Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
REACTOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/125593
Kind Code:
A1
Abstract:
A high heat transfer sheet (11) having insulating characteristics is adhered on an inner surface of a metal case (10). In a coil section (12), a first coil (21a) and a second coil (21b) wherein a rectangular cable is used are magnetically coupled and connected at the end portions. The coil section is arranged in contact with the surface whereupon the high heat transfer sheet (11) is adhered. An insulating spacer (13) is arranged between the two coils. A mixture (14) of a magnetic powdery material and a resin is applied into the metal case (10). The two coils (21a, 21b) are arranged substantially in parallel and magnetically coupled, and furthermore, in the coils, a gap of 0.3mm to 2.5mm is formed between the rectangular cables, and the gap is filled with the mixture.

Inventors:
ABE TORU (JP)
HAMAKAKE HIROKI (JP)
KIKUCHI KEIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001644
Publication Date:
October 15, 2009
Filing Date:
April 08, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
ABE TORU (JP)
HAMAKAKE HIROKI (JP)
KIKUCHI KEIKO (JP)
International Classes:
H01F37/00
Domestic Patent References:
WO2006016554A12006-02-16
Foreign References:
JP2003303723A2003-10-24
JP2003007551A2003-01-10
JPS60192428U1985-12-20
JPH07106138A1995-04-21
Attorney, Agent or Firm:
OHNO, Seiji et al. (JP)
Seiji Ono (JP)
Download PDF:
Claims:
 金属ケースと、前記金属ケース内に配置されたコイル部と、磁性粉末と樹脂を含む混合物を用いたリアクトル装置であって、
 前記コイル部品は磁気的に結合された2個のコイルを有し、かつ前記コイル部品は高熱伝導性を有する絶縁性シートを介してケースの底部または側面に隣接するように配置されることを特徴とするリアクトル装置。
 金属ケースと、前記金属ケース内に配置された平角電線を用いた2つのコイルと、前記金属ケース内に充填された磁性粉末と樹脂を含む混合物を用いた内鉄型のリアクトル装置であり、
 前記2つのコイルは実質平行に配置されて磁気的に結合され、さらに前記コイルは平角電線同士の間に0.3mmから2.5mmの隙間が形成されて前記混合物がこの隙間に充填されていることを特徴とするリアクトル装置。
 前記コイルは軸方向がケースの底面に対して平行に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル装置。
 前記コイルは軸断面が矩形状になるよう平角銅線が巻かれたものであり、かつ、コイルの少なくとも2つの側面が金属製ケースの内面に接着された熱伝導シートにそれぞれ接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のリアクトル装置。
 前記コイルの側面が金属ケースの底部と側面の両面に接するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のリアクトル装置。
 前記の隙間はコイルの中央部よりも端部側の方が大きく開いていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のリアクトル装置。
 直流重畳電流がゼロアンペア(0A)時のインダクタンスLが200~450μHであることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のリアクトル装置。
Description:
リアクトル装置 関連する出願

 本出願は、2008年4月8日に日本国に出願さ た特許出願番号2008-100761および2008年8月18日 日本国に出願された特許出願番号2008-209529 利益を主張する。これらの出願の内容は全 、引用によりここに組み込まれているもの する。

 本発明は、電源回路に用いられるリアク ル装置に関するものである。特に、ハイブ ッド自動車などの車載用、あるいは太陽光 電システムなどのパワーコンディショナー などの用途に適するリアクトル装置に関す ものである。

 リアクトルの製造方法として、磁性粉末 樹脂の混合体を成形してコイルを囲覆した 造をもつコイル封止型樹脂成形リアクトル 知られている。例えば、特開平5-291046号公 (特許文献1)には、絶縁被覆を施したコイル 、Fe基磁性粉末とエポキシ系樹脂との混合物 により包み込まれるように成形されたリアク トルが示されている。磁性粉末と樹脂の混合 体として、樹脂を磁性粉末のみの体積に対し て4/6から1/9の割合で混合させたものを用いて 得られたリアクトルの特性は、インダクタン ス値に対する許容電流が従来比で2倍となる さらに、磁性粉末としてFe基磁性粉末を使用 したことで、従来品に比較して小型化が達成 されている。

 前述したハイブリッド自動車は大出力の 気モータを有しており、これを駆動する電 回路には大電流に耐えうるリアクトル装置 求められている。このようなリアクトル装 には小型化の要求が強いため、前述した特 文献1の方法により、小型化を図ることが考 えられる。

 また、特開2007-19402号公報(特許文献2)は、 コイル封止型樹脂成形リアクトルを開示して おり、二つの平角電線コイルを樹脂モールド した後、Fe粉と樹脂の混合物を流し入れるこ でリアクトルが得られることが記載されて る。そして、このコイル封止型樹脂成形リ クトルは、フェライトを用いずにFe粉と樹 の混合物を使って成形されるために、磁気 性の劣化や損失を抑止しつつ製造コスト低 が可能であると記載されている。

 磁性粉末と樹脂の混合体を成形してコイ を囲覆した構造をもつコイル封止型樹脂成 リアクトルは、高い磁性粉末占積率が得ら 難い。このため、比透磁率が低く、コイル 巻線を径方向に通過する漏れ磁束によりコ ルで発生する渦電流損失が大きくなり易い

 また、放熱性の観点からは、金属材であ ケースやコイルは熱を良好に伝導するが、 性粉末と樹脂の混合体は熱伝導性に劣る。 イル封止型樹脂成形リアクトルは、コイル 発生する渦電流損失が大きいため、そこで 生する熱がコイルに密着する磁性粉末と樹 の混合体によって封じ込められ、金属製ケ スに良好に伝導し難くなり、リアクトルの 熱性が良くないという問題がある。

 よって、本発明の課題は、金属ケースへ 漏れ磁束自体が少ない構成のリアクトル装 であって、コイルの電線内部に進入する漏 磁束を低減してコイルに発生する渦電流損 を抑えた樹脂成形のリアクトル装置を提供 ることである。本発明の更なる課題は、上 の利点に加え、熱が効率良く金属製ケース 伝導される、放熱性の良いリアクトル装置 提供することである。

 このような課題を解決するために、第1の 発明に係るリアクトル装置は、金属ケースと 、当該金属ケース内に配置されたコイル部と 、磁性粉末と樹脂を含む混合物を用いたリア クトル装置であって、上記コイル部は、磁気 的に結合された2個のコイルを有し、かつ、 熱伝導性を有する絶縁性シートを介してケ スの底部または側面に隣接するように配置 れる。

 また、第2の発明に係るリアクトル装置は 、金属ケースと、当該金属ケース内に配置さ れた平角電線を用いた2つのコイルと、上記 属ケース内に充填された磁性粉末と樹脂を む混合物とで主に構成された内鉄型のリア トル装置であり、上記2つのコイルは、実質 に平行に配置されて磁気的に結合され、さ に前記コイルは平角電線同士の間に0.3mmか 2.5mmの隙間が形成されて前記混合物がこの隙 間に充填されていることを特徴とする。

 コイルは軸方向がケースの底面に対して 行に配置されるリアクトル装置とすること 好ましい。コイルの軸方向がケースの底面 対して垂直にしたリアクトル装置よりもケ スで発生する渦電流損失が小さいリアクト 装置が得られる。

 ここで、平角電線同士の間とは、コイル 方向の隣り合う平角電線同士の間を指す。

 コイルは軸断面の外形が矩形状になるよ 平角電線が巻かれたものであり、かつ、コ ルの少なくとも2つの側面が金属製ケースの 内面に接着された熱伝導シートにそれぞれ接 触していることが好ましい。また、コイルの 側面が金属ケースの底部と側面の両面に接す るように配置されていることが好ましい。こ の構造とすることで本発明のリアクトル装置 は放熱性に優れている。コイルの外周面の30% 以上が熱伝導シートに接触していることがな お好ましい。

 平角電線間の隙間は、コイルの中央部よ も端部側の方が大きく開いていることが好 しい。コイル間の隙間を中央部と端部で変 ることで漏れ磁束を極力少なくできる。

 この構成のリアクトル装置は直流重畳電 がゼロアンペア(0A)時のインダクタンスLが20 0~450μHであり高いリアクトル特性が得られる

 本発明のリアクトル装置によれば、使用 る2つのコイルを金属ケースの内壁面に接す るように配置して内鉄型リアクトルとしたこ とで、従来のコイル封止型樹脂成形リアクト ル装置よりも漏れ磁束を極力減らすことがで きる。これに加えて、平角電線の間の隙間に も磁性粉末と樹脂からなる混合物を充填する ので、磁性粉末に磁束が集中し電線内部への 磁束の進入を妨げることができ、コイルに発 生する渦電流損失を低減することができる。 また、コイルや磁性粉末で発生する熱量が多 くても、効率良く熱が金属製ケースに伝導す る。

 このとき、平角電線の間の隙間が0.3mm以 であれば、磁性粉末の充填が容易であり、 分な量の磁性粉末が充填されるので、高い 作磁束密度領域でも電線内部への磁束の進 を妨げることができる。また、平角電線の さ方向の間隔が2.5mm以下であれば、コイルが 占有する体積が少ないので、小型のリアクト ル装置が作製できる。

 また、コイルの軸がケースの底面に対し 平行に配置されているので、ケースへの漏 磁束が小さくなり、ケースでの渦電流損失( ケース損)が小さいリアクトルを得ることが きる。

 また、平角電線を巻いた2つのコイルは矩 形状に巻かれ、かつ側面の少なくとも2面が 熱伝導シートを介して金属製ケースの内壁 に接するように配置されているので、コイ で発生する熱がコイル間の混合物を通って 率良く金属製ケースに伝導する。その結果 リアクトル動作時の放熱性が良くなる。

 さらに、平角電線の厚さ方向の間隔が0.3m m~2.5mmの範囲であれば、リアクトルのサイズ び損失がバランス良く設計された上で、直 重畳電流が0A時のインダクタンスLが200~450μH 範囲の値を示すので、本発明は車載用やパ ーコンディショナー用のリアクトル装置と て特に有用である。

本発明のリアクトル装置の概略図であ 。 本発明に係る金属ケースを示す斜視図 ある。 本発明に係る第一のコイルと第二のコ ルを示す斜視図である。 図1に示したリアクトル装置のA-A断面 模式図である。 図1に示したリアクトル装置のB-B断面 模式図である。 リアクトル装置の製造工程を説明する である。 本発明に係るコイル部を示す斜視図で る。 本発明の実施例と比較例の磁束分布計 値を示した図である。 本発明のリアクトル装置の直流重畳特 を示す図である。 従来のリアクトル装置の概略図である 。 従来のリアクトル装置の概略図である 。 本発明に係る金属ケースを示す斜視図 である。 本発明の別のリアクトル装置の概略図 である。 図11に示したリアクトル装置のC-C断面 の模式図である。 図11に示したリアクトル装置のD-D断面 の模式図である。 本発明のリアクトル装置の直流重畳特 性を示す図である。 実施例3-1のリアクトル装置を稼動さ たときに金属ケースの底面で発生するケー 損を解析した結果を示す概略図である。 実施例4-1のリアクトル装置を稼動さ たときに金属ケースの底面で発生するケー 損を解析した結果を示す概略図である。

 本発明のリアクトル装置の製作工程例を 1から図5を使って説明する。図1は本発明の アクトル装置の一例を示す斜視図である。 ルミニウム製の金属ケース10はリアクトル 置の用途などにより形状が異なる。車載用 は、本ケースの一部を水冷するか、あるい 水冷された冷却装置(図示せず)に結合させる ことでリアクトル素体を冷却する。

 図2に図示したように、アルミニウム合金 性ケース10の内面には、絶縁性を有する高熱 導シート11が付着される。なお、本実施例 は、側面のみに高熱伝導シート11を貼り付け たが、底面と側面の両方に貼り付けてもよい 。

 高熱伝導シート11としては、例えば、電 化学工業(株)製の柔軟性シリコンシート、あ るいは、松下電器産業(株)製の絶縁性を付加 たグラファイトシートなどを用いることが きる。高熱伝導シート11の厚さは、放熱性 設置スペースとの兼ね合いから、0.1mmから3mm のものが好ましい。

 次に、図3に示した第1のコイル21aと第2の イル21bを磁気的に結合して端部を繋いだコ ル部12(絶縁被覆付き)を、高熱伝導シート11 付着されている面に接触するように設置す 。

 また、2つのコイル間の耐電圧性を向上さ せるために、図4Aと図5に示したように、2つ コイルの間に絶縁スペーサ13を配置する。

 次に、磁性粉末と樹脂との混合物14を、 ルミニウム合金製ケース10に注入する。この とき、混合物14はコイル部12の平角電線間の 間まで充填されるので、コイル部12はより強 固に固定保持される。

 図1は、混合物14が固まって本発明のリア トル装置が完成した状態を示す。混合物を 填する際は重力によって流し込まれるので 本的には加圧は不要である。しかし、混合 を充填した後に空圧などをかけて充填率を めてもよいし、減圧下において混合物の内 やコイルの巻線間の気泡などを抜いてもよ 。また、混合物は必ずしもコイル全体を埋 させる必要はなく、コイルの上面の一部が えていても実用に耐えることができる。

 図4A及び図4Bはそれぞれ、図1に示したリ クトル装置のA-A断面図及びB-B断面図である 図4A中に示した矢印は、コイル部12に電流を したときの磁束の流れる向きを簡略して示 たものである。本発明のリアクトル装置は 2つのコイル21a,21bが磁気的に結合している で、コイルの内径部に磁束が通って還流す 。一方の側から出た磁束はコイル12の端部と 金属ケース10の間に充填された混合物14を通 して、他方のコイルの内径部に充填された 合物を通って還流する。

 磁性粉末としては、例えば、純Feの粉、Fe -Si合金粉、Fe-Al合金粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合 金粉、Fe-Co合金粉、アモルファス軟磁性粉、 ノ結晶質軟磁性粉などを用いることができ 。また、これらの磁性粉末は、単独で用い も良いし、適宜、組合せた粉末として用い も良い。

 さらに、これらの磁性粉末は、アトマイ によって作製された球状粉末でもよいし、 状の磁性薄帯材から粉砕して得たものを使 してもよい。充填率を上げるためには球状 磁性粉末が好ましいが、一律な粒径のもの と磁性粉末間に隙間ができ易いので、その 間を埋めるような微細粉との混合粉とする とが好ましい。

 また、磁性粉末及び樹脂の混成物に対し 非磁性フィラーを加えると、高磁界中でも 比透磁率を得ることができる。そのため、 品の仕様に応じて、非磁性フィラーを適当 添加して、磁気特性を適宜調整することが きる。非磁性フィラーとしては、シリカ、 ルミナ、マグネシアなどのセラミック粉末 石英ガラス粉などが使用できる。

 樹脂は、上述した磁性粉の表面を被覆し 粉末相互間を絶縁状態する役割をもつ。磁 全体の交流磁化に対する渦電流の発生を抑 るよう、充分に大きな電気抵抗を付与する う絶縁することが好ましい。また、樹脂は れら磁性粉末を結着する結合剤としても機 する。

 樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、 リアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエス ル樹脂、シリコン樹脂など各種の樹脂を用 ることができる。これらの樹脂は、単独で 用しても良いし、適宜組合せて使用しても い。

 コイル部12は、絶縁性をもつ熱伝導性シ トを介してケースの底部および一対の側面 隣接するように配置することが好ましい。 イル部12の底部と側面が金属ケース10(または 熱伝導性シート11)に接して熱的に結合してい るため、コイル部12の銅損熱が効率的にリア トル外部に放熱される。熱伝導性シート11 0.5W/(m・K)以上の熱伝導性を持つものが好ま い。

 また、コイル部12は、熱伝導性シート11を 介して金属ケース10に接触することとなるた 、コイル部12の絶縁皮膜がケースとの摺動 よって剥れることがなく、リアクトル特性 経年劣化を抑制できる。

 さらに、コイルは平角銅線が矩形状に巻 れており、コイルの外周側面が平らになっ いる。このため、ケース(熱伝導性シート) 隣接する面積が大きく、冷却性能が高い。 角銅線は、薄肉の厚さ方向がコイルの軸方 と平行になるように巻くことが好ましい。 えば、図3や図6で示すような、平角電線を縦 巻きにしたコイルが好ましい。

 また、コイルとコイルの間に絶縁部材13 設けると、コイル間の耐電圧性が向上して アクトル性能が高くなる。従って、大電流 流したときでもコイルの温度上昇が抑制さ る。したがって、このような構造を採用し 本発明のリアクトル装置は、高い信頼性を つことになる。このようなリアクトル装置 、車載用やパワーコンディショナー用とし 用いることが特に有用である。

 以下に、本発明を実施例によって具体的 説明するが、これら実施例により本発明が 定されるものではない。

(実施例1)
 本実施例のリアクトル装置では、筐体とし 、幅86mm、長さ123~206mm、高さ53mmのアルミニ ム製の金属ケース10を用いた。この金属ケー ス10の肉厚は3mmである。金属ケース10の内面 は、厚さ1mmの高熱伝導シート11が貼り付けら れている。なお、高熱伝導シート11は、電気 学工業(株)製の柔軟性シリコンシートであ 。

 上記の金属ケース10の内部には、コイル 12が配置される。コイル部12は、2つのコイル 21a,21bを並列に磁気的に繋げて構成されてい 。コイル21a,21bは何れも、平角銅線(幅6mm、厚 さ1.6mm)を矩形状に巻いたものであり、幅36mm 長さ72.2~155.8mm、高さ48mmの38巻きのコイルで る。従って、コイル部12の全巻数は76巻とな 。

 このコイル部12における平角銅線の厚さ 向の間隔は、表1に示したように、0.3mm(実施 1-1)、0.6mm(実施例1-2)、1.0mm(実施例1-3)、1.5mm( 施例1-4)、2.0mm(実施例1-5)、2.5mm(実施例1-6)で る。

(表1)

 このコイル部12を、アルミニウム製の金 ケース10の中央で、かつ、コイル部12の外周 (側面のみ)が高熱伝導シート11に接触するよ うに設置した。また、2つのコイル21a,21bの間 は、これらコイル間の耐電圧性を向上させ ために、絶縁部材(絶縁性のスペーサ)13を設 置した。

 次に、平均粒径が60μmのFe-6.5%Si粉末(タップ 度5.0g/cm 3 )に、エポキシ樹脂を10重量部添加し、磁性粉 末と樹脂からなる混合物14を得た。なお、こ 混合物14の磁性粉末占積率は67%である。

 この混合物14を、コイル部12を設置したア ルミニウム製の金属ケース10の中に注ぎ、そ 上面がコイル部12の上面と同じ高さになる で流し込んだ。その後、この金属ケース10全 体を120℃に熱し、タッピングして、平角銅線 の銅線間の隙間に混合物14を充填させた。こ 充填の後、120℃の状態で2時間保ち、樹脂を 硬化させた。

 このようにして製作したリアクトル装置 インダクタンスを、LCRメータを用いて測定 た。測定条件は、周波数10kHz、電圧0.5Vrms、 流重畳電流0Aである。得られた結果を、表1 示した。

 表1から分かるように、実施例1-1~1-6のイ ダクタンスは、200~450μHの範囲に入っている 従って、これら実施例のものは、リアクト 装置として動作させるのに適していること 理解できる。

 次に、このリアクトル装置を、駆動周波 10kHzのブースト型DC-DCコンバータのインダク タとして搭載し、入力電圧200V、直流重畳電 20A、周波数10kHzにおいて駆動させたところ、 コンバータ出力として電圧500Vを得た。そし 、この条件の下で、リアクトル動作時のリ クトル損失を調べた。

 その結果、表1に示すように、実施例1-1~1- 6のもののリアクトル損失は31~35Wであり、低 失であることが確認された。

(比較例1)
 筐体の長さ寸法を119~225mmと変えた以外は、 施例1(1-1~1-6)のものと同じ形状のアルミニウ ム製の金属ケースを用いた。また、実施例1 同様に、金属ケースの内面には高熱伝導シ トが貼り付けられている。

 金属ケースの内部には、コイル部が配置 れる。実施例1と同様に、コイル部は、2つ コイルを並列に磁気的に結合させて構成さ ている。これらのコイルは何れも、平角銅 (幅6mm、厚さ1.6mm)を矩形状に巻いたものであ 、幅36mm、高さ48mmの38巻きのコイルである。 従って、コイル部の全巻数は76巻となる。な 、比較例1-1のコイルは長さ68.4mm(平角銅線間 の隙間0.2mm)とし、比較例1-2のコイルは長さ174 .8mm(隙間3.0mm)として、2種類のコイル部を作製 した。

 実施例1と同様に、このコイル部を、アル ミニウム製の金属ケースの中央で、かつ、コ イル部の外周面(側面のみ)が高熱伝導シート 接触するように設置した。そして、実施例1 と同じ混合物14を準備し、実施例1と同様にし てリアクトル装置を作製した。

 なお、比較例1-1及び比較例1-2では平角銅 間の隙間に混合物14を充填し、比較例1-3で 銅線間の隙間を樹脂のみで埋めた。

 表1から分かるように比較例1-1及び比較例 1-2のインダクタンスは200~450μHの範囲に入っ いないので、リアクトルとして動作させる に適していないことが分かる。同様にして アクトル損失を調べると、表1に示すように 較例1-3のリアクトル損失は43Wであり、平角 線間の隙間に磁性粉末を充填した場合と比 して損失が高いことが確認できる。

 本発明の実施例のリアクトル装置と比較 のリアクトル装置のそれぞれについて、電 界解析を行った。

 図7は、本発明の実施例1-2と比較例1-3のリ アクトル装置をモデルとして、コイルを構成 する平角銅線内部に進入する磁束を計算した 結果(磁束分布計算値)を示した図である。

 この結果から明らかなように、実施例の のでは銅線内部に進入する磁束は少ないの 対して、比較例のものでは銅線内部に進入 る磁束が実施例のものよりも多い。実施例 リアクトル装置が低損失である理由は、平 銅線の厚さ方向に充填した磁性粉末が銅線 部に進入する磁束を抑制し、それにより生 る渦電流損失を低減させたためと推察され 。

 また、図8に、実施例1-2のリアクトル装置 の直流重畳特性を示した。

(比較例2)
 図9A及び図9Bは、比較例2として作製した、 来のリアクトル装置の概略図である。この アクトル装置では、金属ケース、コイル、 び高熱伝導シートは実施例1-2と同じものを いており、磁心には圧粉体を用いている。 イル内部に配置する磁心脚部16の断面積は20. 5mm×32mmとし、磁心脚部16には磁気ギャップ15 設け、その磁気ギャップ15の幅は各1.1mmとし 計8箇所で配置した。また、磁心脚部16と磁 継部17の間にも磁気ギャップ15(幅1.1mm)を設 た。

 磁心継部17は、縦方向の幅が60mmで高さは3 2mmのブロックである。磁心継部17は直方体形 ではなく、コイル内部に向けて突出部が形 されている。

 表2は、実施例1-2のリアクトル装置と、上 述の構成の比較例2のリアクトル装置それぞ の、直流銅損、交流銅損、磁心損失、コイ 鎖交磁束損失を測定した結果である。また これらの損失を総計して損失の総和を求め 。

(表2)

 本発明の実施例1-2のリアクトル装置の方 、比較例2のリアクトル装置2に比較して損 の総和が少なく、高いリアクトル性能が得 れている。

(実施例2)
 実施例2として、アルミニウム製の金属ケー スとコイル形状を変えた以外は実施例1と同 にして、本発明のリアクトル装置を製作し 。用いた金属ケース、熱伝導シート、絶縁 ペーサ、及び磁性粉末と樹脂の混合物とも 実施例1と同じものを用いている。

 具体的には、幅86mm、長さ142mm、高さ53の ルミニウム製の金属ケース10を用い、コイル は実施例1と同じ、幅6mm、厚さ1.6mmの平角銅線 が幅36mm、長さ91.2mm、高さ48mmになるように巻 れた38巻きのコイルを2つ準備し、それを並 に繋げて76巻きとした。但し、この各コイ の中央部での平角銅線間の隙間は0.6mmとし、 コイルの端部での平角銅線間の隙間は1.0mmと えている。そして、平角銅線を、中央部か 端部に向かって徐々にその間隔が広がるよ に矩形状に巻いた。

 このコイルを用いたリアクトル装置を、 施例1で説明したのと同様の条件(周波数10kHz 、電圧0.5Vrms、直流重畳電流0A)で、LCRメータ よるインダクタンス測定を行なった。

 実施例2のリアクトル装置のリアクトル損 失は31Wであり、表1に示した実施例1-2のリア トル装置(平角銅線の隙間を一律0.6mmにした の)よりも、遥かに低損失である。実施例2の リアクトル装置の損失は、実施例1-3のリアク トル装置(平角銅線の隙間を一律1.0mmにしたも の)のものと略同じ値である。この事実は、 部側の平角銅線の隙間を広げることで効率 く漏れ磁束を少なくできるとともに、コイ の全長を短くできるので小型化を図ること できることを意味している。

(実施例3)
 実施例3では、平角銅線の間に混合物14を充 した場合と充填しなかった場合に、リアク ルの放熱性がどのように変わるかを調べた 本実施例においても、実施例1と同様の手順 により、リアクトルを製作した。

 実施例3においては、平均粒径が60μmでタッ 密度が5.0g/cm 3 のFe-6.5%Si粉末に、平均粒径が0.2μmのマグネシ ア粉末を6重量部、エポキシ樹脂を10重量部添 加し、磁性粉末と絶縁酸化物粉末と樹脂から なる混合物14を得た。この混合物14の磁性粉 占積率は63%である。そして、この混合物14を コイル部12の設置してあるアルミニウム製の 属ケース10の中に注ぎ、その上面がコイル 12の上面と同じ高さになるまで流し込んだ。 この他は、用いた金属ケース、熱伝導シート 、絶縁スペーサともに、実施例1と同じもの ある。

 コイルの平角銅線間の距離は、0.4mm(実施 3-1)、0.8mm(実施例3-2)、1.2mm(実施例3-3)、1.6mm( 施例3-4)、2.0mm(実施例3-4)と変えて本実施例 リアクトルを作製した。なお、これらの実 例との対比のため、比較例として、平角銅 の隙間を樹脂で埋めて実質的に透磁率1とし それ以外は上記と同様のリアクトル(比較例 3-1~3-5)を作製した。

 これらのリアクトルを、駆動周波数10kHz ブースト型DC-DCコンバータのインダクタとし て搭載し、入力電圧200V、直流重畳電流20A、 波数10kHzにおいて駆動し、コンバータ出力と して電圧500Vを得て、この条件でのリアクト 動作時のリアクトル内部とリアクトル表面 温度差を調べた。

 上記条件下での評価結果は、表3に示すと おりである。

 実施例3-1~3-5のものは何れも、リアクトル 内部とアルミニウム製ケース10の表面の温度 が比較例のものと比較して小さい。これは 平角銅線の厚さ方向に充填した磁性粉末が リアクトルのコイル及び磁性粉末で発生し 熱を効率良くアルミニウム製ケースに伝導 たためである。また、比較例よりも狭い銅 間隔で同等の放熱性が得られることから、 アクトルの小型化に適していることがわか 。

 なお、放熱性は、コイルの軸断面形状を えて、コイル側面と熱伝導シートとの接触 積を増やすことにより、さらに向上する。 イルの外周面の面積が30%以上熱伝導シート 接触していると、要求される放熱性を満た リアクトルが得られる。但し、コイル形状 重畳特性などのリアクトル性能にも影響を えるため、求められる要求値を満たすよう 適宜設計する必要がある。

(表3)

(実施例4)
 実施例4では、コイルの軸がケース底面に対 して垂直になるように配置される本発明のリ アクトル装置を製作した。

 図10は、本実施例で用いた金属ケースを す斜視図で、本実施例のリアクトル装置に 、幅86mm、長さ136mm、高さ44~81mmのアルミニウ 製の金属ケース10を用いた。このケースの 厚は3mmである。金属ケースは内面に厚さ1mm 高熱伝導シートが貼り付けられている。こ 高熱伝導シートは電気化学工業(株)製の柔軟 性シリコンシートである。

 図6は、上述の金属ケースの内部に配置さ れるコイル部12の形状を示す斜視図で、この イル部12は、幅6mm、厚さ1.2mmの平角銅線を矩 形状に巻いたものであり、幅50mm、長さ26~63mm 高さ78mmになるよう巻かれた17巻きのコイル2 2a,22bを2つ並列に繋げて34巻きとした。このコ イル部12における平角銅線の厚さ方向の間隔 、表4に実施例4-1~4-5として示した値とした

 このコイル部12は、アルミニウム製の金 ケースの中央で、かつ、コイル部12の外周面 が高熱伝導シートに接触するように設置され る。また、各コイル22a,22bの間には、2つのコ ル間の耐電圧性を向上させるため、間に絶 性スペーサ13が設置される。このコイルが 置された金属ケース10の内部には、実施例3 同じ磁性粉末と絶縁酸化物粉末と樹脂から る混合物14が流し込まれる。その混合物の上 面は金属ケースの上面と同じ高さとした。

 その後、このアルミケースは、全体を120 に熱せられ、タッピングされて、平角銅線 銅線間の隙間に磁性粉末と樹脂の混合物が 填される。この充填の後、120℃の状態で2時 間保持され、樹脂が硬化されてリアクトル装 置となる。

 図11は、上述の手順で得られたリアクト 装置の概略図である。また、図12A及び図12B それぞれ、図11に示したリアクトル装置のC-C 断面及びD-D断面の模式図である。このリアク トル装置を、駆動周波数10kHzのブースト型DC-D Cコンバータのインダクタとして搭載した。 力電圧200V、直流重畳電流20A、周波数10kHzに いて駆動し、コンバータ出力として電圧500V 得た。そして、この条件でのリアクトル動 時のリアクトル内部とリアクトル表面の温 差を調べた。その結果を表4に示す。

 なお、比較のため、平角銅線間を樹脂埋 して、磁性粉末を平角銅線間に充填させな ったリアクトル装置(比較例4-1~4-5)も作製し 、実施例のものと同様に評価した。

 表4に纏めた結果から、実施例3で説明し 結果と同様に、混合物を充填させた本発明 リアクトル装置は、従来のリアクトル装置 比較して、放熱性能が高いことが解る。

(表4)

 図13は、実施例3-1と実施例4-1のリアクト 装置の直流重畳特性を、周波数10kHz、信号電 圧0.5Vrmsの条件で測定した結果を示す図であ 。

(実施例5)
 実施例5では、コイルの軸を金属ケースの底 面に平行にした実施例3-1のリアクトル装置と 、コイルの軸を金属ケースの底面に垂直にし た実施例4-1のリアクトル装置を比較した。当 該比較において、金属ケース10は同じ寸法と 、かつ、コイル部12の直流抵抗を同じ条件 したときに、どちらのリアクトル損失が大 いかを解析により評価した。

 図14A及び図14Bは、リアクトル損失の解析 果の模式図である。これらの図は、リアク ル装置を稼動させた場合のケース損を測定 た結果であり、図14Aは、実施例3-1のリアク ル装置を稼動させたときに金属ケースの底 10aで発生するケース損を表示したものであ 。また、図14Bは、実施例4-1のリアクトル装 を稼動させたときに金属ケースの底面10bで 生するケース損を表示したものである。

 実施例3-1のリアクトル装置は、コイルの 部同士の間でケース損失が大きくなってい ものの部分的な損失に留まっている。一方 実施例4-1のリアクトル装置は、やはりコイ の端部同士の間でケース損失が大きくなっ おり、それに加えて、ケース底面を両断す ようにケース損失の大きい部分が現れてい 。

 なお、ケース損失が0.5MW/m 3 を超える部分の面積は、明らかに、実施例4-1 のリアクトル装置の方が大きい。

 表5に、これら実施例3-1及び実施例4-1のリ アクトル装置の、直流銅損、交流銅損、磁心 損失、コイル鎖交磁束損失、ケース損失をそ れぞれ測定した結果を纏めた。

 直流銅損、交流銅損、磁心損失、コイル 交磁束損失の和は、実施例4-1のリアクトル 置よりも実施例3-1のリアクトル装置の方が さい。また、ケース損失も、実施例3-1のリ クトル装置の方が小さい。さらに、全ての 失の総和では、コイルをケース底面に並行 配置した実施例3-1のリアクトル装置の方が 実施例4-1のリアクトル装置よりも30%以上小 い。

 これは、コイルの軸をケース底面に垂直 配置する実施例4-1のリアクトル装置では、 イルの端部がケースの底面近くに配置され しまうため、還流する磁束が一方のコイル ら他方のコイルに流れづらく、ケース10の に漏れてしまうためである。

 よって、外形寸法が同じである場合には コイルの軸をケース底面に平行にさせたリ クトル装置の方が損失は小さくなる。

(表5)

 以上説明したように、本発明によれば、金 ケースへの漏れ磁束自体が少ない構成のリ クトル装置であって、コイルの電線内部に 入する漏れ磁束を低減してコイルに発生す 渦電流損失を抑えた樹脂成形のリアクトル 置を提供することが可能となる。また、本 明によれば、上記の利点に加え、熱が効率 く金属製ケースに伝導される、放熱性の良 リアクトル装置を提供することも可能とな 。
 
 
 
 
 
 
 




 
Previous Patent: ACCELERATION SENSOR

Next Patent: WO/2009/125606