Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF SERINE DERIVATIVE, AND PROTEIN FOR USE IN THE PROCESS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/091045
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a novel process for producing a serine derivative or an optically active form thereof by a simple procedure; and an enzyme or the like for use in the process. Specifically, a given α-amino acid is reacted with a given aldehyde in the presence of protein (A) and/or (B) shown below and having an enzymatic activity, thereby producing a corresponding serine derivative: (A) a protein having the amino acid sequence depicted in SEQ ID NO:5; and (B) a protein which has an amino acid sequence having a mutation selected from the group consisting of substitution, deletion, insertion and addition of one or several amino acid residues in the amino acid sequence depicted in SEQ ID NO:5, and which has an activity of catalyzing the reaction for producing the serine derivative.

Inventors:
KURODA SHINJI (JP)
SUGIYAMA MASAKAZU (JP)
WATANABE KUNIHIKO (JP)
SUZUKI SHUNICHI (JP)
YOKOZEKI KENZO (JP)
KASHIWAGI TATSUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050575
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
January 16, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
KURODA SHINJI (JP)
SUGIYAMA MASAKAZU (JP)
WATANABE KUNIHIKO (JP)
SUZUKI SHUNICHI (JP)
YOKOZEKI KENZO (JP)
KASHIWAGI TATSUKI (JP)
International Classes:
C12P13/06; C12N1/21; C12N9/10; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO2006123745A12006-11-23
WO2006123745A12006-11-23
WO2006075486A12006-07-20
Foreign References:
JP2006320294A2006-11-30
JPH03206892A1991-09-10
JPH07327688A1995-12-19
Other References:
WHITE, T. J. ET AL., TRENDS GENET., vol. 5, 1989, pages 185
TETRAHEDRON LETTERS, vol. 22, 1981, pages 1859
METHODS IN ENZYMOLOGY, vol. 68, 1979, pages 326
MANDEL, M.; HIGA, A., J. MOL. BIOL., vol. 53, 1970, pages 159
JOURNAL OF MOLECULAR CATALYSIS B: ENZYMATIC, vol. 32, 2005, pages 205 - 211
ANGEW. CHEM. INT. ED., vol. 43, 2004, pages 2382 - 2385
SYNLETT, 1997, pages 253
J. PEPTIDE SCI., vol. 7, 2001, pages 619
See also references of EP 2239335A4
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Hiroaki et al. (Kasumigaseki Building 2-5, Kasumigaseki 3-chome, Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
Download PDF:
Claims:
 酵素の存在下で、式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるα-アミノ酸と、式(II):
(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させ、式(III):
(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成させるセリン誘導体の製造方法であって、
 前記酵素が、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるセリン誘導体を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質である、セリン誘導体の製造方法。
 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれか1つのアミノ酸に置換された配列を備えるタンパク質である、請求項1に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備えるタンパク質である、請求項1または2に記載のセリン誘導体の製造方法。
 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるα-アミノ酸と、式(II):

(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとから、式(III):

(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質の存在下で、式(I)に示されるα-アミノ酸と、式(II)に示されるアルデヒドとを反応させて式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、セリン誘導体の製造方法。
 前記酵素を生産する微生物と、前記式(I)に示されるα-アミノ酸および式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記酵素を生産する微生物を含む培養物と、前記式(I)に示されるα-アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記酵素を生産する微生物の菌体処理物と、前記式(I)に示されるα-アミノ酸および前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せしめる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記式(I)に示されアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、アラニン、システイン、トリプトファン、イソロイシン、シクロヘキシルアラニン、2-アミノ-n-酪酸、2-アミノ吉草酸、および2-アミノヘキサン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上のアミノ酸である、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α-フェニルアラニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα-ベンジルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α-ロイシンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα-イソブチルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α-メチオニンであり、前記式(III)に示されるセリン誘導体がα-メチルチオエチルセリンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方法。
 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物に由来し、式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるα-アミノ酸と、式(II):
(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとから、式(III):
(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質。
 式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるα-アミノ酸と、式(II):
(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとから、式(III):
(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有する、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、および付加からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質。
 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第339番目の部位に位置するチロシンが、セリン、ヒスチジンおよびアスパラギンからなる群より選ばれるいずれかの一つのアミノ酸に置換された配列を備える、請求項13に記載のタンパク質。
 前記(B)のタンパク質が、さらに、配列番号5に記載のアミノ酸配列において第19番目の部位に位置するアスパラギンがセリンに置換された配列を備える、請求項14に記載のタンパク質。
 請求項12から15のいずれか一項に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
 下記(a)および(b)からなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
のα-アミノ酸と下記式(II):
(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
のアルデヒドと反応させて、式(III):
(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
 請求項16または17に記載のポリヌクレオチドで形質転換された細胞。
 前記細胞が、エシェリヒア・コリを宿主として形質転換された細胞である、請求項18に記載の細胞。
Description:
セリン誘導体の製造方法及びこ に用いるタンパク質

 本発明は、セリン誘導体の製造方法に関 る。また、本発明は、セリン誘導体の製造 に用いる、酵素活性を有するタンパク質に する。

 セリン誘導体、例えばα位に光学活性を するアミノ酸(β-ヒドロキシ-α-L-アミノ酸、 -ヒドロキシ-α-D-アミノ酸)などのアミノ酸は 、医薬品の中間体などとしての利用が期待さ れる物質である。そのため工業的にも有利な セリン誘導体の製造方法について開発が進め られている。

 酵素を用いたセリン誘導体の製造方法と ては、例えば、キサントモナス属の微生物 利用してα-メチル-β-ヒドロキシフェニルア ラニンを製造する方法(特許文献1)や、ラルス トニア(Ralstonia)属、バリオボラックス(Variovora x)属、ボセア(Bosea)属およびシリシバクター(Si licibacter)属の微生物又はこれに由来するタン ク質を利用して、光学選択的にL-セリン誘 体を製造する方法(特許文献2)などが開示さ ている。

特開平7-327688号公報

国際公開第2006/123745号パンフレット

 上記のように光学活性アミノ酸の製法に いては様々な手法が研究されている。しか 、光学活性アミノ酸やセリン誘導体の種類 多く、より簡便な手法、またはより効率よ 、様々なセリン誘導体を生成する方法が求 られている。本発明は、簡便な手法による リン誘導体およびその光学活性体を生成す 新たな方法およびこれに用いられる酵素等 提供することを課題とする。

 本発明者等はセリン誘導体の新たな製法 ついて鋭意研究したところ、α-アミノ酸と 定のアルデヒドとを反応させる系において その反応を触媒する新たなタンパク質を見 した。さらに、このタンパク質を用いるこ により、簡便にセリン誘導体を生成できる とが見出された。本発明は係る知見に基づ ものであり、下記セリン誘導体の製造方法 よびこれに用いる酵素などを提供するもの ある。

〔1〕 酵素の存在下で、式(I):
(式(I)において、R 1 は、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~14のア ール基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭 数7~19のアラルキル基、炭素数2~11のアルコ シアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテ 原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中 炭素-炭素不飽和結合を含む基からなる群よ 選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐 ていてもよく、炭素骨格中に脂環炭化水素 造を有していてもよく、さらに置換基を有 ていてもよい)
に示されるα-アミノ酸と、式(II):
(式(II)においてR 2 は、水素、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~1 4のアリール基、炭素数3~10のシクロアルキル 、炭素数7~19のアラルキル基、炭素数2~11の ルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中 ヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素 格中に炭素-炭素不飽和結合を含む基からな 群より選ばれ、これらの基は直鎖であって 分岐していてもよく、炭素骨格中に脂環炭 水素構造を有していてもよく、さらに置換 を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させ、式(III):
(式(III)におけるR 1 は、式(I)中のR 1 と同じであり、式(III)におけるR 2 は式(II)中のR 2 と同じ)
に示されるセリン誘導体を生成させるセリン 誘導体の製造方法であって、
 前記酵素が、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する ンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において 置換、欠失、挿入、および付加からなる群 り選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示 れるセリン誘導体を生成する前記反応を触 する活性を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上の ンパク質である、セリン誘導体の製造方法
〔2〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に 載のアミノ酸配列において第339番目の部位 位置するチロシンが、セリン、ヒスチジン よびアスパラギンからなる群より選ばれる ずれかの一つのアミノ酸に置換された配列 備えるタンパク質である、上記〔1〕に記載 セリン誘導体の製造方法。
〔3〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に 載のアミノ酸配列において第19番目の部位に 位置するアスパラギンがセリンに置換された 配列を備えるタンパク質である、上記〔1〕 たは〔2〕に記載のセリン誘導体の製造方法
〔4〕 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微 物に由来し、式(I)に示されるα-アミノ酸と 式(II)に示されるアルデヒドとから、式(III) 示されるセリン誘導体を生成する反応を触 する活性を有するタンパク質の存在下で、 (I)に示されるα-アミノ酸と、式(II)に示され アルデヒドとを反応させて式(III)に示され セリン誘導体を生成せしめる、セリン誘導 の製造方法。
〔5〕 前記酵素を生産する微生物と、前記式 (I)に示されるα-アミノ酸および式(II)に示さ るアルデヒドとを混合し、前記式(III)に示さ れるセリン誘導体を生成せしめる、上記〔1 から〔4〕のいずれか一項に記載のセリン誘 体の製造方法。
〔6〕 前記酵素を生産する微生物を含む培養 物と、前記式(I)に示されるα-アミノ酸および 前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し 前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せ しめる、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項 記載のセリン誘導体の製造方法。
〔7〕 前記酵素を生産する微生物の菌体処理 物と、前記式(I)に示されるα-アミノ酸および 前記式(II)に示されるアルデヒドとを混合し 前記式(III)に示されるセリン誘導体を生成せ しめる、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項 記載のセリン誘導体の製造方法。
〔8〕 前記式(I)に示されアミノ酸が、フェニ ルアラニン、ロイシン、メチオニン、アラニ ン、システイン、トリプトファン、イソロイ シン、シクロヘキシルアラニン、2-アミノ-n- 酸、2-アミノ吉草酸、および2-アミノヘキサ ン酸からなる群より選ばれる1種または2種以 のアミノ酸である、上記〔1〕から〔7〕の ずれか一項に記載のセリン誘導体の製造方 。
〔9〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α-フ ェニルアラニンであり、前記式(III)に示され セリン誘導体がα-ベンジルセリンである、 記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の リン誘導体の製造方法。
〔10〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α- イシンであり、前記式(III)に示されるセリン 誘導体がα-イソブチルセリンである、上記〔 1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のセリン 導体の製造方法。
〔11〕 前記式(I)に示されるアミノ酸が、α- チオニンであり、前記式(III)に示されるセリ ン誘導体がα-メチルチオエチルセリンである 、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載 セリン誘導体の製造方法。
〔12〕 ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微 物に由来し、式(I)に示されるα-アミノ酸と 式(II)に示されるアルデヒドとから、式(III) 示されるセリン誘導体を生成する反応を触 する活性を有するタンパク質。
〔13〕 式(I)に示されるα-アミノ酸と、式(II) 示されるアルデヒドとから、式(III)に示さ るセリン誘導体を生成する反応を触媒する 性を有する、下記(A)および(B):
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する ンパク質、
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において 置換、欠失、挿入、および付加からなる群 り選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を むアミノ酸配列を有するタンパク質、
からなる群より選ばれる1種または2種以上の ンパク質。
〔14〕 前記(B)のタンパク質が、配列番号5に 載のアミノ酸配列において第339番目の部位 位置するチロシンが、セリン、ヒスチジン よびアスパラギンからなる群より選ばれる ずれかの一つのアミノ酸に置換された配列 備える、上記〔13〕に記載のタンパク質。
〔15〕 前記(B)のタンパク質が、さらに、配 番号5に記載のアミノ酸配列において第19番 の部位に位置するアスパラギンがセリンに 換された配列を備える、上記〔14〕に記載の タンパク質。
〔16〕 上記〔12〕から〔15〕のいずれか一項 記載のタンパク質をコードするポリヌクレ チド。
〔17〕 下記(a)および(b)からなる群から選ば るポリヌクレオチド。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリ クレオチド
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩 配列を有するポリヌクレオチドとストリン ェントな条件下においてハイブリダイズし かつ、式(I)のα-アミノ酸と下記式(II)のアル ヒドと反応させて、式(III)に示されるセリ 誘導体を生成する反応を触媒する活性を有 るタンパク質をコードするポリヌクレオチ 。
〔18〕 上記〔16〕または〔17〕に記載のポリ クレオチドで形質転換された細胞。
〔19〕 前記細胞が、エシェリヒア・コリを 主として形質転換された細胞である、上記 18〕に記載の細胞。

 本発明によれば、様々なセリン誘導体を 便な反応系によって製造することができる

図1は、本発明の製造方法で用いられる 反応系を示す図である。 図2は、本発明の製造方法で用いられる 反応系の一つの実施形態を示す図である。

 以下、本発明の実施の形態についてその最 の形態と共に説明する。
 なお、以下に挙げる種々の遺伝子工学的な 法については、Molecular Cloning: A Laboratory M anual,3rd edition,Cold Spring Harbor Press(2001年)、 遺伝子工学ハンドブック改訂第4版、村松ら 、羊土社(2003年)など、多くの標準的な実験 ニュアルがあり、これらの文献を参考にす ことにより当業者であれば実施可能である 本明細書においては、特に断らない限り、 列番号は配列表中の配列番号を示す。また 本明細書において、酵素とは化学反応を触 する活性を有するタンパク質のことをいう

 本発明のセリン誘導体の製造方法は、酵 を触媒とし、式(I)のα-アミノ酸と、式(II)に 示されるアルデヒドとを反応させ、式(III)を 成する反応系が用いられる(図1)。

 式(I)におけるR 1 をより具体的に示すと以下の通りである。
 R 1 が炭素数1~7のアルキル基である場合とは、具 体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロ ル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブ ル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチ 基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘ シル基、イソヘキシル基などが例示される また、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有 るアルキル基の具体例として、シクロヘキ ルメチル基などが挙げられる。

 また、R 1 が炭素数6~14のアリール基である場合とは、 体例を示すと、フェニル基、トリル基、キ リル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ア トリル基、フェナントリル基などが例示さ る。

 R 1 が炭素数3~10のシクロアルキル基である場合 は、具体例を示すと、シクロプロピル基、 クロブチル基、シクロペンチル基、シクロ キシル基、シクロヘプタニル基、シクロオ タニル基、シクロノナニル基、シクロデカ ル基などが例示される。

 R 1 が炭素数7~19のアラルキル基である場合とは 具体例を示すと、ベンジル基、ベンズヒド ル基、フェネチル基、トリチル基などのフ ニルアルキル基、シンナミル基、スチリル 、ナフチルアルキル基などが例示される。

 R 1 が炭素数2~11のアルコキシアルキル基である 合とは、具体例を示すと、炭素数1~10のアル ル基に、メトキシ基、エトキシ基、プロポ シ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペ チルオキシ基、フェノキシ基、ヘプトキシ 、オクトキシ基、ノナノキシ基、デカノキ 基、およびウンデコキシ基から選ばれる基 置換されたものが例示される。

 R 1 は、上記炭化水素の炭素骨格中にヘテロ原子 を含む基であってもよい。ヘテロ原子として は、酸素、窒素、硫黄などが挙げられる。
 R 1 が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一 形態には、複素環含有炭化水素基が含まれる 。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の 環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である 。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリ ール基などが含まれ、芳香族性の有無には限 定されず、また単環式であっても多環式であ ってもよい。複素環含有炭化水素基として具 体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル 基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリ ノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さら には、これらの複素環基により置換されたア ルキル基等が例示される。

 また、R 1 は、上記に示す基において炭素骨格中に炭素 -炭素不飽和結合を含む炭化水素基であって よい。
 さらに、上記R 1 は、直鎖状であっても分岐を有していてもよ い。また、上記R 1 は炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有してい てもよい。脂環炭化水素構造としては、シク ロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン 、シクロヘキサンなどの炭素骨格から1個ま は2個以上の水素基が脱離した置換基構造な が挙げられる。
 また、R 1 は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原 子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3まで アルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(-OH)、 オール基(-SH)、アミノ基(-NH 2 )、アミド基(-CONH 2 )、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(-NHNH 2 )等から選ばれる1種または2種以上が置換およ び/または付加されたものであってもよい。

 式(I)に示されるα-アミノ酸としては、例 ば、それぞれα-型の、アラニン、バリン、 イシン、イソロイシン、セリン、トレオニ 、システイン、メチオニン、アスパラギン グルタミン、フェニルアラニン、チロシン トリプトファン、アスパラギン酸、グルタ ン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、2 -アミノ-n-酪酸、シクロヘキシルアラニン、2- アミノ吉草酸(ノルバリン)、2-アミノヘキサ 酸(ノルロイシン)などが挙げられ、好ましく は、前記式(I)に示されアミノ酸が、フェニル アラニン、ロイシン、メチオニン、アラニン 、システイン、トリプトファン、イソロイシ ン、シクロヘキシルアラニン、2-アミノ-n-酪 、2-アミノ吉草酸、2-アミノヘキサン酸など 、より好ましくはフェニルアラニン、ロイシ ン、メチオニンなどが例示される。

 式(II)におけるR 2 をより具体的に示すと次の通りである。
 R 2 は水素であってもよい。
 R 2 が炭素数1~7のアルキル基である場合とは、具 体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロ ル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブ ル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチ 基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘ シル基、イソヘキシル基などが挙げられる また、炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有 るアルキル基の具体例として、シクロヘキ ルメチル基などが挙げられる。

 また、R 2 が炭素数6~14のアリール基である場合とは、 体例を示すと、フェニル基、トリル基、キ リル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ア トリル基、フェナントリル基などが挙げら る。

 R 2 が炭素数3~10のシクロアルキル基である場合 は、具体例を示すと、シクロプロピル基、 クロブチル基、シクロペンチル基、シクロ キシル基、シクロヘプタニル基、シクロオ タニル基、シクロノナニル基、シクロデカ ル基などが挙げられる。

 R 2 が炭素数7~19のアラルキル基である場合とは 具体例を示すと、ベンジル基、ベンズヒド ル基、フェネチル基、トリチル基などのフ ニルアルキル基、シンナミル基、スチリル 、並びにナフチルアルキル基などが挙げら る。

 R 2 が炭素数2~11のアルコキシアルキル基である 合とは、具体例を示すと、炭素数1~10のアル ル基に、メトキシ基、エトキシ基、プロポ シ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペ チルオキシ基、フェノキシ基、ヘプトキシ 、オクトキシ基、ノナノキシ基、デカノキ 基、およびウンデコキシ基から選ばれる基 置換されたものなどが挙げられる。

 R 2 は、上記炭化水素の炭素骨格中にヘテロ原子 を含む基であってもよい。ヘテロ原子として は、酸素、窒素、硫黄などが挙げられる。
 R 2 が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一 形態には、複素環含有炭素水素基が含まれる 。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の 環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である 。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリ ール基などが含まれ、芳香族性の有無には限 定されず、また単環式であっても多環式であ ってもよい。複素環含有炭化水素基として具 体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル 基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリ ノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さら には、これらの複素環基により置換されたア ルキル基等が含まれる。

 また、R 2 は、上記に示す基において炭素骨格中に炭素 -炭素不飽和結合を含む炭化水素基であって よい。
 さらに、上記R 2 は、直鎖状であっても分岐を有していてもよ い。また、上記R 2 は炭素骨格中に脂環炭化水素構造を有してい てもよい。脂環炭化水素構造としては、シク ロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン 、シクロヘキサンなどの炭素骨格から1個ま は2個以上の水素基が脱離した置換基構造な が挙げられる。
 また、R 2 は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原 子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3まで アルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(-OH)、 オール基(-SH)、アミノ基(-NH 2 )、アミド基(-CONH 2 )、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(-NHNH 2 )等から選ばれる1種または2種以上が置換およ び/または付加されたものであってもよい。

 式(II)に示される化合物としては、好まし くはホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド が例示される。

 式(III)におけるR 1 およびR 2 はそれぞれ式(I)および式(II)におけるそれら 同じである。

 本発明における好ましい一形態としては 例えば図2に示すように、L-α-フェニルアラ ンとホルムアルデヒドとを反応させて、α- ンジル-L-セリンを生成する系などが挙げら る。図2に例示されるように、ホルムアルデ ヒドを、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸など 介さずに、直接的にL-アミノ酸と反応させ L-セリン誘導体を生成する反応系が用いられ ている。このように、本発明の製造方法の一 形態では、シンプルな反応系でL-セリン誘導 を得ることができる。また、ホルムアルデ ドを用いる場合、少量のホルムアルデヒド 逐次的に反応系に添加していってもよい。 ルムアルデヒドを逐次添加することにより 副産物等の生成を抑制し得る。

 本発明における好ましい別の形態として 、例えば、L-ロイシンとホルムアルデヒド を反応させてα-イソブチル-セリンを生成す 系、及びL-メチオニンとホルムアルデヒド を反応させてα-メチルチオエチル-セリンを 成する系などが挙げられる。

 反応温度は、好ましくは10~60℃、より好 しくは20~40℃である。また、反応系のpHは、 ましくは4~10であり、より好ましくは6~9であ る。

 上記反応終了後の酵素反応液からは、例え 、以下の様にしてセリン誘導体の単離を行 ことができる。
 酵素反応液のpHを下げ、加熱殺菌と共に、 存タンパクの凝集を行った後、遠心分離、 過、UF(ウルトラフィルトレーション:限外ろ )等の手段により、除菌・除タンパクを行う 。この液中には、無機塩類が含まれるため、 晶析時に、これらの析出を回避する為、脱塩 を行う。方法は、NF(ナノフィルトレーション :ナノろ過)、電気透析、イオン交換樹脂等何 の方法を用いてもよい。

 必要に応じ上記の脱塩処理を行った後、 応液を濃縮していくとL-セリン誘導体の結 が析出してくるが、性状は微細であり、結 分離に際し、溶解度が高い故、高回収率が られない上に、粘性も大きく取り扱いが困 であることが多い。その為、液を必要に応 てある程度予備的に濃縮した後に貧溶媒添 晶析を行うのが好ましい。予備的濃縮は、 えば結晶が析出し始めるまで行ってもよい ここで添加する貧溶媒としては、水溶性で る低級アルコールやアセトンが好適である 貧溶媒晶析の後に、冷却晶析を組み合わせ 、晶析率を上げることも可能である。この ラリーを分離し、湿ケーキを乾燥すること より、L-セリン誘導体の結晶を得ることがで きる。

 本発明において、式(II)のアルデヒドと、 α-アミノ酸との反応は所定の酵素の存在下に おいて行われる。この反応を触媒し得る酵素 としては、例えば、ロドコッカス(Rhodococcus) に属する微生物から得ることができる。よ 具体的には、例えば、ロドコッカス エスピ ー(Rhodococcus sp.)、さらに具体的には、Rhodococc us sp. AJ110611株が挙げられる。Rhodococcus sp. A J110611株は、下記寄託機関に寄託され、FERM BP -11042の受託番号が付されて受託管理されてい る菌株である。FERM番号が付与された菌株は 受託番号を参照の上、所定の手続により分 を受けることができる。

名称:Rhodococcus sp. AJ110611
受託番号:FERM BP-11042
寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所 許生物寄託センター
寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1 番地1 中央第6
上記寄託機関に受託された日:2007年3月29日

 なお、上記微生物は、上記受託された日( すなわち、2007年3月29日)時点において受託番 :FERM P-21281の番号が付されて受託されたが その後、同寄託機関内における移管手続に って、改めて受託番号:FERM BP-11042の番号が され、引き続き同寄託機関にて受託管理さ ているものである。

 また、Rhodococcus sp. AJ110611株は、上記受 された日(すなわち、2007年3月29日)において 、Rhodococcus percolatus(ロドコッカス ペルコラ タス) AJ110611株として受託されたが、その後 再同定の結果、Rhodococcus sp.に属すると分類 すべき微生物であることが判明した。そのた め、微生物の名称が変更され、現在、Rhodococc us sp. AJ110611株として上記受託機関に保存さ ている。なお、上記の変更は、名称につい の変更のみであり、上記受託された日に受 された微生物自体には変わりはない。

 本発明においてセリン誘導体を生成する反 に用いられる酵素としては、より具体的に 下記のタンパク質が例示される。
(A)配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する ンパク質(全長アミノ酸残基数:365)
(B)配列番号5に記載のアミノ酸配列において 置換、欠失、挿入および付加からなる群よ 選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含 アミノ酸配列を有し、かつ式(I)のα-アミノ と式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III) 示されるセリン誘導体を生成する反応を触 する活性を有するタンパク質
 上記のタンパク質を用いることにより、セ ン誘導体を簡便に生成することができる。

 配列番号5に示すアミノ酸を有するタンパ ク質(A)は、例えば、Rhodococcus sp.(AJ110611株)か 単離し得る。タンパク質(A)は下記実施例に 実証されているとおり、広い基質特異性を している。

 本発明においては、タンパク質(A)と実質 に同一のタンパク質も用い得る。タンパク (A)と実質的に同じタンパク質として、(B)に すタンパク質が提供される。アミノ酸残基 タンパク質の立体構造における位置や種類 よっても異なるが、「1又は数個」の用語は 、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造や活 性を大きく損なわない範囲を示すものである 。「1又は数個」の用語が示す数は、例えば 1~100個、好ましくは1~70個、より好ましくは1~ 40個、より好ましくは1~20個、好ましくは1~10 、さらに好ましくは1~5個である。ただし、 ンパク質(B)のアミノ酸配列において1または 個の置換、欠失、挿入、および付加からな 群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変 異を含むアミノ酸配列の場合には、30℃、pH7- 8の条件下で、タンパク質(A)の半分程度以上 より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90 %以上、特に好ましくは95%以上の酵素活性を 持していることが望ましい。

 上記タンパク質(B)に示されるようなアミ 酸の変異は、例えば部位特異的変異法によ て、本タンパク質をコードする遺伝子の特 の部位のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付 などされるように塩基配列を改変すること よって得られる。また、上記のような改変 れた塩基配列を有するポリヌクレオチドは 従来知られている突然変異処理によっても 得され得る。突然変異処理としては、タン ク質(A)をコードするDNAをヒドロキシルアミ 等でインビトロ処理する方法、及びタンパ 質(A)をコードするDNAを保持するエシェリヒ 属細菌を、紫外線照射またはN-メチル-N’- トロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝 酸等の通常人工突然変異に用いられている変 異剤によって処理する方法が挙げられる。

 また、上記のような塩基の置換、欠失、 入、および付加等の変異には、微生物の種 るいは菌株による差等、天然に生じる変異 含まれる。上記のような変異を有するDNAを 当な細胞で発現させ、発現産物の本酵素活 を調べることにより、タンパク質(A)と実質 に同一のタンパク質をコードするDNAが得ら る。

 また、タンパク質(A)とそれぞれ実質的に 一のタンパク質として、アミノ酸配列によ 相同性が、好ましくは60%以上、より好まし は70%以上、より好ましくは80%以上、より好 しくは90%以上、より好ましくは95%以上、さ に好ましくは98%の相同性の配列を有するタ パク質が例示される。なお、本明細書にお て、アミノ酸配列の相同性の計算は、株式 社ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7 .0.9を使用し、ORFにコードされるポリペプチ 鎖全長をもちいて、Unit Size to Compare=2の設 でMarching countをpercentage計算させた際の数値 またはこれと同等の計算手法による数値であ る。

 上記タンパク質(B)としては、例えば、次の うな変異型タンパク質が挙げられる。(B1)配 列番号5に記載のアミノ酸配列において、第33 9番目の部位のチロシンが、セリン、ヒスチ ンおよびアスパラギンからなる群より選ば るいずれかの一つのアミノ酸に置換された 列を備えるタンパク質。
 これらの変異型タンパク質は、式(I)のアミ 酸と式(II)アルデヒドとから式(III)のセリン 導体を生成する反応を触媒する活性がタン ク質(A)よりも高い。これらの中でも、第339 目の部位のチロシンがセリンに置換された ミノ酸配列を備える変異型タンパク質は特 上記の活性が高い。なお、アミノ酸配列の 換については、元のアミノ酸の略号/変異部 位の番号/置換後のアミノ酸略号の順に表記 れる場合がある。例えば、第339番目の部位 チロシンがセリンに置換されたアミノ酸配 を備える変異型タンパク質は、「Y339S」のよ うな略号表記によって識別され得る。アミノ 酸の略号には、学術的に、一文字略号および 三文字略号が認められており、上記は一文字 略号による表記である。他の変異型について も同様である。

 さらに、他の好ましい変異型タンパク質と ては、次のタンパク質(B2)が挙げられる。
(B2)配列番号5に記載のアミノ酸配列において 第19番目の部位のアスパラギンがセリンに 換された配列を備えるタンパク質。
 タンパク質(B2)の変異は、「N19S」と略号表 される。N19Sの変異も、これらの変異型タン ク質は、式(I)のアミノ酸と式(II)アルデヒド とから式(III)のセリン誘導体を生成する反応 触媒する活性に関与している。

 さらに好ましい変異型タンパク質としては 配列番号5に記載のアミノ酸配列において第 339番目のアミノ酸と第19番目のアミノ酸の双 に変異を導入した形態が挙げられる。すな ち、組合せとしては、次の(1)から(3)の組合 が挙げられる。
(1)「Y339S」および「「N19S」
(2)「Y339H」および「「N19S」
(3)「Y339N」および「「N19S」
 これらのうちでも「Y339S」および「N19S」の 方の変異が導入されたアミノ酸配列を備え タンパク質は、式(I)のアミノ酸がアラニン ある場合に特に高い酵素活性を示す傾向が る。

 本発明は、上記タンパク質(A)をコードす ポリヌクレオチドも提供する。コドンの縮 により、1つのアミノ酸配列を規定する塩基 配列は複数あり得る。すなわち、本発明のポ リヌクレオチドとして、上記タンパク質(A)を コードする塩基配列を有するポリヌクレオチ ドが含まれる。また、本発明のポリヌクレオ チドとして具体的には、配列番号4に記載の 基配列を有するポリヌクレオチド(a)が挙げ れる。

 上記ポリヌクレオチド(a)は、タンパク質( A)をコードしており、例えば、Rhodococcus sp. A J110611株から単離し得る。

 さらに、本発明のポリヌクレオチドの他 形態としては、例えば、上記タンパク質(B1) 、(B2)およびこれらの変異の組合せによる変 型タンパク質をコードするポリヌクレオチ などが挙げられる。これらの変異型タンパ 質をコードするポリヌクレオチドは、配列 号4に記載の塩基配列において、対応するア ノ酸の部位の配列をコドン表に従って置換 た塩基配列を備える。例えば、「Y339S」の 異が導入されたタンパク質の場合、配列番 4の塩基配列において塩基番号1015~1017におけ 「tac」の塩基配列を、「tct」などのセリン コードする塩基配列に置換すればよい。

 単離の方法について説明する。配列番号4 に記載の塩基配列を有するDNAは、Rhodococcus sp .の染色体DNA、もしくはDNAライブラリーから PCR(polymerase chain reacion、White,T.J.et al;Trends G enet.,5,185(1989)等参照)またはハイブリダイゼー ションによって取得することができる。PCRに 用いるプライマーは、例えば本発明の方法に おける反応を触媒する活性を有する精製タン パク質に基づいて決定された内部アミノ酸配 列に基づいて設計することができる。また、 配列番号4に記載された塩基配列に基づいて ライマーまたはハイブリダイゼーション用 プローブを設計することもでき、あるいは ローブを使って単離することもできる。PCR のプライマーとして、コード領域を挟むよ に、5’非翻訳領域及び3’非翻訳領域に対応 する配列を有するプライマーの組み合わせを 用いると、本タンパク質のコード領域全長を 増幅することができる。

 プライマーの合成は、例えば、Applied Bios ystems社製DNA合成機 model 380Bを使用し、ホス アミダイト法を用いて(Tetrahedron Letters(1981),2 2,1859参照)常法に従って合成できる。PCR反応 、例えばGene Amp PCR System 9600(PERKIN ELMER社 )及びTaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(タカラ イオ社)などを用い、各メーカーなど供給者 より指定された方法に従って行うことがで る。

 また、上記ポリヌクレオチド(a)と実質的 同一のポリヌクレオチドも本発明のポリヌ レオチドに含まれる。ポリヌクレオチド(a) 実質的に同一のポリヌクレオチドとして、 えば、下記ポリヌクレオチド(b)が挙げられ 。

(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な 基配列を有するポリヌクレオチドとストリ ジェントな条件下においてハイブリダイズ 、かつ、式(I)のα-アミノ酸と式(II)のアルデ ドと反応させて、式(III)に示されるセリン 導体を生成する反応を触媒する活性を有す タンパク質をコードするポリヌクレオチド

 ハイブリダイズさせるポリヌクレオチド しては、例えばプローブを用い得る。それ れの場合において、プローブは、配列番号4 に記載の塩基配列などに基づいて定法により 作製することができる。また、プローブを用 いてこれとハイブリダイズするポリヌクレオ チドをつり上げ、目的とするポリヌクレオチ ドを単離する方法も、定法に従って行えばよ い。例えば、DNAプローブは、プラスミドやフ ァージベクターにクローニングされた塩基配 列を増幅し、プローブとして用いたい塩基配 列を制限酵素により切り出し、抽出して調製 することができる。切り出す箇所は、目的と するDNAに応じて調節することができる。また 、一旦、上記のような実質的に同一のポリヌ クレオチドが検出された後は、PCR等によって 増幅することも定法により可能である。

 「ストリンジェントな条件」とは、いわ る特異的なハイブリッドが形成され、非特 的なハイブリッドが形成されない条件をい 。この条件を明確に数値化することは困難 あるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同 、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、 り好ましくは95%以上、さらに好ましくは98% 相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし それより相同性が低いDNA同士がハイブリダ ズしない条件が挙げられる。なお、塩基配 についての相同性(%)の計算は各遺伝子のORF 体(終止コドンを含む)をもちいて、株式会 ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7.0.9 を使用し、Unit Size to Compare = 6、pick up loc ation=1の設定でpercentage計算させた数値または れと同等の計算手法による数値として表示 る。また、他の例として、通常のサザンハ ブリダイゼーションの洗いの条件である60 、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、65℃、0.1×SSC、 0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズす 条件が挙げられる。このような条件でハイ リダイズする遺伝子の中には途中にストッ コドンが発生したものや、活性中心の変異 より活性を失ったものも含まれるが、それ については、市販の発現ベクターにつなぎ 適当な宿主で発現させて、発現産物の酵素 性を後述の方法で測定することによって容 に取り除くことができる。

 なお、上記のように上記ポリヌクレオチ (b)の場合には、それぞれ30℃、pH8の条件下 、上記配列番号4の塩基配列によりコードさ るアミノ酸配列を有するタンパク質(A)の半 程度以上の活性、より好ましくは80%以上、 らに好ましくは90%以上の触媒活性を保持し いることが望ましい。

 本発明において用いられる酵素は、上記 ような反応を触媒し得る状態で反応系内に 在すれば、その形態に特に限定はない。す わち、酵素の存在下で反応を行う際の、反 系内における酵素の具体的な存在形態とし は、例えば、酵素を生産する微生物を含む 養物、その培養物から分離された微生物菌 、菌体処理物などが含まれる。微生物を含 培養物とは、微生物を培養して得られる物 ことであり、より具体的には、微生物菌体 その微生物の培養に用いた培地および培養 れた微生物により生成された物質、及びこ らの混合物などのことをいう。また、微生 菌体は洗浄し、洗浄菌体として用いてもよ 。また、菌体処理物には、菌体を破砕、溶 、凍結乾燥したものなどが含まれ、さらに 体などを処理して回収される無細胞抽出物 粗精製タンパク質、これらをさらに精製し 精製タンパク質などが含まれる。精製処理 れたタンパク質としては、各種精製法によ て得られる部分精製タンパク質等を使用し もよいし、これらを共有結合法、吸着法、 括法等によって固定化した固定化タンパク を使用してもよい。また、使用する微生物 よっては、培養中に一部、溶菌するものも るので、この場合には培養液上清も酵素含 物として利用できる。

 次に本発明のタンパク質の製造方法、並 にこれに用いられる組換え体および形質転 体の作製方法について、上記(A)のタンパク を一例として説明する。他の変異型タンパ 質についても同様に実施可能である。

 上記(A)のタンパク質を発現する形質転換 は、上記のいずれかの塩基配列を有するポ ヌクレオチドを組み込んだ組換えポリヌク オチドを作製し、これを用いて作製するこ ができる。例えば、配列番号4に示される塩 基配列を有するDNAを組み込んだ組換えDNAを作 製して適切な宿主に導入することにより、(A) のタンパク質を発現する形質転換体を得るこ とができる。配列番号4の塩基配列を有するDN Aにより特定されるタンパク質を発現させる めの宿主としては、例えばエシェリヒア・ リ(Escherichia coli)等のエシェリヒア属細菌、 リネバクテリウム属細菌、及びバチルス・ ブチリス(Bacillus subtilis)をはじめとする種 の原核細胞、サッカロマイセス・セレビシ (Saccharomyces cerevisiae)、ピヒア・スティピテ ス(Pichia stipitis)、アスペルギルス・オリゼ(A spergillus oryzae)をはじめとする種々の真核細 を用いることができる。培養等の取り扱い 簡便で、高価な成分を要せずとも培養でき 宿主を用いることにより、セリン誘導体の 量生産をより簡便に、また安価に行うこと できる。

 配列番号4の塩基配列を有するDNAを宿主に 導入するために用いる組換えDNAは、発現させ ようとする宿主の種類に応じたベクターに、 これらのDNAを、DNAがコードするタンパク質が 発現可能な形態で挿入することで調製可能で ある。タンパク質を発現させるためのプロモ ータとしては、Rhodococcus sp.などに由来する 記酵素をコードする遺伝子固有のプロモー が宿主細胞で機能する場合には、そのプロ ータを使用することができる。また、必要 応じて宿主細胞で働く他のプロモータを、 列番号4などのDNAに連結し、そのプロモータ 御下で発現させるようにしてもよい。

 組換えDNAを宿主細胞に導入するための形 転換法としては、D.M.Morrisonの方法(Methods in Enzymology 68, 326 (1979))あるいは受容菌細胞を 塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す 方法(Mandel,M. and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))等 挙げられる。

 目的のタンパク質を組換えDNA技術を用い 大量生産する場合、そのタンパク質を生産 る形質転換体内でそのタンパク質を会合さ たタンパク質の封入体(inclusion body)を形成 せる形態も好ましい一実施形態として挙げ れる。この発現生産方法の利点は、目的の ンパク質を菌体内に存在するプロテアーゼ よる消化から保護する点および目的のタン ク質を菌体破砕に続く遠心分離操作によっ 簡単に精製できる点等である。タンパク質 入体から活性型タンパク質を得るためには 可溶化および活性再生等の一連の操作が必 であり、直接活性型タンパク質を生産する 合よりも操作が複雑になる。しかし、菌体 生育に影響を及ぼすようなタンパク質を菌 内で大量に生産させる場合は、不活性なタ パク質封入体として菌体内に蓄積させるこ により、その影響を抑えることができる。

 目的タンパク質を封入体として大量生産 せる方法として、強力なプロモータの制御 、目的のタンパク質を単独で発現させる方 の他、大量発現することが知られているタ パク質との融合タンパク質として発現させ 方法がある。

 形質転換される宿主は、異種遺伝子の発 に通常用いられる株を使用することができ が、大腸菌K12株亜種のエシェリヒア コリ  JM109株、DH5α株、HB101株、BL21(DE3)株などから選 択することが出来る。形質転換を行う方法、 および形質転換体を選別する方法はMolecular C loning: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring  Harbor press (2001/01/15)などにも記載されてい 。以下、形質転換された大腸菌を作製し、 れを用いて所定の酵素を製造する方法を、 例としてより具体的に説明する。

 本発明で用いられる触媒活性を有するタ パク質をコードするDNAを発現させるプロモ タとしては、通常大腸菌における異種タン ク質生産に用いられるプロモータを使用す ことができ、例えば、T7プロモータ、lacプ モータ、trpプロモータ、trcプロモータ、tac ロモータ、ラムダファージのPRプロモータ、 PLプロモータ、T5プロモータ等の強力なプロ ータが挙げられる。また、ベクターとして 、例えば、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298 pHSG399、pHSG398、RSF1010、pACYC177、pACYC184、pMW119 pMW118、pMW219、pMW218、pQE30およびその誘導体 を用いてもよい。他のベクターとしては、 ァージDNAのベクターを利用してもよい。さ に、プロモータを含み、挿入DNA配列を発現 せることができる発現ベクターを使用して よい。

 本発明で用いられるタンパク質を融合タ パク質封入体として生産させるためには、 のタンパク質の上流あるいは下流に、他の ンパク質、好ましくは親水性であるペプチ をコードする遺伝子を連結して、融合タン ク質遺伝子とする。このような他のタンパ 質をコードする遺伝子としては、融合タン ク質の蓄積量を増加させ、変性および再生 程後に融合タンパク質の溶解性を高めるも であればよく、例えば、T7gene 10、β-ガラク トシダーゼ遺伝子、デヒドロ葉酸還元酵素遺 伝子、インターフェロンγ遺伝子、インター イキン-2遺伝子、プロキモシン遺伝子等が 補として挙げられる。

 これらの遺伝子とタンパク質をコードす 遺伝子とを連結する際には、コドンの読み りフレームが一致するようにする。適当な 限酵素部位で連結するか、あるいは適当な 列の合成DNAを利用すればよい。

 また、生産量を増大させるためには、融 タンパク質遺伝子の下流に転写終結配列で るターミネータを連結することが好ましい 合がある。このターミネータとしては、T7 ーミネータ、fdファージターミネータ、T4タ ミネータ、テトラサイクリン耐性遺伝子の ーミネータ、大腸菌trpA遺伝子のターミネー タ等が挙げられる。

 触媒活性を有するタンパク質またはその 合タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌 導入するためのベクターとしては、いわゆ マルチコピー型のものが好ましく、ColE1由 の複製開始点を有するプラスミド、例えばpU C系のプラスミドやpBR322系のプラスミドある はその誘導体が挙げられる。ここで、「誘 体」とは、塩基の置換、欠失、挿入、付加 よび/または逆位などによってプラスミドに 変を施したものを意味する。なお、ここで う改変とは、変異剤やUV照射などによる変 処理、あるいは自然変異などによる改変を 含む。

 また、形質転換体を選別するために、ベ ターがアンピシリン耐性遺伝子等のマーカ を有することが好ましい。このようなプラ ミドとして、強力なプロモータを持つ発現 クターが市販されている(例えば、pUC系(タ ラバイオ社製)、pPROK系(クローンテック製)、 pKK233-2(クローンテック製)など)。

 プロモータ、所定の活性を有する目的タ パク質またはその目的タンパク質と他のタ パク質との融合タンパク質をコードする遺 子、場合によってはターミネータの順に連 したDNA断片と、ベクターDNAとを連結して組 えDNAを得る。

 得られた組換えDNAを用いて大腸菌を形質 換し、この大腸菌を培養すると、所定のタ パク質またはその融合タンパク質が発現生 される。

 融合タンパク質として発現させた場合、 液凝固因子Xa、カリクレインなどの、目的 ンパク質内に存在しない配列を認識配列と る制限プロテアーゼを用いて目的タンパク を切り出せるようにしてもよい。

 生産培地としては、M9-カザミノ酸培地、L B培地など、大腸菌を培養するために通常用 る培地を用いてもよい。また、培養条件、 産誘導条件は、用いたベクターのマーカー プロモータ、宿主菌等の種類に応じて適宜 択する。

 目的のタンパク質またはこれを含む融合 ンパク質を回収するには、以下の方法など ある。目的タンパク質あるいはその融合タ パク質が菌体内に可溶化されていれば、菌 を回収した後、菌体を破砕あるいは溶菌さ 、粗酵素液として使用できる。さらに、必 に応じて、通常の沈澱、濾過、カラムクロ トグラフィー等の手法により、目的タンパ 質あるいはその融合タンパク質を精製して いることも可能である。この場合、目的タ パク質あるいは融合タンパク質の抗体を利 した精製法も利用できる。タンパク質封入 が形成される場合には、変性剤でこれを可 化し、変性剤を透析等により除去して目的 ンパク質を得ることができる。

 以下、本発明について実施例を示しより詳 に説明するが、本発明は下記実施例に制限 れるものではない。なお、下記実施例にお て用いられているRhodococcus sp. AJ110611株は 上記にて説明したとおり、寄託機関に受託 れた日(すなわち、2007年3月29日)においては その名称としてRhodococcus percolatus AJ110611株 されていたが、その後の再同定の結果、Rhodo coccus sp.に属すると分類すべき微生物である とが判明した微生物である。
<実施例1>2-ベンジルセリンヒドロキシメ ルトランスフェラーゼ活性の検出(野生株の 活性確認)
 Nutrient Broth(Difco社)で調製した寒天培地で、 Rhodococcus sp.(AJ110611株)を、30℃、24時間培養し た。得られた微生物の菌体を、3mlの0.2% α-ベ ンジル-DLセリンおよび0.17% Yeast Nitrogen Base  w/o amino acid and ammonium sulfate(Difco社)を含む 体培地(pH7.0)に1白金耳接種し、30℃、120往復 /分で24時間、振とう培養した。培養後、菌体 を遠心分離し、1mlの0.1mMピリドキサールリン を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で、 菌体を2回洗浄した。洗浄菌体と0.1mM ピリド サールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩 液(pH7.4)とを用いて、全量0.3mlの菌体懸濁液 調製した。得られた菌体懸濁液を、4℃にて 超音波破砕処理した。超音波処理後に遠心分 離(18,000×g、10分)を行って得られる上清を、0. 1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸 リウム緩衝液(pH7.4)に対して透析し、無細胞 抽出液とした。

 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、10mM α- ベンジル-DLセリン、0.1mM ピリドキサールリ 酸の組成を有する反応液Aに、0.03mlの無細胞 出液を添加して全量0.1mlとした反応混合物 、30℃にて、10分間反応させた。10分後、ホ ムアルデヒドキット-テストワコー(和光純薬 工業)に付属されたアルカリ試液(5N-水酸化カ ウム)を0.1ml混和させることで反応を停止し 。

 以降、キット付帯のマニュアルに従い、 ルムアルデヒドの検出反応を行い、550nmの 光度を測定した(E11)。対照として、前記反応 液Aにおいてα-ベンジル-DLセリンの代わりに を添加したものを用いて行った反応により られる反応液の吸光度(E10)を同様に測定した 。測定値E11およびE10から、α-ベンジル-DLセリ ン特異的な吸光度変化(Eδ1=E11-E10)を算出した ころ、1.25の値を示した。以上の結果より、 Rhodococcus sp.(AJ110611株)から調製された無細胞 出液について、2-ベンジルセリンヒドロキ メチルトランスフェラーゼ活性が確認され 。

<実施例2>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼの精製
(1)無細胞抽出液の調製
 Nutrient Broth(Difco社)で調製した寒天培地で、 Rhodococcus sp.(AJ110611株)を、30℃、24時間培養し た。得られた微生物の菌体を、500ml容の坂口 ラスコ内の50mlのNutrient Broth液体培地に接種 し、25℃、120往復/分で19時間、振とう培養し 。500ml容の坂口フラスコ内に、0.2% α-ベン ル-DLセリンおよび0.17% Yeast Nitrogen Base w/o  amino acid and ammonium sulfate(Difco社)を含む液体 培地(pH7.0)を50mlを注入したものを20本用意し 得られた培養液を0.25mlずつ、各坂口フラス 内の液体培地に接種した。接種後、25℃、120 往復/分で24時間、振とう培養を行った。得ら れた菌体を遠心分離(8,000×g、10分)により集菌 し、10mlの0.1mMピリドキサールリン酸を含む50m M リン酸カリウム緩衝液A(pH7.4)で、菌体を2回 洗浄した。さらに、0.02mM ピリドキサールリ 酸および1mM EDTAを含む25mM リン酸カリウム 衝液B(pH7.4)で、菌体を2回洗浄し、40mlの菌体 懸濁液を調製した。超音波破砕処理により菌 体を破砕し、遠心分離(8,000×g、20分)で得られ る上清を、さらに超遠心分離(200,000×g、30分) かけ、リン酸カリウム緩衝液Bを用いて透析 し、無細胞抽出液を得た。

(2)陰イオン交換クロマトグラフィー
 上記(1)にて得られた無細胞抽出液を、予め0 .02mM ピリドキサールリン酸および1mM EDTAを む25mMリン酸カリウム緩衝液B(pH7.4)で平衡化 たQ-Sepharose-HP 16/10カラム(アマシャムバイオ イエンス製)にアプライし、0-1M 塩化ナトリ ウムの直線的濃度勾配により酵素を溶出した 。得られたフラクションを酵素源として実施 例1の方法に従って酵素活性を測定したとこ 、0.3-0.4M 塩化ナトリウム相当の画分に、2- ンジルセリンヒドロキシメチルトランスフ ラーゼ活性が検出された。

(3)疎水性相互作用クロマトグラフィー
 上記(2)で得られた酵素の活性画分を、0.02mM ピリドキサールリン酸および1mM EDTAを含む25 mM リン酸カリウム緩衝液B(pH7.4)に透析し、等 量の2M 硫酸アンモニウムを含む緩衝液Bと混 した。得られた混和物を、予め1M 硫酸アン モニウムを含む緩衝液Bで平衡化したPhenyl-Seph arose-HP16/10カラム(アマシャムバイオサイエン 社製)にアプライし、1-0M 硫酸アンモニウム の直線的濃度勾配により、酵素を溶出した。 得られたフラクションを酵素源として、実施 例1の方法に従って酵素活性を測定したとこ 、0.7-0.6M 硫酸アンモニウム相当の画分に2- ンジルセリンヒドロキシメチルトランスフ ラーゼ活性を検出した。

(4)ゲルろ過クロマトグラフィー
 上記(3)で得られた酵素の活性画分を濃縮し 予め0.02mM ピリドキサールリン酸、1mM EDTA 含む25mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で平衡 したSuperdex-200 16/60カラム(アマシャムバイ サイエンス社製)にアプライし、酵素を溶出 た。得られたフラクションを酵素源として 実施例1の方法に従って酵素活性を測定した ところ、2-ベンジルセリンヒドロキシメチル ランスフェラーゼ活性は64-68mlの溶出位置に 検出された。

(5)陰イオン交換クロマトグラフィー
 上記(4)にて得られた酵素の活性画分を、予 0.02mM ピリドキサールリン酸、1mMEDTAを含む2 5mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で平衡化したMo noQ HR5/5カラム(アマシャムバイオサイエンス )にアプライし、0-0.7M塩化ナトリウムの直線 的濃度勾配により酵素を溶出した。得られた フラクションを酵素源として、実施例1の方 に従って酵素活性を測定したところ、0.45-0.5 5M塩化ナトリウム相当の画分に2-ベンジルセ ンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活 を検出した。

 上記(1)から(5)の工程を経て得られた精製 素の活性画分は、比活性1.82U/mgであった。 た、得られた精製酵素を、SDS-ポリアクリル ミド電気泳動に供し、SimplyBlue SafeStain(Invitr ogen社)でゲルを染色させたところ、分子量約4 0kDaの位置に均一なバンドが検出された。

<実施例3>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼのアミノ酸配列の決定および遺伝子ク ーニング
 実施例2で調製した精製酵素100pmol相当を、SD S-ポリアクリルアミド電気泳動後、PVDF膜に転 写した。得られたサンプルを島津製作所社製 プロテインシーケンサーPPSQ-21Aに供し、N末ア ミノ酸配列を23アミノ酸残基分決定した(配列 番号1)。

 次いで、Rhodococcus sp.(AJ110611株)のゲノムDN A5μgをPstI(75U)にて切断した後、TaKaRaLA PCR in  vitro Cloning Kit(TaKaRa社製)のマニュアル記載の 方法に従って、PstIカセットとライゲートし 。ライゲートミックスを鋳型として、カセ トプライマーC1とプライマーSEQA(配列番号2) 組み合わせによって、PCR(94℃:30秒、50℃:30秒 、72℃:4分、30サイクル)を行った。次いでこ PCR反応液を鋳型として、カセットプライマ C2とプライマーSEQB(配列番号3)を用いて、2回 のPCR(94℃:30秒、50℃:30秒、72℃:4分、30サイ ル)行った。増幅が確認された約0.6kb長の断 をpT7Blue Teasy(Novagen社)にライゲートし、増幅 断片が挿入されたプラスミドを用いて、Escher ichia coli JM109を形質転換した。

 約0.6kbの断片について塩基配列を決定し ところ、目的タンパク質のN末端アミノ酸配 をコードする塩基配列が見出された。この 0.6kb長の遺伝子断片をプローブとして、染 体DNAを各種制限酵素処理後、サザン解析し とろ、SacI処理した場合に約5kbにポジティブ グナルを確認した。次いで、染色体DNAをSacI 処理後、アガロース電気泳動し、約5kb断片を 精製し、pUC18のSacIサイトにライゲートした。 この反応液をもちいてEscherichia coli JM109を形 質転換し、ライブラリーを作製した。上記プ ローブを用いてコロニーハイブリダイズを行 い、ポジティブコロニーを取得し、プラスミ ドを抽出した。得られたプラスミドをpUCRHMT5K と命名した。pUCRHMT5Kに挿入されている配列に ついて塩基配列を決定したところ、365アミノ 酸をコードするORFが存在した(配列番号4)。

<実施例4>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子のEscherichia coliによる発現(発現 JM109/pTrp4の作製)
 pUCRHMT5Kを鋳型として、プライマーS11F(配列 号6)およびプライマーS12R(配列番号7)を用い 、PCRにより2-ベンジルセリンヒドロキシメチ ルトランスフェラーゼ遺伝子のORF領域1.1kbを 幅した。増幅された断片をNdeI/BamHI処理した 後、予めNdeI/BamHI処理したpTrp4ベクター(Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,2005,32,205-211)と イゲートした。得られたベクターを用いて Escherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺 子断片を含むプラスミド(pTrp4RHMT)を有する形 質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pTrp4R HMTと命名した。

 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で 晩培養したJM109/pTrp4RHMT一白金耳分を、3mlの1 00mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、3 7℃で16時間培養を行った。得られた菌体を遠 心分離にて集菌した後、0.1mM ピリドキサー リン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7. 4)を用いて洗菌し、同緩衝液0.3mLを用いて菌 懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破 処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、1 0分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞 抽出液とした。得られた無細胞抽出液につい て、2-ベンジルセリンヒドロキシメチルトラ スフェラーゼ活性を測定したところ、0.017U/ mgであった。なお、PCR産物を挿入していないp Trp4をJM109に導入した形質転換体;JM109/pTrp4を用 い、その他は上記の方法と同様にして得られ る無細胞抽出液を用いた場合の活性は、検出 限界以下であった。

<実施例5>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子のEscherichia coliによる発現(発現 JM109/pSFNRHMTの作製)
 実施例4で作製したプラスミドpTrp4RHMTをBamHI 理した後、TaKaRa DNA Blunting Kit(TaKaRa社製)の マニュアル記載の方法に従って末端平滑化を 行い、続いてNdeI処理することによって2-ベン ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェラ ーゼをコードする遺伝子を調製した。次にpSF Nベクター(国際公開第2006/075486号パンフレッ )をPstI処理した後、TaKaRa DNA Blunting Kit(TaKaRa 社製)のマニュアル記載の方法に従って末端 滑化を行い、続いてNdeI処理を行った。この クターと先に調製した遺伝子をライゲート 、Escherichia coli JM109を形質転換し、目的の 伝子断片を含むプラスミド(pSFNRHMT)を有する 形質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pSF NRHMTと命名した。

 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で 晩培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、3mlの10 0mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37 ℃で20時間培養を行った。得られた菌体を遠 分離にて集菌した後、0.1mM ピリドキサール リン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4 )を用いて洗浄し、同緩衝液0.3mLを用いて菌体 懸濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕 処理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10 分、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞 出液とした。得られた無細胞抽出液につい 、2-ベンジルセリンヒドロキシメチルトラ スフェラーゼ活性を測定したところ、0.014U/m gであった。

<実施例6>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼによるα-ベンジル-L-セリン生成反応-野 株によるBnS合成
 10mM ホルムアルデヒド、30mM L-フェニルア ニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および5 0mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液 に、実施例2で調製した精製酵素溶液を50μl添 加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムア デヒドはナカライテスク株式会社製の特級 ルムアルデヒド液[コード番号:16223-55]を用い た。反応終了後、反応混合物100μlに4mM硫酸銅 を100μl加え、SumichiralOA-5000(住化分析センター )によりHPLC分析を行った(移動相:2mM硫酸銅水 液(10%イソプロピルアルコール)、カラム温度 :30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、8 .9mMのα-ベンジル-L-セリンの生成が確認され 。

<実施例7>酵素反応で生成するベンジルセ リンの立体決定
 α-ベンジル-L-セリンを合成するために文献( Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,2382-2385)に従い、エチルベ ンズイミデート塩酸塩939.2mg、L-セリン-tert-ブ チルエステル塩酸塩1gを溶解させた塩化メチ ン溶液に、トリエチルアミン1.41mlを加え、2 .5時間加熱還流した後、室温で19時間撹拌し 。反応混合物に塩化メチレン50mlを加え、水2 0mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し 。硫酸マグネシウム除去後溶媒を留去し、 リカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサ /酢酸エチル5/1-4/1)にて精製した。溶媒留去 、2-フェニル-2-オキサゾリン-4-カルボン酸te rt-ブチルエステルを759mg得た。2-フェニル-2- キサゾリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル を52.4mg、水酸化カリウム56.1mg、(S,S)-3,4,5-トリ フルオロフェニル-NAS ブロミド9.55mg(和光純 製、コード番号:201-16401)を懸濁させたトルエ ン溶液にベンジルブロミド0.12mlを加え、0℃ て8時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル2 0mlを加え、水5mlで2回洗浄し、硫酸マグネシ ムで乾燥した。硫酸マグネシウム除去後溶 を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラ ィー(ヘキサン/酢酸エチル8/1-5/1)にて精製し 。溶媒留去後、4-ベンジル-2-フェニル-2-オ サゾリン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルを 51mg得た。CHIRALPAK OD-H(4.6×250mm)によりHPLC分析( 移動相:ヘキサン/イソプロピルアルコール=99/ 1、カラム温度:室温、流速:1ml/分、検出:UV210nm )を行ったところ、光学純度は98.4%e.e.であっ 。4-ベンジル-2-フェニル-2-オキサゾリン-4-カ ルボン酸tert-ブチルエステル42mgにエタノール 1ml、6N水酸化ナトリウム溶液0.5mlを加え1時間 熱還流した後、6NHCl1mlを加え2時間加熱還流 た。pHを中性に調整し、不溶物を除去する とでα-ベンジル-L-セリンを含む溶液を得た

 得られたα-ベンジル-L-セリンの溶液を、S umichiralOA-5000(住化分析センター)によりHPLC分 を行った(移動相:2mM硫酸銅水溶液(10%イソプ ピルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml /分、検出:UV230nm)。その結果、酵素反応で得 れるα-ベンジルセリンと同じ保持時間を示 ことがわかった。以上の結果から酵素反応 得られるα-ベンジルセリンはα-ベンジル-L- リンであることがわかった。

<実施例8>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα-ベンジ ル-L-セリン生成(発現菌JM109/pTrp4RHMTによるBnS 成:CFE)
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pTrp4RHMT一白金耳分を、3mlの100m g/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37 で16時間培養を行った。得られた菌体を遠心 分離にて集菌した後、0.1mM ピリドキサール ン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4) 用いて洗菌し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体 濁液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕 理して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10 、4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽 出液とした。得られた無細胞抽出液を、10mM ルムアルデヒド、30mM L-フェニルアラニン、 0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リ 酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に30μl 加し、30℃で30分反応した。なお、ホルムア デヒドはナカライテスク株式会社製の特級 ルムアルデヒド液[コード番号:16223-55]を用 た。反応終了後、反応混合物100μlに4mM硫酸 を100μl加えた。

 得られた溶液100μlに水100μlを加え、Sumichi ralOA-5000(住化分析センター)によりHPLC分析を った(移動相:2mM硫酸銅(10%イソプロピルアル ール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:U V230nm)。その結果5.2mMのα-ベンジル-L-セリンの 生成が確認された。なお、PCR産物を挿入して いないpTrp4をJM109に導入した形質転換体;JM109/p Trp4を用い、その他は上記と同様の方法で得 れる無細胞抽出液を用いた場合の活性は、 出限界以下であった。

<実施例9>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα-ベンジ ル-L-セリン生成(発現菌JM109/pSFNRHMTによるBnS合 成:CFE)
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を3mlの100mg/l アンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で 17時間培養を行った。得られた菌体を遠心分 にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン 酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を いて洗菌し、同緩衝液0.3mlを用いて菌体懸濁 液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処理 して菌体を破砕し、遠心分離(18,000×g、10分、 4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出 とした。得られた無細胞抽出液を10mM ホル アルデヒド、30mM L-フェニルアラニン、0.1mM  ピリドキサールリン酸、50mM リン酸カリウ 緩衝液(pH7.4)からなる溶液に30μl添加し、30 で1時間反応した。なお、ホルムアルデヒド ナカライテスク株式会社製の特級ホルムア デヒド液[コード番号:16223-55]を用いた。反 終了後、反応混合物100μlに4mM 硫酸銅を100μl 加え、SumichiralOA-5000(住化分析センター)によ HPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10 %イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃ 流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、7.8mMの α-ベンジル-L-セリンの生成が確認された。

<実施例10>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα-ベン ル-L-セリン生成(発現菌pSFNRHMTによるBnS合成:c ell)
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、3mlの100mg /lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃ で16.5時間培養を行った。得られた菌体を、50 0ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピ リンを含むLB培地に2.5ml接種し、37℃、120往 /分で17時間培養した。得られた培養液10mlか ら遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、 10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM  ン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗 浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を 製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,0 00×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホル アルデヒド、30mM L-フェニルアラニン、0.1mM  ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸 リウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加 し、30℃で10分反応した。なお、ホルムアル ヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホ ムアルデヒド液[コード番号:16223-55]を用いた 。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅を100 l加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分)後Sumichi ralOA-5000(住化分析センター)によりHPLC分析を った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロ ルアルコール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/ 、検出:UV230nm)。その結果、6.2mMのα-ベンジ -L-セリンの生成が確認された。

<実施例11>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα-イソ チル-セリン生成(発現菌pSFNRHMTによるiBuS合成 :cell)
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、500ml容の 坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリン 含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で一 振とう培養した。得られた培養液10mlから遠 分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの 0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸 リウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、 同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製し 。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、1 0分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアル ヒド、30mM L-ロイシン、0.1mM ピリドキサー リン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液( pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で30分 応した。なお、ホルムアルデヒドはナカラ テスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド [コード番号:16223-55]を用いた。反応終了後、 反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を遠 心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA-5000(住化分 析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2m M硫酸銅水溶液(5%イソプロピルアルコール)、 ラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。 の結果、0.6mMのα-イソブチル-セリンの生成 確認された。

<参考例>α-メチルチオエチル-セリンの合 成
 文献(J.Peptide Sci.2001,7,619-625)に従い、DL-メチ オニン10gに水20ml、6N NaOH11.5mlを加え溶解した 。pHを10.5-11.5に維持しながら、ベンゾイルク リド8.6mlを加え、室温で2時間撹拌した。得 れた反応混合物をろ過後、ジエチルエーテ で洗浄し、濃塩酸を徐々に加え、pHを1に調 し、結晶を析出させた。結晶をろ過し、水 洗浄後、減圧下乾燥し、N-ベンゾイルメチ ニンを16.2g得た。得られたN-ベンゾイルメチ ニン4.9gに無水酢酸24mlを加え、100℃で4時間 熱した後、溶液を室温まで冷却し、溶媒を 去した。残留物にトルエン24mlを加え、溶媒 留去することを2回繰り返した。残留物をピ ジン2.5mlに溶解させ、35% ホルムアルデヒド 液10mlを加え室温で17時間撹拌した。得られ 反応混合物に水40mlを加えた後、酢酸エチル 40mlで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、硫 マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウ 除去後溶媒を留去し、シリカゲルカラムク マトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル4/1-1/1) て精製した。溶媒留去後、5-ベンゾイルア ノ-5-メチルチオエチル-4-オキソ-1,3-ジオキサ ンを2.56g得た。得られた5-ベンゾイルアミノ-5 -メチルチオエチル-4-オキソ-1,3-ジオキサン1.0 6gに、6N塩酸7.5mlを加え、7時間加熱還流した 反応溶液をろ過後、溶媒を留去した。残留 に水5mlを加え、イオン交換樹脂(アンバーラ ト120)を用いて精製した。溶媒留去後、得ら れた結晶を水/エタノールから再結晶し、減 下乾燥することにより、α-メチルチオエチ -セリンを129mg得た。この化合物のNMRを測定 たところ、文献記載値とほぼ一致した。

<実施例12>Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベ ジルセリンヒドロキシメチルトランスフェ ーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα-メチ チオエチル-セリン生成-発現菌pSFNRHMTによるH mMet合成:cell
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT一白金耳分を、500ml容の 坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリン 含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分で一 振とう培養した。得られた培養液10mlから遠 分離(8,000×g、10分)により集菌した後、10mlの 0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸 リウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、 同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調製し 。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,000×g、1 0分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアル ヒド、30mM L-メチオニン、0.1mM ピリドキサ ルリン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝 (pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃で30 反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカ イテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒ 液[コード番号:16223-55]を用いた。反応終了後 、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌体を 遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA-5000(住化 分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相 :2mM 硫酸銅水溶液(2%イソプロピルアルコール )、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm) 。その結果、2.8mMのα-メチルチオエチル-セリ ンの生成が確認された。

<実施例13>変異株Y339S、Y339H、Y339Nの作製
 変異型2-ベンジルセリンヒドロキシメチル ランスフェラーゼを構築するために実施例5 作成したpSFNRHMTをPCRを用いる部位特異的突 変異誘発法の鋳型として使用した。Y339Sの変 異はストラタジーン(Stratagene)社(アメリカ)の クイックチェンジ部位特異的突然変異誘発 ット(Quik change Site-Directed Mutagenesis Kit)」 使用し、製造元のプロトコールに従って、Y3 39S変異型酵素に対応するプライマーY339SF(配 番号8)およびプライマーY339SR(配列番号9)を用 いて導入した。同様に変異型酵素に対応する プライマーY339HF(配列番号10)およびプライマ Y339HR(配列番号11)を用いてY339Hの変異をプラ マーY339NF(配列番号12)およびプライマーY339NR( 配列番号13)を用いてY339Nの変異を導入した。P CR反応の生成物を用いてEscherichia coli JM109を 質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラス ドを有する形質転換体を得た。この形質転 体をそれぞれJM109/pSFNRHMT-Y339S、JM109/pSFNRHMT-Y3 39H、JM109/pSFNRHMT-Y339Nと命名した。

<実施例14>変異株Y339S、Y339H、Y339Nの反応
 実施例13で作成したJM109/pSFNRHMT-Y339S、JM109/pSF NRHMT-Y339H、JM109/pSFNRHMT-Y339Nをそれぞれ3mlの100mg /lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃ で終夜培養を行った。得られた菌体を遠心分 離(18,000×g、10分、4℃)にて集菌した後、0.1mM リドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウ 緩衝液(pH7.4)を用いて洗浄し、同緩衝液0.3ml 用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液 超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分 (18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄 液を無細胞抽出液とした。50mM リン酸カリ ム緩衝液(pH7.4)、10mM α-ベンジル-DLセリン、0 .1mM ピリドキサールリン酸の組成を有する反 応液に、0.02mlの無細胞抽出液を添加して全量 0.06mlとした反応混合物を、30℃にて、10分間 応させた。10分後、ホルムアルデヒドキット -テストワコー(和光純薬工業)に付属されたア ルカリ試液(5N-水酸化カリウム)を0.06ml混和さ ることで反応を停止した。以降、キット付 のマニュアルに従い、ホルムアルデヒドの 出反応を行い、550nmの吸光度を測定し、生 したホルムアルデヒド量を求め活性を算出 た。結果を表1に示す。

<実施例15>変異株Y339S-N19Sの作製
 変異型2-ベンジルセリンヒドロキシメチル ランスフェラーゼを構築するために実施例13 で作成したpSFNRHMT-Y339SをPCRを用いる部位特異 突然変異誘発法の鋳型として使用した。変 はストラタジーン(Stratagene)社(アメリカ)の クイックチェンジ部位特異的突然変異誘発 ット(Quik change Site-Directed Mutagenesis Kit)」を 使用し、製造元のプロトコールに従って、変 異型酵素に対応するプライマーN19SF(配列番号 14)およびプライマーN19SR(配列番号15)を用いて 導入した。PCR反応の生成物を用いてEscherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を 含むプラスミドを有する形質転換体を得た。 この形質転換体をJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sと命名 た。作成したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを3mlの100mg/l のアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃ 終夜培養を行った。得られた菌体を遠心分 (18,000×g、10分、4℃)にて集菌した後、0.1mM  リドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリ ム緩衝液(pH7.4)を用いて洗浄し、同緩衝液0.3m lを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁 を超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心 離(18,000×g、10分、4℃)を行い、得られる上澄 み液を無細胞抽出液とした。50mM リン酸カリ ウム緩衝液(pH7.4)、10mM α-ベンジル-DLセリン 0.1mM ピリドキサールリン酸の組成を有する 応液に、0.005mlの無細胞抽出液を添加して全 量0.06mlとした反応混合物を、30℃にて、5分間 反応させた。5分後、ホルムアルデヒドキッ -テストワコー(和光純薬工業)に付属された ルカリ試液(5N-水酸化カリウム)を0.06ml混和さ せることで反応を停止した。以降、キット付 帯のマニュアルに従い、ホルムアルデヒドの 検出反応を行い、550nmの吸光度を測定し、生 したホルムアルデヒド量を求め活性を算出 た。結果を表2に示す。

<実施例16>JM109/pSFNRHMT-Y339Sを用いたBnSの合 成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S一白金耳分を、3ml 100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し 37℃で16.5時間培養を行った。得られた菌体 、500ml容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのア ピシリンを含むLB培地に2.5ml接種し、37℃、1 20往復/分で17時間培養した。得られた培養液1 0mlから遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した 後、10mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む5 0mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体 を洗浄し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁 を調製した。この菌体懸濁液0.2mlから遠心分 離(18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM L-フェニルアラニン 、0.1mM ピリドキサールリン酸、および50mM  ン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μl 添加し、30℃で10分反応した。なお、ホルム アルデヒドはナカライテスク株式会社製の特 級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223-55]を いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸 を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g、5分) SumichiralOA-5000(住化分析センター)によりHPLC分 析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イ プロピルアルコール)、カラム温度:30℃、流 :1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、定量的なα -ベンジル-L-セリンの生成が確認された。

<実施例17>JM109/pSFNRHMT-Y339Sを用いたiBuSの 成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S一白金耳分を、500ml 容の坂口フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシ ンを含むLB培地に接種し、37℃、120往復/分 一晩振とう培養した。得られた培養液10mlか 遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、1 0mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM  ン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗 し、同じ緩衝液10mlを用いて菌体懸濁液を調 製した。この菌体懸濁液1mlから遠心分離(18,00 0×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホル アルデヒド、30mM L-ロイシン、0.1mM ピリド サールリン酸、および50mM リン酸カリウム 衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30℃ 30分反応した。なお、ホルムアルデヒドはナ カライテスク株式会社製の特級ホルムアルデ ヒド液[コード番号:16223-55]を用いた。反応終 後、反応混合物に4mM硫酸銅を100μl加え、菌 を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA-5000( 化分析センター)によりHPLC分析を行った(移 相:2mM 硫酸銅水溶液(5%イソプロピルアルコ ル)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV2 30nm)。その結果、4.6mMのα-イソブチル-セリン 生成が確認された。

<実施例18>JM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを用いたBnS 合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSF
NRHMT-Y339S-N19Sを350mlの100mg/lのアンピシリンを むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス 、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン 水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種 し、37℃で17時間培養を行った。得られた菌 を遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後 50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM  リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を 浄し、反応溶液に加えた(30mM L-フェニルア ニン、45mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリド サールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液( pH7.4)、200ml)。30℃で5時間撹拌した後、反応混 合物20μlに4mM 硫酸銅を100μl、水80μlを加え菌 体を遠心分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA-5000( 住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移 動相:2mM 硫酸銅水溶液(10% イソプロピルアル コール)、カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出 :UV230nm)。その結果、28.2mMのα-ベンジル-L-セリ ンの生成が確認された。

<実施例19>JM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを用いたBnS 合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSF
NRHMT-Y339S-N19Sを700mlの100mg/lのアンピシリンを むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス 、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン 水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種 し、37℃で17時間培養を行った。培養液を2つ( 350ml)にわけ、それぞれを遠心分離(8,000×g、10 )により集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサ ルリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)を用いて菌体を洗浄した。洗浄後、350ml分 の菌体を反応溶液に加えた(60mM L-フェニルア ラニン、90mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリ キサールリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝 (pH7.4)、200ml)。30℃で6.5時間撹拌したところ 350ml分の菌体を加えさらに15時間撹拌した。 応終了後、反応混合物20μlに4mM 硫酸銅を100 μl、水80μlを加え菌体を遠心分離(18,000×g、5 )後、SumichiralOA-5000(住化分析センター)により HPLC分析を行った(移動相:2mM 硫酸銅水溶液(10%  イソプロピルアルコール)、カラム温度:30℃ 、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、57.6mM α-ベンジル-L-セリンの生成が確認された。

<実施例20>α-ベンジル-L-セリンの精製
 実施例18で得られた反応混合物から遠心分 (8,000×g、10分)により簡単に除菌を行った。 られた溶液に硫酸を加え、pHを3に調整し、50 ℃にて2時間溶存タンパクの加熱凝集を行っ 。これを0.2μmのMFにてろ過を行った。この溶 液を強酸性カチオン交換樹脂(アルドリッチ  アンバーライトIR120)40mlを充填したカラム フィードし、α-ベンジル-L-セリンを吸着さ た。樹脂量の2.5倍の水を貫流して洗浄した 、1M アンモニア水を用いて溶離させ、10mlご とに集めた。得られたフラクションの2番目 ら10番目までを減圧下濃縮を行い、アンモニ アを概ね除去した。得られた結晶を減圧下50 にて一晩乾燥することにより、1.57g(93wt%)の -ベンジル-L-セリンの結晶を得た。

<実施例21>α-ベンジル-L-セリンの精製
 実施例20と同様に強酸性カチオン交換樹脂( ルドリッチ製 アンバーライトIR120)の精製 得られた184mgのα-ベンジル-L-セリンを含む粗 結晶841mg(22wt%)を約5mlの水に溶解し、この溶液 を合成吸着剤(三菱化学製 SP207)17mlを充填し カラムにフィードし、水で溶出させた。α- ンジル-L-セリンを含むフラクションを集め 減圧下濃縮を行い、減圧下50℃にて一晩乾燥 することにより、174mg(97wt%)のα-ベンジル-L-セ リンの結晶を得た。この結晶の旋光度を測定 したところ[α] 20 D =+16.8(C 0.79、H 2 O)であり文献記載値と一致を示した。文献値[ α] 20 D =+16.4(C 0.81、H 2 O)(Synlett 1997、253.)

<実施例22>α-メチルチオエチル-L-セリン 合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを750mlの100mg/lの アンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン 24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリ ム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グ セロール)に接種し、37℃で17時間培養を行っ た。遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後 、50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM  リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を 洗浄し、反応溶液に加えた(60mM L-メチオニン 、90mM ホルムアルデヒド、0.1mM ピリドキサ ルリン酸、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4) 200ml)。30℃で23時間撹拌後、反応混合物20μl 4mM 硫酸銅を100μl、水80μlを加え菌体を遠心 分離(18,000×g、5分)後、SumichiralOA-5000(住化分析 センター)によりHPLC分析を行った(移動相:2mM  硫酸銅水溶液(2% イソプロピルアルコール)、 カラム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。 の結果、46mMのα-メチルチオエチル-L-セリン の生成が確認された。

<実施例23>α-メチルチオエチル-L-セリン 精製
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを750mlの100mg/lの アンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン 24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリ ム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グ セロール)に接種し、37℃で17時間培養を行っ た。培養液を2つ(350ml+400ml)にわけ、それぞれ 遠心分離(8,000×g、10分)により集菌した後、5 0mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mMリ 酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて菌体を洗浄 した。洗浄後、350ml分の菌体を反応溶液に加 た(60mM L-メチオニン、90mM ホルムアルデヒ 、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸 カリウム緩衝液(pH7.4)、200ml)。30℃で4時間撹 し、400ml分の菌体を加えさらに18時間撹拌し 残存量に合わせて菌体とホルムアルデヒド 加えた。反応混合物から遠心分離(8,000×g、1 0分)により簡単に除菌を行った。得られた溶 に硫酸を加え、pHを2.5に調整し、50℃にて1 間溶存タンパクの加熱凝集を行った。不溶 を遠心分離(8,000×g、10分)により除去し、0.45 mのMFにてろ過を行った。この溶液を強酸性 チオン交換樹脂(アルドリッチ製 アンバー イトIR120)40mlを充填したカラムにフィードし α-メチルチオエチル-L-セリンを吸着させた 樹脂量の2.5倍の水を貫流して洗浄した後、1 M アンモニア水を用いて溶離させ、10mlごと 集めた。得られたフラクションの2番目から1 0番目までを減圧下濃縮を行い、アンモニア 概ね除去した。得られた結晶を減圧下50℃に て一晩乾燥することにより、1.40g(98wt%)のα-メ チルチオエチル-L-セリンの結晶を得た。この 結晶の旋光度を測定したところ[α] 20 D =-21.7(C 1、5N HCl)であり文献記載値と一致を した。文献値[α] 20 D =-10.5(C 1、5N HCl)(J.Peptide Sci.2001、7、619.)

<実施例24>α-メチルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分) にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸 含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用 て洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁 液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18 ,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホ ムアルデヒド、30mM L-アラニン、0.1mM ピリ キサールリン酸、および50mM リン酸カリウ 緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、30 で1時間反応した。反応終了後、遠心分離(18, 000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液のESI -MS分析を行ったところ、α-メチルセリンの分 子イオンピークが観測された。

<実施例25>α-カルバモイルメチルセリン 合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分) にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを 用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体 濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分 (18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM  ルムアルデヒド、30mM L-アスパラギン、0.1mM  ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸 リウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加 し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心 分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄 液のESI-MS分析を行ったところ、α-カルバモ ルメチルセリンの分子イオンピークが観測 れた。

<実施例26>α-チオメチルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分) にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸 含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを用 て洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体懸濁 液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分離(18 ,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM ホ ムアルデヒド、30mM L-システイン、0.1mM ピ ドキサールリン酸、および50mM リン酸カリ ム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加し、3 0℃で1時間反応した。反応終了後、遠心分離( 18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄み液の ESI-MS分析を行ったところ、α-チオメチルセリ ンの分子イオンピークが観測された。

<実施例27>α-インドールメチルセリンの 成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分) にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを 用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体 濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分 (18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM  ルムアルデヒド、30mM L-トリプトファン、0. 1mM ピリドキサールリン酸、および50mM リン カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添 加し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠 心分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上 み液のESI-MS分析を行ったところ、α-インド ルメチルセリンの分子イオンピークが観測 れた。

<実施例28>α-sec-ブチルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた菌体を遠心分離(8,000×g、10分) にて集菌した後、0.1mM ピリドキサールリン を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)30mlを 用いて洗菌し、同じ緩衝液50mlを用いて菌体 濁液を調製した。菌体懸濁液2mlから遠心分 (18,000×g、10分)により集菌した菌体に、10mM  ルムアルデヒド、30mM L-イソロイシン、0.1mM  ピリドキサールリン酸、および50mM リン酸 リウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液100μlを添加 し、30℃で1時間反応した。反応終了後、遠心 分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄 液のESI-MS分析を行ったところ、α-sec-ブチル リンの分子イオンピークが観測された。

<実施例29>α-p-ヒドロシキ-ベンジルセリ の合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを50mlの100mg/lの ンピシリンを含むTB培地(12g/l トリプトン、 24g/l 酵母エキス、2.3g/l リン酸二水素カリウ ム、12.5g/l リン酸水素二カリウム、4g/l グリ セロール)に接種し、37℃で18時間培養を行っ 。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後 50mlの0.1mM ピリドキサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し 同緩衝液5mlを用いて菌体懸濁液を調製した 菌体懸濁液を超音波破砕処理して菌体を破 し、遠心分離(8,000×g、10分、4℃)を行い、得 られる上澄み液を無細胞抽出液とした。得ら れた無細胞抽出液を1mML チロシン、3mM ホル アルデヒド、0.1mM ピリドキサールリン酸、 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶 に53.3μl添加し、30℃で1時間反応した。反応 了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により得 られる上澄み液のESI-MS分析を行ったところ、 α-p-ヒドロシキ-ベンジルセリンの分子イオン ピークが観測された。

<実施例30>α-シクロヘキシルメチルセリ の合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを50mlの100mg/lの ンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で17 間培養を行った。得られた菌体を遠心分離 て集菌した後、50mlの0.1mM ピリドキサール ン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4) 用いて洗菌し、同緩衝液5mlを用いて菌体懸 液を調製した。菌体懸濁液を超音波破砕処 して菌体を破砕し、遠心分離(8,000×g、10分 4℃)を行い、得られる上澄み液を無細胞抽出 液とした。得られた無細胞抽出液を12.5mM シ ロヘキシルアラニン、3mM ホルムアルデヒ 、0.1mM ピリドキサールリン酸、50mM リン酸 リウム緩衝液(pH7.4)からなる溶液に59μl添加 、30℃で30分間反応した。反応終了後、遠心 分離(18,000×g、5分、4℃)により得られる上澄 液のESI-MS分析を行ったところ、α-シクロヘ シルメチルセリンの分子イオンピークが観 された。

<実施例31>JM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを用いたメ ルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを、500ml容の坂 フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス 、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン 水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種 し、37℃、120往復/分で16時間培養を行った。 られた培養液の10mlから遠心分離(8,000×g、10 )により集菌した後、10mlの0.1mM ピリドキサ ルリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液10mlを いて菌体懸濁液を調製した。この菌体懸濁 1mlから遠心分離(18,000×g、10分)により集菌し た菌体に、30mM ホルムアルデヒド、30mM L-ア ニン、0.1mM ピリドキサールリン酸、および 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)からなる溶 100μlを添加し、30℃で1時間反応した。なお ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会 製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:162 23-55]を用いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅を100μl加え、菌体を遠心分離(18,000×g 5分)した。得られた溶液の100μlに水100μlを加 えSumichiralOA-6100(住化分析センター)によりHPLC 析を行った(移動相:0.5mM硫酸銅水溶液、カラ ム温度:30℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その 果、3.4mMのα-メチル-L-セリンの生成が確認 れた。

<実施例32>α-エチルセリン合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心 離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリ キサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム 衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10 mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁 2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集 菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM  S-2-アミノ-n-酪酸、0.1mM ピリドキサールリン 、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)か らなる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応し た。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃ )により得られる上澄み液のESI-MS分析を行っ ところ、α-エチルセリンの分子イオンピー が観測された。

<実施例33>α-プロピルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心 離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリ キサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム 衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10 mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁 2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集 菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM  L-ノルバリン、0.1mM ピリドキサールリン酸、 および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)から る溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応した 反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)に り得られる上澄み液のESI-MS分析を行ったと ろ、α-プロピルセリンの分子イオンピーク 観測された。

<実施例34>α-ブチルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339Sを、500ml容の坂口フ ラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを含むL B培地に接種し、37℃、120往復/分で17時間培養 した。得られた培養液の10mlから菌体を遠心 離(8,000×g、10分)にて集菌した後、0.1mM ピリ キサールリン酸を含む50mM リン酸カリウム 衝液(pH7.4)10mlを用いて洗菌し、同じ緩衝液10 mlを用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁 2mlから遠心分離(18,000×g、5分、4℃)により集 菌した菌体に、10mM ホルムアルデヒド、30mM  L-ノルロイシン、0.1mM ピリドキサールリン酸 、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)か なる溶液100μlを添加し、30℃で1時間反応し 。反応終了後、遠心分離(18,000×g、5分、4℃) より得られる上澄み液のESI-MS分析を行った ころ、α-ブチルセリンの分子イオンピーク 観測された。

<実施例35>JM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sの無細胞抽 液を用いたメチルセリンの合成
 100mg/lのアンピシリンを含むLB寒天培地で一 培養したJM109/pSFNRHMT-Y339S-N19Sを、500ml容の坂 フラスコ内の50mlの100mg/lのアンピシリンを むTB培地(12g/l トリプトン、24g/l 酵母エキス 、2.3g/l リン酸二水素カリウム、12.5g/l リン 水素二カリウム、4g/l グリセロール)に接種 し、37℃、120往復/分で16時間培養を行った。 られた培養液の40mlから遠心分離(8,000×g、10 )により集菌した後、40mlの0.1mM ピリドキサ ルリン酸を含む50mM リン酸カリウム緩衝液( pH7.4)を用いて菌体を洗浄し、同じ緩衝液4mlを 用いて菌体懸濁液を調製した。菌体懸濁液を 超音波破砕処理して菌体を破砕し、遠心分離 (18,000×g、5分、4℃)を行い、得られる上澄み を無細胞抽出液とした。30mM ホルムアルデ ド、30mM L-アラニン、0.1mM ピリドキサール ン酸、および50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7. 4)の組成を有する反応液に、0.034mlの無細胞抽 出液を添加して全量0.1mlとした反応混合物を 30℃にて、1時間反応させた。なお、ホルム ルデヒドはナカライテスク株式会社製の特 ホルムアルデヒド液[コード番号:16223-55]を いた。反応終了後、反応混合物に4mM 硫酸銅 を100μl加え、遠心分離(18,000×g、5分、4℃)し 。得られた溶液の100μlに水100μlを加えSumichir alOA-6100(住化分析センター)によりHPLC分析を行 った(移動相:0.5mM硫酸銅水溶液、カラム温度:3 0℃、流速:1ml/分、検出:UV230nm)。その結果、19. 5mMのα-メチル-L-セリンの生成が確認された。

 本発明はアミノ酸の製法に係る産業にお て有用である。本発明は、各種のセリン誘 体、光学活性アミノ酸の製造に寄与し、例 ば医薬中間体などの製法として利用される とが期待される。

配列番号1:Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベンジ ルセリンヒドロキシメチルトランスフェラー ゼのN末端アミノ酸配列
配列番号2:プライマーSEQA
配列番号3:プライマーSEQB
配列番号4:Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベンジ ルセリンヒドロキシメチルトランスフェラー ゼをコードする核酸配列(ORF)
配列番号5:Rhodococcus sp.(AJ110611株)由来2-ベンジ ルセリンヒドロキシメチルトランスフェラー ゼのアミノ酸配列
配列番号6:プライマーS11F
配列番号7:プライマーS12R
配列番号8:プライマーY339SF
配列番号9:プライマーY339SR
配列番号10:プライマーY339HF
配列番号11:プライマーY339HR
配列番号12:プライマーY339NF
配列番号13:プライマーY339NR
配列番号14:プライマーN19SF
配列番号15:プライマーN19SR




 
Previous Patent: X-RAY TUBE

Next Patent: RETRACTION MECHANISM