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Title:
RAW MATERIAL SHEET FOR HEAT INSULATING PAPER CONTAINER AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028423
Kind Code:
A1
Abstract:
A raw material sheet for a wall member of heat insulating paper container, comprising a paper base material and, superimposed on at least one major surface thereof, a thermoplastic resin layer applied by extrusion laminating. The thermoplastic resin is a low-density polyethylene exhibiting a melt tension (MT) of 18 mN or greater after extrusion laminating. This raw material sheet for a wall member of heat insulating paper container would provide a raw material sheet that realizes a state of uniform foaming and is used in a paper container excelling in heat insulation.

Inventors:
HIROSHIGE KOUICHIRO (JP)
FUKUNAGA MASAAKI (JP)
OOKUBO KATSUYUKI (JP)
HARA SADAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065031
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JUJO PAPER CO LTD (JP)
NIPPON PAPER PAK CO LTD (JP)
HIROSHIGE KOUICHIRO (JP)
FUKUNAGA MASAAKI (JP)
OOKUBO KATSUYUKI (JP)
HARA SADAO (JP)
International Classes:
B32B27/10; B29C48/08; B29C48/15; B29C48/67; B29C48/92; B32B5/18; B32B27/32; B65D3/22; B65D65/40; B65D81/38; B29K23/00; B29L7/00; B29L9/00
Foreign References:
JP2007168178A2007-07-05
JP2006168770A2006-06-29
JPH10110055A1998-04-28
Attorney, Agent or Firm:
KODAMA, Yoshihiro et al. (17-2 Sotokanda 2-chomeChiyoda-ku, Tokyo 21, JP)
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Claims:
 断熱性紙製容器における胴部材原材料シートであって、
該胴部材原材料シートは、紙基材の少なくとも片面に、押出しラミネートによって熱可塑性樹脂層を設けたものであって、
該熱可塑性樹脂は、押出しラミネート後にメルトテンション(MT)が18mN以上の低密度ポリエチレンであることを特徴とする断熱性紙製容器の胴部材原材料シート。
 断熱性紙製容器における胴部材原材料シートであって、
該胴部材原材料シートは、紙基材の少なくとも片面に、押出しラミネートによって熱可塑性樹脂層を設けたものであって、
該熱可塑性樹脂は、JIS K 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)において、押出機に投入する前のMFR:Xg/10分、押出機から押し出した後のMFR:Yg/10分であって、X>Yの低密度ポリエチレンであることを特徴とする断熱性紙製容器の胴部材原材料シート。
 低密度ポリエチレンは、融点が80~120℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の断熱性紙製容器の胴部材原材料シート。
 紙基材の少なくとも片面に、押出しラミネートによって低密度ポリエチレンからなる熱可塑性樹脂層を設ける断熱性紙製容器の胴部材原材料シートの製造方法において、
押出し機のミキシングゾーンの実測温度が320℃~360℃に制御して、ラミネートされる低密度ポリエチレンは、JIS K 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)が、押出機投入前のMFRがXg/10分、ミキシング後のMFRがYg/10分とするときX>Yの関係を充足し、さらに、ミキシング後のメルトテンション(MT)が18mN以上であることを特徴とする断熱性紙製容器の胴部材原材料シートの製造方法。
 胴部材と底板部材とからなる紙製容器であって、胴部材は、紙基材に発泡した熱可塑性樹脂層が形成されており、該発泡熱可塑性樹脂層は、紙基材の少なくとも片面に押出しラミネートした熱可塑性樹脂層を設け、紙基材中の水分を加熱蒸発させることによって前記熱可塑性樹脂層が発泡したものであって、該熱可塑性樹脂が押出しラミネート後に測定したメルトテンション(MT)が18mN以上の低密度ポリエチレンからなることを特徴とする紙製容器。
Description:
断熱性紙製容器の原材料シート びその製造方法

 本発明は、断熱性を必要とする紙製容器 原材料シートに関する。さらに詳細には、 動販売機等に利用されるホットコーヒーな の充填用のカップ、熱湯を注入することに って内填物を飲食し得る状態にするいわゆ 即席可食品用容器、さらには電子レンジに る調理用の容器等に利用される断熱性を有 る使い捨て容器用原材料シートに関する。

 ハンバーガーショップなどのファーストフ ド店や列車の車内あるいは自動販売機など コーヒーあるいはスープなどの温飲料が購 者に供される場合、およびカップ入り即席 ーメンなどでは一般的に断熱容器が使用さ ている。
 従来、このような用途に使用される容器と ては、発泡ポリスチレン(EPS)製の断熱性を するものが知られている。これはポリスチ ンに発泡剤を加える工程を経た後、この材 をモールド内に注型し、その後、熱と圧力 加えて原料を発泡させ、成型容器を型から り出すことによって製造される。このよう して得られた断熱性容器は断熱性の点では 常に優れている。しかし、この容器は全体 プラスチックを発泡させていることから嵩 あり、ゴミ量が多くなる。そして、使用後 ゴミとして焼却処分する際、高熱を発して 焼するため焼却炉を損傷しやすく、石油資 の節約の観点からも見直しが求められてい 。また、環境ホルモンとしての人体への悪 響も懸念される、さらに、発泡ポリスチレ の外表面は微小な凹凸が多数存在するので 外表面に模様、文字、記号などを印刷して 鮮明に表現されない、紙カップに比べ肉厚 度が弱く即席麺などの比較的大きな容器の 合輸送中に割れたりすることがある、など 欠点もあった。

 一方、前記の発泡プラスチック製容器の他 、例えば、特許文献1(特開昭57-110439号公報) は、容器胴部材及び底板部材からなる紙製 器において、容器胴部材の外壁面に低融点 熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし 加熱することにより、基材である紙に含ま ている水分の蒸気圧を利用してフィルムを 凸に発泡させる技術が記載されている。こ とき、紙の他面には、加熱時に蒸気圧を保 する層として、同様の発泡層となる熱可塑 合成樹脂フィルムをラミネートするか、又 、アルミ箔をコーティグすることが記載さ ている。この容器は比較的良好な断熱性を し、安価に、かつ、容易に製造することが きるなどの利点を有する。
 同じく、紙に含有されている水分の加熱蒸 により発泡させる技術として、特許文献2( 許第3596681号公報)には、胴部材の一方の壁面 に、紙の表面側から低融点の熱可塑性樹脂の 発泡内層とこれよりも高い融点を有する熱可 塑性樹脂の非発泡外層とからなる2層構造断 膜が被着されており、発泡内層と紙との層 強度、紙の坪量、発泡層および非発泡外層 膜厚を規定した紙製容器が記載されている 特許文献2にはまた、紙の他面に、加熱時に 気圧を保持する層として高融点の熱可塑性 脂をラミネートすることが記載されている

特開昭57-110439号公報

特許第3596681号公報

 特許文献1あるいは2に記載の容器は、紙を 材とし、ラミネート層(樹脂層)は石油を原料 に作られているもののその厚さは断熱性に必 要な最小限に抑えられている。そのため、化 石燃料の使用が極力削減されており、全体が 発泡ポリスチレンからなる容器に比べて環境 負荷が小さく、また印刷性にも優れる。
 しかし、紙基材中に含まれていた水分を加 蒸発させ、この蒸発水分により熱可塑性樹 層を発泡させて断熱性を付与する機構であ ことから制御が難しく、発泡不良が起こり ンホールが発生する、過発泡が起こる、ま 部分的に破裂したり紙基材から熱可塑性樹 層が剥がれてしまうなどの問題が生じやす 、発泡状態が不均一になると十分な断熱性 得られない。

 そこで、本発明は、均一な発泡状態が得 れ、断熱性に優れる紙製容器に用いる原材 シートを提供することを目的とする。

(1)断熱性紙製容器における胴部材原材料シー トであって、
該胴部材原材料シートは、紙基材の少なくと も片面に、押出しラミネートによって熱可塑 性樹脂層を設けたものであって、
該熱可塑性樹脂は、押出しラミネート後にメ ルトテンション(MT)が18mN以上の低密度ポリエ レンであることを特徴とする断熱性紙製容 の胴部材原材料シート。
(2)断熱性紙製容器における胴部材原材料シー トであって、
該胴部材原材料シートは、紙基材の少なくと も片面に、押出しラミネートによって熱可塑 性樹脂層を設けたものであって、
該熱可塑性樹脂は、JIS K 7210:1999に従って測 したメルトマスフローレート(MFR)において 押出機に投入する前のMFR:Xg/10分、押出機か 押し出した後のMFR:Yg/10分であって、X>Yの 密度ポリエチレンであることを特徴とする 熱性紙製容器の胴部材原材料シート。(3)低 度ポリエチレンは、融点が80~120℃であるこ を特徴とする(1)又は(2)記載の断熱性紙製容 の胴部材原材料シート。
(4)紙基材の少なくとも片面に、押出しラミネ ートによって低密度ポリエチレンからなる熱 可塑性樹脂層を設ける断熱性紙製容器の胴部 材原材料シートの製造方法において、押出し 機のミキシングゾーンの実測温度が320℃~360 に制御して、ラミネートされる低密度ポリ チレンは、JIS K 7210:1999に従って測定したメ ルトマスフローレート(MFR)が、押出機投入前 MFRがXg/10分、ミキシング後のMFRがYg/10分とす るときX>Yの関係を充足し、さらに、ミキシ ング後のメルトテンション(MT)が18mN以上であ ことを特徴とする断熱性紙製容器の胴部材 材料シートの製造方法。
(5)胴部材と底板部材とからなる紙製容器であ って、胴部材は、紙基材に発泡した熱可塑性 樹脂層が形成されており、該発泡熱可塑性樹 脂層は、紙基材の少なくとも片面に押出しラ ミネートした熱可塑性樹脂層を設け、紙基材 中の水分を加熱蒸発させることによって前記 熱可塑性樹脂層が発泡したものであって、該 熱可塑性樹脂が押出しラミネート後に測定し たメルトテンション(MT)が18mN以上の低密度ポ エチレンからなることを特徴とする紙製容 。

1.均一な発泡状態が得られ、断熱性が良好な 製容器が提供できる。
2.均一な発泡層が形成されるので、きれいな 刷ができる。
3.発泡ポリスチレンを使用しない紙を主成分 する容器であり、環境に配慮した容器、人 への悪影響が少ない容器であって、紙系の ミとして処理することができる。

本発明による断熱性紙製容器の一例の 面図である。 図1においてYで示された胴部の部分拡 断面図である。 押出しラミネートによる製造方法を示 説明図である。 押出し機の概略図である。

符号の説明

  1 断熱性紙容器
  2 胴部材
  3 底板部材
  4 紙基材
  5 発泡熱可塑性樹脂層
  5’熱可塑性樹脂層
  6 発泡セル
  7 非発泡熱可塑性樹脂層
  8 巻取
  9 Tダイ
 10 クーリングロール
 11 ニップロール
 12 胴部材原材料シート
 13 エアギャップ

 熱可塑性樹脂は押出機に投入される前と では流動性が変化し、発泡性にも影響する これは押出機内部のスクリューによって加 された状態で樹脂が混練されることによっ 、樹脂が劣化することによる。従って、押 機に投入される前の樹脂の物性を規定して 、発泡性との良好な相関は得られなかった 本発明者らは、押出しラミネート処理後の 脂の物性と発泡性の関係について着目し、 記の方法にて測定したメルトテンションが 泡性との相関が高いことを見出した。すな ち、熱可塑性樹脂の膨張時に、メルトテン ョン(溶融張力、MT)が低いと、図2の発泡セ (壁)が破裂し、隣接する発泡セルと融着して しまうため発泡状態が不良となる。

 本発明で使用する「メルトテンション(「溶 融張力」、「MT」と表現することもある)」は 、次のように定義される。
 メルトテンションの測定は、JIS K 7199:1999 記載の条件を満足するキャピラリーダイを する装置(例えば、メルトテンションテスタ (東洋精機製作所製))を使用し、測定温度が1 90℃で、径9.5mmのバレルに充填した溶融樹脂 、ピストン降下速度20mm/分で、オリフィス( 2.095mm、長さ8mm)から押出し、該押出された溶 融樹脂を、径150mmの巻き取りロールを用い、2 0mm/分の巻き取り上昇速度で巻き取り、溶融 脂が破断する直前における張力値を測定し これをメルトテンションとした。
 また、押出ラミネート処理後の樹脂につい メルトテンションを測定する方法としては 例えば、繰り出された紙の上に剥離フィル を貼付け、その剥離フィルム上にラミネー する。ラミネートした紙と樹脂フィルムを 離し、樹脂フィルムを測定試料とすること より上記測定方法を適用することができる

 一方、メルトマスフローレート(MFR)は樹 の流動性を示している。MFRが高い(流動性が い)と、樹脂が流れやすく、水分膨張より、 樹脂が流れ、隣接する発泡セルと融着、発泡 不良となる。従って、MTが低く、MFRが高いと 泡不良となる。

 本発明の紙製容器の胴部材原材料シート おいて、紙基材上に押出しラミネートによ て設ける熱可塑性樹脂層に使用する樹脂と ては、押出しラミネート後にメルトテンシ ン(MT)が18mN以上、好ましくはMTが18mN~50mNの低 密度ポリエチレンを使用することが必須であ る。MTが18mN未満であると、溶融した樹脂の張 力が弱いため発泡セルが破裂し、発泡性が不 十分となる。一方、MTが50mNを超えると熱可塑 性樹脂を発泡させるための加熱処理を行う際 樹脂の流動性が不十分であるため発泡性が不 十分である。さらに、溶融粘度が高く、加工 成型時(押出し時)においてスクリューで樹脂 練り込まれる際に樹脂がダメージを受けや くなり、均一な発泡状態を得ることが困難 なる。なお、熱可塑性樹脂層に使用する樹 は2種類以上であってもよいが、混合樹脂の MTは上記の範囲である必要がある。言い換え と、個々の樹脂のMTが上記範囲外であって 混合樹脂のMTが上記範囲内にあればよい。熱 可塑性樹脂層は単層であっても、複層であっ ても良いが、発泡性の点から単層であること が好ましい。なお、低密度ポリエチレンとし て所謂直鎖状低密度ポリエチレンも使用可能 である。

 低密度ポリエチレンの融点としては80~120℃ 度が好ましい。密度としては、直鎖状低密 ポリエチレンでは888~910kg/m 3 、低密度ポリエチレンでは910~925kg/m 3 程度である。
 断熱性紙製容器は、大きく分けて、A.胴部 原材料シートの作製、B.紙製容器の成型、C. 熱処理による発泡、の3つの工程から製造さ れる。以下、図面に基づき説明するが、本発 明はこれらに限定されるものではない。

 A.胴部材原材料シートの作製
 (紙製容器の構成)
 図1は、断熱性紙製容器の一例の断面図であ る。断熱性紙製容器1は、基本的に胴部材2と 板部材3とから構成されている。
 図2は、図1においてYで示された胴部の部分 大断面図である。本例では、胴部材の外壁 側(容器外側)に、紙基材4の表面に発泡した 可塑性樹脂層5(以下、発泡熱可塑性樹脂層5 いう)が存在しており、発泡熱可塑性樹脂層 5は、発泡セル6が並んだ構造となっている。 部の内壁面側(容器内側)には、発泡熱可塑 樹脂層5の熱可塑性樹脂よりも融点の高い熱 塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層7(以下、 発泡熱可塑性樹脂層7という)が存在している 。この非発泡熱可塑性樹脂層7は、後述する うに、容器製造における加熱処理の際に発 せず、紙基材からの蒸発水分の逃散を防止 て発泡熱可塑性樹脂層5を確実かつ十分に発 させるものである。
 また、図示しないが、底板部材3は、底板部 材原材料シートとして、紙基材の少なくとも 片面に1以上の熱可塑性樹脂層やアルミ箔等 設けたものが好ましく使用される。これは 中への液体等の浸透防止のためである。底 部材に用いられる熱可塑性樹脂は、胴部材 同じであっても異なっていてもよく、積層 法も押出しラミネート法の他、ウェットラ ネート法、ドライラミネート法等の予めフ ルム状にしたものと貼合する方法が適宜使 できる。

 (押出し機)
 押出し機の概略を図4示す。
 熱可塑性樹脂は押出し機に投入された後、 ィードゾーン、圧縮ゾーン、ミキシングゾ ンを経て、溶融した樹脂はTダイより紙基材 上に押出される。押出し機内で樹脂はスクリ ューによって混練されるが、この時樹脂に対 する負荷が大きいと、押出しラミネート後の メルトテンション(MT)が18mN未満になり、発泡 態が不良となる。また、ミキシングゾーン 温度は320~360℃であることが望ましい。320℃ 未満であると溶融樹脂粘度が高いため、樹脂 のダメージを受けやすくなる。360℃を超える と溶融粘度が低下、ポリエチレンが架橋しや すくなり、良好な発泡状態が得られる。

 (押出しラミネート)
 図3は、胴部材2の原材料となるシートの製 工程を示す。巻取8から繰り出された紙基材4 の一表面に、Tダイ9から熱可塑性樹脂層5’を 溶融樹脂膜の状態で押出し、クーリングロー ル10とこれに対向するニップロール11との間 冷却しつつ圧着し、胴部材原材料シート12を 得る。ここで、Tダイから押出された溶融膜 態の熱可塑性樹脂が紙基材に接するまでの 離はエアギャップと呼ばれる。押出しラミ ートにおいて、樹脂の溶融温度、積層速度 どの操業条件は、用いる樹脂の種類や装置 よって適宜設定すればよく特に制限されな が、一般に、例えば、溶融温度は200~350℃程 、積層速度は50~200m/分程度である。なお、 要に応じて、紙基材や熱可塑性樹脂の接着 を向上させるために、コロナ処理、オゾン 理、フレーム処理、プラズマ処理等を行っ もよい。また、ニップロールとしては硬度70 度以上(JIS K 6253)のものを用い、線圧は15kgf/c m以上で押圧・圧着を行うことが好ましい。
 また、図示しないが、胴部材原材料シート1 2の熱可塑性樹脂層5’を設けた反対面には、 発泡熱可塑性樹脂層7が積層されている、非 発泡熱可塑性樹脂層7は、熱可塑性樹脂層5’ ラミネート前、同時あるいは後に、押出し ミネートの他、ウェットラミネート法、ド イラミネート法等の予めフィルム状にした のと貼合する方法で積層される。

 本発明者らは、先に溶融した熱可塑性樹 がエアギャップを通過する時間を0.11~0.33秒 することにより、加熱処理されたとき均一 発泡状態を得ることができることを見出し (特願2006-266897)。しかし、本発明においては 、押出しラミネート後のMTを18mN以上とするこ とにより、エアギャップを通過する時間が前 記範囲外であっても良好な発泡状態が得られ る。

 (紙基材)
 本発明で使用される紙とは、植物繊維また 植物繊維とその他の繊維とを絡み合わせ膠 させて製造したものであり、植物繊維の原 としては針葉樹または広葉樹などの木材繊 、ミツマタ、コウゾなどの靭皮繊維、バガ 、ケナフ、麻などの非木材繊維、木綿繊維 古紙等が挙げられ、また、紙の種類として 質紙、コート紙、再生紙等が挙げられるが これらに限定されるものではない。紙の坪 は、100g/m 2 以上400g/m 2 以下程度のものが好適であり、坪量が低すぎ ると、発泡に必要な含水率が少ないためか十 分に発泡せず、また容器を手で把持したとき に熱さを感じ易い。好ましくは200g/m 2 以上、さらに好ましくは250g/m 2 以上である。一方、坪量が高すぎると、胴部 材として所望の剛度を超えて不経済であり、 また必要以上に発泡して成型加工性も低下す る。紙基材中の含水率としては、多すぎると 剛度が低下して容器の成型加工性に劣り、不 経済であり、また必要以上に発泡して成型加 工性も低下し、断熱性が悪化する。また過発 泡や発泡セルの破裂などを招くため、5~15重 %が好ましいが、6~10重量%であるとさらに好 しい。

(発泡熱塑性樹脂層)
  前述したように、発泡熱可塑性樹脂層に 出しラミネート後に測定したメルトテンシ ン(MT)が18mN以上である低密度ポリエチレンを 使用する。本発明ではラミネートした後積層 したシートを加熱、水蒸気の発生により発泡 させるが、低密度ポリエチレンのMTを18mN/20mm 上とすることにより溶融時の流動性がよく 水蒸気に対し良好の発泡を得ることができ 。また、押出し加工温度は315℃以上好まし は320℃以上で加工することが好ましい。こ 理由としては高温度でかつ本発明である高 動性の低密度ポリエチレンを使用しており 押出し時の樹脂ダメージを防ぐことが理由 ある
。また、熱可塑性樹脂として、JIS K 7210:1999 従って測定したメルトマスフローレート(MFR )において、押出機に投入する前のMFRがXg/10分 、押出機から押し出した後のMFR:Yg/10分である 時、X>Yとなるような低密度ポリエチレンを 使用することが好ましい。
 なお、押出機に投入する前のMFR(X)は10.0~23.0g /10分であることが好ましく、特に15.0~23.0g/10 が好ましい。MFRが10.0g/10分以下であると、熱 可塑性樹脂を発砲させるための加熱処理を行 う際樹脂の流動性が不十分であるため発泡性 が不十分である。さらに、溶融粘度が高く、 加工成型時(押出時)においてスクリューで樹 が練りこまれる際に樹脂がダメージを受け すくなり、均一な発泡状態が得ることが困 となる。一方、MFRが23.0g/10分以上であると 脂の流動性が高くなりすぎるため、発泡性 不十分となる。なお、熱可塑性樹脂層に使 する樹脂は2種類以上あってもよいが、混合 脂のMFRは上記の範囲であればよく、言い換 ると、個々の樹脂のMFRが上記範囲外であっ も混合樹脂のMFRが上記範囲内であればよい

 (非発泡熱可塑性樹脂層)
 本発明では、発泡効率を高めるために、胴 材の発泡熱可塑性樹脂層を有する壁面の反 壁面側を、発泡熱可塑性樹脂層よりも融点 高い熱可塑性樹脂からなるとともに加熱処 した際に発泡しない熱可塑性樹脂層(非発泡 熱可塑性樹脂層)、あるいはアルミ箔等で被 することが好ましい。紙基材の片面が被覆 れていないと、加熱処理の際にこの未被覆 から紙中の水分が大気中に蒸散してしまい 十分確実に発泡させることが難しくなる。 って、このような被覆層を設けることによ 、紙中の水分を効率良く発泡に寄与させる とができる。なお、これらの非発泡熱可塑 樹脂層やアルミ箔などは、胴部材の内壁面 に存在すると、充填液体等が紙中へ浸透す ことを防止でき好ましい。
 同様に、発泡効率を高める目的で、発泡熱 塑性樹脂層の上に、非発泡熱可塑性樹脂層 設けることもできる。発泡熱可塑性樹脂層 胴部材の外壁面側に存在するときは、その 面は凹凸があり平滑ではないため、非発泡 可塑性樹脂層の存在により、滑らかな手触 と光沢のある外観を得ることができ、容器 防水性もより向上する。
 これらの非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性 脂は、発泡熱可塑性樹脂層と同一であって 異なっていてもよい。同一の場合は、密度 差を持たせることにより融点に差を生じさ ることができる。例えば、両者の熱可塑性 脂としてポリエチレンを選択する場合、発 熱可塑性樹脂層は低密度ポリエチレンとし 非発泡熱可塑性樹脂層は中密度または高密 ポリエチレンとする。発泡熱可塑性樹脂層 非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂にお る融点の差は5℃以上あることが好ましく、 非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂の融点 としては、加熱の際に融解せず蒸発水分の拡 散を抑止できればよく特に制限されないが、 125℃以上が好ましい。

 非発泡熱可塑性樹脂層の形成方法は特に 限されず、紙基材の発泡熱可塑性樹脂層と 反対面側あるいは発泡熱可塑性樹脂層上に 押出しラミネートにより積層してもよいし ウェットラミネート法、ドライラミネート 等の予めフィルム状にしたものと貼合する 法が適宜使用できる。また、発泡熱可塑性 脂層上に非発泡熱可塑性樹脂層を設ける場 や、発泡熱可塑性樹脂層を複数の熱可塑性 脂層で形成する場合など、多層の熱可塑性 脂層を積層するときは、熱可塑性樹脂層間 密着性や生産効率の点から、複数台の押出 を用いて各熱可塑性樹脂を溶融状態でそれ れのTダイに導き、各Tダイから同時に押出 て積層接着する方法が適している。このよ な2以上の熱可塑性樹脂層を同時に形成可能 方法は、押出しラミネート法の中で特に共 出しラミネート法と呼ばれる。さらに、熱 塑性樹脂層同士の間に接着性樹脂層を挟ん 、樹脂層間の接着性を高めてもよい。なお いずれの場合でも、必要に応じて紙基材や 可塑性樹脂の接着性を向上させるために、 ロナ処理、オゾン処理等を行ってもよい。

 (その他)
 発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱可塑性 脂層の各熱可塑性樹脂層の厚さについて、 泡熱可塑性樹脂層は、発泡させたときに所 の断熱性を付与するのに十分な厚さであれ よく特に限定されないが、発泡前の厚さと て40~80μm程度、発泡後は400~2000μm程度である 。また、非発泡熱可塑性樹脂層も、蒸発水分 の飛散を防止するのに十分な厚さであって、 胴部材の内壁面側に存在する場合は耐液体浸 透性を確保できる厚さであれば特に限定され ず、20~50μm程度である。
 また、胴部材の外壁面側および内壁面側は 同じ積層構成であってもよいし異なってい もよい。使用される樹脂の種類やその他の 材も、同一であってもよいし異なっていて よい。
 また、発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱 塑性樹脂層の各熱可塑性樹脂層には、所望 効果を阻害しない範囲で一般的に使用され 種々の添加剤を添加することができる。こ らの添加剤としては、例えば、帯電防止剤 白色顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム、ク レー、タルク、シリカ等の無機顔料等)、耐 ロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビー 、シリカ等)、紫外線吸収剤などがある。

 B.紙製容器の成型
 本発明では、上記の胴部材原材料シート12 底板部材原料シートとを常用のカップ製造 置やカップ成型機により成型する。まず、 き取りロールから胴部材原材料シート12を繰 り出し、所定箇所に必要な印刷を施す。この 段階でバーコードなどを印刷することもでき る。印刷部分の位置決めなどは常用の手段ま たは手順により行うことができる。
 次に、それぞれの原材料シートから胴部材 ブランクと底板部材用ブランクを打ち抜き 常用のカップ成型機で容器の形に組み立て 。ここで、発泡熱可塑性樹脂層5は、胴部材 の外壁面側および内壁面側のどちらか片方あ るいは両方に存在すればよく、断熱性、手触 り、外観審美性など所望に応じて適宜決定す ればよいが、容器内部を発泡面とした場合、 飲食の際に発泡樹脂が箸やフォーク等により 傷付いて口の中に入り込むおそれがあるため 、外壁面側に存在することが望ましい。そこ で、例えば、胴部材原料シート12の熱可塑性 脂層5’が容器外側に向くように、また、底 板部材は熱可塑性樹脂層面が容器内側に向く ようにして、組み立てる。

 C.加熱処理による発泡
 成型後の紙製容器は、発泡させるために加 処理を行う。本発明では、加熱処理により 胴部材2の紙基材4中に含まれる水分が蒸発 て、熱可塑性樹脂層5’が発泡し発泡熱可塑 樹脂層5となる。
 加熱温度および加熱時間は使用する紙基材 よび熱可塑性樹脂の種類に応じて変化し、 用する熱可塑性樹脂に対する最適な加熱温 と加熱時間の組み合わせは適宜決定するこ ができるが、加熱温度は発泡する熱可塑性 脂の融点よりもやや高い温度(融点+5~10℃の 囲)が適し、一般的に、加熱温度約110℃~約20 0℃程度、加熱時間約1分間~6分間程度である 加熱手段は特に限定されず、熱風、電熱、 子線など任意の手段を使用できる。コンベ による搬送手段を備えたトンネル内で、熱 または電熱などによって加熱すれば、安価 大量生産することができる。

 D.その他
 本発明では、所望の効果を損なわない範囲 、必要に応じて、紙製容器の分野で公知の 術を適用することができる。例えば、外壁 となる胴部材の一部に合成樹脂成分を5wt%~40 wt%含有する塗料を塗布し、部分的に発泡を抑 制する技術(特許第3014629号公報)、外壁面とな る胴部材の表面に発泡と同調して滑らかな印 刷面を形成する同調インキを塗布する技術( 許第3408156号公報)、容器胴部材の開口上縁に フランジ部を設ける技術であって、断面角型 に強制加工し内側巻き込み端をフランジ部の 上部に重合させて二重構造にする技術(特開20 01-354226号公報)等が挙げられるが、これらに 限されるものではない。また、印刷適性を めるために、胴部材の外壁面となる最表層 、顔料とバインダーを主成分とするインキ 理層を設けてもよい。
 以上のように、本発明は熱可塑性樹脂層を けた紙を加熱して、紙に含まれる水分を蒸 化して、溶融している熱可塑性樹脂層中に 蒸気の泡を閉じこめて、発泡層を形成する 術を利用するものである。これは、熱可塑 樹脂層の溶融状態が低粘性であると蒸気が けてしまいピンホールが発生したり、小泡 結合して大きくなって破れたりする危険性 ある。
 これに対し、本発明では高流動性の低密度 リエチレンを使用しており、押出し時の樹 ダメージを防ぐことが理由である。

 本発明は、紙に含まれる水分を蒸気化し、 い溶融状態にある熱可塑性樹脂層に閉じこ て多数の小泡を形成して、断熱性を発揮す ものであるが、そのコントロールが難しく 良好な状態の断熱層を形成することは困難 あったところ、ラミネート積層に当たり、 流動性の低密度ポリエチレンを使用するこ で良好な発泡性が得られることを見出した のである。
 更に、紙基材の反対表面には、溶融温度が い樹脂層を設けて、紙基材に含まれる水分 蒸気化したときの蒸気抜けを防止して、低 の溶融熱可塑性樹脂層に蒸気を留める精度 高めようとするものである。

 以下、実施例により本発明の効果を詳細に 明する。
[実施例1]
 坪量300g/m 2 (含水率8%)の原紙の片面に、紙製容器とした きに胴部材の外壁面となる発泡熱可塑性樹 層として、融点108℃の低密度ポリエチレン(L DPE)を厚さ70μmとなるように330℃の溶融温度( キシングゾーン(MX)温度)で押出しラミネート し、この溶融樹脂と原紙とをクーリングロー ルと硬度70度のニップロールを用いて、線圧1 5kgf/cmで押圧・圧着した。このときの加工速 は50m/minであった。また、原紙の反対面には 胴部材の内壁面となる非発泡熱可塑性樹脂 として、融点128℃の中密度ポリエチレン(中 密度PE)を厚さ40μmとなるように、320℃の溶融 度(ミキシングゾーン(MX)温度)で押出しラミ ートし、胴部材原材料シートを得た。なお ラミネート後のメルトテンション測定用の 料は以下のようにして調製した。溶融樹脂 原紙をラミネートする際に剥離フィルムを 入し、剥離フィルム上に熱可塑性樹脂フィ ム層を形成させ、冷却後剥離フィルムを除 たものを測定用試料とした。

[実施例2]
 加工速度を30m/minにした以外は実施例1と同 に行った。
[実施例3]
 加工速度を50m/min、発泡熱可塑性樹脂層とし て、融点108℃の低密度ポリエチレン(LDPE)を335 ℃の溶融温度(ミキシングゾーン(MX)温度)で押 出しラミネートした以外は、実施例1と同様 行った。
[実施例4]
 加工速度を90m/min、発泡熱可塑性樹脂層とし て、融点108℃の低密度ポリエチレン(LDPE)を345 ℃の溶融温度(ミキシングゾーン(MX)温度)で押 出しラミネートした以外は、実施例1と同様 行った。
[比較例1]
 加工速度100m/minにした以外は、実施例1と同 に行った。
[比較例2]
 発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃の低 度ポリエチレン(LDPE)のラミネート厚みを100 mにした以外は、実施例2と同様に行った。
[比較例3]
 発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃の低 度ポリエチレン(LDPE)を320℃の溶融温度(ミキ シングゾーン(MX)温度)で押出しラミネートし 以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例4]
 発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃の低 度ポリエチレン(LDPE)をミキシングゾーンの 度を300℃として押出しラミネートした以外 、実施例1と同様に行った。
[比較例5]
 発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃の低 度ポリエチレン(LDPE)をミキシングゾーンの 度を370℃として押出しラミネートした以外 、実施例1と同様に行った。

<メルトテンション>
 JIS K 7199:1999 プラスチック-キャピラリー オメータ及びスリットダイレオメータによ プラスチックの流れ特性試験方法に記載の 件を満足するキャピラリーダイを有する装 (メルトテンションテスター(東洋精機製作所 製))を用いて、温度が190℃の条件で、径9.5mm バレルに充填した溶融樹脂を、ピストン降 速度20mm/分で、径2.095mm、長さ8mmのオリフィ から押出し、押し出された溶融樹脂を、径15 0mmの巻き取りロールを用い、20mm/分の巻き取 上昇速度で巻き取り、溶融樹脂が破断する 前における張力値を測定し、これをメルト ンションとした。
<MFR>
 JIS K 7210:1999に従って測定した。

 <発泡性(厚さ)>
 発泡前の胴部材原材料シートの全体の厚さ 測定した。次いで、サンプル片(10cm×10cm)を1 15℃の乾燥機に入れ、4分間加熱して発泡熱可 塑性樹脂層を発泡させ、発泡サンプル片を得 た。発泡後の全体の厚さを測定した。

 <発泡性(状態)>
 上記の発泡サンプル片について、発泡状態 次の基準で目視評価した。
   ◎…均一で微細な発泡状態であり良好。
   〇…一部過発泡の状態があるものの、断 熱性容器として問題なし。
   △…過発泡の状態がややあるものの、断 熱性容器として使用可能。
   ×…過発泡もしくは発泡不十分で、断熱 容器として使用できない。

 <断熱性>
 胴部材原材料シートを、底板部材原材料シ ト(坪量220g/m 2 の原紙に中密度ポリエチレンを厚さ40μmとな ように押出しラミネートしたもの)と組み合 わせて、直径95mm、高さ115mmの容器を成型し、 115℃の乾燥機で4分間加熱し、発泡させた。 の後、発泡した容器に90℃のお湯を入れ、3 後、容器外壁面を手で触り次の基準で評価 た。
   ◎…あまり熱くなく、手で容器を十分に 保持することができ、断熱性に優れる。
   〇…やや熱いが、手で容器を保持し続け ることができ、断熱性良好。
   △…熱く、手で容器を十分には保持する ことが難しく、断熱性やや良。
   ×…かなり熱く、手で容器を保持するこ が難しく、断熱性悪い。 

<加工性>
 発泡熱可塑性樹脂層として低密度ポリエチ ンを押出しラミネートした際、溶融樹脂膜 状態を目視評価した。
   ◎…溶融樹脂膜が左右にゆれることなく ラミネートできる。
   〇…一部溶融樹脂膜が左右にゆれるもの の問題なく、ラミネートできる。
   △…多少溶融樹脂膜が左右にゆれるもの の問題なく、ラミネートできる。
   ×…溶融樹脂膜が左右に大きくゆれ、ラ ネート加工できない。

  表1に示されるように、押出しラミネー 後のメルトテンション(MT)が18mN以上である 密度ポリエチレンを発泡熱可塑性樹脂層と た実施例1~4は、発泡性、断熱性、加工適性 いずれも良好であった。これに対して、押 しラミネート後のメルトテンション(MT)が18mN 未満である低密度ポリエチレンを発泡熱可塑 性樹脂層とした比較例1~4は発泡性、断熱性が 劣っていた。また、ミキシングゾーンの温度 が360℃を超えて押出しラミネートした比較例 5では、溶融樹脂膜の状態が不安定でラミネ ト加工ができなかった。