Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
RADIOCATIVE FLUORINE ANION CONCENTRATING DEVICE AND METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117388
Kind Code:
A1
Abstract:
A radioactive fluorine anion concentrating device capable of concentrating 18F- ions speedily and efficiently. A flow cell (11) is composed of a metal plate electrode (21), an insulating sheet (23) and a carbon plate electrode (25) located so that the sides of electrodes may be opposed to each other with the insulating sheet (23) inserted between them. An example of the plate metal plate electrode (21) is obtained by forming a film of metallic material on an insulation plate, and an example of the insulating sheet (23) is a PDMS from which a groove being a channel (26) having a thickness of ≤ 500μm is cut out. The thickness of the sheet is desirably about 100μm. The upper and lower sides of the flow cell (11) are fixed by fixing jigs (27) and (29).

Inventors:
IWATA REN (JP)
OZEKI EIICHI (JP)
NAKANISHI HIROAKI (JP)
SAKAMOTO KATSUMASA (JP)
YAMAHARA RYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/056160
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 26, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SHIMADZU CORP (JP)
UNIV TOHOKU (JP)
IWATA REN (JP)
OZEKI EIICHI (JP)
NAKANISHI HIROAKI (JP)
SAKAMOTO KATSUMASA (JP)
YAMAHARA RYO (JP)
International Classes:
C01B7/19; B01J45/00; G01T1/161; G21G4/08; G21H5/02
Foreign References:
JPH09507162A1997-07-22
Attorney, Agent or Firm:
NOGUCHI, Shigeo (Rapport Nanba Bldg. 9F 8-1, Motomachi 2-chome, Naniwa-ku, Osaka-sh, Osaka 16, JP)
Download PDF:
Claims:
 互いに平行に対向して配置された一対の平板電極のうち少なくとも一方がカーボン平板電極であり、前記平板電極間が500μm以下の間隔を取る流路になっており、前記流路には 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液が流されるフローセルと、
 前記平板電極間を接続して直流電圧を印加するとともにその極性を反転できる電源と、
 前記流路に溶液を送液する送液手段と、
 を備えた放射性フッ素アニオン濃縮装置。
 前記カーボン平板電極はグラッシーカーボン電極又はグラファイト電極である請求項1に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置。
 前記平板電極の一方は絶縁平板基板上に金属材料が成膜された金属平板電極である請求項1又は2に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置。
 前記平板電極間に前記流路となる溝が切り抜かれた絶縁性シートが挟まれている請求項1から3のいずれか一項に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置。
 請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性フッ素アニオン濃縮装置を用い、
 前記一対の平板電極のうち一方のカーボン平板電極を陽極として電圧を印加し、前記流路内に放射性核種である 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液を流すことで、 18 F - イオンを前記カーボン平板電極へ捕捉する捕捉工程と、
 その後、前記カーボン平板電極を陰極として電圧を印加し、前記流路内に回収用の溶液を流すことで、 18 F - イオン又は 18 F - イオンで標識された反応生成物を含んだ溶液を回収する回収工程と、
 を含む放射性フッ素アニオン濃縮方法。
 前記回収用の溶液は 18 F - イオン回収剤又は有機反応基質を含む溶液である請求項5に記載の放射性フッ素アニオン濃縮方法。
Description:
放射性フッ素アニオン濃縮装置 び方法

 本発明は、サイクロトロンで加速した陽子 [ 18 O]H 2 O水に照射することで得られる 18 F - イオンを[ 18 O]H 2 O水から分離し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造する放射性フッ 素アニオン濃縮装置に関するものである。

 放射性トレーサー化合物を使用する医療診 法の中で、PET(ポジトロン放出断層撮影法) 断に使用される放射性核種は半減期が短い のが多く、例えば 18 F - イオンの半減期は約110分である。これらの放 射性核種を効率よくトレーサー化合物に導入 して放射化するためには、時間を節約した作 業が必要である。

 また、 18 F - イオンの原料となる[ 18 O]H 2 O水は高価であり、PET診断のコストダウンの めには再利用を行いたいという要望がある
 使用する放射性核種の短寿命のためにPET等 利用できる時間は限られており、 18 Fで標識された化合物の合成は、分単位での 間短縮と高い合成率が同時に要求されてい 。

 [ 18 O]H 2 O水から 18 F - イオンを分離し、分離した 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造する方法は二種 類存在する(従来方法1及び2)。
 従来方法1としては、陰イオン交換樹脂を充 填したカラムに 18 F - イオンを含む[ 18 O]H 2 O水を通し、樹脂上に 18 F - イオンを捕捉させて[ 18 O]H 2 O水を分離する方法である。捕捉された 18 F - イオンを、炭酸カリウム水溶液を使用して水 溶液中に再溶出させて回収する。回収した水 溶液を減圧濃縮し、完全に水を除いた後に有 機反応で使用する有機溶媒を用いて 18 F - イオンを溶解し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を得る。このとき加え る有機溶媒の量によって 18 F - イオンの濃度を調節することができる。

 従来方法2としては、グラッシーカーボン棒 状電極に 18 F - を捕捉し、[ 18 O]H 2 O水から有機溶媒へ溶媒交換する方法である この方法で 18 F - を分離した[ 18 O]H 2 O水は、溶出した有機物を含むことが無いた 再利用できることが期待できる。[ 18 O]H 2 O水溶液から 18 F - イオンを分離する装置が特許文献1及び非特 文献1において報告されている。

 この装置の基本構造は非特許文献1に詳細に 記述されている。グラッシーカーボン棒状電 極とプラチナ電極を有するセルを用い、グラ ッシーカーボン棒状電極を陽極として電圧を 印加することによって 18 F - イオンを電極上に析出させ、[ 18 O]H 2 O水から 18 F - イオンを分離する。そして、陽極上へ析出さ せた 18 F - イオンを有機溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO ))に回収して、 18 F - イオンと有機化合物の反応を行っている。
 なお、非特許文献2は、グラファイト状カー ボン電極と白金電極の組み合わせについて、 グラファイト状カーボン電極上に 18 F - イオンを析出させる手法を初めて報告したも のである。

特表2005-519270号公報 Appl. Radiat. Isot. 2006 (64) 989-994. Appl. Radiat. Isot. 1989 (40) 1-6.

 従来方法1の場合、イオン交換樹脂による[ 18 O]H 2 O水と 18 F - イオンの分離は速やかに行うことができるが 、イオン交換樹脂から回収した 18 F - イオンを有機溶媒に溶解させるまでに作業が 多く、要する時間が長くなる。また、作業が 多くなることで、使用する装置と試薬の種類 及び量が多くなる。また、このとき分離した [ 18 O]H 2 O水は、イオン交換樹脂から微量の有機物が 出するため、再利用することができない。

 従来方法2の場合、上述の文献で使用されて いるセルはバッチ処理用のセルであるため、 [ 18 O]H 2 O水をフローさせながらグラッシーカーボン 状電極へ 18 F - イオンを捕捉することはできず、一度に処理 できる[ 18 O]H 2 O水の量はセル内に充填できる量と同じ程度 かない。また、セルに 18 F - イオンを捕捉する際に、グラッシーカーボン 棒状電極に印加する電圧を20V程度にした場合 、捕捉に要する時間は約8分間となる。また グラッシーカーボン棒状電極から 18 F - イオンを含んだ溶液を回収する際の時間は約 5分間かかる。
 さらに、得られる 18 F - イオンの有機溶媒溶液の体積は、 18 F - イオンを含有した[ 18 O]H 2 O水の体積に対して数分の1程度にしか濃縮で ず、濃縮率はあまり高くない。

 そこで本発明は、迅速に高効率で 18 F - イオンを濃縮することができる放射性フッ素 アニオン濃縮装置及びそれを用いた方法を提 供することを目的とする。
 具体的には、(1)[ 18 O]H 2 O水から 18 F - イオンを分離し、有機溶媒溶液に 18 F - イオンを回収する操作に要する時間を従来方 法1,2と比較して短縮すること、(2) 18 F - イオン含有[ 18 O]H 2 O水をフローで処理することにより、従来方 2と比較して、より多くの 18 F - イオン含有[ 18 O]H 2 O水を処理できるようにすること、(3)従来方 2と比較して、[ 18 O]H 2 O水から 18 F - イオンを分離する際に要する電圧を低くする こと、及び(4)従来方法2と比較して、得られ 18 F - イオンの有機溶媒溶液の体積を減少させて濃 縮率を高めること、を目的とする。

 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置は 互いに平行に対向して配置された一対の平 電極のうち少なくとも一方がカーボン平板 極であり、両電極間が500μm以下の間隔を取 流路になっており、上記流路には 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液が流されるフローセルと、上記平板 極間を接続して直流電圧を印加するととも その極性を反転できるようにした電源と、 記流路に溶液を送液する送液装置と、を備 たものである。

 上記カーボン平板電極として、グラッシ カーボン電極又はグラファイト電極を挙げ ことができる。実施例ではフローセルに用 るカーボン平板電極としてグラッシーカー ン電極とグラファイト電極をそれぞれ用い 。本発明はカーボンを含有する電極であれ 実施可能である。

 上記平板電極の一例として、平板電極の 方が絶縁平板基板上に金属材料が成膜され 金属平板電極であるものを挙げることがで る。金属材料としては、例えば白金、金、 ルミニウム、タングステン、銅、銀、導体 リコン、チタン、クロムなどを挙げること できる。

 上記平板基板間には、上記流路となる溝 切り抜かれた絶縁性シートが挟まれている うにしてもよい。その場合、平板電極に溝 の加工を施さなくても電極間に流路を形成 きるので好ましい。

 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮方法は 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置を い、上記一対の平板電極のうち一方のカー ン平板電極を陽極として電圧を印加し、上 流路内に放射性核種である 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液を流すことで、 18 F - イオンを上記カーボン平板電極へ捕捉する捕 捉工程と、その後上記カーボン平板電極を陰 極として電圧を印加し、上記流路内に回収用 の溶液を流すことで、 18 F - イオン又は 18 F - イオンで標識された反応生成物を含んだ溶液 を回収する回収工程と、を含むものである。

 上記回収用の溶液の一例としては、 18 F - イオン回収剤又は有機反応基質を含む溶液を 挙げることができる。

 本発明の放射性フッ素アニオン濃縮装置は フローセルに組み込んだ電極間の距離を500 m以下にすることで、低い電圧印加でも電極 の電位勾配は大きくなるため、 18 F - イオンに作用する影響力が大きくなり、また 、フローセルに組み込んだ流路の体積を数百 μm以下の空間にすることで、流路体積に対す るグラッシーカーボン電極の比表面積が大き くなる。そのため、(1)従来方法よりも短時間 で、(2)多くの 18 F - イオン含有の[ 18 O]H 2 O水を、(3)低い電圧で処理できるようになり (4)得られる 18 F - イオンの有機溶媒溶液の体積を減少させるこ とで濃縮効率の向上も達成できるようになる 。

一実施例における放射性フッ素アニオ 濃縮装置の概略構成図である。 同実施例におけるフローセルの分解斜 図である。 PDMSシートに成型される流路図の一例 示している。 PDMSシートに成型される流路図の一例 示している。 PDMSシートに成型される流路図の一例 示している。 18 F - イオンの捕捉実験の結果である。

符号の説明

  11   フローセル
  13   電源
  15   送液装置
  17   ドレイン
  19   加熱装置
  21   金属平板電極
  23   絶縁シート
  25   グラッシーカーボン電極、グラファ イト電極

 以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
 図1は一実施例における放射性フッ素アニオ ン濃縮装置の概略構成図である。
 放射性フッ素アニオン濃縮装置は、フロー ル11と、フローセル11に直流電圧を印加する 電源13と、フローセル11に溶液を送液する送 装置15から構成されている。フローセル11に 液された溶液はドレイン17に回収される。 ローセル11は温度調節装置としての加熱装置 19上に載置されている。

[フローセルの構成]
 図2は同実施例におけるフローセル11の分解 視図である。
 フローセル11は、金属平板電極21、絶縁性シ ート23及びグラッシーカーボン電極25が、絶 性シート23を間に挟んで両電極21,25の電極側 向き合うように配置されたものである。な 、図2は一方の電極をグラッシーカーボン電 極、他方の電極を金属平板電極として構成し ているが、両方の電極をグラッシーカーボン 電極で構成してもよい。本発明のフローセル 11は、少なくとも一方の電極がカーボン電極 構成されていれば良い。

 金属平板電極21の一例は絶縁性の平板上 金属材料(例えば白金、金、アルミニウム、 ングステン、銅、銀、導体シリコン、チタ 、クロムなど)が成膜されたものである。絶 縁性シート23の一例は流路26となる溝が切り かれたPDMS(ポリジメチルシロキサン)などの ムシートである。絶縁性シート23の厚さは、 フローセルの使用条件にもよるが、100μmから 500μm程度が好ましい。また、フローセル11は 面から固定用ジグ27によって、下面から固 用ジグ29によって固定されている。

 金属平板電極21には試料導入口31及び試料排 出口33が設けられ、両口31,33は流路26の両端と 導通している。固定用ジグ27にも試料導入口3 1に対応した穴35と試料排出口33に対応した穴3 7が設けられている。
 電源13は金属平板電極21とグラッシーカーボ ン電極25間を接続しており、両電極21,25間に 流電圧を印加するとともにその極性を反転 せることができる。

[フローセルの作製]
 図3A~図3Cは同実施例におけるPDMSシートに成 される流路図を示している。
 フローセルは図2に示すようにチップ(平板 極21,25)及びそれを固定する治具(固定用ジグ2 7,29)から構成されている。なお、チップのサ ズは一例として25mm×48mmとした。

 図3Aの場合、試料導入口31及び試料排出口33 対応する流路26の端部分の幅は2mmで、流路26 の中央部分の流路幅は16mmである。図3Bの場合 、流路26の幅は4mmである。図3Cの場合、流路 幅は2mmである。なお、図3A,図3B,図3Cにおける 流路26の面積比は6:2:1である。
 また、流路26を形成するゴムシートとして PDMSシートを使用した。チップは、金属電極 成膜した石英部材からなる金属電極21とグ ッシーカーボン電極25によりPDMSシートを上 から挟む形とした。

 次に、フローセル11に使用する部材の作製 法を以下に説明する。
 白金を用いた金属平板電極21は、25mm×48mmの きさにダイシングした厚さ1mmの石英部材に パッタ法により白金を成膜することにより 製した。グラッシーカーボン電極25は25mm×48 mm×1mmの成型品を使用した。PDMSシートはスピ コート法により100μmの厚みにしたものを作 し、カッティングプロッターを使用して、 形(縦幅25mm×横幅48mm)と流路26のパターンを 型した。流路26についての検討は後述する。

 次にフローセルの組み立て手順を説明する
 (1)金属平板電極21と流路26を成型したPDMSシ ト23を酸素プラズマ処理して表面を活性化し た後、貼り合わせを行い、12時間以上静置す 。この処理により、金属平板電極21とPDMSシ ト23が固着する。
 (2)グラッシーカーボン電極25の表面と、上 の操作(1)で貼り付け作業を行ったPDMSシート2 3の表面を、酸素プラズマ処理した直後に貼 合わせる。この処理により、絶縁性シート23 とグラッシーカーボン電極25が固着する。

 次に 18 F - イオンの濃縮操作の手順を図1、2を参照しな ら説明する。
[実施例1]
 (1)フローセル11の試料導入口31から 18 F - イオンを含む溶液を導入する。
 (2)電源13により金属平板電極21とグラッシー カーボン電極25間に電圧を印加し、グラッシ カーボン電極25に 18 F - イオンを捕捉する。
 (3)フローセル11の試料排出口33から流路26内 溶液を排出する。
 (4) 18 F - イオンの回収剤を含むアセトニトリルをフロ ーセル11内に充填し、グラッシーカーボン電 25に印加する電圧は反転させる。これによ 、 18 F - イオンをグラッシーカーボン電極25からアセ ニトリルに回収する。

 (5) 18 F - イオンを含んだアセトニトリルを試料排出口 33からフローセル11外に排出する。
 (6)アセトニトリルを試料導入口31からフロ セル11内に充填し、フローセル11内を洗浄す 。
 (7)洗浄液(アセトニトリル)を試料排出口33か らフローセル11外に排出する。
 (8)アセトニトリル溶液による洗浄を2回行な う。
 図1に示すフローセル11を用いた場合、 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液は送液装置15により流路26内に流され ドレイン17により回収される。

 次に同実施例1におけるフッ素濃縮実験の一 例を図1、図2を参照しながら説明する。なお フローセル11の流路26の形状としては図3Bに した形状を用い、カーボン電極としてグラ シーカーボン電極25を用いた。
[濃縮実験]
 (1)[ 18 O]H 2 O水溶液を送液装置15(例えばシリンジポンプ) 導入し、送液量を500μL/分に設定してシリン ジポンプを使用してフローセル11内に送液す 。[ 18 O]H 2 O水溶液として、1355μCiの 18 F - イオンを含む2000μLを用いた。
 (2)直流電源13により、グラッシーカーボン 極25に10.0Vの電圧を印加する。

 (3)[ 18 O]H 2 O水溶液の送液が終了した後、圧縮ガスによ てフローセル11内の[ 18 O]H 2 O水溶液をフローセル11の外に押し出す。この とき、グラッシーカーボン電極25に捕捉され 18 F - イオンの量は1238μCi(初期線量測定から2分経 )であった。

 (4)フローセル内に0.34mgの4,7,13,16,21,24-hexaoxa-1 ,10-diazabicyclo-[8,8,8]-hexacosane(Kryptofix 222(登録商 標)、[K⊂2.2.2] 2 CO 3 )を含むアセトニトリル溶液17.6μLを充填し、 流電源13の電圧極性を反転させて-3.3Vを印加 し、加熱装置19により80℃で1分間加熱する。
 (5)1分経過後、圧縮ガスによってフローセル 11内のアセトニトリル溶液をセル外に押し出 て回収し、フローセル11の流路26内を17.6μL アセトニトリル溶液で2回洗浄する。

[濃縮実験の結果]
 図4は同実施例における 18 F - イオンの捕捉実験の結果である。
 室温における 18 F - イオンのグラッシーカーボン電極25への捕捉 (%)を印加電圧とチップ内への溶液の流速(mm/ 秒)を変えながら検討した。
 グラッシーカーボン電極25への印加電圧を3. 3V、6.7V、10.0Vの3段階に変化させたところ、印 加電圧が10.0Vのときは捕捉率の目標とする90% 超えた。そのため、本実施例では、 18 F - イオンをグラッシーカーボン電極25に捕捉す 際には10.0Vの電圧を印加する。
 また、 18 F - イオンをグラッシーカーボン電極25から回収 に回収する際は、-3.3Vの電圧を印加し、80℃ で1分間加熱する条件を用いる。

 上述の濃縮方法でアセトニトリル溶液中に 収できた 18 F - イオンは1032μCi(初期線量測定から4分経過)で った。なお、この時のフローセル11の電極21 ,25間の距離は100μmである。

 フローセル11の電極21,25間の距離を500μm以下 、流路26の体積を数100μL以下のマイクロ空間 した場合、低い印加電圧でも電極21,25間の 位勾配を大きく保つことができ、18F - イオンに作用する静電力が大きくなった。こ れは、流路体積に対する電極の比表面積を大 きくすることで、 18 F - イオンに静電力が作用する領域を増加させた ものと考えられる。

 上述の実施例1に記載の方法では、2.0mLの[ 18 O]H 2 O水溶液の処理時間を約4分まで短縮すること でき、従来よりも処理時間を短縮すること できた。また、この時にグラッシーカーボ 電極25に捕捉できる 18 F - イオンは[ 18 O]H 2 O水溶液が含有する量の約93%であり、充分な であった。

 グラッシーカーボン電極25に析出させた 18 F - イオンの内、約84%はアセトニトリル溶液中に 回収でき、この時の所要時間は約3分であっ 。
 回収した 18 F - イオン含有アセトニトリル溶液の体積は約53 Lであり、[ 18 O]H 2 O水溶液中に存在した 18 F - イオンの約78%を含んでいる。
 この結果、 18 F - イオン濃度の変化率を計算すると、2000/53×0.7 8≒29となり、濃度は約29倍に増加しているこ が確認された。

 次に本発明の他の実施例における放射性フ 素アニオン濃縮装置について説明する。
[実施例2]
 放射性フッ素アニオン濃縮装置の装置構成 、上述の図1及び図2に示した構成と同じで り、フローセル11のカーボン平板電極として グラファイト電極25を用いている。
 フローセル11は、金属平板電極21、絶縁性シ ート23及びグラファイト電極25が、絶縁性シ ト23を間に挟んで両電極21,25の電極側が向き うように配置されたものである。
 なお、図2は一方の電極をグラファイト電極 、他方の電極を金属平板電極として構成して いるが、一方の電極をグラッシーカーボン電 極、他方の電極をカーボン電極としてもよい し、両方の電極をカーボン電極で構成しても よい。

 次に 18 F - イオンの濃縮操作の手順を図1、2を参照しな ら説明する。
 (1)フローセル11の試料導入口31から流路26内 18 F - イオンを含む溶液を導入する。
 (2)電源13により金属平板電極21とグラファイ ト電極25間に電圧を印加し、グラファイト電 25に 18 F - イオンを捕捉する。
 (3)フローセル11の試料排出口33から流路26内 溶液を排出する。
 (4) 18 F - イオンの回収剤を含むアセトニトリル溶液を 試料導入口31からフローセル11内に充填し、 ラファイト電極25に印加する電圧は反転させ る。これにより、 18 F - イオンをグラファイト電極25からアセトニト ルに回収する。

 (5) 18 F - イオンを含んだアセトニトリル溶液を試料排 出口33からフローセル11外に排出する。
 (6)アセトニトリルを試料導入口31からフロ セル11内に充填し、フローセル11内を洗浄す 。
 (7)洗浄液(アセトニトリル)を試料排出口33か らフローセル11外に排出する。
 (8)アセトニトリル溶液による洗浄を2回行な う。
 図1に示すフローセル11を用いた場合、 18 F - イオンを含有する[ 18 O]H 2 O水溶液は送液装置15により流路26に流され、 レイン17により回収される。

 次に同実施例2におけるフッ素濃縮実験の一 例を図1、図2を参照しながら説明する。なお フローセル11の流路26の形状としては図3Bに した形状を用いた。
[濃縮実験]
 (1)[ 18 O]H 2 O水溶液を送液装置15に導入し、送液量を500μL /分に設定してシリンジポンプを使用してフ ーセル11内に送液する。[ 18 O]H 2 O水溶液として、717μCiの 18 F - イオンを含む2000μLを用いた。
 (2)直流電源13により、グラファイト電極25に 10.0Vの電圧を印加する。

 (3)[ 18 O]H 2 O水溶液の送液が終了した後、圧縮ガスによ てフローセル11内の[ 18 O]H 2 O水溶液をフローセル11の外に押し出す。この とき、グラファイト電極25に捕捉された 18 F - イオンの量は612μCi(初期線量測定から2分経過 )であった。

 (4)フローセル内に0.34mgの4,7,13,16,21,24-hexaoxa-1 ,10-diazabicyclo-[8,8,8]-hexacosane(Kryptofix 222(登録商 標)、[K⊂2.2.2] 2 CO 3 )を含むアセトニトリル溶液17.6μLを充填し、 流電源13の電圧極性を反転させて-3.3Vを印加 し、加熱装置19により80℃で1分間加熱する。
 (5)加熱から1分経過後、圧縮ガスによってフ ローセル11内のアセトニトリル溶液をセル外 押し出して回収し、フローセル11の流路26内 を17.6μLのアセトニトリル溶液で2回洗浄する

[濃縮実験の結果]
 上述の濃縮方法でアセトニトリル溶液中に 収できた 18 F - イオンは313μCi(初期線量測定から4分経過)で った。
 上述の実施例2に記載の方法では、[ 18 O]H 2 O水溶液の処理時間を従来よりも処理時間を 縮することができた。
 また、この時にグラファイト電極25に捕捉 きる 18 F - イオンは[ 18 O]H 2 O水溶液が含有する量の約85.3%であり、充分な 量であった。
 また、グラファイト電極25に析出させた 18 F - イオンの内、約51.2%はアセトニトリル溶液中 回収できた。

 次に、フローセル11に用いる流路26の形状に ついて検討する。
[流路形状についての検討]
  18 F - イオンの捕捉効率はフローセル11の電極面積 大きくなるほど高くなると予測されるので 図3A~図3Cに示す流路形状について電極面積 を6:2:1として3パターンで検討した。このと の流路体積は、それぞれ50μL、17.6μL、8.8μL あった。また、グラッシーカーボン電極25( 1及び図2参照。)への捕捉電圧を3.3V、溶液流 を200μL/分、反応温度を室温という条件に設 定して 18 F - イオンの捕捉率を求めた。

 上述の条件で捕捉率を計算すると、図3A及 図3Bの場合は86%超となり、図3Cの場合は70%程 となった。
 そこで、図3A~3Cの流路パターンにおける 18 F - イオン分布を確認するためにラジオグラフを 撮像した(図示は省略)。その場合、図3Aの結 からは流路内上部側面に気泡の存在が疑わ 、 18 F - イオンの捕捉は流路前半部分でほとんど終了 していることがわかった。
 一方、図3B及び図3Cのラジオグラフを見ると 、気泡の滞留は無く、流路全体で 18 F - イオンの捕捉を行なっていることが確認でき た。

 これらの結果から最も効率のよい流路パタ ンを検討したところ、図3Aのパターンは 18 F - イオンの捕捉率に関しては良い結果を得たが 、電極表面の一部しか捕捉に使用されておら ず、気泡が存在することも確認された。その ため、上述の図4に示す結果においては除外 た。また、図3Cの流路パターンは図3Bに比べ 流路幅が狭く、捕捉率が低いため、実験条 にもよるが図4に示す結果においては除外し た。
 以上の結果から、図3Bの流路パターンを用 ると最もよいと判断できるが、実験条件に っては図3Aや図3Cのような流路パターンでも い結果が得られると推測される。

 本発明で作製したフローセルは、[ 18 O]H 2 O水と 18 F - イオンの分離をフロー状態で行える構造にし ており、任意の量の 18 F - イオン含有[ 18 O]H 2 O水を1度に分離処理することができる。
 また、任意の有機溶媒を流路内に流すこと 溶媒交換が速やかに行え、イオン交換樹脂 使用する従来の技術よりも操作方法が簡便 している。

 さらに、フローセル11に組み込んだ電極21,25 間の距離を500μm以下にすることで、低い電圧 印加であっても電極21,25間の電位勾配は大き なるため、 18 F - イオンに作用する静電力が大きく、捕捉に要 する時間は短くなった。また、フローセル11 組み込んだ流路26の体積を数100μL以下のマ クロ空間にすることと流路体積に対するカ ボン電極25の比表面積が大きくなるため、 18 F - イオンの捕捉効率が向上した。
 また、 18 F - イオンを電極から回収する際に流路中に充填 する有機溶媒の体積が小さくなるため、濃縮 効率も向上した。

 本発明は、サイクロトロンで加速した陽子 [ 18 O]H 2 O水に照射することで得られる 18 F - イオンを[ 18 O]H 2 O水から分離し、 18 F - イオンの有機溶媒溶液を製造するフローセル に利用することができる。