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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF BINUCLEAR METAL COMPLEX
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093742
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an asymmetric binuclear metal complex represented by the general formula: (L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)n [wherein M1 and M2 independently represent a transition metal and may be the same as or different from each other; L1 and L2 independently represent a multidentately coordinatable chelate-type ligand, which are different from each other, provided that two L1's may be different from each other and two L2's may also be different from each other; BL represents a bridging ligand having at least two cyclic structures each containing a hetero atom, wherein the coordinating atoms coordinating to M1 and M2 are the hetero atoms contained in the cyclic structures; X represents a counter ion; and n represents the number of counter ions required for the neutralization of the charge of the complex]. The binuclear metal complex can be isolated by adjusting the pH value of a solution to a value higher than 2.5. The binuclear metal complex can be used as a dye, and enables to provide a photoelectric conversion element or photochemical battery having high photoelectric conversion efficiency and durability.

Inventors:
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051434
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UBE INDUSTRIES (JP)
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
International Classes:
C07D213/79; C07D215/50; C07D233/54; C07D235/04; C09B57/10; H01L51/42; H01M14/00; C07F15/00
Domestic Patent References:
WO2006038587A12006-04-13
WO2006038587A12006-04-13
WO2006038587A12006-04-13
Foreign References:
JPH01220380A1989-09-04
JP2003261536A2003-09-19
JP2004359677A2004-12-24
Other References:
NAZEERUDDIN M.K. ET AL.: "Acid-Base Equilibria of (2,2phi-Bipyridyl-4,4phi-dicarboxylic acid)ruthenium(II) Complexes and the Effect of Protonation on Charge-Transfer Sensitization of Nanocrystalline Titania", INORGANIC CHEMISTRY, vol. 38, 1999, pages 6298 - 6305, XP008050178
NAZEERUDDIN M.K. ET AL.: "Investigation of Sensitizer Adsorption and the Influence of Protons on Current and Voltage of a Dye-Sensitized Nanocrystalline TiO2 Solar Cell", THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY B, vol. 107, 2003, pages 8981 - 8987, XP008114813
RILLEMA D.P. ET AL.: "Multimetallic Ruthenium (11) Complexes Based on Biimidazole and Bibenzimidazole: Effect of Dianionic Bridging Ligands on Redox and Spectral Properties", INORGANIC CHEMISTRY, vol. 29, 1990, pages 167 - 175, XP002994920
KALYANASUNDARAM K. ET AL.: "Photophysics and photoredox reactions of ligand-bridged binuclear polypyridyl complexes of ruthenium (II) and of their monomeric analogs", INORGANIC CHEMISTRY, vol. 29, 1990, pages 1888 - 1897, XP008114771
HAGA M. ET AL.: "Electrochemistry of symmetrical and asymmetrical dinuclear ruthenium, osmium, and mixed-metal, 2,2'-bipyridine complexes bridged by 2,2'-bibenzimidazolate", INORGANIC CHEMISTRY, vol. 30, 1991, pages 475 - 480, XP002994915
NATURE, vol. 353, 1991, pages 737
"Current Technology in Dye-sensitized Solar Battery", 25 May 2001, CMC CO., LTD., pages: 117
INORGANIC CHEMISTRY, vol. 17, no. 9, 1978, pages 2660 - 2666
JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 115, 1993, pages 6382 - 6390
INORG. CHEM., vol. 34, 1995, pages 5979
See also references of EP 2116534A4
Attorney, Agent or Firm:
ITO, Katsuhiro et al. (3-10-9 Nihombashi-Kayabach, Chuo-ku Tokyo 25, JP)
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Claims:
 一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なっていてもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であって、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、BLはヘテロ原子を含む環状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子であって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれるヘテロ原子である。Xは対イオンである。nは錯体の電荷を中和するのに必要な対イオンの数を表す。)を製造する方法であって、
 溶液のpHを2.5を超えるようにして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる工程を有することを特徴とする製造方法。
 pHを2.7~5にして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる請求項1記載の製造方法。
 pHを3.3~5にして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる請求項2記載の製造方法。
 前記溶液が、溶媒中、塩基の存在下で式:(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 で示される単核金属錯体(但し、M 1 及びL 1 は上記と同義である。)と式:(BL)M 2 (L 2 ) 2 で示される単核金属錯体(但し、M 2 、L 2 及びBLは上記と同義である。)を反応させて得られた反応液であるか、または式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を水に溶解させた溶液である請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 請求項1~4のいずれかに記載の方法により製造される一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なっていてもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であって、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、BLはヘテロ原子を含む環状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子であって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれるヘテロ原子である。Xは対イオンである。nは錯体の電荷を中和するのに必要な対イオンの数を表す。)。
 請求項1~4のいずれかに記載の方法により製造される一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なっていてもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であって、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、Xは対イオンであり、nは錯体の電荷を中和するのに必要な対イオンの数を表し、BLはヘテロ原子を含む環状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子であって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれるヘテロ原子であり、L 1 が半導体微粒子に固定され得る置換基を有し、かつ主に(L 1 ) 2 M 1 にLUMOが分布する構造である。)からなることを特徴とする金属錯体色素。
 請求項6記載の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を含むことを特徴とする光電変換素子。
 前記半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、または酸化錫であることを特徴とする請求項7記載の光電変換素子。
 請求項7または8記載の光電変換素子を用いることを特徴とする光化学電池。
Description:
二核金属錯体の製造方法

 本発明は、新規な二核金属錯体の製造方 に関する。

 さらに、本発明は、この製造方法により られる金属錯体色素、この金属錯体色素に って光増感された酸化物半導体を用いた光 変換素子、ならびにそれを用いた光化学電 に関する。

 太陽電池はクリーンな再生型エネルギー として大きく期待されており、単結晶シリ ン系、多結晶シリコン系、アモルファスシ コン系の太陽電池やテルル化カドミウム、 レン化インジウム銅などの化合物からなる 陽電池の実用化をめざした研究がなされて る。しかし、家庭用電源として普及させる めには、いずれの電池も製造コストが高い とや原材料の確保が困難なことやリサイク の問題、また大面積化が困難であるなど克 しなければならない多くの問題を抱えてい 。そこで、大面積化や低価格化を目指し有 材料を用いた太陽電池が提案されてきたが いずれも変換効率が1%程度と実用化にはほ 遠いものであった。

 こうした状況の中、1991年にグレッツェル らによりNatureに色素によって増感された半導 体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電 池、ならびにこの太陽電池の作製に必要な材 料および製造技術が開示された。(例えば、Na ture、第353巻、737頁、1991年(非特許文献1)、特 平1-220380号公報(特許文献1)など)。この電池 ルテニウム色素によって増感された多孔質 タニア薄膜を作用電極とする湿式太陽電池 ある。この太陽電池の利点は、安価な材料 高純度に精製する必要がなく用いられるた 、安価な光電変換素子として提供できるこ 、さらに用いられる色素の吸収がブロード あり、広い可視光の波長域にわたって太陽 を電気に変換できることである。しかしな ら実用化のためにはさらなる変換効率の向 が必要であり、より高い吸光係数を有し、 り高波長域まで光を吸収する色素の開発が まれている。

 本出願人による特開2003-261536号公報(特許 献2)には、光電変換素子として有用な金属 体色素であるジピリジル配位子含有金属単 錯体が開示されている。

 また、色素増感太陽電池の最新技術(株式 会社シーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)( 非特許文献2)には、多核β-ジケトナート錯体 素が開示されている。

 また、特開2004-359677号公報(特許文献3)に 、光などの活性光線のエネルギーを受けて 子を取り出す光電変換機能の優れた新規な 核錯体として、複数の金属と複数の配位子 有し、その複数の金属に配位する橋かけ配 子(BL)が複素共役環を有する配位構造と複素 役環を有しない配位構造を有する複核錯体 開示されている。

 さらに、WO2006/038587(特許文献4)には、高い 光電変換効率を有する光電変換素子が得られ る金属錯体色素として、複素共役環を有する 配位構造を有する二核金属錯体が開示されて いる。特許文献4の実施例では、合成後、反 液に酸を加えてpHを2.5にし、この二核金属錯 体を単離している。

 光電変換素子に用いる色素として、高い光 変換効率を有し、かつ優れた耐久性を有す 光電変換素子を実現できる金属錯体色素が まれている。

特開平1-220380号公報

特開2003-261536号公報

特開2004-359677号公報

WO2006/038587 Nature、第353巻、737頁、1991年 色素増感太陽電池の最新技術(株式会社 ーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)

 本発明の目的は、高い光電変換効率と耐 性を有する光電変換素子、光化学電池を実 できる金属錯体色素として特に有用な二核 属錯体を製造する方法を提供することであ 。

 本発明は以下の事項に関する。

 1. 一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なってい てもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であっ て、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、BLはヘテロ原 を含む環状構造を少なくとも二つ有する架 配位子であって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれ るヘテロ原子である。Xは対イオンである。n 錯体の電荷を中和するのに必要な対イオン 数を表す。)を製造する方法であって、
 溶液のpHを2.5を超えるようにして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる工程を 有することを特徴とする製造方法。

 2. pHを2.7~5にして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる上記1 載の製造方法。

 3. pHを3.3~5にして式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる上記2 載の製造方法。

 4. 前記溶液が、溶媒中、塩基の存在下で式 :(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 で示される単核金属錯体(但し、M 1 及びL 1 は上記と同義である。)と式:(BL)M 2 (L 2 ) 2 で示される単核金属錯体(但し、M 2 、L 2 及びBLは上記と同義である。)を反応させて得 られた反応液であるか、または式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を水に溶解させた溶 液である上記1~3のいずれかに記載の製造方法 。

 5. 上記1~4のいずれかに記載の方法により製 造される一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なってい てもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であっ て、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、BLはヘテロ原 を含む環状構造を少なくとも二つ有する架 配位子であって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれ るヘテロ原子である。Xは対イオンである。n 錯体の電荷を中和するのに必要な対イオン 数を表す。)。

 6. 上記1~4のいずれかに記載の方法により製 造される一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体(但し、M 1 及びM 2 は、遷移金属であって、同一でも異なってい てもよく、L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であっ て、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよく、Xは対イオン あり、nは錯体の電荷を中和するのに必要な イオンの数を表し、BLはヘテロ原子を含む 状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子 あって、M 1 及びM 2 に配位する配位原子がこの環状構造に含まれ るヘテロ原子であり、L 1 が半導体微粒子に固定され得る置換基を有し 、かつ主に(L 1 ) 2 M 1 にLUMOが分布する構造である。)からなること 特徴とする金属錯体色素。

 7. 上記6記載の金属錯体色素により増感 れた半導体微粒子を含むことを特徴とする 電変換素子。

 8. 前記半導体微粒子が、酸化チタン、酸 化亜鉛、または酸化錫であることを特徴とす る上記7記載の光電変換素子。

 9. 上記7または8記載の光電変換素子を用 ることを特徴とする光化学電池。

 本発明では、pHを2.5を超えて、好ましくはpH 2.7~5にして二核金属錯体(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n を単離する。本発明により製造される二核金 属錯体色素を用いた光化学電池は、従来のpH2 .5で単離した二核金属錯体色素を用いたもの 比べて、高い初期光電変換効率が得られた さらには、pH3.3~5で二核金属錯体を単離する ことにより、これより低いpHで単離した場合 比べて、得られる光化学電池の耐久性が向 した。

図1は、実施例2~4および比較例1で得ら た色素を用いて作製した光化学電池の光電 換効率を示した図である。 図2は、実施例1および実施例3で得られ 色素を用いて作製した光化学電池の85℃暗 で所定の時間静置した後の光電変換効率を した図である。

 本発明では、一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体を、例えば 、次のようにして二つの単核金属錯体(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 と(BL)M 2 (L 2 ) 2 を合成し、これらを反応させることにより合 成する。

 L 1 が下式(L 1 -1)であり、


M 1 がRuである単核金属錯体(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 (M 1 C-1)は次の合成スキームに従って合成するこ ができる。


 上式において、L 1 がカルボキシル基以外の置換基を有するもの 、M 1 がRu以外の遷移金属であるものも同様にして 成することができる。

 また、L 1 が下式(L 1 -4)であり、


M 1 がRuである単核金属錯体(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 (M 1 C-2)は次の合成スキームに従って合成するこ ができる。


 上式において、L 1 がカルボキシル基以外の置換基を有するもの 、M 1 がRu以外の遷移金属であるものも同様にして 成することができる。

 一方、単核金属錯体(BL)M 2 (L 2 ) 2 は次の合成スキームに従って合成することが できる。


 スキーム中のH 2 BLはBL中の二つのヘテロ原子(窒素原子など)が プロトン化された状態を示す。

 尚、BLが後述する式(BL-1)~(BL-4)で表されるも (置換基を有しているものも含む)、L 2 が式(L 2 -1)~(L 2 -4)で表されるもの(置換基を有しているもの 含む)は何れも、この合成スキームに従って 成することができる。但し、BLが式(BL-1)で されるもの(置換基を有しているものも含む) については、後段の塩基による反応工程は不 要で、M 2 (L 2 ) 2 Cl 2 とBLを反応させると(BL)M 2 (L 2 ) 2 が得られる。

 この反応において使用する塩基はナトリ ムを含まない塩基、例えばカリウム、マグ シウム、カルシウムまたは鉄を含む塩基、 るいは有機塩基であることが好ましく、特 リチウムを含む塩基が好ましい。中でも、 チウムのアルコキシドが好ましく、リチウ メトキシド、リチウムエトキシド、リチウ -t-ブトキシドがさらに好ましく、リチウム トキシドが特に好ましい。塩基の使用量は 宜決めることができる。

 このようにして合成した(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 (M 1 C)と(BL)M 2 (L 2 ) 2 (M 2 C)を次の合成スキームに従って反応させ、(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n を合成することができる。


 この反応において使用する塩基はナトリウ を含まない塩基、例えばカリウム、マグネ ウム、カルシウムまたは鉄を含む塩基、あ いは有機塩基であることが好ましく、特に チウムを含む塩基が好ましい。中でも、リ ウムの水酸化物およびリチウムのアルコキ ドが好ましく、水酸化リチウム、リチウム トキシド、リチウムエトキシド、リチウム- t-ブトキシドがさらに好ましく、水酸化リチ ムが特に好ましい。塩基の使用量は適宜決 ることができる。

 塩基の存在下で(L 1 ) 2 M 1 Cl 2 (M 1 C)と(BL)M 2 (L 2 ) 2 (M 2 C)を反応させた後、酸(HX)を加えて(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させる。この とき、必要に応じて溶液を冷却する。また、 酸を加える前または同時に、硝酸リチウムな どのリチウムを含む塩(LiX)を加えてもよい。

 本発明では、二核金属錯体を単離させる きのpHを2.5を超えて、好ましくは2.7以上に 整する。pHは2.8以上が好ましく、得られる光 化学電池の耐久性の点からは、pHは3.3以上が ましく、3.5以上がより好ましく、3.7以上が に好ましく、3.8以上がさらに好ましい。ま 、半導体微粒子に本発明の二核金属錯体色 を十分に担持させるためには、pHは5以下が ましく、4.5以下がより好ましく、4.2以下が に好ましい。

 また、本発明では、適当なpHで単離させて(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を得た後、これを水 に懸濁させ、塩基を加えてpHを10程度に調整 て再溶解させ、この溶液に酸を加えてpHを上 記の範囲にし、(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される二核金属錯体を単離させてもよい 。

 本発明の金属錯体は、二核金属錯体を単 させるときのpHを上記の範囲に調整するこ 以外は、公知の方法、例えばWO2006/038587、Inor ganic Chemistry、第17巻、第9号、第2660~2666頁、19 78年、Journal of the American Chemical Society、第1 15巻、第6382~6390頁、1993年等の文献中に引用さ れた方法を参考にして製造することができる 。

 次に、本発明により製造される二核金属 体について説明する。

 本発明の一般式:(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体において、 M 1 及びM 2 は、遷移金属であり、好ましくは第VIII族~第X I族の遷移金属であり、具体的には、ルテニ ム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッ ル(Ni)、銅(Cu)または鉄(Fe)が好ましい。中で 、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)が好ましく 、ルテニウム(Ru)が特に好ましい。

 M 1 及びM 2 は、同一金属でも異なった金属であってもよ い。

 L 1 及びL 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であり 、好ましくは二座もしくは三座もしくは四座 配位可能なキレート型配位子、さらに好まし くは二座配位可能なキレート型配位子である 。具体的には、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナ ントロリン、2-(2-ピリジニル)キノリンまたは 2,2’-ビキノリンなどの誘導体などが挙げら る。L 1 とL 2 は、異なるものである。また、二つのL 1 は異なるものであってもよく、二つのL 2 も異なるものであってもよい。

 本発明の二核金属錯体が光電変換素子に用 る金属錯体色素である場合、L 1 は、半導体微粒子に固定され得る置換基を少 なくとも一つ有している。

 L 1 の半導体微粒子に固定され得る置換基として は、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH 2 )、水酸基(-OH)、硫酸基(-SO 3 H)、燐酸基(-PO 3 H 2 )、ニトロ基(-NO 2 )などが挙げられる。中でも、カルボキシル (-COOH)が好ましい。カルボキシル基の水素は テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモ ニウム、ナトリウムイオンなどのアルカリ金 属イオンなどのカチオンで交換されていても よい。また、水素は脱離していてもよい。本 発明の二核金属錯体を高pHで単離するとカル キシル基の水素が脱離する傾向があり、L 1 がそれぞれカルボキシル基を二つ、合計で四 つのカルボキシル基を有している二核金属錯 体の場合、pH2.7~3.0で単離すると、カルボキシ ル基の水素の一つが脱離したものを含む単離 物が得られ、pH3.5~4.0で単離すると、カルボキ シル基の水素の二つが脱離したものを含む単 離物が得られることがある。

 さらに、L 1 は、半導体微粒子に固定され得る置換基以外 の置換基を有しても、有してなくてもよい。 このような置換基としては、アルキル基(メ ル基、エチル基など)、アルコキシ基(メトキ シ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

 また、本発明の二核金属錯体が光電変換素 に用いる金属錯体色素である場合、L 1 は、主に(L 1 ) 2 M 1 部分にLUMOが分布するような配位子であるこ が好ましい。「主に(L 1 ) 2 M 1 部分にLUMOが分布する」とは、(L 2 ) 2 M 2 部分よりも(L 1 ) 2 M 1 部分にLUMOが多く分布していることを意味す 。主に(L 1 ) 2 M 1 が太陽光などの光照射により電子が励起する LUMOを有する構造であることによって、この 核金属錯体により増感された半導体微粒子 含む光電変換素子を用いて光化学電池を製 したときに、電解質から光電変換素子(負極) へのスムーズな電子移動を起こすことができ 、効率のよい光化学電池を構成することがで きる。

 LUMOの算出は、ソフトウェアはCerius 2 あるいはMaterial Studioを用いた。その方法は DMol 3 モジュールを用いてDFT(密度汎関数法)によっ 金属錯体の構造最適化を行った。そのとき 交換相関関数は特に限定はしないがVWN法ま はBLYP法が好適に用いられる。基底関数は特 に限定はしないがDNPが好適に用いられる。

 エネルギー状態計算は得られた構造を用 、交換相関関数としては特に限定はしない BLYP,PBEが用いられ、基底関数系としては特 限定はしないがDNPが好適に用いられる。

 L 1 としては、下式(L 1 -A)で表される配位子が挙げられる。


 式中、-COOHのHは脱離していてもよく、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は水素原子、アルコキシ基または置換もしく は無置換の炭化水素基を表すか、または、こ れらの二つ以上が一緒になってそれらが結合 する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳 香族炭化水素環または置換もしくは無置換の 脂肪族炭化水素環を形成している。

 R 1 ~R 6 は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコ キシ基であり、水素原子、アルキル基である ことがより好ましい。アルキル基としては、 炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、 チル基がより好ましい。また、アルコキシ としては、炭素数6以下のものが好ましく、 トキシ基、エトキシ基がより好ましい。

 また、R 2 とR 3 、R 4 とR 5 、R 1 とR 6 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 1 ~R 6 は水素原子であることが特に好ましい。

 L 1 の具体例としては、下式(L 1 -1)~(L 1 -4)で表される配位子が挙げられるが、本発明 はこれらに限定されるものではない。


2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸(H 2 dcbpy)


1,10-フェナントロリン-4,7-ジカルボン酸(H 2 dcphen)


2-(2-(4-カルボキシピリジル))-4-カルボキシキ リン(H 2 dcpq)


2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸(H 2 dcbiq)

 但し、式(L 1 -1)~(L 1 -4)中の複素環およびベンゼン環は置換基を有 していてもよく、また、-COOHのHは脱離してい てもよい。置換基としては、メチル基、エチ ル基などの炭素数6以下のアルキル基、メト シ基、エトキシ基などの炭素数6以下のアル キシ基などが挙げられる。

 前述の通り、L 2 は、多座配位可能なキレート型配位子であり 、好ましくは二座もしくは三座もしくは四座 配位可能なキレート型配位子、さらに好まし くは二座配位可能なキレート型配位子である 。具体的には、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナ ントロリン、2-(2-ピリジニル)キノリンまたは 2,2’-ビキノリンなどの誘導体などが挙げら る。

 L 2 は、置換基を有しても、有してなくてもよい 。L 2 の置換基としては、アルキル基(メチル基、 チル基など)、アリール基(フェニル基、トリ ル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エト シ基など)、および水酸基(-OH)などが挙げら る。特に、電子供与性を示す基が好ましい

 L 2 としては、下式(L 2 -A)で表される配位子が挙げられる。


 式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 及びR 18 は水素原子、アルコキシ基、水酸基または置 換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、ま たは、これらの二つ以上が一緒になってそれ らが結合する炭素原子と共に置換もしくは無 置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは 無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

 R 11 ~R 18 は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコ キシ基であり、水素原子、アルキル基である ことがより好ましい。アルキル基としては、 炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、 チル基がより好ましい。また、アルコキシ としては、炭素数6以下のものが好ましく、 トキシ基、エトキシ基がより好ましい。

 また、R 11 ~R 18 の隣接する二つ、またはR 11 とR 18 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 11 ~R 18 は水素原子またはメチル基であることが特に 好ましい。また、R 11 とR 18 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの 換基を有していてもよい)を形成しており、 R 12 ~R 17 は水素原子またはメチル基、より好ましくは 水素原子であることも特に好ましい。

 L 2 の具体例としては、下式(L 2 -1)~(L 2 -4)で表される配位子が挙げられるが、本発明 はこれらに限定されるものではない。


2,2’-ビピリジン(bpy)


1,10-フェナントロリン(phen)


2-(2-ピリジニル)キノリン(pq)


2,2’-ビキノリン(biq)

 但し、式(L 2 -1)~(L 2 -4)中の複素環およびベンゼン環は置換基を有 していてもよい。置換基としては、炭素数6 下のアルキル基、炭素数6以下のアルコキシ 、メチル基などの置換基を有していてもよ フェニル基、水酸基などが挙げられる。

 BLは架橋配位子であって、ヘテロ原子を含 環状構造を有するものである。そして、こ 環状構造(複素共役環)に含まれるヘテロ原子 がM 1 及びM 2 に配位する配位原子である。ヘテロ原子とし ては、窒素、酸素、硫黄、燐などが挙げられ る。

 BLは、四座配位子であることが好ましく さらに好ましくはアニオン性である。また BLは、環状構造(複素共役環)上に置換基を有 ても、有しなくてもよい。

 BLとしては、下式(BL-A)で表されるものが げられる。


 式中、R 31 、R 32 及びR 33 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらの二つ以上 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環 または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素 環を形成しており、R 34 、R 35 及びR 36 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらの二つ以上 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環 または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素 環を形成している。

 R 31 ~R 36 は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコ キシ基であり、水素原子、アルキル基である ことがより好ましい。アルキル基としては、 炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、 チル基がより好ましい。また、アルコキシ としては、炭素数6以下のものが好ましく、 トキシ基、エトキシ基がより好ましい。

 また、R 31 ~R 36 の隣接する二つが一緒になってそれらが結合 する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環( 換基を有していてもよい)を形成しているこ とも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基と しては、アルキル基(メチル基、エチル基な )、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基な ど)などが挙げられる。

 R 31 ~R 36 は水素原子またはメチル基であることが特に 好ましく、R 31 ~R 36 は水素原子であることがさらに好ましい。

 また、BLとしては、下式(BL-B)で表される のも挙げられる。


 式中、R 41 及びR 42 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらが一緒にな ってそれらが結合する炭素原子と共に置換も しくは無置換の芳香族炭化水素環または置換 もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成し ており、R 43 及びR 44 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらが一緒にな ってそれらが結合する炭素原子と共に置換も しくは無置換の芳香族炭化水素環または置換 もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成し ている。

 R 41 ~R 44 は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコ キシ基であり、水素原子、アルキル基である ことがより好ましい。アルキル基としては、 炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、 チル基がより好ましい。また、アルコキシ としては、炭素数6以下のものが好ましく、 トキシ基、エトキシ基がより好ましい。

 また、R 41 とR 42 、R 43 とR 44 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 41 ~R 44 は水素原子またはメチル基であることが特に 好ましく、R 41 ~R 44 は水素原子であることがさらに好ましい。ま た、R 41 とR 42 、R 43 とR 44 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの 換基を有していてもよい)を形成しているこ とも特に好ましい。

 上式(BL-B)で表されるものの中では、下式( BL-C)で表されるものが好ましい。


 式中、R 51 、R 52 、R 53 及びR 54 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらの二つ以上 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環 または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素 環を形成しており、R 55 、R 56 、R 57 及びR 58 は水素原子または置換もしくは無置換の炭化 水素基を表すか、または、これらの二つ以上 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環 または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素 環を形成している。

 R 51 ~R 58 は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコ キシ基であり、水素原子、アルキル基である ことがより好ましい。アルキル基としては、 炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、 チル基がより好ましい。また、アルコキシ としては、炭素数6以下のものが好ましく、 トキシ基、エトキシ基がより好ましい。

 また、R 51 ~R 58 の隣接する二つが一緒になってそれらが結合 する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環( 換基を有していてもよい)を形成しているこ とも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基と しては、アルキル基(メチル基、エチル基な )、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基な ど)などが挙げられる。

 R 51 ~R 58 は水素原子またはメチル基であることが特に 好ましく、R 51 ~R 58 は水素原子であることがさらに好ましい。

 BLの具体例としては、下式(BL-1)~(BL-4)で表 れるものが挙げられるが、本発明はこれら 限定されるものではない。


2,2’-ビピリミジン(bpm)


テトラチアフルバレン(TTF)


2,2’-ビイミダゾラト(BiIm)


2,2’-ビベンズイミダゾラト(BiBzIm)

 但し、式(BL-1)~(BL-4)中の複素環およびベンゼ ン環は置換基を有していてもよい。置換基と しては、炭素数6以下のアルキル基、炭素数6 下のアルコキシ基などが挙げられ、また、 (BL-4)中のベンゼン環上の隣接する二つの炭 原子が一緒になって新たなベンゼン環(置換 基を有していてもよい)を形成していてもよ 。

 光電変換素子に用いる金属錯体色素であ 場合、BLが上式(BL-3)、または(BL-4)で表され 配位子であることが好ましい。

 また、(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n は、水または有機溶媒を結晶溶媒として含ん でいてもよい。有機溶媒としては、DMSO、ア トニトリル、DMF、DMAC、メタノールなどが挙 られる。尚、結晶溶媒の数は特に規定され い。

 Xは対イオンであり、錯体[(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 ]がカチオンであれば対イオンはアニオン、 体[(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 ]がアニオンであれば対イオンはカチオンで る。ここにnは、錯体の電荷を中和するのに 要な対イオンの数を表す。

 Xの具体例として、対イオンがアニオンの 場合、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素 酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、テ トラフルオロホウ酸イオン、トリフルオロメ タンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン 、硫酸イオン、硝酸イオン、および塩化物イ オン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イ オンなどが挙げられる。

 Xの具体例として、対イオンがカチオンの 場合、アンモニウムイオン、テトラブチルア ンモニウムイオン、ナトリウムイオンなどの アルカリ金属イオン、およびプロトンなどが 挙げられる。

 金属錯体色素としては、特に、L 1 が上式(L 1 -1)で表される配位子(-COOHのHが脱離している の、複素環およびベンゼン環がさらに置換 を有しているものも含む)であり、L 2 が上式(L 2 -1)または(L 2 -2)で表される配位子(複素環およびベンゼン が置換基を有しているものも含む)であり、B Lが上式(BL-3)または(BL-4)で表される配位子(複 環およびベンゼン環が置換基を有している のも含む)であり、M 1 及びM 2 がルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト( Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)または鉄(Fe)であるも のが好ましい。

 本発明の(L 1 ) 2 M 1 (BL)M 2 (L 2 ) 2 (X) n で示される非対称な二核金属錯体の具体例と しては、下式(D-1)~(D-16)で表されるものが挙げ られるが、本発明はこれらに限定されるもの ではない。また、式(D-1)~(D-16)中の-COOHのHは脱 離していてもよい。


[(H 2 dcbpy) 2 Ru(BiIm)Ru(bpy) 2 ](ClO 4 ) 2


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiIm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbiq)(Hdcbiq)Ru(BiIm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](BF 4 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](BPh 4 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](OSO 2 CF 3 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](ClO 4 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](NO 3 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](I)


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(phen) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(biq) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dmbpy) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(TMBiBzIm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 )


[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Os(bpy) 2 ](PF 6 )


[(Hdcbpy) 2 Ru(bpm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 ) 2

 上記の金属錯体は、金属錯体色素として用 ることができ、金属錯体色素により増感さ た半導体微粒子を用いて、光化学電池を製 することができる。

 本発明の光電変換素子は、上記の金属錯 色素により増感された半導体微粒子を含む のである。より具体的には、上記の金属錯 色素により増感された半導体微粒子を電極 に固定したものである。

 導電性電極は、透明基板上に形成された 明電極であることが好ましい。導電剤とし は、金、銀、銅、白金、パラジウムなどの 属、錫をドープした酸化インジウム(ITO)に 表される酸化インジウム系化合物、フッ素 ドープした酸化錫(FTO)に代表される酸化錫系 化合物、酸化亜鉛系化合物などが挙げられる 。

 半導体微粒子としては、酸化チタン、酸 亜鉛、または酸化錫などが挙げられる。ま 、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タン ステン、酸化バナジウムや、チタン酸スト ンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸 リウム、ニオブ酸カリウムなどの複合酸化 半導体、カドミウムまたはビスマスの硫化 、カドミウムのセレン化物またはテルル化 、ガリウムのリン化物またはヒ素化物など 挙げられる。半導体微粒子としては、酸化 が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、また 酸化錫、およびこれらのいずれか1種以上を 含む混合物が特に好ましい。

 半導体微粒子の一次粒子径は特に限定さ ないが、通常、1~5000nm、好ましくは2~500nm、 に好ましくは5~300nmである。

 本発明の光化学電池は、上記の光電変換 子を用いたものである。より具体的には、 極として上記の本発明の光電変換素子と対 とを有し、その間に電解質層を有するもの ある。本発明の光電変換素子に用いた電極 対極の少なくとも片方は透明電極である。

 対極は光電変換素子と組み合わせて光化 電池としたときに正極として作用するもの ある。対極としては、上記導電性電極と同 に導電層を有する基板を用いることもでき が、金属板そのものを使用すれば、基板は ずしも必要ではない。対極に用いる導電剤 しては、白金や炭素などの金属、フッ素を ープした酸化錫などの導電性金属酸化物が げられる。

 電解質(酸化還元対)としては特に限定さ ず、公知のものをいずれも用いることがで る。例えば、ヨウ素とヨウ化物(例えば、ヨ 化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ 物、またはヨウ化テトラブチルアンモニウ 、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨ 化ピリジニウム、ヨウ化イミダゾリウム等 4級アンモニウム化合物のヨウ化物)の組み わせ、臭素と臭化物の組み合わせ、塩素と 化物の組み合わせ、アルキルビオローゲン その還元体の組み合わせ、キノン/ハイドロ ノン、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅(I)イオ ン/銅(II)イオン、マンガン(II)イオン/マンガ (III)イオン、コバルトイオン(II)/コバルトイ ン(III)等の遷移金属イオン対、フェロシア /フェリシアン、四塩化コバルト(II)/四塩化 バルト(III)、四臭化コバルト(II)/四臭化コバ ト(III)、六塩化イリジウム(II)/六塩化イリジ ウム(III)、六シアノ化ルテニウム(II)/六シア 化ルテニウム(III)、六塩化ロジウム(II)/六塩 ロジウム(III)、六塩化レニウム(III)/六塩化 ニウム(IV)、六塩化レニウム(IV)/六塩化レニ ム(V)、六塩化オスミウム(III)/六塩化オスミ ム(IV)、六塩化オスミウム(IV)/六塩化オスミ ム(V)等の錯イオンの組み合わせ、コバルト 鉄、ルテニウム、マンガン、ニッケル、レ ウムといった遷移金属とビピリジンやその 導体、ターピリジンやその誘導体、フェナ トロリンやその誘導体といった複素共役環 びその誘導体で形成されているような錯体 、フェロセン/フェロセニウムイオン、コバ トセン/コバルトセニウムイオン、ルテノセ ン/ルテノセウムイオンといったシクロペン ジエン及びその誘導体と金属の錯体類、ポ フィリン系化合物類等が使用できる。好ま い電解質は、ヨウ素とヨウ化リチウムや4級 ンモニウム化合物のヨウ化物とを組み合わ た電解質である。電解質の状態は、有機溶 に溶解した液体であっても、溶融塩、ポリ ーマトリックスに含浸漬したいわゆるゲル 解質や、固体電解質であってもよい。

 本発明の光化学電池は、従来から適用さ ている方法によって製造することができる

 例えば、透明電極上に酸化物等の半導体 粒子のペーストを塗布し、加熱焼成し半導 微粒子の薄膜を作製する。半導体微粒子の 膜がチタニアの場合、温度450℃、反応時間3 0分で焼成する。この薄膜の付いた透明電極 色素溶液に浸漬し、色素を担持して光電変 素子を作製する。さらにこの光電変換素子 対極として白金あるいは炭素を蒸着した透 電極を合わせ、その間に電解質溶液を入れ ことにより本発明の光化学電池を製造する とが出来る。

 本発明を以下の実施例によりさらに詳細 説明するが、本発明はそれらに限定される のではない。

 (比較例1)
 二核金属錯体色素[(H 2 dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2 ](PF 6 )(D-4)の合成   (pH2.5単離物の合成)
 1.単核金属錯体(H 2 dcbpy) 2 RuCl 2 (M 1 C-1)の合成
 窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、市販 RuCl 3 ・3H 2 O(2.53g,9.68mmol)、H 2 dcbpy(4.50g,18.4mmol)、およびN,N-ジメチルホルム ミドを300ml加え、2.45GHzのマイクロ波照射下45 分間還流した。放冷後ろ過し、得られたろ液 を減圧乾固した。得られた残留物をアセトン /ジエチルエーテル(1:4)で洗浄後、2mol/l塩酸300 mlを加え、20分間超音波攪拌、さらに超音波 拌を止め2時間攪拌した。攪拌終了後、不溶 をろ取し、2mol/l塩酸、アセトン/ジエチルエ ーテル(1:4)およびジエチルエーテルで洗浄し 。真空乾燥後、5.75gのM 1 C-1を得た。


 2.単核金属錯体(BiBzIm)Ru(bpy) 2 (M 2 C-2)の合成
 窒素雰囲気下、300ml三口フラスコに、Ru(bpy) 2 Cl 2 (4.02g,7.7mmol)、Inorg.Chem.,34,5979(1995)を参照して 成した2,2’-ビベンズイミダゾール(BiBzImH 2 )(2.18g,9.3mmol)、およびエチレングリコールを10 0ml加え、2.45GHzのマイクロ波照射下5分間還流 た。放冷後、10%のリチウムメトキシドメタ ール溶液を35ml加え、60℃で10分間2.45GHzのマ クロ波を照射した。放冷後、200mlの水を加 、攪拌し、析出物をろ過した。析出物を水 冷メタノール、およびジエチルエーテルで 浄、真空乾燥後、M 2 C-2を5.7708g得た。さらに、この析出物5.77gを窒 素下でメタノール200mlに加え、さらにここへ1 0%のリチウムメトキシドメタノール溶液を10ml 加え、1時間還流した。放冷後、析出物をろ し、冷メタノール、水、およびジエチルエ テルで洗浄、真空乾燥後、M 2 C-2を5.02g得た。


 3.D-4の合成
 窒素雰囲気下、300ml三口フラスコに、M 1 C-1(0.601g,0.86mmol)、およびエタノール/水(1:1)を1 00ml加え、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を3.7ml 滴下し溶解させた。この溶液にM 2 C-2(0.621g,0.91mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照 射下30分間還流した。放冷後、微量の不溶解 をろ別後、ろ液のエタノールを減圧留去し 。得られた懸濁液をろ過し、ろ液に0.5mol/l キサフルオロリン酸水溶液をpH2.5になるまで 滴下した。一晩4℃で冷却後、析出した錯体 ろ取し、pH2.5ヘキサフルオロリン酸水溶液、 アセトン/ジエチルエーテル(4:1)、およびジエ チルエーテルで洗浄した。真空乾燥後、D-4を 1.11g得た。

 (実施例1)
 pH2.8単離物の合成
 窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、M 1 C-1(1.50g,2.16mmol)、およびエタノール/水(1:1)を30 0ml加え、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を8.7ml 下し溶解させた。この溶液にM 2 C-2(1.55g,2.27mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照 下30分間還流した。放冷後、微量の不溶解 をろ別後、ろ液のエタノールを減圧留去し 。得られた懸濁液をろ過し、ろ液に0.5mol/lヘ キサフルオロリン酸水溶液をpH2.8になるまで 下した。一晩4℃で冷却後、析出した錯体を ろ取し、pH2.8ヘキサフルオロリン酸水溶液、 セトン/ジエチルエーテル(4:1)、およびジエ ルエーテルで洗浄した。真空乾燥後、pH2.8 離物を2.61g得た。

 (実施例2)
 pH3.5単離物の合成
 上述したD-4の合成と同様な方法で、D-4を1.46 g得た。得られたD-4(1.13g)を水に懸濁させ、水 化ナトリウム水溶液を滴下することによりp Hを10に調整し、再溶解させた。この溶液に0.5 mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液をpH3.5にな まで滴下した。一晩4℃で冷却後、析出した 体をろ取し、pH3.5ヘキサフルオロリン酸水 液、アセトン/ジエチルエーテル(4:1)、およ ジエチルエーテルで洗浄した。真空乾燥後 pH3.5単離物を0.866g得た。

 (実施例3)
 pH3.8単離物の合成
 上述したD-4の合成と同様な方法で、D-4を1.21 g得た。得られたD-4(1.02g)を水に懸濁させ、水 化ナトリウム水溶液を滴下することによりp Hを10に調整し、再溶解させた。この溶液に0.5 mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液をpH3.8にな まで滴下した。一晩4℃で冷却後、析出した 体をろ取し、アセトン/ジエチルエーテル(4: 1)、およびジエチルエーテルで洗浄した。真 乾燥後、pH3.8単離物を0.681g得た。

 (実施例4)
 pH4.0単離物の合成
 上述したD-4の合成と同様な方法で、D-4を1.15 g得た。得られたD-4(1.12g)を水に懸濁させ、水 化ナトリウム水溶液を滴下することによりp Hを10に調整し、再溶解させた。この溶液に0.0 2mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液をpH4.0にな まで滴下した。一晩-20℃で冷却後、析出し 錯体をろ取し、アセトン/ジエチルエーテル (4:1)、およびジエチルエーテルで洗浄した。 空乾燥後、pH4.0単離物を0.353g得た。

 (実施例5)
 1.多孔質チタニア電極の作製
 (多孔質チタニア電極の作製)
 触媒化成製のチタニアペーストPST-18NRを透 層に、PST-400Cを拡散層に用い、旭硝子株式会 社製透明導電性ガラス電極上にスクリーン印 刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃、6 0%の雰囲気下で5分間エージングし、このエー ジングした膜を450℃で30分間焼成した。冷却 た膜に対し、同じ作業を所定の厚みになる で繰り返し、16mm 2 の多孔質チタニア電極を作製した。

 2.色素を吸着した多孔質チタニア電極の作
 通常の光電変換効率の測定用には、D-4のIPA 用いた飽和色素溶液に多孔質チタニア電極 30℃で20時間浸漬し、乾燥して色素吸着多孔 質チタニア電極を得た。また、耐久性評価用 には、D-4のt-ブタノール/アセトニトリルの1:1 混合溶媒を用いた飽和色素溶液に多孔質チタ ニア電極を30℃で40時間浸漬し、乾燥して色 吸着多孔質チタニア電極を得た。

 3.光化学電池の作製
 以上のようにして得られた色素吸着多孔質 タニア電極と白金板(対極)を重ね合わせた 次に、電解質溶液を両電極の隙間に毛細管 象を利用して染み込ませることにより光化 電池を作製した。使用する電解液は、通常 光電変換効率の測定用には、3-メトキシプロ ピオニトリルにヨウ化リチウム、ヨウ素、4-t -ブチルピリジン、および1,2-ジメチル-3-プロ ルイミダゾリウムアイオダイドをそれぞれ0 .1、0.05、0.5、および0.6mol/lとなるように溶解 調整したものを用い、耐久性評価用には、 -ブチルラクトンにヨウ素、メチルベンズイ ダゾール、および1,2-ジメチル-3-プロピルイ ミダゾリウムアイオダイドをそれぞれ0.1、0.5 、および0.6mol/lとなるように溶解、調整した のを用いた。

 4.光電変換効率の測定
 得られた光化学電池の光電変換効率を英弘 機株式会社製のソーラーシュミレーターを い、100mW/cm 2 の擬似太陽光を照射し測定した。図1に光電 換効率の測定結果を示す。

 図1から明らかなように、pH3.5以上の高いp Hで単離した本発明の色素を用いた光化学電 は、pH2.5で単離した色素を用いた光化学電池 と比べて、光電変換効率が高かった。

 5.耐久性評価
 得られた光化学電池を85℃暗所で所定の時 静置した後、室温に戻し、光電変換効率(η) 英弘精機株式会社製のソーラーシュミレー ーを用い、100mW/cm 2 の擬似太陽光を照射し測定した。図2に85℃暗 所で放置した時間による光電変換効率の変化 を示す。

 図2から明らかなように、pH3.8で単離した 素を用いた光化学電池は、pH2.8で単離した 素を用いた光化学電池と比べて、耐久性が 上した。

 以上のように、本発明によれば、高い光 変換効率と耐久性を有する光化学電池を実 できる金属錯体色素を製造することができ 。