式(10a )~(10s)、(11a)~(11p)、(12a)~(12j)、(13a)~(13k)、(14a)~(1 4f)で表される化合物が例示できる。

 上述した製造方法により得られる芳香族 ルボニル化合物としては、上記一般式(24)で 表される化合物が好ましい。このような芳香 族カルボニル化合物は、優れた蛍光特性を有 するという好適な特性を有しており、有機EL 有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池等の 子材料用途に対して有用である。また、こ ような芳香族カルボニル化合物は、カルボ ル部位を還元することにより、電子材料用 に有用な多環芳香族化合物に容易に変換で る点でも好ましい。

 上記一般式(24)で表される芳香族カルボニル 化合物において、Ar 241 ~Ar 244 で表される基としては、置換基を有するフェ ニル基、ナフチル基、アントラセン-イル基 テトラセン-イル基、ペンタセン-イル基、フ ルオレン-イル基、チエニル基、フリル基、 ロリル基、ピリジル基、キノリン基等が挙 られる。なかでも、フェニル基、ナフチル 、アントラセン-イル基、フルオレン-イル基 、チエニル基、ピリジル基が好ましい。置換 基としては、アルキル基、アルコキシ基、ア ルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールアルキル基 、アリールアルコキシ基、アリールアミノ基 、1価の複素環基、シアノ基、ホルミル基、 ステル基、アミド基、ハロゲン原子等が挙 られる。なかでも、アルキル基、アルコキ 基、アルキルアミノ基、アリール基、1価の 素環基が好ましい。また、n 1 +n 2 +n 3 +n 4 は、好ましくは2以上であり、より好ましく 3以上であり、更に好ましくは4である。上記 一般式(24)で表される芳香族カルボニル化合 の好適例は、下記化学式(15)、(16)、(17)、(18) (19)、(21)、(22)で表される化合物である。

 以上、本発明の好適な実施形態に係る芳 族カルボニル化合物の製造方法について説 したが、上述したような製造方法によれば 原料カルボニル化合物とホウ素化合物とを 遷移金属触媒の存在下で反応させる、一段 の工程で、原料カルボニル化合物における 端の芳香環に置換基が導入された芳香族カ ボニル化合物を得ることができる。したが て、このような製造方法により、簡便且つ コストで置換基を有する芳香族カルボニル 合物を製造することが可能となる。

 以下、本発明を実施例により更に詳細に 明するが、本発明はこれらの実施例に限定 れるものではない。

(実施例1)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(15) で表される1,4,5,8-テトラ-p-トリル-アントラキ ノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.0mg)、p-トリルボロン酸エステル(ホウ素 合物:2.5mmol,510.7mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,45.8mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物から、シリカゲルカラムクロマトグ フィー(内径=25mm;カラム長=140mm;溶離液CHCl 3 ,500mL)により生成物を単離した。

 これにより、アントラキノンの両端の芳香 におけるカルボニル基に対してβ位となる4 の部位に、p-トリルボロン酸エステルに由 するp-トリル基がそれぞれ置換した1,4,5,8-テ ラ-p-トリル-アントラキノンを得た。収率は 38%であった。なお、反応混合物中に3置換体 混入している場合は、ゲルパーミエーショ クロマトグラフィー(溶離液=CHCl 3 )により精製を行った。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及びHRMSにより分析した結果を以下に す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.387(s,12H,CH 3 ),7.123(d,J=8.3Hz,8H,ArH),7.191(d,J=8.3Hz,8H,ArH),7.486(s,4H ,ArH)
13 C-NMR(CDCl 3 ):δ21.308,128.559,128.854,134.416,135.357,136.759,136.800,1 40.818,187.799
IR(KBr):3049w,3023w,2922w,2859w,1672s,1672w,1638w,1518w,1458 w,1409w,1371w,1323m,1217s,1181w,1127w,1022w,976w,816s,761w,7 34w,716w,569w,543wcm -1
HRMS(ESI+):591.23177(C 42 H 32 NaO 2 での計算値は591.23000であった。)

(実施例2)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(16) で表される1,4,5,8-テトラ-m-トリル-アントラキ ノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.0mg)、m-トリルボロン酸エステル(ホウ素 合物:2.5mmol,511.0mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,45.9mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5 mL)を更に加 た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱 、還流条件で24時間反応させた。得られた 応混合物を、シリカゲルカラムクロマトグ フィー(内径=30mm;カラム長=200mm;溶離液CHCl 3 ,30mL)により精製した。

 これにより、アントラキノンの両端の芳香 におけるカルボニル基に対してβ位となる4 の部位に、m-トリルボロン酸エステルに由 するm-トリル基がそれぞれ置換した1,4,5,8-テ ラ-m-トリルアントラキノンを得た。収率は6 2%であった。なお、反応混合物中に3置換体が 混入している場合には、ゲルパーミエーショ ンクロマトグラフィー(溶離液=CHCl 3 )により精製を行った。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及びHRMSにより分析した結果を以下に す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.366(s,12H,CH 3 ),7.078-7.216(m,16H,ArH),7.477(s,4H,ArH)
13 C-NMR(CDCl 3 ):δ21.638,126.101,127.528,127.924,129.236,134.821,134.854,1 37.493,140.009,141.329,187.015
IR(KBr):3030w,2947w,2917w,2855w,1672s,1604m,1585m,1540w,1489 w,1461m,1421w,1370m,1351w,1323s,1274w,1222s,1175m,1126m,1079 w,1019w,852m,816m,790s,759m,736w,698m,624w,580wcm -1
HRMS(ESI+):591.23036(C 42 H 32 NaO 2 での計算値は591.23000であった。)

(実施例3)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(17) で表される1,4,5,8-テトラキス-(3,5-ジメチル-フ ェニル)アントラキノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,51.9mg)、3,5-ジメチルフェニルボロン酸エス テル(ホウ素化合物:2.5mmol,545.2mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,46.0mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物から、ベーシックアルミナゲルカラ クロマトグラフィー(内径=20mm;カラム長=80mm; 溶離液酢酸エチル,200mL)を用いて触媒及びボ ン酸エステルを取り除いた後、シリカゲル ラムクロマトグラフィー(内径=35mm;カラム長= 220mm;溶離液ヘキサン:酢酸エチル=20:1,30mL)によ り精製を行った。

 これにより、アントラキノンの両端の芳香 におけるカルボニル基に対してβ位となる4 の部位に、3,5-ジメチルフェニルボロン酸エ ステルに由来する3,5-ジメチルフェニル基が れぞれ置換した1,4,5,8-テトラキス-(3,5-ジメチ ル-フェニル)-アントラキノンを得た。収率は 89%であった。なお、反応混合物中に3置換体 混入している場合は、ゲルパーミエーショ クロマトグラフィー(溶離液=CHCl 3 )により精製を行った。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及び元素分析により分析した結果を 下に示す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.267(s,24H,CH 3 ),6.889(s,8H,ArH),6.918(s,4H,ArH),7.411(s,4H,ArH)
13 C-NMR(CDCl 3 ):δ21.407,126.827,128.823,134.524,135.002,137.007,139.993,1 41.272,186.982
IR(KBr):3021w,2916w,2862w,1689s,1602m,1541w,1461w,1374w,1362 w,1334w,1289w,1265w,1219m,1190w,1181w,1129w,1056w,851m,838m, 751w,728w,702w,678w,615wcm -1
元素分析:C,88.14;H,6.50%(C 40 H 40 O 2 での計算値は、C,88.43;H,6.45;O,5.12%であった。)

(実施例4)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(18) で表される1,4,5,8-テトラキス-(4-ヘキシル-フ ニル)アントラキノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.0mg)、4-ヘキシルフェニルボロン酸エス ル(ホウ素化合物:2.5mmol,685.6mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,46.1mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物からベーシックアルミナゲルカラム ロマトグラフィー(内径=20mm;カラム長=76mm;溶 離液酢酸エチル,200mL)を用いて触媒及びボロ 酸エステルを取り除いた後、シリカゲルカ ムクロマトグラフィー(内径=35mm;カラム長=220 mm;溶離液ヘキサン:酢酸エチル=20:1,30mL)により 精製を行った。

 これにより、アントラキノンの両端の芳香 におけるカルボニル基に対してβ位となる4 の部位に、4-ヘキシルフェニルボロン酸エ テルに由来する4-ヘキシルフェニル基がそれ ぞれ置換した1,4,5,8-テトラキス-(4-ヘキシル- ェニル)アントラキノンを得た。収率は83%で った。なお、反応混合物中に3置換体が混入 している場合は、ゲルパーミエーションクロ マトグラフィー(溶離液=CHCl 3 )により精製を行った。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及び元素分析により分析した結果を 下に示す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ0.85-1.03(m,12H,CH 3 ),1.24-1.50(m,24H,CH 2 ),1.668(m,8H,CH 2 CH 2 Ar),2.620(m,8H,CH 2 Ar),7.111-7.205(m,16H,ArH),7.454(s,4H,ArH)
13 C-NMR(CDCl 3 ):δ14.172,22.718,29.392,31.529,31.834,35.860,127.718,128.83 1,134.383,135.291,136.932,140.793,141.709,187.634
IR(KBr):3053w,3023w,2958s,2925s,2855s,1672s,1611w,1543w,1517 w,1461m,1415w,1375w,1318s,1213s,1180w,1126m,1020w,971w,840w, 827m,759w,748w,727w,571w,550wcm -1
元素分析:C,87.56;H,8.59%(C 62 H 72 O 2 での計算値は、C,87.69;H,8.55;O,3.77%であった。)

(実施例5)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(19) で表される1,4,5,8-テトラキス-(4-ジメチルアミ ノ-フェニル)アントラキノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.0mg)、4-ジメチルアミノフェニルボロン エステル(ホウ素化合物:2.5mmol,583.0mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,45.8mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物から、ベーシックアルミナゲルカラ クロマトグラフィー(内径=20mm;カラム長=80mm; 溶離液酢酸エチル,200mL)を用いて、触媒及び ロン酸エステルを取り除いた後、シリカゲ カラムクロマトグラフィー(内径=35mm;カラム =215mm;溶離液CHCl 3 ,30mL)により精製を行った。

 これにより、アントラキノンの両端の芳香 におけるカルボニル基に対してβ位となる4 の部位に、4-ジメチルアミノフェニルボロ 酸エステルに由来する4-ジメチルアミノフェ ニル基がそれぞれ置換した1,4,5,8-テトラキス- (4-ジメチルアミノ-フェニル)アントラキノン 得た。収率は33%であった。なお、反応混合 中に3置換体が混入している場合は、ゲルパ ーミエーションクロマトグラフィー(溶離液=C HCl 3 )により精製を行った。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及びHRMSにより分析した結果を以下に す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.980(s,24H,NMe 2 ),6.647(d,J=8.3Hz,8H,ArH),7.196(d,J=8.3Hz,8H,ArH),7.462(s,4H ,ArH)
IR(KBr):2885w,2852w,2800w,1668s,1610s,1557w,1525s,1479w,1457 w,1442s,1322m,1264w,1214s,1198s,1169m,1126m,1062w,1010w,972w ,946w,847w,814s,761w,710w,675w,640w,596w,570w,540wcm -1
HRMS(ESI+):707.33372(C 46 H 44 NaO 2 での計算値は707.33619であった。)

(実施例6)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(21) で表される1,4,5-トリ-p-トリル-アントラキノ を得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.0mg)、p-トリルボロン酸エステル(ホウ素 合物:2.5mmol,510.7mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,45.8mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物から、シリカゲルカラムクロマトグ フィー(内径=25mm;カラム長=140mm;溶離液CHCl 3 ,500mL)で生成物を単離した。次いで、ゲルパ ミエーションクロマトグラフィー(溶離液=CHC l 3 )により、本実施例の目的生成物である3置換 と4置換体(実施例1で得られた生成物)とを分 離した。

 これにより、アントラキノンの両端の芳 環におけるカルボニル基に対してβ位とな 4つの部位のうちの3つの部位に、p-トリルボ ン酸エステルに由来するp-トリル基がそれ れ置換した1,4,5-トリ-p-トリル-アントラキノ を得た。収率は16%であった。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR、IR及びHRMSにより分析した結果を以下に す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.378(s,3H,CH 3 ),2.389(s,3H,CH 3 ),2.455(s,3H,CH 3 ),7.122-7.289(m,12H,ArH),7.469(d,J=7.8Hz,1H,ArH),7.546(d,J=7 .8Hz,1H,ArH),7.554(dd,J=1.5Hz,7.8Hz,1H,ArH),7.616(dd,J=7.3Hz ,7.8Hz,1H,ArH),8.035(dd,J=1.5Hz,7.3Hz,1H,ArH)
13 C-NMR:δ21.318,21,432,125.862,128.056,128.625,128.699,128.74 1,128,765,131.711,131.941,134.491,135.299,135.472,135.637,13 6.124,136.627,136.701,136.817,136.883,136.899,137.477,138.63 2,142.097,142.674,184.210,187.700
IR(KBr):3050w,3024w,2917w,2862w,1678s br,1615w,1581w,1539w, 1517w,1456w,1436w,1407w,1378w,1321w,1299w,1265w,1236m,1193w, 1184w,1163w,1110w,1071w,1037w,1021w,967w,912w,849w,838w,811m ,797w,773w,745w,733w,715w,694w,647w,603w,531w,523wcm -1
HRMS(ESI+):501.18010(C 35 H 26 NaO 2 での計算値は501.18305であった。)

(実施例7)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(22) で表される1,4,5-トリス-(3,5-ジメチル-フェニ )アントラキノンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:1.0mm ol,207.7mg)、3,5-ジメチルフェニルボロン酸エス テル(ホウ素化合物:6.0mmol,1.3078g)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.20mmol,185.4mg)を加えた。反応装置全体を 窒素置換した後、ピナコロン(2.0mL)を更に加 た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 応混合物から、ベーシックアルミナゲルカラ ムクロマトグラフィー(内径=20mm;カラム長=80mm ;溶離液酢酸エチル,200mL)を用いて、触媒及び ロン酸エステルを取り除いた後、シリカゲ カラムクロマトグラフィー(内径=35mm;カラム 長=220mm;溶離液ヘキサン:酢酸エチル=10:1,30mL) より精製を行った。そして、本実施例の目 生成物である3置換体を、ゲルパーミエーシ ンクロマトグラフィー(溶離液=CHCl 3 )により精製した。

 これにより、アントラキノンの両端の芳 環におけるカルボニル基に対してβ位とな 4つの部位のうちの3つの部位に、3,5-ジメチ フェニルボロン酸エステルに由来する3,5-ジ チルフェニル基がそれぞれ置換した1,4,5-ト ス-(3,5-ジメチル-フェニル)アントラキノン 得た。収率は29%であった。

 得られた生成物を 1 H-NMR及びHRMSにより分析した結果を以下に示す 。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ2.278(s,6H,CH 3 ),2.288(s,6H,CH 3 ),2.396(s,6H,CH 3 ),6.857-7.066(m,9H,ArH),7.426(s,2H,ArH),7.504(dd,J=0.98Hz,7. 3Hz,1H,ArH),7.615(dd,J=7.3Hz,7.8Hz,1H,ArH),8.055(dd,J=0.98Hz ,7.8Hz,1H,ArH)
HRMS(ESI+):543.22702(C 38 H 32 NaO 2 での計算値は543.23000であった。)

(実施例8)
 以下に示す製造方法により、下記化学式(23) で表される1-チオフェン-2-イル-アントラキノ ンを得た。

 すなわち、まず、5mL二つ口フラスコ、テ ロン(登録商標)コーティングした磁気撹拌 、還流冷却管及び吹き込み管を定温乾燥機 入れて加熱した。十分に加熱を行った後、 温乾燥機から取り出したフラスコに磁気撹 子を入れ、還流冷却管及び吹き込み管を取 付けた。吹き込み管を減圧しながら窒素ラ ンにつなぎ、反応装置全体を窒素置換した

 それから、反応容器を室温まで放冷した後 アントラキノン(原料カルボニル化合物:0.25m mol,52.1mg)、チエニルボロン酸エステル(ホウ素 化合物:2.5mmol,490.2mg)、RuH 2 (CO)(PPh 3 ) 3 錯体(0.05mmol,46.0mg)を加えた。反応装置全体を 素置換した後、ピナコロン(0.5mL)を更に加え た。次いで、反応容器をオイルバスで加熱し 、還流条件で24時間反応させた。得られた反 混合物から、ベーシックアルミナゲルカラ クロマトグラフィー(内径=20mm;カラム長=80mm; 溶離液酢酸エチル,200mL)を用いて、触媒及び ロン酸エステルを取り除いた後、シリカゲ カラムクロマトグラフィー(内径=25mm;カラム =200mm;溶離液ヘキサン:酢酸エチル=35:1,30mL)に より精製を行った。

 これにより、アントラキノンの両端の芳 環におけるカルボニル基に対してβ位とな 4つの部位のうちの1つの部位に、チエニルボ ロン酸エステルに由来するチエニル基が置換 した1-チオフェン-2-イル-アントラキノンを得 た。収率は31%であった。

 得られた生成物を 1 H-NMR、 13 C-NMR,IR及びHRMSにより分析した結果を以下に示 す。
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ7.049-7.061(m,1H,ArH),7.133-7.155(m,1H,ArH),7.443-7.459( m,1H,ArH),7.730-7.791(m,4H,ArH),8.154-8.177(m,1H,ArH),8.270- 8.292(m,1H,ArH),8.410-8.434(m,1H,ArH)
13 C-NMR:δ125.779,126.175,126.670,126.876,127.338,127.965,131. 810,132.552,132.651,133.641,134.260,134.573,134.878,136.380, 138.731,142.278,182.956,182.981
IR(KBr):3105w,2925w,1678s br,1592w,1573w,1454w,1435w,1425w, 1333w,1317s,1274s,1238w,1214w,1163w,1084w,1054w,1024w,973w,9 32w,917w,902w,866w,847w,836w,822w,806w,743w,725w,704s,664w,6 52w,640w,618w,599w,588w,566w,559w,549w,537w,524w,511wcm -1
HRMS(ESI+):313.02874(C 18 H 10 NaO 2 Sでの計算値は313.02992であった。)