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Patent Searching and Data


Title:
RESIN COMPOSITION, AND PREPREG
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133054
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a resin composition comprising, as essential components, 100 parts by mass of an epoxy resin [A], 41 to 80 parts by mass of a thermoplastic resin particle [B], and 20 to 50 parts by mass (in terms of diaminodiphenylsulfone) of microencapsulated diaminodiphenylsulfone [C] which is microcapsulated with a coating agent, wherein the thermoplastic resin particle [B] comprises at least a thermoplastic resin particle [B1] having an average particle diameter of 1 to 50 μm and a thermoplastic resin particle [B2] having an average particle diameter of 2 to 100 μm at a ratio of 3:1 to 1:3 by mass, and wherein theratio of the average particle diameter (D2) of the thermoplastic resin particle [B2] to the average particle diameter (D1) of the thermoplastic resin particle [B1] (i.e., a D2/D1 ratio) is 2 or more. Also disclosed is a prepreg produced by using the composition.

Inventors:
YOKOE YASUYUKI (JP)
KANEKO TORU (JP)
NUMATA HIROSHI (JP)
SHIMADA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057194
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOHO TENAX CO LTD (JP)
YOKOE YASUYUKI (JP)
KANEKO TORU (JP)
NUMATA HIROSHI (JP)
SHIMADA TAKESHI (JP)
International Classes:
C08G59/50; C08J5/24; C08L63/00; C08L101/00
Foreign References:
JPH04249544A1992-09-04
JP2006291095A2006-10-26
JP2001323046A2001-11-20
JP2002212320A2002-07-31
JPH0925393A1997-01-28
JPH07304968A1995-11-21
JP2007314753A2007-12-06
JPS61250021A1986-11-07
JPS6257417A1987-03-13
JPS63162732A1988-07-06
JPH04249544A1992-09-04
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHATA, Yasuyo (Maison-Sunshine1-4, Higashi-Ikebukuro 3-chom, Toshima-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
成分〔A〕エポキシ樹脂100質量部と、成分〔B〕熱可塑性樹脂粒子41~80質量部と、成分〔C〕コート剤によりマイクロカプセル化されたジアミノジフェニルスルフォンであってジアミノジフェニルスルフォンとして20~50質量部とを必須成分として含み、
 成分〔B〕の熱可塑性樹脂粒子が、少なくとも平均粒径1~50μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 1 〕と、平均粒径2~100μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕とを質量比で3:1~1:3含み、且つ熱可塑性樹脂粒子〔B 1 〕の平均粒径D 1 に対する熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕の平均粒径D 2 の比D 2 /D 1 が2以上である樹脂組成物。
成分〔C〕のコート剤がポリアミド又は変性メラミン樹脂である請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物。
強化繊維と、前記強化繊維に含浸した請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物とからなるプリプレグ。
吸水率が35質量%以下である請求の範囲第3項に記載のプリプレグ。
強化繊維と前記強化繊維間に含浸された請求の範囲第1項の樹脂組成物とからなる樹脂繊維層と、前記樹脂繊維層の外表面を被覆している請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂被覆層とからなり、樹脂被覆層の厚みが2~50μmであるプリプレグ。
吸水率が35質量%以下である請求の範囲第5項に記載のプリプレグ。
成分〔A〕エポキシ樹脂100質量部と、
 成分〔B〕熱可塑性樹脂粒子であって、前記熱可塑性粒子が少なくとも平均粒径1~50μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 1 〕と、平均粒径2~100μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕とが質量比で3:1~1:3で配合され、且つ熱可塑性樹脂粒子〔B 1 〕の平均粒径D 1 に対する熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕の平均粒径D 2 の比D 2 /D 1 が2以上である熱可塑性樹脂粒子41~80質量部と、
 成分〔C〕コート剤によりマイクロカプセル化されたジアミノジフェニルスルフォンであってジアミノジフェニルスルフォンとして20~50質量部と、
 を20~90℃で混練する請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物シートと強化繊維シートとを積重し、積重した樹脂組成物シートと強化繊維シートとを加圧下で90~130℃に加熱することにより強化繊維シートに樹脂組成物を含浸させるプリプレグの製造方法。
請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂組成物シートと強化繊維シートとを積重し、積重した樹脂組成物シートと強化繊維シートとを加圧下で 90~130℃に加熱することにより強化繊維シートに樹脂組成物を含浸させて予備プリプレグを形成し、次いで前記予備プリプレグに新たな樹脂組成物シートを積重して加圧下で 50~90℃に加熱することを繰り返す、強化繊維シートと前記強化繊維シート間に含浸された前記樹脂組成物とからなる樹脂繊維層と、前記樹脂繊維層表面に被覆された前記樹脂組成物からなる樹脂被覆層とからなり、樹脂被覆層の厚みが2~50μmであるプリプレグの製造方法。
強化繊維と、強化繊維に含浸された請求の範囲第1項に記載の樹脂組成物の硬化物とからなる複合材料。
Description:
樹脂組成物、及びプリプレグ

  本発明は、プリプレグ製造用の樹脂組 物、プリプレグ、それらの製造方法、及び リプレグを用いて製造する複合材料に関す 。本樹脂組成物、及びプリプレグは、長期 貯蔵安定性を有する。本プリプレグを用い 製造する複合材料は、強化繊維と、強化繊 に含浸された前記樹脂組成物の硬化物とか なる。この複合材料は、耐熱性があり且つ 衝撃性に優れる。更に詳述すれば、本樹脂 成物は炭素繊維等を強化材として複合材料 製造するのに適した樹脂組成物である。本 脂組成物は、エポキシ樹脂の優れた機械的 性及び熱的特性と、熱可塑性樹脂の優れた 性(タフネス)とを兼ね備えた複合材料を与え る。

  近年、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊 等を強化繊維として用いて複合材料が製造 れている。この複合材料は、強化材を用い いない材料と比較して強度、剛性が高い。 れら高い強度、剛性を利用して、複合材料 、航空機等の構造材として多く用いられて ている。

  エポキシ樹脂系のプリプレグは、強化 維に含浸されるマトリックス樹脂としてエ キシ樹脂を用いている。芳香族グリシジル ミン型エポキシ樹脂(主成分)と、ジアミノジ フェニルスルフォン(硬化剤)とを主成分とす エポキシ樹脂を用いることにより、優れた 熱性、機械的特性、寸法安定性、耐薬品性 耐候性を有する複合材料が製造される。

  エポキシ樹脂系のプリプレグを用いて られる複合材料は、良好な性能示すことが められてきている反面、プリプレグの貯蔵 定性は短い。また、このプリプレグを用い 製造される複合材料のマトリックス樹脂は 伸度が低く、脆い。マトリックス樹脂の伸 が低く、脆いため、得られる複合材料は靱 、耐衝撃性に劣る。従って、従来複合材の 熱性を損なうことなく、耐衝撃性を改善す ことが求められている。

  特に、これらの複合材料を航空機用の 次構造材用に使用する場合、航空機が離着 時に小石を跳ね上げたり、整備時に工具を 下させたりする際に、複合材料が機械的衝 を受けることがある。従って、耐熱性を減 させずに耐衝撃性を改善することは、エポ シ樹脂系の複合材料の重要課題である。

  プリプレグを硬化させて耐衝撃性の高 複合材(成形物)を製造しようとする場合、炭 素繊維等の強化繊維自身の伸度を向上させる ことは勿論重要である。一方、複合材料を構 成するマトリックス樹脂の靱性(タフネス)を めることも重要である。従って、マトリッ ス樹脂の改善も数多く試みられている。

  複合材料のマトリックス樹脂の靱性を 上させる方法としては、原料のエポキシ樹 にゴム成分を混合する方法、高分子量の樹 成分を混合する方法等が考えられている。 ポキシ樹脂にゴム成分を混合する方法の場 、複合材料の靱性及び耐衝撃性は改善され 。しかし、耐熱性及び圧縮特性、層間剪断 性等の機械的特性は低下する。その結果、 の配合量は制限され、用途によっては低配 量に止まり、この場合は十分な靱性及び耐 撃性の改質効果が得られない。

  高分子量の樹脂成分として熱可塑性樹 を、エポキシ樹脂に混合する方法としては 高温のエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を溶解 せる混合方法や、溶剤に熱可塑性樹脂を溶 させた後、これにエポキシ樹脂を加える混 方法がある。

 高温のエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を溶 させる混合方法の場合、樹脂の濃度が高く ると粘度が急激に上昇すると共にタック性 低下する。その結果、プリプレグの製造操 性が非常に悪くなる問題がある。

 溶剤を用いる混合方法の場合は、混合後 溶剤の除去に問題がある。更に、溶液の調 方法が複雑であり、得られる複合材料の耐 性を微量の残存溶剤が低下させる等の欠点 ある。

  上記理由で、従来から、プリプレグの トリックス樹脂には、ゴム成分及び高分子 の樹脂成分をそれぞれ少量ずつ配合させる とにより、耐衝撃性を改善させる方法が採 されている。しかし、この方法は、耐熱性 低下は少ないものの、耐衝撃性の改善効果 乏しい。

  特許文献1~3には、複合材料の靱性(耐衝 性)を高めるために、熱可塑性樹脂をエポキ シ樹脂に分散させた樹脂組成物、及びこれを 用いて製造するプリプレグが開示されている 。しかし、複合材料の耐衝撃性は、満足でき る程度には向上していない。

  上記樹脂組成物、及びプリプレグには 製造される複合材料の耐熱性を高める目的 、エポキシ樹脂の硬化剤としてジアミノジ ェニルスルフォンが配合されている。しか 、この硬化剤を用いる場合、得られる樹脂 成物や、これを用いて製造されるプリプレ の貯蔵安定性は、室温(23℃)状態で約2~3週間 短かい。従って、取扱性を改善するために 高い貯蔵安定性が要求されている。

  特許文献4には、マイクロカプセル化され ジアミノジフェニルスルフォンを用いるこ により、プリプレグの貯蔵安定性を長期化 る技術が開示されている。しかし、熱可塑 樹脂の配合量が多くなると、樹脂組成物の 度が高くなり、プリプレグの製造は困難に る。従って、従来、樹脂組成物中の熱可塑 樹脂の配合量は40質量%以下であり、これ以 多量に配合することは、実際上困難である 以上の理由で、複合材料の耐衝撃性の向上 は限界がある。

特開昭61-250021号公報  (特許請求の範囲)

特開昭62-57417号公報  (特許請求の範囲)

特開昭63-162732号公報  (第3頁左下欄上か ら9行~下から1行、第3頁右下欄上から7行~第4 左上欄上から4行)

特開平4-249544号公報  (特許請求の範囲)

  本発明者は、上記問題について鋭意検 しているうち、平均粒径が異なる熱可塑性 脂粒子を組合わせてプリプレグ製造用の樹 組成物に配合する方法に想到した。この方 によれば、熱可塑性樹脂粒子の合計配合量 従来の配合量よりも多くしても、樹脂組成 の粘度があまり高くならないことを見出し 。

  更に、後述するように樹脂組成物シー と強化繊維シートとを積重し、加圧下で加 することにより、強化繊維シートに樹脂組 物を含浸させて予備プリプレグを形成し、 いで得られる予備プリプレグに更に樹脂組 物シートを積重して加圧下で加熱すること 1回以上繰り返すと、得られるプリプレグは ック性が高いことを見出した。本発明は、 記知見に基づき完成するに到ったものであ 。

  従って、本発明の目的とするところは 上記問題を解決する、樹脂組成物、プリプ グ、それらの製造方法、及び強化繊維と強 繊維に含浸された前記樹脂組成物の硬化物 からなる複合材料を提供することにある。

  上記目的を達成する本発明は、以下に 載のものである。

  [1]  成分〔A〕エポキシ樹脂100質量部と、 成分〔B〕熱可塑性樹脂粒子41~80質量部と、成 分〔C〕コート剤によりマイクロカプセル化 れたジアミノジフェニルスルフォンであっ ジアミノジフェニルスルフォンとして20~50質 量部とを必須成分として含み、
 成分〔B〕の熱可塑性樹脂粒子が、少なくと も平均粒径1~50μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 1 〕と、平均粒径2~100μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕とを質量比で3:1~1:3含み、且つ熱可塑性樹 粒子〔B 1 〕の平均粒径D 1 に対する熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕の平均粒径D 2 の比D 2 /D 1 が2以上である樹脂組成物。

 [2]  成分〔C〕のコート剤がポリアミド は変性メラミン樹脂である[1]に記載の樹脂 成物。

  [3] 強化繊維と、前記強化繊維に含浸し た[1]に記載の樹脂組成物とからなるプリプレ グ。

  [4] 吸水率が35質量%以下である[3]に記載 のプリプレグ。

  [5] 強化繊維と前記強化繊維間に含浸さ れた[1]に記載の樹脂組成物とからなる樹脂繊 維層と、前記樹脂繊維層の外表面を被覆して いる[1]に記載の樹脂組成物からなる樹脂被覆 層とからなり、樹脂被覆層の厚みが2~50μmで るプリプレグ。

  [6] 吸水率が35質量%以下である[5]に記載 のプリプレグ。

  [7] 成分〔A〕エポキシ樹脂100質量部と、
 成分〔B〕熱可塑性樹脂粒子であって、前記 熱可塑性粒子が少なくとも平均粒径1~50μmの 可塑性樹脂粒子〔B 1 〕と、平均粒径2~100μmの熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕とが質量比で3:1~1:3で配合され、且つ熱可 性樹脂粒子〔B 1 〕の平均粒径D 1 に対する熱可塑性樹脂粒子〔B 2 〕の平均粒径D 2 の比D 2 /D 1 が2以上である熱可塑性樹脂粒子41~80質量部と 、
 成分〔C〕コート剤によりマイクロカプセル 化されたジアミノジフェニルスルフォンであ ってジアミノジフェニルスルフォンとして20~ 50質量部と、
 を20~90℃で混練する[1]に記載の樹脂組成物 製造方法。

  [8] [1]に記載の樹脂組成物からなる樹脂 組成物シートと強化繊維シートとを積重し、 積重した樹脂組成物シートと強化繊維シート とを加圧下で90~130℃に加熱することにより強 化繊維シートに樹脂組成物を含浸させるプリ プレグの製造方法。

  [9] [1]に記載の樹脂組成物からなる樹脂 組成物シートと強化繊維シートとを積重し、 積重した樹脂組成物シートと強化繊維シート とを加圧下で 90~130℃に加熱することにより 化繊維シートに樹脂組成物を含浸させて予 プリプレグを形成し、次いで前記予備プリ レグに新たな樹脂組成物シートを積重して 圧下で 50~90℃に加熱することを繰り返す、 強化繊維シートと前記強化繊維シート間に含 浸された前記樹脂組成物とからなる樹脂繊維 層と、前記樹脂繊維層表面に被覆された前記 樹脂組成物からなる樹脂被覆層とからなり、 樹脂被覆層の厚みが2~50μmであるプリプレグ 製造方法。

  [10] 強化繊維と、強化繊維に含浸され [1]に記載の樹脂組成物の硬化物とからなる 合材料。

  本発明の樹脂組成物は、粘度を高める となく熱可塑性樹脂を高配合できるので、 リプレグを製造する際の操作性に優れる。 た、本発明の樹脂組成物は、マイクロカプ ル化した硬化剤を配合しているので貯蔵安 性が高い。上記樹脂組成物を用いて製造す 本発明のプリプレグは、タック性、貯蔵安 性に優れる。本発明のプリプレグは、熱可 性樹脂を多量に配合しているので、層間破 靭性、耐衝撃性に優れた複合材料を製造で る。

  本発明に係る製造方法によれば、上記 れた物性の樹脂組成物、プリプレグを容易 得ることができる。

図1は、本発明のプリプレグの一例を示 す側面図である。

 100  プリプレグ
 2  樹脂繊維層
 4  樹脂被覆層

  樹脂組成物
  本発明の樹脂組成物は、成分〔A〕エポキ 樹脂100質量部と、成分〔B〕熱可塑性樹脂粒 子41~80質量部と、成分〔C〕コート剤によりマ イクロカプセル化されたジアミノジフェニル スルフォンであって、ジアミノジフェニルス ルフォンとして20~50質量部とを必須成分とし 含む樹脂組成物である。

  最終製品である複合材料の靱性を向上 せるため、本発明の樹脂組成物は、成分〔A のエポキシ樹脂に成分〔B〕の熱可塑性樹脂 粒子を、多量に、均一に分散させている。更 に、成分〔C〕のコート剤によりマイクロカ セル化されたジアミノジフェニルスルフォ を加えることにより、樹脂組成物に貯蔵安 性を付与している。その結果、得られる複 材料は、耐熱性を損うことなく、優れた耐 撃性、靱性等の機械的特性を示す。

  一般的に、成分〔B〕の配合量を高める 、樹脂硬化物の耐衝撃性、靭性も高まる。 かし、一方で粘度が高くなり、樹脂組成物 製造の際の上記各成分の混練が難しくなる

  この問題を解決するため、本発明におい は、成分〔B〕を少なくとも2種類の成分〔B 1 〕平均粒径1~50μmの熱可塑性樹脂粒子と、成 〔B 2 〕平均粒径2~100μm、の熱可塑性樹脂粒子とで 成している。

 成分〔B 1 〕と、成分〔B 2 〕との配合比は質量基準で3:1~1:3である。

 成分〔B 1 〕の平均粒径D 1 に対する成分〔B 2 〕の平均粒径D 2 の比D 2 /D 1 は2以上である。

 異なる平均粒径の少なくとも2種類の熱可 塑性樹脂粒子を樹脂組成物に配合すると、平 均粒径の大きい熱可塑性樹脂粒子同士の形成 する間隙に平均粒径の小さい熱可塑性樹脂粒 子が入り込み、粒子の充填効率を高める。そ の結果、配合量の増加に対する粘度の増加が 少なくなり、成分〔B〕の高い配合を可能に る。

 なお、粘度が上昇しない範囲で、上記成分 B 1 〕、成分〔B 2 〕以外の平均粒径の熱可塑性樹脂粒子を配合 しても良い。

  即ち、平均粒径1~50μmの熱可塑性樹脂粒子 B 1 〕を最小平均粒径D 1 の熱可塑性樹脂粒子とし、平均粒径2~100μmの 可塑性樹脂粒子〔B 2 〕を最大粒径D 2 の熱可塑性樹脂粒子とする場合、最小粒径D 1 と最大粒径D 2 との中間の平均粒径D m の熱可塑性樹脂粒子〔B m 〕を1種類以上含むものであっても良い。

  成分〔A〕のエポキシ樹脂としては、グ シジルアミン型、ビスフェノール型、ノボ ック型等が例示できる。これらの樹脂は、 化剤であるジアミノジフェニルスルフォン 組み合わせて使用する場合、耐熱性が高く 機械的特性に優れた複合材料を与える。

  グリシジルアミン型エポキシ樹脂とし は、MY-720(チバ・ガイギー社製)、エポトート YH434(東都化成社製)、Ep604(油化シェル社製)、E LM-120(住友化学社製)、ELM-100(住友化学社製)、G AN(日本化薬社製)等が例示できる。

  ビスフェノール型エポキシ樹脂として 、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF 型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、ビスフェ ールS型樹脂等がある。具体的にはエピコー ト815(Ep815)、エピコート828(Ep828)、エピコート8 34(Ep834)、エピコート1001(Ep1001)、エピコート807 (Ep807/油化シェル社製)、エポミックR-710(三井 油化学社製)、EXA1514(大日本インキ化学工業 製)等を例示できる。

  また、ノボラック型エポキシ樹脂とし は、エピコート152(Ep152)、エピコート154(Ep154/ 油化シェル社製)、ダウケミカルDEN431、DEN485 DEN438(ダウケミカル社製)、エピクロンN740(大 本インキ化学工業社製)等、クレゾールノボ ラック型エポキシ樹脂としてアラルダイトECN 1235、ECN1273、ECN1280(チバ・ガイギー社製)、EOCN 102、EOCN103、EOCN104(日本化薬社製)等を例示で る。

  脂環式エポキシ樹脂としては、アラル イトCY-179、CY-178、CY-182、CY-183(チバ・ガイギ 社製)等がある。ウレタン変性ビスフェノー ルAエポキシ樹脂としては、商品名アデカレ ンEPU-6、EPU-4(旭電化社製)等がある。これら エポキシ樹脂を用いることにより、得られ 複合材料は可撓性に優れ、強化繊維と接着 の良い樹脂組成物を製造できる。

 これらは成分[B]と相溶しないので相分離 起こり、熱可塑性樹脂の微細粒子がエポキ 樹脂中に分離した構造になる。その結果、 衝撃性が向上する。

  成分〔B〕の熱可塑性樹脂粒子としては ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルス フォン(PES)、ポリスルフォン、ポリカーボネ ート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリア ミド(ナイロン6、ナイロン12、非晶性ナイロ )、ポリアラミド等の粒子が挙げられる。特 、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスル ォン、ポリスルフォン粒子は耐熱性に優れ ので、本発明に適している。

 これら樹脂粒子を適正な割合でブレンド ても良く、若しくは共重合体の粒子であっ も良い。

  これらの熱可塑性樹脂粒子は、前述のよ に、充填効率を高くするために、平均粒径 異なる複数のものを併用する。平均粒径の は2倍以上であることが好ましく、2~50倍がよ り好ましく、2~30倍が特に好ましい。成分〔B 1 〕及び〔B 2 〕と、エポキシ樹脂との相溶性については特 に制限はないが、複合材料を成形する温度条 件、一般的には、130~180℃、1~3時間の範囲に いて、〔B 1 〕がエポキシ樹脂に可溶で、〔B 2 〕が不溶である場合が特に好ましい。

  成分〔C〕のコート剤によりマイクロカ セル化されたジアミノジフェニルスルフォ (mc-DDSと略記する)は、成分〔A〕のエポキシ 脂の硬化剤である。室温状態においてエポ シ樹脂と反応することを防止するため、成 〔C〕は、エポキシ樹脂と反応性の少ない物 質により、その表面をコートされたジアミノ ジフェニルスルフォン粒子である。コートは 、物理的、化学的な結合力を利用して行う。

  ジアミノジフェニルスルフォンとして 、3,3″-ジアミノジフェニルスルフォン、3,4 -ジアミノジフェニルスルフォン、4,4″-ジ ミノジフェニルスルフォンを例示できる。

  ジアミノジフェニルスルフォン粒子の表 をコートするコート剤としては、130~200℃の 度と98~490kPa(1~5kgf/cm )の圧力を加えることにより、コートが破壊 れ、カプセルとしての機能を失う熱可塑性 脂、熱硬化性樹脂が好ましい。コートが破 されることにより、ジアミノジフェニルス フォンがカプセル外に放出される。具体的 はポリアミド、変性尿素樹脂、変性メラミ 樹脂、ポリオレフィン、ポリパラフィン(変 品も含む)等が挙げられる。

  これらのコート剤は、単独使用又は併 してもよい。また、前記以外の種々のコー 剤によりマイクロカプセル化されたジアミ ジフェニルスルフォンを用いても良い。成 〔C〕の粒径は1~100μmが好ましい。

  ジアミノジフェニルスルフォン粒子の 面にコート剤をコートする方法としては、 記溶液法、乾式法等がある。

 溶液法:コート剤を溶液中に分散又は溶解 後、ジアミノジフェニルスルフォン粒子表面 に付着させる。

 乾式法:高速ミキサーによりジアミノジフ ェニルスルフォンとコート剤を高速攪拌し、 静電気によりジアミノジフェニルスルフォン 粒子上にコート剤を付着させ、その後高温中 で成膜させる。

 これらのコート方法は、マイクロカプセ 化法として公知の方法である。

 良好な物性の複合材料を得るために、コ ト剤はジアミノジフェニルスルフォン粒子 面に均一に、薄くコートされていることが ましい。ジアミノジフェニルスルフォン粒 に対し、コート剤は5~20質量%塗布されてい ことが好ましい。

  成分〔A〕、〔B〕に、硬化剤として、上 記のコート剤によりマイクロカプセル化され たジアミノジフェニルスルフォンを配合する と、理由は明らかではないが、得られる複合 材料は良好な靱性、耐衝撃性を有する。ジア ミノジフェニルスルフォンをコート剤である 樹脂でマイクロカプセル化しないで、成分〔 A〕、〔B〕に単にこれらの混合物を配合する 合と比較すると、マイクロカプセル化され 方が、得られる複合材料の物性が高くなる (特開平4-249544号公報の第1表の実施例2と比 例5の欄参照)。

  該樹脂組成物及びプリプレグは室温に いてエポキシ樹脂と硬化剤の反応が進行し くいため、硬化剤にマイクロカプセル化し いないジアミノジフェニルスルフォンを用 る樹脂組成物よりも長い貯蔵安定性を有す 。これらの樹脂組成物及びプリプレグは所 温度、圧力を加えることにより、コート剤 破壊され、ジアミノジフェニルスルフォン エポキシ樹脂とが硬化反応を開始し、硬化 を得ることができる。

  成分〔C〕としてはプリプレグの貯蔵安定 や、このプリプレグを用いて製造される複 材料の物性に影響しない範囲で他の硬化剤 硬化促進剤を併用することができる。他の 化剤としては、芳香族アミン類として、メ フェニレンジアミン、ジアミノジフェニル タン等;酸無水物として、無水フタル酸、ト リメリット酸無水物、無水ピロメリット酸等 ;三フッ化ほう素錯塩類として、BF 3 モノエチルアミン、BF ベンジルアミン等;イミダゾール類として、2- エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチルイミ ゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-フェ ルイミダゾール等を例示できる。尿素化合 (3〔3,4-ジクロロフェニル〕-1,1-ジメチル尿 等)、有機金属塩(Co[III] アセチルアセトネー ト等)を併用することもできる。

  本発明において各成分の配合量は、成 〔A〕の配合量が100質量部、成分〔B〕の配合 量が41~80質量部、好ましくは50~70質量部、よ 好ましくは55~65質量部、成分〔C〕の配合量 、20~50質量部、好ましくは25~45質量部である

 エポキシ樹脂である成分〔A〕を100質量部 配合する場合、成分〔B〕の配合量が80質量部 を超える場合は樹脂組成物の粘度が高くなり 、均一に混合することが困難になる。成分〔 B〕の配合量が41質量部未満の場合は樹脂の靱 性が低くなり、耐衝撃性の向上が不十分にな る。成分〔C〕は、エポキシ樹脂の硬化剤で る。従って、化学量論的にはエポキシ当量: ミン当量=1:1で配合される。しかし、通常は 、硬化物の機械的性質や吸水率を考慮して、 エポキシ当量:アミン当量=1:(0.6~1.3)の範囲で 合する。

  ジアミノジフェニルスルフォンはコー 剤によりその粒子表面がコートされている め、そのコート率を考えて、正味のジアミ ジフェニルスルフォン量を決定して配合す 必要がある。

 成分〔C〕の配合量が、ジアミノジフェニ ルスルフォンとして20質量部未満の場合は、 分〔A〕の硬化不足が起こり、50質量部を超 る場合は硬化した成分〔A〕の吸水率が増す 。なお、吸水率に関しては後述する。

  本樹脂組成物には、上記の各必須成分 外に、耐熱性を低下させない程度の少量の ム成分(例えば、カルボキシル基末端のブタ エン-アクリロニトリル共重合体、ニトリル ゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴムなど )、プリプレグの取扱性を悪くしない程度の 填剤(例えば、シリカ粉末など)、三酸化アン チモンのような難燃剤、着色剤等を添加して もよい。また、取扱の面から流動調整剤とし て、アクリル系ポリマー〔例えば、モダフロ -(モンサント社製)〕、撥水剤として、シリコ ーン樹脂又はオイル、ワセリン等を少量添加 してもよい。

  樹脂組成物には、反応性希釈剤として ポリプロピレンジグリコール・ジグリシジ エーテル、フェニルグリシジルエーテル等 加えることもできる。

 樹脂組成物には、可撓性エポキシ樹脂と てエピコート871(Ep871)、エピコート872(Ep872/ 化シェル社製)、TACTIX695(ダウケミカル社製) を加えることもできる。エピコート1031(Ep1031 )、エピコート1032(Ep1032/油化シェル社製)、TACT IX742(ダウケミカル社製)等の耐熱性エポキシ 脂を加えることもできる。

  本樹脂組成物は、例えば以下の方法に り製造できる。

 先ず、各成分を混練機械に供給し、次い 好ましくは不活性ガス雰囲気下、加熱混練 る。加熱温度はエポキシ樹脂の硬化開始温 未満である。通常は、加熱温度は20~90℃で 好ましくは40~80℃である。混合する際には、 先ず成分〔A〕と成分〔B〕とを均一になるま 攪拌し、次いでこれに成分〔C〕を加え、均 一になるまで攪拌することが好ましい。

  この様にして、エポキシ樹脂成分100質 部に対して熱可塑性樹脂粒子を80質量部まで 配合することができる。熱可塑性樹脂粒子を 80質量部より多く配合させることは、本発明 法により充填効率を高める場合でも、組成 の粘度が過度に高くなり混練操作が難しく るため好ましくない。また、41質量部未満 熱可塑性樹脂粒子の配合量の場合は、樹脂 靱性が低くなり、耐衝撃性の向上が不十分 なる。

  プリプレグ
  本発明のプリプレグは、上記樹脂組成物 強化繊維に含浸させることにより製造でき 。

 強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊 、芳香族ポリアミド繊維等が好ましく、こ らの混合物でもよい。さらには、強化繊維 1方向、又は多方向に引き揃えたシート、織 物、不織布等がある。シート、織物、不織布 等の厚さは、0.01~3mmが好ましく、0.1~1.5mmがよ 好ましい。

 強化繊維としては、引っ張り強度3920MPa(400kg f/mm 2 )   以上の、炭素繊維を用いることが好ましい。 炭素繊維を用いることにより、複合材料の機 械的性質を向上できる。

  樹脂組成物を強化繊維に含浸させてプ プレグを製造する場合には、既に知られて る、いわゆるホットメルト法により行うこ ができる。

  本発明の樹脂組成物は、成分〔A〕のエ キシ樹脂に、成分〔B〕の熱可塑性樹脂粒子 を、溶剤を用いることなく、直接混合して均 一に分散させている。この樹脂組成物は溶剤 を含んでいないので、シート状に直接成型で きる。シート状に樹脂組成物を成型すること により、ホットメルト方式のプリプレグ製造 用樹脂組成物としての使用が可能になる。シ ート状の樹脂組成物(樹脂組成物シート)を用 ることにより、残存溶剤を含まず、長い貯 安定性を有するプリプレグを製造できる。 脂組成物シートの厚さは、0.005~0.5mmが好ま く、0.01~0.2mmがより好ましく、0.05~0.1mmが特に 好ましい。

  プリプレグの貯蔵安定性は、プリプレ のタック性、又はゲルタイムを測定するこ で評価できる。タック性は、製造直後と5日 過後のプリプレグのタック性を比較する。 ック性の測定方法は、JIS Z 3284による。

 ゲルタイムは、プリプレグ作製直後と、 温で2月間放置後のプリプレグのゲルタイム (180℃)を測定する。測定方法は、JIS K 6300に る。

  一般に、熱可塑性樹脂粒子の配合量を めると、得られる樹脂組成物の粘度は高く る。この高い粘度の樹脂組成物を用いてプ プレグを製造すると、得られるプリプレグ タック性は一般に低くなる。プリプレグを いて複合材料を製造する場合、タック性が いプリプレグは取扱性が悪い。タック性を めるために、樹脂組成物を強化繊維シート に充分含浸させないで、強化繊維シート表 に一部残すと、得られるプリプレグの内部 樹脂組成物の含浸されていない空隙が残り い。このプリプレグを用いて製造する複合 料は強度が低くなる。

  本発明の好ましいプリプレグの製造方 においては、先ず上記樹脂組成物からなる 脂組成物シートと強化繊維シートとを積重 る。次に、積重した樹脂組成物シートと強 繊維シートとを加圧下で90~130℃に加熱する この操作により、強化繊維シートに樹脂組 物を含浸させて予備プリプレグを形成する( ットメルト法)。次いで、予備プリプレグに 更に新たな樹脂組成物シートを積重して加圧 下で 50~90℃に加熱することを繰り返す。繰 し回数は、樹脂組成物シートの厚さと、強 繊維シートの厚さにより異なるが、通常1~3 で、1~2回がより好ましい。 この製造方法に よれば、プリプレグのタック性の向上と内部 空隙率の減少とを達成できる。かかる手段に より得られるプリプレグを用いて製造される 複合材料は、高い機械特性、特に高い耐衝撃 性を示す。

  なお、一般的に樹脂組成物の粘度が高 なると、強化繊維内部への樹脂組成物の透 性が低下し、タック性の向上と内部空隙率 減少とを両立させることが困難になる。

 本発明の樹脂組成物は熱可塑性樹脂粒子 配合量が多いにも拘らず粘度が低いため、 数回含浸させる場合、含浸させる樹脂組成 シートの組成が一回目と二回目以降とで同 のものとすることができる。一回目と二回 以降とで樹脂組成物シートの組成を変えて 良い。

  上記方法においては、第1回目の予備プ プレグの製造時に、強化繊維シートと、こ 強化繊維シート内に含浸された樹脂組成物 からなる樹脂繊維層が形成されている。次 、2回目以後に積重され、加圧下で加熱され ることにより、2回目以後に積重された樹脂 成物シートで被覆された樹脂被覆層がプリ レグの外表面に形成される。図1に示すよう 、作製されるプリプレグ100は、上記樹脂繊 層2と樹脂被覆層4とからなる。

  プリプレグにおける樹脂被覆層の厚み 2~50μmが好ましく、5~30μmがより好ましい。樹 脂被覆層の厚みが2μm未満の場合は、プリプ グのタック性が不足する。樹脂被覆層の厚 が50μmを超える場合は、プリプレグの取扱性 や成形精度が低下するので好ましくない。

  プリプレグの吸水率は35質量%以下が好 しく、15質量%以下がより好ましく、10質量% 下が特に好ましい。ここで、吸水率は、プ プレグの空隙率と相関性があり、後述する 定方法により求められる。

 上記プリプレグは、必要により積層し、 定の形状に裁断等を行った後、硬化温度以 に加圧、加熱することにより、複合材料と ることが出来る。加熱温度は130~180℃が好ま しく、加圧は0.01~5MPaが好ましい。この製造条 件自体は公知のものである。

  以下、実施例により本発明を更に具体 に説明するが、本発明はこれら実施例に限 されるものではない。なお、操作条件の評 、各物性の測定は次の方法による。

  [タック性]
  プリプレグのタック性は、株式会社レス のプローブタック方式のタック試験、Tackines s tester Model TAC-IIを用い、JIS Z 3284に準拠し 、プローブ径φ=5mm、プレス荷重0.98N(100gf)、プ レス時間60sec、引き剥がし速度30mm/minの試験 件で評価した。

  [吸水率]
  プリプレグを100×100mmにカットし、質量(W1) を測定した。その後、デシケーター中で、プ リプレグを水中に沈めた。デシケーター内を 、10KPa以下に減圧し、プリプレグ内部の空気 水を置換させた。プリプレグを水中から取 出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの 量(W2)を測定した。これらの測定値から下記 式
吸水率(%)=[(W2-W1)/W1]×100
W1:プリプレグの質量(g)
W2:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出した。

  [実施例1~4及び比較例1~12]
  成分〔A〕として、ジャパンエポキシレジ 社製のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(Ep6 04)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Ep828)、 デカ製のウレタン変性エポキシ樹脂(EPU-6)を もちいた。

 成分〔B〕として、住友化学工業社製のポ リエーテルスルホン(PES-5003)、日本GEプラスチ ック社製のポリエーテルイミド(ウルテム1000- 1000)、エムスケミージャパン社製のグリルア ド(TR-55)、宇部興産社製のナイロン6を用い 。

 成分〔C〕は、実施例1~4、比較例1~6および 8~12では、平均粒径20μmのジアミノジフェニル スルフォン粒子に変性メラニン樹脂からなる コート剤を被覆したもの(mc-DDS)を用いた。mc-D DSのジアミノジフェニルスルフォンに対する ート剤のコート率は10質量%であった。

 比較例7では成分[C]としてコート剤で被覆 していない平均粒径20μmのジアミノジフェニ スルフォン粒子(DDS)を用いた。

  成分〔A〕を、表1に示す種類及び配合量 になるよう計量し、均一に混合した。次に、 成分〔A〕に成分〔B〕、〔C〕を順次加え、攪 拌機において80℃、30分混合を行い、プリプ グ製造用樹脂組成物を得た。

  フィルムコーターを用いて離型フィルム に前記樹脂組成物を塗布して、目付51.2g/m 2 の離型フィルム付の樹脂シートを作製した。 表3に示すように、比較例8~11の樹脂組成物は 成分〔B〕の配合量が高く、高粘度であり、 このため、離型フィルムに樹脂を積層させる ことが困難であった。また、比較例12の樹脂 成物は、成分[B 1 ] と[B 2 ]の配合比率が不適切であるため、高粘度と り、混練することが出来なかった。上記理 で、比較例8~11の樹脂組成物の場合は、樹脂 ートを得ることはできなかった。よって、 リプレグを製造することもできなかった。

  一方、表1、2に示すように、実施例1~4、 比較例1~7については、特に問題なく離型フィ ルム付の樹脂シート2枚を作製できた。特に 施例1~4については、成分〔B〕の配合量が高 にもかかわらず樹脂シートの製造状態は安 していた。

  次いで、炭素繊維 [テナックス(登録商標) UT-500 東邦テナックス社製 引張強度5000MPa(510 kgf/mm 2 、弾性率235GPa(24×10 3 kgf/mm 2 )]を一方向に引き並べた。この炭素繊維を実 例1~4及び比較例1~7で得られた樹脂シート2枚 でそれぞれ挟み込み、表1または表2記載の含 温度で圧力0.3MPaで加熱、加圧した。この操 により、炭素繊維目付190g/m 2 、樹脂含有率35質量%の一方向プリプレグを得 た。

  これら実施例1~4及び比較例1~6で得られた リプレグを所定の寸法にカットした後、積 し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製 た。初期クラックを発生されるために、離 フィルムを2つの積層体の間にはさみ、両者 組み合わせ、積層構成[0] 20 のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オー トクレーブ成形法を用い、0.49MPaの圧力下、18 0℃の条件で2時間成形した。得られた成形物( 複合材料)を幅 12.7 mm × 長さ 304.8 mmの寸 に切断し、層間破壊靭性モードII(GIIC)の試験 片を得た。この試験片を用いて、GIIC試験を った。まず、離型フィルムにより作製した ラックが、支点から38.1mmとなる位置に試験 を配置し、2.54mm/minの速度で曲げの負荷を与 て初期クラックを形成させた。その後、ク ックの長さが支点から25.4mmの位置になるよ に試験片を配置し、1試験片について3回のGI IC試験を実施した。GIIC試験の試験速度は、2.5 4mm/minとした。結果を、表1、2に示した。

 実施例1~4で得られたプリプレグの試験片 GIICは高いものであったが、比較例1~6で得ら れたプリプレグの試験片のGIICは低いもので った。

  実施例1~4及び比較例1~6で得られたプリプ グをカット、積層し、積層構成[+45/0/-45/90] 3S の積層体を得た。通常の真空オートクレーブ 成形法を用い、0.49MPaの圧力下、180℃の条件 2時間成形した。得られた成形物を幅101.6mm   長さ 152.4mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強 度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用 て30.5kJ衝撃後のCAIを測定した。その結果、 1、2に示すように、実施例1~4で得られた試 片のCAIは高いものであったが、比較例2、4、 6で得られた試験片のCAIは低いものであった

  実施例1~4及び比較例6で得られたプリプ グについて、水置換に基づく吸水率 (空隙 )を測定した。その結果、実施例1~4で得られ たプリプレグの吸水率は低いものであったが 、比較例6で得られたプリプレグの吸水率は いものであった。

  実施例1~4及び比較例1~5、7で得られたプ プレグについて、製造直後と23℃下で2ヶ月 管後のゲルタイム(PP特性)を測定した。ゲル タイムは、キュラストメーター(日合商事社 IIF型)を用い、180℃の条件で測定した。その 果、成分[C]としてmc-DDSを使用した実施例1~4 は、コート剤を使用していないDDSを用いた 較例7に比べ、2ヶ月保管後もゲルタイムの 少が少なく、高い貯蔵安定性を有すること 分かった。

  以上の結果から、成分〔B〕の配合量が4 1質量部以上である実施例1~4は、複合材料の 間破壊靭性(GIIC)と衝撃後圧縮強度(CAI)は極め て高い値を示した。一方、成分〔B〕の配合 が40質量部以下である比較例1~5は、実施例1~4 よりも低いそれらの値を示した。複合材料の 層間破壊靭性(GIIC)と衝撃後圧縮強度(CAI)が、 分〔B〕の配合量に依存すること、及び本発 明の目的である、成分〔B〕の配合量を高め ことにより奏する効果が上記データから明 かになった。また、プリプレグの吸水率が い比較例6は得られた成形物にボイドが多く CFRP特性も低いものであった。

 なお、各表中の製造性において、「○」 製造性が良い場合を示し、「×」は製造中 何らかのトラブルがあった場合を示す。

  [実施例5~8]
  フィルムコーターを用いて、離型フィル 上に実施例1~4の樹脂組成物を塗布して、目 25.6g/m 2 の離型フィルム付の樹脂シートを4枚作製し 。 炭素繊維束(テナックス(登録商標)UT-500  邦テナックス社製 引張強度5000MPa(510kgf/mm 2 )、弾性率235GPa(24×10 3 kgf/mm 2 ))を並べ強化繊維シートを得た。これを目付2 5.6g/m 2 の樹脂シートで上下から挟み込み、120℃、0.3 MPaで加熱して強化繊維シートに樹脂組成物を 含浸させ、予備プリプレグを得た。

 次いで、この予備プリプレグを、新たな目 25.6g/m 2 の樹脂シートで上下から挟み込み、60℃、0.1M Paで加熱することにより予備プリプレグに樹 組成物を含浸させ、炭素繊維目付190g/m 2 、樹脂含有率35質量%の一方向プリプレグを得 た。得られたプリプレグをカットしたところ 、樹脂の塗布されていないドライファイバー や繊維乱れは発生せず、樹脂の含浸性は良好 であった。また、光学顕微鏡及び走査電子顕 微鏡の観察により、このプリプレグの表面に は樹脂被覆層が形成されていることが確認さ れた。得られたプリプレグはタックが高く、 取扱性が良好であった。実施例1~4に記載と同 様の方法で諸特性を評価した。結果を表4に す。

  なお、実施例2及び後述する実施例6で得 られたプリプレグについて、製造直後と5日 過後のプリプレグのタック性を測定した。

  実施例5~8で得られたプリプレグは、実 例1~4と同様に、複合材料の層間破壊靭性(GIIC )と衝撃後圧縮強度(CAI)は極めて高い値を示し た。この結果から、樹脂組成物を2回含浸さ て、成分〔B〕の配合量を高める利点が明確 なった。さらに、表5に示すように、条件を 変えて複数回(2回)樹脂組成物を含浸させると 、プリプレグのタックは高い値となった。こ の2回含浸で得られたプリプレグは、5日経過 も高いタックの値を維持していた。

 実施例5~8で得られたプリプレグについて 製造直後と23℃下で2ヶ月保管後のゲルタイ を測定した。その結果、2回樹脂組成物を含 浸させたプリプレグは2月保管後もゲルタイ の減少が少なく、高い貯蔵安定性を有して た。